説明

コネクタ

【課題】端子と接続対象物との間に異物が入り込んだ場合でも接続不良を効果的に防止することのできるコネクタを提供する。
【解決手段】端子20に、前端側にフレキシブル回路1と接触する第1の接触部22aを有し、後端側を押圧部材30によってフレキシブル回路1の反対方向に押圧される第1の可動片部22と、前端側にフレキシブル回路1と接触する第2の接触部23aを有し、後端側が第1の可動片部22の後端側と一体に形成された第2の可動片部23と、第1の可動片部22の後端側が押圧部材30によって押圧されると、第1及び第2の接触部22a,23aがフレキシブル回路1に圧接するように第1及び第2の可動片部22,23を変位させる弾性片部24とを設けたので、押圧部材30によって端子20を押圧することにより、第1及び第2の接触部22a,23aをフレキシブル回路1に二点接触させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフレキシブルプリント回路(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)等を接続するためのコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコネクタとしては、FPCやFFC等の接続対象物(以下、フレキシブル回路という。)の一端を前面側に挿入可能なコネクタ本体と、コネクタ本体に幅方向に配列された複数の端子と、コネクタ本体内に挿入されたフレキシブル回路を各端子側に押圧する回動自在な押圧部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このコネクタは、フレキシブル回路をコネクタ本体に挿入した状態で押圧部材を一方に回動すると、押圧部材によってフレキシブル回路と各端子とが圧接して互いに導通し、押圧部材を他方に回動すると、各端子とフレキシブル回路との圧接が解除され、フレキシブル回路がコネクタ本体に抜き差し可能となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−78908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記コネクタでは、フレキシブル回路を接続する際、フレキシブル回路に異物が付着していた場合など、端子とフレキシブル回路との間に異物が入り込んだ場合には、異物によって端子とフレキシブル回路との導通状態が遮断され、接続不良を生ずるという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、端子と接続対象物との間に異物が入り込んだ場合でも接続不良を効果的に防止することのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、接続対象物が挿入されるコネクタ本体と、コネクタ本体内に互いに幅方向に間隔をおいて配置された複数の端子と、コネクタ本体内に挿入された接続対象物を各端子側に押圧する回動自在な押圧部材とを備え、押圧部材を一方に回動すると、各端子が押圧部材によって接続対象物側に押圧され、押圧部材を他方に回動すると、押圧部材による各端子の押圧が解除されるようにしたコネクタにおいて、
前記端子に、一端側に接続対象物と接触する第1の接触部を有し、他端側を押圧部材によって接続対象物の反対方向に押圧される第1の可動片部と、一端側に接続対象物と接触する第2の接触部を有し、他端側が第1の可動片部の他端側と一体に形成された第2の可動片部と、第1の可動片部の他端側が押圧部材によって押圧されると、第1及び第2の接触部が接続対象物に圧接するように第1及び第2の可動片部を変位させる弾性片部とを設けている。
【0008】
これにより、押圧部材によって端子が押圧されると、第1及び第2の可動片部の一端側が接続対象物側に変位し、第1及び第2の接触部が接続対象物に二点接触する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、押圧部材によって端子を押圧することにより、第1及び第2の接触部を接続対象物に二点接触させることができるので、接続対象物に異物が付着していた場合など、第1及び第2の接触部のうち一方の接触部と接続対象物との間に異物が入り込んで導通不良を生じたとしても、他方の接触部と接続対象物との間で導通を確保することができ、接続不良を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す閉鎖状態のコネクタの正面側斜視図
【図2】閉鎖状態のコネクタの背面側斜視図
【図3】開放状態のコネクタの正面側斜視図
【図4】開放状態のコネクタの背面側斜視図
【図5】コネクタの閉鎖動作を示す側面断面図
【図6】コネクタの開放動作を示す側面断面図
【図7】端子の動作説明図
【図8】コネクタの側面断面図
