説明

コネクタ

【課題】本発明はケーブル付でも耐振動性と接続安定性に優れたコネクタ10を提供。
【解決手段】本目的は回動及びスライド可能に回動部材16を装着し、ハウジング12にはコンタクト14が配列された幅方向の一方側に断面略L字形状の第1係合部22と第1係合部22の他方側に逃げ溝30を設け、回動部材16には幅方向両側に略U字形状の第1及び第2係止部48、49を設け、第1及び第2係止部48、49には係止孔50を設け、幅方向両側にはガイド部24を設け、接続対象物が装着部18に装着された後に、回動部材16は第1係合部22の軸部を支点に移動及び回動し、回動が完了した際には第2係止部49が逃げ溝30に入り、回動後に回動部材16をスライドさせて接続対象物に押圧させることにより接続対象物とコンタクト14とを接続させることを特徴とするコネクタ10により達成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話や携帯音楽プレーヤーや携帯テレビ等の電気機器や電子機器に使用されるコネクタに関するもので、特に、ケーブルが接続された電子部品が装着されても小型化が可能な構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、少なくとも複数のコンタクトと該コンタクトが保持・配列されるハウジングを有している。前記コネクタには、一般的に接続対象物(ケーブルが付いた相手コネクタやフレキシブルプリント基板(以下では「FPC」という)やカードや光モジュール等)が入る装着部が設けられている。前記接続対象物を、前記コネクタの装着部に保持する方法には多々考えられる。例えば、ただ単に前記接続対象物を置いた場合(特許文献2や特許文献3のように)や前記接続対象物を置いたホルダーをスライドさせるもの(特許文献4のように)や前記接続対象物をホルダーに装着した後にホルダーを回動させるもの(特許文献1のように)等がある。
特許文献として、接続対象物を装着した後に回動させる特許文献1(特開平11−224724号)と本出願人が既に提案した、前記接続対象物を装着部に置いた特許文献2(特開2001−357932)や特許文献3(特開2002−93493)や前記接続対象物を置いた後にスライドさせる特許文献4(特開2008−4523)を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許文献1の特開平11−224724号の要約によると、本発明は従来例におけるスナップ係合方式を排し、単にカバーを閉合方向へプッシュ操作するのみでワンタッチでベースに対するカバーのロック状態が形成でき、更にカバ−の上面を再プッシュするのみでワンタッチでベースに対するカバーのロック解除状態を形成できるようにしたカードコネクタを提供することを目的とし、コネクタハウジングを構成するベース1には同ハウジングに収容されたICカード4の外部接点8と接触するコンタクト5を備える。更にベース1に対するカバー2の閉合を保持するロック機構として、例えば上記ベース1側に設けたカム要素13と、カバー2に設けた上記カム要素13によりロック位置とロック解除位置に案内される係止片14とから成り、上記カバー2のプッシュ操作により上記係止片14のカム要素13に対するロック位置への案内がなされ、且つこのロック状態における再プッシュ操作により上記係止片14のカム要素13に対するロック解除位置への案内がなされるカードコネクタが開示されている。
【特許文献2】特許文献2の特開2001−357932の要約によると、簡単にICカードをコネクタに装着でき、カバー等を用いた構造でもカバーが破損することなく、確実にロックできる構造のICカード用コネクタを提供することを目的とし、ハウジング12の一内側面に弾性部材16を配置すると共に4角部に係合部18を設け、弾性部材16でICカード26を一方側に押し付けてICカード26を係合部18に係合させ、また、カバーを用いるICカード用コネクタでは、ハウジングの長手方向の一方端側に軸を支点に回動するカバーを装着し、他方端側に係合部を設け、該カバーのICカード挿入方向と反対側に弾性部材を配置すると共に弾性部材でICカードを一方側に押し付けてICカードを係合部に係合させるICカード用コネクタが開示されている。
【特許文献3】特許文献3の特開2002−93493の要約によると、本発明は、簡単にICカードをコネクタに装着でき、カバー等を用いた構造でもカバーが破損することなく、確実にロックできる構造のICカード用コネクタを提供することを目的とし、上記目的は、ICカード26と接続する接触端子14と、この接触端子14が保持・固定されるハウジング12とからなるICカード用コネクタ10において、前記ハウジング12の対向する内側面に係合部18を設けると共に一方の係合部18に段部16を設けることにより達成でき、また、前記段部16によりICカード26の位置合わせをすると共に前記接触端子14の接触圧と前記係合部18によりICカード26を保持する。なお、上記では、前記係合部18を対向する内側面に設けたが、前記ハウジング12の内側面の4角部に設けてもよい。
