説明

クリーニング装置、像担持体ユニット及び画像形成装置

【課題】 電圧が印加されたブラシローラを用いて被清掃体上からトナーを除去するクリーニング装置で、ブラシローラによって、より確実にトナーの除去を行うことができるクリーニング装置、並びにこれを備えた画像形成装置及び像担持体ユニットを提供する。
【解決手段】 クリーニングブラシ23のブラシ繊維と接触し、ブラシ繊維に印加された電圧と同極性の電圧が印加されたブラシ用電荷付与部材39と、ブラシ用電荷付与部材39に電圧を印加するブラシ電荷付与電源34とを備え、電荷付与部材回転軸39aを中心に回転することで、芯金23aとの距離が変化可能となるようにブラシ用電荷付与部材39を配置し、ブラシ用電荷付与部材39の自重によってをクリーニングブラシ23に向けて付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられるクリーニング装置、並びにこれを備えた画像形成装置及び像担持体ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被清掃体としてトナー像転写後の感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段としては、ゴム製のブレードを感光体に当接させてトナーを除去するブレードクリーニング方式のものが知られている。ブレードクリーニング方式では、ブレードと感光体表面との密着の精度が低いとトナーがすり抜けてしまいクリーニング性が低下しやすい。これを防止するために、ブレードを強い当接圧で感光体に押し付けることがおこなわれている。しかしながら、ブレードを強い当接圧で感光体に押し付けると、ブレードのめくれが発生し、スジ状あるいは帯状のクリーニング不良を引き起こしてしまい、安定したクリーニング性能を保ちつづけることが困難であった。また、長期的には、感光体の表面膜削れを増進させ、感光体寿命を短くさせてしまう。
【0003】
また、近年、高画質化の要望が高まり、トナーを小粒径化する傾向にある。さらに、トナー製造コスト低減及び転写率向上の要望から、粉砕(不定形)トナーから重合法等により球形に形成された球形トナーを採用する画像形成装置が製品化されている。このような小粒径、球形トナーを用いると、ブレードクリーニング方式ではクリーニング性が粉砕トナーに比べて劣ることが知られている。
【0004】
小粒径トナーや球形トナーのクリーニング時にも良好なクリーニング性を備え、かつ、感光体の表面膜削れを軽減できる機械的な摺擦を抑えたクリーニング方式として、特許文献1に記載されているような静電ブラシクリーニング方式がある。特許文献1の静電ブラシクリーニング方式は、感光体表面に接触摺擦するように導電性のブラシ繊維を備えるブラシローラを有し、さらにブラシ繊維に接触して回収ローラを配し、回収ローラからゴムブレードからなる清掃手段でトナーを除去する。この際、回収ローラあるいはブラシ繊維と回収ローラとの両方に電圧を印加し、ブラシによる摺擦力に加え静電気力で感光体からトナーを除去するものである。このため、小粒径トナーや球形トナーに対してもクリーニング性能が得られる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−265907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
静電ブラシクリーニング方式では、ブラシ繊維に印加した電圧と逆極性に帯電したトナーを静電気力で感光体から引きつけて除去するものである。しかしながら、ブラシローラによってクリーニングを行うと、静電気力によってブラシローラに付着するトナーだけでなく、ブラシローラのブラシ繊維から電荷を注入されるトナーが生じることが分かった。ブラシ繊維から電荷注入されたトナーはブラシローラに印加した電圧と同極性に帯電するため、ブラシローラでは除去できなくなる。ブラシローラに取り込まれなかったトナーは感光体表面上のクリーニング装置との対向部を通過してクリーニング不良となる。
【0007】
このような問題に対して本発明者らは、特願2006−275702号(以下、先願1と呼ぶ。)で、ブラシ繊維の内部が導電性材料からなり、ブラシ繊維の表面部が絶縁性材料からなるブラシローラを有するクリーニング装置を提案している。そして、ブラシ芯金と回収ローラ軸とに電圧を印加している。このクリーニング装置では、クリーニングブラシのブラシ繊維が内部に備える導電性材料に電圧を印加することでトナーを静電的にひきつける。そして、表面部が絶縁性材料からなることにより電圧が印加された導電性材料とトナーとが接触することを防止している。これにより、トナーをクリーニングブラシに静電的にひきつけることで被清掃体上からトナーを除去することができる。さらに、導電性材料とトナーとが接触することを防止することにより、クリーニングブラシから除去するトナーへの電荷注入を抑制することができ、電荷注入に起因するクリーニング不良の発生を防止することができる。
【0008】
しかしながら、先願1に記載の構成を備えたクリーニング装置を用いて実験を重ねたところ、次のような問題が生じることが分かった。すなわち、トナーがブラシ繊維に付着した後、回収ローラによってトナーが除去されたブラシ繊維の先端の電位を測定すると、単位面積あたりのトナーの付着量が多いほどブラシ繊維の先端の電位が低下した。
このブラシ繊維の先端の電位が低下する理由はまだ明らかになっていないが、トナーがブラシ繊維から回収ローラに移動するときに、トナーとブラシ繊維との間で剥離放電が起きて絶縁性材料からなるブラシ繊維の表面にトナーの帯電極性と同極性の電荷を与えてしまうことが考えられる。もしくは、トナー付着によりブラシ繊維の表面にトナーの帯電極性と同極性の電荷を与えて、回収ローラでトナーを除去した後もブラシ繊維の表面にトナーの帯電極性と同極性の電荷が残ってしまうことも考えられる。
そして、先端の電位が低下したブラシ繊維を感光体表面に接触させて感光体上のトナーを除去しようとすると、所望のクリーニング性能を得ることができず、クリーニング不良となるおそれがある。
【0009】
なお、トナーとブラシ繊維との間の剥離放電は、トナーをブラシ繊維から引き離すときにトナーとブラシ繊維の表面との電位差によって生じるため、上述した回収ローラのようにトナーをブラシ繊維から静電的除去するものに限らず、フリッカー等のように機械的にトナーを除去するブラシローラ清掃部材であっても生じ得る。
また、上述した回収ローラのようにトナーを静電的に除去するブラシローラ清掃部材では、トナーからブラシ繊維の表面に移動したトナーと同極性の電荷もトナーとともにブラシローラ清掃部材に静電的に引き付けられる。一方、フリッカー等のように機械的にトナーを除去する構成では、ブラシ繊維の表面に移動したトナーと同極性の電荷をブラシローラ清掃部材に引き付ける静電力が生じない。このため、トナーをブラシ繊維から静電的除去するものに比べて、機械的にトナーを除去するブラシローラ清掃部材の方が、トナーを除去した後にトナーの帯電極性と同極性の電荷がブラシローラに残る現象が生じ易いと考えられる。 このように、ブラシローラからトナーを除去するブラシローラ清掃部材であれば、ブラシローラからトナーを除去するときに剥離放電が生じたり、トナーを除去したあとにトナーの帯電極性と同極性の電荷がブラシローラに残ったりすることが考えられる。このため、ブラシ繊維の先端の電位の低下は、ブラシローラ清掃部材が回収ローラである場合に限らず、ブラシローラからトナーを除去するブラシローラ清掃部材であれば生じ得る問題と考えられる。
【0010】
ブラシローラから回収ローラへのトナーの受渡しによって、ブラシ繊維の先端の電位が低下することに起因するクリーニング不良を防止するために、本出願人は、特願2007−203469号(以下、先願2と呼ぶ。)で次のようなクリーニング装置を提案している。すなわち、ブラシ繊維と回収ローラとが接触する位置に対してブラシローラの回転方向下流側でブラシ繊維と接触し、ブラシ繊維に印加された電圧と同極性の電圧が印加されたブラシ繊維電荷付与部材を備えるものである。なお、ブラシ繊維電荷付与部材がブラシ繊維と接触する位置は、クリーニングブラシローラの回転方向について回収ローラと接触する位置よりも下流側で、感光体表面と接触する位置よりも上流側となっている。
【0011】
先願2に記載のクリーニング装置では、クリーニングブラシローラから回収ローラへのトナーの受渡しによって、ブラシ繊維の先端の電位が低下したとしても、ブラシ繊維電荷付与部材によってブラシ繊維の先端の電位を戻すことができる。これにより、ブラシ繊維の先端の電位が低下することに起因するクリーニング不良を防止することができる。
【0012】
しかしながら、先願2のようにブラシ繊維電荷付与部材を有するクリーニング装置で、ブラシローラに対する位置が固定となるようにブラシ繊維電荷付与部材を配置すると次のような問題が生じることがあった。
ブラシローラは感光体の表面に対して食い込むように接触しているため、経時でブラシローラの毛倒れが進んで、ブラシ先端の回転半径は経時で小さくなる。このため、少なくとも使用開始時にはブラシ繊維電荷付与部材はブラシローラに対して食い込むように配置する必要がある。そして、ブラシ繊維電荷付与部材をブラシローラに対して食い込むように固定して配置すると、ブラシ繊維電荷付与部材がブラシローラに対してフリッカー部材として作用する。
詳しくは、ブラシ繊維電荷付与部材にブラシ繊維が接触する位置では、ブラシローラの回転によってブラシ繊維の根元部分が回転方向下流側に移動しても、その先端はブラシ繊維電荷付与部材に引っかかった状態で、ブラシ繊維に何も接触していない位置にくらべて、ブラシ繊維が撓んだ状態となる。そして、さらにブラシローラが回転するとブラシ繊維の先端がブラシ繊維電荷付与部材から外れ、ブラシ繊維の弾性によって撓んだ状態から戻るときに、ブラシ繊維の先端が勢い良く移動することになる。このとき、回収ローラで回収しきれなかったトナーがブラシ繊維に付着していると、ブラシ繊維の先端がブラシ繊維電荷付与部材から外れて、ブラシ繊維の撓みが戻るときの勢いで、トナーがブラシ繊維から弾き飛ばされる。そして、ブラシ繊維から弾き飛ばされたトナーがブラシローラと感光体との接触部を通過したあとの感光体の表面に付着すると感光体のクリーニング不良となる。
【0013】
このような問題は、感光体をクリーニングするクリーニング装置に限らず、トナーが付着した被清掃体上のトナーを除去するクリーニング装置であれば起こり得る問題である。
【0014】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、電圧が印加されたブラシローラを用いて被清掃体上からトナーを除去するクリーニング装置で、ブラシローラによって、より確実にトナーの除去を行うことができるクリーニング装置、並びにこれを備えた画像形成装置及び像担持体ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、導電性のブラシ繊維が回転軸から半径方向外側に伸びるように植毛され、該回転軸を中心に回転しながらブラシ繊維を表面移動する被清掃体に接触させるブラシローラと、該ブラシローラに電圧を印加するブラシローラ電圧印加手段と、該ブラシ繊維と該被清掃体とが接触する位置とは異なる位置で該ブラシ繊維に接触するブラシローラ清掃部材とを有し、電圧が印加された該ブラシ繊維に該被清掃体上のトナーを付着させることにより該被清掃体からトナーを除去し、該ブラシ繊維に付着したトナーを該ブラシローラ清掃部材によって該ブラシローラからトナーを除去するクリーニング装置において、該ブラシ繊維と該ブラシローラ清掃部材とが接触する位置に対して該ブラシローラの回転方向下流側、且つ、該ブラシ繊維と該被清掃体とが接触する位置に対して該ブラシローラの回転方向上流側の位置で該ブラシ繊維と接触し、該ブラシ繊維に印加された電圧と同極性の電圧が印加されたブラシ繊維電荷付与部材と、該ブラシ繊維電荷付与部材に電圧を印加するブラシ電荷付与部材電圧印加手段とを備え、該ブラシ繊維電荷付与部材と該回転軸との距離が変化可能となるように該ブラシ繊維電荷付与部材を配置し、該ブラシ繊維電荷付与部材を該ブラシローラに向けて付勢する付勢手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記付勢手段として、上記ブラシ繊維電荷付与部材が上記ブラシローラの上記ブラシ繊維に対して自重で付勢するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記付勢手段は弾性部材であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記ブラシ繊維電荷付与部材は弾性部材からなり、上記付勢手段として、該ブラシ繊維電荷付与部材がその弾性力によって上記ブラシローラの上記ブラシ繊維に対して付勢することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4のクリーニング装置において、上記ブラシ繊維は内部が導電性材料で、表面部が絶縁性材料となっていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5のクリーニング装置において、上記トナーの形状係数SF−1が、100〜150であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体を帯電せしめる帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー増加する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を転写体又は記録媒体に転写する転写手段と、転写後の該潜像担持体を被清掃体として表面に付着した転写残トナーを除去する潜像担持体クリーニング手段とを有する画像形成装置において、該潜像担持体クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記現像手段としてそれぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、上記潜像担持体1つに対して該複数の現像装置が対向することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記現像手段としてそれぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