説明

カートリッジシステムおよびこのようなカートリッジシステムに用いられる送出管

【課題】製作の点で簡単かつ廉価であるものの、同時にカートリッジの安全なかつ簡単な開放を保証するカートリッジシステムを提供する。
【解決手段】混合室20内に、該混合室20内で摺動可能に配置されたクロージャ60が配置されており、該クロージャ60が、カートリッジ30の開口40を出発位置で閉鎖しており、開口40が、混合室20に向かって、摺動可能なクロージャ60の終端位置で少なくとも部分的に開放されており、摺動可能なクロージャ60が、前記出発位置から前記終端位置に摺動可能であるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合物、特に医療用のセメントを混合しかつ施与するためのカートリッジシステムであって、互いに平行に配置された2つのカートリッジと、流出開口を備えた1つの混合室とが設けられており、カートリッジが、カートリッジ壁に設けられたそれぞれ少なくとも1つの開口を有しており、該開口が、カートリッジを混合室に接続するようになっており、カートリッジが、前記混合物の出発成分をカートリッジから開口を通して押し出すためのそれぞれ1つの圧送ピストンを有している形式のものに関する。
【0002】
さらに、本発明は、このようなカートリッジシステムに用いられる送出管に関する。
【背景技術】
【0003】
出発成分を混合して混合物を形成し、この混合物を施与するためのカートリッジシステムは、複数の構成要素から成っていてよく、使用前の少なくとも2つのカートリッジ内の成分に対する確実な貯蔵および確実な閉鎖を保証していることが望ましい。混合物の施与直前にカートリッジシステムを確実にかつ迅速に開放することができることが望ましい。個々のカートリッジの同期的な開放が目標とされている。
【0004】
反応性のペースト状の2成分系または多成分系はその製造後に施与に至るまで、成分の早期の不本意な反応を阻止するために、別個に貯蔵されなければならない。ペースト状の2成分系または多成分系を施与するためのカートリッジシステムは数十年来公知である。これについて、たとえばスイス国特許出願公開第669164号明細書、欧州特許出願公開第0607102号明細書、欧州特許出願公開第0236129号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3440893号明細書、米国特許第4690306号明細書、米国特許出願公開第2009/062808号明細書、欧州特許出願公開第0787535号明細書、国際公開第2006/005206号パンフレット、欧州特許出願公開第0693437号明細書、欧州特許出願公開第0294672号明細書、欧州特許出願公開第0261466号明細書および欧州特許出願公開第2008707号明細書を挙げておく。ペースト状の2成分系または多成分系の混合は施与時に直接、通常、スタティックミキサによって行われる。これについて、たとえば英国特許出願公開第1188516号明細書、米国特許第2125245号明細書、米国特許第5968018号明細書、米国特許第4068830号明細書、米国特許出願公開第2003/179648号明細書、欧州特許出願公開第0664153号明細書および欧州特許出願公開第0289882号明細書を挙げておく。反応性のペーストでのカートリッジの充填後、このカートリッジは施与に至るまで確実に閉鎖され続けなければならない。カートリッジ内容物を送出するためにも働く可動のピストンは、通常、カートリッジ底部を密封している。カートリッジシステムのカートリッジシステム頭部を閉鎖するためには、一連の解決手段が提案されている。
【0005】
簡単ではあるものの、極めて有効な原理は、カートリッジ頭部をねじり可能なクロージャによって閉鎖することにある(欧州特許出願公開第0431347号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2017292号明細書および米国特許第3215298号明細書)。このクロージャは施与前にねじり外される。次いで、送出管が、カートリッジ頭部に設けられたねじ山にねじり込まれるかまたはねじ山を模倣したピンシステムによって位置固定される。この従来例では、ペースト材料を押し出すことができるまで、使用者がねじり運動を2回実施しなければならないことが不利である。さらに、クロージャがねじり外され、遅れて初めて送出管が載着されることが行われ得る。カートリッジの開放と送出管の挿入との間には、特にペースト内に揮発性の物質が含有されている場合、ペーストの成分の気化が生じ得る。
【0006】
現在、特に接着剤・シール媒体産業において極めて頻繁に使用されるクロージャは、カートリッジ頭部でカートリッジの壁材料が極めて肉薄に形成されており、これによって、この壁が容易に突き通され得ることをベースとしている。突通し時には、壁から粒子が剥離され、これによって、この粒子がペースト状の材料内に達する。
【0007】
カートリッジの裏側は、通常、可動のピストンによって閉鎖される。このピストンは、ペーストを施与時に押し出すために設計されている。湿分および空気に対して敏感なペーストの場合には、アルミニウムカートリッジが使用されてよい。このアルミニウムカートリッジはプラスチックピストンによって閉鎖されている。また、アルミニウムカートリッジにわたって、密封のために、一方の側で閉鎖されたアルミニウム円筒体が圧入される。ペーストの施与時には、片側で閉鎖されたアルミニウム円筒体がピストンと一緒に押出しガンによって前方にカートリッジ頭部の方向に運動させられ、ペーストが押し出される。しかし、医療での使用時には、ペーストとアルミニウム表面との接触が問題となり得る。滅菌したペースト状の医療製品に対するカートリッジシステムの使用時には、ペーストだけでなく、当然ながら、カートリッジおよび二次的な包装手段も滅菌した形で医療の使用者に提供されることが必要となる。したがって、たとえば予め滅菌されたカートリッジへの無菌の充填後、このカートリッジが、滅菌した包装手段内に直接移送され得る。さらに、特定の製品では、充填されたカートリッジの表面を包装手段と一緒に包装後に滅菌することが有利であり得る。重合可能なペースト系では使用することができないガンマ滅菌のほかに、ガス、たとえばエチレンオキシドによって滅菌する可能性も存在する。
【0008】
しかし、ガスによるこのような滅菌時には、高い蒸気圧を有するモノマを含有したペースト系において、本来の滅菌後、真空の作用による残りのエチレンオキシドの除去時にカートリッジ内でモノマの一部が蒸発し、このモノマがカートリッジ内に気相を形成し、ひいては、圧力をピストンに加え得ることが問題である。これは、このピストンが不都合にカートリッジ底部の方向に運動させられ、極端な例では、カートリッジから突き出され、これによって、ペーストが流出し得ることを意味している。
【0009】
医療では、数十年来、全関節体内補綴物、つまり、全人工関節を永続的に機械的に位置固定するためにポリメチルメタクリレート骨セメントが使用される。このポリメチルメタクリレート骨セメントは、粉末・液体系をベースとしている。最近では、セメントペーストの使用に基づいたポリメチルメタクリレート骨セメントも提案されている(ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007050762号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008030312号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第102007052116号明細書)。このようなセメントには、これまで、まだ適切なカートリッジシステムが提案されなかった。
【0010】
全人工関節を位置固定するための骨セメントの使用時には、この手術時に手術者に一時的に重圧がかかることが常に考慮されなければならない。したがって、ペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントを施与するためのカートリッジシステムの医療での使用時には、このカートリッジシステムが、基本的には、使用者ミスに対して十分に抵抗的、つまり、安全であり、ストレス状況でも迅速にかつ確実に操作することができるように形成されていることが望ましい。
【0011】
ペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントの不可欠な成分はモノマ、たとえばメチルメタクリレートである。このモノマは容易に蒸発し、室温でかなり高い蒸気圧を有している。したがって、メチルメタクリレートを含有したペーストの使用時には、真空作用、たとえばエチレンオキシドによる滅菌の範囲内での脱ガスに際して、カートリッジ内でカートリッジピストンが、蒸発したメチルメタクリレートによって運動させられ、極端な例では、カートリッジから突き出され得ることに絶対に注意しなければならない。
【0012】
冒頭で述べた形式のカートリッジシステムは、チューブバッグ内へのペースト状の多成分系の充填をベースとしている(国際公開第2010/006455号パンフレット)。封止されたチューブバッグはカートリッジ内に挿入される。チューブバッグは、揮発性の成分を含有したペーストを充填するために適しているという利点を有している。このためには、複合材料から成るチューブバッグ、たとえばアルミニウム複合体バッグが特に適している。チューブバッグの開放は、送出管のねじり込み時に一緒に回転させられる刃部によって行われる。この刃部の回転運動時にバッグが切り開かれ、したがって、内容物を送出するためにカートリッジに開口が提供される。次いで、ペースト状のバッグ内容物が、カートリッジに設けられた開口を通してスタティックミキサの方向に押し出される。
【0013】
この従来例では、チューブバッグ内への、付加的には、カートリッジ内へのペースト状の材料の充填が極めて高価であり、特殊な使用例でしか実施されていないことが不利である。さらに、特に医療の分野での多くの使用例に対して、切断されたチューブバッグの一部が剥離され、その後、ペースト状の成分内に達し、したがって、混合物を汚染し得ることが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第669164号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0607102号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0236129号明細書
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許出願公開第3440893号明細書
【特許文献5】米国特許第4690306号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/062808号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0787535号明細書
【特許文献8】国際公開第2006/005206号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開第0693437号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第0294672号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0261466号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第2008707号明細書
【特許文献13】英国特許出願公開第1188516号明細書
【特許文献14】米国特許第2125245号明細書
【特許文献15】米国特許第5968018号明細書
【特許文献16】米国特許第4068830号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2003/179648号明細書
【特許文献18】欧州特許出願公開第0664153号明細書
【特許文献19】欧州特許出願公開第0289882号明細書
【特許文献20】欧州特許出願公開第0431347号明細書
【特許文献21】ドイツ連邦共和国特許出願公開第2017292号明細書
【特許文献22】米国特許第3215298号明細書
【特許文献23】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007050762号明細書
【特許文献24】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008030312号明細書
【特許文献25】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007052116号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
