説明

キナーゼ阻害薬として有用なアミノピリミジン

本発明は、オーロラタンパク質キナーゼの阻害薬として有用な化合物に関する。本発明は、また、それらの化合物を含む医薬として許容し得る組成物、並びに様々な疾患、状態及び障害の治療において該化合物及び組成物を使用する方法を提供する。本発明は、また、本発明の化合物を調製するための方法を提供する。り具体的には、本発明は、ヒト肝ミクロソームにおいて代謝安定であり、且つ/又は細胞増殖を強く阻害する化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、オーロラタンパク質キナーゼの阻害薬として有用な化合物に関する。本発明は、また、本発明の化合物を含む医薬として許容し得る組成物、様々な障害の治療において該化合物及び組成物を使用する方法、並びに該化合物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
オーロラタンパク質は、細胞周期の分裂期の進行に不可欠である3つの関連するセリン/トレオニンキナーゼ(オーロラ−A、−B及び−Cと呼ばれる)のファミリーである。具体的には、オーロラ−Aは、中心体成熟及び分離、有糸分裂紡錘体の形成、並びに染色体の正確な分離において重要な役割を果たす。オーロラ−Bは、中期板上の染色体の整列の調整、紡錘体集合チェックポイント、及び細胞質分裂の確実な完結において中心的な役割を果たす染色体パッセンジャータンパク質である。
【0003】
結腸直腸癌、卵巣癌、胃癌及び侵襲性導管腺癌を含む一連のヒトの癌にオーロラ−A、−B又は−Cの過発現が観察された。
【0004】
siRNA、ドミナントネガティブ抗体又は中和抗体によるヒトの癌細胞系におけるオーロラ−A又は−Bの欠乏又は阻害は、有糸分裂の進行を妨害し、4N DNAを有する細胞が蓄積し、場合によっては、続いて核内倍加及び細胞死が起こることがいくつかの研究によって現在実証されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オーロラキナーゼは、多くのヒトの癌に関連づけられ、これらの癌細胞の増殖に役割を果たすため、魅力的な標的である。ヒト肝ミクロソームにおける安定性などの好ましい薬物様特性を備えたオーロラキナーゼ阻害薬を有することが望ましい。したがって、オーロラキナーゼを阻害するとともに、好ましい薬物様特性を示す化合物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、オーロラタンパク質キナーゼの阻害薬として有用である化合物及びその医薬として許容し得る組成物を提供する。より具体的には、本発明は、ヒト肝ミクロソームにおいて代謝安定であり、且つ/又は細胞増殖を強く阻害する化合物を提供する。
【0007】
これらの化合物は、式I:
【0008】
【化1】

で表される化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩である[式中、変数は本明細書に定義されている通りである]。
【0009】
これらの化合物及びそれらの医薬として許容し得る組成物は、キナーゼをインビトロ、インビボ及びエキソビボで阻害するのに有用である。当該有用性は、骨髄増殖性障害、黒色腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫及び癌などの増殖性障害を治療又は予防することを含む。他の用途は、生物学的及び病理学的現象におけるキナーゼの研究;当該キナーゼによって媒介される細胞内情報伝達経路の研究;及び新しいキナーゼ阻害薬の比較評価を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明の一実施形態は、式Iの化合物:
【0011】
【化2】

又はその医薬として許容し得る塩を提供する[式中、
Htは、
【0012】
【化3】

であり;
は、H、C1〜3アルキル又はシクロプロピルであり;
2’は、Hであり;
Qは、−O−、−S−又は−C(R’)−であり;
は、H又はFであり;
は、
【0013】
【化4】

であり;
は、F、NR、CN、OR、オキソ(=O)、又は1個のOH若しくはOCHで場合により置換されたC2〜6アルキルであり;
各Jは、独立に、C1〜6アルキル、F、NR、CN又はORであり;或いは2個のJ基は、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、前記環は、0〜3個のJで場合により置換されており;
nは、1又は2であり;
は、H、C1〜5アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;
は、C1〜5アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;或いは
及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、O、N又はSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む3〜6員単環を形成し、前記単環は、0〜3個のJで場合により置換されており;
は、H、C1〜4アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;前記C1〜4アルキル又はC3〜6シクロアルキルは、1〜3個のフッ素原子で場合により置換されており;
は、F又はRであり;
は、フェニル又は6員へテロアリール環であり;前記へテロアリールは、O、N及びSから選択される1〜4個の環ヘテロ原子を有し;Rは、0〜4個の−NHC(O)R又は0〜4個のフッ素原子で場合により置換されており;
は、C1〜6脂肪族又はフェニルであり、前記Rは、0〜6個のJで場合により置換されており;
各Jは、独立に、ハロ、C1〜6アルキル、−O−(C1〜6アルキル)、−S−(C1〜6アルキル)、ニトロ又はCNであり、前記C1〜6アルキル基は、0〜3個のフッ素原子で場合により置換されており;或いは2個のJ基は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、O、N及びSから選択される0〜1個のヘテロ原子を含む3〜5員単環式基を形成し;
各Rは、独立に、C1〜6脂肪族;O、N又はSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜6員へテロアリールであり;各Rは、0〜3個のJで場合により置換されており;
は、独立に、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロC1〜4脂肪族である。]。
【0014】
疑問を避けるために、本発明の化合物において、RがHであり、Htが
【0015】
【化5】

であり;Rがシクロプロピルであり、R2’がHであり、QがSであり、Rがフェニルであり、Rがエチルである場合は、Rは、
【0016】
【化6】

(4−メチルピペリジン)でないことを理解すべきである。
【0017】
疑問を避けるために、RがHであり、Htが
【0018】
【化7】

であり;Rがメチルであり、R2’がHであり、QがSであり、Rがフェニルであり、Rがエチルである場合は、Rは、
【0019】
【化8】

(4−メチルピペリジン)でないことも理解すべきである。
【0020】
本発明の一実施形態は、式中、変数が、本明細書に定義される通りであり、
が、F、NR、CN、OR、又は1個のOH若しくはOCHで場合により置換されたオキソ(=O)であり;
各Jが、独立に、F、NR、CN又はORであり、或いは2個のJ基は、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、前記環は、0〜3個のJで場合により置換されており;
nが、1又は2であり;
残りの変数の値が、上記の式Iに記載されている通りである、式Iの化合物又はその医薬として許容し得る塩を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態において、nは1である。
【0022】
別の実施形態は、式II:
【0023】
【化9】

の化合物を提供する[式中、変数は、本明細書に定義されている通りである]。
【0024】
いくつかの実施形態において、QはSである。
【0025】
他の実施形態において、RはHである。
【0026】
いくつかの実施形態において、Rは、H又は場合により置換されたC1〜6脂肪族である。他の実施形態において、Rは、C1〜3アルキル又はシクロプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、C1〜3アルキルである。
【0027】
いくつかの実施形態において、R2’はHである。他の実施形態において、R2’はHであり、Rは、C1〜3アルキル又はシクロプロピルである。
【0028】
別の実施形態において、Rはフェニルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、パラ位において置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、1個の−NHC(O)Rで場合により置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、
【0029】
【化10】

である。
【0030】
いくつかの実施形態において、Rは、C1〜6脂肪族であり、前記Rは、0〜6個のJで場合により置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、−CHCH、CHCF、CHCHCF、シクロプロピル、又は
【0031】
【化11】

である。
【0032】
他の実施形態において、Rはフェニルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、オルト位においてJで置換されている。いくつかの実施形態において、Jは、ハロゲン、CF、C1〜3アルキル、−S−(C1〜3アルキル)又はOCFである。
【0033】
いくつかの実施形態において、Htは、
【0034】
【化12】

である。
【0035】
他の実施形態において、Htは、
【0036】
【化13】

である。
【0037】
いくつかの実施形態において、nは1である。他の実施形態において、nは2である。
【0038】
いくつかの実施形態において、Jは、独立に、C1〜6アルキル、F、NR、CN、OR又はRである。
【0039】
いくつかの実施形態において、JはFである。他の実施形態において、JはNRである。
【0040】
いくつかの実施形態において、R及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、O、N又はSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6員単環を形成し;前記単環は、0〜3個のJで場合により置換されている。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記単環は、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン又はピロリジンから選択される環である。いくつかの実施形態において、前記ピペリジン、ピペラジン、モルホリン又はピロリジン環は、F又はRで場合により置換されている。いくつかの実施形態において、RはC1〜6脂肪族である。
【0042】
別の実施形態は、R
【0043】
【化14】

である化合物を提供する。いくつかの実施形態において、nは2である。いくつかの実施形態において、Rは、
【0044】
【化15】

であり、nは2である。
【0045】
いくつかの実施形態において、2個のJ基は、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜7員ヘテロシクリル環を形成し;前記環は、0〜3個のJで場合により置換されている。
【0046】
いくつかの実施形態において、2個のJ基は、同じ原子に結合して、スピロ環式化合物を形成する。いくつかの実施形態において、前記ヘテロシクリル環は、1個のヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態において、前記ヘテロ原子は窒素である。いくつかの実施形態において、前記ヘテロシクリル環は、ピペリジン又はピロリジンから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヘテロシクリル環は、1個のJで場合により置換されている。
【0047】
いくつかの実施形態において、JはRであり、RはC1〜6脂肪族である。いくつかの実施形態において、RはC1〜6アルキルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。
【0048】
いくつかの実施形態において、Rは、
【0049】
【化16】

である。他の実施形態において、Rは、
【0050】
【化17】

である。
【0051】
別の実施形態は、R
【0052】
【化18】

である化合物を提供する。いくつかの実施形態において、nは1である。いくつかの実施形態において、Rは、
【0053】
【化19】

であり、nは1である。
【0054】
いくつかの実施形態において、JはFであり、Rは1個の−NHC(O)Rで置換されている。いくつかの実施形態において、RはC1〜6脂肪族であり、前記Rは、0〜6個のJで置換されており;
各Jはハロである。いくつかの実施形態において、RはCHCFである。他の実施形態において、RはCHCHCFである。いくつかの実施形態において、Rは、エチル又はシクロプロピルである。
【0055】
いくつかの実施形態において、Rは、
【0056】
【化20】

である。他の実施形態において、Rは、
【0057】
【化21】

である。
【0058】
いくつかの実施形態において、Rは、
【0059】
【化22】

であり、nは1であり、JはNRであり、Rは、1個の−NHC(O)Rで置換されており、RはC1〜6脂肪族であり、前記Rは、0〜6個のJで置換されており;各Jはハロである。いくつかの実施形態において、Rは、
【0060】
【化23】

である。いくつかの実施形態において、Rは、
【0061】
【化24】

である。いくつかの実施形態において、Rは、CHCF又はCHCHCFである。他の実施形態において、RはCHCFである。いくつかの実施形態において、Rは、エチル又はシクロプロピルである。
【0062】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの変数は、以下の表1に示されるものを含む。
【0063】
別の実施形態は、表1から選択される化合物を提供する。
【0064】
【表1−1】