【特許文献4】特許文献4の特開2008−4523の要約によると、本発明は簡単な構造で、2.0mm以下のコネクタの低背化ができ、安全性にも優れた構造のカードコネクタを提供することを目的とし、本目的はメモリカード60が着脱自在に挿抜されるカードコネクタ10であって、メモリカード60の接続部と接触するコンタクト14と、コンタクト14が配列・保持されるハウジング12とを備えるカードコネクタ10において、ハウジング12の幅方向両側に突出するように金属製のメタルプレート16を装着し、メタルプレート16には一体に基板へ接続する接続部163を設け、複数のメーリカード60を装着する金属製のトレイ18を設けるとともにトレイ18の幅方向両側の一方端側を略L字形状に折り曲げ、この折り曲げた部分26をメタルプレート16上に摺動可能に係合させることにより達成できる構造のカードコネクタが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、コネクタに接続対象物を装着した場合には、コネクタと接続対象物間の安定した接続が要求される。
特許文献2及び特許文献3に示したコネクタでは、保持がなく、耐振動性が低く、かつ、接続安定性にも問題があった。
特許文献4に示したコネクタでは、接続対象物自体をスライドさせるため、耐振動性が低く、かつ、接続安定性にも問題があった。また、摺動させているため、接点部が磨耗する可能性があり、高耐久性に不向きであった。
特許文献1に示したコネクタでは、接続対象物自体を回動させるため、耐振動性が低く、かつ、接続安定性にも問題があった。ケーブル付きの場合、作業性が悪く、ケーブルが破損し、しいては接続不良の可能性があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ケーブル付きでも耐振動性に優れ、かつ、接続安定性にも優れたコネクタを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、請求項1記載のコネクタのように、少なくとも、接続対象物との接触部と基板との接続部を有する複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る装着部を有するハウジングとを備えるコネクタにおいて、回動並びにスライド可能に回動部材を装着し、前記ハウジングには前記コンタクトが配列された幅方向のどちらか一方側に断面略L字形状の第1係合部と該第1係合部の反対側(他方側)に逃げ溝を設け、前記回動部材には幅方向両側に略U字形状の第1及び第2係止部を設けるとともに該第1及び第2係止部には係止孔若しくは係止凸部を設け、さらに、幅方向両側にはガイド部を設け、前記接続対象物が装着部に装着された後に、前記回動部材は前記第1係合部の軸部を支点に移動及び回動し、回動が完了した際には前記第2係止部が前記逃げ溝に入り、回動後に前記回動部材をスライドさせて前記接続対象物に押圧させることにより前記接続対象物と前記コンタクトとを接続させることを特徴とするコネクタにより達成できる。
【0007】
請求項2記載のコネクタは、前記ハウジングの装着部方向の幅方向両側に固定具を装着し、前記ハウジングのガイド部若しくは前記固定具に前記係止孔若しくは係止凸部と係合する係合凸部若しくは係合凹部を設け、スライドが完了した際に前記係止孔若しくは係止凸部と前記係合凸部若しくは係合凹部が係合することを特徴とする請求項1記載のコネクタにある。
また、請求項3記載のコネクタは、前記回動部材に係止片を設け、前記接続対象物を取り出す際に、前記係止片は前記回動部材の回動する位置で止まり、かつ、前記回動部材が外れないように前記ハウジングの内側壁と係合することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタにある。
さらに、請求項4記載のコネクタは、前記接続対象物にケーブルが接続されている場合、前記ハウジングには前記コンタクトの接続部突出方向との逆側に逃げ凹部又は/及び逃げ孔を設けることを特徴とする請求項1または2、3記載のコネクタにある。
【0008】
請求項5記載のコネクタは、前記ハウジングには、前記回動部材の回動軸側に前記第1係止部先端を逃げるための孔を設けるとともに基板接続側でほぼ中央付近にフラックス防止孔を設けることを特徴とする請求項1、2または3、4記載のコネクタにある。
