説明

カートリッジ

【課題】検知ギヤの回転状態を確認することができるカートリッジを提供する。
【解決手段】現像カートリッジ7の検知ギヤ90は、ギヤ歯部93と欠け歯部94とを有する。検知ギヤ90は、ギヤ歯部93がアジテータギヤ75Gと対向する第1の位置と、欠け歯部94がアジテータギヤ75Gと対向する第2の位置との間で回転可能に構成されている。検知突起95は、第1の位置および第2の位置において筐体70とカバー体100の間に位置し、検知ギヤ90が第1の位置から第2の位置へ回転する間に画像形成装置の光学式センサ220により検知される。カバー体100は、検知突起95を光学式センサ220により検知させるための第1の開口110と、第1の開口110とは別に設けられた第2の開口120とを有する。検知ギヤ90は、第1の位置にあるときと第2の位置にあるときとで第2の開口120からの見え方が異なるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に着脱可能に装着されるカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、現像剤が収容され、プリンタなどの画像形成装置に着脱可能に装着されるカートリッジが知られている。このようなカートリッジおよび当該カートリッジが装着される画像形成装置には、装着されたカートリッジが新品であるか否か検知(新品検知)するための構成を備えるものがある。例えば、特許文献1には、カートリッジ(現像カートリッジ)の検出ギヤに設けられた当接突起が、画像形成装置内に設けられたアクチュエータに当接した場合に、カートリッジが新品であると検知する機構が開示されている。
【0003】
より詳細に、特許文献1の検出ギヤは、欠け歯ギヤとなっており、新品状態では歯部がアジテータ駆動ギヤと噛み合い、当接突起がアクチュエータに当接可能な位置に配置されている。そして、カートリッジが画像形成装置に装着されてウォーミングアップ動作(ガラ回し動作)が実行されると、検出ギヤが回転し、当接突起がアクチュエータと当接不能な位置に変位するとともに、欠け歯部がアジテータ駆動ギヤと向かい合って駆動の伝達が切断されるようになっている。
【0004】
このような構成により、新品状態のカートリッジを画像形成装置に装着した場合には、当接突起がアクチュエータに当接するので、カートリッジは新品であると検知され、例えば、使用済みのカートリッジを画像形成装置から取り外して再度装着した場合には、当接突起がアクチュエータに当接しないので、カートリッジは旧品であると検知されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−267994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記したような構成では、検知ギヤ(検知用の回転体)の回転状態、例えば、新品検知が行われているか否かなどを、外部から視認しにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、検知用の回転体(第1回転体)の回転状態を確認することができるカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明のカートリッジは、現像剤を収容する筐体と、外部の検知手段により検知可能な被検知部を有し、筐体に回転可能に設けられる第1回転体と、筐体に回転可能に設けられ、外部から入力された駆動力を第1回転体に伝達可能な第2回転体と、第1回転体の外側に位置して筐体に取り付けられるカバー体とを備えている。
第1回転体は、第2回転体と対向したときに第2回転体から駆動力が伝達されることで第1回転体を回転させる伝達部と、第2回転体と対向したときに第2回転体からの駆動力を伝達不能とする非伝達部とを有している。
また、第1回転体は、伝達部が第2回転体と対向する第1の位置と、第1の位置から所定量回転した状態であり、非伝達部が第2回転体と対向する第2の位置との間で回転可能に構成されている。
被検知部は、第1の位置および第2の位置において筐体とカバー体の間に位置し、第1回転体が第1の位置から第2の位置へ回転する間に検知手段により検知される。
カバー体および筐体の少なくとも一方は、被検知部を検知手段により検知させるための第1の開口を形成している。
カバー体は、筐体と対向する壁に第1の開口とは別に設けられた第2の開口を有している。
そして、第1回転体は、第1の位置にあるときと第2の位置にあるときとで第2の開口からの見え方が異なるように構成されている。
【0009】
このような構成によれば、第1回転体は、伝達部が第2回転体と対向し、外部から駆動力の入力によって回転可能な第1の位置にあるときと、非伝達部が第2回転体と対向する回転不能な第2の位置にあるときとで、第2の開口からの見え方が異なるので、第1回転体の回転状態を確認することができる。
【0010】
前記したカートリッジにおいて、第1回転体は、周面が第2回転体と対向し、当該周面に伝達部と非伝達部とを有する構成とすることができる。
【0011】
