説明

カロテノイド含有エマルジョン組成物、その製造方法、該組成物を含む食品、外用剤およびその製造方法

【課題】酸化臭、生臭さのような臭気を抑え、保存安定性にも優れたカロテノイド含有エマルジョン組成物、簡便な工程から構成されたその製造方法、該組成物を含む食品、外用剤およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を含有してなることを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物。少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を混合してエマルジョンを調製する工程を有することを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。カロテノイド含有エマルジョン組成物を含有する食品および外用剤、これらの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カロテノイド含有エマルジョン組成物、その製造方法、それを含む食品(食品の形態としてはドリンク剤、ヨーグルト状の半流動液状の飲料物、液状物、粒状物、粉末状物のカプセル内包物、粉末・顆粒状物、および固化物が挙げられる)、外用剤(外用医薬品、化粧品を含む)およびその製造方法に関し、更に詳細には、酸化臭、生臭さのような臭気を抑え、保存安定性にも優れたカロテノイド含有エマルジョン組成物、その製造方法、該組成物を含む食品、外用剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カロテノイド類は、天然に存在する黄色から赤のテルペノイド類の色素で、植物類、藻類、及びバクテリアに見つけることができる。カロテノイド類としては、炭化水素類(カロテン類)及びそれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられる。それらとして、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8´−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12´−アポ´−カロテナール、α−カロチン、β−カロテン、”カロテン”(α−及びβ−カロチン類の混合物)、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類が挙げられる。カロテノイド類の多くは、シス及びトランス異性体の形で天然に存在するが、合成物はしばしばラセミ混合物である。カロテン類は一般に植物素材から抽出する。
例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮フ及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける。カロテン類の多くはまた合成によっても製造する。市販のβ−カロテンの多くは合成により製造している。
【0003】
また、アスタキサンチン類(アスタキサンチンおよびそのエステル等も含む)は、自然界では動植物界に広く分布しており、主として養殖魚や養鶏の色揚げ剤として使用されている。また、アスタキサンチンは酸化防止効果、抗炎症効果(特許文献1)、皮膚老化防止効果(特許文献2)、美白効果(非特許文献1)を有することが知られている。こられの効果を有することから、アスタキサンチンは、従来より、食品、化粧品、医薬品の原材料及びそれらの加工品等への添加が検討・実施されている。
また、アスタキサンチンは、先にも述べた通り、自然界では動植物界に広く分布しており、それらから抽出した天然抽出物として得られるが、その化学構造も既に知られていることから、有機化学合成によっても得られている。
しかしながら、食品、化粧品、医薬品、特に、食品や経口医薬品等での使用には、日本国内においては、天然抽出物に制限する法的規制がある。
アスタキサンチン類を含有する天然物としては、ヘマトコッカス藻、オキアミ等が挙げられる。
【0004】
また、上記のようなカロテノイドを食品、化粧品、医薬品及びその他の加工品等に添加使用する為には、分散性の高いエマルジョン組成物として添加する。
しかしながら天然物由来のカロテノイドは、抽出・精製等での不純物の微量ながらの存在および加工工程での酸化等により生臭さ、酸化臭を伴う場合があった。
【0005】
カロテノイドに限らず、従来より、食品、化粧品、医薬品の原材料及びそれらの加工品等における色素の安定性は産業上重要な問題である。食品、化粧品、医薬品等における色素は、一般に紫外線、酸素、酵素、熱、水分、光等の原因により分解される。色素の安定化方法として、様々な手段が現在までに試みられている。
特に、特許文献2,3,4には臭気を改善させる方法が記載されているがいずれも煩雑な工程を必要としている。特許文献5にはカロテノイドを含む皮膚外用剤において、製剤中で変質を防止するために、キレート剤を用いる記載があるが、臭気の改善には至っていない。
【特許文献1】特開平2−49091号公報
【特許文献2】特開平5−155736号公報
【特許文献3】特開平7−99927号公報
【特許文献4】特開平11−100353号公報
【特許文献5】特開2002−128651号公報
【非特許文献1】日本香粧品科学会第19回学術大会講演要旨集 P.66,1994年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、上記従来の技術の欠点を克服し、酸化臭、生臭さのような臭気を抑え、保存安定性にも優れたカロテノイド含有エマルジョン組成物、簡便な工程から構成されたその製造方法、該組成物を含む食品、外用剤およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記構成を採ることにより、上記従来技術の欠点を克服できることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
1)少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を含有してなることを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物。
2)前記カロテノイドがマイクロエマルジョン化されてなることを特徴とする上記1)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
3)前記脱酸素水の溶存酸素量が4ppm以下であることを特徴とする上記1)または2)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
4)さらに乳化剤を含有することを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
5)さらに酸化防止剤を含有することを特徴とする上記1)〜4)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
6)前記カロテノイドが、アスタキサンチンおよび/またはその誘導体であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
7)前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩またはそれらの誘導体を含むことを特徴とする上記5)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
8)前記酸化防止剤が油相に含まれるとともに、前記酸化防止剤が、ラジカル補足剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ノルジヒドログアヤレチック酸およびトコフェロール類から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする上記5)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
