説明

コンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置

【課題】 穀粒の排出位置の調節を簡単な操作で行うことができるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を提供すること。
【解決手段】 コンバイン本体に、走行状態と走行停止状態とに切換える走行状態切換手段、その走行状態切換手段を操作する走行用アクチュエータ、及び、その走行用アクチュエータの作動を制御する走行制御手段が備えられ、無線式指令手段42が、走行指令及び走行停止指令を指令する走行指令手段51,52を備えて、この走行指令手段による走行指令及び走行停止指令を無線信号にて指令するように構成され、走行制御手段が、無線式指令手段が指令する走行指令及び走行停止指令に基づいて、走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されているコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン本体に、穀粒排出用オーガと、その穀粒排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段とが備えられ、前記穀粒排出用オーガに対する操作指令を前記オーガ制御手段に無線信号にて指令する無線式指令手段が設けられたコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記無線式操作装置としては、コンバイン本体に対して昇降旋回自在にかつ伸縮操作自在に備えられた穀粒排出用オーガに対する昇降、旋回、伸縮及び排出状態の切換えについての各操作指令を、穀粒排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段に無線信号にて指令する手動操作式の指令手段が設けられたコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
コンバインを使用した穀物の収穫作業としては、刈取り作業により収穫した穀粒を、コンバイン本体に一旦貯留し、適当な時期に刈取り作業を中断して、貯留した穀粒の排出作業を行うといったやり方が一般的である。穀粒排出作業は、具体的には、コンバイン本体に備えた穀粒排出用オーガにより輸送用トラックの荷台や穀粒袋に穀粒を排出する作業であるが、特許文献1のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置は、この穀粒排出作業時に必要な穀粒排出用オーガの各種操作を無線式指令手段を用いて行えるようにしたものである。
【0004】
一般に、穀粒排出用オーガにより輸送用トラックの荷台に穀粒を排出する作業を行う場合、コンバイン本体を輸送用トラックの荷台の周辺に停止させ、作業者が、荷台に排出される穀粒の堆積状況を確認しながら排出作業を進めることになる。従来のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置は、このような穀粒排出作業時に、コンバインの運転作業者が、輸送用トラックの荷台付近まで近寄って排出状況を観察しながら穀粒排出用オーガの各種操作が行えるようにするものである。
【0005】
例えば、コンバイン本体を輸送用トラックの荷台に横付けした状態で穀粒の排出作業を行う場合、無線式操作装置により穀粒排出用オーガを旋回昇降操作して、排出開始時における穀粒排出用オーガの吐出口の位置を調整した上で、穀粒の排出を開始させ、その後、堆積状況に応じて、穀粒排出用オーガを適宜旋回作動させて、荷台全体に均等に穀粒が堆積するように荷台に対する穀粒の排出位置を変更できるようになっている。
【特許文献1】特開2003−325032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成では、穀粒排出用オーガを昇降旋回作動させて穀粒排出位置を調整するものであるため、穀粒排出用オーガを旋回作動させた場合の荷台に対する排出位置の移動軌跡は、穀粒排出用オーガの旋回中心を中心として、穀粒排出用オーガの旋回半径に応じた円弧状の移動軌跡となる。したがって、排出位置を荷台の前後方向に変更するのに伴って、トラックの荷台の横方向についても変更されてしまい、排出位置としては好ましくない位置に調整されてしまう場合があった。
【0007】
また、特許文献1の構成では、上述したトラックの荷台の横方向についての排出位置の移動による不都合を回避できるように、穀粒排出用オーガを伸縮可能に構成して、穀粒排出用オーガを短縮或いは伸長させることにより、穀粒排出用オーガの旋回作動に伴って発生するトラックの荷台の横方向についての排出位置の移動量を相殺するようにして、排出位置の調節を行えるようになっているが、このようにして排出位置の調節を行うには、穀粒排出用オーガの旋回操作に加えて伸縮操作を行わなければならないので、操作が複雑であり、穀粒の排出位置の調節が行えるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置として使い勝手がよいといえるものではなかった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、穀粒の排出位置の調節を簡単な操作で行うことができるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、コンバイン本体に、穀粒排出用オーガと、その穀粒排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段とが備えられ、前記穀粒排出用オーガに対する操作指令を前記オーガ制御手段に無線信号にて指令する無線式指令手段が設けられたコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置において、
前記コンバイン本体に、走行状態と走行停止状態とに切換える走行状態切換手段、その走行状態切換手段を操作する走行用アクチュエータ、及び、その走行用アクチュエータの作動を制御する走行制御手段が備えられ、前記無線式指令手段が、走行指令及び走行停止指令を指令する走行指令手段を備えて、この走行指令手段による前記走行指令及び前記走行停止指令を無線信号にて指令するように構成され、前記走行制御手段が、前記無線式指令手段が指令する前記走行指令及び前記走行停止指令に基づいて、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている点にある。
