説明

ゲート誘電体層及びパッシベーション層としてポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを有する薄膜トランジスタ

【課題】ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを薄膜トランジスタのパッシベーション層又はゲート誘電体層として提供することによる、従来の材料に関連した問題、及びTFTに層又は膜を適用する方法に関連した問題を解決する。
【解決手段】以下の構造のポリマー繰り返し単位が含まれる、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを薄膜トランジスタのパッシベーション層又はゲート誘電体層として使用する。
−(O−Ar1−O−Ar2m−(O−Ar3−O−Ar4n
(式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、同一又は異種のアリール基、mは0〜1、nは1−mであり、アリール基の少なくとも1つがポリマー骨格にグラフトしている。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの使用に関し、より詳細には、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマー骨格にグラフトした官能基の使用に関し、薄膜トランジスタのような多層電子デバイスのゲート誘電体層として特に有用な、ある範囲のガラス転移温度を有して水分吸収量が少ない架橋性ポリマーを提供する。また、本発明は、薄膜トランジスタ(TFT)を形成するためにポリマーを適用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス産業では、低温で薄膜トランジスタのような多層電子デバイスを作製する際に使用するゲート誘電材料が、特に印刷トランジスタについて必要とされている。しかしながら、幅広い範囲の条件、堆積技術及び温度にわたって、材料の適合性、処理性及び良好な電気特性が必要とされることが重大な問題となっている。折り曲げ可能な又は軽量なトランジスタにポリマーを使用するために必要な温度(すなわち硬化温度)は400℃未満であり、より好ましくは約180℃未満であるために、このような問題はポリマーで解決するのが非常に困難なものとなっている。
【0003】
従って、多層電子デバイス製造産業で必要とされているのは、窒化ケイ素系のゲート誘電材料を、溶液キャスト技術、例えばスピンコーティング、スロット押出又は印刷によって付着可能な、処理温度がより低温の材料で置き換えることである。窒化ケイ素及びそれを改質したものは一般的に300℃を超える温度で処理され、通常化学気相堆積技術によって堆積される。ポリマー材料を層間誘電体(ILD)、シャロートレンチアイソレーション(STI)材料又はストップ層誘電体(SLD)としたシリカの置き換えが検討されているが、ポリマー材料は疎水性を欠いているかあるいは低温で架橋できないことから、ゲート誘電体としての使用は従来報告されていない。特に、耐溶剤性で、印刷又はスロット押出が可能であり、180℃以下で処理可能であって、さらにゲート誘電体に必要な電気特性をもたらす、以下に記載の本発明のポリマーシステムのようなポリマーシステムは、ゲート誘電体としてこれまで使用されて来なかった。薄膜トランジスタ用のゲート誘電材料として試験されてきた多くのポリマーは、水分吸収を防ぐために必要な疎水性を欠いており、次の層の堆積に使用される場合があってゲート誘電体層を損傷しうる他の溶剤との接触に耐える能力を欠いている。従って、良好な耐溶剤性を得るために必要な架橋を組み合わせて上記基準に合致したゲート誘電材料が望まれる。
【0004】
ポリ(アリーレンエーテル)を架橋する過去の試みでは、様々な高温架橋基を利用して高Tgポリマーが得られており、この化学はアモルファスシリコン又は低温ポリシリコン薄膜トランジスタ用の層内誘電材料又は層間誘電材料として使用できる。これらの化学の詳細な総括が米国特許第6060170号に記載されており、参照することにより本明細書の一部とする。この特許は、ポリ(アリーレンエーテル)骨格にグラフトした芳香族基を有するポリ(アリーレンエーテル)ポリマー組成物を使用することを教示しており、このグラフトによって、温度範囲200〜450℃でこのポリマーを架橋できる。しかしながら、架橋温度をさらに下げることが、折り曲げ可能な基材上の薄膜トランジスタ又は有機薄膜トランジスタ用の誘電材料及びパッシベーション材料にとって望ましい。
【0005】
ディスプレイ及びイメージングバックプレーン又は薄膜トランジスタの製造には、適当な被膜、特にゲート誘電体絶縁層が必要である。これらの層は、誘電率が低くても高くてもよく、漏れ電流値が低く、耐溶剤性が良好で、水分吸収が少ないことが必要とされる。加えて、25℃での貯蔵安定性が無限であり、40℃での貯蔵安定性が非冷蔵車での野ざらしの運搬に十分であり、硬化温度が130〜180℃又は300℃未満である、これらの層を形成する溶液を提供することが望まれる。硬化後は、耐溶剤性を有し、誘電率が3.5未満で、水分吸収が少ないことが望ましい。
【0006】
本明細書で引用した全ての文献は、参照することによりその全体を本明細書の一部とする。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6060170号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを薄膜トランジスタのパッシベーション層又はゲート誘電体層として提供することによる、従来の材料に関連した問題、及びTFTに層又は膜を適用する方法に関連した問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、以下の構造のポリマー繰り返し単位を含む。
【化1】

