説明

クレーンのウィンチ操作装置

【課題】操作レバーの回動に伴って1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される第1状態から2つの油圧ポンプから1つの油圧モータに圧油が供給される第2状態へ圧油の供給状態が移行する直前の状態でオペレータが操作レバーの回動角度の保持を行わなくてもその圧油の供給状態を維持する。
【解決手段】ウィンチ操作装置は、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合には、操作レバー12,16の回動角度が第1設定角度と第2設定角度との間の特定の保持角度に達したときにその操作レバー12,16が当該保持角度から逸脱するような回動に抵抗を与える中間保持力を操作レバー12,16に付与する保持有効状態となり、油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合には、操作レバー12,16に中間保持力を与えることなく保持角度に対応する回動位置の通過を許容する保持無効状態となる中間保持機構7,9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンのウィンチ操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンに設けられたウィンチを操作するためのウィンチ操作装置が知られており、下記特許文献1には、その一例が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたウィンチ操作装置は、クレーンに設けられた主巻ウィンチと補巻ウィンチを操作するものである。このウィンチ操作装置は、主巻ウィンチを駆動するための主巻油圧モータと、補巻ウィンチを駆動するための補巻油圧モータと、主巻ウィンチを操作するための主巻操作レバーと、補巻ウィンチを操作するための補巻操作レバーと、圧油を吐出する第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプを有し、操作レバーの操作に応じてそれらの油圧ポンプから吐出された圧油を前記油圧モータに供給するための油圧回路とを備えている。
【0004】
油圧回路は、主巻油圧モータ及び補巻油圧モータへの圧油の供給形態が第1供給形態と第2供給形態とに切り換わるように構成されている。第1供給形態では、主巻操作レバーが中立位置から所定の回動角度に回動されるまでは、第1油圧ポンプのみから主巻油圧モータへ圧油が供給されるとともに、主巻操作レバーの回動角度の増加に従って主巻油圧モータへ供給される圧油の流量が増加し、主巻操作レバーが前記所定の回動角度を超えてさらに回動される場合には、第1油圧ポンプに加えて第2油圧ポンプから主巻油圧モータへ圧油が供給される。また、この第1供給形態では、補巻操作レバーが中立位置から回動される場合には、油圧回路は、上記と同様にして第2油圧ポンプのみから補巻油圧モータに圧油を供給する状態から第2油圧ポンプに加えて第1油圧ポンプから補巻油圧モータに圧油を供給する状態へ移行する。一方、第2供給形態では、油圧回路は、主巻操作レバーが回動される場合にはその回動角度にかかわらず第1油圧ポンプから吐出される圧油のみを主巻油圧モータへ供給し、補巻操作レバーが回動される場合にはその回動角度にかかわらず第2油圧ポンプから吐出される圧油のみを補巻油圧モータへ供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−254055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなウィンチ操作装置において、油圧回路による油圧モータへの圧油の供給形態が前記第1供給形態である場合に、1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される状態から2つの油圧ポンプから1つの油圧モータに圧油が供給される状態へ移行する直前の状態でオペレータが操作レバーの回動を止めて保持するような操作を行わなくても、その状態で油圧モータへの圧油の供給状態を維持できるようにしたいという要望がある。すなわち、前記第1供給形態において、1つの油圧モータに1つの油圧ポンプのみから圧油が供給され、かつ、その供給される圧油の流量が最大となる状態の維持をオペレータによる操作レバーの回動角度の保持を要することなく行いたいという要望がある。
【0007】
しかし、上記のウィンチ操作装置は、そのような状態で圧油の供給状態を保持するための機構を備えていないため、そのような要望を実現することができない。
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ウィンチを駆動する油圧モータへの圧油の供給流量が操作レバーの回動に従って増加するとともに、その操作レバーの回動角度が所定の回動角度に達すると1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される第1状態から2つの油圧ポンプから1つの油圧モータに圧油が供給される第2状態へ油圧モータへの圧油の供給状態が移行するように構成されたウィンチ操作装置において、油圧モータへの圧油の供給状態が前記第2状態へ移行する直前の状態でオペレータが操作レバーの回動角度の保持を行わなくてもその圧油の供給状態を維持できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明者は、操作レバーを回動させていく過程において油圧モータへの圧油の供給状態が前記第2状態に移行する直前の回動角度に達したときにその回動角度から逸脱するような操作レバーの回動に抵抗を与える保持力をその操作レバーに付与するための保持機構をウィンチの操作装置に設けることを考え付いた。
【0010】
しかし、この操作レバーの保持機構は、油圧回路の圧油の供給形態が操作レバーの回動角度にかかわらず1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される前記第2供給形態の場合には不要なものであり、その第2供給形態の場合に当該保持機構によって操作レバーに前記保持力が付与されると、オペレータが操作レバーの保持を望んでいないにもかかわらず前記回動角度で操作レバーの回動に抵抗が与えられ、ウィンチの操作に違和感を感じるという問題が生じる。
【0011】
そこで、本願発明者は、この問題点を解消するために以下のようなクレーンのウィンチ操作装置を発明した。この発明によるクレーンのウィンチ操作装置は、クレーンに搭載されたウィンチを操作するためのウィンチ操作装置であって、前記ウィンチを操作するための操作レバーと、前記操作レバーが所定の回動軸回りに回動可能となるように当該操作レバーを支持するレバー支持部と、油圧が供給されることによって作動し、前記ウィンチを駆動する油圧モータと、圧油を吐出する第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプを有し、前記操作レバーが所定の基準位置から回動されてその回動角度が第1設定角度に達するまでは前記第1油圧ポンプから吐出される圧油をその操作レバーの回動角度に応じた流量で前記油圧モータに供給するとともに、前記操作レバーが前記第1設定角度よりも大きい角度である第2設定角度を超えてさらに回動される場合には前記第1油圧ポンプから吐出される圧油に加えて前記第2油圧ポンプから吐出される圧油をその操作レバーの回動角度に応じた流量で前記油圧モータに供給する第1供給形態と、前記第1油圧ポンプから吐出される圧油のみを前記操作レバーの回動角度に応じた流量で前記油圧モータに供給する第2供給形態とに圧油の供給形態が切り換わる油圧回路と、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、前記操作レバーの回動角度が前記第1設定角度と前記第2設定角度との間の特定の回動角度である保持角度に達したときにその操作レバーが当該保持角度から逸脱するような前記回動軸回りの回動に抵抗を与える中間保持力をその操作レバーに付与する保持有効状態となり、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、前記操作レバーに前記中間保持力を与えることなく前記保持角度に対応する回動位置の通過を許容する保持無効状態となる中間保持機構とを備えている(請求項1)。
【0012】
このクレーンのウィンチ操作装置では、油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、中間保持機構が前記保持角度において操作レバーに中間保持力を与えることなくその通過を許容するため、オペレータにウィンチの操作について違和感を与えない。その一方、油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、操作レバーの回動角度が前記第1設定角度と前記第2設定角度との間の前記保持角度に達すると、中間保持機構が操作レバーに中間保持力を付与して操作レバーが当該保持角度から逸脱するような回動に抵抗を与えるため、オペレータが前記保持角度で操作レバーを保持するような特別な操作を行わなくても、1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される状態から2つの油圧ポンプから1つの油圧モータに圧油が供給される状態へ移行する直前の状態で油圧モータへの圧油の供給状態を維持することが可能となる。従って、このクレーンのウィンチ操作装置では、油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、オペレータが操作レバーの回動角度を保持しなくても1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される状態から2つの油圧ポンプから1つの油圧モータに圧油が供給される状態へ移行する直前の状態で圧油の供給状態を維持することができるとともに、油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態となった場合には、オペレータにウィンチの操作について違和感を与えるのを防止することができる。
【0013】
上記クレーンのウィンチ操作装置において、前記操作レバーには、当該操作レバーと一体的に前記回動軸回りに回動する被係止部が設けられ、前記中間保持機構は、前記操作レバーが前記保持角度に回動された状態で前記被係止部と向き合う位置に配設され、前記被係止部に押し付けられた場合にその被係止部を係止して前記操作レバーに前記中間保持力を付与する係止部と、その係止部が前記操作レバーに対して接離する方向に変位可能となるようにその係止部を支持する係止部支持部と、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には前記係止部を前記操作レバーに向かって押圧し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記操作レバーへの前記係止部の押圧を解除する押圧装置とを含むことが好ましい(請求項2)。
【0014】
この構成によれば、油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、中間保持機構の押圧装置が係止部を操作レバーに向かって押圧し、その係止部が操作レバーの被係止部を係止可能な状態となり、油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、中間保持機構の押圧装置が操作レバーへの係止部の押圧を解除し、その係止部による操作レバーの被係止部の係止が解除される状態となるため、油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合に前記保持有効状態となり、油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合に前記保持無効状態となる中間保持機構を具体的に構成することができる。また、この構成では、油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、操作レバーへの係止部の押圧が解除されるため、操作レバーの回動に対する抵抗力が小さくなり、操作レバーの回動操作が行いやすくなる。
【0015】
