説明

ガスタービン燃料ガス供給装置

【課題】ガスタービン運転中にガスコンプレッサーの運転切り替えを行うことができるガスタービン燃料ガス供給装置を提供する。
【解決手段】例えば、第1ガスコンプレッサー49から第2ガスコンプレッサー50への運転切り替えを行う場合には、第1ガスコンプレッサー出口弁53は全開、第1ガスコンプレッサー再循環弁61は吐出圧力制御、第2ガスコンプレッサー出口弁54は全閉及び第2ガスコンプレッサー再循環弁62は全閉の状態から、第2ガスコンプレッサーを起動させ、第2ガスコンプレッサー再循環弁を吐出圧力制御状態とし且つ第2ガスコンプレッサー出口弁を徐々に開けていき、第2ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全開になると第1ガスコンプレッサー出口弁を徐々に閉めていき、第1ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全閉になると第1ガスコンプレッサーを停止させ且つ第1ガスコンプレッサー再循環弁を全閉とするように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料ガスを昇圧してガスタービンの燃焼器へ供給するためのガスタービン燃料ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン用の燃料ガスを燃料ガス供給会社から購入する折、当該燃料ガスは必ずしもガスタービンにとって望ましい圧力にはなっていない。このため、ガスタービンに装備されている燃料ガス供給装置では、ガスコンプレッサーを用いて前記燃料供給会社から購入した燃料ガスを、ガスタービンにとって望ましい圧力に昇圧した後にガスタービンの燃焼器へ供給するようになっている。
【0003】
図3は1台のガスコンプレッサーを備えた従来のガスタービン燃料ガス供給装置の構成図である。図3に示すように、ガスタービン1はタービン本体2、燃焼器3、エアコンプレッサー4、発電機5及び排ガスダクト6などを有するとともに、燃料ガス供給装置7も装備されている。ガスタービン燃料ガス供給装置7は、燃料ガス供給ライン8に設置されたガスコンプレッサー9、ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター10及び燃料ガス流量調節弁11と、再循環ライン12に設置されたガスコンプレッサー再循環弁13と、制御装置14とを備えている。ガスコンプレッサー9は図示しない燃料ガス供給会社の燃料ガス供給装置との取り合い点(接続点)とガスタービン燃焼器3の入口との間に設けられている。
【0004】
このガスタービン燃料ガス供給装置7では燃料ガス供給会社の燃料ガス供給装置から供給された燃料ガスを、ガスコンプレッサー9でガスタービン1にとって望ましい圧力に昇圧した後に燃焼器3へ供給する必要がある。また、ガスタービン1の燃料ガス消費量(ガスタービン燃焼器3へ供給される燃料ガス流量)は、燃料ガス流量調節弁11で調整されて、起動時及び発電機出力が低いときには少なく、発電機出力が高いときには多くなる。
【0005】
このため、ガスタービン燃料ガス供給装置7では制御装置14によって再循環弁13を制御することにより、ガスコンプレッサー9がサージングによって壊れることなく、且つ、ガスタービン燃焼器3の入口の燃料ガス圧力をガスタービン1にとって望ましい圧力に保つようにしていた。具体的には、圧力トランスミッター10でガスコンプレッサー9の吐出圧力を検出して、吐出圧力検出信号を制御装置14へ伝送する。そして、制御装置14では圧力トランスミッター10の吐出圧力検出信号に基づき、例えばガスコンプレッサー9の吐出圧力が規定値以上に高くなると、ガスコンプレッサー再循環弁13の弁開度を大きくして前記吐出圧力の上昇を抑える。
【0006】
ところが、このガスタービン燃料ガス供給装置7ではガスコンプレッサー9が異常になって停止すると、ガスタービン1が即座にトリップする。ガスタービンユーザーにとってガスタービン1がトリップすることによる経済的損失は非常に大きい。
【0007】
このため、2台のガスコンプレッサーを設置して運転切り替えを可能にすることが要求されていた。図4は2台のガスコンプレッサーを備えた従来のガスタービン燃料ガス供給装置の構成図である。
【0008】
図4に示すように、ガスタービン1には燃料ガス供給装置21が装備されており、このガスタービン燃料ガス供給装置21は、燃料ガス供給ライン22の分岐ライン22A,22Bのそれぞれに設置された2台のガスコンプレッサー23,24及び逆止弁25,26と、燃料ガス供給ライン22に設置されたガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター27及び燃料ガス流量調節弁28と、再循環ライン29,30のそれぞれに設置されたガスコンプレッサー再循環弁31,32と、制御装置33とを備えている。
【0009】
このガスタービン燃料ガス供給装置21では、並設された2台のガスコンプレッサー23,24のうちの何れか1台が運転された状態で上記と同様の圧力制御が行われる。例えば第1ガスコンプレッサー23が運転状態で第2ガスコンプレッサー24が停止状態の場合、圧力トランスミッター27でガスコンプレッサー23の吐出圧力を検出して、吐出圧力検出信号を制御装置31へ伝送し、制御装置33では圧力トランスミッター10の吐出圧力検出信号に基づいてガスコンプレッサー再循環弁31の弁開度制御を行うことにより、前記吐出圧力が目標圧力となるように制御する。そして、このときに第1ガスコンプレッサー23の調子が悪くなると、第1ガスコンプレッサー23から第2ガスコンプレッサー24へのガスコンプレッサー運転切り替えが行われる。
【0010】
【特許文献1】特許第3403968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来のガスタービン燃料ガス供給装置21では2台のガスコンプレッサー23,24を有していても、下記の理由から、ガスタービン1の運転中にガスコンプレッサー運転切り替えを行うことができなかった。
(1) 運転中のガスコンプレッサー23を停止すると、即座にガスコンプレッサー23の吐出圧力(ガスタービン燃焼器3の入口の燃料ガス圧力)が低下して、燃焼器3における燃料ガスの燃焼が不安定になるため、ガスタービン1はトリップする。
(2) 停止中のガスコンプレッサー24を起動して、ガスコンプレッサー23,24の2台運転状態にすると、ガスコンプレッサー23,24の吐出圧力(ガスタービン燃焼器3の入口の燃料ガス圧力)が急上昇して、燃焼器3における燃料ガスの燃焼が不安定になるため、ガスタービン1はトリップする。
【0012】