すなわち、本発明の課題は、製作の点で簡単かつ廉価であるものの、同時にカートリッジの安全なかつ簡単な開放を保証するカートリッジシステムを提供することである。使用前の少なくとも2つのカートリッジ内のペースト状の成分に対する確実な貯蔵および確実な閉鎖が保証されていることが望ましい。手術の間の簡単な使用を可能にするために、ペーストの施与直前にカートリッジシステムを可能な限り少ない手間で確実にかつ迅速に開放することができ、したがって、従来のカートリッジシステムおよびそのクロージャシステムの問題を減らすかもしくは克服することが望ましい。すなわち、カートリッジを多種の成分に対して確実に閉鎖しかつ個々のカートリッジの複雑でない迅速な開放を可能にするクロージャシステムが開発されることが望ましい。送出管の載着時には、使用者の操作ミスも可能な限り回避することができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題を解決するために本発明に係るカートリッジシステムでは、混合室内に、該混合室内で摺動可能に配置されたクロージャが配置されており、該クロージャが、カートリッジの開口を出発位置で閉鎖しており、開口が、混合室に向かって、摺動可能なクロージャの終端位置で少なくとも部分的に開放されており、摺動可能なクロージャが、前記出発位置から前記終端位置に摺動可能であるようにした。
【0017】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、混合室が、中空体壁を備えた中空体、特に中空円筒体であり、カートリッジに設けられた開口が、中空体壁を通って混合室にまで延びている。
【0018】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、混合室が、カートリッジの間に配置されており、特にカートリッジ壁が、部分的に中空体壁と一体に形成されている。
【0019】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、混合室が、カートリッジに対して平行に配置されている。
【0020】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、混合室の内部に、圧送ピストンに対して平行に、可動のロッドが配置されており、該ロッドが、圧送ピストンに少なくとも1つのウェブおよび/または1つのプレートを介して固く結合されており、ロッドが、流出開口に向けられた側に係止手段を有しており、混合室内に対応係止手段が設けられており、該対応係止手段が、ロッドの係止手段と協働しており、これによって、混合室から外部へのロッドの運動ひいてはカートリッジから外部への圧送ピストンの運動が、著しく困難にされていて、特に阻止されている。
【0021】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、カートリッジ壁および/または混合室壁が、カートリッジ底部において始まる少なくとも1つのスリットを有しており、該スリットが、カートリッジ軸線に対して平行に配置されており、1つまたはそれ以上のスリットの幅が、1つまたはそれ以上のウェブを収容するために十分であり、1つまたはそれ以上のスリットの長さが、特にカートリッジ長さの少なくとも半分にまで達している。
【0022】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、流出開口が、カートリッジシステム頭部に配置されており、該カートリッジシステム頭部が、特に該カートリッジシステム頭部の内面に送出管を固定するための固定手段、有利には1つのねじ山または複数のピンを有している。
【0023】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、混合室内に、有利にはピンまたはウェブの形のストッパが配置されており、該ストッパが、混合室内での摺動可能なクロージャの運動を制限していて、これによって、摺動可能なクロージャの前記終端位置を規定している。
【0024】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、摺動可能なクロージャが、混合室内にプレス嵌めされた状態で配置されていて、かつ/または混合室の長手方向に摺動可能である。
【0025】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、圧送ピストンが、カートリッジを密に閉鎖している。
【0026】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、摺動可能なクロージャが、中空体の形の延長部を有しており、該延長部において、混合室の側壁に接触する中空体壁に開口が設けられている。
【0027】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、摺動可能なクロージャが、一方の閉鎖された側を備えたコンパクトなボディまたは中空体、特に中空円筒体である。
【0028】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、摺動可能なクロージャが、両側で開いた中空室体であり、混合室の内部に、摺動可能に送出管が配置されており、該送出管が、送出開口に向けられた開いた送出管先端部または送出開口から進出する開いた送出管先端部と、カートリッジ底部に向けられた、該カートリッジ底部の方向で完全に閉鎖された延長部とを有しており、該延長部が、カートリッジ壁に面した側壁に開口を有しており、送出管の内部に、開口から送出管先端部にまで、連続した接続部が延びており、該接続部内に、有利にはスタティックミキサが配置されており、延長部の外径が、混合室の内径よりも小さいかまたは混合室の内径に等しくかつクロージャの内径よりも大きく寸法設定されているのに対して、混合室の内部に位置する送出管の残部が、クロージャの内径よりも小さな外径を有している。
【0029】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、カートリッジシステム頭部、特に流出開口の領域にストッパが設けられており、圧送ピストンおよび/または送出管が、圧縮空気または加圧空気で押圧可能である。
【0030】
本発明に係るカートリッジシステムの有利な態様によれば、圧送ピストンに底部側で1つのプレートおよび/または少なくとも1つのウェブが固く結合されており、該プレートおよび/または該少なくとも1つのウェブにロック手段が結合されており、該ロック手段が、混合室内に達していて、そこで対応ロック手段に係合しており、これによって、カートリッジ底部の方向へのプレートおよび/または少なくとも1つのウェブと圧送ピストンとの運動が阻害されており、混合室の内部にアンロック装置が設けられており、該アンロック装置が、摺動可能なクロージャに固く結合されており、これによって、前記終端位置への摺動可能なクロージャの摺動時にロック手段のロック解除が行われるようになっており、これによって、カートリッジ底部の方向へのプレートおよび/または少なくとも1つのウェブと圧送ピストンとの運動が可能である。
【0031】
さらに、前述した課題を解決するために本発明に係る送出管では、該送出管が、該送出管の送出管先端部に対して延長部を有しており、該延長部の直径が、混合室の内径よりも小さく設定されており、延長部が、前記カートリッジシステムのカートリッジシステム頭部内への送出管の挿入時に、摺動可能なクロージャを摺動させるために設計されており、これによって、カートリッジの開口が、少なくとも部分的に開放されているようにした。
【0032】
本発明に係る送出管の有利な態様によれば、延長部が、開口を備えた中空体、特に中空円筒体であり、前記カートリッジシステム内での送出管の運転準備位置において、カートリッジの開口が、延長部に設けられた開口に少なくとも部分的に重ねられており、これによって、カートリッジの内室が、混合室に開口を通じて接続されている。
【0033】
本発明に係る送出管の有利な態様によれば、送出管が、固定手段、有利にはピンまたはねじ山、特に雄ねじ山を有している。
【0034】
本発明に係る送出管の有利な態様によれば、送出管が、スタティックミキサを有している。
【0035】
本発明に係る送出管の有利な態様によれば、送出管が、摺動可能なクロージャに固く結合されており、これによって、送出管と摺動可能なクロージャとが、前記カートリッジシステムの1つの共通の部材を形成している。
【発明の効果】
【0036】
混合室が、中空体壁を備えた中空体、特に中空円筒体であり、カートリッジに設けられた開口が、中空体壁を通って混合室にまで延びていることが提案されていてよい。
【0037】
さらに、混合室が、カートリッジの間に配置されており、特にカートリッジ壁が、部分的に中空体壁と一体に形成されていることが提案される。
【0038】
本発明によって、混合室が、カートリッジに対して平行に配置されていることも提案される。
【0039】
混合室の内部に、圧送ピストンに対して平行に、可動のロッドが配置されており、このロッドが、圧送ピストンに少なくとも1つのウェブおよび/または1つのプレートを介して固く結合されており、ロッドが、流出開口に向けられた側に係止手段を有しており、混合室内に対応係止手段が設けられており、この対応係止手段が、ロッドの係止手段と協働しており、これによって、混合室から外部へのロッドの運動ひいてはカートリッジから外部への圧送ピストンの運動が、著しく困難にされていて、特に阻止されていることが提案されていてよい。
【0040】
さらに、カートリッジ壁および/または混合室壁が、カートリッジ底部において始まる少なくとも1つのスリットを有しており、このスリットが、カートリッジ軸線に対して平行に配置されており、1つまたはそれ以上のスリットの幅が、1つまたはそれ以上のウェブを収容するために十分であり、1つまたはそれ以上のスリットの長さが、特にカートリッジ長さの少なくとも半分にまで達していることが提案されていてよい。
【0041】
さらに、本発明によれば、流出開口が、カートリッジシステム頭部に配置されており、このカートリッジシステム頭部が、特にこのカートリッジシステム頭部の内面に送出管を固定するための固定手段、有利には1つのねじ山または複数のピンを有していることが提案される。
【0042】
混合室内に、有利にはピンまたはウェブの形のストッパが配置されており、このストッパが、混合室の中央の方向への摺動可能なクロージャの運動を制限しており、これによって、摺動可能なクロージャの終端位置が規定されていることが提案されている。
【0043】
さらに、摺動可能なクロージャが、混合室内にプレス嵌めされた状態で配置されていることが提案される。
【0044】
また、摺動可能なクロージャが、混合室の長手方向に摺動可能であることも提案されていてよい。
【0045】
さらに、本発明によって、圧送ピストンが、カートリッジを密に閉鎖していることが提案される。
【0046】
本発明によれば、混合室へのカートリッジの開口にシール手段、特にシールリングが配置されていることが提案されていてもよい。このシール手段は、仮にプレス嵌めによる摺動可能なクロージャのシール作用が十分でない場合でも、カートリッジに設けられた開口に対する摺動可能なクロージャのシール作用を改善するようになっている。
【0047】
シール手段が、混合室への開口を取り囲んで混合室の内壁と摺動可能なクロージャとの間に出発位置で配置されていることが提案されていてよい。
【0048】
カートリッジシステムの有利な態様は、摺動可能なクロージャが、中空体の形の延長部を有しており、この延長部において、混合室の側壁に接触する中空体壁に開口が設けられていることによって特徴付けられていてよい。
【0049】
また、摺動可能なクロージャが、一方の閉鎖された側を備えたコンパクトなボディまたは中空体、特に中空円筒体であることが提案されていてよい。
【0050】
これに対して択一的には、摺動可能なクロージャが、両側で開いた中空室体であり、混合室の内部に、摺動可能に送出管が配置されており、この送出管が、送出開口に向けられた開いた送出管先端部または送出開口から進出する開いた送出管先端部と、カートリッジ底部に向けられた、このカートリッジ底部の方向で完全に閉鎖された延長部とを有しており、この延長部が、カートリッジ壁に面した側壁に開口を有しており、送出管の内部に、開口から送出管先端部にまで、連続した接続部が延びており、この接続部内に、有利にはスタティックミキサが配置されており、延長部の外径が、混合室の内径よりも小さいかまたは混合室の内径に等しくかつクロージャの内径よりも大きく寸法設定されているのに対して、混合室の内部に位置する送出管の残部が、クロージャの内径よりも小さな外径を有していることが提案されていてよい。
【0051】
カートリッジシステム頭部、特に流出開口の領域にストッパが設けられており、圧送ピストンおよび/または送出管が、圧縮空気または加圧空気で押圧可能であることが提案されていてよい。