また、請求項6記載のコネクタは、前記回動部材を回動する際に、前記回動部材が前記第1係合部に係合する際にクリック感を持たせることを特徴とする請求項1、2または3、4、5記載のコネクタにある。
さらに、請求項7記載のコネクタは、前記回動部材の回動当初は、前記係止部が前記第1係合部を包むように回動することを特徴とする請求項1〜6項のうちいずれか1項記載のコネクタにある。
さらにまた、請求項8記載のコネクタは、第1に、前記回動部材が90度に開いた状態では、前記回動部材の第1係止部の第2面が前記ハウジングの第1係合部の第4面と接し、第2に、前記回動部材を回動し始めると、前記回動部材は装着部方向に移動し、前記回動部材の第2面の裏側面が前記ハウジングの第3面と接し、第3に、前記回動部材を回動させると、前記回動部材の第1頂部が前記ハウジングの第3面に接し、かつ、前記回動部材の第1面が前記ハウジングの第1角と接し、及び前記回動部材の第2頂部が基板に接するか、若しくは、前記回動部材の第2面が前記ハウジングの第2角と接し、及び前記回動部材の第2頂部が基板に接し、第4に、前記回動部材を90度回動させると、前記回動部材の第2係止部が前記ハウジングの逃げ溝に入り、最後に、前記回動部材の第1及び第2係止部を前記ハウジングの幅方向両側のガイド部に沿ってスライドさせると、前記回動部材が前記ハウジングに完全に装着し、前記回動部材で前記接続対象物を前記コンタクト方向へ押圧することを特徴とする請求項1〜7項のうちいずれか1項記載のコネクタにある。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明のコネクタによると、次のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1記載のコネクタのように、少なくとも、接続対象物との接触部と基板との接続部を有する複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る装着部を有するハウジングとを備えるコネクタにおいて、
回動並びにスライド可能に回動部材を装着し、前記ハウジングには前記コンタクトが配列された幅方向のどちらか一方側に断面略L字形状の第1係合部と該第1係合部の反対側(他方側)に逃げ溝を設け、前記回動部材には幅方向両側に略U字形状の第1及び第2係止部を設けるとともに該第1及び第2係止部には係止孔若しくは係止凸部を設け、さらに、幅方向両側にはガイド部を設け、前記接続対象物が装着部に装着された後に、前記回動部材は前記第1係合部の軸部を支点に移動及び回動し、回動が完了した際には前記第2係止部が前記逃げ溝に入り、回動後に前記回動部材をスライドさせて前記接続対象物に押圧させることにより前記接続対象物と前記コンタクトとを接続させることを特徴とするコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れている。
(2)請求項2記載のコネクタは、前記ハウジングの装着部方向の幅方向両側に固定具を装着し、前記ハウジングのガイド部若しくは前記固定具に前記係止孔若しくは係止凸部と係合する係合凸部若しくは係合凹部を設け、スライドが完了した際に前記係止孔若しくは係止凸部と前記係合凸部若しくは係合凹部が係合することを特徴とする請求項1記載のコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れている。
(3)請求項3記載のコネクタは、前記回動部材に係止片を設け、前記接続対象物を取り出す際に、前記係止片は前記回動部材の回動する位置で止まり、かつ、前記回動部材が外れないように前記ハウジングの内側壁と係合することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れ、前記接続対象物を無負荷で取り出すことができる。
(4)請求項4記載のコネクタは、前記接続対象物にケーブルが接続されている場合、前記ハウジングには前記コンタクトの接続部突出方向との逆側に逃げ凹部又は/及び逃げ孔を設けることを特徴とする請求項1または2、3記載のコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れ、着脱時に前記接続対象物に負荷を加えることがなく接触が可能になる。
(5)請求項5記載のコネクタは、前記ハウジングには、前記回動部材の回動軸側に前記第1係止部先端を逃げるための孔を設けるとともに基板接続側でほぼ中央付近にフラックス防止孔を設けることを特徴とする請求項1、2または3、4記載のコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れ、また、コンタクト接触部へのフラックス上がりを防止できる。
