説明

コンテンツ提示装置、コンテンツ提示方法及びコンテンツ提示プログラム

【課題】 試視聴用コンテンツを、コンテンツの一部から容易に生成し、試視聴用コンテンツ送信のための付加的通信コストを発生することなく該試視聴用コンテンツを利用者に提示するとともに、コンテンツ購入前には、コンテンツ全貌は推量不能を維持する。
【解決手段】 所与のデジタル・コンテンツを、それぞれの視聴可能性が維持された複数のブロックに、先頭から順に分割するコンテンツ分割部(107)と、ブロックを、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群と、それ以外の非提示用ブロック群とに分類するブロック分類部(107)と、コンテンツの購入を示す購入情報の受信前には、提示用ブロック群のみを、クライアント装置において視聴可能に出力させるとともに、購入情報の受信の後には、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とからなるコンテンツの全体を、クライアント装置において視聴可能に出力させる提示制御部(107)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ提示装置、コンテンツ提示方法及びコンテンツ提示プログラムに関する。より詳しくは、コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバと、該コンテンツを受信及び再生するコンテンツ受信装置において実装される、インターネットなどの通信回線を介したデジタル・コンテンツの流通において、利用者にコンテンツの購入を促すための試視聴用コンテンツを容易に生成し、通信コストを増大させることなく該試視聴用コンテンツを利用者に提示するとともに、購入させるべきコンテンツ全貌は推量不能を維持するコンテンツ提示のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンテンツ提示サーバに蓄積記録されたコンテンツを、コンテンツ提示クライアント装置からの配信要求に応答して配信する、オンデマンド型デジタル・コンテンツ配信システムが、各種提案されている。利用者が、デジタル写真、デジタル書籍、デジタル映像、デジタル音声、デジタル動画、等に例示されるコンテンツを、インターネット等のネットワークを介して購入する場合、実際の書店等での購入であれば書籍を立ち読み等してその内容を確認してから購入できるのと対照的に、購入前に、予め購入すべきコンテンツの全内容を確認することはできない。仮に、利用者が購入を決断する前に、デジタル・コンテンツの全部或いは相当部分を、その購入を検討している利用者に配信してしまえば、悪意の利用者は配信されたデジタル・コンテンツで目的を果たしてしまい、その後に当該コンテンツの代金支払いを行なわない恐れがある。しかしながら、他方、利用者側には、デジタル写真の質や色具合、デジタル書籍では文章の内容や調子、編集の仕方等を部分的にでも確認してから、デジタル・コンテンツ購入を決断したいという要請がある。
【0003】
こうした状況に対処すべく、コンテンツ購入に先立って、例えば映画の予告編のような、確認用のサンプルコンテンツを別途作成し、このサンプルコンテンツを利用者に提示する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−63187は、コンテンツの配信に際して、まず該コンテンツの一部分から予め制作された、又は別途制作されたコンテンツをサンプルコンテンツとして配信し、引き続いて配信要求があった場合にコンテンツ全体を送信する技術を開示する。
【0004】
一方、
【特許文献2】特開平6−303232は、有線や無線や蓄積メディアにより、圧縮/伸長処理を伴ってコンテンツを送受信および記録再生する通信システムにおいて、秘密に通信を行なうことを目的として、映像データを、圧縮単位の最小のデータ単位につき、ブロック分割し、そのままでは映像としての意味をなさないよう、その順序を入れ替える(スクランブルする)技術を開示する。
【特許文献3】特願2005−103185
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のオンデマンド型コンテンツ配信システムにおいて、コンテンツ購入に先立って、サンプルコンテンツを利用者に視聴させる場合に、以下の問題点があった。
【0006】
第1に、サンプルコンテンツを利用者に視聴させるためには、該サンプルコンテンツを、販売すべきコンテンツとは別途作成し、予めこれをコンテンツ本体とは別に、かつ対応付けて蓄積・管理し、さらにサンプルコンテンツを、購入されたコンテンツに加えて別途利用者に送信する処理を要する。サンプルコンテンツを試視聴した利用者が購入決定した場合、あらためてコンテンツ全体が利用者に送信される。このため、サンプルコンテンツの作成や記憶管理に要するコストや煩雑さ、及び該サンプルコンテンツを利用者に提示するため送信する付加的通信コストが不可避的に発生する。
【0007】
第2に、購入させるべきコンテンツ本体の一部を部分的に取り出して、サンプルコンテンツを作成しようとする場合、利用者に対して試視聴用に提示すべきコンテンツ部分と、利用者により購入される前には提示すべきでないコンテンツ部分とを峻別し、提示すべきコンテンツ部分のみを利用者が試聴可能に提示しつつ、購入前には、提示すべきでないコンテンツ部分(非提示部分)が利用者に視聴できないことが保証されなければならない。ここで、例えば上記特開平6−303232は、スクランブル処理後でも圧縮効率が低下しないようにするため、スクランブル処理の対象となる各ブロックを、圧縮化処理における最小のデータ単位の1個或いは複数個で構成するので、各ブロック内での映像データは、利用者において意味をなさないものとなる。このため、コンテンツ本体の一部を部分的に取り出して、サンプルコンテンツとしても、利用者が試視聴して内容を確認することができない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてされたものであり、その目的は、利用者にコンテンツの購入を促すための試視聴用コンテンツを容易に生成し、試視聴用コンテンツ送信のための付加的通信コストを発生することなく該試視聴用コンテンツを利用者に提示するとともに、コンテンツ購入前には、購入させるべきコンテンツ全貌は推量不能を維持するコンテンツ提示装置、コンテンツ提示方法及びコンテンツ提示プログラムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、利用者のコンテンツ購入前には、利用者に視聴可能に提示すべきでないコンテンツの非提示部分について、コンテンツ配信サーバ及び受信装置のいずれにも高負荷を課すことなく、低負荷かつ簡便な手法で、不可視聴性を保証するコンテンツ提示システム、コンテンツ提示装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の原理は、デジタル・コンテンツを蓄積・配信するコンテンツサーバにおいて、利用者に購入させるべきコンテンツを、そのデータの順序で、ブロックに分割し、さらにそのブロック群を、購入前に利用者に提示する提示用ブロック群と、購入前には利用者に提示しない非提示用ブロック群とに分類するものである。ここで、各ブロックの分割手法については、後述するが、少なくともそれぞれのブロックは、利用者がコンテンツの断片を識別可能な、単独での視聴可能性を維持したサイズに分割されるものとする。利用者が当該コンテンツを購入する前には、この提示用ブロック群のみを、試視聴用コンテンツとして、コンテンツ受信装置において、利用者に提示する。購入させるべきコンテンツの種別に応じて、この提示用ブロック群は、コンテンツのデータ順序を維持したまま利用者に提示され、或いはコンテンツのデータ順序を入れ替えて利用者に提示される。一方、非提示用ブロック群は、利用者がコンテンツを購入する前には、利用者に提示されることがないよう、コンテンツ受信装置に送信されないか、マスキング処理、データ順序入れ替え処理、或いは個々のブロックごとに暗号化処理されて、提示用ブロック群とともに送信される。
【0011】
利用者にコンテンツ購入を決定させるために、サンプルコンテンツを別途作成することなく、購入させるべきコンテンツの一部から試視聴用コンテンツを低コストに生成して、コンテンツの「さわり」を利用者に提示できるので、利用者の購入意欲を増加させる。
【0012】
コンテンツの提示用ブロック群、非提示用ブロック群のいずれも、利用者によるコンテンツ購入の前後に亘り、コンテンツ配信サーバからコンテンツ受信装置に一回のみ送信され、再送信されることがないので、試視聴用コンテンツ送信にかかる付加的通信コストが削減される。
【0013】
さらに、非提示用ブロック群は、利用者がコンテンツを購入した後にコンテンツ受信装置に送信されるか、或いは利用者がコンテンツを購入前に提示部分とともに送信されるが、利用者がコンテンツを購入した後にはじめて、そのデータ順序入れ替えの復元方法或いは暗号化の復号鍵がコンテンツ受信装置に送信されるので、利用者がコンテンツを購入する前には、提示用ブロック群のみが利用者に視聴されつつ、非提示用ブロック群が利用者に視聴可能となることはない。
【0014】
本発明のある特徴によれば、所与のデジタル・コンテンツを、それぞれの視聴可能性が維持された複数のブロックに、先頭から順に分割するとともに、該ブロックのそれぞれにブロック番号を付与するコンテンツ分割部と、前記ブロックを、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群と、それ以外の非提示用ブロック群とに分類するブロック分類部と、前記コンテンツの購入を示す購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、クライアント装置において視聴可能に出力させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とからなる前記コンテンツの全体を、前記クライアント装置において視聴可能に出力させるよう、前記コンテンツを提示制御する提示制御部と、前記提示制御部が出力する前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を前記クライアント装置に送信する送信部とを具備し、前記提示制御部は、前記提示用ブロック群が、前記購入情報の受信前にのみ、前記クライアント装置に送信されるよう、提示制御することを特徴とするコンテンツ提示サーバー装置が提供される。