【0052】
さらに、本発明によって、圧送ピストンに底部側で1つのプレートおよび/または少なくとも1つのウェブが固く結合されており、このプレートおよび/または少なくとも1つのウェブにロック手段が結合されており、このロック手段が、混合室内に達していて、そこで対応ロック手段に係合しており、これによって、カートリッジ底部の方向へのプレートおよび/または少なくとも1つのウェブと圧送ピストンとの運動が阻害されており、混合室の内部にアンロック装置が設けられており、このアンロック装置が、摺動可能なクロージャに固く結合されており、これによって、終端位置への摺動可能なクロージャの摺動時にロック手段のロック解除が行われるようになっており、これによって、カートリッジ底部の方向へのプレートおよび/または少なくとも1つのウェブと圧送ピストンとの運動が可能であることが提案される。
【0053】
このようなカートリッジシステムに用いられる本発明に係る送出管によれば、この送出管が、この送出管の送出管先端部に対して延長部を有しており、この延長部の直径が、混合室の内径よりも小さく設定されており、延長部が、カートリッジシステムのカートリッジシステム頭部内への送出管の挿入時に、摺動可能なクロージャを摺動させるために設計されており、これによって、カートリッジの開口が、少なくとも部分的に開放されている。
【0054】
延長部が、開口を備えた中空体、特に中空円筒体であり、カートリッジシステム内での送出管の運転準備位置において、カートリッジの開口が、延長部に設けられた開口に少なくとも部分的に重ねられており、これによって、カートリッジの内室が、混合室に開口を通じて接続されていることが提案されていてよい。
【0055】
また、送出管が、固定手段、有利にはピンまたはねじ山、特に雄ねじ山を有していることが提案されていてもよい。
【0056】
さらに、送出管が、スタティックミキサを有していることが提案されていてよい。
【0057】
さらに、送出管が、摺動可能なクロージャに固く結合されており、これによって、送出管と摺動可能なクロージャとが、カートリッジシステムの1つの共通の部材を形成していることが提案される。
【0058】
本発明に係るカートリッジシステムと、このカートリッジシステムの付属のクロージャシステムとは、カートリッジの開放時に構成部材、たとえばカートリッジ壁を破壊する必要なく、可動のクロージャによってカートリッジシステムの確実なかつ簡単に取り扱うことができる開放が可能になり、これによって、構成部材の材料による混合したい成分または混合物の汚染を恐れる必要がなくなるという驚くべき認識をベースとしている。これによって、多成分カートリッジの確実な閉鎖と、システムの個々のカートリッジの複雑でない迅速な同時の開放とが可能となる。送出管の載着によって、カートリッジが強制的に同期的に開放され、これによって、カートリッジが、送出管の載着時にしか開放されていない。これによって、使用者の万が一の操作ミスが回避される。
【0059】
このようなカートリッジシステムと、このようなクロージャシステムとは、完全に廉価なプラスチック射出成形部材から製造することができる。カートリッジシステムによって、カートリッジシステム頭部の方向への力作用時にピストンを同期的にカートリッジ内で運動させ、これによって、ペースト相互の混合比が保証されるようにするために、ペーストを均等に押し出すことが可能となる。
【0060】
このようなカートリッジシステムの操作可能性の更なる簡便性と安全性とは、真空の作用時の圧送ピストンの運動を確実に阻止することができることによって得られる。
【0061】
混合室とは、本発明の意味では、少なくとも2つのカートリッジの間に位置する領域と、この領域に隣接した領域とを意味している。混合室は、カートリッジ底部から、すなわち、カートリッジシステムの後方の底部側の部分から、カートリッジシステムの前側におけるカートリッジシステム頭部に設けられた流出開口にまで延びている、すなわち、カートリッジシステム頭部の内室を含んでいる。混合室の至る所で混合物の出発成分の混合が行われる必要はなく、混合室の一部領域で行われさえすればよい。チューブによってカートリッジに接続されていて、したがって、幾何学的な意味で正確にカートリッジの間に位置していない混合室も同じく本発明には適している。
【0062】
本発明の意味での摺動可能なクロージャとは、まず、出発位置において、クロージャへの力作用時に破断し、したがって、力作用下でのクロージャの摺動を可能にする目標破断箇所を有する固い結合部、たとえば肉薄のブリッジによって中間室の壁に結合されたクロージャも意味している。固い結合部または目標破断箇所を備えた固い結合部は、カートリッジの開口から、開放時にクロージャが運動させられる方向で見て、混合物もしくは混合物の出発成分への破断箇所の粒子の侵入を阻止するために設けられていることが提案される。本発明の意味での終端位置とは、最終的な終端位置を意味するものではない。したがって、たとえば摺動可能なクロージャが終端位置から出発位置にも運動可能であり、その後、カートリッジシステムのカートリッジが新たに充填可能となることが提案されていてもよい。これによって、カートリッジシステムが再使用可能となる。また、出発位置も終端位置同様、摺動可能なクロージャが摺動可能となる少なくとも2つの位置のうちの一方を意味しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るカートリッジシステムの長手方向における横断面図である。
【図2】流出開口を備えた図1に示した本発明に係るカートリッジシステムの前側の平面図である。
【図3】図1に示した本発明に係るカートリッジシステムのカートリッジ底面図である。
【図4】図1に示したA−A線に沿ったカートリッジシステムの横断面図である。
【図5】図1に示した本発明に係るカートリッジシステムの側面図である。
【図6】本発明に係る第2のカートリッジシステムのカートリッジ底面図である。
【図7】本発明に係るカートリッジシステムに用いられる送出管を示す図である。
【図8】図7に示した本発明に係る送出管の長手方向における横断面図である。
【図9】挿入された送出管を備えた本発明に係る第3のカートリッジシステムの前方の部分の横断面図である。
【図10】組み込まれた送出管を備えた本発明に係る第4のカートリッジシステムの横断面図である。
【図11】本発明に係る第5のカートリッジシステムの横断面図である。
【図12】図11に示したカートリッジシステムに用いられる摺動可能なクロージャの斜視図である。
【図13】図11に示したカートリッジシステムに用いられる送出管の側面図である。
【図14】組み込まれた送出管を備えた本発明に係る第6のカートリッジシステムの横断面図である。
【図15】図14に示したカートリッジシステムに用いられる組み込まれた送出管を備えた摺動可能なクロージャの側面図である。
【図16】クロージャに設けられたアンロック装置を備えた本発明に係る第7のカートリッジシステムの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0065】
図1には、本発明に係るカートリッジシステム1の横断面図が示してある。このカートリッジシステム1は混合室20を備えている。この混合室20は混合室壁21によって仕切られていて、流出開口22に開口している。混合室20は2つのカートリッジ30の間の範囲に延びていて、円筒状の中空体として形成されている。カートリッジ30は、カートリッジ頭部31と、カートリッジ壁32と、カートリッジ底部33とによって仕切られている。カートリッジ30の内部には、生成したい混合物に用いられる出発成分(図示せず)が位置している。カートリッジ壁32と混合室壁21とには、カートリッジ30の内部を混合室20の内部に接続する開口40が位置している。すなわち、このカートリッジシステム1は、2種類の成分から成る混合物を生成するために適している。
【0066】
流出開口22はカートリッジシステム頭部50に形成されている。このカートリッジシステム頭部50は、内面にねじ山の形の固定手段51または同様にねじ山を形成していてよいピンの形の固定手段51を有している。
【0067】
中実の円筒体の形の摺動可能なクロージャ60が、混合室20の上側の端部、すなわち、混合室20の、流出開口22に近い方の端部にプレス嵌めされた状態で差し込まれている。摺動可能なクロージャ60は、カートリッジ30の内部を混合室20の内部に接続する開口40を閉鎖している。摺動可能なクロージャ60は、閉鎖された周壁面を有していてもよい。
【0068】
カートリッジ30はカートリッジ底部33の方向で圧送ピストン62によって閉鎖されている。カートリッジ30の長手方向に摺動可能な圧送ピストン62は、技術的に慣用の掻取りリップとシール部材とを備えていてよく、これによって、カートリッジ30の密な閉鎖が保証される。
【0069】
カートリッジ底部33では、圧送ピストン62がウェブ(結合部材)65またはプレート(図示せず)によって互いに結合されている。混合室壁21とカートリッジ壁32とを貫通した付加的なウェブ(結合部材)66がカートリッジシステム1の内部に設けられていてよい。
【0070】
ウェブ65,66には、付加的にロッド70が固く結合されている。このロッド70は、混合室20の、カートリッジ底部33に近い方の端部に突入している。ロッド70の先端部には、係止手段71が設けられている。混合室20の内壁21には、係止手段71に係合する対応係止手段72が設けられている。この対応係止手段72はフレキシブルな材料、たとえばゴムから製造されている。係止手段71は通常のプラスチックから製造されていてよい。この係止手段71が対応係止手段72に係合するほど深くロッド70が混合室20内に押し込まれている場合には、この混合室20からのロッド70の運動が阻止される。しかし、ロッド70をより深く混合室20内に押し進めることも同時に難なく可能である。
【0071】
すなわち、混合室20内には、ロッド70が位置している。このロッド70は、圧送ピストン62の長手方向において、一方の端部でウェブ65に固定されているように配置されていて、少なくとも圧送ピストン62の長さのうちの一部長さを有している。ロッド70が、カートリッジ頭部31に向けられた側に複数の歯を備えていることが重要である。これらの歯は、その先端部がカートリッジ底部33の方向に向けられているように方向付けられている。ロッド70は、混合室20の横断面よりも小さな横断面を有している。
【0072】
カートリッジ底部33に近い方の側では、混合室20の端部にフレキシブルな係止部材72が配置されている。この係止部材72は、歯を備えたロッド70よりも小さな横断面または歯を備えたロッド70に等しい横断面を有している。これは、歯を備えたロッド70が係止部材72内に係止することができることを意味している。この係止部材72は、カートリッジ頭部31の方向への、歯を備えたロッド70の運動しか可能とならないように配置されている。カートリッジ底部33の方向への後退運動は不可能である。
【0073】
歯を備えたロッド70と、係止部材72とによって、カートリッジ30内での圧送ピストン62の位置が規定され、これによって、このカートリッジ30からの圧送ピストン62の後退運動が、真空の作用時にも確実に阻止される。
【0074】
摺動可能なクロージャ60は、流出開口22を通した所定の力の作用によってカートリッジ底部33の方向に摺動することができる。この力は、流出開口22内への適切な送出管(図示せず)の挿入によって発生させることができる。ピンの形で混合室20の内壁21に取り付けられたストッパ74は、摺動可能なクロージャ60がストッパ74よりも深く混合室20内に押し込まれ得ることを阻止している。これによって、ストッパ74が、摺動可能なクロージャ60の終端位置を規定している。
【0075】
混合室壁21と、混合室20に近い方のカートリッジ壁32とを通したウェブ65,66の運動を可能にするためには、両壁21,32がスリット75を備えている。このスリット75は、カートリッジシステム1の内部でカートリッジ底部33からスリット端部76にまで達している。スリット75によって、ウェブ65,66の運動が難なく可能となる。
【0076】
図2には、このようなカートリッジシステム1、しかも、カートリッジシステム頭部50の平面図が示してある。流出開口22内には、混合室壁21と、固定手段51と、中心において、摺動可能なクロージャ60とが認められる。カートリッジシステム頭部50の両側には、カートリッジ30(図2には認めることができない)が下方に位置するカートリッジ頭部31が設けられている。
【0077】
図3には、カートリッジ底部33の方向から見たカートリッジシステム1の平面図が示してある。混合室壁21によって仕切られた混合室20は、カートリッジ壁32および圧送ピストン62しか見ることができないカートリッジ30によって両側で挟まれている。カートリッジ底部33の方向に開いた混合室20の中心には、この混合室20の内部に突入したロッド70が位置している。このロッド70と圧送ピストン62とは、ウェブ65によって互いに固く結合されている。カートリッジシステム1の内部へのウェブ65の運動を可能にするためには、混合室20の壁21とカートリッジ30の壁32とに、スリット75が設けられている。