このように従来のガスタービン燃料ガス供給装置21ではガスタービン燃焼器3の入口の燃料ガス圧力の振れ(変動)を小さく抑えて、ガスコンプレッサー運転切り替えを行うことが難しかった。このため、ガスタービン1を一旦止めてからガスコンプレッサー22,23の運転切り替えを行い、その後にガスタービン1を再起動するという方法を採らざるを得なかった。
【0013】
従って本発明は上記の事情に鑑み、ガスタービン運転中にガスコンプレッサーの運転切り替えを行うことができるガスタービン燃料ガス供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明のガスタービン燃料ガス供給装置は、燃料ガスを昇圧してガスタービンの燃焼器へ供給するためのガスタービン燃料ガス供給装置において、
前記燃料ガスを昇圧するために並設された第1ガスコンプレッサー及び第2ガスコンプレッサーと、
前記第1ガスコンプレッサーの下流側に設置され、前記第1ガスコンプレッサーの吐出圧力を検出する第1吐出圧力検出手段と、
前記第2ガスコンプレッサーの下流側に設置され、前記第2ガスコンプレッサーの吐出圧力を検出する第2吐出圧力検出手段と、
前記第1吐出圧力検出手段の下流側に設置された第1ガスコンプレッサー出口弁と、
前記第2吐出圧力検出手段の下流側に設置された第2ガスコンプレッサー出口弁と、
前記第1ガスコンプレッサーから吐出された燃料ガスを前記第1ガスコンプレッサーの吸込み側へと戻す第1ガスコンプレッサー再循環弁と、
前記第2ガスコンプレッサーから吐出された燃料ガスを前記第2ガスコンプレッサーの吸込み側へと戻す第2ガスコンプレッサー再循環弁と、
前記第1及び第2のガスコンプレッサー再循環弁の弁開度を制御することによって前記第1及び第2のガスコンプレッサーの吐出圧力が目標圧力となるように制御するガスコンプレッサー吐出圧力制御と、ガスコンプレッサー運転切り替え制御とを行なう制御装置とを備えており、
この制御装置では、
運転状態の前記第1ガスコンプレッサーから停止状態の前記第2ガスコンプレッサーへの運転切り替えを行う場合には、前記第1ガスコンプレッサー出口弁は全開、前記第1ガスコンプレッサー再循環弁は吐出圧力制御、前記第2ガスコンプレッサー出口弁は全閉及び前記第2ガスコンプレッサー再循環弁は全閉の状態から、前記第2ガスコンプレッサーを起動させ、前記第2ガスコンプレッサー再循環弁を吐出圧力制御状態とし且つ前記第2ガスコンプレッサー出口弁を徐々に開けていき、前記第2ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全開になると前記第1ガスコンプレッサー出口弁を徐々に閉めていき、前記第1ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全閉になると前記第1ガスコンプレッサーを停止させ且つ前記第1ガスコンプレッサー再循環弁を全閉とするように制御する一方、
運転状態の前記第2ガスコンプレッサーから停止状態の前記第1ガスコンプレッサーへの運転切り替えを行う場合には、前記第2ガスコンプレッサー出口弁は全開、前記第2ガスコンプレッサー再循環弁は吐出圧力制御、前記第1ガスコンプレッサー出口弁は全閉及び前記第1ガスコンプレッサー再循環弁は全閉の状態から、前記第1ガスコンプレッサーを起動させ、前記第1ガスコンプレッサー再循環弁を吐出圧力制御状態とし且つ前記第1ガスコンプレッサー出口弁を徐々に開けていき、前記第1ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全開になると前記第2ガスコンプレッサー出口弁を徐々に閉めていき、前記第2ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全閉になると前記第2ガスコンプレッサーを停止させ且つ前記第2ガスコンプレッサー再循環弁を全閉とするように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガスタービンの燃焼制御装置によれば、上記の如く、運転状態の前記第1ガスコンプレッサーから停止状態の前記第2ガスコンプレッサーへの運転切り替えを行う場合には、前記第1ガスコンプレッサー出口弁は全開、前記第1ガスコンプレッサー再循環弁は吐出圧力制御、前記第2ガスコンプレッサー出口弁は全閉及び前記第2ガスコンプレッサー再循環弁は全閉の状態から、前記第2ガスコンプレッサーを起動させ、前記第2ガスコンプレッサー再循環弁を吐出圧力制御状態とし且つ前記第2ガスコンプレッサー出口弁を徐々に開けていき、前記第2ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全開になると前記第1ガスコンプレッサー出口弁を徐々に閉めていき、前記第1ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全閉になると前記第1ガスコンプレッサーを停止させ且つ前記第1ガスコンプレッサー再循環弁を全閉とするように制御する一方、運転状態の前記第2ガスコンプレッサーから停止状態の前記第1ガスコンプレッサーへの運転切り替えを行う場合には、前記第2ガスコンプレッサー出口弁は全開、前記第2ガスコンプレッサー再循環弁は吐出圧力制御、前記第1ガスコンプレッサー出口弁は全閉及び前記第1ガスコンプレッサー再循環弁は全閉の状態から、前記第1ガスコンプレッサーを起動させ、前記第1ガスコンプレッサー再循環弁を吐出圧力制御状態とし且つ前記第1ガスコンプレッサー出口弁を徐々に開けていき、前記第1ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全開になると前記第2ガスコンプレッサー出口弁を徐々に閉めていき、前記第2ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全閉になると前記第2ガスコンプレッサーを停止させ且つ前記第2ガスコンプレッサー再循環弁を全閉とするように制御することを特徴とするため、一連のガスコンプレッサー運転切り替え操作において、第1及び第2のガスコンプレッサー再循環弁による吐出圧力制御が行われ、且つ、第1及び第2のガスコンプレッサー出口弁の弁開度変化などの状態変化も緩やかであるため、ガスタービン燃焼器入口圧力の変動が非常に小さい。このため、ガスタービン燃焼器における燃料ガスの燃焼が不安定な状態に陥ることなく、ガスタービン運転中にガスコンプレッサーの運転切り替えを行うことができるようになり、より信頼性の高いガスタービンを製作することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態例に係るガスタービン燃料ガス供給装置の構成図、図2は前記ガスタービン燃料ガス供給装置におけるガスコンプレッサー運転切り替え時のタイミングチャートである。
【0018】
図1に示すように、ガスタービン41はタービン本体42、燃焼器43、エアコンプレッサー44、発電機45及び排ガスダクト46などを有している。