また、前記したカートリッジにおいて、第1回転体は、第2の開口から、第1の位置にあるときに伝達部および非伝達部のうちの一方が見え、第2の位置にあるときに伝達部および非伝達部のうちの他方が見えるように構成することができる。
【0012】
このような構成によれば、第1回転体は、例えば、第1の位置にあるときには第2の開口から伝達部が見え、第2の位置にあるときには第2の開口から非伝達部が見えるので、各位置における第2開口からの見え方の違いにより、第1回転体の回転状態を確認することができる。
【0013】
前記した第1回転体が周面に伝達部と非伝達部とを有するカートリッジにおいて、第2回転体は、歯車であり、第1回転体は、第2回転体のギヤ歯と噛み合い可能な伝達部としてのギヤ歯部と、ギヤ歯が設けられていない非伝達部としての欠け歯部とを有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成では、第1回転体は、例えば、第1の位置にあるときに第2の開口からギヤ歯部を視認することができ、第2の位置にあるときに第2の開口から欠け歯部を視認することができる。このような第2開口からの見え方の違いにより、第1回転体の回転状態を確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1回転体は、第1の位置にあるときと第2の位置にあるときとで第2の開口からの見え方が異なるように構成されているので、第1回転体の回転状態を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカートリッジが装着されたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】新品状態の現像カートリッジの側面図(a)と、カバー体を外した状態の側面図(b)である。
【図3】旧品状態の現像カートリッジの側面図(a)と、カバー体を外した状態の側面図(b)である。
【図4】検知突起が形状を回復させて第1の開口から突出した状態の現像カートリッジの斜視図であり、カバー体を取り付けた状態を示す図(a)と、カバー体を外した状態を示す図(b)である。
【図5】図2(b)に示す状態の現像カートリッジの左側面を下側から見た斜視図である。
【図6】検知突起が形状を回復させる直前の現像カートリッジの側面図である。
【図7】図4(a)に示す検知突起が形状を回復させて第1の開口から突出した状態の現像カートリッジの側面図である。
【図8】第2実施形態に係る検知ギヤの斜視図(a)と、第2実施形態に係るカートリッジの新品検知時の動作を示す図(b)〜(d)である。
【図9】第1回転体の変形例としての摩擦車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、実施形態に係るカートリッジの一例としての現像カートリッジ7が着脱可能に装着されるレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分に係る現像カートリッジ7の詳細な構成について説明する。
【0018】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0019】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2(画像形成装置本体)内に、用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上のトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0020】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0021】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部やポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0022】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像カートリッジ7とから構成されている。
【0023】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。
【0024】
現像カートリッジ7は、ドラムユニット6に対して着脱自在となっており、ドラムユニット6に装着された状態、すなわち、プロセスカートリッジ5として本体筐体2に対し着脱可能に装着されるように構成されている。この現像カートリッジ7は、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部74と、アジテータ75とを主に備えている。