この場合において、前記操作レバーは、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合に前記押圧装置により前記係止部が押圧される中間保持用被押圧面を有し、前記中間保持機構は、前記操作レバーが前記基準位置から回動された場合に前記基準位置側へ戻るようにその操作レバーを付勢する付勢装置を有し、前記係止部は、前記係止部支持部に支持される係止部本体と、その係止部本体から前記中間保持用被押圧面側へ向かって突出し、その中間保持用被押圧面に押圧される部分である突起部とを有し、前記被係止部は、前記中間保持用被押圧面に形成され、前記突起部が前記中間保持用被押圧面に押圧された状態で前記操作レバーが前記保持角度に回動されたときに前記付勢装置の付勢力により前記操作レバーが前記基準位置側へ戻される向きにおいて前記突起部に当接する当接部からなり、前記中間保持用被押圧面のうち前記当接部に対して前記付勢装置の付勢力により前記操作レバーが前記基準位置側へ戻される方向に位置する部位と前記回動軸との間の距離は、前記当接部と前記回動軸との間の距離よりも小さいことが好ましい(請求項3)。
【0016】
この構成によれば、操作レバーが保持角度まで回動されたときに付勢装置から操作レバーに付与される付勢力に対抗するように当該操作レバーの当接部が突起部に当接するため、オペレータが操作レバーを保持しなくてもその操作レバーを保持角度で保持することができる。さらに、この構成では、中間保持用被押圧面のうち当接部に対して付勢装置の付勢力により操作レバーが基準位置側へ戻される方向に位置する部位と回動軸との間の距離が当接部と回動軸との間の距離よりも小さいため、操作レバーを保持角度を超えてさらに回動させる場合に操作レバーと突起部との干渉による抵抗を低減することができ、滑らかに操作レバーを回動させることができる。
【0017】
上記クレーンのウィンチ操作装置において、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態及び前記第2供給形態のいずれの供給形態にあるかにかかわらず、前記操作レバーが前記基準位置に位置するとき及び前記操作レバーが最大の回動角度に対応する回動位置に回動されたときに当該操作レバーがその各位置から逸脱するような前記回動軸回りの回動に抵抗を与える基準保持力をその操作レバーに付与する基準保持機構をさらに備えることが好ましい(請求項4)。
【0018】
この構成によれば、ウィンチの操作時に油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、前記保持角度に加えて基準位置及び最大の回動角度でオペレータが操作レバーを保持しなくてもその操作レバーの保持が可能になり、油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、基準位置及び最大の回動角度でオペレータが操作レバーを保持しなくてもその操作レバーの回動角度の保持が可能になる。
【0019】
この場合において、前記操作レバーは、前記レバー支持部に前記回動軸回りに回動可能となるように支持されるレバー回動部と、そのレバー回動部の外面から前記回動軸に垂直な方向に延びるレバー本体とを有し、前記レバー回動部は、当該レバー回動部の外面に形成され、前記回動軸に対して垂直な方向において前記レバー本体の両側に分かれて配置された中間保持用被押圧面と基準保持用被押圧面を有し、前記中間保持用被押圧面には、被係止部が形成され、前記基準保持用被押圧面には、前記レバー回動部の回動方向において互いに離間するように配置された基準位置被係合部と最大回動角度被係合部とが形成され、前記中間保持機構は、前記中間保持用被押圧面に向き合う位置に設けられ、前記被係止部に押し付けられた場合にその被係止部を係止して前記操作レバーに前記中間保持力を付与する係止部と、その係止部が前記回動軸に垂直な方向でかつ前記中間保持用被押圧面に対して接離する方向に変位可能となるようにその係止部を支持する係止部支持部と、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には前記係止部を前記中間保持用被押圧面に向かって押圧し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記中間保持用被押圧面への前記係止部の押圧を解除する押圧装置とを含み、前記基準保持機構は、前記基準保持用被押圧面に向き合う位置に設けられ、前記各被係合部に押し付けられた場合にその押し付けられた被係合部と係合して前記操作レバーに前記基準保持力を付与する係合部と、その係合部が前記回動軸に垂直な方向でかつ前記基準保持用被押圧面に対して接離する方向に変位可能となるようにその係合部を支持する係合部支持部と、前記係合部を前記基準保持用被押圧面に対して押圧するように付勢する係合部付勢部材とを含むことが好ましい(請求項5)。
【0020】
この構成では、被係止部が形成された中間保持用被押圧面と基準位置被係合部及び最大回動角度被係合部が形成された基準保持用被押圧面とがレバー回動部においてレバー本体の両側の位置に分配配置され、それに対応して中間保持機構と基準保持機構とが操作レバーの両側に分かれて配置されるため、被係止部と基準位置被係合部と最大回動角度被係合部がレバー回動部においてレバー本体に対して同じ側に配置されて中間保持機構と基準保持機構を同じ側に配置せざるを得ないような構成と比較して、中間保持機構と基準保持機構のレイアウトが容易になる。
【0021】
上記中間保持機構が押圧装置を含む構成において、前記押圧装置は、前記係止部を前記操作レバーから離反する方向に付勢する係止部付勢部材と、電流が供給されることによって前記係止部付勢部材の付勢力に抗しながら前記係止部を前記操作レバーに押圧する一方、電流が供給されない場合には前記係止部付勢部材の付勢力により前記係止部が前記操作レバーから離反されるのを許容するソレノイドと、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には前記ソレノイドへ電流を供給し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記ソレノイドへ電流を供給しない電流供給装置とを有していてもよい(請求項6)。
【0022】
この構成では、係止部付勢部材、ソレノイド及び電流供給装置によって、油圧回路の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合に係止部を操作レバーに向かって押圧し、油圧回路の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合に操作レバーへの係止部の押圧を解除する押圧装置を具体的に構成することができる。そして、この構成では、係止部を操作レバーに対して押圧するための油圧駆動機構とその油圧駆動機構への油圧の供給の有無を切り換えるための切換弁とによって押圧装置を構成する場合に比べて、押圧装置の構成を簡略化することができる。
【0023】
この場合において、前記ソレノイドは、供給される電流が大きくなるほど前記係止部をより大きな力で前記操作レバーに押圧し、前記電流供給装置は、前記ソレノイドに供給する電流の大きさが設定値となるようにその電流の大きさを制御する電流制御部と、その電流制御部に前記設定値の変更を指示するための設定値変更部とを有することが好ましい(請求項7)。
【0024】
この構成では、油圧回路の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合に、設定値変更部を用いて電流制御部にソレノイドに供給する電流の大きさを調節させて、ソレノイドから係止部に付与される操作レバーへの当該係止部の押圧力を調節することができる。その結果、前記保持有効状態において、操作レバーが前記保持角度から逸脱するような前記回動軸回りの回動に抵抗を与える中間保持力の大きさを任意に調節することができる。
【0025】
上記中間保持機構が押圧装置を含む構成において、前記押圧装置は、油圧が供給されることによって前記係止部を前記操作レバーに押圧するとともに、その供給される油圧の大きさに応じて前記操作レバーに対して前記係止部を押圧する押圧力を変化させる油圧駆動機構と、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には油圧源から前記油圧駆動機構へ油圧が供給されるのを許容し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記油圧源から前記油圧駆動機構への油圧の供給を遮断する切換弁と、前記油圧駆動機構と前記切換弁との間に設けられ、前記油圧駆動機構に供給される油圧の大きさを制御するための比例弁とを有していてもよい(請求項8)。
【0026】
この構成では、油圧駆動機構、切換弁及び比例弁によって、油圧回路の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合に係止部を操作レバーに向かって押圧し、油圧回路の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合に操作レバーへの係止部の押圧を解除する押圧装置を具体的に構成することができる。そして、この構成では、油圧駆動機構に供給される油圧の大きさを比例弁を用いて制御することができるため、例えば油圧回路の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合に、油圧駆動機構に供給する油圧の大きさを制御して操作レバーへの係止部の押圧力を制御することができる。その結果、前記保持有効状態において、操作レバーが前記保持角度から逸脱するような前記回動軸回りの回動に抵抗を与える中間保持力の大きさを任意に調節することができる。
【0027】
上記クレーンのウィンチ操作装置において、前記油圧回路は、パイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量でストロークする1速スプールを有し、その1速スプールのストローク量に応じた流量で前記第1油圧ポンプからの圧油を前記油圧モータに供給する第1コントロールバルブと、前記1速スプールのストローク量が最大となるパイロット圧よりも大きい所定のパイロット圧が供給されることによりストロークを開始するとともにその供給されるパイロット圧の大きさに応じたストローク量でストロークする2速スプールを有し、その2速スプールのストローク量に応じた流量で前記第2油圧ポンプからの圧油を前記油圧モータに供給する第2コントロールバルブと、当該油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合に前記操作レバーの前記基準位置からの回動角度に応じた大きさのパイロット圧を前記1速スプールと前記2速スプールに供給する制御系回路部とを有し、前記制御系回路部は、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、前記操作レバーの回動角度が前記保持角度に達したときに前記1速スプールのストローク量が最大となるパイロット圧と前記2速スプールがストロークを開始するパイロット圧との間の特定の大きさのパイロット圧を前記両スプールに供給してもよい(請求項9)。
【0028】
この構成によれば、油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合において、操作レバーの回動時に油圧モータへの圧油の供給状態が第1油圧ポンプと第2油圧ポンプの両方から油圧モータに圧油が供給される状態へ移行する直前の状態で保持することが可能な油圧回路の具体的な構造を構成することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、ウィンチを駆動する油圧モータへの圧油の供給量が操作レバーの回動に従って増加するとともに、その操作レバーの回動角度が所定の回動角度に達すると1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される第1状態から2つの油圧ポンプから1つの油圧モータに圧油が供給される第2状態へ油圧モータへの圧油の供給状態が移行するように構成されたウィンチ操作装置において、油圧モータへの圧油の供給状態が前記第2状態へ移行する直前の状態でオペレータが操作レバーの回動角度の保持を行わなくてもその圧油の供給状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態によるクレーンのウィンチ操作装置の油圧回路の駆動系回路部の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるクレーンのウィンチ操作装置の油圧回路の制御系回路部の構成を示す図である。
