説明

カメラ

【課題】オート撮影モードを備え、フラッシュ撮影禁止の場面において、不本意にフラッシュが発光されてしまうことを未然に防止することができるカメラを提供することを目的とする。
【解決手段】フラッシュを発光するストロボ8を備えるカメラ10であって、被写体の画像データを取得するCCD18と、CCD18により取得されたが画像データに基づいて露出を算出する露出算出部4と、露出算出部4により算出された露出に基づいて、該露出が適正露出に近づくように撮影条件を選択する露出調整部6と、露出調整部6により選択された撮影条件をリセットする電源スイッチ2とを備え、電源スイッチ2により撮影条件がリセットされた後は、露出調整部6がストロボ8を起動させない撮影条件を選択するカメラ10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDやストロボ等の発光装置内蔵のカメラは、撮影条件が自動的に選択される、いわゆるオート撮影モードを備え、周囲の明るさが暗い所で撮影が行われるような場合には、自動的にフラッシュが発光されることを前提として設計されているのが一般的である。このようなカメラによれば、電源スイッチのオフ時、リセット操作時、あるいはバッテリや電池の交換時等に全ての状態がリセットされると、オート撮影モードが立ち上がり、撮影の際に周囲の明るさが暗い場合には、フラッシュが発光される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−15183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、美術館や動物園のように、撮影の際にフラッシュを発光させることが禁止されている場合には、ユーザにより、フラッシュを発光させない撮影モードが選択されて撮影が行われる。
しかしながら、このような場合において、何らかの原因によりモード設定がリセットされた場合には、オート撮影モードが立ち上がり、ユーザが意識せずに撮影を行うとフラッシュが発光されてしまうという不都合が生じる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、オート撮影モードを備え、フラッシュ撮影禁止の場面において、不本意にフラッシュが発光されてしまうことを未然に防止することができるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、補助光を発光する発光装置を備えるカメラであって、被写体の画像データを取得する画像データ取得部と、該画像データ取得部により取得された画像データに基づいて露出を算出する露出算出部と、該露出算出部により算出された露出に基づいて、該露出が適正露出に近づくように撮影条件を選択する露出調整部と、該露出調整部により選択された撮影条件をリセットするリセット部とを備え、該リセット部により撮影条件がリセットされた後は、前記露出調整部が前記発光装置を起動させない撮影条件を選択するカメラを提供する。
【0006】
本発明によれば、露出算出部により、画像データ取得部により取得された画像データに基づいて露出が算出される。また、露出調整部により、露出が適正露出に近づくように撮影条件が自動的に選択される。これにより、簡易な操作により、適正な明るさの画像を取得することができる。また、撮影条件がリセットされた場合には、発光装置を起動させない撮影条件が選択されることにより、不本意に発光装置が起動することを防止することができる。
【0007】
また、上記発明においては、前記発光装置の起動を許可する許可スイッチを備え、前記露出調整部は、前記リセット部により撮影条件がリセットされた後は、前記許可スイッチが押された場合にのみ、前記発光装置を起動させる撮影条件を選択することとしてもよい。
このように構成することで、リセット部により撮影条件がリセットされた場合には、許可スイッチを押すだけの簡易な操作で、発光装置を起動させる撮影条件に設定を変更することができる。
【0008】
また、上記発明においては、前記リセット部が、電源スイッチであることとしてもよい。
このように構成することで、カメラの電源スイッチがオンにされることにより、発光装置を起動させない撮影条件に設定される。これにより、カメラの電源スイッチのオフ/オンの動作がされた場合であっても、不本意に発光装置が起動することを防止することができる。
【0009】
また、上記発明においては、表示部を備え、リセット部により撮影条件がリセットされた後、前記露出調整部が、前記発光装置を起動させない撮影条件では適正露出が得られないと判定した場合に、前記表示部に前記発光装置の起動を促す表示を行うこととしてもよい。
【0010】
このように構成することで、撮影条件がリセットされた場合に、ユーザは発光装置を起動させる必要があるか否かを認知することができる。また、ユーザの意思により、発光装置を起動させる撮影条件を選択することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影条件が自動的に選択されることにより、簡易な操作で適正な明るさの画像を取得することができ、また、フラッシュ撮影禁止の場面において、不本意にフラッシュが発光されてしまうことを未然に防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るカメラについて、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るカメラ10は、図1に示されるように、被写体の像を撮影して画像データを取得するCCD(画像データ取得部)18と、該CCD18によって取得された画像データに基づいて露出を算出する露出算出部4と、該露出算出部4によって算出された露出に基づいて撮影条件を選択する露出調整部6と、フラッシュ(補助光)を発光するストロボ(発光装置)8と、該ストロボ8の起動を促す表示を行う表示部14と、前記ストロボ8の起動を許容する許可スイッチ12と、電源のオン/オフを切替える電源スイッチ(リセット部)2とを備えている。