【0010】
本発明の第1特徴構成によると、無線式指令手段に備えられた走行指令手段により走行指令が指令されると、走行制御手段により走行用アクチュエータの作動が制御されて、走行状態切換手段が操作され、コンバイン本体が走行状態に切換えられる。また、同様に、無線式指令手段に備えられた走行指令手段により走行停止指令が指令されると、走行制御手段により走行用アクチュエータの作動が制御されて、走行状態切換手段が操作され、コンバイン本体が走行停止状態に切換えられる。つまり、作業者は、無線式指令手段の走行指令手段を用いて、コンバイン本体を、走行状態と走行停止状態とに切換えることにより、コンバイン本体の現在の位置から別の位置まで移動させることができる。
【0011】
つまり、本発明の第1特徴構成によると、無線式指令手段によりコンバイン本体を任意の量だけ走行させることができるので、例えば、穀粒運搬トラックにコンバイン本体を横付けして、穀粒排出用オーガによりトラックの荷台に穀粒を排出する作業を行う場合、荷台における穀粒の堆積状況に応じて、無線式指令手段を操作してコンバイン本体を荷台の前後方向に必要な距離だけ前進或いは後進させて、排出位置を変更させることにより、荷台に堆積する穀粒が均等な堆積状態となるような適切な排出位置になるように吐出口の位置を調節することができる。
【0012】
このように、本発明の第1特徴構成によると、排出位置の調節を簡単な操作で行うことができるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、本発明の第1特徴構成において、前記走行指令手段が、前記走行指令を指令する走行指令用操作状態と前記走行停止指令を指令する走行停止指令用操作状態とに切換え自在で且つ前記走行停止指令用操作状態に復帰付勢されるように構成され、前記走行制御手段が、前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されると、前記走行状態に切換え、且つ、前記走行停止指令が指令されると、前記走行停止状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
本発明の第2特徴構成によると、本発明の第1特徴構成と同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第2特徴構成によると、走行指令手段が、前記走行指令を指令する走行指令用操作状態と前記走行停止指令を指令する走行停止指令用操作状態とに切換え自在で且つ前記走行停止指令用操作状態に復帰付勢されるように構成されているので、コンバイン本体を停止状態から走行状態に切換えるには、走行停止指令用操作状態に復帰付勢されている走行指令手段を、付勢に抗して走行指令用操作状態に切換え操作すればよい。
また、コンバイン本体を走行状態で維持するには、走行指令手段を付勢に抗して走行指令用操作状態で維持しておけばよい。さらに、走行状態のコンバイン本体を停止状態にする場合は、走行指令手段を走行指令用操作状態で維持する操作をやめるだけで、走行指令手段が自然に走行停止指令用操作状態に切り替わるので、コンバイン本体を停止させようとする場合、簡単な操作で迅速に走行停止指令を指令して、コンバイン本体を走行状態から停止状態に切換えることができる。
このように、本発明の第2特徴構成によると、必要に応じて無線式指令手段が備える走行指令手段を走行指令用操作状態に保持しておくだけの簡単な操作で、コンバイン本体を所望の距離だけ移動させることができ、また、コンバイン本体を停止させたい場合には、簡単で迅速な操作により停止させることができるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、本発明の第1又は第2特徴構成において、前記無線式指令手段が、前記走行指令を指令してから前記走行停止指令を指令するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成され、前記走行制御手段が、前記走行指令により前記走行状態に切換えているときに、前記監視用無線信号の非受信状態になると、前記走行停止状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている点にある。
【0016】
本発明の第3特徴構成によると、本発明の第1又は第2特徴構成と同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第3特徴構成によると、無線式指令手段により指令された走行指令により走行状態に切換えられたコンバイン本体は、走行制御手段が監視用無線信号の受信状態から非受信状態に変化すると、停止状態に切換えられる。
したがって、無線式指令手段と走行制御手段とが通信可能状態でなくなって、無線式指令手段により走行停止指令が指令できない状態に陥った場合には、コンバイン本体が自動的に停止状態に切換えられることにより、意に反してコンバイン本体の走行状態が維持されてしまうという事態の発生を防止することができる点で、信頼性の高いコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、本発明の第1〜第3特徴構成のうちのいずれか一つにおいて、前記走行状態切換手段が、走行変速装置の変速中立状態を前記走行停止状態とし、前記走行変速装置の前進設定変速状態又は後進設定変速状態を前記走行状態とする形態で、前記走行変速装置にて構成されている点にある。
【0018】
本発明の第4特徴構成によると、本発明の第1〜第3特徴構成のうちのいずれか一つと同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第4特徴構成によると、走行状態切換手段が走行変速装置にて構成され、その走行変速装置の変速中立状態を前記走行停止状態とし、前記走行変速装置の前進設定変速状態又は後進設定変速状態を前記走行状態とするので、前進走行状態での走行速度は、前進設定変速状態として設定された変速状態に基づく走行速度となり、また、後進走行状態での走行速度は、後進設定変速状態として設定された変速状態に基づく走行速度となる。
