説明

ガス器具監視装置

【課題】ガス器具別に監視レベルを変更可能なガス器具監視装置を提供する。
【解決手段】ガス流量を計測する流量計測手段17と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁2cと、流量計測手段17の計測結果に基づく各種情報を記憶する情報記憶手段10bと、複数の相手先と情報の送受信を行う無線モジュール11と、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段10cとを備え、無線モジュール11は、流量計測手段17を構成する制御回路基板10と一体的に構成してガスメータ2内に収納し、少なくとも基地局14との通信周波数帯と複数のガス器具との通信周波数帯を有し、特定ガス器具の器具検出手段22で検出される動作開始信号を器具無線モジュール11dを用いて器具情報として送信し、その情報に基づいて連続使用時間を変更する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータを経由した後のガス配管に接続される複数のガス器具を特定してガスの使用状況を個別に監視する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガス監視装置としては、ガス供給ライン中に配置されたガスメータを通過するガス量に応じて信号を発する流量測定手段と、該流量測定手段からの信号によりガスメータ通過ガス量の変化流量を算出し、個別ガス器具ごとのガス量に分類する個別ガス器具流量演算手段と、変化流量以外の入力信号、例えば外気温、カレンダー情報、使用開始時刻情報等を得るセンサ手段と、個別ガス器具流量演算手段及びセンサ手段から得られる情報を複合化し使用されているガス器具の判別を行う複合演算手段を備えたもの(例えば、特許文献1参照)や、各ガス器具の個々のガス流路にそれぞれ設置され、ガス流量に応じた強さで個々のガス器具に対応した所定の周波数の監視音を発生する各発音手段と、各発音手段が発生する監視音に基づき個々のガス器具の使用状況を監視する監視手段を備えたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【0003】
また、ガス器具の消し忘れなどに起因する事故を防止するために連続使用時間を制限するものとして、流量に応じて連続使用時間を設定しその連続使用時間が経過するとガスを遮断するようにしたもの(例えば、特許文献3)がある。
【特許文献1】特開平3−236513号公報
【特許文献2】特開平8−178195号公報
【特許文献3】特開平7−44239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各特許文献に開示されたガス器具監視装置は、複雑な制御回路を伴うガス器具判別手段を設ける必要があり、特に、特許文献1では、ガスメータ通過ガス量の変化流量から個別ガス器具ごとのガス量に分類する個別ガス器具流量演算手段を設け、さらに使用環境を特定するための各種センサ情報を複合化して使用ガス器具を推定するというものであり、複雑な回路構成を必要とする割には使用ガス器具を特定するにあたり確実性に問題を残すものであった。
【0005】
また、特許文献2のものは、各ガス器具に流れるガス流量の大きさに応じた周波数の監視音を発し、その監視音を集音して使用ガス器具を特定するというものであるため、個別のガス器具から発せられる情報に基づいて使用ガス器具を特定するという点において確実性の向上は図れるものの、流量に応じた音を発生する笛装置及び音を集音するマイクロホン及び分析回路が必要であり、極めて複雑な回路構成が要求されるという問題があった。
【0006】
また、特許文献3のものは、ガス器具の種類に関係なく、ガス流量に応じて一律に連続使用時間を設定するようにしたもので、ガス器具それぞれ独自の用途に対応した使用時間を設定したものではないため、例えば、同じガス器具であっても安全機能が充実した最新のガス器具と、安全機能がそれほど充実していない20年前のガス器具を流量範囲が同じの場合、同じ使用時間で制限をかけることになり、最新のガス器具を基準に使用時間を制限した場合は20年前のガス器具の消し忘れ防止時間が長くなり危険度が高くなる。反対に20年前のガス器具を基準に使用時間を制限した場合は最新のガス器具の早切れ現象が発生する、というような問題を有していた。
【0007】
本願発明は上記課題を解決するもので、ガス器具制御装置からの信号を受けることなくガス器具の動作開始を検出可能な器具検出手段を設けると共に、動作開始情報をガスメータに送信可能な器具無線モジュールを設けてガス器具に収納し、この器具無線モジュールからの情報に基づいて特定ガス器具の連続使用時間を監視することで、既存の古いガス器具に応じた適切な使用時間の監視が可能なガス器具監視装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために本発明のガス器具監視装置は、ガスメータを経由した後の配管に接続される複数のガス器具の使用状況を監視するとともに、複数の相手先と電話回線以外の通信回線を用いて直接送受信が可能な無線モジュールを搭載したガス器具監視装置であって、ガスメータには、ガス流量を計測する流量計測手段と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁と、前記流量計測手段の計測結果に基づき所定の処理を行って流量情報として出力する制御回路と、複数の相手先と情報の送受信を行うメータ無線モジュールと、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段と、駆動用の電池電源とを備え、前記メータ無線モジュールは、前記制御回路と一体的に構成して前記ガスメータ内に収納し、少なくとも基地局との通信周波数帯と特定のガス器具との通信周波数帯を有し、前記特定のガス器具には器具の動作開始を検出してガスメータに器具情報として送信する器具情報送信器を備え、前記器具情報送信器は、ガス器具制御装置から信号を受けることなく器具の動作開始を検出する器具検出手段と、前記器具検出手段からの器具動作開始信号をガスメータに所定の通信周波数帯で送信する器具無線モジュールと、駆動用電池と、をケースに収納して着脱自在かつ任意の場所に設置可能な形態とし、前記制御回路には、前記流量情報に基づいて器具の連続動作時間を監視する連続使用時間監視手段と、流量域別に連続使用可能な時間を予め設定して記憶した流量域別連続使用時間記憶手段と、前記器具情報送信器から送信される器具情報に基づいて前記流量域別連続使用時間記憶手段の記憶値を変更する監視レベル変更手段とを有し、前記連続使用時間監視手段で監視される連続動作時間が前記流量域別連続使用時間記憶手段の記憶値に達したとき所定の処理モードを実行すると共に、前記監視レベル変更手段で記憶値が変更されたとき別途変更解除処理が実行されるまで、変更後の記憶値を用いてガス器具の監視を行うようにしたものである。