【図3】ウィンチ操作装置の操作レバーを含む操作部及び操作レバーの保持機構の構成を示す図である。
【図4】油圧回路の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合における操作レバーの回動角度とコントロールバルブの1速スプール及び2速スプールのストローク量との相関関係を示す図である。
【図5】油圧回路の圧油の供給形態が第2供給形態である場合における操作レバーの回動角度とコントロールバルブの1速スプールのストローク量との相関関係を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態の第1変形例によるクレーンのウィンチ操作装置の油圧回路の制御系回路部の構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態の第2変形例によるクレーンのウィンチ操作装置の油圧回路の制御系回路部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態によるクレーンのウィンチ操作装置の構成について説明する。
【0033】
本実施形態によるウィンチ操作装置は、クレーンに搭載された第1ウィンチとしての図略の主巻ウィンチと第2ウィンチとしての図略の補巻ウィンチとを操作するためのものである。主巻ウィンチは、吊荷を吊り下げる図略の主巻フックの巻き上げ又は巻き下げを行うためのものであり、補巻ウィンチは、吊荷を吊り下げる図略の補巻フックの巻き上げ又は巻き下げを行うためのものである。
【0034】
このウィンチ操作装置は、主巻ウィンチを操作するための主巻操作部2(図2参照)と、補巻ウィンチを操作するための補巻操作部3と、主巻ウィンチを駆動するための主巻油圧モータ4(図1参照)と、補巻ウィンチを駆動するための補巻油圧モータ5と、主巻油圧モータ4及び補巻油圧モータ5に圧油を供給してそれらの油圧モータ4,5を駆動するための油圧回路6と、主巻中間保持機構7と、主巻基準保持機構8(図3参照)と、補巻中間保持機構9と、図略の補巻基準保持機構とを備えている。
【0035】
主巻操作部2は、図3に示すように、主巻ウィンチを操作するために用いられる主巻操作レバー12と、その主巻操作レバー12が所定の回動軸回りに回動可能となるように当該主巻操作レバー12を支持する主巻レバー支持部14とを有する。
【0036】
主巻操作レバー12は、オペレータが把持して操作する棒状の主巻レバー本体12aと、その主巻レバー本体12aの基端部に設けられ、主巻レバー支持部14に前記回動軸回りに回動可能となるように支持される主巻レバー回動部12bとを有する。主巻レバー回動部12bには、前記回動軸に軸心が一致する支持軸部12cが当該主巻レバー回動部12bの中心の位置に設けられている。主巻レバー支持部14は、主巻レバー回動部12bを収容する空間を有している。この主巻レバー支持部14は、その内部の空間に主巻レバー回動部12bを収容した状態で支持軸部12cをその軸回りに回動可能となるように支持することにより、主巻操作レバー12を前記回動軸回りに回動可能となるように支持している。主巻レバー本体12aは、主巻レバー回動部12bの外面のうちその回動部12bの回動において外周となる部分から前記回動軸に対して垂直な方向に延びている。このような構成により、主巻操作レバー12は、主巻レバー本体12aが直立状態に配置される中立位置から一方側とその反対側である他方側とに前記回動軸回りに回動可能となっている。なお、この主巻操作レバー12の中立位置は、本発明の基準位置の概念に含まれる。主巻操作レバー12を中立位置から一方側に回動(傾倒)させることによって主巻ウィンチの巻き上げ動作が行われ、主巻操作レバー12を中立位置から他方側に回動(傾倒)させることによって主巻ウィンチの巻き下げ動作が行われる。これ以降の説明では、主巻操作レバー12の中立位置から前記一方側への回動を巻き上げ側への回動といい、中立位置から前記他方側への回動を巻き下げ側への回動という。
【0037】
主巻レバー回動部12bは、その外面のうち当該回動部12bの前記回動軸回りの回動において外周となる部分に形成された中間保持用被押圧面12eと基準保持用被押圧面12fとを有する。これらの被押圧面12e,12fは、前記回動軸に対して垂直な方向において主巻レバー本体12aの両側に分かれて配置されている。換言すれば、両被押圧面12e,12fは、前記回動軸に対して垂直な方向において、支持軸部12cが設けられた主巻レバー回動部12bの中心位置に対して両側に分かれて配置されており、互いに対称的に配置されている。
【0038】
中間保持用被押圧面12eは、油圧回路6の圧油の供給形態が後述する第1供給形態にある場合に後述する係止部79が押圧される面である。中間保持用被押圧面12eには、巻上側被係止部12gと巻下側被係止部12hが設けられている。これらの被係止部12g,12hは、主巻操作レバー12と一体的に前記回動軸回りに回動する。両被係止部12g,12hは、主巻レバー回動部12bの回動方向において互いに離間して配置されており、それらのうち巻上側被係止部12gは、主巻レバー本体12aに近い側に配設され、巻下側被係止部12hは、主巻レバー本体12aから遠い側に配設されている。巻上側被係止部12gは、後述する係止部79が中間保持用被押圧面12eに押圧された状態で主巻操作レバー12が後述する巻上側保持角度に回動されたときに後述する付勢装置81の付勢力により主巻操作レバー12が中立位置側へ戻される向きにおいて係止部79の後述する突起部79bに当接する当接部からなる。また、巻下側被係止部12hは、後述する係止部79が中間保持用被押圧面12eに押圧された状態で主巻操作レバー12が後述する巻下側保持角度に回動されたときに後述する付勢装置81の付勢力により主巻操作レバー12が中立位置側へ戻される向きにおいて係止部79の後述する突起部79bに当接する当接部からなる。
【0039】
中間保持用被押圧面12eのうち被係止部12g,12hの当接部に対して後述する付勢装置81の付勢力により主巻操作レバー12が中立位置側へ戻される方向に位置する部位と前記回動軸との間のその回動軸に垂直な方向における距離は、被係止部12g,12hの当接部と前記回動軸との間のその回動軸に垂直な方向における距離よりも小さい。すなわち、中間保持用被押圧面12eのうち巻上側被係止部12gの当接部よりも主巻レバー本体12aに近い側に位置する部位及び巻下側被係止部12hの当接部よりも主巻レバー本体12aから遠い側に位置する部位は、回動軸に垂直な方向において被係止部12g,12hの当接部よりも回動軸に近い位置に配置されている。
【0040】
また、基準保持用被押圧面12fは、油圧回路6の圧油の供給形態が後述する第1供給形態及び第2供給形態のいずれの供給形態にあるかにかかわらず、主巻基準保持機構8の後述する係合部84が押圧される面である。この基準保持用被押圧面12fには、1つの中立位置被係合部12iと、2つの最大回動角度被係合部12j,12kとが形成されている。中立位置被係合部12iは、本発明の基準位置被係合部の概念に含まれるものであり、主巻レバー回動部12bの回動方向において基準保持用被押圧面12fの中央の位置に配設されている。2つの最大回動角度被係合部12j,12kは、主巻レバー回動部12bの回動方向において中立位置被係合部12iの両側に分かれて配設されているとともに、中立位置被係合部12iに対して互いに等しい距離だけ離間して配置されている。中立位置被係合部12iは、主巻操作レバー12が中立位置に配置されたときに後述する係合部84と係合する凹部である。2つの最大回動角度被係合部12j,12kのうち主巻レバー本体12aに近い側に位置する一方の最大回動角度被係合部12jは、主巻操作レバー12が中立位置から巻き下げ側の最大の回動角度まで回動されたときに後述する係合部84と係合する切欠き(Vノッチ)であり、主巻レバー本体12aから遠い側に位置する他方の最大回動角度被係合部12kは、主巻操作レバー12が中立位置から巻き上げ側の最大の回動角度まで回動されたときに後述する係合部84と係合する切欠き(Vノッチ)である。
【0041】
補巻操作部3(図2参照)は、主巻操作部2と同様に構成されている。具体的には、補巻操作部3は、前記主巻操作レバー12と同様に構成された補巻操作レバー16と、前記主巻レバー支持部14と同様に構成された図略の補巻レバー支持部とを有する。補巻操作レバー16は、補巻ウィンチを操作するために用いられるものであり、前記主巻レバー本体12aと同様に構成された補巻レバー本体16aと、前記主巻レバー回動部12bと同様に構成された補巻レバー回動部16bとを有する。
【0042】
主巻油圧モータ4及び補巻油圧モータ5は、図1に示すように、いずれも可変容量型の油圧モータである。主巻油圧モータ4は、巻上側導入口4aと巻下側導入口4bとを有している。主巻油圧モータ4は、その巻上側導入口4aに圧油が供給されることにより主巻ウィンチに主巻フックの巻き上げ動作を行わせる方向に作動し、その巻下側導入口4bに圧油が供給されることにより主巻ウィンチに主巻フックの巻き下げ動作を行わせる方向に作動する。また、補巻油圧モータ5は、巻上側導入口5aと巻下側導入口5bとを有している。補巻油圧モータ5は、その巻上側導入口5aに圧油が供給されることにより補巻ウィンチに補巻フックの巻き上げ動作を行わせる方向に作動し、その巻下側導入口5bに圧油が供給されることにより補巻ウィンチに補巻フックの巻き下げ動作を行わせる方向に作動する。
【0043】
油圧回路6は、前記各油圧モータ4,5に供給するための圧油を吐出する可変容量型の一側油圧ポンプ22及び他側油圧ポンプ24を有する。なお、主巻操作レバー12の回動により主巻油圧モータ4が駆動される場合には、一側油圧ポンプ22は本発明の第1油圧ポンプの概念に含まれ、他側油圧ポンプ24は本発明の第2油圧ポンプの概念に含まれる。また、補巻操作レバー16の回動により補巻油圧モータ5が駆動される場合には、一側油圧ポンプ22は本発明の第2油圧ポンプの概念に含まれ、他側油圧ポンプ24は本発明の第1油圧ポンプの概念に含まれる。
【0044】
この油圧回路6は、油圧モータ4,5への圧油の供給形態が第1供給形態と第2供給形態とに切り換わるように構成されている。油圧回路6は、第1供給形態では、主巻操作レバー12の中立位置からの回動角度が第1設定角度に達するまでは一側油圧ポンプ22から吐出される圧油を主巻操作レバー12の回動角度に応じた流量で主巻油圧モータ4に供給するとともに、主巻操作レバー12が第1設定角度よりも大きい角度である第2設定角度を超えてさらに回動される場合には一側油圧ポンプ22から吐出される圧油に加えて他側油圧ポンプ24から吐出される圧油を主巻操作レバー12の回動角度に応じた流量で主巻油圧モータ4に供給する。また、油圧回路6は、第1供給形態では、補巻操作レバー16の中立位置からの回動角度が第1設定角度に達するまでは他側油圧ポンプ24から吐出される圧油を補巻操作レバー16の回動角度に応じた流量で補巻油圧モータ5に供給するとともに、補巻操作レバー16が第1設定角度よりも大きい角度である第2設定角度を超えてさらに回動される場合には他側油圧ポンプ24から吐出される圧油に加えて一側油圧ポンプ22から吐出される圧油を補巻操作レバー16の回動角度に応じた流量で補巻油圧モータ5に供給する。また、油圧回路6は、第2供給形態では、一側油圧ポンプ22から吐出される圧油のみを主巻操作レバー12の回動角度に応じた流量で主巻油圧モータ4に供給し、他側油圧ポンプ24から吐出される圧油のみを補巻操作レバー16の回動角度に応じた流量で補巻油圧モータ5に供給する。油圧回路6は、図1に示す駆動系回路部28と、図2に示す制御系回路部30とを有する。
【0045】
駆動系回路部28には、前記一側油圧ポンプ22、前記他側油圧ポンプ24、一側コントロールバルブ32及び他側コントロールバルブ34が含まれる。
【0046】
一側コントロールバルブ32は、一側油圧ポンプ22から前記両油圧モータ4,5へ供給される圧油の流量を制御するためのものである。この一側コントロールバルブ32は、主巻操作レバー12の回動に応じて一側油圧ポンプ22から主巻油圧モータ4へ供給される圧油の流量を制御する場合には、本発明の第1コントロールバルブの概念に含まれ、補巻操作レバー16の回動に応じて一側油圧ポンプ22から補巻油圧モータ5へ供給される圧油の流量を制御する場合には、本発明の第2コントロールバルブの概念に含まれる。
【0047】
この一側コントロールバルブ32は、一側油圧ポンプ22から主巻油圧モータ4へ供給される圧油の流量を制御するための主巻1速スプール36と、一側油圧ポンプ22から補巻油圧モータ5へ供給される圧油の流量を制御するための補巻2速スプール38とを有する。一側油圧ポンプ22と主巻1速スプール36と補巻2速スプール38は、この順番でシリーズ回路となるように接続されている。