したがって、無線式指令手段による走行指令に基づいてコンバイン本体を走行状態とした場合に現出する走行速度の大きさを容易に設定することができる。また、無線式指令手段による走行指令が指令されると、走行変速装置の変速状態が、前進設定変速状態又は後進設定変速状態として一定の変速状態となるので、無線式指令手段による走行指令により現出するコンバイン本体の走行速度が一定となる。したがって、無線式指令手段を操作してコンバイン本体を所望の距離だけ走行させるときの操作が行いやすい。
また、例えば、走行変速装置として、中立位置から前後進高速位置まで変速自在の静油圧式無段変速装置を採用すれば、走行状態切換手段を操作する走行用アクチュエータを、前記静油圧式無段変速装置が備える変速操作軸を回動操作するもので構成することができ、比較的簡素な構成が考えられる。このような構成の場合、走行用アクチュエータによる静油圧式無段変速装置の変速操作軸の回動方向及び回動量を設定することで、走行状態での走行速度の方向及び大きさを設定することができる。
このように、本発明の第4特徴構成によると、本発明についての好適な実施形態としてのコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0019】
本発明の第5特徴構成は、本発明の第4特徴構成において、前記コンバイン本体に搭載のエンジンの回転速度を制御するエンジン制御手段が、前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されると、前記エンジンの回転速度を無線指令用の設定回転速度に制御するように構成され、前記走行制御手段が、前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されたときに、前記エンジン回転速度が前記無線指令用の設定回転速度にある状態において前記走行状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータを制御するように構成されている点にある。
【0020】
本発明の第5特徴構成によると、本発明の第4特徴構成と同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第5特徴構成によると、無線式指令手段にて走行指令が指令されると、エンジン制御回路がエンジン回転速度を無線指令用の設定回転速度に制御し、走行制御手段が、エンジン回転速度が無線指令用の設定回転速度にある状態において、走行変速装置を操作する走行用アクチュエータを制御して、コンバイン本体を走行状態に切換える。つまり、コンバイン本体が走行状態に切り換わるときには、エンジン回転速度が無線指令用の設定回転速度に制御された状態となっている。
したがって、無線指令用の設定回転速度を適切な値により設定しておくことで、無線式指令手段にて指令される走行指令によりコンバイン本体の走行状態を現出するにあたって必要十分なエンジン回転速度とすることができる。
このように、本発明の第5特徴構成によると、本発明についての好適な実施形態としてのコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0021】
本発明の第6特徴構成は、本発明の第1〜第5特徴構成のうちのいずれか一つにおいて、前記無線式指令手段が、前記操作指令として、前記穀粒排出用オーガを穀粒排出状態に切換える排出開始指令と排出停止状態に切換える排出停止指令とを指令自在に構成され、前記オーガ制御手段が、前記排出開始指令が指令されると、前記穀粒排出状態に切換えて、その状態を継続し、かつ、前記排出停止指令が指令されると、前記排出停止状態に切換えるべく、前記穀粒排出状態と前記排出停止状態とに切換える排出状態切換え用アクチュエータの作動を制御するように構成され、前記走行制御手段が、前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されたときに、前記穀粒排出用オーガが前記穀粒排出状態である場合において前記走行状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている点にある。
【0022】
本発明の第6特徴構成によると、本発明の第1〜第5特徴構成のうちのいずれか一つと同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第6特徴構成によると、穀粒排出状態である場合において、無線式指令手段により走行指令を指令すると、コンバイン本体が走行状態に切換えられるので、穀粒排出作業中において、無線式指令手段により走行指令及び走行停止指令を指令することにより、穀粒排出用オーガにより実際に穀粒が排出される位置を確認しつつ適切な排出位置を設定することができる。
【0023】
また、穀粒排出作業中において、穀粒排出用オーガにより実際に穀粒が排出される位置を確認しながら、コンバイン本体を走行方向に沿って徐々に移動させることが可能となるので、例えば、穀粒運搬用トラックの荷台の長手方向に均等に穀粒を排出しようとするときに、荷台の長手方向とコンバイン本体の走行方向とを略一致させておけば、無線式指令手段による走行指令及び走行停止指令により、コンバイン本体を、荷台の長手方向と略平行な走行方向に沿って徐々にずらすように段階的に移動させることができ、コンバイン周辺で無線式指令手段を操作することにより、穀粒運搬用トラックの荷台に堆積する穀粒が長手方向に均等になるように穀粒を排出させることができる。
このように、本発明の第6特徴構成によると、質の高い穀粒排出作業を行うことができるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0024】
本発明の第7特徴構成は、本発明の第6特徴構成において、前記無線式指令手段が、前記排出開始指令を指令してから前記排出停止指令を指令するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成され、前記オーガ制御手段が、前記排出開始指令の指令により前記穀粒排出状態に切換えて、その状態を継続しているときに、前記監視用無線信号の非受信状態になると、前記排出停止状態に切換えるべく、前記排出状態切換え用アクチュエータの作動を制御するように構成されている点にある。
【0025】
