説明

クラッチレリーズ軸受装置用玉軸受

【課題】密封性を確保したまま内圧の過剰な上昇を効率よく抑えることが可能であり、かつ、低トルク化が可能であるクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を提供する。
【解決手段】FR車に搭載されたクラッチレリーズ軸受装置1の玉軸受12において、外輪14と内輪15との間を密封する二つのシール部材(17、18)のうちフロント側のシール部材17の内周端部を、内輪15のエンジン側端部を径方向内側に延設した鍔部20の外端面25にアキシャル接触させる。なお、シール部材(17、18)は、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)や耐熱ニトリルゴムなどのニトリルゴムで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車をはじめとする車両のクラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受装置の玉軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クラッチレリーズ軸受装置は、マニュアル車(MT車)などにおいて、クラッチペダルを操作することにより、エンジンからトランスミッションへの動力の伝達或いは遮断を行うものであり、エンジンとトランスミッションとの間に介装される。
【0003】
エンジンからトランスミッションへの動力を遮断する際、クラッチレリーズ軸受装置を軸方向移動させてクラッチディスクをフライホイールから離隔させることにより行うが、この軸方向移動させる方向でクラッチレリーズ軸受装置をプッシュタイプとプルタイプに大別することができる。プッシュタイプは、エンジンからの動力を遮断する際、エンジン側に軸方向移動させるものであり、プルタイプは、トランスミッション側に軸方向移動させるものである。このようなクラッチレリーズ軸受装置は玉軸受を備えている。
【0004】
この玉軸受は、エンジン側の軸心とトランスミッション側の軸心との間にズレが生じた場合に、このズレに応じて半径方向に移動して、両軸心を自動的に調心する。
【0005】
図5にダイレクトシリンダタイプ(油圧プッシュタイプ)のクラッチレリーズ軸受装置を例示する。このクラッチレリーズ軸受装置(以下軸受装置とする)101は、円筒形状の外側本体102と、固定部品103と、ピストン104と、クラッチレリーズ軸受装置用玉軸受(以下軸受とする)112とを主要部とする。
【0006】
外側本体102は、トランスミッション側(図面右側)がケーシング122に取付固定されており、エンジン側(図面左側)に延設されたキャビティ108を有する。このキャビティ108の内周側に、環状のピストン104および環状の固定部品103が順に配置されている。
【0007】
固定部品103は、軸方向に延びるガイドチューブ105から成り、エンジン側は外側本体102の外部へ延びている。ピストン104は、固定部品103に対して軸方向移動可能に配置され、固定部品103との間に介在されたピストン支持チューブ113により支持されている。ピストン104の外周面には予圧スプリング121が配置されている。この予圧スプリング121は、軸受112の内輪114と協働するように構成され、固定部品103とピストン104との間で作用して、軸受112にエンジン側への予圧を付与する。
【0008】
外側本体102は、その内周面109に凹溝110が形成されており、この凹溝110に、ガイドチューブ105のトランスミッション側端部が径方向外側に延設されて成るラジアルエッジ111が嵌合されている。
【0009】
このラジアルエッジ111と、キャビティ108と、ピストン104とで中空の容積可変チェンバ106が構成されている。この容積可変チェンバ106にはオイル等の制御流体が封入されており、この制御流体によりキャビティ108の内部が加減圧されている。また、容積可変チェンバ106は制御用油圧発生器(図示省略)に接続されている。
【0010】
軸受112は、外輪114および内輪115と、外輪114と内輪115との間に介在されたボール116とで主要部が構成されている。外輪114のエンジン側端部(図面左側)は、径方向内側に延設されて鍔部119を成し、内輪115のエンジン側端部は、径方向内側に延設されて鍔部120を成す。なお、外輪鍔部119は、予圧スプリング121により、ダイアフラムスプリング130に常時当接された状態である。
【0011】
外輪114と内輪115との間は、軸受112の拡大図である図6に示すように、二つのシール部材(117、118)により密封されており、このシール部材(117、118)により、軸受内部に封入されたグリースなどの潤滑成分の外部への漏出と、外部からの異物の侵入が防止されている(特許文献1参照)。