9)前記乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびレシチンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記4)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
10)前記脱酸素水が、脱気装置により機械的に脱気処理をなされた水であることを特徴とする上記1)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
11)上記1)〜10)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を含有する食品。
12)上記1)〜10)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を含有する外用剤。
13)少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を混合してエマルジョンを調製する工程を有することを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
14)少なくともカロテノイド、水および金属キレート剤を混合してエマルジョンを調製し、前記エマルジョン中の水を脱酸素し、脱酸素水とすることを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
15)前記カロテノイドがマイクロエマルジョン化されることを特徴とする上記13)または14)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
16)前記脱酸素水の溶存酸素量が4ppm以下であることを特徴とする上記13)〜15)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
17)少なくともカロテノイド、水、金属キレート剤および乳化剤を混合してエマルジョンを調製することを特徴とする上記13)〜16)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
18)少なくともカロテノイド、水、金属キレート剤および酸化防止剤を混合してエマルジョンを調製することを特徴とする上記13)〜17)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
19)前記カロテノイド色素が、アスタキサンチンおよび/またはその誘導体であることを特徴とする上記13)〜18)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
20)前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩またはそれらの誘導体を含むことを特徴とする上記18)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
21)前記酸化防止剤が油相に含まれるとともに、前記酸化防止剤が、ラジカル補足剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ノルジヒドログアヤレチック酸およびトコフェロール類からなる少なくとも1種を含むことを特徴とする上記18)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
22)前記乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびレシチンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記17)に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
23)前記脱酸素水は、水を脱気装置により機械的に脱酸素する脱気処理により得られることを特徴とする上記13)〜16)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
24)上記1)〜10)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を添加する工程を有する食品の製造方法。
25)上記1)〜10)のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を添加する工程を有する外用剤の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記従来の技術の欠点を克服し、酸化臭、生臭さのような臭気を抑え、保存安定性にも優れたカロテノイド含有エマルジョン組成物、簡便な工程から構成されたその製造方法、該組成物を含む食品、外用剤およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物について詳細に説明する。
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物は少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を含有してなることを特徴とする。
【0011】
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物が含有するカロテノイドとしては、本明細書の背景技術の欄にも記載したとおりのものであるが、好適なものとしては、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、β−8´−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12´−アポ´−カロテナール、α−カロチン、β−カロテン、”カロテン”(α−及びβ−カロテンの混合物)、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、ルテイン(キサントフィル)、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル−又はカルボキシル−を含有するもののエステル類が挙げられる。
その中でも特に、アスタキサンチンおよびその誘導体は、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果を有することから、従来より、食品、化粧品、医薬品の原材料及びそれらの加工品等への添加が要望・検討・実施されている。
【0012】
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロテノイドの一種キサントフィルに属している(Davies, B.H. : In “Chemistry and Biochemistry of Plant Pigments”, T. W. Goodwin ed., 2nd ed., 38-165, Academic Press, NY, 1976.)。アスタキサンチンの化学構造は、3,3’-dihydroxy-β,β-carotene-4,4’-dione (C40H5204、分子量596.82)であり、化学式は下記一般式(1)で示される。
一般式(1)
【0013】
【化1】

【0014】
