説明

グループ行動管理システムおよびグループ行動管理プログラム

【課題】複数人からなるグループの比較的近い距離に関する行動を簡易に管理することのできるグループ行動管理システムおよびグループ行動管理プログラムを得ること。
【解決手段】家屋には、確認機204が配置されており、登録個体ID保持部226にIDを登録したグループユーザ端末206P、206M、206T、206Hのすべてが近距離無線通信部225で近距離無線の受信ができなくなると、指定アクション制御部228がたとえばロック装置203を制御してドアの施錠等の予め定められたアクションを行う。近距離無線通信技術を使用して、グループユーザ端末206の全部と通信できるときや、一部が欠けたときの管理も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数人からなるグループの行動を管理するグループ行動管理システムおよびグループ行動管理プログラムに係わり、特に携帯電話機等の携帯通信端末を所持する複数人からなるグループについてのグループ行動管理システムおよびグループ行動管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPHS(Personal Handy-phone System)あるいは通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯通信端末が広く普及している。また、これらの携帯通信端末は、公衆回線による通信機能だけでなく、赤外線通信やブルートゥース(Bluetooth)に代表される近距離通信手段を備えることが多くなっている。特にブルートゥースは、10メートル以内の範囲であれば、途中に障害物が存在しても高速でデータ通信が可能であるという大きな特徴を備えている。このため、電子機器間のデータ通信に広く使用されているだけでなく、住宅の監視システムに使用することも提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
図12は、この提案の住宅の監視システムの概要を示すものである。住宅の監視システム100は、インターフォン親機101を使用している。インターフォン親機101は、インターフォン子機102の他に玄関カメラ103、監視カメラ104およびエアーコンディショナ105といった電気製品と接続されている。また、その近距離通信手段107を介して携帯電話機108の近距離通信手段109と通信可能となっている。更に、インターフォン親機101は所定の条件でネットワーク111に接続することができ、これにより携帯電話機108は遠隔地にいるときも監視カメラ104による監視画像を見ることができるようになっている。
【0004】
この住宅の監視システム100では、インターフォン親機101を設置した家の家族が携帯電話機108を1つずつ所持(図ではユーザ1人分を示している。)している。そして、家族を構成するいずれかのユーザが監視対象の家の中にいる場合には、存在フラグをオンにし、いずれのユーザも監視対象の家の中にいないときには存在フラグをオフにすることにしている。存在フラグがオフになっている状態で、任意のユーザは携帯電話機108をネットワーク111に接続して、監視カメラ104で自宅を監視することができる。また、たとえばエアーコンディショナ105を作動させて、家に帰った時点で室温が理想的な状態になっているようにすることができる。
【0005】
一方、いずれかのユーザが家にいる状態では、存在フラグがオンになっている。このとき、インターフォン親機101はネットワークから切断されている。これは、家人が在宅している状態で監視カメラ104による監視は不要であり、また、エアーコンディショナ105を外部からわざわざ操作する必要がないからである。
【特許文献1】特開2002−314696号公報(第0032段落、第0033段落、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、この従来の提案では、家人が誰も在宅しなくなったとき、監視カメラで家の内部や周囲を監視できるようにしている。この場合、泥棒が家屋に侵入したとき、その時間帯に携帯電話機108による監視が行われていれば、犯罪の早期発見とその後の警察への通報に有効である。しかしながら、家屋に立ち入った者を監視するよりも、正当な権限を有しない者が家屋へ立ち入ることを防止することが、基本的な防犯対策であることに変わりはない。このためには、家屋の施錠を行うこと、特に、家人が全員外出するときに玄関のドアの施錠を確実に実行することが大切である。
【0007】
ところが、施錠は人間が行う行為であり、人間は施錠を忘れて外出することがあり得る。また、他の家族が残っているものと勘違いして、鍵を掛けずに外出することもある。このような場合、外出の時期を窺っていた泥棒等の第三者が家屋に簡単に侵入できることになる。
【0008】
施錠についての防犯上の問題は、家族がそれぞれ外出する際に自己の携帯電話機あるいは通信機器に用意された図示しない外出申告ボタンを押すようにして、外出を所定の管理装置(図示せず)で認識させることによって可能になる。すなわち、全員が外出申告ボタンを押しているということを管理装置が判別した時点で、その家に対して機械的あるいは電気的な手段によって施錠を行うようにすればよい。しかしながら、このような手法を採用した場合にも、誰かが外出申告ボタンを押し忘れると、家族が家に残っているものと判断され、施錠が行われないという問題がある。
【0009】
このような問題を解消するために、外出申告ボタンの代わりに人の出入りを検出するセンサを玄関に配置して、出入りをその都度検出し、全員が家から出て行ったことが判別されたときに施錠を行うことも考えられる。しかしながら、複数人が一度に一塊に出入りしたような場合に、一人が出入りしたと誤認識が行われる可能性があるので、人数の計測を精度よく行うことができないという問題や、比較的大きな物を持って出入りする人の場合に所持する物まで人数に計数されるおそれがあるという問題がある。このような問題は高度な画像認識技術で個々の人間を分離して認識することで改善することができる可能性がある。しかしながら十分な精度を上げるためには、システムが複雑となったり、高価となるという問題がある。
【0010】
以上、家人の不在時における防犯を例に挙げたが、複数の者で構成されるグループの比較的近い距離に関する行動についての管理を簡単に精度よく行うことは困難とされた。
【0011】
そこで本発明の目的は、複数人からなるグループの比較的近い距離に関する行動を簡易に管理することのできるグループ行動管理システムおよびグループ行動管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明では、(イ)予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員であることを示す構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信する端末側近距離無線通信手段をそれぞれ備えた複数のグループユーザ端末と、(ロ)近距離無線通信を行う確認側近距離無線通信手段と、この確認側近距離無線通信手段の受信した通信相手がグループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別手段と、前記した特定グループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、グループ・構成員判別手段の判別したグループの構成員の全員が確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出手段と、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示手段とを具備する確認機とをグループ行動管理システムに具備させる。
