説明

カーボンナノチューブ構造体およびその製造方法

修飾分子(119)とカーボンナノチューブ(105)とを分散媒(121)に分散させ、ラングミュアトラフ(113)中の下層液(125)の液面上に展開し、カーボンナノチューブ(105)の側面を修飾分子(129)で被覆したカーボンナノチューブ構造体(131)を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブ構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
近年、ナノスケールの微細構造を有する炭素物質として、グラファイトのシートが円筒状に丸まったカーボンナノチューブが注目されている。しかし、カーボンナノチューブの側面は安定な六員環構造であるため、一般に化学的反応性が低い。そこで、カーボンナノチューブの表面特性を変化させるために、カーボンナノチューブ側面のコーティングや、短く切断することによる可溶化等が検討されている(非特許文献1)。
しかし、カーボンナノチューブに新しい表面特性を付与し、その利用分野をさらに拡大するために、従来技術の枠を越える新規な表面処理技術が求められていた。
非特許文献1 田中一義編,「化学フロンティア2 カーボンナノチューブ−ナノデバイスへの挑戦−」,第1版,化学同人,2001年1月30日,p.100−102
【発明の開示】
上記事情に鑑み、本発明は、カーボンナノチューブの新規な表面処理技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、カーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブの側面を被覆する高分子からなる層と、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ構造体が提供される。
本発明に係るカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの側面を被覆する高分子の層を有するため、カーボンナノチューブに新しい表面特性を付与することが可能となる。また、カーボンナノチューブの利用分野をさらに拡大することができる。
本発明において、カーボンナノチューブの側面を「被覆」するとは、カーボンナノチューブの側面の所定の領域が露出しないように覆うことを指す。被覆の態様として、カーボンナノチューブの側面を高分子が巻回し、被覆する態様が挙げられる。また、カーボンナノチューブの側面を高分子が層状に被覆する態様、すなわち高分子の被覆層が形成された態様が挙げられる。本発明において、「被覆層」とは、カーボンナノチューブの側面のある領域で全面にわたって緻密に形成された覆いを指す。
以下、本明細書において、「被覆」という場合には、巻回および被覆層のいずれの場合も含まれるものとする。
本発明において、前記高分子が前記カーボンナノチューブの側面を直接被覆する構成とすることができる。こうすることにより、カーボンナノチューブの側面をさらに確実に被覆することができる。
また、カーボンナノチューブ側面のある領域が、側面の一部であってもよく、また全部であってもよい。
本発明によれば、カーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブの側面に巻回された高分子と、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ構造体が提供される。
本発明に係るカーボンナノチューブ構造体では、高分子がカーボンナノチューブ側面に巻回された構成となっている。そのため、高分子がカーボンナノチューブ表面を被覆した状態が安定に維持される。また、高分子の巻回により、カーボンナノチューブ一本一本の側面を確実に被覆するため、その表面特性を変化させることが可能になる。なお、本発明において、「高分子」とは、カーボンナノチューブに巻回するために充分な骨格鎖長を有する分子のことをいう。また、高分子がカーボンナノチューブの側面に「巻回」するとは、高分子の分子鎖がカーボンナノチューブ側面を周回して巻き付き、カーボンナノチューブの表面を被覆することをいう。
本発明によれば、カーボンナノチューブおよび高分子を分散媒に分散させた分散液を液体表面に展開することにより、前記カーボンナノチューブの側面に前記高分子を巻回させる工程を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る製造方法によれば、簡便な方法によりカーボンナノチューブの側面に高分子を巻回させることができるため、カーボンナノチューブ構造体を安定的に効率よく生産することができる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記層は、前記カーボンナノチューブの側面全面を一様に被覆している構成とすることができる。こうすることにより、カーボンナノチューブの分散安定性をさらに向上させることができる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が前記カーボンナノチューブの側面を均一な厚さで被覆する前記層を有する構成とすることができる。こうすることにより、カーボンナノチューブ構造体の表面特性のばらつきを低減することができる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記層の厚さを1nm以上100nmとすることができる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が絶縁体であってもよい。