本発明の第7特徴構成によると、本発明の第6特徴構成と同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第7特徴構成によると、無線式指令手段により指令された排出開始指令により穀粒排出状態に切換えられた穀粒排出用オーガは、オーガ制御手段が監視用無線信号の受信状態から非受信状態に変化すると、排出停止状態に切換えられる。したがって、無線式指令手段とオーガ制御手段とが通信可能状態でなくなって、無線式指令手段により排出停止指令が指令できない状態に陥っても、穀粒排出用オーガが排出停止状態に切換えられ、意に反して穀粒排出用オーガの穀粒排出状態が維持されてしまうという事態の発生を防止することができる点で、信頼性の高いコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0026】
本発明の第8特徴構成は、本発明の第1〜第6特徴構成のうちのいずれか一つにおいて、前記無線式指令手段が、前記操作指令として、前記排出用オーガの排出位置を目標位置に自動的に移動させる排出位置移動指令を指令自在に構成され、且つ、前記排出位置移動指令を指令してから前記オーガ制御手段からの排出位置移動完了情報を受信するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成され、前記オーガ制御手段が、前記排出位置移動指令が指令されると、前記目標位置に移動させるべく排出位置変更用手段を作動させ、且つ、前記目標位置への移動が完了すると、前記排出位置変更用手段の作動を停止しかつ前記排出位置移動完了情報を前記無線式指令手段に送信するように構成され、並びに、前記排出位置移動指令の指令により前記排出位置変更用手段を作動させているときに、前記監視用無線信号の非受信状態になると、前記排出位置変更用手段の作動を停止するように構成されている点にある。
【0027】
本発明の第8特徴構成によると、本発明の第1〜第6特徴構成のうちのいずれか一つと同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第8特徴構成によると、無線式指令手段により、穀粒排出用オーガに対する操作指令として排出位置変更指令が指令されると、オーガ制御手段が、排出位置変更手段を作動させ、穀粒排出用オーガの排出位置を目標位置に自動的に移動させる。また、無線式指令手段は、排出位置変更指令が指令されると、目標位置への移動完了を示すオーガ制御手段からの排出位置移動完了情報を受信するまで、無線式指令手段がオーガ制御手段と通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信する。
一方、オーガ制御手段は、前記目標位置への移動が完了すると、排出位置変更用手段の作動を停止し、かつ、排出位置移動完了情報を前記無線式指令手段に送信する。また、オーガ制御手段は、排出位置変更用手段を作動させているときに、前記監視用無線信号の非受信状態になると、前記排出位置変更用手段の作動を停止する。
したがって、排出位置変更用手段による穀粒排出用オーガの排出位置の移動が、無線式指令手段の排出位置変更指令に基づいて開始されてから完了するまでに、オーガ制御手段において監視用無線信号の非受信状態になると、排出位置変更用手段による穀粒排出用オーガの排出位置の移動が停止する。
このようにすることで、無線式指令手段により排出位置変更指令が指令された後、穀粒排出用オーガの排出位置の目標位置までの移動が完了するまでに、無線式指令手段が通信不能状態となって、穀粒排出用オーガに対する停止指令等の操作指令が有効に指令できない状態に陥った場合には、穀粒排出用オーガの排出位置の移動を自動的に停止させることができ、作業者の意に反して穀粒排出用オーガの排出位置の移動が継続する事態の発生を防止することができる点で、信頼性の高いコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0028】
本発明の第9特徴構成は、本発明の第1〜第8特徴構成のうちのいずれか一つにおいて、前記穀粒排出用オーガが、旋回用アクチュエータによりコンバイン本体に対して旋回操作自在に、及び昇降用アクチュエータによりコンバイン本体に対して昇降操作自在に構成され、前記無線式指令手段が、前記操作指令として、前記穀粒排出用オーガを旋回させる旋回指令、及び、前記穀粒排出用オーガを昇降させる昇降指令を指令自在に構成され、前記オーガ制御手段が、前記旋回指令が指令されると、その指令がある間は前記穀粒排出用オーガを旋回させるべく前記旋回用アクチュエータを作動させ、かつ、前記昇降指令が指令されると、その指令がある間は前記穀粒排出用オーガを昇降させるべく前記昇降用アクチュエータを作動させるように構成されている点にある。
【0029】
本発明の第9特徴構成によると、本発明の第1〜第8特徴構成のうちのいずれか一つと同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第9特徴構成によると、無線式指令手段により旋回指令が指令されている間は、穀粒排出用オーガが旋回し、無線式指令手段により昇降指令が指令されている間は、穀粒排出用オーガが昇降するので、旋回作動中或いは昇降作動中の穀粒排出用オーガの作動を停止する停止指令を無線式指令手段により指令する必要がなく、コンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置の構成が簡素になるとともに、使い勝手のよいものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の穀粒排出用オーガの無線式操作装置を図面に基づいて説明する。図1は、コンバイン本体Vの側面図である。図1に示すように、コンバイン本体Vは、エンジンEの動力により駆動される左右一対のクローラ走行装置1を備え、穀桿を刈取る刈取部3が機体の前部に横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀部4、脱穀部4にて選別回収された穀粒を貯留する穀粒タンク5、及び穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出するための穀粒排出用オーガ(以下、オーガという)9、作業者が搭乗して運転操作を行う操縦部2等を備えている。
【0031】
図2に示すように、エンジンEの出力軸Eaの動力が、伝動ベルト22、伝動軸23を介して走行変速装置としての静油圧式の無段変速装置Tに伝達され、その変速後の動力が走行用ミッション24からクローラ走行装置1に伝えられる。
【0032】