【0009】
上記発明によれば、電話回線以外の無線通信手段を用いて基地局との通信が可能な無線モジュールと、複数のガス器具からの器具情報を受信可能な無線モジュールとを、ガスメータ内の制御回路基板に一体的に組み込んだ形態としているため、ガスメータを設置するだけで基地局と電話回線を用いることなく通信が可能となり、回線の混雑状況に影響を受けず基地局からの各種指令をスムーズに伝達することができ、ガスメータを経由した後の配管に接続された複数のガス器具のうち特定のガス器具、特に十分な監視を必要とする古いタイプのガス器具からの使用情報を含む器具情報を取得することができ、従来のように電話回線の混雑でセンターとの通信ができないという不具合を解消することができると共に、家庭内で使用する古いタイプのガス器具に関する情報をリアルタイムにかつ確実に取得することができる。
【0010】
また、取得した特定のガス器具情報別にその使用有無情報も同時に取得できるため、流量計測手段で求められる流量値をガス器具情報に対応させて監視することができ、最新のガス器具と古いタイプのガス器具を区別した保安サービスを提供することができる。
【0011】
さらに、取得した特定のガス器具情報別に実際に燃焼を伴う連続動作時間を監視することができ、この古いタイプのガス器具が使用されている期間の連続使用可能な許容時間を規制することで、安全機能が十分でない古いタイプのガス器具に対して適切な連続使用時間を判断することができると共に、その期間における他のガス器具の監視レベルも併せて変更し厳しく監視することで、古いタイプのガス器具が使用されている期間における全て
のガス器具の保安監視を適切な条件下に設定することができ、かつその判断結果を基地局など必要な相手先に報知することができるため、消し忘れなどによる長時間の異常な使用状況に伴う危険な状態を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガス器具監視装置は、ガスメータを設置するだけで基地局と電話回線を用いることなく通信が可能となり、回線の混雑状況に影響を受けず基地局からの各種指令をスムーズに伝達することができ、ガスメータを経由した後の配管に接続された複数のガス器具のうち特定のガス器具、特に十分な監視を必要とする古いタイプのガス器具からの使用情報を含む器具情報を取得することができ、従来のように電話回線の混雑でセンターとの通信ができないという不具合を解消することができると共に、家庭内で使用する古いタイプのガス器具に関する情報をリアルタイムにかつ確実に取得することができる。
【0013】
また、取得した特定のガス器具情報別にその使用有無情報も同時に取得できるため、流量計測手段で求められる流量値をガス器具情報に対応させて監視することができ、最新のガス器具と古いタイプのガス器具を区別した保安サービスを提供することができる。
【0014】
さらに、取得した特定のガス器具情報別に実際に燃焼を伴う連続動作時間を監視することができ、この古いタイプのガス器具が使用されている期間の連続使用可能な許容時間を規制することで、安全機能が十分でない古いタイプのガス器具に対して適切な連続使用時間を判断することができると共に、その期間における他のガス器具の監視レベルも併せて変更し厳しく監視することで、古いタイプのガス器具が使用されている期間における全てのガス器具の保安監視を適切な条件下に設定することができ、かつその判断結果を基地局など必要な相手先に報知することができるため、消し忘れなどによる長時間の異常な使用状況に伴う危険な状態を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、ガスメータを経由した後の配管に接続される複数のガス器具の使用状況を監視するとともに、複数の相手先と電話回線以外の通信回線を用いて直接送受信が可能な無線モジュールを搭載したガス器具監視装置であって、ガスメータには、ガス流量を計測する流量計測手段と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁と、前記流量計測手段の計測結果に基づき所定の処理を行って流量情報として出力する制御回路と、複数の相手先と情報の送受信を行うメータ無線モジュールと、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段と、駆動用の電池電源とを備え、前記メータ無線モジュールは、前記制御回路と一体的に構成して前記ガスメータ内に収納し、少なくとも基地局との通信周波数帯と特定のガス器具との通信周波数帯を有し、前記特定のガス器具には器具の動作開始を検出してガスメータに器具情報として送信する器具情報送信器を備え、前記器具情報送信器は、ガス器具制御装置から信号を受けることなく器具の動作開始を検出する器具検出手段と、前記器具検出手段からの器具動作開始信号をガスメータに所定の通信周波数帯で送信する器具無線モジュールと、駆動用電池と、をケースに収納して着脱自在かつ任意の場所に設置可能な形態とし、前記制御回路には、前記流量情報に基づいて器具の連続動作時間を監視する連続使用時間監視手段と、流量域別に連続使用可能な時間を予め設定して記憶した流量域別連続使用時間記憶手段と、前記器具情報送信器から送信される器具情報に基づいて前記流量域別連続使用時間記憶手段の記憶値を変更する監視レベル変更手段とを有し、前記連続使用時間監視手段で監視される連続動作時間が前記流量域別連続使用時間記憶手段の記憶値に達したとき所定の処理モードを実行すると共に、前記監視レベル変更手段で記憶値が変更されたとき別途変更解除処理が実行されるまで、変更後の記憶値を用いてガス器具の監視を行うようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
そして、電話回線以外の無線通信手段を用いて基地局との通信が可能な無線モジュール