(式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4が、同一又は異種のアリーレン基、mは0〜1、nは1−mであり、G1-8がそれぞれ、H、アルキル基、アルキレン基もしくは官能基化したアルキレン基、もしくは以下の図Aで表される基:
【化2】

又はこれらの混合物であり、そのポリマーの繰り返し単位あたりのG基の平均数であるZが0.1〜4.0であり、R1、R2、R3、R4がそれぞれ、H、アルキル基又はアルコキシ基であり、このアルコキシ基はC1-8の直鎖又は分岐アルキル基を有してよい。)
【0010】
本発明の態様の1つでは、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、非官能性繰り返し単位から本質的になり、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4がそれぞれ、
【化3】

及びこれらの混合物からなる群から選択されるアリーレン基であるが、9,9−ジフェニルフルオレンのジラジカル以外の、Ar1及びAr2、又はAr3及びAr4は、異性体的に等価物ではない。いくつかの場合、グラフトポリマーは、構造:
【化4】

の繰り返し単位を有する。
【0011】
グラフトポリマーは、以下の繰り返しポリマー単位を含んでもよい。
【化5】

(式中、グラフトG1-4がそれぞれ、H、アルキル基、アルキレン基、官能性アルキレン基又は以下で表される基:
【化6】

及びこれらの混合物からなる群から選択され、ポリマー単位あたりのG基の平均数であるZが0.1〜4.0である。)
【0012】
グラフトポリマーは、以下の繰り返しポリマー単位を含んでもよい。
【化7】

(式中、G1-4がそれぞれ、H、アルキル基、アルキレン基、官能性アルキレン基、又は
【化8】

であって、ポリマー単位あたりのG基の平均数であるZが0.1〜4.0である。)
【0013】
また、薄膜トランジスタ用のパッシベーション層又はゲート誘電体層として使用するための、任意選択的なグラフトポリ(アリーレンエーテル)ポリマーも提供され、ポリマー繰り返し単位のアリール基はそれぞれ、次の構造で示すように、2つの不飽和基Gとグラフトしている。
【化9】

(式中、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7及びG8は、同一又は異種の非芳香族不飽和基であって、これらの基は、硬化中に揮発分を生成せず、かつ硬化後に官能基を提供することなく、200℃未満の硬化温度で架橋するように適合している。)
【0014】
不飽和基Gの平均数は、ポリマー繰り返し単位あたり0.1〜4.0である。この平均は、ポリマーあたりの不飽和基Gの合計数を、ポリマーあたりのポリマー繰り返し単位の合計数で割ったものとして計算される。
【0015】
さらに、ポリマーと、必要に応じて、官能基を提供しない又は組成物の機械特性もしくは電気特性と干渉しない希釈剤とを含む、薄膜トランジスタ製造用ゲート誘電体組成物又はパッシベーション組成物も提供される。
【0016】
さらに、架橋温度が約130℃〜約180℃で、誘電率が3.5未満で、最大水分吸収量が約0.2質量%未満のポリ(アリーレンエーテル)膜を有する、ゲート誘電体基材の作製方法も提供される。この方法には、本発明のポリマーをゲート誘電体基材に、スピンコーティング、スロット押出又は印刷のいずれかによって適用する工程と、このポリマーを約300℃以下、又は一般に約250℃未満もしくは約180℃未満の硬化温度に加熱する工程とが含まれる。
【0017】
さらに、グラフトポリ(アリーレンエーテル)ポリマー膜をゲート誘電体層及び/又はパッシベーション層として含有する、多層電子デバイスも提供される。
【0018】
さらに、グラフトポリ(アリーレンエーテル)ポリマー膜をゲート誘電体層及び/又はパッシベーション層として含有する、薄膜トランジスタも提供される。
【0019】
また、グラフトポリ(アリーレンエーテル)ポリマー膜をゲート誘電体層及び/又はパッシベーション層として含有する、印刷薄膜トランジスタも提供される。
【0020】
また、本発明は、本発明のポリマーの少なくとも1種を含む、(未硬化の及び硬化した)ゲート誘電体組成物にも関する。この組成物は、ポリマー自体と同様に、ゲート誘電体及びパッシベーション層として有用となりうる。この少なくとも1種のポリマーに加えて、この組成物は、例えば、少なくとも1種の溶剤、反応性溶剤もしくは希釈剤、少なくとも1種の界面活性剤、又は少なくとも1種の無機フィラーが挙げられるが、これらに限られない追加成分をさらに含有してもよい。そのような組成物は、他の方法の中でも特にスピンコーティング、印刷のような任意の適当な方法によって、基材上に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上述した従来技術の欠点は、低温で処理可能であって、薄膜トランジスタ用のゲート誘電体層又はパッシベーション材料の他の特性を示すことが可能なポリマーを用いて克服される。「ゲート誘電体層」とは、図1〜3に示すような、水平に配置したゲート電極と水平に配置した半導体層との間に位置する、水平に配置した絶縁膜又は絶縁層として定義される。ゲート誘電体層が、ゲート電極及び半導体層のうち少なくとも一方と直接接触していてもよく、あるいは、少なくとも1つの他の層が、ゲート誘電体層と、ゲート電極及び半導体層のうち少なくとも一方との間に配置されてもよい。
【0022】
本発明のポリマーは、硬化温度が300℃未満、又は一般に250℃未満もしくは約180℃未満で架橋可能な不飽和基又は飽和基のいずれか(すなわちグラフト(G))を、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーにグラフトすることによって調製される。従って、本発明は、必要に応じて溶剤又は反応性希釈剤と組み合わせた、特定のポリ(アリーレンエーテル)ポリマー及びこれらのポリマーを含有する組成物、ゲート誘電体及びパッシベーション層としてのそれらの使用、それらを含むマイクロエレクトロニクスデバイス、それらポリマーの適用方法、並びにそのようなポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含むゲート誘電体層又はパッシベーション層に関する。硬化は、加熱によるか、UV照射によるか、あるいはこれら2つの組み合わせによって行うことができる。
【0023】
また、本発明は、本発明のポリマーの少なくとも1種を含む、(未硬化の及び硬化した)ゲート誘電体組成物にも関する。この組成物は、ポリマー自体と同様に、ゲート誘電体層及びパッシベーション層として有用である。この少なくとも1種のポリマーに加えて、この組成物は、例えば、少なくとも1種の溶剤、少なくとも1種の反応性溶剤もしくは希釈剤、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種の界面活性剤、又は少なくとも1種の無機フィラーが挙げられるが、これらに限られない追加成分をさらに含有してもよい。そのような組成物は、他の方法の中でも特にスピンコーティング、スロット押出、印刷のような任意の適当な方法によって、基材上に適用可能である。
【0024】
本発明のポリマーは、以下の構造で表されるポリマー繰り返し単位を含んでもよい。
−(O−Ar1−O−Ar2m−(O−Ar3−O−Ar4n
(式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、同一又は異種のアリール基、mは0〜1、nは1−mであって、該アリール基の少なくとも1つが少なくとも1つの飽和基又は不飽和基(G)とグラフトしており、該少なくとも1つの飽和基又は不飽和基は非芳香族であって、硬化中に揮発分を生成せず、かつ硬化後に官能基を提供することなく、約200℃未満の硬化温度で架橋するように適合している。)
【0025】
ある実施態様では、以下の構造に示すように、ポリマー繰り返し単位の各アリール基がが2つの不飽和基Gとグラフトしている。
【化10】