【0015】
前記提示制御部は、前記購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、前記クライアント装置に送信させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記非提示用ブロック群のみを、前記クライアント装置に送信させるよう、前記コンテンツを提示制御してよい。
【0016】
あるいは、前記提示制御部は、前記購入情報の受信前に、前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を、前記クライアント装置に送信させるよう、前記コンテンツを提示制御してよい。
【0017】
上記コンテンツ提示サーバー装置は、さらに、 前記コンテンツ内で、前記ブロックを、前記ブロック番号に基づきランダムに入れ替えるブロック入替部と、前記購入情報の受信の後に、入れ替えられたブロックを、前記ブロック番号の順に並び替えるための復元キーを、前記クライアント装置に送信する復元キー送信部とを具備してよい。
【0018】
前記ブロック入替部は、前記コンテンツを、複数の隣接するブロックからなる分割片に分割し、それぞれの分割片内で、該分割片に属するブロックを入れ替える第1の入替手段と、前記分割片相互を入れ替える第2の入替手段と、 前記第2の入替手段が出力するブロック配列の全体を、前記第1の入替手段による分割片より大きな分割片に分割し、該分割片相互を入れ替える第3の入替手段とを具備してよい。
【0019】
前記ブロック入替部は、さらに、前記第3の入替え手段により分割された分割片内で、該分割片に属するブロックを入れ替える第4の分割手段を具備してよい。
【0020】
前記ブロック入替部は、前記コンテンツ内の、前記提示用ブロック群に属する前記ブロックのみを、前記ブロック番号に基づきランダムに入れ替えてよい。
【0021】
上記コンテンツ提示サーバー装置は、さらに、前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれを、暗号化処理する暗号化処理部と、前記購入情報の受信の後に、前記暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを、前記クライアント装置に送信する復号キー送信部とを具備してよい。
【0022】
上記コンテンツ提示サーバー装置は、さらに、前記コンテンツの提示用ブロック群のみを、クライアント装置において提示させるためのマスクを生成し、ブロック分割された前記コンテンツに重ね合わせるマスキング処理部を具備してよい。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、所与のデジタル・コンテンツを、先頭から順に分割して得られたブロックであって、それぞれの視聴可能性が維持されたブロックから成り、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群を、コンテンツ提示サーバー装置から受信する提示用ブロック群受信部と、前記提示用ブロック群に属しない、前記ブロックから成る非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信する提示用ブロック群受信部と、受信した前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれが暗号化処理されていた場合、該暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを受信する復号キー受信部と、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とを、それぞれのブロック番号に付与されたブロック番号の順に並び替えて、元のコンテンツに再構成するコンテンツ再構成部と、再構成されたコンテンツを出力する出力部とを具備し、前記提示用ブロック群は、前記コンテンツの視聴の購入を示す購入情報の送信前にのみ、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信されることを特徴とするコンテンツ提示クライアント装置が提供される。
【0024】
前記提示用ブロック群受信部は、前記購入情報の受信前にのみ、前記提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信し、前記非提示用ブロック群受信部は、前記購入情報の受信後にのみ、前記非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信してよい。
【0025】
上記コンテンツ提示クライアント装置は、さらに、前記コンテンツの提示用ブロック群のみを、クライアント装置において提示させるためのマスクを検出し、該マスクにより選択されたブロックのみを抽出して、前記コンテンツ再構成部に出力するマスク選択処理部を具備してよい。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、所与のデジタル・コンテンツを、それぞれの視聴可能性が維持された複数のブロックに、先頭から順に分割するとともに、該ブロックのそれぞれにブロック番号を付与するステップと、前記ブロックを、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群と、それ以外の非提示用ブロック群とに分類するステップと、前記コンテンツの購入を示す購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、クライアント装置において視聴可能に出力させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とからなる前記コンテンツの全体を、前記クライアント装置において視聴可能に出力させるよう、前記コンテンツを提示制御するステップと、前記提示制御ステップが出力する前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を前記クライアント装置に送信するステップとを含み、前記提示制御ステップは、前記提示用ブロック群が、前記購入情報の受信前にのみ、前記クライアント装置に送信されるよう、提示制御することを特徴とするコンテンツ提示方法が提供される。
【0027】
本発明の他の特徴によれば、所与のデジタル・コンテンツを、先頭から順に分割して得られたブロックであって、それぞれの視聴可能性が維持されたブロックから成り、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群を、コンテンツ提示サーバー装置から受信するステップと、前記提示用ブロック群に属しない、前記ブロックから成る非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信するステップと、受信した前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれが暗号化処理されていた場合、該暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを受信するステップと、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とを、それぞれのブロック番号に付与されたブロック番号の順に並び替えて、元のコンテンツに再構成するステップと、再構成されたコンテンツを出力するステップとを含み、前記提示用ブロック群は、前記コンテンツの視聴の購入を示す購入情報の送信前にのみ、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信されることを特徴とするコンテンツ提示方法が提供される。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、コンテンツ提示処理をコンピュータに実行させるためのコンテンツ提示プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、所与のデジタル・コンテンツを、それぞれの視聴可能性が維持された複数のブロックに、先頭から順に分割するとともに、該ブロックのそれぞれにブロック番号を付与するコンテンツ分割処理と、前記ブロックを、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群と、それ以外の非提示用ブロック群とに分類するブロック分類処理と、前記コンテンツの購入を示す購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、クライアント装置において視聴可能に出力させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とからなる前記コンテンツの全体を、前記クライアント装置において視聴可能に出力させるよう、前記コンテンツを提示制御する提示制御処理と、前記提示制御処理が出力する前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を前記クライアント装置に送信する送信処理とを含む処理を実行させるためのものであり、前記提示制御処理は、前記提示用ブロック群が、前記購入情報の受信前にのみ、前記クライアント装置に送信されるよう、提示制御することを特徴とするコンテンツ提示プログラムが提供される。