説明

グルココルチコイド受容体調節剤として有用なオクタヒドロフェナンスレンヒドラジド誘導体

本発明は、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びXは、明細書において定義したとおりである、式(I)の化合物、その異性体、前記組成物又は異性体のプロドラッグ、或いは、前記化合物、異性体又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩、それらを含む医薬組成物、これらの化合物、その異性体、前記組成物又は異性体のプロドラッグ、或いは、哺乳動物において、肥満、糖尿病、不安、又は炎症性疾患を治療するため、またはGRによって仲介される過程を調節するための前記化合物、異性体又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩の使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドラジド誘導体、これらのヒドラジド誘導体の製造方法、ヒドラジド誘導体を含む医薬組成物、並びにグルココルチコイド受容体調節剤としての、及び哺乳動物における肥満、糖尿病、炎症及び以下に記載の病気の治療のためのヒドラジド誘導体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルココルチコイド受容体(GR)は、DNA及び/又はタンパク質と特異的に相互作用し、それらの転写を制御する。例えば、GRは転写因子、API及びNKκ-B、と相互作用してAPI及びNFκ-Bが仲介する転写を阻害する。かかるAPI及びNKκ-Bが仲介する転写の阻害は、内因的に投与されたグルココルチコイドの炎症性の活性を緩和すると考えられている。
【0003】
GRの活性は、GRアゴニスト及びGRアンタゴニストなどのGR調節剤を用いて制御可能である。コルチゾール、コルチコステロン、デキサメタゾン、プレドニソン、及びプレドニシロンは、GRアゴニストとして知られている。RU486は、非選択的GRアンタゴニストとして知られている。さらなるGR調節剤は、米国特許第3,683,091号(フェナンスレン化合物);日本国特許出願公開第45014056号(1、2、3、4、9、10、11α、12−オクタヒドロ−7−メトキシ−12β−ブチルフェナンスレン−2β−オル);日本国特許出願公開第6-263688号(フェナンスレン誘導体);国際特許出願公開第WO95/10266号(フェナンスレン誘導体);日本国特許出願公開第45-36500号(光学的に活性なフェナンスレン誘導体);ヨーロッパ特許出願公開第0188396号(置換ステロイド化合物);C.F.Bigge et al., J. Med. Chem. 1993, 36, 1977-1995(オクタヒドロフェナンスレンアミン及びそれらの一定のヘテロ環式アナログ);P.R. Kanjilal et al., J. Org. Chem. 1985, 50、857−863(複合ジテルペノイド);G. Sinha et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans. I(1983、(10),2519-2528)(異性体の架橋ジケトン、シス−3,4,4a,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1,4a−エタノフェナンスレン−2(1H),12-ジオン及びトランス−3,4,4a,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3,4a−エタノフェナンスレン−2(1H),12-ジオン;U. R.Ghatak, M. Sarkar and S.K.Patra,Tetrahedron Letters No.32,pp.2929-2931, 1978(いくつかの複合ジテルペノイドの製造において有用なポリ環式架橋環中間体;P.N. Chakrabortty et al., Indian J. Chem. (1974), 12(9), 948-55(1α−メチル−1β,4aβ−ジカルボキシ−1,2,3,4,4a,9,10,10aβ−オクタヒドロ−フェナンスレン);E. Fujita et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans. I (1974),(1), 165-77(エンメイン);H. Sdassi et al., Synthetic Communications, 25(17), 2569-2573(1995)((R)−(+)4a−シアノメチルー6−メトキシ−3,4,9,10−テトラヒドロフェナンスレン−2−オン);T.Ibuka et al., Yakugaku Zasshi(1967), 87(8), 1014-17(ツヅラフジ属植物のアルカロイド);日本国特許第09052899号(ジテルペンまたはトリテルペン誘導体);米国特許第5,696,127号(5H-クロメノ[3,4‐f]キノリンなどの非ステロイド系化合物);米国特許第5,767,113号(合成ステロイド化合物);ヨーロッパ特許出願公開第0683172号(11,21−ビスフェニル−19−ノルプレグナン誘導体);D. Bonnet-Delpon et al., Tetrahedron (1996), 52(1), 59-70(DanishefskyのジエンとのDiels-Alder 反応及び一定のニトロン及び非安定化アゾメシンイリドとの1,3−双極性シクロ付加における良いパートナーとしてのCF3−置換アルケン);国際特許出願公開第WO98/26783号(ステロイド化合物);国際特許出願公開第WO98/27986号(GR I型アゴニスト活性及びGR II型アンタゴニスト活性を示す治療剤の組み合わせを投与することによる、非インシュリン依存性糖尿病またはII型糖尿病の治療方法);国際特許出願公開第WO98/31702号(16−ヒドロキシ−11−(置換フェニル)エストラ−4,9−ジエン誘導体);ヨーロッパ特許出願公開第0903146号(ステロイド21−ヒドロキシ−6,19−オキシドプロゲステロン(21OH-6OP));J.A. Findlay et al, Tetrahedron Letters No. 19, pp. 869-872, 1962(ジテルペンアルカロイド合成における中間体);及び米国特許第6,380,223号(GR調節剤としての非ステロイド系化合物)のなかに開示されており、これらはすべて本明細書中に参考文献として援用されている。
【発明の開示】
【0004】
発明の要約
本発明は、以下の式I:
【化1】