【0065】
【表1−2】

【0066】
【表1−3】

【0067】
【表1−4】

【0068】
【表1−5】

【0069】
【表1−6】

【0070】
【表1−7】

【0071】
【表1−8】

本発明の目的では、化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って識別される。また、有機化学の一般的な原理は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年及び「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、編集:Smith, M.B.及びMarch, J.、John Wiley & Sons、New York:2001年などの当業者に知られている教科書に記載されている。
【0072】
本明細書に記載されているように、指定された原子数の範囲は、その中のあらゆる整数を含む。例えば、1〜4個の原子を有する基は、1、2、3又は4個の原子を有し得る。「I−1からI−5」で表される化合物のリストは、I−1、I−2、I−3、I−4及びI−5を指す。
【0073】
本明細書に記載されているように、本発明の化合物は、以上に全般的に示されている様な、又は本発明の特定の類、亜類及び種で例示されているような1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい。「場合により置換された」という語句は、「置換又は無置換の」という語句と区別なく使用されることが理解されるであろう。概して、「置換された」という用語は、「場合により」という用語に先行されていてもいなくても、所与の構造における水素ラジカルが特定の置換基のラジカルで置換されていることを指す。他に指定する場合を除いて、場合により置換された基は、該基の各置換可能位置に置換基を有することができ、任意の所与の構造における2つ以上の位置が、特定の群から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合は、該置換基は、全位置において同一であっても異なっていてもよい。本発明に考えられる置換基の組合せは、好ましくは、安定な、又は化学的に実現可能な化合物を形成させるものである。
【0074】
「安定な」という用語は、本明細書に使用されているように、化合物の製造、検出、好ましくは化合物の回収、精製、及び本明細書に開示されている1つ又は複数の目的での使用を可能にする条件に曝されたときに実質的に変化しない化合物を指す。いくつかの実施形態において、安定な化合物又は化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間にわたって、水分又は他の化学反応条件の不在下で、40℃以下の温度に維持されたときに実質的に変化しない化合物である。
【0075】
「脂肪族」又は「脂肪族基」等の用語は、本明細書に使用されているように、完全に飽和された、或いは分子の残りの部分に対する単一の結合点を有する1つ又は複数の不飽和単位を含む非分枝状又は分枝状、直鎖状又は環式の置換又は無置換の炭化水素を指す。好適な脂肪族基としては、直鎖状又は分枝状の置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が挙げられるが、それらに限定されない。具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、ビニル、n−ブテニル、エチニル、tert−ブチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル又はシクロペンチルエチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0076】
「脂環式」(又は「炭素環」若しくは「炭素環式」若しくは「シクロアルキル」等)という用語は、二環式環系における任意の個々の環が3〜7員を有する、完全に飽和された、或いは分子の残りの部分に対する単一の結合点を有する1つ又は複数の不飽和単位を含むが、芳香族でない単環式C〜C炭化水素又は二環式C〜C12炭化水素を指す。好適な脂環式基としては、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基が挙げられるが、それらに限定されない。具体例としては、シクロヘキシル、シクロプロペニル及びシクロブチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0077】
「アルキル」という用語は、本明細書に使用されているように、完全に飽和され、分子の残りの部分に対する単一の結合点を有する非分枝状又は分枝状の直鎖状又は環式炭化水素を指す。他に指定する場合を除いて、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含む。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、シクロプロピル、sec−ブチル及びシクロブチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0078】
本発明の化合物において、環は、線形縮合環、架橋環又はスピロ環式環を含む。架橋脂環式基の例としては、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0079】
「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「複素環式」等の用語は、本明細書に使用されているように、1個又は複数の環員が、独立に選択されたヘテロ原子である非芳香族の単環又は二環を指す。いくつかの実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「複素環式」基は、1個又は複数の環員が、酸素、硫黄、窒素又はリンから独立に選択されたヘテロ原子である3から10個の環員を有し、系における各環は、3から7個の環員を含む。架橋複素環の例としては、7−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノナンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0080】
好適な複素環としては、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンゾイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、及び1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0081】
本明細書に使用されているように、「Ht」という用語は、「Het」及び
【0082】
【化25】

と区別なく使用される。
【0083】
「ヘテロ原子」という用語は、(窒素、硫黄、リン又はケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態;或いは複素環式環の置換可能窒素、例えば、(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルなどにおける)N、(ピロリジニルなどにおける)NH又は(N−置換ピロリジニルなどにおける)NRを含む)酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素の1つ又は複数を指す。
【0084】
「アリール」という用語は、系における少なくとも1つの環が芳香族であり、系における各環が3から7個の環員を含む、全部で5から12個の環員を有する単環又は二環を指す。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と区別なく使用され得る。「アリール」という用語は、以下に定義されるヘテロアリール環系をも指す。
【0085】
「ヘテロアリール」という用語は、系における少なくとも1つの環が芳香族であり、系における少なくとも1つの環が1つ又は複数のヘテロ原子を含み、系における各環が3から7個の環員を含む、全部で5から12個の環員を有する単環又は二環を指す。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語又は「ヘテロ芳香族」という用語と区別なく使用され得る。好適なヘテロアリール環としては、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(e.g.、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(e.g.、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(e.g.、2−トリアゾリル及び5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(e.g.、2−インドリル)、ピラゾリル(e.g.、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(e.g.、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、及びイソキノリニル(e.g.、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、又は4−イソキノリニル)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0086】
「不飽和」という用語は、本明細書に使用されているように、成分が1つ又は複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0087】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br又はIを指す。
【0088】
「保護基」という用語は、本明細書に使用されているように、多官能化合物における1つ又は複数の所望の反応部位を一時的に遮断するのに使用される因子を指す。一部の実施形態において、保護基は、以下の特性の1つ又は複数、或いは好ましくはすべてを有する。a)良好な収率で選択的に反応して、他の反応部位の1つ又は複数で生じる反応に対して安定な保護基質を与えること;及びb)再生された官能基を攻撃しない試薬によって良好な収率で選択的に除去可能であること。例示的な保護基は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれているGreene, T.W.、Wuts, P.G、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley & Sons、New York:1999年、及びこの書籍の他の版に詳述されている。「窒素保護基」という用語は、本明細書に使用されているように、多官能化合物における1つ又は複数の所望の窒素反応部位を一時的に遮断するのに使用される因子を指す。好適な窒素保護基も以上に例示した特性を有し、特定の例示的な窒素保護基も、その全内容が参照により本明細書に組み込まれているGreene, T.W.、Wuts, P.G、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley & Sons、New York:1999年の第7章に詳述されている。
【0089】
他に指定する場合を除いて、本明細書に示されている構造は、構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び幾何異性体(又は配座異性体)、例えば、各非対称中心に対するR及びS構成、(Z)及び(E)二重結合異性体並びに(Z)及び(E)配座異性体を含むことも意味する。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体、並びに鏡像異性、ジアステレオ異性及び幾何異性(又は配座異性)混合物も本発明の範囲内に含まれる。
【0090】
他に指定する場合を除いて、本発明の化合物のすべての互変異性体が本発明の範囲内に含まれる。当業者なら理解するであろうが、ピラゾール基を様々な形で表すことができる。例えば、
【0091】
【化26】

で示される構造は、
【0092】
【化27】

などの存在し得る他の互変異性体をも表す。同様に、
【0093】
【化28】

で示される構造は、
【0094】
【化29】

などの存在し得る他の互変異性体をも表す。
【0095】
他に指定する場合を除いて、置換基は、任意の回転結合の回りを自由に回転することができる。例えば、
【0096】
【化30】

で示される置換基は、
【0097】
【化31】

をも表す。同様に、
【0098】
【化32】

で示される置換基は、
【0099】
【化33】

をも表す。
【0100】
また、他に指定する場合を除いて、本明細書に示されている構造は、同位体的に濃縮された1個又は複数の原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素を重水素又は三重水素で置換したこと、或いは炭素を13C−又は14C−濃縮炭素で置換したことを除いて本構造を有する化合物も本発明の範囲内に含まれる。当該化合物は、例えば、分析手段、又は生物学的アッセイにおけるプローブとして有用である。
【0101】
本発明の化合物を、当業者に広く知られている工程を用いて、本明細書に照らし合わせて調製することができる。LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析)及びNMR(核磁気共鳴)を含むが、それらに限定されない既知の方法によってそれらの化合物を分析することができる。以下に示す具体的な条件は、例にすぎず、本発明の化合物を製造するのに用いることができる条件の範囲を制限することを意味しないことを理解すべきである。その代わり、本発明は、本発明の化合物を製造するために、本明細書に照らし合わせると当業者に明らかになる条件をも含む。他に指定する場合を除いて、以下のスキームにおけるすべての変数は、本明細書に定義されている通りである。
【0102】
【化34】