【0013】
すなわち本発明では、グループユーザ端末の構成員がそれぞれ固有のデータを端末側近距離無線通信手段で確認機に繰り返し送信することにしている。確認機側では、特定グループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、グループ・構成員判別手段の判別したグループの構成員の全員が確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する。そして、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたときアクション実行指示手段で予め定めたアクションを実行させるようにしている。したがって、たとえばグループの全員が家屋からいなくなったときに、施錠というアクションを採らせることができる。
【0014】
請求項2記載の発明では、(イ)予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員であることを示す構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信する端末側近距離無線通信手段をそれぞれ備えた複数のグループユーザ端末と、(ロ)近距離無線通信を行う確認側近距離無線通信手段と、この確認側近距離無線通信手段の受信した通信相手が前記した特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別手段と、前記した特定のグループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、グループ・構成員判別手段の判別した前記した特定グループの構成員の全員が確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されたとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出手段と、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示手段とを具備する確認機とをグループ行動管理システムに具備させる。
【0015】
すなわち本発明では、グループユーザ端末の構成員がそれぞれ固有のデータを端末側近距離無線通信手段で確認機に繰り返し送信することにしている。確認機側では、特定グループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、特定グループの構成員の全員が確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されたとき、その条件成立の時点を検出する。そして、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたときアクション実行指示手段で予め定めたアクションを実行させるようにしている。したがって、たとえばグループの全員が集まったとき会議の開催の音声メッセージが出力されるといったアクションを採らせることができる。
【0016】
請求項3記載の発明では、(イ)予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員であることを示す構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信する端末側近距離無線通信手段をそれぞれ備えた複数のグループユーザ端末と、(ロ)近距離無線通信を行う確認側近距離無線通信手段と、この確認側近距離無線通信手段の受信した通信相手が前記した特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別手段と、前記した特定のグループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、グループ・構成員判別手段の判別した前記した特定グループの構成員のいずれかが確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出手段と、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示手段とを具備する確認機とをグループ行動管理システムに具備させる。
【0017】
すなわち本発明では、グループユーザ端末の構成員がそれぞれ固有のデータを端末側近距離無線通信手段で確認機に繰り返し送信することにしている。確認機側では、特定グループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、特定グループの構成員のいずれかが確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する。そして、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるようにしている。したがって、たとえば移動中のグループの構成員のいずれかが途中でいなくなったような場合に、移動を停止してその者を待つといったアクションを採らせることができる。
【0018】
請求項6記載の発明では、予め特定した複数の者の集まりからなるグループの構成員の一員のグループユーザ端末がそれらの端末側近距離無線通信手段を使用して構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信するとき、これらのグループユーザ端末と近距離無線通信を行う確認機のコンピュータが、グループ行動管理プログラムとして、(イ)近距離無線通信を受信した通信相手が前記した特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別処理と、(ロ)前記した特定グループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、グループ・構成員判別処理で判別した前記した特定グループの構成員の全員が近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出処理と、(ハ)この条件成立時点検出処理で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示処理とを実行することを特徴としている。
【0019】
すなわち本発明では、確認機のコンピュータが、グループユーザ端末から端末側近距離無線通信手段を使用して送られてくるデータを受信して、その結果から、特定グループの構成員の全員が近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する処理を実行するようにしている。この結果、たとえばグループの全員が家屋からいなくなったときに、施錠というアクションを採らせることができる。
【0020】