、該複数の現像装置と同数の上記潜像担持体を備え、該潜像担持体1つの対して該複数の現像装置のうち一つが対向することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を転写体又は記録媒体に転写する二次転写手段と、二次転写後の該中間転写体を被清掃体として表面に付着した転写残トナーを除去する中間転写体クリーニング手段とを有する画像形成装置において、該中間転写体クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体を該転写手段による転写位置まで搬送する記録媒体搬送部材と、該記録媒体搬送部材を被清掃体として表面に付着した不要なトナーを除去する記録媒体搬送部材クリーニング手段とを有する画像形成装置において、記録媒体搬送部材クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項7、8または9の画像形成装置において、上記潜像担持体として、感光層がアモルファスシリコンからなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項7、8、9または12の画像形成装置において、上記潜像担持体として、フィラーを分散させた材料からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項7、8、9、12または13の画像形成装置において、上記潜像担持体として、架橋型電荷輸送材料を使用したものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項7、8、9、12、13または14の画像形成装置において、上記潜像担持体として、充填剤で補強された表面層を有するものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、被清掃体である像担持体と少なくとも該像担持体表面をクリーニングするクリーニング手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在な像担持体ユニットにおいて、該クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
【0016】
上記請求項1乃至16の発明においては、ブラシローラの回転軸との距離が変化可能となるようにブラシ繊維電荷付与部材を配置しており、ブラシ先端の回転半径が経時小さくなっても付勢手段によってブラシ繊維電荷付与部材をブラシローラに対して付勢して、回転軸との距離が近づくようにブラシ繊維電荷付与部材が移動し、ブラシ繊維とブラシ繊維電荷付与部材との接触を維持することができる。
また、ブラシ繊維に対して撓むような力が加わわろうとすると、ブラシ繊維の腰の強さと付勢手段による付勢する力とが均衡する位置となるように、ブラシ繊維電荷付与部材が回転軸から離れる方向に移動し、ブラシ繊維の撓みを低減させることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1乃至16の発明によれば、ブラシ先端の回転半径が経時小さくなってもブラシ繊維とブラシ繊維電荷付与部材との接触を維持するため、経時において、ブラシ繊維電荷付与部材を固定配置するものに比べてより確実に良好なクリーニングを実現することができるという優れた効果がある。さらに、ブラシ繊維電荷付与部材に接触するブラシ繊維の撓みを低減させることができるので、ブラシ繊維が撓んだ状態から戻るときにブラシ繊維の先端が勢い良く移動することを抑制することができる。このため、ブラシローラのブラシ繊維に付着したトナーが、ブラシ繊維電荷付与部材とブラシ繊維との接触位置で、ブラシ繊維から弾き飛ばされて感光体に再付着することを防止することができるので、より確実に良好なクリーニングを実現することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真複写機(以下、単にプリンタ100という。)に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の要部を示す概略説明図であり、図2は先願1の実施形態のプリンタ100の要部を示す概略説明図である。プリンタ100は、単一色の複写を行うものであり、図示しない画像読み取り部で読み取った画像データに基づいてモノクロ画像形成を行う。
【0019】
まず、図1に示すプリンタ100と図2に示すプリンタ100とで共通する構成について説明する。
以下、プリンタ100全体の構成について説明する。
プリンタ100は像担持体としてのドラム状の感光体1を備えている。感光体1の周囲には帯電手段としての非接触の帯電ローラ3、潜像をトナー像化するトナー像形成手段である現像手段としての現像装置6が配置されている。また、現像装置6により形成されたトナー像を記録媒体としての転写紙に転写する転写手段としての転写ローラ15、転写後の感光体1表面に残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置であるクリーニング装置20、感光体1表面を除電する除電ランプ2等が配置されている。また、除電ランプ2と帯電ローラ3との間には、除電ランプ2の光を遮光する遮光板40が設けられている。
【0020】
帯電ローラ3は、感光体1表面に所定の距離で非接触に配置され、感光体1の表面を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。プリンタ100では、感光体1の表面をマイナス極性に一様に帯電させる。
帯電ローラ3によって一様帯電された感光体1の表面は、図示しない露光装置から画像データに基づいてレーザー光4が照射され静電潜像が形成される。
【0021】
現像装置6は、磁界発生手段としてのマグネットを内包した現像剤担持体としての現像ローラ8を有している。この現像ローラ8には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置6のケーシング7内には、ケーシング7内に収容されたトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ9及び攪拌スクリュ10が設けられている。また、現像ローラ8に担持された現像剤を規制するためのドクタ5も設けられている。
供給スクリュ9及び攪拌スクリュ10の2本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、負極性に帯電される。そして、現像剤は現像ローラ8に内包されたマグネットの作用により、現像ローラ8に汲み上げられる。汲み上げられた現像剤は、ドクタ5により規制され、感光体1と対向する現像領域でマグネットの磁力により穂立ち状態となって磁気ブラシを形成する。
また、転写ローラ15には、図示しない電源から転写バイアスが印加されるようになっている。
【0022】
次に、プリンタ100における画像形成動作を説明する。
プリンタ100では、図示しない操作部のプリントスタートボタンが押されると、図示しない画像読み取り部で原稿の読み取りが開始される。一方、帯電ローラ3、現像ローラ8、転写ローラ15、クリーニングブラシ23、極性制御ブレード22、ブラシ用電荷付与部材39、及び回収ローラ24に、それぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、回収ローラ用クリーニングブレード27及び除電ランプ2などにもそれぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により感光体1が図中矢印A方向に回転駆動される。感光体1の回転駆動と同時に、非接触型の帯電ローラ3、現像ローラ8、転写ローラ15、供給スクリュ9、攪拌スクリュ10、及び詳細は後述するトナー排出スクリュ19、クリーニングブラシ23、回収ローラ24も所定の方向に回転駆動される。
【0023】
感光体1が図中矢印A方向に回転すると、まず感光体表面が、帯電装置の帯電ローラ3によって一様に負の電位(例えば−900[V])に帯電される。そして、図示しない露光装置から画像信号に対応したレーザー光4が感光体1上に照射され、レーザー光4が照射された部分の感光体1上が除電され静電潜像が形成される(例えば、黒ベタ電位は−150[V])。
【0024】
静電潜像の形成された感光体1は、現像装置6との対向部で現像ローラ8上に形成された現像剤の磁気ブラシで感光体1表面を摺擦される。このとき、現像ローラ8上の負帯電トナーは、現像ローラ8に印加された現像バイアス(例えば−600[V])と感光体1表面との電位差によって、感光体1側に移動し、感光体1表面上の静電潜像がトナー像化(現像)される。このように、本実施形態では、感光体1上に形成された静電潜像は、現像装置6によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。本実施形態では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
【0025】
感光体1上に形成されたトナー像は、図示しない給紙部から上レジストローラ11と下レジストローラ12との対向部を経て、ガイド板13、14にガイドされて感光体1と転写ローラ15との間に形成される転写領域に給紙される転写紙に転写される。このとき、転写紙は上レジストローラ11と下レジストローラ12との対向部で画像先端と同期を取り供給される。また、転写紙への転写時には、転写ローラ15に、例えば+10[μA]に定電流制御された転写バイアスが印加される。
トナー像が転写された転写紙は、分離手段としての分離爪16によって感光体1から分離され、搬送ガイド板41にガイドされて図示しない定着手段としての定着装置へ搬送される。そして、定着装置を通過する事により、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙上に定着されて、転写紙は機外に排出される。
一方、転写後の感光体1の表面は、クリーニング装置20で転写後の残留トナーが除去され、さらに除電ランプ2で除電される。
【0026】
次に、被清掃体としての感光体1の表面上のトナーを除去するクリーニング装置20について説明する。
図1及び図2に示すように、クリーニング装置20は、ブラシローラ電圧印加手段としてのブラシ電源30からプラス電圧が印加されるブラシローラとしてのクリーニングブラシ23を備えている。また、クリーニングブラシ23が感光体1上のトナーを除去する位置に対して感光体1表面移動方向上流側の感光体1表面と対向する位置には、ブレード電源29からマイナス電圧が印加された導電性の極性制御ブレード22備えている。
クリーニングブラシ23は、芯金23aを中心に回転駆動するブラシローラであり、ブラシ電源30は芯金23aに電圧を印加する構成である。
【0027】
ここで、転写残トナーとして、感光体1表面に付着し、クリーニング装置20との対向部に到達するトナーの帯電量について説明する。
図3は、感光体1上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布(トナーq/d分布)と、転写後に感光体1上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。なお、帯電量分布は細川ミクロン製 E−スパートアナライザで計測したもので、縦軸が収集した個数に対する比率を、横軸がトナー1個の帯電量を表す。今回の収集個数は転写残トナーが少ない為トナー個数を500個とした。
図3に示すように、転写前の感光体1表面上のトナーは、そのほとんどがマイナス極性に帯電している。転写時には、転写前からプラス極性に帯電していたトナーのほとんどはそのまま感光体1に付着する。さらに、転写前にマイナス極性に帯電していたトナーでも転写ローラ15に印加されたプラス極性の電荷注入を受けるなどして、帯電極性がプラス極性に反転することがある。よって、転写後の感光体1表面上の転写残トナーは図3に示すように、プラス極性のトナーとマイナス極性のトナーとが混在した分布となる。
【0028】
転写ローラ15との対向部を通過した感光体1表面上に付着する転写残トナーは、感光体1の表面移動により極性制御ブレード22との対向位置まで到達する。
図4は、感光体1表面移動時の極性制御ブレード22の説明図である。極性制御ブレード22との対向位置まで到達した転写残トナーのほとんどは極性制御ブレード22によって機械的に掻き落とされる。しかし、図4に示すように、極性制御ブレード22は感光体1の表面清掃時に所謂スティックスリップが発生し、転写残トナーの一部が極性制御ブレード22との対向部をすり抜けていく。
【0029】
極性制御ブレード22にはトナーの帯電極性と同じ極性のマイナス極性の電圧(例えば−600[V])が印加されており、転写残トナーが極性制御ブレード22と感光体1との対向部をすり抜けていくときに、この転写残トナーは電荷が注入される。すなわち、トナーが極性制御ブレード22と感光体1との対抗部をすり抜けるときに、極性制御ブレード22が、トナーを正規の帯電極性(マイナス極性)に帯電する。
【0030】
極性制御ブレード22によって正規の帯電極性に帯電されたトナーは、感光体1の表面移動により、クリーニングブラシ23が感光体1上のトナーを除去する位置に移送される。図1に示すように、クリーニングブラシ23へはトナーの帯電極性とは逆の極性(プラス極性)の電圧(例えば+600[V])が印加されており、極性制御ブレード22と感光体1との当接部をすり抜けたトナーを静電的に吸着する。
クリーニングブラシ23上に移動したトナーは、クリーニングブラシ23よりも更に高いプラス極性の電圧(例えば+900[V])が回収電源28によって印加された回収ローラ24へ電位勾配によって移動する。回収ローラ24上に移動したトナーは回収ローラ用クリーニングブレード27により掻き落とされ、トナー排出スクリュ19でクリーニング装置20の外に排出又は現像装置6の内部に戻される。
【0031】
次に、トナーと同極性(マイナス極性)の電圧が印加された導電性の極性制御ブレード22をすり抜けて行くトナーの帯電極性が変わるときの詳細について説明する。