以上のスキームIは、本発明の化合物を製造するための一般的な方法を示す。本発明の化合物を、以上に示すように、様々な方法で製造することができる。実質的に、ジクロロピリミジン出発材料に付加される3つの主要な基が存在する。これらの基を付加する順番は異なり得る。関与する3つの主要な反応は、ピロリジン又はピペリジンの付加、アミノ−ヘテロアリールの付加、及び−Q−Rの付加(−SMeを好適な脱離基、例えばSOMeに酸化することを含む)である。以上に示されているように、ピロリジン又はピペリジン、アミノ−ヘテロアリール及び−Q−Rを様々な異なる順番で付加することができる。例えば、アミノ−ヘテロアリールを最初に付加し、続いてピロリジン又はピペリジンを付加し、酸化して、最後に−Q−Rを付加することができる。或いは、その代わりに、最初に酸化させ、続いて−Q−Rを付加し、アミノ−ヘテロアリールを付加して、最後にピロリジン又はピペリジンを付加することができる。当業者は、以上に示されている様々な反応を理解するであろう。
【0103】
以上のスキームにおける合成を用いて、Rが1個のJ又は2〜3個のJ(1個のJ又は2〜3個のJは、以上に1〜3個のJ基として示されている)で置換された環である本発明の化合物を調製することができる。
【0104】
また、本発明の化合物を国際公開第2004/000833号パンフレットに示されている方法に従って調製することができる。
【0105】
したがって、本発明は、本発明の化合物を製造するための方法に関する。
【0106】
本発明の化合物の活性を評価するための方法(例えばキナーゼアッセイ)は、当技術分野で知られており、示される実施例にも記載されている。
【0107】
タンパク質キナーゼ阻害薬としての化合物の活性をインビトロ、インビボ又は細胞系においてアッセイすることができる。インビトロアッセイは、キナーゼ活性又は活性化キナーゼのATPアーゼ活性の阻害を判定するアッセイを含む。代替的なインビトロアッセイは、タンパク質キナーゼに結合する阻害薬の能力を定量するものであり、阻害薬を結合前に放射標識し、阻害薬/キナーゼ複合体を単離し、結合した放射標識の量を測定することによって、又は新しい阻害薬を既知の放射リガンドに結合したキナーゼとともにインキュベートする競合実験を実施することによって測定され得る。
【0108】
本発明の別の態様は、生体試料におけるキナーゼ活性を阻害することに関し、その方法は、前記生体試料と式Iの化合物、又は前記化合物を含む組成物とを接触させることを含む。「生体試料」という用語は、本明細書に使用されているように、限定することなく、細胞培養物又はその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料又はその抽出物;及び血液、唾液、尿、糞、精液、涙若しくは他の体液又はそれらの抽出物を含むインビトロ又はエキソビボ試料を指す。
【0109】
生体試料におけるキナーゼ活性の阻害は、当業者に知られている様々な目的に有用である。当該目的の例としては、輸血、臓器移植、生体標本の保管及び生物学的アッセイが挙げられるが、それらに限定されない。
【0110】
生体試料におけるキナーゼ活性の阻害は、生物学的及び病理学的現象におけるキナーゼの研究;当該キナーゼによって媒介される細胞内情報伝達経路の研究;及び新しいキナーゼ阻害薬の比較評価にも有用である。
【0111】
オーロラタンパク質キナーゼ阻害薬又はその医薬塩を動物又はヒトに投与するための医薬組成物に調合することができる。オーロラ媒介状態を治療又は予防するのに有効な量のオーロラタンパク質及び医薬として許容し得る担体を含むこれらの医薬組成物は、本発明の別の実施形態である。
【0112】
「オーロラ媒介状態」又は「オーロラ媒介疾患」という用語は、本明細書に使用されているように、オーロラ(オーロラA、オーロラB及びオーロラC)がある役割を果たすことが知られる任意の疾患又は他の有害な状態を指す。当該状態としては、限定することなく、癌、増殖性障害及び骨髄増殖性障害が挙げられる。
【0113】
骨髄増殖性障害の例としては、真性多血症、血小板血症、骨髄線維症による骨髄化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病及び全身性肥満細胞疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
【0114】
「癌」という用語は、以下の癌を含むが、それらに限定されない。類表皮口腔:頬側口腔癌、唇癌、舌ガン、口腔癌、咽頭癌;心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;肺:気管支原性癌(扁平上皮細胞又は類表皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、喉頭癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、膵島細胞腺腫、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺腫、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺腫、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸−直腸、結腸直腸;直腸、尿生殖器官:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、睾丸(精上皮癌、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、胆道;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨外骨腫症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、膠腫、上皮細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮体癌)、頸(頸癌、腫瘍前子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌]、顆粒膜−包膜細胞腫、セルトリ−ライディヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、陰門(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌)、乳房;血液系:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄形成異常性症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]毛様細胞;リンパ系障害;皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、角化棘細胞腫、色素性異形母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬、甲状腺:甲状腺乳頭癌、濾胞甲状腺癌、甲状腺髄様癌、未分化甲状腺癌、多発性内分泌腫瘍症2A型、多発性内分泌腫瘍症2B型、家族性甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、傍神経節腫;及び副腎:神経芽細胞腫。したがって、本明細書に示されている「癌細胞」という用語は、以上に特定した状態のいずれか1つにかかった細胞を含む。いくつかの実施形態において、癌は、結腸直腸癌、甲状腺癌又は乳癌から選択される。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、結腸直腸癌、甲状腺癌、乳癌及び肺癌などの癌;並びに真性多血症、血小板血症、骨髄線維症による骨髄化生、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病及び全身性肥満細胞疾患などの骨髄増殖性障害を治療するのに有用である。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、造血系障害、特に、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性前骨髄球性白血病(APL)及び急性リンパ球性白血病(ALL)を治療するのに有用である。
【0117】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の医薬として許容し得る誘導体又はプロドラッグも、以上に特定した障害を治療又は予防するための組成物に採用することができる。
【0118】
「医薬として許容し得る誘導体又はプロドラッグ」は、受給者に投与されると、本発明の化合物又は阻害活性代謝物質若しくはその残留物を直接又は間接的に供給することが可能である本発明の化合物の任意の医薬として許容し得るエステル、エステルの塩又は他の誘導体を指す。当該誘導体又はプロドラッグとしては、(例えば、経口投与化合物を血液により容易に吸収させることによって)当該化合物が患者に投与されたときに本発明の化合物の生物学的利用能を向上させるもの、又は生体部分(例えば、脳又はリンパ系)への親化合物の送達を、該親種と比較して向上させるものが挙げられる。
【0119】
本発明の化合物の医薬として許容し得るプロドラッグの例としては、限定することなく、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩及びスルホン酸エステルが挙げられる。
【0120】
本発明の化合物は、治療のための遊離形態で、又は適宜医薬として許容し得る塩として存在することができる。
【0121】
本明細書に使用されているように、「医薬として許容し得る塩」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激及びアレルギー反応等を伴わずにヒト及び下等動物の組織に接触させて使用することに好適であり、合理的な便益/リスク比に対応する化合物の塩を指す。
【0122】
本発明の化合物の医薬として許容し得る塩としては、好適な無機及び有機酸及び塩基から誘導されたものが挙げられる。これらの塩を化合物の最終的な単離及び精製時にインサイツで調製することができる。1)精製された化合物をその遊離塩基の形で好適な有機又は無機酸と反応させ、2)こうして得られた塩を単離することによって、酸付加塩を調製することができる。
【0123】
好適な酸塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられる。シュウ酸などの他の酸を、それ自体は医薬として許容し得ないが、本発明の化合物及びそれらの医薬として許容し得る酸付加塩の化合物を得る上で中間体として有用な塩の調製に採用できる。
【0124】
1)精製された化合物をその酸の形で好適な有機又は無機塩基と反応させ、2)こうして得られた塩を単離することによって、塩基付加塩を調製することができる。
【0125】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えばナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)、アンモニウム及びN(C1〜4アルキル)の塩が挙げられる。本発明は、また、本明細書に開示されている化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。水又は油に可溶又は分散可能な生成物を当該四級化によって得ることができる。
【0126】
塩基付加塩には、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩も含まれる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム等を含む。さらなる医薬として許容し得る塩は、無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成されるアミンカチオンを適宜含む。他の酸及び塩基も、それら自体は医薬として許容し得ないが、本発明の化合物及びそれらの医薬として許容し得る酸又は塩基付加塩を得る上で中間体として有用な塩の調製に採用することができる。
【0127】
これらの医薬組成物に使用できる医薬として許容し得る担体としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂などの塩又は電解質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0128】
本発明の組成物を経口投与、吸入スプレーによる非経口投与、局部投与、直腸投与、経鼻投与、頬投与、膣投与、又は移植リザーバにより投与することができる。「非経口」という用語は、本明細書に使用されているように、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、包膜内、腹腔内、肝臓内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技法を指す。
【0129】
本発明の組成物の無菌注射可能な形は、水性又は油性懸濁液であってよい。これらの懸濁液を、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野で知られている技法に従って調合することができる。無菌注射可能製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中溶液などの無毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中無菌注射可能溶液又は懸濁液であってもよい。採用できる許容し得る媒体及び溶媒としては、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油が溶媒又は懸濁媒体として従来的に採用されている。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む無刺激固定油を採用することができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特にポリオキシエチル化型のオリーブ油又はヒマシ油などの天然の医薬として許容し得る油のように、注射液の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、エマルジョン及び懸濁液を含む医薬として許容し得る剤形の調合に広く使用されるカルボキシメチルセルロース又は同様の分散剤などの長鎖アルコール希釈液又は分散剤を含むこともできる。ツイーン、スパン及び他の乳化剤などの他の広く使用される界面活性剤、又は医薬として許容し得る固体、液体又は他の剤形の製造に広く使用される生物学的利用能向上剤を調合の目的に使用することもできる。
【0130】
本発明の医薬組成物を、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液又は溶液を含むが、それらに限定されない任意の経口的に許容し得る剤形で経口投与することができる。経口用の錠剤の場合は、広く使用される担体としては、ラクトース及びトウモロコシデンプンを挙げることができる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を添加することもできる。カプセル剤の形での経口投与では、有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンを挙げることができる。経口用途に水性懸濁液を使用する場合は、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と組み合わせることができる。望まれる場合は、特定の甘味料、香料又は着色料を添加することもできる。
【0131】
或いは、本発明の医薬組成物を直腸投与のための坐薬の形で投与することができる。薬剤と、室温で固体であるが、直腸の温度で液体であるため、直腸内で溶融して薬物を放出する好適な非刺激性賦形剤とを混合することによって、これらの坐薬を調製することができる。当該材料としては、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0132】
特に、治療の目標が、眼、皮膚又は下部腸管の疾患を含めて、局部的適用によって容易に到達可能な部分又は器官を含む場合は、本発明の医薬組成物を局部投与することもできる。好適な局部製剤をこれらの部分又は器官のそれぞれにあわせて調製することができる。
【0133】
下部腸管に対する局部的適用を直腸坐薬製剤(上記参照)又は好適な浣腸製剤で実施することができる。局部的経皮貼付剤を使用することもできる。
【0134】
局部的適用では、1つ又は複数の担体に懸濁又は溶解した有効成分を含む好適な軟膏剤で医薬組成物を調合することができる。本発明の化合物の局部投与のための担体としては、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋及び水を挙げることができるが、それらに限定されない。或いは、1つ又は複数の医薬として許容し得る担体に懸濁又は溶解した有効成分を含む好適なローション剤又はクリーム剤で医薬組成物を調合することができる。好適な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0135】
眼の用途では、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含めて、又は含めずに、等張性のpH調整無菌食塩水中微粉化懸濁液として、又は等張性のpH調整無菌食塩水中溶液として医薬組成物を調合することができる。或いは、眼の用途では、医薬組成物をワセリンなどの軟膏剤で調合することができる。
【0136】
本発明の医薬組成物を経鼻エアロゾル剤又は吸入によって投与することもできる。ベンジルアルコール又は他の好適な防腐剤、生物学的利用能を向上させる吸収促進剤、フッ化炭素、及び/又は他の従来の可溶化剤若しくは分散剤を採用した食塩水溶液として当該組成物を調製することができる。
【0137】
単一の剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができるキナーゼ阻害薬の量は、治療される宿主、具体的な投与方式及び適応症に応じて異なることになる。一実施形態において、体重1kg当たり0.01〜100mg/日の投与量の阻害薬を、これらの組成物が与えられる患者に対して投与できるように組成物を調合すべきである。別の実施形態において、体重1kg当たり0.1〜100mg/日の投与量の阻害薬を、これらの組成物が与えられる患者に対して投与できるように組成物を調合すべきである。
【0138】
特定の患者に対する具体的な投与量及び治療レジメンは、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄量、薬物の組合せ、並びに治療担当医師の判断、及び治療されている具体的な疾患の重度を含む様々な要因に左右されることも理解すべきである。阻害薬の量は、組成物における具体的な化合物にも左右されることになる。
【0139】
別の実施形態によれば、本発明は、癌、増殖性障害、骨髄増殖性障害を治療又は予防するための方法であって、本明細書に記載の化合物又は医薬組成物の1つを患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0140】
「患者」という用語は、本明細書に使用されているように、ヒトを含む動物を指す。
【0141】
いくつかの実施形態において、前記方法は、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄性白血病(CML)又は急性リンパ球性白血病(ALL)などの造血系障害を治療又は予防するのに用いられる。
【0142】
他の実施形態において、前記方法は、真性多血症、血小板血症、骨髄線維症による骨髄化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病及び全身性肥満細胞疾患などの骨髄増殖性障害を治療又は予防するのに用いられる。
【0143】
さらに他の実施形態において、前記方法は、乳癌、結腸癌、前立腺癌、皮膚癌、膵臓癌、脳腫瘍、尿生殖器官の癌、リンパ系の癌、胃癌、喉頭癌、並びに肺腺癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌を含む肺癌などの癌を治療又は予防するのに用いられる。
【0144】
別の実施形態は、癌を治療又は予防する方法であって、式Iの化合物又は前記化合物を含む組成物を患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0145】
本発明の別の態様は、患者におけるキナーゼ活性を阻害することであって、その方法が、式Iの化合物又は前記化合物を含む組成物を患者に投与することを含むことに関する。いくつかの実施形態において、前記キナーゼは、オーロラキナーゼ(オーロラA、オーロラB、オーロラC)、Abl、Arg、FGFR1、MELK、MLK1、MuSK、Ret又はTrkAである。
【0146】
治療又は予防される具体的な状態に応じて、さらなる薬物を本発明の化合物と一緒に投与することができる。場合によっては、これらのさらなる薬物は、通常、同じ状態を治療又は予防するために投与される。例えば、化学療法薬又は他の抗増殖薬を本発明の化合物と組み合わせて、増殖性疾患を治療することができる。
【0147】
本発明の別の態様は、癌の治療を必要とする対象における癌を治療する方法であって、本発明の化合物又はその医薬として許容し得る塩と、治療薬とを連続投与又は同時投与することを含む方法に向けられる。いくつかの実施形態において、前記治療薬は、抗癌薬、抗増殖薬又は化学療法薬から選択される。
【0148】
いくつかの実施形態において、前記治療薬は、カムプトテシン、MEK阻害薬:U0126、KSP(キネシンスピンドルタンパク質)阻害薬、アドリアマイシン、インターフェロン、及びシスプラチンなどのプラチナ誘導体から選択される。
【0149】
他の実施形態において、前記治療薬は、タキサン;bcr−ablの阻害薬(Gleevec、ダサチニブ及びニロチニブなど);EGFRの阻害薬(タルセバ及びIressaなど);DNA損傷薬(シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、トポイソメラーゼ阻害薬及びアントラサイクリンなど);及び抗代謝薬(AraC及び5−FUなど)から選択される。
【0150】
さらに他の実施形態において、前記治療薬は、カンプトテシン、ドキソルビシン、イダルビシン、シスプラチン、Taxol、タキソテール、ビンクリスチン、タルセバ、MEK阻害薬、U0126、KSP阻害薬、ボリノスタット、Gleevec、ダサチニブ及びニロチニブから選択される。
【0151】
別の実施形態において、前記治療薬は、ダサチニブである。
【0152】
別の実施形態において、前記治療薬は、ニロチニブである。
【0153】
別の実施形態において、前記治療薬は、Her−2阻害薬(ヘルセプチンなど);HDAC阻害薬(ボリノスタットなど)、VEGFR阻害薬(Avastinなど)、c−KIT及びFLT−3阻害薬(スニチニブなど)、BRAF阻害薬(Bayer社のBAY43−9006など)、MEK阻害薬(Pfiser社のPD0325901など);及びスピンドル毒(エポチロンなど)及びパクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標)など)から選択される。
【0154】
本発明の抗癌薬と併用できる他の療法又は抗癌薬としては、外科手術、放射線療法(ほんの数例において、ガンマ放射線療法、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、プロトン療法、近接照射療法及び全身放射性同位体等)、内分泌療法、生物学的応答調節剤(インターフェロン、インターロイキン及び腫瘍壊死因子(TNF)等)、発熱療法及び寒冷療法、あらゆる悪影響を軽減するための薬剤(例えば制吐剤)、並びにアルキル化薬(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イフォスファミド)、抗代謝薬(メトトレキセート)、プリンアンタゴニスト及びピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビル、ゲムシタビン)、スピンドル毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)及びホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド及びメゲストロール)、Gleevec(商標)、デキサメタソン及びシクロホスファミドを含むが、それらに限定されない他の承認された化学療法薬が挙げられる。
【0155】
本発明の化合物は、以下の治療薬と組み合わせて癌を治療するのにも有用であり得る。アバレリクス(Plenaxis depot(登録商標));アルデスロイキン(Prokine(登録商標));アルデスロイキン(Proleukin(登録商標));アルムツズマブ(Campath(登録商標));アリトレチノイン(Panretin(登録商標));アロプリノール(Zyloprim(登録商標));アルトレタミン(Hexalen(登録商標));アミホスチン(Ethyol(登録商標));アナストロゾール(Arimidex(登録商標));三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標));アザシチジン(Vidaza(登録商標));ベバクジマブ(Avastin(登録商標));ベキサロテンカプセル(Targretin(登録商標));ベキサロテンゲル(Targretin(登録商標));ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標));ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));静脈内投与用ブスルファン(Busulfex(登録商標));経口投与用ブスルファン(Myleran(登録商標));カルステロン(Methosarb(登録商標));カペシタビン(Xeloda(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(Gliadel(登録商標));ポリフェプロサン20インプラントを含むカルムスチン(Gliadel Wafer(登録商標));セレコキシブ(Celebrex(登録商標));セツキシマブ(Erbitux(登録商標));クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シスプラチン(Platinol(登録商標));クラドリビン(Leustatin(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(Clolar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Injection(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(登録商標));シタラビン(Cytosar−U(登録商標));シタラビンリポソーム(DepoCyt(登録商標));デカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(Cosmegen(登録商標));ダルベポエチンアルファ(Aranesp(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Daunorubicin(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerubidine(登録商標));デニロイキンジフチトクス(Ontak(登録商標));デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標));ドセタキセル(Taxotere(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS Injection(登録商標));ドキソルビシンリポソーム(Doxil(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(masterone injection(登録商標));エリオットB液(Elliot’s B Solution(登録商標));エピルビシン(Ellence(登録商標));エポエチンアルファ(epogen(登録商標));エルロチニブ(Tarceva(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));リン酸エトポシド(Etopophos(登録商標));エトポシド、VP−16(Vepesid(登録商標));エキセメスタン(Aromasin(登録商標));フィルグラスチム(Neupogen(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(Fludara(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(Adrucil(登録商標));フルベストラント(Faslodex(登録商標));ゲフィチニブ(Iressa(登録商標));ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));ゲムツズマブオゾガミシン(Mylotarg(登録商標));酢酸ゴセレリン(Zoladex Implant(登録商標));酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標));酢酸ヒストレリン(Histrelin implant(登録商標));ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標));イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標));イフォスファミド(IFEX(登録商標));メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標));インターフェロンアルファ2a(Roferon A(登録商標));インターフェロンアルファ2b(Intron A(登録商標));イリノテカン(Camptosar(登録商標));レナリドミド(Revlimid(登録商標));レトロゾール(Femara(登録商標));ロイコボリン(Wellcovorin(登録商標)、Leucovorin(登録商標));酢酸ロイプロリド(Eligard(登録商標));レバミソール(Ergamisol(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、窒素マスタード(Mustargen(登録商標));酢酸メゲストロール(Megace(登録商標));メルファラン、L−PAM(Alkeran(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(Purinethol(登録商標));メスナ(Mesnex(登録商標));メスナ(Mesnex tabs(登録商標));メトトレキセート(Methotrexate(登録商標));メトキシサレン(Uvadex(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ミトタン(Lysodren(登録商標));ミトキサントロン(Novantrone(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(Durabolin−50(登録商標));ネララビン(Arranon(登録商標));ノフェツモマブ(Verluma(登録商標));オプレルベキン(Neumega(登録商標));オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));パクリタキセル(Paxene(登録商標));パクリタキセル(Taxol(登録商標));パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標));パリフェルミン(Kepivance(登録商標));パミドロネート(Aredia(登録商標));パガデマーゼ(Adagen(Pegademase Bovine)(登録商標));ペガスパルガーゼ(Oncaspar(登録商標));ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));ペメトレキセドジナトリウム(Alimta(登録商標));ペントスタチン(Nipent(登録商標));ピポブロマン(Vercyte(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(Mithracin(登録商標));ポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標));プロカルバジン(Matulane(登録商標));キナクリン(Atabrine(登録商標));ラスブリカーゼ(Elitek(登録商標));リツキシマブ(Rituxan(登録商標));サルグラモスチム(Leukine(登録商標));サルグラモスチム(Prokine(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));マレイン酸スニチニブ(Sutent(登録商標));タルク(Sclerosol(登録商標));タモキシフェン(Nolvadex(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標));テニポシド、VM−26(Vumon(登録商標));テストラクトン(Teslac(登録商標));チオグアニン、6−TG(Thioguanine(登録商標));チオテパ(Thioplex(登録商標);トポテカン(Hycamtin(登録商標));トレミフェン(Fareston(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トシツモマブ/I−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トラスツズマブ(Herceptin(登録商標));トレチノイン、ATRA(Vesanoid(登録商標));ウラシルマスタード(Uracil Mustard Capsules(登録商標));バルルビシン(Valstar(登録商標));ビンブラスチン(Velban(登録商標));ビンクリスチン(Oncovin(登録商標));ビノレルビン(Navalbine(登録商標));ゾレドロネート(Zometa(登録商標))及びボリノスタット(Zolinza(登録商標))。
【0156】
最新の癌治療の包括的な説明については、その全内容が参照により本明細書に組み込まれているhttp://www.nci.nih.gov/、http://www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe.htm のFDA承認腫瘍薬のリスト、及びMerck Manual、第17版、1999年を参照されたい。
【0157】
別の実施形態は、組み合わせた製剤の同時、分割又は順次使用を提供する。
【0158】
それらのさらなる薬剤を多回投与レジメンの一部としてキナーゼ阻害薬含有化合物又は組成物から切り離して投与することができる。或いは、それらの薬剤は、単一組成物においてキナーゼ阻害薬と混合した単一剤形の一部であってもよい。
【0159】
本発明がより十分に理解されるように、以下の調製及び試験実施例を示す。これらの実施例は、例示のみを目的としており、いかなる場合も本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。本明細書に引用されているすべての文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
【実施例】
【0160】
本明細書に使用されているように、「Rt(分)」は、化合物に関連する分単位のHPLC滞留時間を指す。他に指定する場合を除いて、報告された滞留時間を得るために利用したHPLC法は、以下の通りである。
【0161】
カラム:ACE C8カラム、4.6×150mm
勾配:0〜100%アセトニトリル+メタノール60:40(20mMリン酸トリス)
流量:1.5mL/分
検出:225nm
電気スプレー電離によりシングルMSモードで動作するMicroMass Quattro Micro質量分析計で質量分析試料を分析した。クロマトグラフィーを用いて、試料を質量分析計に導入した。すべての質量分析に対する移動相は、10mMのpH7の酢酸アンモニウム及び1:1のアセトニトリル−メタノール混合物からなり、カラム勾配条件を、ACE C8 3.0×75mmカラム上での3.5分の勾配時間及び5分の実行時間に対する5%〜100%のアセトニトリル−メタノールとした。流量を1.2ml/分とした。
【0162】
Bruker DPX400測定装置を使用して、400MHzでH−NMRスペクトルを記録した。
【0163】
以下の式Iの化合物を本明細書に記載のスキームに示される方法(スキームI、スキームII、方法A、B、C及びD)及び化合物I−69について本明細書に記載されている方法と同様の方法に従って調製した。また、本明細書に記載されている方法に従って、化合物を分析した。
【0164】
【化35】