(式中、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7及びG8は、同一又は異種の不飽和基である。)
【0026】
本発明のポリマーは、これらのポリマー繰り返し単位(すなわち、G含有ポリマー繰り返し単位)のみからなっている必要はない。ポリマーがG含有ポリマー繰り返し単位のみから作られている実施態様に加えて、本発明は、G含有ポリマー繰り返し単位に加えて他のポリマー繰り返し単位を含むポリマー、例えば、不飽和グラフトを欠いているポリ(アリーレンエーテル)ポリマー繰り返し単位(すなわちG非含有ポリマー繰り返し単位)を含むポリマーも包含する。異種のポリマー繰り返し単位を組み合わせて本発明のポリマーが形成可能である配列は、特に限定されない。従って、本発明のポリマーは、例えば、異種のポリマー繰り返し単位のランダム、交互又はブロック共重合体であってよい。
【0027】
不飽和基Gの平均数は、ポリマー繰り返し単位あたり約0.01〜約8.0であってよく、一般に約0.1〜約4.0であってよい。この平均は、ポリマーあたりの不飽和基Gの合計数を、ポリマーあたりのポリマー繰り返し単位の合計数で割ったものとして計算される。
【0028】
本発明のある態様では、不飽和基Gは、アルキレン基、アルキルジエン基、α−ヒドロキシアルキレン基、及びα−ヒドロキシアルキルジエン基からなる群からそれぞれ選択されるオレフィンを含む。ある実施態様では、不飽和基Gはイソプレン単位に由来する。不飽和基Gは、典型的には以下からなる群からそれぞれ選択される。
【化11】

【0029】
本発明の別の態様では、アリール基Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、以下からなる群からそれぞれ選択される。
【化12】

【0030】
一般に、アリール基Ar1、Ar2、Ar3及びAr4のうち少なくとも1つは、(そしていくつかの場合では、Ar1及びAr3がそれぞれ別々に)9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン、又は2,2−ジフェニルプロパンである。
【0031】
さらに有用なアリール基には以下が含まれる。
【化13】

