説明

ガスバリア性プラスチック成形体及びその製造方法

【課題】本発明の目的は、発熱体CVD法を用いて、プラスチック成形体の表面に、プラスチック成形体との高い密着性(特に、耐水性)を有するガスバリア薄膜を形成する方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体90の製造方法は、プラスチック成形体91の表面に、発熱体CVD法で、構成元素としてAl及びOを含有するガスバリア薄膜92を形成するガスバリア性プラスチック成形体の製造方法において、プラスチック成形体を収容した真空チャンバ6の内部に、水素ガスを供給して、プラスチック成形体の表面を還元する水素処理工程と、Al源原料ガスを供給して、Al源原料ガスを発熱した発熱体に接触させて、Al源原料ガスを分解して化学種を生成させ、プラスチック成形体の表面に化学種を到達させることによって、ガスバリア薄膜を形成する成膜工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性プラスチック成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、透明性、軽量性、耐衝撃性、耐食性及び加工成形性に優れ、価格が安価で、多品種少量生産に対応できるという長所を有するため、食品、飲料、医薬品又は化粧品などを包装する包装材料として適している。しかし、プラスチックは、他の包装材料である金属又はガラスと比べて、ガスバリア性が低く、酸化を嫌う内容物又はビールなどのガスを含有する内容物の包装材料としては適さないという問題があった。そこで、プラスチック成形体の表面に金属酸化物を含有する薄膜を形成して、ガスバリア性を付与することが行われている。ガスバリア性を有する薄膜(以降、ガスバリア薄膜ということもある。)を備えるプラスチック成形体(以降、ガスバリア性プラスチック成形体ということもある。)では、基材と薄膜との密着性を向上させることが検討されている。
【0003】
従来、基材上に薄膜を形成する技術に関し、基材と薄膜との密着性を向上させる技術が提案されている。例えば、プラズマ化学蒸着(CVD)法を用いて、水素と炭酸ガスと炭素化物気体とをプラズマ発生空間に導入して、ダイヤモンドを主成分とする被膜を作製する技術において、プラズマ条件下で発生する一酸化炭素を還元剤として、基材の表面のナチュラルオキサイドを還元して除去することによって、密着性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。基材と薄膜との密着性を向上させる技術として、NFガス、NFガス、NHガス又はHガスのうち少なくともいずれか一つを含む還元ガスを用いて、還元反応によって自然酸化膜を除去するドライクリーニング処理が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。水素又は水素含有ガスを高温の触媒体に接触させて、大量の高温の水素系活性種などを生成し、これを基材上に形成したカーボン膜に吹き付けることで、水素系活性種の作用によって選択的にアモルファス成分がエッチングされ、カーボン膜の表面又は基板(例えばガラス基板)上に、ダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子を確実に安定して点在させる技術が開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。加熱した触媒線に窒素を含むガスを接触させて熱分解し、ラジカル化した雰囲気に共振器端面を暴露することで、共振器端面にダメージを与えずに表面のクリーニングをする技術が開示されている(例えば、特許文献4を参照。)。さらに、特許文献4には、水素を用いることで、ラジカル化された水素原子の還元作用等によって表面に付着したSi、有機珪素化合物などがエッチングされるクリーニング効果があることを開示している。また、樹脂フィルムからなる基材シートと導電性コート層との間に接着用アンカーコート層を設けることによって、基材シートと導電性コート層との接着性が著しく向上することが開示されている(例えば、特許文献5を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−48494号公報
【特許文献2】特開2008−103370号公報
【特許文献3】特開2002−293687号公報
【特許文献4】特開2010−225727号公報
【特許文献5】特開2005−190932号公報
【特許文献6】特開2008−127053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラズマCVD法によって薄膜を形成する方法は、薄膜形成時にプラズマが膜表面に損傷を与え、薄膜の緻密さが損なわれやすい。また、原料ガスを、マイクロ波を含む高周波によりプラズマ化して、プラスチック容器の表面にて反応させて薄膜を形成するため、必ず高周波電源及び高周波電力整合装置を必要とし、装置のコストが高額にならざるを得ないという問題を有する。
【0006】
発熱させた発熱体に原料ガスを接触させて分解し、生成した化学種を直接又は気相中で反応過程を経た後に、基材上に薄膜として堆積させる方法、すなわち、発熱体CVD法、Cat‐CVD法又はホットワイヤーCVD法と呼ばれるCVD法(以降、本明細書では、発熱体CVD法という。)は、前記したプラズマCVD法の問題点を解決して、緻密で高いガスバリア性を有する薄膜を、プラズマCVD成膜装置よりも単純、かつ、低コストの成膜装置で形成することができるため、次世代成膜方法として注目されている。
【0007】
しかし、本発明者らが実験したところによると、発熱体CVD法によって、プラスチック成形体としてプラスチックボトルを用い、該プラスチックボトルの内表面に、アルミニウムの酸化物(AlOx)、チタンの酸化物(TiOx)などの金属酸化物を含有する薄膜を形成し、該金属酸化物を含有する薄膜で内表面を被覆したプラスチックボトル内に水を充填すると、1日で膜剥離に至った。
【0008】
これまで、AlOx、TiOxなどの金属酸化物を含有する薄膜を、発熱体CVD法を用いて形成する検討事例はあるものの、プラスチック成形体との高い密着性(特に、耐水性)を、発熱体CVD法を用いて確保できる成膜方法についての知見は開示されていない。特に、AlOxを含有する薄膜は、高いガスバリア性を有することが知られており、基材との高い密着性を実現することが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、発熱体CVD法を用いて、プラスチック成形体の表面に、プラスチック成形体との高い密着性(特に、耐水性)を有するガスバリア薄膜を形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、プラスチック成形体の表面を水素ガスで還元処理することによって、AlOxを含有する薄膜の密着性が特異的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法は、プラスチック成形体の表面に、発熱体CVD法で、構成元素としてアルミニウム(Al)及び酸素(O)を含有するガスバリア薄膜を形成するガスバリア性プラスチック成形体の製造方法において、前記プラスチック成形体を収容した真空チャンバの内部に、水素ガスを供給して、前記プラスチック成形体の表面を還元する水素処理工程と、前記プラスチック成形体を収容した真空チャンバの内部に、Al源原料ガスを供給して、該Al源原料ガスを発熱した発熱体に接触させて、前記Al源原料ガスを分解して化学種を生成させ、前記プラスチック成形体の表面に前記化学種を到達させることによって、前記ガスバリア薄膜を形成する成膜工程とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法では、前記水素処理工程が、水素ガスを発熱した発熱体に接触させる工程を含むことが好ましい。基材とガスバリア薄膜との密着性をより高めることができる。