請求項7記載の発明では、予め特定した複数の者の集まりからなるグループの構成員の一員のグループユーザ端末がそれらの端末側近距離無線通信手段を使用して構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信するとき、これらのグループユーザ端末と近距離無線通信を行う確認機のコンピュータが、グループ行動管理プログラムとして、(イ)近距離無線通信を受信した通信相手が前記した特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別処理と、(ロ)グループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、グループ・構成員判別処理で判別した前記した特定グループの構成員の全員が近距離無線通信手段の通信相手として判別されたとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出処理と、(ハ)この条件成立時点検出処理で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示処理とを実行することを特徴としている。
【0021】
すなわち本発明では、確認機のコンピュータが、グループユーザ端末から端末側近距離無線通信手段を使用して送られてくるデータを受信して、その結果から、特定グループの構成員の全員が近距離無線通信手段の通信相手として判別されたとき、その条件成立の時点を検出する処理を実行するようにしている。この結果、たとえばグループの全員が集まったとき会議の開催の音声メッセージが出力されるといったアクションを採らせることができる。
【0022】
請求項8記載の発明では、予め特定した複数の者の集まりからなるグループの構成員の一員のグループユーザ端末がそれらの端末側近距離無線通信手段を使用して構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信するとき、これらのグループユーザ端末と近距離無線通信を行う確認機のコンピュータが、グループ行動管理プログラムとして、(イ)近距離無線通信を受信した通信相手が前記した特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別処理と、(ロ)前記した特定グループの構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、グループ・構成員判別処理で判別したグループの構成員のいずれかが近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出処理と、(ハ)この条件成立時点検出処理で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示処理とを実行することを特徴としている。
【0023】
すなわち本発明では、確認機のコンピュータが、グループユーザ端末から端末側近距離無線通信手段を使用して送られてくるデータを受信して、その結果から、特定グループの構成員のいずれかが近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する処理を実行するようにしている。この結果、たとえば移動中のグループの構成員のいずれかが途中でいなくなったような場合に、移動を停止してその者を待つといったアクションを採らせることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば近距離無線通信手段を使用して各グループユーザ端末の行動に応じたアクションを確認機が実行させることにしたので、確認機はある距離範囲にこれらの構成員がいるかどうかを判別し、この判別結果を用いて各種の論理を使用して構成員の利益を図ることができる。しかも近距離無線通信手段は携帯電話機、PHS、通信機能を備えたPDA等の携帯通信端末に広く使用されるようになっているので、システムの構築を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の一実施例におけるグループ行動管理システムの構成の概要を表わしたものである。このグループ行動管理システム200は、防犯の対象となる家屋201の出入りに使用するドア202を施錠するロック装置203と、このロック装置203に施錠を指示する確認機204を備えている。確認機204はブルートゥースによる近距離無線通信部(図示せず)を備えており、破線で示す存否確認領域205内にあらかじめ登録した家族の携帯電話機等のユーザ端末(以下、グループユーザ端末という。)206が存在するか否かの検出を行うようになっている。確認機204が存否確認領域205にグループユーザ端末206の存在を1台も検出していないとき、ロック装置203はドア202を施錠するようになっている。存否確認領域205は、確認機204を中心として約10メートルの範囲となっている。
【0027】
本実施例では、グループユーザ端末206を4人の家族(「パパ」、「ママ」、「太郎」、「花子」)のそれぞれが所持しているものとする。そして、原則ではこれらの家族全員が存否確認領域205からグループユーザ端末206を所持して外出すると、最後の一人が存否確認領域205を出た時点でロック装置203がドア202を施錠するようになっている。
【0028】
なお、本実施例ではグループユーザ端末206を4人の家族がそれぞれが所持するようになっているが、家屋201に一人が住んでいるような場合、その一人がグループユーザ端末206を所持していればよい。この場合には、その一人が外出時に鍵を掛け忘れても、存否確認領域205の外に出た時点でロック装置203がドア202を施錠することになる。
【0029】
寝たきりの老人や幼児のように単独で外出しない者は、本実施例のグループユーザ端末206を所持しないものとする。これらの者が家の中に残された場合にも、施錠を行う必要があるからである。「太郎」や「花子」は子供であっても単独で外出する年齢に達しているものとする。この場合、これらの者はグループユーザ端末206を所持している。したがって、家屋201に一人でいて、誰も帰ってこないうちに外出したような場合、存否確認領域205を外れた時点でロック装置203がドア202を施錠することになる。
【0030】
このようにグループユーザ端末206を所持している者が存否確認領域205から誰もいなくなった状態では、たとえ家人が施錠を忘れてもロック装置203がドア202を施錠する。したがって、不審者211は家屋201に容易に侵入することができない。
【0031】
図2は、本実施例のグループ行動管理システムの各部の構成の要部を示したものである。このグループ行動管理システム200で、図1に示した家屋201に配置される確認機204は、装置内部の制御を行う主制御部221を備えている。主制御部221は、CPU(Central Processing Unit)222とこのCPU222が実行する制御プログラムを格納した主制御部メモリ223を備えている。主制御部221は、ブルートゥースによる無線通信を行う近距離無線通信部225と、グループを構成するそれぞれのグループユーザ端末206P、206M、206T、206HのID(Identification)を保持する登録個体ID保持部226と、これらのグループユーザ端末206P、206M、206T、206Hの近距離無線の接続状態を監視する接続状態監視部227と、接続状態監視部227の監視結果が所定の条件を満たすときに予め指定したアクションを行う指定アクション制御部228の各部と接続されている。
【0032】
ここで、グループユーザ端末206Pは図1に示した家屋201に居住する家族の一員である「パパ」の端末であり、グループユーザ端末206Mは「ママ」の端末である。グループユーザ端末206Tは子供の「太郎」の端末であり、206Hは同じく子供の「花子」の端末である。