こうすることにより、カーボンナノチューブの側面に絶縁層を形成することが可能となる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が生体高分子であってもよい。こうすることにより、カーボンナノチューブに新たな表面特性を付与することができる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が水不溶性であってもよい。こうすることにより、高分子層の剥離およびカーボンナノチューブ表面への水分子の侵入を抑制し、カーボンナノチューブ構造体を水中で安定的に存在させることができる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子はポリペプチドを含むことができる。また、本発明のカーボンナノチューブにおいて、前記高分子はポリペプチドとすることができる。ポリペプチドを用いることにより、その骨格鎖をカーボンナノチューブに安定的に被覆させることができる。また、アミノ酸残基側鎖の性質を用いて、カーボンナノチューブの側面に多様な表面特性を付与することができる。
本発明のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子は変性タンパク質とすることができる。
また本発明のカーボンナノチューブ構造体の製造方法において、前記高分子としてタンパク質を用い、前記分散液を液体表面に展開することにより前記タンパク質を変性させ、変性した前記タンパク質を前記カーボンナノチューブの側面に被覆させることができる。このため、高分子の層をさらに安定的に形成することができる。
変性タンパク質は未変性タンパク質に比べて通常疎水部が露出した構造であるため、カーボンナノチューブ側面への被覆がより一層容易、確実になる。また、タンパク質の分散液を液体表面に展開することにより、気液界面の界面張力によってタンパク質を効率よく変性させ、疎水部を露出させることができる。なお本発明においてタンパク質の「変性」とは、当該タンパク質分子の立体構造の崩壊と機能の失活、または当該タンパク質分子を構成する一次構造すなわちアミノ酸配列の切断以外のコンフォメーション変化のことをいい、コンフォメーション変化の程度に特に制限はない。
本発明において、前記高分子は膜タンパク質とすることができる。
膜タンパク質は多くの場合疎水性の高い領域を有しているため、これを用いることにより、カーボンナノチューブ側面に効率よく吸着し、安定的に被覆させることができる。
本発明によれば、膜タンパク質を含む分散媒に、カーボンナノチューブを添加することを特徴とするカーボンナノチューブの可溶化方法が提供される。本発明に係る可溶化方法では、膜タンパク質を用いるため、カーボンナノチューブを安定的に可溶化することができる。
また、本発明の可溶化方法において、膜タンパク質を含む分散媒を用い、該分散媒として、前記膜タンパク質の分子内部の疎水性の強い領域を露わにさせない分散媒を使用してもよい。こうすることにより、カーボンナノチューブを安定的に可溶化することができる。
本発明によれば、膜タンパク質を含む液体中にカーボンナノチューブを保持することを特徴とするカーボンナノチューブの保存方法が提供される。本発明に係る保存法法では、膜タンパク質を含む液体を用いるため、分散性に優れた状態でカーボンナノチューブを保存することができる。
また、再分散性も好適に確保することができる。また、本発明の保存方法において、前記膜タンパク質の分子内部の疎水性の強い領域を露わにさせない液体を使用してもよい。こうすることにより、分散性に優れた状態でカーボンナノチューブを保存することができる。
以上説明したように本発明によれば、カーボンナノチューブの側面を高分子からなる層によって被覆することにより、カーボンナノチューブの新規な表面処理技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
図1は、実施の形態に係るカーボンナノチューブ構造体の製造方法を説明するための図である。
図2は、実施の形態に係るトランジスタの構成を示す図である。
図3は、実施の形態に係るトランジスタの製造方法を説明するための図である。
図4は、実施の形態に係るトランジスタの製造方法を説明するための図である。
図5は、実施の形態に係るトランジスタの製造方法を説明するための図である。
図6は、実施の形態に係るカーボンナノチューブ構造体の製造方法を説明するための図である。
図7は、実施例に係る単層カーボンナノチューブ構造体のAFM像を示す図である。
図8は、実施の形態に係るカーボンナノチューブ構造体の製造手順を説明する図である。
図9は、実施例に係る単層カーボンナノチューブ構造体のAFM像を示す図である。
図10は、実施例に係る単層カーボンナノチューブ構造体のTEM像を示す図である。
図11は、実施例に係る多層カーボンナノチューブ構造体のAFM像を示す図である。
