説明

カルシウムチャンネルα2δサブユニットに親和性を有するプロリン誘導体

式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはそのプロドラッグは、てんかん、失神発作、運動低下、頭部の障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、線維筋痛症、関節炎、神経病理学的障害、睡眠障害、内臓痛障、および胃腸障害の治療に有用なプロリン誘導体である。最終生成物および方法に有用な中間体の製造方法が記載されている。また、1つまたはそれ以上の化合物を含んでなる医薬組成物が記載されている。式(I)
【化1】


(式中、XはO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはYはO、SまたはNHであり、そしてXはCH2であるいずれかであり;そして、Rは、3〜12員シクロアルキル、4〜12員ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、その際、すべての環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれる1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換されうる)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグが記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬として有用なプロリン誘導体、その製造方法、それを含有する医薬組成物、および以下の状態を治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ガバペンチン(Neurontin(R))は、てんかん治療に有用な抗痙攣剤であり、最近では神経因性疼痛の治療に可能性があることがわかってきた。それは、構造式:
【化1】

の1−(アミノメチル)−シクロヘキシル酢酸である。
【0003】
ガバペンチンは、式
【化2】

(式中、Rは水素または低級アルキル基であり、そしてnは4、5または6である)の一連の化合物の一つである。これらの化合物は、US−A−4024175およびその分割出願のUS−A−4087544に記載されている。ガバペンチンは、疼痛およびてんかんを含めた多くの疾患の治療に有用である。
【0004】
ガバペンチンおよび関連化合物、例えばプレガバリンは、アルファ−2−デルタ(α2
δ)リガンドと称することができる。α2δ受容体リガンドは、ヒトカルシウムチャネル
α2δサブユニットのいずれかのサブタイプに結合する任意の分子である。カルシウムチャネルα2δサブユニットには、文献:例えば、N. S. Gee, J. P. Brown, V. U. Dissanayake, J. Offord, R. Thurlow, and G. N. Woodruff, J-Biol-Chem 271 (10): 5768-76, 1996, (タイプ1); Gong, J. Hang, W. Kohler, Z. Li, and T-Z. Su, J.Membr.Biol. 184 (1): 35-43, 2001, (タイプ2および3); E. Marais, N. Klugbauer, and F. Hofmann, Mol.Pharmacol. 59 (5): 1243-1248, 2001. (タイプ2および3); および N. Qin, S. Yagel, M. L. Momplaisir, E. E. Codd, and M. R. D'Andrea. Mol. Pharmacol. 62 (3): 485-496, 2002, (タイプ4)に記載された多くのサブタイプがある。また、それらは、GABAアナログとしても知られている。
【0005】
国際特許出願第WO 0230871号および同第WO 0222568号は、それぞれタイプIおよびタイプII:
【化3】

の化合物を記載しており、これらは、またガバペンチン結合部位に親和性を有し、特に痛覚脱失に関して、ガバペンチンと同様の生理活性を有する。
【0006】
国際特許出願第WO 0119817号は、神経伝達物質放出の制御に有用である3−ピロリジニルオキシ−3'−ピリジルエーテル化合物を記載している。
【0007】
国際特許出願第WO 0222575号は、セリンプロテアーゼ阻害剤であるベンズアミジン誘導体を記載している。
【0008】
本発明の式の最も広い範囲内に包含される特定の化合物を具体的に表1に記載したが、有用性については本発明と関係がない。
【0009】
【表1】

【0010】
【表2】

【0011】
【表3】

【0012】
【表4】

【0013】
【表5】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、線維筋痛症、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチおよび神経病理学的障害を含めた様々な障害の治療に有用であるプロリン誘導体およびその医薬上許容しうる塩、溶媒和物、多形体およびプロドラッグを提供する。また、提供する化合物は、内臓痛、機能性消化管障害、例えば胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群および機能性腹痛症候群、および炎症性腸疾患、例えばクローン病、回腸炎および潰瘍性大腸炎、ならびに月経困難、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎に伴う他タイプ内臓痛の治療に有用でありうる。また、それは、月経前症候群の治療に使用することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このように、本発明は、式(I):
【化4】

(式中、XはO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはYはO、SまたはNHであり、そしてXはCH2であり;そして
Rは、3〜12員シクロアルキル、4〜12員ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、その際、すべての環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ
、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれる1個以上の置換基で場合により置換されうる)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの医学療法における使用を提供する。
【0016】
さらなる態様として、本発明は、α2δ受容体が関与する障害を治療するための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの使用を提供する。α2δ受容体が関与する障害は、適切には、てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、線維筋痛症、過敏性腸症候群、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチ、神経病理学的障害、内臓痛、機能性消化管障害、炎症性腸疾患、月経困難に伴う疼痛、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎から選ばれる。
【0017】
本発明の第1のさらなる別態様として、式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグを有効に投与することからなる、ヒトを含めた哺乳動物におけるα2δ受容体が関与する障害の治療方法を提供する。
【0018】
式(1)によれば、XはO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはXはCH2であり、そしてYはOであることが適切である。−Y−X−は、メチレン、メチレンオキシ、メチレンチオ、オキシメチレン、アミノ、チオまたはオキシ結合であることが好ましい。特に好ましくは、−Y−X−オキシは、メチレンまたはオキシメチレン結合である。
【0019】
式(I)によれば、Rは、適切にはハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、シアノ、アミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれる1個またはそれ以上の置換基で場合により置換された、ヘテロアリール、アリール、4〜8員ヘテロシクロアルキルまたは3〜12員シクロアルキルである。Rは、より適切には、場合により置換されたアリール、4〜8員ヘテロシクロアルキルまたは3〜12員シクロアルキルである。Rは、好ましくは、場合により置換されたフェニル、シクロヘキシル、ジヒドロ−ベンゾフラニルまたはイソキノリルである。Rは、より好ましくは、場合により置換されたフェニルである。最も好ましくは、Rはメタ位で置換された、そして場合により二置換されたフェニルである。
【0020】
式(I)によれば、好ましくは少なくともメタ位におけるR上の任意の適切な置換基は、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシまたはハロゲン、好ましくはメトキシ、フルオロ、クロロまたはブロモ、最も好ましくはフルオロまたはクロロから独立して選ばれる。
【0021】
特に好ましい本発明の化合物は、式(I)中の各可変部分が各可変部分についての適切な群から選ばれるものが含まれる。本発明のより好ましい化合物は、式(I)中の各可変部分が各可変部分についての好ましいまたはより好ましい群から選ばれるものが含まれる。
【0022】
本明細書に具体的に記載されたものを含めた式(I)によって記載された特定の化合物は、新規であり、そのため、個々にそして全体として、本発明のさらなる態様を構成することが理解される。
【0023】
式(I)の好ましい化合物は、以下:
(2S,4S)−4−(ベンジルスルファニル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−[(4−クロロベンジル)オキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−[(4−ブロモフェニルチオ]−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−フェニルチオ−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−[2−フルオロフェノキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−[(4−クロロフェノキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−[2−イソキノリノキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(ベンジルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸

(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;および
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
から選ばれる。
【0024】
より好ましい式(I)の化合物は、
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸

(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;および
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
から選ばれる。
【0025】
式(I)の範囲内の特定化合物は、非治療上の使用について開示されている。従って、さらなる態様として、非治療上の使用のため当分野で以前に開示されたすべての化合物を除く、式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物、多形体またはプロドラッグ、特に表1に上記したもの、すなわち、(2S,4S)−4−(ベンジルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(ベンジルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−フェノキシピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(2−ナフチルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−[(4−メトキシベンジル)チオ]ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−[(4−メチルフェニル)チオ]ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(フェニルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(2−ナフチルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−ベンジルピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(3−メトキシベンジル)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−[(4−ニトロベンジル)オキシ]ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−[(4−シクロヘキシルベンジル)チオ]ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−クロロベンジル)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−フルオロフェノキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−メチルフェノキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(3−メチルチオフェノキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−クロロフェノキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−メトキシフェノキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(1−ナフタレニルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−クロロフェニルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、トリフルオロメチルフェニルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−フルオロフェニルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−アセチルオキシフェニルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−クロロベンジルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−フェニル−フェノキシ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−フェニル−フェニルチオ)ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−(4−メチル−ベンジルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸および(2S,4S)−4−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−2−カルボン酸を提供する。
【0026】
本発明のもう一つの態様として、式(Ia)、(Ib)または(Ic):
【化5】