【0078】
図4には、図1に示したA−A線に沿ったカートリッジシステム1の横断面図が示してある。圧送ピストン62とカートリッジ壁32とによって認められている両カートリッジ30の間には、混合室壁21によって仕切られた混合室20が位置している。圧送ピストン62は、両側で閉鎖された中空円筒体として形成されている。混合室20の内部には、ロッド70が配置されている。このロッド70と圧送ピストン62とは、ウェブ66によって互いに結合されている。カートリッジ30を混合室20に接続する壁21,32には、スリット75が設けられている。このスリット75によって、カートリッジシステム1の内部でのウェブ66,65の運動が可能となる。
【0079】
図5には、カートリッジシステム1の側面図が示してある。両カートリッジ30の間には、混合室20が配置されている。本来であれば、外部からは混合室壁21もしくはカートリッジ壁32しか認めることができない。カートリッジシステム1の頭部側には、カートリッジシステム頭部50が配置されているのに対して、カートリッジ底部33には、ウェブ65が配置されている。
【0080】
図6には、3種類の成分から成る混合物を生成するための択一的なカートリッジシステムのカートリッジ底部の平面図が示してある。この目的のためには、カートリッジシステムが3つのカートリッジを有している。これらのカートリッジのうち、カートリッジ底部の方向からは、カートリッジ壁132および圧送ピストン162しか認めることができない。カートリッジ壁132の間には、混合室120が位置している。この混合室120の中心には、ロッド(図示せず)が配置されている。このロッドと圧送ピストン162とは、ウェブ165によって互いに固く結合されている。カートリッジシステム全体は、付加的な被覆体179によって閉じ込められている。
【0081】
前述した実施の形態は全て、3種類、4種類またはそれ以上の種類の成分を含んだ混合物を生成するための、3つ、4つまたはそれ以上のカートリッジを備えたカートリッジシステムに問題なく転用することができる。極めて多種の成分の使用時には、カートリッジが、有利には円筒形状を備えて形成されている必要はない。
【0082】
図7には、本発明に係るカートリッジシステム1に用いられる送出管80が側面図で示してある。この送出管80の上側の端部には、送出管先端部81が位置している。この送出管先端部81は、混合された混合物を施与するために働く。その下方には、雄ねじ山82が位置している。この雄ねじ山82で送出管80はカートリッジシステム1の雌ねじ山51にねじ込むことができる。その下方に配置された延長部86には、開口85が設けられている。
【0083】
延長部86は、混合室壁20の直径に等しい外径または混合室壁20の直径よりも小さな外径を有している。これによって、送出管80がカートリッジシステム頭部50にねじり込まれる場合に、延長部86がカートリッジシステム頭部50を越えて混合室20内に進入することができ、したがって、摺動可能なクロージャ60をより深く混合室20内に押し進めることができる。これによって、混合室20への開口40が開放される。延長部86は中空円筒体として形成されている。開口85は、カートリッジ壁32に設けられた開口40を通過する混合したい出発成分を阻害しないために働く。すなわち、混合したい材料は開口40だけでなく開口85も通過する。
【0084】
図8には、図7に示した送出管80の横断面図が示してある。送出管先端部81、雄ねじ山82および中空円筒体の形の延長部86に対して付加的に送出管80の内部にさらにスタティックミキサ88が設けられている。
【0085】
しかし、延長部86は、T字形片で終わっているロッドによって形成されてもよい。このロッドは、たとえばスタティックミキサ88の中心の軸の延長部として形成されている。このような延長部86には、付加的な開口85が必ずしも必要ではない。また、スタティックミキサ88の延長部がねじ山82を越えて延長部86として働いてもよい。
【0086】
図9には、本発明に係る第2のカートリッジシステムの上側の(カートリッジ頭部側の)部分が示してある。このカートリッジシステムには、送出管280が組み付けられている。この送出管280はカートリッジシステム頭部250内に十分に組み付けられている。このことは、カートリッジシステム頭部250の、この実施の形態ではピンによって形成された固定手段251が、送出管280の固定手段282に係合していることで認めることができる。この組み付けられた状態では、開口285を備えた中空体として形成された延長部286が混合室220内に深く達していて、摺動可能なクロージャ260がその出発位置から離れる方向でさらにカートリッジシステムの内部に混合室220に沿って摺動させられている。
【0087】
摺動可能なクロージャ260は、この実施の形態では、片側で閉鎖された中空円筒体として形成されている。混合物も出発成分も混合室220のカートリッジ底部側の部分に達することがないようにするためには、摺動可能なクロージャ260が、送出管280に向けられた側で閉鎖されている。また、延長部286の端部を、この端部が混合室220の全横断面を閉鎖するように形成することも可能であってよい。
【0088】
摺動可能なクロージャ260の終端位置は、リングの形のストッパ274によって混合室220の内部に規定されている。カートリッジ230は、カートリッジ壁232と、カートリッジ頭部231と、圧送ピストン(図9には示さず)とによって仕切られている。
【0089】
送出管280が挿入されている場合に所定の圧力が圧送ピストン(図示せず)に加えられると、混合物に用いられる、カートリッジ230内に貯えられた出発成分が、開口240,285を通って混合室220内に押圧される。この混合室220内で出発成分が混合され、したがって、混合物が生成される。この混合物の混合は、送出管280内のスタティックミキサ(図9には示さず)によって促進することができる。最終的には、混合された混合物が送出管先端部281を通ってカートリッジシステムから流出し、どこに必要であろうと施与することができる。
【0090】
図10には、本発明に係るカートリッジシステムの第4の実施の形態が横断面図で示してある。この第4の実施の形態では、送出管380がクロージャ360の閉鎖位置ですでにカートリッジシステムの混合室320内に組み込まれている。すなわち、このようなカートリッジシステムの使用開始のためには、送出管380が、前述した実施の形態のように流出開口322内に挿入されて、そこに固定されるのではなく、カートリッジ底部333の方向から流出開口322の方向に押圧される。
【0091】
この目的のためには、クロージャ360が中空円筒体である。この中空円筒体はその出発位置において、混合室320への、カートリッジ壁332に設けられた開口340ひいてはカートリッジ330の開口340をプレス嵌めされた状態で閉鎖している。クロージャ360の内径は、送出管380の、送出管先端部381に向けられた前方の部分の外径よりも大きく寸法設定されている。開口385を備えた延長部386は、クロージャ360の内径よりも大きい外径を有している。付加的には、延長部386と送出管380の前方の部分との間に段部が設けられている。延長部386は、開口385を備えた中空円筒体である。この中空円筒体は送出管先端部381の方向に開いていて、カートリッジ底部333の方向で完全に閉鎖されている。送出管380の内部には、スタティックミキサ388が位置している。
【0092】
このカートリッジシステムの混合室320がカートリッジ底部333の方向から所定の力、たとえば圧縮空気で押圧されると、送出管380がカートリッジシステム頭部350の方向に押し進められる。延長部386の、送出管先端部381に向けられた前縁部が、クロージャ360のカートリッジ底部側の端部に衝突するやいなや、送出管380がクロージャ360をもカートリッジシステム頭部350内に摺動させる。クロージャ360の運動は、カートリッジシステム頭部350の先端部に配置されたストッパ374によって制限されている。クロージャ360の終端位置では、このクロージャ360が開口340を完全に開放していて、ストッパ374に接触している。同時に延長部386の開口385が開口340に重なっている。
【0093】
たとえば圧縮空気での押圧によって所定の力がカートリッジ底部333の方向から2つの圧送ピストン362に加えられると、カートリッジ330の内容物が、開口340と開口385とを通って送出管380の延長部386内に押圧される。スタティックミキサ388によって、カートリッジ330の内容物が送出管380内で混合されて、混合物が生成される。最終的には、この混合された混合物が送出管先端部381を通ってカートリッジシステムから押し出される。この実施の形態では、前述した実施の形態と異なり、クロージャ360がカートリッジ底部333の方向に押し進められるのではなく、カートリッジシステム頭部350の方向に押し進められ、これによって、開口340が開放される。圧送ピストン362はウェブ(図示せず)を介して互いに結合されていてよく、これによって、圧送ピストン362の運動が同期化されている。
【0094】
すなわち、本発明によれば、混合室320内に、カートリッジ330の長手方向に摺動可能な送出管380が位置しており、この送出管380が、スタティックミキサ388を有しており、送出管380の、カートリッジシステム頭部350と反対の側で、送出管380の外径が、開いた中空円筒体の形のクロージャ360の内径よりも小さく寸法設定されており、送出管380の、カートリッジシステム頭部350と反対の側に、延長部386としての、周壁面に穿孔された中空の円筒体が配置されており、この円筒体が、カートリッジ頭部350と反対の側でガス密に閉鎖されており、円筒体の外径が、混合室320の内径に等しく寸法設定されており、混合室320内でカートリッジ333の開口340の上方に、ストッパ374としてのピンおよび/またはウェブ(薄板突起)が位置しており、このピンおよび/またはウェブが、摺動可能なクロージャ360の内径よりも大きな内径または摺動可能なクロージャ360の内径に等しい内径を有していることが提案されていてよい。これは、送出管380が、圧縮されたガスでの押圧によってカートリッジ底部333の方向からカートリッジシステム頭部350の方向に運動することができることを意味している。送出管380のこの運動時には、中空円筒体として形成された摺動可能なクロージャ360がカートリッジシステム頭部350の方向に運動させられ、その後、クロージャ360が、カートリッジシステム頭部350に設けられたウェブまたはピン374に当接する。カートリッジシステム頭部350の方向への中空円筒体360のこの運動によって、カートリッジ330の開口340が開放される。同時に、穿孔された中空の円筒体386の孔385がカートリッジ330の開口340に向かって運動させられる。これによって、カートリッジ330が開放される。択一的には、送出管380の運動が、ロッド、ねじまたはピンの運動を介した機械的な力作用によって行われてもよい。
【0095】
本発明に係るカートリッジシステムの択一的な第5の実施の形態が、概略的な横断面図として図11に示してある。2つまたはそれ以上のカートリッジ430の間に混合室420が配置されている。カートリッジ430を混合室420から分離するカートリッジ壁432には、カートリッジ430の内室と混合室420の内室とを互いに接続する開口440が設けられている。カートリッジ430は下側の端部で圧送ピストン462によって密に閉鎖されている。混合室420内にプレス嵌めされた状態で配置された、この混合室420を横断面において完全に閉鎖するクロージャ460は、開口440も完全に閉鎖する。同時にクロージャ460は混合室420内に長手方向摺動可能に配置されている。カートリッジシステムはカートリッジシステム頭部450を有している。このカートリッジシステム頭部450内には、送出管を取り付けるための雌ねじ山451が設けられている。
【0096】
クロージャ460は2つの部分から形成されている。一方のクロージャ部分461は、開口440をクロージャ460の出発位置で完全に閉鎖するために働く。第2の部分として、クロージャ460は延長部486を有している。この延長部486は、前述した全ての実施の形態ではクロージャに設けられておらず、送出管に設けられている。延長部486は、片側で閉鎖された中空体として形成されている。この中空体は側壁に開口485を有している。
【0097】
