コンクリート製側溝ブロックの製造方法
【課題】透水性を有する多孔質のポーラス体を目詰まりさせることなくコンクリート製側溝ブロックと一体成型することが可能なコンクリート製側溝ブロックの製造方法の提供。
【解決手段】透水性を有する多孔質のポーラスコンクリート板2を一対のパッキン12a,12bにより挟み込んだ状態で型枠10の内面に一対のパッキン12a,12bが密着するように組み込み、型枠10内に生コンクリート4を流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキン12a,12bを除去する。
【解決手段】透水性を有する多孔質のポーラスコンクリート板2を一対のパッキン12a,12bにより挟み込んだ状態で型枠10の内面に一対のパッキン12a,12bが密着するように組み込み、型枠10内に生コンクリート4を流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキン12a,12bを除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透水性を有するコンクリート製側溝ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透水性を有するコンクリート製側溝ブロックが知られている。例えば、特許文献1に記載の側溝の一部分を網や多数の小孔で形成したもの、特許文献2に記載の側溝の下部にさらにポーラス体を浸透して排水される排水孔を設けたもの、特許文献3に記載の側溝の底の開口部分にポーラスコンクリート板を嵌め込んで水が透過するようにしたものが知られている。
【0003】
これらはいずれも透水部を別に形成して側溝ブロック本体に組み込むものであるが、その具体的な製造方法についての記載はない。また、特許文献4には、砂や泥の粒子径よりも小さい多孔質の透水性コンクリート材で形成された排水用栓を側溝の型枠に組み込み、型枠に生コンクリートを流し込んで養生し、最後に型枠を取り外してなる排水穴付き側溝の製造方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭48−37954号公報
【特許文献2】特開昭50−159123号公報
【特許文献3】特開昭60−203719号公報
【特許文献4】特開昭57−142313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生コンクリートを型枠に流し込んで成型するコンクリート製側溝ブロックの場合、生コンクリートのスランプは通常10cm程度である。一方、透水性コンクリート材で別途形成された排水用栓のような別部材を特許文献4に記載のように側溝の型枠に組み込んだ場合、型枠の内面と排水用栓との間には必ず隙間を生じる。したがって、排水用栓を組み込んだ型枠に生コンクリートを流し込むと、型枠の内面と排水用栓との間に生コンクリートが浸透し、排水用栓の側溝表面に露出する面の小孔が目詰まりしてしまう。
【0006】
そこで、本発明においては、透水性を有する多孔質のポーラス体を目詰まりさせることなくコンクリート製側溝ブロックと一体成型することが可能なコンクリート製側溝ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンクリート製側溝ブロックの製造方法は、透水性を有する多孔質のポーラス体を一対のパッキンにより挟み込んだ状態で型枠の内面に一対のパッキンが密着するように組み込み、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキンを除去することを特徴とする。
【0008】
本発明の製造方法によれば、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、予め成型された透水性を有する多孔質のポーラス体の側溝ブロック表面に露出する面が、一対のパッキンを介して型枠に密着しているので、この多孔質のポーラス体と型枠との間に生コンクリートが浸透するのが防止される。
【0009】
なお、従来ポーラス体の空隙率が大きくなると、よりポーラス体と型枠との間に隙間が生じやすくなり、生コンクリートが浸透しやすくなるので、この空隙率は小さくしなければならない。しかし、本発明の製造方法ではポーラス体の側溝ブロック表面に露出する面に生コンクリートが浸透することが防止されるので、空隙率を20%以上と大きく設定することが可能である。
【0010】
また、前述のように、生コンクリートのスランプは通常10cm程度であり、この10cmを目標として通常±2cmの許容誤差を設けて8〜12cmとするが、本発明の製造方法によれば、ポーラス体の側溝ブロック表面に露出する面に生コンクリートが浸透することが防止されるので、生コンクリートのスランプが12cm以上であっても多孔質のポーラス体を目詰まりさせることなく成型することが可能である。なお、スランプは、日本工業規格(JIS A 1101:コンクリートのスランプ試験方法)により測定した値である。