【0032】
不飽和基がグラフトされた有用なアリール基の例として、
【化14】

【化15】

及びこれらに対応する非グラフトポリマー繰り返し単位が挙げられる。
【0033】
本発明のある態様では、本発明のポリマー繰り返し単位には以下が含まれる。
【化16】

【化17】

【0034】
グラフトポリマーは以下の繰り返しポリマー単位を含んでもよい。
【化18】

(式中、グラフトG1-4がそれぞれ、H、アルキル基、アルキレン基、官能性アルキレン基又は以下で表される基:
【化19】

及びこれらの混合物からなる群から選択され、ポリマー単位あたりのG基の平均数であるZが約0.1〜約4.0である。)
【0035】
グラフトポリマーは以下の繰り返しポリマー単位を含んでもよい。
【化20】

(式中、G1-4がそれぞれ、H、アルキル基、アルキレン基、官能性アルキレン基、又は
【化21】

であって、ポリマー単位あたりのG基の平均数であるZが約0.1〜約4.0である。)
【0036】
本発明は、硬化(架橋)状態及び未硬化状態の、上述のゲート誘電体ポリマーを包含する。本発明のポリマーは、少なくとも約90℃、典型的には約100℃〜約250℃未満、一般に約130℃〜約180℃に加熱することによって熱硬化できる。必要に応じて、無機酸、有機酸、フリーラジカル開始剤、アゾ開始剤及びこれらの混合物からなる群から選択される触媒の存在下で架橋が誘起される。
【0037】
必要に応じて、照射源の存在下で熱処理と組み合わせて架橋が誘起される。この場合、その照射は、紫外線(UV)(例えば、遠紫外線から可視光の範囲)、電子線、X線、レーザー、及び/又はイオンビームから構成されてもよい。イオン化照射源の波長域は、約1nm〜約700nm、より具体的には約157nm〜約500nmであってよい。イオン化照射源に紫外線が含まれる実施態様では、照射エネルギーは、約1〜約500mJ/cm2であってよい。しかしながら、比エネルギー量は様々であってよく、照射器具及び/又は被膜の成分に左右される。
【0038】
また、本発明は、本発明のポリマーを少なくとも1種含む(硬化した及び未硬化の)ゲート誘電体組成物にも関する。この組成物は、ポリマー自体と同様に、ゲート誘電体及びパッシベーション層として有用である。この少なくとも1種のポリマーに加えて、組成物は、例えば、少なくとも1種の溶剤、少なくとも1種の反応性希釈剤もしくは溶剤、少なくとも1種の可塑剤、少なくとも1種の界面活性剤、又は少なくとも1種の無機フィラーが挙げられるが、これらに限られない追加成分をさらに含有してもよい。そのような組成物は、他の方法の中でも特にスピンコーティング、印刷のような任意の適当な方法によって、基材上に適用可能である。本発明の組成物を適用するための他の方法は、米国特許出願公開第2006/0079034号に開示されており、参照することにより本明細書の一部とする。本発明の組成物は幅広い種類の基材に適用可能であり、例えば、他の基材の中でも特に、シリコン、ガラス、プラスチック、金属、有機及び無機半導体、並びに紙からなる群から選択される少なくとも1つの要素に適用可能である。
【0039】
架橋のときに反応性希釈剤及び溶剤を組成物に組み入れてもよいが、これらは官能基を提供してはならず、また組成物の機械特性又は電気特性と干渉してはならない。このように、反応性希釈剤によって、薄膜として又は印刷によって適用可能な層を得ることができ、システム全体のコストを低減できる。適した反応性希釈剤の例には、
【化22】