【0025】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、アジテータ75によって撹拌されながら、まず供給ローラ72に供給され、次いで供給ローラ72から現像ローラ71に供給される。そして、現像ローラ71の回転に伴って、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0026】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0027】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。この定着装置8では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過する間に熱定着させている。トナー像が熱定着された用紙Sは、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。
【0028】
<現像カートリッジの詳細構成>
次に、現像カートリッジ7の詳細な構成について説明する。なお、以下の現像カートリッジ7の構成の説明においては、新品状態(筐体70にトナーが充填されて出荷されるときの状態(本実施形態では検知ギヤ90が第1の位置にあるとき))の現像カートリッジ7について主に説明する。
【0029】
図2(a),(b)に示すように、現像カートリッジ7は、前記した現像ローラ71などのほか、さらに、筐体70と、駆動伝達機構76と、第1回転体の一例としての検知ギヤ90と、カバー体100とを備えている。
【0030】
筐体70は、現像ローラ71や供給ローラ72、アジテータ75などを回転可能に支持するとともに、トナーを収容するトナー収容部74を形成している。この筐体70の左側面には、駆動伝達機構76や検知ギヤ90を覆うように、カバー体100が取り付けられている。
【0031】
駆動伝達機構76は、現像カートリッジ7の外部から入力される駆動力を現像ローラ71、供給ローラ72およびアジテータ75に伝達するための機構であり、筐体70の左側面に設けられている。この駆動伝達機構76は、本体筐体2内に設けられた駆動出力部材26(図5参照)から駆動力が入力される入力ギヤ73Gと、入力ギヤ73Gと噛み合う現像ローラギヤ71Gおよび供給ローラギヤ72Gと、入力ギヤ73Gに中間ギヤ74Gを介して噛み合うアジテータギヤ75Gとから構成され、各ギヤ71G〜75Gが筐体70に対して回転可能に設けられている。
【0032】
現像ローラギヤ71G、供給ローラギヤ72Gおよびアジテータギヤ75Gは、それぞれ、現像ローラ71、供給ローラ72およびアジテータ75を回転駆動させるギヤであり、現像ローラ71、供給ローラ72およびアジテータ75の各回転軸の端部に一体に設けられている。なお、本実施形態において、アジテータギヤ75Gは、外部(駆動出力部材26)から入力された駆動力を検知ギヤ90に伝達可能な歯車としての第2回転体の一例である。
【0033】
検知ギヤ90は、円筒状の軸部91と、軸部91の周囲に形成された略円板状のギヤ部92と、後述する検知機構200により検知可能な被検知部の一例としての検知突起95とを主に備えている。
【0034】
軸部91は、筐体70の左側面に設けられたボス状の回転軸70Aに係合する部分である。検知ギヤ90は、軸部91が回転軸70Aと係合することで、筐体70に対して回転可能に設けられている(軸支されている)。
【0035】
ギヤ部92は、周面がアジテータギヤ75Gと対向するように配設され、当該周面に、ギヤ歯が設けられた伝達部の一例としてのギヤ歯部93と、ギヤ歯が設けられていない非伝達部の一例としての欠け歯部94とを有している。
【0036】
図2(b)に示す、現像カートリッジ7が新品状態のとき、ギヤ部92は、ギヤ歯部93がアジテータギヤ75Gと対向してアジテータギヤ75Gのギヤ歯と噛み合っている。したがって、ギヤ歯部93がアジテータギヤ75Gと対向したときには、アジテータギヤ75Gから駆動力が伝達されることで、検知ギヤ90を回転させることができるようになっている。
【0037】
一方、図3(b)に示すように、現像カートリッジ7が旧品状態のとき、ギヤ部92は、欠け歯部94がアジテータギヤ75Gと対向し、アジテータギヤ75Gのギヤ歯とは噛み合っていない。したがって、欠け歯部94がアジテータギヤ75Gと対向したときには、アジテータギヤ75Gからの駆動力を伝達不能とすることができるので、検知ギヤ90を回転させないようにすることができる。
【0038】
検知ギヤ90は、現像カートリッジ7が新品状態のとき、図2(b)に示すように、ギヤ歯部93がアジテータギヤ75Gと対向する姿勢となっている(以下、本実施形態では、この状態を「第1の位置」という。)。また、検知ギヤ90は、現像カートリッジ7が旧品状態のとき、図3(b)に示すように、欠け歯部94がアジテータギヤ75Gと対向する姿勢となっている(この状態を「第2の位置」という。)。そして、検知ギヤ90は、第1の位置と第2の位置との間で回転可能に構成されている。
【0039】
図4(b)に示すように、検知突起95は、ギヤ部92の左側面のうち、軸部91(検知ギヤ90の回転中心)から径方向にずれた位置、より詳細には、ギヤ部92における欠け歯部94を周面として有する部分から左側(外側)に向けて突出しており、細長い丸棒状をなしている。この検知突起95は、ゴムやウレタンフォームなどから形成されており、弾性を有している。
【0040】