(式中、RaおよびRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシシアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれるが、但し、
式(Ia)および(Ib)の化合物について、RaおよびRbの両方が水素であることはできず、そしてRbがパラ置換基である場合、Raは水素であることはできず、
式(Ia)の化合物について、Raがメチルチオである場合、Rbは水素であることはできず、そして
式(Ib)の化合物について、Raがメトキシである場合、Rbは水素であることはできない)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0027】
式(Ia)、(Ib)または(Ic)に関して、Raは水素でないことが適切である。
【0028】
上記定義において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。必要な炭素原子数を含有するアルキルおよびアルコキシ基は、指示された場合を除き、非分枝または分枝鎖であることができる。アルキルの例としては、直鎖および分枝鎖基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが含まれる。アルコキシの例としては、直鎖および分枝鎖基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシが含まれる。本明細書に引用されたアルケニルおよびアルキニル基には、それぞれ1つの二重または三重結合を有する直鎖および分枝状の環脂肪族基が含まれる。アルケニルおよびアルキニル基の例としては、それぞれエテニル、プロパ−1−エニル、プロパ−2−エニルおよびエチニル、プロパ−1−イニルおよびプロパ−2−イニルが含まれる。
【0029】
本明細書に使用される4〜8員ヘテロシクロアルキルは、O、SおよびNから独立して選ばれる少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有する単一の飽和または部分的に不飽和の環系のことである。本明細書に使用される4〜12員ヘテロシクロアルキルは、O、SおよびNから独立して選ばれる少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有する単一の飽和または部分的に不飽和の環または縮合環系のことである。従って、炭素環が縮合した飽和、部分不飽和または芳香族の環を1つまたはそれ以上含有する多環式縮合環系は、系が前記の少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの縮合環を含有する限りにおいて4〜12員ヘテロシクロアルキルの定義の範囲内にある。適切なヘテロシクロアルキル基としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、チオピラニル、アジリジニル、オキシラニル、メチレンジオキシル、クロメニル、イソオキサゾリジニル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、イソチアゾリジニル、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,3−ピラゾリジン−1−イル、ピペリジニル、チオモルホリニル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロチアジン−3−イル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、テトラヒドロアゼピニル、ピペラジニル、クロマニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル等が含まれる。
【0030】
本明細書に使用されるヘテロアリールは、O、SおよびNから独立して選ばれる少なく
とも1つの環ヘテロ原子を含有する単一の芳香族環または縮合された適切な二環式芳香族環系のことである。従って、炭素環が縮合した飽和、部分不飽和または芳香族の環を1つまたはそれ以上含有する多環式縮合環系は、系が少なくとも1つの前記ヘテロ原子を含有する少なくとも1つの縮合芳香環を含有する限りヘテロアリールの定義の範囲内にある。適切なヘテロアリール基としては、フリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、1,3,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,3,5−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、シノリニル、プテリジニル、プリニル、6,7−ジヒドロ−5H−[1]ピリンジニル、ベンゾ[b]チオフェニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キノリン−3−イル、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアナフテニル、イソチアナフテニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、インドリル、インドリジニル、インダゾリル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾオキサジニル等が含まれる。本明細書に使用されるC3−C8シクロアルキルは、単一の飽和または部分不飽和炭素環式環系のことである。本明細書に使用されるC3−C12シクロアルキルは、少なくとも1つの飽和または部分不飽和環を含有する単一のまたは縮合された炭素環式環系のことであり、その際、縮合系中の他の環はフェニルであってもよい。適切なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、インダンおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフチレン基が含まれる。
【0031】
本明細書に使用されるアリールはフェニルまたはナフチルのことである。
【0032】
本明細書に使用されるアシルは、置換基が結合することによりカルボニル基に結合した脂肪族または環式炭化水素のことである。
【0033】
〔発明の詳述〕
本発明の化合物は、非溶媒和および溶媒和形態の両方で存在することができる。「溶媒和物」は、本明細書では本発明の化合物および1つまたはそれ以上の医薬上許容しうる溶媒分子、例えばエタノールを含んでなる分子の複合体を記述するものとして使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に使用される。
【0034】
包接化合物、薬物−ホスト包接複合体のような複合体は、本発明の範囲内に含まれ、その際、前記の溶媒和物とは対照的に、薬物およびホストは、化学量論的または非化学量論的量で存在する。また、化学量論的または非化学量論的量であってもよい2つまたはそれ以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の複合体も含まれる。生成した複合体は、イオン化されていてもよく、部分的にイオン化されていてもよく、またはイオン化されてなくてもよい。このような複合体の概説については、HaleblianによるJ Pharm Sci, 64 (8), 1269-1288 (August 1975)参照。
【0035】
式(I)のピロリジン環上の立体化学は、固定されているが、1つまたはそれ以上の不斉炭素原子を含有するある種の式(I)の化合物は、2つまたはそれ以上の立体異性体として存在することができる。式(I)の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、シス/トランス(またはZ/E)幾何異性体が可能である。化合物が、例えばケトもしくはオキシム基または芳香族部分を含有する場合、互変異性(「互変異性」)が生じうる。そのため、単一の化合物が複数のタイプの異性を示してもよいことになる。
【0036】
複数のタイプの異性を示す化合物を含めた式(I)の化合物の全ての立体異性体、幾何異
性体および互変異性形態およびそれらの1つまたはそれ以上の混合物は、本発明の範囲内に含まれる。また、対イオンが光学活性である酸付加塩または塩基性塩、例えばD−乳酸またはL−リシンまたはラセミ体、例えばDL−酒石酸またはDL−アルギニンが含まれる。
【0037】
シス/トランス異性体は、当業者に知られている慣用の技術、例えばクロマトグラフィおよび分別結晶化によって分離することができる。
【0038】
個々の鏡像異性体を製造/単離する慣用の技術には、適切な光学上純粋な前駆体からのキラル合成または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いたラセミ体(
または塩または誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
【0039】
別法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を適切な光学活性化合物、例えばアルコールと反応させる、または式(I)の化合物が酸性または塩基性部分を含有する場合には、酸または塩基、例えば酒石酸もしくは1−フェニルエチルアミンと反応させることができる。生成したジアステレオ異性体混合物は、クロマトグラフィおよび/または分別結晶化によって分離することができ、そしてジアステレオ異性体の一方または両方は、当業者に知られている方法によって対応する純粋な鏡像異性体に転化される。
【0040】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、イソプロパノール0〜50%、典型的には2〜20%、およびアルキルアミン0〜5%、典型的にはジエチルアミン0.1%を含有する炭化水素、典型的にヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いて不斉樹脂上でクロマトグラフィ、典型的にはHPLCを使用して鏡像異性体が濃厚化された形態で得ることができる。溶出液を濃縮してその濃厚化された混合物を得る。
【0041】
立体異性体の混合物は、当業者に知られている慣用の技術によって分離することができ、例えばE L Elielによる"Stereochemistry of Organic Compounds" (Wiley, New York, 1994)参照。
【0042】
また、本発明は、本発明の化合物またはその医薬上許容しうる塩の全ての適切な同位体的変種を含む。本発明の化合物またはその医薬上許容しうる塩の同位体的変種は、少なくとも1個の原子が、同じ原子番号であるが、通常の性質の原子質量と異なる原子質量を有する原子によって置き換えられたものとして定義される。
【0043】
本発明の化合物およびその医薬上許容しうる塩中へ含有させるのに適した同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、亜リン酸、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが含まれる。
【0044】
ある種の同位元素的に標識化された式(I)の化合物およびその医薬上許容しうる塩、例えば放射性同位元素(例えば3Hまたは14C)を組み込まれたものは、薬物および/または基質の組織分布研究に有用である。放射性同位元素の同位体、トリチウム、すなわち3
、および炭素−14、すなわち14Cは、製造が容易であり、検出手段が簡単であることから特に好ましい。
【0045】
ジウテリウム、すなわち2Hのようなより重い同位体で置き換えると、代謝安定性がよ
り大きくなり、例えば生体内での半減期が長くなる、または必要な用量が少なくなるといった特定の治療上の利点を得ることができ、このため、いくつかの状況では好ましいといえる。
【0046】
陽電子放出同位体(例えば11C、18F、15Oおよび13N)で置き換えることは、基質受容体占有率を検定するための陽電子放射断層撮影(PET)研究において有用でありうる。
【0047】
一般に、同位元素的に標識化された式(I)の化合物は、当業者に知られている慣用の技術によってまたは添付の実施例および製造に記載されたものと類似の方法によって、以前から使用されいている標識化されてない試薬の代わりに適当な同位元素的に標識化された試薬を用いて製造することができる。
【0048】
本発明の医薬上許容しうる溶媒和物には、結晶化溶媒が同位元素的に置換された、例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSOであることができるものが含まれる。
【0049】
本発明の化合物は、アミノ酸である。アミノ酸は両性であるため、薬理学的に適合しうる塩は、適当な非毒性の無機または有機の酸または塩基の塩であることができる。適切な酸付加塩は、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、フマル酸塩、アスパラギン酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、カムシル酸塩、DおよびL−乳酸塩、DおよびL−酒石酸塩、エジシル酸塩、メシル酸塩、マロン酸塩、オロト酸塩、グルセプト酸塩、硫酸メチル、ステアリン酸塩、グルクロン酸塩、2−ナプチル酸塩、トシル酸塩、ヒベンズ酸塩、ニコチン酸塩、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、エシル酸塩、トリフルオロ酢酸およびパモ酸塩の塩である。
【0050】
適切な塩基性塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成される。例としては、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コリン、ジオールアミン、オラミン、アルギニン、グリシン、トロメタミン、ベンザチン、リシン、メグルミンおよびジエチルアミンの塩が含まれる。また、本発明の化合物は、両性イオンとして形成することもできる。
【0051】
本発明のアミノ酸化合物に適切な塩は、塩酸塩である。適切な塩の概説については、Stahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Wiley-VCH, Weinheim, Germany (2002)参照。
【0052】
また、第四級アンモニウムイオンを有する塩は、例えばテトラメチル−アンモニウムイオンを用いて製造することができる。研究から、ある種の薬物の経口吸収は、「軟らかい」第四級塩を製造することによって高めることができることがわかった。その第四級塩は「軟らかい」第四級塩と称され、普通の第四級塩、例えばR−N+(CH3)3とは異なり、加水分解されて活性薬物を放出することができる。「軟らかい」第四級塩は、塩基性の薬物またはその塩と比較して有用な物理特性を有する。水溶性は、他の塩、例えば塩酸塩と比較して高めることができるが、腸からの薬物の吸収を高めることがより重要である。吸収が高められるのは、おそらく「軟らかい」第四級塩が界面活性的性質を有し、ミセルを形成して胆汁酸等と共にイオン化されてないイオン対を形成することができ、これによってより効果的に腸上皮を貫通することができるからである。プロドラッグは、吸収後、急速に加水分解されて活性な親薬物を放出する。
【0053】
式(I)の化合物の医薬上許容しうる塩は、式(I)の化合物の溶液と必要に応じて所望の酸または塩基とを一緒に混合することによって容易に製造することができる。塩は、溶液から沈殿させて濾過して集めるか、または溶媒を蒸発させることによって回収することができる。塩中のイオン化の程度は、完全なイオン化からほとんどイオン化されてない程度まで変化することができる。式(I)の化合物に対する以下の全ての引用には、その塩、溶媒和物および複合体ならびにその塩の溶媒和物および複合体に対する引用が含まれる。
【0054】
本発明の化合物は、上記定義された式(I)の化合物、以下に定義されたその多形体、プロドラッグおよび異性体(光学、幾何および互変異性の異性体を含む)および同位元素的に標識化された式(I)の化合物を含む。
【0055】
記載した通り、本発明は上記定義された式(I)の化合物の全ての多形体を含む。
【0056】
また、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」は、本発明の範囲内にある。従って、それ自体は薬理活性をほとんどまたはまったく有しないある種の式(I)の化合物の誘導体は、身体中にまたは身体上へ投与された時に、例えば加水分解的切断または酸化的代謝によって所望の活性を有する式(I)の化合物に転化される。このような誘導体は、「プロドラッグ」と称する。プロドラッグの使用におけるさらなる情報は、'Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T Higuchi and W Stella) および ‘Bioreversible Carriers in Drug Design’, Pergamon Press, 1987 (ed. E B Roche, American Pharmaceutical Association)に見出すことができる。
【0057】
本発明のプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物に存在する適当な官能基を、“Design of ester pro-drugs to enhance oral absorption of poorly permeable compounds”, K. Beaumont et al, Current Drug Metabolism, 2003 and “Design of Pro-drugs”, H. Bundgaard (Elsevier) 1985に記載された「前駆部分(pro-moieties)」のような当業者に知られているある種の部分で置換することによって製造することができる。さらに、本発明のある種の化合物は、本発明の他の化合物のプロドラッグとして作用することができる。本発明の化合物の全ての保護された誘導体およびプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0058】
本発明のプロドラッグのいくつかの例としては、以下
(i)式(I)の化合物のカルボン酸官能基(−COOH)のエステル、例えば、水素を(C1−C6)アルキルで置き換えたもの、またはそのカルボキサミド、例えばヒドロキシルをアミノ官能基(−NH2、−NHRまたはNRR'、RおよびR'、ここでRおよびR'はそれ
ぞれ独立して(C1−C6)アルキル)で置き換えたもの;
(ii)式(I)の化合物の、第二級アミノ官能基(NHR、ここでR≠H)のアミド、例えば水素を(C1−C6)アルカノイルで置き換えたもの:
が含まれる。
【0059】
前述の例による代替基のさらなる例および他のプロドラッグタイプの例は、前記の参考文献中に見出すことができ、それらは参照により本明細書に組み込まれている。
【0060】
アミノアシル−グリコール酸および乳酸エステルは、アミノ酸のプロドラッグとして知られている(Wermuth C.G., Chemistry and Industry, 1980:433-435)。アミノ酸のカルボニル基は、周知の手段によってエステル化することができる。プロドラッグおよびソフトドラッグは、当分野で知られている(Palomino E., Drugs of the Future, 1990; 15(4): 361-368)。
【0061】
また、本発明は、神経変性障害の症状を治療または緩和するための薬剤としての本化合物の治療上の使用に関する。このような神経変性障害としては、例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症がある。また、本発明は、急性脳損傷と称する神経変性障害の治療を包含する。これには、卒中、頭部外傷および仮死が含まれるが、これらに限定されない。卒中とは脳の血管疾患のことであり、そして脳血管障害(CVA)とも称し、急性血栓塞栓性卒中が含まれる。卒中には局所的なおよび全脳的な虚血がある。また、一時的な脳の虚血発作および脳虚血に伴う他の脳血管の問題が含まれる。これらの血管障害は、具体的には頸動脈内膜切除術または一般的な他の脳血管もしくは血管の外科的方法または脳血管造影法等を含めた血管診断方法を受けている患者で生じる可能性がある。他の場合としては、頭部外傷、脊髄外傷、または全身性の無酸素、低酸素、低血糖、低血圧からの損傷だけでなく塞栓、過灌流および低酸素の処置中に見られる同様の損傷がある。本発明は、例えば心臓のバイパス手術、頭蓋内出血、周産期仮死、心停止、およびてんかん重積状態といった場合に有用である。
【0062】
例えば患者が卒中にかかりやすい、またはその危険性がある、そして卒中にかかっている場合、熟練医師は、本発明の方法によって投与する適当な状況を決定することができる。
【0063】
本発明の化合物は、疼痛、特に神経因性疼痛の一般治療法に有用である。生理学的な疼痛は、外部環境からの潜在的に有害な刺激の危険性を警告するように設計された重要な保護機構である。系は、特定の組み合わせの1次感覚ニューロンを通して作動し、もっぱら末梢変換機構を経て有害な刺激によって活性化される(総括的な概説については、Millan 1999 Prog. Neurobio. 57: 1-164)。これらの感覚線維は、侵害受容器として知られてお
り、遅い伝導速度を有する直径の小さい軸索を特徴としている。侵害受容器はその形状的に組織された突起によって、侵害刺激の強度、持続期間および質ならびに刺激の場所をコード化して脊髄に伝える。侵害受容器は、侵害受容神経繊維上に見いだされ、これには2つの主なタイプ、Aδ線維(有髄)およびC線維(無髄)がある。侵害受容器の入力によって生成された活性は、後角で複合処理された後、直接または脳幹を経て、視床腹側基底核を経由し、次いで皮質に伝えられ、そこで疼痛の感覚が生成される。
【0064】
強い急性疼痛および慢性疼痛には、病態生理学的過程によって発動する同様の経路が含まれることがあり、ここでは保護機構が作用しなくなり、その代わりに広範囲の疾患状態に伴う症状を弱める働きする。疼痛は多くの外傷および疾患状態の特徴である。疾患または外傷を経て、身体組織に実質的な損傷が生じる場合、侵害受容器活性化の特性が変わる。侵害受容器が終わる末端部において、損傷周辺で局所的に、そして中枢神経系に鋭敏化が起こる。これにより傷害部位および近くの正常組織で過敏症となる。急性疼痛では、これらの機構は有用であり、回復過程(repair processes)が起こり、損傷が治癒すると過敏症(hypersensitivity)が正常へ戻る。しかし、多くの慢性疼痛状態では、治癒過程で過敏症が長く続くが、これは一般に神経系損傷のためである。この損傷は、しばしば求心性線維の適応不良に至る(Woolf & Salter 2000 Science 288: 1765-1768)。臨床的な疼痛は、患者の症状の中で不快感および異常感受性が大きな位置を占める場合に生じる。患者によってまったく異なる傾向があり、種々の疼痛症状が存在しうる。多くの典型的な疼痛のサブタイプには、1)鈍い、焼けるようなまたは刺すような痛みである自発痛;2)有害な刺激に対して誇張された疼痛反応(痛覚過敏);3)通常無害な刺激によって生じる疼痛(アロディニア)(Meyer et al., 1994 Textbook of Pain 13-44)がある。背痛、関節炎痛、CNS外傷または神経因性疼痛を有する患者は、同様の症状を有しうるが、原因となる機構が違うため異なる治療戦略が必要であるといえる。したがって、疼痛は病態生理学の違いにより多くの異なる領域に分割することができ、これには侵害受容性、炎症性、神経因性疼痛等が含まれる。いくつかのタイプの疼痛は、複数の病因を有し、このため、例えば背痛は2つ以上の領域に分類されることに留意すべきである。
【0065】
癌性疼痛は侵害受容性および神経因性の両成分を有する。侵害受容性疼痛は、組織損傷によってまたは損傷が生じる可能性のある強い刺激によって誘発される。疼痛求心路は、損傷の部位での侵害受容器による刺激の変換によって活性化され、その末端のレベルで脊髄が感受性となる。次いで、これが脊髄管から脳に中継され、ここで疼痛が知覚される(Meyer et al., 1994 Textbook of Pain 13-44)。侵害受容器の活性化により、2つのタイプの求心性神経線維が活性化される。髄鞘を有するAδ線維は急速に伝達され、鋭い突き刺すような疼痛感覚を担っており、一方、髄鞘がないC線維は、より遅い速度で伝達され、鈍いまたはうずくような疼痛を伝える。中程度から重度の急性侵害受容性疼痛は、捻挫/挫傷からの疼痛、術後疼痛(あらゆるタイプの外科的手技後の疼痛)、外傷後の疼痛、火傷、心筋梗塞、急性膵炎および腎疝痛といった顕著な特徴があるが、これらに限定されない。また、癌に関連する急性疼痛症候群は、一般に化学療法毒性、免疫療法、ホルモン療法および放射線療法といったような治療上の相互作用によるものである。中程度から重度の急性侵害受容性疼痛は、腫瘍に伴う疼痛である癌性疼痛、(例えば骨痛、頭痛および顔面痛、内臓痛)または癌治療に伴うもの(例えば化学療法後症候群、慢性術後痛症候群、放射線後症候群)、椎間板ヘルニア(herniated or ruptured intervertebral discs)または腰部椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋もしくは後縦靱帯の異常による背痛といった顕著な特徴があるが、これらに限定されない。
【0066】
神経因性疼痛は、神経系における一時的な病変または機能不全によって始まるまたは生じる疼痛として定義される(IASP定義)。神経傷害は、外傷および疾患によって生じることがあり、従って用語「神経因性疼痛」には、多様な病因を有する多くの障害が包含される。これには、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、背痛、癌性神経障害、HIV性神経障害、幻肢痛、手根管症候群、慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下症、三叉神経痛、尿毒症またはビタミン欠乏症が含まれるが、これらに限定されない。神経因性疼痛は病理学的であり、保護的な役割はない。最初の原因が消えた後も現れることが多く、何年も持続するのが普通であり、患者の生活の質は著しく低下する(Woolf and Mannion 1999 Lancet 353: 1959-1964)。神経因性疼痛の症状は治療するのが困難であり、それは同じ疾患の患者の間でも多様であることが多いからである(Woolf & Decosterd 1999 Pain Supp. 6: S141-S147; Woolf and Mannion 1999 Lancet 353: 1959-1964)。神経因性疼痛には自発痛が含まれ、これは持続性、または発作性および異常に喚起された疼痛、例えば痛覚過敏(侵害刺激に感度を高めた)およびアロディニア(通常無害な刺激に対する感度)でありうる。
【0067】
炎症過程は、組織損傷または異物の存在に反応して活性化された複合的な一連の生化学的な細胞現象であり、腫張および疼痛を生じる(Levine and Taiwo 1994: Textbook of Pain 45-56)。関節炎の疼痛は、炎症性疼痛人口のほとんどを占める。リウマチ様疾患は、先進諸国における最も一般的な慢性炎症性状態の1つであり、関節リウマチは障害の一般的な原因である。関節リウマチ(RA)の正確な病因は知られていないが、現在の仮説では遺伝的および微生物学的因子の両方が重要であることが示唆されている(Grennan & Jayson 1994 Textbook of Pain 397-407)。約1千6百万人の米国人は、症候性の骨関節炎(OA)または変形性関節症であり、そのほとんどが60歳を超える年齢であり、これは人口の年齢が高まるにつれ4千万人に増加すると思われ、莫大な規模の社会的な健康問題となることが予想される(Houge & Mersfelder 2002 Ann Pharmacother. 36: 679-686; McCarthy et al., 1994 Textbook of Pain 387-395)。OAのほとんどの患者は疼痛のため、治療法を探している。関節炎は心理社会的および身体的な機能に有意な影響を及ぼし、後の生活における障害の主要な原因となることが知られている。他のタイプの炎症性疼痛には、炎症性腸疾患(IBD)が含まれるが、これに限定されない。
【0068】
他のタイプの疼痛としては、
・筋骨格系疾患;筋肉痛、線維筋痛症、脊椎炎、血清陰性の(非リウマチ様)関節症、関節外リウマチ、ジストロフィン異常症、グリコーゲン分解、多発性筋炎、化膿性筋炎が含まれるが、これらに限定されない。
・中枢痛、すなわち神経系の病変もしくは機能不全によって生じる疼痛によって定義される「視床痛」;中枢性卒中後痛、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病およびてんかんが含まれるがこれらに限定されない。
・心臓痛および血管痛;アンギナ、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心外膜炎、レイノー現象
、水腫性硬化症(scleredoma)、骨格筋の虚血が含まれるが、これらに限定されない。
・内臓痛および胃腸障害。内臓には腹腔の器官が包含される。これらの器官には、性器官、脾臓および消化系の部分が含まれる。内臓に関連する疼痛は、消化性の内臓痛および非消化性の内臓痛に分けることができる。一般に経験される胃腸(GI)障害には、機能性消化管障害(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)がある。これらのGI障害には、広範囲にわたる疾患状態が含まれ、今のところと適当に抑制するしかなく、FBDについては、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)、そしてIBDについては、クローン病、回腸炎および潰瘍性大腸炎が含まれ、これらはいずれも周期的に内臓痛を生じる。他タイプの内臓痛には、月経困難、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎に伴う疼痛が含まれる。
・頭部疼痛;片頭痛、前兆を伴う片頭痛、前兆を伴わない片頭痛、群発性頭痛、緊張型頭痛が含まれるが、これらに限定されない。
・口腔顔面痛;歯痛、顎関節の筋筋膜痛が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
また、本発明の化合物は、うつ病治療に有用であることが期待される。うつ病は、個人的な喪失に伴うストレスに対する二次的なまたは起始が特発的である器質性疾患の結果であるといえる。うつ病のいくつかの形態では家族性で発生する強い傾向があり、うつ病の少なくともいくつかの形態についてはメカニズム的原因が示唆されている。うつ病の診断は、主に患者の気分の変化を数量化することによって行う。これらの気分の評価は、有効と認められた評価尺度、例えばハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)または簡易精神症状評価尺度(Brief Psychiatric Rating Scale)を使用して一般に医師によって実施されるかまたは神経心理学者によって定量化される。多くの他の尺度が開発されており、うつ病、例えば不眠症、集中困難、エネルギーの欠如、役に立たない感情、および罪の意識を有する患者における気分変化の程度が数量化および測定されている。うつ病の診断だけでなく全ての精神医学的診断の基準は、American Psychiatric Association, 1994.によって発表されたDSM-IV-Rマニュアルと称するDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(第4版)にまとめられている。
【0070】