【図9】ロック部材の動作を示すコネクタの要部平面図
【図10】ロック部材の動作を示すコネクタの要部平面図
【図11】ロック部材の動作を示すコネクタの要部平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図11は本発明の一実施形態を示すものである。同図に示すコネクタは、接続対象物としてのフレキシブル回路1が挿入されるコネクタ本体10と、コネクタ本体10内に互いに幅方向に間隔をおいて配置された複数の端子20と、コネクタ本体10内に挿入されたフレキシブル回路1を各端子20側に押圧する回動自在な押圧部材30と、コネクタ本体10を図示しない基板に固定するための左右一対の固定部材40と、フレキシブル回路1に係合する左右一対のロック部材50とから構成されている。
【0012】
フレキシブル回路1は、いわゆるフレキシブルフラットケーブル(FFC)またはフレキシブルプリント回路(FPC)からなり、その先端側の上方の面には複数の電気接点(図示せず)が互いに幅方向に間隔をおいて設けられている。また、フレキシブル回路1の幅方向両端にはロック部材50と係合する切り欠き部1aが設けられ、フレキシブル回路1がコネクタ本体10の所定位置(端子20との接続位置)まで挿入されると、各ロック部材50が各切り欠き部1aにそれぞれ係合するようになっている。
【0013】
コネクタ本体10は合成樹脂の成型品からなり、その前面にはフレキシブル回路1を挿入する挿入口10aが設けられている。コネクタ本体10は、上面部11、底面部12及び左右側面部13からなり、上面部11はコネクタ本体10の上面前端側のみに形成されている。また、上面部11の左右両側はコネクタ本体10内が露出するように開放されており、この開放部分にはロック部材50が配置されている。
【0014】
各端子20は導電性の金属板からなり、コネクタ本体10の底面部12に互いに幅方向に間隔をおいて保持されている。各端子20は、底面部12に固定される固定片部21と、押圧部材30によって押圧される第1の可動片部22と、第1の可動片部22の下方に配置された第2の可動片部23と、第2の可動片部23と固定片部21との間に形成された弾性片部24とからなる。
【0015】
固定片部21はコネクタ本体10の前後方向に延びるように形成され、その前端部21aは底面部12側の隙間に圧入されている。固定片部21の後端には図示しない基板に接続される接続部21bが設けられ、接続部21bはコネクタ本体10の後方に延出するように形成されている。固定片部21の後端側には、押圧部材30が回動自在に係合する係合部としての第1の凸部21cが設けられ、第1の凸部21cの前方には他の係合部としての第1の凹部21dが設けられている。
【0016】
第1の可動片部22はコネクタ本体10の前後方向に延びるように形成され、その前端にはフレキシブル回路1の上面に接触する第1の接触部22aが下方に向かって突出するように設けられている。第1の可動片部22の後端には押圧部材30が当接する第1の当接部22b及び第2の当接部22cが設けられ、第1の当接部22bは第1の可動片部22の後端面に上方から下方に向かって前方に傾斜をなすように形成され、第2の当接部22cは第1の可動片部22の下端面に前後方向に亘って略水平に形成されている。
【0017】
第2の可動片部23はコネクタ本体10の前後方向に延びるように形成され、その前端にはフレキシブル回路1の上面に接触する第2の接触部23aが下方に向かって突出するように設けられている。この場合、第2の可動片部23は、第1の可動片部22よりもコネクタ本体10の前後方向に短く、上下方向の幅も小さく形成されている。また、第2の接触部23aは、第1の接触部22aの後方に位置するとともに、その下端(接点)の位置が第1の接触部22aの下端(接点)と同等の高さ位置になるように形成されている。第2の可動片部23の後端側は上方に屈曲するとともに、第1の可動片部22の後端側(第2の当接部22cよりも前方)まで延びるように形成され、第2の可動片部23の後端側によって第1の可動片部22が支持されている。
【0018】
弾性片部24は固定片部21の前後方向略中央から第2の可動片部23の前後方向略中央まで上下方向に延びるように形成され、第1の可動片部22及び第2の可動片部23をその前端側及び後端側がそれぞれ上下方向に変位するように支持している。
【0019】