(実施例1)
3,3,3−トリフルオロ−N−(4−(4−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルアミノ)−6−(1−メチルテトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6(2H,7H,7aH)−イル)ピリミジン−2−イルチオ)フェニル)プロパンアミド(I−69)
【0165】
【化36】

方法A:4,6−ジクロロ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン
【0166】
【化37】

4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(25g、0.13mol)をジクロロメタン(500ml)に溶解させた溶液にm−クロロ過安息香酸(74g、0.33mol)を0℃で40分間にわたって添加した。該溶液を室温まで昇温させ、さらに4時間撹拌した。該混合物をジクロロメタン(750ml)で希釈し、次いで50%のNa/NaHCO溶液、重炭酸ナトリウムの飽和溶液及び食塩水で処理した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、白色固体として表題の化合物を得た(26.75g、収率91%)。
【0167】
【化38】

方法B:N−(4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イルチオ)フェニル)−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド
【0168】
【化39】

4,6−ジクロロ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン(8g、35mmol)及び3,3,3−トリフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)プロパンアミド(8.7g、37mmol)をアセトニトリル(250ml)に溶解させた溶液を−10℃まで冷却した。温度を−10℃に維持しながら、トリエチルアミン(4.9ml、35mmol)を20分間にわたって一滴ずつ添加した。添加すると、該溶液をその温度でさらに20分間撹拌し、次いで室温まで昇温させ、150mlに濃縮した。水(250ml)を反応混合物に添加した。固体を濾過によって回収し、吸引によって乾燥させた。この橙色の固体を最小量の酢酸エチルでスラリー状にした。オフホワイトの固体を濾過によって回収し、真空中で乾燥させた。該プロセスを繰り返して、さらなる固体を得た。それらのバッチを一緒にして、所望の化合物を得た(7.9g、収率56%)。
【0169】
【化40】

方法C:N−(4−(4−クロロ−6−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イルチオ)フェニル)−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド
【0170】
【化41】

N−(4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イルチオ)フェニル)−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド(14.2g、37mmol)、3−アミノ−5−メチルピラゾール(4g、41mmol)、ヨウ化ナトリウム(6.1g、41mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(19.3ml、0.11mol)をジメチルホルムアミド(130ml)に溶解させた溶液を90℃で18時間加熱した。該反応混合物を濃縮して乾固させた。残渣を酢酸エチルに再溶解させ、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、橙色の泡を得た。残渣をジクロロメタンでスラリー状にし、20分間超音波処理した。固体を濾過によって回収した。このプロセスを繰り返して、さらなる純粋の生成物を得た。純粋のバッチを一緒にして、淡黄色固体として所望の生成物を得た(11.77g、収率72%)。
【0171】
【化42】

方法D:3,3,3−トリフルオロ−N−(4−(4−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルアミノ)−6−(テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6(2H,7H,7aH)−イル)ピリミジン−2−イルチオ)フェニル)プロパンアミド
【0172】
【化43】

マイクロ波バイアル瓶にN−(4−(4−クロロ−6−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イルチオ)フェニル)−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド(2.5g、5.92mmol)、シス−オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピリジン(2.23g、17.8mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(10.3ml、59.2mmol)及びジオキサン(30ml)を充填した。バイアル瓶をCEMマイクロ波にて130℃で90分間加熱した。該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を逆相分取りHPLC[Waters Sunfire C18、10μM、100Åカラム、勾配10%〜95%B(溶媒A:水中0.05%TFA;溶媒B:CH3CN)25mL/分で16分間]によって精製して、トリフルオロ酢酸塩として所望の生成物を得た(620mg、収率16%)。
【0173】
【化44】

方法E:3,3,3−トリフルオロ−N−(4−(4−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルアミノ)−6−(1−メチルテトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6(2H,7H,7aH)−イル)ピリミジン−2−イルチオ)フェニル)プロパンアミド
【0174】
【化45】

トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(382mg、1.8mmol)を、ジクロロエタン(30ml)中3,3,3−トリフルオロ−N−(4−(4−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルアミノ)−6−(テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6(2H,7H,7aH)−イル)ピリミジン−2−イルチオ)フェニル)プロパンアミド2,2,2−トリフルオロアセテート(584mg、0.90mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.313ml、1.80mmol)及び37%ホルムアルデヒド(0.073ml、0.90mmol)の懸濁液に添加した。該反応混合物を室温で20分間撹拌した。重炭酸ナトリウムの飽和溶液を添加することによって該反応物を失活させた。水相をジクロロメタンで(3回)抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製して、高温EtOAc/シクロヘキサンから再結晶させて、白色固体として所望の生成物を得た(144.1mg、収率29%)。
【0175】
【化46】

NB溶媒/水のピークがいくつかの信号を不明瞭にしている。
【0176】
式Iの化合物の調製に使用された様々なRH部分は、文献(tert−ブチル−ピペリジン−4−イル−アミンの合成についてはPalmer,J.T.ら、J.Med.Chem.、2005年、48、7520;(S)−N−メチルピペリジン−3−アミンの合成についてはOsakada,K;Ikariya,T.;Saburi,M.;Yoshikawa,S.;Chem.Lett.、1981年、1691;2−(ピペリジン−4−イル)プロパン−2−オール)の合成については米国特許第5521199号明細書を参照されたい。)に記載されている商業的に入手可能な(4−(ピペリジン−4−イル)−モルホリン;(S)−(−)−3−ピロリジノール;(R)−(+)−3−ピロリジノール;(S)−(−)−3−(メチルアミノ)ピロリジン;(R)−(+)−3−(メチルアミノ)ピロリジン;1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン;4−シアノピペリジン;4−(トリフルオロメチル)ピペリジン;4−ピペリドン一水和物塩酸塩;(R)−(−)−3−フルオロピロリジン塩酸塩;(S)−(+)−3−フルオロピロリジン塩酸塩;4−メチルピペリジン−4−オール塩酸塩;4−tert−ブチル−ピペリジン;(3S)−(−)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン;(3R)−(+)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン;3,3−ジフルオロピペリジン塩酸塩;3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩;4−(1−ピロリジニル)ピペリジン;(3S)−(−)−3−(エチルアミノ)ピロリジン;[1,3’]ビピロリジニル;1−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)ピペラジン;4−ヒドロキシピペリジン;4,4−ジフルオロピペリジン)であるか、又は以下に記載する手順と同様の手順に従って調製され得る。
【0177】
(実施例2)
(R)−N−イソプロピルピロリジン−3−アミンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)
【0178】
【化47】