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、コンテンツ提示処理をコンピュータに実行させるためのコンテンツ提示プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、所与のデジタル・コンテンツを、先頭から順に分割して得られたブロックであって、それぞれの視聴可能性が維持されたブロックから成り、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群を、コンテンツ提示サーバー装置から受信する提示用ブロック受信処理と、前記提示用ブロック群に属しない、前記ブロックから成る非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信する非提示用ブロック受信処理と、受信した前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれが暗号化処理されていた場合、該暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを受信する復号キー受信処理と、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とを、それぞれのブロック番号に付与されたブロック番号の順に並び替えて、元のコンテンツに再構成するコンテンツ再構成処理と、再構成されたコンテンツを出力する出力処理とを含む処理を実行させるためのものであり、前記提示用ブロック群は、前記コンテンツの視聴の購入を示す購入情報の送信前にのみ、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信されることを特徴とするコンテンツ提示プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、利用者にコンテンツの購入を促すための試視聴用コンテンツを、購入されるべきコンテンツの一部から容易に生成し、試視聴用コンテンツ送信のための付加的通信コストを発生することなく該試視聴用コンテンツを利用者に提示するとともに、コンテンツ購入前には、購入させるべきコンテンツ全貌は推量不能を維持することが可能となる。
【0031】
さらに、利用者のコンテンツ購入前には、利用者に視聴可能に提示すべきでないコンテンツの非提示部分について、コンテンツ提示サーバ及びコンテンツ提示クライアント装置のいずれにも高負荷を課すことなく、低負荷かつ簡便な手法で、不可視聴性を保証することが可能となる。
【0032】
従って、利用者側においては、コンテンツの試視聴における利便性が向上し、利用者が安心できるコンテンツ購入が実現するとともに、コンテンツ販売者側においては、コンテンツ購入を不正に免れた悪意の利用者によって、コンテンツ全貌が視聴されることが効率的に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
<本発明におけるコンテンツ提示方式の種別>
本発明においては、コンテンツ提示サーバにおいて、デジタル・コンテンツが、データ順序に従って、ブロック化される。
【0034】
第1のブロック化方式は、小ブロック法と呼び、コンテンツは、コンテンツの先頭からのデータ順序に従って、コンテンツの小さな断片(小ブロック)に分割される。
【0035】
第2のブロック化方式は、大ブロック法と呼び、コンテンツは、小ブロック法により分割されたブロックより大きな断片(大ブロック)からなり、該大ブロックは、それだけである程度のコンテンツの内容、質などが識別できる大きさの断片とする。
【0036】
コンテンツは、分割されたブロック単位で、コンテンツ提示サーバからコンテンツ提示クライアント装置に送出されるが、利用者には、提示用ブロック群のみ提示され、それ以外の非提示用ブロック群は、コンテンツ購入前には視聴可能に提示されることはない。
【0037】
非提示部分の不可視聴性を確保する第1の手法(第1の提示方法)は、提示用ブロック群及び非提示用ブロック群からなるコンテンツ全体をコンテンツ受信装置に送信するが、非提示ブロック群には、コンテンツ提示サーバにおいて、ブロックの部分入れ替え処理或いは暗号化処理を実行して、利用者には開くことができないようにしておき、利用者が代金を支払った際に、部分入れ替えの復元方法或いは暗号化の復号鍵を送信し、コンテンツ提示クライアント装置において、コンテンツ全体を視聴可能に提示する手法である。
【0038】
非提示部分の不可視聴性を確保する第2の手法(第2の提示方法)は、まずコンテンツ提示クライアント装置に提示用ブロック群のみを送信し、利用者が料金支払い等によりコンテンツを購入した後に、非提示用ブロック群を送信する手法である。
【0039】
小ブロック法により分割されたブロック(小ブロック)は、その内容の順序(データ順序)で提示される。非提示ブロック群は、暗号化或いはマスキング処理され、利用者が代金を支払うまで開くことがないようにされる。上記第1の提示手法によって、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とが同時に、コンテンツ提示クライアント装置に送信される手法(SS法:Short and Simultaneous法)と、上記第2の提示手法によって、非提示用ブロック群は利用者の代金支払い処理後にコンテンツ提示クライアント装置に送信される手法(SD法:Short and delayed法)とがある。
一方、大ブロック法により分割されたブロック(大ブロック)は、コンテンツ提示サーバにおいて、まずブロック単位で入れ替え処理が実行され、その後、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とに分類し、該提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを、同時にコンテンツ提示クライアント装置に送信する(RS法:Random and simultaneous法)。代替的に、非提示用ブロック群に対して暗号化処理を実行して利用者が代金を支払うまで開くことがないようにしてから、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを、同時にコンテンツ提示クライアント装置に送信してもよい(RES法:Ramdom,encrypted and simultaneous法)。さらに代替的に、非提示用ブロック群は、利用者の代金支払い処理後にコンテンツ提示クライアント装置に送信してもよい(RD法:Random and delayed法)。
【0040】
いずれの手法においても、提示用ブロック群も、非提示用ブロック群も、コンテンツ全体としては、1回のみしかコンテンツ提示クライアント装置に送信されないため、無駄な送信コストが発生しない。特に、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを利用者の代金支払い前にコンテンツ提示クライアント装置に同時に送信しても、送信時には、非提示部分については、不可視聴性が維持されており、利用者の代金支払い後に、非提示用ブロック群を開く暗号化の復号鍵、或いは入れ替え処理されたブロックを復元する方法を送信するだけでよく、コンテンツを再送する必要がない。
【0041】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0042】
<本実施形態の構成>
図1は、本実施形態に係るコンテンツ提示サーバ1及びコンテンツ提示クライアント装置2を具備するコンテンツ提示システムの一構成例を示す。
【0043】
コンテンツ提示サーバ1は、購入されるべき配信対象のコンテンツを格納する外部記憶装置であるコンテンツデータベース105を具備する。なお、当然ながら、本実施形態は、コンテンツデータベース105に入力されるコンテンツの種類やその入力手段を何ら限定するものではない。およそデジタル・コンテンツであれば、どのような種類のコンテンツでもよく、例えば映像や音楽等の時系列に沿って順次再生されるコンテンツや、電子書籍や連続写真等の連続して再生されるコンテンツ等であってよい。また、入力手段は、直接コンテンツの入力を受け付ける手段の他、例えばCD−ROM、DVD、MO等任意の外部記録媒体に記録されたコンテンツを読み込み、入力として受け付けてもよい。
【0044】
コンテンツ提示サーバ1と、コンテンツ提示クライアント装置2とは、例えばインターネットなどの通信回線を介して、ネットワーク3に接続される。該ネットワークにはさらに、コンテンツ提示クライアント装置2に対して、コンテンツ購入を許可する、或いはコンテンツ購入における代金支払い処理の全部或いは一部を実行するライセンス・サーバ(図示せず)が接続されてよい。
【0045】
コンテンツ提示サーバ1は、コンテンツ提示クライアント装置2からの配信要求を受け付け、およびコンテンツデータベース105から探索されたコンテンツをコンテンツ提示クライアント装置2に送出する利用者入出力管理部101と、利用者入出力管理部101から出力されるコンテンツ探索要求に基づいて、コンテンツデータベース105を探索して所望のコンテンツを得るコンテンツ探索制御部103と、コンテンツ探索制御部103によって探索されたコンテンツを、そのデータ順序に従って、ブロックに分割し、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とに分類し、必要に応じてブロックへのマスキング処理(後述)、ブロックの入れ替え処理、或いはブロックへの暗号化処理の1つ以上を実行し、さらに必要に応じて、非提示用ブロック群のコンテンツ提示クライアント装置2への送信を遅延制御するコンテンツ送達制御部107とを具備する。このコンテンツ送達制御部107は、本開示及び請求項における、コンテンツ分割部(処理)、ブロック分類部(処理)、コンテンツ提示制御部(処理)を含む。
【0046】
一方、コンテンツ提示クライアント装置2は、コンテンツ探索要求或いはコンテンツ購入要求等の利用者からの各種入力を受け付ける、キーボード、タッチパネル、マウス等に例示される入力部203と、入力部203に入力された要求に基づき、コンテンツ探索要求を生成するコンテンツ探索管理部205と、コンテンツ探索管理部205により生成されたコンテンツ探索要求を、コンテンツ提示サーバ1に送信するとともに、該コンテンツ提示サーバから探索されたコンテンツを受信する入出力制御部209と、入出力制御部209により受信されたコンテンツを蓄積記憶する、外部記憶装置からなるコンテンツ蓄積部211と、コンテンツ蓄積部211に記憶されたコンテンツ情報に、入出力制御部209に入力される暗号化の復号鍵或いは入れ替え処理されたブロックの復元方法を適用して、コンテンツ全体を視聴可能に再構築するコンテンツ解読部207と、コンテンツの全部或いは一部を再生出力して利用者に視聴させ、および利用者の各種入力を促し、待ち受ける各種画面等を出力制御する出力部201とを具備する。なお、本実施形態は、利用者が入力部203を介して行なう入力方式及び手段を特に限定するものではない。入力部201は、直接入力を受け付けてもよく、あるいは例えばUSBメモリやICカードなどに例示される外部記録媒体に記憶されたシーケンスを入力として受け付けてもよく、また任意のファイルとして予め格納されたデータを入力として受け付けてもよい。
