説明

ゲームシステム及びプログラム

【課題】仮想パチンコゲームにおいて、釘調整の具合を推測する楽しみをユーザに与え、ゲームの興趣を向上すること。
【解決手段】サーバと該サーバと通信可能な通信端末とを備えたゲームシステムにおいて、前記サーバが、入賞口へのパチンコ球の流れ易さに関わる複数種類の釘調整情報を蓄積した蓄積手段を備え、前記通信端末が、仮想パチンコゲームを開始する度に、前記複数種類の釘調整情報のうちの1つを前記サーバから受信し、受信した前記釘調整情報に基づいてパチンコ玉の軌道を決定し、パチンコ機上でパチンコ玉が移動する画像をディスプレイに表示して仮想パチンコゲームを進行し、仮想パチンコゲームが終了したことを条件として、その仮想パチンコゲームの前記釘調整情報の種類を示す情報をユーザに報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電話機等の通信端末において仮想パチンコゲームを行うゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表される通信網を活用して、ゲームソフトを通信端末にダウンロードし、ダウンロードしたゲームをユーザが楽しめるシステムが普及しつつある(例えば、特許文献1)。例えば、携帯型電話機の通信機能を用いて、携帯型電話機でゲームを楽しめるケースもある。このようなゲームの中には、実際のパチンコ機を模した仮想パチンコゲームもあり、画像処理技術の発達、携帯型電話機の技術進歩により、実物に近い遊技を展開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−224854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現実のパチンコ機では、釘調整の具合がパチンコ玉の流れに影響を与え、遊技結果が左右される。このため、釘調整の具合を推測することもその面白さの1つとなっており、現実のパチンコ機の遊技者としては、仮想パチンコゲームにおいても釘調整の具合を推測する楽しみを享受できることを望む場合が多い。
【0005】
本発明の目的は、仮想パチンコゲームにおいて、釘調整の具合を推測する楽しみをユーザに与え、ゲームの興趣を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、サーバと、該サーバと通信可能な通信端末と、を備えたゲームシステムにおいて、前記サーバが、入賞口へのパチンコ球の流れ易さに関わる複数種類の釘調整情報を蓄積した蓄積手段と、前記釘調整情報を前記通信端末に送信する釘調整情報送信手段と、を備え、前記通信端末が、仮想パチンコゲームを開始する度に、前記複数種類の釘調整情報のうちの1つを前記サーバから受信する釘調整情報受信手段と、前記釘調整情報受信手段が受信した前記釘調整情報に基づいてパチンコ玉の軌道を決定し、パチンコ機上でパチンコ玉が移動する画像を表示装置に表示して仮想パチンコゲームを進行するゲーム進行手段と、前記ゲーム進行手段による仮想パチンコゲームが終了したことを条件として、その仮想パチンコゲームの前記釘調整情報の種類を示す情報をユーザに報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするゲームシステムが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、入賞口へのパチンコ球の流れ易さに関わる複数種類の釘調整情報を蓄積したサーバと通信可能な通信端末を、仮想パチンコゲームを開始する度に、前記複数種類の釘調整情報のうちの1つを前記サーバから受信する釘調整情報受信手段、前記釘調整情報受信手段が受信した前記釘調整情報に基づいてパチンコ玉の軌道を決定し、パチンコ機上でパチンコ玉が移動する画像を表示装置に表示して仮想パチンコゲームを進行するゲーム進行手段、前記ゲーム進行手段による仮想パチンコゲームが終了したことを条件として、その仮想パチンコゲームの前記釘調整情報の種類を示す情報をユーザに報知する報知手段、として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仮想パチンコゲームにおいて、釘調整の具合を推測する楽しみをユーザに与え、ゲームの興趣を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲームシステムAのブロック図。
【図2】(a)はサーバ10のブロック図、(b)は通信端末20のブロック図。
【図3】(a)は会員登録DBの説明図、(b)は釘調整情報の説明図、(c)は軌道抽選情報の説明図。