アスタキサンチンおよび同エステル体はR. Kuhnらによってロブスター(Astacus gammarus L.)から初めて分離され、その推定構造が開示された(Kuhn, R., Soerensen, N.A. : The coloring matters of the lobster (Astacus gammarus L.), Z. Angew. Chem.,1938, 51, p.465-466.)。それ以来、アスタキサンチンが自然界に広く分布し、通常アスタキサンチン脂肪酸エステル体として存在すること、甲殻類などでたんぱく質と結合したアスタキサンチン蛋白(オボルビン、クラスタシアニン)としても存在することが明らかにされている(Cheesman, D.F. : Ovorubin, a chromoprotein from the eggs of the gastropod mollusc Pomacea canaliculata, Proc. Roy. Soc. B, 1958, 149, p.571-587.)。
【0015】
アスタキサンチンは、分子の両端に存在する環構造の3(3’)-位の水酸基の立体配置により異性体が存在する3S,3S’-体、3S,3R’-体(meso-体)、3R,3R’-体の三種で、さらに分子中央の 共役二重結合のcis-、trans-の異性体も存在する。例えば全cis-、9-cis体と13-cis体などの如くである。
【0016】
前記3(3’)-位の水酸基は脂肪酸とエステルを形成することができる。オキアミから得られるアスタキサンチンは、脂肪酸二個結合したジエステル(Yamaguchi,K., Miki,W., Toriu, N., Kondo,Y., Murakami,M., Konosu,S., Satake,M., Fujita,T. : The composition of carotenoid pigments in the antarctic krill Euphausia superba, Bull. Jap. Sos. Sci. Fish., 1983, 49, p.1411-1415.)、H. pluvialisから得られるものは3S,3S’-体で、脂肪酸一個結合したモノエステル体が多く含まれている(Renstrom, B., Liaaen-Jensen, S. : Fatty acids of some esterified carotenols, Comp. Biochem. Physiol. B, Comp. Biochem., 1981, 69, p.625-627.)。また、Phaffia Rhodozymaより得られるアスタキサンチンは、3R,3R’-体(Andrewes, A.G., Starr, M.P. : (3R,3'R)-Asttaxanthin from the yeast Phaffa rhodozyma, Phytochem., 1976, 15, p.1009-1011.)で通常天然に見出される3S,3S’-体と反対の構造を持っている。脂肪酸とエステル形成していない フリー体で存在している(Andrewes, A.G., Phaffia, H.J., Starr, M.P. : Carotenids of Phaffa rhodozyma, a red pigmented fermenting yeast, Phytochem., 1976, 15, p.1003-1007.)。
【0017】
本発明で使用される、アスタキサンチン及びそのエステルを含有する天然抽出物は、特に限定されないが、ヘマトコッカス藻抽出物、オキアミ抽出物等が挙げられ、その中でも、ヘマトコッカス藻抽出物が一般的である。
ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)は、オキアミ由来の色素や、合成されたアスタキサンチンとは異なることが知られている。
【0018】
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物の由来としては、具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
【0019】
本発明に使用できるヘマトコッカス藻の培養方法は、特開平8−103288号公報等に開示された様々な方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、栄養細胞から休眠細胞であるシスト細胞に形態変化していればよい。
【0020】
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、上記の原料を、必要に応じて、例えば特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。また、広く市販されているものを用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS-S、同-2.5 O、同-5 O、同-10 O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstin SCE7等が挙げられる。
【0021】
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物中の色素純分の含有量は、好ましくは0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜25質量%である。
なお、本発明に使用できるヘマトコッカス抽出物は、特開平2−49091号公報記載の色素同様色素純分としてはアスタキサンチンもしくはそのエステル体を含むが、エステル体を、一般的には50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上含むものである。さらに詳細な説明は「アスタキサンチンの化学」、平成17年、インターネット〈URL: http: //www. astaxanthin. co. jp/ chemical/ basic .htm〉に記載されている。
【0022】
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物におけるカロテノイドの含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.2〜2質量%である。
【0023】
次に、本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物に使用される、脱酸素水について説明する。本発明における脱酸素水は、溶存酸素濃度が4ppm以下のものが好ましい。溶存酸素濃度が4ppm以下の脱酸素水は、窒素ガス式、真空式、膜式、膜式+真空式等の種々の方法により得ることができる。また、市販の脱酸素装置(脱気装置)を用いる事で容易に得ることができる。例えば、千代田電気工業製(TKHシリーズ)、三浦工業製(PDOシリーズ)、横田製作所製(ASP型)などがあり1ppm以下の水が得られる。溶存酸素濃度の好ましい範囲は4ppm以下であるが、少ないほうがより好ましい。より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下である。溶存酸素濃度が4ppm以下の脱酸素水を用いることにより、カロテノイドの酸化を抑制し、これによりエマルジョン組成物の臭気を抑えることができる。
【0024】
本発明で使用できる金属キレート剤は、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等のホスホン酸類、ポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、ケファリン、サッカリン酸、マレイン酸、ポリアクリル酸、イソアミレン−マレイン酸共重合体、ケイ酸、グルコン酸、ヒドロキシベンジルイミノジ酢酸、イミ0 ノジ酢酸、サリチル酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸及びこれらの塩、及びその誘導体並びにそれらの塩、およびデスフェリオキサミン、o−フェナントロリン、トランスフェリン、フェリチン、ラクトフェリン、カフェイックアシッド、マルトール、プルプロガリン、ピロガロール、の他にリンゴ抽出物、茶抽出物、ヒマワリ抽出物、胡麻抽出物、柑橘類抽出物、葡萄抽出物、ハーブ抽出物、酒粕抽出物等の天然抽出物等使用することもできるが挙げられる。これらの一種又は二種以上を組み合わせて用いても良い。
