説明

ガス品質インジケータを有する端末ガス流量計

【課題】品質の高い有用ガスと非燃焼ガスとの間に、簡単な構成をもって、厳格な識別が行われるので、エネルギ測定の信頼性が十分に高められる消費ガス測定方法およびガスメータを提供すること。
【解決手段】
本発明は、ガスメータ(1)によってガス消費を測定する方法および装置に関する。質量流信号(S)を判定する熱質量流センサ(1a)を有しエネルギ値信号(S)を出力するエネルギメータとしての較正を有するガスメータ(1)は知られている。本発明によれば、ガスの種類は、燃焼性および非燃焼性ガス混合物が識別される限りガスメータ(1)によって判定される。ガスメータ(1)は、非燃焼ガス混合物(3)の場合に質量または標準体積単位(l/min)の較正で作動され、燃焼ガス混合物(3)の場合にエネルギ単位(kWh)の較正で作動される。実施例は、特に、ガスの種類を定めるためガス(3)のガス因子(λ、c、α、η)測定に関し、熱流量センサ(1a)と同一の構造を有するガス品質センサ(1a)を有する。測定間隔は、非燃焼ガスの場合には長く、燃焼ガスの場合には短くされている。利点は、特に、非燃焼ガス(3)と高品質有用ガス(3)との間の自動識別のため信頼性のあるエネルギ測定、操作の試みの実効および加熱量測定のない自動加熱量トラッキングである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流を熱センサによって測定する分野に関するものである。
この分野は、独立請求項の序文による方法および質量流測定のためのセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
WO 01/96819 A1には、エネルギメータとして較正されるガスメータが開示されている。この較正は、センサ形状値が、ゲージガスあるいは較正ガスの流量比に基づいて決定され、ガスメータにおけるセンサゲージ曲線あるいはセンサ較正曲線の態様で保存される。センサ較正曲線またはセンサ信号値は、基本のガス混合物の信号変換因子と発熱量因子とによって増加され、この結果、得られた物は出力ユニットにおける、また、融合後には、エネルギユニットにおける消費ガスを示す。更なる修正因子によって、供給されたガス混合物の実際の発熱量は、およそ少なくともエネルギ較正が考慮され得る。特定の時間間隔に亘って平均化された測定熱量を実際の発熱量として用いることができる。発熱量を決定するのに外部のユニットが必要であるという欠点がある。
【0003】
EP0373965には、修正された質量流信号からのガスまたはエネルギ消費を決定する方法および装置が開示されている。信号修正中、ガスの熱伝導性、特定の熱容量、濃度が考慮される。修正された質量流信号、この結果、ガスまたはエネルギの消費がガスの種類に従って、特に、空気、アルゴン、ヘリウム、カーボン、二酸化炭素、メタン、プロパンとして同定される。このような形式の標準質量流信号は、異なる発熱量(例えば、メタンまたはプロパン)を有する燃焼ガスが、非燃焼ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素または空気)としては同じ信号であっても、同じ質量流信号を生成し、ガスまたはガス混合物の発熱量に感応しないという欠点がある。
【0004】
米国特許第5、311、447号では、天然ガスの特定の発熱量の不燃焼性を決定する方法および装置が開示されている。この目的のため特定の発熱量、濃度またはイナートガスの割合が粘度、熱伝導性、熱容量、光吸収等の測定された値から実験式によって定められる。この測定し且つ演算する大きな複雑性は、複数の独立のガス種類・従属値の量的な測定、且つエネルギの消費量を定めるガスメータにおける体積流測定において不利である。
【0005】
WO 01/18500では、二つのCMOSアネモメータを有する改良された質量流量計が開示されている。静的なガスにおいて、熱伝導性が一定の熱容量の場合に測定され、パルス熱容量の場合には、熱伝導性が測定されてガスが同定され、且つ質量流の測定と共にその特定の発熱量からガスの全体のカロリー値が決定される。
【0006】