と、複数のガス器具からの器具情報を受信可能な無線モジュールとを、ガスメータ内の制御回路基板に一体的に組み込んだ形態としているため、ガスメータを設置するだけで基地局と電話回線を用いることなく通信が可能となり、回線の混雑状況に影響を受けず基地局からの各種指令をスムーズに伝達することができ、ガスメータを経由した後の配管に接続された複数のガス器具のうち特定のガス器具、特に十分な監視を必要とする古いタイプのガス器具からの使用情報を含む器具情報を取得することができ、従来のように電話回線の混雑でセンターとの通信ができないという不具合を解消することができると共に、家庭内で使用する古いタイプのガス器具に関する情報をリアルタイムにかつ確実に取得することができる。
【0017】
また、取得した特定のガス器具情報別にその使用有無情報も同時に取得できるため、流量計測手段で求められる流量値をガス器具情報に対応させて監視することができ、最新のガス器具と古いタイプのガス器具を区別した保安サービスを提供することができる。
【0018】
さらに、取得した特定のガス器具情報別に実際に燃焼を伴う連続動作時間を監視することができ、この古いタイプのガス器具が使用されている期間の連続使用可能な許容時間を規制することで、安全機能が十分でない古いタイプのガス器具に対して適切な連続使用時間を判断することができると共に、その期間における他のガス器具の監視レベルも併せて変更し厳しく監視することで、古いタイプのガス器具が使用されている期間における全てのガス器具の保安監視を適切な条件下に設定することができ、かつその判断結果を基地局など必要な相手先に報知することができるため、消し忘れなどによる長時間の異常な使用状況に伴う危険な状態を確実に防止することができる。
【0019】
第2の発明は、メータ無線モジュールは、基地局との通信用無線モジュールと特定のガス器具との通信用無線モジュールとは異なる通信周波数帯を用いて通信を行い、特定のガス器具との通信用無線モジュールは特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュールとし、基地局との通信用無線モジュールは広域通信周波数帯を有する広域通信無線モジュールとしたことを特徴とするものである。
【0020】
そして、基地局とキャリアダイレクトで通信可能な広域通信無線モジュールと、特定小電力無線通信周波数帯を用いて所定の範囲内で通信可能なエリア通信無線モジュールを制御回路基板と一体的に構成し、基地局と電話回線以外の通信回線で情報の伝達を行い、特定のガス器具と特定小電力無線通信周波数帯で情報の伝達を行うようにしているため、家庭内で使用する特定のガス器具に関する情報をリアルタイムにかつ確実に取得することができ、この取得情報に基づくガス流量の器具別管理を精度よく行うことが可能になると共に、器具別管理結果をメータ無線モジュールを切り替えるだけで基地局に直接送信することができ、合理的な通信手段を構築することも可能となる。
【0021】
第3の発明は、エリア通信無線モジュールは、特定のガス器具との通信以外に特定の端末装置との通信も可能とし、連続使用時間経過情報が発信されたとき特定の端末装置にも送信するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
そして、ガスメータに内蔵したエリア通信無線モジュールを用いてテレビや携帯電話等の特定端末装置とも通信できるようにすることで、連続使用時間経過情報を送信することが可能となり、テレビや携帯電話の画面上に連続使用時間が経過してガス遮断弁が作動したことを表示することができ、需要家への注意の喚起を促すことができる。
【0023】
第4の発明は、器具検出手段は、ガス器具の点火用放電ノイズを検出する放電ノイズ検出手段と、放電ノイズ検出手段からの信号を器具動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力する動作開始信号変換手段を備えたことを特徴とするものである。
【0024】
そして、ガス器具の器具情報として、ガス器具制御装置から信号を受けることなく、ガス器具が動作開始時に作動する点火器の放電動作に伴って発生する放電ノイズを検出し、この放電ノイズから器具の点火動作が開始したことを知らせる動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力するようにしているため、ガス器具制御装置とは無関係に器具検出手段を構成することができ、既存のガス器具に対しても何ら変更することなく取り付けが可能となり、放電ノイズの検出が可能な場所にセットするだけで器具の使用開始を検出することができるものである。
【0025】
第5の発明は、器具検出手段は、特定ガス器具の動作に伴い発生する温度変化を検出する温度変化検出手段と、温度変化検出手段からの信号を器具動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力する動作開始信号変換手段を備えたことを特徴とするものである。
【0026】
そして、ガス器具の器具情報として、ガス器具制御装置から信号を受けることなく、ガス器具の燃焼動作開始に伴って発生する温度変化を検出し、この温度変化から器具の燃焼が開始したことを知らせる動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力するようにしているため、ガス器具制御装置とは無関係に器具検出手段を構成することができ、既存のガス器具、特に古いタイプのガス器具に対しても何ら変更することなく取り付けが可能となり、温度変化の検出が可能な場所にセットするだけで器具の使用開始を検出することができるものである。
【0027】
第6の発明は、器具無線モジュールは、器具検出手段からの動作開始信号が正常か否かを判断する動作開始信号判定手段と、器具を特定するための固有の識別コードを設定または変更する識別コード変更手段と、動作開始信号判定手段の判定結果が正常な場合に動作開始信号と共に識別コードを付与した器具情報をガスメータに送信する器具情報送信手段を備えたことを特徴とするものである。
【0028】
そして、家庭内で使用する特定ガス器具の種類別に固有の識別コードを付与し、この識別コードと共に動作開始信号を送信することで、どの器具が使い始めたかを確実に知らせることができると共に、器具別の識別コードを任意に変更または設定することが可能な識別コード変更手段を有しているため、買い替え等で器具が変更された場合でも識別コードを変更するだけで対応が可能となり、また、使い回しも可能であり、極めて有効な器具情報送信手段を提供できるものである。
【0029】
