説明

カード用コネクタ

【課題】構成部品が少なく、カードを確実にロックするカード用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、板状のハウジング2とカバー3を備える。ハウジング2は、カード1が挿抜される凹部21を形成する。カバー3は、ハウジング2の凹部21を覆う平坦面30を有する。カード1は、一方の端部に並設配置された接続端子と、一方の側面の途上に形成された略方形の溝部1bと、を有する。ハウジング2は、凹部21の底面から接点4aが突出して接続端子に接触するコンタクトを有する。カバー3は、突片3aと一対の板ばね片3b・3bを有する。突片3aは、平坦面30から部分的に突出しており、溝部1bに係合してカード1の脱落を防止する。板ばね片3bは、突片3aが溝部1bに係合するように、カバー3の内面に向けてカード1の一方の面に力を付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関する。特に、本発明は、超小型メモリカードであるmicroSD(Secure Digital)カードなどのメモリカードが挿入されることによって、当該メモリカードと電気的に接続するカード用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カード型の記憶装置であるメモリカードは、記憶媒体としてフラッシュメモリを採用している。メモリカードは非常に小型であり、データの読み書きにほとんど電力を消費しないため、例えば、カメラ付き携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)に代表される携帯型情報機器の記録メディアとして普及している。
【0003】
フレキシブルディスク(FD)や光磁気ディスク(MO)などのディスク型の記憶装置に比較して、このメモリカードは記憶容量が小さく、又、高価であるとされてきた。しかし、近年の技術進歩やメモリカードを使用する機器の普及に伴う量産効果により、記憶容量も大きくなり、低価格となってきている。
【0004】
更に、メモリカードは、データの読み書きにFDやMOなどのように駆動装置を必要としないというメリットがあるため、消費電力や携帯性が重要視されるデジタルカメラやノート型パソコン、携帯音楽プレーヤーには好適である。
【0005】
このようなメモリカード用のコネクタとして、ハウジングにカードを挿入するための挿入力を低減し、かつ、ハウジングへカードを確実にロックすることができ、更に、カード排出時のカードの飛び出しを防止可能なカード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1によるカード用コネクタは、カードが挿抜されるハウジングとハウジングにカードを挿着したときにカードの接点と接触するコネクタ端子を備えている。又、特許文献1によるカード用コネクタは、カードの挿入、排出に伴って、カードの挿抜方向に移動するスライダとスライダをカードの挿入方向へ付勢する第1コイルばね、及びスライダをカードの排出方向へ付勢する第2コイルばねを備えている。そして、第1コイルばね及び第2コイルばねは、スライダ及びハウジングにそれぞれ常に接触している。
【特許文献1】特開2007−200815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によるカード用コネクタは、いわゆる、プッシュ・プッシュ型のイジェクト機構付きカード用コネクタと呼ばれ、カードをコネクタに挿入(プッシュ)するとロックされる。又、カードを押すと、ロックが解除されてカードがコネクタから排出される。
【0008】
しかし、このようなイジェクト機構付きカード用コネクタは、カードの挿抜方向に移動するスライダ、このスライダに設けられたハート状のカム溝を案内する案内棒、及びスライダを付勢するコイルばねを少なくとも備えている。したがって、カード用コネクタの製造原価を高くする要因となっている。
【0009】
構成部品を少なくして、かつ、カードを確実にロックするカード用コネクタが実現できれば、カード用コネクタの製造原価を低減することも可能になる。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、構成部品を少なくして、かつ、カードを確実にロックするカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、カードの側面に形成する溝部を利用してロックすると共に、カードの端部を押し下げることによりロックが解除する仕組みにより、これらの課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たなカード用コネクタを発明するに至った。