{式中、
R1は、以下の:
a)-H、
b)-(C1-C6)アルキル-A-(C0-C6)アルキル、または-(C1-C3)アルキル-A-(C1-C3)アル
キル-A-(C0-C3)アルキル、ここで、
各Aは、独立して、S、O、N、OH、またはNH2であり;
各炭素原子は、場合により1または2個のRxで置換されており
c)場合により1または2個のRxで置換された-(C2-C10)アルケニル、
d)-(C2-C10)アルキニル、-エチニル(C1-C8)アルコキシ、または-(C1-C4)アルコキ
シ(C1-C4)アルキルエチニルであり、ここで、
各炭素原子は場合により0、1または2個のRxで置換されており、
e)-CH=C=CH2
f)-CN、
g)-(C3-C9)シクロアルキル、
h)-Z-(C6-C10)アリール、
i)-Z-het、
j)-C(O)O(C1-C6)アルキル、
k)-O(C1-C6)アルキル、
l)-Z-S-R12
m)-Z-S(O)-R12
n)-Z-S(O)2-R12
o)-(C1-C8)アルキル、ここで、
各炭素原子は場合により1、2または3個のハロで置換されており、
p)-NR12O-(C1-C6)アルキル、または
q)-CH2ORxであり;
各Zは、独立して、以下の:
a)-(C0-C6)アルキル、
b)-(C2-C6)アルケニル、または
c)-(C2-C6)アルキニルであり;
各Rxは、独立して、以下の:
a)-OH、
b)-ハロ、
c)-Z-(C1-C8)アルキル、ここで、
各炭素原子は場合により1、2または3個のハロで置換されており、
d)-CN、
e)-NR12R13
f)-(C3-C6)シクロアルキル、
g)-(C3-C6)シクロアルケニル、
h)-(C0-C3)アルキル-(C6-C10)アリール、
i)-het、または
j)-N3であり、ここで、
hetは、飽和、部分的に飽和または不飽和の5、6または7員環であって、
以下の:窒素、酸素、及びイオウから成る群から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ
原子を含み;任意の二環式基であって、そこで任意の上記のヘテロ環がベンゼン環ま
たは他のヘテロ環に縮合しているものを含み;及び上記窒素は酸化状態であって、N
オキシドを形成することができ;そして場合により、1、2または3個のRyで置換
されており;
各Ryは、独立して、以下の:
a)-ハロ
b)-OH、
c)-(C1-C6)アルキル、
d)-(C2-C6)アルケニル、
e)-(C2-C6)アルキニル
f)-O(C1-C6)アルキル、
g)-O(C2-C6)アルケニル、
h)-O(C2-C6)アルキニル、
i)-(C0-C6)アルキル-NR12R13
j)−C(O)−NR12R13
k)−Z-SO2R12
l)−Z-SOR12
m)−Z-SR12
n)-NR12-SO2R13
o)-NR12-C(O)-R13
p)-NR12-OR13
q)-SO2-NR12R13
r)-CN、
s)-CF3
t)-C(O)(C1-C6)アルキル、
u)=O、または
v)-Z-SO2-フェニルであり;
R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、以下の:
a)-H、
b)-ハロ、
c)-OH、
d)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により、1、2または3個のRx
で置換されており、
e)-NR12R13
f)-Z-C(O)O(C1-C6)アルキル、
g)-Z-C(O)NR12R13
h)(C1-C6)アルコキシ、
i)-Z-O-C(O)-(C1-C6)アルキル、
j)-Z-O-(C1-C3)アルキル-C(O)-NR12R13
k)-Z-O-(C1-C3)アルキルーC(O)-O(C1-C6)アルキル、
l)-O-(C2-C6)アルケニル、
m)-O-(C2-C6)アルキニル、
n)-O-Z-het、
o)-COOH、
p)-C(OH)R12R13、または、
q)-Z-CNであり;
各R12及びR13は、それぞれ独立して、以下の:
a)-H、
b)-(C1-C6)アルキル、ここで、連結のための炭素原子以外の1又は2個の炭素原子 は、場合により、S、O及びNから独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子で置換さ れてもよく、そしてここで、各炭素原子は、場合により1、2または3個のハロで置換 され、
c)場合により1、2または3個のハロで置換されている、-(C2-C6)アルケニル、ま
たは
d)-(C2-C6)アルキニル、ここで、連結のための炭素原子以外の1個の炭素原子及び
エチニル原子は、場合により1つの酸素原子で置換されてもよく、そしてここで、各炭
素原子は、場合により1、2または3個のハロで置換されているか;或いは、
R12及びR13はそれらが結合するNと一緒になって、hetを形成し;
Xは、以下の:
a)不存在であるか、
b)-CH2-、
c)-CH(OH)-、または
d)-C(O)-であり;
R5は、以下の:
a)-H、
b)-Z-CF3
c)-(C1-C6)アルキル、
d)-(C2-C6)アルケニル、
e)-(C2-C6)アルキニル、
f)-(C6-C10)アリール、
g)-CHO、
h)-CH=N-OR12
i)-Z-C(O)R12
j)-Z-C(O)-NR12R13
k)-Z-C(O)-NR12-Z-het、
l)-Z-NR12R13
m)-Z-NR12het、
n)-Z-het、
o)-Z-O-het、
p)-Z-(C6-C10)アリール、
q)-Z-O-(C6-C10)アリール、
r)-CHOH-(C6-C10)アリール、または
s)-C(O)-(C6-C10)アリールであり、ここで、
上記(C6-C10)アリールは、場合により、以下の:-ZOH、-Z-NR12R13、-Z-NR12-het
、-C(O)NR12R13、-C(O)O(C1-C6)アルキル、-C(O)OH、-C(O)-het、-NR12-C(O)-(C1-C6
)アルキル、-NR12-C(O)-(C2-C6)アルケニル、-NR12-C(O)-(C2-C6)アルキニル、NR12-
C (O)-Z-het、-CN、-Z-het、-O-(C1-C3)アルキル-C(O)-NR12R13、-O-(C1-C3)アルキ
ル-C(O)O(C1-C6)アルキル、-NR12-Z-C(O)O(C1-C6)アルキル、-N(Z-C(O)O(C1-C6)アル
キル)2、-NR12-Z-C(O)-NR12R13、-Z-NR12-SO2-R13、-NR12-SO2-het、-C(O)H、-Z-NR1
2-Z-O(C1-C6)アルキル、-Z-NR12-Z-NR12R13、-Z-NR12-(C3-C6)シクロアルキル、-Z-N
(Z-O(C1-C6)アルキル)2、-SO2R12、-SOR12、-SR12、-SO2NR12R13、-O-C(O)-(C1-C4)
アルキル、-O-SO2-(C1-C4)アルキル、-ハロ、または-CF3の1または2個で置換され ており;
R6及びR9は、それぞれ独立して、以下の:
a)-H、
b)-ハロ、
c)0〜3個のハロで置換された(C1-C6)アルキル、
d)0〜3個のハロで置換された-(C2-C6)アルケニル、
e)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C2-C6)アルキニル、
f)-CN、
g)-(C3-C6)シクロアルキル、
h)-(C3-C6)シクロアルケニル、
i)-OH、
j)-O-(C1-C6)アルキル、
k)-O-(C1-C6)アルケニル、
l)-O-(C1-C6)アルキニル、
m)-NR12R13
n)-C(O)OR12、または
o)-C(O)NR12R13であり;
R7は、以下の:
a)-H、
b)場合により、以下の:-ハロ、-OH及び-N3から独立して選ばれる、1、2、また
は3個の置換基で置換されている、-(C1-C10)アルキル、
c)場合により、以下の:-ハロ、-OH及び-N3から独立して選ばれる、1、2、また
は3個の置換基で置換されている、-(C2-C10)アルケニル、
d)場合により、以下の:-ハロ、-OH及び-N3から独立して選ばれる、1、2、また
は3個の置換基で置換されている、-(C2-C10)アルキニル、
e)-ハロ、
f)-Z-CN、
g)-OH、
h)-Z-het、
i)-Z-NR12R13
j)-Z-C(O)-het、
k)-Z-C(O)-(C1-C6)アルキル、
l)-Z-C(O)-NR12R13
m)-Z-C(O)-NR12-Z-CN、
n)-Z-C(O)-NR12-Z-het、
o)-Z-C(O)-NR12-Z-(C6-C10)アリール、
p)-Z-C(O)-NR12-Z-NR12R13
q)-Z-C(O)-NR12-Z-O(C1-C6)アルキル、
r)-(C0-C6)アルキル-C(O)OH、
s)-Z-C(O)O(C1-C6)アルキル、
t)-Z-O -(C0-C6)アルキル-het、
u)-Z-O-(C0-C6)アルキル-(C6-C10)アリール、
v)場合により、1または2のRyによって置換されている、-Z-O-(C1-C6)アルキル、
w)-Z-O-(C1-C6)アルキル-CH(O)
x)-Z-O-(C1-C6)アルキル-NR12-het、
y)-Z-O-Z-het-Z-het、
z)-Z-O-Z-het-Z-NR12R13
a1)-Z-O-Z-het-C(O)-het、
b1)-Z-O-Z-C(O)-het、
c1)-Z-O-Z-C(O)-het-het、
d1)-Z-O-Z-C(O)-(C1-C6)アルキル、
e1)-Z-O-Z-C(S)-NR12R13
f1)-Z-O-Z-C(O)-NR12R13
g1)-Z-O-Z-(C1-C3)アルキル-C(O)-NR12R13
h1)-Z-O-Z-C(O)-O(C1-C6)アルキル、
i1)-Z-O-Z-C(O)-OH、
j1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-O(C1-C6)アルキル、
k1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-OH、
l1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-Z-NR12R13
m1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-Z-het、
n1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-SO2-(C1-C6)アルキル、
o1)-Z-O-Z-C(=NR12)(NR12R13)、
p1)-Z-O-Z-C(=NOR12)(NR12R13)、
q1)-Z-NR12-C(O)-O-Z-NR12R13
r1)-Z-S-C(O)-NR12R13
s1)-Z-O-SO2-(C1-C6)アルキル、
t1)-Z-O-SO2-(C6-C10)アリール、
u1)-Z-O-SO2-NR12R13
v1)-Z-O-SO2-CF3
w1)-Z-NR12C(O)OR13、または
x1)-Z-NR12C(O)R13であり;
R8は、hetである。}
により表される化合物、その異性体、上記化合物または異性体のプロドラッグ、或いは、上記化合物、異性体またはプロドラッグの医薬として許容可能な塩に関する。
【0005】
本発明の化合物はまた、異なる互変異性体形態でも存在する。本発明は、式Iのすべての互変異性体に関する。本発明の化合物は、オレフィン様二重結合を含んでもよい。かかる結合がある場合、本発明の化合物は、シス及びトランス配置並びにそれらの混合物として存在する。
【0006】