第7の発明は、監視レベル変更手段は、器具情報送信器から器具情報が送信されたときどのガス器具が使用されたかを判定する器具判定手段と、そのときの流量情報に基づいて増大側流量変化から減少側流量変化を検出する流量変化検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0030】
そして、器具情報送信器から送信される器具情報に対応した流量情報、つまり器具の使用に伴う流量の増加と、器具の使用停止に伴う流量の減少を検出し、この検出信号により特定のガス器具が使用されたことを判断し監視レベルを変更することで、実際に燃焼を伴う特定ガス器具の使用期間中における監視レベルを厳しく規制することができるため、安全機能が十分でない古いタイプのガス器具が使用されている期間における監視レベルを適切な値に変更することができる。
【0031】
第8の発明は、流量域別連続使用時間記憶手段は、器具判定手段の器具情報と流量変化検出手段の増大側流量変化情報に基づいて特定ガス器具に対応した連続使用可能時間を動作時間テーブルとして記憶した連続使用可能時間記憶テーブルと、連続使用時間監視手段で監視される連続動作時間と記憶テーブルの記憶値を比較する比較手段とを備え、連続動
作時間が記憶値を超えたとき広域通信無線モジュールあるいは/及びエリア通信無線モジュールに信号を出力するようにしたことを特徴とするものである。
【0032】
そして、特定ガス器具の使用が確認されるとそれに対応した連続使用可能時間記憶テーブルに変更し、この記憶値と実際の動作時間を比較することで、特定ガス器具を含む全てのガス器具の器具監視を厳しい判断で行うことができ、安全機能が十分でない古いタイプのガス器具が使用されている期間における監視レベルを高めることができ、かつガスメータに内蔵の広域通信無線モジュールとエリア通信無線モジュールを使って必要な場所に連続使用時間経過情報を送信することが可能となる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるガスメータと基地局及び需要家宅との通信形態の全体構成図、図2は同ガス器具監視装置における家庭内の特定ガス器具との通信形態を示す図、図3は同ガス器具監視装置における器具無線モジュールの構成図、図4は同ガス器具監視装置における器具検出手段の制御ブロック図、図5は同ガス器具監視装置の外観及び構成部品を示す図、図6は同ガス器具監視装置の内部構成図、図7は同ガス器具監視装置の制御回路基板の構成ブロック図である。
【0035】
図1において、まずガスメータ2を経由した後の配管に接続される複数のガス器具及びガスメータ2が保有する通信機能について説明する。
【0036】
各家庭のガス供給管1の入口部分にガスメータ2が設置され、このガスメータ2を経由した後のガス配管3から分岐して家庭で使用する種々のガス器具が設置された場所まで配管されガスが供給される。例えば、屋外にはガス給湯器4が設置され、このガス給湯器4で生成される湯が水配管を介して台所の給湯栓5、浴槽やシャワー装置が設置された風呂6、リビング等に設置された床暖房7に供給され、種々の使用形態を形成している。
【0037】
また、屋内にあっては、台所に設置されたガステーブル8、リビングや寝室等に設置されたガスファンヒータ9にガスが供給され、必要に応じて適宜使用される。
【0038】
そして、設置されたガス器具が使用されガスの消費が発生するとガスメータ2でその使用量が計測され、そのデータが所定期間毎に累積記憶されている。このガスメータ2に記憶されたデータはガス事業者15からの定期的なデータ要求指令に基づいて所定の情報処理を行った後、ガス料金やガス使用量あるいはガス事業者15が提供する割引サービス等の情報として需要家13及びガス事業者15に送信される。
【0039】
この送信手段としては、図5に示すようにガスメータ2に内蔵された制御装置を構成する制御回路基板10に一体的に組み込まれた無線モジュール11を用いて行い、この無線モジュール11はコネクタ10dで着脱自在に制御回路基板10にオンボードされ、無線モジュール11を搭載せず通信機能を有しないガスメータと無線モジュール11を搭載した通信機能を有するガスメータを任意に選択できる構成とし、ガスメータ2の共通化を図り、通信機能の有無に関係なく使用できるようにしている。
【0040】
また、無線モジュール11を着脱自在な構成とすることで、通信機能を有する場合であっても通信規格を取得した無線モジュールを搭載すれば、ガスメータ本体で通信機としての規格を取得する必要がなく、ガスメータを変更する場合等において規制を受けることなく比較的自由に変更が可能となる。
【0041】
そして、図7に示すように無線モジュール11は、基地局14と通信するために電話回線とは異なる、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、需要家宅13内のテレビ12a、パソコンあるいは携帯電話12b等の特定の端末装置12や隣接するガスメータさらには家庭内に設置された特定のガス器具と通信するために、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bで構成し、流量信号やセンサ信号に基づいてガス使用量の算出あるいは地震、ガス漏れ等の異常検知を行う制御回路10aからのデータ、さらには基地局14を介してガス事業者15から送信される各種情報、さらには隣接するガスメータから送信される各種情報、さらには特定のガス器具から送信される器具情報を受信すると、その受信データに応じて、例えばガス料金、ガス使用量あるいは地震、ガス漏れ等の異常発生に伴うガス遮断弁の作動、隣接するガスメータから脈動現象の発生を知らせる情報に対応した計測モードの変更、さらには特定のガス器具のガス供給管理等、需要家に報知すべき内容の場合はエリア通信無線モジュール11bを用いて需要家宅13内のテレビ12aあるいは携帯電話12b等の特定の端末装置12にデータを送信し、特定のガス器具から器具情報が送信された場合はその情報を受信し制御回路10aに入力する。
【0042】
そして、図8に示すように特定の端末装置12にもガスメータ2に内蔵してあるエリア通信無線モジュール11bと同一の通信周波数帯を有する無線モジュール11cを内蔵あるいは一体的に取り付けることで、ガスメータ2から送信されるデータを受信することができ、このデータをテレビ12aあるいは携帯電話12bの画面を通じて表示することで、ガスメータから直接需要家に対して情報の伝達を行うことができ、従来のように、ガスメータ2からガス事業者15にデータを送信し、ガス事業者15でデータ処理を行った情報、例えば料金通知等の葉書を郵送等で需要家に送付するという情報伝達方法を採用する必要がなくなるため、通知作業に要する工数を削減でき、かつ通知用葉書等の郵送費用の発生もなくなり、通知業務の合理化を実現することでガス料金の低減に寄与するものである。