【0033】
指定アクション制御部228は、本実施例でロック装置203と接続されている。ロック装置203は施錠や開錠の制御信号に応じて、図示しないソレノイド等の駆動部品を使用してドア202(図1)の施錠や開錠を行う装置である。このようなロック装置203は、市販されているものを適宜使用することができる。そこでその構成の詳細な説明は省略する。
【0034】
指定アクション制御部228は、他の装置と接続し、各種の制御を行うことも可能である。たとえば家屋201に誰もいなくなったときには、防犯以外の照明器具を消灯したり、固定電話機を留守番モードにしたり、ガスや水道を止める制御を行うようにしてもよい。また、家屋201に誰かがいる状態となったときには前記した照明器具が点灯できる状態に戻したり、留守番モードを解除したり、ガスや水道を使用できる状態にするようにしてもよい。
【0035】
近距離無線通信部225は、グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hと近距離無線通信を行うようになっている。これらのグループユーザ端末206P、206M、206T、206Hは近距離無線通信について同一の回路機能を備えていればよい。そこで図2では「パパ」のグループユーザ端末206Pについてその回路構成を示している。
【0036】
グループユーザ端末206Pは、その全体的な制御を行う主制御部231を備えている。主制御部231は、CPU232とこのCPU232が実行する制御プログラムを格納した主制御部メモリ233を備えている。主制御部231は、ブルートゥースによる無線通信を行う近距離無線通信部235と、自端末のIDを保持する個体ID保持部236と、キースイッチ等の入力デバイスからなる操作部237と、文字等の視覚的な情報を出力する画像表示部238と、その他の携帯電話機としての機能を備えたその他携帯電話機能部239と接続されている。その他携帯電話機能部239は、図示しないが、通話用のスピーカおよびマイクロフォン、撮影用のカメラ等の通常の携帯電話機が備えるその他の部品から構成されている。
【0037】
確認機204の近距離無線通信部225は、登録個体ID保持部226に登録された各グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hの近距離無線通信部235との間で近距離無線通信を行い、その結果を接続状態監視部227に通知するようになっている。この近距離無線通信は、確認機204が各グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hを順に呼び出してこれらが応答するかの確認を行うようにしてもよいが、そうするとこれらのグループユーザ端末206P、206M、206T、206Hが近距離無線を待機する状態を常に持続しなければならず、特に長い時間自宅にいないユーザのグループユーザ端末206にとっては非効率となる。そこで、本実施例では各グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hが定期的に自己の近距離無線通信部235の電源を入れて個体IDを送出するようにし、確認機204側ではこのうちの受信できたグループユーザ端末206が存否確認領域205の範囲内にいると判断するようにしている。
【0038】
図3は、登録個体ID保持部の構成を表わしたものである。図2と共に説明する。本実施例の登録個体ID保持部226には、1つのグループを形成する各グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hの個体ID保持部236にそれぞれ自分の分について保持した個体IDが、それぞれの電話番号およびグループにおける関係と共に登録されるようになっている。登録個体ID保持部226への登録は、グループの管理者が行うようになっている。本実施例では、電話番号「0901×××」の「パパ」あるいは電話番号「0902×××」の「ママ」が行うようになっている。そして、そのIDをグループの各人に伝えて、これらの者が自分のグループユーザ端末206の個体ID保持部236に個別に登録するようになっている。
【0039】
ただし、確認機204自体は近距離無線通信部225を有しており、図1に示した存否確認領域205の範囲内では各グループユーザ端末206P、206M、206T、206H等の携帯電話機あるいはPHS等の携帯通信端末の近距離無線通信部235と通信が可能である。したがって、登録個体ID保持部226への登録後は、確認機204が同一グループの各グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hと個別に通信を行って、これらの個体ID保持部236に自動的に登録するようにしてもよい。
【0040】
また、逆に、同一グループの各グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hの所持者がそれぞれの個体ID保持部236に自分の個体ID等の所定の事項を登録して、これを確認機204に近距離無線通信部225の近距離無線で登録するようにしてもよい。ただし、後者の場合には、存否確認領域205の範囲にいる第三者が自己の携帯通信端末を登録個体ID保持部226に登録できる。したがって、この場合には確認機204へのアクセスに際してパスワードの入力を求める等の措置を採ることが好ましい。
【0041】
図4は、ペアリング設定が行われた後におけるユーザ端末側の近距離無線通信処理の様子を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。また、ここでは、一例としてグループユーザ端末206Pの場合の処理を説明する。他の206M、206T、206Hの処理動作も同様である。
【0042】
主制御部231は、まず、主制御部メモリ233の図示しないモード設定領域を参照して、このグループユーザ端末206Pがアクション実行モードに設定されているかどうかをチェックする(ステップS301)。ここでアクション実行モードとは、グループの全員のグループユーザ端末206P、206M、206T、206Hが存否確認領域205の範囲外となったときに、指定アクション制御部228が指定されたアクションを実行するモードをいう。このアクション実行モードをオフに設定したユーザ端末は、このモード変更を確認機204に通知しておくことで、グループの構成員から外れることができる。
【0043】
たとえば、グループユーザ端末206Pのユーザである「パパ」が海外出張中である場合には、そのアクション実行モードをオフにしておくことで、グループユーザ端末206P自体の消費電力を節約することができるだけでなく、グループ全員が揃ったときに特定のアクションを行うとしているときに、グループユーザ端末206Pが存否確認領域205の内部にいなくてもその条件を成立させることができる。また、グループの全員が不在となったときに特定のアクションを行うとしているときには、「パパ」が病気で自宅で寝込んでいるような場合にグループユーザ端末206Pのアクション実行モードをオフにしておくと、「パパ」以外の全員が外出した時点で施錠が行われることになる。
【0044】
ステップS301でアクション実行モードがオフであれば(N)、グループユーザ端末206Pは近距離無線通信部235を起動する処理を行うことなく、処理を終了する(リターン)。
【0045】
