説明

ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法

【課題】ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの生産性を従来よりも高めるとともに、製造されたペレット中にモノフィラメントの集合体(未解繊ガラス繊維束)が残存する確率を非常に低くすることが可能なガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂とガラス繊維とを混練するスクリューを、特定の形状を有するスクリューエレメントとし、特定の条件でガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを製造する。特定の形状を有するスクリューエレメントとは、円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂にガラス繊維を混合混練し、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを製造する方法としては、先ず、押出機に熱可塑性樹脂を供給し、該熱可塑性樹脂を溶融させる。次いで、溶融させた熱可塑性樹脂にガラス繊維を供給し、押出機内で熱可塑性樹脂とガラス繊維とを混合混練する。最後に、混合物を冷却、造粒する方法が一般的である。押出機は、一般的に、単軸押出機と同方向完全噛み合い型二軸押出機(以下、二軸押出機という場合がある)が使用される。単軸押出機と比較して、二軸押出機は、生産性と運転の自由度がより高いので、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造には、二軸押出機がより好ましく用いられる。
【0003】
上記ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造において使用されるガラス繊維は、直径が6μm〜20μmのモノフィラメントを300本〜3000本くらいにまとめてロービングに巻き取ったものか、ロービングを長さ1〜4mmにカットしたもの(以下、チョップドストランドという場合がある)である。チョップドガラスの方が容易に使用できるため、工業的にガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを製造する場合においては、二軸押出機に熱可塑性樹脂を供給し、熱可塑性樹脂の溶融後、二軸押出機の途中からチョップドガラスを供給し、溶融状態の熱可塑性樹脂とガラス繊維とを混合混練し、混合物を押し出して、冷却固化する方法が最も多く行われている。
【0004】
上記の二軸押出機を用いて行うガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの生産性は、二軸押出機の可塑化と混合混練の能力によって決定される。二軸押出機の可塑化能力は、スクリューデザイン、スクリューが発生するトルク、スクリューの溝深さ(スクリューの外径と谷径の差)、スクリューの回転数等に依存する。特許文献1には、2本のスクリューの芯間距離の3乗で割った値を、トルク密度と定義し可塑化能力が高く、生産性に優れた二軸押出機が開示されている。
【0005】
また、二軸押出機の混合混練能力は、スクリューデザインにも依存する。二軸押出機の可塑化能力の向上に伴い、滞留時間が減少した。このため、短時間で効率のよい混合混練能力を持ったスクリューデザインの開発が求められている。このように二軸押出機の可塑化能力、混練能力を高める技術に関する検討が行なわれている。
【0006】
ところで、ガラス繊維としては、上述の通り、モノフィラメントが束になったものを使用する。ガラス繊維をモノフィラメントの束にせずに二軸押出機に供給する方法では、モノフィラメントが綿状になり、流動性がなくなり、取り扱いが難しいためである。上記チョップドストランドは、二軸押出機内で、解繊されモノフィラメントになるまで混合混練される。同時に、モノフィラメントの長さが、平均で200μm〜800μmになるまでチョップドストランドはスクリュー等によって破断される。
【0007】
二軸押出機内での混合混練が不十分であると、モノフィラメントに解繊しないで、モノフィラメントの集合体(未解繊ガラス繊維束)の状態である、チョップドストランドの一部、もしくは全部が樹脂組成物ペレット中に残存する。ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットに、チョップドストランドの一部、もしくは全部が残存した場合、射出成形において、ゲートに上記チョップドストランドの一部又は全部が詰まり、射出成形ができなくなるか、射出成形ができたとしても、成形品に上記チョップドストランドの一部又は全部が存在し、外観不良又は機能低下の原因となる。
【0008】
特に近年、エレクトロニクス関連の技術の進歩に伴い、部品として使用されるガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、薄肉で、複雑な形状に成形することが求められている。このような精密成形を行う成形機のゲートノズルは、1mm以下になる場合も多い。精密成形品においては、未解繊ガラス繊維束の存在が、非常に重大な欠陥になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表平11−512666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の二軸押出機を使用すれば、生産性が向上するとされているが、特に上記のような精密成形品においては、高い吐出量の条件で滞留時間が短くなり、チョップドストランドを完全にモノフィラメントに解繊し、かつ、繊維長を短くすることが一層難しくなっている。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの生産性を従来よりも高めるとともに、製造されたペレット中にモノフィラメントの集合体(未解繊ガラス繊維束)が残存する確率を非常に低くすることが可能なガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。
その結果、数値解析によって得られる物理量である、平均せん断応力履歴、平均せん断歪履歴、比エネルギー、最短粒子流出時間等のいずれも、未解繊ガラス繊維束を含むペレット数N(単位重量あたりの未解繊ガラス繊維束を含むペレットの個数)と明確な相関がないこと、を見出すとともに、粒子追跡法によって導出される、各ガラス繊維束に加わるせん断応力の時間積分値の中で最も小さい値である最小せん断応力履歴値Tminが、未解繊ガラス繊維束を含むペレット数Nと相関があることを見出した。
また、二軸押出機内で発生するせん断応力を解析し、吐出量Qとスクリュー回転数Nsとの比(Q/Ns)が一定の場合には、最小せん断応力履歴値Tminを制御することで、未解繊ガラス繊維を含む単位量あたりのペレット数Nを制御できることを見出した。
さらに、上記比(Q/Ns)が一定でない場合であっても、未解繊ガラス繊維を含む単位量あたりのペレット数Nは上記Tmin及び(Q/Ns)を用いて特定の数式で表せることを見出した。
さらに、熱可塑性樹脂とガラス繊維とを混練するスクリューが、特定の形状を有するスクリューエレメントを有し、特定の条件でガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを製造することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0013】
(1) 互いに回転して噛み合うスクリューを備えた二軸の押出機を用いて、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを製造する方法であって、熱可塑性樹脂を前記押出機に供給して加熱、混練し可塑化する可塑化工程と、前記可塑化工程後に、一束以上のガラス繊維束を前記押出機に供給して、前記ガラス繊維束を解繊しながら、解繊されたガラス繊維と可塑化した前記熱可塑性樹脂とをスクリューで混練する混練工程と、前記混練工程後に、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物を押出す押出工程と、押出された前記ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物をペレット化するペレット化工程と、を備え、前記混練工程において、前記スクリューは、円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントを一以上有し、前記一条の逆送りスクリューエレメントにおけるスクリューのトルクを、前記噛み合うスクリュー間の芯間距離の3乗で除した値であるトルク密度が、11(Nm/cm)以上であり、前記混練工程におけるスクリュー回転数をNsとし、前記押出工程におけるガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物の吐出量をQとしたときに、Q/Nsを、前記噛み合うスクリュー間の芯間距離の3乗で除した値であるQ/Ns密度が、0.013(kg/h/rpm/cm)であるガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
【0014】
(2) 前記一条の逆送りスクリューエレメントは、下記不等式(I)から(III)を満たす(1)に記載のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。