【発明の効果】
【0011】
(1)透水性を有する多孔質のポーラス体を一対のパッキンにより挟み込んだ状態で型枠の内面に一対のパッキンが密着するように組み込み、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキンを除去することにより、多孔質のポーラス体と型枠との間に生コンクリートが浸透するのが防止され、側溝ブロック表面に露出する面の多孔質のポーラス体を目詰まりさせることなくコンクリート製側溝ブロックと一体成型することが可能となる。
【0012】
(2)空隙率20%以上のポーラス体を使用することにより、透水性の高いコンクリート製側溝ブロックを製造することが可能となる。
【0013】
(3)スランプが12cmの生コンクリートを使用しても側溝ブロック表面に露出する面の多孔質のポーラス体を目詰まりさせることがないので、作業性良く透水性のコンクリート製側溝ブロックを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施の形態におけるコンクリート製側溝ブロックの正面図、図2は平面図、図3は左側面図、図4は図1のA−A断面図である。
【0015】
図1に示す側溝ブロック1は、地中埋設対応型のコンクリート製ブロックであって、それぞれ平板状の2つの側壁部1a,1bと底版部1cと天版部1dとを一体成型した断面長方形の筒状の函渠ブロックである。側溝ブロック1には、透水性を持たせるために、その1つの側壁部1aと底版部1cとにそれぞれ2枚のポーラスコンクリート板2が埋め込まれている。ポーラスコンクリート板2は、空隙率20%以上の透水性を有する多孔質のポーラス体である。
【0016】
側溝ブロック1は、総重量245kNまでの大型車輌及び特殊車輌の通行が可能な荷重強度(活荷重:通称T−25)に耐えうるように、ポーラスコンクリート板2が埋め込まれた部分を除く両端部1eと中央部1fとを通常の鉄筋コンクリート構造としたものである。また、側壁部1a,1bのそれぞれの中央部1fには、管路を接続する際に開口しやすいように肉厚を薄くした管路接続部3が形成されている。
【0017】
次に、本実施形態における側溝ブロック1の製造方法について説明する。図5は図1の側溝ブロックの製造工程を示すフロー図、図6から図16は図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【0018】
(図5のステップS101)図6に示すように型枠10を開いた状態から、図7に示すように両端の端型10a,10bを起こし、図8に示すように中子11をセットする。
(ステップS102)図9に示すように、側溝ブロック1の側壁部1a(図1参照。)に埋め込むポーラスコンクリート板2を型枠10の側型10c,10dの一方の側型10cにセットする。このとき、側型10cの内面とポーラスコンクリート板2との間にはパッキン12a(図示せず。)をセットする。また、中子11の側面にも、このパッキン12aと一対のパッキン12bをセットする。
【0019】
(ステップS103)図10に示すように、側型10c,10dを起こし、型枠10を組み立てる。これにより、ポーラスコンクリート板2は、一対のパッキン12a,12bにより挟み込まれた状態で、型枠10の側型10cの内面および中子11の側面に密着するように組み込まれる。
(ステップS104)図11に示すように、側溝ブロック1の底版部1c(図1参照。)のポーラスコンクリート板2を中子11の上面にセットする。このとき、中子11の上面とポーラスコンクリート板2との間にはパッキン12aをセットする。
【0020】
(ステップS105)図12に示すように、ポーラスコンクリート板2の上面に、中子11の上面にセットしたパッキン12aと一対のパッキン12bをセットし、止め枠としてのアングル材13でパッキン12bを固定する。
(ステップS106)図13に示すように、型枠10内に生コンクリート4を流し込む。
【0021】
(ステップS107)図14に示すように、側溝ブロック1の成型後、中子11を取り除き、型枠10を開いて側溝ブロック1を脱型する(図15参照。)。全てのパッキン12a,12bも取り除く。
(ステップS108)側溝ブロック1の上下を反転させると、図1の側溝ブロック1が完成する。
【0022】
以上のように本実施形態における側溝ブロック1の製造方法では、透水性を有する多孔質のポーラスコンクリート板2を一対のパッキン12a,12bにより挟み込んだ状態で型枠10の内面に一対のパッキン12a,12bが密着するように組み込み、型枠10内に生コンクリート4を流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキン12a,12bを除去している。