極性制御ブレード22の電気抵抗は10〜10[Ω・cm]であり、感光体1との当接部の線圧は20〜40[g/cm]でカウンター方向に当接するように構成されている。例えば、極性制御ブレード22に電圧が印加されていない場合、極性制御ブレード22をすり抜けるトナーは感光体1と極性制御ブレード22との当接部の圧力で摩擦帯電される。そして、トナーの帯電電位分布はトナーの正規帯電極性(マイナス極性)側にシフトする。図5は、感光体1上に担持されたトナーの転写後における帯電電位分布と、極性制御ブレード22との対向部を通過した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。図5に示すように、極性制御ブレード22との対向部を通過することにより、若干マイナス極性に帯電され、トナーの正規帯電極性側にシフトするが、それでもプラス極性のトナーとマイナス極性のトナーとが混在した分布となる。転写残トナーの帯電量分布は図5に示すようにブロードであるため、転写残トナーの全てが正規の帯電極性には帯電されない。
よって、全ての転写残トナーの帯電極性を正規の極性にする為には摩擦帯電以外の手段が必要となる。
【0032】
また、極性制御ブレード22は図4に示すように感光体1の回転方向に当接状態が変化する所謂スティックスリップが発生する。そして、導電性極性制御ブレード22が図4中Cで示す状態になったときにトナーのすり抜けが発生する。
図1及び図2に示すように、極性制御ブレード22にマイナス電圧が印加されていると、トナーが極性制御ブレード22と感光体1との間にはさまれたとき、極性制御ブレード22に印加された電圧でトナーに電流が流れ込む。そして、トナーは印加電圧側の極性に帯電して極性制御ブレード22と感光体1との当接部を通過する。また、感光体1と極性制御ブレード22で形成された楔部の入り口と出口の微小ギャップ部のマイクロ放電によりトナーは印加電圧と同極性に帯電する。このような状態でトナーの帯電極性が変化するのはトナーへの電荷注入と考えられている。
【0033】
ここで、図6は、極性制御ブレード22に印加する電圧を変化させたときの転写残トナーの帯電電位分布(トナーq/d分布)の変化を示すグラフである。極性制御ブレード22と感光体1との当接部をすり抜けるトナーは、感光体1と極性制御ブレード22とにより、「摩擦帯電」、「電荷注入」、「放電」等により、トナーの正規帯電極性側にシフトする。このとき、図6に示すように、極性制御ブレード22に印加する電圧の増加に従い、トナーの正規帯電極性側にシフトする。
【0034】
転写後の感光体1の表面の電位は転写条件により変化するがおおよそ−100[V]〜+300[V]の範囲で変化する事が確認されている。
従って図6に示した極性制御ブレード22への印加電圧が「−200[V]」では感光体1の表面電位が+300[V]では電位差が500[V]となる為放電が始まっている事になる。しかしながら放電も未だ弱くトナーの極性反転は主に電荷注入で放電分は未だ少ないと考えられる。
また、極性制御ブレード22への印加電圧が高くなると感光体1と極性制御ブレード22とで形成された楔部の入り口と出口の微小ギャップ部の放電によりトナーは印加電圧と同極性に帯電する。極性が片側に揃えられて極性制御ブレード22と感光体1との当接部を通過したトナーは、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されたクリーニングブラシ23により静電的に除去される。極性制御ブレード22と感光体1との当接部の入り口側の楔部はトナーを機械的に掻き落すのでトナーで汚れる為、微小ギャップ部の放電は主に出口側の楔部で行われる事になる。
【0035】
極性制御ブレード22は、例えばポリウレタンゴムを素材とした弾性体で、導電性を持たせる。その厚みは1.5[mm]〜3[mm]の範囲内で、好ましくは2[mm]〜2.5[mm]の範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、感光体1表面及び極性制御ブレード22自体のうねり等によって極性制御ブレード22の感光体1への線圧が確保しにくくなる。一方、極性制御ブレード22の厚さが厚すぎると、食いこみ量に対する線圧の変化が大きく、線圧の調整が困難となって、結果的には狙った線圧に対して高い線圧となり極性制御ブレード22の磨耗が加速される事になる。
【0036】
クリーニング装置20の極性制御ブレード22は感光体1とカウンターで当接し、当接角度は20[°]、当接圧は20[g/cm]、その電気抵抗は、1×10[Ω・cm]とした。電気抵抗は、10[Ω・cm]〜10[Ω・cm]くらいがよい。
また、極性制御ブレード22はブレードホルダ21(板金)上に接着された板状によって構成され、厚みが[2mm]、自由長が7[mm]、JIS−A硬度計で60〜80、反発弾性は30[%]で行ったが、この値以外でも可能である。例えば、JIS−A硬度計で40〜85の範囲内であれば良い。これは、極性制御ブレード22でトナーを100[%]クリーニングできず多少すり抜け量が増減しても問題ないためである。
【0037】
ここで、図2に示すプリンタ100以前の画像形成装置が備えるクリーニング装置について説明する。
画像形成装置においては、より高精度および高精細な画像が形成できるよう、高解像度を有することが要求されている。その達成手段の1つとしてより粒径を小さくしたトナーを用いることがあげられる。また、転写率向上のためにトナーの形状を不定形からより球に近い形状のものが使われるようになってきている。しかしながら、従来ブレードクリーニング方式では、小粒径トナーや球径のトナーをクリーニングすることは粒径が小さい事や、形状が球形である事から、すり抜けやすくクリーニング不良が発生しクリーニングが困難な状況である。
しかしながら小粒径トナーや、球形トナーを用いると画像品質が良くなるので、その使用形態としてクリーナレス方式等が提案されている。
また、ブレード方式で球形トナーをクリーニングする場合でも、線圧を極端に高くすれば(具体的には線圧:100[gf/cm]以上)クリーニングできるが、その分感光体、クリーニングブレードの寿命が極端に短くなる。通常の線圧(20[gf/cm])での感光体寿命(感光層が1/3程度削れる時の寿命)はΦ30で約10万枚、クリーニングブレード寿命(削れてクリーニング不良が発生する時の寿命)は約12万枚である。
一方、高い線圧(100[gf/cm])の時は、感光体の寿命は約2万枚、でクリーニングブレードの寿命は約2万枚程度である。
【0038】
また、転写性が良いとされている球形トナーに対して、ブレードクリーニング性は、粉砕(異型)トナーに対するクリーニング性より劣ることは良く知られていることである。一方、感光体の表面膜削れを軽減し、これら小粒径トナー/球形トナークリーニング時にも確実なクリーニング性を備えたクリーニング方式として、ブラシクリーニング方式がある。
これには、感光体表面に接触摺擦するようにクリーニングブラシを配し、さらにクリーニングブラシに接触して回収ローラを配し、回収ローラからゴムブレードなどの手段でトナーを除去する構成がある。回収ローラ、あるいは回収ローラとブラシ両方に電圧を印加し、静電気力でクリーニングするため、球形トナー使用時に有利である。
【0039】
一般的に転写工程では現像後トナー極性と逆極性の電圧を印加するため、転写後に感光体上に残ったトナーは現像後トナー極性のままのトナーと、逆極性に帯電したトナー、あるいは無帯電トナーの混合物となっている。この両極性および無帯電トナーの混合物をクリーニングする手段として、コロナチャージャーに電圧を印加するコロトロン帯電方式によってクリーニング前トナー帯電量制御を行い、正極性、負極性の電圧をそれぞれ印加した2本のブラシを並べ各極性トナー毎にクリーニングする方法が特開2005−265907に記載されている。
特開2005−265907に記載のクリーニング装置のように感光体に対向して2本のブラシを配置し、それぞれのブラシに付着したトナーの回収装置を配置することは画像形成装置の小型化という課題を達成しがたい。近年画像形成装置の小型化という目的のために感光体が小径化の傾向にあり、それにあわせてクリーニング装置も省スペース化が課題となっている。ダブルブラシを有し、それぞれに回収ローラを配したシステムに対し、より小型化するために、電圧が印加された極性制御ブレードとその下流に静電クリーニング装置を配置して、転写残トナーの帯電極性を極性制御ブレードで片側に揃え静電クリーニング装置でクリーニングさせているものがある。
このような静電クリーニング装置の中に、芯金を電気的にフロートにしたブラシローラと、高電圧を印加した低抵抗の回収ローラを用いることで、ブラシローラと回収ローラに電位差を形成し、像担持体上からブラシローラへトナーを付着させその後回収ローラへ回収する方式がある。しかし、この方式ではフロートにしてあるクリーニングブラシの電位が不安定になるためブラシローラと回収ローラの電位差が不安定となり、安定なトナー回収が行なわれないために、経時使用によりブラシローラにトナーがたまってしまい、ブラシローラに溜まったトナーが感光体に再付着し、クリーニング性を低下させるという問題がある。
【0040】
図1及び図2のプリンタ100が備えるクリーニング装置20では、ブラシローラからなるクリーニングブラシ23の芯金23aに電圧を印加し、回収ローラ24の軸にも電圧を印加して、クリーニングブラシ23と回収ローラ24との電位を安定化している。さらに、内部に導電性物質を有し、表面は絶縁性物質で構成されている導電性ブラシを斜毛処理し、感光体と接するブラシ部分を絶縁部分としたことで、クリーニング性が向上している。
【0041】
次に、プリンタ100のクリーニング装置20の、極性制御ブレード22と感光体1との当接部を通過した転写残トナーを静電的に除去するクリーニングブラシ23について説明する。
図7は、プリンタ100のクリーニング装置20が備えるクリーニングブラシ23の感光体1と接触する一本のブラシ繊維31の縦断面図である。図7に示すように、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31は、内部が導電性材料32からなり、表面部が絶縁性材料33からなる二層構造の芯鞘構造となっている。このような芯鞘構造のブラシ繊維31は表面部である表層が絶縁性材料33の為、繊維の切断面以外は導電性材料32とトナーとが接触しない。これにより、クリーニングブラシ23から除去するトナーへの電荷注入を抑制することができる。
【0042】
また、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31は、図7に示すようにクリーニングブラシ23の回転方向(図中矢印B方向)後方側に繊維を倒した、所謂、斜毛(倒毛とも言う)となっている。
ここで、ブラシ繊維31が直毛である場合について説明する。
図8は、内部が導電性材料32、表面部が絶縁性材料33からなる芯鞘構造のブラシ繊維31がブラシ回転軸である芯金23aに放射状に取り付けられた、所謂、直毛の場合の一本のブラシ繊維31の縦断面図である。図8中の矢印Bはクリーニングブラシ23の回転方向、すなわちブラシ繊維31の移動方向を示す。図8に示すように、ブラシ繊維31が直毛であるとブラシ繊維31先端の繊維の断面で導電性材料32とトナーTとが接触し、クリーニングブラシ23からトナーへの電荷注入が発生するおそれがある。
一方、ブラシ繊維31が斜毛であれば、図7に示すように、ブラシ繊維31内部の導電性材料32はトナーTとほとんど接触しない。これにより、感光体1からクリーニングブラシ23、クリーニングブラシ23から回収ローラ24へとトナーが移動する間、クリーニングブラシ23からトナーへの電荷注入を抑制することができる。
【0043】
ブラシ繊維31は内部が導電性材料32からなり、表面部が絶縁性材料33からなる二層構造の芯鞘構造の材料であれば何れでもかまわない。表面に絶縁体、内部に導電材があるような「芯鞘構造」の代表的な繊維は特開平10−310974、特開平10−131035、特開平01−292116、特公平07−033637、特公平07−033606、特公平03−064604等に開示されている。
ブラシ繊維の材料としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材料が一般的で、何れの材料の場合も同じ効果である。
【0044】
図1に示す本実施形態に係るプリンタ100と図2に示す先願1に記載のプリンタ100とでは回収ローラ24の構成が異なる。図2に示す先願1に記載のプリンタ100では回収ローラ24として、材質がSUSである金属ローラを用いている。一方、図1に示す本実施形態のプリンタ100が備える回収ローラ24はクリーニングブラシ23と回収ローラ24との間でトナーへの電荷注入を少なくする為金属の芯金にPVDFチューブを巻き更に表層に絶縁層を設けている。
このように、回収ローラ24は表面に抵抗層を有するローラであるほうがクリーニングブラシ23と回収ローラ24との電位差を大きく取り易い。金属ローラを用いると、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31の先端電位が回収ローラ24の印加電圧に近づいてしまうためである。
【0045】
しかしながら、この方式においても回収ローラ24として低抵抗の表面層を用いた場合には、クリーニングブラシ23からのトナー回収性をあげようとして回収ローラ24の軸に印加する電圧を増加させると、クリーニングブラシ23に付着したトナーの極性を反転させ、極性反転トナーが感光体1上に再付着してクリーニング性を悪化させるということがわかった。
【0046】
このような問題に対して、回収ローラ24の表面層の抵抗を上げていくと、感光体1上へのトナー再付着が減少することがわかった。クリーニングブラシ23の芯金23aおよび回収ローラ24の軸に独立に電圧を印加する場合、回収ローラ24の表面層として、表面抵抗が1010[Ω/□]以上、あるいは下に示す測定法Aにおいて、ローラ抵抗が1010[Ω]以上となるような高抵抗層を用いる。このような回収ローラ24を用いたところ、表面金属のローラを用いる場合に比べてブラシ繊維31と回収ローラ24とに挟まれたトナーが、極性反転しにくいという結果が得られた。
【0047】