【0019】
ガスタービン燃焼器43ではガスタービン燃料ガス供給装置47から供給される燃料ガスを、エアコンプレッサー44から供給される圧縮空気とともに燃焼し、このときに発生する燃焼ガスをタービン本体42に供給してタービン本体42を回転駆動する。タービン本体1から排出された燃焼ガス(排気ガス)は排気ガスダクト46を流通し、図示しない排熱回収ボイラ(HRSG)で熱回収された後、煙突から放散される。エアコンプレッサー44及び発電機45はタービン本体42と同一の回転軸64上に配置されているため、タービン本体42によって回転駆動される。このときエアコンプレッサー44では外気を吸入して圧縮し、この圧縮空気を前述の如く燃焼器43へ供給する。発電機45では発電し、この発電電力を図示しない電力系統に送電する。
【0020】
そして、このガスタービン1には本実施の形態例のガスタービン燃料ガス供給装置47も装備されている。このガスタービン燃料ガス供給装置47は燃料ガス供給ライン48に設けられた第1及び第2のガスコンプレッサー49,50、第1及び第2の吐出圧力検出手段としての第1及び第2のガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51,52、第1及び第2のガスコンプレッサー出口弁53,54、第1及び第2の逆止弁55,56、ガスタービン燃焼器入口圧力トランスミッター57及び燃料ガス流量調節弁58と、第1及び第2の再循環ライン59,60に設けられた第1及第2のガスコンプレッサー再循環弁61,62と、制御装置63とを備えている。
【0021】
燃料ガス供給ライン48は燃料ガス流通方向の上流側(以下、単に上流側と称する)の分岐部48aにおいて第1分岐ライン48Aと第2分岐ライン48Bとに分岐され、これらの分岐ライン48A,48Bが燃料ガス流通方向の下流側(以下、単に下流側と称する)の接続部(合流部)48bで接続されている。燃料ガス供給ライン48の上流側は図示しない燃料ガス供給会社の燃料ガス供給装置に接続される一方、燃料ガス供給ライン48の下流側はガスタービン燃焼器43に接続されている。
【0022】
第1分岐ライン48Aには、上流側から下流側へと順に第1ガスコンプレッサー49と、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51と、第1ガスコンプレッサー出口弁53と、第1逆止弁55とが設置されており、第2分岐ライン48Bには、上流側から下流側へと順に第2ガスコンプレッサー50と、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52と、第2ガスコンプレッサー出口弁54と、第2逆止弁56とが設置されている。また、接続部48bよりも下流側において燃料ガス供給ライン48には、上流側から下流側へと順にガスタービン燃焼器入口圧力トランスミッター57と、燃料ガス流量調整弁58とが設置されている。
【0023】
第1及び第2のガスコンプレッサー49,50は燃料ガス供給会社の燃料ガス供給装置との取り合い点(接続点)とガスタービン燃焼器43の入口との間に設けられており、通常、何れか1台が運転され、燃料ガス供給会社の燃料ガス供給装置から供給される燃料ガスを、ガスタービン41にとって望ましい圧力に昇圧する。
【0024】
第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51は第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力を検出して、この吐出圧力検出信号を制御装置63へ伝送し、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52は第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力を検出して、この吐出圧力検出信号を制御装置63へ伝送する。第1ガスコンプレッサー出口弁53は第1分岐ライン48Aを開閉する開閉制御弁であり、第2ガスコンプレッサー出口弁54は分岐ライン48Bを開閉する開閉制御弁である。第1逆止弁55は第1分岐ライン48Aにおける下流側から上流側への燃料ガスの逆流を阻止し、第2逆止弁56は第2分岐ライン48Bにおける下流側から上流側への燃料ガスの逆流を阻止する。
【0025】
ガスタービン燃焼器入口圧力トランスミッター57は、燃料ガス供給ライン48を介してガスタービン燃焼器43へ供給される燃料ガスの圧力(ガスタービン燃焼器43の入口圧力)を検出し、この圧力検出信号を図示しない監視装置へ伝送する。監視装置ではガスタービン燃焼器入口圧力トランスミッター57からの圧力検出信号に基づき、ガスタービン燃焼器43の入口圧力を監視する。燃料ガス流量調整弁58は図示しない出力制御装置に制御されて、ガスタービン41の燃料ガス消費量(ガスタービン燃焼器43へ供給される燃料ガス流量)を調節する。ガスタービン41の燃料ガス消費量は、起動時及び発電機出力が低いときには少なく、発電機出力が高いときには多くなる。
【0026】
また、第1再循環ライン59の一端は第1ガスコンプレッサー49の吐出側(第1ガスコンプレッサー49と第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51との間)で第1分岐ライン48Aに接続され、第1再循環ライン59の他端は第1ガスコンプレッサー49の吸込み側で第1分岐ライン48Aに接続されている。従って、第1ガスコンプレッサー再循環弁61を開けると、第1ガスコンプレッサー49から吐出された燃料ガスの一部又は全部が第1再循環ライン59を介して第1ガスコンプレッサー49の吸込み側へ戻されて再循環する。このとき燃料ガスの再循環流量は第1ガスコンプレッサー再循環弁61の弁開度によって調整される。
【0027】
同様に、第2再循環ライン60の一端は第2ガスコンプレッサー50の吐出側(第2ガスコンプレッサー50と第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52との間)で第2分岐ライン48Bに接続され、第1再循環ライン60の他端は第2ガスコンプレッサー50の吸込み側で第2分岐ライン48Bに接続されている。従って、第2ガスコンプレッサー再循環弁62を開けると、第2ガスコンプレッサー50から吐出された燃料ガスの一部又は全部が第2再循環ライン60を介して第2ガスコンプレッサー50の吸込み側へ戻されて再循環する。このとき燃料ガスの再循環流量は第2ガスコンプレッサー再循環弁62の弁開度によって調整される。
【0028】