式Iの化合物の(シス及びトランス異性体などの)すべての立体異性体並びに(R及びSエナンチオマーなどの)すべての光学異性体、そしてかかる異性体のラセミ混合物、ジアステレオマー混合物及び他の混合物は本発明の範囲内にある。
【0007】
本発明の化合物は、IUPACまたはCAS命名法によって命名される。
【0008】
本発明の化合物を命名する1つの方法においては、本発明の化合物の環中の炭素原子は、以下の単純化された構造に示すように番号付けされてもよい。
【化2】

【0009】
或いは、本発明の化合物を命名する他の方法においては、環中の炭素原子は、以下の単純化された構造に示すように番号付けされてもよい。
【化3】

【0010】
特記されない限り、様々な炭化水素含有部分の炭素原子含量が、その部分内の炭素原子の最小数及び最大数を示す接頭辞によって示される、すなわち、接頭辞Ci-Cjは、整数「i」以上整数「j」以下の炭素原子の部分を示す。したがって、例えば、C1-C3アルキルは、1以上3以下の炭素原子のアルキル、又はメチル、エチル、プロピル及びイソプロピル、並びにそれらのすべての異性体形態並びに直鎖及び分岐した形態をさす。
【0011】
1個以上9個以下の炭素原子のアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル及びノニル、そしてそれらのすべての異性体形態並びに直鎖及び分岐した形態である。
【0012】
2個以上5個以下の炭素数のアルケニルの例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、そしてそれらのすべての異性体形態並びに直鎖及び分岐した形態を含む。
【0013】
2個以上5個以下の炭素数のアルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、そしてそれらのすべての異性体形態並びに直鎖及び分岐した形態を含む。
【0014】
本明細書中で使用される「シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニル」という用語は、それぞれ、アルキル、アルケニル及びアルキニルの環状形態をさすがこれらに限定されない。例示的な(C3-C8))シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルである。
【0015】
本明細書中で使用される「ハロ」という用語は、クロロ、ブロモ、ヨード、及びフルオロを含む。
【0016】
本明細書中で使用される「アリール」という用語は、多環式芳香環を含む、場合により置換された芳香環をさす。アリールの例は、フェニル、ナフチル、及びビフェニルを含む。6員環アリールの例はフェニルである。
【0017】
本明細書中で使用される「het」という用語は、窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる、1〜3個のヘテロ原子を含む飽和、部分的に飽和または不飽和の、場合により置換された複素環式5、6または7員環をさし;任意の上記の複素環式環がベンゼン環または他の複素環式環に縮合している2環式基を含み;上記窒素原子は酸化状態にあって、N酸化物形態にあり;そして、0〜3個の独立した置換基によって置換されている。
【0018】
以下のパラグラフは、本明細書中に含まれている総称的な環の記載についての例示的な複素環式環を記載する。
【0019】
例示的な複素5員環は、フリル、チエニル、2H−ピロリル、3H-ピロリル、ピロリル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリジニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、2H−イミダゾリル、2−イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2−ジチオリル、1,3−ジチオリル、3H−1,2−オキサチオリル、1,2,3,−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3,4−オキサトリアゾリル、1,2,3,5−オキサトリアゾリル、3H−1,2,3−ジオキサゾリル、1,2,4−ジオキサゾリル、1,3,2−ジオキサゾリル、1,3,4−ジオキサゾリル、5H−1,2,5−オキサチアゾリル及び1,3−オキサチオリルである。
【0020】
例示的な複素6員環は、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、1、2−ジオキシニル、1,3−ジオキシニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、4H−1,2−オキサジニル、2H−1,3−オキサジニル、6H−1,3−オキサジニル、6H−1,2−オキサジニル、1,4−オキサジニル、2H−1,2−オキサジニル、4H−1,4−オキサジニル、1,2,5−オキサチアジニル、1,4−オキサジニル、o−イソキサジニル、p−イソキサジニル、1,2,5−オキサチアジニル、1,2,6−オキサチアジニル、1,4,2−オキサジアジニル、及び1,3,5,2−オキサジアジニルである。
【0021】
例示的な複素7員環は、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル及び1,2,4−ジアゼピニルである。
【0022】
例示的な複素8員環は、シクロオクチル、シクロオクテニル及びシクロオクタジエニルである。
【0023】
独立して、窒素、イオウ及び酸素から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を任意に有する、部分的に飽和した、完全に飽和した、または完全に不飽和の、2つの5または6員環が縮合した組み合わせからなる例示的な二環式化合物の例は、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−イソインドリル、インドリニル、シクロペンタ(b)ピリジニル、ピラノ(3,4−b)ピロリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾ(b)チエニル、ベンゾ(c)チエニル、1H−インダゾリル、インドキサジニル、ベンゾキサゾリル、アンスラニリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、インデニル、イソインデニル、ナフチル、テトラリニル、デカリニル、2H−1−ベンゾピラニル、ピリド(3,4−b)ピリジニル、ピリド(3,2−b)ピリジニル、ピリド(4,3−b)−ピリジニル、2H−1,3−ベンズオキサジニル、2H−1,4−ベンズオキサジニル、1H−2,3−ベンズオキサジニル、4H−3,1−ベンズオキサジニル、2H−1,2−ベンズオキサジニル、及び4H−1,4−ベンズオキサジニルである。
【0024】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む、任意に置換された芳香環であり、そして任意の二環式基であって、その中の任意の上記の環がベンゼン環または他のヘテロ環に縮合しているものを含み;そして窒素原子が酸化状態にあって、N酸化物形態にあってもよく;そして、0〜3個の独立した置換基で置換されているものをさす。
【0025】
本明細書において使用される「哺乳動物」という用語は、ヒト及びサルなどの霊長類などを含むすべての哺乳動物をさすことを意味する。本明細書中に含まれる他の哺乳動物の例は、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ及びウマを含む。
【0026】
本明細書において使用される「治療すること」、「治療する」または「治療」という用語は、防止的(例えば、予防的)及び対症的治療を含む。
【0027】
「医薬として許容可能な」によって、その担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤が製剤の他の成分と適合性であり、且つその受容者に対して無害でなければならないことが意味される。
【0028】
本明細書中で使用される「プロドラッグ」という用語は、投与後になんらかの化学的または生理学的プロセスを介してその薬物をインビボで放出する薬物前駆体である化合物をさす(例えば、生理学的pHに置かれるかまたは酵素作用を介してプロドラッグは所望の薬物形態に変換される)。例示的なプロドラッグは、切断されて対応する遊離酸を放出し、式Iの化合物のかかる加水分解可能でエステル形成性の残基は、これに限定されないがカルボキシル部分を含み、ここで、遊離の水素が(C1-C4)アルキル、(C2-C7)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、(β−ジメチルアミノエチルなどの)ジ−N,N−(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル、カルバモイル−(C1-C2)アルキル、N,N−ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル−(C1−C2)アルキル及びピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C2-C3)アルキルによって置換される。
【0029】
本発明の化合物のいくつかは、酸性であり、そして医薬として許容可能なカチオンと塩を形成する。本発明の化合物のいくつかは、塩基性であり、そして医薬として許容可能なアニオンと塩を形成する。ジ−ソルト(di-salt)を含むかかるすべての塩は、本発明の範囲内にあり、そしてそれらは、酸性及び塩基性の物質を水性、非水性または部分的に水性の溶媒中で接触させることなどの慣用方法によって製造可能である。例えば、メシレート塩は、式Iの化合物の遊離塩基形態をメタンスルホン酸と標準条件下で反応させることによって製造される。同様に、塩酸塩は、式Iの化合物の遊離塩基形態を標準条件下で塩酸と反応させることによって製造される。塩は、濾過、非溶媒による沈殿とその後の濾過、溶媒の蒸発のいずれか、または水溶液の場合には、適宜、凍結乾燥によって回収される。
【0030】
さらに、本発明の化合物及びプロドラッグが水和物または溶媒和物を形成する場合、それらもまた、本発明の範囲内にある。
【0031】
本発明の化合物及びプロドラッグは、同位体標識及び放射標識された化合物を含む、ラセミ体、立体異性体及びこれらの化合物の混合物も含む。かかる異性体は、分別再結晶及びキラルカラムクロマトグラフィーを含む、標準的な分割技術によって単離されることができる。
【0032】
例えば、本発明の化合物は不斉炭素原子を有し、したがって、エナンチオマーまたはジアステレオマーである。ジアステレオマー混合物は、それらの物理的/化学的相違に基づいて、クロマトグラフィー及び/または分別再結晶などの本分野で知られた方法によって、個々のジアステレオマーに分離されることができる。エナンチオマーは、(アルコールなどの)適切な光学活性化合物との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、そして個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(例えば、加水分解)することによって分離されることができる。ジアステレオマー、エナンチオマー及びそれらの混合物を含む、かかるすべての異性体は本発明の一部分であると考えられる。
【0033】
(単純化された構造で表された)本発明の化合物の以下の立体配置が好ましく、最初の立体配置がより好ましい。
【化4】