の群からの少なくとも1つの要素が含まれるが、これらに限られない。
【0040】
乾燥又は硬化前の溶剤量は、典型的には組成物の約2質量%〜約95質量%である。任意の適当な溶剤が使用できるが、適した溶剤の例には、他の中でも特に、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン及びジクロロベンゼンからなる群から選択される少なくとも1つの要素が含まれる。
【0041】
また、組成物は少なくとも1種の反応性溶剤又は希釈剤を含んでもよい。任意の適当な反応性溶剤又は希釈剤が使用できるが、適した溶剤の例には、他の中でも特に、スチレン及びジビニルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1つの要素が含まれる。反応性溶剤又は希釈剤の量は、典型的には組成物の約0.01質量%〜約80質量%である。
【0042】
また、組成物は少なくとも1種のフィラーを含んでもよい。任意の適当なフィラーが使用できるが、適したフィラーの例には、他の中でも特に、シリカ及びアルミナからなる群から選択される少なくとも1種の無機フィラーが含まれる。フィラー量は、典型的には組成物の約0.01質量%〜約50質量%である。
【0043】
本発明のポリマーは、本発明者らの先の米国特許第6060170号(参照することにより本明細書の一部とする)に記載されているポリ(アリーレンエーテル)グラフト方法を変更することにより、第6060170号特許の特定の芳香族基以外の非芳香族不飽和基Gをポリ(アリーレンエーテル)骨格にグラフトして得ることができる。
【0044】
上述したように硬化して得られたポリマーは、架橋温度が約250℃未満、周波数非依存性の誘電率が3.0未満、最大水分吸収量が0.17質量%未満といった望ましい特性を有している。また、これらのポリマーを、誘電率値が約3未満、漏れ電流値が約1×10-8A/cm2未満、及び絶縁破壊電圧が約1.5MV/cmを超える膜又は層を作製するために使用できる。結論として、本発明のポリマー及びポリマー含有組成物は、ゲート誘電体又はパッシベーション層として使用するのに特に適している。従って、本発明は、そのようなゲート誘電体層又はパッシベーション層、及びそれらを基材に適用する方法もさらに包含する。
【0045】
加えて、本発明は、上記定義したポリマー又はポリマー含有組成物を含む薄膜トランジスタデバイスのような、任意の多層電子デバイスに関する。本発明の態様の1つでは、薄膜トランジスタデバイスは、ゲート誘電体層又はパッシベーション層として、硬化状態のポリマーを含有する。薄膜トランジスタは、例えば、ディスプレイ、センサー、イメージングデバイス、RFIDタグ、記憶デバイス、及び薄膜トランジスタを利用する他の電子デバイスが挙げられるがこれらに限られない、ありとあらゆる電子デバイスに使用できる。
【0046】
本発明に従って形成した膜の厚さは、通常約0.05μm〜約1.0μmである。そのような膜によれば、キャパシタンスを約5〜約500nF/cm2、誘電率を約2.7〜約3.5とすることが可能である。
【0047】
図1に、本発明の膜を含有するボトムゲート薄膜トランジスタ(TFT1)を含んでなる、ある実施態様のマイクロエレクトロニクスデバイスを図示する。図1に、ゲート電極2が上に適用されてゲート誘電体基板となっている基板1と誘電体層3とを含むTFT1を示す。誘電体層3がゲート電極2と半導体層4との間になるように、半導体層4を誘電体層3の上に堆積する。本発明の多くの実施態様では、ゲート誘電体層3は基板1とも直接接触している。この薄膜トランジスタには、ソース電極5及びドレイン電極6も含まれる。本発明の膜は図1の層3を構成する。
【0048】
図2に、基板7と、基板7に接触するゲート電極8と、基板7及びゲート電極8の上に形成した誘電体層9とを含む、異なるボトムゲート構造TFTであるTFT2を図示する。2つの金属コンタクトである、ソース電極10及びドレイン電極11を、誘電体層9の上部に堆積する。金属コンタクト10及び11の上とそれらの間は半導体層12である。本発明の膜は図2の層9を構成し、ゲート電極と半導体との間に堆積されている。図1と図2の違いは、図1のゲート誘電体層はソース及びドレインと直接接触していないが、図2のゲート誘電体層は半導体層及びゲート電極の両方と接触している点である。
【0049】
図3に、図2と似ているが、ボトム層の代わりにトップ層としてゲート電極を備えるように反転している、トップゲート構造TFTであるTFT3を図示する。この図では、同じ構成要素を、基板として層13、半導体として層14、ソース及びドレイン電極として15及び16で表し、ゲート誘電体層17は半導体とトップゲート電極18との間にある。ゲート誘電体層17は半導体層14とゲート電極18との間にあるが、この例では、ゲート誘電体は基板層13と直接接触していない。
【0050】
TFTについての本発明のゲート誘電体の使用に関する追加例は、米国特許出願公開第2005/0224922A1号に見出すことができ、参照することにより本明細書の一部とする。
【0051】
本発明を以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、当然のことながら本発明はこれらに限定されるものと見なされない。
【実施例】
【0052】
漏れ電流密度値(LCDV)はHgプローブ法を使用して測定できる。
【0053】
水銀プローブを、MSI electronics 型式Hg−401により作製した。水銀プローブの接触面積は0.7mm2(不確かさが±2%)である。電源及び電流計は、Keithley 6517Aである。水銀プローブをファラデーケージ内に置いて電気的雑音を低減する。コントローラーと水銀プローブとの接続はBNCケーブルである。システムの雑音レベルは100fA未満である。
【0054】
測定前に、低抵抗シリコン(Si)ウェーハ(0.01Ω)に薄膜をコーティングした。膜厚は通常約50nm〜約500nmであった。Si上の膜サンプルを下向きにして水銀プローブの上に置き、ゲート誘電体膜が水銀と接触し、金属ディスクがウェーハ裏側と接触するようにした。サンプルに定電圧を印加し、膜を通る電流を測定することによってLCDVを測定した。ウェーハと水銀プローブの絶縁板との間のチャージ電流を避けるために、電圧を膜に印加してから3分後に測定した電流をLCDVとして記録した。
【0055】
LCDV漏れ電流密度値は、(例えばバックグラウンドチャージの問題を避けるため)金属ドット法を用いて測定してもよい。LCDV測定においてコンタクト電極として水銀を使用する代わりに、金属膜の小さいディスクを誘電体サンプルの上部に堆積する。蒸着(4.3×10-7torr、20V、速度4〜5Å/秒で堆積)による厚さ147nmの銀(Ag)ドットの堆積を補助するため、0.5mm及び1.0mmのシャドーマスクを使用した。堆積した金属ディスクの厚さは、通常約100〜200nmである。典型的に堆積される金属は、銀、アルミニウム又は金である。金ワイヤ(直径1mm)を使用して、金属ディスクと接続する。ステップ電圧を印加して電流を測定することによって、測定を行った。ステップ電圧は0Vから開始し300Vで終了した。各ステップは5Vで保持時間が1秒である。漏れ電流を1.5MV/cmで記録した。
【0056】
例1 薄膜トランジスタの作製及び特性評価:ゲート誘電体層として使用する溶液を、9−フルオレノン−グラフトポリ(アリーレンエーテル)10gをシクロヘキサノン溶剤90gに溶解して調製した。ポリアリーレンエーテル溶液を、1μmフィルタを通して濾過した。この濾過した溶液を、1650回転/分、1分のスピンコーティングによりシリコンウェーハに付着させ、250℃でベークした。得られた0.5μm層のキャパシタンスを水銀プローブによって測定すると5nF/cm2であり、誘電率は3.0であった。
【0057】
例2 ゲート誘電体としてポリ(アリーレンエーテル)を有する薄膜トランジスタ:図1と同様のボトムゲート薄膜トランジスタを、金属層(Mo、Al又はAu)を堆積し、その金属層の上部にフォトレジストを付着させることによって作製する。フォトレジストにパターンを形成し、現像して、ゲート電極が存在する予定部分の周りの領域を開けて、ゲート電極に隣接する金属領域をエッチング除去する。例4のポリ(アリーレンエーテル))溶液を用い、この溶液をスピンコーティングしてゲート誘電体層をゲート電極上に付着させる。ゲート誘電体層の上部に、有機半導体層、例えば、P3HT又はドープしたポリチオフェンポリマーを堆積する。半導体の上部に、Mo、Al又はAuの金属層を堆積し、次にゲート電極と同様の方法でパターン形成して、半導体層の上部にソース及びドレイン電極を得る。
【0058】
例3 薄膜トランジスタに使用するポリ(アリーレンエーテル)ゲート誘電体層の調製及び特性評価:ゲート誘電体層として使用する溶液を、9−フルオレノン−グラフトポリ(アリーレンエーテル)10gをシクロヘキサノン溶剤90gに溶解して調製した。この溶解したグラフトポリアリーレンエーテルを、1μmフィルタを通して濾過した。この濾過した溶液を、3000回転/分、40秒のスピンコーティングによりシリコンウェーハに付着させた。次に、膜3aをホットプレートで250℃、3分ベークして、厚さ491nmの膜を得た。シリコンウェーハ上の膜3aの漏れ電流密度値(LCDV)は、N2中で測定したときに、1.5MV/cmで3.0×10-10A/cm2であり、71°F及び湿度42%に設定された恒温恒湿(CTH)空気中で測定したときに、1.5MV/cmで4.7×10-10A/cm2であった。次に、膜3bをホットプレートで135℃、3分ベークして、厚さ522nmの膜を得た。シリコンウェーハ上の膜3bの漏れ電流密度値(LCDV)は、N2中で測定したときに、1.5MV/cmで3.0×10-10A/cm2であった。LCDV値は水銀プローブによって得た。
【0059】
例4 薄膜トランジスタに使用する低温硬化ポリ(アリーレンエーテル)の調製及び特性評価:ゲート誘電体層として使用する溶液を、シトラールグラフトポリ(アリーレンエーテル)(シトラール/ポリ(アリーレンエーテル)比=0.83:1)0.5gをシクロヘキサノン溶剤8.93gに溶解して調製した。シトラールポリ(アリーレンエーテル)のシクロヘキサノン溶液を、3μmPTFEフィルタを通して濾過し、次に0.45μmPVDFフィルタを通した。この濾過した溶液を、1500回転/分、1分のスピンコーティングによりシリコンウェーハに付着させて膜4aを得た。また、このコーティング手順を繰り返して膜4bを得た。次に、膜4aをホットプレートで180℃、60分ベークして、厚さ356nmの膜を得た。ジクロロベンゼンに15分暴露し、溶剤暴露後に水洗及び180℃ベークを6分行い、暴露前の膜厚(356nm)及び暴露後の膜厚(356nm)を測定することによって、上記加熱条件下で膜4aが架橋していることが分かった。膜4bをホットプレートで250℃、6分ベークして、厚さ365nmの膜を得た。シリコンウェーハ上の膜4bの漏れ電流密度値(LCDV)は、恒温恒湿(CTH:71°F及び湿度42%)空気中で測定したときに、1.5MV/cmで1.5×10-9A/cm2であった。LCDV値は、0.5mm及び1.0mmの金属銀ドットによって得た。
【0060】
例5 低温硬化型のインクジェット可能なポリ(アリーレンエーテル)ゲート誘電体溶液の粘度測定:粘度測定は2種類の異なるポリマー溶液濃度について行った。それらの溶液は、シトラールグラフトポリ(アリーレンエーテル)(シトラール/ポリ(アリーレンエーテル)比=0.63:1)0.506gをシクロヘキサノン溶剤8.5gに溶解して、5.6質量%溶液として調製した5a、及び同じポリマー0.506gをシクロヘキサノン溶剤10.73gに溶解して、4.5質量%溶液として調製した5bであった。次の粘度はこれらの溶液から得た。これらの溶液の粘度は、インクジェット印刷による付着に有用な範囲内であった。
【0061】
【表1】