図12は、実施例に係る多層カーボンナノチューブ構造体のTEM像を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態に係るカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの側面に修飾分子からなる被覆を有する。被覆は、カーボンナノチューブの表面の一部の領域に形成されていてもよく、またカーボンナノチューブの側面全面に一様に形成されていてもよい。また、本実施形態において、修飾分子は高分子である。また、被覆は、カーボンナノチューブの側面のある領域で全面にわたって緻密に形成された稠密な層であってもよい。
本実施形態において、カーボンナノチューブの側面に修飾分子が巻回し、被覆していてもよい。また、巻回という被覆の態様においても、所定の条件において本発明における「層」が好適に形成される。
以下、修飾分子がカーボンナノチューブの側面に巻回する場合を例に、説明する。本実施形態に係るカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの側面に修飾分子が巻回された構成を有する。図1は、カーボンナノチューブ構造体131の製造方法の一例を示す図である。
図1において、まず、修飾分子119を分散媒121に分散させる(図1(a))。そして、カーボンナノチューブ105を添加してさらに分散させ、分散液123を得る(図1(b))。分散方法は、たとえば超音波分散器等を用いた方法が採用される。
得られた分散液123を、シリンジ109等を用いて水槽中の下層液125の液面上に展開する(図1(c))。図1では、水槽として可動式バリア127を備えたラングミュアトラフ113を用いている。
展開後、分散液123中の修飾分子119のコンフォメーションを界面張力によって変化させるとともにカーボンナノチューブ105側面に巻回させるため、静置する(図1(d))。すると、カーボンナノチューブ105側面にコンフォメーション変化した修飾分子129が巻回したカーボンナノチューブ構造体131が得られる。
図1において、カーボンナノチューブ105には、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)およびカーボンナノホーン(CNH)のいずれを用いてもよい。また、カーボンナノチューブ105の直径、長さには特に制限はなく、たとえば直径0.3nm以上100nm以下、長さ50nm以上10μm以下のものを用いることができる。
修飾分子119は、カーボンナノチューブ105側面に巻回し、カーボンナノチューブ105の表面を修飾することができる分子であれば、特に制限はなく、各種の合成高分子や生体高分子を用いることができる。また、巻回によりカーボンナノチューブの側面を層状に被覆する分子であることが好ましい。カーボンナノチューブ105の側面に巻回させるために、たとえば疎水性骨格鎖を有する合成高分子を用いることが好ましい。このような合成高分子の例として、たとえばポリオレフィン、ポリアミド等が挙げられる。また、タンパク質、DNA等の生体高分子を用いることもできる。また、修飾分子119として水不溶性の高分子を用いてもよい。
修飾分子119としてタンパク質を用いる場合、分散媒121中では親水性領域中に隠蔽されていた疎水性領域が、下層液125上に展開された後、気液界面において露出し、露出した際の表面の疎水化の程度が比較的大きいタンパク質を用いることが好ましい。このようなタンパク質を用いることにより、タンパク質を気液界面において変性させつつ、カーボンナノチューブ105の表面に巻回させ、被覆を形成することができる。このため、カーボンナノチューブ構造体117を安定的に得ることができる。また、タンパク質を変性させてカーボンナノチューブ105の側面を被覆することにより、層状の被覆を形成し、被覆層を薄膜とすることができる。
また、修飾分子119としてタンパク質を用いる場合、たとえばバクテリオロドプシン等の各種膜タンパク質を用いることができる。膜タンパク質は通常非水溶性であり、疎水性アミノ酸を多く含むため、これを用いることにより、カーボンナノチューブ105側面に好適に巻回させ、カーボンナノチューブ105の表面に緻密な被覆層を形成することができる。なお、修飾分子119の骨格鎖長は、カーボンナノチューブ105の長さやカーボンナノチューブ構造体131の用途に応じて適宜選択される。
分散媒121は、修飾分子119をある程度安定的に分散させることができる有機溶媒またはその混合液、水溶液等から適宜選択される。さらに、下層液125は、分散媒121および修飾分子119に応じて適宜選択される。たとえば、修飾分子119としてバクテリオロドプシンを用いる場合、分散媒121として有機溶媒の水溶液を用いることができる。具体的には、たとえば、DMF(ジメチルフォルムアミド)水溶液またはDMSO(ジメチルスルフォキシド)水溶液等を用いることができる。また、下層液125として、たとえばpH2以上6以下、好ましくはpH3以上4以下の酸性水溶液を用いることができる。こうすることにより、下層液上に、カーボンナノチューブ105とバクテリオロドプシンの一様な混合単分子膜を形成することができる。なお、バクテリオロドプシンを用いたカーボンナノチューブ構造体131の製造方法については、後述の実施例においてさらに詳細に説明する。
修飾分子119として、疎水性骨格を有し側鎖に水酸基、カルボキシル基等の親水基を有する高分子を用いることにより、カーボンナノチューブ105の水中での分散性を顕著に向上させることができる。このとき、修飾分子129がカーボンナノチューブ105の表面に巻回されているため、カーボンナノチューブ105の側面を一様に被覆することができる。また、修飾分子119の側鎖を変化させることにより、カーボンナノチューブ105の各種溶媒中での分散性を任意に調節することができる。