【図4】(a)は仮想パチンコゲームプログラムのダウンロードに関するサーバ10と通信端末20との処理を示すフローチャート、(b)は仮想パチンコゲームプログラム実行時の通信端末20の処理を示すフローチャート。
【図5】(a)及び(b)は通信端末20の表示画面例を示す図。
【図6】パチンコゲームプログラム実行時の通信端末20及びサーバ10の処理を示すフローチャート。
【図7】通信端末20の表示画面例を示す図。
【図8】パチンコ玉の軌道決定の説明図。
【図9】通信端末20の表示画面例を示す図。
【図10】(a)乃至(c)は通信端末20の表示画面例を示す図。
【図11】(a)及び(b)は通信端末20の表示画面例を示す図。
【図12】景品に関するサーバ10と通信端末20との処理を示すフローチャート。
【図13】通信端末20の表示画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システムの概略>
図1は、本発明の一実施形態に係るゲームシステムAのブロック図である。このシステムAは、通信端末20と、サーバ10と、を備える。サーバ10と通信端末20とはインターネット等の通信回線30を介して通信可能に接続され、通信端末20はサーバ10が通信回線30上で提供するWebページにアクセス可能である。通信端末20は本実施形態の場合、携帯型電話機であるが、パソコン、PDA等、表示装置を有する通信端末であれば適用可能である。
【0011】
<サーバ>
図2(a)はサーバ10のブロック図である。サーバ10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、RTC(リアルタイムクロック)14と、通信装置15と、記憶装置16と、を備える。CPU11はサーバ10全体を制御する。ROM12には固定的なデータ、プログラムが記憶される。RAM13には一時的なデータが記憶される。ROM12、RAM13は他の種類の記憶装置でもよい。RTC14は現在時刻を計時する。記憶装置16は例えばハードディスクドライブであり、CPU11が実行するプログラム、サーバ10がWebページで提供するデータ、通信端末20にダウンロードするパチンコゲームプログラム等のアプリケーションプログラム、後述する会員登録DBを含む各種のデータベース等が記憶される。通信装置15は、図1の通信回線30を介して他の装置とのデータの送受信を行うための通信インターフェースである。
【0012】
<通信端末>
図2(b)は通信端末20のブロック図である。通信端末20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、RTC(リアルタイムクロック)24と、通信装置25と、記憶装置26と、入力装置27と、表示装置28と、音出力装置29と、を備える。CPU21は通信端末20全体を制御する。ROM22には固定的なデータ、プログラムが記憶される。RAM23には一時的なデータが記憶される。ROM22、RAM23は他の種類の記憶装置でもよい。RTC24は現在時刻を計時する。記憶装置26は、例えば、フラッシュメモリ、メモリカードである。記憶装置26には、CPU21が実行するプログラム、その他のデータが記憶される。CPU21が実行するプログラムには、サーバ10からダウンロードした仮想パチンコゲームのプログラムも含まれる。通信装置25は本実施形態の場合無線通信装置である。入力装置27は通信端末20に備えられるボタン式のスイッチ群、表示装置28は例えば液晶表示装置である。振動・音出力装置29は、いわゆるバイブ機能を実現するモータ等の振動装置と、スピーカ等の音出力装置である。
【0013】
<サーバの詳細>
<会員登録DB>
サーバ10は、パチンコ機等の遊技台に関する情報を提供するWebサイトを通信回線30上で提供する。通信端末20のユーザはこのWebサイトの会員になることで、例えば、遊技台に関するより詳細な情報を得ることができる。また、このWebサイトでは、会員の通信端末20に対して、通信端末20上で仮想パチンコゲームを楽しめるアプリケーションプログラムをダウンロードする。更に、仮想パチンコゲームで獲得したパチンコ玉を景品と交換可能とする処理を行う。以下、通信端末20のユーザを会員という場合がある。
【0014】
図3(a)は会員の情報を管理する会員登録DB(データベース)の説明図である。このDB(データベース)は、例えば、記憶装置16に蓄積されている。会員登録DBには、各会員毎に、会員のニックネーム、通信端末20のメールアドレス、プロフィール(年齢、住所、通信端末20を特定する識別情報(例えば、電話番号や個体情報)等)、持玉情報、景品情報、その他の情報が含まれる。