【0062】
例6 低温及びUVで硬化したポリ(アリーレンエーテル)ポリマーゲート誘電体の調製及び特性評価:ゲート誘電体層として使用する溶液を、シトラールグラフトポリ(アリーレンエーテル)(シトラール/ポリ(アリーレンエーテル)比=0.42:1)0.5gをシクロヘキサノン溶剤8.93gに溶解して調製した。このシトラールポリ(アリーレンエーテル)溶液を、0.2μmPTFEフィルタを通して濾過した。この濾過した溶液を、1500回転/分、1分のスピンコーティングによりシリコンウェーハに付着させて膜6aを得た。また、この堆積手順を5回繰り返して、膜6b、6c、6d、6e及び6fを作製した。膜6aをホットプレートで250℃、6分ベークして、厚さ341nmの膜を得た。ジクロロベンゼンに15分暴露し、溶剤暴露後に水洗及び250℃ベークを6分行い、暴露前の膜厚(341nm)及び暴露後の膜厚(343nm)を測定することによって、上記加熱条件下で膜6aが架橋していることが分かった。膜6bをホットプレートで185℃、60分ベークして、厚さ353nmの膜を得た。ジクロロベンゼンに15分暴露し、その後脱イオン水洗浄及び185℃ベークを6分行った後に、膜6bの測定値が175nm(厚さで50%の損失)であったことから明らかなように、この条件で得られたポリマー層はわずかに部分的に架橋していた。広波長UVで膜6cを20秒照射してから、ホットプレートで185℃、60分ベークして、厚さ338nmの膜を得た。ジクロロベンゼンに15分暴露した後に、膜6cの測定値が338nmであったことから明らかなように、この条件でポリマーは架橋していたことが分かった。広波長UVランプで膜6dを1分照射してから、ホットプレートで180℃、30分ベークして、厚さ334nmの膜を得た。ジクロロベンゼンに15分暴露し、その後脱イオン水洗浄及び180℃ベークを3分行った後に、膜6dの測定値が334nmであったことから明らかなように、この条件でポリマーは架橋していたことが分かった。広波長UVランプで膜6eを1分照射してから、ホットプレートで180℃、7.5分ベークして、厚さ334nmの膜を得た。ジクロロベンゼンに15分暴露し、その後脱イオン水洗浄及び180℃ベークを3分行った後に、膜6eの測定値が334nmであったことから明らかなように、この条件でポリマーは架橋していたことが分かった。広波長UVランプで膜6fを1分照射してから、ホットプレートで150℃、7.5分ベークして、厚さ341nmの膜を得た。ジクロロベンゼンに15分暴露し、その後脱イオン水洗浄及び150℃ベークを3分行った後に、膜6fの測定値が339nmであったことから明らかなように、この条件でポリマーは架橋していたことが分かった。
【0063】
【表2】