これに対してステップS301でアクション実行モードがオンのときには(Y)、グループユーザ端末206P内の図示しないタイマ回路による計測時間tが「0」にクリアされ(ステップS302)、計測時間tが所定の時間t1を越えるまで待機状態となる(ステップS303:N)。計測時間tが所定の時間t1を越えると(ステップS303:Y)、主制御部231は近距離無線通信部235を一時的に起動して個体ID保持部236に登録されている個体ID「IDP」を送信する(ステップS304)。そして、再びステップS301の処理に戻ることになる(リターン)。したがって、時間t1をたとえば30秒に設定しておけば、30秒ごとにグループユーザ端末206Pから個体ID「IDP」が近距離無線通信部235を用いて送信されることになる。
【0046】
なお、グループユーザ端末206P、206M、206T、206H同士の送信タイミングが競合する場合がある。このような場合にはステップS304で個体ID「IDP」を送信した後に送信が成功したかどうかを判別し、成功しなかった場合には、たとえば時間t1を上限とするような時間を乱数によって発生させ、その時間経過後に再び送信を試みるようにしてもよい。乱数を発生させることにしたのは、複数のグループユーザ端末206が送信を失敗したとき、これらのグループユーザ端末206に直後の送信を認めると、再び送信が競合する可能性が高いからである。乱数で発生させる時間の長さを制限したのは、確認機204側でグループ全員の存否を比較的短時間で確認することが好ましいからである。
【0047】
図5は、確認機側の近距離無線通信を使用した接続状態監処理の様子を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。確認機204の接続状態監視部227は、近距離無線通信部225を使用して近距離無線受信を待機している(ステップS321)。そして、存否確認領域205で近距離無線が受信されると(Y)、接続状態監視部227は登録個体ID保持部226に保持した登録した個体IDが検出されるかどうかを判別する(ステップS322)。図3に示した登録した個体IDが検出されたら(Y)、そのグループユーザ端末206が存否確認領域205に存在することを登録するか、登録済みであれば登録を更新する(ステップS323)。
【0048】
グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hについて、存否確認領域205に存在することの登録や更新処理は、主制御部メモリ223の所定のメモリ領域を使用して行われる。そして、たとえば「パパ」が自宅に帰ってきてグループユーザ端末206Pが存否確認領域205に入ると、その時点で「パパ」が存在することがこのメモリ領域に登録される。「存在」が登録されると、その状態は図4のステップS303で判別された所定の時間t1の数倍程度の予め定めた保持時間t2だけ保持される。この保持時間t2が経過する前に、グループユーザ端末206Pの個体ID「IDP」(図3参照)が存否確認領域205で再度検出されれば、「パパ」が自宅にいる状態が継続されることになる。
【0049】
これに対して、「パパ」がある時点で外出し、グループユーザ端末206Pが存否確認領域205を外れると、ステップS322の登録した個体ID「IDP」の検出ができなくなる(ステップS322:N)。この結果、最後の検出から保持時間t2だけ経過した時点で前記したメモリ領域からは「パパ」の「存在」が消去される。このようにして、接続状態監視部227は主制御部メモリ223を参照することで、各グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hの存否を確認することができることになる。
【0050】
図6は、確認機の指定アクション制御部によるアクション処理の様子を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。確認機204の指定アクション制御部228は、登録個体ID保持部226に登録したグループのユーザ端末(本実施例ではグループユーザ端末206P、206M、206T、206H)で、かつアクション実行モードをオフにしていない端末全部についての存在状態を主制御部メモリ223の前記したメモリ領域から読み出す(ステップS341)。この結果、存否確認領域205に1台も登録したユーザ端末が存在しない場合(ステップS342:N)、指定アクション制御部228は、指定したアクションを実行させる(ステップS343)。本実施例ではロック装置203に制御信号を送って、施錠を実行することになる。
【0051】
これに対してステップS342で1台以上の登録したユーザ端末が存否確認領域205に存在するとされた場合には(Y)、アクションが実行中であるかどうかの判断が行われる(ステップS344)。家屋201に誰もいなくなった状態で施錠が行われているときに、たとえば「ママ」が帰ってきてグループユーザ端末206Mが存否確認領域205で1台以上検出されたような場合である。この場合に施錠というアクションが実行中であれば(Y)、アクションの実行状態が解除される(ステップS345)。すなわち、ロック装置203による積極的な施錠動作が解除されるので、「ママ」は図示しない鍵を使用して開錠することができる。
【0052】
ロック装置203によっては、グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hを検知したこの時点で指定アクション制御部228の制御によって開錠を行ってもよい。ただし、「ママ」が家屋201に入った後、施錠すればロック装置203は施錠状態を保持する。これは、アクションが実行中でない場合で、誰かが夜間等の用心のために施錠した場合、これを保持させる必要があるからである。
【0053】
「ママ」が帰ってきて、アクション実行状態が一度解除された後に、「ママ」が在宅状態で、指定アクション制御部228が端末全部についての存在状態を主制御部メモリ223の前記したメモリ領域から読み出したとする(ステップS341)。このときには、アクションの実行状態が解除されている(ステップS344:N)。したがって、この場合、指定アクション制御部228はロック装置203に何らの制御も行うことなく処理を終了させる(リターン)ことになる。
【0054】
以上説明したように、本実施例では家人が鍵を掛け忘れて外出したような場合にも、指定アクション制御部228がロック装置203を制御して施錠させるので、ユーザの積極・能動的なアクションを必要とせずに防犯上の安全性を高めることができる。また、確認機204はインターネット等の外部ネットワークに接続されていないので、第三者が登録個体ID保持部226に不正登録を行うおそれもなく、この意味でも安全性を高めることができる。もちろん、すでに説明したように指定アクション制御部228は施錠の制御以外の制御に使用できるものであることはいうまでもない。
【0055】
<第1の変形例>
【0056】
図7は、本発明の第1の変形例における確認機の構成を表わしたものである。図7で図2と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。この変形例のグループ行動管理システム200Aで確認機204Aは、主制御部221Aに新たに公衆回線通信機能部401およびアクション対象機器動作確認部402を接続している。また、指定アクション制御部228Aは、実施例のロック装置203の代わりに外部状態監視・制御装置403を接続している。主制御部221Aの主制御部メモリ223Aには、この変形例の確認機204Aに対応させた制御プログラムが格納されている。アクション対象機器動作確認部402は、アクションの対象となる機器の状態を確認するための各種センサあるいは測定デバイス(共に図示せず)を接続している。