本実施形態によれば、カーボンナノチューブ105の表面の少なくとも一部に緻密な被覆層を形成することができる。このため、カーボンナノチューブに新たな表面特性を付与することができる。たとえば、水中での分散安定性に優れたカーボンナノチューブ構造体131を得ることができる。また、修飾分子119を絶縁性の物質とすることにより、カーボンナノチューブ105の表面に緻密な絶縁層を形成することができる。このため、被覆層をゲート絶縁膜とするトランジスタやキャパシタ等の電子デバイスに好適に用いることができる。さらには、修飾分子119の化学修飾性を利用することもできる。
本実施形態の方法において、カーボンナノチューブ105として多層カーボンナノチューブを用いた場合には、たとえば、カーボンナノチューブ105の表面に、均一な厚さの修飾分子129の被覆層を形成することができる。また、単層カーボンナノチューブを用いた場合には、所定のピッチを有する巻回層を形成することができる。
また、カーボンナノチューブ構造体131において、修飾分子129がカーボンナノチューブ105の側面に巻回した構成とすることにより、修飾分子129がカーボンナノチューブ105の側面に密着した状態で安定的に保持することができる。このため、カーボンナノチューブ構造体131の分散安定性または保存安定性を向上させることができる。また、修飾分子119を絶縁性の物質とすると、カーボンナノチューブ105の側面の絶縁性を向上させることができる。
修飾分子129が巻回したカーボンナノチューブ構造体131において、カーボンナノチューブの側面に一定ピッチの被覆が形成された構成であってもよい。このときの被覆の厚さは、被覆形成時の制御により適宜選択される。たとえば1nm以上100nm以下の範囲で被覆の厚さを制御することにより、カーボンナノチューブ105の電気的な表面特性を確実に変化させることができる。修飾分子129が巻回して被覆層を形成している場合、修飾分子129の巻回層は、単層であってもよく、また多層であってもよい。
また、本実施形態に係るカーボンナノチューブ構造体131はカーボンナノチューブ105の側面に、一定の厚さの均一な被覆層が形成された構成とすることもできる。
均一な被覆層が形成されたカーボンナノチューブ構造体131において、被覆層の厚さは、たとえば0.1nm以上、好ましくは1nm以上とすることができる。こうすることにより、カーボンナノチューブ105の表面特性を確実に変化させることができる。また、被覆層の厚さはたとえば10nm以下、好ましくは5nm以下とすることができる。こうすることにより、被覆層を薄膜とすることができる。このため、カーボンナノチューブ105の特性を充分に発揮させつつ、さらに分散安定性を向上させることができる。また、必要最少量の修飾分子119を用いてカーボンナノチューブ105の表面に薄層を効率よく形成することができる。また、修飾分子119を絶縁層の物質とすると、カーボンナノチューブ105の側面にトンネル層として利用可能な薄い絶縁膜を安定的に形成することができる。このため、種々の電子デバイスに好適に用いることができる。
(第2の実施形態)
本実施形態は、カーボンナノチューブ構造体を配線に用いたトランジスタに関する。図2は、本実施形態のトランジスタの構成を示す図であり、図2(a)が断面図、図2(b)が上面図である。図2(a)に示すように、このトランジスタはソース電極147とドレイン電極149とがカーボンナノチューブ構造体131によって接続されている。また、カーボンナノチューブ構造体131の修飾分子129が、ゲート電極145との間の絶縁膜となっている。また、図2(b)に示すように、このトランジスタは、第一の電極141と第二の電極143とを備え、第一の電極141は、第二の電極143と離間して第二の電極143の周辺を囲むように設けられている。第一の電極141および第二の電極143のうち、いずれか一方をソース電極147とし、他方をドレイン電極149とする。このような電極配置とすれば、ソース電極147およびドレイン電極149をカーボンナノチューブ構造体131で接続することが比較的容易になり、生産性が良好となる。
以下、図2のトランジスタの製造方法を、図3〜図5を参照して説明する。まず、基板151の表面にゲート電極145となる金属層を設ける(図3(a))。ゲート電極145となる金属層として、たとえばAl、Cu、Ag、Au、Pt、Ti、Co、Pdや、これらの合金を用いることができる。またゲート電極145は、たとえば金属蒸着法やスパッタリング法などの方法により形成する。
次に、ゲート電極145表面にチャネルとなるカーボンナノチューブ構造体131を配置する(図3(b))。ゲート電極145表面にカーボンナノチューブ構造体131を配置する方法は、以下の通りである。
まず、第1の実施形態と同様にして、下層液111の液面上に展開されたカーボンナノチューブ構造体131を作製する(図1(e))。修飾分子119として、たとえばバクテリオロドプシン等のタンパク質を用いる。また、バクテリオロドプシンをタンパク質成分として含む紫膜を用いてもよい。
次に、下層液111液面上に展開されたカーボンナノチューブ構造体131を、ゲート電極145の形成された基板151表面に、水平付着法により付着させる。水平付着法とは、基板151の表面が水面に水平になるよう、基板151を液面に接触させ、引き上げることによって、水面上に展開されたカーボンナノチューブ構造体131をゲート電極145の形成された基板151の表面に付着させる方法である。