【0048】
主巻1速スプール36は、中立位置36a、巻上供給位置36b及び巻下供給位置36cの各位置に切り換え可能となっている。また、主巻1速スプール36は、一側パイロット操作部36dと、他側パイロット操作部36eとを有している。主巻1速スプール36は、一側パイロット操作部36dにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置36aから巻上供給位置36b側へストロークし、他側パイロット操作部36eにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置36aから巻下供給位置36c側へストロークする。主巻1速スプール36は、中立位置36aにある場合には、一側油圧ポンプ22からの圧油を補巻2速スプール38側へ流す。また、主巻1速スプール36は、中立位置36aから巻上供給位置36b側へストロークした場合には、そのストローク量に応じた流量で一側油圧ポンプ22からの圧油を主巻油圧モータ4の巻上側導入口4aへ流す。また、主巻1速スプール36は、中立位置36aから巻下供給位置36c側へストロークした場合には、そのストローク量に応じた流量で一側油圧ポンプ22からの圧油を主巻油圧モータ4の巻下側導入口4bへ流す。
【0049】
補巻2速スプール38は、中立位置38a、巻上供給位置38b及び巻下供給位置38cの各位置に切り換え可能となっている。また、補巻2速スプール38は、一側パイロット操作部38dと、他側パイロット操作部38eとを有している。補巻2速スプール38は、一側パイロット操作部38dにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置38aから巻上供給位置38b側へストロークし、他側パイロット操作部38eにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置38aから巻下供給位置38c側へストロークする。補巻2速スプール38は、中立位置38aにある場合には、一側油圧ポンプ22から主巻1速スプール36を通じて当該補巻2速スプール38に供給される圧油を圧油貯留用のタンクTへ流す。また、補巻2速スプール38は、中立位置38aから巻上供給位置38b側へストロークした場合には、一側油圧ポンプ22から主巻1速スプール36を通じて当該補巻2速スプール38へ供給される圧油をそのストローク量に応じた流量で補巻油圧モータ5の巻上側導入口5aへ流す。また、補巻2速スプール38は、中立位置38aから巻下供給位置38c側へストロークした場合には、一側油圧ポンプ22から主巻1速スプール36を通じて当該補巻2速スプール38へ供給される圧油をそのストローク量に応じた流量で補巻油圧モータ5の巻下側導入口5bへ流す。
【0050】
他側コントロールバルブ34は、他側油圧ポンプ24から前記両油圧モータ4,5へ供給される圧油の流量を制御するためのものである。この他側コントロールバルブ34は、補巻操作レバー16の回動に応じて他側油圧ポンプ24から補巻油圧モータ5へ供給される圧油の流量を制御する場合には、本発明の第2コントロールバルブの概念に含まれ、主巻操作レバー12の回動に応じて他側油圧ポンプ24から主巻油圧モータ4へ供給される圧油の流量を制御する場合には、本発明の第1コントロールバルブの概念に含まれる。他側コントロールバルブ34は、他側油圧ポンプ24から主巻油圧モータ4へ供給される圧油の流量を制御するための主巻2速スプール40と、他側油圧ポンプ24から補巻油圧モータ5へ供給される圧油の流量を制御するための補巻1速スプール42とを有する。他側油圧ポンプ24と主巻2速スプール40と補巻1速スプール42は、この順番でシリーズ回路となるように接続されている。
【0051】
主巻2速スプール40の構成は、前記主巻1速スプール36の構成と同様である。具体的には、主巻2速スプール40は、中立位置40aにある場合には、他側油圧ポンプ24からの圧油を補巻1速スプール42側へ流す。また、主巻2速スプール40は、その一側パイロット操作部40dにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置40aから巻上供給位置40b側へストロークし、そのストローク量に応じた流量で他側油圧ポンプ24からの圧油を主巻油圧モータ4の巻上側導入口4aへ流す。また、主巻2速スプール40は、その他側パイロット操作部40eにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置40aから巻下供給位置40c側へストロークし、そのストローク量に応じた流量で他側油圧ポンプ24からの圧油を主巻油圧モータ4の巻下側導入口4bへ流す。なお、主巻2速スプール40が中立位置40aから巻上供給位置40b側又は巻下供給位置40c側へストロークを開始するパイロット圧は、主巻1速スプール36が巻上供給位置36b側又は巻下供給位置36c側にフルストロークとなるパイロット圧よりも高い圧力に設定されている。
【0052】
また、補巻1速スプール42の構成は、前記補巻2速スプール38の構成と同様である。具体的には、補巻1速スプール42は、中立位置42aにある場合には、他側油圧ポンプ24から主巻2速スプール40を通じて当該補巻1速スプール42に供給される圧油をタンクTへ流す。また、補巻1速スプール42は、その一側パイロット操作部42dにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置42aから巻上供給位置42b側へストロークし、他側油圧ポンプ24から主巻2速スプール40を通じて当該補巻1速スプール42に供給される圧油をそのストローク量に応じた流量で補巻油圧モータ5の巻上側導入口5aへ流す。また、補巻1速スプール42は、その他側パイロット操作部42eにパイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量で中立位置42aから巻下供給位置42c側へストロークし、他側油圧ポンプ24から主巻2速スプール40を通じて当該補巻1速スプール42に供給される圧油をそのストローク量に応じた流量で補巻油圧モータ5の巻下側導入口5bへ流す。なお、前記補巻2速スプール38が中立位置38aから巻上供給位置38b側又は巻下供給位置38c側へストロークを開始するパイロット圧は、補巻1速スプール42が巻上供給位置42b側又は巻下供給位置42c側にフルストロークとなるパイロット圧よりも高い圧力に設定されている。
【0053】
制御系回路部30(図2参照)は、前記各操作レバー12,16が各々の中立位置から回動するように操作されるのに応じて一側コントロールバルブ32のスプール36,38のストローク及び他側コントロールバルブ34のスプール40,42のストロークを制御する。
【0054】
具体的には、この制御系回路部30には、主巻リモコン弁44と、補巻リモコン弁46と、4つの2速遮断用切換弁48,49,50,51と、4つの定比減圧弁53,54,55,56と、4つの二次圧切換弁58,59,60,61と、選択切換弁64とが含まれる。
【0055】
主巻リモコン弁44の一次側には、パイロット圧を供給する油圧源66が接続されており、主巻リモコン弁44の二次側には、巻上側パイロット管路68と巻下側パイロット管路69が接続されている。主巻リモコン弁44は、主巻操作部2に付設されており、主巻操作レバー12の中立位置から巻き上げ側への回動角度に応じた二次圧を巻上側パイロット管路68に発生させ、主巻操作レバー12の中立位置から巻き下げ側への回動角度に応じた二次圧を巻下側パイロット管路69に発生させる。
【0056】
具体的には、主巻リモコン弁44は、図3に示すように、主巻操作部2の主巻レバー支持部14の外側に取り付けられた弁本体44aと、巻き上げ側の減圧弁44bと、巻き下げ側の減圧弁44cとを有する。弁本体44aには、その内部に左右一対の圧力室44d,44eが設けられているとともに、各圧力室44d,44eに連通する一次側ポート44f、タンクポート44h及び二次側ポート44j,44kが設けられている。巻き上げ側の減圧弁44bは、一方の圧力室44dに摺動自在となるように収容されたスプール44nを有する。このスプール44nは、油孔44pを有している。スプール44nの後端側には、バネ44qが設けられており、スプール44nの先端側には、バネ44rを介してプッシュロッド44sが連結されている。また、巻き下げ側の減圧弁44cは、もう一方の圧力室44eに摺動自在となるように収容されたスプール44tを有する。このスプール44tは、油孔44uを有している。このスプール44tの後端側には、バネ44vが設けられており、当該スプール44tの先端側には、バネ44wを介してプッシュロッド44xが連結されている。
【0057】
一次側ポート44fは、油圧源66と接続され、タンクポート44hは、タンクTに接続されている。また、巻き上げ側の減圧弁44bに繋がる二次側ポート44jは、巻上側パイロット管路68と接続され、巻き下げ側の減圧弁44cに繋がる二次側ポート44kは、巻下側パイロット管路69と接続されている。
【0058】
主巻操作レバー12が中立位置から巻き上げ側に回動されると、巻き上げ側の減圧弁44bに対応するプッシュロッド44sが押し下げられ、それに伴って、スプール44nが押し下げられて二次側ポート44jから主巻操作レバー12の巻き上げ側への回動角度(スプール44nの押下量)に応じた二次圧が巻上側パイロット管路68に出力される。一方、主巻操作レバー12が巻き下げ側に回動されると、巻き下げ側の減圧弁44cに対応するプッシュロッド44xが押し下げられ、それに伴って、スプール44tが押し下げられて二次側ポート44kから主巻操作レバー12の巻き下げ側への回動角度(スプール44tの押下量)に応じた二次圧が巻下側パイロット管路69に出力される。
【0059】
巻上側パイロット管路68には、定比減圧弁53(図2参照)が設けられており、巻下側パイロット管路69には、定比減圧弁54が設けられている。これらの定比減圧弁53,54は、主巻リモコン弁44からパイロット管路68,69に出力される二次圧を1/2に定比減圧するものである。
【0060】
巻上側パイロット管路68は、主巻1速スプール36の一側パイロット操作部36dに接続されている1速スプール側分岐路68aと、主巻2速スプール40の一側パイロット操作部40dに接続されている2速スプール側分岐路68bとに分岐している。1速スプール側分岐路68aには、二次圧切換弁58が設けられており、2速スプール側分岐路68bには、2速遮断用切換弁48が設けられている。二次圧切換弁58と2速遮断用切換弁48は、共に油圧によって切り換えられる二位置切換弁であり、選択切換弁64の切り換えに伴って切換制御される。
【0061】
二次圧切換弁58は、主巻リモコン弁44の二次圧を主巻1速スプール36の一側パイロット操作部36dに伝達する第1伝達位置58aと、定比減圧弁53の二次圧を主巻1速スプール36の一側パイロット操作部36dに伝達する第2伝達位置58bとに切換可能に構成されている。二次圧切換弁58は、そのパイロットポートに油圧源66から油圧が供給されることによって第2伝達位置58bに切り換わり、パイロットポートへの油圧の供給が停止されると第1伝達位置58aに切り換わる。
【0062】
2速遮断用切換弁48は、主巻リモコン弁44の二次圧を主巻2速スプール40の一側パイロット操作部40dに伝達する伝達位置48aと、この二次圧の伝達を遮断し、かつ、主巻2速スプール40の一側パイロット操作部40dをタンクTに連通させる遮断位置48bとに切換可能に構成されている。2速遮断用切換弁48は、そのパイロットポートに油圧源66から油圧が供給されることによって遮断位置48bに切り換わり、パイロットポートへの油圧の供給が停止されると伝達位置48aに切り換わる。
【0063】
巻下側パイロット管路69の構成は、巻上側パイロット管路68の構成と同様である。具体的には、巻下側パイロット管路69には、巻上側パイロット管路68に設けられた定比減圧弁53と同様の定比減圧弁54が設けられている。巻下側パイロット管路69は、主巻1速スプール36の他側パイロット操作部36eに接続されている1速スプール側分岐路69aと、主巻2速スプール40の他側パイロット操作部40eに接続されている2速スプール側分岐路69bとに分岐している。この巻下側パイロット管路69の1速スプール側分岐路69aには、巻上側パイロット管路68の1速スプール側分岐路68aに設けられた二次圧切換弁58と同様の二次圧切換弁59が設けられている。また、巻下側パイロット管路69の2速スプール側分岐路69bには、巻上側パイロット管路68の2速スプール側分岐路68bに設けられた2速遮断用切換弁48と同様の2速遮断用切換弁49が設けられている。