【0012】
エンジンからトランスミッションへの動力の伝達時は、軸受112の外輪鍔部119とダイアフラムスプリング130とを常時当接させた状態にし、これによりクラッチディスク(図示省略)をフライホイール(図示省略)に密着させた状態とすることで可能である。また、エンジンからトランスミッションへの動力の遮断時は、制御用油圧発生器で容積可変チェンバ106の制御流体を加圧して、容積可変チェンバ106の容積が増加するようにピストン104をエンジン側に変位させることで可能である。この場合、軸受装置101がエンジン側に軸方向移動して、軸受112の外輪鍔部119がダイアフラムスプリング130を押圧するため、クラッチディスク(図示省略)がフライホイール(図示省略)から引き離されて、エンジンからトランスミッションへの動力が遮断される。
【特許文献1】特開2006−189086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
さて、図5に示す軸受112のシール部材(117、118)の内周端部は、図6に示すように、内輪115の外面124に摺動可能にラジアル接触(径方向接触)されている。
【0014】
この場合、例えば、エンジン側のシール部材117は、内輪115の外面124とシール部材117とが高い密着性で接触することから、軸受112の内圧が上昇した際に内圧を解放するのが困難となる。このため、軸受112の内圧が過剰に上昇して、その内圧でシール部材(117、118)が軸受112から外れて外部へ飛び出そうとする。この際、シール部材117は、外輪鍔部119により規制されて外部へ飛び出すことがないものの、シール部材118は、外輪鍔部119のような規制手段がないため、外部へ飛び出すおそれがある。また、シール部材118が軸受112から外れて外部へ飛び出すと、軸受112の内部に封入された潤滑成分が外部へ漏出するおそれがある。
【0015】
また、シール部材117の内周端部を内輪115の外面124にラジアル接触させると、シール部材117の摺動径、つまり、軸受装置101の軸中心からシール部材117の内周端部までの距離(図5にBで示す)が長くなる。ここで、シール部材117に加わるトルクが、シール部材117の反力×シール部材117の摺動径で表されることから、シール部材117の摺動径が長いと、シール部材117に加わるトルクが大きくなる。シール部材117に加わるトルクが大きくなると、軸受112に加わるトルク(ボール116の転がり抵抗、グリースをはじめとする潤滑成分の攪拌抵抗、シール部材117に加わるトルクを合わせたもので、外輪114を回転させる力を意味する)が大きくなる。この場合、軸受112に加わるトルクが、外輪鍔部119とダイアフラムスプリング130との当接部における接触圧よりも大きくなって、外輪鍔部119とダイアフラムスプリング130との当接部で滑りが発生するおそれがある。これは、外輪鍔部119とダイアフラムスプリング130との間での円滑な動力伝達が困難になる原因となり、軸受112の損傷にも繋がる。
【0016】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、密封性を確保したまま内圧の過剰な上昇を効率よく抑えることが可能であり、かつ、低トルク化が可能であるクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するための本発明のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受は、車両に搭載され、エンジンとトランスミッションとの間に介在するクラッチレリーズ軸受装置の玉軸受であって、外輪および内輪と、外輪と内輪との間に介在させたボールと、外輪と内輪との間を密封するシール部材とを備え、前記シール部材は、外周端部が前記外輪の内面に取付固定され、内周端部が前記内輪の外面に摺動可能にアキシャル接触されていることを特徴とする。ここで、「アキシャル接触」とは軸方向接触のことを意味する。
【0018】
この場合、シール部材は、内輪の外面にラジアル接触(径方向接触)させる場合よりも低い密着性で内輪の外面に接触することになるため、シール部材は、軸受装置の作動に伴う軸受温度の上昇により軸受内圧が過剰に上昇しても、軸受内圧により内輪の外面との接触状態が解かれるため、軸受内外で通気可能な状態となり、軸受内圧は過剰に上昇することがない。なお、シール部材は、その外周端部を外輪の内面に取付固定するため、シール部材は、軸受内圧の上昇により軸受から外れて外部へ飛び出しにくい。
【0019】