そして、制御装置63では、第1及び第2のガスコンプレッサー再循環弁61,62の弁開度を制御することによって第1及び第2のガスコンプレッサー49,50の吐出圧力が所定の目標圧力(ガスコンプレッサー41にとって望まし圧力)となるように制御するガスコンプレッサー吐出圧力制御と、ガスコンプレッサー運転切り替え制御とを行なう。以下、これらのガスコンプレッサー吐出圧力制御とガスコンプレッサー運転切り替え制御について詳述する。なお、ガスコンプレッサー吐出圧力制御は通常運転時だけでなく、ガスコンプレッサー運転切り替え制御時にも行われる。
【0029】
<ガスコンプレッサー吐出圧力制御>
通常運転時にはガスコンプレッサー49,50の何れか1台を運転状態とし、他の1台は停止状態とする。
【0030】
第1ガスコンプレッサー49が運転状態の場合には、第1ガスコンプレッサー出口弁53は全開状態、第2ガスコンプレッサー50は停止状態、第2ガスコンプレッサー出口弁54は全閉状態とする。そして、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51の吐出圧力検出信号に基づいて第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が、前記目標圧力となるように第1ガスコンプレッサー再循環弁61の弁開度制御を行う。この吐出圧力制御は任意の制御手法によって行うことができ、例えば第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51で検出する第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力と前記目標圧力との偏差に基づいて比例積分(PI)制御により、第1ガスコンプレッサー再循環弁61の弁開度を制御するようにしてもよい。
【0031】
同様に、第2ガスコンプレッサー50が運転状態の場合には、第2ガスコンプレッサー出口弁54は全開状態、第1ガスコンプレッサー49は停止状態、第1ガスコンプレッサー出口弁53は全閉状態とする。そして、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52の吐出圧力検出信号に基づいて第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が、前記目標圧力となるように第2ガスコンプレッサー再循環弁62の弁開度制御を行う。この吐出圧力制御も任意の制御手法によって行うことができ、例えば第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52で検出する第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力と前記目標圧力との偏差に基づいてPI制御により、第2ガスコンプレッサー再循環弁62の弁開度を制御するようにしてもよい。
【0032】
このようなガスコンプレッサー吐出圧力制御は先にも述べたとおり、通常運転時だけでなく、後述するガスコンプレッサー運転切り替え制御でも行われる。
【0033】
<ガスコンプレッサー運転切り替え制御>
まず、図2のタイミングチャートを参照して、第1ガスコンプレッサー49が運転状態、第2ガスコンプレッサー50が停止状態のときに第1ガスコンプレッサー49から第2ガスコンプレッサー50への運転切り替えを行う場合について説明する。
【0034】
なお、図2は第1ガスコンプレッサー49から第2ガスコンプレッサー50への運転切り替え制御のタイミングチャートであり、図2の(a)にはガスタービン燃焼器入口圧力トランスミッター57において検出されるガスタービン燃焼器入口圧力の変化、(b)には第1ガスコンプレッサー49のON(運転)/OFF(停止)状態、(c)には第1ガスコンプレッサー出口弁53の開閉状態(弁開度)、(d)には第1ガスコンプレッサー再循環弁61の状態(吐出圧力制御状態と全閉状態)、(e)には第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51によって検出される第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力の変化を示している。また、図2の(f)には第2ガスコンプレッサー50のON(運転)/OFF(停止)状態、(g)には第2ガスコンプレッサー出口弁54の開閉状態(弁開度)、(h)には第2ガスコンプレッサー再循環弁62の状態(吐出圧力制御状態と全閉状態)、(i)には第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52によって検出される第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力の変化を示している。
【0035】
(1) 図2に示すように、ガスコンプレッサー運転切り替えを開始する時刻T1以前のガスコンプレッサー49,50及び各弁53,54,61,62の状態は次のようになっている。
(1−1) 第1ガスコンプレッサー49・・・ON(運転)状態(図2(b))
(1−2) 第1ガスコンプレッサー出口弁53・・・全開(図2(c))
(1−3) 第1ガスコンプレッサー再循環弁61・・・吐出圧力制御状態(第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51によって検出される第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)(図2(d))
(1−4) 第2ガスコンプレッサー50・・・OFF(停止)状態(図2(f))
(1−5) 第2ガスコンプレッサー出口弁54・・・全閉(図2(g))
(1−6) 第2ガスコンプレッサー再循環弁62・・・全閉(図2(h))
【0036】
(2) かかる状態において、時刻T1に第2ガスコンプレッサー50を起動してON(運転)状態とする(図2(f)。即ち、運転切り替えを開始する。なお、この運転切り替えは、例えば振動や軸受メタル温度などの運転状態から第1ガスコンプレッサー49が不調であると判断したときやメンテナンスなどのために運転員が、運転切り替えスイッチを操作することによって開始してもよく、或いは、振動や軸受メタル温度などの運転状態異常検出信号に基づいて開始してもよい。また、同時刻T1に第2ガスコンプレッサー再循環弁62による吐出圧力制御を開始して、第2ガスコンプレッサー再循環弁62を吐出圧力制御状態にする(図2(h))。即ち、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52によって検出される第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が、前記目標圧力となるように第2ガスコンプレッサー再循環弁62の弁開度を制御する。
【0037】
