説明

クロック生成装置、クロック生成方法及びプログラム

【課題】目的の周波数からずれた周波数のクロックをクロックの供給先に与える危険性の少ない、クロック生成装置を提供する。
【解決手段】各クロック供給部10,20に、水晶発振器であるVCXO11,21を目的の周波数で発振させるために設定された基準値と基準値が設定された時を示す設定時情報とを記憶するメモリ14,24と、VCXO11,21の生成するクロックを他のクロック供給部のVCXOの出力するクロックに同期させる同期手段とをそれぞれ備える。メモリ14,24の記憶内容に基づき、最も設定時情報が新しいVCXOを選別し、その選別したVCXOを基準値に基づいて発振させて目的の周波数のクロックを生成させる。他のVCXOには、選別したVCXOの生成したクロックに同期したクロックを生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック生成装置、クロック生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
安定したクロックを生成するクロック生成装置には、特許文献1に示されるように、現用系回路と予備系回路とが冗長構成となるように接続され、現用系回路に障害が発生したときに予備系回路に切り替えることを可能にしている。
【0003】
特許文献1のクロック生成装置の現用系回路及び予備系回路は、電圧制御水晶発振器(以下、VCXOという)をそれぞれ備えている。VCXOの発振周波数は、VCXOに与える制御電圧によって制御される。現用系回路が自回路のVCXOに基準値の制御電圧を与えて発振させて第1の基準クロックを供給する。予備系回路は、自回路のVCXOを発振させて、第1の基準クロックに位相同期させた第2の基準クロックを供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−212659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、VCXOでは、制御電圧に対する発振周波数の特性が経年変化する。例えば、10,000,000Hzで発振するようにVCXOに与える制御電圧を調整し、その制御電圧をVCXOに印加し続けても、1年後には、発振周波数が9,999,999.8〜10,000,000.2Hzの範囲内のいずれかの周波数になる。6年後には、発振周波数が、9,999,999.6〜10,000,000.4Hzの範囲内のいずれかの周波数になる。
【0006】
そのため、特許文献1のクロック生成装置では、現用系回路のVCXOの発振周波数に基づいて第1の基準クロック及び第2の基準クロックを生成するので、現用系回路のVCXOに経年片変化があれば、目的の周波数から許容を越えてずれた周波数のクロックをクロックの供給先のシステムに対して供給してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、以上のような現状に鑑みてなされた発明であり、目的の周波数からずれた周波数のクロックをクロックの供給先に与える危険性が少ない、クロック生成装置、クロック生成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るクロック生成装置は、
内蔵する水晶発振器を発振させてクロックをそれぞれ生成する複数のクロック供給部を備えるクロック生成装置であって、
前記各クロック供給部に、前記内蔵する水晶発振器を目的の周波数で発振させるために設定された基準値と該基準値が設定された時を示す設定時情報とを記憶する記憶手段と、該内蔵する水晶発振器の生成するクロックを他のクロック供給部に内蔵されている水晶発振器の生成するクロックに同期させる同期手段とをそれぞれ備え、
前記複数のクロック供給部の水晶発振器のうち、最も前記設定時情報が新しい水晶発振器を前記複数のクロック供給部の記憶手段の記憶内容から選別する選別手段と、
前記最も設定時情報が新しい水晶発振器を内蔵するクロック供給部を現用系とし、該現用系の水晶発振器を該現用系の記憶手段に記憶されている前記基準値に基づいて発振させて目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成手段と、
前記現用系以外のクロック供給部を予備系とし、該予備系の水晶発振器の生成するクロックを、前記同期手段により、前記現用系の水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備系クロック処理手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るクロック生成方法は、
発振してクロックをそれぞれ生成する複数の水晶発振器について、各水晶発振器を目的の周波数で発振させるための基準値と該基準値を設定した時を示す設定時情報とを記憶する記憶処理と、
前記設定時情報が最新の前記水晶発振器を選別し、該選別した水晶発振器を前記基準値に基づいて発振させて前記目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成処理と、
前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを、前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備クロック処理と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
発振してクロックをそれぞれ生成する複数の水晶発振器について、各水晶発振器を目的の周波数で発振させるための基準値と該基準値を設定した時を示す設定時情報とを記憶し、該記憶内容に基づき、前記設定時情報が最新の前記水晶発振器を選別し、該選別した水晶発振器を前記基準値に基づいて発振させて前記目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成処理と、
