説明

コジェネレーション装置

【課題】エンジン始動用電動機としても使える発電機を備え、外部電源との連系用インバータと駆動用インバータ間に双方向DC−DCコンバータを介して低電圧バッテリを接続し、停電時に双方向DC−DCコンバータで昇圧して発電機をモータリングし、エンジンを始動するようにしたコジェネレーション装置において、バッテリの消耗をなるべく少なくし、かつ、停電の心配があまりない場合はコジェネレーション装置の価格を抑えられるようにすることが課題である。
【解決手段】エンジンは非停電時、連系用インバータと駆動用インバータを介して前記発電手段に供給される外部電源で始動され、双方向DC−DCコンバータの駆動用インバータ側には、駆動用インバータ出力を前記外部電源の電圧と周波数にするDC/ACコンバータが接続されて、停電時、DC/ACコンバータ出力を前記電力使用装置に給電すると共に、DC/ACコンバータとバッテリと双方向DC−DCコンバータを着脱可能として一体化し、停電時起動用オプションとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コジェネレーション装置に係り、特に、停電時でも排熱利用や発電ができるよう、停電時にエンジンを起動できるようにしたコジェネレーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近のコジェネレーション装置は、都市ガスや天然ガスなどの比較的クリーンなエネルギーを用いるエンジンを用いて発電機を駆動すると共に、エンジンの発熱や余剰電力を利用して冷却水を温め、熱交換して排熱利用できるようにしたり、エンジンを低出力で運転すると効率が低下するため、稼働時には例えば1KWなどの定格で運転し、家庭内の電力使用装置の負荷の変動に対応させて商用系統と連系しながら排熱利用と給電とを行えるようにしている。
【0003】
このようなコジェネレーション装置は例えば特許文献1に、商用系統に電流センサを、電力使用装置側に蓄電手段と余剰電力消費ヒータとを設け、電流センサで商用系統の電流量を検出し、家庭内の電力使用装置の使用電力が小さいときに発電機の余剰電力が商用系統に逆潮流しないよう、蓄電手段に電力を蓄電すると共に余剰電力消費ヒータを動作させるように制御しながら通電し、給湯用加熱が行えるようにしたコジェネレーション装置が示されている。
【0004】
これを図4に基づいて簡単に説明すると、図中50A、50B、50C、……は一般家庭等の電力消費箇所に設けられた電力消費機器、52は発電手段として熱と電力を発生し、複数の電力消費機器50に電力を供給する熱電併給装置で、発電機52gとその発電機52gを駆動するガスエンジン52eとを備えて交流電力を発電するように構成されている。53はコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御部、54は発電機52gの出力電力を商用系統60から供給される電力と同じ電圧と周波数にするためのインバータ、55は複数の電力消費機器50のうちの一部の電力消費機器50に設けられ、発電機52gが発電して余った余剰電力を商用系統60へ逆潮流させないためと、自己が消費する電力を蓄えるための蓄電池、56は余剰電力を蓄電池55に蓄えたり蓄電池55から放電させたりする制御を行う充放電制御部である。
【0005】
57は熱電併給装置52が発生した電気を、電力消費機器50A、50B、50C、……や蓄電池55への充電によっても使い切れないとき、この余剰電力を使って水を温めたりする電気ヒータで、例えば発電機52gの出力電力1KWと同程度の電力を消費するヒータを用いる。58は余剰電力を蓄電池55に蓄えるために交流を直流に変換する直流電源部、59は蓄電池55への充電状態と蓄電した電力を消費する運転状態とを切り換える充電断続用スイッチ、60は外部電源としての商用系統、61は家庭内に設けられた分電盤、62は商用ライン、63は給電線、64は商用ライン62を流れる電流を計測し、逆潮流が発生するか否かを検出する電流センサ、65はヒータ用分配線、66は電気ヒータ57に供給される電力を調節するためのスイッチング回路、67は冷却水循環路、68は冷却水循環ポンプである。なお、図示はしていないが、冷却水循環路67を通ってガスエンジン52eや電気ヒータ57で温められた温水は、貯湯タンクなどに蓄えられ、暖房端末などに供給されて屋内暖房などに使用される。
【0006】