食品用の好ましい金属キレート剤はエチレンジアミンテトラ酢酸Naナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸カルシウム、上記抽出物が挙げられる。
本発明におけるカロテノイド含有エマルジョン組成物における金属キレート剤の含有量は0.0001質量%〜5質量%の範囲にあり、より好ましくは0.001質量%〜3質量%の範囲である。
金属キレート剤を用いることにより、カロテノイドの分解を抑えることができ、これにより臭気を抑制することができる。
【0025】
また、本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物は、酸化防止剤を含むことが好ましい。
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物に使用される、酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、(a)アスコルビン酸類からなる化合物群、(b)トコフェノール類からなる化合物群、(c)ポリフェノール類からなる化合物群、(d)ラジカル補足剤等が挙げられる。
また、本発明カロテノイド含有エマルジョン組成物に使用される酸化防止剤は、親水性の酸化防止剤、及び/又は、油溶性の酸化防止剤を、単独又は併用して使用することが出来る。例えば、親水性の酸化防止剤としては化合物群(a)に属する化合物、油溶性の酸化防止剤としては化合物群(b)に属する化合物が挙げられる。
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物における酸化防止剤の含有量は、一般的には0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。
【0026】
以下、本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物に使用される酸化防止剤である化合物群(a)〜(d)の具体的な化合物例を挙げるが、本発明に使用できる酸化防止剤を制限するものではない。
【0027】
(a)アスコルビン酸類からなる化合物群
アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体またはその塩として、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸Na、L-アスコルビン酸K、L-アスコルビン酸Ca、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、L−アスコルビン酸2−グルコシド等が挙げられる。これらのうち、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸Na、L−アスコルビン酸2−グルコシド、L−アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩が特に好ましい。
【0028】
本発明に用いる(a)アスコルビン酸類に属する酸化防止剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、L−アスコルビン酸(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、L−アスコルビン酸Na(武田薬品工業、扶桑化学、BASFジャパン、第一製薬ほか)、アスコルビン酸2−グルコシド(商品名 AA-2G:林原生物化学研究所)、L−アスコルビン酸燐酸Mg(商品名 アスコルビン酸PM「SDK」(昭和電工)、商品名 NIKKOL VC-PMG(日光ケミカルズ)、商品名 シーメート(武田薬品工業))等が挙げられる。
【0029】
(b)トコフェロール類からなる化合物群
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物に使用されるトコフェロール類としては、特に限定されず、トコフェロールまたはその誘導体からなる化合物群から選ばれるものである。
トコフェロールまたはその誘導体からなる化合物群としては、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が挙げられる。これらは、混合物の状態で使用する場合が多く、抽出トコフェロール、ミックストコフェロールなどと呼ばれる状態で使用できる。
本発明のカロテノイド色素エマルジョン分散物、およびあるいはその組成物におけるトコフェロール類の含有量としては、特に限定されないが、カロテノイド量に対して0.1〜5の比率(質量比)であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3、更に好ましくは0.5〜2の比率である。
【0030】
(c)ポリフェノール類からなる化合物群
ポリフェノール類からなる化合物群として、フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類などを挙げることができる。また、これらの化合物は、以下のような天然物由来の抽出物中に多く含まれるため、抽出物という状態で利用することができる。
【0031】
例えば、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(ボタンピ)抽出物、モッカ(ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)、微生物醗酵代謝産物、羅漢果抽出物等が挙げられる(かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)。これらのポリフェノール類のうち、特に好ましいものとしては、カテキン、ローズマリー抽出物、グルコシルルチン、エラグ酸、没食子酸を挙げることができる。
【0032】
本発明に用いる化合物群(c)に属する酸化防止剤は、一般に市販されているものを適宜用いることができる。例えば、エラグ酸(和光純薬ほか)、ローズマリー抽出物(商品名 RM-21A,RM-21E:三菱化学フーズほか)、カテキン(商品名 サンカトールW-5、No.1:太陽化学、ほか)、没食子酸Na(商品名 サンカトール:太陽化学、ほか)、ルチン・グルコシルルチン・酵素分解ルチン(商品名 ルチンK-2、P-10:キリヤ化学、商品名 αGルチン:林原生物化学研究所ほか)、サンメリンシリーズ(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)等が挙げられる。
【0033】
(d)ラジカル補足剤からなる群
ラジカル捕捉剤は、ラジカルの発生を抑えるとともに、生成したラジカルをできる限り速やかに捕捉し、連鎖反応を断つ役割を担う添加剤である。(出典:「油化学便覧 第4版」、日本油化学会編 2001)
ラジカル捕捉剤としての機能を確認する直接的な方法としては、試薬と混合して、ラジカルを捕捉する様子を分光光度計やESR(電子スピン共鳴装置)によって測定する方法が知られている。これらの方法では、試薬として、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)や、ガルビノキシルラジカルが使用される。
本発明では、油脂の自動酸化反応を利用して、以下の実験条件下で、油脂の過酸化物価(POV値)を60meq/kgに引き上げるまでに要する時間が、ブランクに対し2倍以上となるように寄与する化合物をラジカル捕捉剤とする。より好ましくは、5倍以上である。