【0023】
これにより、型枠10内に生コンクリート4を流し込んで成型する際、予め成型された透水性を有する多孔質のポーラスコンクリート板2の側溝ブロック1の表面に露出する面が、一対のパッキン12a,12bを介して型枠10に密着しているので、この多孔質のポーラスコンクリート板2と型枠10との間に生コンクリート4が浸透するのが防止される。したがって、側溝ブロック1の表面に露出する面の多孔質のポーラスコンクリート板2を目詰まりさせることなく、一体成型することが可能である。
【0024】
また、本実施形態における側溝ブロック1の製造方法では、ポーラスコンクリート板2の側溝ブロック1の表面に露出する面に生コンクリート4が浸透することが防止されるので、空隙率を20%以上と大きく設定することが可能であり、透水性の高い側溝ブロック1を製造することができる。
【0025】
また、生コンクリート4のスランプは通常10cm程度として打設するが、本実施形態における製造方法では、ポーラスコンクリート板2の側溝ブロック1の表面に露出する面に生コンクリート4が浸透することが防止されるので、生コンクリートのスランプを12cm以上としても多孔質のポーラスコンクリート板2を目詰まりさせることなく成型することが可能である。
【0026】
次に、本実施形態における側溝ブロック1の施工例について説明する。図17は本実施形態における側溝ブロック1の施工例を示す断面図、図18は図17のB部拡大図、図19は図18の舗装を省略した平面図、図20は図18の右側面図である。
【0027】
本実施形態における側溝ブロック1は一般的な道路函渠側溝として使用することができるが、地中に埋設しても使用できるため、水路勾配が取れないところでも使用することが可能である。このとき、図17に示すように、複数の側溝ブロック1を連結し、地中で勾配を設けて埋設する。そして、側溝ブロック1の天版部1cに穴5を設けるか、予め穴5を設けた状態で成型したものを使用して、穴5にプレキャスト口環6a,6b,6cを設けて地上からの水を集水するようにする。
【0028】
また、側溝ブロック1は、図20に示すように、ポーラスコンクリート板2を設けた側の側壁部1aを歩道側に配置して、民地側にはポーラスコンクリート板2を設けていない側の側壁部1bが配置されるようにしている。また、ポーラスコンクリート板2が設けられた側壁部1bおよび底版部1cが配置される側には砕石9bを配置している。砕石9bは、透水シート9cにより流れないようにしている。このようにポーラスコンクリート板2が埋め込まれた側を歩道側とすることで、側溝ブロック1内からポーラスコンクリート板2を通じて流出する水が歩道側に流れるようにすることができる。
【0029】
図18に示すように、プレキャスト口環6aは、側溝ブロック1の天版部1dの上面と舗装9aの下面との間を接続するものである。プレキャスト口環6aの上面には、複数のスリット孔7aを設けたレジン集水蓋7が設けられている。スリット孔7aは幅10mm以下で形成されている。また、プレキャスト口環6aは、舗装9aと側溝ブロック1との勾配差を吸収するために高さ調整ボルト8によって側溝ブロック1の天版部1dとの隙間を調整可能となっている。なお、高さ調整ボルト8によって生じた側溝ブロック1の天版部1dとの隙間はモルタル(図示せず。)で埋めるようにする。
【0030】
なお、図17の中央に示すプレキャスト口環6bでは、プレキャスト口環6bの上にレジン集水蓋7を設け、その上を舗装9aで覆っている。この場合の舗装9aは透水性舗装であり、側溝ブロック1、プレキャスト口環6bおよびレジン集水蓋7は、すべて舗装9aの下に埋設されている。
【0031】
また、埋設が浅く、プレキャスト口環6a,6b,6cを設ける必要がない場合には、図20に対応する図21に示すように、側溝ブロック1の天版部1dの穴5上に直にレジン集水蓋7を設ける構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るコンクリート製側溝ブロックは、集水した雨水を地下へ浸透させるための歩道・車道境界部や歩道・民地境界部等の側溝として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンクリート製側溝ブロックの正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図1の側溝ブロックの製造工程を示すフロー図である。