【化5】

【化6】

【0034】
また、本発明の化合物及びプロドラッグは、エノール形態、ケト形態及びそれらの混合物を含む、いくつかの互変異性体形態で存在することもできる。かかるすべての互変異性体形態は、本発明の範囲に含まれる。
【0035】
本発明の1の実施態様は、式Iの化合物を含み、ここで、すべての場合におけるhetは、5〜7員環のヘテロアリールである。
【0036】
本発明の他の実施態様は、式Iの化合物を含み、ここで、R1はa)-H、b)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により1、2または3個のRxで置換されており、c)場合により1または2個のRxで置換された、-(C2-C10)アルケニル、d)-(C2-C10)アルキニル、ここで、各炭素原子は場合により1または2個のRxで置換され、e)-(C3-C6)シクロアルキル、f)-Z-(C6-C10)アリール、又はg)5〜7員環の-Z-ヘテロアリールであり;
ここで、各Rxは、独立して、-OH、−ハロ、及び-Z-CH3であり;
ここで、R2は、a)-H、b)−ハロ、c)-OH、d)場合により-OHで置換された-(C1-C6)アルキル、e)5〜7員環の-Z-ヘテロアリール、f)-COOH、g)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により1、2または3個のRxで置換されている;である。
【0037】
本発明の他の実施態様は、式Iの化合物を含み、ここで、R3及びR4は、それぞれ独立してa)-H、b)−ハロ、c)-OH、d)場合により-OHで置換された-(C1-C6)アルキル、e)5〜7員環の-Z-ヘテロアリール、f)-COOH、g)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により1、2または3個のRxで置換され;ここで、各場合のRxは、独立して-OH、−ハロ、及び-Z-CF3である。
【0038】
本発明の他の実施態様は、式Iの化合物を含み、ここで、R5は、a)-H、b)-Z-CF3、c)-(C1-C6)アルキル、d)-(C2-C6)アルケニル、e)-(C2-C6)アルキニル、f)-(C6-C10)アリール、g)-CHO、h)-CH=N-OR12、i)-Z-C(O)OR12、j)-Z-C(O)-NR12R13、k)5〜7員環の-Z-C(O)-NR12-Z-ヘテロアリール、l)-Z-NR12R13、m)5〜7員環の-Z-NR12-ヘテロアリール、n)5〜7員環の-Z-ヘテロアリール、o)5〜7員環の-Z-O-ヘテロアリール;である。
【0039】
本発明の他の実施態様は、式Iの化合物を含み、ここで、R6及びR9は、それぞれ独立して、a)-H、b)−ハロ、c)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C1-C6)アルキル、d)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C2-C6)アルケニル、e)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C2-C6)アルキニル、f)-CN、g)-(C3-C6)シクロアルキル、h)-(C3-C6)シクロアルケニル、i)-OH、j)-O-(C1-C6)アルキル、k)-O-(C1-C6)アルケニル、l)-O-(C1-C6)アルキニル、m)-NR12R13、n)-C(O)OR12、またはo)-C(O)NR12R13である。
【0040】
本発明の他の実施態様は、式Iの化合物を含み、ここで、R7は、a)-H、b)-ハロ、-OH、及び-N3から独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で場合により置換された-(C1-C10)アルキル、c)-ハロ、-OH、及び-N3から独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で場合により置換された-(C2-C10)アルケニル、d) -ハロ、-OH、及び-N3から独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で場合により置換された-(C2-C10)アルキニル、e)−ハロ、f)-Z-CN、g)-OH、又はh)5〜7員環の-Z-ヘテロアリールである。
【0041】
本発明のさらなる実施態様は、R8が不飽和6員環である、式1の化合物を含む。
【0042】
好ましい式1の化合物の例は、以下の:4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド、4b−ベンジル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド、4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド、及びそれらのすべての異性体である。
【0043】
本発明はまた、哺乳動物において、肥満、糖尿病、不安、又は炎症性疾患を治療するため、或いはグルココルチコイド受容体により仲介される過程を調節するための医薬組成物であって、以下の:(1)式Iの化合物又はその異性体、該化合物又は異性体のプロドラッグ、或いはこれらの化合物、異性体またはプロドラッグの医薬として許容可能な塩、及び(2)医薬として許容可能な少なくとも1つの担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤を含む、上記医薬組成物にも関する。
【0044】
本発明の1の実施態様は、哺乳動物において、肥満、糖尿病、不安、又は炎症性疾患を治療するための方法であって、有効量の式Iの化合物、その異性体、これらの化合物又は異性体のプロドラッグ、或いはこれらの化合物、異性体またはプロドラッグの医薬として許容可能な塩を投与することを含む、上記方法にも関する。
【0045】
本発明の他の実施態様は、関節炎、喘息、鼻炎からなる群から選ばれる炎症性疾患の治療、及び免疫調節のための方法を含む。
【0046】
本発明はまた、(1)式Iの化合物、その異性体、これらの化合物又は異性体のプロドラッグ、或いは、これらの化合物、異性体、又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩、(2)第二の医薬として活性な化合物、及び(3)少なくとも1つの、医薬として許容可能な担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤を含む、医薬組成物にも関する。
【0047】
本発明の1の実施態様は、β3アゴニスト、甲状腺模倣物質、摂食行動調節物質、NPYアンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、インスリン、トログリタゾン、スルホニルウレア、グリパジド(glipazide)、グリブリド(glyburide)、クロルプロパミド、グルココルチコイド受容体アゴニスト、コリン模倣薬、抗パーキンソン病薬、抗不安薬、抗うつ薬、又は抗精神病薬から成る群から選らばれる、第二の医薬として活性な化合物を含む組成物を含む。
【0048】
本発明の他の実施態様は、L-ドーパ、ブロモクリプチン及びセレギリンから成る群から選ばれる抗パーキンソン病薬を含む組成物を含む。
【0049】
本発明の他の実施態様は、組成物を含み、ここで、上記第二の薬物は、ベンゾジアゼピン、バリウム及びリブリウムから成る群から選ばれる抗不安薬である。
【0050】
本発明の他の実施態様は、組成物を含み、ここで、上記第二の薬物は、デシプラミン、セルトラリン塩酸塩、及びフルオキセチン塩酸塩からなる群から選ばれる抗うつ薬である。
【0051】
本発明の他の実施態様は、組成物を含み、ここで、上記第二の薬物は、ハロペリドール及びクロザピンから成る群から選ばれる抗精神病薬である。
【0052】
本発明の他の実施態様は、組成物を含み、ここで、上記第二の薬物は、プレドニソン、プレドニリデン、プレドニソロン、コルチゾン、デキサメタゾン及びヒドロコルチゾンから成る群から選ばれるグルココルチコイド受容体アゴニストである。
【0053】
本発明はまた、式Iの化合物、その異性体、上記化合物又は異性体のプロドラッグ、或いは、上記化合物、異性体又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩の製造方法にも関し、ここで、上記方法は、式Idの化合物をヒドラジンとアミド形成条件下で結合させるステップを含む。
【化7】

{式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びXは式Iにおいて定義したとおりである。}
【0054】
発明の詳細な説明
本発明の式Iの化合物は、以下のスキーム、製造方法及び実施例に記載のとおりに製造されるか又は、本開示を参照した当業者に容易に知られ、利用可能なそれに類似する方法によって製造される。各スキームにおいて、(R1、R2などの)R基は、上記の要約中に記されたものに対応する。しかしながら、当業者は本明細書に開示された式Iの化合物の示された位置における他の官能基も、スキーム中の構造上の類似の位置のための可能な置換基を含むことを理解するであろう。
【化8】