【0012】
(1) カードが挿抜される凹部を形成する板状のハウジングと、このハウジングの凹部を覆う平坦面を有するカバーと、を備えるカード用コネクタであって、前記カードは、一方の面の一方の端部に並設配置された接続端子と、一方の側面の途上に形成された略方形の溝部と、を有し、前記ハウジングは、前記凹部の底面から接点が突出して前記接続端子に接触するコンタクトを有し、前記カバーは、前記平坦面から部分的に突出する突片であって、前記溝部に係合して当該カードの脱落を防止する突片と、この突片が前記溝部に係合するように、当該カバーの内面に向けて当該カードの一方の面に力を付勢する付勢手段と、を有するカード用コネクタ。
【0013】
(1)の発明によるカード用コネクタは、板状のハウジングとカバーを備えている。ハウジングは、カードが挿抜される凹部を形成している。カバーは、ハウジングの凹部を覆う平坦面を有している。
【0014】
カードは、複数の接続端子と略方形の溝部を有している。複数の接続端子は、カードの一方の面の一方の端部に並設配置されている。溝部は、カードの一方の側面の途上に形成されている。ハウジングは、接続端子に接触するコンタクトを有している。コンタクトは、凹部の底面から接点が突出している。
【0015】
カバーは、突片と付勢手段を有している。突片は、前記平坦面から部分的に突出しており、溝部に係合してカードの脱落を防止する。付勢手段は、突片が溝部に係合するように、カバーの内面に向けてカードの一方の面に力を付勢する。
【0016】
ここで、ハウジングは絶縁性を有している。絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性のハウジングを得ることができる。
【0017】
そして、ハウジングの凹部に複数のコンタクトが並設配置されている。並設とは、近接して一列に揃え、並べて設けることを意味している。コンタクトは導電性を有しており、導電性の金属板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、所望の形状の導電性のコンタクトを得ることができる。コンタクトは加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定される訳ではない。
【0018】
一般に、カードは、絶縁性のプラスチック筐体の内部にICチップが収納されている。このICチップは、筐体の表面に貼り付けられた複数の金属箔に接続されている。そして、並設配置された複数の金属箔がカードの接続端子となっている。ここで、個別のコンタクトは、個別の金属箔端子と一対一に接続されてよく、機械的及び電気的に接続する。
【0019】
コンタクトは、ばねの働きが片持ち梁であるカンチレバーコンタクトが好ましく用いられる。コンタクトは、弾性アームと固定アームで構成されてよく、弾性アームは、凹部の底面から突出して、カードに形成された接続端子に接触する接点を設けてよく、固定アームは、凹部に圧入して固定することができる。
【0020】
又、コンタクトの固定アームは、ハウジングに一体にモールド成形して固定することもできる。リード部を固定アームの端部に形成してもよく、このリード部をプリント基板にはんだ接合することにより、このカード用コネクタを表面実装用コネクタとすることができる。
【0021】
ハウジングは、対向する一対の側壁と、一対の側壁と直交してカードの先端縁が当接する停止壁を有している。又、ハウジングは、一方の側壁に斜辺を設けてよく、この斜辺は、カードに形成された斜辺に適合するので、カードの誤挿入を防止できる。そして、一対の側壁、及び停止壁で囲われた薄直方体状の空間を「カードが挿抜される凹部」と規定できる。又、カード保持部とすることもできる。
【0022】
この凹部がカバーで覆われることにより、停止壁と対向してカードが挿入される長方形の開口が形成される。ここで、対向する一対の側壁の距離は、カードの幅よりも充分に広く、一対の側壁がカードの両翼を規制して、カードの正しい姿勢(傾き)が維持され、カードの接続端子とコンタクトとを正しく位置合わせできる。
【0023】
カバーは、例えば、金属薄板からなり、展開された金属薄板を成形加工することにより、所望の形状のカバーを得ることができる。カバーは、導電性の金属薄板からなることが好ましく、カバーの平坦面がハウジングを覆うことによりシールド効果が得られる。