(6)請求項6記載のコネクタは、前記回動部材を回動する際に、前記回動部材が前記第1係合部に係合する際にクリック感を持たせることを特徴とする請求項1、2または3、4、5記載のコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れている。
(7)請求項7記載のコネクタは、前記回動部材の回動当初は、前記係止部が前記第1係合部を包むように回動することを特徴とする請求項1〜6項のうちいずれか1項記載のコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れている。
(8)請求項8記載のコネクタは、第1に、前記回動部材が90度に開いた状態では、前記回動部材の第1係止部の第2面が前記ハウジングの第1係合部の第4面と接し、第2に、前記回動部材を回動し始めると、前記回動部材は装着部方向に移動し、前記回動部材の第2面の裏側面が前記ハウジングの第3面と接し、第3に、前記回動部材を回動させると、前記回動部材の第1頂部が前記ハウジングの第3面に接し、かつ、前記回動部材の第1面が前記ハウジングの第1角と接し、及び前記回動部材の第2頂部が基板に接するか、若しくは、前記回動部材の第2面が前記ハウジングの第2角と接し、及び前記回動部材の第2頂部が基板に接し、第4に、前記回動部材を90度回動させると、前記回動部材の第2係止部が前記ハウジングの逃げ溝に入り、最後に、前記回動部材の第1及び第2係止部を前記ハウジングの幅方向両側のガイド部に沿ってスライドさせると、前記回動部材が前記ハウジングに完全に装着し、前記回動部材で前記接続対象物を前記コンタクト方向へ押圧することを特徴とする請求項1〜7項のうちいずれか1項記載のコネクタにしているので、前記接続対象物にケーブルが付いていた場合でも、前記接続対象物と装着部には厚み方向及び前記回動部材の摺動方向に0〜0.05mmしかガタがないため、耐振動性に優れ、かつ、接続安定性に優れ、回動時にクリック感を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A) 回動部材が開いた状態の装着部方向から見た斜視図である。(B) 回動部材が開いた状態の装着部と反対方向から見た斜視図である。
【図2】(A) 回動部材が閉じた状態で、かつ、完全に回動部材が装着された状態の装着部方向から見た斜視図である。(B) 回動部材が閉じた状態で、かつ、完全に回動部材が装着された状態の装着部と反対方向から見た斜視図である。
【図3】コンタクトの斜視図である。
【図4】(A) 装着部方向からみたハウジングの斜視図である。(B) 装着部と反対方向からみたハウジングの斜視図である。
【図5】(A) 装着部方向からみた回動部材の斜視図である。(B) 装着部と反対方向からみた回動部材の斜視図である。
【図6】固定具の斜視図である。
【図7】(A) 回動部材が略90度に開いた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図である。(B) 回動部材が略45度に開いた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図である。(C) 回動部材が閉じた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図である。
【図8】(A) 回動部材が閉じた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図である。(B) 回動部材がスライドし、完全に装着された状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の特徴は、請求項1記載のコネクタ10のように、少なくとも、接続対象物との接触部と基板との接続部を有する複数のコンタクト14と、該コンタクト14が保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る装着部18を有するハウジング12とを備えるコネクタ10において、回動並びにスライド可能に回動部材16を装着し、前記ハウジング12には前記コンタクト14が配列された幅方向のどちらか一方側に断面略L字形状の第1係合部22と該第1係合部22の反対側(他方側)に逃げ溝30を設け、前記回動部材16には幅方向両側に略U字形状の第1及び第2係止部48、49を設けるとともに該第1及び第2係止部48、49には係止孔50若しくは係止凸部を設け、さらに、幅方向両側にはガイド部24を設け、前記接続対象物が装着部18に装着された後に、前記回動部材16は前記第1係合部22の軸部を支点に移動及び回動し、回動が完了した際には前記第2係止部49が前記逃げ溝30に入り、回動後に前記回動部材16をスライドさせて前記接続対象物に押圧させることにより前記接続対象物と前記コンタクト14とを接続させることを特徴とするコネクタ10である。