詳しくは、転写工程を経たクリーニング前の転写残トナーは、極性制御ブレード22と感光体1との当接部を通過して負極性に制御される。また、極性制御ブレード22と感光体1との当接部よりも感光体1の表面移動方向下流側の感光体1表面電位よりも、クリーニングブラシ23先端電位が高くなるように設定された正極性電圧V1をクリーニングブラシ23の芯金23aに印加している。さらに、回収ローラ24の軸にも正極性電圧V2(ここで、V2>V1)を印加している。このような構成で、極性制御ブレード22によって負極性に制御されたトナーは、正極性を帯びたクリーニングブラシ23に付着し、ついでクリーニングブラシ23よりもより正極性で高電圧な回収ローラに付着して回収される。このとき、回収ローラ24の表面が金属や低抵抗層の場合には、ブラシ繊維31と回収ローラ24とに挟まれたトナーの極性が反転しやすいという結果が得られている。クリーニングブラシ23に付着したトナーが極性反転すると、トナーは正極性となり、同じ正極性でも電圧が低いクリーニングブラシ23の方に付着する。この結果、クリーニングブラシ23中に正極性トナーが存在することになり、感光体1の表面電位はクリーニングブラシ先端の電位よりも負極性側にあるので、クリーニングブラシ23から感光体1にトナーが付着してクリーニング不良となってクリーニング装置20から出力される。これが帯電器汚れなどの不具合を引き起こす。
一方、回収ローラ24表面が高抵抗層の場合はブラシ繊維31と回収ローラ24とに挟まれたトナーが、極性反転しにくいので、結果的に極性反転トナーによるクリーニング不良が発生しにくい。
【0048】
ここで、上述した測定法Aについて説明する。
回収ローラ抵抗は、ダイアインスツルメンツ社製 ハイレスタUPにてUAプローブを用い、接地した金属電極とローラ軸を導線でつなぎ、プローブの2電極のうち、一方の電極をローラ表面に、もう一方の電極を接地した金属電極に接触させ、所定の電圧を10[s]間印加したときの電流から電気抵抗[Ω]を求めた。ここで、所定の電圧とは、32[℃]、80[%]の環境では500[V]、10[℃]、15[%]の環境では1000[V]ある。
【0049】
このように、回収ローラ24表面を高抵抗層(1010[Ω・cm]以上)、あるいは絶縁層にした場合には、ブラシ繊維31と回収ローラ24とに挟まれたトナーの極性を反転しにくいというメリットがある反面、以下に述べる不具合が生じることがわかった。
すなわち、トナーが回収ローラ24表面に付着した後、回収ローラ用クリーニングブレード27で清掃した後の回収ローラ24の表面電位V4を測定すると、単位面積あたりのトナーの付着量が多いほどV4が低下することがわかった。また、同時にその回収ローラ24に接触・回転しているクリーニングブラシ23のブラシ先端電位V3も低下することがわかった。
【0050】
回収ローラ24の表面電位V4が低下すると、回収ローラ24とクリーニングブラシ23との間の電位差が小さくなり、トナー移動が低下し、クリーニングブラシ23からトナーを除去する性能が低下する。そして、クリーニングブラシ23に付着したトナーが回収ローラ24に回収されず、クリーニングブラシ23と回収ローラ24との接触部を通過するおそれがある。クリーニングブラシ23に付着したトナーがクリーニングブラシ23と回収ローラ24との接触部を通過すると、クリーニングブラシ23と感光体1との接触部に到達し、感光体1に再付着してクリーニング不良となるおそれがある。また、回収ローラ24で回収されなかったトナーが次第にクリーニングブラシ23に溜まり、感光体1からのトナー除去性能が低下して、クリーニング不良となるおそれがある。
また、クリーニングブラシ23のブラシ先端電位V3が低下すると、クリーニングブラシ23によって感光体1からトナーを除去する性能が低下して、感光体1表面からトナーを除去しきれず、クリーニング不良となるおそれがある。
【0051】
クリーニングブラシ23のブラシ先端電位V3が低下する理由は明確ではないが、トナーの授受が何らかの影響を与えていると考えられる。この原因として次のようなことが考えられる。
ブラシ繊維31の表面に付着した電荷を持ったトナーが回収ローラ24へ移動するときに剥離放電がおきて表面が絶縁層のブラシ繊維31の表面に負極性の電荷を与えてしまう。もしくは、トナー付着によりトナーからブラシ繊維31の表面に負極性の電荷が付与され、ブラシ繊維31の表面から回収ローラ24にトナーが移動した後でも、ブラシ繊維31の表面に付与された電荷が残ってしまう。そこで、本実施形態のクリーニング装置20では、詳細は後述するブラシ用電荷付与部材39が設けてある。
【0052】
また、回収ローラ24でも同様に、回収ローラ24表面に付着した電荷を持ったトナーが回収ローラ用クリーニングブレード27で掻き落とされるときに回収ローラ24の表面電位V4の低下する。この理由も明確ではないが、トナーの授受が何らかの影響を与えていると考えられる。この原因として次のようなことが考えられる。回収ローラ24表面に付着した電荷を持ったトナーが回収ローラ用クリーニングブレード27で掻き落とされるときに剥離放電がおきて高抵抗層、あるいは絶縁層に負極性の電荷を与えてしまうことにより、回収ローラ24の表面電位が低下する。もしくは、トナー付着によりトナーから回収ローラ24の表面層に負極性の電荷が付与され、回収ローラ用クリーニングブレード27でトナーを掻き落としても、トナーから付与された電荷が表面層に残ることにより、回収ローラ24の表面電位が低下する。そこで本実施形態のクリーニング装置20では、ローラクリーニングブレード電源42を備え、回収ローラ24表面に接触する回収ローラ用クリーニングブレード27に回収ローラ24の軸に印加している電圧より高い電圧が印加している。
【0053】
次に、ブラシ先端電位が低下したクリーニングブラシ23に電荷を付与するブラシ繊維電荷付与部材であるブラシ用電荷付与部材39について説明する。
上述したように、クリーニングブラシ23から回収ローラ24へトナーが移動する時に、ブラシ先端電位の低下が発生する。そして、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31の表面電位が低下すると、感光体1からのトナー除去性能が低下する。
そこで、本実施形態のクリーニング装置20は、図1に示すように回収ローラ24と接触した後のクリーニングブラシ23のブラシ繊維31に接触するように金属製(SUS製)のブラシ用電荷付与部材39を備える。さらに、ブラシ用電荷付与部材39に電圧を印加するブラシ電荷付与部材電圧印加手段としてのブラシ電荷付与電源34を備え、ブラシ用電荷付与部材39にクリーニングブラシ23の芯金23aと同程度の電圧を印加している。本実施形態では、ブラシ電源30からクリーニングブラシ23の芯金23aに対して600[V]の電圧が印加され、ブラシ電荷付与電源34からブラシ用電荷付与部材39に対して600[V]の電圧が印加されている。これにより、電位が低下したブラシ繊維31の表面に電荷の補充を行うことができる。
【0054】
本実施形態のクリーニング装置20では、ブラシ用電荷付与部材39を備えているため、トナーをクリーニングブラシ23から除去すると発生してしまうブラシ先端電位の低下を防止し、クリーニングブラシ23のブラシ先端電位を維持する。その結果として感光体1上に直接当接摺擦するクリーニングブラシ23のブラシ先端電位を、感光体1上トナークリーニングが良好に行える電位に保つことができる。これにより、経時に渡り安定してクリーニングが行える。
また、ブラシ用電荷付与部材39に電圧を印加する電源としては、芯金23aに電圧を印加するブラシ電源30に対して独立した電源を設ける構成に限らず、ブラシ電源30から芯金23aに印加する電圧と同じ大きさの電圧を印加する構成としてもよい。
【0055】
このように、図1に示す本実施形態のクリーニング装置20では、クリーニングブラシ23から回収ローラ24へのトナーの受渡しによって、ブラシ繊維の先端の電位が低下したとしても、ブラシ用電荷付与部材39によってブラシ繊維の先端の電位をブラシ用電荷付与部材39の電位まで戻すことができる。これにより、ブラシ繊維の先端の電位が低下することに起因するクリーニング不良を防止することができる。
【0056】
次に、先願2が備えるブラシ用電荷付与部材39について説明する。
図25は、先願2の記載のプリンタ100の要部を示す概略説明図である。図25に示すように、先願2のクリーニング装置20ではクリーニングブラシ23と回収ローラ24が接触した後のクリーニングブラシ23先端に接触するように軸方向に延在する棒状のブラシ用電荷付与部材39を配置している。ブラシ電荷付与電源34からブラシ用電荷付与部材39に、ブラシ電源30からクリーニングブラシ23の芯金23aに印加する印加電圧と同じ極性の電圧を印加する。クリーニング装置20では、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31の先端から1[mm]食い込んだ位置にステンレス棒をクリーニングブラシ23の回転軸方向と長手方向とが一致するように固定配置し、ブラシ電荷付与電源34から600[V]を印加している。
図25に示すように、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して固定配置する構成であっても、ブラシ繊維31の先端の電位が低下することに起因するクリーニング不良を防止することができる。しかし、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して固定配置する構成では、クリーニングブラシ23に付着したトナーが飛散する不具合が生じることがあった。
【0057】
次に、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して固定配置する構成で生じる、不具合について説明する。
図26は、クリーニングブラシ23に付着したトナーを、回収ローラ24によって静電的に除去する図1及び図25に記載のクリーニング装置20とは異なり、クリーニングブラシ23に付着したトナーを機械的に叩き落すフリッカーバー方式のクリーニング装置20を備えた比較例のプリンタ100の概略構成図である。
フリッカーバー方式のクリーニング装置20では、板状部材、棒状部材等をクリーニングブラシ23に食い込ませ固定配置する事がほとんどである。図26に示すクリーニング装置20では、フリッカーバー43ではトナーは回転方向下流側(図中フリッカーバー43の左側)に落ちて行く。これは以下の理由による。
すなわち、フリッカーバー43がクリーニングブラシ23に食い込んでいる為、トナーが付着したクリーニングブラシ23はフリッカーバー43と接触する時にブラシ繊維が倒され径が小さくなる。そして、フリッカーバー43を通過したクリーニングブラシ23は再び元の径に復帰しようとブラシ繊維が起き上がる。この時の慣性力でトナーがブラシ繊維から弾き飛ばされる。
【0058】
一方、先願2に記載のクリーニング装置20では、クリーニングブラシ23に対して固定配置された金属製のブラシ用電荷付与部材39が、図26に示すフリッカーバー43と同様に作用し、ブラシ繊維31に付着したトナーを弾き飛ばし、トナー飛散を発生させるおそれがあった。
すなわち、先願2に記載のクリーニング装置20のように、金属製のブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23へ食い込ませ固定配置すれば、フリッカーバー43と同様にブラシ用電荷付与部材39下流側つまりクリーニングブラシ23と接触した位置よりも表面移動方向下流側の感光体1表面上にトナーが付着し、結果的にクリーニングされなかったトナーと同じになる。
【0059】
ここで、図25に示す先願2に記載のクリーニング装置20のように、クリーニングブラシ23に対して棒状のブラシ用電荷付与部材39を固定配置した構成で、ブラシ用電荷付与部材39のクリーニングブラシ23に対する食い込み量を変化させたときの食い込み量とクリーニング性との関係を表すグラフを図9に示す。
【0060】
図9の縦軸であるの「クリーニングブラシ後ID」は、クリーニング(CL)残IDである、クリーニング残IDと言うのは次のような指標である。「クリーニング残ID」はクリーニングブラシ23によるクリーニング後の感光体1上のトナーをスコッチテープでテープ転写し、白紙上に貼り付けそれを分光測色計(アムテック社製Xライト)で測定し、一方スコッチテープでテープのみを同じ白紙に貼り付け分光測色計で測定し、トナーとテープと白紙をあわせた反射濃度(ID:Image Density)からスコッチテープでテープと白紙をあわせた反射濃度(ID)の分を引いた値である。IDとトナー個数は相関関係が有り、トナー個数が多いとIDの値は増加する。従ってIDでクリーニング性の判断ができる。すなわち、クリーニング残IDが小さいほどクリーニング性が良いという指標である。
【0061】
図9に示すようにブラシ用電荷付与部材39の食い込み量を少なくすれば当然トナー飛散量は少なくなる。このため、例えば食い込み量を0.2[mm]以下にしてやればよい。しかし、クリーニングブラシ23は感光体1と回収ローラ24へ共に1[mm]食い込んでいるので時間とともに径が小さくなって行く。
例えば、本実施形態のプリンタ100で使用しているブラシ繊維31であれば、10万枚の画像形成で約0.5[mm]程度径が小さくなる。従って、ブラシ用電荷付与部材39が固定配置であれば、0.25[mm]食い込ませていても、10万枚の画像形成を行った後には、ブラシ用電荷付与部材39がクリーニングブラシ23にほとんど接触しなくなりその効果はなくなってしまう。さらに、その後時間と共に更に径は小さくなり、最後には感光体1や回収ローラ24に対する食い込み量と同じ量まで小さくなる。詳しくは、食い込み量が1[mm]であるため、ブラシ繊維31の先端までの距離(半径)が1[mm]小さくなり、クリーニングブラシ23の外径としては2[mm]小さくなる。
【0062】
上述した先願2に記載のクリーニング装置20で起こり得る不具合を解消するために、本実施形態のプリンタ100が備えるクリーニング装置20は次のような構成を備える。
すなわち、ブラシ用電荷付与部材39として、板状の部材の一端を電荷付与部材回転軸39aに取り付け、板状のブラシ用電荷付与部材39を、電荷付与部材回転軸39aを中心に回転自在に配置している。このブラシ用電荷付与部材39は、電荷付与部材回転軸39aを中心に回転することによりクリーニングブラシ23の芯金23aとの距離が変位可能である。そして、付勢手段としてブラシ用電荷付与部材39が自重によって電荷付与部材回転軸39aを中心に回転してクリーニングブラシ23に向けて付勢され、当接するように構成している。
【0063】