前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを、前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備クロック処理と、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、目的の周波数からずれた周波数のクロックをクロックの供給先に与える危険性が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図である。
【図2】図1中のクロック生成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図である。
【図5】図4のクロック生成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図4のクロック生成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図である。
【0014】
このクロック生成装置は、無線基地局装置等のクロック源として用いられるもので、それぞれクロックを出力するクロック供給部10とクロック供給部20とを備えている。
【0015】
クロック供給部10は、水晶発振器であるVCXO11と、位相差比較回路12と、位相差比較回路12の出力側に接続されたCPU(Central Processing Unit )13と、CPU13に接続されたメモリ14と、CPU13に接続されたデジタルアナログ変換回路(以下、DACという)15と、VCXO11の出力側に接続されたバッファ16とを備えている。
【0016】
DAC15は、CPU13から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換し、VCXO11に与えるようになっている。バッファ16の出力端子が、クロック供給部10の出力端子である。バッファ16は、CPU13により、オン・オフが設定されるようになっている。
【0017】
VCXO11は、DAC15から与えられた制御電圧に応じて発振し、クロック信号を生成する。
CPU13は、プログラムに基づいて動作し、クロック供給部10全体の動作を制御する。
メモリ14には、VCXO11を目的の周波数で発振させるための基準値と、基準値を設定したときを示す設定時情報が、工場出荷段階で書込まれている。
【0018】
クロック供給部20は、クロック供給部10と同様の構成であり、VCXO21と、位相差比較回路22と、位相差比較回路22の出力側に接続されたCPU23と、CPU23に接続されたメモリ24と、CPU23に接続されたDAC25と、VCXO21の出力側に接続されたバッファ26とを備えている。
DAC25は、CPU23から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換し、VCXO21に与えるようになっている。バッファ26の出力端子が、クロック供給部20の出力端子である。バッファ26は、CPU23により、オン・オフが設定されるようになっている。
【0019】
VCXO21は、DAC25から与えられた制御電圧に応じて発振し、クロック信号を生成する。
CPU23は、プログラムに基づいて動作し、クロック供給部20全体の動作を制御する。
メモリ24には、VCXO21を目的の周波数で発振させるための基準値と、基準値を設定したときを示す設定時情報が、工場出荷段階で書込まれている。
【0020】
クロック供給部10のVCXO11の出力端子は、クロック供給部10の位相差比較回路12の入力側に接続されると共に、クロック供給部20の位相差比較回路22の入力側に接続されている。
【0021】
クロック供給部20のVCXO21の出力端子は、クロック供給部20の位相差比較回路22の入力側に接続されると共に、クロック供給部10の位相差比較回路12の入力側に接続されている。
【0022】
位相差比較回路12は、VCXO11の生成したクロックとVCXO21の生成したクロックの位相差を検出してCPU13に与える。
位相差比較回路22は、VCXO21の生成したクロックとVCXO11の生成したクロックの位相差を検出してCPU23に与える。
【0023】
クロック供給部10のCPU13と、クロック供給部20のCPU23とは、通信線Wを介して接続されている。
【0024】
次に、図1のクロック生成装置の動作を説明する。
図2は、図1のクロック生成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
クロック生成装置が起動されると(ステップS10)、各CPU13,23は自系内の制御を開始する。ここで、自系とは自らが含まれるクロック供給部を指すものとする。つまり、CPU13であれば、クロック供給部10が自系となり、CPU23であれば、クロック供給部20が自系となる。尚、本明細書では、自らが含まれていないクロック供給部を他系と称して説明する。
CPU13,23は、バッファ16,26を制御してオフにする(ステップS11)。これにより、クロックが供給先であるシステムに出力されない状態になる。
【0025】
ステップS11に続いて、各CPU13,23は、自系のメモリ14,24から自系のVCXO11,21の基準値及び設定時情報を読み取る(ステップS12)。
【0026】
各CPU13,23は、読み取った基準値に対応するデジタルデータを生成してDAC15,25に与えると共に、読み取った設定時情報を通信線Wを介してそれぞれ出力する(ステップS13)。
【0027】
各DAC15,25は、CPU13,23から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換して、VCXO11,21にそれぞれ印加する。各VCXO11,21は、印加された制御電圧に応じた周波数、つまり基準値に対応する周波数で発振し、クロックをそれぞれ生成する。
【0028】
CPU13は、通信線Wを介して他系のVCXO21の設定時情報を入手し、CPU23は、通信線Wを介して他系のVCXO11の設定時情報を入手する。(ステップS14)。
【0029】