検知突起95は、図2に示す第1の位置および図3に示す第2の位置において、筐体70とカバー体100との間に位置しており、このとき、図5に示すように、その先端がカバー体100(図5では図示省略)の内面に当接することで、略L形状に弾性変形した状態で収容されている。そして、検知突起95は、図4(a),(b)に示すように、検知ギヤ90が第1の位置から第2の位置に向けて回転する途中で、カバー体100に設けられた第1の開口110から、形状を回復させて突出することで、後述するにアクチュエータ210当接し、光学式センサ220(検知手段)により検知されることとなる。
【0041】
図2(a)に戻り、カバー体100は、駆動伝達機構76および検知ギヤ90の外側に位置しており、駆動伝達機構76(詳細には、ギヤ72G〜75G)および検知ギヤ90を覆うように筐体70に取り付けられている。このカバー体100は、筐体70と対向する壁(符号省略)に、略扇形状の第1の開口110と、略円形状の第2の開口120とを有している。
【0042】
第1の開口110は、検知突起95を検知機構200により検知させるための開口、具体的には、検知突起95をカバー体100の外部に突出させるための開口である(図4(a)参照)。この第1の開口110は、検知ギヤ90の軸部91の上側で、検知ギヤ90(ギヤ部92)の左側面が臨めるように形成されている。
【0043】
第2の開口120は、第1の開口110とは別に設けられた、検知ギヤ90の回転状態(第2の位置にあるか否か)を確認するための開口である。この第2の開口120は、第1の開口110の前側で、ギヤ部92の周面の一部が臨めるように形成されている。
【0044】
本発明において、検知ギヤ90は、図2に示す第1の位置にあるとき(新品状態のとき)と、図3に示す第2の位置にあるとき(旧品状態のとき)とで、第2の開口120からの見え方が異なるように構成されている。具体的に、検知ギヤ90は、第2の開口120から、図2に示す第1の位置にあるときにギヤ歯部93の一部が見え、図3に示す第2の位置にあるときに欠け歯部94の一部が見えるように構成されている
【0045】
言い換えると、検知ギヤ90のギヤ部92の周面は、第1の位置にあるときの第2の開口120に対応する部分にギヤ歯が形成されており、第2の位置にあるときの第2の開口120に対応する部分にはギヤ歯が形成されていない構成となっている。
【0046】
<レーザプリンタの新品検知に関する構成>
ここで、レーザプリンタ1の新品検知に関する構成について簡単に説明する。なお、このような新品検知の構成としては、公知の構成を採用することができるので、本明細書では詳細な説明を省略する。
レーザプリンタ1は、図示しない駆動機構と、検知機構200とを備えている。
【0047】
駆動機構は、図示しないモータと、駆動出力部材26(図5参照)と、モータの駆動力を駆動出力部材26に伝達する複数のギヤとを主に備えている。駆動出力部材26は、例えば、フロントカバー21の開閉に連動して左右に進退するように構成されており、現像カートリッジ7(プロセスカートリッジ5)を本体筐体2に装着し、フロントカバー21を閉じることで入力ギヤ73Gに係合する。これにより、駆動力が現像カートリッジ7に伝達可能となる。
【0048】
図2(a)に示すように、検知機構200は、アクチュエータ210と、検知手段の一例としての光学式センサ220と、図示しない制御装置とを主に備えている。
【0049】
アクチュエータ210は、本体筐体2に揺動可能に支持される揺動軸211と、揺動軸211から下方に延びる当接アーム212と、揺動軸211から後斜め下方に延びる遮光アーム213とを有している。このアクチュエータ210は、図示しないバネによって、常時、図2(a)に示す非検知姿勢に付勢されている。また、アクチュエータ210は、第1の開口110から突出した検知突起95が当接アーム212に当接することで図の時計回り方向に揺動して検知姿勢(図7参照)となる。
【0050】
光学式センサ220は、左右に対向配置された発光素子と受光素子とを主に有し、アクチュエータ210が非検知姿勢のとき、発光素子からの光が遮光アーム213によって遮られ、アクチュエータ210が検知姿勢のとき(図7参照)、光が受光素子で受光されるようになっている。受光素子は光を受光したときに、所定の信号を制御装置に出力する。
【0051】
制御装置は、レーザプリンタ1の動作を制御する装置であり、さらに、現像カートリッジ7が新品であるか否かを判定する機能を有している。また、制御装置は、現像カートリッジ7が装着されたときに(例えば、フロントカバー21の閉動作を検知するセンサから閉信号が入力されたとき)や、画像データが入力されたとき、レーザプリンタ1の電源を入れたときなどにガラ回し動作を実行する。
【0052】
この制御装置は、ガラ回し動作の実行中において、光学式センサ220(受光素子)から所定の信号が出力されたときには、現像カートリッジ7が新品であると判定し、所定の信号が出力されなかったときには、現像カートリッジ7が旧品であると判定する。
【0053】
なお、本実施形態において、「ガラ回し動作」とは、現像カートリッジ7が装着されたときや画像形成動作の前などに実行される、現像ローラ71や供給ローラ72、アジテータ75などを予備的に回転駆動させる動作である。これにより、トナー収容部74内のトナーが撹拌され、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給されることとなる。