この比較的大きな複雑性は、質量流および特定の発熱量のそれぞれの値からエネルギの消費量を決定するときには不利である。更に、エネルギ供給を十分正確に決定するための特定の発熱量は、連続的に大きな精度をもって測定されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、流量比を定め、改良された較正容量を達成する方法および装置を提供することにある。
【0008】
この目的は、本発明に係る独立請求項の特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の特徴において、本発明は、ガスメータによってガス消費を測定、特に、私的、公的、または産業分野における測定可能ガスエネルギ供給を測定する方法にあり、流量比に実質的に比例するセンサ信号値が熱流量センサによるガスメータによって定められ、センサ信号値は、エネルギメータとしてのガスメータの較正に基づいてエネルギ値として出力され、非燃焼ガス混合物が燃焼ガス混合物から異なり且つガスメータが非燃焼ガス混合物の存在においては質量または標準体積単位の較正で作動され燃焼ガス混合物の存在においてはエネルギ単位の較正で作動される限り、ガスの種類がガスメータによって決定される。エネルギメータとしての作動は較正と、出力値の出力を有する出力メータとしての作動とを含む。本発明に係る方法およびガスメータは種々の利点を有する。ガスが流れている間、品質の高い有用ガスと非燃焼ガスとの間で、低い複雑性をもって、厳格な識別がなされるので、エネルギ測定の信頼性が十分に高められる。特に、非燃焼較正ガス、代表的には、窒素、または空気および測定されるべき基本ガス混合物またはガスの間で識別が自動的になされ、自動スイッチが、質量または体積スケールからエネルギスケールに切り換えるように実行される。作動外、作動中、メータの処理中または他の理由のため同じ識別が実行され、これによって空気または同様なものとの接触によるエネルギ測定の偽造が除外される。質量、体積、エネルギ単位の較正での作動は、特に、これらの単位における信号出力および/または信号表示を含む。
【0010】
第一の実施例において、ガス混合物の少なくとも一つのガス種類・従属因子、特に、例えば、熱伝導性λおよび/または熱容量cまたは粘性ηの如き熱係数が熱ガス品質センサにより、また既知のガスまたはガス混合物の因子の既知値と比較して決定され、ガス混合物は燃焼性または非燃焼性が同定される。従って、ガスの種類または成分の大体の知識として、数値あるいは計測上の判定が燃焼/非燃焼間になされ、相応する較正が活用されるためには十分である。
【0011】
請求項3による実施例は、特に簡単なセンサ構造および信号評価の利点を有する。温度信号の合計は、ガス種類・特定因子または熱係数を定める信号が流れ方向、温度センサの配列の起こり得る不対称から独立しているという効果を有する。上流に配置された温度センサだけを用いるときよりも大きな信号が達成される。
【0012】
請求項4および5による実施例は、燃焼性として、測定可能エネルギ供給に適しまたは非燃焼として、測定不可能質量流として、信頼性が高い、現在あるガスまたはガス混合物を分類するのに簡単な計算明細で十分であるという利点を有する。
【0013】
請求項6による実施例は、ガスメータの現在の要件を、正確な測定を損なうことなく有効に下げることができるという利点を有する。
【0014】
請求項7による実施例は、エネルギ単位の較正と他の流量単位との間の切り換えが行われる時、全体のガスエネルギ消費またはエネルギ供給を正しく決定することができるという利点を有する。
【0015】
請求項8による実施例は、流量測定が全体の体積流を決定するために、例えば、質量または標準体積単位で干渉することなく任意に続行されるか、または非燃焼ガスの流れの場合にのみ、例えば、ガス循環が閉じられたとき、燃焼ガスの供給のために補完制御弁を発生させるか較正の各切り替え後、エネルギ供給中、干渉を記録するために初期化される場合に積分されるという利点を有する。
【0016】
請求項9による実施例は、特に、ガスメータについての操作の試みを容易に感知することができるという利点を有する。
【0017】
請求項10による実施例は、ガスまたはガス混合物の現在の特定の発熱量について任意の内外の判定がない場合でも少なくとも自動発熱量トラッキングが実行されるという利点を有する。