各CPU13,23は、自系がクロック供給先のシステムにクロックを供給する現用系か、予備として待機する予備系かを決めるために、入手した他系のVCXO21,11の設定時情報と自系のVCXO11,21の設定情報とを比較し、自系のVCXO11,21の設定時情報が最新であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0030】
ステップS15で、自系のVCXO11,21の設定時情報が最新でないと判断した場合(ステップS15:NO)、CPU13,23は、設定時情報が最新であった他系のVCXO21,11の出力するクロックと自系のVCXO11,21の出力するクロックとの位相差を位相差比較回路12,22から取得する(ステップS16)。
【0031】
続いて、CPU13,23は、設定時情報が最新であった他系のVCXO21,11の出力するクロックに対する自系のVCXO11,21の出力するクロックの位相差が0となるようなデジタルデータを生成してDAC15,25に与える(ステップS17)。
DAC15,25は、ステップS17で更新されて与えられたデジタルデータを制御電圧に変換して、VCXO11,21に印加する。
【0032】
このように、自系のVCXO11,21の設定時情報が最新でないと判断された場合に、ステップS16及びステップS17を行うことにより、設定時情報が最新の他系のVCXO21,11の出力するクロックに対して、自系のVCXO11,21の出力するクロックの周波数が合うようになる。
設定時情報が最新のVCXO11またはVCXO21は,経年変化の可能性が最も低いものである。
【0033】
ステップS15で自系のVCXO11,21の設定時情報が最新であると判断した場合(ステップS15:YES)、または、ステップS17の処理が終了した場合、CPU13,23は、自系がクロック供給先のシステムにクロックを供給する現用系か、予備として待機する予備系かを判断する(ステップS18)。この判断は、初回には、設定時情報が最新の場合に自系を現用系と判断し、設定時情報が最新でないものは予備系と判断する。
【0034】
ステップS18の判断で自系が現用系と判断した場合には(ステップS18:現用系)、現用系のCPU13またはCPU23は、自系のバッフア16,26を制御してオンにする(ステップS19)。
【0035】
一方、ステップS18で自系が予備系と判断した場合には(ステップS18:予備系)、予備系のCPU13またはCPU23は、自系の位相差比較回路12,22から、自系のVCXO11,21の出力するクロックと現用系の他系のVCXO21,11の位相差を取得する(ステップS20)。CPU13またはCPU23は、自系のVCXO11,21の出力するクロックと現用系の他系のVCXO21,11の出力するクロックとの位相差が0となるデジタルデータを生成してDAC15,25に与える(ステップS21)。予備系のDAC15またはDAC25は、ステップS21で更新されて与えられたデジタルデータを制御電圧に変換して、自系のVCXO11,21に印加する。
【0036】
このステップS20及びステップS21を行うことにより、予備系のVCXO11またはVCXO21の出力するクロックと、現用系のVCXO21またはVCXO11の出力するクロックとが同期する。
【0037】
ステップS21の後、CPU13,23は、現用系と予備系が切り替るまで待機する(ステップS22)。尚、予備系のCPU13まはたCPU23は、ステップS18、ステップS20、ステップS21、ステップS22を定期的に行うことにより、経年劣化によって、予備系のVCXO11,21の出力するクロックの周波数が現用系のVCXO21またはVCXO11の出力するクロックの周波数からずれることを防ぐことができる。
【0038】
以上のように、本実施形態のクロック生成装置では、設定時情報が最新のVCXO11,21を選別し、設定時情報が最新のVCXO11,21を含むクロック供給部10またはクロック供給部20を現用系とするようにしたので、経年変化の可能性が高いVCXO21またはVCXO11を含むクロック供給部20或いはクロック供給部10を現用系とすることがなくなり、信頼性が向上する。
【0039】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図であり、図1中の要素と共通する要素には、図1と共通の符合を付している。
【0040】
前述の第1実施形態のクロック生成装置は、2個のクロック供給部10,20により、構成されていたが、クロック供給部の数は任意である。本実施形態のクロック生成装置は、図3に示すように、3個のクロック供給部10,20,30を備えている。クロック供給部10,20は、第1実施形態のクロック供給部10,20と同様のものである。クロック供給部30も、クロック供給部10,20と同様であり、VCXO31と、位相差比較回路32と、位相差比較回路32の出力側に接続されたCPU33と、CPU33に接続されたメモリ34と、CPU33に接続されたDAC35と、VCXO31の出力側に接続されたバッファ36とを備えている。
【0041】
DAC35は、CPU33から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換し、VCXO31に与えるようになっている。バッファ36は、CPU33により、オン・オフが設定されるようになっている。
【0042】
メモリ34には、VCXO31を目的の周波数で発振させるための基準値と、基準値を設定したときを示す設定時情報が、工場出荷段階で書き込まれている。
【0043】
クロック供給部10のVCXO11の出力端子は、クロック供給部10の位相差比較回路12の入力側に接続されると共に、他系のクロック供給部20,30の位相差比較回路22,32の入力側に接続されている。
【0044】
クロック供給部20のVCXO21の出力端子は、クロック供給部20の位相差比較回路22の入力側に接続されると共に、他系のクロック供給部10,30の位相差比較回路12,32の入力側に接続されている。
クロック供給部30のVCXO31の出力端子は、自系のクロック供給部30の位相差比較回路32の入力側に接続されると共に、他系のクロック供給部10,20の位相差比較回路12,22の入力側に接続されている。
【0045】