油脂:オリーブ油
添加量:油脂に対し0.1質量%
試験条件:試料を190℃にて加熱し、時間を追ってPOV値を測定し、60meq/kgとなる時間を算出した。
【0034】
本発明のラジカル捕捉剤として使用できる化合物は、「抗酸化剤の理論と実際」(梶本著、三書房 1984)や、「酸化防止剤ハンドブック」(猿渡、西野、田端著、大成社 1976)に記載の各種酸化防止剤のうち、ラジカル捕捉剤として機能するものであれば良く、具体的には、フェノール性OHを有する化合物、フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、また、アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体等を挙げることができる。
以下に好ましい化合物を例示するが本発明はこれらに限定されるものではない。
前記フェノール性OHを有する化合物として、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、没食子酸エステル類、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、トコフェロール類およびビスフェノール類等が挙げられる。没食子酸エステル類として、没食子酸プロピル、没食子酸ブチルおよび没食子酸オクチルが挙げられる。中でも好ましくは、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチック酸およびトコフェロール類から選択された少なくとも1種である。
アミン系化合物としてフェニレンジアミンが挙げられ、ジフェニル−p−フェニレンジアミンまたは4−アミノ−p−ジフェニルアミンがより好ましい。
アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体としては、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、エリソルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸エリソルビル、などが挙げられる。
【0035】
次に、本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物に使用される、乳化剤について説明する。
本発明で使用することの出来る水溶性乳化剤としては、水性媒体に溶解する乳化剤であれば、特に限定は無いが、例えばHLBが10以上、好ましくは12以上のノニオン界面活性剤が好ましい。HLBが低すぎると、乳化力が不十分となることがある。
【0036】
ここで、HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。川上式を次に示す。
【0037】
HLB=7+11.7log(M/M
ここで、Mは親水基の分子量、Mは疎水基の分子量である。
【0038】
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることが出来る。
【0039】
本発明で使用することの出来る乳化剤は、特に制限は無いが、ノニオン性乳化剤が好ましい。ノニオン性乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびショ糖脂肪酸エステル、レシチンなどが挙げられる。より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンである。また、上記の乳化剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
【0040】
本発明に用いられる、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびリノール酸とのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO-CV,NIKKOL DGMO-90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1-SV,NIKKOL Tetraglyn 1-O,NIKKOL Tetraglyn 3-S,NIKKOL Tetraglyn 5-S,NIKKOL Tetraglyn 5-O,NIKKOL Hexaglyn 1-L,NIKKOL Hexaglyn 1-M,NIKKOL Hexaglyn 1-SV,NIKKOL Hexaglyn 1-O,NIKKOL Hexaglyn 3-S,NIKKOL Hexaglyn 4-B,NIKKOL Hexaglyn 5-S,NIKKOL Hexaglyn 5-O,NIKKOL Hexaglyn PR-15,NIKKOL Decaglyn 1-L,NIKKOL Decaglyn 1-M,NIKKOL Decaglyn 1-SV,NIKKOL Decaglyn 1-50SV,NIKKOL Decaglyn 1-ISV,NIKKOL Decaglyn 1-O,NIKKOL Decaglyn 1-OV,NIKKOL Decaglyn 1-LN,NIKKOL Decaglyn 2-SV,NIKKOL Decaglyn 2-ISV,NIKKOL Decaglyn 3-SV,NIKKOL Decaglyn 3-OV,NIKKOL Decaglyn 5-SV,NIKKOL Decaglyn 5-HS,NIKKOL Decaglyn 5-IS,NIKKOL Decaglyn 5-OV,NIKKOL Decaglyn 5-O-R,NIKKOL Decaglyn 7-S,NIKKOL Decaglyn 7-O,NIKKOL Decaglyn 10-SV,NIKKOL Decaglyn 10-IS,NIKKOL Decaglyn 10-OV,NIKKOL Decaglyn 10-MAC,NIKKOL Decaglyn PR-20,三菱化学フーズ(株)社製リョートーポリグリエステル L-10D、L-7D、M-10D、M-7D、P-8D、S-28D、S-24D、SWA-20D、SWA-15D、SWA-10D、O-50D、O-15D、B-100D、B-70D、ER-60D、太陽化学(株)社製サンソフトQ−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C、理研ビタミン(株)社製ポエムDO−100、ポエムJ−0021などが挙げられる。
【0041】
本発明に用いられる、ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。市販品としては、例えば、日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL SL-10,SP-10V,SS-10V,SS-10MV,SS-15V,SS-30V,SI-10RV,SI-15RV,SO-10V,SO-15MV,SO-15V,SO-30V,SO-10R,SO-15R,SO-30R,SO-15EX,第一工業製薬(株)社製の、ソルゲン30V、40V、50V、90、110などが挙げられる。
【0042】
本発明に用いられる、ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。市販品としては、例えば、三菱化学フーズ(株)社製リョートーシュガーエステル S-070、S-170、S-270、S-370、S-370F、S-570、S-770、S-970、S-1170、S-1170F、S-1570、S-1670、P-070、P-170、P-1570、P-1670、M-1695、O-170、O-1570、OWA-1570、L-195、L-595、L-1695、LWA-1570、B-370、B-370F、ER-190、ER-290、POS-135、第一工業製薬(株)社製の、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、F70、F50、F-A50、F-20W、F-10、F-A10E、コスメライクB-30、S-10、S-50、S-70、S-110、S-160、S-190、SA-10、SA-50、P-10、P-160、M-160、L-10、L-50、L-160、L-150A、L-160A、R-10、R-20、O-10、O-150等が挙げられる。