【0018】
第二の特徴において、本発明は、上述された方法によるガスエネルギ供給を定める熱質量流センサを有するガスメータにある。このガスメータは、熱流量センサを備え、この熱流量センサはエネルギメータとしてエネルギ単位に、更に質量流量計として質量または標準体積単位に較正される。またガスメータは、ガス品質センサを有し、このガス品質センサは、燃焼ガス混合物を非燃焼ガス混合物から識別するために識別信号、特に、ガス種類・従属因子または熱係数を発生する。更に、ガスメータは、エネルギメータとしてまたは質量流量計として、作動間の識別信号に基づいて切り換えることができる。従って、ガスメータは、質量流量計としてまたは追加の密度測定を有する体積流量計として記録中または作動外のときに較正のために作動され、またエネルギメータとして測定または計測のために較正される。
【0019】
請求項12乃至15による実施例は、特に、ガスメータの簡易な構造および作動を可能にさせる。特に、作動中ガスメータについての操作の試みを達成することができる。
【0020】
本発明の更なる実施例、利点、応用は上記請求項、明細書の記載および図面において明らかである。
【発明の効果】
【0021】
ガスが流れている間、品質の高い有用ガスおよび非燃焼ガスとの間に、簡易な構成をもって、厳格な識別や区別がなされるので、エネルギ測定の信頼性が十分に高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、熱流量、即ち質量流量計1a、1b、7を備えるガスメータを示し、このガスメータは、フローチャンネル又はパイプ2内に配置されたセンサ素子1aと、膜1bと、測定・評価ユニット7とを備えている。流量および速度プロフィール4を有するガス3がパイプ2の中を流れている。センサ素子1aは測定されるべき流速vを受ける。流量センサ1は、加熱素子6と、その上流に配置された第一の温度センサ5aと、下流に配置された第二の温度センサ5bとを有する。温度センサ5a、5bの温度信号T1,T2から、質量流または標準体積流信号SMを公知の態様で定めることができる。作動の基本的モードは、加熱素子6によって発生されて流量4を通る温度分布が対称になり、温度センサ5a、5bにおける温度差T-Tが流速v又は質量流dm/dTの測定として用いられる。
【0023】
良好な近似値のため、質量流信号SMは、温度差T-Tに比例している。この場合には、更に、測定手段7による質量流信号SMから、あるいは一般には流量センサ1aのセンサ信号Sから、エネルギ値信号SEは、エネルギメータとしてのガスメータ1の較正に基づいて定められて出力される。このエネルギメータのような較正は、WO01/96819A1に開示され、その内容は、本発明の開示に参考として全体的に含まれる。同様に、ジェイ・ロバディおよびエフ・メイヤ等によるCMOS流量計に関しここに引用された3つの計器が参考のためここに含まれる。ここに述べられたCMOS流量計は、流量センサのセンサ素子1aとして特に適している。
【0024】
本発明によれば、ガスの型式あるいは種類は、非燃焼ガス混合物3が燃焼ガス混合物3から異なっている限り、ガスメータ1によって定められ、このガスメータ1は、非燃焼ガス混合物3の存在において質量または標準体積単位、例えば、1/minの較正と比較され、燃焼ガス混合物3の存在においてはエネルギまたは出力単位、例えば、kWhの較正と比較される。
【0025】
エネルギおよび質量計としてのガスメータ1の作動容量のために、二つの温度センサ5a、5bを有する流量センサ1aの代わりに、特に、CMOS流量計1aの代わりに、一般に、熱流量センサを用いることもでき、このセンサでは、温度を変更する加熱手段とその温度を定めるセンサ手段とを有するセンサ素子上にガス3が案内され、こうして、流量従属温度変更が質量流の大きさとなる。
【0026】
これとは別に、熱流量センサ1aを下流に配置された一つの温度センサ5aのみで作動させることもできる。一般に、質量流量dm/dtを、質量または標準体積単位、例えば、kg/minで指示することができるかまたはdm/dt=ρ*dV/dTによる体積流dV/dTから、密度ρによって定めることができる。ガスメータ1では、信号出力は、信号表示、および/または読み出し、または中央の評価ユニット(図示せず)への信号送信を意味する。