【0064】
補巻リモコン弁46は、主巻リモコン弁44と同様の構成を有している。補巻リモコン弁46の一次側には、油圧源66が接続されており、補巻リモコン弁46の二次側には、巻上側パイロット管路74と巻下側パイロット管路75が接続されている。この補巻リモコン弁46は、補巻操作レバー16の中立位置から巻き上げ側への回動角度に応じた二次圧を巻上側パイロット管路74に発生させ、補巻操作レバー16の中立位置から巻き下げ側への回動角度に応じた二次圧を巻下側パイロット管路75に発生させる。
【0065】
巻上側パイロット管路74は、補巻1速スプール42の一側パイロット操作部42dに接続された1速スプール側分岐路74aと、補巻2速スプール38の一側パイロット操作部38dに接続された2速スプール側分岐路74bとに分岐している。この1速スプール側分岐路74aには、二次圧切換弁60が設けられ、2速スプール側分岐路74bには、2速遮断用切換弁50が設けられている。巻下側パイロット管路75は、補巻1速スプール42の他側パイロット操作部42eに接続された1速スプール側分岐路75aと、補巻2速スプール38の他側パイロット操作部38eに接続された2速スプール側分岐路75bとに分岐している。この1速スプール側分岐路75aには、二次圧切換弁61が設けられ、2速スプール側分岐路75bには、2速遮断用切換弁51が設けられている。これらの補巻リモコン弁46から補巻1速スプール42及び補巻2速スプール38へ繋がる油路の構成及びその油路に設けられた各弁に係る構成は、上記主巻リモコン弁44から主巻1速スプール36及び主巻2速スプール40へ繋がる各油路の構成及びそれらの油路に設けられた各弁に係る構成と同様である。
【0066】
選択切換弁64は、電磁制御される二位置切換弁である。前記各二次圧切換弁58〜61のパイロットポート及び前記各2速遮断用切換弁48〜51のパイロットポートには、この選択切換弁64を介して油圧源66が接続されている。選択切換弁64は、切換スイッチ72を介して電源73に電気的に接続されたソレノイドを有している。切換スイッチ72がオフにされている場合には、電源73から選択切換弁64のソレノイドへの電流の供給が停止され、選択切換弁64は、油圧源66から各二次圧切換弁58〜61のパイロットポート及び各2速遮断用切換弁48〜51のパイロットポートへの油圧の供給を遮断するとともに、それらのパイロットポートをタンクTに連通させる遮断位置64aとなっている。一方、切換スイッチ72がオンにされた場合には、電源73から選択切換弁64のソレノイドに電流が供給され、選択切換弁64は、油圧源66から各二次圧切換弁58〜61のパイロットポート及び各2速遮断用切換弁48〜51のパイロットポートへの油圧の供給を許容する供給位置64bに切り換わる。
【0067】
以上のように構成された油圧回路6は、切換スイッチ72がオフにされることによってその圧油の供給形態が第1供給形態となり、切換スイッチ72がオンにされることによってその圧油の供給形態が第2供給形態となる。
【0068】
具体的には、切換スイッチ72がオフにされると、油圧回路6では、選択切換弁64が遮断位置64aとなり、それに伴って、各二次圧切換弁58〜61が第1伝達位置58a〜61aとなるとともに、各2速遮断用切換弁48〜51が伝達位置48a〜51aとなる。それによって、主巻1速スプール36の一側パイロット操作部36d及び主巻2速スプール40の一側パイロット操作部40dに主巻リモコン弁44の巻き上げ側の減圧弁44bの二次圧が供給可能となり、主巻1速スプール36の他側パイロット操作部36e及び主巻2速スプール40の他側パイロット操作部40eに主巻リモコン弁44の巻き下げ側の減圧弁44cの二次圧が供給可能となり、補巻1速スプール42の一側パイロット操作部42d及び補巻2速スプール38の一側パイロット操作部38dに補巻リモコン弁46の巻き上げ側の減圧弁46bの二次圧が供給可能となり、補巻1速スプール42の他側パイロット操作部42e及び補巻2速スプール38の他側パイロット操作部38eに補巻リモコン弁46の巻き下げ側の減圧弁46cの二次圧が供給可能となる。
【0069】
主巻2速スプール40が中立位置40aから巻上供給位置40b側又は巻下供給位置40c側へストロークを開始するパイロット圧は、上記したように主巻1速スプール36が対応する供給位置36b又は36c側へフルストロークとなるパイロット圧よりも大きい圧力に設定されているため、主巻2速スプール40が中立位置40aから巻上供給位置40b側へストロークを開始するパイロット圧(二次圧)を主巻リモコン弁44の巻き上げ側の減圧弁44bに出力させる主巻操作レバー12の回動角度である巻上側第2設定角度は、主巻1速スプール36が巻上供給位置36b側にフルストロークとなるパイロット圧(二次圧)を主巻リモコン弁44の巻き上げ側の減圧弁44bに出力させる主巻操作レバー12の回動角度である巻上側第1設定角度よりも大きい回動角度となり、主巻2速スプール40が中立位置40aから巻下供給位置40c側へストロークを開始するパイロット圧(二次圧)を主巻リモコン弁44の巻き下げ側の減圧弁44cに出力させる主巻操作レバー12の回動角度である巻下側第2設定角度は、主巻1速スプール36が巻下供給位置36c側にフルストロークとなるパイロット圧(二次圧)を主巻リモコン弁44の巻き下げ側の減圧弁44cに出力させる主巻操作レバー12の回動角度である巻下側第1設定角度よりも大きい回動角度となる(図4参照)。
【0070】
このことは、補巻側でも同様であり、補巻2速スプール38が中立位置38aから巻上供給位置38b側へストロークを開始するパイロット圧(二次圧)を補巻リモコン弁46の巻き上げ側の減圧弁46bに出力させる補巻操作レバー16の回動角度である巻上側第2設定角度は、補巻1速スプール42が巻上供給位置42b側にフルストロークとなるパイロット圧(二次圧)を補巻リモコン弁46の巻き上げ側の減圧弁46bに出力させる補巻操作レバー16の回動角度である巻上側第1設定角度よりも大きい回動角度となり、補巻2速スプール38が中立位置38aから巻下供給位置38c側へストロークを開始するパイロット圧(二次圧)を補巻リモコン弁46の巻き下げ側の減圧弁46cに出力させる補巻操作レバー16の回動角度である巻下側第2設定角度は、補巻1速スプール42が巻下供給位置42c側にフルストロークとなるパイロット圧(二次圧)を補巻リモコン弁46の巻き下げ側の減圧弁46cに出力させる補巻操作レバー16の回動角度である巻下側第1設定角度よりも大きい回動角度となる。
【0071】
以上のことから、切換スイッチ72がオフにされることによって、油圧回路6の圧油の供給形態は、主巻操作レバー12の中立位置から巻き上げ側又は巻き下げ側への回動角度が対応する第1設定角度に達するまでは一側油圧ポンプ22から吐出される圧油をその主巻操作レバー12の回動角度に応じた流量で主巻油圧モータ4に供給するとともに、主巻操作レバー12が巻き上げ側又は巻き下げ側の第2設定角度を超えてさらに回動される場合には一側油圧ポンプ22から吐出される圧油に加えて他側油圧ポンプ24から吐出される圧油を主巻操作レバー12の回動角度に応じた流量で主巻油圧モータ4に供給し、同様に、補巻操作レバー16の中立位置からの回動に応じて他側油圧ポンプ24からの圧油と一側油圧ポンプ22からの圧油を補巻油圧モータ5に順次供給する前記第1供給状態となる。
【0072】
また、切換スイッチ72がオンにされると、油圧回路6では、選択切換弁64が供給位置64bとなり、それに伴って、各二次圧切換弁58〜61が第2伝達位置58b〜61bとなるとともに、各2速遮断用切換弁48〜51が遮断位置48b〜51bとなる。それによって、主巻1速スプール36の各パイロット操作部36d,36eと補巻1速スプール42の各パイロット操作部42d,42eに定比減圧弁53,54,55,56のうち対応するものの二次圧が供給可能となるとともに、主巻2速スプール40の各パイロット操作部40d,40eと補巻2速スプール38の各パイロット操作部38d,38eにはリモコン弁44,46の対応するものの二次圧が供給不能となる。従って、切換スイッチ72がオフにされることによって、油圧回路6の圧油の供給形態は、一側油圧ポンプ22から吐出される圧油のみを主巻操作レバー12の中立位置からの回動角度に応じた流量で主巻油圧モータ4に供給し、他側油圧ポンプ24から吐出される圧油のみを補巻操作レバー16の中立位置からの回動角度に応じた流量で補巻油圧モータ5に供給する前記第2供給形態となる。なお、この場合において、主巻1速スプール36のパイロット操作部36d,36eには、定比減圧弁53,54によって主巻リモコン弁44の二次圧が1/2に減圧されたパイロット圧が供給され、補巻1速スプール42のパイロット操作部42d,42eには、定比減圧弁55,56によって補巻リモコン弁46の二次圧が1/2に減圧されたパイロット圧が供給されるため、図5に示すように、操作レバー12,16の回動角度に対する各1速スプール36,42のストローク量の増加率は、前記第1供給形態の場合の1/2になる。
【0073】
主巻中間保持機構7は、主巻操作レバー12に巻上側保持角度又は巻下側保持角度で中間保持力を付与するためのものであり、油圧回路6の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には保持有効状態となり、油圧回路6の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には保持無効状態となる。保持有効状態は、主巻操作レバー12の巻き上げ側への回動角度が巻上側第1設定角度と巻上側第2設定角度との間の特定の回動角度(本実施形態では、これら両設定角度の中間の回動角度)である巻上側保持角度に達したときと、主巻操作レバー12の巻き下げ側への回動角度が巻下側第1設定角度と巻下側第2設定角度との間の特定の回動角度(本実施形態では、これら両設定角度の中間の回動角度)である巻下側保持角度に達したときに主巻操作レバー12がそれらの保持角度から逸脱するような回動に抵抗を与える中間保持力を主巻レバー回動部12bに付与する状態である。また、保持無効状態は、主巻操作レバー12に中間保持力を与えることなく前記巻上側保持角度及び前記巻下側保持角度に対応する各回動位置の通過を許容する状態である。
【0074】
主巻中間保持機構7は、図3に示すように、係止部支持部78と、係止部79と、付勢装置81と、押圧装置82とを有する。
【0075】
係止部支持部78は、係止部79が主巻操作レバー12の回動軸に垂直な方向でかつ主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12eに対して接離する方向に変位可能となるように係止部79を支持するものである。この係止部支持部78は、主巻レバー支持部14のうち前記中間保持用被押圧面12eに向き合う部位に設けられている。係止部支持部78は、その内部に中間保持用被押圧面12eに接離する方向に延びる空間を有しており、その空間内で係止部79を中間保持用被押圧面12eに接離する方向に変位可能となるように支持している。
【0076】
係止部79は、被係止部12g,12hに押し付けられた場合にその被係止部12g,12hを係止して主巻操作レバー12に中間保持力を付与するものである。この係止部79は、主巻操作レバー12が巻上側保持角度に回動された状態で巻上側被係止部12gと向き合うとともに主巻操作レバー12が巻下側保持角度に回動された状態で巻下側被係止部12hと向き合う位置に配設されている。具体的には、係止部79は、主巻操作レバー12が中立位置に配置された状態で中間保持用被押圧面12eのうち巻上側被係止部12gと巻下側被係止部12hとの中間に位置する部位に向き合うように配設されている。係止部79は、係止部支持部78によって中間保持用被押圧面12eに対して接離する方向に変位可能となるように支持されている係止部本体79aと、その係止部本体79aから中間保持用被押圧面12e側へ向かって突出する突起部79bとを有する。
【0077】