【0043】
また、ガスメータ2から特定の端末装置12に各種情報を送信した場合は、エリア通信無線モジュール11bから広域通信無線モジュール11aに報知完了信号を送り、広域通信無線モジュール11aはこの報知完了信号を基地局14に送信し、ガス事業者15に需要家への情報伝達が完了したことを通知する。なお、この場合、特定の端末装置12からの応答信号を受信して報知完了信号を送信することが好ましく、より確実に需要家への情報伝達を行うことができ、合理的な情報伝達システムを構築することができる。
【0044】
次に、制御回路10aに内蔵されたガス流量を計測し所定の処理を行って流量情報として出力する流量計測処理手段について簡単に説明すると、ガスメータ2には図5、図6に示すように、ガス入口2aとガス出口2bを有し、その間のガス流路内に異常時にガスを遮断する遮断弁2cとガス流量を計測する一対の超音波センサ17が設けられ、その下流側にガス圧を検出する圧力センサ2dが配置されている。また、超音波センサ17からの信号でガス流量を算出する制御回路10aを搭載した制御回路基板10がガスメータ2の表示部2eに液晶表示器10eを臨ますように配置され、さらに、制御回路10aを駆動させるための電池2fが収納されている。また、遮断弁2cが作動した後の復帰動作を手動で行う手段として復帰ボタン2gが配置されている。
【0045】
そして、ガス流量を計測する流量計測部17と制御回路10aは、例えば図10に示すように、ガス流路に一対の超音波センサを配置し流路を流れる流量に応じて変化する伝播時間を計測することで流量を測定するものがある。以下、その構成を説明すると、超音波を送信または受信する第1送受信器17Aと受信または送信する第2送受信器17Bが流れ方向に配置され、制御回路10aを構成する切換手段を有する計測制御部18によって
送受信の切り換えが可能になっており、ガス等の流体の流れ状態を検出している。この第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの信号を処理して流量を計測するもので、具体的には、まず計測制御部18により第1送受信器17Aを駆動し、第2送受信器17Bに向け、すなわち上流から下流に超音波を送信する。そして第2送受信器17Bで受信した信号を計測制御部18に設けた増幅手段により増幅し、この増幅された信号は基準信号と比較され、基準信号以上の信号が検出された後、計測制御部18に設けた繰り返し手段により上記の送受信を所定の回数を繰り返し、それぞれの時間値を計測制御部18に設けたタイマカウンタのような計時手段で計測する。
【0046】
次に、切換手段を有する計測制御部18で第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの送受信を切換えて、第2送受信器17Bから第1送受信器17A、すなわち下流から上流に向かって超音波信号を送信し、この送信を前述のように繰り返し、それぞれの時間値を計測する。そして、第1送受信器17Aと第2送受信器17Bとの超音波の伝搬時間差から流路16の大きさや流体の流れ状態を考慮して信号処理手段19で流量値を求める。求められた流量データは情報記憶手段10bで累積され、所定期間毎の累積データとして記憶される。
【0047】
また、流量計測部17が配置された流路16内には異常時等にガスの流れを遮断する遮断弁2cが設けられ、信号処理手段19で求められる流量値が異常に多い場合や通常考えられる使用時間を超えて流量値が検出されるような場合に異常と判断して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断する。
【0048】
また、感震装置21から地震や衝撃信号、圧力センサ2dから異常なガス圧の信号が入力されると、制御回路10aを介して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断すると共に、センターに通報する。
【0049】
次に、ガスメータ2に内蔵した無線モジュール11を用いた情報伝達の一例を説明すると、まずガス事業者15からの検針指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その検針指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御回路10aには流量計測手段で計測された流量データが所定期間毎に累積され、その累積データ、あるいは料金データに変換した情報が情報記憶手段10bに記憶されており、ガス事業者15からの検針指示情報が入力されると制御回路10aは情報記憶手段10bの流量累積データ、あるいは料金データに変換した情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11b及び広域通信無線モジュール11aに送り、広域通信無線モジュール11aは広域通信周波数帯(200MHz)で基地局14に送信し、基地局14から専用回線を用いてガス事業者15に検針情報が伝達される。また、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の特定の端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図9(a)に示すような料金情報や使用量を表示する。そして、特定端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
【0050】
また、地震や衝撃等で遮断弁2cが作動した場合において原因究明がなされ、ガス事業者15からの復帰指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その復帰指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御回路10aは復帰指示情報が入力されると、情報記憶手段10bに記憶されている復帰作業に関する情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11bに送り、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の表示