【0024】
カバーは、一方の端部側の両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の第1折り曲げ片を構成してよく、これらの第1折り曲げ片に矩形穴を形成し、ハウジングの両側面に突出するランスに係止するようにしてもよい。
【0025】
又、カバーは、他方の端部側の両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の第2折り曲げ片を構成してよく、これらの第2折り曲げ片がカードの両側面をスライドして案内できる。
【0026】
突片は、カバーの他方の端部側の片翼に段付き加工されてよく、平坦面から部分的に突出している。そして、突片の傾斜面をカードの挿入側に配置して、カードの挿入を容易にしている。段付き加工された突片の段差をカードの引抜き方向と対向するように配置すれば、この突片が溝部に係合して、カードの脱落を防止できる。つまり、ロックできる。
【0027】
カバーは、前記一対の第2折り曲げ片が更に直角に折り曲げ加工されてよく、平坦面に対向する一対の対向片を形成できる。そして、これらの対向片に片持ち状の板ばね片を設けることにより、これらの板ばね片をカバーの内面に向けて当該カードの一方の面に力を付勢する付勢手段とすることができる。
【0028】
又、カバーは、一対の対向片をプリント基板にはんだ接合してよく、プリント基板との接合強度を補強でき、一対の対向片をプリント基板のグラウンドに接地することもできる。凹部と対向するカバーの平坦面には、カードが挿入されたことを確認する窓を設けてもよい。
【0029】
例えば、カードは、略矩形に形成されており、接続端子が配置される先端(一方の端部)側は、基端(他方の端部)側より幅が狭くなっている。カードの先端側は、平行する両側面の内、一方の側面が鈍角に開角された斜辺を形成し、基端側に平行する両側面の内の一方の側面に連続している。すなわち、カードの先端側は、一方の隅部が片刃状に切り欠かれた形状となっている。そして、略方形の溝部がカードの斜辺に隣接されている。
【0030】
カードをハウジングの凹部に挿入すると、斜辺が突片を乗り越えることができる。更に、カードを挿入して、カードの先端縁が停止壁に当接すると、突片が溝部に係合して、装着状態となる。この装着状態では、付勢手段がカバーの内面に向けてカードの一方の面に力を付勢しているので、溝部と突片の係合状態を容易に解除しない。つまり、カードの装着状態を確実に維持できる。
【0031】
カードの装着状態から、付勢手段の付勢力に抗して、カードの基端部を押すと、カードの先端縁を支点にカードを傾斜できる。そして、溝部と突片の係合が解除される。続いて、カードを引く抜くことによりカードをコネクタから離脱できる。
【0032】
このように、(1)の発明によるカード用コネクタは、従来のようにプッシュ・プッシュ型のイジェクト機構を構成することなく、カードを確実にロックするカード用コネクタが実現できる。(1)の発明によるカード用コネクタは、構成部品を少なくしているので、製造原価の低減に寄与できる。
【0033】
(2) 前記付勢手段は、前記カバーの両翼に設けられて、当該カバーの内面に向けて前記カードの一方の面の両翼に力を付勢する一対の板ばね片からなる(1)記載のカード用コネクタ。
【0034】
(3) 前記カバーは、展開された金属板を加工して前記突片及び前記一対の板ばね片を一体に形成する(2)記載のカード用コネクタ。
【0035】
(4) 前記カードの他方の面の他方の端部を押し下げて、前記溝部と前記突片との係合を解除する(1)から(3)のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【発明の効果】
【0036】
本発明によるカード用コネクタは、ハウジング、カバー、及び複数のコンタクトから構成しており、従来のようにプッシュ・プッシュ型のイジェクト機構を構成することなく、カードを確実にロックするカード用コネクタが実現できる。本発明によるカード用コネクタは、構成部品を少なくしているので、製造原価の低減に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0038】
図1は、本発明によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)の一実施形態を示す斜視分解組立図である。図2は、前記実施形態によるコネクタの斜視図であり、カードが装着された状態図である。図3は、前記実施形態によるコネクタの平面図である。