そしてこのコジェネレーションシステムでは、ガスエンジン52eによって駆動される発電機52gにより発電された電力は、系統連系用のインバータ54によって電圧と周波数が商用系統60と同じになるよう揃えられ、給電線63に送り出される。一方、ガスエンジン52eの排熱は、冷却水循環ポンプ68から冷却水循環路67を通して送られてくる冷却水を温め、また、発電機52gで発電されて、電力消費機器50A、50B、50C、……で使い切れなかった余剰電力で駆動される電気ヒータ57により温められ、図示していない貯湯タンクに蓄えられたり、暖房端末などに供給されて屋内暖房などに使用される。
【0007】
そして余剰電力による電気ヒータ57の駆動は、発電機52gの発電電力が商用系統60側に逆潮流しないよう、商用ライン62に流れる電流を測定した電流センサ64からの信号を受けた運転制御部53が、スイッチング回路66を制御して供給電力を調節して行う。
【0008】
すなわち熱電併給装置52に余剰電力が無いとき、電流センサ64を通して商用系統60からの電流(以下、正方向電流と称する)が検出されるが、熱電併給装置52に余剰電力が生じると、電流センサ64の正方向電流値は検出されなくなる。そのため運転制御部53は、電流センサ64にて検出される正方向電流値が低下する傾向のとき、その正方向電流値が逆潮流防止用の設定下限電流値となるよう、スイッチング回路66を制御するように構成されている。
【0009】
そしてこのようなコージェネレーションシステムは、一般的に例えば炊事場回りの外に、熱電併給装置52とエンジンの排熱を利用する給湯ユニット、及びこれら熱電併給装置52や給湯ユニットを制御する運転制御部53などを含む発電・給湯ユニットを設けて行われる。
【0010】
また、このようなコジェネレーション装置における熱電併給装置52を構成するエンジンは、通常、車などと同様バッテリで動作するセルモータを用いて起動したり、連系した系統から電力を得て回転するセルモータを用いて起動する等のことが行われている。
【0011】
しかしながら、車などと同様バッテリで動作するセルモータを用いると、コジェネレーション装置が大型になると共にコストも上がるため、連系した系統から電力を得てセルモータを回転させるようにしているものが多い。しかしながらこのようにした場合、停電時にはエンジンを起動することができず、例えば災害などによって停電はしたがガスだけは供給されている、というような場合でも排熱利用や給電を行うことができず、せっかくガスが使えて排熱利用や給電を可能とする装置がありながら、使うことができないという状態になる。
【0012】
こういった問題を解決するため例えば特許文献2には、エンジンによって回転されてエンジン始動用電動機としても使える発電機を備え、その発電機出力を駆動用インバータで直流に変換した後DCレギュレータとインバータによって商用系統と連系できる交流に変換し、解列のためのブレーカを含むATSを介して商用系統と連系させて、配電盤から電気負荷に接続した発電ユニットを有するコジェネレーション装置において、駆動用インバータとDCレギュレータとの間に双方向DC−DCコンバータを介して12V程度のバッテリを接続し、エンジン始動時には双方向DC−DCコンバータで昇圧して発電機をモータリングすると共に、発電機で発電した電力が余ったときは、双方向DC−DCコンバータで降圧してバッテリを充電できるようにして、停電時でも発電できるようにしたコジェネレーション装置が提案されている。
【0013】
【特許文献1】特開2006−158148号公報
【特許文献2】特開2006−121888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら特許文献2に示されたコジェネレーション装置では、エンジンは常時、バッテリと双方向DC−DCコンバータによって発電機をモータリングして起動されており、また、商用系統との連系と、停電時の解列と電力使用装置への接続を単一のATSで行っていて、それだけバッテリの消耗が早いと共に、停電の心配があまりない場合はバッテリと双方向DC−DCコンバータの分、及び電力使用装置への接続スイッチ分だけ高価になる。
【0015】
そのため本発明においては、エンジン始動用電動機としても使える発電機を備え、外部電源との連系用インバータと駆動用インバータ間に双方向DC−DCコンバータを介して12V程度のバッテリを接続し、停電時に双方向DC−DCコンバータで昇圧して発電機をモータリングしてエンジンを始動するようにしたコジェネレーション装置において、バッテリの消耗をなるべく少なくし、かつ、停電の心配があまりない場合はコジェネレーション装置の価格を抑えられるようにしたコジェネレーション装置を提供することが課題である。