【0013】
本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法では、前記水素処理工程が、水素ガスと前記Al源原料ガスとを同時に供給する工程を含むことが好ましい。基材とガスバリア薄膜との密着性をより高めることができる。
【0014】
本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法では、前記プラスチック成形体が、フィルム、シート又は容器である形態を包含する。
【0015】
本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体は、本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法で形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、発熱体CVD法を用いて、プラスチック成形体の表面に、プラスチック成形体との高い密着性(特に、耐水性)を有するガスバリア薄膜を形成する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】成膜装置の一形態を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0019】
まず、プラスチック成形体の表面にガスバリア薄膜を形成することができる成膜装置について説明する。図1は、成膜装置の一形態を示す概略図である。図1に示す成膜装置は、プラスチック成形体が容器である場合であって、該容器の内表面に薄膜を成膜できる装置である。
【0020】
図1に示した成膜装置100は、プラスチック成形体としてのプラスチック容器11を収容する真空チャンバ6と、真空チャンバ6を真空引きする排気ポンプ(不図示)と、プラスチック容器11の内部に挿脱可能に配置され、プラスチック容器11の内部へ原料ガスを供給する、絶縁、かつ、耐熱の材料で形成された原料ガス供給管23と、原料ガス供給管23に支持された発熱体18と、発熱体18に通電して発熱させるヒータ電源20と、を有する。
【0021】
真空チャンバ6は、その内部にプラスチック容器11を収容する空間が形成されており、その空間は薄膜形成のための反応室12となる。真空チャンバ6は、下部チャンバ13と、この下部チャンバ13の上部に着脱自在に取り付けられて下部チャンバ13の内部をOリング14で密閉するようになっている上部チャンバ15とから構成されている。上部チャンバ15には図示していない上下の駆動機構があり、プラスチック容器11の搬入・搬出に伴い上下する。下部チャンバ13の内部空間は、そこに収容されるプラスチック容器11の外形よりも僅かに大きくなるように形成されている。
【0022】
真空チャンバ6の内側、特に下部チャンバ13の内側は、発熱体18の発熱に伴って放射される光の反射を防ぐために、内面28が黒色内壁となっているか、又は内面が表面粗さ(Rmax)0.5μm以上の凹凸を有していることが好ましい。表面粗さ(Rmax)は、例えば表面粗さ測定器(アルバックテクノ(株)製、DEKTAX3)を用いて測定する。内面28を黒色内壁とするためには、黒ニッケルメッキ・黒クロームメッキなどのメッキ処理、レイデント・黒染などの化成皮膜処理、又は、黒色塗料を塗布して着色する方法がある。さらに、冷却水が流される冷却管などの冷却手段29を真空チャンバ6の内部又は外部に設けて、下部チャンバ13の温度上昇を防止することが好ましい。真空チャンバ6のうち、特に下部チャンバ13を対象とするのは発熱体18がプラスチック容器11に挿入されているときに、ちょうど下部チャンバ13の内部空間に収容された状態となるからである。光の反射の防止及び真空チャンバ6の冷却を行うことで、プラスチック容器11の温度上昇と、それに伴う熱変形を抑制できる。さらに、通電された発熱体18から発生した放射光が通過できる透明体からなるチャンバ30、例えばガラス製チャンバを下部チャンバ13の内側に配置すると、プラスチック容器11に接するガラス製チャンバの温度が上昇しにくいため、プラスチック容器11に与える熱的影響をさらに軽減させることができる。
【0023】
原料ガス供給管23は、上部チャンバ15の内側天井面の中央において下方に垂下するように支持されている。原料ガス供給管23には、流量調整器24a、24b又は24cとバルブ25a、25b又は25cを介してAl源原料ガス33及び水素ガス、そして、必要に応じてキャリアガスが流入される。Al源原料ガス33の供給は、Al源原料ガス33として用いる物質が液体である場合には、バブリング法によって供給することができる。すなわち、原料タンク40a内に収容された出発原料41aに、流量調節器24aで流量制御しながらボンベ42aからバブリングガスを供給し、出発原料41aの蒸気を発生させてAl源原料ガス33として供給する。水素ガスは、ボンベ42bに収容されて、流量調節器24bで流量制御しながら供給される。必要に応じて用いられるキャリアガスは、ボンベ42cに収容されて、流量調節器24cで流量制御しながら供給される。なお、図1に示す成膜装置において、バルブ25aを介して供給するAl源原料ガス33として用いる物質が気体である場合には、原料タンク40aを設けずに、Al源原料ガス33をボンベ42aに充填して流量調整器24aで流量制御しながら供給する形態に変形をすればよい。また、液体状のAl源原料ガス33をボンベ42a内で気化させて、ボンベ42a内のヘッドスペースに充満したAl源原料ガス33を、バルブ25aを開放することで、供給する方法を採用してもよい。
【0024】
原料ガス供給管23は、冷却管を有し、一体に形成されていることが好ましい。このような原料ガス供給管23の構造としては、例えば二重管構造がある。原料ガス供給管23において、二重管の内側管路は原料ガス流路17となっており、その一端は上部チャンバ15に設けられたガス供給口16に接続されていて、その他端はガス吹き出し孔17xとなっている。これによって、Al源原料ガス33及び水素ガスは、ガス供給口16に接続された原料ガス流路17の先端のガス吹き出し孔17xから吹き出されるようになっている。一方、二重管の外側管路は、原料ガス供給管23を冷却するための冷却水流路27であり、冷却管として役割をなしている。そして、発熱体18が、例えば、通電によって発熱すると、原料ガス流路17の温度が上昇する。これを防止するため、冷却水流路27に冷却水が循環している。すなわち、冷却水流路27の一端では、上部チャンバ15に接続された不図示の冷却水供給手段から冷却水の供給がなされ、同時に冷却水供給手段に冷却を終えた冷却水が戻される。一方、冷却水流路27の他端は、ガス吹き出し孔17x付近において封止されていて、ここで冷却水が折り返して戻される。冷却水流路27によって、原料ガス供給管23全体が冷却される。冷却することでプラスチック容器11に与える熱的影響を低減させることができる。したがって、原料ガス供給管23の材質は絶縁体で熱伝導率が大きいものが好ましい。例えば、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素若しくは酸化アルミニウムを主成分とする材料で形成されたセラミック管であるか、又は、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素若しくは酸化アルミニウムを主成分とする材料で表面が被覆された金属管であることが好ましい。発熱体に安定して通電することができ、耐久性があり、かつ、発熱体で発生した熱を熱伝導によって効率よく排熱させることができる。