【0054】
<検知ギヤの動作>
次に、検知ギヤ90の動作について説明する。
図2(a)に示すように、現像カートリッジ7が新品状態のとき(検知ギヤ90が第1の位置にあるとき)、カバー体100の第2の開口120からは、ギヤ部92の周面に形成されたギヤ歯(ギヤ歯部93)の一部が見えている。
【0055】
新品状態の現像カートリッジ7(プロセスカートリッジ5)が装着され、ガラ回し動作が実行されると、アジテータギヤ75G(駆動伝達機構76)を介して検知ギヤ90のギヤ歯部93に駆動力が伝達され、検知ギヤ90が回転する。そして、図6に示すように、検知ギヤ90の回転により検知突起95が第1の開口110に到達すると、図7(図4も参照)に示すように、弾性変形していた検知突起95が形状を回復させて第1の開口110から突出することで、アクチュエータ210の当接アーム212に当接し、アクチュエータ210を揺動させる。
【0056】
これにより、光学式センサ220によって、アクチュエータ210の揺動が検知されるので、制御装置では現像カートリッジ7が新品であると判定されることとなる。
その後、検知突起95は、検知ギヤ90のさらなる回転により、第1の開口110の縁に当接し、弾性変形しながら、筐体70とカバー体100との間に入り込むので、アクチュエータ210は、非検知姿勢へと戻ることとなる。
【0057】
そして、図3(a),(b)に示すように、検知ギヤ90の欠け歯部94がアジテータギヤ75Gに対向すると、検知ギヤ90には駆動力が伝達されなくなるので、検知ギヤ90は停止し、以後、駆動伝達機構76が駆動しても回転しなくなる旧品状態となる。さらに述べると、旧品状態の現像カートリッジ7(プロセスカートリッジ5)が装着され、ガラ回し動作が実行されても、検知ギヤ90が回転しないことでアクチュエータ210の揺動が検知されないため、制御装置では現像カートリッジ7が旧品であると判定されることとなる。
【0058】
現像カートリッジ7が旧品状態のとき(検知ギヤ90が第2の位置にあるとき)、カバー体100の第2の開口120からは、ギヤ部92の周面のギヤ歯が形成されていない部分(欠け歯部94)の一部が見える。
【0059】
以上説明した現像カートリッジ7によれば、検知ギヤ90は、新品状態のとき(第1の位置にあるとき)と、旧品状態のとき(第2の位置にあるとき)とで、第2の開口120からの見え方が異なるので、検知ギヤ90の回転状態を確認することができる。
【0060】
さらに述べると、本実施形態の現像カートリッジ7のように、本体筐体2から取り外した状態で検知突起95が外部から視認できない場合であっても、検知ギヤ90が第2の位置にあるか否かを確認することができる。具体的には、第2の開口120からギヤ歯部93が視認された場合には、検知ギヤ90が第2の位置にないと確認することができ、第2の開口120から欠け歯部94が視認された場合には、検知ギヤ90が第2の位置にあると確認することができる。そして、検知ギヤ90が第2の位置にあるときには、すでに新品検知が行われているということなので、検知ギヤ90が第2の位置にあるか否かを確認できることで、新品検知が行われているか否かを確認することができる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図8を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、適宜図示やその説明を省略することとする。
【0062】
また、図8(b)〜(d)においては、カバー体100の筐体70と対向する壁の一部(側壁102に囲まれた部分)の図示を省略しているが、アジテータギヤ75Gおよび検知ギヤ90は、筐体70と対向する壁によって覆われており、外部から視認できないようになっている。つまり、図8(b)〜(d)において、側壁102によって囲まれた部分は、外部から視認できないようになっている。
【0063】
前記した第1実施形態では、被検知部の一例としての検知突起95が、検知ギヤ90が第1の位置から第2の位置に向けて回転している途中で、カバー体100の第1の開口110から外部に突出するように構成されていた。本実施形態は、被検知部が外部に突出しない構成である。
【0064】
具体的に、図8(a)に示すように、本実施形態の検知ギヤ90は、軸部91と、ギヤ歯部93および欠け歯部94を有するギヤ部92と、被検知部の他の例としての検知突起96とを主に備えている。
【0065】
検知突起96は、ギヤ部92の側面のうち検知ギヤ90の回転中心から径方向にずれた位置から外側に向けて突出しており、側面視略扇形状をなしている。この検知突起96は、前記実施形態の検知突起95とは異なり、弾性を有するものではなく、例えば、樹脂製のギヤ部92と一体に形成されている。
【0066】
図8(b)に示すように、本実施形態のカバー体100は、側壁102に形成された第1の開口110と、筐体70と対向する壁に形成された第2の開口120(破線参照)とを有している。