【化9】

【0055】
最初のフェノール(化合物Ia)は、THFなどの有機溶媒中に溶解され、そしてNaHなどの塩基で脱プロトン化される。式Iaの化合物の溶解及び脱プロトン化は、約5℃〜約40℃などの室温において、約4時間以内、好ましくは約30分〜1時間で達成可能である。
【0056】
そして、式Iaの化合物は、そのトリフレート誘導体(化合物Ib)を生成するために、N-フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドと室温で100時間以内、好ましくは約48時間〜約96時間、反応させられる。
【0057】
トリフレート誘導体は、酢酸パラジウム(II)などの触媒と、ビスジフェニルホスフェノプロパン、CO及びMeOHの存在下で触媒反応に供されて、メチルエステル(化合物Ic)を生成する。
【0058】
メチルエステルはその後、LiOH/MeOHなどの標準的な条件を用いて加水分解されて、酸(化合物Id)を生成する。
【0059】
そして、酸は、アミド形成を促進する条件下でヒドラジンと結合されて、好ましくはEDC/HOBtカップリングを介して、式Iの化合物を生成する。
【0060】
プロドラッグは、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Chemistry, Fifth Ed., Vol.1, pp. 172-178, 949-982(1995)に記載されたような当業者に知られた方法を用いて、本発明の化合物から容易に製造されることができる。
【0061】
式Iの化合物の医薬として許容可能な酸付加塩は、本発明の上記塩基性化合物を、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカラート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパモアート(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトアート)塩などの無毒性の酸と反応させることによって製造可能である。
【0062】
式Iの化合物の医薬として許容可能な塩基付加塩は、本発明の上記酸性化合物を、(カリウム及びナトリウムなどの)アルカリ金属カチオン及び(カルシウム及びマグネシウムなどの)アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムなどの薬理学的に許容可能なカチオンを含む無毒性の塩基、又はN-メチルグルカミン−(メグルミン)などの水溶性アミン付加塩、及び低級アルカノールアンモニウム及び他の医薬として許容可能な有機アミンと反応させることによって製造可能である。
【0063】
式Iの化合物のラセミ体は、キラル吸収剤を用いるクロマトグラフィーなどによって機械的に個々の異性体に分離可能である。或いは、個々の異性体は、キラル形態で製造されるか又は10−カンファースルホン酸、カンファー酸、α−ブロモカンファー酸、メトキシ酢酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、ピロリドン−5−カルボン酸などの個々のエナンチオマーなどのキラル酸で塩を形成することによって混合物から化学的に分離されることができ、そして、分離された塩基の1つ又は両方を遊離させ、どちらか又は両方が実質的に他方から遊離するように、すなわち、光学的純度が95%超である形態となるように、場合によりこのプロセスを繰り返す。
【0064】
本発明の医薬組成物並びに化合物、その異性体、プロドラッグ及び医薬として許容可能な塩は、一般に約0.1μg/kg体重〜約500mg/kg体重、より特別には約1μg/kg体重〜約250mg/kg体重、最も特別には約2μg/kg体重〜約100mg/kg体重の、かかる化合物、そのプロドラッグ又は塩の治療的有効量の単位用量(錠剤、カプセルなど)の形態で投与されるであろう。より好ましくは、本発明の化合物は、約0.1mg/kg〜約500mg/kg体重、そして最も好ましくは約0.1mg/kg〜約50mg/kg体重の量で投与されるであろう。当業者に認識されるとおり、患者に投与される本発明の医薬組成物の具体的な量は、これらに限定されないが、所望の生理活性、患者の状態、及び薬物への耐性を含む多数の因子に依存する。
【0065】
一定量の活性成分を含む多様な医薬組成物の製造方法は当業者に知られているか、又は本開示を参照することによって明らかとなるであろう。例えば、医薬組成物の製造方法については、その内容が本明細書中に参考文献として援用されている、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing company, Easter, Pa, 15th Edition(1975)を参照のこと。
【0066】
当業者は、本発明の化合物が広範な病気の治療において有用であることを理解するであろう。本発明のGRアゴニスト、部分アゴニスト及びアンタゴニストは、炭水化物、タンパク質及び脂質代謝、電解質及び水バランス、そして循環器、腎臓、中枢神経、免疫、骨格筋並びに他の器官及び組織系を含む、基本的な体の生命維持システムに影響を及ぼすために使用されることができる。これに関して、GR調節剤は、体内のグルココルチコイドの過剰又は欠乏に関連する病気の治療に使用される。したがって、それらは以下の:肥満、糖尿病、循環器疾患、高血圧、X症候群、うつ病、不安、緑内障、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)又は後天性免疫不全症候群(AIDS)、(アルツハイマー病及びパーキンソン病などの)神経変性、認知促進、クッシング症候群、アジソン病、骨粗鬆症、虚弱、(骨関節炎、リューマチ関節炎、喘息及び鼻炎などの)炎症性疾患、副腎機能検査、ウイルス感染、免疫不全、免疫調節、自己免疫疾患、アレルギー、創傷治癒、強迫性行動、多剤耐性、中毒、精神病、摂食障害、カヘキシー、外傷後ストレス症候群、術後骨折、医学的異化(medical catabolism)の治療、及び筋肉の衰えの予防のために使用されることができる。
【0067】
当業者は、本発明の化合物を、その病気の治療のための現存する多様な治療剤と併用されることができる、該病気の治療において使用する場合にもそれを理解するであろう。
【0068】
肥満の治療のためには、本発明の化合物はβ3アゴニスト、甲状腺模倣剤、摂食行動調節剤、及びNPYアンタゴニストと併用されることができる。
【0069】
本発明の化合物はまた、糖尿病の治療のための現存の治療剤と併用して使用されることもできる。かかる併用において使用される好適な剤は、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、インスリン、トログリタゾン、スルホニルウレア、グリパジド、グリブリド及びクロルプロパミドを含む。
【0070】
本発明の化合物は、GRアゴニスト、コリン模倣薬、抗パーキンソン病薬、抗不安薬、抗うつ病薬、及び抗精神病薬を含む他の治療剤と併用して使用されることもできる。GRアゴニストの例は、プレドニソン、プレドニリデン、プレドニソロン、コルチゾン、デキサメタゾン及びヒドロコルチゾンを含む。抗パーキンソン病薬の例は、L-ドーパ、ブロモクリプチン及びセレギリンを含む。抗不安薬の例は、ベンゾジアゼピン、バリウム及びリブリウムを含む。抗うつ薬の例は、デシプラミン、セルトラリン塩酸塩及びフルオキセチン塩酸塩を含む。抗精神病薬の例は、ハロペリドール及びクロザピンを含む。
【0071】
併用療法において、本発明の化合物及び他の治療薬の両方が、慣用方法によって(男性又は女性のヒトなどの)哺乳動物に投与される。当業者に理解されるとおり、併用療法において患者に投与されるべき本発明の化合物及び他の治療薬の治療的有効量は、所望の生理活性、患者の状態、及び薬物に対する耐性を含むがこれらに限定されない多数の因子に依存する。
【0072】
例えば、本発明の第二の化合物は、哺乳動物に投与された場合、約0.01〜約50mg/kg体重/日、好ましくは約0.1mg/kg体重/日〜約10mg/kg体重/日の範囲で、単回又は分割用量で投薬される。
【0073】
上記のとおり、本発明の化合物、異性体、プロドラッグ及び医薬として許容可能な塩は、医薬として許容可能な担体、ビヒクル又は希釈剤と混合物中で組み合わせられて、哺乳動物、そしてより好ましくはヒト患者における本明細書中で記載された生物学的状態または障害の治療のために有用な医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物において使用される特別な担体、ビヒクル又は希釈剤は、静脈内、経口、局所、坐剤又は非経口などの所望の投与の種類に依存して広く多様な形態をとることができる。また、本発明の化合物、異性体、プロドラッグ及び医薬として許容可能な塩は、経口、非経口、直腸又は経皮剤型などの任意の慣用剤型で、個別にまたは一緒に投与されることができる。
【0074】
経口投与のためには、医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、散剤などの形態をとることができる。好ましくはジャガイモデンプン又はタピオカデンプンなどのデンプン及びある種のケイ酸錯体、ポリビニルピロリドン、シュークロース、ゼラチン及びアカシアなどの結合剤とともにクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムなどの多様な賦形剤を含む錠剤が使用される。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルクなどの潤滑剤がしばしば打錠の目的において有用である。類似の種類の固体組成物もソフト及びハードゼラチンカプセル中の充填剤として使用され;この関係の好ましい物質は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールも含む。水性懸濁液及び/又はエリキシルが経口投与のために望ましい場合、本発明の化合物、プロドラッグ、及び医薬として許容可能なその塩は、多様な甘味料、フレーバー剤、着色剤、乳化剤及び/又は懸濁剤、並びに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びそれらの多様な組み合わせのような希釈剤と組み合わせられることができる。
【0075】
化合物Iの活性は、以下に記載するアッセイの1つ以上によって実証される。
【0076】
以下は、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト/アゴニストの同定のためのアッセイの説明である:内因性ヒトグルココルチコイド受容体を含むSW1353ヒト軟骨肉腫細胞を、標準的な手順で作製した3×GRE−ルシフェラーゼプラスミドでトランスフェクションし、プラスミドがネオマイシン耐性を付与する。新規なグルココルチコイド応答性細胞株が作出され、特徴づけされる。SW1353ヒト軟骨肉腫と名づけられたかかる細胞株の1つをグルココルチコイド受容体における化合物の活性の測定のために使用する。細胞は、チャコール処理した血清中で維持され、そして、知れられたグルココルチコイド受容体アゴニスト(すなわち、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン)の非存在下(アゴニストのため)及び存在下(アンタゴニストのため)での様々な濃度(10-12〜10-5)の被験化合物による24時間以下の処理の1日前に96ウエルマイクロタイタープレートへ移される。処理は3連で行われる。細胞ライセートが調製され、そしてルシフェラーゼ活性がルミノメーターを用いて測定される。アゴニスト活性は、被験化合物で処理した細胞とアゴニストデキサメタゾンで処理した細胞からのルシフェラーゼ活性を比較することによって評価した。アンタゴニスト活性は、被験化合物の非存在下又は存在下におけるデキサメタゾンのEC50濃度のルシフェラーゼ活性を比較することによって評価した。デキサメタゾンについてのEC50(最大応答の50%を生じる濃度)は、用量応答曲線から計算した。
【0077】
以下は、Sf9細胞において発現されたヒトII型グルココルチコイド受容体の結合の競争阻害を測定するためのアッセイの説明である。
【0078】
結合プロトコール:化合物は、リガンドとしての3H-デキサメタゾンとSf9細胞中で発現されたヒトグルココルチコイド受容体を用いる結合置換アッセイにおいて試験される。ヒトグルココルチコイド受容体は、Mol. Endocrinology 4: 209, 1990に記載されたように、Sf9細胞中で発現される。1LのバットからのヒトGR受容体を発現するSf9細胞を含むペレットが50mg/mlロイペプチンを含む20mM AEBSFストック(Calbiochem, LaJolla, CA)、40μlで溶解され、さらに40mlのホモジェナイゼーションバッファーを加えられる。アッセイを96ウエルポリプロピレンプレート中で、(総カウントのための)被験化合物、被験化合物ビヒクルの存在下又は好適な体積のアッセイバッファー中の(非放射性、非特異的結合を測定するための7μMの)過剰のデキサメタゾンの存在下で、200μgのSf9ライセートタンパク質、6.9nM 3H-デキサメタゾン(Amersham, Arlington Heights, IL)を含む最終体積130μl中で実施する。すべての化合物は6濃度(濃度範囲0.1〜30nM又は3〜1000nM)で2連で試験される。被験化合物は、100%DMSO中の25mM原液から、70%EtOHで希釈され、そして2μlの体積で添加された。すべての添加が行われたら、プレートを振とうし、シーリングテープで密閉し、4℃で一夜インキュベートされる。
【0079】
一夜のインキュベーション後、未結合のカウントをデキストランコートしたチャコールで以下のように除去した:75μlのデキストランコートしたチャコール(アッセイバッファーで体積100mlに調節した5.0gの活性炭、0.5gのデキストラン)を添加し、プレートを振とうし、4℃で5分間インキュベートした。その後、プレートを低温ベンチトップ遠心機中、最高速度で15分間で遠心分離する。各ウエルからの上清の100μlを、200μlのシンチレーションカクテルとともに96ウエルPETプレート中におき、βカウンター(Wallac, Turku, Finlandからの1450MicroBeta Trilux)で測定した。
【0080】
データ分析:非特異的結合を差し引いた後、結合したカウントを総カウントの%として表した。被験化合物についての濃度応答を、シグモイド曲線に当てはめてIC50(結合カウントの50%を置換する化合物濃度)を決定した。
【0081】
試薬:アッセイバッファー:100mlの水中の、2.0mlの1M トリス、0.2mlの0.5mM EDTA、77.1mgのDTT、0.243gのモリブデン酸ナトリウム;ホモジェナイゼーションバッファー:100mlの水中の、2.0mlの0.5M K2HPO4(pH7.6)、20μlの0.5M EDTA(pH8.0)、77.1mgのDTT、0.486gのモリブデン酸ナトリウム。
【0082】