【0047】
さらに、図1においては、コンテンツ提示クライアント装置2において、コンテンツ購入およびこれに先立ったサンプルコンテンツの試視聴を要求する入力を受け付け、コンテンツ探索リクエストをコンテンツ提示サーバ1に送信し、同時に受信されたサンプルコンテンツ及びコンテンツ全体を、同じコンテンツ提示クライアント装置2において受信及び再生するものとしたが、これに換えて、コンテンツ探索リクエスト、サンプルコンテンツ視聴リクエスト及び/又はコンテンツの購入リクエスト等の入力を受け付け、コンテンツ提示サーバ1に送信する要求入力端末と、送信されたコンテンツを受信及び再生するコンテンツ提示クライアント装置2とが異なる装置であってもよい。要求端末としては、例えば、携帯電話や携帯情報端末(PDA)を用いて入力を受け付けてよく、あるいはネットワーク接続可能なICカードリーダなどを用いてICカードからのシーケンスを受け付け、コンテンツ提示クライアント装置2において、コンテンツを受信して視聴再生してもよい。
【0048】
<本実施形態におけるブロック分割処理詳細>
コンテンツが、デジタル写真である場合を例として、本実施形態におけるブロック分割処理を説明する。
【0049】
図2は、デジタル写真の場合の小ブロック法によるコンテンツのブロック分割処理を説明する。図2に示すデジタル写真は、水平方向(図中、横方向)に、2,400画素、垂直方向(図中、縦方向)に、1、800画素を有するものとする。図2のデジタル写真を、図中左上隅から順に水平方向に右上端まで、120画素(横)×90画素(縦)のブロックに分割する。水平方向には、20ブロックあることになる。次に、ブロック分割した画素の直下の画素を最上部として、同じく120画素(横)×90画素(縦)のブロックに分割する。以上の処理を、全画素について繰り返し実行すると、図2のデジタル写真は、水平方向20個、垂直方向20個の計400個のブロックに分割される。各ブロックには、左上から水平右方向へ、ついで1つ下のブロック行の左端から右方向へ、1から400までのブロック番号が付加される。
【0050】
全体コンテンツであるデジタル写真が、24cm×18cmの大きさの場合、ブロック1つは、1.2cm×0.9cm大となり、これは、デジタル写真の断片がかろうじて理解できる臨界的大きさとなる。こうして分割されたブロックのそれぞれを、小ブロックと称する。
【0051】
図3は、図2と同じ、水平方向(図中、横方向)に、2,400画素、垂直方向(図中、縦方向)に、1、800画素を有するデジタル写真の場合の大ブロック法によるコンテンツのブロック分割処理を説明する。1つの大ブロックは、例えば、縦横に連続する2つの小ブロックを結合した大きさであり、図3のデジタル写真は、全体が100個の大ブロックに分割される。各ブロックには、左上から水平右方向へ、ついで1つ下のブロック行の左端から右方向へ、1から100までのブロック番号が付加される。
【0052】
大ブロックのそれぞれは、小ブロックとは異なり、ある程度写真の内容や品質が理解できる程度の大きさの断片となっている。プリントされた写真に例えると、L判の写真を縦、横とも2/5にした大きさの写真にほぼ相当する。
【0053】
<本実施形態におけるマスキング処理>
図2及び図3に示すようにブロック分割された各ブロック(小ブロックであっても、大ブロックであってもよい)の番号を、1、2、・・・、kとする。1からkの間の異なるm個の数字r、r、・・・、rからなる集合をXとする。
【0054】
図4は、図3に示すように大ブロック法によりブロック分割されたデジタル写真への、マスキング処理の手法の一例を示す。マスクMとは、ブロックBのうち、その番号がXに属するブロックを透明に、その他のブロックを不透明(不可視)にしたものである。r、r、・・・、rには種々の選択肢があるが、図4は、写真全体のバランスを考慮した、ブロック分割されたコンテンツに重ね合わせ処理されるマスクの一例を示す。図4中、ハッチングにより示されるブロック部分が透明な部分、すなわち提示用ブロック群である。図4に示される大ブロック法により分割されたデジタル写真においては、m=20であるため、全体の1/5が提示されることとなる。すなわち、マスクとは、図4におけるハッチング箇所のみを透明にしてなる。これを、図3に示されるデジタル写真に重ね合わせ処理すると、図4のハッチング箇所のみが見えることになる。図2に示された小ブロック法によりブロック分割されたデジタル写真用のマスクも、同様に生成することができる。すなわち、図2において、番号10のブロックから左下に番号181に向かって続くブロック群、番号201から右下に番号390に向かって続くブロック群、番号391から右上に番号220に向かって続くブロック群、番号200から左上に番号11に向かって続くブロック群を選択すれば、m=40であるマスクを生成することができる。さらに提示用ブロックを増加するためには、例えば図5(図2に示されるデジタル写真の中心部を示す)に示される、中心に近い部分の10ブロックを、提示用ブロック群に追加する。これにより、m=50であるマスク、すなわち、コンテンツ全体の1/8を提示するマスクを生成することができる。マスクされた領域は、例えばコンテンツ提示クライアント装置2において、コンテンツ探索管理部205などが、マスクにより選択された提示用ブロック群のみを抽出し、マスクされた非提示用ブロック群は、真っ黒或いは真っ白に加工して、出力部201を介して出力してもよい。
【0055】
上記のマスク生成手法に替えて、r、r、・・・、rを乱数とする、あるいは、コンテンツ販売者側が提示用部分に含めたくない重要箇所を避けてマスクを生成する等、種々の選択肢がある。
【0056】
上記マスク生成処理によって、コンテンツ全体を、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とへの分類が示されたこととなり、例えば図4におけるハッチング部分が、提示用ブロック群に相当する。
【0057】
なお、上記マスキング処理は、例えば静止画像のように、そのデータ順序でコンテンツを部分的に提示することに意味があるコンテンツに対して行なわれることが好ましい。小ブロック法によりブロック分割されたコンテンツに対しては、上記マスキング処理が必要となる。他方、大ブロック法によりブロック分割されたコンテンツに対しても、上記マスキング処理を行なってもよいが、後述のように、大ブロック法によりブロック分割されたコンテンツに対しては、少なくとも提示用ブロック群に属するブロックの配列を入れ替える処理を行なうので、提示された利用者にとって、画像がマスクされているという感覚はなくなる。
【0058】
<小ブロック法におけるコンテンツ提示処理>
図11は、小ブロック法によってコンテンツをブロック分割した場合の、処理フローの一例を示すフローチャートである。小ブロック法においては、図4乃至図5により示されるマスクを重ね合わせた画像を、利用者に提示用として送信する。一方、マスクで選択された箇所以外のブロックは、非提示用ブロック群として、コンテンツ提示クライアント装置2の出力部201から出力される際に、コンテンツ探索管理部205或いはコンテンツ解読部207によって、真っ黒或いは真っ白にして提示されるよう出力制御されてもよい。図11において、まず、コンテンツの種別等に応じて、小ブロック用のマスクが選択される(ステップS111)。ブロック分割処理において番号付けされた小ブロックの配列に、選択されたマスクをかぶせて、マスクの透明部分を提示用ブロック群として取り出す(ステップS113)。上記SD法においては、非提示用ブロック群、すなわちマスク部分は、利用者がコンテンツの代金を支払ってからコンテンツ提示クライアント装置2側に送信し、代金支払い前には提示用ブロック群のみコンテンツ提示クライアント装置2側に送信する(ステップS127)。一方、上記SS法においては、非提示用ブロック群を、各ブロックごと、公知の暗号化手法を用いて暗号化し(ステップS115)、代金支払い前の利用者が開けないようにして、暗号化処理を行なわない、マスクの透明部分である提示用ブロック群とともに、コンテンツ提示クライアント装置2側に送信する(ステップS117)。SS法において用いる暗号方式については、例えば、AES(Advanced Encryption Standard)等の共通鍵暗号方式が適しているが、本実施形態においては、これ以外の暗号方式を任意に適用してよい。AESを用いた場合は、利用者ごとに異なる鍵を使用し、利用者による代金支払いとともに、鍵を利用者側のコンテンツ提示クライアント装置2に送信することとなる。SD法、SS法のいずれを用いた場合であっても、コンテンツ送達制御部107は、利用者入出力管理部101を介して、コンテンツ提示クライアント装置2中のコンテンツ探索管理部205に対して、出力部201にコンテンツの提示用ブロック群のみを視聴可能に表示出力することを指示し、同時に、非提示用ブロック群を含めたコンテンツ全体の視聴を可能とするため、利用者に対してコンテンツの購入代金支払いを促すメッセージ乃至画面を表示出力する(ステップS119)。利用者の代金支払いが、コンテンツ提示サーバ1において確認された(ステップS121)後、SS法の場合は、コンテンツ提示クライアント装置2に、非提示用ブロック群を復号化処理するための、暗号の解読鍵(復号鍵)を送信する(ステップS123)。一方、SD法の場合は、代金支払いの確認後、コンテンツ提示クライアント装置2に、非提示用ブロック群を送信する(ステップS129)。コンテンツ探索管理部205は、SS法の場合は、コンテンツ解読部207によって、受信された復号鍵を用いて予め受信された非提示用ブロック群を復号化処理し、SD法の場合は、代金支払い後に受信された非提示用ブロック群を用いて、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを、視聴可能に再構築し、再構築されたコンテンツ全体を、出力部201を介して、表示出力する(ステップS125)。