図1に示すように、ブラシ用電荷付与部材39をその自重によって、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31に対して付勢して加圧当接することによって、ブラシ繊維に対して撓むような力が加わると、ブラシ繊維31の腰の強さによってブラシ用電荷付与部材39がブラシ繊維31から離れる方向に移動し、ブラシ繊維31の撓みを低減させることができる。
これにより、クリーニングブラシ23のフリッカー作用を低減できるため、トナー飛散を防止し、感光体1へのトナーの再付着を防止することができる。また、ブラシ用電荷付与部材39は自重によってクリーニングブラシ23に加圧当接しているため、経時でクリーニングブラシ23の径が小さくなっても、クリーニングブラシ23に接触することができ、ブラシ繊維31の先端の電位が低下することに起因するクリーニング不良を防止することができる。
なお、本実施形態ではブラシ用電荷付与部材39としては金属(SUS)製で厚さが2[mm]の板状部材を用いた。
【0064】
図1に示すクリーニング装置20では、ブラシ用電荷付与部材39の自重によってクリーニングブラシ23に対してブラシ用電荷付与部材39が加圧当接する構成について説明した。ブラシ用電荷付与部材39が加圧当接する構成としてはこれに限るものではない。
図10に示すように、付勢手段として弾性部材であるバネ部材として荷重の低いコイルバネ38によって、ブラシ用電荷付与部材39を付勢してクリーニングブラシ23に加圧しても良い。具体的にはコイルバネ38の加圧力は5[gf/cm]以下であればよい。
コイルバネ38による加圧力を変化させたときの加圧力とクリーニング性との関係を表すグラフを図11に示す。
図11に示すように、加圧力を増加すれば当然トナー飛散量も増加し、クリーニング性が低下する。
実験的には加圧力が20[gf/cm]以上になると、図25のようにブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して固定配置した構成の食い込み「1[mm]」と同程度のトナー飛散量となる。
なお、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に向けて付勢する付勢手段としては、コイルバネ38のようなバネ部材に限るものではない。
【0065】
また、図12に示すように、付勢手段として、ブラシ用電荷付与部材39の弾性力によってクリーニングブラシ23のブラシ繊維31に向けてブラシ用電荷付与部材39を付勢して、ブラシ繊維31に向けてブラシ用電荷付与部材39当接させても良い。図12に示す構成では、ブラシ用電荷付与部材39は弾性部材であって、厚さが0.05[mm]の板バネである。そして、この板バネからなるブラシ用電荷付与部材39は、一端が固定部37によってクリーニング装置20に固定され、他端を板バネの弾性によってクリーニングブラシ23に向けて付勢し加圧当接する。なお、図12にようにバネ部材を設けた構成であっても、コイルバネ38の構成と同様に、クリーニングブラシ23に対する加圧力が大きすぎるとトナー飛散量が増加し、クリーニング性が低下する。このため、板バネによる加圧力は弱めに設定しており、具体的には、ブラシ用電荷付与部材39のクリーニングブラシ23に対する食い込み量が設計上で「1[mm]」となるものを用いる。
図13は、板バネからなるブラシ用電荷付与部材39の拡大説明図である。図13中の39bがクリーニングブラシ23に接触する端部である。そして、食い込み量を維持し加圧力を弱めるには図13(a)または図13(b)に示すように板バネからなるブラシ用電荷付与部材39の肉抜きをしてやれば十分に加圧力を弱くすることができる。
このように板厚と形状の工夫でバネ材の一端を固定した加圧方法でもその加圧力を5[gf/cm]以下にすることができる。
【0066】
なお、感光体1とクリーニングブラシ23との間でも、当然、感光体1がフリッカーバー43と同様の役目をして、トナーが飛散して感光体1上に付着する。しかし、飛散する場所が感光体1とクリーニングブラシ23の接触位置に対して、感光体1の表面移動方向上流側なので、感光体1上に付着したトナーは再び感光体1とクリーニングブラシ23の接触部に運ばれ静電力又は機械力により除去される。
また、クリーニングブラシ23に静電力付着していた飛散トナーは、飛散する事で極性反転はせず「−極性」のままか、あるいは「無帯電」なので、「−極性」で有れば当然静電力で感光体1上から除去され、「無帯電」ならば感光体1とトナー間の付着力は極めて弱い為容易に機械的に叩き落される。
このため、クリーニングブラシ23後の感光体1上には影響を及ぼさない。なお、クリーニングブラシ23の感光体1への食い込み量は「1[mm]」である。
【0067】
また、回収ローラ24とクリーニングブラシ23との間も、感光体1とクリーニングブラシ23の関係と同じになっており、クリーニングブラシ23が回収ローラ24に対して「1[mm]」食い込んでいる。従って、クリーニングブラシ23に対して回収ローラ24がフリッカーバーの役目をしている。ここでは感光体1からクリーニングブラシ23上に移動したトナーは回収ローラ24との接触部へ運ばれ、ほとんどのトナーがクリーニングブラシ23と回収ローラ24の電位差で回収ローラ24へ移動するが、その移動量は「90%」程度である。
このため、残りの入力トナーの内の10[%]分のトナーがクリーニングブラシ23と回収ローラ24との接触部より回収ローラ24回転方向上流側に飛散する。この場合も回収ローラ24上に飛散したトナーは「−極性」か、または「無帯電」トナーである為再びクリーニングブラシ23と回収ローラ24との接触部へ運ばれたとき、−極性トナーはクリーニングブラシ23より回収ローラ24への印加電圧が「+極性」の高い電圧である為、回収ローラへ再び静電力で移動し、無帯電トナーは回収ローラ24とトナー間の付着力が極めて弱い為機械的に掻き落とされる。
いずれにしても回収ローラ24上に飛散したトナーはクリーニングブラシ23後の感光体1上には影響を及ぼさない。
【0068】
ここで、クリーニング装置20の静電クリーニング部の具体的な構成は下記に示す。
クリーニングブラシ材質:導電性ポリエステル、毛足長さ:5[mm]
感光体ドラムへのクリーニングブラシの食いこみ量1[mm]
クリーニングブラシ線速:200[mm/s](感光体と同じ線速)
ブラシ用電荷付与部材への印加電圧:600[V]
クリーニングブラシ軸印への加電圧:600[V]
ブラシ原糸抵抗:10[Ω・cm]、ブラシ植毛密度:10[万本/inch
ブラシ形態:ブラシ回転方向下流側へ傾斜
回収ローラ材質:SUS芯金にPVDFチューブ(100[μm])表層UVコート層(5[μm]:絶縁)
回収ローラの径:Φ10[mm]
回収ローラ線速:200[mm/s]
回収ローラ軸印加電圧:900[V]
回収ローラ用クリーニングブレードへの印加電圧:1200[V]
【0069】
なお、上述の説明で用いた装置では、回収ローラ用クリーニングブレード27の体積抵抗は10[Ω・cm]のものを用いたが、回収ローラ24上トナーのクリーニング性を低下させない範囲で、低抵抗のブレード材料を選ぶほうが電荷付与の効果が高くなる。高温高湿時にはあまり問題とならないが、低温低湿時にはとくに回収ローラ用クリーニングブレード27の抵抗値が高抵抗にならないようなブレード材料を選定することが望ましい。
【0070】
図7に示すように、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31が芯鞘構造で且つ回転方向に傾斜していても、感光体1上のトナーを表面部の絶縁性材料33を介して内部の導電性材料32と感光体1との間の電界、及び、導電性材料32と回収ローラ24表面電位との間の電界によってトナーを移動させている事で、繊維表面電位が低下し、ブラシ先端電位の低下が発生すると考えられる。
すなわち、表面部が導電性材料からなる全分散繊維の直毛、斜毛のクリーニングブラシ23では繊維表面電位の低下は発生しない。従って、繊維表面電位低下は本実施形態のクリーニング装置20のように、芯鞘構造繊維の傾斜ブラシと高抵抗又は絶縁回収ローラとの組み合わせで発生する問題である。
【0071】
また、図1及び図2に示すクリーニング装置20の極性制御ブレード22、クリーニングブラシ23、回収ローラ24及び回収ローラ用クリーニングブレード27に印加する電圧は上述した構成とは逆極性の電圧を印加しても良い。具体的には、極性制御ブレード22にプラス極性の電圧を印加し、クリーニングブラシ23、回収ローラ及び回収ローラ用クリーニングブレード27にはマイナス極性の電圧を印加する。この場合、ブラシ用電荷付与部材39に印加する電圧も上述した構成とは逆極性のマイナス極性の電圧を印加する。極性制御ブレード22にプラス極性の電圧を印加することにより、感光体1の表面と極性制御ブレード22との当接部を通過する転写残トナーの帯電極性はプラス極性に揃えられる。そして、プラス極性に揃えられたトナーはマイナス極性の電圧が印加されたクリーニングブラシ23、回収ローラ24及び回収ローラ用クリーニングブレード27によって感光体1表面上から除去される。
【0072】
本実施形態のプリンタ100では、トナーとして形状係数SF1が100〜150のいわゆる球形トナーを用いている。球形トナーを用いた場合、粉砕トナーを用いた場合に比べて極性制御ブレード22による感光体1上からのトナー除去は少なくなる。しかし、トナーすり抜けが多くても上述したように極性制御ブレード22でトナーの帯電極性を片側に揃えてクリーニングブラシ23で感光体1上から除去するため、球形トナーを用いたとしてもクリーニング性を維持することができる。
【0073】
次に、回収ローラ24上のトナーの除去について説明する。
回収ローラ24上のトナー除去は回収ローラ用クリーニングブレード27を用いて機械的に掻き落とすと、球形トナーの除去が困難という問題がある。
ここで、回収ローラ24上の球形トナーの除去が可能な事の説明を記す。
回収ローラ24はクリーニングブラシ23に付着したトナーをクリーニングブラシ23と回収ローラ24間の電位勾配で回収ローラ24へ転位させる機能があれば良く、感光体1とは異なり材料は何でもかまわない。クリーニングブラシ23との電位勾配を保つために、回収ローラ24としては、上述した測定法Aで、1010[Ω]以上の抵抗であるローラを用いることが好ましい。
回収ローラ24のクリーニング性が良いことも求められるので、表面を摩擦係数の低い材料でコーティングしたり、金属ローラに摩擦係数の低い導電性チューブを巻いたりしてもよい。具体的には、フッ素コーティングやPVDF、PFAチューブを巻いた回収ローラ24にすればよい。これにより、球形トナーでも容易に除去することができる。また、回収ローラ24は、表面を絶縁にしても良い。回収ローラ24の絶縁表面材料としては、PVDFチューブ、PIチューブ、アクリルコート、シリコーンコート(例えばシリコーン粒子を含有したPCをコート)、セラミックスなどがある。このとき、トナー極性制御ブレード22、クリーニングブラシ23、回収ローラ24への印加電圧は、これらの印加電圧の値は、使用環境などを加味して適切にすればよい。
【0074】
上述した実施形態では、感光体表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3を、感光体1表面に所定の距離をもって非接触で配置されているが、図14に示すように感光体1に接触させても良い。また、帯電ローラ3に限らず、図15に示すようなコロナチャージャー3aで、感光体表面を帯電させるようにしても良い。また、帯電手段を図16に示すような磁気ブラシ3bとしたり、図17にようなファーブラシ3cとしたりしても良い。
【0075】
次に、本実施形態に係る画像形成装置に用いられる感光体1について詳しく説明する。
本実施形態で用いる感光体1としては、導電性支持体を50[℃]〜400[℃]に加熱し、この支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりアモルファスシリコン(a−Si)からなる光導電層を有するアモルファスシリコン系感光体(以下、「a−Si系感光体」と称する。)を用いることができる。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして用いられている。
【0076】
先に述べたa−Si系感光体の層構成は例えば以下のようなものである。図18は、層構成を説明するための模式的構成図である。図18(a)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上にa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502が設けられている。図18(b)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503とから構成されている。図18(c)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504とから構成されている。図18(d)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、光導電層502が設けられている。光導電層502はa−Si:H,Xからなる電荷発生層505ならびに電荷輸送層506とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層503が設けられている。
【0077】
上述したa−Si系感光体500の支持体501としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム、またはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
支持体501の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体501としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体501は製造上、および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10[μm]以上とされる。
【0078】