以下は、受容体選択性を決定するためのアッセイの説明である:内因性ヒトプロゲステロンと鉱質コルチコイド受容体を含むATCCからのT47D細胞を、Lipofectamine Plus(GIBCO-DRL, Gaithersburg, MD)を用いて一過性に3×GRE−ルシフェラーゼでトランスフェクションする。トランスフェクション後24時間、細胞をチャコール処理した血清中に保持し、そして96ウエルマイクロタイタープレートに移す。次の日、知られたプロゲステロン受容体アゴニスト(プロゲステロン)及び知られた鉱質コルチコイド受容体アゴニスト(アルドステロン)の非存在下または存在下で、細胞を多様な濃度の(10-12〜10-5)の被験化合物で24時間以下処理する。処理は3連で行う。細胞ライセートを調製し、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性を測定する。化合物単独で処理した細胞からのルシフェラーゼ活性をアゴニストプロゲステロン又はアルドステロンのいずれかで処理した細胞からのルシフェラーゼ活性と比較することによって、アゴニスト活性を評価する。化合物の非存在下又は存在下におけるEC50濃度のプロゲステロン又はアルドステロンのルシフェラーゼ活性を比較することによって、アンタゴニスト活性を評価する。プロゲステロン及びアルドステロンについてのEC50(最大応答の50%を生じさせる濃度)を用量応答曲線から計算する。
【0083】
以下は、意識のあるラットにおける肝臓チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)のグルココルチコイドアゴニスト誘導を阻害する、化合物の能力を決定するためのアッセイの説明である。
【0084】
動物:(Charles River, Wilimington MAからの)(甲状腺がそのまま、又はスクリーニングの1週間前に甲状腺切除した)雄性Sprague Dawleyラット、体重90gを使用する。ラットをスクリーニングで使用する7〜10日前に標準的な条件下においた。
【0085】
実験プロトコール:ラット(通常、処理群あたり3匹)に被験化合物、ビヒクル、又は陽性対照(Ru486)を、腹腔内、経口、皮下、又は静脈内(尾静脈)のいずれかに投薬する。被験化合物のための投薬ビヒクルは、典型的には、100%PEG400、水中0.25%メチルセルロース、70%エタノール又は0.1N HClのうちの1つであり、化合物は、10〜125mg/kgの範囲の用量で試験する。化合物は、(経口のためには)1.0ml/体重100gの体積又は他の投与経路のためには0.1ml/体重100gで投薬される。被験化合物の投与の10分後、ラットにデキサメタゾン(0.1ml/100gの体積で0.03mg/kgを腹腔内投与)又はビヒクルを注射する。デキサメタゾン投与溶液の調製のために、デキサメタゾン(Sigma, St. Louis, MO)を100%エタノールに溶解し、そして水で希釈する(最終的に:10%エタノール:90%水、体積:体積)。ビヒクル−ビヒクル、ビヒクル−デキサメタゾン、及びRu486−デキサメタゾンで処理した群が、各スクリーニングに含まれる。化合物は、デキサメタゾン単独に対して試験される。デキサメタゾンの注射の3時間後に断頭してラットをと殺する。肝臓サンプル(0.3g)を切除し、2.7mlの氷冷バッファー中におき、そしてポリトロンでホモジェナイズする。サイトゾルを得るために、肝臓ホモジェネートを105,000gで60分間遠心分離し、上清を−80℃で分析まで保存した。TATは、100μlの105,000gの上清の1:20希釈物について、Granner及びTomkinsの方法(Methods in Enzymology 17A: 633-637, 1970)及び8〜10分の反応時間を用いてアッセイする。TAT活性は、生成物のμモル/分/肝臓のgとして表される。
【0086】
解釈:処理データは、分散分析(ANOVA)と保護された最少有意差(PLSD)後づけ解析(protected least significant difference (PLSD)post-hoc analysis)を用いて分析する。デキサメタゾン投与の前に化合物で前処理した群におけるTAT活性がビヒクル−デキサメタゾン処理群におけるTAT活性に比べて有意に(P<0.05)減少した場合には、化合物はこの試験において活性であると考えられる。
【0087】
以下は、炎症反応の間に上方制御される2つの典型的な遺伝子に対する化合物の効果を決定するためのアッセイの説明である。ヒト軟骨肉腫細胞におけるIL−1(インターロイキン−1)により誘導されたMMP−1(マトリックスメタロプロテイナーゼ−1)及びIL−8(インターロイキン−8)産生のグルココルチコイドによる阻害であるこのアッセイは、以下のように行われる:(ATCCから入手した)SW1353ヒト軟骨肉腫細胞の継代12〜継代19までが96ウエルフォーマットアッセイにおいて使用される。細胞はコンフルエンスで10%ウシ胎児血清を含むDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中、96ウエルプレートに播かれ、そして37℃、5%CO2でインキュベートされる。24時間後、血清を含む培地を除去し、そして、200μl/ウエルの、1mg/Lのインスリン、2g/Lのラクトアルブミンヒドロシレート、及び0.5mg/Lのアスコルビン酸を含むDMEMに交換する。翌朝、無血清培地を除去し、そして150μl/ウエルの、+/−20ng/mlのIL-1ベータ、+/−5nMデキサメタゾン、+/−化合物を含む新鮮な無血清培地に交換する。96ウエルプレートの内側の60ウエルのみを使用して、3連ですべての条件について行う。プレートの外周のウエルは、200μlの無血清DMEMを含む。プレートは、37℃、5%CO2でインキュベートされる。IL-1の添加の24時間後、IL-8産生アッセイのための無菌条件下で、各ウエルからのサンプル25μlを取り出す。サンプルを分析のときまで−20℃で保存する。IL-8産生は、R&DシステムズからのQuantikineヒトIL-8ELISAキット(D8050)を用いて、製造者のプロトコールにしたがってRD5P Calibrator Diluentで60倍に希釈されたサンプルについて評価される。IL-1対照の平均に対するパーセントは、未処理細胞からの平均シグナルを差し引いた後の3連のサンプルそれぞれの平均について決定される。IC50は、対照に対するパーセントの阻害剤濃度に対する対数一次プロットから決定される。IL-1添加の72時間後、残りの培地を取り出し、MMP-1産生分析のときまで−20℃で保存する。MMP-1産生は、100μlのそのままのサンプルについて、製造者のプロトコールにしたがって、AmershamからのBio-TrakMMP-1 ELISAキット(RPN2610)を介して評価される。
【0088】
IL-1対照の平均に対するパーセントは、未処理細胞からの平均シグナルを差し引いた後、3連のサンプルそれぞれの平均について決定される。IC50は、対照に対するパーセントを阻害剤濃度に対する対数一次プロットから決定される。デキサメタゾンは、IL-8及びMMP-1の発現の良い陽性対照阻害剤であることが証明された(IC50=5nM)。
【0089】
活性化合物は、以下の:1)SW1353軟骨肉腫GREルシフェラーゼアッセイにおける3μM未満のED50;2)SW1353軟骨肉腫GREルシフェラーゼアッセイにおいて、100nMでデキサメタゾンの最大活性に比較して50%未満;3)IL-8及びMMP-13産生アッセイにおける3μM未満の平均IC50;又は4)IL-8及びMMP-13産生アッセイにおいて、100nMでデキサメタゾンの最大阻害に比較して50%超;を有する化合物であると定義される。
【0090】
より好ましい活性化合物は、以下の:1)SW1353軟骨肉腫GREルシフェラーゼアッセイにおける3μM未満のED50;2)SW1353軟骨肉腫GREルシフェラーゼアッセイにおいて、100nMでデキサメタゾンの最大活性に比較して40%未満;3)IL-8及びMMP-13産生アッセイにおける3μM未満の平均IC50;又は4)IL-8及びMMP-13産生アッセイにおいて、100nMでデキサメタゾンの最大阻害に比較して60%超;を有する化合物であると定義される。
【0091】
以下の実施例は、本発明の性質をさらに典型的に示すのに役立つが、その範囲を制限するものと解してはならず、その範囲は添付された請求項のみによって定義される。
【実施例】
【0092】
実施例1. 4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド
ケトンである、(4aR,10aR)−4a−エチル−7−ヒドロキシ−3,4,4a,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−フェナンスレン−2−オンを、標題化合物の製造のための出発物質として使用した。(4aR,10aR)−4a−エチル−7−ヒドロキシ−3,4,4a,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−フェナンスレン−2−オンを、以下の手順によって製造した。
【0093】
(a)1−エチル−6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オンを、6−メトキシ−2−テトラロン(120.55グラム、0.684モル)の溶液を加熱し、トルエン(1.7L)中のピロリジン(61mL、0.685モル)をDean-Stark装置を用いて、3時間、還流温度まで加熱した。共沸混合水(azeotroped water)を除去した後、反応混合物を室温まで冷却し、そして固体となるまで濃縮した。この固体にメタノール(1.2L)及びヨウ化エチル(121mL、1.51モル)を添加した。得られた溶液を一夜、還流温度で加熱し、そして減圧濃縮してメタノールを除去した。酢酸溶液(120mL)、水(240mL)中の酢酸ナトリウム(120g)を残渣に加え、そして得られた混合物を還流温度で2時間加熱した。冷却後、混合物をジエチルエーテルで数回抽出した。併合した有機相を1M HCl水溶液で2回、1M NaOH水溶液で2回、そして塩水で1回洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥した後、溶媒を蒸発させて、標題化合物を121.8グラムのオイルとして得た。マススペクトル:m/e204。
【0094】
(b)1−エチル−6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オンの溶液(121.8グラム、0.592モル)及び新たに蒸留したトルエン(600mL)中の(S)−(−)−アルファ−メチルベンジルアミン(72グラム、0.592モル)をDean-Stark装置を用いて一夜、還流温度で加熱した。共沸混合水を除去した後、トルエンのいくらかを(約300mL)留去した。新たに蒸留したメチルビニルケトン(4.39グラム、0.626モル)を滴下して溶液に加えた。溶液を室温で2時間攪拌し、そして油浴中、45℃で一夜加熱した。反応溶液を氷浴中で冷却し、そして10%硫酸水溶液を加えた。室温で2日間攪拌後、溶液を酢酸エチル(EtOAc)で3回抽出した。併合した有機層を水と塩水で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥後、溶媒を蒸発させ、そして(1S,9S)−エチル−10−ヒドロキシ−5−メトキシ−10−メチル−トリシクロ[7.3.1.02,7]トリデカ−2,4,6−トリエン−13−オンを、ヘキサン中15%酢酸エチル、続いてヘキサン中21%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって分離した。マススペクトル:m/e275(M+1)。
【0095】
(c)メタノール中、59.6グラム(0.217モル)の(1S,9S)−エチル−10−ヒドロキシ−5−メトキシ−10−メチル−トリシクロ[7.3.1.02,7]トリデカ−2,4,6−トリエン−13−オンの溶液(300mL)をメタノール中1M ナトリウムメトキシド(250mL)に滴下して加えた。混合物を還流温度で3時間加熱した。室温に冷却後、酢酸を加えて、pHを中性とし、そして混合物を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、そして飽和NaHCO3水溶液、水及び塩水で連続的に洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥後、溶媒を蒸発させて、褐色の固体、55グラムを得た。マススペクトル:257(M+1)。
【0096】
(4aR)−4a−エチル−7−メトキシ−4,4a,9,10−テトラヒドロ−3H−フェナンスレン−2−オン(55グラム、0.214モル)を、メタンスルホン酸(890mL)中、D,L−メチオニン(106.7グラム、0.715モル)に分けて加えた。混合物を室温で一夜攪拌し、過剰の氷中へ注ぎ、そしてさらに30分間攪拌した。沈殿した固体を濾過によって集め、続いて、酢酸エチルに溶解した。得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液及び塩水で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥後、溶媒を減圧下で蒸発させ、赤色の半固体を得た。この半固体を、ジチルエーテルで倍散して、ろ過によって集め、(4aR)−4a−エチル−7−ヒドロキシ−4,4a,9,10−テトラヒドロ−3H−フェナンスレン−2−オン(化合物1)を黄色の固体(34グラム)として得た。1H NMR(CDCl3)δ7.14(d,J=8.3Hz、1H)、6.76(dd,J=2.6,8.3Hz,1H)、6.62(d,J=2.6Hz,、1H)、5.97(s,1H)、3.00−2.95(m,1H)、2.86−2.38(一連のm、全部で6H)、2.08−1.90(m,3H)、0.84(t,J=7.3Hz、3H)。
【0097】
この実施例における標題化合物を、その後、以下の手順で製造した:
(a)4a−エチル−2−メチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロフェナンスレン−2,7−ジオールの製造
(4a−エチル−7−ヒドロキシ−3,4,4a,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−フェナンスレン−2−オン)(2.066g、8.455ミリモル)とフッ化セシウムを共沸によってトルエン(1ml)を除去することによって、高い真空下で乾燥させた。ケトン及びフッ化セシウムをテトラヒドロフラン(20ml)中に溶解し、そしてトリメチル(トリフルオロメチル)シラン(47ml、23.5ミリモル)を添加した。反応溶液を室温で7時間攪拌し、そして減圧濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(20ml)中に溶解し、続いてテトラヒドロフラン(20ml)中、1.0Mフッ化テトラブチルアンモニウムを加えた。反応溶液を室温で一夜攪拌し、数滴の水で反応停止し、そして減圧濃縮した。残渣を水及び塩化メチレンの間(100ml)で分配した。水層をさらに塩化メチレン(100ml)で抽出した。併合した有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮した。生成物を、4:1のヘキサン/酢酸エチルで溶出してシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで分離して、定量的収率2を得た(2.78g)、MS:314.35。