【0016】
上記課題を解決するため本発明になるコジェネレーション装置は、
外部電源と電力使用装置とに接続された発電ユニットを備え、該発電ユニットは、エンジンと該エンジン始動用電動機として使用可能な発電手段と、該発電手段と前記外部電源との間に接続されて、発電手段出力を直流に変換する双方向交流/直流変換手段と、変換された直流を外部電源と連系可能な交流に変換する第1の直流/交流変換手段とからなり、前記双方向交流/直流変換手段と第1の直流/交流変換手段との間には、双方向直流/直流変換手段を介してバッテリが接続され、停電時に前記バッテリ出力を双方向直流/直流変換手段で昇圧し、前記双方向交流/直流変換手段を介して前記発電手段をモータリングして前記エンジンを起動できるようにしたコジェネレーション装置において、
前記エンジンは、非停電時、前記第1の直流/交流変換手段と双方向交流/直流変換手段を介して前記発電手段に供給される外部電源で始動され、前記双方向直流/直流変換手段の双方向交流/直流変換手段側には、前記双方向交流/直流変換手段出力を前記外部電源の電圧と周波数にする第2の直流/交流変換手段が接続されて、停電時、該第2の直流/交流変換手段出力を前記電力使用装置に給電することを特徴とする。
【0017】
このようにエンジンの始動を、非停電時は外部電源で、停電時はバッテリで行うようにすることで、バッテリの消費は停電時のみとなるからバッテリの消耗が押さえられ、かつ、電力使用装置への給電は、第2の直流/交流変換手段によって行うから、コジェネレーション装置における外部電源との連系側には解列用のブレーカのみを設ければ良く、停電の心配があまりない場合はコジェネレーション装置の価格を抑えるよう構成することが可能となる。
【0018】
また、前記第2の直流/交流変換手段とバッテリと双方向直流/直流変換手段とを一体とし、停電時にエンジンを起動するためのスイッチを有するパネルを設けて着脱可能なオプションとすることで、ユーザは停電時にオプションに設けられたスイッチでコジェネレーション装置の電源を入れ、電力を使用できると共に、コジェネレーション装置本体の価格は低く押さえることが可能となり、それだけコジェネレーション装置の普及を計ることができる。
【0019】
そして、前記第1の直流/交流変換手段の双方向交流/直流変換手段側に接続され、前記発電手段が発電した電力のうち、前記電力使用装置の使用電力量を上回った分を消費する余剰電力消費手段が設けられ、該余剰電力消費手段をコジェネレーション装置における排熱利用装置の加熱手段としてのヒータとすることで、停電時にも排熱利用が可能なコジェネレーション装置とすることができ、さらに、一般的にこのようなコジェネレーション装置におけるエンジンは、振動騒音の観点から定格一定でチューニングされているが停電時の負荷は一定とは限らないから、余剰分を余剰電力ヒータで消費することにより、エンジンは一定出力で駆動でき、それだけ振動騒音対策がなされた条件(低騒音)でエンジンを運転することができる。
【0020】
さらに、前記双方向直流/直流変換手段は前記発電手段の余剰電力で前記バッテリを充電する降圧機能を有し、前記バッテリには前記発電手段のモータリングで消費した電力と充電電流を積算計測する電流センサが接続されて、バッテリの寿命を予測して表示装置に表示する前記オプション側に設けられた制御手段が設けられていることで、バッテリは常に満充電状態として非常時に備えることが可能となり、また、バッテリの交換時期を知ることが可能であるから非常時に始動できないという事態が生じることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、停電時も排熱利用や給電を可能とするコジェネレーション装置を安価に提供できると共に、停電時にエンジンを始動するバッテリの消耗を低く抑えて交換時期を知らせることもできるから、非常時にエンジンが始動できないという事態を防ぐこともできる、コジェネレーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明になるコジェネレーション装置における発電を行うエンジンユニットと停電時オプションを示した概略ブロック図、図2は本発明のコジェネレーション装置全体の概略ブロック図、図3は本発明になるコジェネレーション装置における排熱利用設備を説明するための概略ブロック図である。