さらに他の態様として、てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、過敏性腸症候群、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチ、神経病理学的障害、内臓痛、機能性消化管障害、炎症性腸疾患、月経困難に伴う疼痛、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎から選ばれる疾患の治療方法であって、前記治療を必要とする哺乳動物に式(1)の化合物の治療上有効量を投与することからなる前記方法が提供される。
【0071】
本発明のα2δリガンドの生物活性は、[3H]ガバペンチンおよびブタ脳組織から誘導
されたα2δサブユニットを用いて放射性リガンド結合アッセイで測定することができる(Gee N.S., Brown J.P., Dissanayake V.U.K., Offord J., Thurlow R., Woodruff G.N.,
J. Biol. Chem., 1996; 271:5879-5776)。結果は、μMまたはnMα2δ結合親和性で
表すことができる。
【0072】
また、本発明の化合物は、1つまたはそれ以上の他の薬理学的活性薬剤と組み合わせて別々に、同時にまたは逐次的に投与することができる。特に疼痛の治療に適した薬剤としては、
i)オピオイド鎮痛剤、例えばモルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファン、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニル、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンおよびペンタゾシン;
ii)オピオイド拮抗剤、例えばナロキソン、ナトレキソン;
iii)非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えばアスピリン、ジクロフェナク、ジ
フルシナル、エトドラク、フェンブフェン、ケトプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ゾメピラックおよびそれらの医薬上許容しうる塩;
iv)バルビツレート鎮静剤、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール(theamylal)、チオペンタールおよびそれらの医薬上許容しうる塩;
v)鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、例えばクロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラムおよびそれらの医薬上許容しうる塩;
vi)鎮静作用を有するH1拮抗剤、例えばジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタ
ジン、クロルフェニラミン、クロルシクリジンおよびそれらの医薬上許容しうる塩;
vii)種々の鎮静剤、例えばグルテチミド、メプロバメート、メタカロン、ジクロラー
ルフェナゾンおよびそれらの医薬上許容しうる塩;
viii)骨格筋弛緩剤、例えばバクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、オルフレナジンおよびそれらの医薬上許容しうる塩;
ix)NMDA受容体拮抗剤、例えばデキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−
N−メチルモルフィナン)およびその代謝物質デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキノンおよびシス
−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸およびそれらの医薬上許容しうる塩;
x)α−アドレナリン作動活性化合物、例えばドキサゾシン、タムスロシン、クロニジンおよび4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,
4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン;
xi)三環式抗うつ剤、例えばデシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンおよびノルトリプチリン;
xii)抗痙攣剤、例えばカルバマゼピンおよびバルプロエート;
xiii)セロトニン再取り込み阻害剤、例えばフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラムおよびサートラリン;
xiv)混合型セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えばミルナシプラン
、ベンラファキシンおよびドロキセチン;
xv)ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えばレボキセチン;
xvi)タヒキニン(NK)拮抗剤、特にNK−3、NK−2およびNK−1拮抗剤、例え
ば(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−
テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,
1−g] [1,7]ナフトリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−
フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント、ダピタントおよび3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(
2S,3S);
xvii)ムスカリン拮抗剤、例えばオキシブチン、トルテロジン、プロピベリン、トロプシウムクロリドおよびダリフェナシン;
xviii)COX−2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブおよびヴァルデコキ
シブ;
xix)非選択的COX阻害剤(好ましくはGI保護を伴う)、例えばニトロフルルビプロ
フェン(HCT−1026);
xx)PDEV阻害剤、例えばシリデナフィル、バルデナフィル(Bayer)、タダラフィル(Icos Lilly)、1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジン、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンおよび5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
xxi)コールタール鎮痛剤、特にパラセタモール;
xxii)神経遮断剤、例えばドロペリドール;
xxiii)バニロイド受容体作動剤、例えばレジンフェラトキシン;
xxiv)ベータ−アドレナリン作動化合物、例えばプロプラノロール;
xxv)局部麻酔剤、例えばメキシレチン;
xxvi)コルチコステロイド、例えばデキサメサゾン;
xxvii)セロトニン受容体作動剤および拮抗剤;
xxviii)コリン作動性(ニコチン性)鎮痛剤;および
xxix)種々の薬剤、例えばトラマドール(R)
が含まれる。
【0073】
従って、本発明は、さらに式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグと上記群(i)〜(xxix)から選ばれる化合物または化合物の種類とからなる組み合わせを提供する。また、特にα2δリガンドが関与する疾患の治療のために、このような組み合わせを、医薬上許容しうる賦形剤、希釈剤または担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0074】
従って、さらなる態様として、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩およびPDEV阻害剤を含んでなる組み合わせ生成物を提供する。好ましくは、PDEV阻害剤は、シリデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジン、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンおよび5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンから選ばれる。
【0075】
本発明の化合物および他の治療剤の組み合わせは、別々に、逐次的にまたは同時に投与することができる。
【0076】
例えば、特定の疾患または状態を治療するために活性化合物の組み合わせを投与することが望ましいため、本発明の範囲内において、少なくとも一方が本発明の化合物を含有する2つ以上の医薬組成物を組成物の併用投与に適切なキットの形態で組み合わせることは都合がよい。
【0077】
このように、本発明のキットは、少なくとも1つは本発明の式(I)の化合物を含有する2つ以上の別々の医薬組成物、および前記組成物を別々に保持するための手段、例えば容器、分割されたビンまたは分割されたホイルパケットからなる。このようなキットの例は、錠剤、カプセル剤等のパッケージングに使用されるよく知られているブリスターパックである。
【0078】
本発明のキットは、例えば経口および非経口で異なる用量間隔で別々の組成物を投与するための、または別々の組成物を互いに適用するための、特に異なる剤形の投与に適している。コンプライアンスを助けるため、キットには、典型的には投与のための指示が含まれており、いわゆるメモリーエイド(memory aid)と共に提供することができる。
【0079】
医薬使用を意図する本発明の化合物は、結晶性またはアモルファス生成物として投与することができる。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥といったような方法によって例えば固形プラグ、粉末または膜として得ることができる。この目的のためにマイクロウェーブまたは高周波乾燥を使用することができる。本発明の化合物の適切な製剤は、所望により米国特許第6,106,864号に記載されたように、親水性または疎水性マトリックス、イオン−交換樹脂複合体、コーティングされたまたはコーティングされてない形態および他のタイプであることができる。
【0080】
本発明の化合物は、単独でまたは1つまたはそれ以上の他の薬剤と組み合わせて(すな
わち、それらの任意の組み合わせとして)投与することができる。一般に、本発明の化合
物は1つまたはそれ以上の適切な医薬上許容しうる賦形剤と共に製剤として投与される。用語「賦形剤」は、本明細書において本発明の化合物以外のあらゆる成分を記載するために使用する。賦形剤の選択は、具体的な投与方式、溶解度および安定性における賦形剤の効果および投薬形態の性質によって大きく左右される。必要に応じて補助剤を添加することができる。補助剤は、保存剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤または着色剤である。
【0081】
本発明の化合物の供給に適した医薬組成物およびその製造方法は、当業者に直ちに明らかである。このような組成物およびその製造方法は、例えば'Remington's Pharmaceutical Sciences', 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)に見出すことができる。
【0082】
本発明の化合物は、経口的に投与することができる。経口投与には、化合物が胃腸管に入るような嚥下が含まれ、または口内もしくは舌下投与を使用することができ、それによって化合物は口から直接血流に入る。
【0083】
経口投与に適した製剤としては、固形製剤、例えば錠剤、粒子、液体または粉末を含有するカプセル剤、多粒子およびナノ粒子、ゲル、フィルム(粘膜付着性のものを含む)、散剤、腔坐剤、エリキシル剤、ロゼンジ(液体充填されたものを含む)、咀しゃく剤(chews)
、固溶体、リポソーム、懸濁剤、スプレー剤および液体製剤が含まれる。
【0084】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセル剤中の充填剤として使用することができ、典型的には、担体、例え、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油、および1つまたはそれ以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含んでなる。また、液体製剤は、例えば小さい袋から固形物を再構成することによって製造することもできる。
【0085】
また、本発明の化合物は、浸透圧性剤形として、または高エネルギーディスパージョンの形態でまたはコーティング粒子もしくは急速溶解、急速崩壊剤形として投与することができ、これはLiang および ChenによってExpert Opinion in Therapeutic Patents, 11(6), 981-986 (2001)に説明されている。
【0086】
錠剤剤形では、薬物は用量に応じて、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%を構成することができる。薬物に加えて、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、ナトリウムデンプングリコレート、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナ
トリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微晶質セルロース、低級アルキル−置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を構成する。
【0087】
結合剤は、一般に錠剤の製剤に結合性を与えるために使用される。適切な結合剤としては、微晶質セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。また、錠剤は、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥された一水和物、無水等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、シュクロース、ソルビトール、微晶質セルロース、デンプンおよび第二リン酸カルシウム二水和物を含有することができる。
【0088】
また、錠剤は、場合により表面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、および滑剤、例えば二酸化ケイ素およびタルクを含むことができる。表面活性剤は、使用する場合、錠剤の0.2重量%〜5重量%を構成し、滑剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を構成することができる。
【0089】
また、錠剤は、一般に滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含有する。滑沢剤は、一般に錠剤の0.25
重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を構成する。
【0090】
他の使用しうる成分としては、抗酸化剤、着色剤、矯味矯臭剤、保存剤および味覚マスキング剤が含まれる。
【0091】
典型的な錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10重量%〜約90重量%、希釈剤約0重量%〜約85重量%、崩壊剤約2重量%〜約10重量%、および潤滑剤約0.25重量
%〜約10重量%を含有することができる。
【0092】
錠剤混合物を直接またはローラーによって圧縮して錠剤を形成することができる。代わりに、錠剤混合物または混合物の一部を、錠剤化前に湿式−、乾燥−もしくは溶融−造粒、溶融凝固、または押出し成形することができる。最終的な製剤は、1つ以上の層を含み、コーティングされるかまたはコーティングされてなくてもよく、カプセル化されていてもよい。
【0093】
錠剤の処方は、“Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1”, H. Lieberman and L. Lachman, Marcel Dekker, N.Y., N.Y., 1980 (ISBN 0-8247-6918-X)に議論されて
いる。
【0094】
経口投与のための固形組成物は、即時放出となるおよび/または放出が改良されるように処方することができる。放出が改良された組成物には、放出が遅延性、持続性、パルス性、制御された、標的設定されたおよびプログラムされたものが含まれる。本発明の目的で適切に放出が改良された組成物は、米国特許第6,106,864号に記載されている。他の適切な放出技術の詳細は、例えば高エネルギーディスパージョンおよび浸透性およびコーティングされた粒子は、Verma et al., Pharmaceutical Technology On-line, 25(2),1-14 (2001)に見出される。
【0095】
また、同様のタイプの固形組成物は、カプセル剤、例えばゼラチン、デンプンまたはHPMCカプセル剤中の充填剤として使用することができる。これに関する好ましい賦形剤
としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。液体組成物は、軟または硬カプセル剤、例えばゼラチンカプセル中の充填剤として使用することができる。水性および油性の懸濁剤、液剤、シロップ剤および/またはエリキシル剤では、本発明の化合物は、種々の甘味剤または矯味矯臭剤、着色剤または色素、乳化剤および/または懸濁化剤および希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロース、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、グリセリン、油、親水コロイド剤およびそれらの組み合わせと組み合わせることができる。さらに、これらの化合物および賦形剤を含有する製剤は、使用前に水または他の適切なビヒクルを用いて構成するための乾燥生成物として提示することができる。
【0096】
また、本発明の化合物は、注射によって、すなわち静脈内、筋内、皮内、十二指腸内または腹膜内、動脈内、包膜内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、脊髄内もしくは皮下に投与することができ、または注入、針(マイクロ針を含む)注射器、無針注射器またはインプラント注射技術によって投与することができる。このような非経口投与では、典型的には、当分野で知られている他の物質、例えば血液と等張性の溶液にするのに十分な塩または炭水化物、例えばグルコースを含有することができる滅菌水性液剤、懸濁剤または乳剤(すなわちミセルを含むことができる系)の形態で使用される。水性液剤は、必要に応じて適切に緩衝化(好ましくはpH3〜9)しなければならない。非経口投与のいくつかの形態では、滅菌非水性系、例えばモノまたはジグリセリドおよび脂肪酸、例えばオレイン酸を含めた不揮発性油の形態で使用することができる。滅菌条件下の適切な非経口製剤の製造、例えば凍結乾燥は、当業者によく知られた標準医薬技術によって容易に実施される。別法として、活性成分は、使用前に適切なビヒクルを用いて構成するための粉末形態(例えば発熱物質を含まない滅菌水)であってもよい。
【0097】
非経口液剤の製造に使用される式(I)の化合物の溶解度は、適当な処方技術、例えば溶解促進剤の配合の使用によって高めることができる。
【0098】
非経口投与のための組成物は、即時放出となるようにおよび/または放出が改良されるように処方することができる。従って、本発明の化合物は、活性化合物の長期的に放出するインプラントデポー製剤として投与するためより固形の状態で処方することができる。
【0099】
また、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することができる。それは、乾燥粉末吸入器から乾燥粉末(単独、混合物として、例えばラクトースとのドライブレンド、または例えばリン脂質との混合成分粒子)の形態で、または適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A [商標])または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA[商標])、二酸化炭素、さらにパーフッ素化された炭化水素、例えばペルフルブロン(商標)または他の適切なガスを用いてまたはを用いずに加圧された容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは細かい霧を製造する電気水力学を用いた噴霧器)またはネブライザーからエアゾルスプレーの状態で供給するのが都合がよい。鼻腔使用では、散剤は、生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0100】
加圧されたエアゾル剤の場合、用量単位は、バルブを設けて測定し、計量された量を供給することができる。加圧された容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーには、例えばエタノール(水性エタノール)または分散、可溶化もしくは放出延長のための適切な剤および溶媒としての噴射剤が含まれており、さらに潤滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンまたはオリゴ乳酸を含有されうる、本発明の化合物の溶液または懸濁液が含まれている。
【0101】
吸入用の乾燥粉末製剤または懸濁製剤の使用前には、本発明の化合物を吸入によって供給するのに適したサイズに超微粉砕する(典型的には、5ミクロン未満と考えられる)。超微粉砕は、例えばスパイラルジェットミル、流動床ジェットミル、ナノパーティクルを形成する超臨界流動処理の使用、高圧均質化または噴霧乾燥の範囲の方法によって実施することができる。
【0102】
吸入器または注入器に使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはHPMCか
ら作られたもの)、ブリスタおよびカートリッジは、本発明の化合物、適切な粉末ベース
、例えばラクトースまたはデンプンおよび性能調整剤、例えばI−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を含むように処方することができる。ラクトースは、無水物または一水和物の形態であってもよく、好ましくは後者である。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、シュクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0103】
細かい霧を製造するために電気水力学を利用する噴霧器に使用するための適切な溶液製剤は、1作動当たり本発明の化合物1μg〜20mg含有することができ、作動体積は1μl〜100μlで変化することができる。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒にはグリセロールまたはポリエチレングリコールが含まれる。
【0104】
適切な矯味矯臭剤、例えばメントールおよびレボメントール、または甘味剤、例えばサッカリンまたはサッカリンナトリウムは、吸入/鼻腔内投与を意図するこれらの本発明の製剤に添加することができる。
【0105】
吸入/鼻腔内投与のための組成物は、例えばポリ(DL)−乳酸−ポリグリコール酸(P
GLA)を用いて即時放出となるようにおよび/または放出が改良されるように処方する
ことができる。放出が改良された組成物には、放出が遅延性、持続性、パルス性、制御された、標的設定されたおよびプログラムされたものが含まれる。
【0106】
別法として、本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち皮膚にまたは経皮的に投与することができる。この目的に典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション剤、液剤、クリーム、軟膏、散布剤、包帯剤、フォーム、薄膜皮膚貼付剤、カシェ剤、インプラント、スポンジ、繊維、バンデージおよびミクロエマルジョンが含まれる。また、リポソームを使用することができる。このような適用では、本発明の化合物を、例えば鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ロウ、不揮発性油、例えば合成モノまたはジグリセリド、および脂肪酸、例えばオレイン酸、水、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルロウ、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、アルコール、例えばエタノールの一つ以上の混合物中に懸濁または溶解することができる。透過増強剤を配合することもできる;例えばFinnin および MorganによるJ. Pharm. Sci., 88(10), 955-958 (October 1999)参照。また、ナノ粒子(例えばニオソームまたはリポソーム)の形態のポリマー、炭水化物、タンパク質およびリン脂質を使用することができる。
【0107】
局所投与の他の手段としては、イオン泳動、エレクトロポレーション、フォノフォレシス、ソノオフォレシスおよび無針または極微針注射(例えばPowderjectTM, BiojectTM等)
による供給が含まれる。
【0108】
局所投与のための組成物は、即時放出となるようにおよび/または放出が改良されるよ
うに処方することができる。放出が改良された組成物には、放出が遅延性、持続性、パルス性、制御された、標的設定されたおよびプログラムされたものが含まれる。
【0109】
別法として、本発明の化合物は、例えば坐剤、ペッサリまたは浣腸剤の形態で直腸に投与することができる。また、それらは膣経路によって投与することができる。例えば、これらの組成物は、薬物を適切な非刺激性賦形剤、例えばカカオ脂、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールと混合することによって製造することができ、それらは常温で固体であるが腔中で流動化および/または溶解して薬物を放出する。
【0110】
直腸/膣投与のための組成物は、即時放出となるようにおよび/または放出が改良されるように処方することができる。放出が改良された組成物には、放出が遅延性、持続性、パルス性、制御された、標的設定されたおよびプログラムされたものが含まれる。
【0111】
また、本発明の化合物は、典型的には、等張性のpH調整された滅菌生理食塩水中の超微粉砕された懸濁液または溶液中の滴剤の形態で眼または耳へ直接投与することができる。眼および耳への投与に適した他の製剤としては、軟膏、生物分解性(例えば吸収可能なゲルスポンジ、コラーゲン)または生物分解性でない(例えばシリコーン)インプラント、カシェ剤、レンズおよび粒子性または小胞性系、例えばニオソームまたはリポソームが含まれる。ポリマー、例えば架橋されたポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース)、またはヘテロ多糖ポリマー(例えばゲランガム)を防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウムと一緒に配合することができる。また、このような製剤は、イオン泳動を用いて供給することができる。
【0112】
眼/耳へ投与するための組成物は、即時放出となるようにおよび/または放出が改良されるように処方することができる。放出が改良された組成物には、放出が遅延性、持続性、パルス性、制御された、標的設定されたおよびプログラムされたものが含まれる。
【0113】
また、本発明の化合物は、前記投与方式のいずれかで使用する際、その溶解度、溶解速度、味覚マスキング、生物学的利用能および/または安定性を改善するために可溶性の高分子構成要素、例えばシクロデキストリンおよびその適切な誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーと組み合わせることができる。
【0114】
薬物−シクロデキストリン複合体は、例えば、ほとんどの剤形および投与経路について一般に有用である。包接および非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との複合体形成を目的とする代わりに、シクロデキストリンは、補助添加剤として、すなわち担体、希釈剤または可溶化剤として使用することができる。アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンは、最も一般的に使用され、適切な例は、WO−A 91/1
1172、WO−A−94/02518およびWO−A−98/55148に記載されている。
【0115】
用語「投与された」には、ウイルス性または非ウイルス性技術による供給が含まれる。ウイルス性の供給機構には、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびバキュロウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。非ウイルス性の供給機構には、脂質が介在するトランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、カチオン面の両親媒性物質(CFA)およびそれらの組み合わせが含まれる。このような供給機構の経路としては、粘膜、鼻、経口、非経口、胃腸、局所または舌下経路が含まれるが、これらに限定されない。
【0116】
従って、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物、多形体またはプロドラッグを、医薬上許容しうる賦形剤、希釈剤または担体と共に含んでなる医薬組成物を提供する。
【0117】
医薬製剤の成分は、好ましくは単位剤形中にある。このような形態では、製剤を活性成分の適当な量を含有する単位用量に小分けする。単位剤形は、パック製剤であってもよく、パッケージには、分離量の製剤、例えばパケット単位の錠剤、カプセル剤およびバイアルまたはアンプル中の散剤が含まれている。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤またはロゼンジそれ自体であってもよいし、またはそれらのいずれかの適当な数のパック形態であってもよい。単位用量製剤中の活性成分の量は、特定の適用および活性成分の効力に応じて0.1mg〜1gで変化させるまたは調節することができる。医学的使用では、薬物は、例えば100または300mgのカプセル剤として1日1〜3回投与することができる。治療上の使用では、本発明の医薬方法で用いる化合物は、1日約0.01mg〜約100mg/kgの初期用量で投与される。約0.01mg〜約100mg/kgの日用量範囲が好ましい。
【0118】
用量は、体重約65kg〜70kgの平均的な人間の被験者に基づく。乳児および老人のようなこの範囲外の体重の被験者については、医師が容易に用量を決定することができる。しかし、用量は、患者の必要、治療する状態のひどさおよび使用する化合物によって変化しうる。特定の状況について適当な用量の決定は、当業者の範囲内である。一般に、治療は、化合物の最適用量より少ない用量で開始する。その後、その状況で最適効果が得られるまで、少ない増加分で用量を高める。便宜上、所望により、総日用量を分割して日中に少しずつ投与することができる。
【0119】
また、本発明の医薬組成物は、所望により、1つまたはそれ以上の適合しうる治療剤を含有することができる。特に、組成物は、疼痛の治療に有用な任意の1つまたはそれ以上の化合物、例えば上に列記したものと組み合わせることができる。従って、本発明は、式(I)の化合物、1つまたはそれ以上の他の薬理学的活性剤および1つまたはそれ以上の医薬上許容しうる担体を含んでなる医薬組成物を提示する。
【0120】
疑問をなくすために説明するが、本明細書における「治療」についての記載には、治癒的、待期的および予防的治療についての記載が含まれる。
【0121】
一般方法
式(I)の化合物は、以下に説明する種々の方法を用いて合成することができる。
第1の方法(A)によれば、式(I)の化合物は、式(II)、(III)または(IV)
【化6】