【0039】
図4は、前記実施形態によるコネクタの平面図であり、カードを装着する途上の状態図である。図5は、前記実施形態によるコネクタの平面図であり、カードを完全に装着した状態図である。図6は、前記実施形態によるコネクタの斜視図であり、カード及びコネクタを下面側から観ている。
【0040】
図7は、前記実施形態によるコネクタの斜視図であり、カードが装着された状態図である。図8は、前記実施形態によるコネクタの斜視図であり、図7の要部拡大図である。図9は、前記実施形態によるコネクタの右側面図である。
【0041】
図10は、携帯電話機の斜視図であり、前記実施形態によるコネクタが携帯電話機に実装された状態図である。図11は、図10の要部拡大図である。図12は、前記実施形態によるコネクタの縦断面図であり、カードがこのコネクタにロックした状態図である。図13は、前記実施形態によるコネクタの縦断面図であり、カードのロックが解除された状態図である。
【0042】
最初に、本発明の実施形態によるコネクタの構成を説明する。図1から図3を参照すると、コネクタ10は、板状のハウジング2とカバー3を備えている。ハウジング2は、カード1が挿抜される凹部21を形成している。カバー3は、ハウジング2の凹部21を覆う平坦面30を有している。ハウジング2は、絶縁性の合成樹脂材で矩形状に成形されている。
【0043】
図1又は図3を参照すると、カード1は、略矩形に形成されており、接続端子11(図6参照)が配置される先端(一方の端部)側は、基端(他方の端部)側より幅が狭くなっている。
【0044】
図1又は図3を参照すると、カード1の先端側は、平行する両側面の内、一方の側面が鈍角に開角された斜辺1aを形成し、基端側に平行する両側面の内の一方の側面に連続している。図示したカード1の先端側は、一方の隅部が片刃状に切り欠かれた形状となっている。そして、略方形の溝部1bがカード1の斜辺1aに隣接している。つまり、溝部1bは、カード1の一方の側面の途上に形成されている。
【0045】
図6に示されるように、複数の接続端子11は、カード1の一方の面の一方の端部に並設配置されている。一方、図1又は図3を参照すると、ハウジング2は、接続端子11に接触するコンタクト4を有している。コンタクト4は、凹部21の底面から接点4aが突出している。
【0046】
コンタクト4は、導電性を有しており、導電性の金属板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して形成されている。コンタクト4は、接続端子11と一対一に接続されてよく、機械的及び電気的に接続する。
【0047】
図1又は図3を参照すると、コンタクト4は、ばねの働きが片持ち梁であるカンチレバーコンタクトとなっている。コンタクト4は、弾性アームと固定アームで構成されており、弾性アームは、凹部21の底面から突出して、接続端子11に接触する接点4aを設けている。コンタクト4の固定アームは、ハウジング2に一体にモールド成形して固定している。
【0048】
図1又は図6を参照すると、コンタクト4は、固定アームの端部にリード部4bを形成している。これらのリード部4bをプリント基板1p(図2参照)に、はんだ接合することにより、コネクタ10を表面実装用コネクタとすることができる。
【0049】
図1又は図3を参照すると、ハウジング2は、対向する一対の側壁21a・21bと、一対の側壁21a・21bと略直交してカード1の先端縁が当接する停止壁21cを有している。又、図4を参照すると、ハウジング2は、一方の側壁21aに斜辺21dを設けている。斜辺21dは、カード1の斜辺1aに適合できるので、カード1の誤挿入を防止できる。
【0050】
図1又は図2を参照すると、凹部21がカバー3で覆われることにより、停止壁21cと対向してカード1が挿入される長方形の開口22が形成される。対向する一対の側壁21a・21bの距離は、カード1の幅よりも充分に広く、一対の側壁21a・21bがカード1の両翼を規制して、カード1の正しい姿勢(傾き)が維持され、カード1の接続端子11とコンタクト4とを正しく位置合わせできる。
【0051】
図1又は図3を参照すると、コネクタ10は、カード1を検出する検出スイッチ5をハウジング2の凹部21の片翼に配置している。検出スイッチ5は、接触板51と被接触板52で構成している。
【0052】