無段変速装置Tを変速操作する変速操作用の電動モータ(以下、変速モータという)M1が、手動変速レバー28と無段変速装置Tとの連係機構29に対して摩擦式伝動機構30を介して連係されている。つまり、手動による変速操作を変速モータM1による変速操作に優先させる形態で、手動変速レバー28に対する手動操作及び変速モータM1による駆動操作のいずれであっても変速操作できるようにしているのである。
【0033】
また、無段変速装置Tは、手動変速レバー28による手動操作による場合には勿論、変速モータM1により自動操作される場合であっても、走行停止する変速中立状態からいずれかの操作方向に変速操作すると、前進設定変速状態を含む前進変速状態に切り換わるとともに走行速度が無段階に増速され、変速中立状態から反対方向に変速操作すると、後進設定変速状態を含む後進変速状態に切り換わるとともに走行速度が無段階に増速される構成となっている。又、手動変速レバー28の近傍には、変速中立状態(走行停止状態)にあるか否かを検出する変速中立スイッチD1が備えられている。
【0034】
したがって、変速モータM1が、走行状態切換手段を操作する走行用アクチュエータを構成し、走行状態切換手段が、走行変速装置としての無段変速装置Tの変速中立状態を走行停止状態とし、無段変速装置Tの前進設定変速状態又は後進設定変速状態を走行状態とする形態で、無段変速装置Tにて構成されている。
【0035】
また、エンジンEには、エンジンEへの燃料供給量を変更してエンジンEの回転速度を調節するエンジン回転速度調節装置33が備えられている。エンジン回転速度調節装置33は、エンジンEがアイドリング回転速度となるように基準位置に復帰付勢された状態で設けられた調速レバー34を備え、操作ワイヤー35による引き操作力により、調速レバー34が高回転速度側に揺動操作されることで、エンジン回転速度が変更できるように構成されている。操作ワイヤー35の他端は、駆動アーム36に連結されており、調速モータM4が回転駆動すると、連係機構37を介して操作ワイヤー35が引き操作されるようになっている。
【0036】
そして、エンジンEには、エンジンEの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段D2が設けられており、コンバイン本体Vに備えた後述する制御装置Hが、エンジン回転数検出手段D2の検出情報に基づいて、調速モータM4の作動を制御して、エンジンEの回転速度を制御するように構成されている。したがって、コンバイン本体に搭載のエンジンの回転速度を制御するエンジン制御手段が制御装置Hにより構成されている。
【0037】
次に、穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出する構成について説明する。
図1に示すように、穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ、その底部スクリューコンベア7の搬送終端部から上方に向けてベベルギア連動される状態で縦送りスクリューコンベア8が延設され、この縦送りスクリューコンベア8の上部には、ベベルギア連動される状態で穀粒排出用オーガ9が、横軸芯P1周りに揺動操作自在で、且つ、縦軸芯P2周りに旋回操作自在に装備されている。
【0038】
底部スクリューコンベア7の搬送始端部には、機体右前部に設けたエンジンEから底部スクリューコンベア7への動力伝達を断続するベルトテンション式の排出クラッチ13の出力プーリ13Aが装着されている。さらに、縦送りスクリューコンベア8は、底部スクリューコンベア7にベベルギアを介して連動連結された縦コンベアスクリュー8Aと、それを覆うとともに穀粒タンク5に連通接続された円筒ケース8Bとからなる。
【0039】
前記排出クラッチ13を入り状態と切り状態とに切り換え操作するためのクラッチ操作用の電動モータ(排出状態切り換え用アクチュエータの一例)M2が備えられ、このクラッチ操作用の電動モータ(以下、クラッチモータと略称する)M2を正転方向に駆動することで排出クラッチ13が入り状態に切り換えられ、クラッチモータM2を逆転方向に駆動することで排出クラッチ13が切り状態に切り換えられる構成となっている。
この排出クラッチ13を入り状態に切り換えると、底部スクリューコンベア7、縦スクリューコンベア8及びオーガ9が、排出クラッチ13を介して伝達されるエンジンEの動力で駆動されて、穀粒タンク5に貯留された穀粒がオーガ9の先端部の穀粒排出口10から排出される構成となっている。
【0040】
オーガ9の構成について説明を加えると、オーガ9は、縦コンベアスクリュー8Aにベベルギアを介して連動連結され、オーガ9の外装ケース31の先端側下方側箇所には下向きの穀粒排出口10が形成されている。又、オーガ9の外装ケース31は、縦コンベアスクリュー8Aの円筒ケース8Bに回動ケース6を介して連通接続されており、回動ケース6が、縦送りスクリューコンベア8の円筒ケース8Bに縦軸芯P2周りに相対回動可能に接続されるとともに、オーガ9の外装ケース31に横軸芯P1周りに相対回動可能に接続されている。
【0041】
オーガ9の旋回操作の駆動構成について説明すると、図3に示すように、回動ケース6の外側面に、旋回駆動用の大径ギア11が固着され、その大径ギア11に咬合するピニオンギア12を回転駆動する旋回用電動モータ(旋回用アクチュエータ及び排出位置変更用手段の一例)M3が縦送りスクリューコンベヤ8に固定され、この旋回用電動モータM3(以下、旋回モータと略称する)を正逆転駆動するに伴って、オーガ9が縦軸芯P2周りに旋回操作され、かつ、旋回モータM3を作動停止させるに伴って旋回停止するように構成されている。図中、Ryはオーガ9の旋回位置を検出する多回転型のポテンショメータを利用した旋回位置検出センサであって、旋回モータM3で駆動されるギア12によって旋回駆動用ギア11と同時に回動操作されるようになっている。
【0042】
したがって、穀粒排出用オーガが、旋回用アクチュエータによりコンバイン本体に対して旋回操作自在に、及び昇降用アクチュエータによりコンバイン本体に対して昇降操作自在に構成されている。
【0043】
次に、オーガ9の昇降操作の駆動手段について説明すると、図3に示すように、オーガ9の基端部と、回動ケース6との間に、昇降用油圧シリンダ(昇降用アクチュエータ及び排出位置変更用手段の一例)15が設けられ、この昇降用油圧シリンダ15を伸長させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで上昇操作され、かつ、昇降用油圧シリンダ15を短縮させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで下降操作されるように構成されている。尚、オーガ9が昇降操作範囲の上限位置にあるときにオン作動する上限スイッチ14が設けられている。