つまり、前記接続対象物を装着した後に、前記回動部材16は前記第1係合部22の軸部を支点に回動し、回動が完了した際には前記第2係止部49が前記第2係合部に係合し、回動後に前記回動部材16をスライドさせて前記接続対象物に押圧させることにより前記接続対象物と前記コンタクト14とを接続させるようにしたものである。
【0012】
図に基づいて、本発明のコネクタ10の一実施例を説明する。図1(A)は回動部材が開いた状態の装着部方向から見た斜視図であり、(B)は回動部材が開いた状態の装着部と反対方向から見た斜視図である。図2(A)は回動部材が閉じた状態で、かつ、完全に回動部材が装着された状態の装着部方向から見た斜視図であり、(B)は回動部材が閉じた状態で、かつ、完全に回動部材が装着された状態の装着部と反対方向から見た斜視図である。図3はコンタクトの斜視図である。図4(A)は装着部方向からみたハウジングの斜視図であり、(B)は装着部と反対方向からみたハウジングの斜視図である。図5(A)は装着部方向からみた回動部材の斜視図であり、(B)は装着部と反対方向からみた回動部材の斜視図である。図6は固定具の斜視図である。図7(A)は回動部材が略90度に開いた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図であり、(B)は回動部材が略45度に開いた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図であり、(C)は回動部材が閉じた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図である。図8(A)は回動部材が閉じた状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図であり、(B)は回動部材がスライドし、完全に装着された状態で、回動部材とハウジングの係合状態を示す断面図である。
本発明のコネクタ10は、少なくともコンタクト14とハウジング12と回動部材16を備えている。本実施例では、さらに、固定具17を備えたコネクタ10について説明する。
【0013】
まず、前記接続対象物について説明する。前記接続対象物としては、AMPモジュールや光モジュールや電極の付いた部品(コネクタやカードや基板やFPC等)にケーブルを結線したものなどを挙げることができる。
【0014】
以下で、本実施例のコネクタ10の部位について説明する。まず、コンタクト14について説明する。コンタクト14は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクト14の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。本実施例では、前記ハウジング12の装着部内に接触部が突出するように1列に配置されている。
【0015】
前記コンタクト14は、図3のように、略I字形状をし、一方端側に前記接続対象物に接触する接触部141と他方端側に基板に接続する接続部143と前記接触部141と前記接続部143との間に固定部142とを有している。
前記接触部141は、前記接続対象物と接触し易いように凸部形状にしている。また、前記接触部141を有する接触片144は、前記接続対象物に接触し易く、かつ、弾性を持たせ、安定した接触力を得るために、湾曲させている。前記接触部141の形状・大きさは、前記接続対象物と接触し、安定した接続が得られるように適宜設計している。
【0016】
前記接続部143は、基板に接続する部分であり、本実施例では図3のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。前記接続部143のタイプや大きさは、基板占有面積や加工性や強度や安定した接続等を考慮して適宜設計している。
【0017】
前記固定部142は、前記ハウジング12に保持される部分であり、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等で固定されている。本実施例では圧入によって固定されており、前記固定部142は前記接触部141と前記接続部143との間のほぼ中央付近に設けられている。前記固定部142の位置や大きさとしては、安定した接触や保持力等を考慮して適宜設計する。
【0018】