以上により、ゲート電極145の設けられた基板151の表面に、カーボンナノチューブ構造体131が配置される。
次に、カーボンナノチューブ構造体131の配向膜の表面に、プラズマCVD法などを用いて、マスク153を形成する(図3(c))。マスク153として、たとえばSiOなどを用いる。また、マスク153の膜厚は、たとえば1nm以上1μm以下とする。
次に、ソース電極147およびドレイン電極149を形成する部位のマスク153を除去するためのレジスト膜157を形成する(図3(d))。そして、ソース電極147およびドレイン電極149を形成するための部位のマスクをドライエッチングやウエットエッチングなどの方法により除去する(図4(a))。こうすると、カーボンナノチューブ構造体131の両末端が露出する。そして、露出したカーボンナノチューブ構造体131側面の修飾分子129の少なくとも一部を、アッシングなどの方法により除去する(図4(b))。その後、マスク153を溶解せずレジスト膜157を溶解する溶液を用いてレジスト膜157を除去する(図4(c))。
次に、基板151上面全面に、ソース電極およびドレイン電極となる金属膜159を形成する(図4(d))。金属膜159の形成は、金属蒸着法やスパッタリング法など、ゲート電極145の作製と同様にして行うことができる。また、金属膜159として、たとえばTi、Crなどの炭化物を形成しうる金属、Au、Pt、Cuなどの低抵抗金属や、これらの合金、たとえばAu−Cr合金、などを用いる。特に、炭化物を形成しうる金属を用いることにより、金属膜159とカーボンナノチューブ105との接触抵抗を低下させることができるため、好ましい。また、Auは貴金属であり、比電気抵抗も低いため、好ましい。
次に、金属膜159上にレジスト膜157を形成し(図5(a))、これをマスクとしてエッチングにより金属膜159をパターニングする(図5(b))。その後、レジスト膜157を除去して金属膜159を露出させる。2つの金属膜159の一方をソース電極147とし、他方をドレイン電極149とする(図5(c))。
以上により、カーボンナノチューブ構造体131両端のカーボンナノチューブ105の露出部が、ソース電極147およびドレイン電極149と電気的に接続された図2の構成を有するトランジスタが得られる。カーボンナノチューブ構造体131を用いることにより、修飾分子129をゲート電極145とカーボンナノチューブ105との間の絶縁膜とすることができる。このため、ゲート電極145の形成後、カーボンナノチューブ105との間に薄い絶縁膜を形成する工程が不要となり、生産性の向上が可能である。また、カーボンナノチューブ105の側面に修飾分子129が巻回されているため、カーボンナノチューブ105の側面に絶縁膜を一様に形成することができる。また、絶縁膜の膜厚を均一にすることもできる。このため、信頼性を向上させることも可能である。
なお、カーボンナノチューブ構造体131を作製する際に、図1(e)の工程に引き続き、しきり板、すなわちラングミュアトラフ113の可動式バリア127を用いて展開されたカーボンナノチューブ構造体131を圧縮する工程をさらに設けてもよい。展開されたカーボンナノチューブ構造体131を圧縮することにより、カーボンナノチューブ構造体131を一定方向に配向させることができる。たとえば修飾分子119として紫膜中のバクテリオロドプシンを用いる場合、表面圧力が15mN/mになるまで圧縮速度20cm/minで圧縮することが好ましい。カーボンナノチューブ105の配向は、AFMなどを用いて確認される。このとき、修飾分子129すなわち変性したタンパク質のうち、カーボンナノチューブ105に巻回しなかったものが下層液125上を一様に覆う充填物となるが、この充填物は、カーボンナノチューブ105の支持体となり、カーボンナノチューブ105の配向状態を維持する。
(第3の実施形態)
本実施形態は、膜タンパク質を可溶化し、その一次構造解析を行う方法に関する。
膜タンパク質として、たとえばバクテリオロドプシンを用いる。このとき、図1に示した方法でカーボンナノチューブ構造体131を調製する。図1(a)では、分散媒121にバクテリオロドプシンを含む紫膜を分散させる。
従来、膜タンパク質の可溶化には界面活性剤が用いられていたが、本実施形態では、カーボンナノチューブ構造体131を形成させることにより、細胞膜から膜タンパク質を1分子ずつ取り出すことができる。
また、修飾分子129がカーボンナノチューブ105の側面に巻回されているため、たとえば膜タンパク質の酵素やその他の試薬による断片化が容易となる。また、断片化した後、カーボンナノチューブ105等の残存巨大分子は遠心分離や限外濾過等の方法によって容易に除去することができる。さらに、カーボンナノチューブ構造体131をAFMの探針として利用することも可能である。
(第4の実施形態)
本実施形態は、カーボンナノチューブ構造体を作製する別の方法に関する。図8は、カーボンナノチューブ構造体の製造手順を説明する図である。本実施形態においても、基本的には図1を用いて前述した方法を用いることができるが、カーボンナノチューブ105の分散液183と修飾分子119の分散液185とを別々に調製し、カーボンナノチューブ105の分散液183、修飾分子119の分散液185の順に下層液125上に展開する点が異なる。