図4を参照すると、接触板51は、固定片511、可動片512、及び接点513を有している。固定片511は、凹部21の底壁に固定している。又、可動片512は、先端部が開口22と反対側に延びている。そして、接点513は、可動片512の先端部に設けている。
【0053】
図4又は図6を参照すると、被接触板52は、固定片521と接点523を有している。固定片521は、ハウジング2の隅部に固定されている。接点523は、固定片521の先端部が屈折されて接点513に近接配置されている。
【0054】
図5を参照すると、カード1を凹部21に挿入すると、カード1の隅部が可動片512を変形させて、接点513を接点523に接触できる。つまり、カード1がコネクタ10に挿入されたことを電気的に検出できる。
【0055】
図1又は図2及び図6を参照すると、カバー3は、金属薄板からなり、図示しない展開された金属薄板が成形加工されている。カバー3は、導電性の金属薄板からなり、カバー3の平坦面30がハウジング2を覆うことによりシールド効果が得られる。
【0056】
図1又は図2及び図6を参照すると、カバー3は、一方の端部側の両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の第1折り曲げ片31・31を構成している。一対の第1折り曲げ片31・31には、一組の矩形穴311・311を形成している。一組の矩形穴311・311は、ハウジング2の両側面に突出するランス2rに係止できる(図4参照)。
【0057】
又、図1又は図2及び図6を参照すると、カバー3は、他方の端部側の両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の第2折り曲げ片32・32を構成している。一対の第2折り曲げ片32・32は、カード1の両側面をスライドして案内できる。
【0058】
図1又は図2及び図7又は図8を参照すると、カバーは、平坦面30から部分的に突出する突片3aを有している。突片3aは、カバー3の他方の端部側の片翼に段付き加工されている。そして、突片3aの傾斜面をカード1の挿入側に配置している。又、突片3aの段差をカード1の引抜き方向と対向するように配置している。突片3aは、溝部1bに係合して、カード1の脱落を防止できる。
【0059】
図6を参照すると、カバー3は、一対の第2折り曲げ片32・32が更に直角に折り曲げ加工されて、平坦面30に対向する一対の対向片33・33を形成している。そして、一対の対向片33・33に片持ち状の板ばね片3bを設けることにより、これらの板ばね片3b・3bをカバー3の内面に向けてカード1の一方の面に力を付勢する付勢手段としている。
【0060】
又、図2及び図6を参照すると、カバー3は、一対の対向片33・33をプリント基板1pにはんだ接合してよく、プリント基板1pとの接合強度を補強できる。一対の対向片33・33をプリント基板のグラウンドに接地することもできる。凹部21と対向するカバー3の平坦面30には、カード1が挿入されたことを確認する窓34を設けている。
【0061】
次に、本発明の実施形態によるコネクタの作用を説明する。
【0062】
図1又は図6を参照すると、カード1は、略矩形に形成されており、接続端子11が配置される先端(一方の端部)側は、基端(他方の端部)側より幅が狭くなっている。カード1の先端側は、平行する両側面の内、一方の側面が鈍角に開角された斜辺1aを形成し、基端側に平行する両側面の内の一方の側面に連続している。図示されたカードの先端側は、一方の隅部が片刃状に切り欠かれた形状となっている。そして、略方形の溝部1bがカード1の斜辺1aに隣接されている。
【0063】
図1及び図7又は図8を参照すると、カード1をハウジング2の凹部21に挿入すると、斜辺1aが突片3aを乗り越えることができる。更に、カード1を挿入して、カード1の先端縁が停止壁21cに当接すると、突片3aが溝部1bに係合して、装着状態となる(図12参照)。
【0064】
図12に示された、カード1の装着状態では、一対の板ばね片3b・3bがカバー3の内面に向けてカード1の一方の面に力を付勢しているので、溝部1bと突片3aの係合状態を容易に解除しない。つまり、コネクタ10は、カード1の装着状態を確実に維持できる。
【0065】
図13を参照すると、カード1の装着状態から、一対の板ばね片3b・3bの付勢力に抗して、カード1の基端部を押すと、カード1の先端縁を支点にカード1を傾斜できる。そして、溝部1bと突片3aの係合が解除される。続いて、カード1を引く抜くことによりカード1をコネクタ10から離脱できる(図9参照)。
【0066】