(式中、R、XおよびYは、式(I)について記載された通りであり、R1は、適切なカル
ボン酸保護基、例えばC1-6アルキルであり、そしてPGは適切な保護基、例えばtert−
ブトキシカルボニルである)の化合物を慣用の方法、例えば適切な溶媒、例えばジオキサ
ンまたはジクロロメタン中で強酸、例えばトリフルオロ酢酸または塩酸を用いて、酸が介
在する加水分解によって脱保護することによって製造することができる。
【0122】
式(I)の化合物は、加水分解による開裂によって式(III)の化合物から直接製造することができる。
【0123】
式(II)の化合物は、化合物(III)
【化7】

(式中、X、Y、R、PGおよびR1は、上記定義された通りである)のエステル官能基の加水分解によって製造することができ、そして加水分解は、適切な溶媒、例えば水性ジオキサン中のアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウムによって促進される。
【0124】
式(III)の化合物は、以下:
i)適切な溶媒、例えばDMF中、20〜140℃の温度で、適切な塩基、例えばアルカリ金属塩、例えばK2CO3またはアルカリ金属水素化物、例えばNaHを用いて式(VI)
【化8】

(式中、Zは、適切な脱離基、例えばメシレート、トシレート、トリフレートまたはハロである)の化合物と、化合物RYX−Hとを反応させ;
【0125】
ii)RYXが−ArO−(式中、Arは、場合により置換されたアリールまたはヘテロア
リール環である)である場合、適切な溶媒(例えばTHF)中、25〜60℃の温度で、適
切なアジドジカルボキシレート、例えばDIADおよびトリフェニルホスフィンまたはトリブチルホスフィンのMitsunobu条件を用いて、式(VII)
【化9】

の化合物を式ArOHの化合物と反応させ;
【0126】
iii)適切な触媒、例えば炭素上のパラジウムを用いて、式(VIII)
【化10】

の化合物を水素化分解する;方法によって形成することができる。
【0127】
式(VIII)の化合物は、式(XII)
【化11】

の化合物に、適切な溶媒、例えばTHF:1−メチル−2−ピロリジノン1:1中、NB
4I、パラジウム触媒およびホスフィン配位子の存在下で適切な触媒および添加剤の存在下で有機金属を添加することによって、例えばベンジル臭化亜鉛を添加することによって製造することができる。
【0128】
式(XII)の化合物は、式(X)の化合物に、適切な塩基を添加し、続いてTHFのような適切な溶媒中、−78℃〜−20℃でトリフラート化剤、例えばn−ブチルリチウムを添加し、続いてトリフリック酸無水物を添加することによって製造する。
【0129】
iv)XがCH2である場合、炭素上のパラジウムのような適切な触媒を用いて式(IX)
【化12】

の化合物を水素化分解する。
【0130】
式(IX)の化合物は、ウィテッヒ反応を用いて式(X)
【化13】

の化合物から製造することができ、その際、トルエンまたはジクロロメタン中、室温で、適切なホスホニウム塩および塩基、例えば1MのtBuOK/THFまたはナトリウムt−アミレートからイリドが形成される。
【0131】
式(IX)の化合物をTHF/H2O中の水性水酸化リチウムのような塩基性条件下で加水
分解して式(XVII)の化合物にする。式(XVIII)の化合物は、室温で、ジクロロメタン中の
標準カップリング試薬、例えばDCC、DMAPおよび適切なアルコール、例えばメントール(R2)を用いて(XVII)から製造する。
【化14】

【0132】
式(XVIII)の化合物を、EtOAcおよび/またはトルエン中でPtO2のような適切な触媒を用いて15psiの水素雰囲気下、室温で1〜18時間水素化して式(XIV)の化合物を得る。
【0133】
式(XIV)
【化15】

の化合物を、方法Aの方法に従って6Mの塩酸を適切に使用して60℃〜120℃で18時間、全体的に脱保護して式(I)(式中、Xは、CH2である)の化合物を得る。
【0134】
別法として、式(VIII)および(IX)の化合物は、酸触媒による脱水によって式(XI)
【化16】

の化合物を脱水して製造することができる。
【0135】
式(XI)の化合物は、適切な溶媒、例えばTHF中、−78℃〜−20℃の温度で、式(VIII)の化合物に有機金属を添加することによって、例えばVIIIにベンジルマグネシウムブロミドを添加することによって製造することができる。
【0136】
v)YがOであり、XがCH2である場合、Mitsunobu条件を使用して式(XVI)
【化17】

の化合物を、式R−OHの化合物と反応させる。
【0137】
式(XVI)の化合物は、式(XV)
【化18】

の化合物のヒドロホウ素化によって製造することができる。
【0138】
式(XV)の化合物は、式(XIII) の化合物からエステル官能基を加水分解して式(XIV)の化合物を得、続いて再エステル化することによって製造することができる。
【化19】

【0139】
式(XIII)の化合物は、適切な溶媒、例えばトルエン中で適切なメチレンウィテッヒ試薬、例えばメチルトリフェニルホスホニウムブロミドおよび塩基、例えばカリウムt−ブトキシドを用いて式(X)の化合物から製造することができる。
【0140】
また、式(XVI)の化合物は、適切な溶媒、例えばTHF中、0〜30℃の温度でヒドロホウ素化剤、例えばBH3を用いて式(XVII)のカルボン酸を還元することによって製造することができる。
【化20】

【0141】
式(XVII)の化合物は、室温で溶媒混合物、例えばH2O、EtOAcおよびCH3CN中の塩化ルテニウムおよび過ヨウ素酸ナトリウムといったような適切な条件を使用して式(XVIII)の化合物を芳香族酸化することによって製造することができる。
【化21】

【0142】
上記一般方法を参照して、保護基がある場合、一般にこれらは同様の性質の他の保護基と交換でき、例えばアミンをtert−ブトキシカルボニル基で保護するように記載された場合、これは任意の適切なアミン保護基と容易に交換することができることは当業者に容易に理解される。
【0143】
本発明は、以下の非限定的な実施例および中間体によって説明し、その際、以下の略語を使用する:
THF テトラヒドロフラン
DMF ジメチルホルムアミド
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
EtOAc 酢酸エチル
DCM ジクロロメタン
rt 室温
MeOH メタノール
EtOH エタノール
TFA トリフルオロ酢酸
BOC tert−ブチルオキシカルボニル
【0144】
実施例1
(2S,4S)−4−(ベンジルスルファニル)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化22】

ジクロロメタン(2.5ml)中(2S,4S)−4−ベンジルスルファニル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(製造2,130mg,3.3mmol)の溶
液に、トリフルオロ酢酸(2.5ml)を添加し、混合物を窒素雰囲気下、室温で36時間
撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、DowexTM 50WX8-200樹脂を使用して最初に水、次いで10%水性アンモニアで溶出してイオン−交換クロマトグラフィによって残留物を精製し、白色固形物として標題化合物(66mg,75%)を得た。
1H−NMR(400MHz,D2O)δ=1.88-1.98 (1H, m); 2.45-2.56 (1H, m); 3.07-3.13 (1H, m); 3.22-3.38 (2H, m); 3.66-3.74 (2H, s); 3.93-4.01 (1H, m); 7.11-7.29 (5H, m)
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MH+] 238;[MNa+] 260;[MH-] 236
微量分析:実測値:C, 59.36; H, 6.33; N, 5.77.C1215NO2S.0.3H2O 理論値:C,
59.38; H, 6.48; N, 5.77
【0145】
実施例2
(2S,4S)−4−[(4−クロロベンジル)オキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸
【化23】