送出管が、ねじ山451にねじ込まれることによって流出開口422内に固定されると、クロージャ460が混合室420内で流出開口422から離れる方向に押し進められる。送出管がその雄ねじ山の下方に、クロージャ460の延長部486の長さにほぼ相当する延長部を有していると、クロージャ460が混合室420内に押し進められ、これによって、延長部486の開口485が、クロージャ460の終端位置において、カートリッジ壁432に設けられた開口440に重なって位置するようになっている。これは、クロージャ460の、流出開口422に向けられた前縁部が、カートリッジシステム頭部450の雌ねじ山451の下側の端部に出発位置で配置されているからである。
【0098】
このようなクロージャ460は、図12に斜視図で示してある。図示のクロージャ460は円筒状のジオメトリを有している、すなわち、円筒状の内室を備えた混合室420のために適している。クロージャ460は2つの部分、つまり、クロージャ部分461と延長部486とから成っている。この延長部486は長円形の複数の開口485を有している。これらの開口485は延長部486の円筒壁を貫通している。
【0099】
図13には、図11に示したようなカートリッジシステムに用いられる送出管480が示してある。この送出管480は、送出管先端部481と、雄ねじ山482と、延長部486とを有している。すなわち、この実施の形態では、送出管480がカートリッジシステムに組み付けられている場合にクロージャ部分461と送出管480との間に接触部を形成する延長部486が、クロージャ460における開口485を備えた部分と、送出管480における部分とに分割されている。すなわち、延長部486は、本発明の形態では、クロージャ460の一部であると同時に送出管480の一部でもある。
【0100】
また、当然ながら、延長部を単にクロージャの一部としてのみ形成することも可能である。このためには、図示の例において、クロージャ460の延長部486が流出開口422内に達していなければならないかまたは流出開口422を貫通していなければならないかまたは少なくとも雌ねじ山451の領域にまで達していなければならない。送出管480のねじ込み時には、雄ねじ山482の下縁部がクロージャ460の延長部486の上縁部に衝突し、したがって、クロージャ460を所望の終端位置に移送する。
【0101】
本発明に係るカートリッジシステムの第6の実施の形態が、図14に概略的な横断面図として示してある。この第6の実施の形態では、クロージャ560と送出管580とがユニットを形成している。両部材は、第6の実施の形態では、延長部586を介して互いに固く結合されている。さらに、送出管580の部分は、送出管先端部581と、固定手段582と、スタティックミキサ588とを有している。結合部、すなわち、延長部586には、開口585が設けられている。クロージャ560はその出発位置で混合室520内にプレス嵌めされた状態で延びている。この混合室520は2つのカートリッジ530の間に位置している。両カートリッジ530は圧送ピストン562によって底部側で閉鎖されている。出発位置では、クロージャ560が、カートリッジ530の内室を混合室520の内室に接続する2つの開口540を閉鎖している。混合室520を延長するカートリッジシステム頭部550は、内面に固定手段551を有している。この固定手段551は送出管580の固定手段582と協働することができる。固定手段551,582は、たとえば雌ねじ山および雄ねじ山であってよい。両ねじ山はクロージャ560の出発位置ですでに部分的に内外で係合していてもよい。クロージャ560と送出管580とから成るシステムのねじり込み時もしくは固定時には、クロージャ560が摺動させられ、これによって、開口540が開放されるようになっている。その後、終端位置で開口585が開口540に重なって位置している。
【0102】
図15には、このようなシステム、つまり、クロージャ560と、このクロージャ560に固く結合された送出管580とから成るシステムの側面図が概略的に示してある。図示のシステムでは、固定手段として雄ねじ山582が設けられている。図示の左ねじ山の代わりに、一般的には、当然ながら、常に右ねじ山が使用されてもよい。開口585として、やはり、長円形の開口が設けられている。この開口を通して、生成したい混合物の出発成分が送出管580の内部に到達することができる。この送出管580は雄ねじ山582で雌ねじ山551にねじり込まれる。円筒体周壁において穿孔された延長部586はカートリッジ底部の方向に運動させられ、同時に、摺動可能なクロージャとして機能しかつ閉鎖された周壁面を有する中空体560も同じくカートリッジ底部の方向に運動させられ、その後、穿孔された延長部586の孔がカートリッジ530の開口540に重なって位置している。
【0103】
図16には、本発明に係るカートリッジシステムの第7の実施の形態が概略的な横断面図で示してある。この第7の実施の形態では、クロージャ660にロッド670が配置されている。このロッド670はセンタリング装置690によって、中空体として成形された混合室620の中心に位置決めされている。ロッド670もしくはロッド670のセンタリング装置690には、中空円筒体の形のアンロック装置691が設けられている。クロージャ660は、カートリッジ630を混合室620に接続する開口640を閉鎖する。カートリッジシステムの前方の端部には、送出管を固定するための固定手段651を備えたカートリッジシステム頭部650が位置している。このカートリッジシステム頭部650は、内部に流出開口622を形成する中空円筒体として形成されている。
【0104】
底部側では、カートリッジ630が圧送ピストン662によって閉鎖されている。この圧送ピストン662はプレート695を介して互いに結合されている。このプレート695には、2つのロックフック693が結合されており、これによって、確かに、プレート695をロックフック693によって流出開口622の方向には問題なく押し進めることができるものの、逆方向にはロックフック693によって引き抜くことができないようになっている。このためには、両ロックフック693が、たとえば互いに固く結合されていて、直径において両ロックフック693の幅よりも大きい、プレート695に設けられた孔を貫通していて、そこで、プレート695に設けられた孔の直径よりも大きい直径の第2のプレート(図示せず)に固く結合されているように形成されていてもよい。しかし、ロックフック693は、プレート695の取外し後に簡単に取り外されてもよい。ロックフック693がアンロック装置691の作用によって破折するかまたは少なくとも部分的に不可逆的に押し合わされ、これによって、ロックフック693が引き続き再び係止することができないことも可能である。このロックフック693の代わりに、別のロック手段693が使用されてもよい。
【0105】
ロックフック693はフレキシブルな材料から形成されていて、これによって、比較的容易に押し合わせることができる。ロックフック693の領域では、混合室620内にロック段部694が配置されており、これによって、ロックフック693のフックがロック段部694に係合することができる。
【0106】
クロージャ660の出発状態では、このクロージャ660が開口640を閉鎖している。ロックフック693は、カートリッジ630から外部へのプレート695ひいてはプレート695に固定された圧送ピストン662の運動を阻止している。
【0107】
送出管が延長部で流出開口622内に組み込まれると、開口640が開放され、アンロック装置691がロックフック693に被せられ、これによって、このロックフック693が押し合わされ、したがって、流出開口622から離れる方向へのプレート695の運動ひいてはカートリッジ630から外部への圧送ピストン662の運動が可能になる。
【0108】
すなわち、送出管の挿入と同時に、センタリング装置690に配置された中空円筒体691がロックフック693に被せられ、このロックフック693が混合室620の長手方向軸線に対して垂直方向に撓められ、ロックフック693のロックピンがロック段部694から離れる方向に運動させられ、これによって、プレート695のロックが解除される。
【0109】
本発明の1つの変化形態では、混合室620の、カートリッジシステム頭部650に近い方の側に、雌ねじ山651またはスナップクロージャが配置されており、混合室620内に、カートリッジ630の長手方向に摺動可能なクロージャ660がプレス嵌めされた状態で位置しており、このクロージャ660が、カートリッジシステム頭部650に向けられた側でその面にわたって中空室620の長手方向軸線に対して垂直に閉鎖されており、摺動可能なクロージャ660が、カートリッジ630の開口640にわたって配置されており、摺動可能なクロージャ660が、ロッド670を介して円形のまたは星形のセンタリングディスク690に結合されており、このセンタリングディスク690の下面に中空円筒体691が配置されており、この中空円筒体691が、混合室620の内径よりも小さな直径を有しており、図7および図8に示したように、挿入可能な送出管の一方の端部に雄ねじ山が配置されているかまたはスナップ結合に用いられるピンを備えた中空円筒体が配置されており、雄ねじ山の端部またはピンを備えた円筒体の端部に長手方向で、円筒体周壁に穿孔された、すなわち、開口を備えた中空円筒体の形の延長部が配置されているかまたは長手方向に開いた、周壁面に穿孔された別の中空体の形の延長部が配置されている。
【0110】
このアッセンブリの利点は、送出管の挿入と同時にカートリッジ630の開放が行われ、同時に、プレート695によって閉鎖されたカートリッジ底部も開放されることにある。これによって、送出管が挿入されているだけでなく、カートリッジ底部を閉鎖するために挿入されたプレート695もロック解除されていて、取り外されている場合に初めて、使用者が、出発成分で充填されたカートリッジインサートを、カートリッジシステムを運転する相応の押出しガン/セメントガンに挿入することができる。したがって、送出管が挿入されていて、カートリッジ630が開放されていないと、カートリッジシステムを操作するための押出しガンまたはセメントガンにカートリッジインサートを挿入することは不可能となる。これによって、誤操作がほぼ皆無となる。
【0111】
たとえば本発明によれば、少なくとも2つのカートリッジ30,230,330,430,530,630から成るカートリッジシステムは、
a)1つの内側の中空円筒体または不規則にまたは規則的に成形された1つの内側の中空体を中心として2つまたはそれ以上のカートリッジ30,230,330,430,530,630が配置されており、これらのカートリッジ30,230,330,430,530,630の長手方向軸線が、内側の中空円筒体20,120,220,320,420,520,620の軸線または不規則にまたは規則的に成形された中空体(混合室)20,120,220,320,420,520,620の軸線に対して平行であり、
b)カートリッジ頭部31,231の下方に、カートリッジ壁32,132,232,332,432に設けられた1つまたはそれ以上の開口40,240,340,440,540,640が配置されており、
c)この開口40,240,340,440,540,640が、カートリッジ30,230,330,430,530,630の内室を内側の中空円筒体20,120,220,320,420,520,620の内室または不規則に成形された内側の中空体20,120,220,320,420,520,620の内室に接続しており、
d)カートリッジ頭部31,231に、カートリッジ30,230,330,430,530,630の長手方向で中空のボディ50,250,350,450,550,650が、雌ねじ山51,251,451,551,651を備えたカートリッジシステム頭部として配置されており、雌ねじ山51,251,451,551,651が、内側の中空円筒体20,120,220,320,420,520の内径または不規則にまたは規則的に成形された中空体の内径よりも大きな内径を有しており、
e)雌ねじ山51,251,451,551,651を備えた中空のボディ50,250,350,450,550,650からカートリッジ底部33,333にまで、連続して延びる中空室が形成されており、
f)雌ねじ山51,251,451,551,651の下方で内側の中空室内に、この中空室の長手方向に摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660がプレス嵌めされた状態で配置されており、
g)カートリッジ30,230,330,430,530,630が、圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662によって閉鎖されており、
h)この圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662が、カートリッジ底部33,333に向けられた側で少なくとも1つのウェブ65,165またはプレート695によって互いに結合されており、