クロック供給部10のCPU13と、クロック供給部20のCPU23と、クロック供給部30のCPU33とが、通信線Wを介して接続されている。
この図3のクロック生成装置は、各クロック生成部10,20,30が第1実施形態のクロック生成部10,20とそれぞれ同様に動作し、設定時情報が最新のVCXO11,21,31を選別し、設定時情報が最新のVCXO11,21,31を含むクロック供給部10、クロック供給部20またはクロック供給部30を現用系とする。したがって、経年変化の可能性が高いVCXOを含むクロック供給部10,20或いは30を現用系とすることがなくなり、信頼性が向上する。
【0046】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図である。
【0047】
このクロック生成装置は、それぞれクロックを出力するクロック供給部50とクロック供給部60とを備えている。
【0048】
クロック供給部50は、水晶発振器であるVCXO51と、位相差比較回路52と、位相差比較回路52の出力側に接続されたCPU53と、CPU53に接続されたメモリ54と、CPU53に接続されたDAC55と、VCXO51の出力側に接続されたバッファ56とを備えている。
【0049】
DAC55は、CPU53から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換し、VCXO51に与えるようになっている。バッファ56の出力端子が、クロック供給部50の出力端子である。バッファ56は、CPU53により、オン・オフが設定されるようになっている。
【0050】
VCXO51は、DAC55から与えられた制御電圧に応じて発振し、クロック信号を生成する。
CPU53は、プログラムに基づいて動作し、クロック供給部50全体の動作を制御する。
メモリ54には、VCXO51を目的の周波数で発振させるための基準値と、基準値を設定したときを示す設定時情報とが、工場出荷段階で書込まれている。本実施形態では、CPU53がメモリ54に記憶されている基準値及び設定時情報を更新する機能を有する。
【0051】
クロック供給部60は、クロック供給部50と同様の構成であり、VCXO61と、位相差比較回路62と、位相差比較回路62の出力側に接続されたCPU63と、CPU63に接続されたメモリ64と、CPU63に接続されたDAC65と、VCXO61の出力側に接続されたバッファ66とを備えている。
DAC65は、CPU63から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換し、VCXO61に与えるようになっている。バッファ66の出力端子が、クロック供給部60の出力端子である。バッファ66は、CPU63により、オン・オフが設定されるようになっている。
【0052】
VCXO61は、DAC65から与えられた制御電圧に応じて発振し、クロック信号を生成する。
CPU63は、プログラムに基づいて動作し、クロック供給部60全体の動作を制御する。
メモリ64には、VCXO61を目的の周波数で発振させるための基準値と、基準値を設定したときを示す設定時情報が、工場出荷段階で書込まれている。本実施形態のCPU63は、メモリ64に記憶されている基準値及び設定時情報を更する機能を有する。
【0053】
クロック供給部50のVCXO51の出力端子は、クロック供給部50の位相差比較回路52の入力側に接続されると共に、クロック供給部60の位相差比較回路62の入力側に接続されている。
【0054】
クロック供給部60のVCXO61の出力端子は、クロック供給部60の位相差比較回路62の入力側に接続されると共に、クロック供給部50の位相差比較回路52の入力側に接続されている。
【0055】
位相差比較回路52は、VCXO51の生成したクロックとVCXO61の生成したクロックの位相差を検出してCPU53に与える。
位相差比較回路62は、VCXO61の生成したクロックとVCXO51の生成したクロックの位相差を検出してCPU63に与える。
【0056】
クロック供給部50のCPU53と、クロック供給部60のCPU63とは、通信線Wを介して接続されている。
【0057】
次に、図4のクロック生成装置の動作を説明する。
図5及び図6は、図4のクロック生成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
クロック生成装置が起動されると(ステップS50)、各CPU53,63は自系内の制御を開始する。
CPU53,63は、バッファ56,66を制御してオフにする(ステップS51)。これにより、クロックが供給先であるシステムに出力されない状態になる。
【0058】
ステップS51に続いて、各CPU53,63は、自系のメモリ54,64から自系のVCXO51,61の基準値及び設定時情報を読み取る(ステップS52)。
【0059】
各CPU53,63は、読み取った基準値に対応するデジタルデータを生成してDAC55,65に与えると共に、読み取った設定時情報を通信線Wを介して他系のCPU63,53にそれぞれ出力する(ステップS53)。
【0060】
各DAC55,65は、CPU53,63から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換して、自系のVCXO51,61にそれぞれ印加する。各VCXO51,61は、印加された制御電圧に応じた周波数、つまり基準値に対応する周波数で発振し、クロックをそれぞれ生成する。
【0061】
CPU53は、通信線Wを介して他系のVCXO61の設定時情報を入手し、CPU63は、通信線Wを介して他系のVCXO51の設定時情報を入手する。(ステップS54)。
【0062】
ステップS54に続いて、各CPU53,63は、自系がクロック供給先のシステムにクロックを供給する現用系か、予備として待機する予備系かを決めるために、他系のCPU63,53から入手した他系のVCXO21,11の設定時情報及び自系のVCXO11,21の設定情報に基づき、設定時情報が最新のVCXOを求める。ここで、設定時情報が最新であっても、その設定時情報が同じVCXOがある場合には、CPU53,63は通信線Wを介した通信により、いずれか一つのVCXOを設定時情報が最新のVCXOとする。