【0015】
通信端末20は、サーバ10に何らかの要求や情報の送信をする際には、その都度、その識別情報を送信するものとし、これにより、サーバ10は送信された識別情報と会員登録DBとを照合することでどの会員の要求等であるかを判定できる。
【0016】
持玉情報は、その会員が仮想パチンコゲームで獲得したパチンコ玉の数量を示す獲得数量情報である。本実施形態の場合、会員が仮想パチンコゲームで獲得したパチンコ玉の数量の情報は、一旦、通信端末20の記憶装置26に蓄積される。そして、会員が景品との交換を希望する場合、記憶装置26に蓄積されてるパチンコ玉数の全部又は一部をサーバ10に持玉情報として移し、移したパチンコ玉により景品応募権利を取得する、という手順を採用する。景品応募権利等の詳細は後述する。
【0017】
景品情報はその会員が獲得した景品に関する情報であり、例えば、過去に会員に引渡し済みの景品の情報、これから会員に引き渡す予定の景品の情報等が含まれる。
【0018】
<釘調整情報>
図3(b)は釘調整情報の説明図である。釘調整情報は例えば記憶装置16に蓄積される。釘調整情報は、通信端末20上で実行される仮想パチンコゲームにおいて、パチンコ玉の軌道を決定するために用いられる情報であり、入賞口へのパチンコ球の流れ易さに関わる情報である。本実施形態の場合、A〜Eの5種類の釘調整情報が設定されている。
【0019】
本実施形態の場合、釘調整情報Aは激甘台、つまり、入賞口へパチンコ玉が流れ易い釘調整具合を想定しており、同図の例では、統計的にパチンコ玉の発射数に対する入賞口への入球数の割合が、28/250程度となるように想定している。釘調整情報Bは甘い台、つまり、入賞口へパチンコ玉が比較的流れ易い釘調整具合を想定しており、統計的に、パチンコ玉の発射数に対する入賞口への入球数の割合が、24/250程度となるように想定している。
【0020】
釘調整情報Cは普通台、つまり、入賞口へパチンコ玉が流れ易さが普通である釘調整具合を想定しており、同図の例では、統計的にパチンコ玉の発射数に対する入賞口への入球数の割合が、22/250程度となるように想定している。釘調整情報Dは辛い台、つまり、入賞口へパチンコ玉が比較的流れ難い釘調整具合を想定しており、統計的に、パチンコ玉の発射数に対する入賞口への入球数の割合が、20/250程度となるように想定している。釘調整情報Eは激辛台、つまり、入賞口へパチンコ玉が流れ難い釘調整具合を想定しており、統計的に、パチンコ玉の発射数に対する入賞口への入球数の割合が、18/250程度となるように想定している。
【0021】
本実施形態の場合、サーバ10は釘調整情報として識別子であるA〜Eのみを蓄積しており、パチンコ玉の軌道を具体的に決定する情報は有していない。そして、通信端末20では受信した釘調整情報の種類に応じてパチンコ玉の軌道を具体的に決定することになる。その詳細は後述する。
【0022】
<仮想パチンコゲームプログラムのダウンロード>
本実施形態の場合、仮想パチンコゲームのプログラムは、事前に会員登録をした会員がサーバ10からダウンロードできる。図4(a)は仮想パチンコゲームプログラムのダウンロードに関するサーバ10と通信端末20との処理を示すフローチャートであり、CPU11、21がそれぞれ実行する。
【0023】
S101では、通信端末20が仮想パチンコゲームプログラムのダウンロード要求をサーバ10に送信する。サーバ10はこの要求を受信して、会員からのダウンロード要求かを確認し、会員からのダウンロード要求であればS201で仮想パチンコゲームプログラムを通信端末20へ送信する。通信端末20は、S102で、受信した仮想パチンコゲームプログラムを記憶装置26に保存する。この仮想パチンコゲームプログラムには、図3(c)に示す軌道抽選情報も含まれる。その詳細については後述する。
【0024】
<仮想パチンコゲームプログラムの実行>
仮想パチンコゲームプログラムをダウンロードした会員は、このプログラムを通信端末20上で実行して仮想パチンコゲームを楽しむことができる。図4(b)は仮想パチンコゲームプログラム実行時の通信端末20の処理を示すフローチャートであり、CPU21が実行する。
【0025】
S111では、表示装置28に初期メニューを表示する。図5(a)は通信端末20の表示画面例を示す図であり、初期メニューの例を示す。同図の例では「ゲーム開始」か、「持球送信」のいずれかのメニューを選択できる。星印はカーソルであり、入力装置27を操作してカーソルの位置でメニューを選択し、決定することで、対応する処理が実行される。以下、このような選択は同様の手順でなされる。
【0026】