0.05D≦r≦0.15D (I)
7≦n≦20 (II)
Le≦0.3D (III)

(上記不等式(I)中のrは、上記円弧状を形成する円の半径又は上記円弧状を形成する楕円の長径/2、あるいは短径/2であり、上記不等式(II)中のnは、上記一条の逆送りスクリューエレメントの1リード長あたりの切り欠き数であり、上記不等式(III)中のLeは、上記一条の逆送りスクリューエレメントのリード長であり、上記不等式(I)、(II)中のDは、スクリュー口径である。)
【0015】
(3) 前記熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂から構成される(1)又は(2)に記載のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
【0016】
(4) 前記熱可塑性樹脂は、液晶性樹脂から構成される(1)又は(2)に記載のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの生産性を従来よりも高めるとともに、製造されたペレット中にモノフィラメントの集合体(未解繊ガラス繊維束)が残存する確率を非常に低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、押出機のスクリュー構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する逆送り一条のスクリューエレメントを模式的に示す図である。
【図3】図3は、実施例で使用した押出機のスクリュー構成を示す模式図である。
【図4】図4は、実施例で使用した具体的なスクリューパターンを示す図である。
【図5】図5は、実施例で使用した具体的なスクリュー形状を示す図である。
【図6】図6は、実施例で使用した押出機のQ/Ns=1.0の条件で、最小剪断応力履歴値(Pa・sec)とガラス繊維束の一部又は全部が未解繊のペレット数(個/ペレット10kg)との関係を示す図である。
【図7】図7は、実施例で使用した押出機のQ/Ns=1.0、Q/Ns=0.8、Q/Ns=0.5の条件での、最小剪断応力履歴値(Pa・sec)とガラス繊維束の一部又は全部が未解繊のペレット数(個/ペレット10kg)との関係(相関線)を示す図である。
【図8】図8は、実施例で使用した押出機のQ/Nsに依存しない最小剪断応力履歴値(Pa・sec)とガラス繊維束の一部又は全部が未解繊のペレット数(個/ペレット10kg)との関係(相関線)を示す図である。
【図9】図9は、スクリューエレメントの種類毎の剪断応力履歴値の分布を示す図である。
【図10】図10は、吐出量と未解繊ガラス繊維を含むペレット数との関係を示す図である。
【図11】図11は、吐出量と吐出樹脂温度(ダイから吐出される樹脂組成物の温度)との関係を示す図である。
【図12】図12は、製造されたペレット中に未解繊ガラス繊維束が残存しない運転領域(最大吐出量)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0020】
<ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法>
本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法は、以下の工程を備える。
熱可塑性樹脂を押出機に供給して加熱、混練し可塑化する可塑化工程。
上記可塑化工程後に、一束以上のガラス繊維束を上記押出機に供給して、上記ガラス繊維束を解繊しながら、解繊されたガラス繊維と可塑化した前記熱可塑性樹脂とをスクリューで混練する混練工程。
上記混練工程後に、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物を押出す押出工程。
押出された上記ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物をペレット化するペレット化工程。
【0021】
本発明の製造方法は、混練工程において、特定のスクリューエレメントを備えるスクリューを用いる。
【0022】
以下、図1に記載の二軸押出機を用いる場合を例に、本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法を説明する。図1には、シリンダー1と、シリンダーに配設されたスクリュー2と、シリンダー1の下流側端部に設けられたダイ3と、を備える二軸押出機が示されている。そして、図1には、上記スクリュー2のスクリュー構成も示されている。具体的に、スクリュー2は、供給部20、可塑化部21、搬送部22、混練部23を、上流側からこの順で有する。供給部20及び可塑化部21で可塑化工程が行われる。搬送部22及び混練部23で混練工程が行われる。混練部23以降で押出工程が行われる。そして、押出機のダイ3からガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物が押し出されてからペレット化工程が行われる。
【0023】
また、スクリュー2が配設されたシリンダー1は、供給部20に熱可塑性樹脂等の原料を供給するためのホッパ10と、搬送部22にガラス繊維束等の副原料を供給するためのフィード口11と、真空ポンプ等の減圧手段を有し所定の真空度で真空脱気を行なうための真空ベント12とを有する。
【0024】
[可塑化工程]
可塑化工程では、ホッパ10から供給された熱可塑性樹脂を移送・溶融して、均質な溶融体を作る。先ず、熱可塑性樹脂について説明し、次いで、ホッパから供給された熱可塑性樹脂が均質な溶融体になるまでの可塑化工程の詳細を説明する。
【0025】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリアセタール、液晶性樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン66等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも特に、粘性の低いものほど、上記ガラス繊維束の未解繊の問題は生じやすい。粘性が低いと溶融状態ではせん断応力が発生し難くなり、モノフィラメントを収束したガラス繊維束は、解繊し難くなるからである。粘性の低い樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、液晶性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン66等が挙げられる。
【0026】
一般的に、原料となる上記熱可塑性樹は、ペレット状に成形したものが使用される。なお、その他の成分を含む熱可塑性樹脂組成物をペレット状にしたものを原料として用いてもよい。
【0027】
(可塑化工程の詳細)
可塑化工程は、スクリュー2の供給部20と可塑化部21で行われる。供給部20で使用するスクリューエレメントとしては、例えばフライトからなる搬送用のエレメント等が挙げられる。可塑化部21に使用するスクリューエレメントとしては、一般的には、逆フライト、シールリング、順ニーディングディスク、逆ニーディングディスク等のスクリューエレメントの組み合わせ等が挙げられる。
【0028】
供給部20では樹脂ペレットを移送する。供給部20は、樹脂ペレットをホッパ10側からダイ3方向側に移送する働きをする。溶融の準備段階として外部ヒータによる予熱が行われる場合が一般的である。また、樹脂ペレットは、回転するスクリュー2とシリンダー1に挟まれるため、樹脂ペレットには摩擦力が加わり、摩擦熱が発生する。上記予熱や摩擦熱によって、樹脂ペレットが溶融し始める場合もある。場合によっては、供給部20では、樹脂ペレットの移送がスムーズに進むように、スクリュー2の溝深さの調整、予熱の温度調製を従来公知の方法で行う必要がある。
【0029】
可塑化部21では、供給部20から移送された樹脂ペレットに圧力を加えて樹脂ペレットを溶融する。可塑化部21では、樹脂ペレットにせん断応力が加わる結果、樹脂ペレットは溶融しながら、さらに前方(ホッパ10からダイ3の方向)へと移送される。
【0030】
[混練工程]
混練工程では、可塑化工程後に、一束以上のガラス繊維束を押出機に供給して、上記ガラス繊維束を解繊しながら、解繊されたガラス繊維と可塑化工程で溶融した熱可塑性樹脂とを混練する。混練工程は、スクリュー2の搬送部22と混練部23とで行われる。搬送部22で使用するスクリューエレメントとしては、例えば、順フライトからなる搬送用のエレメントが挙げられる。また、混練部23で使用するスクリューエレメントとしては、逆フライト、シールリング、順ニーディングディスク、逆ニーディングディスク等のスクリューエレメントの組み合わせが一般的である。
【0031】
本発明の製造方法においては、スクリュー2の混練部22の少なくとも一部に、外周に円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントを備える。混練部22の少なくとも一部に上記のスクリューエレメントを備えることで、製造されるペレット中に未解繊のガラス繊維束がほとんど残存しなくなる。
【0032】
先ず、ガラス繊維束について簡単に説明する。ガラス繊維束は、300本から3000本のモノフィラメントが束になったチョップドストランドである。特に、1100本か2200本が束になったチョップドストランドが好ましく使用されている。また、モノフィラメントの径は、特に限定されないが、6μmから20μmの範囲のものが好ましく、6μm、10μm、13μmのものが、市場では多く流通している。なお、ロービングのままモノフィラメントの束を連続的に二軸押出機に供給することもできる。しかし、ロービングをカットしたチョップドストランドは、輸送、二軸押出機への供給において、取り扱いが容易である。
【0033】
搬送部22では、フィード口11から投入されたガラス繊維束と溶融樹脂とを混練部23まで搬送する。この搬送部22においては、スクリューの溝内部にガラス繊維束や溶融樹脂が完全に充満せず、ガラス繊維束にせん断力がかからない領域である。
【0034】
混練部23では、ガラス繊維束及び溶融樹脂にせん断応力がかかる。せん断応力がかかることでガラス繊維束の解繊及びモノフィラメントと溶融樹脂との混練が進む。
【0035】
[押出工程、ペレット化工程]
ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物がどのように押出され、どのようにペレット化されるかは特に限定されない。例えば、ダイ3から棒状に押出されたガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物を切断してペレット化することができる。なお、切断方法は特に限定されず、従来公知の方法を利用することができる。なお、押出工程における吐出量が吐出量Qにあたり、スクリューの回転数が回転数Nsにあたる。
【0036】
<スクリューエレメント>
従来のスクリューの混練部としては、逆フライト、シールリング、順ニーディングディスク、逆ニーディングディスク等のスクリューエレメントの組み合わせが一般的である。しかし、Q/Nsが大きい条件で、高吐出の場合、一部のガラス繊維束は解繊されず、未解繊のまま残存することになる。
【0037】
本発明は、押出機内で各ガラス繊維束が受けるせん断応力履歴値を指標として、決められた製造方法である。具体的には、各ガラス繊維束が二軸押出機内で受けるせん断応力履歴値の中の最小値である最小せん断応力履歴値Tminを指標とする。最小せん断応力履歴値Tminを指標とすることで、未解繊ガラス繊維束が残存する製造方法と、未解繊ガラス繊維束がほとんど残存しない製造方法とを区別することができる。本発明は、未解繊ガラス繊維束が残存したペレットをほとんど生じさせないガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法である。
【0038】
先ず、最小せん断応力履歴値Tminを指標にすることについて説明する。ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物の吐出量Q、混練部23におけるスクリューエレメントのスクリュー口径D、スクリュー回転数Ns、最小せん断応力履歴値Tmin、単位量あたりの未解繊ペレット数N(未解繊のガラス繊維束を含むペレットの数)に基づいて、下記数式(IV)を導出する。下記数式(IV)はQ/Nsの条件が変化しても、一つの式で、未解繊ガラス繊維束を含むペレットの量を検討できる点においても有用である。また、混練部が有するスクリューエレメントの種類が異なっても一つの数式(IV)で、未解繊ガラス繊維束を含むペレットの量を検討できる。ただし二軸押出機のサイズが変更になると、数式(IV)を導出しなおす必要がある。同じ吐出量Q及び同じスクリュー回転数Nsの条件であっても、小型の二軸押出機と大型の二軸押出機とでは、シリンダーからの伝熱量が異なり、溶融樹脂にかかる熱エネルギーが異なるからである。
【数1】