【0067】
第1の開口110は、図8(b)に示した白抜きの矢印の方向に向けて現像カートリッジ7(プロセスカートリッジ5)を本体筐体2に装着したときに、検知ギヤ90とカバー体100との間に、アクチュエータ210の当接アーム212が入り込むことができるようにする開口である。
【0068】
本実施形態においても、検知ギヤ90は、図8(b)に示す第1の位置にあるとき(新品状態のとき)と、図8(d)に示す第2の位置にあるとき(旧品状態のとき)とで、第2の開口120からの見え方が異なるように構成されている。具体的に、本実施形態の検知ギヤ90は、第2の開口120から、第1の位置にあるときにギヤ歯部93の一部が見え、第2の位置にあるときに全く見えない(筐体70の側面のみが見える)ように構成されている
【0069】
新品状態の現像カートリッジ7に駆動力が入力されると、図8(c)に示すように、検知ギヤ90が回転し、第2の位置に向かう途中で検知突起96が当接アーム212に当接するので、現像カートリッジ7は新品であると判定されることとなる。
【0070】
以上説明した本実施形態によっても、検知ギヤ90は、第1の位置にあるときと、第2の位置にあるときとで第2の開口120からの見え方(本実施形態では、検知ギヤ90が見えるか否か)が異なるので、検知ギヤ90の回転状態を確認することができる。
【0071】
なお、本実施形態においては、カバー体100のみが、検知突起96(被検知部)を検知機構200により検知させるための第1の開口110を形成していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カバー体100の側壁102に形成された切欠と筐体70の側面が第1の開口を形成していてもよいし、筐体70のみが第1の開口を形成していてもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0073】
前記第1実施形態では、検知ギヤ90(第1回転体)は、第2の開口120から、第1の位置にあるときにギヤ歯部93(伝達部)が見え、第2の位置にあるときに欠け歯部94(非伝達部)が見えるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1回転体は、第2の開口から、第1の位置にあるときに非伝達部が見え、第2の位置にあるときに伝達部が見えるように構成されていてもよい。
【0074】
前記実施形態では、検知ギヤ90(第1回転体)は、第2の開口120から、その周面付近が見えるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1回転体は、側面に貫通孔を形成し、第2の開口から、第1の位置にあるときに側面(貫通孔が形成されていない部分)が見え、第2の位置にあるときに貫通孔(または貫通孔を通して筐体の側面のみ)が見えるように構成されていてもよい。
【0075】
また、第1回転体は、側面の一部に色をつけ、第2の開口から、第1の位置にあるときに側面の地の色の部分(色を付けていない部分)が見え、第2の位置にあるときに側面のつけた色の部分が見えるように構成されていてもよい。
【0076】
前記実施形態では、検知ギヤ90(第1回転体)は、アジテータギヤ75G(第2回転体)と対向する周面に、ギヤ歯部93(伝達部)と欠け歯部94(非伝達部)とを有する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1回転体は、側面が第2回転体の側面と対向し、当該側面に伝達部と非伝達部とを有する構成であってもよい。具体的には、第1回転体は、一部に歯が形成されていない(非伝達部を有する)、かさ歯車や冠歯車(クラウンギヤ)のような構成であってもよい。
【0077】
前記実施形態では、第1回転体として、ギヤ部92を備える検知ギヤ90を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1回転体として、図9に示すように、摩擦車190を採用してもよい。補足すると、摩擦車190は、前記実施形態のギヤ部92の代わりに、径の異なる2つの略円弧状の板状部材を組み合わせたような形状のベルト支持部192を有しており、このベルト支持部192の外周に無端状のゴムベルト97が張設されることで構成されている。
【0078】
そして、摩擦車190のうち、ゴムベルト97が張設されたベルト支持部192の大径部の周面は、アジテータギヤ75Gなどの第2回転体と対向したときに駆動力が伝達される伝達部193となっており、ベルト支持部192の小径部の周面は、第2回転体と対向したときに駆動力が伝達されない非伝達部194となっている。
【0079】
前記実施形態では、第2回転体としてアジテータギヤ75G(平歯車)を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図示はしないが、アジテータギヤ75Gと検知ギヤ90との間にさらに駆動力伝達用のギヤが設けられている場合、このギヤが第2回転体となる。また、第2回転体として、かさ歯車や冠歯車、摩擦車、無端状のベルト、無端状のチェーンなどを採用してもよい。