図4(b)に戻り、「ゲーム開始」を選択するとS112に進みモード選択処理を実行する。図5(b)は通信端末20の表示画面例を示す図であり、モード選択処理時の表示例を示す。同図の例では「実践モード」か、「鑑賞モード」のいずれかのモードを選択できる。「実践モード」が選択されると図4(b)のS114へ進み、「鑑賞モード」が選択されると図4(b)のS115へ進む。
【0027】
図4(b)に戻り、「持球送信」を選択するとS113に進み持玉送信処理を実行する。この持玉送信処理は、会員が獲得した、記憶装置26に蓄積されてるパチンコ玉数の全部又は一部をサーバ10に持玉情報として移す処理である。会員が持玉情報に移すパチンコ玉数を指定して送信を指示すると、通信端末20はサーバ10にアクセスして持玉情報の更新を指示する。サーバ10は指定されたパチンコ玉数分、持玉情報のパチンコ玉数を加算するよう、その会員の会員登録DBを更新する。更新が完了すると、通信端末20に更新完了を通知し、通信端末20は持玉情報に移したパチンコ玉数分だけ、記憶装置26に蓄積されてるパチンコ玉数を減算して一単位の処理が終了する。
【0028】
S114では仮想パチンコゲームを実践モードで開始する(図6の処理)。S115では仮想パチンコゲームを鑑賞モードで開始する。鑑賞モードでの仮想パチンコゲームは、実践モードでの仮想パチンコゲームとゲーム内容は同じであるが、釘調整情報の種類は通信端末20側で適宜選択し、また、ゲームでパチンコ玉を獲得したとしても、その会員が獲得したパチンコ玉には加算されない。つまり、鑑賞モードはデモンストレーション的な仮想パチンコゲームが出来るに留まる。
【0029】
図6はパチンコゲームプログラム実行時の通信端末20及びサーバ10の処理を示すフローチャートであり、実践モードでの仮想パチンコゲームにおいてCPU21が実行する処理を主として示す。
【0030】
S121では、通信端末20がサーバ10に対して釘調整情報要求を送信する。この要求を受信したサーバ10は、S211で釘調整情報A乃至Eのいずれか1つを選択して通信端末20に送信する。
【0031】
釘調整情報A乃至Eの選択は、例えば、抽選で行うことができる。その際、例えば、釘調整情報Cの選択確率が最も高く、釘調整情報B、Dの選択確率が次に高く、釘調整情報A、Eの選択確率が最も低くなるように、選択確率を設定してもよい。また、会員登録DBに蓄積されている、その会員の持玉情報や景品情報、或いは、その会員に対する過去の仮想パチンコゲームにおける釘調整情報の選択結果によって選択確率を設定するようにしてもよい。
【0032】
また、何らかのイベントを行っている時と、行っていないときとで選択確率を異ならせてもよい。例えば、イベント期間中は、釘調整情報A及びBの選択確率を高め、釘調整情報D及びEの選択確率を低めてもよい。イベントの内容は何でもよいが、例えば、特定の遊技台(実機)やホールの宣伝をサーバ10が提供するWebサイトにおいて行っている時等が挙げられる。
【0033】
S122では、通信端末20はサーバ10から釘調整情報を受信し、保存する。保存は例えばRAM23の所定のエリアに行い、仮想パチンコゲームの終了まで、通信端末20のユーザには報知しない。このように本実施形態では、仮想パチンコゲームを開始する度に、複数種類の釘調整情報のうちの1つをサーバ10から受信する。これにより、各ゲームにおいて、入賞口へのパチンコ球の流れ方が異なるようにすることができる。
【0034】
また、仮想パチンコゲームを開始する度にサーバ10から釘調整情報を受信することを要件とすることで、仮想パチンコゲームを開始する度に通信端末20がサーバ10にアクセスすることになる。よって、サーバ10は釘調整情報に加えて、広告情報を通信端末20に配信し、通信端末20において広告情報を表示するようにしてもよい。広告情報としては、例えば、上述した何らかのイベント中であること等を示す情報が挙げられる。
【0035】
なお、実践モードでの仮想パチンコゲームは、例えば、1日1回のみ行えるものとすることができる。これは、サーバ10が会員毎に日単位で釘調整情報の送信の有無を管理しておき、既に釘調整情報を送信している会員に対しては釘調整情報を送信しないことにより、実践モードでの仮想パチンコゲームが1日1回のみ行えるようにすることができる。
【0036】
S123では、通信端末20はゲーム進行処理を行う。この処理では、パチンコ機上でパチンコ玉が移動する画像を表示装置28に表示して仮想パチンコゲームを進行する。仮想パチンコゲームに使用するパチンコ玉は、例えば、会員が既に獲得したパチンコ玉としてもよいし、1回のゲームにつき、予め定めた数(例えば、500発)を新たに付与する方式でもよい。