【0043】
これら乳化剤の添加量は、エマルジョン組成物に対して、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。
添加量が少なすぎると、微細な粒子径の乳化物が得られない、乳化物の安定性が十分でない等の問題点が生じる。また、添加量が多すぎると、乳化物の泡立ちが激しくなる等の問題点を生じる。
【0044】
レシチンも乳化剤として有効である。レシチンとは、グリセリン骨格と脂肪酸残基及びリン酸残基を必須構成成分とし、これに、塩基や多価アルコール等が結合したもので、リン脂質とも称されるものである。レシチンは、分子内に親水基と疎水基を有していることから、従来より、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。
【0045】
産業的にはレシチン純度60%以上のものがレシチンとして利用されており、本発明でも利用できるが、好ましくは一般に高純度レシチンと称されるものであり、これはレシチン純度が80%以上、より好ましくは90%以上のものである。このレシチン純度は、レシチンがトルエンに溶解しやすくアセトンに溶解しない性質を利用して、トルエン不溶物とアセトン可溶物の重量を差し引くことにより求められる。
レシチンとしては、植物、動物及び微生物の生体から抽出分離された従来公知の各種のものを挙げることができる。このようなレシチンの具体例としては、例えば、大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物や、卵黄、牛等の動物及び大腸菌等の微生物等から由来する各種レシチンを挙げることができる。このようなレシチンを化合物名で示すと、例えば、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ビスホスアチジン酸、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等のグリセロレシチン;スフィンゴミエリン等のスフィンゴレシチン等を挙げることが出来る。
また、本発明においては、上記の高純度レシチン以外にも、水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン等を使用することが出来る。本発明で用いるこれらのレシチンは、単独又は複数種の混合物の形態で用いることが出来る。
【0046】
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物において、レシチンの含有量は、組成物に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。
【0047】
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物は、グリセリンを含有することが、エマルジョンのエマルジョン粒子径がより小さくなり、かつ該粒子径が小さいまま長期に亘り安定して保持されるため、好ましい。
この場合、グリセリンの含有量は、本発明の組成物に対して、10〜60質量%が好ましく、好ましくは20〜55質量%、さらに好ましくは30〜50質量%である。
【0048】
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物は、カロテノイドがマイクロジョン化していることが好ましい。その粒子径は、特に限定されないが、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは5〜100nmである。
粒子径は、後述する製造方法における攪拌条件(せん断力・温度・圧力)や、添加剤の使用量、油相と水相比率、界面活性剤の使用量などの要因によって変動するが、本発明の粒子径であれば、実用上問題ない。本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物は、粒度分布計等で計測することができる。
【0049】
<エマルジョン組成物の製造方法>
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法は、特に限定されないが、少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を混合してエマルジョンを形成する工程を有するのが好ましい。たとえば、a)脱酸素水を含む水性媒体に、水溶性乳化剤、親水性酸化防止剤を溶解させて、水相を得、b)カロテノイド、油溶性乳化剤、油溶性酸化防止剤及び必要に応じてその他の油脂を混合・溶解して、油相を得、c)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、エマルジョン組成物を得る、ステップからなることが好ましい。
これとは別に、少なくともカロテノイド、水および金属キレート剤を混合してエマルジョンを調製し、前記エマルジョン中の水を脱酸素し、脱酸素水としてもよい。
また、一旦、金属キレートを含まない高濃度のカロテノイド含有エマルジョン組成物を製造し、次いでこれに金属キレートを添加し、脱酸素水で希釈して本発明の組成物とすることができる。同様に、一旦、金属キレートを含む高濃度のカロテノイド含有エマルジョン組成物を製造し、次いでこれに金属キレートを添加することなく、あるいは金属キレートを添加し、脱酸素水で希釈して本発明の組成物とすることができる。これら場合の希釈割合は適宜に選ぶ事は可能で10倍以上200倍以下が好ましく、20倍以上150倍が更に好ましく40倍以上100倍以下がより好ましい。このような希釈は飲料物の製造に有用である。
【0050】
乳化分散の際、例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等の剪断作用を利用する通常の乳化装置を用いて乳化をした後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることが出来る。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行っても良い。
【0051】
高圧ホモジナイザーには、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するチャンバー型高圧ホモジナイザー及び均質バルブを有する均質バルブ型高圧ホモジナイザーが挙げられる。これらの中では、均質バルブ型高圧ホモジナイザーは、処理液の流路の幅を容易に調節することができるので、操作時の圧力及び流量を任意に設定することができ、その操作範囲が広いため特に食品や化粧品などの乳化分野で広く用いられている。これに対し、操作の自由度は低いが、圧力を高める機構が作りやすいため、超高圧を必要とする用途にはチャンバー型高圧ホモジナイザーが用いられる。
【0052】
チャンバー型高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)等が挙げられる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
【0053】