【0025】
原料ガス供給管23について、不図示の他形態として、次のようにしてもよい。すなわち、原料ガス供給管を二重管とし、その外側管を原料ガス流路として外側管の側壁に孔、好ましくは複数の孔を開ける。一方、原料ガス供給管の二重管の内側管は、緻密な管で形成し、冷却水流路として冷却水を流す。発熱体は原料ガス供給管の側壁に沿って配線されるが、側壁に沿った部分の発熱体に、外側管の側壁に設けた孔を通ったAl源原料ガス33が接触し、効率よく化学種34を生成させることができる。
【0026】
ガス吹き出し孔17xは、プラスチック容器11の底と離れすぎていると、プラスチック容器11の内部に薄膜を形成することが難しい。本実施形態では、原料ガス供給管23の長さは、ガス吹き出し孔17xからプラスチック容器11の底までの距離L1が5〜50mmとなるように形成することが好ましい。膜厚の均一性が向上する。5〜50mmの距離で均一な薄膜をプラスチック容器11の内表面に成膜することができる。距離が50mmより大きいとプラスチック容器11の底に薄膜が形成しにくくなる場合がある。また、距離が5mmより小さいとAl源原料ガス33及び水素ガスの吹き出しができにくくなる場合、又は膜厚分布が不均一になる場合がある。この事実は、理論的にも把握することができる。500mlの容器の場合、容器の胴径が6.4cm、常温の空気の平均自由工程λ=0.68/Pa[cm]から、分子流は圧力<0.106Pa、粘性流は圧力>10.6Pa、中間流は0.106Pa<圧力<10.6Paとなる。成膜時のガス圧5〜100Paでは、ガスの流れは中間流から粘性流となり、ガス吹き出し孔17xとプラスチック容器11の底の距離に最適条件があることになる。
【0027】
発熱体18は、発熱体CVD法において、Al源原料ガス33の分解を促進する。また、水素ガスを分解して、水素ラジカルを発生させる。発熱体18の材質は、特に限定されないが、C,W,Ta,Ti,Hf,V,Cr,Mo,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Ptの群の中から選ばれる一つ又は二つ以上の金属元素を含む材料で構成されることが好ましい。導電性を有することで、通電によって、それ自体を発熱させることが可能となる。発熱体18は配線形状に形成され、原料ガス供給管23の上部チャンバ15における固定箇所の下方に設けた、配線19と発熱体18との接続箇所となる接続部26aに、発熱体18の一端が接続される。そして先端部分であるガス吹き出し孔17xに設けた絶縁セラミックス部材35で支持される。さらに、折り返して、接続部26bに発熱体18の他端が接続される。このように、発熱体18は原料ガス供給管23の側面に沿って支持されているため、下部チャンバ13の内部空間のほぼ主軸上に位置するように配置されることとなる。図1では、発熱体18は、原料ガス供給管23の軸と平行となるように原料ガス供給管23の周囲に沿って配置した場合を示したが、接続部26aを起点として原料ガス供給管23の側面に螺旋状に巻きつけ、ガス吹き出し孔17x付近に固定された絶縁セラミックス部材35で支持したあと、接続部26bに向けて折り返して戻してもよい。ここで発熱体18は、絶縁セラミックス部材35に引っ掛けることで原料ガス供給管23に固定されている。図1では、発熱体18は、原料ガス供給管23のガス吹き出し孔17x付近において、ガス吹き出し孔17xの出口側に配置されている場合を示した。これによって、ガス吹き出し孔17xから吹き出たAl源原料ガス33が発熱体18と接触しやすくなるため、Al源原料ガス33を効率よく活性化させることができる。ここで、発熱体18は、原料ガス供給管23の側面から僅かに離して配置することが好ましい。原料ガス供給管23の急激な温度上昇を防止するためである。また、ガス吹き出し孔17xから吹き出たAl源原料ガス33及び反応室12にあるAl源原料ガス33との接触機会を増やすことができる。この発熱体18を含む原料ガス供給管23の外径は、プラスチック容器の口部21の内径よりも小さいことが必要である。発熱体18を含む原料ガス供給管23をプラスチック容器の口部21から挿入するためである。したがって、必要以上に発熱体18を原料ガス供給管23の表面から離すと、原料ガス供給管23をプラスチック容器の口部21から挿入するときに接触しやすくなってしまう。発熱体18の横幅は、プラスチック容器の口部21から挿入する時の位置ズレを考慮すると、10mm以上、(口部21の内径−6)mm以下が適当である。例えば、口部21の内径はおおよそ21.7〜39.8mmである。
【0028】
発熱体18は、例えば、通電することで発熱させることができる。図1に示す装置では、発熱体18には、接続部26a,26b及び配線19を介して、ヒータ電源20が接続されている。ヒータ電源20によって発熱体18に電気を流すことで、発熱体18が発熱する。なお、本発明は、発熱体18の発熱方法に限定されない。
【0029】
また、プラスチック容器の口部21から容器の肩にかけてはプラスチック容器11の成形時の延伸倍率が小さいため、高温に発熱する発熱体18が近くに配置されると、熱による変形を起こしやすい。実験によれば、配線19と発熱体18との接続箇所である接続部26a,26bの位置が、プラスチック容器の口部21の下端から10mm以上離さないとプラスチック容器11の肩の部分が熱変形を起こし、50mmを超えると、プラスチック容器11の肩の部分に薄膜が形成しにくくなった。そこで発熱体18は、その上端がプラスチック容器の口部21の下端から10〜50mm下方に位置するように配置されることがよい。すなわち、接続部26a,26bと口部21の下端との距離L2が10〜50mmとなるようにすることが好ましい。容器の肩部の熱変形を抑制できる。
【0030】
また上部チャンバ15の内部空間には、排気管22が真空バルブ8を介して連通されており、図示しない排気ポンプによって真空チャンバ6の内部の反応室12の空気が排気されるようになっている。
【0031】
図1に示す成膜装置は、高周波電源が不要であり、プラズマCVD装置よりも装置が安価となる。ガスバリア薄膜をプラスチック容器の内表面に形成する装置について説明してきたが、ガスバリア薄膜をプラスチック容器の外表面に形成するには、例えば、特許文献6の図4に示す成膜装置を用いて行うことができる。また、成膜装置は、図1に示す装置に限定されず、例えば、特許文献6に示すように種々の変形をすることができる。
【0032】
次に、本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法について、図1を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体の一例を示す断面図である。本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体90の製造方法は、プラスチック成形体91の表面に、発熱体CVD法で、構成元素としてアルミニウム(Al)及び酸素(O)を含有するガスバリア薄膜92を形成するガスバリア性プラスチック成形体の製造方法において、プラスチック成形体91(図1では、プラスチック容器11)を収容した真空チャンバ6の内部に、水素ガスを供給して、プラスチック成形体91の表面(図1では、プラスチック容器11の内表面)を還元する水素処理工程と、プラスチック成形体91を収容した真空チャンバ6の内部に、Al源原料ガス33を供給して、Al源原料ガス33を発熱した発熱体18に接触させて、Al源原料ガス33を分解して化学種34を生成させ、プラスチック成形体91の表面に化学種34を到達させることによって、ガスバリア薄膜92を形成する成膜工程とを有する。