【0024】
最初に図3を用い、排熱利用設備を含むコジェネレーション装置の概略を説明する。この図3において11は発電機12を駆動する例えばガスエンジンで、発電機12で発電された電力は、系統連系用のインバータ13によって外部電源たる商用系統17の電圧と周波数と同じになるよう揃えられ、給電線49によって配電盤15を通して家庭内の電力使用装置47に送られる。なお、前記したように、このようなコジェネレーション装置においては、エンジンを低出力で運転すると効率が低下するため、稼働時には、例えば1KWなどの定格で運転するようにし、騒音などを押さえるため、この定格運転時に振動などが最も小さくなるようチューニングされている。
【0025】
また、商用系統17と配電盤15との間には電流センサ16が設けられ、商用系統17から配電盤15を通って電力使用装置47に送られる電力の電流が測定されて、インバータ13内に設けられた制御装置に送られる。そしてインバータ13内の制御装置は、電力使用装置47の使用する電力が少なくなって、商用系統17から配電盤15を通って電力使用装置47に送られる電流が小さくなる、すなわち発電機12の発電した電力が余ると、余剰電力消費用のヒータ22に通電し、商用系統17への逆潮流が起こるのを防止する。
【0026】
一方エンジン11には、排熱を利用するための冷却水配管48が設けられ、さらに排熱交換器40からもこの冷却水配管48内の冷却水に熱が与えられると共に、余剰電力消費用のヒータ22によってもこの冷却水に熱が与えられる。そして熱せられた冷却水は、熱交換器41、43などによって貯湯タンク42に蓄える水や、図示していない家庭内に設けられた屋内暖房用暖房端末などに供給する水を温めたりする。なお、44、45は同様に家庭内に給湯したりするための熱交換器であり、46は熱源が不足した場合にガスなどを用いて熱源とする補助熱源器である。
【0027】
以上がコジェネレーション装置の概略であるが、次に図1、図2を用い、本発明を詳細に説明する。なお、図1、図2において以上説明してきた図3と同一の構成要素には同一番号が付してある。図中、11はエンジン、12はエンジン始動用電動機として使用可能な発電機、13は、発電機12が発電した例えば300V、213Hzの交流を約300Vの直流に変換するAC/DCインバータ18と、この直流300Vを外部電源たる商用系統17における電圧、周波数と同じ交流にするためのDC/ACインバータ19を搭載したインバータ基板であり、これらエンジン11、発電機12、インバータ基板13、ECU基板14によってエンジンユニット10が構成される。
【0028】
なお、外部電源たる商用系統17は周波数や電圧が変動することはまずないのに対し、発電機12で発電した電力はその電力の使用状況によって周波数や電圧が変動しやすいため、AC/DCインバータ18とDC/ACインバータ19とにより、発電機12で発電した電気の電圧と周波数とを外部電源たる商用系統17と同じになるよう揃えらる。またこれらAC/DCインバータ18とDC/ACインバータ19とは、非停電時、商用系統からの交流をDC/ACインバータ19で直流に変換し、その直流をAC/DCインバータ18で交流に変換してエンジン始動用電動機として使用可能な発電機12をモータリングし、エンジン11を始動させる、双方向タイプのAC/DCインバータとDC/ACインバータである。
【0029】
14は、エンジン11のスロットル、ガス電磁弁、点火装置、各種センサー等の電子制御を行うCPU29を搭載してエンジン11を制御するECU基板、20はインバータ基板13に搭載され、このECU基板14に電源を供給する制御電源、21はAC/DCインバータ18やDC/ACインバータ19を制御すると共に、インバータ基板13外に設けられた余剰電力消費ヒータ22の消費電力を、PWM(Puls Width Modolation)制御によってデューティ(Duty)比を制御する半導体スイッチ23に指示を送るCPU、26は例えばリレーなどで構成してCPU21による制御を可能としたブレーカである。なお、余剰電力消費ヒータ22は、前記図3で説明したように、余剰電力で給湯用に冷却水を温めるのにも用いる。
【0030】