【0044】
図4に示すように、図中の仮想線で示したオーガ9は、オーガ9が左限界位置LE及び右限界位置REまで旋回操作された場合のオーガ9の旋回位置を示したものである。このように、オーガ9は予め旋回可能範囲が設定され、上記旋回位置検出センサRyの検出情報に基づいて、オーガ9がその旋回可能範囲の左限界位置LE及び右限界位置REに達したときには、自動的にオーガ9の旋回を停止するように、旋回モータM3が制御される構成となっている。なお、刈取走行時などオーガ9を使用しない場合は、オーガ9格納用の旋回位置HPに位置した状態でオーガ9を下降させて格納用保持具としての受止具32(図1参照)に受け止めさせて、オーガ9を格納することになる。
【0045】
図4の斜線で示した領域は、穀粒排出用オーガ9を横軸芯P1周りに揺動操作及び縦軸芯P2周りに旋回操作した場合に、オーガ9の先端部に下向きに開口する状態で設けた穀粒排出口10が位置する範囲を平面視にて示したものである。つまり、図4の斜線で示した領域は、コンバイン本体Vが同図に示す位置にある場合に、穀粒の排出位置として設定可能な領域を示すものである。
【0046】
コンバイン本体Vは、上記した変速モータM1、クラッチモータM2、旋回モータM3、調速モータM4、昇降用油圧シリンダ15の作動を制御するマイクロコンピュータ利用の制御装置Hを備えている。そして、図2に示すように、制御装置Hは、コンバイン本体Vの操作部21(図1参照)に備えられたオーガ操作レバー21A(図1参照)を前後左右に傾倒操作することでオン操作される上昇指令スイッチSU1,下降指令スイッチSD2,左旋回指令スイッチSL3,右旋回指令スイッチSR4や、復帰付勢された押しボタン式の自動スイッチ17及び停止スイッチ18や、目標旋回位置設定ボリューム19や、二位置切換式の排出クラッチ入切スイッチ20等が接続されている。
【0047】
制御装置Hは、これらのスイッチにより指令される各種指令に基づいて、上記変速モータM1、クラッチモータM2、旋回モータM3の作動や昇降用油圧シリンダ15についての制御弁16の作動を制御する。したがって、走行用アクチュエータの作動を制御する走行制御手段、及び、穀粒排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段が、制御装置Hにより構成されている。
【0048】
さらに、制御装置Hには、無線信号を送受信する送受信機26が信号処理装置27を介して接続されており、無線式指令手段としての無線リモコン42と無線通信が行えるようになっている。これにより、制御装置Hは、無線リモコン42により指令される走行指令及び走行停止指令等の各種の指令に基づいて、上記各モータM1,M2,M3の作動や昇降用油圧シリンダ15の作動を制御できるようになっている。
【0049】
したがって、コンバイン本体に備えられた走行制御手段が、無線式指令手段が指令する走行指令及び走行停止指令に基づいて、走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている。
【0050】
以下、無線リモコン42の構成並びに無線リモコン42からの指令に基づく、制御装置Hによるオーガ9及びクローラ走行装置1の制御作動について説明する。
【0051】
無線リモコン42は、図5に示すような外観となっている。この無線リモコン42は、例えば、作業者が運搬車両の荷台への穀粒排出作業を行う際に、運搬車両の近くにいる作業者が、穀粒排出位置の調整及び変更並びにオーガ9による穀粒排出作業に開始指令及び停止指令を指令するときに利用するものであり、作業者が容易に持ち運べるように小型軽量の装置として構成されている。作業者により無線リモコン42の各指令スイッチ43〜52が操作されると、これらに対応した各操作指令が微弱な電波による無線信号にて指令される。
【0052】
図5に示すように、無線リモコン42は、オーガ9の昇降旋回姿勢変更に関する操作指令を指令するための上昇スイッチ43、下降スイッチ44、左旋回スイッチ45、右旋回スイッチ46、自動旋回スイッチ47及び旋回停止スイッチ48を備えている。これらのスイッチ43〜47は何れも非操作状態に復帰付勢された状態で設けられている。つまり、作業者により指令スイッチ43〜47が押下操作されている間だけ、上昇指令S1、下降指令S2、左旋回指令S3、右旋回指令S4、自動旋回開始指令S5、自動旋回停止指令S6といった姿勢変更に関する6種の操作指令のうち、操作されたスイッチに対応付けられた操作指令(図7参照)が無線信号にて送信される。
【0053】
ちなみに、自動旋回開始指令S5は、オーガ9を、目標旋回位置から格納位置HPへ、或いは、格納位置HPから目標旋回位置へ旋回移動させる指令である。なお、目標旋回位置は、コンバイン本体Vに備えた前述の目標旋回位置設定ボリューム19により設定される。
【0054】
したがって、無線式指令手段は、オーガ9に対する操作指令として、オーガ9を旋回させる旋回指令、オーガ9を昇降させる昇降指令、及び、オーガ9の排出位置を目標位置に自動的に移動させる排出位置移動指令を無線信号にて指令自在に構成されている。
【0055】
また、無線リモコン42は、穀粒排出状態の切換えに関する操作指令を指令するための排出開始スイッチ49及び排出停止スイッチ50を備えている。これらのスイッチ49及び50は何れも非操作状態に復帰付勢された状態で設けられている。つまり、作業者により排出開始スイッチ49又は排出停止スイッチ50が押下操作されている間だけ、排出開始指令S7又は排出停止指令S8の穀粒排出状態の切換えに関する2種の操作指令のうち、操作されたスイッチに対応付けられた操作指令(図7参照)が無線信号にて送信される。
【0056】
したがって、無線式指令手段は、オーガ9に対する操作指令として、オーガ9を穀粒排出状態に切換える排出開始指令と排出停止状態に切換える排出停止指令とを無線信号にて指令自在に構成されている。
【0057】
さらに、無線リモコン42は、コンバイン本体Vの走行に関する操作指令を指令するための前進スイッチ51及び後進スイッチ52を備えている。スイッチ51及び52は非操作状態に復帰付勢された状態で設けられている。これにより、作業者により前進スイッチ51又は後進スイッチ52が押下操作されている間だけ、前進指令S9又は後進指令S10のコンバイン本体Vの走行に関する2種の操作指令のうち、操作されたスイッチに対応付けられた操作指令(図7参照)が無線信号にて送信される。