【0098】
(b).メタンスルホン酸4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−イルエステルの製造
4a−エチル−2−メチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロフェナンスレン−2,7−ジオール(2.78g、8.455ミリモル)をTHF(200ml)中に溶解し、続いて水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%)(406mg、10.146ミリモル)を加え、そして得られた溶液を30分間攪拌した。N-フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(3.625g、10.146ミリモル)を加え、反応混合物を週末の間、室温で攪拌した。反応溶液を減圧濃縮した。水(30ml)を残渣に加え、そして生成物をジエチルエーテル(50ml)で抽出した。水層をさらに酢酸エチル(3×40ml)で抽出した。有機層を併合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして、減圧濃縮した。4:1へキサン/酢酸エチルによるフラッシュクロマトグラフィーによる生成後に、トリフレート生成物(2.73g、収率72%)を得た。MS:446.41。
【0099】
(c).4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドメチルエステルの製造
ジメチルスルホキシド(75ml)中、酢酸パラジウム(II)(105mg、0.428ミリモル)及びビスジフェニルホスフェノプロパン(177mg、0.428ミリモル)をフラスコに入れた。メタノール(75ml)中、メタンスルホン酸4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−イルエステル(2.73g、6.121ミリモル)をフラスコに加え、続いてトリエチルアミン(2.22ml、15.303ミリモル)を加えた。一酸化炭素を溶液中に45分間にわたって泡立てて加えた。その後、フラスコに一酸化炭素を充填した風船を取り付け、一夜、90℃で加熱した。反応物を室温まで冷却し、そしてフラスコを窒素パージした。反応混合物を減圧濃縮してメタノールを除去した。水(100mlを)を加え、そして水溶液を酢酸エチルで抽出した(3×100ml)。併合した有機層を塩水で洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧濃縮した。ヘキサン/酢酸エチル4:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製の後、生成物(4)(1.778g、収率82%)を得た。MS:356.39。
【0100】
(d).4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタニドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドの製造
4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドメチルエステル(60mg、0.168ミリモル)を、メタノール(8ml)及び水(1ml)中で水酸化リチウム1水和物(35mg、0.842ミリモル)と併合した。反応混合物を週末の間、60℃に加熱した。ヘキサン/酢酸エチル2:1によるTLCは、出発物質の完全な変換を示した。反応混合物を減圧濃縮した。水(2ml)を残渣に加え、そして、1N 塩酸を加えてpHを2に調整した。水性混合物を酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。併合した有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮した。生成物は、定量的収率で得られた。MS:342.36。
【0101】
(e).4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドの製造
4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッド(32mg、0.0935ミリモル)、2−ヒドラジノピリジン(12mg、0.112ミリモル)、EDC(22mg、0.112ミリモル)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(15mg、0.112ミリモル)の溶液に、塩化メチレン(3ml)を加えて懸濁液を生成した。ジイソプロピルエチルアミン(39μl、0.224ミリモル)を加え、そして反応混合物が透明な溶液に変わった。窒素下、反応溶液を室温で3時間攪拌した。反応混合物を調製用TLCプレートに負荷し、そして1:29のメタノール中7M アンモニア/塩化メチレンで抽出して、標題化合物を得た。収量:44mg;MS:433.48。
【0102】
実施例2. 4b−ベンジル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドの製造
4b−ベンジル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドの合成は、米国特許出願第US6380223B1号及びヨーロッパ特許出願第EP1201655A2号に記載され、その内容は参考文献として本明細書中に援用されている。
【0103】
この実施例の標題化合物、4b−ベンジル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド(8)は、以下の手順によって製造された:
【0104】
4b−ベンジル−7−ヒドロキシ−7−メチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッド(1.000g、2.475ミリモル)、2−ヒドラジノピリジン(324mg、2,970ミリモル)、EDC(569mg、2.970ミリモル)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアソール(401mg、2,970ミリモル)の溶液に、塩化メチレン(60ml)を加えて、懸濁液を生成した。ジイソプロピルエチルアミン(1.03ml、5.940ミリモル)を添加し、そして反応混合物は透明な溶液に変わった。窒素下、反応溶液を室温で24時間攪拌した。有機反応混合物をCH2Cl2で希釈し、飽和塩化アンモニウム(2×60ml)で洗浄し、そして塩水(60ml)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧濃縮した。1:19のメタノール中7M アンモニア/塩化メチレンを用いるフラッシュクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、8を得た。収量:880mg;MS:495.55。
【0105】
実施例3 4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドの製造
4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドの製造は、以下の4つのステップ(a),(b),(c)及び(d)を含む:
【0106】
(a). (2R,3R,4aR,10aR)−4a−エチル−3−メチル−2−チアゾール−2−イル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロフェナンスレン−2,3,7−トリオールの製造
テトラヒドロフラン(10mL)中、2−ブロモチアゾール(0.27mL、2.9ミリモル)の溶液を−78℃まで冷却し、そして、ヘキサン中、n−ブチルリチウムの2.5M溶液(1.1mL、2.75ミリモル)で処理して濃い色の溶液を得た。テトラヒドロフラン中、調製物11fの化合物(75mg、0.193ミリモル)の溶液をカニューレを介して加えた。混合物を−78℃で3時間攪拌し、そして飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止した。混合物を少量の水で希釈しそして室温まで温めた後、酢酸エチルでこれを5回抽出した。併合した有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして濃縮した。テトラヒドロフラン(5mL)中に取り込まれた残渣をテトラヒドロフラン中、フッ化テトラブチルアンモニウムの1M溶液(0.39mL、0.39ミリモル)で処理し、室温で一夜攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、そして濃縮した。標題化合物は調整用HPLCによって精製した。マススペクトル(m/e)360(M++1)。
【0107】
(b).メタンスルホン酸4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−イルエステルの製造
(2R,3R,4aR,10aR)−4a−エチル−3−メチル−2−チアゾール−2−イル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロフェンナンスレン−2,3,7−トリオール(0.986g、2.7429ミリモル)を、炎で乾燥させた(flame-dried)フラスコ中でTHF(100ml)中に溶解し、続いて水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%)(76mg、3.0171ミリモル)及びN-フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(1.08g、3.0171ミリモル)を加えた。反応溶液を室温で一夜攪拌しておいた。反応を水(30ml)で停止させ、ジエチルエーテル(75ml)で希釈した。生成物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮して黄色のオイルを得て、ヘキサン/酢酸エチルの勾配を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、メタンスルホン酸4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−イルエステルを得た。収量:1.27g。
【0108】
(c). 4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドメチルエステルの製造
炎で乾燥させたフラスコにジメチルスルホキシド(50ml)中の酢酸パラジウム(II)(40.7mg、0.1811ミリモル)及びビスジフェニルホスフェノプロパン(74.7mg、0.1811ミリモル)を入れた。メタノール(50ml)中のメタンスルホン酸4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−イルエステル(1.272g、2.5878ミリモル)の溶液をフラスコに加え、続いて、トリエチルアミン(0.94ml、6.4695ミリモル)を加えた。一酸化炭素を該溶液中に泡立てて25分間加えた。そして、フラスコに一酸化炭素を充填した風船を取り付け、そして18時間、90度に加熱した。水(75ml)で反応を停止させ、そして生成物を酢酸エチル(5×50ml)で抽出した。併合した有機層を塩水(25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、セライトを通して濾過し、そして乾燥するまで濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチルの勾配を使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドメチルエステルを得た。収量:0.844g。
【0109】
(d).4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドの製造
4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドメチルエステル(0.844g、2.102ミリモル)をメタノール(75ml)中、水酸化リチウム1水和物(0.441g、10.51ミリモル)及び水(10ml)と併合した。反応混合物を3時間、60℃に加熱した。反応混合物を酸性化するために、数滴の塩酸を加え、そして反応混合物を減圧濃縮してメタノールを除去した。水層を1.0Mの水酸化ナトリウム(75ml)で希釈し、そしてジエチルエーテル(20ml)で洗浄した。そして、水層をpH3に再び酸性化し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして減圧濃縮して、4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロフェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドを得た。収量:0.483g。
【0110】
(e). 4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドの製造
4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッド(31mg、0.08ミリモル)を塩化メチレン(5ml)中で2−ヒドラジノピリジン(13mg、0.12ミリモル)、EDC(18mg、0.096ミリモル)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(13mg、0.010ミリモル)と併合した。反応混合物を室温で一夜攪拌した。反応混合物を最少量のジメチルホルムアミドに溶解し、そして、酢酸エチル/へキサン(1:1)を用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドを得た。収量:15mg。
【0111】
本発明の化合物の活性は、その内容が参考文献として本明細書中に援用されている、米国特許第6,380,223号に記載された1つ以上のアッセイによって実証される。これらのアッセイは、以下の:(1)GRアンタゴニスト/アゴニストの同定のためのアッセイ、(2)Sf9細胞中で発現されたヒトII型GRの結合の競合阻害を決定するためのアッセイ、(3)受容体選択性を決定するためのアッセイ:内因性のヒトプロゲステロン及び鉱質コルチコイド受容体を含む、ATCCからのT47D細胞、(4)抗糖尿病及び抗肥満活性を決定するためのアッセイ及び(5)意識のあるラットにおいて、肝臓チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)活性のグルココルチコイドアゴニストによる誘導を阻害する、化合物の能力を決定するためのアッセイを含む。
【0112】
実施例4. ゼラチンカプセル
ハードゼラチンカプセルは、以下を用いて製造される:
【表1】