また、シール部材の摺動径、つまり、シール部材の内周端部と軸中心との間の距離が、シール部材の内径端部を内輪の外面にラジアル接触させる場合よりも短くなる。これにより、シール部材に加わるトルクが低減されるため、軸受に加わるトルクを低減させることができる。なお、シール部材は、その外周端部を外輪の内面に取付固定するため、シール部材は、軸受内圧の上昇により軸受から外れて外部へ飛び出しにくい。
【0020】
シール部材は、例えば、エンジン側のシール部材を内輪の外面にアキシャル接触させることができる。これは、エンジンと軸受との間でスペースを確保できる場合に有効である。しかし、トランスミッション側のシール部材を内輪の外面にアキシャル接触させるようにしても、エンジン側とトランスミッション側のシール部材を内輪の外面にアキシャル接触させるようにしても、既に述べた本発明の作用および効果を得ることができる。
【0021】
前記内輪の端部は、径方向内側に延設して鍔部とし、その内輪鍔部の外端面にシール部部材をアキシャル接触させると良い。この場合、シール部材は、内輪鍔部を設けない場合よりも内径方向に長くして成形できることから、内輪に鍔部を設けない場合よりもシール部材の摺動径を短くすることができる。これにより、シール部材に加わるトルクが低減されて、軸受装置の作動時に軸受に加わるトルクを大幅に低減させることができる。この結果、軸受の作動を円滑にでき、また、軸受の損傷も防止することができる。
【0022】
これまでに述べた本発明は、外輪のエンジン側端部は、径方向内側に延設して、ダイアフラムスプリングへの押圧によりエンジンとトランスミッションとの間での動力伝達を遮断する鍔部としたプッシュ型のクラッチレリーズ軸受装置の玉軸受に適用できる。この場合、軸受装置が作動した際に軸受に加わるトルクが低減されることから、軸受に加わるトルクが、外輪鍔部とダイアフラムスプリングとの当接部における接触圧よりも大きくなることがない。そのため、軸受の外輪鍔部とダイアフラムスプリングとの接触部で滑りが生じるのを防止することができる。この結果、ダイアフラムスプリングと軸受との間での動力伝達を円滑にし、さらには、軸受の損傷も防止することができる。
【0023】
前記シール部材の内周端部は、内輪の外面に形成した段差部の側面にアキシャル接触させるようにすることが可能である。
【0024】
また、シール部材は、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)や耐熱ニトリルゴムなどのニトリルゴムで構成するのが望ましく、この場合、シール部材に耐水性および耐摩耗性を具備させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受は、アキシャル接触させたシール部材と内輪外面との接触部分の密着性が低いことから、軸受装置の作動による軸受温度の上昇で軸受内圧が上昇しても、軸受内圧でシール部材と内輪とのアキシャル接触が解かれて軸受内外で通気可能な状態となるため、軸受内圧の過剰な上昇を抑えることできる。この結果、軸受内圧でシール部材が軸受から外れて外部へ飛び出すのを防止でき、これに伴い、軸受の内部に封入された潤滑成分が外部へ漏出するのを防止することができる。なお、シール部材と内輪外面は、軸受内圧が低い状態では常時アキシャル接触状態であり、軸受内部は密封状態となるため、軸受の密封性が低下することがない。
【0026】
また、本発明のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受は、シール部材と内輪外面とをアキシャル接触させることにより、シール部材の摺動径を短くする。この場合、軸受装置の作動時に軸受に加わるトルクを低減させることができるため、軸受の作動を円滑にでき、また、軸受の損傷も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、図5および図6に示す従来技術と重複する部分については、説明を簡素化或いは省略する。
【0028】
図2に本発明の実施形態を示す。この図2は、FR車に搭載され、かつ、本発明に係るクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を備えたダイレクトシリンダタイプのクラッチレリーズ軸受装置を示すものである。この軸受装置1は、円筒形状の外側本体2と、固定部品3と、ピストン4と、玉軸受12とを主要部とする。
【0029】
外側本体2は、トランスミッション側(図面右側:以下リヤ側とする)がケーシング22に取付固定されており、エンジン側(図面右側:以下フロント側とする)に延設されたキャビティ8を有する。このキャビティ8の内周側に、環状のピストン4および環状の固定部品3が順に軸方向移動可能に配置されている。
【0030】