【0039】
使用する二軸押出機を決めると、一義的にスクリュー口径Dが決まる。このスクリュー口径D、任意に決定したスクリューの混練部23のリード長Le、任意に決定した成形条件である吐出量Q、スクリュー回転数Nsに基づいて、最小せん断応力履歴値Tminを導出する。
【0040】
最小せん断応力履歴値Tminは、従来公知の二軸押出機内3次元流動解析ソフトウェアを用いて導出することができる。例えば、実施例に記載するような、粒子追跡解析で導出できる。最小せん断応力履歴値Tminはせん断応力の時間積分を行うことで得られる時間積分値であるが、積分区間は、溶融樹脂及びガラス繊維束にせん断応力がかかる区間であり、図1に示す押出機の場合には、混練部23の区間である。
【0041】
最小せん断応力履歴値Tminの導出方法は、特に限定されない。市販のソフトウェアを用いて導出する方法、実験により導出する方法等が挙げられる。
【0042】
未解繊ペレット数Nについては、実験的に導出してもよいし、解析手法等を用いて導出してもよい。
【0043】
そして、これらの導出結果に基づき、横軸を最小せん断応力履歴値Tmin、縦軸を未解繊ペレット数Nとして、上記数式(IV)を表すグラフを作成することで、数式(IV)を導出する。
【0044】
このグラフから未解繊ペレット数Nを所望の値以下にするために必要な最小せん断応力履歴値Tminを導出することができる。
【0045】
続いて、二軸押出機のサイズを変更する場合について説明する。この場合、上記の関係式を導出しなおす必要があるが、所定の二軸押出機の場合の上記数式(IV)を既に導出している場合には、以下の方法で容易に、異なるサイズの二軸押出機を使用する場合に適用できる数式を導出することができる。
【0046】
スクリューエレメントのスクリュー口径Dが、d1からd2に変更になる場合、小型の押出機での吐出量Qと大型の押出機での吐出量Qとの間には下記数式(V)が成立し、小型の押出機でのスクリュー回転数Nsと大型の押出機でのスクリュー回転数Nsとの間には下記数式(VI)が成立する。
【数2】