(2S,1S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−[(4−クロロベンジル)オキシ]-2−ピロリジンカルボン酸(製造4,96mg,0.38mmol)をジクロロメタン(5ml)中に溶解した。トリフルオロ酢酸(5ml)を添加し、混合物を室温で一夜放置した。反応混合物をジクロロメタン(25ml)と水(25ml)との間で分配した。水性層を分離し、さらにジクロロメタン(25ml)で洗浄し、蒸発させて乾燥状態にした。生成物を、DoweXTM 50WX8-200樹脂を使用して最初に水、次いで水:アンモニア(9:1)で溶出して精製し、白色固形物として標題化合物(5mg,収量5%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD)δ=2.4-2.5(m, 1H), 2.6-2.7(m, 1H), 3.4-3.5(m, 1H), 3.6- 3.7(m, 1H), 4.5-4.7(m, 4H), 7.3-7.5(m, 4H).
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [M-] 254
【0146】
実施例3
(2S,4S)−4−[(4−ブロモフェニルチオ]−ピロリジン−2−カルボン酸
【化24】

(2S,4S)−4−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(製造7,54mg,0.14mmol)をジオキサン中の4MのHCl中に溶解し、室温で2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去してクリーム固形物(32mg,76%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD)δ=2.20 (1H, m), 2.83 (1H, m), 3.32 (1H, m), 3.70 (1H, m), 4.15 (1H, m), 4.50 (1H, m), 7.40 (2H, d), 7.55 (2H, m).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MH+] 302,304.
微量分析:実測値:C, 39.01; H, 4.23; N, 4.14. C1112NO2SBr.0.9 HCl理
論値:C, 39.44; H, 3.88; N, 4.18.
【0147】
実施例4
(2S,4S)−4−フェニルチオ−ピロリジン−2−カルボン酸
【化25】

製造8の標題化合物から出発して実施例3の方法によって標題化合物を製造した。収率は60%であり、標題化合物は白色固形物であった。
1H−NMR(400MHz,CD3OD)δ=2.19 (1H, m), 2.80 (1H, m), 3.34 (1H, m), 3.70 (1H, m), 4.10 (1H, m), 4.56 (1H, m), 7.030-7.60 (5H, m).
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [MH+] 224
微量分析:実測値:C, 48.95; H, 5.50; N, 4.97. C1113NO2S.HCl.0.5H2
理論値:C, 49.16; H, 5.63; N, 5.21.
【0148】
実施例5
(2S,4S)−4−[2−フルオロフェノキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸
【化26】

製造10の標題化合物から出発して実施例3の方法によって標題化合物を収率74%で製造した。
1H−NMR(400MHz,MeOD):δ=2.60-2.76 (m, 2H), 3.57-3.65 (m, 1H), 3.75 (d, 2H), 4.56-4.64 (m, 1H), 4.85 (s, 3H), 5.18-5.24 (m, 1H), 6.98-7.19 (m, 4H).
LRMS(エレクトロスプレー):[M−1] 224,[MH+] 226
微量分析:実測値:C, 50.38; H, 4.95; N, 5.29% C1112FNO3 理論値:C, 50.49;
H, 5.01, N, 5.35%
【0149】
実施例6
(2S,4S)−4−[(4−クロロフェノキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸
【化27】

製造12からのBOC保護された生成物(250mg,0.73mmol)をジオキサン(5ml)中の4MのHCl中、0℃で2時間撹拌した。ジエチルエーテル(10ml)を添加し、沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄して標題化合物(178mg,87%)を得た。1H−NMR(400MHz,MeOD):δ=2.59-2.71 (m, 2H), 3.56-3.72 (m, 2H), 4.57-4.66(m, 1H) , 4.82-4.93 (M, 3H), 5.17-5.25 (m, 1H), 6.88-6.98 (m, 2H), 7.26-7.36 (m, 2H).
LRMS(エレクトロスプレー):[M−1] 240,[MH+] 242,[MNa+] 264
微量分析:実測値:C, 47.48; H, 4.71; N, 4.92. C1112ClNO3.HCl 理論値:C, 47.50; H, 4.71; N, 5.04%
【0150】
実施例7
(2S,4S)−4−[2−イソキノリノキシ]−ピロリジン−2−カルボン酸
【化28】

(2S,4S)−4−(イソキノリン−7−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(製造13,120mg,0.29mmol)をTFA(3ml)中、室温で4.5時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、ジエチルエーテルで磨砕して極めて吸湿性の固形物を得、これを2NのHCl(3ml)中に再溶解して室温で1時間撹拌した。溶液をジエチルエーテル(5ml)で1回洗浄し、水分を蒸発させてフォームを得た。エーテルで摩砕してガラス(24mg,28%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CH3OD):δ=2.68-2.80(m, 1H), 2.82-2.97 (m, 1H), 3.75-3.91 (m, 2H), 4.62-4.75 (m, 1H), 4.75-4.96 (m, 5H 交換可能), 5.48-5.60 (m, 1H), 7.75- 7.81 (m, 1H), 7.98-8.02 (m, 1H), 8.26 (d, 1H), 8.39-8.55 (m, 2H), 9.64 (s, 1H)
LRMS(エレクトロスプレー)[M−1] 257,[MH+] 259
【0151】
実施例8
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化29】

実施例6の方法によって、製造15の標題化合物から出発し、ジエチルエーテル(2×
20ml)で生成物を洗浄して白色固形物(52mg,93%)を得て標題化合物を製造し
た。
1HNMR(400MHz,CD3OD):δ= 2.65 (m, 2H), 3.60 (dd, 1H), 3.70 (d, 1H), 4.60 (dd, 1H), 5.02 (m, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.97 (s, 1H), 7.03 (d, 1H), 7.29 (dd, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー)[MH+] 242,[M−1] 240
微量分析:実測値:C, 46.97; H, 4.70; N, 4.90. C1112ClNO3.HCl.0.1H2O理論値:C, 47.20; H, 4.75; N, 5.00.
【0152】
実施例9
(2S,4S)−4−(ベンジルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化30】

(2S,4S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(ベンジルオキシ)−ピロリジン
−2−カルボン酸(製造17,150mg,0.47mmol)をジクロロメタン(5ml)中に
溶解した。トリフルオロ酢酸(5ml)を添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(25ml)と水(25ml)との間で分配した。水性層を分離し、さらにジクロロメタン(25ml)で洗浄し、蒸発させて乾燥状態にした。生成物は、イオン交換カラム(Dowex 50WX8-200樹脂)を使用して、最初に水、次いで水:アンモニア(9:1)で溶出して精製し、白色固形物として標題化合物(34mg,収率33%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD)δ= 2.3-2.5 (m, 1H), 3.1-3.18 (m, 1H), 3.4-3.5 (d, 1H), 3.9- 3.95(m, 1H), 4.2 (s, 1H), 4.4-4.55 (dd, 3H), 7.2-7.4 (m, 5H).
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 244
【0153】
実施例10
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸一塩酸塩
【化31】

4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル(製造35,0.91g,1.96mmol)をトルエン(2ml)中に溶解した。6N塩酸(50ml)を添加し、還流で18時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。水性層を減圧下で蒸発させて濃縮し、白色固形物として標題化合物(417mg,81%)を得た。1H−NMRは、7:1の比率のシス:トランスジアステレオ異性体を示したので、生成物をイソプロピルアルコールから再結晶させて14:1のシス:トランス比率(NMRによる測定)で標題化合物(170mg,65%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):(ジアステレオ異性体2S,4S:2S,4R(14:1)の混合物):δ=1.85 (q, 1H), 2.51 (quin, 1H), 2.69-2.85 (m, 3H), 3.07 (t, 1H), 3.41 (dd, 1H), 4.38 および 4.48 (t, 1H), 6.90-7.04 (m, 3H), 7.32 (q, 1H).
LRMS(APCI):m/z [MH]+224
[α]D25−1.27°(メタノール中でc=9.00)
微量分析:実測値:C, 55.56; H, 5.81; N, 5.34%. C1214FNO2.HCl理論値:C,
55.50; H, 5.82; N, 5.39%.
【0154】
実施例11
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)ピロリジン−2−カルボン酸一塩酸塩
【化32】

実施例10の方法によって、製造37の標題化合物から出発し、アセトン/エーテルで再結晶させることによって精製し、1H−NMRによって測定されたジアステレオ異性体の混合物(2S,4S:2S,4R(12:1)で白色固形物として標題化合物(500mg,60%)を得て標題化合物を製造した。
1H−NMR(400MHz,CD3OD)(ジアステレオ異性体シス:トランス(12:1)の混合物):δ=0.80-1.90 (m, 0.92H), 2.12-2.20 (m, 0.08H), 2.28-2.36 (m, 0.08H),
2.49-2.58 (q, 0.92H), 2.66-2.81 (m, 1H), 2.83-2.95 (m, 2H), 3.02-3.13 (t, 1H), 3.46 (dd, 1H), 4.40 (dd, 0.92H), 4.48-4.54 (m, 0.08H), 7.03-7.20 (m, 3H).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [M+H]+242
微量分析:実測値:C, 51.42; H, 5.08; N, 5.01%. C1213NO22.HCl理論値:C, 51.90; H, 5.08; N, 5.04%.
【0155】
実施例12
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸一塩酸塩
【化33】

製造36の標題化合物から出発して実施例10の方法によって標題化合物を製造した。1H−NMR(400MHz,CD3OD):(ジアステレオ異性体2S,4S:2S,4R(26:1)の混合物):δ=1.86 (q, 1H), 2.51-2.54 (m, 1H), 2.75-2.83 (m, 3H), 3.09 (t, 1H), 3.45 (q, 1H), 4.39 および 4.49 (2t, 1H) 26:1, 7.00-7.14 (m, 3H).
LRMS(APCI):m/z [MH]+242
微量分析:実測値:C, 50.18; H, 4.94; N, 4.83%. C12132NO2.HCl理論値:C, 51.90; H, 5.08; N, 5.04%.
[α]D25−0.22°(メタノール中でc=1.84)
【0156】
実施例13
(2S,4S)−4−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−カルボン酸一塩酸塩
【化34】

4−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル(製造38,316mg,0.70mmol)をトルエン(2ml)中に溶解した。6N塩酸(50ml)を添加し、還流で72時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。水性層を減圧下で蒸発させて濃縮し、白色固形物(80mg,48%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):(ジアステレオ異性体2S,4S:2S,4R(6:1)の混合物):δ=0.83-1.00 (m, 2H), 1.13-1.40 (m, 6H), 1.62-1.81 (m, 6H), 2.48 (m, 2H), 2.90 (t, 1H), 3.48 (t, 1H), 4.32 および 4.42 (2t, 1H).
LRMS(APCI):m/z [MH]+212
[α]D25−1.86°(メタノール中でc=2.04)
【0157】
実施例14
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸一塩酸塩
【化35】

製造39の標題化合物から出発して実施例10の方法によって標題生成物を製造した。1H−NMR(400MHz,CD3OD):(ジアステレオ異性体2S,4S:2S,4R(15:1)の混合物):δ=1.79-1.89 (m, 1H), 2.47-2.52 (m, 1H), 2.68-2.77 (m, 3H), 3.06 (t, 1H), 3.36 (t, 1H), 3.39 (s, 3H), 4.37 および 4.47 (t, 1H), 6.81 (d, 3H), 7.22 (t, 1H).
LRMS(APCI):m/z [MH]+236
微量分析:実測値:C, 56.77; H, 6.62; N, 5.06%. C1317NO3.HCl理論値:C, 57.46; H, 6.68; N, 5.15%.
[α]D25−6.90°(c=3.1,MeOH)
【0158】
実施例14A
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸一塩酸塩
は、 J. Org. Chem. 1995, 60, 2925-2930中のJ. Ezquerra, C. Pedegrel, B. Yrurtagoyena および A. Rubioの方法によっても製造することができる。
【0159】
実施例15
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化36】

4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(製造44,475mg,1.2mmol)をジオキサン中の無水塩酸の溶液(4M,15ml)中に溶解し、窒素雰囲気下、50℃で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、生成した半固形物を酢酸エチルで磨砕し、白色固形物を得、これを酢酸エチル/イソプロピルアルコールから再結晶させてジアステレオ異性体(2S,4S:2S,4R(〜5:1))の混合物で白色固形物の塩酸塩(90mg,35%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ=2.04-2.09 (m, 0.8H); 2.33-2.47 (m, 0.4H); 2.65-2.75 (m, 0.8H); 2.88-3.00 (m, 1H); 3.33-3.40 (m, 1H); 3.52-3.60 (m, 0.8H); 3.60-3.68 (0.2H); 3.96-4.04 (m, 1H); 4.04-4.12 (m, 1H); 4.42-4.51 (m, 0.8H); 4.40-4.56 (m, 0.2H); 6.65-6.80 (m, 3H), 7.21-7.30 (m, 1H)
LRMS(エレクトロスプレー):[M+1] 240;[M+23] 262;[M−1] 23

【0160】
以下の化合物は、実施例15の方法と類似した方法によって製造することができる:
実施例16
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
【化37】

【0161】
実施例17
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
【化38】

および
【0162】
実施例18
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化39】

【0163】
実施例19
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化40】

(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(製造46,67mg,0.16mmol)をジオキサン中の無水塩酸の溶液(4M,5ml)中に溶解し、室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルで磨砕して白色固形物の塩酸塩(13mg,27%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ=2.07-2.18 (m, 1H); 2.63-2.74 (m, 1H); 2.88-3.00 (m, 1H); 3.32-3.40 (m, 1H); 3.52-3.61 (m, 1H); 3.96-4.04 (m, 1H); 4.04-4.10 (m, 1H); 4.42-4.51 (t, 1H); 6.82-6.89 (d, 1H); 6.80-7.00 (m, 2H); 7.20-7.28 (t, 1H)
LRMS(エレクトロスプレー):[M+1] 256;[M+23] 278;[M−1] 25

【0164】
実施例20
(2S,4S)−4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化41】

実施例3の方法によって淡黄色固形物として収率100%で標題化合物を製造した。
1H−NMR(400MHz,D2O):δ=2.35-2.56 (m, 2H); 2.86-3.04 (m, 2H); 3.35-3.65 (m, 2H); 4.10-4.26 (m, 3H); 4.97-5.05 (m, 1H); 6.20-6.36 (m, 2H); 7.02 (d, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー):[MH+] 250
微量分析:実測値:C, 54,16; H, 5.78; N, 4.72%. C1315NO4.HCl.0.15H2
理論値:C, 54.14; H, 5.70; N, 4.86.
【0165】
実施例21
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−2−カルボン酸
【化42】

4−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(製造41,155mg,0.456mmol)をジオキサン(4ml)中の4MのHCl中、0℃で2時間撹拌した。エーテル(4ml)を添加し、得られた吸湿性の白色固形物を濾過し、真空下、40℃で乾燥させて標題化合物(90mg,60.3%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):2.20-2.29(m, 1H); 2.95-3.05 (m, 1H); 3.28-3.39 (m, 2H); 4.22-4.31 (m, 1H); 4.45-4.55 (m, 1H); 4.90 (s, 5H); 6.62 (d, 1H); 6.70-6.75 (m, 2H); 7.13 (t, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー):[M−1] 239
微量分析:実測値:C, 40.37;H, 5.07;N, 8.46%. C1113ClN22.2HCl.0.75
2O 理論値:C, 40.39; H, 5.08; N, 8.56.
【0166】
製造1
(2S,4R)−4−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル
【化43】