高圧ホモジナイザーによる分散は、液体が非常に狭い(小さな)間隙を高速度で通過する際に発生する大きな剪断力によるものと考えられる。この剪断力の大きさはほぼ圧力に比例し、高圧になればなるほど液体中に分散された粒子にかかる剪断力すなわち分散力は強くなる。しかし、液体が高速で流れるときの運動エネルギーの大半は熱に変わるため、高圧になればなるほど液体の温度は上昇し、これによって分散液成分の劣化や粒子の再凝集が促進される事がある。従って、高圧ホモジナイザーの圧力は最適点が存在するが、その最適点は分散される物、狙うべく粒径によっても異なると考えられる。本発明において、ホモジナイザーの圧力は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは50〜250MPa、更に好ましくは100〜250MPaで処理することが好ましい。また、乳化液はチャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが好ましい。
【0054】
微細な乳化物を得るもう一つの有力な方法として、超音波ホモジナイザーの使用を挙げることが出来る。具体的には、上記に述べた様な剪断作用を利用する通常の乳化装置を用いて乳化をした後、15〜40kHzの周波数で超音波を照射する方法が知られていた。しかしながら、超音波を発生させる装置は未だ十分なスケールで照射できるものは商業的に販売されておらず、小さい装置では処理可能な液媒体の体積に限界があった。従って、このような超音波を発生させる装置を用いた乳化物の製造方法は、得られた乳化物の性能面では大変優れているが、処理可能な量が小さくなってしまい、工業的な量産は困難であった。
【0055】
最近、超音波照射装置の高出力化が進み、ある程度の量産化が可能となってきた。高出力超音波ホモジナイザーの例としては、超音波ホモジナイザーUS−1200T、同RUS−1200T、同MUS−1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000,同UIP−4000、同UIP−8000,同UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの高出力超音波照射装置を用いて25kHz以下の周波数、好ましくは15〜20kHzの周波数で、且つ分散部のエネルギー密度が100W/cm以上、好ましくは120W/cmとすることにより、微細乳化が可能となった、
【0056】
超音波照射はバッチ式でも良いが、その際には分散液全体を攪拌する手段と併用することが好ましい。併用する攪拌手段としてはアジテーター、マグネチックスターラー、ディスパー等の攪拌が用いられる。更に好ましくはフロー式の超音波照射を行うことが出来る。フロー式とはすなわち分散液供給タンク、供給ポンプを備え、一定流量で超音波照射部を備えたチャンバー中に分散液を送るものである。チャンバーへの液の供給はどういう方向でも効果があるが、超音波照射面に対し液の流れが垂直に衝突する方向に供給する方法が特に好ましい。
【0057】
超音波照射を行う時間は、特に制限されないが、実質的に容器内で超音波が照射されている時間で、2〜200分/kgであることが好ましい。短すぎると乳化が不十分であり、長すぎると再凝集が起こる可能性がある。乳化物により最適時間は変化するが、一般に好ましくは10分〜100分の間である。
【0058】
高エネルギー密度の超音波照射による乳化液の温度上昇により、乳化物中の構成成分の劣化や粒子の再凝集が起こる可能性があるため、冷却手段を併用することが好ましい。バッチ照射の場合には照射容器を外から冷却したり、容器の中に冷却ユニット設置することが出来る。また、フロー式の場合には、超音波照射チャンバーを外から冷却するほかにフロー循環の途中に熱交換器等の冷却手段を設置することが好ましい。
【0059】
超音波ホモジナイザーを前記の超高圧ホモジナイザーと併用すると更に好ましい分散が得られる。すなわち、剪断作用を利用する通常の乳化装置を用いて乳化をした後に、超高圧ホモジナイザー分散を行うことで超高圧ホモジナイザー分散の効率が高まり、パス回数の低減が図られると共に、粗大粒子の低減により高品質な乳化物を得ることが可能となる。また、超高圧ホモジナイザー乳化を行った後に、更に超音波照射を行うことで、粗大粒子を低減させることが出来る。また、超高圧分散と超音波照射を交互に行うなど任意の順序でこれらの工程を繰り返し行うことも出来る。
【0060】
本発明のカロテノイド含有エマルジョン組成物は、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果等を提供することを目的として、食品または化粧品に所定量添加することができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
【0062】
ショ糖オレイン酸エステル(HLB=15) 13g
モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 25g
グリセリン 500g
EDTA・2H・2Na・2HO 1g
純水(脱酸素水 O1ppm) 330g
【0063】
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
【0064】
ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン類含有率20質量%) 40g
レシチン(大豆由来) 90g
L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル 1g
【0065】
水相を70℃に保ったままホモジナイザーで攪拌し(10000rpm)、そこへ上記油相を添加して乳化物を得た。得られた乳化物を、アルティマイザーHJP-25005(株式会社スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。
その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン類含有エマルジョン分散物EM−01を調製した。
【0066】
組成を下記表1に従った以外は全て同様にして、アスタキサンチン類含有エマルジョン組成物EM−02〜06を得た。
【0067】
【表1】

【0068】
表中、ショ糖オレイン酸エステルは三菱化学フーズ株式会社製リョートーシュガーエステルO−1670(HLB=15)、モノオレイン酸デカグリセリルは日光ケミカルズ株式会社製NIKKOL Decaglyn 1-O(HLB=12)を使用した。ヘマトコッカス抽出物は、武田紙器株式会社製ASTOTS−Sを使用した。レシチン(大豆由来)は理研ビタミン株式会社製のレシオンPを使用した。また、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステルは、和光純薬株式会社製の試薬を使用した。ミックストコフェロールは理研ビタミン株式会社製の理研Eオイル800を使用した。BHTは和光純薬株式会社製の試薬を使用した。
【0069】
(希釈)
得られたアスタキサンチン類含有エマルジョン組成物(EM−01〜EM−06)1.0gと、場合により金属キレート剤を、溶存酸素量をコントロールした脱酸素水(1〜3ppm)および未脱酸素水の純水に添加して、ホモジナイザーで回転数10000rpm、攪拌時間5分間で攪拌を行った。このときの純水の溶存酸素濃度を千代田電気株式会社製脱気ポンプTKH−11を用い下記表2に示すように変化させた。溶存酸素濃度(DO)は株式会社カスタムのデジタル酸素濃度計MODEL DO−5509を用いて測定した。得られた水希釈乳化物について下記の評価を行った。得られた結果を下記表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
また、E-03 500gとE-06 500gを混合してE-07を作製した。このときの溶液溶存酸素濃度は6.3ppmで粒子径は52nmであった。
【0072】
(粒子径測定)
動的光散乱粒径分散測定装置LB−550(株式会社堀場製作所社製)を使用して、水希釈乳化物の粒子径測定を行った。
【0073】