【数3】

【0047】
溶融樹脂にかかる比エネルギーが同等になるように上記数式(V)、(VI)のδ及びεを決定する。δ及びεの決定方法としては、理論的に決定する方法、実験的に決定する方法のいずれでもよい。理論的に決定する方法としては、一般的には、断熱状態と仮定して、目的関数を比エネルギー、あるいは総せん断量、滞留時間等が、小型機と大型機で一致するように、パラメーターδ及びεが導出される。小型機と大型機の伝熱量の差を仮定して、目的関数としての比エネルギーが、小型機と大型機で一致するように、パラメーターδ及びεを導出することもできる。実験的に決定する方法としては、目的関数を、比エネルギーとするか、もしくは、物性を示すパラメーターを採用し、目的関数が、小型機と大型機とで一致するように、統計的にパラメーターδ及びεを算出するような方法が挙げられる。
【0048】
小型の押出機と大型の押出機との間に成立する上記数式(V)、(VI)を導出することで、大型の押出機に成立する単位量あたりの未解繊ペレット数Nと最小せん断応力履歴値Tminとの間の下記数式(VII)を容易に導出することができる。
【数4】

【0049】
このように、最小せん断応力履歴値Tminの値が大きいほど、未解繊ペレット数Nの値が少なくなる傾向にある。したがって、最小せん断応力履歴値Tminが大きくなるような条件で、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを製造する必要がある。
【0050】
外周に切り欠きが形成されたフライト部を有する一条のスクリューエレメントは、最小せん断応力履歴値Tminが大きくなる傾向にあるため好ましい。外周に切り欠きが形成されたフライト部を有する一条のスクリューエレメント自体は公知であり、例えば、特許文献(DE4134026A1)に記載されている。
【0051】
特に、以下に説明する一条の逆送りスクリューエレメントを使用することで、未解繊ペレット数を小さい値に抑えることができる。特に、上記切り欠きを有するスクリューエレメントの中でも、円弧状の切り欠きを有し逆送りのものを使用することが、上記最小剪断応力履歴値Tminの値を、逆フライト、シールリング、順ニーディングディスク、逆ニーディングディスク等のスクリューエレメントの組み合わせよりは大きくでき、他のスクリューエレメントよりも短時間で、ガラス繊維束を解繊できるという理由で好ましい。
【0052】
混練部23で使用される、上記一条の逆送りスクリューエレメントについて説明する。この一条の逆送りスクリューエレメントは、外周に、下記不等式(I)から(III)を満たす円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有することが好ましい。

0.05D≦r≦0.15D (I)
7≦n≦20 (II)
Le≦0.3D (III)

(上記不等式(I)中のrは、上記円弧状を形成する円の半径又は上記円弧状を形成する楕円の長径/2、あるいは短径/2であり、上記不等式(II)中のnは、上記一条の逆送りスクリューエレメントの1リード長あたりの切り欠き数であり、上記不等式(III)中のLeは、上記一条の逆送りスクリューエレメントのリード長であり、上記不等式(I)、(II)中のDは、スクリュー口径である。)
【0053】
上記一条の逆送りスクリューエレメントについて、図2を用いて説明する。図2には、上記一条の逆送りスクリューエレメントの模式図が示されており、(a)は軸方向の断面図であり、(b)は側面図である。
【0054】
図2に示す通り、一条の逆送りスクリューエレメント4は、フライト部40と、フライト部40の外周に形成される円弧状の切り欠き41とを有する。切り欠き41は、フライト部の外周からスクリューエレメントの軸に向かう方向に形成される。図2では、楕円が円弧状を形成する場合を示したが、上記円弧状を形成する惰円又は円の中心はフライト部40の外周に存在する(図2(a)では上記楕円の中心をOで示した。)。上記切り欠きが、円弧状であり、且つこの円弧状が上記の円又は楕円で形成されることにより、製作上の利便さと、切り欠きによるフライトの強度低下を最小にするという効果がある。なお、上記円弧状の一部が、上記の円又は楕円で形成されていればよい。また、本発明は切り欠き全体が上記の一つの円又は楕円で形成されるものに限定されない。しかし、円弧状の略全体が一つの円又は楕円で形成されるものが好ましい。
【0055】
また、上記円弧状は円で形成されるものが最も好ましい。また、上記円弧状が楕円で形成される場合には、切り欠きが延びる方向と楕円の長径が延びる方向とは、略一致することが好ましい。
【0056】
また、上記半径rの大きさの範囲は、0.05D≦r≦0.15Dであることが好ましい。rが上記範囲内であれば、最小せん断応力履歴値Tminが大きくなる傾向にあるため好ましい。より好ましいrの大きさの範囲は、0.06D≦r≦0.12Dである。
【0057】
また、切り欠き数nが多いほど、最小せん断応力履歴値Tminが大きくなる傾向にある。しかし、切り欠き数nが多くなり過ぎると、スクリューエレメントの機械的強度が低くなるため、切り欠き数nは不等式(II)の範囲に調整することが好ましい。特に好ましい切り欠き数nの範囲は、10≦n≦15であり、最も好ましい切り欠き数は11である。
【0058】
上記スクリューエレメントのリード長Leは、上記スクリューエレメントのスクリュー口径Dの0.3倍以下(Leが0.3D以下)である。上記リード長Leが0.3D以下であれば、吐出量Qが非常に高い条件であっても、製造されるペレットに未解繊のガラス繊維が含まれにくい傾向にある。なお、吐出量Qが非常に高いとは、例えば、上記スクリューエレメントを軸方向の長さが2Dになるように設け、スクリュー口径Dが47mmの2軸押出機で、およそ300kg/h以上、スクリューの口径Dが69mmの2軸押出機で、800kg/h以上であることを指す。このような高吐出領域でも、上述の未解繊ガラス繊維による問題を抑えることができる。
【0059】
上記の通り、本発明に用いる上記スクリューエレメントのリード長Leの上限は、0.3D以下であることが好ましいが、下限は0.1D以上であることが好ましい。この下限値以上に設定することは、フライト部の厚みを維持して強度を保つという理由で好ましい。
【0060】
以上、円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する一条のスクリューエレメントの機能と形状を説明したが、本発明の特徴の一つは、この切り欠きが形成されたフライト部を有する一条のスクリューエレメントを使用することで、ガラス強化樹脂組成物の生産性を飛躍的に向上させることにある。
【0061】
通常のニーディングディスクを使用しても、従来の低い生産性では、ガラス未解繊を発生させずにガラス強化樹脂組成物を生産できる場合もあるが、生産性を高めていくと、前述のように、せん断応力履歴値が小さくなる部分において、ガラス未解繊を含むペレットが発生する。
【0062】
<ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの生産性>
スクリューで出力されるトルクを、隣り合うスクリュー間の芯間距離の3乗で割った値を、トルク密度と定義することで、押出機のサイズにかかわらず、トルク密度で、押出機の性能を規定することができる。
【0063】
本発明では、スクリューのトルク密度が、11(Nm/cm)以上になるように設定する。トルク密度が11(Nm/cm)以上になることで、押出機内の材料の充満率が高まり、エネルギー密度が小さくなり、回転数を、従来より高くしても温度上昇が低いという効果がある。また、好ましいトルク密度の範囲は13(Nm/cm)以上18(Nm/cm)以下である。
【0064】
同様に、押出機による押出条件も、そのサイズにかかわらず、共通の指標で規定することが有効である。ペレット中に未解繊のガラス繊維が含まれるか否かに影響する、重要な運転条件はQ/Nsである。上記の通り、Qは吐出量であり、Nsはスクリュー回転数である。Q/Nsは、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粘度、比エネルギーに依存する。特定のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成では、押出のトルク密度と、噛合い率によって、Q/Nsの上限が決まる。トルク密度が高いと、充満率を上げることができ、大きなQ/Nsの運転領域が採用可能となる。Q/Nsが大きいと、回転数増加による樹脂の温度の上昇が緩慢になり、劣化が開始される限界樹脂温度に達するまで、高い回転数が実現でき、結果、高い吐出量を得ることができる。
【0065】
当然ながら、Q/Nsは、押出機のスクリュー口径に依存する。Q/Nsは、噛合い比率が一定の二軸押出機では、以下の関係でスケールアップされる。スクリューエレメントのスクリュー口径Dが、d2からD1に変更になる場合、小型の押出機での吐出量qと大型の押出機での吐出量Q、小型の押出機でのスクリュー回転数nsと大型の押出機でのスクリュー回転数Nsとの間には下記数式(VIII)が成立する。