例えば、図10に示されるように、コネクタ10は、携帯電話機Tに実装できる。カード1がコネクタ10に装着された状態では、カード1の基端部は、携帯電話機Tの段差に臨んでおり、カード1の基端部を押して、更にカード1を引く抜くことによりカード1をコネクタ10から離脱できる(図11参照)。カード1の基端部には、段差1cを設けているので、爪を係止してカード1を引く抜くことができる。
【0067】
このように、本発明の実施形態によるカード用コネクタは、従来のようにプッシュ・プッシュ型のイジェクト機構を構成することなく、カードを確実にロックするカード用コネクタが実現できる。本発明の実施形態によるカード用コネクタは、構成部品を少なくしているので、製造原価の低減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明によるカード用コネクタの一実施形態を示す斜視分解組立図である。
【図2】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視図であり、カードが装着された状態図である。
【図3】前記実施形態によるカード用コネクタの平面図である。
【図4】前記実施形態によるカード用コネクタの平面図であり、カードを装着する途上の状態図である。
【図5】前記実施形態によるカード用コネクタの平面図であり、カードを完全に装着した状態図である。
【図6】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視図であり、カード及びカード用コネクタを下面側から観ている。
【図7】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視図であり、カードが装着された状態図である。
【図8】前記実施形態によるカード用コネクタの斜視図であり、図7の要部拡大図である。
【図9】前記実施形態によるカード用コネクタの右側面図である。
【図10】携帯電話機の斜視図であり、前記実施形態によるカード用コネクタが携帯電話機に実装された状態図である。
【図11】図10の要部拡大図である。
【図12】前記実施形態によるカード用コネクタの縦断面図であり、カードがカード用コネクタにロックした状態図である。
【図13】前記実施形態によるカード用コネクタの縦断面図であり、カードのロックが解除された状態図である。
【符号の説明】
【0069】
1 カード
1b 溝部
2 ハウジング
3 カバー
3a 突片
3b 板ばね片(付勢手段)
4 コンタクト
4a 接点
10 コネクタ(カード用コネクタ)
11 接続端子
21 凹部
30 平坦面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿抜される凹部を形成する板状のハウジングと、このハウジングの凹部を覆う平坦面を有するカバーと、を備えるカード用コネクタであって、
前記カードは、一方の面の一方の端部に並設配置された接続端子と、一方の側面の途上に形成された略方形の溝部と、を有し、
前記ハウジングは、前記凹部の底面から接点が突出して前記接続端子に接触するコンタクトを有し、
前記カバーは、前記平坦面から部分的に突出する突片であって、前記溝部に係合して当該カードの脱落を防止する突片と、この突片が前記溝部に係合するように、当該カバーの内面に向けて当該カードの一方の面に力を付勢する付勢手段と、を有するカード用コネクタ。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記カバーの両翼に設けられて、当該カバーの内面に向けて前記カードの一方の面の両翼に力を付勢する一対の板ばね片からなる請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記カバーは、展開された金属板を加工して前記突片及び前記一対の板ばね片を一体に形成する請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記カードの他方の面の他方の端部を押し下げて、前記溝部と前記突片との係合を解除する請求項1から3のいずれかに記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−102830(P2010−102830A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270494(P2008−270494)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】