付勢装置81は、主巻操作レバー12が中立位置から回動された場合に中立位置側へ戻るように主巻操作レバー12を付勢するものである。この付勢装置81は、前記バネ44rと前記プッシュロッド44sからなる巻上側付勢部81aと、前記バネ44wと前記プッシュロッド44xからなる巻下側付勢部81bとを有する。巻上側付勢部81aは、主巻操作レバー12が中立位置から巻き上げ側に回動されたときに主巻操作レバー12を中立位置側へ戻るように付勢するものであり、巻下側付勢部81bは、主巻操作レバー12が中立位置から巻き下げ側に回動されたときに主巻操作レバー12を中立位置側へ戻るように付勢するものである。主巻操作レバー12が巻き上げ側に回動された場合には、巻上側付勢部81aのバネ44rの弾発力がプッシュロッド44sを介して主巻レバー回動部12bに付与されることによって主巻操作レバー12が中立位置側へ戻るように付勢され、主巻操作レバー12が巻き下げ側に回動された場合には、巻下側付勢部81bのバネ44wの弾発力がプッシュロッド44xを介して主巻レバー回動部12bに付与されることによって主巻操作レバー12が中立位置側へ戻るように付勢される。
【0078】
押圧装置82は、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合には係止部79を中間保持用被押圧面12eに向かって押圧し、油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合には中間保持用被押圧面12eへの係止部79の押圧を解除するものである。この押圧装置82は、油圧が供給されることによって係止部79を主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12eに押圧するとともに、その供給される油圧の大きさに応じて中間保持用被押圧面12eに対して係止部79を押圧する押圧力を変化させる油圧駆動機構82aと、油圧源66から供給される油圧を減圧する減圧弁82b(図2参照)と、その減圧弁82bによって減圧された後の油圧が油圧駆動機構82aに供給されるのを許容する状態とその供給を遮断する状態とに切換スイッチ72のオン/オフに応じて切り換わる電磁切換弁82cとを有する。
【0079】
油圧駆動機構82aは、係止部支持部78に対して中間保持用被押圧面12eと反対側に連続するとともにその係止部支持部78と同軸となるように設けられた筒状の収容部82dと、その収容部82d内の空間に設けられ、係止部79に対して中間保持用被押圧面12eと反対側に配置されたバネ部材82eと、中間保持用被押圧面12eに対して接離する方向に移動可能となるように収容部82d内の空間に収容されるとともにバネ部材82eに対して係止部79と反対側に配置されたピストン82fとを有する。
【0080】
収容部82d内の空間のうちピストン82fに対して係止部79と反対側に位置する領域には、電磁切換弁82cからの油路が接続されている。バネ部材82eは、主巻中間保持機構7が保持有効状態にある場合にその弾発力により係止部79を中間保持用被押圧面12eに対して押圧するように付勢するものである。なお、バネ部材82eは、係止部79が中間保持用被押圧面12eから離反する方向に押動された場合には、その係止部79によって押し縮められることが可能となっている。ピストン82fは、収容部82d内の空間のうちピストン82fに対して係止部79と反対側に位置する領域に供給される油圧の大きさに応じた押圧力でバネ部材82eを介して係止部79を中間保持用被押圧面12eに対して押圧する。
【0081】
電磁切換弁82cは、切換スイッチ72を介して電源73に電気的に接続されているソレノイドを有する。切換スイッチ72がオフになって電源73からソレノイドへの電流の供給が停止された場合には、電磁切換弁82cは、供給位置82hとなり、減圧弁82bによって減圧された油圧源66からの油圧が収容部82d内の空間へ供給されるのを許容する。この場合には、ピストン82fが油圧によって中間保持用被押圧面12e側へ押動され、上記のように当該ピストン82fによってバネ部材82eを介して係止部79が中間保持用被押圧面12eに押圧される。これにより、主巻操作レバー12が巻上側保持角度又は巻下側保持角度まで回動されたときにその主巻操作レバー12を中立位置側へ戻す向きへの付勢装置81の付勢力に対抗するように係止部79の突起部79bが被係止部12g,12hの当接部のうち対応するものに当接し、その結果、その保持角度で中間保持力が主巻操作レバー12に付与される。このため、主巻中間保持機構7は、前記保持有効状態となる。そして、切換スイッチ72がオフの場合には、上記したように油圧回路6の圧油の供給形態は第1供給形態であるため、主巻中間保持機構7は、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態である場合に保持有効状態となる。
【0082】
一方、切換スイッチ72がオンになって電源73からソレノイドへ電流が供給された場合には、電磁切換弁82cは、遮断位置82iとなり、減圧弁82bによって減圧された油圧源66からの油圧の収容部82d内の空間への供給を遮断する。この場合には、ピストン82f、バネ部材82e及び係止部79が中間保持用被押圧面12eから離反する方向に変位可能となって中間保持用被押圧面12eへの係止部79の押圧がなくなるため、主巻中間保持機構7は前記保持無効状態となる。そして、切換スイッチ72がオンの場合には、上記したように油圧回路6の圧油の供給形態は第2供給形態であるため、主巻中間保持機構7は、油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態である場合に保持無効状態となる。
【0083】
主巻基準保持機構8(図3参照)は、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態及び第2供給形態のいずれの供給形態にあるかにかかわらず、主巻操作レバー12が中立位置に位置するとき及び主巻操作レバー12がその最大の回動角度に対応する回動位置に回動されたときに当該主巻操作レバー12がその各位置から逸脱するような回動に抵抗を与える基準保持力をその主巻操作レバー12に付与するものである。
【0084】
具体的には、主巻基準保持機構8は、主巻レバー支持部14のうち主巻操作レバー12の基準保持用被押圧面12fに向き合う部位に設けられている。この主巻基準保持機構8は、係合部84と、その係合部84が前記回動軸に対して垂直な方向でかつ基準保持用被押圧面12fに対して接離する方向に変位可能となるようにその係合部84を支持する係合部支持部85と、係合部84を基準保持用被押圧面12fに対して押圧するように付勢するバネ部材86とを有する。
【0085】
係合部84は、基準保持用被押圧面12fに向き合う位置に設けられており、係合部支持部85によって支持される係合部本体84aと、その係合部本体84aから基準保持用被押圧面12f側に向かって突出する突起部84bとを有している。係合部84は、バネ部材86によって付勢されることにより常にその突起部84bが基準保持用被押圧面12fに押し付けられている。なお、バネ部材86は、本発明の係合部付勢部材の概念に含まれるものである。そして、主巻操作レバー12が中立位置に配置されたときには、係合部84の突起部84bが中立位置被係合部12iに押し付けられて係合し、それによって、係合部84は、主巻操作レバー12に基準保持力を付与する。また、主巻操作レバー12の回動角度が巻き上げ側の最大回動角度に達したときには、係合部84の突起部84bが巻き上げ側の最大回動角度被係合部12kに押し付けられて係合し、それによって、係合部84は、主巻操作レバー12に基準保持力を付与する。また、主巻操作レバー12の回動角度が巻き下げ側の最大回動角度に達したときには、係合部84の突起部84bが巻き下げ側の最大回動角度被係合部12jに押し付けられて係合し、それによって、係合部84は、主巻操作レバー12に基準保持力を付与する。
【0086】
補巻中間保持機構9は、前記主巻中間保持機構7と同様に構成されており、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合には補巻操作レバー16に対して保持有効状態となり、油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合には補巻操作レバー16に対して保持無効状態となるものである。なお、この補巻中間保持機構9の押圧装置は、前記主巻保持機構7の押圧装置82と減圧弁82b及び電磁切換弁82cを共用している。
【0087】
図略の補巻基準保持機構は、前記主巻基準保持機構8と同様に構成されており、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態及び第2供給形態のいずれの供給形態にあるかにかかわらず、補巻操作レバー16が中立位置に位置するとき及び補巻操作レバー16がその最大の回動角度に対応する回動位置に回動されたときに当該補巻操作レバー16がその各位置から逸脱するような回動に抵抗を与える基準保持力をその補巻操作レバー16に付与するものである。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、油圧回路6の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、中間保持機構7,9が巻上側保持角度及び巻下側保持角度において操作レバー12,16に中間保持力を与えることなくその通過を許容するため、オペレータにウィンチの操作について違和感を与えない。その一方、油圧回路6の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、操作レバー12,16の回動角度が巻上側第1設定角度と巻上側第2設定角度との間の巻上側保持角度又は巻下側第1設定角度と巻下側第2設定角度との間の巻下側保持角度に達すると、中間保持機構7,9が操作レバー12,16に中間保持力を付与して操作レバー12,16がそれらの保持角度から逸脱するような回動に抵抗を与えるため、オペレータがその保持角度で操作レバー12,16を保持するような特別な操作を行わなくても、一側油圧ポンプ22のみから主巻油圧モータ4に圧油が供給され、他側油圧ポンプ24のみから補巻油圧モータ5に圧油が供給される状態から両油圧ポンプ22,24から各油圧モータ4,5に圧油が供給され得る状態へ移行する直前の状態で油圧モータ4,5への圧油の供給状態を保持することが可能となる。従って、本実施形態では、油圧回路6の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、オペレータが操作レバー12,16の回動角度を保持しなくても1つの油圧ポンプのみから1つの油圧モータに圧油が供給される状態から2つの油圧ポンプから1つの油圧モータに圧油が供給される状態へ移行する直前の状態で圧油の供給状態を維持することができるとともに、油圧回路6の圧油の供給形態が前記第2供給形態となった場合には、オペレータにウィンチの操作について違和感を与えるのを防止することができる。
【0089】
また、本実施形態では、油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合に、主巻中間保持機構7において主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12eへの係止部79の押圧が解除されるとともに、補巻中間保持機構9において補巻操作レバー16の中間保持用被押圧面への係止部の押圧が解除されるため、操作レバー12,16の回動に対する抵抗力が小さくなる。このため、油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合には、操作レバー12,16の回動操作が行いやすくなる。
【0090】
また、本実施形態では、主巻操作レバー12が巻上側保持角度又は巻下側保持角度まで回動されたときに主巻操作レバー12に付与される付勢装置81の付勢力に対抗するように被係止部12g,12hの当接部のうち対応するものが突起部79bに当接し、補巻操作レバー16においても同様のことが行われるため、操作レバー12,16を巻上側保持角度又は巻下側保持角度で保持することができる。さらに、本実施形態では、主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12eのうち被係止部12g,12hの当接部に対して付勢装置81の付勢力により主巻操作レバー12が中立位置側へ戻される方向に位置する部位と主巻操作レバー12の回動軸との間の距離が当接部と回動軸との間の距離よりも小さいため、主巻操作レバー12を巻上側保持角度又は巻下側保持角度を超えてさらに回動させる場合に主巻操作レバー12と突起部79bとの干渉による抵抗を低減することができ、滑らかに主巻操作レバー12を回動させることができる。この効果は、補巻操作レバー16についても同様に得られる。
【0091】