押圧部材30は合成樹脂の成型品からなり、コネクタ本体10の上面後端側を覆うように形成されている。押圧部材30の後端側にはコネクタ本体10の内側に向かって突出する回動支持部31が設けられ、回動支持部31の先端側には端子20の第1の凸部21cに係合する第2の凹部31aが設けられ、第2の凹部31aの前方には端子20の第1の凹部21dに係合する第2の凸部31bが設けられている。即ち、押圧部材30は、第2の凹部31aが第1の凸部21cに係合することにより、第2の凹部31aと第1の凸部21cとの接触部分を支点に回動し、第2の凸部31bが第1の凹部21dに係合することにより、第2の凸部31bと第1の凹部21dとの接触部分を支点に回動するようになっている。この場合、前記回動支点は押圧部材30の前端側と後端側との間に位置しており、押圧部材30の前端側を下方に押圧すると、後端側が上昇して押圧部材30が閉鎖状態となり、押圧部材30の後端側を下方に押圧すると前端側が上昇して押圧部材30が開放状態となる。また、回動支持部31には端子20の第1の当接部22b及び第2の当接部22cに当接する押圧部31cが設けられ、押圧部31cは山形に突出するように形成されている。押圧部材30の幅方向両側にはロック部材50の幅方向への変位を規制する突出部32が設けられ、各突出部32はそれぞれ下方に突出するように形成されている。
【0020】
各固定部材40はコネクタ本体10の幅方向両側に配置された金属板からなり、それぞれコネクタ本体10の各側面部13に固定されている。固定部材40の下端には図示しない基板に接続される接続部41が設けられ、各接続部41はコネクタ本体10の幅方向外側に向かって延びるように形成されている。
【0021】
各ロック部材50は固定部材40に一体に形成された金属板からなり、それぞれコネクタ本体10の幅方向両側に配置されている。ロック部材50は、フレキシブル回路1の切り欠き部1aに係合する係合部51と、係合部51から後方に延びる可動部52と、可動部52の後端から固定部材40まで延びる弾性部53とからなり、弾性部53の弾性変形により、係合部51及び可動部52がコネクタ本体10の幅方向に変位するようになっている。係合部51は可動部52よりもコネクタ本体10の幅方向内側に突出するように山形に形成され、可動部52はコネクタ本体10の前後方向に直線状に延びるように形成されている。弾性部53は可動部52の後端からコネクタ本体10の幅方向内側に向かって延びるとともに、コネクタ本体10の幅方向外側に向かって固定部材40まで延びるように屈曲しており、コネクタ本体10の前後方向に弾性変形することにより、係合部51及び可動部52をコネクタ本体10の幅方向に変位させるようになっている。この場合、変位していない状態での可動部52とコネクタ本体10の側面部13との間には、押圧部材30の突出部32を挿入可能な隙間が設けられ、可動部52がコネクタ本体10の幅方向外側に変位した状態では、突出部32が可動部52に当接して前記隙間への挿入を規制されるようになっている。
【0022】
以上のように構成されたコネクタにおいては、図5(a) に示すように押圧部材30を開放状態にしてフレキシブル回路1を挿入口10aからコネクタ本体10内の所定位置まで挿入し、図5(b) に示すように押圧部材30の前端側を下方に押圧すると、押圧部材30の第2の凹部31aが第1の凸部21cに係合しながら第2の凹部31aと第1の凸部21cとの接触部分を第1の回動支点P1 として回動し、押圧部材30の押圧部31cが第1の可動片部22の第1の当接部22bに前方に向かって当接する。その際、第1の当接部22bは前方に向かって下り傾斜をなしていることから、第1の可動片部22が押圧部31cによって後端側を上方へ押し上げられて前端側が下がり、これに伴って第2の可動片部23も後端側を上方へ押し上げられて前端側が下がる。これにより、第1の接触部22a及び第2の接触部23aがフレキシブル回路1の上面に圧接し、各可動片部22,23がフレキシブル回路1と導通する。続いて、図5(c) に示すように押圧部材30の前端側を更に下方に押圧すると、第2の凸部31bが第1の凹部21dに係合するとともに、第2の凹部31aが第1の凸部21cから離れ、押圧部材30が第2の凸部31bと第1の凹部21dとの接触部分を第2の回動支点P2 として回動する。これにより、押圧部材30の回動支点が第1の回動支点P1 よりも押圧部31cからの距離が長い第2の回動支点P2 に移行することから、押圧部材30の押圧力が大きくなり、第1の可動片部22の後端側が更に上方に押し上げられる。その際、押圧部31cの当接位置が第1の当接部22bから略水平の第2の当接部22cに移行することから、押圧部31cと第2の当接部22cとの当接により、各可動片部22,23が変位したまま保持され、押圧部材30の開放方向への回動が規制される。また、各当接部22b,22cの角度の変化により、押圧部31cの当接位置が移行する際、押圧部材30を閉鎖した操作感が得られる。
【0023】
次に、図6(a) に示すように押圧部材30の後端側を下方に押圧すると、図6(b) に示すように押圧部材30の第2の凹部31aが第1の凸部21cに係合し、押圧部材30が第1の回動支点P1 を中心に回動し、押圧部材30の前端側が上昇する。その際、押圧部31cの当接位置が第2の当接部22cから第1の当接部22bに移行する。続いて、押圧部材30の後端側を更に下方に押圧すると、図6(c) に示すように押圧部材30が開放位置まで回動し、押圧部31cと第1の当接部22bとの当接が解除される。これにより、弾性片部24の復元力によって各可動片部22,23が前端側を上昇させるように変位し、各接触部22a,23aがフレキシブル回路1から離れて接触が解除され、フレキシブル回路1がコネクタ本体10から抜去可能となる。