【図6】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図7】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図8】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図9】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図10】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図11】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図12】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図13】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図14】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図15】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図16】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図17】本実施形態における側溝ブロック1の施工例を示す断面図である。
【図18】図17のB部拡大図である。
【図19】図18の舗装を省略した平面図である。
【図20】図18の右側面図である。
【図21】図20に対応する別の施工例を示す右側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 側溝ブロック
1a,1b 側壁部
1c 底版部
1d 天版部
1e 端部
1f 中央部
2 ポーラスコンクリート板
3 管路接続部
4 生コンクリート
5 穴
6a,6b,6c プレキャスト口環
7 レジン集水蓋
7a スリット孔
8 高さ調整ボルト
9a 舗装
9b 砕石
9c 透水シート
10 型枠
10a,10b 端型
10c,10d 側型
11 中子
12a,12b パッキン
13 アングル材
【技術分野】
【0001】
本発明は、透水性を有するコンクリート製側溝ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透水性を有するコンクリート製側溝ブロックが知られている。例えば、特許文献1に記載の側溝の一部分を網や多数の小孔で形成したもの、特許文献2に記載の側溝の下部にさらにポーラス体を浸透して排水される排水孔を設けたもの、特許文献3に記載の側溝の底の開口部分にポーラスコンクリート板を嵌め込んで水が透過するようにしたものが知られている。
【0003】
これらはいずれも透水部を別に形成して側溝ブロック本体に組み込むものであるが、その具体的な製造方法についての記載はない。また、特許文献4には、砂や泥の粒子径よりも小さい多孔質の透水性コンクリート材で形成された排水用栓を側溝の型枠に組み込み、型枠に生コンクリートを流し込んで養生し、最後に型枠を取り外してなる排水穴付き側溝の製造方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭48−37954号公報
【特許文献2】特開昭50−159123号公報
【特許文献3】特開昭60−203719号公報
【特許文献4】特開昭57−142313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生コンクリートを型枠に流し込んで成型するコンクリート製側溝ブロックの場合、生コンクリートのスランプは通常10cm程度である。一方、透水性コンクリート材で別途形成された排水用栓のような別部材を特許文献4に記載のように側溝の型枠に組み込んだ場合、型枠の内面と排水用栓との間には必ず隙間を生じる。したがって、排水用栓を組み込んだ型枠に生コンクリートを流し込むと、型枠の内面と排水用栓との間に生コンクリートが浸透し、排水用栓の側溝表面に露出する面の小孔が目詰まりしてしまう。
【0006】
そこで、本発明においては、透水性を有する多孔質のポーラス体を目詰まりさせることなくコンクリート製側溝ブロックと一体成型することが可能なコンクリート製側溝ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンクリート製側溝ブロックの製造方法は、透水性を有する多孔質のポーラス体を一対のパッキンにより挟み込んだ状態で型枠の内面に一対のパッキンが密着するように組み込み、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキンを除去することを特徴とする。
【0008】
本発明の製造方法によれば、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型する際、予め成型された透水性を有する多孔質のポーラス体の側溝ブロック表面に露出する面が、一対のパッキンを介して型枠に密着しているので、この多孔質のポーラス体と型枠との間に生コンクリートが浸透するのが防止される。