固定部品3は、軸方向に延びるガイドチューブ5から成り、エンジン側は外側本体2の外部へ延びている。ピストン4は、固定部品3に対して軸方向移動可能に配置され、固定部品3との間に介在されたピストン支持チューブ13により支持されている。このピストン4の外周面には予圧スプリング21が配置されている。予圧スプリング21は、軸受12の内輪14と協働するように構成されている。
【0031】
外側本体2は、その内周面9に凹溝10が形成されており、この凹溝10に、ガイドチューブ5のリヤ側端部が径方向外側に延設されて成るラジアルエッジ11が嵌合されている。
【0032】
このラジアルエッジ11と、キャビティ8と、ピストン4とで中空の容積可変チェンバ6が構成され、この容積可変チェンバ6にはオイル等の制御流体が封入されており、この制御流体によりキャビティ8の内部が加減圧されている。また、容積可変チェンバ6は制御用油圧発生器(図示省略)に接続されている。
【0033】
軸受12は、外輪14および内輪15と、外輪14と内輪15との間に介在されたボール16とで主要部が構成されている。外輪14のフロント側端部は、径方向内側に延設されて鍔部19を成し、内輪15のフロント側端部は、径方向内側に延設されて鍔部20を成す。なお、外輪14の鍔部19は、予圧スプリング21によりダイアフラムスプリング30に常時当接された状態である。
【0034】
外輪14と内輪15との間は、軸受12の拡大図である図1に示すように、二つのシール部材(17、18)により密封されており、このシール部材(17、18)により、軸受内部に封入されたグリース等の潤滑成分の外部への漏出、および、外部からの異物の侵入が防止されている。
【0035】
シール部材(17、18)は水素添加ニトリルゴム(H−NBR)や耐熱ゴム等のニトリルゴムで構成するため、耐水性および耐摩耗性を具備する。また、シール部材(17、18)の外周端部は、外輪14の内面23に取付固定する。このため、シール部材(17、18)は、軸受12の内圧上昇により外れて外部へ飛び出しにくい。
【0036】
このシール部材(17、18)において、フロント側(図面左側)のシール部材17の内周端部は、内輪15の鍔部20の外端面25にアキシャル接触させ、リヤ側(図面右側)のシール部材18の内周端部は、内輪15の外面24にラジアル接触させる。
【0037】
この場合、シール部材17は、その内周端部と内輪鍔部20の外端面25とをラジアル接触させる場合よりも低い密着性で接触させることができる。そのため、軸受装置1の作動による軸受12の温度上昇で軸受12の内圧が上昇しても、軸受12の内圧によりシール部材17の内周端部と内輪鍔部20の外端面25との接触状態が解かれるため、軸受12の内外で通気可能な状態になり、これにより、軸受12の内圧の過剰な上昇を抑えることができる。このため、シール部材(17、18)が軸受12から外れて外部へ飛び出すのを防止でき、これに伴い、軸受12の内部に封入された潤滑成分が外部へ漏出するのを防止することができる。
【0038】
また、シール部材17の内周端部を内輪鍔部20の外端面25にアキシャル接触させると、シール部材17の摺動径、つまり、シール部材17の内周端部と軸受装置1の軸中心との間の距離(図2中にAで示す)を、シール部材17の内周端部を内輪外面24にラジアル接触させる場合(図5にBで示す)よりも短くすることができる。この場合、軸受装置1の作動時に軸受12に加わるトルクを低減させて、軸受12とダイアフラムスプリング30との円滑な動力伝達が可能になる。この点について詳説する。
【0039】
本実施形態のように、外輪14のフロント側端部は、内径方向内側を延設することで、ダイアフラムスプリング30への押圧によりエンジンとトランスミッションとの間での動力伝達を遮断する鍔部19としたプッシュ型のクラッチレリーズ軸受装置1では、上記したように、軸受装置1の作動時に軸受12に加わるトルクが低減されると、軸受12に加わるトルクが、外輪鍔部19とダイアフラムスプリング30との当接部における接触圧よりも大きくなることがないため、外輪2の鍔部19とダイアフラムスプリング30との接触部で滑りが生じにくくなる。このため、軸受12とダイアフラムスプリング30との間での円滑な動力伝達が可能になり、軸受12の損傷も防止することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、エンジン(図示省略)と軸受12との間にスペースが確保できるため、シール部材(17、18)において、上述したスペースが確保できる側のシール部材、つまり、フロント側のシール部材17の内周端部と内輪15の外面24とをアキシャル接触させる。このため、内輪15にシール部材17をアキシャル接触させるための構造(本実施形態では内輪鍔部20)を設ける作業が容易になる。