【0027】
WO01/96819A1によれば、センサ信号Sは、較正ガス、代表的には窒素Nまたは空気で測定され、このセンサ信号は、較正ガス3の標準体積流量比d(VN2、n)/dtに実質的に比例する。Sd(VN2、n)/dtの反転によって、Fn(Sd(VN2、n)/dtによって先に定められたセンサ較正曲線F(S)が判定され、ガスメータ1の評価ユニット7に保存される。作動中、センサ信号Sは、次いで、センサ較正曲線F(S)によって無修正の質量流量信号Sに較正され、この信号は、F(S)に比例、即ち、簡単には、S=F(S)となる。従って、通常の状態にある較正ガスのために、流量比の較正を、センサ較正曲線F(S)によって表すことができる。更に、質量流量比信号Sは、ガスの種類によって定められる。従って、基本混合物、代表的には、天然ガスまたは一般には炭化水素混合物CHのために、質量流量比信号Sの正確な理想値からのずれは、信号変換因子またはセンサ信号修正因子fN2−CH(図3)によって修正される。この結果、S=S*fN2−CH=F(S)がS=修正質量流量比信号を適用する。最終的には、エネルギ量信号Sが基本的なガス混合物の加熱量HCH(流量値の単位当たり、例えば、標準体積または質量当たりのカロリー値)および積分の処理によって定められる。
【0028】
【数1】

【0029】
しかし、基本的なガス混合物CHのためのこのエネルギ較正から開始して、
ガス混合物についてその最新の加熱量の大きさを定めることはもはや必要でない。WO01/96819A1によれば、最新のガス混合物3の、基本ガス混合物CHからのずれの場合に、固有の自動加熱量トラッキングは、熱流量センサ1a、特に、CMOS流量計で行われる。従って、現在の加熱量に関する比較的信頼性のあるエネルギ測定が、加熱量の測定でなく、行われる第一の場合には、ガス3の種類および/または構成に関する概略の知識を試したり、燃焼または測定可能ガス3が供給されるか否か、あるいはその他、非燃焼性または少なくとも測定不可能ガス3の供給の流量のみが測定されるように企図されるか否かについて計数決定を行うことで十分である。
【0030】
全体的に参考のために導入されたWO01/96819A1またはEP出願第01810546.0によれば、上述した値S,F(S)、fN2−CH、HCH およびこれら値から派生し得る値のために適当な平均時間を用いることができる。
【0031】
好ましくは、ガス混合物3の少なくとも一つのガス種類-従属因子λ、c α(溶融性)、η(粘性)、特に、例えば、熱伝導性λおよび/または熱容量cの如き熱係数λ、c αが、公知のガスまたはガス混合物のために因子λ、c、α、ηの公知の値と比較して、熱ガス品質センサ1aによって、定められ、ガス混合物3は、その燃焼性あるいは非燃焼性が同定される。
【0032】
以下、熱流量センサ1aによって、熱伝導性を測定する詳細な分析が述べられる。
【0033】
代表的な値(数2)および(数3)のためにv=流速およびc=音速と
相対の密度変更(数4)が10−4の範囲にあり、この結果、無視し得るので、
測定されるガス3を広範囲に亘って非圧縮性であるとみなすことができる。例えば、v≪cの非圧縮性ガス3および無視できる粘性消失のため、対流を含む熱移動が、対流期間を設けることによって静的熱出力方程式から導くことができる。
【0034】
【数2】

【0035】
【数3】

【0036】
【数4】

【0037】
ガス3の熱源がないx方向における流量チャンネル2のために強制対流での加熱出力方程式は、

【0038】
【数5】

【0039】
である。ここで、T=T(x、y、z)は、ガス3の静的温度領域、λ=熱伝導性、v=x方向の流速、c=熱容量、ρ=ガスの密度である。無視可能な対流、(数6)0のため、次の静的拡散方程式が積分され、この積分のための修正境界
値が熱流量j≠0を一定にし、ガス3の熱源が用いられていない態様で、熱伝導性λを決定することができる。
【0040】
【数6】

【0041】
【数7】

【0042】