本実施形態に用いることができるa−Si系感光体500には必要に応じて導電性の支持体501と光導電層502との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのあるアモルファスシリコン系電荷注入阻止層504を設けるのがいっそう効果的である(図18(c))。すなわち、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体501側より光導電層502側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504には伝導性を制御する原子を光導電層502に比べ比較的多く含有させる。
アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5[μm]、より好ましくは0.3〜4[μm]、最適には0.5〜3[μm]とされるのが望ましい。
【0079】
光導電層502は必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層502の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜100[μm]、より好ましくは20〜50[μm]、最適には23〜45[μm]とされるのが望ましい。
【0080】
電荷輸送層506は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層である。この電荷輸送層506は、その構成要素として少なくともシリコーン原子と炭素原子と弗素原子とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−SiC(H、F、O)からなり、所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。本発明においては酸素原子を含有することが特に好ましい。
電荷輸送層506の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層506については、好ましくは5〜50[μm]、より好ましくは10〜40[μm]、最適には20〜30[μm]とされるのが望ましい。
【0081】
電荷発生層505は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層である。この電荷発生層505は、構成要素として少なくともシリコン原子を含み、実質的に炭素原子を含まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hから成り、所望の光導電特性、特に電荷発生特性,電荷輸送特性を有する。
電荷発生層505の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5〜15[μm]、より好ましくは1〜10[μm]、最適には1〜5[μm]とされる。
【0082】
本実施形態に用いるa−Si系感光体500には必要に応じて、上述のようにして支持体501上に形成された光導電層502の上に、更に表面層を設けることができ、アモルファスシリコン系表面層503を形成することが好ましい。このアモルファスシリコン系表面層503は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
アモルファスシリコン系表面層503の層厚としては、通常0.01〜3[μm]、好適には0.05〜2[μm]、最適には0.1〜1[μm]とされるのが望ましいものである。層厚が0.01[μm]よりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由によりアモルファスシリコン系表面層503が失われてしまい、3[μm]を超えると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
【0083】
a−Si系感光体500は、表面硬度が高く、半導体レーザー(770〜800[nm])などの長波長光に高い感度を示し、しかも繰返し使用による劣化もほとんど認められない。このため、高速複写機やレーザービームプリンタ(LBP)などに用いるのに好適な電子写真用感光体である。
【0084】
また、導電性支持体上に感光層を設けこの感光層の上に被覆された表面層にフィラーを含有させたり、電荷輸送物質を架橋型電荷輸送材料とした有機感光体を用いても良い。有機感光体の表面層を粒子状物質を含有したり、電荷輸送物質として架橋型電荷輸送材料を用いることで、耐磨耗性を上げることができる。
【0085】
感光体の表面層としては、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルより選ばれる化合物の重合体もしくは共重合が挙げられる。また、表面層に含有するフィラーとしては、有機フィラーと無機フィラーのどちらを用いても良いが、無機フィラーが特に好ましく用いられる。有機フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラー材料としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素等が挙げられる。これらのフィラーは単独で用いても、或いは2種以上を混合して用いても良い。また、分散性を向上させるために、これらのフィラーは表面処理剤で表面処理を行っても良い。
【0086】
導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダーまたはフィルムが用いられる。これらの支持体の上には、バリアー機能と下引機能をもつ下引層(接着層)を設けることができる。下引層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的被覆に対する保護などのために形成される。下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、等が知られている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その膜厚は0.2〜2[μm]程度である。
【0087】
感光層の具体例としては、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造を有するもの、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単一の層から成るものなどがある。
【0088】
電荷発生物質としては、ピリリウム、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニンなどを用いることができる。
【0089】
電荷輸送物質としては、架橋型電荷輸送材料を使用することが好ましい。具体的には、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テトラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)エタン等のポリアリールアルカン類、およびトリアリールアミン類などを用いることができる。
【0090】
また、最表面に保護層を設け耐摩耗性を向上する目的でフィラーを添加した感光体としてもよい。有機フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラーとしては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。これらのフィラーは単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラーは、保護層用塗工液に適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、0.5[μm]以下、好ましくは0.2[μm]以下にあることが保護層の透過率の点から好ましい。また、実施形態において保護層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0091】
次に、本実施形態の画像形成装置に好適に用いられるトナーについて説明する。本実施形態においては、形状係数SF−1が100〜150である真円度の高い球形トナーを用いている。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1が150を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0092】
図19は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記(1)式で表される。球状物質(本実施形態ではトナー)を二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
つまり次式、
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・(1)
によって定義されるものである。
また、図20は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−2は、図20に示すように、物質の形状の凹凸の割合を示す数値であり、物質を二次元平面上に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで割って、100/4πを乗じた値で表される。
つまり次式、
SF−2={(PELI)/AREA}×(100/4π)
によって定義されるものである。
なお、本実施形態でのSF−2は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー像を100回無作為にサンプリングし、その画像情報は、インターフェースを介して、ニコレ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入して解析を行い、上式より算出したものである。
【0093】
また、図21に示すように、像担持体としての感光体1とクリーニング装置20とを枠体83内に一体に支持し、プリンタ100本体に対して着脱自在な像担持体ユニットであるプロセスカートリッジ300としてもよい。なお、図21では、感光体1及びクリーニング装置20のほか、帯電ローラ3及び現像装置6も一体に支持したプロセスカートリッジであるが、少なくとも、感光体1及びクリーニング装置20を一体に支持したものであればよい。
【0094】
次に、本発明のクリーニング装置20をカラー画像形成装置に適用した例について、図22、及び図23を用いて説明する。
図22は、本発明のクリーニング装置20をいわゆるタンデム型のフルカラー画像形成装置であるプリンタ100に適用した例を示す図である。このプリンタ100は、水平面上に設置したときに、水平方向に長尺な状態となるように、複数のローラ65、64、67に張架された中間転写ベルト69を備えている。この中間転写ベルト69は、図中矢印Dの向きに表面移動する。中間転写ベルト69における水平方向に延在する平面部分には、4つの感光体1Y、1M、1C、1Kが並んで配設されている。各感光体1の周囲には、それぞれ、帯電手段としての帯電ローラ3(Y,M,C,K)、現像手段としての現像装置6(Y,M,C,K)、除電ランプ2(Y,M,C,K)、クリーニング装置20(Y,M,C,K)等が設けられている。また、プリンタ100は、複数枚の記録材としての記録紙Pを収納する図示しない給紙カセットを備えている。給紙カセット内の記録紙Pは、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、二次転写ローラ66と中間転写ベルト69との間の二次転写領域に送り出される。
【0095】
図22のプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、各感光体1を図22中反時計方向に回転駆動するとともに中間転写ベルト69を図22中反時計方向に回転駆動する。そして、各感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電した後、各感光体1の表面に対して画像データで変調されたレーザー光4を照射して、各感光体1の表面に各色の静電潜像を形成する。各感光体1の表面上の各色静電潜像には、現像装置6により各色トナーがそれぞれ付着し、これにより各色トナー像が形成される。この各色トナー像は、中間転写ベルト69上に互いに重なり合うように一次転写される。中間転写ベルト69上の各色トナー像は、互いに重なり合った状態で、二次転写ローラ66により二次転写領域に搬送されてきた記録紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、図示しない定着部に搬送され、記録紙Pを加熱、加圧して、記録紙P上のトナー像を記録紙Pに定着させる。定着後の記録紙Pは、図示しない排紙トレー上に排出する。転写後の各感光体1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置20で除去される。また、中間転写ベルト69の表面に残留した転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置120で除去される。この中間転写ベルトクリーニング装置120も本発明のクリーニング装置20と同様の構成を適用できる。
【0096】
図22に示すタンデム型のフルカラー画像形成装置において、感光体1の表面に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段として、クリーニング装置20を用いることで、球形トナーであっても、感光体1表面から転写残トナーを良好に除去することができる。また、環境変動によって転写残トナーのほとんどがプラス極性になったり、マイナス極性となったりしても、良好に転写残トナーを感光体1から除去することができる。転写紙に転写されずに中間転写ベルト69の表面に残留した転写残トナーをクリーニングする中間転写ベルトのクリーニング手段として、中間転写ベルトクリーニング装置120を用いることで、球形トナーであっても、中間転写ベルト69表面から転写残トナーを良好に除去することができる。また、環境変動によって中間転写ベルト上の転写残トナーのほとんどがプラス極性になったり、マイナス極性となったりしても、良好に転写残トナーを中間転写ベルト69から除去することができる。
【0097】