CH2Cl2(20ml)中の(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(CAS Reg. No. 170850-75-6)(1g,3.48mmol)の溶液に、ピリジン(3.9ml)およびp−トルエンスルホニルクロリド(0.7g,3.67mmol)を添加し、混合物を窒素雰囲気下、室温で72時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(100ml)中に溶解し、飽和クエン酸溶液(50ml)、次に水(50ml)で洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)させて濾過し、減圧下で蒸発させた。残留物を、カラムクロマトグラフィによって酢酸エチル:ヘプタン(3:10)で溶
出して精製し、無色ガムとして標題化合物(1.5g,98%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.39-1.49 (18H, m), 2.01-2.16 (1H, m), 2.33-2.6 (4H, m), 3.50-3.64 (2H, m), 4.20-4.29 (1H, m), 4.96-5.06 (1H, m); 7.31-7.40 (2H, m), 7.65-7.80 (2H, m).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MH+] 464,[mH-] 440
【0167】
製造2
(2S,4S)−4−ベンジルスルファニル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert
−ブチルエステル
【化44】

窒素雰囲気下、エタノール(10ml)中の製造1(200mg,4.53mmol)の溶液に、ベンジルメルカプタン(0.107ml,8.86mmol)およびカリウムtert−ブトキシド(101mg,8.86mmol)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物EtOAc(25ml)中に溶解し、水(10ml)で洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過して減圧下で蒸発させた。残留物を、カラムクロマトグラフィによってヘプタン:酢酸エチル(9:1)で溶出して精製し、無色の油として標題化合物(130mg,73%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.38-1.50 (18H, m), 1.80-1.90 (1H, m), 2.44-2.55 (1H, m), 3.00-3.29 (2H, m), 3.70-3.78 (2H, s), 3.84-3.95 (1H, m), 4.04-4.16 (1H, m), 7.27-7.34 (5H, m).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 416
【0168】
製造3
(2S,4S)−4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸
1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
【化45】

(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(CAS Reg. No. 227935-38-8)(300mg,1.0mmol)および60%水素化ナトリウム鉱油ディスパージョン(61mg,1.1mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で無水ジメチルホルムアミド(9ml)中に溶解した。10分撹拌した後、CH2Cl2(1ml)中の4−クロロベンジルブロミド(265mg,1.2mmol)を滴加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル(25ml)中に溶解し、水(2×25ml)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)、濾過して減圧下で蒸発させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィを使用して溶媒勾配4:1ヘプタン:酢酸エチルで溶出して精製した。油として標題化合物(170mg,収率40%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.4-1.5(m, 9H), 2.0-2.45(m, 2H), 3.5-3.8(m, 5H), 4.05- 4.2(s, 1H), 4.25-4.4(m, 1H), 4.4-4.55(m, 2H), 7.3(m, 4H).
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 392
【0169】
製造4
(2S,4S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−[(4−クロロベンジル)オキシ]−
ピロリジン−2−カルボン酸
【化46】

製造3(157mg,0.42mmol)からの標題化合物をテトラヒドロフラン(10ml)
中に溶解した。LiOH.H2O(54mg,1.3mmol)を水(5ml)中に溶解した。2つの溶液を混合し、室温で2日間撹拌し、次いで減圧下で蒸発させて乾燥状態にした。残った残留物を酢酸エチル(25ml)中に溶解し、飽和クエン酸(25ml)で洗浄した。有機画分を乾燥(硫酸マグネシウム)させて濾過し、減圧下で蒸発させて乾燥状態にした。残留物を、フラッシュクロマトグラフィを使用して20:1のジクロロメタン:メタノールの溶媒勾配で溶出して精製し、油として標題化合物(106mg,収率71%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.4(m, 9H), 2.9-3.0(m, 1H), 3.4-3.6(m, 2H), 4.2-4.7(m, 5H), 7.2-7.35(m, 4H).
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [M-] 354
【0170】
製造5
(2S,4S)−4−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−ピロリジン−1,2−ジカルボ
ン酸 1−tert−ブチルエステル2−エチルエステル
【化47】

ナトリウムエトキシド(112mg,1.65mmol)を窒素雰囲気下、室温でEtOH(6ml)中の4−ブロモチオフェノール(302mg,1.65mmol)の撹拌溶液にゆっくりと添加した。EtOH(1ml)中の(2S,4R)−4−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(CAS
Reg. No. 88043-21-4)(300mg,0.75mmol)の溶液を30分後に添加し、そして溶液を48時間撹拌した。反応混合物を0.5MのNaOH(50ml)中へ注ぎ、CH2Cl2(2×50ml)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(硫酸マグネシウム)させて真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィにより、桃色の固形物(120mg,40
%)として生成物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.25 (3H, t), 1.40 (9H, s), 2.00 (1H, s), 2.60 (1H, m), 3.35 (1H, m), 3.60 (1H, m), 3.90 (1H, s), 4.18 (2H, q), 4.22 (1H, m), 7.35 (2H, d), 7.40 (2H, d).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 454
【0171】
製造6
(2S,4S)−4−(フェニルスルファニル)ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert
−ブチルエステル2−エチルエステル
【化48】

製造方法5によって標題化合物を桃色の固形物として収率40%で製造した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.23 (3H, t), 1.41 (9H, s), 2.00 (1H, m), 2.61 (1H, m), 3.38 (1H, m), 3.62 (1H, m), 3.90-4.03 (1H, m), 4.15-4.35 (3H, m), 7.20-7.50 (5H, m).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 374
【0172】
製造7
(2S,4S)−4−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【化49】

(2S,4S)−4−(4−ブロモ−フェニルスルファニル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−エチルエステル(製造5,120mg、0.30mmol)をMeOH(6ml)中に溶解し、2M水酸化ナトリウム(0.83ml,1.66mmol)を添加した。溶液を14時間撹拌し、濃縮し、そして0.5MのHCl(50ml)を添加した。水性層をCH2Cl2(50ml)で抽出し、これを乾燥(硫酸マグネシウム)させて濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(最初CH2Cl2、次いで95%CH2Cl2/MeOHで溶出する)により、透明な液体(130mg,48%)として酸を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.43 (9H, s), 2.4-2.8 (2H, m), 3.35 (1H, m), 3.62 (1H, m), 3.8-4.0 (1H, m), 4.3-4.4 (1H, m), 7.28 (2H, m), 7.41 (2H, m).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [M-] 400,402
【0173】
製造8
(2S,4S)−4−(フェニルスルファニル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【化50】

製造6の標題化合物から製造方法7によって標題化合物を透明な油として収率83%で製造した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.41 (9H, s), 2.10 (0.5H, m), 2.38 (0.5H, m), 2.50-2.75 (1H, m), 3.36 (1H, m), 3.62 (1H, m), 3.82-4.03 (1H, m), 4.25-4.41 (1H, m), 7.20-7.45 (5 H, m).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [M-] 322
【0174】
製造9
4−(2−フルオロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
【化51】

(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(CAS Reg. No. 74844-91-0)(300mg,1.22mmol)をTHF(10ml)中に溶解し、トリフェニルホスフィン(385mg,1.47mmol)および2−フルオロフェノール(164.5mg,1.47mmol)を添加した。反応物を氷中で冷やし、DIAD(0.23ml,1.2mmol)を滴加し、反応物を室温で一夜撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、CH2Cl2(20ml)を添加し、そして溶液を2NのNaOH(10ml)で洗浄した。相を分離し、有機相を飽和ブライン(10ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物を最少限のジエチルエーテル中に溶解し、溶液がちょうどに維持されるまでペンタンを添加した。トリフェニルホスフィンオキシドでシード添加した後、溶液を氷中で冷やし、生成した沈殿を濾過した。濾液を蒸発させ、残留物を、シリカ(50g)上のフラッシュクロマトグラフィで、最初にペンタン:ジエチルエーテル(体積で2:1)、次いでペンタン:ジエチルエーテル(体積で1:1)により溶出して精製し、不純物としてジイソプロピルカルバメートを含有する純粋でない油として標題生成物(388mg,58%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.45 (d, 9H), 2.35-2.57 (m, 2H),3.65-3.79 (m, 5H), 4.43-4.57 (m, 1H), 4.88-5.02 (m, 1H), 6.81-6.98 (m, 2H), 6.98-7.10 (m, 2H).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 362
【0175】
製造10
(2S,4S)−4−(2−フルオロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1
−tert−ブチルエステル
【化52】

製造9からのエステル(400mg,1.18mmol)をTHF(4ml)中に溶解し、そして水(2ml)中のLiOH.H2O(106mg,3.53mmol)を添加した。混合物を室温で一夜撹拌した。CH2Cl2(10ml)で洗浄した後、飽和水性クエン酸を用いて水溶液をpH2に調整し、CH2Cl2(2×10ml)で再抽出した。合わせた有機抽出物を飽和ブラインで逆洗浄し、MgSO4で乾燥、濾過、そして蒸発させてNMRによってジイソプロピルカルバメート(2%)の少量の不純物を含有する白色固形物(383mg,49%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.16-1.70 (m, 9H), 2.20-2.92 (m, 2H), 3.58-3.85 (m, 2H), 4.38-4.63 (m, 1H), 4.83-5.02 (m, 1H), 6.78-7.17 (m, 4H).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [M−1] 324
【0176】
製造11
(2S,4S)−4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
【化53】

(2S,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(CAS Reg. No. 74844-91-0)(1.10g,4.08mmol)をTHF(25ml)中に溶解し、4−クロロフェノール(0.78g,6.12mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.6g,6.12mmol)を添加した。溶液を氷浴中で冷やし、DIAD(0.96ml,4.88mmol)を滴加した。反応物を、室温で一夜撹拌した。溶媒を蒸発させた後、残留物をジエチルエーテル(20ml)中に溶解し、溶液が単にちょうどに維持されるまでペンタンを添加した。溶液を、トリフェニルホスフィンオキシドでシード添加し氷中で冷やした。生成した沈殿を濾過して濾液を蒸発させた。残留物を、シリカ(100g)上のフラッシュクロマトグラフィによりペンタンジエチルエーテル(体積で2:1)を装填し、ペンタン:ジエチルエーテル(体積で1:1)により溶出して精製し、NMRによってジイソプロピルカルバメート(CAS Reg. No. 19740-72-8)の少量の不純物を含有する無色の油(1.35g,69%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.43 (d, 9H), 2.36-2.57 (m, 2H), 3.61-3.81 (m, 5H), 4.39- 4.59 (m, 1H), 4.80-4.90 (m, 1H), 6.64-6.78 (m, 2H), 7.18-7.30 (m, 2H).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 378
【0177】
製造12
(2S,4S)−4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【化54】

製造11からのエステルをTHF(30ml)中に溶解し、水(15ml)中のLiOH.H2O(440mg,10.56mmol)の溶液を添加した。反応物を室温で一夜撹拌し、次いで溶媒を真空下で濃縮した。残留物を、CH2Cl2(20ml)と飽和水性クエン酸溶液(10ml)との間で分配し、相を分離した。有機層を飽和ブライン(10ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、そして蒸発させた。粗生成物を、シリカ(100g)上のフラッシュクロマトグラフィによって最初にCH2Cl2、次いでCH2Cl2:MeOH(体積で25:1)で溶出して部分的に精製し、NMRによってジイソプロピルカルバメートをまだ含有する物質を得た。EtOAcから再結晶させて白色結晶を得、これを濾過し、EtOAc:ペンタン(1:1)で洗浄して標題化合物(517mg,55%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.23-1.67 (m, 9H), 2.20-2.88 (m, 2H), 3.55-3.81 (m, 2H), 4,40-4.61 (m, 1H), 4.78-4.92 (m, 1H), 6.63-6.84 (m, 2H), 7.11-7.32 (m, 2H)
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [M−1] 340
【0178】
製造13
(2S,4S)−4−(イソキノリン−7−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸
ジ−tert−ブチルエステル
【化55】

(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(CAS Reg. No. 170850-75-6)およびイソキノリン−7−オールから、製造11と同様の方法を使用して合成し、そして収率15%で油として標題化合物を得て標題化合物を製造した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.41-1.53 (m, 18H), 2.43-2.63 (m, 2H),
3.68-3.97 (m, 2H), 4.30-4.52 (m, 1H), 4.99-5.06 (m, 1H), 7.08-7.16 (m, 1H), 7.41-7.77 (m*3H), 8.42 (d, 1H), 9.10-9.18 (m, 1H).
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [MH+] 415
【0179】
製造14
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
【化56】

2下、0℃に冷やしたTHF(2ml)中の(2S,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(CAS Reg. No.74844-91-0)(0.3g,1.22mmol)、3−クロロフェノール(0.189g,1.47mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.385g,1.47mmol)の撹拌溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.29ml,1.47mmol)を滴加した。混合物を室温で3日撹拌した。溶媒を真空下で除去し、生成物を、シリカゲル上のクロマトグラフィによって溶出液としてエーテル/n−ペンタン:40/60を使用して精製し、油として標題化合物および還元されたジイソプロピルアゾジカルボキシレートの混合物(1/1)0.27g(62%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.46, 1.49 (2 x s, 9H), 2.47 (2H, m), 3.71 (5H, m), 4.42 (1H, m), 4.42, 4.54 (1H, 2 x m), 4.87 (1H, m), 6.68 (1H, m), 6.79 (1H, s), 6.92 (1H, m), 7.18 (1H, m).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z 378(MNa+)
【0180】
製造15
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【化57】

THF(4ml)中の製造14からの生成物(0.25g,0.7mmol)に水(4ml)中の水酸化リチウム(50mg)の溶液を添加した。混合物を一夜撹拌してから、水(10ml)およびエーテル(20ml)を添加した。水性相をエーテル(2×20ml)で2回洗浄し、次いで2NのHClで酸性化し、エーテル(2×20ml)で抽出した。エーテル相を乾燥(硫酸マグネシウム)させて濾過し、蒸発させて標題化合物(80mg,33%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.42, 1.48 (2×s, 9H), 2.30-2.70 (m, 2H), 3.60-3.80 (m, 2H), 4.40-4.60 (m, 1H), 4.86 (m, 1H), 6.71 (m, 1H), 6.82 (m, 1H), 6.94 (m, 1H), 7.16 (m, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 364,340 [M−1] 340
【0181】
製造16
(2S,4S)−4−ベンジルオキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチ
ルエステル 2−メチルエステル
【化58】

(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(CAS Reg. No. 227935-38-8)(300mg,1.2mmol)および60%水素化ナトリウム鉱油ディスパージョン(61mg,1.5mmol)を窒素雰囲気下、0℃で無水ジメチルホルムアミド(9ml)中に溶解した。10分撹拌した後、CH2Cl2(1ml)中の臭化ベンジル(0.153ml,1.3mmol)を滴加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル(25ml)中に溶解し、水(2×25ml)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過して減圧下で蒸発させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィを使用して溶媒勾配4:1ヘプタン:酢酸エチルにより溶出して精製して油として標題化合物(167mg,収率42%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.2-1.6(m, 12H), 2.2-2.45(m, 1H), 3.4-3.8 (m, 4H), 4.05-4.2 (m, 1H), 4.3-4.5 (m, 2H), 7.15-7.4.(m, 5H).
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [MNa+] 358
【0182】
製造17
(2S,4S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(ベンジルオキシ)−ピロリジン−
2−カルボン酸
【化59】

製造16(167mg,0.5mmol)からの標題化合物をテトラヒドロフラン(10ml)中に溶解した。LiOH.H2O(63mg,1.5mmol)を水(5ml)中に溶解した。2つの溶液を混合し、室温で2日間撹拌し、次いで減圧下で蒸発させて乾燥状態にした。残った残留物を酢酸エチル(25ml)中に溶解し、飽和クエン酸(25ml)で洗浄した。有機画分を乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過して減圧下で蒸発させて乾燥状態にした。粗化合物(150mg,収率94%)を油として取り、次の段階(実施例9)に用いた。
LCMS(エレクトロスプレー):m/z [M-] 320,[MNa+] 344
【0183】
製造18
(2S,4S)−4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
【化60】