【0080】
前記実施形態では、第1の位置を、現像カートリッジ7が新品状態のときの検知ギヤ90(第1回転体)の位置としたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明において、第1の位置は、被検知部が外部の検知手段により検知される前の第1回転体の位置であれば、特に限定されるものではない。したがって、第1の位置は、新品状態のとき位置や、検知手段により検知される直前の位置など、ある1つの位置(姿勢)であってもよいし、新品状態の位置から検知手段により検知される直前の位置までのすべての位置、すなわち、ある幅を持った位置(状態)であってもよい。
【0081】
前記実施形態では、カートリッジとして、現像ローラ71やトナー収容部74などを備える現像カートリッジ7を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像ローラやトナー収容部などのほかに、さらに感光体ドラムなどを備えるプロセスカートリッジであってもよいし、トナー収容部とアジテータを備える(現像ローラを備えない)トナーカートリッジであってもよい。
【0082】
前記実施形態で示した、検知ギヤ90の検知突起95を検知する構成(レーザプリンタ1の新品検知の構成)は一例であり、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではない。すなわち、画像形成装置の新品検知の構成は、前記したとおり、広く公知の構成を採用することができる。なお、第1回転体の被検知部の具体的な構成は、画像形成装置の新品検知の構成に対応させて適宜変更することができる。
【0083】
前記実施形態では、本発明のカートリッジが装着される画像形成装置として、モノクロ画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、カラー画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
7 現像カートリッジ
70 筐体
75G アジテータギヤ
90 検知ギヤ
92 ギヤ部
93 ギヤ歯部
94 欠け歯部
95 検知突起
100 カバー体
110 第1の開口
120 第2の開口
210 アクチュエータ
220 光学式センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する筐体と、
外部の検知手段により検知可能な被検知部を有し、前記筐体に回転可能に設けられる第1回転体と、
前記筐体に回転可能に設けられ、外部から入力された駆動力を前記第1回転体に伝達可能な第2回転体と、
前記第1回転体の外側に位置して前記筐体に取り付けられるカバー体と、を備えたカートリッジであって、
前記第1回転体は、前記第2回転体と対向したときに前記第2回転体から駆動力が伝達されることで前記第1回転体を回転させる伝達部と、前記第2回転体と対向したときに前記第2回転体からの駆動力を伝達不能とする非伝達部と、を有し、
前記第1回転体は、前記伝達部が前記第2回転体と対向する第1の位置と、前記第1の位置から所定量回転した状態であり、前記非伝達部が前記第2回転体と対向する第2の位置との間で回転可能に構成され、
前記被検知部は、前記第1の位置および前記第2の位置において前記筐体と前記カバー体の間に位置し、前記第1回転体が前記第1の位置から前記第2の位置へ回転する間に前記検知手段により検知され、
前記カバー体および前記筐体の少なくとも一方は、前記被検知部を前記検知手段により検知させるための第1の開口を形成し、
前記カバー体は、前記筐体と対向する壁に前記第1の開口とは別に設けられた第2の開口を有し、
前記第1回転体は、前記第1の位置にあるときと前記第2の位置にあるときとで前記第2の開口からの見え方が異なるように構成されていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記第1回転体は、周面が前記第2回転体と対向し、当該周面に前記伝達部と前記非伝達部とを有することを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第1回転体は、第2の開口から、前記第1の位置にあるときに前記伝達部および前記非伝達部のうちの一方が見え、前記第2の位置にあるときに前記伝達部および前記非伝達部のうちの他方が見えるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第2回転体は、歯車であり、
前記第1回転体は、前記第2回転体のギヤ歯と噛み合い可能な前記伝達部としてのギヤ歯部と、ギヤ歯が設けられていない前記非伝達部としての欠け歯部とを有することを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−247765(P2012−247765A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122007(P2011−122007)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】