設定時情報が最新のVCXOを求めた結果、各CPU53,63は自系のVCXO51,61の設定時情報が最新でないと判断した場合(ステップS55:NO)、CPU53,63は、設定時情報が最新であった他系のVCXO61,51の出力するクロックと自系のVCXO51,61の出力するクロックとの位相差を位相差比較回路52,62から取得する(ステップS56)。
【0063】
続いて、CPU53,63は、設定時情報が最新であった他系のVCXO61,51の出力するクロックに対する自系のVCXO51,61の出力するクロックの位相差が0となるようなデジタルデータを生成してDAC55,65に与える(ステップS57)。
DAC55,65は、ステップS57で更新されてCPU53,63から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換して、VCXO51,61に印加する。
【0064】
このように、自系のVCXO51,61の設定時情報が最新でないと判断された場合に、ステップS56及びステップS57を行うことにより、設定時情報が最新の他系のVCXO61,51の出力するクロックに対して、自系のVCXO51,61の出力するクロックの周波数が合うようになる。
設定時情報が最新のVCXO51またはVCXO61は,経年変化の可能性が最も低いものである。
ステップS56及びステップS57の後、CPU53,63は、メモリ54,64に記憶されている基準値をステップS57でDAC55,65に与えたデジタルデータに更新する。また、CPU53,63は、メモリ54,64に記憶されている設定時情報を、設定時情報が最新であった他系のVCXO61,51の設定時情報に更新する(ステップS58)。
【0065】
ステップS55で自系のVCXO51,61の設定時情報が最新であると判断した場合(ステップS55:YES)、または、ステップS58の処理が終了した場合、CPU53,63は、自系が現用系か予備系かを判断する(ステップS59)。この判断では、ステップS55で自系のVCXO51,61の設定時情報が最新であると判断した場合に自系を現用系と判断し、設定時情報が最新でないと判断してステップS56,S57,S58を行ったに場合に予備系と判断する。
【0066】
ステップS59の判断で自系が現用系と判断した場合には(ステップS59:現用系)、現用系のCPU53またはCPU63は、自系のバッフア56,66を制御してオンにする(ステップS60)。
【0067】
一方、ステップS59で自系が予備系と判断した場合には(ステップS59:予備系)、予備系のCPU53またはCPU63は、自系の位相差比較回路52,62から、自系のVCXO51,61の出力するクロックと現用系の他系のVCXO61,51の位相差を取得する(ステップS61)。CPU53またはCPU63は、自系のVCXO51,61の出力するクロックと現用系の他系のVCXO61,51の出力するクロックとの位相差が0となるデジタルデータを生成してDAC55,65に与える(ステップS62)。予備系のDAC55またはDAC65は、ステップS62で更新されて与えられたデジタルデータを制御電圧に変換して、自系のVCXO51,61に印加する。
【0068】
このステップS61及びステップS62を行うことにより、予備系のVCXO51またはVCXO61の出力するクロックと、現用系のVCXO61またはVCXO51の出力するクロックとが同期する。
【0069】
ステップS62の後、CPU53,63は、現用系と予備系が切り替るまで待機する(ステップS63)。尚、予備系のCPU53まはたCPU63は、ステップS60、ステップS61、ステップS62、ステップS63を定期的に行うことにより、経年劣化によって、予備系のVCXO51,61の出力するクロックの周波数が現用系のVCXO61またはVCOX51の出力するクロックの周波数からずれることを防ぐことができる。
【0070】
次に本実施形態のクロック生成装置の効果を説明する。
本実施形態のクロック生成装置では、設定時情報が最新のVCXO51またはVCXO61を選別し、設定時情報が最新のVCXO51またはVCXO61を含むクロック供給部50またはクロック供給部60を現用系とするようにしたので、第1実施形態と同様に、経年変化の可能性が高いVCXOを含むクロック供給部60或いはクロック供給部50を現用系とすることがなくなり、信頼性が向上する。
【0071】
また、クロック生成装置に組込まれるクロック生成部が故障する可能性がある。例えば、クロック生成装置が運用されてから数年後に予備系のクロック生成部に故障が発生した場合には、修理の期間だけ一時的に故障した予備系を外し、代替品のクロック生成部をクロック生成装置に組込む。ここで、代替品として組込むクロック生成部に工場出荷直後のクロック生成部を用い、クロック生成装置を起動すると、工場出荷直後のクロック生成部の内蔵するVCXOの設定時情報は非常に新しいので、工場出荷直後のクロック生成装置が現用系となり、故障していないクロック生成部に記憶されていた基準値及び設定時情報が、工場出荷直後のクロック生成部に記憶されている基準値及び設定時情報に対応して更新される。そのため、経年変化の少ないクロックを出力することができる。
【0072】
さらに、故障していた予備系のクロック生成部の修理が終了し、工場出荷直後のクロック生成部を外して、修理の終了したクロック生成部をクロック生成装置に組込んだ場合でも、工場出荷直後のクロック生成部に記憶されていた基準値及び設定時情報に対応した基準値及び設定時情報が故障していなかったクロック生成部に記憶されているので、経年変化の少ないクロックを出力することができる。
【0073】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に係るクロック生成装置を示す構成図であり、図4中の要素と共通する要素には、図4と共通の符合を付している。
【0074】