製造方法14によって(2S,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボン酸
1−tert−ブチルエステル2−メチルエステルおよび2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−オールから、収率41.6%で白色固形物として標題化合物を製造した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.43 (d, 9H); 2.36-2.50 (m, 2H); 3.03-3.17 (m, 2H); 3.59-3.80 (m, 5H); 4.15-4.41 (m, 3H); 4.78-4.83 (m, 1H); 6.21-6.32
(m, 2H); 6.98-7.02 (m, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー):[MNa+] 386
【0184】
製造19
(2S,4S)−4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【化61】

製造方法15によって4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステルから標題化合物を白色固形物として収率78%で製造した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.38-1.58 (m, 9H); 2.21-2.83(m, 2H); 3.02-3.18 (m, 2H); 3.59-3.82 (m, 2H); 4.38-4.60 (m, 3H); 4.80-4.90 (m, 1H); 6.22-6.42 (m, 2H); 6.97-7.10 (m, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー):[M−1] 348
【0185】
製造20
4−(3−フルオロ−ベンジリデン)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert ブチルエステル 2−メチルエステル
【化62】

無水ジクロロメタン(200ml)中のm−フルオロベンジルトリフェニルホスホニウム2 ブロミド(8.08g,0.018mmol)の溶液に、カリウムt−ブトキシド(THF中1M,17.2ml,0.017mmol)を室温で滴加し、1時間撹拌した。混合物を0℃に冷やし、これに、ジクロロメタン(20ml)中の(2S)4−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tertブチルエステル2−メチルエステル3 (3.8g,0.016mmol)の溶液を滴加した。混合物を室温に加温させて18時間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム(100ml)で急冷し、水性液をジクロロメタン(2×100ml)で抽出し、合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて除去した。残留物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィによってヘプタン:酢酸エチル(4:1)の溶媒勾配で溶出して精製し、無色の油として標題化合物(3.48g,67%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD)(幾何異性体、シスおよびトランスの混合物):δ=1.44 (s, 10H), 1.50 (s, 8H), 2.79-2.94 (m, 2H), 3.20-3.37 (m, 2H), 3.66 (d, 3H), 3.72 (d, 3H), 4.20-4.38 (m, 4H), 4.42-4.48 (m, 1H), 4.52-4.60 (m, 1H), 6.42-6.51 (m, 2H), 6.89-7.10 (m, 6H), 7.30-7.40 (m, 2H).
LRMS(APCI):m/z [(M+H)−Boc]+236
微量分析:実測値:C, 64.46; H, 6.77; N, 4.07%. C1822FNO4.理論値:C, 64.46; H, 6.61; N, 4.18%.
2. K. Rafizadeh and K.Yates, J. Org. Chem. 1984, 49, 9, 1500-1506.
3. Org. Lett, 2001, 3041-3043.
【0186】
製造21〜24
以下の表に記載された一般式:
【化63】

の化合物は、製造20の方法と類似の方法によって適当なホスホニウムブロミド塩および(2S)4−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tertブチルエステル2−メチルエステル3を使用して製造した。
【0187】
【表6】

【0188】
製造25
4−(3−フルオロ−ベンジリデン)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert ブチルエステル
【化64】

テトラヒドロフラン(150ml)中の4−(3−フルオロ−ベンジリデン)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tertブチルエステル2−メチルエステル(3.23g,9.6
3mmol)の撹拌溶液に、水(50ml)中の1Mの水酸化リチウム一水和物(1.21g,2
8.9mmol)を添加した。混合物を室温で3日撹拌した。テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させて除去し、残留物を水(30ml)で希釈し、1M塩酸を用いてpH2.0〜3.0に酸性化した。水性液をジエチルエーテル(3×100ml)で抽出し、合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、白色フォームとして標題化合物(2.37g,77%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD)(シスおよびトランス幾何異性体の混合物):δ=1.44 (s, 5H), 1.50 (s, 4H), 2.80-2.96 (m, 1H), 3.20-3.38 (m, 1H), 4.24-4.34 (m, 2H), 4.45-4.45 (m, 0.5H), 4.46-4.58 (m, 0.5H), 6.43-6.54 (m, 1H), 6.90-7.05 (m, 3H), 7.30-7.40 (m, 1H).
LRMS(APCI):m/z [M−H]+320
微量分析:実測値:C, 63.10: H, 6.53; N, 4.05%. C1720NO4F 理論値:C, 63.54; H, 6.27; N, 4.36%.
【0189】
製造26〜29
以下の表に記載された一般式:
【化65】

の化合物は、製造25の方法と類似の方法によって適当な出発エステルを使用して製造した。
【0190】
【表7】

【0191】
製造30
4−(3−フルオロ−ベンジリデン)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル
【化66】

4−(3−フルオロ−ベンジリデン)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(2.68g,8.35mmol)の溶液に、1R,2S,5R(−)メントール(1.31g,8.35mmol)、続いてジメチルアミノピリジン(1.02g,8.35mmol)を添加した。混合物を0℃に冷やし、ジクロロメタン(10ml)中のジシクロヘキシルカルボジイミド(1.89g,9.19mmol)を一度に添加した。混合物を室温に加温させて18時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を、1N塩酸(30ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(30ml)および水(30ml)で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて除去した。フラッシュマスターカラムクロマトグラフィによりヘプタン:酢酸エチル(12:1)で溶出して精製、無色の油として標題化合物(1.20g,31%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ=0.55 (t, 2H), 0.69 (t, 2H), 0.80-0.93 (m, 8H), 0.95-1.05 (m, 1H), 1.20-1.35 (m, 2H), 1.44 (d, 9H), 1.60-2.00 (m, 3H), 2.73-2.90 (m, 1H), 4.03-4.68 (m, 4H), 6.43-6.52 (m, 1H), 6.93-7.11 (m, 3H), 7.33-7.40 (m, 1H).
LRMS(APCI):m/z[MH]+460
【0192】
製造31〜34
以下の表に記載された一般式:
【化67】

の化合物は、製造30の方法と類似の方法によって適当な出発酸を使用して製造した。
【0193】
【表8】

【0194】
製造35
4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル
【化68】

4−(3 −フルオロ−ベンジリデン)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル(1.20g,2.61mmol)を酢酸エチル:トルエン(1:1,12ml)中に溶解した。溶液を酸化白金(120mg,10重量%)上で25℃および15psiで1時間水素化にかけた。反応
混合物を、アルボセルを通して濾過し、濾液を圧力下で減らした。残留物をフラッシュマスタークロマトグラフィによってヘプタン:酢酸エチル(15:1)で溶出して精製し、無色の油(1.11g,91%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ=0.72-1.37 (m, 13H), 1.44 (d, 9H), 1.43-1.75 (m, 4H), 1.87-2.01 (m, 2H), 2.31-2.58 (m, 2H), 2.83 (d, 2H), 3.07 (t, 1H), 3.50-3.65 (m, 1H), 4.13-4.30 (dt, 1H), 4.71 (td, 1H), 6.90 (d, 2H), 7.00 (d, 1H), 7.30 (q, 1H).
LRMS(APCI):m/z [MH−BOC]+362
【0195】
製造36〜39
以下の表に記載された一般式:
【化69】

の化合物は、製造35の方法と類似の方法によって適当な出発アルケン酸メントールエステルを使用して製造した。
【0196】
【表9】

【0197】
製造40
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸
1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
【化70】

4−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(364.5mg,1.5mmol)および3−クロロアニリン(191mg,1.5mmol
)をDCM(10ml)中に溶解した。この溶液にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(413mg,1.95mmol)および酢酸(0.085ml,1.5mmol)を添加し、反応物を室温で一夜撹拌した。反応混合物を、2NのNaOH(5ml)、飽和ブライン(5ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィによってDCMで溶出して精製し、無色の油(215mg,40%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ=1.42 (d, 9H); 2.04-2.17 (m, 1H); 2.39-2.55 (m, 1H), 3.48-3.61 (m, 1H); 3.63-3.79(m, 4H); 4.02-4.15 (m, 1H); 4.25-4.41 (m, 1H); 6.42-6.51 (m, 1H); 6.55-6.61 (m, 1H); 6.65-6.75 (m, 1H); 7.01-7.11 (m, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー):[MNa+] 377
【0198】
製造41
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸
1−tert−ブチルエステル
【化71】

THF(2ml)中の(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−
1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(200mg,0.58mmol)の溶液にLiOH.H2O(73mg,1.74mmol)の溶液を添加し、反応物を室温で一夜撹拌した。溶媒を真空下で濃縮し、残留水性溶液をDCM(2ml)で洗浄した。次いで、水性液を飽和水性クエン酸でpH5に調整し、DCM(2×10ml)で再抽出した。これらの合わせた抽出物をMgSO4で乾燥させ、そして蒸発させて白色フォーム(168mg,88%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.18-1.69 (m, 9H); 2.11-2.45 (m, 1H); 2.53-2.61 (m, 1H); 3.44-3.62 (m, 2H); 4.04-4.11 (m, 1H); 4.48-4.53 (m, 1H); 6.38-6.61 (m, 2H); 6.65-6.74 (m, 1H); 7.04-7.15 (m, 1H).
LRMS(エレクトロスプレー):[M−1] 339
【0199】
製造42
4−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル
【化72】

窒素雰囲気下、0℃の無水テトラヒドロフラン(40ml)中の2−メチル−2−ブテン(テトラヒドロフラン中2M,30ml,60mmol)の溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(テトラヒドロフラン中1M,30ml,30mmol)を10分かけて滴加し、2時間
を撹拌した。反応混合物を−20℃に冷やし、テトラヒドロフラン(20ml)中の4−メチレン−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(2.84g,10mmol)(CAS reg 163 190-46-3)の溶液を滴加し、室温で18時間にわたって撹拌した。水(40ml)、続いて水酸化ナトリウム(20ml,0.5M)、次いで過酸化水素(水中27.5%w/w,10ml)を注意深く添加し、室温で2時間撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、水性液を酢酸エチル(2×60ml)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(MgSO4)させて、濾過し、そして減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィによって40%の酢酸エチル/ヘプタンで溶出して精製し、ジアステレオ異性体の混合物(〜5:1の2S,4S:2S,4R)で無色の油(1.25g,41%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ=1.39-1.49 (m, 18H); 1.63-1.75 (m, 0.8H); 1.96-2.07 (m, 0AH); 2.32-2.47 (m, 1.8H); 3.11-3.20 (m, 1H); 3.46-3.53 (m, 2H); 3.53-3.60 (m, 0.2H); 3.60-3.68 (m, 0.8H); 4.09-4.2 (m, 1H)
LRMS(エレクトロスプレー):[M+23]324;[M−1] 300
【0200】
製造43
4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tertブチルエステル
【化73】

窒素雰囲気下0℃のテトラヒドロフラン(30ml)中の4−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(製造42,500mg,1.66mmol)、トリフェニルホスフィン(653mg,2.49mmol)および3−フルオロフェノール(0.23ml,2.49mmol)溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.49ml,2.49mmol)を5分かけて滴加し、室温で72時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィによって10〜15%酢酸エチル/ヘプタンで溶出して精製し、ジアステレオ異性体の混合物(〜5:1の2S,4S:2S,4R)で無色の油(370mg,51%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CD3OD):δ=1.39-1.49 (m, 18H); 1.81-1.95 (m, 0.8H); 2.09-2.20 (m, 0.4H); 2.44-2.59 (m, 0.8H); 2.65-2.80 (m, 1H); 3.22-3.33 (m, 1H); 3.65-3.75 (m, 1H); 3.91-4.00 (m, 1.8H); 4.00-4.07 (m, 0.2H); 4.14-4.26 (m, 1H); 6.60-6.74 (m, 3H); 7.20-728 (m, 1H)
LRMS(エレクトロスプレー):[M+23] 418
【0201】
製造44
(2S,4S)−ピロリジン−1,2,4−トリカルボン酸 1,2−ジ−tert−ブチルエステ

【化74】

窒素雰囲気下0℃の酢酸エチル(5.5ml)、アセトニトリル(5.5ml)および水(8.5ml)中で撹拌している4−フェニル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(CAS Reg. No. 344 286-69-7)5 (0.78g,2.24mmol)および過ヨウ素酸ナトリウム(5.77g,27mmol)の混合物に、三塩化ルテニウム(10mg,0.05mmol)を添加し、室温で18時間にわたって撹拌した。ジエチルエーテル(20ml)を添加し、さらに1時間撹拌した。1M塩酸(5ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥(MgSO4)させ、濾過し、そして減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィによって50:50:1の酢酸エチル:ヘプタン:氷酢酸で溶出して精製し、無色のガム(501mg,78%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.40-1.49 (m, 18H); 2.26-2.40 (m, 1H); 2.42-2.56 (m, 1H); 3.02-3.12 (m, 1H); 3.65-3.80 (m, 1.4H) & 3.80-3.88 (m, 0.6H) [回転異性体]; 4.09-4.20 (m, 0.7H) & 4.20-4.26 (m, 0.3H) [回転異性体]
LRMS(エレクトロスプレー):[M−1] 314
5. J. Org. Chem., 2001, 3593-3596
【0202】
製造45
(2S,4S)−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブ
チルエステル
【化75】

窒素雰囲気下、0℃の無水テトラヒドロフラン(10ml)中のピロリジン−1,2,4−トリカルボン酸 1,2−ジ−tert−ブチルエステル(製造44,501mg,1.59mmol)の溶液にボラン−テトラヒドロフラン錯体(テトラヒドロフラン中1M,3.16ml,3.18mmol)を滴加し、18時間にわたって撹拌して室温に戻した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル(10ml)中に溶解し、1M塩酸(10ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(10ml)で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)させ、濾過し、そして減圧下で蒸発させて無色のガム(単一ジアステレオ異性体,132mg,27%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.40-1.47 (m, 18H); 1.59-1.80 (m, 1H);
1.80-2.00 (m, 1H); 2.31-2.46 (m, 2H); 3.14-3.21 (m, 1H); 3.54-3.65 (m, 2H); 3.65-3.74 (m, 1H); 4.10-4.20 (m, 1H).
【0203】
製造46
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸
ジ−tert−ブチルエステル
【化76】