端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図9(b)に示すような復帰作業の手順を表示する。そして、表示端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
【0051】
以上のように、制御回路10aには伝達する情報に応じて通信する相手先に対応して通信周波数帯の異なる無線モジュールを選択すべく通信切替手段10cを有しており、例えば、ガス事業者15からの検針指令の場合は、広域通信無線モジュール11aで受信した情報によりガス事業者15と特定端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達する必要があり、この場合は、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択し、ガス事業者15からの復帰指示の場合は、表示端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達するだけでよく、この場合は、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択すればよい。
【0052】
なお、広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bはそれぞれ別々に設けてもよく、共通の無線モジュールとし通信周波数帯を広域通信周波数帯と特定小電力無線通信周波数帯で切替えるようにしてもよいもので、前者の場合、通信切替手段10cは広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bを選択する必要があり、同時通信が可能というメリットがある反面、設置スペース大やコスト高というデメリットを有している。後者の場合、通信切替手段10cは通信相手先に応じて通信周波数帯を切替える必要があり、設置スペース小やコスト安というメリットがある反面、同時通信ができず交互通信になるというデメリットを有している。
【0053】
次に、以上のような通信機能を有するガスメータにおけるガス器具の保安監視について説明する。一般的には、ガス器具の消し忘れなどに起因する事故を防止するために連続使用時間を制限するものとして、流量に応じて連続使用時間を設定しその連続使用時間が経過するとガスを遮断するようにしたものが知られている。
【0054】
しかし、上記一般的な器具保安監視は、ガス器具の種類に関係なく、ガス流量に応じて一律に連続使用時間を設定するようにしたもので、ガス器具それぞれ独自の用途に対応した使用時間を設定したものではないため、例えば、同じガス器具であっても安全機能が充実した最新のガス器具と、安全機能がそれほど充実していない20年前のガス器具を流量範囲が同じの場合、同じ使用時間で制限をかけることになり、最新のガス器具を基準に使用時間を制限した場合は20年前のガス器具の消し忘れ防止時間が長くなり危険度が高くなる。反対に、20年前のガス器具を基準に使用時間を制限した場合は最新のガス器具の早切れ現象が発生する、というような問題を有していた。
【0055】
本実施の形態は上記課題を解決したもので、流量域別に連続使用時間を監視する方法に加えて、古いタイプのガス器具等において安全機能が十分でなく最新のガス器具とは区別して監視する必要があるガス器具について、個別に器具情報を取得しその器具情報に基づいて連続使用時間を変更し監視することで、異なる判断基準を用いた監視手段を提供するものである。
【0056】
そこでまず、家庭内に設置されている複数のガス器具のうち特別に区別して監視する必要があるガス器具の器具情報の取得手段について説明する。
【0057】
従来の器具判別情報の取得手段は特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように流量情報あるいは音響情報を用いたもので、確実性が低い及び複雑な装置を必要とする
ものであった。本実施の形態ではこの従来の課題を解決し、簡単な構成でかつ確実性の高い器具情報取得手段を提供するものである。
【0058】
具体的には、図3に示すように、ガスメータ2に内蔵のエリア通信無線モジュール11bと同一の通信周波数帯を有する器具無線モジュール11dと、ガス器具の動作開始時に必ず実行される点火動作において点火器の高圧放電動作に伴う放電ノイズの発生を検出し器具の動作開始信号に変換して器具無線モジュール11dに出力する器具検出手段22と、駆動用電池電源23を備え、器具無線モジュール11dと器具検出手段22を器具無線モジュール基板24上に一体化して構成し、ケース25に収納して器具情報送信器26として構成する。
【0059】
そして、この器具情報送信器26をガス器具の内部に収納するか、または外装の適所に取り付ける。このとき、点火器の放電ノイズを検出できる位置にセットすることが必要となる。例えば、図2に示すように、ガスファンヒータ9の場合であれば器具内部あるいは外装表面の適所に器具情報送信器26を取り付けるだけで、点火器4aの放電ノイズを検出することができ、ガスファンヒータ9の制御装置に接続して信号を受け取らなくてもガスファンヒータ9の動作開始を検出することができる。つまり、器具情報送信器26を点火器4aの放電ノイズの影響を受ける場所に置くだけで器具の動作開始を検出できるものである。よって、任意の場所にセットすることができ、かつ着脱自在に収納することができるため、器具情報の送信が必要でないガス器具に対しては取り外すことができ、買い替え等の場合も容易にセットすることができるものである。
【0060】
また、ガス器具の点火方式は器具の種類に関係なくほとんど高圧放電タイプであるため、この放電ノイズを検出する器具検出手段22でガスファンヒータ9以外に瞬間湯沸し器やガスコンロ等、古いタイプのガス器具の動作開始を検出することができる。
【0061】
また、器具の動作開始を検出する方法として、上記放電ノイズを検出する以外に、器具の燃焼動作に伴って発生する温度変化、例えば排気温度や温風、温水温度を検出することで、器具制御装置からの信号を受けることなくガス器具の動作開始を検出することができる。この温度変化を検出する方法で器具情報送信器を構成する場合は、温度センサを検出位置に取り付け送信ユニットまで接続する必要がある。
【0062】
本実施の形態では放電ノイズを検出する方法について、図4の制御ブロック図を用いて詳細に説明する。
【0063】