また、本実施形態では、主巻基準保持機構8が設けられているとともに補巻基準保持機構が設けられているため、ウィンチの操作時に油圧回路6の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、巻上側保持角度及び巻下側保持角度に加えて中立位置、巻き上げ側の最大の回動角度及び巻き下げ側の最大の回動角度でオペレータが操作レバー12,16を保持しなくてもその操作レバー12,16の回動角度の保持が可能になり、油圧回路6の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、操作レバー12,16を中立位置、巻き上げ側の最大の回動角度及び巻き下げ側の最大の回動角度でオペレータが操作レバー12,16を保持しなくてもその操作レバー12,16の回動角度の保持が可能になる。
【0092】
また、本実施形態では、被係止部12g,12hが形成された中間保持用被押圧面12eと中立位置被係合部12i及び最大回動角度被係合部12j,12kが形成された基準保持用被押圧面12fとが主巻レバー回動部12bにおいて主巻レバー本体12aの両側の位置に分配配置され、それに対応して主巻中間保持機構7と主巻基準保持機構8とが操作レバー12の両側に分かれて配置されるため、被係止部と中立位置被係合部と最大回動角度被係合部がレバー回動部においてレバー本体に対して同じ側に配置されて中間保持機構と基準保持機構を同じ側に配置せざるを得ないような構成と比較して、主巻中間保持機構7と主巻基準保持機構8のレイアウトが容易になる。また、同様に、補巻操作レバー16側において、補巻中間保持機構9と補巻基準保持機構のレイアウトが容易になる。
【0093】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0094】
例えば、図6に示す上記実施形態の第1変形例のように、中間保持機構7,9の押圧装置が、油圧を利用せず、電流の供給の有無によって操作レバー12,16への係止部の押圧の有無を切り換えるように構成されていてもよい。
【0095】
具体的には、この第1変形例では、主巻中間保持機構7の押圧装置82が、図略のバネと、ソレノイド90と、電流供給装置92とを有する。また、補巻中間保持機構9の押圧装置は、主巻中間保持機構7の押圧装置82と同様に構成されている。なお、補巻中間保持機構9の押圧装置は、主巻中間保持機構7の押圧装置82と、電流供給装置92を共用している。
【0096】
主巻中間保持機構7の押圧装置82の図略のバネは、係止部79を主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12e(図3参照)から離反する方向に付勢している。なお、このバネは、本発明の係止部付勢部材の概念に含まれるものである。
【0097】
ソレノイド90は、電流が供給されることによって励磁状態となり、図略のバネの付勢力に抗しながら係止部79を中間保持用被押圧面12eに向かって押圧する一方、電流が供給されない場合には非励磁状態となり、図略のバネの付勢力により係止部79が中間保持用被押圧面12eから離反されるのを許容する。また、このソレノイド90は、供給される電流が大きくなるほど係止部79をより大きな力で中間保持用被押圧面12eに向かって押圧する。
【0098】
電流供給装置92は、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合には、主巻中間保持機構7の押圧装置82のソレノイド90、補巻中間保持機構9の押圧装置のソレノイド及び選択切換弁94のソレノイドへ電流を供給し、油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態にある場合には、それら各ソレノイドへ電流を供給しない。この電流供給装置92は、電源92aと、電流制御部92bと、設定値変更部92cとを有する。
【0099】
電源92aは、電流を供給するためのものであり、電流制御部92bと電気的に接続されている。
【0100】
電流制御部92bは、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態又は第2供給形態のいずれであるかに応じて、すなわち切換スイッチ72がオフ又はオンのいずれであるかに応じて、電源92aから供給される電流を主巻中間保持機構7の押圧装置82のソレノイド90と補巻中間保持機構9の押圧装置のソレノイドへ流す状態と流さない状態とに切り換わる。
【0101】
具体的には、電流制御部92bは、切換スイッチ72と電気的に接続されているとともに、主巻中間保持機構7の押圧装置82のソレノイド90及び補巻中間保持機構9の押圧装置のソレノイドと電気的に接続されている。電流制御部92bは、切換スイッチ72がオフである場合(油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態である場合)には、この切換スイッチ72のオフ状態を検知して当該電流制御部92bに接続されている各ソレノイドに電源92aからの電流を流す。これにより、主巻中間保持機構7の押圧装置82のソレノイド90は、係止部79を主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12eに向かって押圧し、補巻中間保持機構9の押圧装置のソレノイドは、対応する係止部を補巻操作レバー16の中間保持用被押圧面に向かって押圧する。また、電流制御部92bは、切換スイッチ72がオンである場合(油圧回路6の圧油の供給形態が第2供給形態である場合)には、この切換スイッチ72のオン状態を検知して当該電流制御部92bに接続されている各ソレノイドに電源92aからの電流を流さないようにする。これにより、主巻中間保持機構7の押圧装置82のソレノイド90は、係止部79がバネの付勢力により主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12eから離反されるのを許容し、補巻中間保持機構9の押圧装置のソレノイドは、同様に、対応する係止部がバネの付勢力により補巻操作レバー16の中間保持用被押圧面から離反されるのを許容する。
【0102】
また、電流制御部92bは、当該電流制御部92bと接続された各ソレノイドに電源92aからの電流を供給する場合(切換スイッチ72がオフで、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態である場合)に、その供給する電流の大きさが設定値となるように当該電流の大きさを制御する。具体的には、電流制御部92bは、当該電流制御部92と接続された各ソレノイドへ流す電流を検知しており、その検知した電流値が設定値となるように各ソレノイドへ流す電流の大きさを制御する。
【0103】
そして、この電流制御部92bが各ソレノイドへ流す電流の大きさは、設定値変更部92cを操作することによって調節することが可能である。具体的には、設定値変更部92cは、電流制御部92bに前記設定値の変更を指示するためのものである。この設定値変更部92cは、例えば調節ダイヤル等を有しており、この調節ダイヤルを一方向へ回動させることによって当該設定値変更部92bが電流制御部92bに指示する設定値が大きくなり、その一方向と反対方向へ調節ダイヤルを回動させることによって当該設定値変更部92bが電流制御部92bに指示する設定値が小さくなるように構成されている。電流制御部92bは、各ソレノイドに供給する電流値が設定値変更部92cから指示される設定値となるように各ソレノイドに供給する電流の大きさを制御する。そして、主巻中間保持機構7の押圧装置82のソレノイド90及び補巻中間保持機構9の押圧装置のソレノイドは、供給される電流値の大小に応じて対応する係止部を中間保持用被押圧面へ押圧するための押圧力を増減させるため、設定値変更部92cを操作することによって各操作レバー12,16の中間保持用被押圧面へ対応する係止部を押圧する押圧力を調節することができる。
【0104】
この第1変形例によるウィンチ操作装置の上記以外の構成は、上記実施形態によるウィンチ操作装置の構成と同様である。
【0105】
この第1変形例では、主巻中間保持機構7の押圧装置82においてソレノイド90により主巻操作レバー12の中間保持用被押圧面12eへの係止部79の押圧の有無を切り換えることができるとともに、補巻中間保持機構9の押圧装置においても同様の切り換えが行えるため、係止部を操作レバーに対して押圧するための油圧駆動機構とその油圧駆動機構への圧油の供給の有無を切り換えるための電磁切換弁とによって押圧装置を構成する場合に比べて、主巻中間保持機構7の押圧装置82及び補巻中間保持機構9の押圧装置の構成を簡略化することができる。
【0106】
また、この第1変形例では、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合に、設定値変更部92cを用いて電流制御部92bに主巻中間保持機構7の押圧装置82のソレノイド90と補巻中間保持機構9の押圧装置のソレノイドに供給する電流の大きさを調節させて、主巻中間保持機構7のソレノイド90から係止部79に付与される中間保持用被押圧面12eへのその係止部79の押圧力及び補巻中間保持機構9のソレノイドから対応する係止部に付与される同様の押圧力を調節することができる。その結果、前記保持有効状態において、操作レバー12,16が前記保持角度から逸脱するような回動軸回りの回動に抵抗を与える中間保持力の大きさを任意に調節することができる。
【0107】
なお、上記第1変形例において、電流供給装置92から設定値変更部92cを省略し、電流制御部92bが切換スイッチ72のオフ/オンに応じて当該電流制御部92bと接続された各ソレノイドへ電流を供給する状態と供給しない状態とに切り換わる機能だけを備えていてもよい。
【0108】
また、図7に示す上記実施形態の第2変形例のように、中間保持機構7,9の押圧装置82が、電磁切換弁82cを通じて油圧駆動機構82aへ供給される油圧の大きさを制御するための電磁比例弁82kと、その電磁比例弁82kの動作を制御するための制御部83とを備えていてもよい。
【0109】
具体的には、この第2変形例では、押圧装置82を構成する電磁切換弁82cと油圧駆動機構82aとの間でそれら電磁切換弁82cと油圧駆動機構82aの収容部82d内の空間とを繋ぐ油路に電磁比例弁82kが設けられている。この電磁比例弁82kは、ソレノイドを有しており、このソレノイドは、制御部83と電気的に接続されている。制御部83は、切換スイッチ72がオフになったとき、すなわち油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態になったときに、電磁比例弁82kのソレノイドに電気信号を送ることによって電磁比例弁82kを制御し、収容部82d内の空間へ供給される油圧の大きさを所定の設定値に調節する。この設定値は、設定変更することが可能となっている。
【0110】
この第2変形例では、油圧駆動機構82aに供給される油圧の大きさを制御することができるため、油圧回路6の圧油の供給形態が第1供給形態にある場合に、油圧駆動機構82aに供給する油圧の大きさを制御して操作レバー12,16の中間保持用押圧面への係止部79の押圧力を制御することができる。その結果、保持有効状態において、操作レバー12,16が前記保持角度から逸脱するような回動軸回りの回動に抵抗を与える中間保持力の大きさを任意に調節することができる。
【0111】
なお、この第2変形例において、電磁切換弁82cを省略し、制御部83と、電磁比例弁82cとによって、押圧装置82の油圧駆動機構82aに油圧を供給するか否かの切り換えを行うとともに、油圧駆動機構82aに油圧を供給する場合にその供給する油圧の大きさの制御を行ってもよい。具体的には、制御部83は、切換スイッチ72と電気的に接続されており、その切換スイッチ72がオンになったことに応じて、減圧弁82bによって減圧された油圧源66からの油圧が油圧駆動機構82aに供給されるのを電磁比例弁82cに遮断させ、切換スイッチ72がオフになったことに応じて、減圧弁82bによって減圧された油圧源66からの油圧が油圧駆動機構82aに供給されるのを電磁比例弁82cに許容させるとともにその供給される油圧の大きさを所定の設定値に制御させる。
【0112】
また、別の変形例として、各操作部2,3は、操作レバー12,16の回動に応じてその回動角度に対応する信号を出力する電気式レバー装置であり、コントローラがその出力された信号を受けて各コントロールバルブの1速スプール及び2速スプールのパイロット操作部へパイロット圧供給装置が供給するパイロット圧(油圧)の大きさを制御するような構成のウィンチ操作装置において、本発明に係る中間保持機構や、基準保持機構を上記実施形態と同様に適用してもよい。