【0059】
<大ブロック法におけるブロック配列入れ替え処理>
図6は、大ブロック法によりコンテンツをブロック分割した後に実行される、ブロック配列入れ替え処理及びコンテンツのコンテンツ提示クライアント装置2への送信処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0060】
全ブロックの配列を入れ替えるRS法においては、まず図3のように番号付けされたブロックをn分割し、その結果を(P,P,・・・、P)とする。この分割をPとする。このとき、Pには、iq+p(=p)個のブロックが含まれるものとする。ここで、p、qは適当な定数とする(ステップS601)。図3に例示する全体のブロック数はkなので、分割Pにおける1からnまでの足し算は、kより小さい。さらに、
(1q+p)+(2q+p)+・・・+((n−1)q+p)<k (式1)
となる。
【0061】
最後の分割Pに属するブロックの数は、例外的な場合を除いて、nq+pにはならず、それより小さい数となる。その数をpとしておく。それ以外のPに属するブロックの数は、pと記す。
【0062】
次に、分割Pに対してランダムな置換処理を行なう。本実施形態において、ランダムな置換処理とは、置換先の数字を乱数発生させたものを用いる置換を意味する。すなわち、分割Pの中のブロック番号を1,2、・・・、pとすると、それに、
1→f(1)、・・・・・、p→f(p) (式2)
と数字を置き換える。そして、置き換えられた新たな番号順に、分割内のブロックを並び替える(ステップS603)。ここで、f(1)、・・・、f(p)は、互いに異なる1からpまでの数字であり、乱数を発生させて決める。すべての分割P(Pを含む)に対して、この置換処理を行なう。各ブロックへの置換処理ごとに乱数を発生させるため、分割ごとに異なるブロック配列の入れ替えが行なわれる。
【0063】
置換処理を行なった後の分割(P、P、・・・、P)の番号に対して、ランダムな置換処理を行ない、得られた分割の番号順に、分割を並び替える(ステップS605)。このとき、置換先の番号は、ステップS603と同様、乱数を発生させることにより決定する。
【0064】
こうして、分割P内でブロックを並び替え、かつすべての分割を置換処理によってその配列を入れ替えた後のブロックの配列に対し、分割Pとは異なる分割Bを実行し、その結果、B、B、・・・、Bに分割する(ステップS607)。このとき、Bには、iq+r(r)個のブロックが含まれるものとする。ここで、r、qは適当な定数とする。ただし、r>pとするので、分割Bは分割Pと比較して、より大きな分割であり、分割数はより少なくなる。このときのBに対してもPの場合と同様、nq+rより小さいことが多い。
【0065】
次に、分割(B、B、・・・、B)の分割番号に対して、置換処理を行ない、得られた番号順に、分割を並び替える(ステップS609)。なお、分割Bに対する置換処理の後、さらに、分割片Bのそれぞれのブロックに対しても置換処理を実行してもよく、これにより、攪拌度の高いブロック入れ替えが得られる。
【0066】
ステップS603からステップS609までの処理によって、図3に示されたオリジナルのブロック配列から相当程度異なったブロック配列が得られる。
【0067】
コンテンツ全体に対して、一度に置換処理を施すためには、多くのRAM等の一時記憶領域を要するため、実用性に欠ける。他方、分割内だけのブロックの入れ替え処理だけを実行した場合、簡単に元の配列に戻せてしまうため、暗号としての意味が薄くなり、非提示領域についての不可視聴性が保証できない。本実施形態においては、まず分割内でブロックを置換し、次いで分割そのものの配列を置換し、さらにより大きな分割をして当該分割内でブロックを置換するという複数段階の置換処理を実行することによって、分割の境界線を消すことができる利点がある。
【0068】
RS法においては、このブロック配列に対して、例えば図4に示すようマスクをかけることによって、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを分類する(ステップS611)。すなわち、図4に示されるハッチングを施したブロックのみが透明で、かつ他のブロックは下の画像が不可視となるよう不透明としたマスクを、図3に示す画像の上に、重ね合わせてできる画像を、コンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS613)。出力部201を介して提示する際には、コンテンツ探索管理部205により、マスク以外の部分は、真っ黒ないし真っ白に塗りつぶして表示する。小ブロック法の場合と異なり、上記のブロック入れ替え処理を実行することにより、ブロック順が大きく入れ替わっているため、隣接するブロック同士に、画像としての連続性はない。他方、小ブロック法においては、静止画像等の二次元配列に意味がある画像の一部を示すことが目的であるため、上記のブロック入れ替え処理(置換処理)は実行されない。
【0069】
コンテンツ提示クライアント装置2には、提示用ブロック群と、マスキング処理された非提示用ブロック部分とが、ともに送信されるが、ブロック順序が大きく入れ替わっているため、利用者に全体を見られたとしても、写真としての意味をなさない。RS法においては、利用者によるコンテンツの代金支払い処理後(ステップS615)、コンテンツ送達制御部107は、ステップS601からステップS609において実行されたブロック入れ替え処理の履歴情報等に基づき、利用者入出力管理部101を介して、コンテンツ提示クライアント装置2側のコンテンツ探索管理部205にコンテンツ全体の入れ替え順序復元法を送信する(ステップS617)。
【0070】
一方、RD法及びRES法においては、まずコンテンツの提示用ブロック群だけを選択し(ステップS621)、提示用ブロック群に属するブロックの番号に置換処理を実行し、置換先の番号順に並び替える(ステップS623)。非提示用ブロック群については、RES法においては、そのままの順序で(すなわち、置換処理を行なわずに)各ブロックに対して暗号化処理を実行し(ステップS625)、暗号化された非提示用ブロック群を、置換処理を行なった提示用ブロック群とともに、コンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS613)。代金支払いの確認処理後(ステップS615)、非提示用ブロック群を復号するための復号鍵と、提示用ブロック群の入れ替え復元処理方法とを、コンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS631)。RD法においては、まず置換処理を行なった提示用ブロック群のみをコンテンツ提示クライアント装置2に送信し(ステップS627)、代金支払いの確認処理後(ステップS615)、非提示用ブロック群と、提示用ブロック群の入れ替え復元処理方法とを、コンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS633)。RES法、RD法とも、ステップS623における提示用ブロック群に属するブロック入れ替え処理は、ブロック番号全体を、乱数を用いて置換することで行なう。なお、RES法及びRD法において、提示用ブロック群に対する配列置換処理は、ステップS601からステップS609に示したRS法のものと同じ、複数段階の置換処理であってよいが、あるいは、より単純に、全体を一度だけ置換する手法を採用してもよい。RES法及びRD法においては、置換処理(入れ替え処理)は、提示用ブロック群に対してのみ行なわれ、非提示用ブロック群の不可視聴性は、RES法については暗号化処理によって、RD法については代金支払い後の送信によって、いずれも保証されるのであって、置換処理における攪拌度は、非提示用ブロック群の不可視聴性に寄与しないからである。
【0071】
図7ないし図10を参照して、大ブロック法によってブロック分割されたコンテンツの、RS法による置換処理の具体例を説明する。図7は、大ブロック法によってブロック分割され、かつブロック番号が付与されたオリジナルを示す。図7のオリジナルのコンテンツに対し、まず、小さな分割Pを行なうと、P=(P,P,・・・,P)に分割される。ここで、q=1;p=7とする。P=(1,2,・・・,8);P=(9,10,・・・,17);P=(18,19,・・・,27);P=(28,29,・・・,38);P=(39,40,・・・,50);P=(51,52,・・・,63);P=(64)に分割される。たまたま、Pには1つのブロックしか属さないことになる。
【0072】
この分割Pに対して、置換処理を行なうと、P’=(3,4,5,6,7,8,1,2);P’=(12,13,14,15,16,17,9,10,11);P’=(27,26,25,24,23,22,21,20,19,18);P’=(33,32,31,30,29,28,36,37,38,34,35);P’=(50,39,49,40,48,41,47,42,46,43,45,44);P’=(54,53,52,51,56,57,58,59,60,55,63,62、61);P’=(64)がそれぞれ得られる。ここでは、置換処理が行なわれたことを示すため、P’、P’、・・・、P’と表記する。また、理解の容易のため、単純な置換を示している。次に、分割P’、P’、・・・、P’の分割番号に置換処理を実行すると、P=(5,3,1,4,6,7,2)が得られる。ここでは、混同のおぞれがないため、「’」を外して表記する。図8は、上記の分割P内でのブロック置換処理及び分割番号による置換処理によって、ブロックを入れ替えた後の状態を示す。
【0073】
図8にさらに、大きな分割Bを行なうと、B=(B,B,B,B)に分割される。ここで、q=1;r=15とする。B=(50,39,49,40,48,41,47,42,46,43,45,44,27,26,25,24);B=(23,22,21,20,19,18,3,4,5,6,7,8,1,2,33,32,31);B=(30,29,28,36,37,38,34,35,54,53,52,51,56,57,58,59,60,55);B=(63,62,61,64,12,13,14,15,16,17,9,10,11)に分割される。
【0074】