【0033】
ガスバリア性プラスチック成形体の製造方法は、水素処理工程時に、成膜装置へのプラスチック成形体を装着する工程と反応室の圧力を調整する工程とを有し、順次説明する。
【0034】
<成膜装置へのプラスチック成形体の装着工程>
まず、ベント(不図示)を開いて真空チャンバ6内を大気開放する。反応室12には、上部チャンバ15を外した状態で、下部チャンバ13の上部開口部からプラスチック成形体91としてのプラスチック容器11が差し込まれて、収容される。この後、位置決めされた上部チャンバ15が降下し、上部チャンバ15につけられた原料ガス供給管23とそれに固定された発熱体18がプラスチック容器の口部21からプラスチック容器11内に挿入される。そして、上部チャンバ15が下部チャンバ13にOリング14を介して当接することで、反応室12が密閉空間とされる。このとき、下部チャンバ13の内壁面とプラスチック容器11の外壁面との間隔は、ほぼ均一に保たれており、かつ、プラスチック容器11の内壁面と発熱体18との間の間隔も、ほぼ均一に保たれている。
【0035】
本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法では、プラスチック成形体91が、フィルム、シート又は容器である形態を包含する。プラスチック成形体91が、容器である場合は、容器の内表面又は外表面にガスバリア薄膜92を形成する方法は、前述のとおりである。プラスチック成形体がフィルム又はシートである場合には、例えば、反応室12を円筒状としてその内壁にフィルム又はシートを沿わせて固定することで、フィルム又はシートの表面にガスバリア薄膜92を形成することができる。また、真空チャンバ6内にロール状のフィルム又はシートを繰り出すロールと薄膜が形成されたフィルム又はシートを巻き取るロールとからなる巻取装置を設ける変形をしてもよい。
【0036】
プラスチック成形体91を構成する樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマー樹脂、ポリ‐4‐メチルペンテン‐1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂である。これらは、1種を単層で、又は2種以上を積層して用いることができるが、生産性の点で、単層であることが好ましい。また、樹脂の種類は、PETであることがより好ましい。
【0037】
プラスチック成形体91の厚さは、目的及び用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。プラスチック成形体91が、例えば、飲料用ボトルなどの容器である場合には、ボトルの肉厚は、50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは、100〜350μmである。また、包装袋を構成するフィルムである場合には、フィルムの厚さは、3〜300μmであることが好ましく、より好ましくは、10〜100μmである。プラスチック成形体91が、電子ペーパー又は有機ELなどのフラットパネルディスプレイの基板である場合には、フィルムの厚さは、25〜200μmであることが好ましく、より好ましくは、50〜100μmである。また、容器を形成するためのシートである場合には、シートの厚さは、50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは100〜350μmである。そして、プラスチック成形体91が、容器である場合には、ガスバリア薄膜92は、その内壁面若しくは外壁面のいずれか一方又は両方に設ける。また、プラスチック成形体91が、フィルムである場合には、ガスバリア薄膜92は、片面又は両面に設ける。
【0038】
<圧力調整工程>
次いで、ベント(不図示)を閉じたのち、排気ポンプ(不図示)を作動させ、真空バルブ8を開とすることにより、反応室12内の空気が排気される。このとき、プラスチック容器11の内部空間のみならずプラスチック容器11の外壁面と下部チャンバ13の内壁面との間の空間も排気されて、真空にされる。すなわち、反応室12全体が排気される。続く水素処理工程に備えて、真空チャンバ6内の圧力は、例えば1.0〜100Paに到達するまで減圧することが好ましい。より好ましくは、1.4〜50Paである。1.0Pa未満では、排気に時間がかかる場合がある。また、100Paを超えると、プラスチック容器11内に不純物が多くなり、高いバリア性を付与することができない場合がある。
【0039】
<水素処理工程>
(水素ガスの供給)
所定の圧力に調整された真空チャンバ6内に、水素ガスを流量調整器24cで所定の流量に制御して供給する。水素ガスの流量は、10〜200sccmであることが好ましい。より好ましくは、25〜100sccmであり、特に好ましくは、30〜50sccmである。
【0040】
(水素処理)
水素ガスを供給すると、真空チャンバ6内が還元雰囲気となる。この還元雰囲気で、後に説明する成膜工程を行うことで、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との密着性を向上させることができる。なお、本明細書では、水素処理とは、プラスチック成形体91の表面を水素雰囲気中に放置又は曝す処理をいう。さらに、水素雰囲気中には、分子状態の水素の他、活性水素、水素ラジカルなどの原子状態の水素が存在する雰囲気を包含する。水素処理工程を行う時間は、特に限定されないが、1.0〜200秒であることが好ましく、より好ましくは、2.0〜10秒であり、特に好ましくは、3.0〜5.0秒である。1.0秒未満では、真空チャンバ6内を十分な還元雰囲気とすることができない場合がある。200秒を超えても、還元効果は頭打ちとなり、不経済である。
【0041】
本実施形態では、水素処理工程は、次のいずれかの工程を少なくとも1つ含むことが好ましい。各工程について説明する。
【0042】
(水素ガスを発熱した発熱体に接触させる工程)
本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体90の製造方法では、水素処理工程が、水素ガスを発熱した発熱体18に接触させる工程を含むことが好ましい。この場合、水素ガスの供給を行う前に、発熱体18を発熱させる。発熱体18は、例えば、通電することで室温よりも高い温度に発熱する。発熱体18の発熱温度は、1500℃以上であることが好ましい。より好ましくは、1700℃以上であり、更に好ましくは1900℃以上である。発熱体18の発熱温度は、高温であるほど、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との密着性を向上させる効果が高まる傾向にある。特に、1700℃以上とすることで、高濃度の水素ラジカルが発生して、水素ラジカルの強い還元作用によって、プラスチック成形体91の表面にある酸化物などの不純物を除去してクリーニングし、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との密着性を更に向上させることができる。ただし、発熱温度の上限温度は、その発熱体の軟化温度よりも低温とすることが好ましい。軟化温度以上では、発熱体18が変形して制御ができない場合がある。また、プラスチック成形体91への熱によるダメージが懸念される。上限温度は、発熱体18の材料によって異なるが、例えば、モリブデンであれば、2300℃が好ましい。より好ましくは、2100℃である。