【0064】
ここに示した実施態様を参照しながら、本発明のいくつかの態様を本明細書で説明したが、特許請求の範囲がここに示した詳細な事項に限定されることは意図していない。むしろ、当業者がこれらの詳細な事項に様々な変更を施しうることを想定しており、そのような変更は依然として特許請求の範囲の特定事項の精神及び範囲内であって、そのように特許請求の範囲が解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のゲート誘電体膜を含むボトムゲート薄膜トランジスタを含んでなる、多層電子デバイスの第1実施態様を図示したものである。
【図2】本発明の膜を含むボトムゲート薄膜トランジスタを含んでなる、多層電子デバイスの第2実施態様を図示したものである。
【図3】本発明の膜を含むトップゲート薄膜トランジスタを含んでなる、多層電子デバイスの第3実施態様を図示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造の繰り返し単位を含む少なくとも1種のポリマーを含んでなる、薄膜トランジスタにおけるゲート誘電体層又はパッシベーション層。
−(O−Ar1−O−Ar2m−(O−Ar3−O−Ar4n
(式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、同一又は異種のアリール基、mは0〜1、nは1−mであって、該アリール基の少なくとも1つが、少なくとも1つの不飽和基又は飽和基とグラフトしており、該少なくとも1つの不飽和基又は飽和基は非芳香族であって、硬化中に揮発分を生成せず、かつ硬化後に官能基を提供することなく、200℃未満の硬化温度で架橋するように適合している。)
【請求項2】
約250℃未満の温度で硬化可能な、請求項1に記載のゲート誘電体層又はパッシベーション層。
【請求項3】
約180℃で硬化可能な、請求項1に記載のゲート誘電体層又はパッシベーション層。
【請求項4】
前記層を照射源で照射すること及び約180℃未満の温度に加熱することを含む方法によって硬化可能な、請求項1に記載のゲート誘電体層又はパッシベーション層。
【請求項5】
前記照射が、電子線、光子、紫外線、可視光線、X線、熱、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む照射源で前記層を照射することを含む、請求項4に記載のゲート誘電体層又はパッシベーション層。
【請求項6】
前記照射が、紫外線又は可視光線で前記層を照射することを含む、請求項5に記載のゲート誘電体層又はパッシベーション層。
【請求項7】
薄膜トランジスタ用のゲート誘電体層又はパッシベーション層として使用するためのポリ(アリーレンエーテル)ポリマーであって、該ポリマーが以下の構造のポリマー繰り返し単位を含んでなる、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマー。
【化1】