さらに、分割B、B、B,Bの分割番号に置換処理を実行すると、B=(2、4、3、1)が得られる。図9は、上記の分割B内でのブロック置換処理及び分割番号による置換処理によって、ブロックを入れ替えた後の状態を示す。図9に対して、図4のようなマスクを重ね合わせると、コンテンツ提示クライアント装置2の出力部201に提示されるべき、図10の画像が得られる。
【0075】
<コンテンツ種別とブロック分割手法および入れ替え処理、配信処理の選択>
上記においては、デジタル写真をコンテンツの一例として説明したが、本実施形態において配信されるコンテンツは、あらゆるデジタル・コンテンツであってよく、写真以外にも、例えば、デジタル映像、デジタル音楽、デジタル書籍、さらにマルチメディアコンテンツのいずれであってもよい。
【0076】
例えば、デジタル写真の場合は、ブロックの2次元配列に意味があるため、小ブロック法が好適である。非提示部分を不可視とするためのマスク形状も、図4あるいは図5に示した形状のものが好ましい。小ブロック法によりブロック分割されたコンテンツに対しては、例えば、SD法を主として適用し、特にコンテンツ全体のデータ量が多いため、コンテンツ代金支払い後にマスク以外の部分(非提示用ブロック群)の送信に長時間を要する場合には、SS法によって、マスク以外の非提示用ブロック群を暗号化し、予め提示用ブロック群とともに、コンテンツ提示クライアント装置2に送信してもよい。
【0077】
一方、デジタル映像、デジタル音楽等の場合は、大ブロック法が好適である。例えば、30分程度以下の長さの映像では、大ブロックは連続するフレームを約900ないし約3600フレーム分集めたもの(約30秒ないし約2分の断片)を1つのブロックとし、全体が50ないし150ブロックで構成されるように、コンテンツをブロック分割する。マスクを用いる場合には、時間軸上でほぼ等間隔で、6箇所程度のブロックを選択し、提示する比率は、全体映像の1/5ないし1/10程度となるように、マスクを構成する。例えば、安価な映像には、全ブロックの順序を入れ替えて、コンテンツ全体を同時に送信するRS法を、短時間で、かつ比較的高価な映像には、マスク以外の非提示用ブロック群はコンテンツ代金支払い後に送信するRD法を、それぞれ適用してよい。短時間の映像であれば、コンテンツ提示クライアント装置2側において、順序を元に復元する処理が比較的低負荷かつ短時間で実行可能であるからである。本格的な映像には、非提示用ブロック群を暗号化するRES法を適用してよい。
【0078】
デジタル書籍の場合も、大ブロック法が好適である。例えば、1つのブロックを、約1/2ページないし3ページとし、コンテンツ全体を、約30ないし200ブロック程度に分割する。マスクは、ブロック番号を、乱数発生により、ランダム化して作成する。マスクを重ね合わせることにより、提示する比率は、コンテンツ全体の、例えば約1/10とする。価格が非常に安価なデジタル書籍には、SS法を、ページ数が約20ないし30ページ以下であって安価なデジタル書籍には、RS法を、高価なデジタル書籍には、RD法を、ページ数が多く、かつ高価なデジタル書籍には、RES法を、それぞれ適用してよい。マルチメディアコンテンツは、このデジタル書籍と同様の区分に従う。
【0079】
ただし、本実施形態は、上記の選択に限定されることを意図するものではなく、あらゆる種類のコンテンツに、あらゆる手法を適用することができる。
【0080】
図12は、上記実施形態における、各種コンテンツのブロック分割手法、ブロック入れ替え手法および送信手法の区別を概略説明する。まず、上記に例示したように、コンテンツの種別、長さ、および重要度等により、適用すべき提示方式を選択する(ステップS1201)。RS法の場合は、図6のフローチャートに従い、ブロック入れ替え処理を行なった後(ステップS1211)、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを分類(分離)し(ステップS1213)、両者を同時にコンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS1215)。一方、SS法及びRES法の場合は、まず提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを分類し(ステップS1203)、RES法ではさらに、提示用ブロック群に属するブロックの入れ替え処理を行ない(ステップS1203)、両者とも、非提示用ブロック群を暗号化した上で(ステップS1205)、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを同時に送信する(ステップS1207)。一方、SD法及びRD法の場合は、提示用ブロック群と非提示用ブロック群とを分類し、RD法ではさらに提示用ブロック群に属するブロックの入れ替え処理を行ない(ステップS1203)、SD法ではそのままのデータ順で、提示用ブロック群のみをコンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS1209)。利用者によるコンテンツ代金支払いが確認されると(ステップS1217)、コンテンツ提示クライアント装置2において、コンテンツ探索管理部205が、コンテンツのブロック順に並び替え処理を行ない、コンテンツ全体を、視聴可能に出力部201を介して提示する(ステップS1235)。このために、コンテンツ代金支払い確認処理後、SS法においては、非提示用ブロック群を復号するための復号鍵をコンテンツ探索管理部205に宛てて送信し(ステップS1219)、コンテンツ解読部207において非提示用ブロック群に復号化処理を行なう(ステップS1221)。SD法においては、非提示用ブロック群をコンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS1223)。RES法においては、ブロック入れ替えの復元手順を示すデータと、非提示用ブロック群を復号するための復号鍵をコンテンツ探索管理部205に宛てて送信し(ステップS1225)、コンテンツ探索管理部205において、コンテンツ解読部による非提示用ブロック群への復号化処理と、提示用ブロック群の入れ替え復元処理を行なう(ステップS1227)。RS法においては、コンテンツ全体のブロック入れ替えの復元手順を示すデータを(ステップS1229)、RD法においては、非提示用ブロック群と、提示用ブロック群の入れ替えの復元手順を示すデータとを(ステップS1233)、それぞれ送信し、いずれもコンテンツ探索管理部205において、ブロックの入れ替え復元処理を行なう(ステップS1231)。
【0081】
<本実施形態に係るコンテンツ提示システムにおけるデータフロー>
図13は、本実施形態におけるコンテンツ提示処理におけるコンテンツ提示クライアント装置2(クライアントコンピュータ)、コンテンツ提示サーバ1間におけるデータフローの非限定的一例を示す。
【0082】
まず、コンテンツ提示クライアント装置2において、入力部203を介して、所望のコンテンツの探索を指示するコンテンツ探索リクエストが入力される(ステップS1301)。入力された探索リクエストは、コンテンツ探索管理部205において、解析され(ステップS1303)、入出力制御部209から送信される(ステップS1305)。コンテンツ提示サーバ1において、利用者入出力管理部101が、コンテンツ提示クライアント装置2から送信された探索リクエストを受信し(ステップS1307)、受信された探索リクエストに基づき、コンテンツ探索制御部103が、コンテンツデータベース105から、候補コンテンツを探索する(ステップS1309)。コンテンツ送達制御部107は、候補コンテンツの提示手法を、例えば図12に従い選択し、提示すべきコンテンツを、例えば図12に従って、コンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS1311)。
【0083】
再び、コンテンツ提示クライアント装置2において、入出力制御部209が、候補コンテンツを受信し、コンテンツ蓄積部211に蓄積する(ステップS1313)。コンテンツ探索管理部205が、受信され、コンテンツ蓄積部211に蓄積された候補コンテンツを、出力部201に出力制御する(ステップS1315)。ここで、出力部201を介して提示されるコンテンツは、提示用ブロック群、すなわち、試視聴用のサンプルコンテンツのみが、視聴可能に提示され、それ以外の非提示用ブロック群は、提示用ブロック群とともに、すでにコンテンツ提示クライアント装置2に受信されていたとしても、暗号化処理或いはブロック入れ替え処理がされているので、不可視聴性が維持され、利用者に認識ないし理解可能となることはない。
【0084】
サンプルコンテンツの試視聴により、コンテンツ購入を決定した利用者が、入力部201を介して、料金支払い手続き情報を入力し、これをコンテンツ提示サーバ1或いは外部のライセンスサーバ等に送信すると(ステップS1317)、コンテンツ提示サーバ1において、コンテンツ探索制御部103は、当該利用者による当該コンテンツの代金支払いを確認し、コンテンツ送達制御部107において、非提示用ブロック群の暗号を解読する復号キー及び/又はコンテンツ非提示用ブロック群の送達を制御し、上記ですでに説明した、コンテンツ提示クライアント装置2においてコンテンツ全体の視聴を可能にするための追加的情報を、コンテンツ提示クライアント装置2に送信する(ステップS1319)。
【0085】
コンテンツ提示クライアント装置2において、非提示用ブロック群を受信した場合は、入出力制御部209は、該非提示用ブロック群を、コンテンツ蓄積部211に蓄積し(ステップS1321)、一方、暗号解読用の復号キーを受信した場合は、コンテンツ探索管理部205は、この復号キーを用いて、コンテンツ解読部207によって非提示用ブロック群への暗号を復号する(ステップS1323)。コンテンツ探索制御部205は、コンテンツ蓄積部211内で、提示用ブロック群及び非提示用ブロック群からなるコンテンツ全体を再構築し(ステップS1325)、出力部201を介して、コンテンツ全体を、視聴可能に表示出力する(ステップS1327)。
【0086】
<本実施形態に係るコンテンツ提示システムのハードウエア構成>