(3) このとき、第2ガスコンプレッサー50が起動され、且つ、第2ガスコンプレッサー出口弁54が全閉であるため、第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が急上昇する(図2(i))。その結果、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52の吐出圧力検出信号に基づき、第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力を前記目標圧力にするために第2ガスコンプレッサー再循環弁62が開いて、その弁開度が急増する(図2(h))。
【0038】
(4) そして、第2ガスコンプレッサー出口弁54を、同時刻T1から徐々に開けていく(図2(g))。その結果、第1ガスコンプレッサー49から吐出された燃料ガスと、第2ガスコンプレッサー50から吐出された燃料ガスとが接続部48bで合流するようになるため、第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力は上昇していく(図2(e))。このとき、第1ガスコンプレッサー再循環弁61は吐出圧力制御状態であるため、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51の吐出圧力検出信号に基づいて弁開度が増加する(図2(d))。逆に、第2ガスコンプレッサー出口弁54を開いたことによって第2ガスコンプレッサー50から吐出された燃料ガスが、第2ガスコンプレッサー出口弁54を介して下流側へと流れ出すため、第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が低下し始める。その結果、吐出圧力制御中の第2ガスコンプレッサー再循環弁62の弁開度は、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52の吐出圧力検出信号に基づいて徐々に減少していく(図2(h))。
【0039】
(5) その後、時刻T2において第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度が全開になると(図2(g))、今度は第1ガスコンプレッサー出口弁53を、同時刻T2から徐々に閉めていく(図2(c))。第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度が低下すると(図2(c))、第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が更に大きく上昇するため(図2(f))、吐出圧力制御中の第1ガスコンプレッサー再循環弁61の弁開度も、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51の吐出圧力検出信号に基づいて更に大きく増加する(図2(d))。なお、第2ガスコンプレッサー出口弁54が全閉から全開になるまでの時間ΔT1(=T2−T1)は例えば5分とする。また、第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度が全開になったことは、弁開度検出器による第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度検出信号に基づいて判断してもよく、制御装置63から第2ガスコンプレッサー出口弁54への弁開度制御信号に基づいて判断してもよい。
【0040】
(6) その後、時刻T3において第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度は全閉になるが(図2(c))、このときの各弁53,54,61,62の状態は下記のようになっている。なお、第1ガスコンプレッサー出口弁53が全開から全閉になるまでの時間ΔT2(=T3−T2)は例えば5分とする。
(6−1) 第1ガスコンプレッサー出口弁53・・・全閉(図2(c))
(6−2) 第1ガスコンプレッサー再循環弁61・・・吐出圧力制御状態(第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51によって検出される第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)(図2(d))
(6−3) 第2ガスコンプレッサー出口弁54・・・全開(図2(g))
(6−4) 第2ガスコンプレッサー再循環弁62・・・吐出圧力制御状態(第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52によって検出される第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)(図2(h))
【0041】
(7) 時刻T3において第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度が全閉になると(図2(c))、第1ガスコンプレッサー49をOFF(停止)させ(図2(b))、且つ、第1ガスコンプレッサー再循環弁61を全閉にする(図2(d))。なお、第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度が全閉になったことは、弁開度検出器による第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度検出信号に基づいて判断してもよく、制御装置63から第1ガスコンプレッサー出口弁53への弁開度制御信号に基づいて判断してもよい。
【0042】
(8) かくして第1ガスコンプレッサー49から第2ガスコンプレッサー50への運転切り替え制御が終了する。この運転切り替え終了時(時刻T3以後)のガスコンプレッサー49,50及び各弁53,54,61,62の状態は次のようになっている。これらの状態は上記(1)に示す運転切り替え開始時の状態と逆になっている。
(8−1) 第1ガスコンプレッサー49・・・OFF(停止)状態(図2(b))
(8−2) 第1ガスコンプレッサー出口弁53・・・全閉(図2(c))
(8−3) 第1ガスコンプレッサー再循環弁61・・・全閉(図2(d))
(8−4) 第2ガスコンプレッサー50・・・ON(運転)状態(図2(f))
(8−5) 第2ガスコンプレッサー出口弁54・・・全開(図2(g))
(8−6) 第2ガスコンプレッサー再循環弁62・・・吐出圧力制御状態(第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52によって検出される第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)(図2(h))
【0043】