【0009】
なお、従来ポーラス体の空隙率が大きくなると、よりポーラス体と型枠との間に隙間が生じやすくなり、生コンクリートが浸透しやすくなるので、この空隙率は小さくしなければならない。しかし、本発明の製造方法ではポーラス体の側溝ブロック表面に露出する面に生コンクリートが浸透することが防止されるので、空隙率を20%以上と大きく設定することが可能である。
【0010】
また、前述のように、生コンクリートのスランプは通常10cm程度であり、この10cmを目標として通常±2cmの許容誤差を設けて8〜12cmとするが、本発明の製造方法によれば、ポーラス体の側溝ブロック表面に露出する面に生コンクリートが浸透することが防止されるので、生コンクリートのスランプが12cm以上であっても多孔質のポーラス体を目詰まりさせることなく成型することが可能である。なお、スランプは、日本工業規格(JIS A 1101:コンクリートのスランプ試験方法)により測定した値である。
【発明の効果】
【0011】
(1)透水性を有する多孔質のポーラス体を一対のパッキンにより挟み込んだ状態で型枠の内面に一対のパッキンが密着するように組み込み、型枠内に生コンクリートを流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキンを除去することにより、多孔質のポーラス体と型枠との間に生コンクリートが浸透するのが防止され、側溝ブロック表面に露出する面の多孔質のポーラス体を目詰まりさせることなくコンクリート製側溝ブロックと一体成型することが可能となる。
【0012】
(2)空隙率20%以上のポーラス体を使用することにより、透水性の高いコンクリート製側溝ブロックを製造することが可能となる。
【0013】
(3)スランプが12cmの生コンクリートを使用しても側溝ブロック表面に露出する面の多孔質のポーラス体を目詰まりさせることがないので、作業性良く透水性のコンクリート製側溝ブロックを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施の形態におけるコンクリート製側溝ブロックの正面図、図2は平面図、図3は左側面図、図4は図1のA−A断面図である。
【0015】
図1に示す側溝ブロック1は、地中埋設対応型のコンクリート製ブロックであって、それぞれ平板状の2つの側壁部1a,1bと底版部1cと天版部1dとを一体成型した断面長方形の筒状の函渠ブロックである。側溝ブロック1には、透水性を持たせるために、その1つの側壁部1aと底版部1cとにそれぞれ2枚のポーラスコンクリート板2が埋め込まれている。ポーラスコンクリート板2は、空隙率20%以上の透水性を有する多孔質のポーラス体である。
【0016】
側溝ブロック1は、総重量245kNまでの大型車輌及び特殊車輌の通行が可能な荷重強度(活荷重:通称T−25)に耐えうるように、ポーラスコンクリート板2が埋め込まれた部分を除く両端部1eと中央部1fとを通常の鉄筋コンクリート構造としたものである。また、側壁部1a,1bのそれぞれの中央部1fには、管路を接続する際に開口しやすいように肉厚を薄くした管路接続部3が形成されている。
【0017】
次に、本実施形態における側溝ブロック1の製造方法について説明する。図5は図1の側溝ブロックの製造工程を示すフロー図、図6から図16は図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【0018】
(図5のステップS101)図6に示すように型枠10を開いた状態から、図7に示すように両端の端型10a,10bを起こし、図8に示すように中子11をセットする。
(ステップS102)図9に示すように、側溝ブロック1の側壁部1a(図1参照。)に埋め込むポーラスコンクリート板2を型枠10の側型10c,10dの一方の側型10cにセットする。このとき、側型10cの内面とポーラスコンクリート板2との間にはパッキン12a(図示せず。)をセットする。また、中子11の側面にも、このパッキン12aと一対のパッキン12bをセットする。
【0019】
(ステップS103)図10に示すように、側型10c,10dを起こし、型枠10を組み立てる。これにより、ポーラスコンクリート板2は、一対のパッキン12a,12bにより挟み込まれた状態で、型枠10の側型10cの内面および中子11の側面に密着するように組み込まれる。
(ステップS104)図11に示すように、側溝ブロック1の底版部1c(図1参照。)のポーラスコンクリート板2を中子11の上面にセットする。このとき、中子11の上面とポーラスコンクリート板2との間にはパッキン12aをセットする。
【0020】