方法F:(R)−tert−ブチル3−(プロパン−2−イリデンアミノ)ピロリジン−1−カルボキシレート
【0179】
【化48】

(3R)−3−アミノ−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン(0.5g、2.69mmol)をジクロロメタン(10ml)とアセトン(2ml)の混合物に溶解させた。硫酸マグネシウム(0.5g)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。該混合物を濾過し、減圧下で濃縮して、油として表題の化合物を得た(601mg、収率99%)。
【0180】
【化49】

方法G:(R)−tert−ブチル3−(イソプロピルアミノ)ピロリジン−1−カルボキシレート
【0181】
【化50】

酸化白金(60mg)を、(R)−tert−ブチル3−(プロパン−2−イリデンアミノ)ピロリジン−1−カルボキシレート(600mg、2.65mmol)をメタノール(4ml)に溶解させた溶液に添加した。該反応物を水素雰囲気下で18時間撹拌した。該反応混合物を、セライトの孔路を通じて濾過し、さらなるメタノールで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、油を得て、それを放置して固化させた(320mg、収率53%)。
【0182】
【化51】

方法H:(R)−N−イソプロピルピロリジン−3−アミンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)
【0183】
【化52】

トリフルオロ酢酸(2ml)をジクロロメタン(3ml)中(R)−tert−ブチル3−(イソプロピルアミノ)ピロリジン−1−カルボキシレート(520mg、2.28mmol)に添加した。該反応物を室温で7時間撹拌した。該反応混合物を真空中で濃縮した、残渣を石油エーテルで粉砕して、固体として所望の化合物を得た(721mg、収率89%)。
【0184】
【化53】

式Iの化合物の調製に使用される他のRH部分を、1つの記載の実施例2(方法F、G及びH):(S)−N−イソプロピルピロリジン−3−アミンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)と同様の手順によって調製することができる。
【0185】
(実施例3)
3−ネオペンチルピロリジン−3−オール2,2,2−トリフルオロアセテート
【0186】
【化54】

方法I:tert−ブチル3−ヒドロキシ−3−ネオペンチルピロリジン−1−カルボキシレート
【0187】
【化55】

塩化セリウム(III)七水化物(3.42g、9.17mmol)を高真空下にて140℃で18時間加熱した。アルゴンを高温フラスコに導入し、次いで0℃まで冷却してから、テトラヒドロフラン(30ml)を迅速に撹拌しながら添加した。次いで、該懸濁液を室温まで昇温させ、18時間撹拌した。該懸濁液を0℃まで冷却し、ジエチルエーテル(9.17ml、9.17mmol)中塩化ネオペンチルマグネシウム1Mを添加し、0℃で90分間撹拌した。テトラヒドロフラン(10ml)中N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ピロリジノン(1.13g、6.11mmol)を0℃で一滴ずつ添加した。添加完了後に、反応混合物を0℃でさらに2時間撹拌した。反応混合物を塩化アンモニウムの飽和溶液で失活させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、白色固体として表題の化合物を得た(281mg、収率19%)。
【0188】
【化56】

方法J:3−ネオペンチルピロリジン−3−オール2,2,2−トリフルオロアセテート
【0189】
【化57】

トリフルオロ酢酸(1ml)を、tert−ブチル3−ヒドロキシ−3−ネオペンチルピロリジン−1−カルボキシレート(281mg、1.41mmol)をジクロロメタン(8ml)に溶解させた溶液に0℃で添加した。該反応物を0℃で2時間撹拌した。該反応混合物を真空中で濃縮して、褐色油として所望の化合物を得た(281mg、収率91%)。
【0190】
【化58】

式Iの化合物の調製に使用される他のRH部分を、1つの記載の実施例3(方法I及びJ):3−tert−ブチルピロリジン−3−オール2,2,2−トリフルオロアセテート;4−エチルピペリジン−4−オール2,2,2−トリフルオロアセテート;4−イソプロピルピペリジン−4−オール2,2,2−トリフルオロアセテート;4−tert−ブチルピペリジン−4−オール2,2,2−トリフルオロアセテートと同様の手順によって調製することができる。
【0191】
(実施例4)
4−((2R,5R)−2,5−ジメチルピロリジン−1−イル)ピペリジン2,2,2−トリフルオロアセテート
【0192】
【化59】

方法K:tert−ブチル4−((2R,5R)−2,5−ジメチルピロリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0193】
【化60】

シアノ水素化ホウ素ナトリウム(315mg、5.01mmol)を、1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−オン(1g、5.01mmol)及び(2R,5R)−(−)−トランス−2,5−ジメチルピロリジン(0.5g、5.01mmol)をトリフルオロエタノール(12ml)に溶解させた撹拌溶液に1回で添加した。該反応混合物を室温で3時間撹拌した。それを重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で加水分解した。酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をカラムフラッシュクロマトグラフィー(石油中20%酢酸エチル)によってシリカゲルで精製して、油として表題の化合物を得た(400mg、収率28%)。
【0194】
【化61】

4−((2R,5R)−2,5−ジメチルピロリジン−1−イル)ピペリジン2,2,2−トリフルオロアセテート
【0195】
【化62】

方法Jを用いて、4−((2R,5R)−2,5−ジメチルピロリジン−1−イル)ピペリジン2,2,2−トリフルオロアセテートを調製した。
【0196】
式Iの化合物の調製に使用される他のRH部分を、1つの記載の実施例4(方法K及びJ):2,2−ジメチル−1,3’−ビピロリジン2,2,2−トリフルオロアセテート;4−(2,2−ジメチルピロリジン−1−イル)ピペリジン2,2,2−トリフルオロアセテート;(R)−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ピペリジン2,2,2−トリフルオロアセテート;(S)−4−(3−フルオロピロリジン−1−イル)ピペリジン2,2,2−トリフルオロアセテート;4−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)ピペリジン2,2,2−トリフルオロアセテートと同様の手順によって調製することができる。
【0197】
(実施例5)
(S)−3−イソプロポキシピロリジン2,2,2−トリフルオロアセテート
【0198】
【化63】

方法L:(S)−tert−ブチル3−イソプロポキシピロリジン−1−カルボキシレート
【0199】
【化64】

(S)−(+)−tert−ブチル−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(1.0g、5.34mmol)をヨウ化イソプロピル(15ml)に溶解させた撹拌溶液に酸化銀(I)(1.49g、6.41mmol)を添加した。該反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで40℃でさらに24時間加熱した。次いで、該反応混合物を室温まで冷却し、一束のセライトで濾過し、ジエチルエーテル(2×10ml)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、残渣を、石油エーテル中20%酢酸エチルで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製して、無色油として表題の化合物を得た(0.50g、収率41%)。
【0200】
【化65】

(S)−3−イソプロポキシピロリジン2,2,2−トリフルオロアセテート
【0201】
【化66】

方法Jを用いることによって、(S)−3−イソプロポキシピロリジン2,2,2−トリフルオロアセテートを(S)−tert−ブチル3−イソプロポキシピロリジン−1−カルボキシレートから調製した。
【0202】
(実施例6)
(R)−N,N−ジメチルピペリジン−3−アミン塩酸塩
【0203】
【化67】

方法M:(S)−tert−ブチル3−(メチルスルホニルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0204】
【化68】

(S)−(+)−tert−ブチル−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(10.0g、49.7mmol)及びトリエチルアミン(13.9ml、99.4mmol)をジクロロメタン(150ml)に溶解させた撹拌溶液に塩化メタンスルホニル(4.25ml、54.7mmol)を0℃で添加した。該反応混合物を室温まで昇温させ、18時間撹拌した。該反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液、水及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、白色固体として表題の化合物を得た(11.78g、収率85%)。
【0205】
【化69】

方法N:(R)−tert−ブチル3−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0206】
【化70】

(S)−tert−ブチル3−(メチルスルホニルオキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g、3.58mmol)及び2Mジメチルアミンをメタノール(60ml)に溶解させた溶液を密封管に入れ、48時間にわたって90℃まで加熱した。該反応混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。酢酸エチルを残渣に添加した。残留するメシレートを粉砕し、濾過によって除去した。濾液を真空中で濃縮して、粘着性の橙色の油として所望の化合物を得た(0.808g、収率99%)。
【0207】
方法O:(R)−N,N−ジメチルピペリジン−3−アミン塩酸塩
【0208】
【化71】

メタノール(13ml)中1.25M塩酸を、(R)−tert−ブチル3−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(808mg、3.54mmol)をメタノール(5ml)に溶解させた溶液に添加した。該反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮して、橙色の油として所望の生成物を得た(0.737g、定量的収率)。
【0209】
式Iの化合物の調製に使用される他のRH部分を、実施例6(方法M、N及びO):(S)−N,N−ジメチルピペリジン−3−アミン塩酸塩;(R)−1,3’−ビピロリジン塩酸塩、(S)−N−エチル−N−メチルピロリジン−3−アミン塩酸塩、(S)−1,3’−ビピロリジン塩酸塩に記載されている手順と同様の手順によって調製することができる。
【0210】
本発明の式Iの化合物に含まれる他のRH部分を、方法O:オクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン二塩酸塩によって調製することができる。
【0211】
(実施例7)
3−メチルピロリジン−3−オール
【0212】
【化72】

方法P:1−ベンジル−3−メチルピロリジン−3−オール
【0213】
【化73】

1−ベンジル−3−ピロリジノン(2mL、12.2mmol)をジエチルエーテル(20ml)に溶解させた溶液を、3Mの臭化メチルマグネシウム(5.29ml、15.86mmol)をジエチルエーテル(10ml)及びテトラヒドロフラン(5ml)に溶解させた撹拌溶液に0℃で一滴ずつ添加した。該反応混合物を0℃でさらに40分間撹拌した。該反応混合物を塩化アンモニウム水溶液で失活させ、化合物を酢酸エチルに抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、黄色油として表題の化合物を得た(1.04g、収率45%)。
【0214】
【化74】

方法Q:3−メチルピロリジン−3−オール
【0215】
【化75】

メタノール中1−ベンジル−3−メチルピロリジン−3−オール(1.04g、5.44mmol)及び10%の炭素上パラジウム(50%湿性)(300mg)の懸濁液をParrボトル中水素雰囲気下にて60psiで48時間振盪した。該反応混合物を、セライトの短孔路を通じて濾過し、メタノールで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、橙色の油を得た(472mg、収率86%)。
【0216】
【化76】

(実施例8)
(S)−3−メトキシピロリジン塩酸塩
【0217】
【化77】

方法R:(S)−tert−ブチル3−メトキシピロリジン−1−カルボキシレート
【0218】
【化78】

水素化ナトリウム(60%、256mg、6.40mmol)を、(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシピロリジン(1g、5.34mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解させた溶液に0℃で少しずつ添加した。該反応混合物を室温まで昇温させ、30分間撹拌した。該反応物を0℃まで冷却し、ヨウ化メチル(0.7ml、10.68mmol)を添加した。該混合物を室温まで昇温させ、さらに18時間撹拌した。水(20ml)及びジエチルエーテル(20ml)を添加した。水層をジエチルエーテルでさらに抽出した。一緒にした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、淡黄色油として表題の化合物を得た(0.794mg、収率74%)。
【0219】
(S)−3−メトキシピロリジン塩酸塩
【0220】
【化79】

方法Oを用いることによって、(S)−3−メトキシピロリジン塩酸塩を(S)−tert−ブチル3−メトキシピロリジン−1−カルボキシレートから調製した。
【0221】
(実施例9)
2−イソプロピル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)
【0222】
【化80】

方法S:tert−ブチル2−イソプロピル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート
【0223】
【化81】

(文献:US20060019985に記載されている手順に従って調製された)tert−ブチル2,8−ジアスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1.5g、6.25mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(2.1g、10mmol)及び酢酸(2滴)をアセトン(20ml)に溶解させた溶液を室温で16時間撹拌した。該反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(20ml)で加水分解し、化合物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、所望の化合物を得た(150mg、収率8%)。
【0224】
【化82】