(9) そして、この一連のガスコンプレッサー運転切り替え操作においては、ガスコンプレッサー再循環弁61,62による吐出圧力制御が行われ、且つ、ガスコンプレッサー出口弁53,54の弁開度変化などの状態変化も緩やかであるため、図2(a)に示すようにガスタービン燃焼器入口圧力(接続部48aで合流後の燃料ガスの圧力)の変動は非常に小さい。
【0044】
なお、図示例ではガスコンプレッサー出口弁53,54の弁開度を直線的に変化させているが、これに限定するものではなく、曲線的に変化させてもよい。また、第1ガスコンプレッサー出口弁53が閉じる速さや、第2ガスコンプレッサー出口弁54が開く速さは、ガスタービン燃焼器入口圧力の安定のためにはできるだけ遅いほうがよいが、あまり遅すぎると第1ガスコンプレッサー49の状態が更に悪化して運転切り替え途中で第1ガスコンプレッサー49が停止してしまう可能性もあるため、実用上問題がない程度にガスタービン燃焼器入口圧力の変動を抑えることができる速さとすることが望ましく、具体的な開閉速度については解析や試験などによって適宜の値に決定すればよい。
【0045】
次に、タイミングチャートの図示は省略するが、第2ガスコンプレッサー50が運転中、第1ガスコンプレッサー49が停止中の状態のときに第2ガスコンプレッサー50から第1ガスコンプレッサー49への運転切り替えを行う場合について説明する。この場合は上記と逆の手順となる。
【0046】
(10) ガスコンプレッサー運転切り替えを開始する時刻T11以前のガスコンプレッサー49,50及び各弁53,54,61,62の状態は次のようになっている。
(10−1) 第1ガスコンプレッサー49・・・OFF(停止)状態
(10−2) 第1ガスコンプレッサー出口弁53・・・全閉
(10−3) 第1ガスコンプレッサー再循環弁61・・・全閉
(10−4) 第2ガスコンプレッサー50・・・ON(運転)状態
(10−5) 第2ガスコンプレッサー出口弁54・・・全開
(10−6) 第2ガスコンプレッサー再循環弁62・・・吐出圧力制御状態(第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52によって検出される第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)
【0047】
(11) かかる状態において、時刻T11に第1ガスコンプレッサー49を起動してON(運転)状態とする。即ち、運転切り替えを開始する。なお、この運転切り替えは、例えば振動や軸受メタル温度などの運転状態から第2ガスコンプレッサー50が不調であると判断したときやメンテナンスなどのために運転員が、運転切り替えスイッチを操作することによって開始してもよく、或いは、振動や軸受メタル温度などの運転状態異常検出信号に基づいて開始してもよい。また、同時刻T11に第1ガスコンプレッサー再循環弁61による吐出圧力制御を開始して、第1ガスコンプレッサー再循環弁61を吐出圧力制御状態にする。即ち、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51によって検出される第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が、前記目標圧力となるように第1ガスコンプレッサー再循環弁61の弁開度を制御する。
【0048】
(12) このとき、第1ガスコンプレッサー49が起動され、且つ、第1ガスコンプレッサー出口弁53が全閉であるため、第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が急上昇する。その結果、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51の吐出圧力検出信号に基づき、第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力を前記目標圧力にするために第1ガスコンプレッサー再循環弁61が開いて、その弁開度が急増する。
【0049】
(13) そして、第1ガスコンプレッサー出口弁53を、同時刻T11から徐々に開けていく。その結果、第1ガスコンプレッサー49から吐出された燃料ガスと、第2ガスコンプレッサー50から吐出された燃料ガスとが接続部48bで合流するようになるため、第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力は上昇していく。このとき、第2ガスコンプレッサー再循環弁62は吐出圧力制御状態であるため、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52の吐出圧力検出信号に基づいて弁開度が増加する。逆に、第1ガスコンプレッサー出口弁53を開いたことによって第1ガスコンプレッサー49から吐出された燃料ガスが、第1ガスコンプレッサー出口弁53を介して下流側へと流れ出すため、第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が低下し始める。その結果、吐出圧力制御中の第1ガスコンプレッサー再循環弁61の弁開度は、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51の吐出圧力検出信号に基づいて徐々に減少していく。
【0050】
(14) その後、時刻T12において第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度が全開になると、今度は第2ガスコンプレッサー出口弁54を、同時刻T12から徐々に閉めていく。第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度が低下すると、第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が更に大きく上昇するため、吐出圧力制御中の第2ガスコンプレッサー再循環弁62の弁開度も、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52の吐出圧力検出信号に基づいて更に大きく増加する。なお、第1ガスコンプレッサー出口弁53が全閉から全開になるまでの時間ΔT11(=T12−T11)は例えば5分とする。また、第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度が全開になったことは、弁開度検出器による第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度検出信号に基づいて判断してもよく、制御装置63から第1ガスコンプレッサー出口弁53への弁開度制御信号に基づいて判断してもよい。
【0051】
(15) その後、時刻T13において第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度は全閉になるが、このときの各弁53,54,61,62の状態は下記のようになっている。なお、第2ガスコンプレッサー出口弁54が全開から全閉になるまでの時間ΔT12(=T13−T12)は例えば5分とする。