【0024】
ここで、押圧部材30の閉鎖動作における端子20の動作について更に詳述すると、図7(a) に示すように第1の可動片部22の後端側に上方への押し上げ力Fが生ずると、第1の接触部22a及び第2の接触部23aがフレキシブル回路1の上面に圧接するように第1及び第2の可動片部22,23が変位する。この後、図7(b) に示すように更なる押し上げ力Fが生ずると、第2の可動片部23の後端側が第1の可動片部22によって引き上げられ、第2の可動片部23に弾性片部24の支点Qを中心とするモーメントMが生ずる。これにより、各接触部22a,23aがフレキシブル回路1に圧接した後も、第2の可動片部23の前端側に付与される下方への押し付け力が増大し、第2の接触部23aの接触圧が高められる。
【0025】
また、フレキシブル回路1をコネクタ本体10の挿入口10aに挿入すると、フレキシブル回路1の先端がロック部材50の係合部51の傾斜面に当接し、図8に示すように係合部51及び可動部52がコネクタ本体10の幅方向外側に変位する。続いて、フレキシブル回路1を所定位置まで挿入すると、図9に示すように係合部51がフレキシブル回路1の切り欠き部1aに係合し、係合部51及び可動部52が幅方向内側に変位する。これにより、フレキシブル回路1が各ロック部材50によってコネクタ本体10に仮保持される。次に、押圧部材30を閉鎖位置まで回動すると、図10に示すように可動部52とコネクタ本体10の側面部13との間に押圧部材30の突出部32が挿入される。これにより、ロック部材50の幅方向外側への変位が突出部32によって規制され、フレキシブル回路1が各ロック部材50によって完全にロックされる。ここで、図11に示すようにフレキシブル回路1の不完全挿入により係合部51がフレキシブル回路1の切り欠き部1aに係合していない場合、係合部51及び可動部52がコネクタ本体10の幅方向外側に変位したままの状態で押圧部材30を閉鎖方向に回動すると、押圧部材30の突出部32が可動部52に当接し、押圧部材30の閉鎖方向への回動が規制される。これにより、フレキシブル回路1が不完全挿入のままの状態で押圧部材30が閉鎖位置まで回動されることがない。
【0026】
このように、本実施形態のコネクタによれば、端子20に、前端側にフレキシブル回路1と接触する第1の接触部22aを有し、後端側を押圧部材30によってフレキシブル回路1の反対方向に押圧される第1の可動片部22と、前端側にフレキシブル回路1と接触する第2の接触部23aを有し、後端側が第1の可動片部22の後端側と一体に形成された第2の可動片部23と、第1の可動片部22の後端側が押圧部材30によって押圧されると、第1及び第2の接触部22a,23aがフレキシブル回路1に圧接するように第1及び第2の可動片部22,23を変位させる弾性片部24とを設けたので、押圧部材30によって端子20を押圧することにより、第1及び第2の接触部22a,23aをフレキシブル回路1に二点接触させることができる。これにより、フレキシブル回路1に異物が付着していた場合など、第1及び第2の接触部22a,23aのうち一方の接触部とフレキシブル回路1との間に異物が入り込んで導通不良を生じたとしても、他方の接触部とフレキシブル回路1との間で導通を確保することができるので、接続不良を効果的に防止することができる。
【0027】
この場合、第1の可動片部22の後端側が押圧部材30によって押圧されると、第1の可動片部22から第2の可動片部23の後端側に加わる押圧部材30の押圧力により、第2の接触部23aのフレキシブル回路1への押し付け力が増大するように、第2の可動片部23に弾性片部24の支点Qを中心とするモーメントMが生ずるようにしたので、第1及び第2の接触部22a,23aがフレキシブル回路1に圧接した後も、第2の接触部23aの接触圧を高めることができ、フレキシブル回路1との導通状態をより確実にすることができる。
【0028】
また、第1及び第2の接触部22a,23aを互いにフレキシブル回路1の挿抜方向に間隔をおいてフレキシブル回路1の幅方向同一位置に接触するように設けたので、一つの接触部と同じ幅で二点接触を実現することができ、一点接触の端子を用いた既存のコネクタと同等のピッチで各端子20を配列することができる。
【0029】
この場合、導電性の金属板を厚さ方向に打ち抜き加工することにより、固定片部21、各可動片部22,23及び弾性片部24の幅方向が金属板の厚さ方向となるように形成したので、端子20を金属板の厚さに形成することができ、端子20を幅方向に高密度に配置する場合に極めて有利である。
【0030】