【0041】
なお、内輪鍔部20の外端面25とフロント側のシール部材17とは、軸受12の内圧が低い状態では常時アキシャル接触した状態であるため、このアキシャル接触により、軸受12の密封性が低下することがない。
【0042】
図3に本発明の第2の実施形態を示す。本実施形態において、図1および図2に示す第1の実施形態と同じ部位および機能を有する部品については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、軸受12の拡大図である図4に示すように、内輪15の鍔部20の外端面25における軸受内部側端部に段差部35を形成し、この段差部35の側面36にフロント側のシール部材17の内周端部をアキシャル接触させる。この時の作用および効果については、図1および図2に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これはあくまで例示であり、特許請求の範囲に記載の意味および内容の範囲内で任意に変更が可能である。
【0045】
例えば、本実施形態では、内輪15の外面24にアキシャル接触させるシール部材は、フロント側のシール部材17のみとしたが、リヤ側のシール部材18のみでもよく、フロント側のシール部材17とリヤ側のシール部材18の両方でもよい。
【0046】
また、図での説明は省略するが、本発明はプルタイプのクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受にも適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図2に示す玉軸受の拡大図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【図4】図3に示す玉軸受の拡大図である。
【図5】従来のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受を備えたクラッチレリーズ軸受装置を示す断面図である。
【図6】図5に示す玉軸受の拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
1 クラッチレリーズ軸受装置(ダイレクトシリンダタイプ)
12 玉軸受
14 外輪
15 内輪
16 ボール
17、18 シール部材
19 外輪鍔部
20 内輪鍔部
23 外輪内面
24 内輪外面
25 外端面(内輪鍔部)
35 段差部
36 側面(段差部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、エンジンとトランスミッションとの間に介在するクラッチレリーズ軸受装置の玉軸受であって、外輪および内輪と、外輪と内輪との間に介在させたボールと、外輪と内輪との間を密封するシール部材とを備え、
前記シール部材は、外周端部が前記外輪の内面に取付固定され、内周端部が前記内輪の外面に摺動可能にアキシャル接触されていることを特徴とするクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
【請求項2】
エンジン側の前記シール部材が、前記内輪の外面にアキシャル接触されている請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
【請求項3】
前記内輪の端部は、径方向内側に延設されて鍔部を成し、その内輪鍔部の外端面に前記シール部材がアキシャル接触されている請求項1又は2に記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
【請求項4】
前記外輪のエンジン側端部は、径方向内側に延設されて、ダイアフラムスプリングへの押圧によりエンジンとトランスミッションとの間での動力伝達を遮断する鍔部を成している請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
【請求項5】
前記内輪の外面に段差部を形成し、その段差部の側面に前記シール部材の内周端部をアキシャル接触させた請求項1〜4のいずれか一項に記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
【請求項6】
前記シール部材がニトリルゴム製である請求項1〜5のいずれか一項に記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−174560(P2009−174560A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10837(P2008−10837)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】