2−イソプロピル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)
【0225】
【化83】

方法Jを用いることによって、2−イソプロピル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)をtert−ブチル2−イソプロピル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートから調製した。
【0226】
式Iの化合物の調製に使用される他のRH部分を、実施例9(方法S及びJ):2−イソプロピル−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)、2−イソプロピルオクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロールビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)に記載されている手順と同様の手順によって調製することができる。
【0227】
(実施例10)
2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン塩酸塩
【0228】
【化84】

方法T:tert−ブチル2−メチル−1−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート
【0229】
【化85】

4−スピロ−[3−(N−メチル−2−ピロリジノン)]−ピペリジン塩酸塩(1.0g、5mmol)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.4g、6mmol)及びトリエチルアミン(1.7ml、12mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶解させた溶液を室温で18時間撹拌した。該反応混合物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、所望の化合物を得た(1.3g、収率99%)。
【0230】
【化86】

方法U:tert−ブチル2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート
【0231】
【化87】

tert−ブチル2−メチル−1−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1.3g、4.84mmol)をテトラヒドロフラン(25ml)に吸収させ、0℃まで冷却した。テトラヒドロフラン(15ml、15mmol)中ボラン1Mを一滴ずつ添加した。次いで、該反応混合物を18時間にわたって加熱して還流させた。該反応物を0℃まで冷却し、メタノール(15ml)で失活させ、真空中で濃縮して、所望の化合物を得た(1.23g、定量的収率)。
【0232】
【化88】

2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン塩酸塩
【0233】
【化89】

方法Oを用いることによって、2−メチル−2,8−ジアゾスピロ[4.5]デカン塩酸塩をtert−ブチル2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートから調製した。
【0234】
(実施例11)
4−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)
【0235】
【化90】

方法V:1−tert−ブチル4−エチル4−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート
【0236】
【化91】

ヘキサン(15ml、37.5mmol)中ブチルリチウム2.5Mを、ジイソプロピルアミン(5.35ml、37.5mmol)をテトラヒドロフラン(200ml)に溶解させた氷冷溶液に15分間にわたって一滴ずつ添加した。該溶液を0℃で15分間撹拌し、次いで−70℃まで冷却した。1−tert−ブチル4−エチルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート(9.0g、35mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解させた溶液を15分間にわたって一滴ずつ添加した。該反応混合物を−70℃でさらに1時間撹拌した。ヨウ化メチル(3.2ml、52mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解させた溶液を15分間にわたって一滴ずつ添加した。該反応混合物を−70℃でさらに2時間撹拌し、次いで終夜室温まで昇温させた。該反応混合物をEtOAcと塩化アンモニウムの飽和溶液との間で分離させた。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、所望の化合物を得た(5.7g、収率60%)。
【0237】
【化92】

方法W:1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチルピペリジン−4−カルボン酸
【0238】
【化93】

2.0Mの水酸化ナトリウム(20ml)を、テトラヒドロフラン(40ml)及びメタノール(5ml)中1−tert−ブチル4−エチル4−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート(4g、14.76mmol)に添加した。該溶液を室温で48時間撹拌した。該反応混合物を酢酸エチルで抽出した。濃HCl溶液を用いて水層を酸性化してpH1〜2とした。該酸をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、所望の化合物を得た(2.7g、収率75%)。
【0239】
【化94】

方法X:tert−ブチル4−イソシアナト−4−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
【0240】
【化95】

クロロギ酸エチル(1.64ml、17mmol)を、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチルピペリジン−4−カルボン酸(2.7g、11mmol)及びトリエチルアミン(2.1ml、15.5mmol)をテトラヒドロフラン(40ml)に溶解させた溶液に一滴ずつ添加し、−15℃まで冷却した。該溶液を−15℃で20分間撹拌した。アジ化ナトリウム(1.44g、22mmol)を添加し、該反応混合物を−15℃でさらに1時間撹拌してから、室温まで昇温させた。該反応混合物を水とトルエンの間で分離させた。有機相を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で約50mlの容量まで濃縮した。該溶液を1時間にわたって加熱して還流させた後、窒素ガスの発生が停止した。該反応混合物を真空中で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、所望の化合物を得た(560mg、収率22%)。
【0241】
【化96】

方法Y:tert−ブチル4−アミノ−4−メチルピペリジン−1−カルボキシレート
【0242】
【化97】

テトラヒドロフラン(4ml)及び水(4ml)中水酸化カリウム(400mg、7mmol)とtert−ブチル4−イソシアナト−4−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(560mg、2.3mmol)の混合物を室温で18時間撹拌した。アミンを酢酸エチルで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、所望の化合物を得た(500mg、定量的収率)。
【0243】
【化98】

方法Z:tert−ブチル4−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0244】
【化99】

アセトニトリル(10ml)中tert−ブチル4−アミノ−4−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(300mg、1.4mmol)と炭酸カリウム(390mg、2.8mmol)と1,4−ジブロモブタン(367mg、1.7mmol)の混合物を密封管に入れ、100℃で18時間撹拌した。固体を濾過除去し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、所望の化合物を得た(102mg、収率27%)。
【0245】
【化100】

4−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)
【0246】
【化101】

方法Iを用いることによって、4−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジンビス(2,2,2−トリフルオロアセテート)をtert−ブチル4−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートから調製した。
【0247】
(実施例12)
4−(2−メトキシプロパン−2−イル)ピペリジン
【0248】
【化102】

方法AA:1−ベンジル4−エチルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート
【0249】
【化103】

クロロギ酸ベンジル(4.99ml、34.98mmol)を、イソニペコチン酸エチル(5.0g、31.8mmol)及びトリエチルアミン(5.76ml、41.34mmol)をクロロホルム(70ml)に溶解させた溶液に0℃で一滴ずつ添加した。添加後、該反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温まで昇温させ、18時間撹拌した、該反応混合物を1MのHClで2回洗浄し、食塩水で洗浄した。該溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、無色油として所望の化合物を得た(6.10g、収率66%)。
【0250】
【化104】

方法BB:ベンジル4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0251】
【化105】

テトラヒドロフラン(15ml)中1−ベンジル4−エチルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート(3.0g、10.3mmol)を、テトラヒドロフラン(8.58ml、31.8mmol)中塩化メチルマグネシウム3Mをテトラヒドロフラン(10ml)に溶解させた溶液に−78℃で一滴ずつ添加した。添加後、該反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次いで室温まで昇温させ、さらに1時間撹拌した。1MのHCl溶液を添加することによって該反応混合物を失活させ、次いで酢酸エチルで2回抽出した。一緒にした有機物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、無色油として所望の化合物を得た(2.04g、収率71%)。
【0252】
【化106】

方法CC:ベンジル4−(2−メトキシプロパン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0253】
【化107】

鉱油(242mg、6.06mmol)中60%水素化ナトリウム及びテトラヒドロフラン(10ml)中ヨウ化メチル(0.74ml、12.12mmol)の懸濁液にテトラヒドロフラン(10ml)中ベンジル4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.12g、4.04mmol)を室温で少しずつ慎重に添加した。該反応混合物を18時間にわたって50℃まで加熱した。該反応混合物を0℃まで冷却し、塩化アンモニウムの飽和溶液を添加することによって慎重に失活させ、次いで酢酸エチルで2回抽出した。一緒にした有機物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、無色油として所望の化合物を得た(634mg、収率54%)。
【0254】
【化108】

方法DD:4−(2−メトキシプロパン−2−イル)ピペリジン
【0255】
【化109】

メタノール(20ml)中50%の水(0.120g)を含むベンジル4−(2−メトキシプロパン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.634g、2.18mmol)及び10%炭素上パラジウムの懸濁液を水素雰囲気下で3日間撹拌した。該反応混合物をセライトで濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をメタノール(約4ml)に再溶解させ、SCX−2カートリッジ上に充填し、メタノールで洗浄し、メタノール中2NのNH3で洗浄することによって放出させた。該混合物を真空中で濃縮して、黄色油として表題の化合物を得た(0.273g、収率80%)。
【0256】
【化110】

(実施例13)
N−tert−ブチル−N−メチルピペリジン−4−アミン
【0257】
【化111】

1−ベンジル−N−tert−ブチルピペリジン−4−アミン
【0258】
【化112】

方法Kを用いることによって、1−ベンジル−N−tert−ブチルピペリジン−4−アミンをN−ベンジル−4−ピペリドン及びtert−ブチルアミンから調製した。
【0259】
【化113】

方法EE:1−ベンジル−N−tert−ブチル−N−メチルピペリジン−4−アミン
【0260】
【化114】

1−ベンジル−N−tert−ブチルピペリジン−4−アミン(300mg、1.22mmol)、88%のギ酸(0.2ml、2.44mmol)及び37%のホルムアルデヒド(0.3ml、1.83mmol)を55℃まで12時間加熱した。8Mの水酸化カリウム(0.4ml)を食塩水と混合して添加した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、油として所望の化合物を得た(117mg、収率40%)。
【0261】
【化115】

N−tert−ブチル−N−メチルピペリジン−4−アミン
【0262】
【化116】

方法Qを用いることによって、N−tert−ブチル−N−メチルピペリジン−4−アミンを1−ベンジル−N−tert−ブチル−N−メチルピペリジン−4−アミンから調製した。
【0263】
【化117】

Qが硫黄原子である式Iの化合物の調製に使用される異なるRQH部分を、商業的に入手可能な4−アミノチオフェノール、ビス−(4−アミノフェニル)ジスルフィド又はヨード誘導体から出発する3つの異なる手法によって調製した。それらの3つの手法の概要を以下に記載する。
【0264】
(実施例14)
方法FF:N−(4−メルカプトフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
【0265】
【化118】

トリエチルアミン(160.6ml、1.14mol)を、4−アミノチオフェノール(65.02g、520mmol)をテトラヒドロフラン(1L)に溶解させた溶液に添加し、0℃まで冷却した。シクロプロパンカルボン酸塩化物(103.7ml、1.14mol)を一滴ずつ添加して、温度を10℃未満に維持した。反応混合物を0℃で20分間撹拌し、次いで1時間にわたって室温まで昇温させた。固体を濾過除去し、濾液を真空中で濃縮した。
【0266】
残渣をエタノール(375ml)及び水(625ml)中水酸化ナトリウム(65.02g、1.63mol)で処理した。該反応混合物を1時間にわたって100℃まで加熱し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を水で希釈し、セライトの孔路を通じて濾過した。濾液を濃塩酸で酸性化し、得られた固体を濾過した。固体を酢酸エチル(3.75L)に溶解させ、食塩水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、表題の化合物を得た(86.3g、収率86%)。
【0267】
【化119】

Qが硫黄原子である本発明の式Iの化合物の調製に使用される他のRQH部分を、実施例14(方法FF):3,3,3−トリフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)プロパンアミドに記載されている手順と同様の手順によって調製することができる。
【0268】
(実施例15)
N−(4−メルカプトフェニル)プロピオンアミド
【0269】
【化120】

方法GG:N,N’−(4,4’−ジスルファンジイルビス(4,1−フェニレン))ジプロピオンアミド
【0270】
【化121】

塩化プロピオニル(18.3ml、0.21mol)を、ビス−(4−アミノフェニル)ジスルフィド(26g、0.10mmol)及びトリエチルアミン(42ml、0.30mol)をジクロロメタン(600ml)に溶解させた溶液に添加し、0℃まで冷却した。該反応混合物を0℃で5分間撹拌し、次いで1時間にわたって室温まで昇温させた。この時間を通じて、白色の析出物が形成した。該反応混合物を半分の容量まで濃縮し、白色固体を濾過除去し、少量のジクロロメタンで洗浄した、濾液を再び部分的に濃縮し、残留する白色固体を濾過除去し、洗浄した。2つのバッチの固体を一緒にした(32.4g、収率90%)。MS (ES)361,(ES)359。
【0271】
方法HH:N−(4−メルカプトフェニル)プロピオンアミド
【0272】
【化122】

トリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP.HCl、3.66g、12.77mmol)を、N,N’−(4,4’−ジスルファンジイルビス(4,1−フェニレン))ジプロピオンアミド(4g、11.1mmol)及びトリエチルアミン(1.67ml、11.99mmol)を水(4ml)とジメチルホルムアミド(25ml)の混合物に溶解させた溶液に添加し、0℃まで冷却した。該反応混合物を室温まで昇温させ、室温で90分間撹拌した。該反応混合物を水(100ml)で希釈し、所望の生成物を析出させた。白色固体を濾過によって単離し、水で洗浄した。固体を酢酸エチルに溶解させ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、白色固体として表題の化合物を得た(3.13g、収率78%)。
【0273】
【化123】