図23は、本発明のクリーニング装置20をいわゆる1ドラム型のフルカラー画像形成装置であるプリンタ100に適用した例を示す図である。このプリンタ100では、図示しない本体筐体内に、感光体1が収納されている。この感光体1の周囲には、それぞれ、帯電手段としての帯電ローラ3、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色に対応した現像装置6C,6M,6Y,6K、中間転写手段としての中間転写部70、クリーニング手段としてのクリーニング装置20等が設けられている。また、このプリンタは、複数枚の記録材としての記録紙Pを収納する図示しない給紙カセットを備えている。給紙カセット内の記録紙は、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、二次転写部77と中間転写部70との間の二次転写領域に送り出される。
【0098】
図23のプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、感光体1を図23中反時計方向に回転駆動するとともに中間転写部70の中間転写ベルト69を図23中時計方向に回転駆動する。そして、感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電した後、感光体1の表面に対してC用画像データで変調されたレーザー光4を照射して、感光体1の表面にC用静電潜像を形成する。そして、このC用静電潜像を現像装置6CによりCトナーで現像を行う。これにより得られたC用トナー像は、中間転写部70の中間転写ベルト上に一次転写される。その後、感光体1の表面に残留した転写残トナーをクリーニング装置20で除去した後、再び感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電する。次に、感光体1の表面に対してM用画像データで変調されたレーザー光4を照射して、感光体1の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像を現像装置6MによりMトナーで現像を行う。これにより得られたM用トナー像は、中間転写部70の中間転写ベルト69上に既に一次転写されているC用トナー像と重なり合うようにして、中間転写ベルト69上に一次転写される。以後、Y及びKについても、同様に中間転写ベルト69上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態の中間転写ベルト69上の各色トナー像は、二次転写部77により二次転写領域に搬送されてきた記録紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、紙搬送ベルト81によって、図示しない定着部に搬送される。この定着部で、記録紙Pを加熱、加圧して、記録紙P上のトナー像を記録紙Pに定着させる。定着後の記録紙Pは、図示しない排紙トレー上に排出する。転写後の感光体1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置20で除去される。また、中間転写ベルト69の表面に残留した転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置120で除去される。この中間転写ベルトクリーニング装置120も本発明のクリーニング装置20と同様の構成を適用できる。
【0099】
この図23に示した1ドラム型のフルカラー画像形成装置において、感光体1の表面に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニングユニットとして、クリーニング装置20を用いることで、球形トナーであっても、感光体1表面から転写残トナーを良好に除去することができる。また、環境変動によって、転写残トナーのほとんどがプラス極性になったり、マイナス極性となったりしても、良好に転写残トナーを感光体1から除去することができる。また、転写紙に転写されずに中間転写ベルト69の表面に残留した転写残トナーをクリーニングする中間転写ベルトクリーニング手段として、中間転写ベルトクリーニング装置120を用いることで、球形トナーであっても、中間転写ベルト69表面から転写残トナーを良好に除去することができる。また、環境変動によって中間転写ベルト上の転写残トナーのほとんどがプラス極性になったり、マイナス極性となったりしても、良好に転写残トナーを中間転写ベルト69から除去することができる。
【0100】
また、図24に示すように、紙搬送ベルト81に付着したトナーを除去する搬送ベルトクリーニング手段として、クリーニング装置20と同様の構成のクリーニング装置に用いても良い。図24に示すプリンタ100では、用紙ジャムが起こると、感光体1上のトナー像が紙搬送ベルト81に転写されてしまい、紙搬送ベルト81が汚れてしまう。また、現像ローラ8内の帯電量の低いトナーやプラスに帯電したトナーが感光体1上の紙間に付着する場合がある。この紙間に付着しているトナーは、紙搬送ベルト81に転写され、紙搬送ベルト81を汚してしまう。紙ジャムなどによって、紙搬送ベルト81に付着したトナーの一部は、転写ローラ15によって電荷が注入されて、極性が反転する。その結果、紙搬送ベルト81に汚れとして転写されたトナーには、プラス極性とマイナス極性とが混在する。しかし、紙搬送ベルトクリーニング手段として、本発明のクリーニング装置20と同様の構成の搬送ベルトクリーニング装置220を用いることで、プラス極性とマイナス極性とが混在している紙搬送ベルト81上のトナーを良好に除去することができる。
【0101】
以上、本実施形態によれば、クリーニング装置20は、導電性のブラシ繊維31が導電性の回転軸である芯金23aの外周から半径方向外側に伸びるように植毛され、芯金23aを中心に回転しながらブラシ繊維を表面移動する被清掃体である感光体1に接触させるブラシローラであるクリーニングブラシ23を有する。また、芯金23aに電圧を印加するブラシローラ電圧印加手段であるブラシ電源30を有する。また、ブラシ繊維31と感光体1とが接触する位置とは異なる位置でブラシ繊維31に接触するブラシローラ清掃部材である回収ローラ24を有する。また、電圧が印加されたブラシ繊維31に感光体1上のトナーを付着させることにより感光体1からトナーを除去し、ブラシ繊維31に付着したトナーを回収ローラ24によってクリーニングブラシ23からトナーを除去する。また、ブラシ繊維31と回収ローラ24とが接触する位置に対してクリーニングブラシ23の回転方向下流側、且つ、ブラシ繊維31と感光体1とが接触する位置に対してクリーニングブラシ23の回転方向上流側の位置でブラシ繊維31と接触し、ブラシ繊維31に印加された電圧と同極性の電圧が印加されたブラシ繊維電荷付与部材であるブラシ用電荷付与部材39を備える。また、ブラシ用電荷付与部材39に電圧を印加するブラシ電荷付与部材電圧印加手段であるブラシ電荷付与電源34とを備る。これにより、ブラシ繊維31の先端の電位が低下することに起因するクリーニング不良を防止し、より確実に良好なクリーニングを実現することが出来る。また、ブラシ用電荷付与部材39と回転軸である芯金23aとの距離が変化可能となるようにブラシ用電荷付与部材39を配置し、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に向けて付勢する付勢手段を有する。これにより、クリーニングブラシ23の芯金23aとの距離が変化可能となるようにブラシ用電荷付与部材39を配置しており、ブラシ先端の回転半径が経時小さくなっても付勢手段として、ブラシ用電荷付与部材39がその自重によってクリーニングブラシ23に対して付勢して、芯金23aとの距離が近づくようにブラシ用電荷付与部材39が回転移動することで、ブラシ繊維31とブラシ用電荷付与部材39との接触を維持することができる。また、ブラシ繊維31に対して撓むような力が加わわろうとすると、ブラシ繊維31の腰の強さとブラシ用電荷付与部材39がその自重によってブラシローラ23に対して付勢する力とが均衡する位置となるように、ブラシ用電荷付与部材39が芯金23aから離れる方向に移動し、ブラシ繊維31の撓みを低減させることができる。よって、ブラシ先端の回転半径が経時小さくなってもブラシ繊維とブラシ繊維電荷付与部材との接触を維持するため、経時において、ブラシ繊維電荷付与部材を固定配置するものに比べてより確実に良好なクリーニングを実現することができる。さらに、クリーニングブラシ23のフリッカー作用を低減できるため、トナー飛散を防止し、感光体1へのトナーの再付着を防止することができ、より確実に良好なクリーニングを実現することができる。
また、図1に示すように、付勢手段としてブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23のブラシ繊維31に対して自重によって当接させることにより、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して加圧当接させる構成を実現することができる。
また、図10に示すように、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して付勢する付勢手段であるコイルバネ38を備えることにより、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して加圧当接させる構成を実現することができる。
また、図12に示す構成のように、付勢手段として、ブラシ用電荷付与部材39が弾性部材からなり、ブラシ用電荷付与部材39が、その弾性力によってクリーニングブラシ23に対して付勢して当接することにより、ブラシ用電荷付与部材39をクリーニングブラシ23に対して加圧当接させる構成を実現することができる。
また、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31は、クリーニングブラシ23の回転方向後方に傾斜しているため、ブラシ繊維31の内部の導電性材料32がブラシ繊維31の先端部で露出していたとしても、トナーが導電性材料32と接触することを防止することができる。これにより、クリーニングブラシ23から除去するトナーへの電荷注入を抑制することができ、トナーへの電荷注入に起因するクリーニング不良の発生を防止することができる。
また、ブラシローラ清掃部材が、回収ローラ電圧印加手段である回収電源28によって電圧が印加され、ブラシ繊維31に付着したトナーを静電的に引きつけて回収する回収ローラ24であることにより、クリーニングブラシ23に付着したトナーを回収ローラ24が静電的に引きつけることによって、クリーニングブラシ23のトナーを除去することができ、トナーが付着していないブラシ繊維31を感光体1に接触させることができるため、良好なクリーニング性を維持することができる。さらに、回収ローラ24の外周面に電気的な抵抗層または絶縁層からなるローラ表面層を有することにより、ブラシ繊維31と回収ローラ24とに挟まれたトナーの極性を反転しにくく、極性が反転したトナーがクリーニングブラシ23から感光体1に再付着することを防止できる。
また、回収ローラ24の表面層の表面抵抗が1×1010[Ω/□]以上であることにより、より確実にブラシ繊維31と回収ローラ24とに挟まれたトナーの極性が反転することを防止できる。
また、回収ローラ24表面に接触し、回収ローラ24に印加された電圧と同極性の電圧が印加されたローラ表面電荷付与部材である回収ローラ用クリーニングブレード27と、回収ローラ用クリーニングブレード27に電圧を印加するローラ電荷付与部材電圧印加手段であるローラクリーニングブレード電源42とを備えるにより、回収ローラ24の表面の電位が安定し、ブラシ繊維31の先端の電位と回収ローラ24の表面電位との電位差が安定し、クリーニングブラシ23から回収ローラ24側に安定してトナー回収できる。
また、回収ローラクリーニング手段として導電性材料からなり、回収ローラ24の表面に接触して回収ローラ24表面上のトナーを掻き落とす回収ローラ用クリーニングブレード27を備え、ローラ表面電荷付与部材が回収ローラ用クリーニングブレード27であることにより、回収ローラ24上のトナーを掻き落としながら、回収ローラ24の表面に電荷を与えるため、回収ローラ24の表面電位の低下を防止することができる。これにより、クリーニングブラシ23から回収ローラ24へのトナーの回収性能が低下することを防止でき、良好なクリーニング性を維持することができる。
また、クリーニングブラシ23のブラシ繊維31が感光体1上のトナーを除去する位置に対して感光体1表面移動方向上流側の感光体1の表面に当接し、クリーニングブラシ23とは逆極性(マイナス極性)の電圧が印加され、感光体1上のトナーの極性を制御するトナー極性制御手段である極性制御ブレード22を備えることにより、ブレードの機械的な摺擦により転写残トナーのほとんどを感光体1表面から除去することができる。さらに、クリーニングブラシ23とは逆極性の電圧が印加されていることにより、極性制御ブレード22と感光体1との当接部を通過したトナーの帯電極性をクリーニングブラシ23とは逆極性に揃えることができる。これにより、感光体1上のトナーをクリーニングブラシ23によって確実に除去することができる。さらに、クリーニングブラシ23と感光体1との当接部に入力するトナーの極性を片側に揃えるので、クリーニングブラシ23はトナーとは反対側の極性を印加すればトナーをクリーニングでき、プラス極性のトナーとマイナス極性のトナーとが混在した転写残トナーを静電的に除去するブラシが1本ですむ簡単な構成になる。
また、トナー極性制御手段が導電性ブレードからなる極性制御ブレード22であることにより、簡易な構成で、摺擦によるトナーの除去と、除去できなかったトナーの帯電電位を揃える構成を実現することが出来る。さらに、極性制御ブレード22との当接部でトナーの除去がなされるため、クリーニングブラシ23と感光体1との当接部に入力するトナーの量を低減できる。
また、トナーとして球形トナーを用いることにより高画質化を測ることができ、機械的なクリーニングでは粉砕トナーよりもクリーニングが困難である球形トナーであってもクリーニング装置20を用いてクリーニングすることにより、良好なクリーニングを行うことができる。
また、球形トナーとして、形状係数SF−1が100〜150の真円度の高い球形トナーを用いている。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体1との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率を高くすることができ、高品の画像を得ることができる。