無視可能な対流(数8)のため、逆の熱拡散性α-x=cp/λを、vが公知
のとき、方程式(1)から定めることができる。
【0043】
【数8】

【0044】
方程式(1)は、公知の熱係数λ、c、αを用いる天然ガス(プロパン、C,エタンC、二酸化炭素CO,メタンCH,窒素NおよびヘリウムHe)の代表的なガス成分のために、図1に示すCMOS構造の流量センサ1aを、限定された要素較正して解決された。図2において、これらガス成分のために、結果として生ずる温度合計T+Tは、流速vの関数としてプロットされる。遅い流速vのための温度合計T+T(概略0...20ml/minの範囲、特に、0...5ml/min)は、潜在的な熱伝導性λ(図4参照)が十分に異なった値を有するので、著しく異なっている。
【0045】
従って、対流センサ1aについて、簡単には、ガス種類の測定として、特に、燃焼性および非燃焼性あるいは非燃焼ガス3の間の異なるガス識別として温度センサ5a、5bの合計信号を用いることで十分である。また、第一の温度センサ5aだけの温度信号から、また第二の温度センサ5bだけの変化の少ない温度信号からでもガス種類・従属熱係数λ、c αを定めることができる。特に、流れ方向における熱移動に基づいて温度センサ5a、5bが第一、即ち、上流に配置されているか、第二、即ち、下流に配置されているかを常時判定することができる。また、早い流速v≫0のために、温度曲線T+TまたはTだけ(図示せず)は、潜在的な拡散性値αおよび/または熱容量c、または一般に熱容量cが異なっているので、ガス種類・従属微分型である。WO01/18500によれば、最初に述べたように、一定の加熱出力を独立して有する静的ガスについて熱伝導性λを測定することができ、パルス加熱出力の場合には熱容量cまたはc*pを測定することができる。この目的のために、一定の加熱出力を有するか、または熱パルス、流量・独立熱伝導性λまたは熱容量cの形態で作動される加熱手段を少なくとも一時的に測定することができる。
【0046】
図4は、熱係数λ、c、α、および代表的な天然ガスの成分、メタン、エタン、プロパン、酸素、水素、一酸化炭素(燃焼性)、二酸化炭素、窒素、水、ヘリウム(非燃焼性)の特定の密度ρを表すテーブルを示す。好ましい実施例では、測定される熱伝導性λは、窒素、酸素または空気として0.026W/mkの絶対値、特に、窒素として0.0260W/mk、酸素として0.0263W/mk、または空気として0.0261W/mk、二酸化炭素として0.0168W/mkに相応する熱伝導性の値の応じてテストされ、対処可能な誤差、±10%、好ましくは±5%、特に好ましくは±2%が考慮される。
【0047】
これに対応する場合、ガス混合物3は、非燃焼性として分類され、ガスメータ1の信号出力8は、質量または標準体積単位、例えば、l/minで較正されたスケール8bで作動される。上記に対応しない場合、ガス混合物3は、燃焼性として分類され、ガスメータ1の信号出力8は、エネルギ単位、例えば、kWhで較正されたスケール8aで作動される。
【0048】
これとは別に、あるいは追加的に、測定される熱容量cまたはcが1300J/kgKの絶対値に相応する閾値と比較され、処理可能な誤差±10%、好ましくは±5%、特に好ましくは±2%が考慮される。閾値以下になったとき、ガス混合物3は、非燃焼性として分類され、ガスメータ1の信号出力8は、質量または標準体積単位で較正されたスケール8bで作動される。閾値を超えるとき、ガス混合物3は、燃焼性として分類され、ガスメータ1の信号出力8は、エネルギ単位で較正されたスケール8aで作動される。
【0049】
好ましくは、ガスメータ1が燃焼ガス3、特に、天然ガス、あるいは非燃焼ガス、特に、窒素または空気と接触しているか否かが定期的にテストされる。センサ信号S,S,S,Sを定める測定間隔は、非燃焼ガス混合物3の存在においては長く、例えば、1分またはそれ以上になるように選択され、燃焼ガス混合物3の存在においては短く、特に、10秒またはそれ以下になるように選択される。
【0050】