i)内側の中空円筒体20,120,220,320,420,520内にまたは不規則にまたは規則的に成形された内側の中空体内にロッド70が位置しており、このロッド70が、ウェブ65,165またはプレート695に一方の端部で固定された圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662の長手方向に配置されていて、少なくとも圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662の長さのうちの一部長さを有しており、
j)ロッド70が、カートリッジ頭部31,231に向けられた側に複数の歯を備えており、これらの歯の先端部が、カートリッジ底部33,333の方向に方向付けられており、
k)ロッド70が、内側の中空円筒体20,120,220,320,420,520の横断面または不規則にまたは規則的に成形された内側の中空体の横断面よりも小さな横断面を有しており、
l)カートリッジ底部33,333に近い方の側における内側の中空円筒体20,120,220,320,420,520の端部にまたは不規則にまたは規則的に成形された内側の中空体の端部にフレキシブルな係止部材72が配置されており、この係止部材72が、歯を備えたロッド70よりも小さな横断面または歯を備えたロッド70に等しい横断面を有しており、流出開口81,281,381,481,581と反対の側に配置された雄ねじ山82,282,482,582を備えた送出管80,280,380,480,580が設けられており、この送出管80,280,380,480,580の内室にスタティックミキサ88,388,588が位置しており、雄ねじ山82,282,482,582の、流出開口81,281,381,481,581と反対の側に、周壁面に穿孔された中空円筒体86,286,386,486,586または不規則にまたは規則的に成形された穿孔された中空体が位置している
ように形成されている。
【0112】
「カートリッジシステム」という概念は、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のカートリッジ30,230,330,430,530,630から形成されたカートリッジを意味している。個々のカートリッジ30,230,330,430,530,630は互いに平行に配置されている。これらのカートリッジ30,230,330,430,530,630は円筒状の中空体であってよい。これは、いわゆる「サイドバイサイドカートリッジ」である。カートリッジは、生成したい混合物に用いられる出発成分ですでに充填されていてよいものの、空であってもよい。すなわち、カートリッジがさらに内容物、たとえばカートリッジインサートで充填されなければならない。
【0113】
摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660は、有利には閉鎖された周壁面を有している。
【0114】
カートリッジシステムの利点は、カートリッジ30,230,330,430,530,630に設けられた開口40,240,340,440,540,640が全て、1つの摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660によってしか閉鎖されていないことにある。このクロージャ60,260,360,460,560,660は、混合室20,120,220,320,420,520,620よりも僅かに大きな横断面を有している。これは、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660の周壁面が混合室20,120,220,320,420,520,620の内壁もしくは混合室20,120,220,320,420,520,620の壁21に圧着されることを意味している。摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660がカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640に重なって位置している場合には、この開口40,240,340,440,540,640は閉鎖されている。この場合には、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660が開口40,240,340,440,540,640に完全に重畳(オーバラップ)しており、これによって、シールに対して十分な閉鎖された周壁面がまだ混合室20,120,220,320,420,520,620の内壁21に接触している。シールは、圧着圧に基づき、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660の周壁面と混合室20,120,220,320,420,520,620の内壁21との緊密な接触によって達成される。
【0115】
医療において慣用の多種のプラスチック、たとえばポリプロピレンは、ほんの僅かな静摩擦・滑り摩擦係数しか有していない。これは、このようなプラスチックの滑り対の場合、比較的僅かな力作用によって滑り動作を発生させることができることを意味している。したがって、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660を適切なプラスチックの使用時には軸方向の運動によって摺動させることができる。これによって、摺動可能なボディをカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640から離れる方向に運動させ、これによって、カートリッジ30,230,330,430,530,630を開放することが可能となる。したがって、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660が軸方向に運動させられると、全てのカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640を同期的に同時に開放することができる。
【0116】
カートリッジ30,230,330,430,530,630は圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662によって閉鎖されている。この圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662は、カートリッジ底部33,333に向けられた側でウェブ65,165またはプレート695によって互いに結合されている。これは、圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662がユニットを形成していて、個々に運動することができないことを意味している。これによって、カートリッジシステムの全てのカートリッジ30,230,330,430,530,630からのペーストの均一な押出しが可能となる。この特性は、ピストンを、圧縮されたガスでの直接的な押圧によって運動させたい場合には不可欠である。
【0117】
送出管80,280,380,480,580のねじり込み時には、延長部86,286,386,486,586が一緒にカートリッジ底部33,333の方向に運動させられる。これによって、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660にカートリッジ底部33,333の方向への所定の力が加えられる。摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660の周壁面と混合室20,120,220,320,420,520,620の内壁21との間の静摩擦が上回られるやいなや、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660をカートリッジ底部33,333の方向に運動させることができる。送出管80,280,380,480,580の固定によって生じる摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660のこの強制運動時には、カートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640が同期的に開放される。この場合には、延長部86,286,386,486,586の孔もしくは開口85,285,385,485,585がカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640に重なって位置している。これによって、カートリッジ30,230,330,430,530,630の内室が、穿孔された中空円筒体または不規則にまたは規則的に成形された穿孔された中空体として形成された延長部86,286,386,486,586の内室に接続されている。カートリッジシステム頭部50,250,350,450,550,650の方向への圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662の運動時には、カートリッジ30,230,330,430,530,630内に含まれたペーストが、開放された開口40,240,340,440,540,640を通って延長部86,286,386,486,586の内室に流入し、送出管80,280,380,480,580の流出開口81,281,381,481,581の方向にスタティックミキサ88,388,588を通して運動させられる。
【0118】
本発明によれば、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660が、有利には中空円筒体として形成されている。特に有利には、この中空円筒体が、カートリッジ頭部31,231に近い方の側でのみ全横断面にわたって閉鎖されている。クロージャ60,260,360,460,560,660の、このように形成された、たとえばディスクであってよい閉鎖部材によって、ペーストの押出し時にこのペーストが混合室20,120,220,320,420,520,620内でカートリッジ底部33,333の方向に拡散し得ることが阻止される。
【0119】
本発明では、送出管80,280,380,480,580がその固定手段82,282,482,582によって、混合室20,120,220,320,420,520,620に設けられた固定手段51,251,451,551,651にねじり込まれ、これによって、送出管80,280,380,480,580または摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660に配置された穿孔された延長部86,286,386,486,586が、混合室20,120,220,320,420,520,620の長手方向に運動させられ、これによって、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660が混合室20,120,220,320,420,520,620に沿って摺動させられ、穿孔された延長部86,286,386,486,586の開口85,285,385,485,585がカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640に重なるように押し進められることが重要である。これは、送出管80,280,380,480,580の固定と同時に、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660が摺動させられ、これによって、カートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640が開放され、同時に、穿孔された延長部86,286,386,486,586の開口85,285,385,485,585がカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640に重なるように押し進められ、これによって、カートリッジ30,230,330,430,530,630が開放することを意味している。カートリッジ30,230,330,430,530,630の、送出管80,280,380,480,580の挿入に対して同期的な開放が行われる。これによって、実際には、易揮発性のペースト成分がカートリッジ30,230,330,430,530,630から流出し得ることが不可能となる。
【0120】
カートリッジ底部33の方向に開いた側を備えた片側で閉鎖された中空円筒体としての構成によって、第1の実施の形態では、ロッド70が、カートリッジ頭部31の方向への圧送ピストン62の運動の間、最大の距離を進むことができる。このためには、ロッド70の先端部の直径が、この先端部に固定された係止手段71を含めて、中空円筒体として形成された摺動可能なクロージャ60の内径よりも小さく寸法設定されている。
【0121】
摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660を、横断面において長円形のまたは横断面において規則的にまたは不規則に多角形の中空のボディとして形成することも可能である。また、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660を中実のボディまたは複数の個別部材460,461,486,560,580から組立て可能なボディとして形成することも可能である。摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660は、ペーストに対する化学的な安定性および所望の滑り特性に課せられる要求に応じて、一種類またはそれ以上の種類の材料から製造することができる。
【0122】
本発明によれば、混合室20,120,220,320,420,520,620の内壁21には、ピン、ウェブまたはリングが保持手段74,274,374として配置されていてよい。この保持手段74,274,374は、カートリッジ底部33の方向または出口322の方向への摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660の軸方向の最大の摺動を制限している。
【0123】
本発明によれば、延長部として働く穿孔された中空体86,286,386,486,586が、カートリッジ30,230,330,430,530,630の長手方向において、このカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640よりも大きな長さまたはカートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640に少なくとも等しい長さを有している。これによって、カートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640を全て送出管80,280,380,480,580の固定時に開放することができることが保証される。したがって、全横断面にわたる開口40,240,340,440,540,640の開放が可能となる。
【0124】
さらに、本発明によれば、保持手段74,274,374が、カートリッジ30,230,330,430,530,630の長手方向において、カートリッジ30,230,330,430,530,630の開口40,240,340,440,540,640に対して少なくとも延長部86,286,386,486,586もしくはクロージャ60,260,360,460,560,660の長さの間隔を有している。保持手段74,274,374は、ペーストの押出し時に、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660が、以前カートリッジ30,230,330,430,530,630の開放時に必要であった量よりも多く運動させられ得ないようにするために必要である。これは、保持手段74,274,374によって、使用され得ない死容積(むだ容積)の形成も阻止されるようになっていることを意味している。
【0125】
カートリッジ30,230,330,430,530,630は、カートリッジ底部33,333から少なくともカートリッジ長さの半分にまで1つまたはそれ以上のスリット75を有していてよい。このスリット75はカートリッジ軸線に対して平行に方向付けられており、これによって、混合室壁21も、カートリッジ30,230,330,430,530,630の長手方向に方向付けられたスリット75を有している。このスリット75は、カートリッジ30,230,330,430,530,630のスリット75に等しい長さを有している。混合室壁21に設けられたスリット75の個数は、カートリッジ30,230,330,430,530,630に設けられたスリット75の個数に等しく設定されている。混合室壁21のスリット75はカートリッジ30,230,330,430,530,630のスリット75に重なって位置しており、これによって、カートリッジ30,230,330,430,530,630の内室が混合室20,120,220,320,420,520,620に互いに接続されている。
【0126】
本発明によれば、ウェブ65,66,165が、スリット75よりも小さな横断面を有している。これは、カートリッジ30,230,330,430,530,630の押出し時に、ウェブ65,66,165が、カートリッジ30,230,330,430,530,630に設けられたスリット75を通ってカートリッジシステム頭部50,250,350,450,550,650の方向に運動することができることを意味している。スリット75は、カートリッジ頭部31,231の方向への押出し運動時のウェブ65,66,165ひいては圧送ピストン62,162,262,362,462,562,662に対するガイドとして働く。
【0127】
本発明の範囲内では、カートリッジシステム頭部50,250,350,450,550,650に設けられた雌ねじ山51,251,451,551,651の代わりに、固定手段51,251としてピン251が配置されており、このピン251の上面が、カートリッジ底部33,333の方向に斜め面取りされており、送出管80,280,380,480,580に雄ねじ山82の代わりにピン282が配置されており、このピン282が、下面で斜め面取りされており、これによって、中空体250のピン251が送出管280のピン282と共にスナップクロージャを形成していることが提案されていてもよい。送出管80,280,380,480,580をカートリッジシステム頭部50,250,350,450,550,650に固定するための、ねじ山51,251,451,551,651に対して択一的な固定システムとして、バヨネットクロージャまたは保持クランプも考慮される。
【0128】
本発明に係るカートリッジシステムを開放するための方法は、送出管80,280,380,480,580をその固定手段82,282,482,582によってカートリッジシステム頭部50,250,350,450,550,650の固定手段51,251,451,551,651に固定し、同時に、送出管80,280,380,480,580に配置された延長部86,286,386,486,586をカートリッジ底部33の方向に一緒にねじって、このカートリッジ底部33の方向に混合室20,120,220,320,420,520,620内で運動させ、これによって、摺動可能なクロージャ60,260,360,460,560,660をカートリッジ底部33の方向に運動させ、これによって、カートリッジ壁32,132,232,432に設けられた開口40,240,340,440,540,640を開放し、カートリッジ30,230,330,430,530,630の内室を混合室20,120,220,320,420,520,620の内室に接続することによって特徴付けられている。
【0129】
本発明に係るカートリッジシステムは、ペースト状の骨セメント、歯科用の多成分調合物、接着剤、シール剤、化粧品および食品の包装、貯蔵および施与のために使用される。多成分カートリッジシステムは、ペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントの貯蔵および施与のために特に適している。
【0130】
前述した明細書および実施の形態ならびに特許請求の範囲および図面に開示した本発明の特徴は、本発明を種々異なる実施の形態において実現するために、個々にも、あらゆる任意の組合せでも重要である。
【符号の説明】
【0131】
1 カートリッジシステム
20,120,220,320,420,520,620 混合室
21 混合室壁
22,322,422,622 流出開口
30,230,330,430,530,630 カートリッジ
31,231 カートリッジ頭部
32,132,232,332,432 カートリッジ壁
33,333 カートリッジ底部
40,240,340,440,540,640 開口
50,250,350,450,550,650 カートリッジシステム頭部
51,251,451,551,651 カートリッジシステム頭部に設けられた固定手段
60,260,360,460,560,660 クロージャ
62,162,262,362,462,562,662 圧送ピストン
65,165 ウェブ
66 ウェブ
70,670 ロッド
71 係止手段
72 対応係止手段
74,274,374 ストッパ
75 スリット
76 スリット端部
80,280,380,480,580 送出管
81,281,381,481,581 送出管先端部
82,282,482,582 送出管に設けられた固定手段
85,285,385,485,585 開口
86,286,386,486,586 延長部
88,388,588 ミキサ
179 被覆体
461 クロージャ部分
690 センタリング装置
691 アンロック装置
693 ロックフック
694 ロック段部
695 プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物、特に医療用のセメントを混合しかつ施与するためのカートリッジシステムであって、互いに平行に配置された2つのカートリッジ(30,230,330,430,530,630)と、流出開口(22,322,422,622)を備えた1つの混合室(20,120,220,320,420,520,620)とが設けられており、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)が、カートリッジ壁(32,132,232,332,432)に設けられたそれぞれ少なくとも1つの開口(40,240,340,440,540,640)を有しており、該開口(40,240,340,440,540,640)が、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)を混合室(20,120,220,320,420,520,620)に接続するようになっており、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)が、前記混合物の出発成分をカートリッジ(30,230,330,430,530,630)から開口(40,240,340,440,540,640)を通して押し出すためのそれぞれ1つの圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)を有している形式のものにおいて、混合室(20,120,220,320,420,520,620)内に、該混合室(20,120,220,320,420,520,620)内で摺動可能に配置されたクロージャ(60,260,360,460,560,660)が配置されており、該クロージャ(60,260,360,460,560,660)が、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)の開口(40,240,340,440,540,640)を出発位置で閉鎖しており、開口(40,240,340,440,540,640)が、混合室(20,120,220,320,420,520,620)に向かって、摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)の終端位置で少なくとも部分的に開放されており、摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)が、前記出発位置から前記終端位置に摺動可能であることを特徴とする、混合物を混合しかつ施与するためのカートリッジシステム
【請求項2】
混合室(20,120,220,320,420,520,620)が、中空体壁(21)を備えた中空体、特に中空円筒体であり、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)に設けられた開口(40,240,340,440,540,640)が、中空体壁(21)を通って混合室(20,120,220,320,420,520,620)にまで延びている、請求項1記載のカートリッジシステム。
【請求項3】
混合室(20,120,220,320,420,520,620)が、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)の間に配置されており、特にカートリッジ壁(32,132,232,332,432)が、部分的に中空体壁(21)と一体に形成されている、請求項1または2記載のカートリッジシステム。
【請求項4】
混合室(20,120,220,320,420,520,620)が、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)に対して平行に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項5】