また、押圧部材20が一方の回動位置に回動する過程で押圧部材30の当接位置が端子20の第1の当接部22bから第2の当接部22cに移行するように構成するとともに、第1の当接部22bと押圧部材30との当接によって端子20の各可動片部22,23が変位し、第2の当接部22cと押圧部材30との当接によって各可動片部22,23が変位したまま保持されるようにしたので、押圧部材30と第2の当接部22cとの当接により、押圧部材30の開放方向への回動を規制することができ、押圧部材30の閉鎖状態を確実に維持することができる。その際、各当接部22b,22cの角度の変化により、押圧部材30の当接位置が移行する際、押圧部材30を閉鎖した操作感を得ることができるので、押圧部材30が確実に閉鎖したことを操作感によって確認することができる。
【0031】
更に、端子20の固定片部21に、押圧部材30が回動自在に係合する第1の凸部21c及び第1の凹部21dを設けたので、端子20と押圧部材30との相対的な位置を確実に維持することができ、端子20の各可動片部22,23を押圧部材30によって精度よく動作させることができる。
【符号の説明】
【0032】
1…フレキシブル回路1、1a…切り欠き部、20…端子、21…固定片部、21c…第1の凸部、21d…第1の凹部、22…第1の可動片部、22a…第1の接触部、22b…第1の当接部、22c…第2の当接部、23…第1の可動片部、23a…第2の接触部、24…弾性片部、40…固定部材、50…ロック部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物が挿入されるコネクタ本体と、コネクタ本体内に互いに幅方向に間隔をおいて配置された複数の端子と、コネクタ本体内に挿入された接続対象物を各端子側に押圧する回動自在な押圧部材とを備え、押圧部材を一方に回動すると、各端子が押圧部材によって接続対象物側に押圧され、押圧部材を他方に回動すると、押圧部材による各端子の押圧が解除されるようにしたコネクタにおいて、
前記端子に、一端側に接続対象物と接触する第1の接触部を有し、他端側を押圧部材によって接続対象物の反対方向に押圧される第1の可動片部と、一端側に接続対象物と接触する第2の接触部を有し、他端側が第1の可動片部の他端側と一体に形成された第2の可動片部と、第1の可動片部の他端側が押圧部材によって押圧されると、第1及び第2の接触部が接続対象物に圧接するように第1及び第2の可動片部を変位させる弾性片部とを設けた
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記弾性片部を第2の可動片部の一端側と他端側との間を支持するように形成し、
第1の可動片部の他端側が押圧部材によって押圧されると、第1の可動片部から第2の可動片部の他端側に加わる押圧部材の押圧力により、第2の接触部の接続対象物への押し付け力が増大するように、第2の可動片部に弾性片部の支点を中心とするモーメントが生ずるように構成した
ことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1及び第2の接触部を互いに接続対象物の挿抜方向に間隔をおいて接続対象物の幅方向同一位置に接触するように設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項4】
導電性の金属板を厚さ方向に打ち抜き加工することにより、各可動片部及び弾性片部の幅方向が金属板の厚さ方向となるように形成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1の可動片部の後端側に、押圧部材が当接する第1及び第2の当接部を設け、
押圧部材が一方の回動位置に回動する過程で押圧部材の当接位置が第1の当接部から第2の当接部に移行するように構成し、
第1の当接部を押圧部材の当接によって第1の可動片部が変位するように形成し、第2の当接部を押圧部材の当接によって第1の可動片部が変位したまま保持されるように形成した
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記端子に、押圧部材が回動自在に係合する係合部を設けた
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−69244(P2012−69244A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139400(P2009−139400)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【特許番号】特許第4425987号(P4425987)
【特許公報発行日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(390012977)イリソ電子工業株式会社 (76)
【Fターム(参考)】