ガスエネルギの消費供給をガスメータ1で積算することができ、質量または標準体積単位に切り換えるときには、中間的に保存され、エネルギ単位に切り返すとき、開始(スタート)値として用いることができる。他方、較正をエネルギ単位に切り換えるとき、流量比Sを更に増大することができ且つ特に出力され、質量または標準体積単位に戻すときには、開始値として用いることができ、即ち、開始値として零にセットバックされる。
【0051】
インジケータまたはディスプレイ9によって、ガスメータ1が空気、天然ガスまたは空気と天然ガスとの混合物と接触しているか否かを表示することができる。更に、ガスメータ1の誤ったセッティングのため質量または標準体積単位を指示することができ、有用ガス、特に、天然ガスとの第一の接触時のみエネルギ単位を指示することができる。また、ガスメータ1の第一の初期化、特に、組立中、質量または標準体積単位、即ち、空気からエネルギ単位、即ち、天然ガスに較正を自動的に切り換えることができる。最終的に、空気、天然ガス、再び空気と接触するとき、ガスメータ1の操作インジケータ10を起動することができる。
【0052】
本発明は、また、上述の方法を対象物に実施するガスメータ1を有する。好ましくは、熱流量センサ1aおよびガス品質センサ1aは、同様なセンサ構造を有し、特に、同一構造である。このガスメータ1において、センサ信号値S,S,S,Sおよびガス混合物3の熱係数λ、c、αは、同じ熱センサ1a、特に、加熱ワイヤ6、上流に配置された少なくとも一つの温度センサ5aおよび任意に下流に配置された少なくとも一つの温度センサ5bを有するCMOS流量計1aで測定される。測定される質量流量比が所定の閾値以下になる場合、熱流量センサ1aをガス品質センサ1aとして作動させることができる。これとは別に、ガス品質センサ1aを一定の流量比、特に、広い範囲に静的なガス3の領域に配置することができる。
【0053】
図1によれば、ガスメータ1は、ガス品質、特に、較正ガス3または有用ガス3、好ましくは、空気、天然ガス、または空気/天然ガス混合物のためのインジケータまたはディスプレイ9と、非燃焼ガス3、特に、較正ガス、燃焼ガス、または有用ガス3、再び非燃焼ガス、特に環境ガス3との接触を変更するとき起動され得る操作インジケータ10と、エネルギ消費値(S)および質量流比の値Sを定める測定・評価ユニット7と、エネルギ消費値(S)および質量流比の値Sまたは標準流量比の値を保存する好ましくは独立のデータメモリ7b、7cとを備えている。計測ユニット7aは、また既知のガスの既知の熱係数λ、c、α、密度ρ、または粘性ηのためのデータメモリと、測定された熱係数λ、c、α、密度ρ、または粘性ηを、保存されまたは修正された値と比較する演算手段と、燃焼性または測定可能性または非燃焼性または非測定性としてガス混合物3を定める演算手段とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】エネルギおよび量的メータとしての二重較正を有する本発明に係るガスメータの要素である熱流量センサが流れに配置されたパイプの断面図。
【図2】ガス特定熱変換係数を判定する温度合計信号を示す図。
【図3】較正ガスと基本ガス混合物(有用ガス)との間の転移のための較正曲線を示す図。
【図4】天然ガスのためのガス因子を示すテーブル。
【符号の説明】
【0055】
1 ガスメータ
1a、1b 質量流量計
2 パイプ
3 ガスまたはガス混合物
4 流量および速度プロフィール
5a 第一の温度センサ
5b 第二の温度センサ
6 加熱素子
7 測定・評価ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータ(1)によってガス消費、特に、私的、公的、産業分野における測定可能なガスエネルギ供給を測定し、流量比に比例するセンサ信号(S)を、熱流量センサ(1a)によるガスメータによって判定し、前記センサ信号(S)を、エネルギメータとしてのガスメータ(1)の較正に基づいてエネルギ値信号(SE)として出力するガス消費測定方法であって、
a)非燃焼ガス混合物(3)が燃焼ガス混合物から異なっている範囲でガスの種類をガスメータ(1)によって判定し、および
b)非燃焼ガス混合物(3)の存在においては、質量あるいは標準体積単位(1/min)の較正によって、また、燃焼ガス混合物(3)の存在においては、エネルギ単位(kWh)の較正によって、ガスメータ(1)を作動させることを特徴とする消費ガス測定方法。