/Ns=(D/dα×(q/ns) (VIII)

【0066】
上記の式(VIII)におけるαは、噛合い比率が一定の二軸押出機では、通常、α=3が採用される。Q/Nsは、充満率の指標であるが、噛合い比率が一定であれば、有効体積が隣り合うスクリュー間の芯間距離の3乗に比例するので、充満率も隣り合うスクリュー間の芯間距離の3乗に比例する。ここで有効体積とは、二軸押出機内で材料が充満することのできる空間の体積を指す。
【0067】
Q/Nsは前述のごとく押出機のサイズに依存するが、隣り合うスクリュー間の芯間距離の3乗を求めて、その求めた値でQ/Nsを割った値を、Q/Ns密度と定義すると、押出機のサイズが異なってもQ/Ns密度は、一定の値になる。
【0068】
例えば、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物では、スクリューの外径と谷径の比率1.54で、スクリュー口径がΦ40mm、口径Φ70mmの押出機で、高い生産性を実現するQ/Nsとして、口径Φ40mmでQ/Ns≧0.47、口径Φ70mmでQ/Ns≧2.5が採用されるとして、これを芯間距離の3乗(Φ40mmは35.9cm、Φ70mmは192.4cm)で割ると0.013[kg/h/rpm/cm]と共通の値となる。
【0069】
本発明は、Q/Ns密度が0.013[kg/h/rpm/cm]以上の運転条件で、混練部に外周に切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りフライトのエレメントを使用することで、ガラス未解繊を含まないガラス強化樹脂組成物を効率よく高い生産性で製造する方法である。好ましいQ/Ns密度は、0.015[kg/h/rpm/cm]以上0.018[kg/h/rpm/cm]以下である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
<評価1>
評価1においては以下の材料を用いた。
熱可塑性樹脂:ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(メルトインデックス(MI)=70g/10分)
カーボンマスターバッチ
ガラス繊維束:直径が13μmのモノフィラメントを2200本束ねた長さ3mmのチョップドストランド
また、組成は以下の通りである。
PBTが67.5質量%、カーボンマスターバッチが2.5質量%、ガラス繊維束が30質量%
押出条件は以下の通りである。
押出機:同方向完全噛み合い型二軸押出機TEX44αII(日本製鋼所製)スクリューエレメントのスクリュー口径Dが0.047m
押出条件;
【表1】