図14は、本実施形態によるコンテンツ提示サーバ1及び/又はコンテンツ提示クライアント装置2のハードウエア構成を示すブロック図である。図14に示されるコンピュータ装置110であるコンテンツ提示サーバ及び/又はコンテンツ提示クライアント装置において、CPU111は、ROM114および/またはハードディスクドライブ116に格納されたプログラムに従い、RAM115を一次記憶用ワークメモリとして利用して、システム全体を制御する。さらに、CPU111は、マウス112aまたはキーボード112を介して入力される利用者の指示に従い、ハードディスクドライブ116に格納されたプログラムに基づき、本実施形態に係る提示処理を実行する。ディスプレイインタフェイス113には、CRTやLCDなどのディスプレイが接続され、CPU111が実行するコンテンツ提示処理の入力待ち受け画面、処理経過や処理結果、再生されたコンテンツ画像或いはサンプルコンテンツ画像などが表示される。リムーバブルメディアドライブ117は、主に、リムーバブルメディアからハードディスクドライブ116へファイルを書き込んだり、ハードディスクドライブ116から読み出したファイルをリムーバブルメディアへ書き込む場合に利用される。リムーバブルメディアとしては、フロッピディスク(FD)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、DVD−ROM、DVD−R、DVD−R/W、DVD−RAMやMO、あるいはメモリカード、CFカード、スマートメディア、SDカード、メモリスティックなどが利用可能である。
【0087】
プリンタインタフェイス118には、レーザビームプリンタやインクジェットプリンタなどのプリンタが接続される。ネットワークインタフェイス119は、コンピュータ装置をネットワークへ接続するためのインターフェースである。
【0088】
なお、上記各実施形態に係るコンテンツ提示サーバ及び又はコンテンツ提示クライアント装置における入力部は、マウス112aあるいはキーボード112に限定されることなく、任意のポインティングデバイス、例えばトラックボール、トラックパッド、タブレットなどを適宜用いることができる。携帯情報端末を上記各実施形態に係るコンテンツ配信要求装置として用いる場合には、入力部をボタンやモードダイヤル等で構成してもよい。
【0089】
また、図14に示した上記各実施形態に係るコンテンツ提示サーバ及び/又はコンテンツ提示クライアント装置のハードウエア構成は一例に過ぎず、その他の任意のハードウエア構成を用いることができることはいうまでもない。
【0090】
殊に、上記各実施形態に係るコンテンツ提示処理の全部又は一部は、上記コンピュータ端末装置100あるいはPDA等の携帯情報端末装置等によって実現されてもよく、コンピュータ端末装置等とサーバー装置とをBluetooth(登録商標)等の無線、あるいはインターネット(TCP/IP)、公共電話網(PSTN)、統合サービス・ディジタル網(ISDN)等の有線通信回線で相互接続した、インターネットあるいは任意の周知のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)からなるネットワークシステムによってコンテンツ提示処理が実現されてもよい。例えば、PDA等の携帯情報端末装置がコンテンツの配信要求をコンテンツ提示サーバ1に対して送信し、コンテンツ提示サーバ1は、所定の或いは要求された識別子のコンテンツ再生装置に対して、コンテンツを配信してもよい。
【0091】
以上のとおり、本実施形態によれば、利用者にコンテンツ購入を決定させるために、サンプルコンテンツを別途作成することなく、購入させるべきコンテンツの一部から試視聴用コンテンツを簡易かつ低コストに生成できる。従って、コンテンツの「さわり」を利用者に提示できるので、利用者の購入意欲を増加させ、コンテンツ試視聴における利便性が向上する。
【0092】
さらに、コンテンツの提示用ブロック群、非提示用ブロック群のいずれも、利用者によるコンテンツ購入の前後に亘り、コンテンツ配信サーバからコンテンツ受信装置に一回のみ送信され、再送信されることがないので、試視聴用コンテンツ送信にかかる付加的通信コストが削減される。
【0093】
さらに、非提示用ブロック群は、利用者がコンテンツを購入した後にコンテンツ提示クライアント装置に送信されるか、又は利用者がコンテンツを購入前に提示部分とともに送信されるものの、利用者がコンテンツを購入した後にはじめて、そのデータ順序入れ替えの復元方法或いは暗号化の復号鍵がコンテンツ提示クライアント装置に送信されるので、利用者がコンテンツを購入する前には、提示用ブロック群のみが利用者に視聴されつつ、非提示用ブロック群が利用者に視聴可能となることはない。従って、コンテンツを購入した正規の利用者以外の者によって、コンテンツ全体が不正に視聴されることが有効に防止される。
【0094】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテンツ提示システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】デジタル写真の小ブロックへの分割処理の一例を示す模式図である。
【図3】デジタル写真の大ブロックへの分割処理の一例を示す模式図である。
【図4】大ブロックに分割された図3のデジタル写真に重ね合わせされるマスクの一例を示す模式図である。
【図5】小ブロックに分割された図2のデジタル写真の中心部におけるマスクの一例を示す模式図である。
【図6】大ブロック法によってブロック分割されたコンテンツの、置換処理、提示用ブロック群と非提示用ブロック群との分類処理、及びサンプルコンテンツとコンテンツの提示処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6に従った置換処理を行なう前のオリジナル画像の一例を示す模式図である。
【図8】図7のオリジナル画像に、小さな分割Pによる置換処理を行なった後の画像の一例を示す模式図である。
【図9】図8の置換後画像に、大きな分割Bによる置換処理を行なった後の画像の一例を示す模式図である。
【図10】図9の置換後画像に、マスクを重ね合わせて、提示用ブロック群のみを視聴可能に構成した、コンテンツ提示イメージの一例を示す模式図である。
【図11】小ブロック法によってブロック分割されたコンテンツの、提示用ブロック群と非提示用ブロック群との分類処理、及びサンプルコンテンツとコンテンツの提示処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態における各種コンテンツのブロック分割手法、ブロック入れ替え手法および送信手法の区別を概略説明するフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に係るコンテンツ配信サーバとコンテンツ受信装置との間のデータフローの一例を示すタイミングチャート図である。
【図14】本発明の各実施形態に係るコンテンツ提示サーバ及び/又はコンテンツ提示クライアント装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
利用者入出力管理部 101
コンテンツ探索制御部 103
コンテンツデータベース 105
コンテンツ送達制御部 107
出力部 201
入力部 203
コンテンツ探索管理部 205
コンテンツ解読部 207
入出力制御部 209
コンテンツ蓄積部 211

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与のデジタル・コンテンツを、それぞれの視聴可能性が維持された複数のブロックに、先頭から順に分割するとともに、該ブロックのそれぞれにブロック番号を付与するコンテンツ分割部と、
前記ブロックを、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群と、それ以外の非提示用ブロック群とに分類するブロック分類部と、
前記コンテンツの購入を示す購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、クライアント装置において視聴可能に出力させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とからなる前記コンテンツの全体を、前記クライアント装置において視聴可能に出力させるよう、前記コンテンツを提示制御する提示制御部と、
前記提示制御部が出力する前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を前記クライアント装置に送信する送信部とを具備し、
前記提示制御部は、前記提示用ブロック群が、前記購入情報の受信前にのみ、前記クライアント装置に送信されるよう、提示制御する
ことを特徴とするコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項2】
前記提示制御部は、
前記購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、前記クライアント装置に送信させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記非提示用ブロック群のみを、前記クライアント装置に送信させるよう、前記コンテンツを提示制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項3】
前記提示制御部は、
前記購入情報の受信前に、前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を、前記クライアント装置に送信させるよう、前記コンテンツを提示制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項4】
上記コンテンツ提示サーバー装置は、さらに、
前記コンテンツ内で、前記ブロックを、前記ブロック番号に基づきランダムに入れ替えるブロック入替部と、
前記購入情報の受信の後に、入れ替えられたブロックを、前記ブロック番号の順に並び替えるための復元キーを、前記クライアント装置に送信する復元キー送信部とを具備する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項5】
前記ブロック入替部は、
前記コンテンツを、複数の隣接するブロックからなる分割片に分割し、それぞれの分割片内で、該分割片に属するブロックを入れ替える第1の入替手段と、
前記分割片相互を入れ替える第2の入替手段と、