【0043】
水素ガスが発熱体18と接触すると、分解反応によって活性化されて、活性水素、水素ラジカルなどの原子状態の水素が生成される。この原子状態の水素が、プラスチック成形体91の表面としてのプラスチック容器11の内壁に到達することで、強い還元作用によって、プラスチック成形体91の表面にある酸化物などの不純物を除去してクリーニングする。より具体的には、活性化水素、水素ラジカルなどの原子状態の水素による水素引き抜き反応又はエッチング反応が生じる。結果として、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との密着性を向上する効果を奏する。
【0044】
水素処理工程が、水素ガスを発熱した発熱体18に接触させる工程を含む場合には、水素ガスを発熱体18に接触させる時間は、1.0〜5.0秒であることが好ましい。より好ましくは、2.0〜4.5秒である。1.0秒未満では、密着性向上の効果が不足する場合がある。5.0秒を超えると、プラスチック成形体91への熱によるダメージが懸念される。また、プラスチック成形体91の材料によっては変形する場合がある。
【0045】
(水素ガス及びAl源原料ガスを同時に供給する工程)
本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体90の製造方法では、水素処理工程が、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程を含むことが好ましい。水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程は、水素処理工程の全部の時間又は一部の時間で行うことができるが、水素処理工程の一部の時間で行うことがより好ましい。
【0046】
水素処理工程の一部の時間で行う場合は、水素ガスだけを供給する工程及び水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程を有する。水素ガスだけを供給する工程及び水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程を行う順は、例えば、水素ガスだけを供給する工程を行った後、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程を行う工程流れ1、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程を行った後、水素ガスだけを供給する工程を行う工程流れ2、工程流れ1を繰り返し行う工程流れ3又は工程流れ2を繰り返し行う工程流れ4である。この中で、工程流れ1又は工程流れ3がより好ましく、工程流れ1が特に好ましい。水素ガスだけを供給する工程を、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程よりも最先に行うことで、真空チャンバ6内を還元状態としてプラスチック成形体91の表面をクリーニングした後、プラスチック成形体91の表面にAl源原料ガス33由来の化学種34を到達させることができる。結果として、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との密着性をより高めることができる。水素ガスだけを供給する工程と水素ガス及びAl源原料ガス33を同時に供給する工程との間では、水素ガスの供給を止めることなく、水素ガスは、水素処理工程の全部の時間において供給し続け、一部の時間において、Al源原料ガス33を更に供給することが好ましい。
【0047】
水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する時間は、特に限定されないが、水素処理工程の全部の時間に対して、0〜70%であることが好ましい。より好ましくは、30〜60%である。
【0048】
水素処理工程が、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程を含むことで、基材とガスバリア薄膜との密着性をより高める効果を奏する。その理由は、定かではないが、次のように推測する。すなわち、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給することで、水素ラジカルによってプラスチック成形体91の表面がエッチングされながら、Al源原料ガス33由来の化学種34がプラスチック成形体91の表面に到達して堆積する。すると、プラスチック成形体91の表面にプラスチック成形体91の成分とAl源原料ガス33由来の化学種34の成分とが混在したミキシング層が形成される。ミキシング層では、プラスチック成形体91の成分とAl源原料ガス33由来の化学種34の成分とが化学結合している。このミキシング層が、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との界面に存在することによって、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との境界が不明確となり、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との密着性が向上する。
【0049】
Al源原料ガス33は、流量調整器24aで流量を制御して供給する。Al源原料ガス33は、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム、トリターシャリーブトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリセカンダリーブトキシアルミニウム、トリスアセチルアセトネートアルミニウム、トリスジピヴァロイルメタネートアルミニウム、ジメチルアルミイソプロポキシド(DMAIP)、トリキス(トリメチルシロキシ)アルミニウムなどの金属アルミニウムアルコキシドである。この中で、材料コスト及び非自然発火性(安全性)の観点から、金属アルミニウムアルコキシドがより好ましく、DMAIPが特に好ましい。
【0050】
Al源原料ガス33として用いる物質が、液体である場合には、バブリング法で供給することができる。バブリング法に用いるバブリングガスは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスであり、窒素ガスがより好ましい。すなわち、原料タンク40a内の出発原料41aを、ボンベ42aに充填されたバブリングガスを用いて流量調整器24aで流量制御しながらバブリングすると、出発原料41aが気化してバブル中に取り込まれる。こうして、Al源原料ガス33は、バブリングガスと混合した状態で供給される。また、液体状のAl源原料ガス33をボンベ42a内で気化させて、ボンベ42a内のヘッドスペースに充満したAl源原料ガス33を、バルブ25aを開放することで、供給する方法を採用してもよい。
【0051】
必要に応じてキャリアガスを流量調整器24cで流量制御しながら、バルブ25dの手前でAl源原料ガス33又は水素ガスに混合してもよい。キャリアガスは、例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガスである。すると、Al源原料ガス33及び水素ガスは、流量調整器24a,24bで流量制御された状態で、又はキャリアガスによって流量が制御された状態で、所定の圧力に減圧されたプラスチック容器11内において、原料ガス供給管23のガス吹き出し孔17xから発熱体18に向けて吹き出される。
【0052】