【請求項2】
a)熱ガス品質センサ(1a)によってガス混合物(3)の少なくとも一つのガス種類・従属因子(λ、c α、η)、特に、熱伝導性(λ)および/または熱容量(c)の如き熱係数(λ、c α)を判定し、および
b)既知のガスまたはガス混合物のために前記因子(λ、c α、η)の既知値と比較してガス混合物(3)が燃焼か非燃焼かを識別することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
a)前記熱流量センサ(1a)およびガス品質センサ(1a)が、同一のセンサ構造を有し、第一の温度センサ(5a)、加熱素子(6)および第二の温度センサ(5b)に亘ってガス混合物(3)を案内し、および
b)前記温度センサ(5a、5b)の温度信号の相違から質量流信号(SM)
を決定し、温度信号(T1+T2)の合計からまたは前記第一の温度センサ(5a)のみの温度信号からガス種類・従属熱係数(λ、c α)を決定することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
a)窒素、酸素または空気として0.026W/mKの絶対値、特に、窒素として0.0260W/mK、酸素として0.0263W/mKまたは空気として0.0261W/mK、または二酸化炭素として0.0168に相当する熱伝導性の値に対応して測定された熱伝導性(λ)をテストし、±10%、好ましくは、±5%、特に好ましくは±2%の許容誤差を考慮し、
b)この対応がなされる場合に、ガス混合物(3)を非燃焼性として分類し、ガスメータ(1)の出力信号(8)を質量または標準体積単位(l/min)に較正されたスケール(8b)で作動し、および
c)非対応の場合に、ガス混合物(3)を燃焼性として分類し、ガスメータ(1)の出力信号(8)をエネルギ単位(kWh)に較正されたスケール(8a)で作動することを特徴とする上述された請求項の一つに記載の方法。
【請求項5】
a)測定された熱容量(c)を、1300J/kgKの絶対値に対応する閾値と比較し、±10%、好ましくは、±5%、特に好ましくは±2%の許容誤差を考慮し、
b)前記閾値以下のとき、ガス混合物(3)を非燃焼性として分類し、ガスメータ(1)の出力信号(8)を質量または標準体積単位(l/min)に較正されたスケール(8b)で作動し、および
c)前記閾値を超えるとき、ガス混合物(3)を燃焼性として分類し、ガスメータ(1)の出力信号(8)をエネルギ単位(kWh)に較正されたスケール(8a)で作動することを特徴とする上述された請求項の一つに記載の方法。
【請求項6】
a)ガスメータ(1)が燃焼ガス(3)、特に天然ガスに、または非燃焼ガス(3)、特に窒素または空気に接触しているか否かがテストされ、および/または
b)センサ信号(S)を定める測定間隔が、非燃焼ガス混合物(3)の存在においては大きく、特に1分またはそれ以上になるように選択され、また、燃焼ガス混合物(3)の存在においては小さく、特に10秒またはそれ以下になるように選択されることを特徴とする上述された請求項の一つに記載の方法。
【請求項7】
ガスエネルギの消費供給がガスメータ(1)に積分され、較正を質量または標準体積単位(l/min)に切り換えるとき、中間的に保存され、エネルギ単位(kWh)に切り換えるとき、開始値として用いられることを特徴とする上述された請求項の一つに記載の方法。
【請求項8】
流量比(SM)が質量または標準体積単位(l/min)においてガスメータ(1)に積分され、および
a)前記流量比は、較正をエネルギ単位(kWh)に切り換えるとき、更に増加されて、特に出力され、または
b)積分された流量比が中間的に保存されて、特に出力され、較正を質量または標準体積単位(l/min)に切り返すとき、開始値として用いられるか、開始値として零に戻されることを特徴とする上述された請求項の一つに記載の方法。
【請求項9】
a)インジケータまたはディスプレイ(9)によって、ガスメータ(1)が空気または天然ガスまたは空気と天然ガスの混合物に接触されているか否かが表示され、および/または