次に、ハウジング12について説明する。このハウジング12は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
前記ハウジング12には、所要数のコンタクト14が装着される挿入孔20が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。前記挿入孔20の大きさや形状は、前記コンタクト14が保持できれば如何なるものでもよいが、保持力や安定した接続等を考慮して適宜設計している。
また、前記ハウジング12には、前記接続対象物が入る大きさの装着部18が設けられている。前記装着部18の大きさ・形状は、前記接続対象物が入れば如何なるものでも良いが、安定した接続や小型化や加工性等を考慮して適宜設計している。
【0019】
前記ハウジング12には前記コンタクト14が配列された幅方向のどちらか一方側に断面略L字形状の第1係合部22とと該第1係合部22の反対側(他方側)に逃げ溝30が設けられている。前記第1係合部22は、前記回動部材16が回転するときの軸に相当する部分であり、前記回動部材16の係止部が前記第1係合部22を移動及び回動する。軸が一点でなく、移動することでコンパクトな回転が可能になる。回動の仕方及び役割については、後述する。前記第1係合部22の形状・大きさは、前記回動部材16が回動できればよく、役割や加工性やクリック感やコンパクトな回転等を考慮して適宜設計する。
【0020】
前記逃げ溝30は、前記回動部材16の回動が完了した際の前記回動部材16の係止部を逃げる部分であり、回動完了時に前記係止部が前記ハウジング12にぶつからなければよく、前記逃げ溝30の形状・大きさはその役割や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
前記ハウジング12には、幅方向両側にガイド部24が設けられている。一方のガイド部24は前記第1係合部22に連設し、他方のガイド部24は逃げ溝30に繋がり、かつ、一方のガイド部24と対称になっている。前記ガイド部24は前記回動部材16がスライドする際のガイドであり、ガイドできればよく、その形状・大きさは役割や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0021】
前記ガイド部24には、前記回動部材16の係止孔50と係合する係合凸部を設けてもよい。設けた場合の前記係合凸部は前記回動部材16のスライドが完了する位置決めとクリック感と確実な保持ができるようにするためのものである。前記係合凸部の形状・大きさはこのような役割やクリック感や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0022】
前記ハウジング12には、前記コンタクト14の接続部突出方向との逆側に逃げ凹部32又は/及び逃げ孔34が設けられている。前記逃げ凹部32又は/及び逃げ孔34はケーブルやキー等の逃げである。
また、前記ハウジング12の第1係合部22付近には、前記回動部材16の回動軸側に前記第1係止部48先端を逃げるための孔47が設けられている。前記孔47は前記回動部材16が回動した際に第1係止部48先端を逃げるためのものである。
さらに、前記ハウジング12には、装着部18側(逃げ凹部32又は/逃げ孔34側)で幅方向両側に前記固定具17が装着される装着孔36が設けられている。
さらに、前記ハウジング12には、前記挿入孔20と連設したフラックス防止孔62が基板搭載側で前記ハウジング12の奥行き方向のほぼ中央付近に設けられている。前記フラックス防止孔62は、フラックスが前記コンタクト14の接触部141に上がるのを防止するためのものであり、その形状・大きさは役割や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0023】
次に、回動部材16について説明する。この回動部材16は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記回動部材16の材質としては、バネ性や加工性や強度などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。前記回動部材16は断面略コ字形状をしており、前記回動部材16には幅方向両側に略U字形状の第1及び第2係止部48、49が設けられている。前記第1係止部48は前記ハウジング12の第1係合部22と係合し、回動する部分であり、かつ、ガイド部24と係合し、スライドする部分である。前記第2係止部49はガイド部24と係合し、スライドする部分である。前記第1及び第2係止部48、49の形状・大きさはこのような役割や加工性や強度や回動性やスライド性を考慮して適宜設計する。