通常、こういったコジェネレーション装置では、停電時に商用系統17に電気が流れると電気系統の保守に支障を来すため、2箇所で解列できるようにすることが求められているが、ブレーカ26はそのうちの一つであり、もう一方はDC/ACインバータ19がゲートブロックとしてブレーカの代わりを勤める。15は商用系統17とDC/ACインバータ19の出力を家庭内の電力使用機器に供給するための配電盤、16は例えばCT(Current Transformer)等で構成された電流センサで、この電流センサ16の測定結果はインバータ基板13のCPU29に送られる。
【0031】
また30は、停電時に始動用電動機として使用可能な発電機12を駆動し、エンジン11を始動させる電力を供給すると共に、発電機12で発電された電力を停電時配電盤32を介して電力使用装置47に送る停電時始動・給電ユニット、31は停電時に給湯または給電を指示する停電時パネルで、その中の311は給湯スイッチ、312は発電スイッチ、313は停止スイッチ、314は使用電力などの表示装置、315、316、317、318は停電時始動・給電ユニット30内のバッテリ36の充電状態やヘタリ状態を示すための表示灯で、例えば315はバッテリ36が充分充電されていることを示す青表示灯、316は電力が減っている状態を表す黄表示灯、317は電力がほとんど無くて充電せねばならない状態を示す赤表示灯、318はバッテリがヘタってしまって交換が必要なことを示す表示灯である。
【0032】
32は停電時に電力使用装置に給電するための停電時配電盤で、図2に示したように電力使用装置47に接続されると共に、排熱利用装置の冷却水循環ポンプなどを駆動するために用いられる。33は停電時パネル31、停電時始動・給電ユニット30内の双方向DC/DCインバータ34、DC/ACインバータ35、電力積算センサ38、停電時ブレーカ37などを制御するCPU、36は例えば12Vなどの低電圧バッテリ、38はバッテリ36からエンジン11を始動するため、発電機12のモータリング用電流を流したとき、あるいは発電機12が発電した余剰電力によって双方向DC/DCインバータ34を介してバッテリ36が充電されるとき、それぞれの電流を測定して積算し、バッテリ36の寿命をCPU33で予測するための電流積算センサ、39は前記図3で説明したような給湯ユニットであり、図2における27は図1における停電時始動・給電ユニット30、停電時パネル31を一体とした停電用オプション、28は非停電時に排熱利用や発電、それらの停止を指示するための非停電時パネルである。
【0033】
このように構成したコジェネレーション装置において、前記したようにエンジン11、発電機12、インバータ基板13、ECU基板14を含むエンジンユニット10と、前記図3に40で示した排熱交換器、42で示した給湯タンクなどを含む図2に39で示した給湯ユニットは、一般的に炊事場回りの外に設置され、非停電時パネル28と停電時パネル31を含む停電用オプション27とは通常家庭内に設置される。
【0034】
この図1、図2に示したコジェネレーション装置では、非停電時は、図2に28で示した非停電時パネル28に設けられた給湯、または給電のためのスイッチを操作することで、まずブレーカ26(図1参照)が閉じられ、商用系統17から配電盤15とブレーカ26を介して送られる交流が、DC/ACインバータ19で直流に変換された後、AC/DCインバータ18で交流に変換され、エンジン始動用電動機として使用可能な発電機12をモータリングしてエンジン11を始動させる。
【0035】
そしてそのとき、ECU基板14(図1参照)に搭載されたCPU29により、エンジン11のスロットル、ガス電磁弁、点火装置、各種センサー等が電子制御される。そして発電機12が駆動されることで発電した例えば300V、213Hzの交流は、インバータ基板13に含まれるAC/DCインバータ18で約300Vの直流に変換され、その後DC/ACインバータ19で、外部電源たる商用系統17と同じ周波数のAC100V/200Vの3相交流に変換されて、ブレーカ26から配電盤15を介して家庭内の電力使用装置に給電される。
【0036】
外部電源たる商用系統17と配電盤15との間には、電流センサ16が設けられて商用系統17の使用電力が検出される。発電機12の出力は前記したように例えば1KWと一定であるため、家庭内の電力使用装置の使用電力がこの1KWを越えると配電盤15を介して商用系統17から電力が供給される。
【0037】