つまり、無線リモコン42は、前進スイッチ51又は後進スイッチ52が押下操作されている間、走行指令として前進指令S9及び後進指令S10を指令できるように構成されている。
【0058】
そして、作業者により前進スイッチ51又は後進スイッチ52が押下操作されなくなると、前進指令S9又は後進指令S10が指令されなくなり、コンバイン本体Vが走行状態から走行停止状態に切り換わる。すなわち、前進スイッチ51又は後進スイッチ52の押下操作を中断することにより走行停止指令が指令される。
つまり、無線リモコン42は、コンバイン本体Vに対する走行停止指令を指令できるように構成されている。
【0059】
したがって、無線式指令手段は、走行指令及び走行停止指令を指令する走行指令手段を備えて、この走行指令手段による走行指令及び走行停止指令を無線信号にて指令するように構成され、走行指令手段は、走行指令を指令する走行指令用操作状態と走行停止指令を指令する走行停止指令用操作状態とに切換え自在で且つ走行停止指令用操作状態に復帰付勢されるように構成されている。
【0060】
また、無線リモコン42は、上記構成の他、送受信アンテナ53、電源スイッチ54を備えており、図5には図示されない内部構造として、バッテリー55及び信号処理回路56を備えている。信号処理回路56は、図6に示すように、マイクロコンピュータで構成された制御部57と、その周辺電気回路58〜64とで構成されており、制御部57が後述するリモコン制御処理を実行することにより、無線リモコン42の動作を制御する。
【0061】
なお、電源スイッチ54は、信号処理回路56に対するバッテリー55の電力の供給状態を切換えて、信号処理回路56を動作状態と非動作状態に切換えるためのものである。無線リモコン42を操作しないときは、電源スイッチ56を操作して、信号処理回路56を非動作状態にしておくことで、誤操作等によってオーガ9に対する操作指令等が不測に送信されることがないようすることができ、かつ、バッテリー55の電力の消耗を抑制することができる。
【0062】
信号処理回路56について説明を加えると、制御部57は、操作部用入力ポート57a及び回路制御用入出力ポート57bを備えており、操作部用入力ポート57aには上述したスイッチ43〜52が接続されており、回路制御用入出力ポート57bには、ベースバンド信号生成部58、発停切換部60及び信号検出部64が接続されている。
【0063】
制御部57は、スイッチ43〜52のON状態を検出し、ON状態を検出している間は、該当するスイッチに対応する操作指令についての指令コード(図7参照)をベースバンド信号生成部58に送信する。また、所定時間(例えば3分)の間スイッチ43〜52の何れもが操作されない状態が続いた場合は、スイッチ43〜52の何れかがON操作されるまで、送信許可信号をOFF状態にする。なお、送信許可信号は、無線信号の送信を許可するかしないかを発停切換部60に対して指令する制御信号であり、制御部57の立上げ時にON状態に設定される。
【0064】
ベースバンド信号生成部58は、指令コードとして制御部57が出力するデジタル信号である符号情報に基づいて、無線信号のベースバンド信号となるアナログ信号を生成し出力するアナログ信号生成回路である。
変調信号生成部59は、ベースバンド信号生成部58が生成したアナログ信号に基づいて、無線信号帯域の搬送波を変調させて変調信号を生成し出力する。そして、ベースバンド信号生成部58からのアナログ信号レベルがゼロのときは、変調されていない搬送波を出力する。
【0065】
発停切換部60は、制御部57が出力する制御信号である送信許可信号のON/OFF状態に基づいて、変調信号生成部59の出力と送信アンプ61との電気的な接続を切換えるスイッチ回路である。送信アンプ61は、送受信アンテナ53で出力する無線信号の電力を、微小電力無線通信の規定値に収まった電力に調整する自動利得制御機能付の増幅回路である。
【0066】
このような構成を備えることにより、スイッチ43〜スイッチ52の何れかがON操作されると、ON状態に操作されている間、操作されたスイッチに対応する変調波が無線信号として出力され、スイッチ43〜スイッチ52の何れもがON操作されていなければ、変調がかかっていない単一周波数の搬送波が無線信号として出力される。そして、スイッチ43〜スイッチ52の何れもがON操作されない状態が所定時間継続すると、無線信号そのものが出力されなくなる。
【0067】
受信アンプ62は、送受信アンテナ53で受信した無線信号を後段の回路の入力電圧レベルに対応した信号電圧レベルにまで増幅する増幅回路である。
BPF63は、コンバイン本体Vから旋回完了情報として送信される無線信号の周波数を中心周波数とする通過帯域を持つように構成された帯域通過フィルタである。
信号検出部64は、入力電圧レベルが閾値以上の電圧レベルであると検出信号を制御部57に対して出力する電圧検知型の信号検出回路である。
旋回完了情報は、詳しくは後述するが、自動旋回開始指令S5により自動旋回動作を開始したオーガ9が目標位置或いは格納位置HPに到達することでオーガ9の旋回動作が自動的に停止した時に、コンバイン本体V側の制御装置Hが排出位置移動完了情報として発信する情報である。
【0068】
このような構成を備えることにより、排出位置移動完了情報としての旋回完了情報がコンバイン本体Vから送信されて、無線リモコン42が、アンテナ53でこれを受信すると、BPF63の出力電圧レベルが信号検出部64の閾値以上の電圧レベルとなって、信号検出部64が完了信号を制御部57に対して出力することになる。
【0069】
以下、電源スイッチ54をオンにした後の無線リモコン42の動作について、制御部57において処理される図8に示す無線リモコン42の制御プログラムのフローチャートに基づいて説明する。
【0070】
電源スイッチ54をオンにして無線リモコン42に電源を供給すると、信号処理回路56の制御部57において無線リモコン42の制御プログラムが所定の動作周期毎に繰り返し実行される。