【0024】
前記第1及び第2係止部48、49には、係止孔50が設けられている。前記係止孔50は前記固定具17の係合凸部26と係合させることで、前記回動部材16のスライドが完了する位置決めとクリック感と確実な保持を行うためのものである。前記係止孔50の形状・大きさはこのような役割や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。本実施例では、前記回動部材16の係止孔50と前記固定具17の係合凸部26とを係合させているが、凹凸を逆にしたものであってもよい。例えば、前記回動部材16側に係止凸部を設け、前記固定具17に係合凹部を設けたものでもよい。
また、前記回動部材16には、前記ハウジング12の内壁28と係合する係止片52が設けられている。前記係止片52は、前記接続対象物を取り出す際に、前記係止片52が前記回動部材16の回動する位置で止まり、かつ、前記回動部材16が外れないように前記ハウジング12の内側壁と係合するものである。
【0025】
ここで、図7及び図8に基づいて、回動及びスライドについて説明する。
第1に、図7(A)のように、前記回動部材16が90度に開いた状態では、前記回動部材16の第1係止部48の第2面56が前記ハウジング12の第1係合部22の第4面46と接している。
第2に、前記回動部材16を回動し始めると、前記回動部材16は装着部18方向に移動し、前記回動部材16の第2面56の裏側面が前記ハウジング12の第3面40と接する。
第3に、図7(B)のように、前記回動部材16を回動させると、前記回動部材16の第1頂部58が前記ハウジング12の第3面40に接し、かつ、前記回動部材16の第1面54が前記ハウジング12の第1角42と接し、及び前記回動部材16の第2頂部60が基板に接するか、若しくは、前記回動部材16の第2面56が前記ハウジング12の第2角44と接し、及び前記回動部材16の第2頂部60が基板に接する。
第4に、図7(C)及び図8(A)のように前記回動部材16を90度回動させると、前記回動部材16の第2係止部49が前記ハウジング12の逃げ溝30に入る。
最後に、図8(B)のように前記回動部材16の第1及び第2係止部48、49を前記ハウジング12の幅方向両側のガイド部24に沿ってスライドさせると、前記回動部材16が前記ハウジング12に完全に装着し、前記回動部材16で前記接続対象物を前記コンタクト14方向へ押圧することになる。
上述のように、回動時に複数個所で、前記回動部材16と前記ハウジング12を接触させることで、回動時のクリック感を持たせている。
【0026】
最後に、固定具17について説明する。固定具17は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記固定具17の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。本実施例では、前記ハウジング12の装着部18方向の幅方向両側に配置されている。
前記固定具17は略板状片をしている。前記固定具17の形状・大きさは、コネクタ10の基板への保持力や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。前記固定具17には固定部が設けられ、圧入によって固定されている。
また、前記固定具17には、前記回動部材16の係止孔50と係合する係合凸部26が設けられている。前記係合凸部26は前記回動部材16のスライドが完了する位置決めとクリック感と確実な保持ができるようにするためのものである。前記係合凸部26の形状・大きさはこのような役割やクリック感や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の活用例としては、携帯電話や携帯音楽プレーヤーや携帯テレビ等の電気機器や電子機器に使用されるコネクタ10に活用され、特に、ケーブルが接続された電子部品が装着されても小型化が可能な構造に関するものである。
【符号の説明】
【0028】
10 コネクタ
12 ハウジング
14 コンタクト
141 接触部
142 固定部
143 接続部
144 接触片
16 回動部材
17 固定具
171 固定部
18 装着部
20 挿入孔
22 第1係合部
24 ガイド部
26 係合凸部
28 内壁
30 逃げ溝
32 逃げ凹部
34 逃げ孔
36 装着孔
40 第3面
42 第1角
44 第2角
46 第4面
47 孔
48 第1係止部
49 第2係止部
50 係止孔
52 係止片
54 第1面
56 第2面
58 第1頂部
60 第2頂部