混合室(20,120,220,320,420,520,620)の内部に、圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)に対して平行に、可動のロッド(70)が配置されており、該ロッド(70)が、圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)に少なくとも1つのウェブ(65,66,165)および/または1つのプレート(695)を介して固く結合されており、ロッド(70)が、流出開口(22,322,422,622)に向けられた側に係止手段(71)を有しており、混合室(20,120,220,320,420,520,620)内に対応係止手段(72)が設けられており、該対応係止手段(72)が、ロッド(70)の係止手段(71)と協働しており、これによって、混合室(20,120,220,320,420,520,620)から外部へのロッド(70)の運動ひいてはカートリッジ(30,230,330,430,530,630)から外部への圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)の運動が、著しく困難にされていて、特に阻止されている、請求項4記載のカートリッジシステム。
【請求項6】
カートリッジ壁(32,132,232,332,432)および/または混合室壁(21)が、カートリッジ底部(33,333)において始まる少なくとも1つのスリット(75)を有しており、該スリット(75)が、カートリッジ軸線に対して平行に配置されており、1つまたはそれ以上のスリット(75)の幅が、1つまたはそれ以上のウェブ(65,66,165)を収容するために十分であり、1つまたはそれ以上のスリット(75)の長さが、特にカートリッジ長さの少なくとも半分(76)にまで達している、請求項5記載のカートリッジシステム。
【請求項7】
流出開口(22,422,622)が、カートリッジシステム頭部(50,250,450,550,650)に配置されており、該カートリッジシステム頭部(50,250,450,550,650)が、特に該カートリッジシステム頭部(50,250,450,550,650)の内面に送出管(80,280,480,580)を固定するための固定手段(51,251,451,551,651)、有利には1つのねじ山または複数のピンを有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項8】
混合室(20,120,220,320,420,520,620)内に、有利にはピンまたはウェブの形のストッパ(74,274,374)が配置されており、該ストッパ(74,274,374)が、混合室(20,120,220,320,420,520,620)内での摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)の運動を制限していて、これによって、摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)の前記終端位置を規定している、請求項1から7までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項9】
摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)が、混合室(20,120,220,320,420,520,620)内にプレス嵌めされた状態で配置されていて、かつ/または混合室(20,120,220,320,420,520,620)の長手方向に摺動可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項10】
圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)が、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)を密に閉鎖している、請求項1から9までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項11】
摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)が、中空体の形の延長部(486)を有しており、該延長部(486)において、混合室(20,120,220,320,420,520,620)の側壁に接触する中空体壁に開口(485)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項12】
摺動可能なクロージャ(60,260,460,560,660)が、一方の閉鎖された側を備えたコンパクトなボディまたは中空体、特に中空円筒体である、請求項1から11までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項13】
摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)が、両側で開いた中空室体であり、混合室(20,120,220,320,420,520,620)の内部に、摺動可能に送出管(80,280,380,480,580)が配置されており、該送出管(80,280,380,480,580)が、送出開口(22,322,422,622)に向けられた開いた送出管先端部(81,281,381,481,581)または送出開口(22,322,422,622)から進出する開いた送出管先端部(81,281,381,481,581)と、カートリッジ底部(33,333)に向けられた、該カートリッジ底部(33,333)の方向で完全に閉鎖された延長部(86,286,386,486,586)とを有しており、該延長部(86,286,386,486,586)が、カートリッジ壁(32,132,232,332,432)に面した側壁に開口(85,285,385,485,585)を有しており、送出管(80,280,380,480,580)の内部に、開口(85,285,385,485,585)から送出管先端部(81,281,381,481,581)にまで、連続した接続部が延びており、該接続部内に、有利にはスタティックミキサ(88,388,588)が配置されており、延長部(86,286,386,486,586)の外径が、混合室(20,120,220,320,420,520,620)の内径よりも小さいかまたは混合室(20,120,220,320,420,520,620)の内径に等しくかつクロージャ(60,260,360,460,560,660)の内径よりも大きく寸法設定されているのに対して、混合室(20,120,220,320,420,520,620)の内部に位置する送出管(80,280,380,480,580)の残部が、クロージャ(60,260,360,460,560,660)の内径よりも小さな外径を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項14】
カートリッジシステム頭部(50,250,350,450,550,650)、特に流出開口(22,322,422,622)の領域にストッパ(374)が設けられており、圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)および/または送出管(80,280,380,480,580)が、圧縮空気または加圧空気で押圧可能である、請求項13記載のカートリッジシステム。
【請求項15】
圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)に底部側で1つのプレート(695)および/または少なくとも1つのウェブ(65,165)が固く結合されており、該プレート(695)および/または該少なくとも1つのウェブ(65,165)にロック手段(70,71,693)が結合されており、該ロック手段(70,71,693)が、混合室(20,120,220,320,420,520,620)内に達していて、そこで対応ロック手段(72,694)に係合しており、これによって、カートリッジ底部(33,333)の方向へのプレート(695)および/または少なくとも1つのウェブ(65,165)と圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)との運動が阻害されており、混合室(20,120,220,320,420,520,620)の内部にアンロック装置(691)が設けられており、該アンロック装置(691)が、摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)に固く結合されており、これによって、前記終端位置への摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)の摺動時にロック手段(70,71,693)のロック解除が行われるようになっており、これによって、カートリッジ底部(33,333)の方向へのプレート(695)および/または少なくとも1つのウェブ(65,165)と圧送ピストン(62,162,262,362,462,562,662)との運動が可能である、請求項1から14までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載のカートリッジシステムに用いられる送出管(80,280,380,480,580)において、該送出管(80,280,380,480,580)が、該送出管(80,280,380,480,580)の送出管先端部(81,281,381,481,581)に対して延長部(86,286,386,486,586)を有しており、該延長部(86,286,386,486,586)の直径が、混合室(20,120,220,320,420,520,620)の内径よりも小さく設定されており、延長部(86,286,386,486,586)が、前記カートリッジシステムのカートリッジシステム頭部(50,250,350,450,550,650)内への送出管(80,280,380,480,580)の挿入時に、摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)を摺動させるために設計されており、これによって、カートリッジ(30,230,330,430,530,630)の開口(40,240,340,440,540,640)が、少なくとも部分的に開放されていることを特徴とする、カートリッジシステムに用いられる送出管。
【請求項17】
延長部(86,286,386,486,586)が、開口(85,285,385,585)を備えた中空体、特に中空円筒体であり、前記カートリッジシステム内での送出管(80,280,380,580)の運転準備位置において、カートリッジ(30,230,330,530,630)の開口(40,240,340,540,640)が、延長部(86,286,386,586)に設けられた開口(85,285,385,585)に少なくとも部分的に重ねられており、これによって、カートリッジ(30,230,330,530,630)の内室が、混合室(20,120,220,320,520,620)に開口(40,240,340,540,640)を通じて接続されている、請求項16記載の送出管。
【請求項18】
送出管(80,280,480,580)が、固定手段(82,282,482,582)、有利にはピン(282)またはねじ山(82)、特に雄ねじ山(82)を有している、請求項16または17記載の送出管。
【請求項19】
送出管(80,280,380,480,580)が、スタティックミキサ(88,388,588)を有している、請求項16から18までのいずれか1項記載の送出管。
【請求項20】
送出管(80,280,380,480,580)が、摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)に固く結合されており、これによって、送出管(80,280,380,480,580)と摺動可能なクロージャ(60,260,360,460,560,660)とが、前記カートリッジシステムの1つの共通の部材を形成している、請求項16から19までのいずれか1項記載の送出管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−235961(P2011−235961A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103859(P2011−103859)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(508316210)ヘレーウス メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Medical GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp−Reis−Str. 8/13, D−61273 Wehrheim, Germany
【Fターム(参考)】