(15−1) 第1ガスコンプレッサー出口弁53・・・全開
(15−2) 第1ガスコンプレッサー再循環弁61・・・吐出圧力制御状態(第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51によって検出される第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)
(15−3) 第2ガスコンプレッサー出口弁54・・・全閉
(15−4) 第2ガスコンプレッサー再循環弁62・・・吐出圧力制御状態(第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52によって検出される第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)
【0052】
(16) 時刻T13において第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度が全閉になると、第2ガスコンプレッサー50をOFF(停止)させ、且つ、第2ガスコンプレッサー再循環弁62を全閉にする。なお、第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度が全閉になったことは、弁開度検出器による第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度検出信号に基づいて判断してもよく、制御装置63から第2ガスコンプレッサー出口弁54への弁開度制御信号に基づいて判断してもよい。
【0053】
(17) かくして第2ガスコンプレッサー50から第1ガスコンプレッサー49への運転切り替え制御が終了する。この運転切り替え終了時(時刻T13以後)のガスコンプレッサー49,50及び各弁53,54,61,62の状態は次のようになっている。これらの状態は上記(10)に示す運転切り替え開始時の状態と逆になっている。
(17−1) 第1ガスコンプレッサー49・・・ON(運転)状態
(17−2) 第1ガスコンプレッサー出口弁53・・・全開
(17−3) 第1ガスコンプレッサー再循環弁61・・・吐出圧力制御状態(第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51によって検出される第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力が、前記目標圧力となるように弁開度制御されている状態)
(17−4) 第2ガスコンプレッサー50・・・OFF(停止)状態
(17−5) 第2ガスコンプレッサー出口弁54・・・全閉
(17−6) 第2ガスコンプレッサー再循環弁62・・・全閉
【0054】
(18) そして、この一連のガスコンプレッサー運転切り替え操作においても、両ガスコンプレッサー再循環弁61,62による吐出圧力制御が行われ、且つ、両ガスコンプレッサー出口弁53,54の弁開度変化などの状態変化も緩やかあるため、ガスタービン燃焼器入口圧力(接続部48aで合流後の燃料ガスの圧力)の変動は非常に小さい。
【0055】
なお、この場合もガスコンプレッサー出口弁53,54の弁開度の変化は直線的な変化に限定するものではなく、曲線的な変化であってもよい。また、第1ガスコンプレッサー出口弁53が開く速さや、第2ガスコンプレッサー出口弁54が閉じる速さは、ガスタービン燃焼器入口圧力の安定のためにはできるだけ遅いほうがよいが、あまり遅すぎると第2ガスコンプレッサー50の状態が更に悪化して運転切り替え途中で第2ガスコンプレッサー50が停止してしまう可能性もあるため、実用上問題がない程度にガスタービン燃焼器入口圧力の変動を抑えることができる速さとすることが望ましく、具体的な開閉速度については解析や試験などによって適宜の値に決定すればよい。
【0056】
以上のように、本実施の形態例のガスタービン燃料ガス供給装置47は、燃料ガスを昇圧するために並設された第1ガスコンプレッサー49及び第2ガスコンプレッサー50と、第1ガスコンプレッサー49の下流側に設置され、第1ガスコンプレッサー49の吐出圧力を検出する第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51と、第2ガスコンプレッサー50の下流側に設置され、第2ガスコンプレッサー50の吐出圧力を検出する第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52と、第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター51の下流側に設置された第1ガスコンプレッサー出口弁53と、第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター52の下流側に設置された第2ガスコンプレッサー出口弁54と、第1ガスコンプレッサー49から吐出された燃料ガスを第1ガスコンプレッサー49の吸込み側へと戻す第1ガスコンプレッサー再循環弁61と、第2ガスコンプレッサー50から吐出された燃料ガスを第2ガスコンプレッサー50の吸込み側へと戻す第2ガスコンプレッサー再循環弁62と、第1及び第2のガスコンプレッサー再循環弁61,62の弁開度を制御することによって第1及び第2のガスコンプレッサー49,50の吐出圧力が目標圧力となるように制御するガスコンプレッサー吐出圧力制御と、ガスコンプレッサー運転切り替え制御とを行なう制御装置63とを備えており、この制御装置63では、運転状態の第1ガスコンプレッサー49から停止状態の第2ガスコンプレッサー50への運転切り替えを行う場合には、第1ガスコンプレッサー出口弁53は全開、第1ガスコンプレッサー再循環弁61は吐出圧力制御、第2ガスコンプレッサー出口弁54は全閉及び第2ガスコンプレッサー再循環弁62は全閉の状態から、第2ガスコンプレッサー50を起動させ、第2ガスコンプレッサー再循環弁62を吐出圧力制御状態とし且つ第2ガスコンプレッサー出口弁54を徐々に開けていき、第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度が全開になると第1ガスコンプレッサー出口弁53を徐々に閉めていき、第1ガスコンプレッサー出口弁53の弁開度が全閉になると第1ガスコンプレッサー49を停止させ且つ第1ガスコンプレッサー再循環弁49を全閉とするように制御する一方、運転状態の第2ガスコンプレッサー50から停止状態の第1ガスコンプレッサー49への運転切り替えを行う場合には、第2ガスコンプレッサー出口弁54は全開、第2ガスコンプレッサー再循環弁62は吐出圧力制御、第1ガスコンプレッサー出口弁53は全閉及び第1ガスコンプレッサー再循環弁61は全閉の状態から、第1ガスコンプレッサー49を起動させ、第1ガスコンプレッサー再循環弁61を吐出圧力制御状態とし且つ第1ガスコンプレッサー出口弁63を徐々に開けていき、第1ガスコンプレッサー出口弁63の弁開度が全開になると第2ガスコンプレッサー出口弁54を徐々に閉めていき、第2ガスコンプレッサー出口弁54の弁開度が全閉になると第2ガスコンプレッサー50を停止させ且つ第2ガスコンプレッサー再循環弁62を全閉とするように制御することを特徴としている。