まず、カーボンナノチューブ105を分散媒179に分散させ、分散液183を調製する(図8(a))。分散媒179として、たとえば10v/v%以上90v/v%以下のDMF水溶液または10v/v%以上90v/v%以下のDMSO水溶液を用いることができる。こうすることにより、カーボンナノチューブ105を分散液183中で良好に分散させることができる。また、分散の際に超音波処理を行ってもよい。次に、得られた分散液183を、下層液125上に展開する(図8(b))。
また、修飾分子119を分散媒181に分散させて、分散液185を調製する(図8(c))。分散媒181は、修飾分子119をある程度安定的に分散させておくことが可能な有機溶媒またはその水溶液とすることができる。こうすることにより、後述するように、分散液185を下層液125の上に展開した際に、気液界面における修飾分子129によるカーボンナノチューブ105の側面の被覆を安定的に生じさせることができる。
また、分散媒181は、カーボンナノチューブ105をある程度安定的に分散させうることが好ましい。こうすることにより、確実に修飾分子129により一本一本のカーボンナノチューブ105の側面を被覆することができる。分散液185は、たとえば図1において前述した方法において分散媒121として利用可能な液体とすることができる。また、分散液185に分散液183と同じものを用いてもよい。分散液185と分散液183の種類を等しくすることにより、下層液125の上に展開した際に、カーボンナノチューブ105の表面に修飾分子129を確実に被覆させることができる。
次に、得られた分散液185を、分散液183を展開した下層液125上にさらに展開する(図8(d))。分散液185を展開すると、修飾分子119とカーボンナノチューブ105とが混和し、カーボンナノチューブ105の側面を修飾分子129が被覆し、カーボンナノチューブ構造体131が形成される(図8(e))。
このように、カーボンナノチューブ105の分散液183と修飾分子119の分散液185とを異なるタイミングで下層液125上に展開した場合にも、カーボンナノチューブ構造体131を安定的に製造することができる。
本実施形態の方法において、カーボンナノチューブ105として多層カーボンナノチューブを用いた場合には、カーボンナノチューブ105の表面に、均一な厚さの修飾分子129の被覆層を形成することができる。また、単層カーボンナノチューブを用いた場合には、所定のピッチで修飾分子129を巻回させた被覆を形成することができる。また、この場合、所定の条件で修飾分子129が層状に被覆した巻回層を得ることができる。
以上、本発明のカーボンナノチューブ構造体の用途について実施の形態に基づいて説明したが、これ以外に様々な用途への展開が可能である。たとえば、図1の方法で得られたカーボンナノチューブ構造体131を電界放出素子の冷陰極に用いることも可能である。カーボンナノチューブ構造体131においてはカーボンナノチューブ105の表面が修飾分子129により被覆されているため、これを用いて高電圧を印加することにより、電子を安定的に放出させることができる。
また、図1の方法で得られたカーボンナノチューブ構造体131は、カーボンナノチューブ105周囲が絶縁体である修飾分子129によって被覆されているため、被覆電線として利用可能である。また、カーボンナノチューブ105を同心円筒の電気二重層として、メモリーに適用することも可能である。
また、図1の方法で得られたカーボンナノチューブ構造体131は、ナノピンセット等のナノメカニクスにも適用することが可能である。これは、カーボンナノチューブ構造体131に電流を流し、電流と直交する方向に磁場を設けることにより、カーボンナノチューブ構造体131が力を受けることを利用するものである。
さらに、図1の方法で得られたカーボンナノチューブ構造体131は、ナノ立体構造に適用することができる。すなわち、カーボンナノチューブ構造体131表面の修飾分子129に、抗原、抗体のいずれか一方を固定化し、他方を固定化した修飾分子129を有するカーボンナノチューブ構造体131と溶液中で混合することにより、抗原、抗体間の相互作用が生じ、ナノ立体構造が得られる。抗原、抗体の組み合わせをビオチン、アビジン等結合部位数の異なる組み合わせにかえることにより、種々の構成のナノ立体構造が得られる。得られたナノ立体構造は、ナノ回路構造や、3次元ナノ配線等に利用することができる。
以上の実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例】
本実施例においては、カーボンナノチューブ105に変性バクテリオロドプシン115のポリペプチド鎖を巻回させたカーボンナノチューブ構造体117を作製した。図6はカーボンナノチューブ構造体117の製造方法を示す図である。
まず、バクテリオロドプシン101を含む紫膜を分散媒に分散させた(図6(a))。バクテリオロドプシン101として、たとえば、紫膜または紫膜に含まれるバクテリオロドプシン101を用いることができるが、本実施例では紫膜を用いた。紫膜は、ハロバクテリウム サリナルム(Halobacterium salinarum)などの好塩菌から分離することができる。紫膜の分離には、Methods in Enzymology,31,A,pp.667−678(1974)に記載の方法を用いた。また、分散媒103として、33v/v%DMF(ジメチルフォルムアミド)水溶液を用いた。なお、分散媒103としては、33v/v%DMF(ジメチルフォルムアミド)水溶液に限らず、有機溶媒の水溶液等を用いることができる。