【0037】
図7はゲーム進行処理時の表示装置28の表示例を示す。同図の例では仮想のパチンコ機100の画像が表示されている。パチンコ機10は、実際のパチンコ機(1種)を模した遊技盤101を備えるが、パチンコ機の種類として他の種類も採用可能である。遊技盤101には釘102が複数設けられている。また、遊技盤101には始動入賞口103、104、大入賞口105、一般入賞口106、ゲート107、図柄表示部108、アウト口109が設けられている。始動入賞口103は可変入賞口である。
【0038】
始動入賞口103、104、大入賞口105、一般入賞口106にパチンコ玉が入球すると入賞となって、一定のパチンコ玉が払い出される。始動入賞口103、104にパチンコ玉が入球すると、大当たりの抽選が行われ、図柄表示部108の図柄組み合わせが変動し、停止する。抽選の結果が大当たりであると変動停止時の図柄組み合わせとして所定の組み合わせ(7−7−7等)が表示され、大当たり状態となる。大当たり状態では、大入賞口105が複数回開放してパチンコ玉が入球可能となる。なお、広く知られるように、残り1つの図柄が変動中で、他が停止中であって、変動中の図柄の停止時の図柄によって大当たり図柄となる場合はリーチ状態と呼ばれる。
【0039】
ゲート107をパチンコ玉が通過すると当たりの抽選が行われ、抽選の結果が当たりであると、一定時間可変入賞口104が開放状態となる。アウト口109はパチンコ玉を遊技盤101上から排出する排出口である。
【0040】
図7において、ゲーム状態表示部200には、現在のゲームの状態に関わる情報が表示される。機能ボタン表示部301、302には、対応する入力装置27のボタンに割り当てられた機能が示されており、対応ボタンを操作することで特定の機能を実行させることができる。図7の例では、機能ボタン表示部301に対応するボタンを操作すると、「設定」機能を実行させることができ、機能ボタン表示部302に対応するボタンを操作すると、「データ」機能を実行させることができる。
【0041】
<パチンコ玉の軌道の決定と画像表示>
次に、ゲーム進行処理における、遊技盤101上でのパチンコ玉の軌道の決定方法について説明する。実際のパチンコ機では、パチンコ玉が遊技盤の上方に発射され、パチンコ玉は自重により遊技盤の下方に落下する。その際、途中で釘と干渉することによって左右に進路が変化し、入賞口に入賞したり、しなかったりする。
【0042】
このような実際のパチンコ玉の遊技盤上での挙動は、物理法則に従うものであるのでその軌道演算が可能であり、各種の仮想パチンコゲームで採用されている軌道演算方法を採用することができる。本実施形態では、パチンコ玉と釘が干渉した場合(パチンコ玉が釘の位置に到達した場合)に、パチンコ玉が釘の右か左かいずれかを通る(飛び跳ね等は考慮しない)というルールにすることで、パチンコ玉の軌道を簡易に決定する方式とした。
【0043】
図8は本実施形態におけるパチンコ玉の軌道決定の説明図である。同図の例では、遊技盤101上に発射されたパチンコ玉が、釘102a→釘102b→釘102c→釘102dと干渉した場合の挙動例を示している。同図の例では、パチンコ玉が釘102aと干渉したときは、釘102aの左側を通った場合を例示している。そして、パチンコ玉が釘102b、102c、102dと干渉したときは、それらの左側、右側を通った場合で経路が異なっていることを示している。
【0044】
このように、釘102に対して、左側、右側のどちらかを通ることとすれば、釘102と入賞口103等の配置が決まれば、パチンコ玉の軌道のバリエーションを事前に決定することができる。よって、仮想パチンコゲームの実行時には各釘102に対して、左側を通るか右側を通るかを振り分けることで、パチンコ玉の軌道を決定(選択)し、入賞口への入球の有無を決定することができる。また、各バリエーションの画像を事前に用意しておくことで、パチンコ機上でパチンコ玉が移動する画像を表示装置28に表示することができる。なお、パチンコ玉の軌道のバリエーションや画像のデータは仮想パチンコゲームのプログラムに含まれることは言うまでもない。
【0045】
さて、本実施形態では、パチンコ玉の軌道決定は、図6のS122で受信した釘調整情報に基づいて行う。上記の通り、本実施形態ではパチンコ玉の軌道決定は各釘102に対して、左側を通るか右側を通るかを振り分けることで行うが、釘102と入賞口103等との位置の関係で、釘102の左側を通るか、右側を通るかで入賞口103への到達し易さ(流れ易さ)が異なるものとなる。したがって、釘調整情報の種類に応じて、この左右の振り分け率を変えることで、統計的にパチンコ玉の軌道が釘調整情報の種類に応じたものとなり、入賞口への入球割合も統計的に釘調整情報の種類に応じたものとなる。