【0057】
従って、本実施の形態例のガスタービン燃料ガス供給装置47によれば、一連のガスコンプレッサー運転切り替え操作において、第1及び第2のガスコンプレッサー再循環弁61,62による吐出圧力制御が行われ、且つ、第1及び第2のガスコンプレッサー出口弁53,54の弁開度変化などの状態変化も緩やかであるため、ガスタービン燃焼器入口圧力の変動が非常に小さい。このため、ガスタービン燃焼器43における燃料ガスの燃焼が不安定な状態に陥ることなく、ガスタービン41の運転中に第1及び第2のガスコンプレッサー49,50の運転切り替えを行うことができるようになり、より信頼性の高いガスタービン41を製作することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は燃料ガスを昇圧してガスタービンの燃焼器へ供給するためのガスタービン燃料ガス供給装置に関するものであり、並設した2台のガスコンプレッサーの運転切り替えをガスタービン運手中に行う機能を備えることによって、より信頼性の高いガスタービンを実現する場合に適用して有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態例に係るガスタービン燃料ガス供給装置の構成図である。
【図2】前記ガスタービン燃料ガス供給装置におけるガスコンプレッサー運転切り替え時のタイミングチャートである。
【図3】1台のガスコンプレッサーを備えた従来のガスタービン燃料ガス供給装置の構成図である。
【図4】2台のガスコンプレッサーを備えた従来のガスタービン燃料ガス供給装置の構成図である。
【符号の説明】
【0060】
41 ガスタービン
42 タービン本体
43 燃焼器
44 エアコンプレッサー
45 発電機
46 排気ガスダクト
47 ガスタービン燃料ガス供給装置
48 燃料ガス供給ライン
48A 第1分岐ライン
48B 第2分岐ライン
48a 分岐部
48b 接続部
49 第1ガスコンプレッサー
50 第2ガスコンプレッサー
51 第1ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター
52 第2ガスコンプレッサー吐出圧力トランスミッター
53 第1ガスコンプレッサー出口弁
54 第2ガスコンプレッサー出口弁
55 第1逆止弁
56 第2逆止弁
57 ガスタービン燃焼器入口圧力トランスミッター
58 燃料ガス流量調整弁
59 第1再循環ライン
60 第2再循環ライン
61 第1ガスコンプレッサー再循環弁
62 第2ガスコンプレッサー再循環弁
63 制御装置
64 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを昇圧してガスタービンの燃焼器へ供給するためのガスタービン燃料ガス供給装置において、
前記燃料ガスを昇圧するために並設された第1ガスコンプレッサー及び第2ガスコンプレッサーと、
前記第1ガスコンプレッサーの下流側に設置され、前記第1ガスコンプレッサーの吐出圧力を検出する第1吐出圧力検出手段と、
前記第2ガスコンプレッサーの下流側に設置され、前記第2ガスコンプレッサーの吐出圧力を検出する第2吐出圧力検出手段と、
前記第1吐出圧力検出手段の下流側に設置された第1ガスコンプレッサー出口弁と、
前記第2吐出圧力検出手段の下流側に設置された第2ガスコンプレッサー出口弁と、
前記第1ガスコンプレッサーから吐出された燃料ガスを前記第1ガスコンプレッサーの吸込み側へと戻す第1ガスコンプレッサー再循環弁と、
前記第2ガスコンプレッサーから吐出された燃料ガスを前記第2ガスコンプレッサーの吸込み側へと戻す第2ガスコンプレッサー再循環弁と、
前記第1及び第2のガスコンプレッサー再循環弁の弁開度を制御することによって前記第1及び第2のガスコンプレッサーの吐出圧力が目標圧力となるように制御するガスコンプレッサー吐出圧力制御と、ガスコンプレッサー運転切り替え制御とを行なう制御装置とを備えており、
この制御装置では、
運転状態の前記第1ガスコンプレッサーから停止状態の前記第2ガスコンプレッサーへの運転切り替えを行う場合には、前記第1ガスコンプレッサー出口弁は全開、前記第1ガスコンプレッサー再循環弁は吐出圧力制御、前記第2ガスコンプレッサー出口弁は全閉及び前記第2ガスコンプレッサー再循環弁は全閉の状態から、前記第2ガスコンプレッサーを起動させ、前記第2ガスコンプレッサー再循環弁を吐出圧力制御状態とし且つ前記第2ガスコンプレッサー出口弁を徐々に開けていき、前記第2ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全開になると前記第1ガスコンプレッサー出口弁を徐々に閉めていき、前記第1ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全閉になると前記第1ガスコンプレッサーを停止させ且つ前記第1ガスコンプレッサー再循環弁を全閉とするように制御する一方、
運転状態の前記第2ガスコンプレッサーから停止状態の前記第1ガスコンプレッサーへの運転切り替えを行う場合には、前記第2ガスコンプレッサー出口弁は全開、前記第2ガスコンプレッサー再循環弁は吐出圧力制御、前記第1ガスコンプレッサー出口弁は全閉及び前記第1ガスコンプレッサー再循環弁は全閉の状態から、前記第1ガスコンプレッサーを起動させ、前記第1ガスコンプレッサー再循環弁を吐出圧力制御状態とし且つ前記第1ガスコンプレッサー出口弁を徐々に開けていき、前記第1ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全開になると前記第2ガスコンプレッサー出口弁を徐々に閉めていき、前記第2ガスコンプレッサー出口弁の弁開度が全閉になると前記第2ガスコンプレッサーを停止させ且つ前記第2ガスコンプレッサー再循環弁を全閉とするように制御することを特徴とするガスタービン燃料ガス供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−57883(P2009−57883A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225091(P2007−225091)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】