62 フラックス防止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、接続対象物との接触部と基板との接続部を有する複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに前記接続対象物が入る装着部を有するハウジングとを備えるコネクタにおいて、
回動並びにスライド可能に回動部材を装着し、
前記ハウジングには前記コンタクトが配列された幅方向のどちらか一方側に断面略L字形状の第1係合部と該第1係合部の反対側(他方側)に逃げ溝を設け、
前記回動部材には幅方向両側に略U字形状の第1及び第2係止部を設けるとともに該第1及び第2係止部には係止孔若しくは係止凸部を設け、さらに、幅方向両側にはガイド部を設け、
前記接続対象物が装着部に装着された後に、前記回動部材は前記第1係合部の軸部を支点に移動及び回動し、回動が完了した際には前記第2係止部が前記逃げ溝に入り、
回動後に前記回動部材をスライドさせて前記接続対象物に押圧させることにより前記接続対象物と前記コンタクトとを接続させることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの装着部方向の幅方向両側に固定具を装着し、前記ハウジングのガイド部若しくは前記固定具に前記係止孔若しくは係止凸部と係合する係合凸部若しくは係合凹部を設け、スライドが完了した際に前記係止孔若しくは係止凸部と前記係合凸部若しくは係合凹部が係合することを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記回動部材に係止片を設け、前記接続対象物を取り出す際に、前記係止片は前記回動部材の回動する位置で止まり、かつ、前記回動部材が外れないように前記ハウジングの内側壁と係合することを特徴とする請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記接続対象物にケーブルが接続されている場合、前記ハウジングには前記コンタクトの接続部突出方向との逆側に逃げ凹部又は/及び逃げ孔を設けることを特徴とする請求項1または2、3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記回動部材の回動軸側に前記第1係止部先端を逃げるための孔を設けるとともに基板接続側でほぼ中央付近にフラックス防止孔を設けることを特徴とする請求項1、2または3、4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記回動部材を回動する際に、前記回動部材が前記第1係合部に係合する際にクリック感を持たせることを特徴とする請求項1、2または3、4、5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記回動部材の回動当初は、前記係止部が前記第1係合部を包むように回動することを特徴とする請求項1〜6項のうちいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項8】
第1に、前記回動部材が90度に開いた状態では、前記回動部材の第1係止部の第2面が前記ハウジングの第1係合部の第4面と接し、
第2に、前記回動部材を回動し始めると、前記回動部材は装着部方向に移動し、前記回動部材の第2面の裏側面が前記ハウジングの第3面と接し、
第3に、前記回動部材を回動させると、前記回動部材の第1頂部が前記ハウジングの第3面に接し、かつ、前記回動部材の第1面が前記ハウジングの第1角と接し、及び前記回動部材の第2頂部が基板に接するか、若しくは、前記回動部材の第2面が前記ハウジングの第2角と接し、及び前記回動部材の第2頂部が基板に接し、
第4に、前記回動部材を90度回動させると、前記回動部材の第2係止部が前記ハウジングの逃げ溝に入り、
最後に、前記回動部材の第1及び第2係止部を前記ハウジングの幅方向両側のガイド部に沿ってスライドさせると、前記回動部材が前記ハウジングに完全に装着し、前記回動部材で前記接続対象物を前記コンタクト方向へ押圧することを特徴とする請求項1〜7項のうちいずれか1項記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−251224(P2010−251224A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101634(P2009−101634)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000208835)第一電子工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】