【0046】
各釘102に対して左側を通るか右側を通るかの振り分けは、軌道抽選情報により抽選で行う。図3(c)は軌道抽選情報の説明図である。軌道抽選情報は、特定の釘102に対して、これに干渉したパチンコ玉がその右側を通るか、左側を通るかを抽選で決定するためのデータであり、釘調整情報の種類に応じて抽選データが設定されたものである。図3(c)はn番目の釘nの抽選データを、その確率で示したものである。
【0047】
同図の例では、パチンコ玉が釘nに干渉した場合、釘調整情報がAである場合は、その右側を90%の確率で、左側を10%の確率で通過することを示している。同図の例では、釘nに関しては右側を通過した方が入賞口103等へ流れ易い場合を想定しており、したがって、右側を通過する確率は、釘調整情報がAからEに向かうのに従って低下している。
【0048】
なお、軌道抽選情報を設定する釘は、全ての釘であってもよいし、一部の釘であってもよく、更に、例えば、入賞口103等の直近の釘のみ等としてもよい。軌道抽選情報を設定していない釘102に対する左右の振り分けは、例えば、釘調整情報の種類によらず、一律の確率(右50%、左50%或いは右0%、左100%)とすればよい。
【0049】
以上の通り、本実施形態では、釘調整情報の種類によって、表示装置28に表示されるパチンコ玉の流れ方や、遊技結果が統計的に異なるものとなり、釘調整の具合をユーザは推測できる。
【0050】
<設定機能及びデータ機能>
本実施形態の場合、ゲーム進行処理中において、図7を参照して説明した機能ボタン表示部301、302に対応する入力装置27のボタンを操作することで、ゲームを一時中断して、「設定」機能と「データ」機能を実行させることができる。
【0051】
図9は機能ボタン表示部302に対応するボタンが操作され、「データ」機能が実行された時の表示装置28の表示例を示す。同図の例では、データ表示ウインドウ210が表示されて、過去の大当たりの結果に関するデータが表示されている。このような、ゲームの履歴データは、例えば、記憶装置26に記憶しておくことができる。
【0052】
図10(a)乃至(c)は機能ボタン表示部301に対応するボタンが操作され、「設定」機能が実行された時の表示装置28の表示例を示す。「設定」機能においては、「効果」、「機能」、「終了」、「操作説明」のいずれかを選択できる。「操作説明」を選択した場合、仮想パチンコゲームの進め方(パチンコ玉の発射操作等)が表示される。
【0053】
図10(a)は「効果」が選択された場合を示している。同図の例では、仮想パチンコゲーム中の効果音の音量を設定する「サウンド」、仮想パチンコゲーム中の演出として、通信端末20のランプの点滅の有無を選択する「ランプ点滅」、仮想パチンコゲーム中の情報出力として、広告情報などの字幕表示の有無を選択する「字幕表示」が表示され、それぞれ設定できるようになっている。また、カーソル(星印)で現在選択中の項目の説明(左右キーで音量を調整できます)が表示されている。
【0054】
図10(b)は「機能」が選択された場合を示している。同図の例では、「大当たり省略」、「保留玉打ち止め」、「バイブ」が表示され、それぞれ設定できるようになっている。また、カーソル(星印)で現在選択中の項目の説明が表示されている。
【0055】
「大当たり省略」は、大当たり状態となった場合に、これを省略してその結果のみ得られるようにするか否かを選択するものである。ゲーム時間を短縮したい場合等に選択される機能である。「保留玉打ち止め」は、始動入賞口103、104にパチンコ玉が入球して変動表示待ちとなっている、いわゆる保留玉が規定数に達した場合に、パチンコ玉の発射を停止するか否かを選択するものである。パチンコ玉を無駄に消費したくない場合に選択される機能である。
【0056】
「バイブ」はリーチ状態となった場合に、振動・音出力装置29の振動装置を作動させて通信端末20を振動させることにより、リーチ状態をユーザに報知するか否かを選択するものである。仮想パチンコゲームを実行中のまま、通信端末20をポケット等にしまっておいて、リーチ状態となった場合に表示装置28の表示を楽しみたいユーザのための報知機能である。本実施形態では、振動によってリーチ状態の報知を行うようにしているが、音でもよく、振動・音出力装置29の振動装置の振動機能又は音出力装置の音出力機能の少なくともいずれかにより、リーチ状態であることを報知するか否かをユーザが設定できるようにしてもよい。
【0057】