【0113】
また、各操作レバーの被係止部は、上記実施形態で示した当接部からなるものに限定されない。例えば、各操作レバーの被係止部は、中間保持用被押圧面に形成されたVノッチやその他の形状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0114】
4 主巻油圧モータ
5 補巻油圧モータ
6 油圧回路
7 主巻中間保持機構(中間保持機構)
8 主巻基準保持機構(基準保持機構)
9 補巻中間保持機構(中間保持機構)
12 主巻操作レバー(操作レバー)
12a 主巻レバー本体(レバー本体)
12b 主巻レバー回動部(レバー回動部)
12e 中間保持用被押圧面
12f 基準保持用被押圧面
12g 巻上側被係止部
12h 巻下側被係止部
12i 中立位置被係合部(基準位置被係合部)
12j、12k 最大回動角度被係合部
14 レバー支持部
16 補巻操作レバー(操作レバー)
16a 補巻レバー本体16a(レバー本体)
16b 補巻レバー回動部(レバー回動部)
22 一側油圧ポンプ(第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプ)
24 他側油圧ポンプ(第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプ
30 制御系回路部
32 一側コントロールバルブ(第1コントロールバルブ、第2コントロールバルブ)
34 他側コントロールバルブ(第1コントロールバルブ、第2コントロールバルブ)
36 主巻1速スプール
38 補巻2速スプール
40 主巻2速スプール
42 補巻1速スプール
66 油圧源
78 係止部支持部
79 係止部
79a 係止部本体
79b 突起部
81 付勢装置
82 押圧装置
82a 油圧駆動機構
82c 電磁切換弁(切換弁)
82k 電磁比例弁(比例弁)
84 係合部
85 係合部支持部
86 バネ部材(係合部付勢部材)
90 ソレノイド
92 電流供給装置
92b 電流制御部
92c 設定値変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンに搭載されたウィンチを操作するためのウィンチ操作装置であって、
前記ウィンチを操作するための操作レバーと、
前記操作レバーが所定の回動軸回りに回動可能となるように当該操作レバーを支持するレバー支持部と、
油圧が供給されることによって作動し、前記ウィンチを駆動する油圧モータと、
圧油を吐出する第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプを有し、前記操作レバーが所定の基準位置から回動されてその回動角度が第1設定角度に達するまでは前記第1油圧ポンプから吐出される圧油をその操作レバーの回動角度に応じた流量で前記油圧モータに供給するとともに、前記操作レバーが前記第1設定角度よりも大きい角度である第2設定角度を超えてさらに回動される場合には前記第1油圧ポンプから吐出される圧油に加えて前記第2油圧ポンプから吐出される圧油をその操作レバーの回動角度に応じた流量で前記油圧モータに供給する第1供給形態と、前記第1油圧ポンプから吐出される圧油のみを前記操作レバーの回動角度に応じた流量で前記油圧モータに供給する第2供給形態とに圧油の供給形態が切り換わる油圧回路と、
前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、前記操作レバーの回動角度が前記第1設定角度と前記第2設定角度との間の特定の回動角度である保持角度に達したときにその操作レバーが当該保持角度から逸脱するような前記回動軸回りの回動に抵抗を与える中間保持力をその操作レバーに付与する保持有効状態となり、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には、前記操作レバーに前記中間保持力を与えることなく前記保持角度に対応する回動位置の通過を許容する保持無効状態となる中間保持機構とを備えた、クレーンのウィンチ操作装置。
【請求項2】
前記操作レバーには、当該操作レバーと一体的に前記回動軸回りに回動する被係止部が設けられ、
前記中間保持機構は、前記操作レバーが前記保持角度に回動された状態で前記被係止部と向き合う位置に配設され、前記被係止部に押し付けられた場合にその被係止部を係止して前記操作レバーに前記中間保持力を付与する係止部と、その係止部が前記操作レバーに対して接離する方向に変位可能となるようにその係止部を支持する係止部支持部と、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には前記係止部を前記操作レバーに向かって押圧し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記操作レバーへの前記係止部の押圧を解除する押圧装置とを含む、請求項1に記載のクレーンのウィンチ操作装置。
【請求項3】
前記操作レバーは、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合に前記押圧装置により前記係止部が押圧される中間保持用被押圧面を有し、
前記中間保持機構は、前記操作レバーが前記基準位置から回動された場合に前記基準位置側へ戻るようにその操作レバーを付勢する付勢装置を有し、
前記係止部は、前記係止部支持部に支持される係止部本体と、その係止部本体から前記中間保持用被押圧面側へ向かって突出し、その中間保持用被押圧面に押圧される部分である突起部とを有し、
前記被係止部は、前記中間保持用被押圧面に形成され、前記突起部が前記中間保持用被押圧面に押圧された状態で前記操作レバーが前記保持角度に回動されたときに前記付勢装置の付勢力により前記操作レバーが前記基準位置側へ戻される向きにおいて前記突起部に当接する当接部からなり、
前記中間保持用被押圧面のうち前記当接部に対して前記付勢装置の付勢力により前記操作レバーが前記基準位置側へ戻される方向に位置する部位と前記回動軸との間の距離は、前記当接部と前記回動軸との間の距離よりも小さい、請求項2に記載のクレーンのウィンチ操作装置。
【請求項4】
前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態及び前記第2供給形態のいずれの供給形態にあるかにかかわらず、前記操作レバーが前記基準位置に位置するとき及び前記操作レバーが最大の回動角度に対応する回動位置に回動されたときに当該操作レバーがその各位置から逸脱するような前記回動軸回りの回動に抵抗を与える基準保持力をその操作レバーに付与する基準保持機構をさらに備える、請求項1に記載のクレーンのウィンチ操作装置。
【請求項5】
前記操作レバーは、前記レバー支持部に前記回動軸回りに回動可能となるように支持されるレバー回動部と、そのレバー回動部の外面から前記回動軸に垂直な方向に延びるレバー本体とを有し、
前記レバー回動部は、当該レバー回動部の外面に形成され、前記回動軸に対して垂直な方向において前記レバー本体の両側に分かれて配置された中間保持用被押圧面と基準保持用被押圧面を有し、
前記中間保持用被押圧面には、被係止部が形成され、
前記基準保持用被押圧面には、前記レバー回動部の回動方向において互いに離間するように配置された基準位置被係合部と最大回動角度被係合部とが形成され、
前記中間保持機構は、前記中間保持用被押圧面に向き合う位置に設けられ、前記被係止部に押し付けられた場合にその被係止部を係止して前記操作レバーに前記中間保持力を付与する係止部と、その係止部が前記回動軸に垂直な方向でかつ前記中間保持用被押圧面に対して接離する方向に変位可能となるようにその係止部を支持する係止部支持部と、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には前記係止部を前記中間保持用被押圧面に向かって押圧し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記中間保持用被押圧面への前記係止部の押圧を解除する押圧装置とを含み、
前記基準保持機構は、前記基準保持用被押圧面に向き合う位置に設けられ、前記各被係合部に押し付けられた場合にその押し付けられた被係合部と係合して前記操作レバーに前記基準保持力を付与する係合部と、その係合部が前記回動軸に垂直な方向でかつ前記基準保持用被押圧面に対して接離する方向に変位可能となるようにその係合部を支持する係合部支持部と、前記係合部を前記基準保持用被押圧面に対して押圧するように付勢する係合部付勢部材とを含む、請求項4に記載のクレーンのウィンチ操作装置。
【請求項6】
前記押圧装置は、前記係止部を前記操作レバーから離反する方向に付勢する係止部付勢部材と、電流が供給されることによって前記係止部付勢部材の付勢力に抗しながら前記係止部を前記操作レバーに押圧する一方、電流が供給されない場合には前記係止部付勢部材の付勢力により前記係止部が前記操作レバーから離反されるのを許容するソレノイドと、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には前記ソレノイドへ電流を供給し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記ソレノイドへ電流を供給しない電流供給装置とを有する、請求項2、3及び5のいずれか1項に記載のクレーンのウィンチ操作装置。
【請求項7】
前記ソレノイドは、供給される電流が大きくなるほど前記係止部をより大きな力で前記操作レバーに押圧し、
前記電流供給装置は、前記ソレノイドに供給する電流の大きさが設定値となるようにその電流の大きさを制御する電流制御部と、その電流制御部に前記設定値の変更を指示するための設定値変更部とを有する、請求項6に記載のクレーンのウィンチ操作装置。
【請求項8】
前記押圧装置は、油圧が供給されることによって前記係止部を前記操作レバーに押圧するとともに、その供給される油圧の大きさに応じて前記操作レバーに対して前記係止部を押圧する押圧力を変化させる油圧駆動機構と、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には油圧源から前記油圧駆動機構へ油圧が供給されるのを許容し、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第2供給形態にある場合には前記油圧源から前記油圧駆動機構への油圧の供給を遮断する切換弁と、前記油圧駆動機構と前記切換弁との間に設けられ、前記油圧駆動機構に供給される油圧の大きさを制御するための比例弁とを有する、請求項2、3及び5のいずれか1項に記載のクレーンのウィンチ操作装置。
【請求項9】
前記油圧回路は、パイロット圧が供給されることによりそのパイロット圧の大きさに応じたストローク量でストロークする1速スプールを有し、その1速スプールのストローク量に応じた流量で前記第1油圧ポンプからの圧油を前記油圧モータに供給する第1コントロールバルブと、前記1速スプールのストローク量が最大となるパイロット圧よりも大きい所定のパイロット圧が供給されることによりストロークを開始するとともにその供給されるパイロット圧の大きさに応じたストローク量でストロークする2速スプールを有し、その2速スプールのストローク量に応じた流量で前記第2油圧ポンプからの圧油を前記油圧モータに供給する第2コントロールバルブと、当該油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合に前記操作レバーの前記基準位置からの回動角度に応じた大きさのパイロット圧を前記1速スプールと前記2速スプールに供給する制御系回路部とを有し、
前記制御系回路部は、前記油圧回路の圧油の供給形態が前記第1供給形態にある場合には、前記操作レバーの回動角度が前記保持角度に達したときに前記1速スプールのストローク量が最大となるパイロット圧と前記2速スプールがストロークを開始するパイロット圧との間の特定の大きさのパイロット圧を前記両スプールに供給する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のクレーンのウィンチ操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−197125(P2012−197125A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60713(P2011−60713)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】