バレル温度;220℃
スクリューデザイン;
(1)概略
押出機のスクリューは図1のように表すことができ、図3に示すスクリューパターンの概略は以下の通りである。
C1:ホッパ
C2〜C5:供給部
C5〜C6:可塑化部
C6〜C8:輸送部
C9:フィード口
C10:混練部A
C11:混練部B(混練部b1、混練部b2からなる)
(2)評価1で使用した具体的なスクリューパターンは、図4に示す通りである。なお、ニーディングディスクで、各ディスクが送り方向に45°位相がずれているものをFKとし、逆送りの1条のフライトで切り欠きのあるエレメントをBMSとする。また、1.0D等は、混練部b1の長さを表す。BMSの外周上の切欠きの短径/2は3mm、長径/2(切り欠きが延びる方向)は、4.15mmである。
図4(a)に示すスクリューパターンをFK1.0D(L/D=1)、
図4(b)に示すスクリューパターンをFK2.0D(L/D=2)、
図4(c)に示すスクリューパターンをBMS1.0D(L/D=1)、
図4(d)に示すスクリューパターンをBMS2.0D(L/D=2)、
図4(e)に示すスクリューパターンをBMS2.5D(L/D=2.5)、
とする。L/Dは、混練部b1の長さ(L)とスクリューエレメントのスクリュー口径(D)との比(L/D)である。なお、実施形態の説明における混練部23の長さLは、混練部b1の長さにあたる。
(3)スクリューの形状
図4に示すスクリューパターンはそれぞれC11の混練部Bのみ異なる。C11の混練部Bのスクリューの形状を図5に示す。図4(a)のパターンのスクリュー形状を図5(a)に示し、図4(b)のパターンのスクリュー形状を図5(b)に示し、図4(c)のパターンのスクリュー形状を図5(c)に示し、図4(d)のパターンのスクリュー形状を図5(d)に示し、図4(e)のパターンのスクリュー形状を図5(e)に示した。
図5(a)に示すスクリューは混練部b1が長さ1.0Dの順送りニーディングディスク、混練部b2が長さ0.5Dの逆送りフライト
図5(b)に示すスクリューは混練部b1が長さ2.0Dの順送りニーディングディスク、混練部b2が長さ0.5Dの逆送りフライト
図5(c)に示すスクリューは混練部b1が長さ1.0Dの切り欠き含有の1条の逆送りニーディングディスク、混練部b2が長さ0.5Dの逆送りフライト
図5(d)に示すスクリューは混練部b1が長さ2.0Dの切り欠き含有の1条の逆送りニーディングディスク、混練部b2が長さ0.5Dの逆送りフライト
図5(e)に示すスクリューは混練部b1が長さ2.5Dの切り欠き含有の1条の逆送りニーディングディスク、混練部b2が長さ0.5Dの逆送りフライト
【0072】
Q/Ns=1.0の条件で、図6に示すような最小せん断応力履歴値(Pa・sec)とガラス繊維束の一部又は全部が未解繊のペレット数(個/ペレット10kg)との関係を求めた。具体的には以下のような方法で導出した。
【0073】
先ず、上記関係の導出に必要な、L/D、吐出量Q、スクリュー回転数Ns、未解繊ペレット数N、最小せん断応力履歴値Tminの組を複数決定する。L/D、吐出量Q、スクリュー回転数Nsを任意に決めて、以下の方法で、最小せん断応力履歴値Tminを導出し、実験により未解繊ペレット数Nを求めた。具体的には以下のようにして求めた。
【0074】
先ず、シミュレーションによる最小せん断応力履歴値(Pa・sec)の導出について説明する。
二軸押出機内3次元流動解析ソフト(アールフロー社製ScrewFlow−Multi)を用いて同方向完全噛み合い型二軸押出機内の樹脂挙動を解析した。
解析の際に用いた支配方程式は、連続式(A)、ナビエ−ストークス式(B)、温度バランス式(C)である。
【数5】

【数6】

【数7】

【0075】
解析仮定として、非圧縮性流体で、完全溶融・完全充満とした。また、粘度近似式はアレニウス近似及びWLF近似を使用した。解析手法は、有限体積法、SOR法、SIMPLEアルゴリズムであり、計算としては、まず定常解析を行い、これを初期値として、非定常解析を行った。非定常解析の後、トレーサー粒子を配置(約5000個)して、トレーサー粒子にかかる局所情報を収集した(粒子追跡解析)。せん断応力の時間積分値の最小値Tminは、トレーサー粒子にかかる局所情報のせん断応力を時間積分し、全粒子の最小値を求めたものである。
【0076】
次いで、実験による未解繊ペレット数の導出について説明する。
PBTを二軸押出機に供給した後、上記押出条件で、ガラスのチョップドストランドを供給し、混練混合した後、ダイから樹脂組成物を押出し、溶融した樹脂組成をダイから引取りストランドにして、水槽でストランドを冷却固化して、カッターで、ストランドを3mmの長さに切断してペレットを作成した。ペレットを10kg採取し、黒色のペレットの中のガラス未解繊(銀色の凝集塊)を目視にて探し、ガラス未解繊を含んだペレットの個数を数えた。
【0077】
未解繊ペレット数と最小せん断応力履歴値と間の関係を表す近似曲線(相関線)を、最小二乗方法で求めた。Q/Ns=1.0で、混練部Bに前述のように図4(a)から(e)の異なるエレメントを入れ、かつ、異なるQで実験とシミュレーションを行った結果、以下のようなひとつの近似曲線が得られた。近似曲線については図6に示した。
【数8】

【0078】
上記数式(III)のαが11.5042、βが−2.200となった。
【0079】
Q/Ns=0.8、Q/Ns=0.5の条件でも、上記と同様にして、図7に示すように、最小せん断応力履歴値(Pa・sec)とガラス繊維束の一部又は全部が未解繊のペレット数(個/ペレット10kg)との関係(相関線)を求めた。なお、図7にはQ/Ns=1.0の場合の相関線についても示した。
【0080】
図7に示すように、Q/Ns毎に相関線が異なる。そこで、上記数式(IV)の形式の関数に最小二乗法で近似した。近似曲線を図8に示した。図8に示すように、Q/Nsに依存しない一つの相関線で近似できた。なお、γは3.0であった。
【0081】
図8に示すように、所定の最小せん断応力履歴値以上であれば、単位量あたりの未解繊ペレット数が所定の値未満になることが確認できた。
【0082】
以上の通り、数式(IV)はQ/Nsの条件が変化しても、一つの式で、ペレット中に含まれる未解繊ガラス繊維束の量を検討でき、また、混練部が有するスクリューエレメントの種類が異なっても一つの数式(IV)で、ペレット中に含まれる未解繊ガラス繊維束の量を検討できることが確認された。
【0083】
<評価2>
PBT樹脂70質量%、ガラス繊維30質量%(ガラスモノフィラメント径13μm)の組成で、二軸押出機(スクリュー口径47mm)の混練部に、一般に使用されるニーディングディスク(図5(a)及び(b)記号FK)と、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメント(図5(c)(d)(e)記号BMS)を使用した場合の、それぞれのシミュレーションを、評価1に記載の方法と同様の方法で行い、トレーサー粒子にかかる局所情報のせん断応力を時間積分したせん断応力履歴値の分布を図9に示した。切り欠きの中心は外周部として、逆送りのフライト(図中記号BMS)のリード長LeをL/D=0.25とし、切り欠きの円弧状を形成する円の半径はr=3mmとしている。
【0084】
ニーディングディスク(FK)では、せん断応力履歴値の小さいところから、広い範囲に分布が広がっている。小さいせん断応力履歴値を有することは、ガラス未解繊が残存する確率が高いことを意味している。一方、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントでは、せん断応力履歴値の分布は狭いため、最小のせん断応力履歴値の値が大きい。このため、上記切り欠きを有するスクリューエレメントを使用すれば、ペレット中に未解繊ガラス繊維束が残存し難くなる。
【0085】
<評価3>
次に、この最小せん断応力履歴値を、指標として、切り欠きエレメントに求められる形状を、流動解析により説明する。図1に示す二軸押出機(スクリュー口径47mm)において、PBT樹脂70質量%、ガラス繊維30質量%の組成で、円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する一条のスクリューエレメントを混練部23に使用した場合のシミュレーションを行った。具体的には、評価1と同様の方法で求めた最小せん断応力履歴値Tminと、切り欠き個数(溝数)nの関係を求めた。円弧状の切り欠きの中心は外周部として、円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメント(BMS)については、リード長LeがL/D=0.2、0.25、0.3の3条件で評価を行なった。また、円弧状は楕円から形成され、この楕円の短径/2は3mm、長径/2(切り欠きが延びる方向)は4.1mmとした。評価3の結果を表2に示した。
【表2】