【0057】
このような構成の確認機204Aで、主制御部221Aは、グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hのすべてが近距離無線通信部225で通信不可能であること、すなわち図1の存否確認領域205外であることを検知すると、指定アクション制御部228Aに信号を送って、指定しておいたアクションを起動させる。指定アクション制御部228Aは、この起動状態で施錠や、電気・ガスの指定範囲の停止等の指定されたアクションを実行する。そして、アクションの実行の過程あるいはその後に、アクション対象機器動作確認部402がドア202(図1)の施錠や開錠の状態や、電気やガスのアクション開始前後の使用量の状態といったアクションの対象となる機器の状態を確認する。アクション対象機器動作確認部402はこの確認結果をあらかじめ設定したおいた値と比較すると共に、この比較結果が正常の範囲を超える場合には予め登録した指定通報先に公衆回線通信機能部401を使用してその状態を通報するようになっている。たとえば、グループ全員が外出して施錠が行われた後、グループユーザ端末206P、206M、206T、206Hのいずれかが近距離無線通信部225と通信を開始する前にドア202が開錠されたような場合には、第三者が違法に家屋201に侵入した可能性がある。そこで、グループの誰もいない状態で開錠されたことの通報が行われることになる。
【0058】
指定通報先は、たとえばグループユーザ端末206Pの所持者である「パパ」であったり、契約先の警備会社である。ガス会社あるいは役所の水道部門がこのような通報を受ける体制がある場合には、これらに対して直接通報するものであってもよい。通報は、状況を表わした語句の組み合わされた音声メッセージであってもよいし、電子メールであってもよい。
【0059】
更にこの変形例では、公衆回線通信機能部401からグループを構成するグループユーザ端末206P、206M、206T、206Hの各ユーザが問い合せを行ったとき、接続状態監視部227の監視結果や指定アクション制御部228Aの制御の状況あるいは外部状態監視・制御装置403の監視や制御の状況を返答することができるようになっている。たとえば、グループユーザ端末206Pの所持者である「パパ」は、接続状態監視部227を使用してグループの何人あるいは誰が在宅であるかを問い合せることができる。また、グループの各人は、グループの残りの構成員の全部または特定の者を指定して、アクション対象機器動作確認部402の確認結果を公衆回線通信機能部401から通知させることができる。これにより、地震等の災害が発生したときのグループ構成員の確認を行うことができる他に、ドア202の施錠の異常等の異常発生あるいはその可能性があるときにグループ構成員の判断を聞いたり、他の者に判断を委ねることができる。
【0060】
このように本発明の第1の変形例によれば、確認機204Aが実施例の確認機204と異なり、近距離無線通信部225以外の通信網にアクセスする手段として公衆回線通信機能部401を備えているので、指定アクション制御部228Aのアクションの結果やアクション対象機器動作確認部402の確認結果のうちの必要なものについて外部に通知することができる。また、外部からの問い合わせに対して必要に応じて応答することができる。したがって、確認機204Aが外部と切り離されている場合と比べて、より適切な措置を採ることが可能になる。これにより、グループの当事者に人為的なミスがあったり、システムに予想外の障害が発生した場合にも、ネットワークの利用により、そのミスを最小限に抑えることができる。また、すべてを自動化する場合に比べてシステムを構築したり運用する費用を低減させることができる。
【0061】
<第2の変形例>
【0062】
図8は、本発明の第2の変形例のシステム構成を表わしたものである。この第2の変形例では、グループ行動管理システム200Bで、確認機204Bは、ビデオプレーヤ501に接続されている。ビデオプレーヤ501は、所定の動画を再生する画像・音声再生装置502に接続されている。これらの装置の手前には視聴領域503が設定されている。この視聴領域503に、たとえば第Mグループの構成メンバ5041、5042、……504mの全員が揃うと、確認機204Bはビデオプレーヤ501に再生開始信号を送出し、A説明場所における説明を動画の再生によって行う。このために、第Mグループの構成メンバ5041、5042、……504mには、それぞれに対応させてグループユーザ端末206B1、206B2、……206Bmを所持させている。
【0063】
ビデオプレーヤ501で再生される動画の最初には、第Mグループの者に対する合成音による簡単な挨拶が挿入されており、その後、そのA説明場所に配置された図示しない絵画や彫刻あるいはA説明場所の付近の景色や建造物の説明が動画の再生によって行われる。動画の最後には、図示しないB説明場所への簡単な順路の説明と、第Mグループの構成メンバ5041、5042、……504mの全員がB説明場所に到達した時点でその場所における動画の再生が行われることが告げられる。この後、確認機204Aは、B説明場所に配置された図示しない確認機に対して、次に到来する第Mグループの構成メンバ5041、5042、……504mのグループユーザ端末206B1、206B2、……206Bmの個体IDと、全人数mを通信することになる。
【0064】
すなわち、この変形例のグループ行動管理システム200Bでは、たとえば美術品の鑑賞の目的で第Mグループが美術館を訪れたことを想定している。美術館では、各説明場所にグループ単位で移動していき、グループ全員が集合した時点で動画の再生による説明が行われるようになっている。1つの場所で説明が終了したときは次の説明場所に同一グループの全員が移動するようにして、各グループが順に秩序正しく美術品の鑑賞を行えるようにしている。
【0065】
ここで、確認機204Bは視聴場所503にいるグループユーザ端末206B1、206B2、……206Bmと近距離無線通信を行うことで、グループ全員が揃ったかどうかを確認するようにし、揃った時点で所定の動画を再生するというアクションを行うことになる。各場所に配置された確認機204B同士の通信は、LAN(Local Area Network)を使用して行ってもよいし、図示しない公衆電話回線あるいはより長距離まで通信可能な無線通信技術を使用して行ってもよい。
【0066】
図9は、この第2の変形例における確認機のアクション処理の様子を表わしたものである。図8および図2と共に説明する。ただし、図2におけるグループ行動管理システム200、確認機204およびグループユーザ端末206は、それぞれグループ行動管理システム200B、確認機204Bおよびグループユーザ端末206Bと置き換えて説明する。確認機204Bの指定アクション制御部228は、登録個体ID保持部226に登録したグループの全部のユーザ端末(この変形例ではグループユーザ端末206B1、206B2、……206Bm)の存在状態を主制御部メモリ223の前記したメモリ領域から読み出す(ステップS601)。この結果、ある時点で全部のグループユーザ端末206B1、206B2、……206Bmの存在が視聴領域503で確認できたら(ステップS602:Y)、「第Mグループの皆様がお揃いになりましたので、この場所の美術品を案内するビデオを上映します。」といったような挨拶ビデオが上映され(ステップS603)、その第Mグループについて指定された言語でこの場所の美術品を案内するビデオが上映される(ステップS604)。そして、次に第Mグループが集合する集合場所を示すビデオが出力されることになる(ステップS605)。