Qが硫黄原子である式Iの化合物の調製に使用される他のRQH部分を、実施例15(方法GG及びHH):4,4,4−トリフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)ブタンアミド、N−(4−メルカプトフェニル)−1−(トリフルオロメチル)シクロプロパンカルボキサミド、2,2−ジフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)シクロプロパンカルボキサミド、2−シクロプロピル−N−(4−メルカプトフェニル)アセトアミド、2−シクロペンチル−N−(4−メルカプトフェニル)アセトアミド、2−クロロ−N−(4−メルカプトフェニル)ベンズアミド、N−(4−メルカプトフェニル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミドに記載されている手順と同様の手順によって調製することができる。
【0274】
(実施例16)
N−(2−フルオロ−4−メルカプトフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
【0275】
【化124】

方法II:N−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
【0276】
【化125】

トリエチルアミン(8ml、57.40mmol)を、2−フルオロ−4−ヨードアニリン(11g、46.41mmol)をテトラヒドロフラン(60ml)に溶解させた溶液に添加し、0℃まで冷却した。シクロプロパンカルボン酸塩化物(4.6ml、50.60mmol)を一滴ずつ添加して、温度を10℃未満に維持した。該反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで30分間にわたって室温まで昇温させた。該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1Mの塩酸、重炭酸ナトリウムの飽和溶液及び食塩水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製して、橙色の固体として表題の化合物を得た(14g、収率99%)。
【0277】
方法JJ:N,N’−(4,4’−ジスルファンジイルビス(2−フルオロ−4,1−フェニレン))ジシクロプロパンカルボキサミド
【0278】
【化126】

丸底フラスコに、N−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)シクロプロパンカルボキサミド(15g、49.17mmol)、チオ尿素(7.5g、98.53mmol)、シリカ上ニッケル(2.5g)及びNMP(100ml)を充填した。該混合物を140℃で18時間加熱した。該反応混合物を冷却させ、セライトで濾過し、酢酸エチルで希釈し、水及び食塩水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、N,N’−(4,4’−ジスルファンジイルビス(2−フルオロ−4,1−フェニレン))ジシクロプロパンカルボキサミド(2.2g、収率23%)とN−(2−フルオロ−4−メルカプトフェニル)シクロプロパンカルボキサミド(2.4g、収率11%)の混合物を得た。
【0279】
方法KK:N−(2−フルオロ−4−メルカプトフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
【0280】
【化127】

トリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP.HCl、2.3g、8.04mmol)を、N,N’−(4,4’−ジスルファンジイルビス(2−フルオロ−4,1−フェニレン))ジシクロプロパンカルボキサミド(3.31g、7.87mmol)及びトリエチルアミン(1.1ml、7.91mmol)を水(2ml)とジメチルホルムアミド(10ml)の混合物に溶解させた溶液に添加した。該反応混合物を室温で1時間撹拌した。該反応混合物を水(200ml)で希釈した。固体を濾過除去し、酢酸エチルに再溶解させ、次いで食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、化合物を得た。
【0281】
Qが硫黄原子である式Iの化合物の調製に使用される他のRQH部分を、実施例16(方法II、JJ及びKK):N−(3−フルオロ−4−メルカプトフェニル)シクロプロパンカルボキサミドに記載されている手順と同様の手順によって調製することができる。
【0282】
以下の表2は、表1の化合物のデータを示す。化合物番号は、表1に示される化合物に対応する。
【0283】
【表2−1】

【0284】
【表2−2】

【0285】
【表2−3】

【0286】
【表2−4】

【0287】
【表2−5】

【0288】
【表2−6】

【0289】
【表2−7】

【0290】
【表2−8】

(実施例17)
オーロラ−2(オーロラA)阻害アッセイ
標準的な結合酵素アッセイ(Foxら、Protein Sci.、(1998年)7、2249)を用いて、化合物を、オーロラ−2を阻害するそれらの能力について選別した。アッセイを、100mMのHepes(pH7.5)と10mMのMgClと1mMのDTTと25mMのNaClと2.5mMのホスホエノールピルベートと300μMのNADHと30μg/mlのピルベートキナーゼと10μg/mlのラクテートデヒドロゲナーゼとの混合物中で実施した。アッセイにおける最終基質濃度は、400μMのATP(Sigma Chemicals社)及び570μMのペプチド(ケムプチド、American Peptide社、カリフォルニア州Sunnyvale)であった。アッセイを30℃にて、40μMのオーロラ−2の存在下で実施した。
【0291】
オーロラ−2及び対象となる試験化合物を除いては、以上に挙げた試薬のすべてを含むアッセイ緩衝原液を調製した。55μlの原液を96ウェルプレートに仕入れ、続いて試験化合物の(典型的には7.5μMの最終濃度から出発する)段階希釈物を含む2μlのDMSO原液を添加した。プレートを30℃で10分間プレインキュベートし、10μlのオーロラ−2を添加することによって反応を開始させた。10分間にわたって、Molecular Devices SpectraMax Plusプレートリーダを用いて初期反応速度を測定した。Prismソフトウェアパッケージ(マッキントッシュ用GraphPad Prismバージョン3.0cx、GraphPad Software社、米国カリフォルニア州San Diego)を使用して、非線形回帰分析からIC50及びKiデータを計算した。
【0292】
化合物I−2からI−7、I−9からI−12、I−14からI−27、I−29からI−85は、10nM Ki以下のオーロラAキナーゼ活性を有することが判明した。
【0293】
化合物I−1、I−8、I−13及びI−28は、10nM Kiを超え、50nM Ki以下のオーロラAキナーゼ活性を有することが判明した。
【0294】
(実施例18)
オーロラ−1(オーロラB)阻害アッセイ(放射測定)
25mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、0.1%のBSA及び10%のグリセロールからなるアッセイ緩衝液を調製した。1.7mMのDTT及び1.5mMのケムプチド(LRRASLG)をも含む22nMのオーロラ−B溶液をアッセイ緩衝液で調製した。96ウェルプレートにおける22μLのオーロラ−B溶液に対して、DMSO中2μlの化合物原液を添加し、該混合物を25℃で10分間平衡させた。アッセイ緩衝液で調製された16μlの[γ−33P]−ATP原液(約20nCi/μL)を800μMの最終アッセイ濃度まで添加することによって酵素反応を開始した。3時間後に、16μLの500mMリン酸を添加することによって反応を停止させ、ペプチド基質への33P統合レベルを以下の方法によって測定した。
【0295】
酵素反応混合物(40μL)を添加する前に、ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore社、カタログ番号MAPHNOB50)を100μLの100mMリン酸で前処理した。該溶液を30分間にわたってホスホセルロース膜に染みこませ、続いてプレートを200μLの100mMリン酸で4回洗浄した。シンチレーション計数(1450Microbeta Liquid Scintillation Counter、Wallac社)を行う前に、乾燥プレートの各ウェルに30μLのオプチファーゼ「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer社)を添加した。[γ−33P]−ATP溶液を添加する前に、(酵素を変性させるように作用する)すべてのアッセイ成分を含む対照ウェルに16μLの500mMリン酸を添加することによって、非酵素触媒バックグラウンド放射活性のレベルを測定した。平均バックグラウンド計数値を各阻害薬濃度において測定されたものから減算することによって酵素触媒33P統合レベルを計算した。各Ki測定について、典型的には0〜10μMの濃度範囲の化合物を包含する8つのデータ点を2回ずつ得た(DMSO原液を10mMの初期化合物原液から調製し、続いて1:2.5まで段階希釈した)。Prismソフトウェアパッケージ(Prism 3.0、Graphpad Software社、カリフォルニア州San Diego)を使用して、非線形回帰によってKi値を初期速度データから計算した。
【0296】
化合物I−20、I−32、I−35、I−63、I−67、I−69からI−72、I−74、I−76及びI−78からI−80は、10nM Ki以下のオーロラBキナーゼ活性を有することが判明した。
【0297】
化合物I−5からI−7、I−9、I−11、I−14からI−18、I−21、I−22、I−26、I−27、I−29、I−31、I−33、I−38からI−40、I−42からI−47、I−49、I−51、I−54、I−56からI−62、I−64からI−66、I−68、I−73、I−75、I−77、I−81、I−82、I−84及びI−85は、10nMを超え、50nM Ki以下のオーロラBキナーゼ活性を有することが判明した。
【0298】
化合物I−1からI−4、I−8、I−10、I−12、I−13、I−19、I−23からI−25、I−28、I−30、I−34、I−36、I−37、I−41、I−48、I−50、I−52、I−53、I−55及びI−83は、50nM Kiを超え、1μM Ki以下のオーロラBキナーゼ活性を有することが判明した。
【0299】
(実施例19)
ミクロソーム安定性アッセイ
一連の種(雄のCD−1マウス、雄のスプラーグドーリーラット、雄のビーグルドッグ、雄のカニクイザル及びヒト両性集団)のミクロソームにおける消耗−時間プロファイルを生成することによってミクロソーム安定性を監視した。DMSO中化合物原液(典型的には10mM)を希釈してアセトニトリル中溶液(0.5mM)を与えることによって、化合物スパイキング溶液を構成した。(5μMの最終濃度を与える)化合物を、肝臓ミクロソームタンパク質(1mg/mL)、及び[2mMのβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、20.5mMのイソクエン酸、0.5Uのイソシトレートデヒドロゲナーゼ/mL、30mMの塩化マグネシウム及び0.1Mのリン酸緩衝液(PB)pH7.4からなる]還元型(NADPH)−再生系(RGS)であるβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェートからなる最終反応混合物(1000μL)とともに、0.1MのPB(pH7.4)の存在下でインキュベートした。
【0300】
プレインキュベートしたRGSをプレインキュベートしたミクロソーム/VRT/PB混合物(いずれも37℃で10分間プレインキュベートした)に(250μL)添加することによって反応を開始させた。マルチプローブII HT Ex自動液体ハンドラに取りつけられたヒータシェーカ(路床に固定され、パッカードマニュアルヒータによって制御される2つのプレートヒータによって37℃に加熱されるように改造されたDPC Micromix 5(設定;20型、振幅4))上のエッペンドルフバイアル瓶(1.5ml)内で試料をインキュベートした。液体ハンドラを、インキュベーションの0、2、10、30及び60分後にミクロソームインキュベーション混合物をサンプリングし、100μLの冷却メタノールを含む停止ブロック(96ウェルブロック)に一定分量(100μL)を移すようにプログラム化した(WinPREPソフトウェア)。適切な容量の水/有機物(典型的には100μLの50:50メタノール:水)を添加することによって、停止混合物における有機物%を分析に対して最適化した。
【0301】
分析前に、タンパク質を析出させるために、停止ブロックをシェーカ(DPC Micromix 5;10分、20型、振幅5)上に配置した。次いで、ブロックを遠心した(Jouan GR412;2000 rpm、15分、4℃)。次いで、試料一定分量(200μL)を分析ブロックに移し、ブロックを分析のために送る前に再び遠心した(Jouan GR412;2000rpm、5分、4℃)。液体クロマトグラフィータンデム型質量分析(LC−MS/MS)によってVRTの消失を監視することによって消耗プロファイルを測定した。試料を分析カラム上に射出した(20μL;オートサンプラーが装備されたAgilent 1100液体クロマトグラフィーシステム)。移動相は、水+0.05%(v/v)ギ酸(A)及びメタノール+0.05%(v/v)ギ酸(B)からなっていた。
【0302】
対象となる化合物に対して最適化された勾配法を実行して、分析カラムから化合物を溶離した。全実行時間は6分間であり、流量は0.35mL/分であった。全カラム溶出液が、0.5分と5.9分の実行時間の間に、Micromass Quattro LCタンデム型質量分析計の電気スプレー電離源(ポジティブモード)に入った。質量分析を対象となる化合物に対して最適化した。すべてのインキュベーションを2回ずつ実施し、0分試料と相対的に30分又は60分で残留する親化合物%として結果を表した。
【0303】
以下の化合物は、ヒト肝臓ミクロソームとともに30分間インキュベートした後に残留する親化合物が50%を超えることが判明した。I−2、I−11、I−16、I−18からI−20、I−32、I−34、I−35、I−40、I−43、I−47からI−50、I−53からI−57、I−60、I−62からI−65、I−67、I−70からI−78、I−80、I−81及びI−83。
【0304】
以下の化合物は、ヒト肝臓ミクロソームとともに60分間インキュベートした後に残留する親化合物が50%を超えることが判明した。I−7、I−11、I−18からI−20、I−26、I−31からI−35、I−41、I−47、I−49、I−51、I−53、I−54、I−56、I−57、I−59、I−65、I−68、I−71、I−73、I−74、I−76からI−78、I−81及びI−83。
【0305】
(実施例20)
細胞増殖の分析
ECACCから得られたColo205細胞及び以下に示すアッセイを用いて、化合物を、細胞増殖を阻害するそれらの能力について選別した。
【0306】
Colo205細胞を96ウェルプレートに接種し、段階希釈した化合物をウェルに2回ずつ添加した。対照グループには、未処理の細胞、化合物希釈剤(0.1%DMSOのみ)及び細胞を含まない培地が含まれていた。次いで、細胞を5%CO2/95%湿度の雰囲気中にて37℃で72又は96時間インキュベートした。
【0307】
増殖を測定するために、実験終了3時間前に、0.5μCiの3Hチミジンを各ウェルに添加した。次いで、細胞を収穫し、Wallacマイクロプレートベータ計数器で統合放射能を計数した。Prism3.0(GraphPad社)又はSoftMax Pro4.3.1 LS(Molecular Devices社)ソフトウェアを使用して、投与量応答曲線を算出した。
【0308】
以下の化合物は、72時間後に25nM以下のIC50値を有していた。I−56、I−59、及びI−63からI−74。
【0309】
以下の化合物は、72時間後に、25nMを超え、125nM以下のIC50値を有していた。I−26、I−27、I−41、I−53、及びI−75からI−84。
【0310】
以下の化合物は、96時間後に50nM以下のIC50値を有していた。I−36からI−62。
【0311】
以下の化合物は、96時間後に、50nMを超え、200nM以下のIC50値を有していた。I−8からI−35。
【0312】
以下の化合物は、96時間後に、200nMを超え、1μM以下のIC50値を有していた。I−1からI−7、及びI−85。
【0313】
(実施例21)
Ablキナーゼ活性阻害アッセイ及び阻害定数Kiの測定
標準的な結合酵素システム(Foxら、Protein Sci.、7、2249頁(1998年))を用いて、化合物を、N末端切断(Δ27)Ab1キナーゼ活性を阻害するそれらの能力について選別した。100mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、25mMのNaCl、300μMのNADH、1mMのDTT及び3%のDMSOを含む溶液中で反応を実施した。アッセイにおける最終基質濃度は、110μMのATP(Sigma Chemicals社、ミズーリ州St Louis)及び70μMのペプチド(EAIYAAPFAKKK、American Peptide社、カリフォルニア州Sunnyvale)であった。反応を30℃及び21nMのAblキナーゼで実施した。結合酵素システムの成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルベート、200μMのNADH、60μg/mlのピルベートキナーゼ及び20μg/mlのラクテートデヒドロゲナーゼであった。
【0314】
ATP及び対象となる試験化合物を除いては、以上に挙げた試薬のすべてを含むアッセイ緩衝原液を調製した。アッセイ緩衝原液(60μl)を、最終濃度を典型的には0.002μMから30μMとして2μlの対象となる試験化合物とともに30℃で10分間にわたって96ウェルプレートにてインキュベートした。典型的には、娘プレート中の試験化合物のDMSOによる(1mM化合物原液からの)段階希釈物によって12点滴定試料を調製した。5μlのATP(最終濃度110μM)を添加することによって反応を開始した。30℃で10分間にわたってMolecular Devices Spectramaxプレートリーダ(カリフォルニア州Sunnyvale)を使用して反応速度を求めた。非線形回帰(Prism 3.0、Graphpad Software社、カリフォルニア州San Diego)を用いて、Ki値を阻害薬濃度の関数として残りの速度データから測定した。
【0315】
化合物I−4、I−18、I−24、I−29、I−38、I−39、I−46、I−52、I−53、I−57、I−60、I−68及びI−78は、25nM未満のKi値でAblキナーゼを阻害することが判明した。
【0316】
化合物I−7、I−12、I−27、I−41、I−42、I−63、I−65、I−69、I−71、I−80及びI−81は、25nM以上100nM以下のKi値でAblキナーゼを阻害することが判明した。
【0317】
(実施例22)
突然変異Ablキナーゼ(T315I)活性阻害アッセイ及び阻害定数IC50の測定
化合物を、Upstate Cell Signaling Solutions(Dundee社、英国)のヒトAblのT315I突然変異型を阻害するそれらの能力について選別した。25μlの最終反応容量において、ヒトAblのT315I突然変異型(5〜10mU)を8mMのMOPS(pH7.0)、0.2mMのEDTA、50μMのEAIYAAPFAKKK、10mMの酢酸Mg、[γ−33P−ATP](約500cpm/pmolの特異的活性、10mMの最終アッセイ濃度)及び対象となる試験化合物とともに、0〜4μnMの範囲の最終濃度でインキュベートした。MgATP混合物を添加することによって反応を開始した。室温で40分間インキュベートした後、5μlの3%リン酸溶液を添加することによって反応を停止させた。次いで、10μlの反応物をP30フィルタマット上に点在させ、75mMのリン酸で5分間にわたって3回洗浄し、乾燥及びシンチレーション計数の前にメタノールで1回洗浄した。阻害IC50値を、阻害薬濃度の関数として、残留酵素活性の非線形回帰分析から測定した(Prism 3.0、Graphpad Software社、カリフォルニア州San Diego)。
【0318】
化合物I−7、I−27、I−29、I−41、I−53、I−63、I−65、I−68、I−69、I−71、I−72、I−78、I−80及びI−81は、200nM未満のKi値で突然変異Ablキナーゼ(T315I)キナーゼを阻害することが判明した。
【0319】
化合物I−18、I−42、I−55、I−61及びI−82は、200nM以上500nM以下のKi値で突然変異Ablキナーゼ(T315I)キナーゼを阻害することが判明した。
【0320】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、我々の基本的な実施例を変更して、本発明の化合物、方法及びプロセスを利用又は包含する他の実施形態を提供できることが明らかである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化128】