また、プリンタ100が備える感光体1を清掃する潜像担持体クリーニング手段として、本実施形態のクリーニング装置20を用いることにより、感光体1上の転写残トナーを良好にクリーニングすることができる。これにより、高画質な画像形成を実現することができる。
また、プリンタ100が1ドラム型のフルカラー画像形成装置である場合の潜像担持体クリーニング手段として、本実施形態のクリーニング装置20を用いることにより、感光体1上の転写残トナーを良好にクリーニングすることができる。感光体1上の転写残トナーを良好にクリーニングできることにより、感光体1上の転写残トナーが他の色の現像装置6内に混入することを防止することができ、混色の発生を防止することができる。これにより、高画質な画像形成を実現することができる。
また、プリンタ100がタンデム型のフルカラー画像形成装置である場合の潜像担持体クリーニング手段として、本実施形態のクリーニング装置20を用いることにより、各感光体1上の転写残トナーを良好にクリーニングすることができる。これにより、高画質な画像形成を実現することができる。
また、中間転写体である中間転写ベルト69をクリーニングする中間転写体クリーニング手段として、本実施形態のクリーニング装置20と同様の構成を備えた中間転写ベルトクリーニング装置120を用いることにより、中間転写ベルト69上の転写残トナーを良好にクリーニングすることができる。中間転写ベルト69上の転写残トナーを良好にクリーニングできることにより、中間転写ベルト69上の転写残トナーが他の色の感光体1に付着することを防止することができ、混色の発生を防止することができる。これにより、高画質な画像形成を実現することができる。
また、転写紙を搬送する記録媒体搬送部材である紙搬送ベルト81をクリーニングする記録媒体搬送部材クリーニング手段ととして、本実施形態のクリーニング装置20と同様の構成を備えた搬送ベルトクリーニング装置220を用いることにより、紙搬送ベルト81上に付着したトナーを良好にクリーニングすることができる。紙搬送ベルト81上に付着したトナーを良好にクリーニングできることにより、転写紙の裏汚れを防止することができる。
また、感光体1として、表面層又は感光層にフィラーを分散させた材料からなるものを用いることでも、感光体1の膜削れ量を低減することができ、耐摩耗性を向上することができる。これにより、摩耗によって、感光体表面が削れて凹凸ができるの抑制することができる。その結果、感光体とクリーニングブレードとの接触圧が軸方向で均一に保たれ、トナーのすり抜けが発生し易い感光体とクリーニングブレードとの接触圧が低い部分が生じるのを抑制することができ、トナーのすり抜けを抑制することができる。
また、感光体1が充填剤で補強された表面層を有する誘起感光体または架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体、又はその両方の特徴を有する有機感光体で有るので、感光体の膜削れ量が低減できる。
また、感光体1として、感光層がアモルファスシリコンからなるものを用いていることで、感光体1の膜削れ量を低減することができ、摩耗を抑制することができる。これにより、摩耗によって、感光体表面が削れて凹凸ができるの抑制することができる。その結果、感光体とクリーニングブレードとの接触圧が軸方向で均一に保たれ、トナーのすり抜けが発生し易い感光体とクリーニングブレードとの接触圧が低い部分が生じるのを抑制することができ、トナーのすり抜けを抑制することができる。
また、感光体1と少なくともクリーニング装置20とを一体に備えたプロセスカートリッジ300とすることで、クリーニング装置20及び感光体1をプリンタに対して容易に着脱することができる。これにより、交換時の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】従来例に係るプリンタの概略構成図。
【図3】感光体上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布と、転写後に感光体上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフ。
【図4】感光体表面移動時のクリーニングブレードの説明図。
【図5】感光体上に担持されたトナーの転写後における帯電電位分布と、クリーニングブレードとの対向部を通過した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフ。
【図6】クリーニングブレードに印加する電圧を変化させたときの転写残トナーの帯電電位分布の変化を示すグラフ。
【図7】本実施形態のクリーニングブラシのブラシ繊維の縦断面図。
【図8】クリーニングブラシのブラシ繊維が直毛である場合の縦断面図。
【図9】食い込み量とクリーニング性との関係を表すグラフ。
【図10】コイルバネによってブラシ用電荷付与部材を付勢してクリーニングブラシに加圧する構成の説明図。
【図11】コイルバネによる加圧力を変化させたときの加圧力とクリーニング性との関係を表すグラフ。
【図12】ブラシ用電荷付与部材の弾性によってブラシ用電荷付与部材を付勢してクリーニングブラシに加圧する構成の説明図。
【図13】板バネからなるブラシ用電荷付与部材の拡大説明図。
【図14】帯電ローラを感光体に接触させた構成を示す図。
【図15】帯電手段をコロナチャージャーとした構成を示す図。
【図16】帯電手段を磁気ブラシブローラとした構成を示す図。
【図17】帯電手段をファーブラシローラとした構成を示す図。
【図18】アモルファスシリコン感光体の層構成の説明図。
【図19】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
【図20】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
【図21】プロセスカートリッジの概略構成図。
【図22】タンデム型フルカラー画像形成装置の要部構成図。
【図23】1ドラム型のフルカラー画像形成装置の要部構成図
【図24】紙搬送ベルトにクリーニング装置を備えた構成の概略構成図。
【図25】先願2の記載のプリンタを示す概略構成図。
【図26】フリッカーバー方式のクリーニング装置を備えたプリンタの概略構成図。
【符号の説明】
【0103】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電ローラ
6 現像装置
8 現像ローラ
15 転写ローラ
19 トナー排出スクリュ
20 クリーニング装置
22 極性制御ブレード
23 クリーニングブラシ
23a 芯金
24 回収ローラ
27 回収ローラ用クリーニングブレード
28 回収電源
29 ブレード電源
30 ブラシ電源
31 ブラシ繊維
32 導電性材料
33 絶縁性材料
37 固定部
38 コイルバネ
39 ブラシ用電荷付与部材
39a 電荷付与部材回転軸
42 ローラクリーニングブレード電源
69 中間転写ベルト
81 紙搬送ベルト
100 プリンタ
120 中間転写ベルトクリーニング装置
220 搬送ベルトクリーニング装置
300 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のブラシ繊維が回転軸から半径方向外側に伸びるように植毛され、該回転軸を中心に回転しながらブラシ繊維を表面移動する被清掃体に接触させるブラシローラと、
該ブラシローラに電圧を印加するブラシローラ電圧印加手段と、
該ブラシ繊維と該被清掃体とが接触する位置とは異なる位置で該ブラシ繊維に接触するブラシローラ清掃部材とを有し、
電圧が印加された該ブラシ繊維に該被清掃体上のトナーを付着させることにより該被清掃体からトナーを除去し、
該ブラシ繊維に付着したトナーを該ブラシローラ清掃部材によって該ブラシローラからトナーを除去するクリーニング装置において、
該ブラシ繊維と該ブラシローラ清掃部材とが接触する位置に対して該ブラシローラの回転方向下流側、且つ、該ブラシ繊維と該被清掃体とが接触する位置に対して該ブラシローラの回転方向上流側の位置で該ブラシ繊維と接触し、該ブラシ繊維に印加された電圧と同極性の電圧が印加されたブラシ繊維電荷付与部材と、
該ブラシ繊維電荷付与部材に電圧を印加するブラシ電荷付与部材電圧印加手段とを備え、
該ブラシ繊維電荷付与部材と該回転軸との距離が変化可能となるように該ブラシ繊維電荷付与部材を配置し、
該ブラシ繊維電荷付与部材を該ブラシローラに向けて付勢する付勢手段を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
上記付勢手段として、上記ブラシ繊維電荷付与部材が上記ブラシローラの上記ブラシ繊維に対して自重で付勢するように構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1のクリーニング装置において、
上記付勢手段は弾性部材であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1のクリーニング装置において、
上記ブラシ繊維電荷付与部材は弾性部材からなり、上記付勢手段として、該ブラシ繊維電荷付与部材がその弾性力によって上記ブラシローラの上記ブラシ繊維に対して付勢することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のクリーニング装置において、
上記ブラシ繊維は内部が導電性材料で、表面部が絶縁性材料となっていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のクリーニング装置において、
上記トナーの形状係数SF−1が、100〜150であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
潜像担持体と、
該潜像担持体を帯電せしめる帯電手段と、
該潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
該潜像担持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー増加する現像手段と、
該潜像担持体上のトナー像を転写体又は記録媒体に転写する転写手段と、
転写後の該潜像担持体を被清掃体として表面に付着した転写残トナーを除去する潜像担持体クリーニング手段とを有する画像形成装置において、
該潜像担持体クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記現像手段としてそれぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、
上記潜像担持体1つに対して該複数の現像装置が対向することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7の画像形成装置において、
上記現像手段としてそれぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、
該複数の現像装置と同数の上記潜像担持体を備え、
該潜像担持体1つの対して該複数の現像装置のうち一つが対向することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
像担持体と、
該像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と、
該中間転写体上のトナー像を転写体又は記録媒体に転写する二次転写手段と、
二次転写後の該中間転写体を被清掃体として表面に付着した転写残トナーを除去する中間転写体クリーニング手段とを有する画像形成装置において、
該中間転写体クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
像担持体と、
該像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
該像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
該記録媒体を該転写手段による転写位置まで搬送する記録媒体搬送部材と、
該記録媒体搬送部材を被清掃体として表面に付着した不要なトナーを除去する記録媒体搬送部材クリーニング手段とを有する画像形成装置において、
記録媒体搬送部材クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項7、8または9の画像形成装置において、
上記潜像担持体として、感光層がアモルファスシリコンからなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項7、8、9または12の画像形成装置において、
上記潜像担持体として、フィラーを分散させた材料からなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項7、8、9、12または13の画像形成装置において、
上記潜像担持体として、架橋型電荷輸送材料を使用したものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項7、8、9、12、13または14の画像形成装置において、
上記潜像担持体として、充填剤で補強された表面層を有するものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
被清掃体である像担持体と少なくとも該像担持体表面をクリーニングするクリーニング手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在な像担持体ユニットにおいて、
該クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5または6のクリーニング装置を用いたことを特徴とする像担持体ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−92959(P2009−92959A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263825(P2007−263825)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】