前記第2の入替手段が出力するブロック配列の全体を、前記第1の入替手段による分割片より大きな分割片に分割し、該分割片相互を入れ替える第3の入替手段とを具備する
ことを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項6】
前記ブロック入替部は、さらに、
前記第3の入替え手段により分割された分割片内で、該分割片に属するブロックを入れ替える第4の分割手段を具備する
ことを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項7】
前記ブロック入替部は、
前記コンテンツ内の、前記提示用ブロック群に属する前記ブロックのみを、前記ブロック番号に基づきランダムに入れ替える
ことを特徴とする請求項4ないし6のいずれか記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項8】
上記コンテンツ提示サーバー装置は、さらに、
前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれを、暗号化処理する暗号化処理部と、
前記購入情報の受信の後に、前記暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを、前記クライアント装置に送信する復号キー送信部とを具備する

ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項9】
上記コンテンツ提示サーバー装置は、さらに、前記コンテンツの提示用ブロック群のみを、クライアント装置において提示させるためのマスクを生成し、ブロック分割された前記コンテンツに重ね合わせるマスキング処理部を具備する
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか記載のコンテンツ提示サーバー装置。
【請求項10】
所与のデジタル・コンテンツを、先頭から順に分割して得られたブロックであって、それぞれの視聴可能性が維持されたブロックから成り、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群を、コンテンツ提示サーバー装置から受信する提示用ブロック群受信部と、
前記提示用ブロック群に属しない、前記ブロックから成る非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信する提示用ブロック群受信部と、
受信した前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれが暗号化処理されていた場合、該暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを受信する復号キー受信部と、
前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とを、それぞれのブロック番号に付与されたブロック番号の順に並び替えて、元のコンテンツに再構成するコンテンツ再構成部と、
再構成されたコンテンツを出力する出力部とを具備し、
前記提示用ブロック群は、前記コンテンツの視聴の購入を示す購入情報の送信前にのみ、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信される
ことを特徴とするコンテンツ提示クライアント装置。
【請求項11】
前記提示用ブロック群受信部は、前記購入情報の受信前にのみ、前記提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信し、
前記非提示用ブロック群受信部は、前記購入情報の受信後にのみ、前記非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信する
ことを特徴とする請求項10に記載のコンテンツ提示クライアント装置。
【請求項12】
上記コンテンツ提示クライアント装置は、さらに、
前記コンテンツの提示用ブロック群のみを、クライアント装置において提示させるためのマスクを検出し、該マスクにより選択されたブロックのみを抽出して、前記コンテンツ再構成部に出力するマスク選択処理部を具備する
ことを特徴とする請求項10または11に記載のコンテンツ提示クライアント装置。
【請求項13】
所与のデジタル・コンテンツを、それぞれの視聴可能性が維持された複数のブロックに、先頭から順に分割するとともに、該ブロックのそれぞれにブロック番号を付与するステップと、
前記ブロックを、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群と、それ以外の非提示用ブロック群とに分類するステップと、
前記コンテンツの購入を示す購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、クライアント装置において視聴可能に出力させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とからなる前記コンテンツの全体を、前記クライアント装置において視聴可能に出力させるよう、前記コンテンツを提示制御するステップと、
前記提示制御ステップが出力する前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を前記クライアント装置に送信するステップとを含み、
前記提示制御ステップは、前記提示用ブロック群が、前記購入情報の受信前にのみ、前記クライアント装置に送信されるよう、提示制御する
ことを特徴とするコンテンツ提示方法。
【請求項14】
所与のデジタル・コンテンツを、先頭から順に分割して得られたブロックであって、それぞれの視聴可能性が維持されたブロックから成り、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群を、コンテンツ提示サーバー装置から受信するステップと、
前記提示用ブロック群に属しない、前記ブロックから成る非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信するステップと、
受信した前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれが暗号化処理されていた場合、該暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを受信するステップと、
前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とを、それぞれのブロック番号に付与されたブロック番号の順に並び替えて、元のコンテンツに再構成するステップと、
再構成されたコンテンツを出力するステップとを含み、
前記提示用ブロック群は、前記コンテンツの視聴の購入を示す購入情報の送信前にのみ、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信される
ことを特徴とするコンテンツ提示方法。
【請求項15】
コンテンツ提示処理をコンピュータに実行させるためのコンテンツ提示プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
所与のデジタル・コンテンツを、それぞれの視聴可能性が維持された複数のブロックに、先頭から順に分割するとともに、該ブロックのそれぞれにブロック番号を付与するコンテンツ分割処理と、
前記ブロックを、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群と、それ以外の非提示用ブロック群とに分類するブロック分類処理と、
前記コンテンツの購入を示す購入情報の受信前には、前記提示用ブロック群のみを、クライアント装置において視聴可能に出力させるとともに、前記購入情報の受信の後には、前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とからなる前記コンテンツの全体を、前記クライアント装置において視聴可能に出力させるよう、前記コンテンツを提示制御する提示制御処理と、
前記提示制御処理が出力する前記提示用ブロック群及び前記非提示用ブロック群を前記クライアント装置に送信する送信処理とを含む
処理を実行させるためのものであり、
前記提示制御処理は、前記提示用ブロック群が、前記購入情報の受信前にのみ、前記クライアント装置に送信されるよう、提示制御する
ことを特徴とするコンテンツ提示プログラム。
【請求項16】
コンテンツ提示処理をコンピュータに実行させるためのコンテンツ提示プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
所与のデジタル・コンテンツを、先頭から順に分割して得られたブロックであって、それぞれの視聴可能性が維持されたブロックから成り、利用者に試視聴させるための提示用ブロック群を、コンテンツ提示サーバー装置から受信する提示用ブロック受信処理と、
前記提示用ブロック群に属しない、前記ブロックから成る非提示用ブロック群を、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信する非提示用ブロック受信処理と、
受信した前記非提示用ブロック群に属するブロックのそれぞれが暗号化処理されていた場合、該暗号化処理されたブロックを復号するための復号キーを受信する復号キー受信処理と、
前記提示用ブロック群と、前記非提示用ブロック群とを、それぞれのブロック番号に付与されたブロック番号の順に並び替えて、元のコンテンツに再構成するコンテンツ再構成処理と、
再構成されたコンテンツを出力する出力処理とを含む処理を実行させるためのものであり、
前記提示用ブロック群は、前記コンテンツの視聴の購入を示す購入情報の送信前にのみ、前記コンテンツ提示サーバー装置から受信される
ことを特徴とするコンテンツ提示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−4491(P2007−4491A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183970(P2005−183970)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】