バクテリオロドプシン101の分散液に過剰量のカーボンナノチューブ105を加え、超音波分散器を用いて1時間以上分散化処理を行った(図6(b))。分散後、残存するカーボンナノチューブ105の凝集物を除去した。カーボンナノチューブとして、CNI社製単層カーボンナノチューブ(Open end type、直径約1nm、精製純度約93%)を用いた。
こうして得られた分散液107(図6(c))を、シリンジ109を用いて、水槽に張った下層液111の液面上に静かに展開した(図6(d))。こうすることにより、カーボンナノチューブ105の単分子膜が得られた。なお、本実施例では、水槽としてラングミュアトラフ113を用い、下層液111としてHClでpH3.5に調製した純水を用いた。
次に、カーボンナノチューブ105の単分子膜を静置し、バクテリオロドプシン101を下層液111の界面張力によって界面変性させた。紫膜を用いる場合、紫膜中のバクテリオロドプシンが界面変性するまで、室温で5時間以上静置することが好ましいため、本実施例でも5時間静置した(図6(e))。こうすることにより、変性バクテリオロドプシン115が、カーボンナノチューブ105の側面に巻回するようになる(図6(f))。
こうして得られたカーボンナノチューブ構造体117を、AFMおよびTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて確認した。図7(a)および図9は、カーボンナノチューブ構造体117のAFM像を示す図である。また、図7(b)は、バクテリオロドプシン101を添加せずにカーボンナノチューブ105のみを分散させた分散液について、同様の処理を行った場合のカーボンナノチューブ105のAFM像を示す図である。AFM観察には、生体分子可視化、計測装置BMVM−X1(Digital Instruments社製NanoScopeIIIaを改造)を用いた。シリコン単結晶(NCH)をプローブとして用いた。図7(a)および図7(b)では、測定モードをタッピングAFMとし、測定範囲を、604nm×604nm(Z8nm)とした。
図7(a)および図9を図7(b)と比較することにより、図7(a)ではカーボンナノチューブ105の表面に変性バクテリオロドプシン115が巻回し、カーボンナノチューブ105の表面に一定のピッチを有する変性バクテリオロドプシン115の被覆層が形成されていることがわかる。
また、上記水面上に形成されたカーボンナノチューブ構造体117を、その支持単分子膜ごとTEM観察用グリッドに転写し、乾燥後にTEMでそのまま観察した。図10は、カーボンナノチューブ構造体117のTEM像を示す図である。図10に示したように、カーボンナノチューブ105の表面に、所定のピッチを有する変性バクテリオロドプシン115の緻密な巻回層が形成されていた。
このように、本実施例では、バクテリオロドプシン101とカーボンナノチューブ105とを分散させ、液面上に展開するという簡便な方法により、カーボンナノチューブ構造体117を作製することができた。
さらに、図7(a)、図7(b)の展開膜に用いたそれぞれの分散液について、4ヶ月の冷蔵保存試験を行った。すると、図7(a)で用いた展開液、すなわちバクテリオロドプシン101を含む分散液は、4ヶ月経過後も、30分間の超音波処理によって良好な分散性が維持されていた。一方、図7(b)で用いた展開液、すなわちバクテリオロドプシン101を含まないカーボンナノチューブ105のみの分散液については、1ヶ月経過後以降は、1時間の超音波処理を行ってもカーボンナノチューブ105の凝集塊が残存し、分散性が顕著に低下することがわかった。
従って、バクテリオロドプシン101を分散液に混合させることにより、カーボンナノチューブ105を長期間安定的に分散させることが可能となり、また、再分散性が顕著に向上することが明らかになった。このように、カーボンナノチューブ構造体117を作製する際の中間体として、良好な分散状態を維持し、保存安定性にすぐれたカーボンナノチューブ105の分散液が得られた。
また、カーボンナノチューブ105として、MTR Ltd.社製多層カーボンナノチューブ(Closed end type、直径数10〜200nm、精製純度約95%)を用いて、図6に示した上述の方法によりカーボンナノチューブ構造体117を作製した。そして、得られたカーボンナノチューブ構造体117について、AFM観察およびTEM観察を行った。図11は、多層カーボンナノチューブを用いて作製したカーボンナノチューブ構造体117のAFM像を示す図である。また、図12は、多層カーボンナノチューブを用いて作製したカーボンナノチューブ構造体117のTEM像を示す図である。
図11に示したように、カーボンナノチューブ105に多層カーボンナノチューブを用いた場合にも、カーボンナノチューブ構造体117が略平行に配向した配向膜が得られた。また、上記水面上に形成されたカーボンナノチューブ構造体117を、その支持単分子膜ごとTEM観察用グリッドに転写し、乾燥後にTEMでそのまま観察したところ、図12に示したように、カーボンナノチューブ105の表面に変性バクテリオロドプシン115の層が均一に形成されていた。また、変性バクテリオロドプシン115の層の厚さは、3nm程度であった。