【0013】
露出算出部4は、CCD18により取得された画像データの各画素における輝度値に基づいて露出を算出し、算出された露出情報を露出調整部6に出力するようになっている。露出調整部6は、いわゆるオート撮影モードにおいては、露出算出部4からの露出情報に基づいて、ストロボ8を起動させる必要があるか否かを判定するようになっている。例えば、低輝度の場合や逆光の場合には、ストロボ8を起動させる必要があると判定するようになっている。
【0014】
また、露出調整部6は、ストロボ8を起動させる必要がないと判定した場合には、ストロボ8を起動させることなく、適正露出に近づくように撮影条件を選択するようになっている。この場合、シャッタスピードや絞り量が調整されることにより、露出が設定されるようになっている。例えば、露出が足りない場合には、適正量の露出が得られるように、シャッタスピードを遅くしたり、絞りを開けたりする撮影条件が選択されるようになっている。一方、露出が大きい場合には、シャッタスピードを早くしたり、絞りを閉じたりする撮影条件が選択されるようになっている。
【0015】
また、露出調整部6は、適正量の露出を得るためにストロボ8を起動させる必要があると判定した場合には、ストロボ8を起動させることをユーザに促す表示を表示部14にするようになっている。これにより、ユーザは、ストロボ8を起動させる必要性を認知することができる。この場合、ユーザは、許可スイッチ12を押すことにより、ストロボ8を起動させる撮影条件に設定を変更することができるようになっている。
なお、表示部14は、例えば、被写体の画像が表示される液晶モニタであって、記号や図形等により、ストロボの起動を促す表示がされるようになっている。
【0016】
そして、露出調整部6は、ユーザからの許可指令が入力されると、ストロボ8を起動させる撮影条件を選択するようになっている。これにより、撮影と同時にストロボ8からフラッシュが発光されることとなるので、露出調整部6は、それに合せて適正量の露出が得られるように撮影条件を選択するようになっている。
【0017】
また、電源スイッチ2がオフからオンに切替えられるときに、撮影条件がリセットされた初期状態でカメラ10が起動されるようになっている。そして、露出調整部6は、撮影条件がリセットされた初期状態において、ストロボ8を起動させない撮影条件を選択するようになっている。すなわち、電源スイッチ2がオンに切替えられると、露出調整部6により、ストロボ8を起動させない撮影条件が選択されるようになっている。
なお、撮影条件は、カメラ10の起動中は、ユーザにより、自由に変更することができるようになっている。
【0018】
このように構成された本実施形態に係るカメラ10の作用について、図2を用いて説明する。
電源スイッチ2がオンにされると(ステップ1)、撮影条件がリセットされた初期状態でカメラ10が起動し(ステップ2)、露出調整部6により、ストロボ8を起動させない撮影条件が選択される。
また、CCD18が起動して(ステップ3)、被写体の撮影が開始される。CCD18は、撮影した被写体の像を画像データとして取得するとともに(ステップ4)、画像データを逐次、露出算出部4に出力する。
【0019】
露出算出部4は、CCD18から送られてきた画像データの各画素における輝度値に基づいて露出を算出し(ステップ5)、算出された露出情報を露出調整部6へ出力する。
露出調整部6は、露出算出部4から送られてきた露出情報に基づいて、ストロボ8を起動させる必要があるか否かの判定を行う(ステップ6)。
【0020】
露出調整部6は、ストロボ8を起動させる必要がないと判定した場合には(ステップ6「NO」)、露出がCCD18の感度に見合う適正露出になるように、例えば、シャッタスピードと絞り量が調節される。これにより、露出が自動的に調整されて(ステップ7)、適正な明るさの画像を取得することができる。
【0021】
一方、露出調整部6は、ストロボ8を起動させる必要があると判定した場合には(ステップ6「YES」)、ストロボ8を起動させることをユーザに促す表示を、例えば、記号や図形等により、表示部14に表示する(ステップ8)。これにより、ユーザは、適正な明るさの画像を取得するためには、ストロボ8を起動させて撮影を行う必要があることを認知することができる。この場合、ユーザにより、許可スイッチ12がオンにされると(ステップ9)、ストロボ8を起動させる撮影条件へ移行する。
【0022】
ステップ10において、電源スイッチ2がオンの状態であるか否かが判定され、電源スイッチがオンの状態である場合(ステップ10「NO」)、すなわち、カメラ10が起動中である場合には、ステップ4に戻り、上記動作が繰り返される。一方、電源スイッチ2がオフにされると、上記動作は終了する。
【0023】