図10(c)は「終了」が選択された場合を示している。同図の例では、今回のゲームでユーザが獲得したパチンコ玉の数が表示され、ゲームを終了するかどうかを選択できるようになっている。また、終了を選択した場合に、獲得したパチンコ玉が保存されてゲームが終了することの説明が表示されている。終了を選択すると、仮想パチンコゲームが終了することになる。
【0058】
<ゲームの終了と釘調整情報の種類の報知>
図6に戻り、S124では、仮想パチンコゲームが終了か否かを判定し、終了の場合はS125へ、終了でない場合はS123へ進む。図10(c)において終了が選択された場合、或いは、仮想パチンコゲームにおいてユーザのパチンコ玉が無くなった場合、仮想パチンコゲームが終了したと判定される。図10(c)において終了が選択されて仮想パチンコゲームが終了した場合は、ユーザが獲得したパチンコ玉を保存する。具体的には、通信端末20の記憶装置26に蓄積されているパチンコ玉数に今回ユーザが獲得したパチンコ玉数を加算する。次いで、パチンコ玉を保存したことを告げるメッセージを表示装置28に表示する。図11(a)はその表示例を示す。同図の例では、今回獲得したパチンコ玉数と、加算後のパチンコ玉数とが表示されている。
【0059】
S125では、今回の仮想パチンコゲームにおける釘調整情報の種類を示す情報をユーザに報知する。このように本実施形態では、仮想パチンコゲームが終了したことを条件として報知を行い、仮想パチンコゲームの途中では報知しない。報知は、表示装置28による画像表示、振動・音出力装置29の音出力装置による音出力等によって行うことができる。図11(b)は表示装置28を用いた場合の報知表示例を示す。同図の例では、「甘い台」であったことが示されており、釘調整情報の種類がBであったことが報知されている。
【0060】
この報知により、ユーザは、仮想パチンコゲーム中に自分が推測した釘調整の具合が当たっていたかを判断できる。このようにして本実施形態では、仮想パチンコゲームにおいて、釘調整の具合を推測する楽しみをユーザに与え、ゲームの興趣を向上することができる。現実のパチンコ機では、釘の向き等を目視で確認することで、釘調整の具合が推測される。しかし、仮想パチンコゲームにおいてはこれを忠実に再現することは困難である。そのため、本実施形態では、画像表示によるパチンコ玉の流れ方による釘調整の具合の推測と、釘調整の具合のゲーム終了時の報知とにより、現実のパチンコ機における釘調整具合の推測を若干アレンジして、ユーザに釘調整の具合を推測する楽しみを提供するようにした。
【0061】
なお、この報知は、仮想パチンコゲームが正常に終了した場合、例えば、上記の通り、図10(c)において終了が選択されて終了した場合、或いは、仮想パチンコゲームにおいてユーザのパチンコ玉が無くなって終了した場合にのみ行い、プログラムの強制中止操作や電源OFF等により仮想パチンコゲームが終了した場合は行わないようにしてもよい。こうすることで、正常に終了したユーザに対する特典とすることができる。
【0062】
<景品応募権利>
本実施形態において、会員は、仮想パチンコゲームにおいて獲得し、かつ、サーバ10に持玉情報として玉数を蓄積しているパチンコ玉を、景品応募権利に変更し、その権利に基づき景品を取得することができる。図12は景品に関するサーバ10と通信端末20との処理を示すフローチャートであり、CP11、21がそれぞれ実行する。
【0063】
S131では、サーバ10のWebサイトにおいて提供されている景品応募ページにアクセスすべく、通信端末20が景品応募ページ要求をサーバ10に送信する。
【0064】
要求を受信したサーバ10は、S221でその会員の持玉情報により示される会員所有のパチンコ玉数と、景品の応募権利に関する情報を通信端末20に送信する。S132で、通信端末20は、サーバ10から受信した情報を表示装置28に表示する。図13はその表示例を示す。
【0065】
図13の例では、会員が所有するパチンコ玉数が25000であることが示されていると共に、1等から5等までの景品応募権利を取得するために必要な、予め設定されたパチンコ玉の数量が表示されている。会員はカーソル(星印)で所望の景品応募権利を選択し、「決定」を選択することができる。なお、景品応募権利は、景品のグループを示しており、例えば、1等はより高価な景品のグループを、5等はより安価な景品のグループを示す。
【0066】
図12に戻り、「決定」が選択されると、S133で通信端末20は、会員が所有するパチンコ玉を、会員が選択した種類の景品応募権利に変更することを要求する変更要求を送信する。S222でサーバ10は変更要求を受信し、会員が選択した種類の景品応募権利に必要なパチンコ玉数と会員が所有するパチンコ玉数とのチェックを行い、会員が所有するパチンコ玉数が景品応募権利に必要なパチンコ玉数を上回っていれば、その景品応募権利に属する具体的な景品を示した景品リストを送信する。なお、上回ってない場合は、エラーを送信する。