(式中、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7及びG8は、同一又は異種であって、H又は以下のアリール含有基である。)
【化2】

【請求項8】
誘電率が約3.0より低い、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
誘電率が約2.7より高い、請求項7に記載のポリマー。
【請求項10】
少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含む少なくとも1つのゲート誘電体層を含んでなる、少なくとも1つのゲート電極と;
少なくとも1つのソース電極と;
少なくとも1つのドレイン電極と;
少なくとも1つの半導体層と
を含んでなり、該ゲート誘電体層の誘電率が約2.7より高いことを特徴とする、多層電子デバイス。
【請求項11】
少なくとも1つのゲート電極と;
少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含む、少なくとも1つのゲート誘電体層と;
少なくとも1つのソース電極と;
少なくとも1つのドレイン電極と;
少なくとも1つの半導体層と
を含んでなり、該ゲート誘電体層の誘電率が約2.7より高いことを特徴とする、薄膜トランジスタ。
【請求項12】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーがグラフトしている、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、少なくとも1つの不飽和基とグラフトしている、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、複数の不飽和基とグラフトしている、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項15】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、アリール含有グラフトとグラフトしている、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項16】
前記ポリ(アリーレンエーテル)がフッ素化されていない、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項17】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの繰り返し単位が以下の構造を有する、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【化3】

(式中、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7及びG8は、同一の種又は異なる種の前記少なくとも1つの不飽和基である。)
【請求項18】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの含有する不飽和基の平均数が、ポリマー繰り返し単位あたり0.1〜4である、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項19】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの含有する不飽和基の平均数が、ポリマー繰り返し単位あたり1〜2である、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項20】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、アルキレン基、アルキルジエン基、α−ヒドロキシアルキレン基及びα−ヒドロキシアルキルジエン基からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、少なくとも1つの不飽和基を含んでなる、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項21】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、以下からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、少なくとも1つの不飽和基を含んでなる、請求項10に記載の多層電子デバイス。
【化4】

【請求項22】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、以下からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、少なくとも1つの不飽和基を含んでなる、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【化5】

【請求項23】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、以下からなる群からそれぞれ選択されるアリール基を含有する、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【化6】

【請求項24】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレン、2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロペン、及び2,2−ジフェニルプロペンからなる群から選択されるアリール基のうち少なくとも1つを含む、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項25】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの含有する不飽和基の平均数が、ポリマー単位あたり0.1より大きくかつ1以下であり、前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、以下のポリマー繰り返し単位のうち1つを含む、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【化7】

【化8】

【請求項26】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが、以下のアリール基を少なくとも1つ含有する、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【化9】

【請求項27】
前記ゲート誘電体層のキャパシタンスが、約5nF/cm2より大きい、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項28】
前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーが硬化状態で存在し、その硬化状態の該ポリマーは、硬化温度が約130〜約180℃、誘電率が約3.0未満、及び最大水分吸収量が約0.2質量%未満であることを特徴とする、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項29】
基板と;
少なくとも1つのゲート電極と;
少なくとも1種のポリ(アリーレンエーテル)を含む、少なくとも1つのゲート誘電体層と;
少なくとも1つのソース電極と;
少なくとも1つのドレイン電極と;
該ソース電極及び該ドレイン電極と接触する、少なくとも1つの半導体層と
を含んでなり、該ゲート誘電体層は、誘電率が約2.7より大きく、キャパシタンスが約5nF/cm2より大きいことを特徴とする、薄膜トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−321152(P2007−321152A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−147136(P2007−147136)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】