又はその医薬として許容し得る塩[式中、
Htは、
【化129】

であり;
は、H、C1〜3アルキル又はシクロプロピルであり;
2’は、Hであり;
Qは、−O−、−S−又は−C(R’)−であり;
は、H又はFであり;
は、
【化130】

であり;
は、F、NR、CN、OR、オキソ(=O)、又は1個のOH若しくはOCHで場合により置換されたC2〜6アルキルであり;
各Jは、独立に、C1〜6アルキル、F、NR、CN又はORであり;或いは2個のJ基は、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、該環は、0〜3個のJで場合により置換されており;
nは、1又は2であり;
は、H、C1〜5アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;
は、C1〜5アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;或いは
及びRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、O、N又はSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む3〜6員単環を形成し、該単環は、0〜3個のJで場合により置換されており;
は、H、C1〜4アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;該C1〜4アルキル又はC3〜6シクロアルキルは、1〜3個のフッ素原子で場合により置換されており;
は、F又はRであり;
は、フェニル又は6員へテロアリール環であり;該へテロアリールは、O、N及びSから選択される1〜4個の環ヘテロ原子を有し;Rは、0〜4個の−NHC(O)R又は0〜4個のフッ素原子で場合により置換されており;
は、C1〜6脂肪族又はフェニルであり、該Rは、0〜6個のJで場合により置換されており;
各Jは、独立に、ハロ、C1〜6アルキル、−O−(C1〜6アルキル)、−S−(C1〜6アルキル)、ニトロ又はCNであり、該C1〜6アルキル基は、0〜3個のフッ素原子で場合により置換されており;或いは2個のJ基は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、O、N及びSから選択される0〜1個のヘテロ原子を含む3〜5員単環式基を形成し;
各Rは、独立に、C1〜6脂肪族;O、N又はSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜6員へテロアリールであり;各Rは、0〜3個のJで場合により置換されており;
は、独立に、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロC1〜4脂肪族である。]。
【請求項2】
QがSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がHである、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がC1〜3アルキル又はシクロプロピルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がC1〜3アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
2’がHである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
がフェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Htが
【化131】

である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Htが
【化132】

である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
nが1である、請求項8又は請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
nが2である、請求項8又は請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
各Jが独立にC1〜6アルキル、F、NR、CN又はORである、請求項10又は請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
2個のJ基が、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、該環が0〜3個のJで場合により置換されている、請求項10又は請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
がパラ位において置換されている、請求項12又は請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が1個の−NHC(O)Rで場合により置換されている、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
がC1〜6脂肪族であり、該Rが0〜6個のJで場合により置換されている、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が−CHCH、−CHCF、−CHCHCF、シクロプロピル、又は
【化133】

である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
がフェニルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
がオルト位においてJで置換されている、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
がハロゲン、−CF、C1〜3アルキル、−S−(C1〜3アルキル)又はOCFである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】

【化134】

であり;
nが2であり;
2個のJ基が、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、該環が0〜3個のJで場合により置換されている、請求項1〜9、14〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記2個のJ基が、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜7員スピロ環式ヘテロシクリル環を形成し、該環が0〜3個のJで場合により置換されている、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
前記2個のJ基が、それらが結合した原子と一緒になって、N又はOから選択される1個のヘテロ原子を含む5員スピロ環式ヘテロシクリル環を形成し、該環が0〜3個のJで場合により置換されている、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
前記2個のJ基が、それらが結合した原子と一緒になって、1個のNヘテロ原子を含む5員スピロ環式ヘテロシクリル環を形成し、該環が0〜3個のJで場合により置換されている、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
前記2個のJ基が、それらが結合した原子と一緒になって、1個のNヘテロ原子を含む5員スピロ環式ヘテロシクリル環を形成し、該環が1個のJで場合により置換されている、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記JがRであり、該RがC1〜6アルキルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
がフェニルであり、Rが0〜4個の−NHC(O)Rで置換されている、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
がC1〜6アルキルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
がシクロプロピルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】

【化135】

である、請求項25に記載の化合物。
【請求項31】

【化136】

である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
がCHである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】

【化137】

である、請求項30〜32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
がC1〜6脂肪族である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
がエチル又はシクロプロピルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】

【化138】

であり;
nが1であり;
がFであり;
が1個の−NHC(O)Rで置換されており;
がC1〜6脂肪族であり、該Rが0〜6個のJで置換されており;
各Jがハロである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】

【化139】

である、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】

【化140】

である、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
がCHCF又はCHCHCFである、請求項36〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
がエチル又はシクロプロピルである、請求項36〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
がCHCFである、請求項39に記載の化合物。
【請求項42】

【化141】

であり;
nが1であり;
がNRであり;
が1個の−NHC(O)Rで置換されており;
がC1〜6脂肪族であり、該Rが0〜6個のJで置換されており;
各Jがハロである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】

【化142】

である、請求項41に記載の化合物。
【請求項44】

【化143】

である、請求項42に記載の化合物。
【請求項45】
がCHCF又はCHCHCFである、請求項42〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
がエチル又はシクロプロピルである、請求項42〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項47】
がCHCFである、請求項45に記載の化合物。
【請求項48】
以下の化合物:
【化144】

【化145】

【化146】

【化147】

【化148】

【化149】

【化150】

【化151】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項49】
式Iの化合物:
【化152】

又はその医薬として許容し得る塩[式中、変数は、請求項1〜48のいずれか一項に定義されている通りである]を含む組成物。
【請求項50】
生体試料におけるオーロラタンパク質キナーゼ活性を阻害する方法であって、該生体試料と、式Iの化合物:
【化153】

又はその医薬として許容し得る塩[式中、変数は、請求項1〜48のいずれか一項に定義されている通りである]とを接触させることを含む方法。
【請求項51】
患者における増殖性障害を治療する方法であって、該患者に対して、式Iの化合物:
【化154】

又はその医薬として許容し得る塩[式中、変数は、請求項1〜48のいずれか一項に定義されている通りである]を投与する工程を含む方法。
【請求項52】
前記増殖性障害が癌である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記増殖性障害が、黒色腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、又は結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、中枢神経系(CNS)の癌、腎癌、前立腺癌、膀胱癌、膵臓癌、脳腫瘍(膠腫)、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、黒色腫、肉腫若しくは甲状腺癌から選択される癌から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
治療薬の連続投与又は同時投与をさらに含む、請求項51〜53に記載の方法。
【請求項55】
前記治療薬が、タキサン、bcr−ablの阻害薬、EGFRの阻害薬、DNA損傷薬及び抗代謝薬から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記治療薬が、パクリタキセル、Gleevec、ダサチニブ、ニロチニブ、タルセバ、Iressa、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、アントラサイクリン、AraC及び5−FUから選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記治療薬が、カムプトテシン、ドキソルビシン、イダルビシン、シスプラチン、Taxol、タキソテール、ビンクリスチン、タルセバ、MEK阻害薬、U0126、KSP阻害薬、ボリノスタット、Gleevec、ダサチニブ及びニロチニブから選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記治療薬がダサチニブである、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記治療薬がニロチニブである、請求項54に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522194(P2010−522194A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554707(P2009−554707)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/057465
【国際公開番号】WO2008/115973
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】