ガスファンヒータ9が着火動作を開始すると点火器が作動し高電圧出力側に接続された電極間で放電が開始し、供給されたガスに点火して燃焼が開始する。このとき、電極間の放電現象に伴って周囲に放電ノイズが放射される。この放電ノイズを放電ノイズ検出手段22aで検出し、検出した場合は動作開始信号変換手段22bで所定の動作開始信号に変換し、器具無線モジュール11dの動作開始信号判定手段11eに入力して正常な動作開始信号であるか否かを判定する。この判定結果が正常な場合は器具情報送信手段11fに信号を送り、識別コード変更手段27で設定されたガスファンヒータ9の固有の識別コードを付与し器具情報としてガスメータ2のエリア通信無線モジュール11bに送信する。この一連の動作によりガス器具の制御装置からの信号を受けることなく器具の動作開始を検出することができ、その信号をガスメータ2に送信することができる。また、放電ノイズ検出手段22aで短時間に複数回の放電ノイズを検出するような場合は着火ミスにより複数回の着火動作が行われていると判断し、そのときの流量データを加味して動作開始信号を出力しないようにすることもできる。
【0064】
なお、本実施の形態ではガスファンヒータ9を例にとって説明したが、その他のガス器
具においても同様の検出が可能なことは言うまでもない。
【0065】
そして、このようにして取得した器具情報と超音波センサによる瞬時流量計測機能を用いて、特定のガス器具に対して異なる判断基準を設けて区別した保安監視を行うことができる。
【0066】
次に、図11を用いて全体の保安監視について説明する。
【0067】
まず、通常の器具保安監視は、ガス器具の使用に伴い流量計測手段17で求められる瞬時流量が流量域検出手段40に送られ、この流量域検出手段40で予め区分された流量域のうちどの流量域に該当するかを検出する。そして、検出された流量域におけるガス器具の連続使用時間が動作時間計測手段41で計測され流量域別動作時間格納手段42に記憶される。次に、流量域検出手段40で該当のガス器具の使用停止が検出されると流量域別動作時間格納手段42に記憶された動作時間を連続使用時間として確定し流量域別動作時間確定手段43に格納する。このようにしてガス器具の種類によって異なる流量域別に連続使用時間を監視する連続使用時間監視手段44を構成している。
【0068】
そして、流量域別に連続して使用可能な時間を予め記憶させた流量域別使用時間記憶テーブル45を設け、流量域別動作時間確定手段43に格納された連続使用時間が記憶テーブルの値を超えているか否かを比較手段46で比較し、その比較結果に応じて所定の処理を行うようにしている。このようにガス器具の種類によって異なる流量域別に連続使用可能な時間を予め定めその時間を記憶した流量域別使用時間記憶手段47を設けている。
【0069】
比較手段46において、連続使用時間が予め定めた許容時間を超えた場合は消し忘れ等の異常使用と判断して遮断弁駆動回路48に遮断信号を送って遮断弁2cの遮断動作を行うと共に、広域通信無線モジュール11aおよびエリア通信無線モジュール11bに信号を送って基地局14および特定の端末装置12に連続使用時間経過情報を送信するようにしている。
【0070】
これにより、安全機能が充実した最近のガス器具における消し忘れ等、長時間使用を基準とした連続使用時間監視機能により、使い勝手と安全性のバランスのとれた保安監視を行うことができる。
【0071】
しかし、この基準で長期間使用した古いタイプのガス器具の保安監視を行うと、連続使用可能とした許容時間内において、異常過熱や異常燃焼を起こす確率が高く、かつ安全機能も十分でない場合があり、そのような場合、異常現象が継続してしまうことになる。
【0072】
そこで、本実施の形態では、そのような古いタイプのガス器具で特に注意を払って監視する必要がある器具に器具情報送信器26を取り付け、この器具情報送信器26から送られる器具情報を用いて流量域別使用時間記憶手段47の流量域別使用時間記憶テーブル45を変更し、変更後の記憶テーブルにより特定ガス器具を含む全てのガス器具の連続動作時間を監視し、通常時の流量域別使用時間記憶手段47の記憶値とは異なる判定値、例えば特定器具の種類や使用期間、あるいは使用者の家族構成等で定めた許容時間で判断し、監視レベルを厳しくすることが可能な構成としたものである。
【0073】
具体的には、器具情報送信器26の器具情報送信手段11fから送信される器具情報をエリア通信無線モジュール11bが受信すると、制御回路10aの監視レベル変更手段49がどのガス器具から送信された動作開始信号であるかを特定器具判定手段33で判断し、そのときに流量計測手段17が計測する瞬時流量値から流量が増大側に変化する時点から流量が減少側に変化する時点までを流量変化検出手段34で検出し、その検出信号を流
量域別使用時間記憶手段47に送る。流量域別使用時間記憶手段47は流量変化検出手段34から流量増大信号が送られたとき特定器具の使用開始と判断し器具情報に対応した記憶テーブルに変更し、流量変化検出手段34から流量減少信号が送られたとき特定器具の使用停止と判断し通常の記憶テーブルに復帰する。
【0074】
これにより、取得した特定ガス器具情報に基づいたガス器具の連続動作時間を監視することができ、予め設定した監視レベルを高めた判定値と比較することで、古いタイプで気を付けて使う必要があるようなガス器具が使用されている期間の器具監視を適切な連続使用時間で判断することができ、かつその判断結果を基地局など必要な相手先に報知することができるため、消し忘れなどによる長時間の異常な使用状況に伴う危険な状態を確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のガス器具監視装置によれば、ガス器具制御装置からの信号を受けることなくガス器具の動作開始を検出でき、その情報を用いて器具判別が可能となるため、この器具判別情報を用いた各種サービスが可能となり、ガス以外の燃焼装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガス器具監視装置の通信形態を示す構成図
【図2】同ガス器具監視装置における各種ガス器具との通信形態を示す図
【図3】同ガス器具監視装置における器具無線モジュールの構成図
【図4】同ガス器具監視装置における器具検出手段の制御ブロック図
【図5】同ガス器具監視装置の外観及び構成部品を示す図
【図6】同ガス器具監視装置の内部構成図
【図7】同ガス器具監視装置の制御回路基板の構成ブロック図
【図8】同ガス器具監視装置と特定端末装置の通信形態を示す図