以上のように、膜タンパク質であるバクテリオロドプシンを用いることにより、製造安定性に優れるカーボンナノチューブ構造体131を得ることができた。また、本実施例では両親媒性構造を有する脂質膜がバクテリオロドプシンの周りに配位する紫膜を用いて、カーボンナノチューブ構造体131を安定的に製造することができた。
なお、修飾分子119として、バクテリオロドプシン101にかえて子牛由来ヒストンタンパク質を用いてカーボンナノチューブ構造体117の作製を試みた。ところが、下層液111上にヒストンタンパク質の良好な単分子膜が形成されず、カーボンナノチューブ105の表面にヒストンタンパク質の被覆層を形成することはできなかった。
さらに、図6を用いて説明した方法にかえて、第4の実施形態に記載の方法(図8)を用いてカーボンナノチューブ構造体117の作製を試みた。ここで、図8における分散媒179および分散媒181として、33v/v%DMF(ジメチルフォルムアミド)水溶液を用いた。また、下層液125として、HClでpH3.5に調製した純水を用いた。
その結果、カーボンナノチューブ105として単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブのいずれを用いた場合も、変性バクテリオロドプシン115がカーボンナノチューブ105の表面を被覆したカーボンナノチューブ構造体117を安定的に得ることができた。また、得られたカーボンナノチューブ構造体117の分散安定性は良好であった。
一方、図8に記載の方法とは逆に、下層液125上に先に分散液185を展開し、次いで分散媒181を展開した場合、カーボンナノチューブ構造体117を得ることができなかった。
このように、気液界面近傍に先にカーボンナノチューブ105を存在させた後にバクテリオロドプシン101を添加することにより、界面においてバクテリオロドプシン101を変性させて、その疎水性領域を露出させつつ、カーボンナノチューブ105の表面との間の疎水的相互作用によりカーボンナノチューブ105の表面を被覆させることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブの側面を被覆する高分子からなる層と、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ構造体。
【請求項2】
カーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブの側面に巻回された高分子と、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ構造体。
【請求項3】
請求の範囲1または2に記載のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が生体高分子であることを特徴とするカーボンナノチューブ構造体。
【請求項4】
請求の範囲1乃至3いずれかに記載のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が水不溶性であることを特徴とするカーボンナノチューブ構造体。
【請求項5】
請求の範囲1乃至4いずれかに記載のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子がポリペプチドを含むことを特徴とするカーボンナノチューブ構造体。
【請求項6】
請求の範囲5に記載のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が変性タンパク質であることを特徴とするカーボンナノチューブ構造体。
【請求項7】
請求の範囲5または6に記載のカーボンナノチューブ構造体において、前記高分子が膜タンパク質であることを特徴とするカーボンナノチューブ構造体。
【請求項8】
カーボンナノチューブおよび高分子を分散媒に分散させた分散液を液体表面に展開することにより、前記カーボンナノチューブの側面に前記高分子を巻回させる工程を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ構造体の製造方法。
【請求項9】
請求の範囲8に記載のカーボンナノチューブ構造体の製造方法において、前記高分子としてタンパク質を用い、前記分散液を液体表面に展開することにより前記タンパク質を変性させ、変性した前記タンパク質を前記カーボンナノチューブの側面に巻回させることを特徴とするカーボンナノチューブ構造体の製造方法。
【請求項10】
請求の範囲9に記載のカーボンナノチューブ構造体の製造方法において、前記タンパク質が膜タンパク質であることを特徴とするカーボンナノチューブ構造体の製造方法。
【請求項11】
膜タンパク質を含む分散媒に、カーボンナノチューブを添加することを特徴とするカーボンナノチューブの可溶化方法。
【請求項12】
膜タンパク質を含む液体中にカーボンナノチューブを保持することを特徴とするカーボンナノチューブの保存方法。

【国際公開番号】WO2004/041719
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【発行日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549629(P2004−549629)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014177
【国際出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】