前述の第3実施形態のクロック生成装置は、2個のクロック供給部50,60により、構成されていたが、クロック供給部の数は任意である。本実施形態のクロック生成装置は、3個のクロック供給部50,60,70を備えている。クロック供給部50,60は、第3実施形態のクロック供給部50,60と同様のものである。クロック供給部70も、クロック供給部50,60と同様であり、VCXO71と、位相差比較回路72と、位相差比較回路72の出力側に接続されたCPU73と、CPU73に接続されたメモリ74と、CPU73に接続されたDAC75と、VCXO71の出力側に接続されたバッファ76とを備えている。
【0075】
DAC75は、CPU73から与えられたデジタルデータを制御電圧に変換し、VCXO71に与えるようになっている。バッファ76は、CPU73により、オン・オフが設定されるようになっている。
【0076】
CPU73は、プログラムに基づいて動作し、クロック供給部70全体の動作を制御する。
メモリ74には、VCXO71を目的の周波数で発振させるための基準値と、基準値を設定したときを示す設定時情報が、工場出荷段階で書き込まれている。CPU74は、CPU53,63と同様、メモリ74に記憶されている基準値及び設定時情報を更新する機能を有する。
【0077】
クロック供給部50のVCXO51の出力端子は、クロック供給部50の位相差比較回路52の入力側に接続されると共に、他系のクロック供給部60,70の位相差比較回路62,72の入力側に接続されている。
【0078】
クロック供給部60のVCXO61の出力端子は、クロック供給部60の位相差比較回路62の入力側に接続されると共に、他系のクロック供給部50,70の位相差比較回路52,72の入力側に接続されている。
クロック供給部70のVCXO71の出力端子は、自系のクロック供給部70の位相差比較回路72の入力側に接続されると共に、他系のクロック供給部50,60の位相差比較回路52,62の入力側に接続されている。
【0079】
クロック供給部50のCPU53と、クロック供給部60のCPU63と、クロック供給部70のCPU73とが、通信線Wを介して接続されている。
【0080】
この図7のクロック生成装置では、クロック生成部50、クロック生成部60及びクロック生成部70が第3実施形態のクロック生成部50或いはクロック生成部60と同様にそれぞれ動作し、VCXO51,61,71から設定時情報が最新のVCXOを求め、設定時情報が最新のVCXO51,61,71を含むクロック供給部50、クロック供給部60またはクロック供給部70を現用系とする。そして、設定時情報が最新のVCXOの基準値及び設定時情報に対応させて他のVCXOの基準値及び設定時情報を更新する。そのため、第3実施形態と同様に、経年変化の少ないクロックを出力することができる。
また、例えば、予備系のクロック生成部に故障が発生し、その予備系のクロック生成部を修理する場合でも、故障したクロック生成部の代替品として工場出荷直後のクロック生成部を用いると、第3実施形態と同様に、経年変化のより少ないクロックを出力することができる。さらに、故障していた予備系のクロック生成部の修理が終了し、工場出荷直後のクロック生成部を外して、修理の終了したクロック生成部をクロック生成装置に組込んだ場合でも、経年変化の少ないクロックを出力することができる。
【0081】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、バッファ16,26,36,56,66,76のオン・オフを制御して現用系からのみクロックを出力する構成としたが、現用系及び予備系の全てのクロック供給部10,20,30,50,60,70からクロックを出力し、クロックを受信するシステム側で現用系の出力したクロックを選択させるようにしてもよい。これは現用系のクロックがどれかをシステム側に通知することで実現される。
また、上記実施形態では、水晶発振器としてVCXOを用いたクロック生成装置を示したが、水晶発振器としてVXO(Variable Xtal Oscillator)を用いてもよい。
また、第1実施形態では、VCXO11,21の設定情報が同じ場合にいずれのVCXOを設定時情報が最新のVCXOとするかは説明していないが、例えば第3実施形態のようにCPU13とCPU23との通信で、一方を設定時情報が最新のVCXOと決定してもよい。或いは何らかの事前に決められた優先順位にしたがって決定してもよい。
尚、本発明は上記した装置の機能をコンピューターに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【0082】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0083】
(付記1)
内蔵する水晶発振器を発振させてクロックをそれぞれ生成する複数のクロック供給部を備えるクロック生成装置であって、
前記各クロック供給部に、前記内蔵する水晶発振器を目的の周波数で発振させるために設定された基準値と該基準値が設定された時を示す設定時情報とを記憶する記憶手段と、該内蔵する水晶発振器の生成するクロックを他のクロック供給部に内蔵されている水晶発振器の生成するクロックに同期させる同期手段とをそれぞれ備え、
前記複数のクロック供給部の水晶発振器のうち、最も前記設定時情報が新しい水晶発振器を前記複数のクロック供給部の記憶手段の記憶内容から選別する選別手段と、
前記最も設定時情報が新しい水晶発振器を内蔵するクロック供給部を現用系とし、該現用系の水晶発振器を該現用系の記憶手段に記憶されている前記基準値に基づいて発振させて目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成手段と、
前記現用系以外のクロック供給部を予備系とし、該予備系の水晶発振器の生成するクロックを、前記同期手段により、前記現用系の水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備系クロック処理手段と、
を備えることを特徴とするクロック生成装置。
【0084】
(付記2)
前記予備系クロック処理手段が前記予備系の水晶発振器の生成するクロックを前記現用系の水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、その時点の予備系の水晶発振器が発振している周波数で該予備系の水晶発振器を発振させるための基準値で、当該予備系の記憶手段に記憶されていた前記基準値を更新する基準値更新手段と、