【図9】(a)同特定端末装置における料金情報表示形態を示す図(b)同特定端末装置における復帰情報表示形態を示す図
【図10】同ガス器具監視装置の制御ブロック図
【図11】同ガス器具監視装置の制御回路の構成ブロック図
【符号の説明】
【0077】
2 ガスメータ
2c ガス遮断弁
10a 制御回路
10b 情報記憶手段
10c 通信切替手段
11 無線モジュール
11a 広域通信無線モジュール
11b エリア通信無線モジュール
11d 器具無線モジュール
12 特定端末装置
14 基地局
17 流量計測手段
22 器具検出手段
26 器具情報送信器
27 識別コード変更手段
33 器具判定手段
34 流量変化検出手段
40 流量域検出手段
41 動作時間計測手段
42 流量域別動作時間格納手段
43 流量域別動作時間確定手段
44 連続使用時間監視手段
45 流量域別使用時間記憶テーブル
46 比較手段
47 流量域別使用時間記憶手段
49 監視レベル変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータを経由した後の配管に接続される複数のガス器具の使用状況を監視するとともに、複数の相手先と電話回線以外の通信回線を用いて直接送受信が可能な無線モジュールを搭載したガス器具監視装置であって、
ガスメータには、ガス流量を計測する流量計測手段と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁と、前記流量計測手段の計測結果に基づき所定の処理を行って流量情報として出力する制御回路と、複数の相手先と情報の送受信を行うメータ無線モジュールと、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段と、駆動用の電池電源とを備え、
前記メータ無線モジュールは、前記制御回路と一体的に構成して前記ガスメータ内に収納し、少なくとも基地局との通信周波数帯と特定のガス器具との通信周波数帯を有し、
前記特定のガス器具には器具の動作開始を検出してガスメータに器具情報として送信する器具情報送信器を備え、
前記器具情報送信器は、ガス器具制御装置から信号を受けることなく器具の動作開始を検出する器具検出手段と、前記器具検出手段からの器具動作開始信号をガスメータに所定の通信周波数帯で送信する器具無線モジュールと、駆動用電池と、をケースに収納して着脱自在かつ任意の場所に設置可能な形態とし、
前記制御回路には、前記流量情報に基づいて器具の連続動作時間を監視する連続使用時間監視手段と、流量域別に連続使用可能な時間を予め設定して記憶した流量域別連続使用時間記憶手段と、前記器具情報送信器から送信される器具情報に基づいて前記流量域別連続使用時間記憶手段の記憶値を変更する監視レベル変更手段とを有し、
前記連続使用時間監視手段で監視される連続動作時間が前記流量域別連続使用時間記憶手段の記憶値に達したとき所定の処理モードを実行すると共に、前記監視レベル変更手段で記憶値が変更されたとき別途変更解除処理が実行されるまで、変更後の記憶値を用いてガス器具の監視を行うようにしたガス器具監視装置。
【請求項2】
メータ無線モジュールは、基地局との通信用無線モジュールと特定のガス器具との通信用無線モジュールとは異なる通信周波数帯を用いて通信を行い、
特定のガス器具との通信用無線モジュールは特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュールとし、基地局との通信用無線モジュールは広域通信周波数帯を有する広域通信無線モジュールとした請求項1記載のガス器具監視装置。
【請求項3】
エリア通信無線モジュールは、特定のガス器具との通信以外に特定の端末装置との通信も可能とし、連続使用時間経過情報が発信されたとき特定の端末装置にも送信するようにした請求項1または2記載のガス器具監視装置。
【請求項4】
器具検出手段は、特定ガス器具の点火用放電ノイズを検出する放電ノイズ検出手段と、放電ノイズ検出手段からの信号を器具動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力する動作開始信号変換手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項記載のガス器具監視装置。
【請求項5】
器具検出手段は、特定ガス器具の動作に伴い発生する温度変化を検出する温度変化検出手段と、温度変化検出手段からの信号を器具動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力する動作開始信号変換手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項記載のガス器具監視装置。
【請求項6】
器具無線モジュールは、器具検出手段からの動作開始信号が正常か否かを判断する動作開始信号判定手段と、器具を特定するための固有の識別コードを設定または変更する識別コード変更手段と、動作開始信号判定手段の判定結果が正常な場合に動作開始信号と共に識別コードを付与した器具情報をガスメータに送信する器具情報送信手段を備えた請求項1〜4のいずれか1項記載のガス器具監視装置。
【請求項7】
監視レベル変更手段は、器具情報送信器から器具情報が送信されたときどのガス器具が使用されたかを判定する器具判定手段と、そのときの流量情報に基づいて増大側流量変化から減少側流量変化を検出する流量変化検出手段とを備えた請求項1〜6のいずれか1項記載のガス器具監視装置。
【請求項8】
流量域別連続使用時間記憶手段は、器具判定手段の器具情報と流量変化検出手段の増大側流量変化情報に基づいて特定ガス器具に対応した連続使用可能時間を動作時間テーブルとして記憶した連続使用可能時間記憶テーブルと、連続使用時間監視手段で監視される連続動作時間と記憶テーブルの記憶値を比較する比較手段とを備え、連続動作時間が記憶値を超えたとき広域通信無線モジュールあるいは/及びエリア通信無線モジュールに信号を出力するようにした請求項1〜7のいずれか1項記載のガス器具監視装置。

【図7】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−232991(P2008−232991A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76333(P2007−76333)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】