【0067】
S134で、通信端末20は景品リストを受信し、表示装置28に表示する。表示装置28には会員が選択可能な景品が表示されることになる。会員がいずれかの景品を選択すると、S135で通信端末20はその選択結果をサーバ10に送信する。S223でサーバ10は選択結果を受信し、会員登録DBのデータを更新する。具体的には、その会員の持玉情報から、今回選択された景品応募権利の種類に応じて予め設定された数量分のパチンコ玉を減数する。また、景品情報に、今回会員が選択した景品の情報を、これから会員に引き渡す予定の景品として追加する。この景品は、サーバ10の運営者により、後日、会員に郵送等されて引き渡されることになる。
【0068】
S224で、サーバ10は、景品応募に関する手続きが完了したことを示す通知を通信端末20に送信する。S136で、通信端末20はサーバ10からの通知を受信し、景品応募が成立しことを表示装置28に表示して一単位の処理が終了する。こうして会員は仮想パチンコゲームを行うことで景品を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、該サーバと通信可能な通信端末と、を備えたゲームシステムにおいて、
前記サーバが、
入賞口へのパチンコ球の流れ易さに関わる複数種類の釘調整情報を蓄積した釘調整情報蓄積手段と、
前記釘調整情報を前記通信端末に送信する釘調整情報送信手段と、を備え、
前記通信端末が、
仮想パチンコゲームを開始する度に、前記複数種類の釘調整情報のうちの1つを前記サーバから受信する釘調整情報受信手段と、
前記釘調整情報受信手段が受信した前記釘調整情報に基づいてパチンコ玉の軌道を決定し、パチンコ機上でパチンコ玉が移動する画像を表示装置に表示して仮想パチンコゲームを進行するゲーム進行手段と、
前記ゲーム進行手段による仮想パチンコゲームが終了したことを条件として、その仮想パチンコゲームの前記釘調整情報の種類を示す情報をユーザに報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記通信端末は、
該通信端末のユーザが獲得したパチンコ玉を、景品応募権利に変更する変更要求を送信する変更要求送信手段を備え、
前記サーバは、
各ユーザが獲得したパチンコ玉の数量を示す獲得数量情報を蓄積した数量情報蓄積手段と、
前記変更要求を受信する変更要求受信手段と、
前記変更要求受信手段を受信した場合に、前記景品応募権利に対して予め設定された数量分、そのユーザの前記獲得数量情報を減数する更新手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記通信端末が携帯型電話機であり、
前記ゲーム進行手段は、入賞口にパチンコ玉が入球したことを条件として図柄の組み合わせを変動し、変動停止時の図柄の組み合わせが所定の図柄の組み合わせである場合に大当たりとなる仮想パチンコゲームを進行し、
前記通信端末は、更に、
図柄の組み合わせがリーチ状態となった場合に、前記携帯型電話機の振動機能又は音出力機能の少なくともいずれかにより、該リーチ状態であることを報知するか否かをユーザが設定する設定手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
入賞口へのパチンコ球の流れ易さに関わる複数種類の釘調整情報を蓄積したサーバと通信可能な通信端末を、
仮想パチンコゲームを開始する度に、前記複数種類の釘調整情報のうちの1つを前記サーバから受信する釘調整情報受信手段、
前記釘調整情報受信手段が受信した前記釘調整情報に基づいてパチンコ玉の軌道を決定し、パチンコ機上でパチンコ玉が移動する画像を表示装置に表示して仮想パチンコゲームを進行するゲーム進行手段、
前記ゲーム進行手段による仮想パチンコゲームが終了したことを条件として、その仮想パチンコゲームの前記釘調整情報の種類を示す情報をユーザに報知する報知手段、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−182828(P2011−182828A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48238(P2010−48238)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(506036150)株式会社ディーピー (3)
【Fターム(参考)】