窒素雰囲気下0℃のテトラヒドロフラン(5ml)中の4−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(製造45,132mg,0.44mmol)、トリフェニルホスフィン(172mg,0.66mmol)および3−クロロフェノール(0.069ml,0.66mmol)の溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.129ml,0.66mmol)を滴加し、18時間にわたって撹拌して室温にした。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィによって10%の酢酸エチル/ヘプタンで溶出して精製し、無色のガム(66mg,37%)として標題化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.40-1.56 (m, 18H); 1.80-1.91 (m, 1H);
2.40-2.54 (m, 1H); 2.61-2.70 (m, 1H), 3.24-3.33 (m, 1H); 3.67-3.74 (m, 0.3H) & 3.74-3.81 (m, 0.7H) [回転異性体]; 3.84-3.96 (m, 2H); 4.12-4.20 (m, 0.7H) & 4.20-4.26 (m, 0.3H) [回転異性体]; 6.67-6.75 (m, 1H); 6.82-6.86 (m, 1H); 6.86-6.93 (m,
1H); 7.10-7.19 (m, 1H)
LRMS(エレクトロスプレー):[M+23] 434
【0204】
医薬組成物の実施例
以下の実施例では、用語「活性化合物」または「活性成分」は、本発明による式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物、多形体またはプロドラッグのことである。
【0205】
(i) 錠剤組成物
以下の組成物AおよびBは、成分(a)〜(c)および(a)〜(d)をポビドン溶液と共に湿式造粒し、続いてステアリン酸マグネシウムを添加して圧縮することによって製造することができる。
【0206】
組成物A
mg/錠剤 mg/錠剤
(a) 活性成分 250 250
(b) ラクトースB.P. 210 26
(c) ナトリウムスターチグリコレート 20 12
(d) ポビドンB.P. 15 9
(e) ステアリン酸マグネシウム
500 300
【0207】
組成物B
mg/錠剤 mg/錠剤
(a) 活性成分 250 250
(b) ラクトース150 150 −
(c) Avicel PH 101 60 26
(d) ナトリウムスターチグリコレート 20 12
(e) ポビドンB.P. 15 9
(f) ステアリン酸マグネシウム
500 300
【0208】
組成物C
mg/錠剤
活性成分 100
ラクトース 200
スターチ 50
ポビドン 5
ステアリン酸マグネシウム
359
【0209】
以下の組成物DおよびEは、混合した成分を直接圧縮することによって製造することができる。製剤Eに使用するラクトースは、直接圧縮タイプのものである。
【0210】
組成物D
mg/錠剤
活性成分 250
ステアリン酸マグネシウム 4
プレゼラチン化スターチNF15 146
400
【0211】
組成物E
mg/錠剤
活性成分 250
ステアリン酸マグネシウム 5
ラクトース 145
アビセル 100
500
【0212】
組成物F(放出制御組成物)
mg/錠剤
(a) 活性成分 500
(b) ヒドロキシプロピルメチルセルロース 112
(メトセルK4Mプレミアム)
(c) ラクトースB.P. 53
(d) ポビドンB.P.C. 28
(e) ステアリン酸マグネシウム
700
【0213】
組成物は、成分(a)〜(c)をポビドンの溶液と共に湿式造粒し、続いてステアリン酸マグネシウムを添加して圧縮することによって製造することができる。
【0214】
組成物G(腸溶性コーティング錠剤)
組成物Cの腸溶性コーティング錠剤は、錠剤を25mg/錠剤の腸溶性ポリマー、例えばセルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート、またはメタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルのアニオンポリマー(Eudragit L)でコートすることによって製造することができる。また、これらのポリマーは、Eudragit Lを除いて、適用中または保存する際に膜の割れを予防するため10%(使用するポリマーの量の重量による)の可塑剤を含まなければならない。適切な可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンが含
まれる。
【0215】
組成物H(腸溶性コーティング放出制御錠剤)
組成物Fの腸溶性コーティング錠剤は、錠剤を50mg/錠剤の腸溶性ポリマー、例えばセルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート、またはメタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルのアニオンポリマー(Eudgragit L)でコートすることによって製造することができる
。また、これらのポリマーは、Eudragit Lを除いて、適用中または保存する際に膜の割れを予防するため10%(使用するポリマーの量の重量による)の可塑剤を含まなければならない。適切な可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンが含まれる。
【0216】
(ii) カプセル組成物
組成物A
カプセル剤は、上記組成物Dの成分を混合し、生成した混合物を2パート硬質ゼラチンカプセルに充填することによって製造することができる。組成物B(下記)は、同様の方法で製造することができる。
【0217】
組成物B
mg/カプセル
(a) 活性成分 250
(b) ラクトースB.P. 143
(c) ナトリウムスターチグリコレート 25
(d) ステアリン酸マグネシウム
420
【0218】
組成物C
mg/カプセル
(a) 活性成分 250
(b) マクロゴール4000BP 350
600
カプセル剤は、マクロゴール4000BPを溶融し、溶融物中に活性成分を分散させ、それを用いて2パート硬質ゼラチンカプセルに充填することによって製造することができる。
【0219】
組成物D
mg/カプセル
活性成分 250
レシチン 100
ラッカセイ油 100
450
カプセル剤は、レシチンおよびラッカセイ油中に活性成分を分散させ、分散液を軟質の弾力性があるゼラチンカプセルに充填することによって製造することができる。
【0220】
組成物E(放出制御カプセル)
mg/カプセル
(a) 活性成分 250
(b) 微晶質セルロース 125
(c) ラクトースBP 125
(d) エチルセルロース 13
513
放出制御カプセル製剤は、混合された成分(a)〜(c)を、押出機を使用して押出し、次いで押出されたものを球状にして乾燥させることによって製造することができる。乾燥したペレットを、放出制御膜(d)でコートし、2パート硬質ゼラチンカプセル中に充填した。
【0221】
組成物F(腸溶性カプセル剤)
mg/カプセル
(a) 活性成分 250
(b) 微晶質セルロース 125
(c) ラクトースBP 125
(d) 酢酸フタル酸セルロース 50
(e) ジエチルフタレート
555
腸溶性カプセル組成物は、混合された成分(a)〜(c)を、押出機を使用して押出し、次いで押出されたものを球状にして乾燥させることによって製造することができる。乾燥したペレットを、可塑剤(e)を含有する腸溶性膜(d)でコートし、2パート硬質ゼラチンカプセル中に充填した。
【0222】
組成物G(腸溶性コーティング放出制御カプセル剤)
組成物Eの腸溶性カプセル剤は、放出制御ペレットを50mg/カプセルの腸溶性ポリマー、例えばセルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはメタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルのアニオンポリマー(Eudragit L)でコートすることによって製造することができる。また、これらのポリマーは、Eudragit Lを除いて、適用中または保存する際に膜の割れを予防するため10%(使用するポリマーの量の重量による)の可塑剤を含まなければならない。適切な可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンが含まれる。
【0223】
(iii) 静脈内注射組成物
活性成分 0.200g
パイロジェンのない滅菌リン酸緩衝液(pH9.0) 10mlにする
活性成分を、35〜40℃で最大限リン酸緩衝液中に溶解し、次いで所定の体積にして滅菌ミクロポアフィルタを通して10mlの滅菌ガラスバイアル(タイプ1)中に濾過し、これを滅菌栓で密閉し、オーバーシールした。
【0224】
(iv) 筋肉内投与組成物
活性成分 0.20g
ベンジルアルコール 0.10g
グリコフロール75 1.45g
注射用の水 十分なだけ
3.00ml
活性成分をグリコフロール中に溶解した。ベンジルアルコールは次いで添加されそして溶解され、そして水は3mlまで添加した。次いで、混合物を、滅菌ミクロポアフィルタを通して濾過し、3mlの滅菌ガラスバイアル(タイプ1)中で密閉した。
【0225】
(v) シロップ剤組成物
活性成分 0.25g
ソルビトール溶液 1.50g
グリセロール 1.00g
安息香酸ナトリウム 0.005g
香味剤 0.0125ml
精製水 十分なだけ
5.0ml
安息香酸ナトリウムを純水の一部に溶解し、ソルビトール溶液を添加した。活性成分を添加して溶解した。生成した溶液をグリセロールと混合してから、純水を用いて必要な体積にした。
【0226】
(vi) 坐剤組成物
mg/坐剤
活性成分 250
ハードファット.BP (Witepsol H15-Dynamit NoBel) 1770
2020
Witepsol H15の1/5をスチームジャケット付きパン中で最大45℃で溶融させた。活性成分を200lmのふるいを通してふるいにかけ、溶融したベースに添加し、なめらかな分散液が得られるまで、カッティグヘッドを備えたSilversonを使用して混合した。45℃で混合物を維持し、残ったWitepsol H15を懸濁液に添加し、これを撹拌して均質な混合を保証した。次いで、全懸濁液を250lmのステンレス鋼スクリーンに通して連続的に撹拌して40℃に冷ました。38〜40℃の温度で混合物の2.02gアリコートを適切なプラスチックの型に充填し、室温に冷まして坐剤にした。
【0227】
(vii) ペッサリ組成物
mg/ペッサリ
活性成分(63lm) 250
無水デキストロース 380
ジャガイモスターチ 363
ステアリン酸マグネシウム
1000
上記の成分を直接混合し、生成した混合物を圧縮することによってペッサリを製造した。
【0228】
(viii) 経皮的組成物
活性成分 200mg
アルコールUSP 0.1ml
ヒドロキシエチルセルロース
活性成分およびアルコールUSPをヒドロキシエチルセルロースでゲル化し、10cm2の表面積を有する経皮的デバイス中にパックした。
【0229】
本発明の化合物は、以下の表に示すように上記アッセイにおいて生物活性を示す:
実施例番号 IC50(nM)
2 119
4 72
7 210
8 5
10 11
11 15
12 7
14 9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、XはO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはYはO、SまたはNHであり、そしてXはCH2であり;そして
Rは、3〜12員シクロアルキル、4〜12員ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、その際、すべての環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれる1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換されうる)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの医学療法における使用。
【請求項2】
てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、過敏性腸症候群、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチ、神経病理学的障害、内臓痛、機能性消化管障害、炎症性腸疾患、月経困難に伴う疼痛、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎から選ばれる障害を治療する医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの使用。
【請求項3】
Rが場合により置換されたシクロヘキシル、ジヒドロベンゾフラニル、イソキノリルまたはフェニル基である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
Rが場合により置換されたフェニル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
Rがハロゲン、ヒドロキシおよび(C1−C6)アルコキシから選ばれる1または2個の基で場合により置換された請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Rがメトキシ、フルオロ、クロロおよびブロモから選ばれる1または2個の基によって置換された請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
XがO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、また
はXがCH2であり、そしてYはOである請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
−Y−X−がオキシ、チオ、アミノメチレン、メチレンチオ、メチレンオキシまたはオキシメチレン結合である請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
−Y−X−がオキシ、メチレンまたはオキシメチレン結合である請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの有効投与を含む、ヒトを含めた哺乳動物における、てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、過敏性腸症候群、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチ、神経病理学的障害、内臓痛、機能性消化管障害、炎症性腸疾患、月経困難に伴う疼痛、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎から選ばれる障害の治療方法。
【請求項11】
式(Ia)、(Ib)または(Ic):
【化2】

(式中、RaおよびRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシシアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれるが、但し、
式(Ia)および(Ib)の化合物について、RaおよびRbの両方が水素であることはできず、そしてRbがパラ置換基である場合、Raは水素であることはできず、
式(Ia)の化合物について、Raがメチルチオである場合、Rbは水素であることはできず、そして
式(Ib)の化合物について、Raがメトキシである場合、Rbは水素であることはできない)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項12】
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸

(2S,4S)−4−(3,6−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;および
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
から選ばれる化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の式(I)の化合物および1つまたはそれ以上の医薬上許容しうる賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
式(I)の化合物、またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ、および 少なくとも1つの他の治療活性剤を含む組み合わせ。
【請求項15】
他の治療上活性剤がPDEV阻害剤である請求項14に記載の組み合わせ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、XはO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはYはO、SまたはNHであり、そしてXはCH2であり;そして
Rは、3〜12員シクロアルキル、4〜12員ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、その際、すべての環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれる1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換されうる)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの医学療法における使用。
【請求項2】
てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、過敏性腸症候群、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチ、神経病理学的障害、内臓痛、機能性消化管障害、炎症性腸疾患、月経困難に伴う疼痛、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎から選ばれる障害を治療する医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの使用。
【請求項3】
Rが場合により置換されたシクロヘキシル、ジヒドロベンゾフラニル、イソキノリルまたはフェニル基である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
Rが場合により置換されたフェニル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
Rがハロゲン、ヒドロキシおよび(C1−C6)アルコキシから選ばれる1または2個の基で場合により置換された請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Rがメトキシ、フルオロ、クロロおよびブロモから選ばれる1または2個の基によって置換された請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
XがO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはXがCH2であり、そしてYはOである請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
−Y−X−がオキシ、チオ、アミノメチレン、メチレンチオ、メチレンオキシまたはオキシメチレン結合である請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
−Y−X−がオキシ、メチレンまたはオキシメチレン結合である請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの有効投与を含む、ヒトを含めた哺乳動物における、てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、過敏性腸症候群、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチ、神経病理学的障害、内臓痛、機能性消化管障害、炎症性腸疾患、月経困難に伴う疼痛、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎から選ばれる障害の治療方法。
【請求項11】
式(Ia)、(Ib)または(Ic):
【化2】

(式中、RaおよびRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシシアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれるが、但し、
式(Ia)および(Ib)の化合物について、RaおよびRbの両方が水素であることはできず、そしてRbがパラ置換基である場合、Raは水素であることはできず、
式(Ia)の化合物について、Raがメチルチオである場合、Rbは水素であることはできず、
式(Ib)の化合物について、Raがメトキシである場合、Rbは水素であることはできず、そして
式(Ia)の化合物は、メチル(2S,4S)−4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−2−ピロリジンカルボキシレートではない)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項12】
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸

(2S,4S)−4−(3,6−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;および
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
から選ばれる化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の式(I)の化合物および1つまたはそれ以上の医薬上許容しうる賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
式(I)の化合物、またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ、および 少なくとも1つの他の治療活性剤を含む組み合わせ。
【請求項15】
他の治療上活性剤がPDEV阻害剤である請求項14に記載の組み合わせ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、XはO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはYはO、SまたはNHであり、そしてXはCH2であり;そして
Rは、3〜12員シクロアルキル、4〜12員ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、その際、すべての環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシC1
−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1−C6
ルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル、C1
6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル
、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれる1つまたはそれ以上の置換基で場合により置換されうる)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの医学療法における使用。
【請求項2】
てんかん、失神発作、運動低下、頭部障害、神経変性障害、うつ病、不安、パニック、疼痛、過敏性腸症候群、睡眠障害、骨関節炎、関節リウマチ、神経病理学的障害、内臓痛、機能性消化管障害、炎症性腸疾患、月経困難に伴う疼痛、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎から選ばれる障害を治療する医薬の製造における請求項1に記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグの使用。
【請求項3】
Rが場合により置換されたシクロヘキシル、ジヒドロベンゾフラニル、イソキノリルまたはフェニル基である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
Rが場合により置換されたフェニル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
Rがハロゲン、ヒドロキシおよび(C1−C6)アルコキシから選ばれる1または2個の基で場合により置換された請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Rがメトキシ、フルオロ、クロロおよびブロモから選ばれる1または2個の基によって置換された請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
XがO、S、NHまたはCH2であり、そしてYはCH2または直接結合であるか、またはXがCH2であり、そしてYはOである請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
−Y−X−がオキシ、チオ、アミノメチレン、メチレンチオ、メチレンオキシまたはオキシメチレン結合である請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
−Y−X−がオキシ、メチレンまたはオキシメチレン結合である請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
式(Ia)、(Ib)または(Ic):
【化2】

(式中、RaおよびRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシシアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C1
−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシC1−C6アルキル、C1−C6アルコ
キシC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルキル、ペルフルオロC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルアミノ、ジ−C1−C6アルキルアミノ、アミノC1−C6アルキル、C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、ジ−C1−C6アルキルアミノC1−C6アルキル、C1−C6アシル、C1−C6アシルオキシ、C1−C6アシルオキシC1−C6アルキル、C1−C6アシルアミノ、C1−C6アルキルチオ、C1−C6アルキルチオカルボニル、C1
−C6アルキルチオキソ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルスルホニル
、C1−C6アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、C1−C6アルキルアミノスルホニル、ジ−C1−C6アルキルアミノスルホニル、3〜8員シクロアルキル、4〜8員ヘ
テロシクロアルキル、フェニルおよび単環式ヘテロアリールから独立して選ばれるが、但し、
式(Ia)および(Ib)の化合物について、RaおよびRbの両方が水素であることはできず、そしてRbがパラ置換基である場合、Raは水素であることはできず、
式(Ia)の化合物について、Raがメチルチオである場合、Rbは水素であることはできず、
式(Ib)の化合物について、Raがメトキシである場合、Rbは水素であることはできず、そして
式(Ia)の化合物は、メチル(2S,4S)−4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−2−ピロリジンカルボキシレートではない)
の化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項11】
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸

(2S,4S)−4−(3,6−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;および
(2S,4S)−4−(3−メトキシ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
から選ばれる化合物またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物および1つまたはそれ以上の医薬上許容しうる賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその医薬上許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ、および 少なくとも1つの他の治療活性剤を含む組み合わせ。
【請求項14】
他の治療上活性剤がPDEV阻害剤である請求項13に記載の組み合わせ。

【公表番号】特表2006−516115(P2006−516115A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547896(P2004−547896)
【出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004697
【国際公開番号】WO2004/039367
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(503053011)ファイザー インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】