前記予備系クロック処理手段が前記予備系の水晶発振器の生成するクロックを前記現用系の水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、当該予備系のの記憶手段に記憶されている前記設定時情報を、前記現用系の前記記憶手段に記憶されている設定時情報に更新する設定時情報更新手段と、
を備えることを特徴とする付記1に記載のクロック生成装置。
【0085】
(付記3)
前記現用系のクロック供給部の水晶発振器の発振するクロックを選択して、クロックの供給先であるシステムに出力するクロック選択手段を備えることを特徴とする付記1又は2に記載のクロック生成装置。
【0086】
(付記4)
発振してクロックをそれぞれ生成する複数の水晶発振器について、各水晶発振器を目的の周波数で発振させるための基準値と該基準値を設定した時を示す設定時情報とを記憶する記憶処理と、
前記設定時情報が最新の前記水晶発振器を選別し、該選別した水晶発振器を前記基準値に基づいて発振させて前記目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成処理と、
前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを、前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備クロック処理と、
を含むことを特徴とするクロック生成方法。
【0087】
(付記5)
前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、その時点で前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器が発振している周波数で該選別した水晶発振器以外の水晶発振器を発振させるための基準値で、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の基準値を更新する基準値更新処理と、
前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の前記設定時情報を、該記憶処理で記憶された前記選別した水晶発振器の設定時情報に更新する設定時情報更新処理と、
を含むことを特徴とする付記4に記載のクロック生成方法。
【0088】
(付記6)
前記選別した水晶発振器の生成するクロックを選択し、クロックの供給先のシステムに出力する処理を含むことを特徴とする付記4又は5に記載のクロック生成方法。
【0089】
(付記7)
コンピュータに、
発振してクロックをそれぞれ生成する複数の水晶発振器について、各水晶発振器を目的の周波数で発振させるための基準値と該基準値を設定した時を示す設定時情報とを記憶し、該記憶内容に基づき、前記設定時情報が最新の前記水晶発振器を選別し、該選別した水晶発振器を前記基準値に基づいて発振させて前記目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成処理と、
前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを、前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備クロック処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【0090】
(付記8)
コンピュータに、
さらに、前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、その時点で前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器が発振している周波数で該選別した水晶発振器以外の水晶発振器を発振させるための基準値で、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の基準値を更新する基準値更新処理と、
前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の前記設定時情報を、該記憶処理で記憶された前記選別した水晶発振器の設定時情報に更新する設定時情報更新処理と、
を実行させることを特徴とする付記7に記載のプログラム。
【0091】
(付記9)
前記選別した水晶発振器の生成するクロックを選択し、クロックの供給先のシステムに出力する処理を実行させることを特徴とする付記7又は8に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0092】
10,20,30,50,60,70 クロック供給部
11,21,31,51,61,71 VCXO
12,22,32,52,62,72 位相差比較回路
13,23,33,53,63,73 CPU
14,24,34,54,64,74 メモリ
15,25,35,55,65,75 DAC
16,26,36,56,66,76 バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵する水晶発振器を発振させてクロックをそれぞれ生成する複数のクロック供給部を備えるクロック生成装置であって、
前記各クロック供給部に、前記内蔵する水晶発振器を目的の周波数で発振させるために設定された基準値と該基準値が設定された時を示す設定時情報とを記憶する記憶手段と、該内蔵する水晶発振器の生成するクロックを他のクロック供給部に内蔵されている水晶発振器の生成するクロックに同期させる同期手段とをそれぞれ備え、
前記複数のクロック供給部の水晶発振器のうち、最も前記設定時情報が新しい水晶発振器を前記複数のクロック供給部の記憶手段の記憶内容から選別する選別手段と、
前記最も設定時情報が新しい水晶発振器を内蔵するクロック供給部を現用系とし、該現用系の水晶発振器を該現用系の記憶手段に記憶されている前記基準値に基づいて発振させて目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成手段と、