(ステップS105)図12に示すように、ポーラスコンクリート板2の上面に、中子11の上面にセットしたパッキン12aと一対のパッキン12bをセットし、止め枠としてのアングル材13でパッキン12bを固定する。
(ステップS106)図13に示すように、型枠10内に生コンクリート4を流し込む。
【0021】
(ステップS107)図14に示すように、側溝ブロック1の成型後、中子11を取り除き、型枠10を開いて側溝ブロック1を脱型する(図15参照。)。全てのパッキン12a,12bも取り除く。
(ステップS108)側溝ブロック1の上下を反転させると、図1の側溝ブロック1が完成する。
【0022】
以上のように本実施形態における側溝ブロック1の製造方法では、透水性を有する多孔質のポーラスコンクリート板2を一対のパッキン12a,12bにより挟み込んだ状態で型枠10の内面に一対のパッキン12a,12bが密着するように組み込み、型枠10内に生コンクリート4を流し込んで成型した後、脱型して一対のパッキン12a,12bを除去している。
【0023】
これにより、型枠10内に生コンクリート4を流し込んで成型する際、予め成型された透水性を有する多孔質のポーラスコンクリート板2の側溝ブロック1の表面に露出する面が、一対のパッキン12a,12bを介して型枠10に密着しているので、この多孔質のポーラスコンクリート板2と型枠10との間に生コンクリート4が浸透するのが防止される。したがって、側溝ブロック1の表面に露出する面の多孔質のポーラスコンクリート板2を目詰まりさせることなく、一体成型することが可能である。
【0024】
また、本実施形態における側溝ブロック1の製造方法では、ポーラスコンクリート板2の側溝ブロック1の表面に露出する面に生コンクリート4が浸透することが防止されるので、空隙率を20%以上と大きく設定することが可能であり、透水性の高い側溝ブロック1を製造することができる。
【0025】
また、生コンクリート4のスランプは通常10cm程度として打設するが、本実施形態における製造方法では、ポーラスコンクリート板2の側溝ブロック1の表面に露出する面に生コンクリート4が浸透することが防止されるので、生コンクリートのスランプを12cm以上としても多孔質のポーラスコンクリート板2を目詰まりさせることなく成型することが可能である。
【0026】
次に、本実施形態における側溝ブロック1の施工例について説明する。図17は本実施形態における側溝ブロック1の施工例を示す断面図、図18は図17のB部拡大図、図19は図18の舗装を省略した平面図、図20は図18の右側面図である。
【0027】
本実施形態における側溝ブロック1は一般的な道路函渠側溝として使用することができるが、地中に埋設しても使用できるため、水路勾配が取れないところでも使用することが可能である。このとき、図17に示すように、複数の側溝ブロック1を連結し、地中で勾配を設けて埋設する。そして、側溝ブロック1の天版部1cに穴5を設けるか、予め穴5を設けた状態で成型したものを使用して、穴5にプレキャスト口環6a,6b,6cを設けて地上からの水を集水するようにする。
【0028】
また、側溝ブロック1は、図20に示すように、ポーラスコンクリート板2を設けた側の側壁部1aを歩道側に配置して、民地側にはポーラスコンクリート板2を設けていない側の側壁部1bが配置されるようにしている。また、ポーラスコンクリート板2が設けられた側壁部1bおよび底版部1cが配置される側には砕石9bを配置している。砕石9bは、透水シート9cにより流れないようにしている。このようにポーラスコンクリート板2が埋め込まれた側を歩道側とすることで、側溝ブロック1内からポーラスコンクリート板2を通じて流出する水が歩道側に流れるようにすることができる。
【0029】
図18に示すように、プレキャスト口環6aは、側溝ブロック1の天版部1dの上面と舗装9aの下面との間を接続するものである。プレキャスト口環6aの上面には、複数のスリット孔7aを設けたレジン集水蓋7が設けられている。スリット孔7aは幅10mm以下で形成されている。また、プレキャスト口環6aは、舗装9aと側溝ブロック1との勾配差を吸収するために高さ調整ボルト8によって側溝ブロック1の天版部1dとの隙間を調整可能となっている。なお、高さ調整ボルト8によって生じた側溝ブロック1の天版部1dとの隙間はモルタル(図示せず。)で埋めるようにする。
【0030】
なお、図17の中央に示すプレキャスト口環6bでは、プレキャスト口環6bの上にレジン集水蓋7を設け、その上を舗装9aで覆っている。この場合の舗装9aは透水性舗装であり、側溝ブロック1、プレキャスト口環6bおよびレジン集水蓋7は、すべて舗装9aの下に埋設されている。
【0031】