【0067】
この第2の変形例のグループ行動管理システム200Bによれば、引率者を必要とせずにグループ単位で各場所にグループ構成員全員を集めて説明を行ったり、ビデオの上映を行うといったことが可能になる。したがって、たとえば英語で説明を行うグループ、ロシア語で説明を行うグループといったようにグループがそれぞれ個性を有する場合であっても、これらに対する個別サービスが可能になる。
【0068】
また、グループの一部の構成員が説明場所等の規定の集合場所に集まらないような場合には、その構成員の氏名とグループユーザ端末206Bを判別することで、該当するグループユーザ端末206Bに呼び出しを行うといった対策もプログラムの工夫によって可能になる。
【0069】
<第3の変形例>
【0070】
図10は、本発明の第3の変形例のシステム構成を表わしたものである。この第3の変形例のグループ行動管理システム200Cでは、引率者701が複数の課外授業参加者7021、7022、……702nにグループユーザ端末703C1、703C2、……703Cnを所持させて、ハイキングに出かけている。引率者701は、確認機204Cを所持している。確認機204Cは、これから所定の距離範囲の存否確認領域205Cに、常にグループユーザ端末703C1、703C2、……703Cnが存在することを前提にしてハイキングを行うことにしている。
【0071】
図11は、この第3の変形例における確認機のアクション処理の様子を表わしたものである。図10および図2と共に説明する。ただし、図2におけるグループ行動管理システム200、確認機204およびグループユーザ端末206は、それぞれグループ行動管理システム200C、確認機204Cおよびグループユーザ端末703Cと置き換えて説明する。確認機204Cの指定アクション制御部228は、登録個体ID保持部226に登録したグループの全部のユーザ端末(この変形例ではグループユーザ端末703C1、703C2、……703Cn)の存在状態を主制御部メモリ223の前記したメモリ領域から読み出す(ステップS801)。この結果、ある時点でグループユーザ端末703C1、703C2、……703Cnの少なくとも一部の存在が存否確認領域205Cで確認できなくなったら(ステップS802:Y)、その確認できなくなったグループユーザ端末703Cの全部についてユーザとしての課外授業参加者702の名前を、図示しないディスプレイに表示すると共に、図示しないスピーカからアラーム音を出力させる(ステップS803)。以上のアラーム通知は、引率者701が確認機204Cの図示しない操作キーを操作して通知動作を解除するまで行われる(ステップS804)。
【0072】
これにより、たとえば図10でたとえば課外授業参加者702nが存否確認領域205Cの外に取り残されたような場合にも、早期発見が可能になる。ここで各グループユーザ端末703C1、703C2、……703Cnおよび確認機204Cが携帯電話機としての機能を備えていれば、存否確認領域205Cで確認できなくなった課外授業参加者702nのグループユーザ端末703Cnと確認機204C、あるいはグループ内の他のグループユーザ端末703C1、703C2、……703Cn-1との間で携帯通信網を利用した通信が可能であり、課外授業参加者702nの所在を突き止めることが容易になる。
【0073】
また、確認機204Cが所定時間内にグループユーザ端末703Cnと近距離無線通信が不可能な状態を解消できなかったときには、その親権者や警察等の必要な連絡先に確認機204Cから現在位置や該当する課外授業参加者702nの氏名や所持する携帯電話機の電話番号等の事項の通知が行くように設定しておくことで、転落事故等の不慮の事故に迅速かつ適切に対応することができるようになる。
【0074】
なお、以上説明した実施例および変形例では、ブルートゥースによる無線通信技術を使用したが、通信可能な範囲の広狭に応じて赤外線通信等の他の近距離無線通信技術を使用して本発明を構成してもよいことは当然である。
【0075】
また、以上説明した実施例および変形例では、それぞれのグループユーザ端末が自発的に確認機204、204A、204B、204Cにデータを送信するようにしたが、確認機204、204A、204B、204C側がそれぞれのグループユーザ端末をポーリングするようにしてもよいことは当然である。
【0076】
更に実施例では確認機204が指定アクション制御部228に接続されたロック装置203にアクションを指示したが、異常事態が発生したときにはグループユーザ端末206P、206M、206T、206Hにアラームを発するようにしてもよい。指定アクション制御部228に接続された装置がそのような通知を行うものであってもよいことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施例におけるグループ行動管理システムの構成の概要を表わしたシステム構成図である。
【図2】本実施例のグループ行動管理システムの各部の構成の要部を示したブロック図である。
【図3】本実施例の登録個体ID保持部の構成を表わした説明図である。
【図4】本実施例でペアリング設定が行われた後におけるユーザ端末側の近距離無線通信処理の様子を表わした流れ図である。
【図5】本実施例で確認機側の近距離無線通信を使用した接続状態監処理の様子を表わした流れ図である。
【図6】本実施例で確認機の指定アクション制御部によるアクション処理の様子を表わした流れ図である。
【図7】本発明の第1の変形例における確認機の構成を表わしたブロック図である。
【図8】本発明の第2の変形例のシステム構成図である。
【図9】第2の変形例における確認機のアクション処理の様子を表わした流れ図である。
【図10】本発明の第3の変形例のシステム構成図である。
【図11】第3の変形例における確認機のアクション処理の様子を表わした流れ図である。
【図12】従来の住宅の監視システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
【0078】
200、200A、200B、200C グループ行動管理システム
201 家屋
203 ロック装置
204、204A、204B、204C 確認機
205、205C 存否確認領域
206、703C グループユーザ端末
221、231 主制御部
222、232 CPU
223、233 主制御部メモリ
225、235 近距離無線通信部
226 登録個体ID保持部
227 接続状態監視部
228 指定アクション制御部
401 公衆回線通信機能部
402 アクション対象機器動作確認部
403 外部状態監視・制御装置
501 ビデオプレーヤ
502 画像・音声再生装置
503 視聴領域
504 構成メンバ
701 引率者
702 課外授業参加者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員であることを示す構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信する端末側近距離無線通信手段をそれぞれ備えた複数のグループユーザ端末と、