前記現用系以外のクロック供給部を予備系とし、該予備系の水晶発振器の生成するクロックを、前記同期手段により、前記現用系の水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備系クロック処理手段と、
を備えることを特徴とするクロック生成装置。
【請求項2】
前記予備系クロック処理手段が前記予備系の水晶発振器の生成するクロックを前記現用系の水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、その時点で予備系の水晶発振器が発振している周波数で該予備系の水晶発振器を発振させるための基準値で、当該予備系の記憶手段に記憶されていた前記基準値を更新する基準値更新手段と、
前記予備系クロック処理手段が前記予備系の水晶発振器の生成するクロックを前記現用系の水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、当該予備系のの記憶手段に記憶されている前記設定時情報を、前記現用系の前記記憶手段に記憶されている設定時情報に更新する設定時情報更新手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のクロック生成装置。
【請求項3】
前記現用系のクロック供給部の水晶発振器の発振するクロックを選択して、クロックの供給先であるシステムに出力するクロック選択手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のクロック生成装置。
【請求項4】
発振してクロックをそれぞれ生成する複数の水晶発振器について、各水晶発振器を目的の周波数で発振させるための基準値と該基準値を設定した時を示す設定時情報とを記憶する記憶処理と、
前記設定時情報が最新の前記水晶発振器を選別し、該選別した水晶発振器を前記基準値に基づいて発振させて前記目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成処理と、
前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを、前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備クロック処理と、
を含むことを特徴とするクロック生成方法。
【請求項5】
前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、その時点で前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器が発振している周波数で該選別した水晶発振器以外の水晶発振器を発振させるための基準値で、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の基準値を更新する基準値更新処理と、
前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の前記設定時情報を、該記憶処理で記憶された前記選別した水晶発振器の設定時情報に更新する設定時情報更新処理と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載のクロック生成方法。
【請求項6】
前記選別した水晶発振器の生成するクロックを選択し、クロックの供給先のシステムに出力する処理を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のクロック生成方法。
【請求項7】
コンピュータに、
発振してクロックをそれぞれ生成する複数の水晶発振器について、各水晶発振器を目的の周波数で発振させるための基準値と該基準値を設定した時を示す設定時情報とを記憶し、該記憶内容に基づき、前記設定時情報が最新の前記水晶発振器を選別し、該選別した水晶発振器を前記基準値に基づいて発振させて前記目的の周波数のクロックを生成させる基準クロック生成処理と、
前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを、前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させる予備クロック処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
さらに、前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、その時点で前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器が発振している周波数で該選別した水晶発振器以外の水晶発振器を発振させるための基準値で、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の基準値を更新する基準値更新処理と、
前記予備クロック処理により、前記選別した水晶発振器以外の水晶発振器の生成するクロックを前記選別した水晶発振器の生成するクロックに同期させた場合に、前記記憶処理で記憶された該選別した水晶発振器以外の水晶発振器の前記設定時情報を、該記憶処理で記憶された前記選別した水晶発振器の設定時情報に更新する設定時情報更新処理と、
を実行させることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記選別した水晶発振器の生成するクロックを選択し、クロックの供給先のシステムに出力する処理を実行させることを特徴とする請求項7又は8に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−227922(P2012−227922A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84281(P2012−84281)
【出願日】平成24年4月2日(2012.4.2)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】