しかし逆に、家庭内の電力使用装置の使用電力がこの1KWより少ないと、そのままでは余った電気が商用系統17へ逆潮流する。それを防ぐため、商用系統17と配電盤15の間に設けられた電流センサ16の測定結果がインバータ基板13に搭載した制御用のCPU21に常時送られ、このCPU21が送られてきた測定結果を元に、商用系統17から配電盤15方向へ流れる電流の減少を検出すると、逆潮流が起きる可能性があるとして余剰電力消費ヒータ22の使用電力を制御する半導体スイッチ23へ、余剰電力に相当する電力を消費するようPWM制御信号を送る。
【0038】
半導体スイッチ23は、例えばトランジスタで構成され、ベースに余剰電力分の電力を消費するデューティ比としたPWM信号を入力することで、送られた信号に従って余剰電力相当の電力が余剰電力消費ヒータ22で消費され、商用系統17への逆潮流が防止される。
【0039】
一方、エンジン11の排熱は、ラジエータなどに巻回されたパイプなどで構成される排熱交換器40(図2、図3参照)の中を通る冷却水を温め、さらに余剰電力が発生している場合は、その余剰電力を消費するヒータ22により温められる。そして給湯、または給電停止の信号が送られてくるとブレーカ26が開かれ、ECU基板14によってエンジン11が停止されて給湯、給電が停止する。
【0040】
そして停電により、ブレーカ26が開くと共にDC/ACインバータ19が動作を停止してゲートブロックとして働き、商用系統17が解列されて給電は止められたが、例えばガスエンジン11を駆動するガスは止まっていないというとき、図1、図2に示した停電時パネル31の給湯スイッチ311、または発電スイッチ312を押下すると、信号がCPU33に送られ、DC/DCインバータ34によってバッテリ36の例えば12Vが300V近くに昇圧され、AC/DCインバータ18で発電機12をモータリングするための交流に変換されて、エンジン11が始動される。なお、バッテリは36は12Vに限らないことは勿論である。
【0041】
そしてエンジン11が始動することで発電機12が駆動されると、発電された例えば300V、213Hzの交流は、非停電時と同様、インバータ基板13に含まれるAC/DCインバータ18で約300Vの直流に変換され、停電時はDC/ACインバータ19が動作を停止しているため、停電時始動・給電ユニット30に含まれるDC/ACインバータ35で商用系統17と同じ周波数、電圧にされ、停電時ブレーカ37と停電時配電盤32とを介して図2に示した電力使用装置47や図示していない冷却水循環ポンプに給電される。
【0042】
この時、発電機12で発電された電力が電力使用装置47で使い切らないときは、非停電時の場合と同様、CPU21から半導体スイッチ23へ余剰電力に相当する電力を消費するようPWM制御信号が送られ、余剰電力に相当する電力が余剰電力消費ヒータ22で消費される。この余剰電力消費ヒータ22は、前記したように図2、図3における給湯設備の冷却水を温めるために使われる。また、エンジン11の排熱を利用する排熱交換器40によっても冷却水が温められ、貯湯タンク42に蓄えられて、家庭内の給湯設備、暖房設備などに送られて使われる。
【0043】
また、例えば12Vのバッテリ36に設けられた電流積算センサ38は、このエンジン11の始動時に使われた電流と、その後、双方向DC/DCインバータ34を介して発電機12が発電した余剰電力により充電されるとき、それぞれの電流を測定して積算し、CPU33に信号送ってバッテリ36の寿命を予測し、その予測結果に従い、バッテリ36が充分充電されているときはバッテリ残量として示した所に設けられた青表示灯315を、電力が減っている場合は黄表示灯316を、電力がほとんど無くて充電せねばならない状態のときは赤表示灯317を点灯させ、さらにバッテリがヘタってしまって交換が必要な場合は交換表示灯318を点灯させてユーザに知らせる。このようにすることにより、ユーザはバッテリ36の充電量や充電が必要なこと、あるいはバッテリ36を交換せねばならぬことを知ることができる。
【0044】
このように停電時始動・給電ユニット30を構成し、例えばAC/DCインバータ18とDC/ACインバータ19との間に着脱自在にすると共に、これを停電時パネルと共に一体化して図2に示したように停電時オプション27とすれば、停電時に給湯設備や給電設備をあまり使うことのない場合は、この停電時オプション27を除いたコジェネレーション装置のみをを購入し、必要な場合に停電時オプション27を購入するといったこともできるから、コジェネレーション装置を安価にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、コジェネレーション装置を停電時も使用できると共に、バッテリの消耗が小さく押さえられ、また、停電の心配があまりない場合はコジェネレーション装置の価格を抑えられるから、コジェネレーション装置の普及に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明になるコジェネレーション装置における発電を行うエンジンユニットと停電時オプションを示した概略ブロック図である。