b)ガスメータ(1)の初期設定のため、質量または標準体積単位(l/min)が指示され、エネルギ単位(kWh)が有用ガス、特に天然ガスとの第一の接触時のみ指示され、および/または
c)ガスメータ(1)の第一の初期化により、特に、組立て中、較正が質量または標準体積単位(l/min)または空気からエネルギ単位(kWh)または天然ガスに自動的に切り換えられ、および/または
d)空気、天然ガスおよび再び空気と接触するとき、ガスメータ(1)の操作インジケータ(10)が起動されることを特徴とする上述された請求項の一つに記載の方法。
【請求項10】
較正ガス(3)の流量比に基づくセンサ信号(S)がエネルギメータとしてガスメータ(1)の較正のために判定され、且つセンサ較正カーブ(F(S))の形態でガスメータ(1)に保存され、前記センサ較正カーブ(F(S))は、基本ガス混合物(CH)のために信号変換因子(fN2−CH)および加熱量因子(HCH)によって修正され、得られた物がエネルギ単位(kWh)または出力ユニットにおけるガス消費を指示することを特徴とする上述された請求項の一つに記載の方法。
【請求項11】
上述された請求項の一つに記載の消費ガスを測定するガスメータ(1)。
【請求項12】
ガス消費、特に、私的、公的、産業分野における測定可能なガスエネルギ供給を測定し、熱流量センサを有し、且つエネルギメータとしてエネルギ単位(kWh)において較正されるガスメータ(1)であって、
a)前記ガスメータ(1)は、更に、質量または標準体積単位(l/min)における質量メータとして較正され、
b)前記ガスメータ(1)は、識別信号、特に、燃焼ガス混合物(3)を非燃焼ガス混合物(3)から識別するためにガス種類・従属因子を発生させるガス品質センサ(1a)を有し、および
c)前記ガスメータ(1)は、エネルギメータまたは質量流量計として作動間の識別信号に基づいて切り換えることができることを特徴とするガスメータ。
【請求項13】
a)熱流量計(1a)とガス品質センサ(1a)とは、同一の構造を有し、および/または
b)熱流量センサ(1a)および/またはガス品質センサ(1a)とは、加熱ワイヤ(6)と、上流および下流に配置された温度センサ(5a、5b)とを有するCMOSアネモメータであることを特徴とする請求項12記載のガスメータ(1)。
【請求項14】
a)測定された質量流比が所定の閾値以下になる場合、熱流量センサ(1a)を、ガス品質センサ(1a)として作動することができ、または
b)ガス品質センサ(1a)が一定の流速を有する領域、特に、広範囲に静的なガス(3)を有する領域に配置されることを特徴とする請求項12乃至13の一つに記載のガスメータ(1)。
【請求項15】
a)ガスメータ(1)が、ガス品質のため、特に、較正ガス(3)、または有用ガス(3)、好ましくは空気、天然ガス、または空気/天然ガス混合物の存在のためのインジケータまたはディスプレイ(9)を有し、および/または
b)ガスメータ(1)が非燃焼ガス(3)、特に、較正ガス(3)、または有用ガス(3)および再び非燃焼ガス(3)、特に環境ガス(3)と接触して変更するとき起動することができる操作インジケータ(10)を有し、および/または
c)ガスメータ(1)が、エネルギ消費値(S)および/または質量流の値(SM)を定める測定評価ユニット(7)を有し、および/または
d)ガスメータ(1)がエネルギ消費値(S)および/または質量流の値または標準体積流の値(S)を保存する独立のデータメモリ(7b、7c)を有することを特徴とする請求項12乃至14の一つに記載のガスメータ(1)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−501442(P2006−501442A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−529635(P2004−529635)
【出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000492
【国際公開番号】WO2004/018976
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(505065515)エムス−パテント アーゲー (3)
【Fターム(参考)】