水素ガス及びAl源原料ガス33を供給する前に、発熱体18を、例えば、通電することで室温より高い温度に発熱させておくことが好ましい。発熱体18の発熱温度は、1500℃以上であることが好ましい。より好ましくは、1700℃以上であり、更に好ましくは1900℃以上である。
【0053】
水素ガスとAl源原料ガス33との分圧比は、水素ガスの流量とAl源原料ガス33流量(Al源原料ガス33をバブリング法で供給するときはバブリングガスの流量)との比率を変えることで制御することができる。
【0054】
(水素処理の終了)
所定の時間が経過したところで、水素ガス又は水素ガス及びAl源原料ガス33の供給を止める。
【0055】
<成膜工程>
成膜工程は、水素処理工程後、大気開放をしないで連続に行うか、又は水素処理後、一旦大気開放して断続的に行ってもよいが、高い水素処理の効果が得られる点で、連続的に行うことが好ましい。また、水素処理工程において、Al源原料ガス33を供給したときは、水素ガスの供給だけを止め、Al源原料ガス33は供給し続けて、成膜工程を続けて行ってもよい。
【0056】
(発熱体の発熱)
水素処理工程後、発熱体18を、成膜に適する温度に調整する。成膜に適する発熱体18の発熱温度は、500℃以上であることが好ましい。より好ましくは、900℃以上であり、特に好ましくは、1100℃以上である。発熱温度の上限温度は、その発熱体18の軟化温度よりも低温とすることが好ましいことは前述のとおりである。
【0057】
(原料ガスの供給)
発熱体18の温度を成膜に適する温度に調整後、Al源原料ガス33を流量調整器24aで所定の流量に制御して供給する。Al源原料ガス33を供給する方法は、水素処理工程において、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程で説明した方法と同様であり、必要に応じてキャリアガスで流量制御しながら供給することができる。さらに、Al源原料ガス33が、液体である場合も、水素ガスとAl源原料ガス33とを同時に供給する工程で説明したとおりである。
【0058】
Al源原料ガス33には、水素、酸素、窒素、水蒸気、亜硝酸ガス、炭酸ガス、アンモニア又はCFのように重合はしないが化学反応にあずかるガスを混合することが好ましい。これらを発熱した発熱体18が存在する反応室12に導入することでガスバリア薄膜の膜質を上げることができる。この中で、酸素、オゾン、過酸化水素、水蒸気、亜硝酸ガス、炭酸ガスなどの酸化ガスを用いることがより好ましい。酸化ガスの流量は、特に限定されないが、0〜80sccmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50sccmである。
【0059】
(成膜)
Al源原料ガス33が発熱体18と接触するとAlを含有する化学種34が生成される。この化学種34が、プラスチック容器11の内壁に到達することで、構成元素の1つがAlであるガスバリア薄膜92を堆積することになる。ガスバリア薄膜92の成膜において発熱体18を発熱させてAl源原料ガス33を供給する時間(Al源原料ガス33を発熱体18に吹き付ける時間)は、0.5〜20秒であることが好ましい。より好ましくは、10〜15秒である。成膜時の真空チャンバ6内の圧力は、例えば1.0〜100Paに到達するまで減圧することが好ましい。より好ましくは、1.4〜50Paである。大気圧からこの範囲になるように減圧すると、適度な真空圧とともに、大気、装置及び容器に由来する適度な残留水蒸気圧を得ることができ、簡易にガスバリア薄膜92を形成できる。
【0060】
発熱体CVD法では、プラスチック成形体91と形成されるガスバリア薄膜92との間に一定の密着性が得られるものの、本実施形態では、成膜工程の前に、水素処理工程を行うため、包装容器に必要な密着性を確保することができる。
【0061】
(成膜の終了)
薄膜が所定の厚さに達したところで、Al源原料ガス33の供給を止める。そして、発熱体18への通電を終了する。次いで、反応室12内を再度排気した後、図示していないリークガスを導入して、反応室12を大気圧にする。この後、上部チャンバ15を開けてプラスチック容器11を取り出す。本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法では、ガスバリア薄膜92の膜厚は、ガスバリア性の向上効果とプラスチック成形体91との密着性との両立を図るため、5〜100nmとなるようにするのが好ましい。より好ましくは、10〜85nmであり、特に好ましくは、15〜50nmである。
【0062】
発熱体CVD法は、プラズマCVDなど他の化学蒸着法又は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着(PVD)法と比べて、装置が単純で、装置自体のコストを抑えることができる。また、発熱体CVD法では、化学種の堆積によってガスバリア薄膜が形成されるため、湿式法と比較して、かさ密度の高い緻密な膜が得られる。
【0063】
本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体90は、本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体の製造方法で形成される。本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体90は、図2に示すように、プラスチック成形体91上に、ガスバリア薄膜92を備える。ガスバリア薄膜92は、構成元素としてAl及びOを含有する。ガスバリア薄膜92は、Al及びOを構成元素として含む限り、酸化物の結晶型及び酸化度に制限されるものではない。ガスバリア薄膜は、Al及びO以外に、Mo(モリブデン)などの発熱体由来の金属元素、C(炭素)、H(水素)、N(窒素)、Si(珪素)、Ti(チタン)などのその他の元素を含んでもよい。ただし、ガスバリア薄膜92をXPS分析によって測定したAl及びO以外のその他の元素の含有量は、30at.%(原子%)以下であることが好ましい。より好ましくは、20at.%以下である。
【0064】
このガスバリア性プラスチック成形体90は、数1で求める、バリア性改良率(Barrier Improvement Factor,以降、BIFという。)を10以上とすることができる。具体例としては、ガスバリア性プラスチック容器の容器容量を500mlとするときの酸素透過度を、0.0030cc/容器/日以下とすることができる。
(数1)BIF=[薄膜未形成のプラスチック成形体の酸素透過度]/[ガスバリア性プラスチック成形体の酸素透過度]
【0065】
本実施形態に係るガスバリア性プラスチック成形体90では、水素処理工程を行うことで、プラスチック成形体91とガスバリア薄膜92との密着性が向上しており、水溶液中の物理化学的安定性を有する。したがって、食品又は飲料用の包装用途として好適である。
【実施例】
【0066】
次に、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
【0067】
(実施例1)
プラスチック成形体として、500mlのペットボトル(高さ205mm、胴外径66mm、口部外径27.43mm、口部内径21.74mm、肉厚300μm及び樹脂量31g)の内表面に、図1に示す成膜装置を用いてガスバリア薄膜を形成した。発熱体18として、φ0.5mm、長さ43cmのモリブデンワイヤーを2本用いた。流量調整器24a〜24cからガス供給口16の配管は、すべてステンレス製の1/4インチ配管で構成した。ペットボトルを真空チャンバ8内に収容し、1.4Paに到達するまで減圧した。水素処理工程は、流量調整器24bから水素ガスを、流量30sccmで供給した。水素処理時間は、200秒間とした。その後、大気開放せず、成膜工程を次のとおり行った。発熱体18に直流電流を5.5V印加し、1100℃に発熱させた。Al源原料ガス33としてDMAIPを用い、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。成膜時の圧力を1.4Paとした。成膜工程においてAl源原料ガスを供給する時間は、13秒間とした。