【0086】
表2によると、最小せん断応力履歴値Tminは、1リード長Leあたりの切り欠きの数nが、13〜15で高い値を示している。切り欠きの数nが多い方が、最小せん断応力履歴値Tminが高い。しかしながら、切り欠き数nが増加すると、スクリューエレメントの機械的強度が低下するので、13から15が好ましいといえる。
【0087】
<評価4>
図1に示す二軸押出機(口径47mm)において、PBT樹脂70質量%、ガラス繊維30質量%の組成で、円弧状切り欠きが形成されたフライト部を有する一条のスクリューエレメントを混練部23に使用した場合のシミュレーションを行なった。具体的には、評価1に記載の方法と同様の方法で求めた最小せん断応力履歴値Tminと、切り欠きの深さ方向の長径との関係を示している。切欠きの中心はフライト部の外周上で、切り欠きの形状は楕円で、外周上の切欠きの短径/2は3mm、長径/2(切り欠きが延びる方向)が3mm、4mm、4.125mm、4.5mm、5mmの場合でシミュレーションを行なった。また、切り欠き数nを11、上記切り欠きを有するスクリューエレメントのリード長LeはL/D=0.25とした。評価4の結果を表3に示した。
【表3】

【0088】
表3によると、最小せん断応力履歴値Tminは、切り欠きの溝深さの長径/2が4〜5mmで極大値を有する。口径Dに対して、外周上の切欠きの上記短径/2は0.064D、溝深さ方向の長径/2の範囲は、0.085D〜0.11Dである。
【0089】
<評価5>
短径/2の大きさを表3に示すものに変更した以外は、評価4と同様の方法で、最小せん断応力履歴値Tminと、切り欠きが形成される方向に対して垂直方向に延びる長径の関係を示した。評価5の結果を表4に示した。
【表4】

【0090】
評価5によれば、円弧状を形成する楕円の長径が、切り欠きが延びる方向に対して垂直方向に延びるものであっても、長径が大きくなることで、最小せん断応力履歴値の値は大きくなることが確認された。また、評価4と評価5との比較から、上記楕円の長径は、切り欠きが延びる方向に延びる方が効果が高い。
【0091】
<評価6>
円弧状を形成するものが円になった以外は、評価4と同様の方法で、最小せん断応力履歴値Tminと、円の半径の関係を示した。評価6の結果を表5に示した。
【表5】

【0092】
円弧を形成するのが円の場合においても、半径が大きくなることで、最小せん断応力履歴値が大きくなることが確認された。また、評価4〜6の比較から、円弧状を形成するのが楕円よりも円の方が、最小せん断応力履歴値が大きくなることが確認された。
【0093】
<実施例―1>
実施例においては以下の材料を用いた。
熱可塑性樹脂:ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(メルトインデックス(MI)=70g/10分)
カーボンマスターバッチ
ガラス繊維束:直径が13μmのモノフィラメントを2200本束ねた長さ3mmのチョップドストランド
また、組成は以下の通りである。
PBTが67.5質量%、カーボンマスターバッチが2.5質量%、ガラス繊維束が30質量%
押出機:同方向完全噛み合い型二軸押出機TEX44αII(日本製鋼所製)スクリューエレメントの口径Dが0.047mm
シリンダー温度を220℃とし、押出条件を下記表6に記載
【表6】