以上説明したように、本実施形態に係るカメラ10によれば、撮影条件がリセットされた状態でフラッシュの発光が禁止されるので、フラッシュ撮影禁止の場面において、フラッシュが発光されてしまうことを未然に防止することができる。また、撮影条件が自動的に選択されることにより、簡易な操作で適正な明るさの画像を取得することができる。
【0024】
すなわち、従来のオート撮影モードの場合には、フラッシュ撮影禁止の領域に入る際に、ストロボの起動を停止するモードに切替えても、その領域内で電源がオフ/オンされると、撮影条件がリセットされ、周囲が暗い場合にはフラッシュが発光してしまう。
【0025】
ユーザは、ストロボの起動を停止させるモードの切り替え操作は記憶しているが、それが電源のオフ/オンにより、リセットされてしまうことは意識しない傾向が高い。
したがって、電源のオフ/オン後もフラッシュ発光禁止モードが引き継がれていると誤認して、フラッシュ撮影禁止の領域でフラッシュを発光してしまう。
【0026】
これに対して、本実施形態に係るカメラ10によれば、撮影条件のリセット後にフラッシュの発光が禁止されるので、ユーザの誤認により、フラッシュ撮影禁止の領域で、フラッシュが発光されてしまう不都合の発生を確実に防止できる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではない。例えば、本実施形態においては、発光装置としてストロボ8を例示して説明したが、これに代えて、LEDやその他の照明手段等を用いることとしてもよい。
【0028】
また、リセット部として電源スイッチ2を例示して説明したが、ユーザにより電源スイッチ2のオフ/オン動作が行われた場合に限られず、バッテリや電池の交換等により電源のオン動作が行われた場合にも、撮影条件がリセットされることとしてもよい。
【0029】
また、撮影条件をリセットするリセットボタンをカメラに設けることとし、リセットボタンが押された場合にも、撮影条件がリセットされることとしてもよい。
また、別途、発光を禁止する発光禁止ボタンを設けることとしてもよい。
【0030】
また、例えば、図3に示されるように、カメラ10´が時間計測部16を備えることとし、所定の時間が経過することにより、露出調整部6´がリセット部2´を作動させることとしてもよい。具体的には、時間計測部16により、ストロボ8´が起動してからフラッシュが発光されるまでの時間が計測されるようになっている。露出調整部6´は、所定の時間内にフラッシュが発光されない場合には、リセット部2´を作動させて、撮影条件をリセットさせるようにしてもよい。
【0031】
これにより、例えば、ストロボ8´を起動可能な撮影条件に設定されて撮影が行われている場合に、フラッシュが発光されないことにより、ユーザが撮影条件の変更を意識せずにフラッシュ撮影禁止の場面において継続して撮影を行う場合であっても、所定の時間が経過することにより、リセット部2´が作動して、撮影条件がリセットされることとなる。その結果、ストロボ8´を起動させない撮影条件が選択されるので、時間の経過により、ユーザがストロボ8´を起動可能な撮影モードであることを忘れて不本意にフラッシュが発光されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカメラの動作のフローチャート図である。
【図3】本発明の変形例に係るカメラの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
2 電源スイッチ(リセット部)
4 露出算出部
6 露出調整部
8 ストロボ(発光装置)
10 カメラ
18 CCD(画像データ取得部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助光を発光する発光装置を備えるカメラであって、
被写体の画像データを取得する画像データ取得部と、
該画像データ取得部により取得された画像データに基づいて露出を算出する露出算出部と、
該露出算出部により算出された露出に基づいて、該露出が適正露出に近づくように撮影条件を選択する露出調整部と、
該露出調整部により選択された撮影条件をリセットするリセット部とを備え、
該リセット部により撮影条件がリセットされた後は、前記露出調整部が前記発光装置を起動させない撮影条件を選択するカメラ。
【請求項2】
前記発光装置の起動を許可する許可スイッチを備え、
前記露出調整部は、前記リセット部により撮影条件がリセットされた後は、前記許可スイッチが押された場合にのみ、前記発光装置を起動させる撮影条件を選択する請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記リセット部が、電源スイッチである請求項1または請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
表示部を備え、
リセット部により撮影条件がリセットされた後、前記露出調整部が、前記発光装置を起動させない撮影条件では適正露出が得られないと判定した場合に、前記表示部に前記発光装置の起動を促す表示を行う請求項1から請求項3のいずれかに記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−76936(P2008−76936A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258495(P2006−258495)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】