【図2】本発明のコジェネレーション装置全体の概略ブロック図である。
【図3】本発明になるコジェネレーション装置における給湯設備を説明するための概略ブロック図である。
【図4】従来のコジェネレーション装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
10 エンジンユニット
11 エンジン
12 発電機
13 インバータ基板
14 ECU基板
15 配電盤
16 電流センサ
17 商用系統
18 AC/DCインバータ
19 DC/ACインバータ
20 制御電源
21 CPU
22 余剰電力消費ヒータ
23 半導体スイッチ
26 ブレーカ
27 停電用オプション
28 非停電時パネル
29 CPU
30 停電時始動・給電ユニット
31 停電時パネル
311 給湯スイッチ
312 発電スイッチ
313 停止スイッチ
314 使用電力表示装置
315 青表示灯
316 黄表示灯
317 赤表示灯
318 交換表示灯
32 停電時配電盤
33 CPU
34 DC/DCインバータ
35 DC/ACインバータ
36 12Vバッテリ
37 停電時ブレーカ
38 電流積算センサ
39 給湯ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と電力使用装置とに接続された発電ユニットを備え、該発電ユニットは、エンジンと該エンジン始動用電動機として使用可能な発電手段と、該発電手段と前記外部電源との間に接続されて、発電手段出力を直流に変換する双方向交流/直流変換手段と、変換された直流を外部電源と連系可能な交流に変換する第1の直流/交流変換手段とからなり、前記双方向交流/直流変換手段と第1の直流/交流変換手段との間には、双方向直流/直流変換手段を介してバッテリが接続され、停電時に前記バッテリ出力を双方向直流/直流変換手段で昇圧し、前記双方向交流/直流変換手段を介して前記発電手段をモータリングして前記エンジンを起動できるようにしたコジェネレーション装置において、
前記エンジンは、非停電時、前記第1の直流/交流変換手段と双方向交流/直流変換手段を介して前記発電手段に供給される外部電源で始動され、前記双方向直流/直流変換手段の双方向交流/直流変換手段側には、前記双方向交流/直流変換手段出力を前記外部電源の電圧と周波数にする第2の直流/交流変換手段が接続されて、停電時、該第2の直流/交流変換手段出力を前記電力使用装置に給電することを特徴とするコジェネレーション装置。
【請求項2】
前記第2の直流/交流変換手段とバッテリと双方向直流/直流変換手段とを一体とし、停電時にエンジンを起動するためのスイッチを有するパネルを設けて着脱可能なオプションとしたことを特徴とする請求項1に記載したコジェネレーション装置。
【請求項3】
前記第1の直流/交流変換手段の双方向交流/直流変換手段側に接続され、前記発電手段が発電した電力のうち、前記電力使用装置の使用電力量を上回った分を消費する余剰電力消費手段が設けられ、該余剰電力消費手段をコジェネレーション装置における排熱利用装置の加熱手段としてのヒータとしたことを特徴とする請求項1に記載したコジェネレーション装置。
【請求項4】
前記双方向直流/直流変換手段は前記発電手段の余剰電力で前記バッテリを充電する降圧機能を有し、前記バッテリには前記発電手段のモータリングで消費した電力と充電電流を積算計測する電流センサが接続されて、バッテリの寿命を予測して表示装置に表示する前記オプション側に設けられた制御手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載したコジェネレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−228543(P2008−228543A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67733(P2007−67733)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】