【0113】
実施例5. 錠剤製剤
【表2】

【0114】
実施例6. 懸濁液
【表3】

活性成分を、No.45メッシュU.S.篩を通し、そしてカルボキシメチルセルロースナトリウム及びシロップと混合して、滑らかなペーストを形成する。安息香酸溶液、フレーバー剤、及び着色剤をいくらかの水で攪拌しながら希釈して、添加した。そして、十分な水を加えて必要な体積とする。以下の成分を含むエアロゾル溶液が調製される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

{式中、
R1は、以下の:
a)-H、
b)-(C1-C6)アルキル-A-(C1-C6)アルキル、または-(C1-C3)アルキル-A-(C1-C3)アル
キル-A-(C0-C3)アルキル、ここで、
各Aは、独立して、S、O、N、OH、またはNH2であり;
各炭素原子は、場合により1または2個のRxで置換されており
c)場合により1または2個のRxで置換された-(C2-C10)アルケニル、
d)-(C2-C10)アルキニル、-エチニル(C1-C8)アルコキシ、または-(C1-C4)アルコキ
シ(C1-C4)アルキルエチニルであり、ここで、
各炭素原子は場合により0、1または2個のRxで置換されており、
e)-CH=C=CH2
f)-CN、
g)-(C3-C9)シクロアルキル、
h)-Z-(C6-C10)アリール、
i)-Z-het、
j)-C(O)O(C1-C6)アルキル、
k)-O(C1-C6)アルキル、
l)-Z-S-R12
m)-Z-S(O)-R12
n)-Z-S(O)2-R12
o)-(C1-C8)アルキル、ここで、
各炭素原子は場合により1、2または3個のハロで置換されており、
p)-NR12O-(C1-C6)アルキル、または
q)-CH2ORxであり;
各Zは、独立して、以下の:
a)-(C0-C6)アルキル、
b)-(C2-C6)アルケニル、または
c)-(C2-C6)アルキニルであり;
各Rxは、独立して、以下の:
a)-OH、
b)-ハロ、
c)-Z-(C1-C8)アルキル、ここで、
各炭素原子は場合により1、2または3個のハロで置換されており、
d)-CN、
e)-NR12R13
f)-(C3-C6)シクロアルキル、
g)-(C3-C6)シクロアルケニル、
h)-(C0-C3)アルキル-(C6-C10)アリール、
i)-het、または
j)-N3であり、ここで、
hetは、飽和、部分的に飽和または不飽和の5、6または7員環であって、
以下の:窒素、酸素、及びイオウから成る群から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ
原子を含み;任意の二環式基であって、そこで任意の上記のヘテロ環がベンゼン環ま
たは他のヘテロ環に縮合しているものを含み;及び上記窒素は酸化状態であって、N
オキシドを形成することができ;そして場合により、1、2または3個のRyで置換
されており;
各Ryは、独立して、以下の:
a)-ハロ
b)-OH、
c)-(C1-C6)アルキル、
d)-(C2-C6)アルケニル、
e)-(C2-C6)アルキニル
f)-O(C1-C6)アルキル、
g)-O(C2-C6)アルケニル、
h)-O(C2-C6)アルキニル、
i)-(C0-C6)アルキル-NR12R13
j)−C(O)−NR12R13
k)−Z-SO2R12
l)−Z-SOR12
m)−Z-SR12
n)-NR12-SO2R13
o)-NR12-C(O)-R13
p)-NR12-OR13
q)-SO2-NR12R13
r)-CN、
s)-CF3
t)-C(O)(C1-C6)アルキル、
u)=O、または
v)-Z-SO2-フェニルであり;
R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、以下の:
a)-H、
b)-ハロ、
c)-OH、
d)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により、1、2または3個のRx
で置換されており、
e)-NR12R13
f)-Z-C(O)O(C1-C6)アルキル、
g)-Z-C(O)NR12R13
h)(C1-C6)アルコキシ、
i)-Z-O-C(O)-(C1-C6)アルキル、
j)-Z-O-(C1-C3)アルキル-C(O)-NR12R13
k)-Z-O-(C1-C3)アルキルーC(O)-O(C1-C6)アルキル、
l)-O-(C2-C6)アルケニル、
m)-O-(C2-C6)アルキニル、
n)-O-Z-het、
o)-COOH、
p)-C(OH)R12R13、または、
q)-Z-CNであり;
各R12及びR13は、それぞれ独立して、以下の:
a)-H、
b)-(C1-C6)アルキル、ここで、連結のための炭素原子以外の1又は2個の炭素原子
は、場合により、S、O及びNから独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子で置換さ
れてもよく、そしてここで、各炭素原子は、場合により1、2または3個のハロで置
換され、
c)場合により1、2または3個のハロで置換されている、-(C2-C6)アルケニル、ま
たは
d)-(C2-C6)アルキニル、ここで、連結のための炭素原子以外の1個の炭素原子及び
エチニル原子は、場合により1つの酸素原子で置換されてもよく、そしてここで、各炭
素原子は、場合により1、2または3個のハロで置換されているか;或いは、
R12及びR13はそれらが結合するNと一緒になって、hetを形成し;
Xは、以下の:
a)不存在であるか、
b)-CH2-、
c)-CH(OH)-、または
d)-C(O)-であり;
R5は、以下の:
a)-H、
b)-Z-CF3
c)-(C1-C6)アルキル、
d)-(C2-C6)アルケニル、
e)-(C2-C6)アルキニル、
f)-(C6-C10)アリール、
g)-CHO、
h)-CH=N-OR12
i)-Z-C(O)ONR12
j)-Z-C(O)-NR12R13
k)-Z-C(O)-NR12-Z-het、
l)-Z-NR12R13
m)-Z-NR12het、
n)-Z-het、
o)-Z-O-het、
p)-Z-(C6-C10)アリール、
q)-Z-O-(C6-C10)アリール、
r)-CHOH-(C6-C10)アリール、または
s)-C(O)-(C6-C10)アリールであり、ここで、
上記(C6-C10)アリールは、場合により、以下の:-ZOH、-Z-NR12R13、-Z-NR12-he t、-C(O)NR12R13、-C(O)O(C1-C6)アルキル、-C(O)OH、-C(O)-het、-NR12-C(O)-(C1-C 6)アルキル、-NR12-C(O)-(C2-C6)アルケニル、-NR12-C(O)-(C2-C6)アルキニル、NR1 2-C(O)-Z-het、-CN、-Z-het、-O-(C1-C3)アルキル-C(O)-NR12R13、-O-(C1-C3)アルキ ル-C(O)O(C1-C6)アルキル、-NR12-Z-C(O)O(C1-C6)アルキル、-N(Z-C(O)O(C1-C6)アル キル)2、-NR12-Z-C(O)-NR12R13、-Z-NR12-SO2-R13、-NR12-SO2-het、-C(O)H、-Z-NR1 2-Z-O(C1-C6)アルキル、-Z-NR12-Z-NR12R13、-Z-NR12-(C3-C6)シクロアルキル、-Z-N (Z-O(C1-C6)アルキル)2、-SO2R12、-SOR12、-SR12、-SO2NR12R13、-O-C(O)-(C1-C4) アルキル、-O-SO2-(C1-C4)アルキル、-ハロ、または-CF3の1または2個で置換され ており;
R6及びR9は、それぞれ独立して、以下の:
a)-H、
b)-ハロ、
c)0〜3個のハロで置換された(C1-C6)アルキル、
d)0〜3個のハロで置換された-(C2-C6)アルケニル、
e)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C2-C6)アルキニル、
f)-CN、
g)-(C3-C6)シクロアルキル、
h)-(C3-C6)シクロアルケニル、
i)-OH、
j)-O-(C1-C6)アルキル、
k)-O-(C1-C6)アルケニル、
l)-O-(C1-C6)アルキニル、
m)-NR12R13
n)-C(O)OR12、または
o)-C(O)NR12R13であり;
R7は、以下の:
a)-H、
b)場合により、以下の:-ハロ、-OH及び-N3から独立して選ばれる、1、2、また
は3個の置換基で置換されている、-(C1-C10)アルキル、
c)場合により、以下の:-ハロ、-OH及び-N3から独立して選ばれる、1、2、また
は3個の置換基で置換されている、-(C2-C10)アルケニル、
d)場合により、以下の:-ハロ、-OH及び-N3から独立して選ばれる、1、2、また
は3個の置換基で置換されている、-(C2-C10)アルキニル、
e)-ハロ、
f)-Z-CN、
g)-OH、
h)-Z-het、
i)-Z-NR12R13
j)-Z-C(O)-het、
k)-Z-C(O)-(C1-C6)アルキル、
l)-Z-C(O)-NR12R13
m)-Z-C(O)-NR12-Z-CN、
n)-Z-C(O)-NR12-Z-het、
o)-Z-C(O)-NR12-Z-(C6-C10)アリール、
p)-Z-C(O)-NR12-Z-NR12R13
q)-Z-C(O)-NR12-Z-O(C1-C6)アルキル、
r)-(C0-C6)アルキル-C(O)OH、
s)-Z-C(O)O(C1-C6)アルキル、
t)-Z-O -(C0-C6)アルキル-het、
u)-Z-O-(C0-C6)アルキル-(C6-C10)アリール、
v)場合により、1または2個のRyによって置換されている、-Z-O-(C1-C6)アルキル、
w)-Z-O-(C1-C6)アルキル-CH(O)
x)-Z-O-(C1-C6)アルキル-NR12-het、
y)-Z-O-Z-het-Z-het、
z)-Z-O-Z-het-Z-NR12R13
a1)-Z-O-Z-het-C(O)-het、
b1)-Z-O-Z-C(O)-het、
c1)-Z-O-Z-C(O)-het-het、
d1)-Z-O-Z-C(O)-(C1-C6)アルキル、
e1)-Z-O-Z-C(S)-NR12R13
f1)-Z-O-Z-C(O)-NR12R13
g1)-Z-O-Z-(C1-C3)アルキル-C(O)-NR12R13
h1)-Z-O-Z-C(O)-O(C1-C6)アルキル、
i1)-Z-O-Z-C(O)-OH、
j1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-O(C1-C6)アルキル、
k1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-OH、
l1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-Z-NR12R13
m1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-Z-het、
n1)-Z-O-Z-C(O)-NR12-SO2-(C1-C6)アルキル、
o1)-Z-O-Z-C(=NR12)(NR12R13)、
p1)-Z-O-Z-C(=NOR12)(NR12R13)、
q1)-Z-NR12-C(O)-O-Z-NR12R13
r1)-Z-S-C(O)-NR12R13
s1)-Z-O-SO2-(C1-C6)アルキル、
t1)-Z-O-SO2-(C6-C10)アリール、
u1)-Z-O-SO2-NR12R13
v1)-Z-O-SO2-CF3
w1)-Z-NR12C(O)OR13、または
x1)-Z-NR12C(O)R13であり;
R8は、hetである。}
により表される化合物、その異性体、上記化合物または異性体のプロドッグ、或いは、上記化合物、異性体またはプロドラッグの医薬として許容可能な担体。
【請求項2】
すべてのhetが5〜7員環のヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、a)-H、b)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により1、2または3個のRxで置換されており、c)場合により1または2個のRxで置換された、-(C2-C10)アルケニル、d)-(C2-C10)アルキニル、ここで、各炭素原子は場合により1または2個のRxで置換され、e)-(C3-C6)シクロアルキル、f)-Z-(C6-C10)アリール、又はg)5〜7員環の-Z-ヘテロアリールであり;
各Rxは、独立して、-OH、−ハロ、及び-Z-F3であり;
R2は、a)-H、b)−ハロ、c)-OH、d)場合により-OHで置換された-(C1-C6)アルキル、e)5〜7員環の-Z-ヘテロアリール、f)-COOH、g)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により1、2または3個のRxで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R3及びR4が、それぞれ独立してa)-H、b)−ハロ、c)-OH、d)場合により-OHで置換された-(C1-C6)アルキル、e)5〜7員環の-Z-ヘテロアリール、f)-COOH、g)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により1、2または3個のRxで置換され;ここで、各Rxは、独立して-OH、−ハロ、又は-Z-CF3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R5が、a)-H、b)-Z-CF3、c)-(C1-C6)アルキル、d)-(C2-C6)アルケニル、e)-(C2-C6)アルキニル、f)-(C6-C10)アリール、g)-CHO、h)-CH=N-OR12、i)-Z-C(O)OR12、j)-Z-C(O)-NR12R13、k)5〜7員環の-Z-C(O)-NR12-Z-ヘテロアリール、l)-Z-NR12R13、m)5〜7員環の-Z-NR12-ヘテロアリール、n)5〜7員環の-Z-ヘテロアリール、o)5〜7員環の-Z-O-ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R6及びR9が、それぞれ独立して、a)-H、b)−ハロ、c)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C1-C6)アルキル、d)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C2-C6)アルケニル、e)場合により、1、2または3個のハロで置換された-(C2-C6)アルキニル、f)-CN、g)-(C3-C6)シクロアルキル、h)-(C3-C6)シクロアルケニル、i)-OH、j)-O-(C1-C6)アルキル、k)-O-(C1-C6)アルケニル、l)-O-(C1-C6)アルキニル、m)-NR12R13、n)-C(O)OR12、またはo)-C(O)NR12R13である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R7が、a)-H、b)-ハロ、-OH、及び-N3から独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で場合により置換された-(C1-C10)アルキル、c)-ハロ、-OH、及び-N3から独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で場合により置換された-(C2-C10)アルケニル、d) -ハロ、-OH、及び-N3から独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で場合により置換された-(C2-C10)アルキニル、e)−ハロ、f)-Z-CN、g)-OH、又はh)5〜7員環の-Z-ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R8が、不飽和6員環である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド、
4b−ベンジル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド、又は
4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドから成る群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
以下の式III、IV又はV:
【化2】

【化3】

【化4】

{式中、
R1は、(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により1、2または3個のハロ
又は5〜7員環の-Z-ヘテロアリールで置換されており;
Zは、(C0-C6)アルキルであり;
R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、以下の:a)-H、b)-ハロ、c)-OH、d)-(C1-C10)アルキル、ここで、各炭素原子は場合により、1、2または3個の-OH、-ハロ、又は-Z-CF3で置換されており;ここで、R1は、R2と異なり、且つR3はR4と異なり;
Xは、a)不存在であるか、又はb)-CH2-であり;
R5は、以下の:a)-H、b)-Z-CF3、c)-(C1-C6)アルキル、d)-(C6-C10)アリール、又はe)Z-ヘテロアリールであり;
R6は、以下の:a)-H、b)-ハロ、又はc)場合により、1、2又は3個のハロで置換された(C1-C6)アルキルであり;
R7は、-H、又は場合により、以下の:-ハロ、-OH及び-N3から独立して選ばれる、1、2、または3個の置換基で置換されている、-(C1-C10)アルキルであり;
R8は、窒素、酸素、及びイオウから成る群から独立して選ばれる、1〜3個のヘテロ原子を含む不飽和6員環であり;
R9は、水素である。}
を有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
R3とR4が異なり;ここで、相互に独立したC*で表される前記炭素原子がR-、又はS-配置を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
4b−エチル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド、
4b−ベンジル−7−ヒドロキシ−7−トリフルオロメチル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジド、
4b−エチル−6,7−ジヒドロキシ−6−メチル−7−チアゾール−2−イル−4b,5,6,7,8,8a,9,10−オクタヒドロ−フェナンスレン−2−カルボキシリックアシッドN’−ピリジン−2−イル−ヒドラジドのすべての異性体から成る群から選ばれる、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
哺乳動物における、以下の:炎症性疾患;内分泌障害;コラーゲン疾患;皮膚科疾患;アレルギー状態;眼科疾患;呼吸器疾患;血液学的疾患;新生物疾患;浮腫状態;及び胃腸疾患から成る群から選ばれる障害の治療のための医薬組成物であって、以下の:(1)請求項1又は10に記載の化合物、その異性体、前記組成物又は異性体のプロドラッグ、或いは、前記化合物、異性体又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩、及び(2)医薬として許容可能な、少なくとも1つの担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤、を含む、前記医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物における肥満、糖尿病、不安、又は炎症性疾患の治療方法であって、請求項1又は10に記載の化合物、その異性体、前記組成物又は異性体のプロドラッグ、或いは、前記化合物、異性体又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
前記炎症性疾患が、関節炎、喘息、鼻炎及び免疫調節から成る群から選ばれる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
以下の:(1)請求項1に記載の化合物、(2)第二の医薬として活性な化合物、及び(3)医薬として許容可能な、少なくとも1つの担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤、を含む、医薬組成物。
【請求項17】
前記第二の医薬として活性な化合物が、β3アゴニスト、甲状腺模倣物質、摂食行動調節物質、NPYアンタゴニスト、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、インスリン、トログリタゾン、スルホニルウレア、グリパジド(glipazide)、グリブリド(glyburide)、クロルプロパミド、グルココルチコイド受容体アゴニスト、コリン模倣薬、抗パーキンソン病薬、抗不安薬、抗うつ薬、又は抗精神病薬から成る群から選ばれる、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
以下の式Id:
【化5】

{式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びXは請求項1において定義したとおりである。}
により表される化合物をヒドラジンとアミド形成条件下で結合させるステップを含む、式Iの化合物、その異性体、前記化合物又は異性体のプロドラッグ、或いは、前記化合物、異性体又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩の製造方法。

【公表番号】特表2007−511501(P2007−511501A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538983(P2006−538983)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003671
【国際公開番号】WO2005/047254
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】