実施例で使用した具体的なスクリューパターンは、図5に示す通りである。なお、ニーディングディスクで、各ディスクが送り方向に45°位相がずれているものをFK、逆送りの1条のフライトで切り欠きのあるスクリューエレメントをBMSとする。
【0094】
ここで使用された一条の逆送りフライトの切り欠きの半径rは、0.064Dで、1周あたりの切り欠きの数nは、n=11である。切り欠きの中心は、フライト外周上である。
【0095】
次いで、実験による未解繊ペレット数の導出について説明する。
PBTを二軸押出機に供給した後、ガラスのチョップドストランドを供給し、上記表6に示す押出条件で、混練混合し、ダイから樹脂組成物を押出した。押し出した樹脂組成物を、ダイから引き取りストランドにして、水槽でストランドを冷却固化して、カッターで、ストランドを3mmの長さに切断してペレットを作製した。ペレットを10kg採取し、黒色のペレットの中のガラス未解繊(銀色の凝集塊)を目視にて探し、ガラス未解繊を含んだペレットの個数を数えた。表7は図5(a)の押出機を用いた結果であり、表8は図5(b)の押出機を用いた結果であり、表9は図5(c)の押出機を用いた結果であり、表10は図5(d)の押出機を用いた結果であり、表11は図5(e)の押出機を用いた結果である。
【0096】
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【0097】
図10は、吐出量と未解繊ガラス繊維を含むペレット数との関係を示す図である。図10(a)には、Q/Ns=0.8の例についてまとめており、図10(b)にはQ/Ns=1.0についてまとめている。図10(a)、(b)から、混練部にFKを使用した場合には、Q/Nsを0.8以上にすると、ガラスの未解繊束が多くのペレットに残存してしまうことが確認できる。これに対して、BMSを備えるスクリューを用いると、口径Φ=47mmの二軸押出機で、Q/Ns=0.8以上の領域で、吐出量が600kg/hr以上であっても、未解繊ガラス繊維を含むペレット(未解繊ペレット)の発生を抑えられることが確認された。
【0098】
また、吐出量と吐出樹脂温度(ダイから吐出される樹脂組成物の温度)との関係を図11にまとめた。図11(a)は、Q/Nsが0.5、1.0の場合について示す図であり、図11(b)はQ/Nsが0.8の場合について示す図である。本実施例で使用したPBT樹脂は、300−310℃までは劣化しないと考えるが、図11(a)で、Q/Ns=0.5では、吐出量が300kg/hで、吐出樹脂温度が310℃を超過するので、吐出量の限界は、300kg/hである。しかし、Q/Ns=1.0では、700kg/hまで、吐出樹脂温度が310℃未満であり、Q/Nsを大きくすれば、高品質なペレットの生産性が飛躍的に改善される。
【0099】
以上、図10、図11から確認できるように、外周に切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントを備えたスクリューを用いると、Q、及びQ/Nsの大きな条件で、未解繊ペレットの発生を抑えられ、かつ、樹脂が劣化しない温度以下で押し出せることが確認された。これに対して、通常使用されるニーディングディスク(FK)では、Q、及びQ/Nsが小さな条件でないと、未解繊ペレットの発生が抑えられない。Q/Nsが小さい条件は、吐出量が低くなることを指す。
【0100】
さらに、上記実施例、比較例の各条件でのペレットの製造における、最小剪断応力履歴値Tminを上述の方法で求めた。一般に使用されるニーディングディスク(FK)、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメント(BMS)のそれぞれの場合で、製造されたペレット中に未解繊ガラス繊維束が残存しない運転領域(最大吐出量)を図12に示した。図12はスクリュー口径D=Φ47mmの二軸押出機を使用した場合のデータであり、図12(a)はQ/Ns=1.0の場合の結果であり、図12(b)は、Q/Ns=0.8の場合の結果であり、図12(c)はQ/Ns=0.5の場合の結果を示す。
【0101】
未解繊ガラス繊維束がペレット中に残存しない吐出量は、混練部で使用するニーディングディスク(FK)の長さ(L/D)、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメント(BMS)の長さ(L/D)に依存するので、その関係を直線で示している。一方、樹脂には、温度が上昇すると熱分解が著しくなり、プロセッシングが限界となる固有の限界温度がある。ペレット製造中に樹脂の温度が、その温度に到達すると、吐出が限界となる。ニーディングディスク(FK)も切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメント(BMS)も、二軸押出機内で使用する長さ(L/D)が増加すると樹脂温度が上昇する。図12(a)〜図12(c)では、その樹脂温度の限界も示しており、樹脂温度の限界と、未解繊ガラス繊維束がペレット中に残存しない限界との交点が、生産性の限界である。
【0102】
図12(a)、図12(b)では、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメント(BMS)を使用した場合の生産性は、ニーディングディスク(FK)を使用した場合の2倍から4倍であることを示している。一方、図12(c)は、同じ材料、同じ押出機で、Q/Nsが0.5と小さい場合の結果を示す。図12(c)の条件では、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメント(BMS)を使用すると、樹脂温度の上昇が大きく、温度限界で生産性が制限されて、ニーディングディスク(FK)と比較して、生産性において顕著な差が無いことを示している。このことは、Q/Nsを大きくして、生産性を高める為に、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントが有効であることを示していると同時に、Q/Nsが小さいときは、フライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントの使用が有効ではないことを示している。
【0103】
図12(a)、図12(b)のQ/Nsは、1.0及び0.8である。前述のQ/Ns密度は、それぞれ0.014[kg/h/rpm/cm]、0.018[kg/h/rpm/cm]となる。図12(c)では、Q/Nsが0.5で、このときのQ/Ns密度は、0.009[kg/h/rpm/cm]になる。以上の結果を整理すると、切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントは、Q/Ns密度が0.013[kg/h/rpm/cm]以上の運転領域で、未解繊ガラス繊維束をペレット中に残存させにくいので、高い生産性を実現することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 シリンダー
10 ホッパ
11 フィード口
12 真空ベント
2 スクリュー
20 供給部
21 可塑化部
22 搬送部
23 混練部
3 ダイ
4 一条の逆送りスクリューエレメント
40 フライト部
41 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに回転して噛み合うスクリューを備えた二軸の押出機を用いて、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを製造する方法であって、
熱可塑性樹脂を前記押出機に供給して加熱、混練し可塑化する可塑化工程と、
前記可塑化工程後に、一束以上のガラス繊維束を前記押出機に供給して、前記ガラス繊維束を解繊しながら、解繊されたガラス繊維と可塑化した前記熱可塑性樹脂とをスクリューで混練する混練工程と、
前記混練工程後に、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物を押出す押出工程と、
押出された前記ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物をペレット化するペレット化工程と、を備え、
前記混練工程において、前記スクリューは、円弧状の切り欠きが形成されたフライト部を有する一条の逆送りスクリューエレメントを一以上有し、
前記一条の逆送りスクリューエレメントにおけるスクリューのトルクを、前記噛み合うスクリュー間の芯間距離の3乗で除した値であるトルク密度が、11(Nm/cm)以上であり、
前記混練工程におけるスクリュー回転数をNsとし、前記押出工程におけるガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物の吐出量をQとしたときに、Q/Nsを、前記噛み合うスクリュー間の芯間距離の3乗で除した値であるQ/Ns密度が、0.013(kg/h/rpm/cm)であるガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
【請求項2】
前記一条の逆送りスクリューエレメントは、下記不等式(I)から(III)を満たす請求項1に記載のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。

0.05D≦r≦0.15D (I)
7≦n≦20 (II)
Le≦0.3D (III)

(上記不等式(I)中のrは、上記円弧状を形成する円の半径又は上記円弧状を形成する楕円の長径/2、あるいは短径/2であり、上記不等式(II)中のnは、上記一条の逆送りスクリューエレメントの1リード長あたりの切り欠き数であり、上記不等式(III)中のLeは、上記一条の逆送りスクリューエレメントのリード長であり、上記不等式(I)、(II)中のDは、スクリュー口径である。)
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂から構成される請求項1又は2に記載のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂は、液晶性樹脂から構成される請求項1又は2に記載のガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−213997(P2012−213997A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82313(P2011−82313)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(390006323)ポリプラスチックス株式会社 (302)
【Fターム(参考)】