また、埋設が浅く、プレキャスト口環6a,6b,6cを設ける必要がない場合には、図20に対応する図21に示すように、側溝ブロック1の天版部1dの穴5上に直にレジン集水蓋7を設ける構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るコンクリート製側溝ブロックは、集水した雨水を地下へ浸透させるための歩道・車道境界部や歩道・民地境界部等の側溝として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンクリート製側溝ブロックの正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図1の側溝ブロックの製造工程を示すフロー図である。
【図6】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図7】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図8】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図9】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図10】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図11】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図12】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図13】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図14】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図15】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図16】図1の側溝ブロック1の製造工程を示す斜視図である。
【図17】本実施形態における側溝ブロック1の施工例を示す断面図である。
【図18】図17のB部拡大図である。
【図19】図18の舗装を省略した平面図である。
【図20】図18の右側面図である。
【図21】図20に対応する別の施工例を示す右側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 側溝ブロック
1a,1b 側壁部
1c 底版部
1d 天版部
1e 端部
1f 中央部
2 ポーラスコンクリート板
3 管路接続部
4 生コンクリート
5 穴
6a,6b,6c プレキャスト口環
7 レジン集水蓋
7a スリット孔
8 高さ調整ボルト
9a 舗装
9b 砕石
9c 透水シート
10 型枠
10a,10b 端型
10c,10d 側型
11 中子
12a,12b パッキン
13 アングル材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性を有する多孔質のポーラス体を一対のパッキンにより挟み込んだ状態で型枠の内面に前記一対のパッキンが密着するように組み込み、前記型枠内に生コンクリートを流し込んで成型した後、脱型して前記一対のパッキンを除去するコンクリート製側溝ブロックの製造方法。
【請求項2】
前記ポーラス体は、空隙率20%以上のものである請求項1記載のコンクリート製側溝ブロックの製造方法。
【請求項3】
前記生コンクリートのスランプが、12cm以上である請求項1または2に記載のコンクリート製側溝ブロックの製造方法。
【請求項1】
透水性を有する多孔質のポーラス体を一対のパッキンにより挟み込んだ状態で型枠の内面に前記一対のパッキンが密着するように組み込み、前記型枠内に生コンクリートを流し込んで成型した後、脱型して前記一対のパッキンを除去するコンクリート製側溝ブロックの製造方法。
【請求項2】
前記ポーラス体は、空隙率20%以上のものである請求項1記載のコンクリート製側溝ブロックの製造方法。
【請求項3】
前記生コンクリートのスランプが、12cm以上である請求項1または2に記載のコンクリート製側溝ブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−112188(P2006−112188A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303119(P2004−303119)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000138314)株式会社ヤマウ (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000138314)株式会社ヤマウ (15)
【Fターム(参考)】
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