(アスタキサンチン類分解安定性評価)
水希釈乳化物の吸光度測定を、NanoDrop Technologies,Inc.社製のND-1000Spectrophotometerを用いて行った。各水希釈乳化物を蓋付きガラス瓶に各9本づつ用意、1本は冷蔵庫保存(4℃)、8本を70℃に保たれた恒温槽中で経時保管し、1時間毎に取り出し冷蔵庫保存した。8時間後に冷蔵庫より取り出し、室温で30分放置した後に9本をまとめて、吸光度測定を行い、アスタキサンチン類分解安定性として、残存率が80%になるまでの時間を求め評価を行った。
【0074】
また臭気の評価を以下のようにおこなった。
冷蔵庫に10日間保管、及び70℃10日間保管したものをそれぞれを室温に調整し臭気の有無を次の表に基づいて評価人10人による判定を実施し、集計した。
【0075】
A:全く異臭を感じない。
B:臭気があるような気がするが曖昧である。
C:わずかながら異臭を感じる。
D:異臭をはっきりと認める。
臭気判定
○合格、△許容レベル、×NGレベルとした。
【0076】
【表3】

【0077】
実施例の結果より、本発明によるカロテノイド含有エマルジョン組成物は、熱安定性に優れ、且つ、臭気を抑え、保存安定性にも優れることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を含有してなることを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項2】
前記カロテノイドがマイクロエマルジョン化されてなることを特徴とする請求項1に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項3】
前記脱酸素水の溶存酸素量が4ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項4】
さらに乳化剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項5】
さらに酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項6】
前記カロテノイドが、アスタキサンチンおよび/またはその誘導体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項7】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩またはそれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項5に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項8】
前記酸化防止剤が油相に含まれるとともに、前記酸化防止剤が、ラジカル補足剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ノルジヒドログアヤレチック酸およびトコフェロール類から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項5に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項9】
前記乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびレシチンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項10】
前記脱酸素水が、脱気装置により機械的に脱気処理をなされた水であることを特徴とする請求項1に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を含有する食品。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を含有する外用剤。
【請求項13】
少なくともカロテノイド、脱酸素水および金属キレート剤を非酸素雰囲気下で混合してエマルジョンを調製する工程を有することを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項14】
少なくともカロテノイド、水および金属キレート剤を混合してエマルジョンを調製し、前記エマルジョン中の水を脱酸素し、脱酸素水とすることを特徴とするカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項15】
前記カロテノイドがマイクロエマルジョン化されることを特徴とする請求項13または14に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項16】
前記脱酸素水の溶存酸素量が4ppm以下であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項17】
少なくともカロテノイド、水、金属キレート剤および乳化剤を混合してエマルジョンを調製することを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項18】
少なくともカロテノイド、水、金属キレート剤および酸化防止剤を混合してエマルジョンを調製することを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項19】
前記カロテノイド色素が、アスタキサンチンおよび/またはその誘導体であることを特徴とする請求項13〜18のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項20】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩またはそれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項18に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項21】
前記酸化防止剤が油相に含まれるとともに、前記酸化防止剤が、ラジカル補足剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ノルジヒドログアヤレチック酸およびトコフェロール類からなる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項18に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項22】
前記乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびレシチンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項17に記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項23】
前記脱酸素水は、水を脱気装置により機械的に脱酸素する脱気処理により得られることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物の製造方法。
【請求項24】
請求項1〜10のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を添加する工程を有する食品の製造方法。
【請求項25】
請求項1〜10のいずれかに記載のカロテノイド含有エマルジョン組成物を添加する工程を有する外用剤の製造方法。

【公開番号】特開2008−74717(P2008−74717A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252581(P2006−252581)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】