【0068】
(実施例2)
実施例1において、水素処理工程時に、発熱体18を1900℃に発熱させ、水素処理工程で、水素処理時間を5秒間とした以外は、実施例1と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0069】
(実施例3)
実施例1において、水素処理工程で、200秒間のうち、水素ガスを198秒間供給した時点で、更にAl源原料ガスとしてDMAIPを供給し、水素ガスとAl源原料ガスとを同時に2秒間供給し、かつ、成膜工程で、Al源原料ガスを供給する時間を11秒間とした以外は、実施例1と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0070】
(実施例4)
実施例1において、水素処理工程時に、発熱体18を1700℃に発熱させ、水素処理工程で、水素ガスの供給量を10sccmとし、水素処理時間を5秒間とし、この5秒間のうち、水素ガスを2秒間供給した時点で、更にAl源原料ガスとしてDMAIPを供給し、水素ガスとAl源原料ガスとを同時に3秒間供給し、かつ、成膜工程で、Al源原料ガスを供給する時間を10秒間とした以外は、実施例1と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0071】
(実施例5)
実施例1において、水素処理工程時に、発熱体18を1900℃に発熱させ、水素処理工程で、水素処理時間を5秒間とし、この5秒間のうち、水素ガスを3秒間供給した時点で、更にAl源原料ガスとしてDMAIPを供給し、水素ガスとAl源原料ガスとを同時に2秒間供給し、かつ、成膜工程で、Al源原料ガスを供給する時間を11秒間とした以外は、実施例1と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0072】
(実施例6)
実施例1において、水素処理工程時に、発熱体18を1900℃に発熱させ、水素処理工程で、水素処理時間を5秒間とし、この5秒間のうち、水素ガスを3秒間供給した時点で、更にAl源原料ガスとしてDMAIPを供給し、水素ガスとAl源原料ガスとを同時に2秒間供給し、かつ、成膜工程で、Al源原料ガスを供給する時間を10秒間とした以外は、実施例1と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0073】
(実施例7)
実施例6において、水素処理工程で、水素ガスの供給量を50sccmとした以外は、実施例6と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0074】
(実施例8)
実施例6において、水素処理工程で、水素ガスの供給量を100sccmとした以外は、実施例6と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0075】
(比較例1)
実施例1において、水素処理工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0076】
(比較例2)
実施例1において、水素処理工程時に、発熱体18を1900℃に発熱させ、水素処理工程で、水素ガスとAl源原料ガスとしてDMAIPとを同時に3秒間供給し、かつ、成膜工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0077】
(比較例3)
比較例2において、水素処理工程で、水素ガスの供給量を100sccmとした以外は、比較例2と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0078】
(比較例4)
比較例2において、水素処理工程で、水素ガスとAl源原料ガスとしてDMAIPとを同時に供給する時間を2秒間とした以外は、比較例2と同様にして、ペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0079】
(比較例5)
実施例1において、水素処理工程を行わず、かつ、成膜工程でAl源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例1と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0080】
(比較例6)
比較例5において、成膜工程で、Ti源原料ガスを供給する時間を20秒とした以外は、比較例5と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0081】
(比較例7)
実施例1において、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例1と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0082】
(比較例8)
実施例2において、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例2と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0083】
(比較例9)
実施例3において、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0084】
(比較例10)
実施例5において、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例5と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0085】
(比較例11)
実施例6において、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例6と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0086】
(比較例12)
比較例11において、成膜工程で、Ti源原料ガスを供給する時間を12秒とした以外は、比較例11と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0087】
(比較例13)
比較例11において、成膜工程で、Ti源原料ガスを供給する時間を14秒とした以外は、比較例11と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0088】
(比較例14)
比較例11において、成膜工程で、Ti源原料ガスを供給する時間を17秒とした以外は、比較例11と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0089】
(比較例15)
実施例7において、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例7と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0090】
(比較例16)
実施例2において、水素処理工程で、水素ガスの供給量を50sccmとし、かつ、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例2と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0091】