近距離無線通信を行う確認側近距離無線通信手段と、この確認側近距離無線通信手段の受信した通信相手が前記グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別手段と、前記特定グループの前記構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、前記グループ・構成員判別手段の判別した前記特定グループの構成員の全員が前記確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出手段と、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示手段とを具備する確認機
とを具備することを特徴とするグループ行動管理システム。
【請求項2】
予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員であることを示す構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信する端末側近距離無線通信手段をそれぞれ備えた複数のグループユーザ端末と、
近距離無線通信を行う確認側近距離無線通信手段と、この確認側近距離無線通信手段の受信した通信相手が前記特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別手段と、前記特定のグループの前記構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、前記グループ・構成員判別手段の判別した前記特定グループの構成員の全員が前記確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されたとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出手段と、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示手段とを具備する確認機
とを具備することを特徴とするグループ行動管理システム。
【請求項3】
予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員であることを示す構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信する端末側近距離無線通信手段をそれぞれ備えた複数のグループユーザ端末と、
近距離無線通信を行う確認側近距離無線通信手段と、この確認側近距離無線通信手段の受信した通信相手が前記特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別手段と、前記特定のグループの前記構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、前記グループ・構成員判別手段の判別した前記特定グループの構成員のいずれかが前記確認側近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出手段と、この条件成立時点検出手段で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示手段とを具備する確認機
とを具備することを特徴とするグループ行動管理システム。
【請求項4】
前記端末側近距離無線通信手段は、予め定めた周期で前記固有のデータを送信する送信手段を具備することを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のグループ行動管理システム。
【請求項5】
前記端末側近距離無線通信手段は、確認機の指示によって前記固有のデータを送信する送信手段を具備することを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のグループ行動管理システム。
【請求項6】
予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員のグループユーザ端末がそれらの端末側近距離無線通信手段を使用して構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信するとき、これらのグループユーザ端末と近距離無線通信を行う確認機のコンピュータが、
近距離無線通信を受信した通信相手が前記特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別処理と、
前記特定グループの前記構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、前記グループ・構成員判別処理で判別した前記特定グループの構成員の全員が前記近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出処理と、
この条件成立時点検出処理で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示処理
とを実行することを特徴とするグループ行動管理プログラム。
【請求項7】
予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員のグループユーザ端末がそれらの端末側近距離無線通信手段を使用して構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信するとき、これらのグループユーザ端末と近距離無線通信を行う確認機のコンピュータが、
近距離無線通信を受信した通信相手が前記特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別処理と、
前記グループの前記構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、前記グループ・構成員判別処理で判別した前記特定グループの構成員の全員が前記近距離無線通信手段の通信相手として判別されたとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出処理と、
この条件成立時点検出処理で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示処理
とを実行することを特徴とするグループ行動管理プログラム。
【請求項8】
予め特定した複数の者の集まりからなる特定グループの構成員の一員のグループユーザ端末がそれらの端末側近距離無線通信手段を使用して構成員ごとに固有のデータを繰り返し送信するとき、これらのグループユーザ端末と近距離無線通信を行う確認機のコンピュータが、
近距離無線通信を受信した通信相手が前記特定グループの構成員であるかと、構成員のいずれであるかを判別するグループ・構成員判別処理と、
前記特定グループの前記構成員の全体との少なくとも1回分の通信が終了する時間の経過後に、前記グループ・構成員判別処理で判別したグループの構成員のいずれかが前記近距離無線通信手段の通信相手として判別されなくなったとき、その条件成立の時点を検出する条件成立時点検出処理と、
この条件成立時点検出処理で条件成立が検出されたとき予め定めたアクションを実行させるアクション実行指示処理
とを実行することを特徴とするグループ行動管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−79122(P2008−79122A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257618(P2006−257618)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】