(比較例17)
実施例8において、成膜工程で、Al源原料ガスに替えて、Ti源原料ガスとしてテトラキスジメチルアミドチタニウム(TDMAT)を用いた以外は、実施例8と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0092】
(比較例18)
比較例17において、水素処理工程で、水素ガスの供給量を150sccmとした以外は、比較例17と同様にしてペットボトルの内表面に薄膜を堆積させた。
【0093】
得られた実施例及び比較例のプラスチック成形体について、次の方法で評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
(ガスバリア性‐BIF)
実施例6、比較例1、比較例5及び比較例11のペットボトルについて、ガスバリア性をBIFで評価した。BIFは、数1において、実施例又は比較例で得たペットボトルの酸素透過度の値を「ガスバリア性プラスチック成形体の酸素透過度」とし、薄膜未形成のペットボトルの酸素透過度を「薄膜未形成のプラスチック成形体の酸素透過度」として算出した。酸素透過度は、酸素透過度測定装置(型式:Oxtran 2/20、Modern Control社製)を用いて、23℃、90%RHの条件にて測定し、測定開始から24時間コンディショニングし、測定開始から72時間経過後の値とした。なお、薄膜未形成のペットボトルの酸素透過度は、0.0350cc/容器/日であった。
【0096】
(膜厚)
膜厚は、触針式段差計(型式:α‐ステップIQ、KLA‐Tencor社製)を用いて測定した値である。
【0097】
(密着性‐耐水性)
実施例又は比較例のペットボトルに蒸留水を500ml充填し、常温(25℃)で保管した。膜の剥離の有無は、ペットボトルを目視で観察し、内表面の親水性の有無で判定した。すなわち、蒸留水が内表面の全体に濡れていて、親水性があるときは、剥離なしと判定し、内表面で蒸留水が濡れていない撥水性の部分があるときは、剥離ありと判定した。充填後、剥離ありの判定となるまでの日数を表1に示す。7日以上を実用レベルとし、7日未満を実用不適レベルとした。
【0098】
実施例のペットボトルは、いずれも高い密着性を有していた。また、実施例6についてガスバリア性を評価したところ、BIFが10であり、水素処理を行わなかった比較例1と同等の高いガスバリア性を示した。実施例6以外の実施例についても、同様に高いガスバリア性を有していた。水素処理が、ガスバリア性に悪影響を及ぼさないことが確認できた。
【0099】
実施例1と実施例2とを比較すると、実施例2では、水素処理工程が水素ガスを発熱した発熱体に接触させる工程を含むため、短時間の水素処理時間で、実施例1よりも密着性に優れる薄膜を形成することができた。実施例2と実施例5とを比較すると、実施例5では、水素ガスとAl源原料ガスとを同時に供給する工程を含むため、実施例2よりも密着性に優れる薄膜を形成することができた。実施例2と実施例6とを比較すると、実施例6の方が、成膜工程においてAl源原料ガスを供給する時間が実施例2より短いが、実施例6は、水素ガス及びAl源原料ガスを同時に供給する工程を含むため、実施例6の方が実施例2よりも短時間で厚い膜厚が得られた。よって、水素ガス及びAl源原料ガスを同時に供給する工程を含むことで、工程時間を短縮できることが確認できた。このことは、コストの削減につながる。また、プラスチック成形体への熱負荷を低減できる点で有益である。
【0100】
比較例1は、水素処理工程を行わなかったため、密着性に乏しく、密着性評価において、1日以内に剥離した。比較例2〜比較例4は、水素ガスとAl源原料ガスとを同時に供給し、Al源原料ガスだけを供給する成膜工程を行わなかったため、密着性に乏しく、密着性評価において、1日以内に剥離した。比較例5〜比較例18は、原料ガスとして、Tiを含有するTDMATを用いた例である。比較例5及び比較例6は、水素処理工程を行わなかったため、密着性に乏しく、密着性評価において、1日以内に剥離した。比較例7〜比較例18では、水素処理工程の各条件を変更して、密着性の向上を試みたが、わずかに密着性が向上したもの例があったが、いずれも7日未満で剥離が生じてAlOx膜ほど顕著な効果は確認できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係るガスバリア性プラスチック成形体では、水素処理工程を行うことで、プラスチック成形体とガスバリア薄膜との密着性が向上しており、水溶液中の物理化学的安定性を有する。したがって、食品又は飲料用の包装用途として好適である。
【符号の説明】
【0102】
6 真空チャンバ
8 真空バルブ
11 プラスチック容器
12 反応室
13 下部チャンバ
14 Oリング
15 上部チャンバ
16 ガス供給口
17 原料ガス流路
17x ガス吹き出し孔
18 発熱体
19 配線
20 ヒータ電源
21 口部
22 排気管
23 原料ガス供給管
24a,24b,24c 流量調整器
25a,25b,25c,25d バルブ
26a,26b 接続部
27 冷却水流路
28 内面
29 冷却手段
33 Al源原料ガス
34 化学種
35 絶縁セラミックス部材
40a 原料タンク
41a 出発原料
42a,42b,42c ボンベ
90 ガスバリア性プラスチック成形体
91 プラスチック成形体
92 ガスバリア薄膜
100 成膜装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック成形体の表面に、発熱体CVD法で、構成元素としてアルミニウム(Al)及び酸素(O)を含有するガスバリア薄膜を形成するガスバリア性プラスチック成形体の製造方法において、
前記プラスチック成形体を収容した真空チャンバの内部に、水素ガスを供給して、前記プラスチック成形体の表面を還元する水素処理工程と、
前記プラスチック成形体を収容した真空チャンバの内部に、Al源原料ガスを供給して、該Al源原料ガスを発熱した発熱体に接触させて、前記Al源原料ガスを分解して化学種を生成させ、前記プラスチック成形体の表面に前記化学種を到達させることによって、前記ガスバリア薄膜を形成する成膜工程とを有することを特徴とするガスバリア性プラスチック成形体の製造方法。
【請求項2】
前記水素処理工程が、水素ガスを発熱した発熱体に接触させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性プラスチック成形体の製造方法。
【請求項3】
前記水素処理工程が、水素ガスと前記Al源原料ガスとを同時に供給する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性プラスチック成形体の製造方法。
【請求項4】
前記プラスチック成形体が、フィルム、シート又は容器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のガスバリア性プラスチック成形体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のガスバリア性プラスチック成形体の製造方法で形成されたことを特徴とするガスバリア性プラスチック成形体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−188700(P2012−188700A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53447(P2011−53447)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】