信号処理回路56に電源が供給されると、イニシャライズ処理として送信許可処理(ステップ#1)が実行され、回路制御用入出力ポート57bの情報のうち、発停切換部60が接続された部分に対応する情報が書き換えられ、立上げ後、最初の入出力処理(ステップ#2)が実行されると、発停切換部60に出力される送信許可信号がON状態になる。このとき、信号検出部64の出力信号が回路制御用入出力ポート57bに取り込まれ、回路制御用入出力ポート57bの情報のうち、信号検出部64が接続された部分に対応する情報が更新される。
【0071】
ステップ#3では、ステップ#2で更新された回路制御用入出力ポート57bの情報を参照して完了信号の有無を判別する。完了信号が検出されると、監視フラグFが「0」にセットされ(ステップ#4)、完了信号が検出されなければ、回路制御用入出力ポート57bの情報に基づいて操作指令の有無を判別する(ステップ#5)。
【0072】
ステップ#5で、いずれかの操作指令が検出されると、ステップ#10〜ステップ#17の処理に移行するが、いずれの操作指令も検出されなければ、ステップ#6の送信符号設定処理にて、送信符号として「0000」が設定される(図7参照)。そして、ステップ#7で監視フラグFの値がチェックされ、監視状態であれば、つまり、監視フラグFの値が「1」であれば、ステップ#2へ移行し、送信許可信号がON状態で維持される。
【0073】
非監視状態であれば、つまり、監視フラグFの値が「0」であれば、いずれの操作指令も検出されない状態が3分間継続したか否かの判別を行う(ステップ#8)。いずれの操作指令も検出されない状態が3分経過していなければステップ#2に移行し、送信許可信号がON状態で維持される。いずれの操作指令も検出されない状態が3分経過していれば、ステップ#9の送信禁止処理が実行され、回路制御用入出力ポート57bの情報のうち、発停切換部60が接続された部分に対応する情報が書き換えられる。
【0074】
ステップ#5で、いずれかの操作指令が検出されると、検出された操作指令が自動旋回開始指令S5或いは排出開始指令S7であれば、監視フラグFを「1」に設定し(ステップ#10〜ステップ#12)、検出された操作指令が自動旋回停止指令S6或いは排出停止指令S8であれば、監視フラグFを「0」に設定する(ステップ#13〜ステップ#15)。これら4種の操作指令以外の操作指令であれば、監視フラグFの値は変更されない。
【0075】
そして、送信符号設定処理が実行され、検出された操作指令S1〜S10に対応した指令コード(図7参照)が、回路制御用入出力ポート57bの情報のうち、ベースバンド信号生成部58が接続された部分に対応する情報が書き換えられる(ステップ#16)。その後、送信許可処理が実行され、回路制御用入出力ポート57bの情報のうち、発停切換部60が接続された部分に対応する情報が書き換えられる(ステップ#17)。
【0076】
ステップ#6の送信符号設定処理及びステップ#9の送信禁止処理により設定された制御用入出力ポート57bの情報、或いは、ステップ#16の送信符号設定処理及びステップ#17の送信許可処理により設定された制御用入出力ポート57bの情報は、ステップ#2の入出力処理により制御部57に接続されたベースバンド信号生成部58及び発停切換部60に出力される。
【0077】
なお、図8のフローチャートには示されていないが、穀粒排出状態中に自動旋回開始指令S5が指令された場合、或いは、自動旋回動作中に排出開始指令S7が指令された場合において、つまり、オーガ9が穀粒排出状態中でありかつ自動旋回動作中である場合において、自動旋回停止指令S6が指令されたとき若しくは完了信号が検出されたとき、又は、排出停止指令S8が指令されたときには、穀粒排出状態又は自動旋回動作の何れかが継続していることから、監視フラグFは「0」には設定されず、監視状態が維持される。
【0078】
上述のように、制御部57が、ステップ#2の入出力処理を繰り返して、信号検出部64の出力である検出信号が制御用入出力ポート57bに反映され、また、制御用入出力ポート57bに書き込まれる指令コードや送信許可信号が、ベースバンド信号生成部58や発停切換部60に出力される。これにより、無線リモコン42からは、例えば、図9〜図12に示すタイミングチャートに従った無線信号が出力される。
【0079】
無線リモコン42の電源スイッチ54がオン操作されると、いずれかの操作指令が指令されるまではベースバンド信号生成部58のアナログ出力信号レベルはゼロとなっているので、変調信号生成部59からは、変調されていない搬送波が発停切換部60に出力される。発停切換部60は、制御部57のイニシャライズ処理により送信許可状態となっているので、変調信号生成部59の出力は、送信アンプ61を介してアンテナ53から無線信号にて出力される。
【0080】
したがって、無線リモコン42の電源スイッチ54がオン操作されると、図9〜図12に示すように、いずれかの指令が指令されるまでは変調されていない搬送波が無線信号にて出力される。なお、図9〜図12では、電源スイッチ54がオン操作されたまま3分経過する前に、排出開始指令S7、自動旋回開始指令S5、前進指令S9、又は、後進指令S10のいずれかの指令が指令された場合の例を示しているが、電源スイッチ54がオン操作されたまま3分経過すると、無線信号の出力は中断され、中断後いずれかの指令が指令された場合には、その指令に対応した指令コード(図7参照)が載った変調波が無線信号にて出力される。
【0081】
図9に示すように、電源スイッチ54がオン操作された後、排出開始スイッチ49が押下操作されると、操作されている間、排出開始指令S7に対応する指令コード(図7参照)が変調のかかった無線信号にて出力される。このとき、監視フラグFが「1」に変更され、監視フラグFが「0」に変更されるまで、つまり、排出停止スイッチ50が押下操作されるまで、監視フラグFが「1」の状態が維持される。この間、いずれの指令も指令されない状態が3分間継続しても、搬送波の送信は継続する。
【0082】
排出停止スイッチ50が押下操作されると、操作されている間、排出停止指令S8に対応する指令コード(図7参照)が変調のかかった無線信号にて出力される。このとき、監視フラグFが「0」に変更され、次の操作指令が指令されるのを待つ。次の操作指令が指令されるまでに3分間経過すると、無線信号の送信が中断される。
【0083】
このように、排出開始スイッチ49を指で押し操作してオンすると、排出開始指令用の変調波が送信されることで、排出開始指令S7が指令され、排出開始スイッチ49から指を離してオフすると、排出開始指令用の変調波の送信が終了することになる。これによりオーガ9を穀粒排出状態にすることができる。そして、排出開始指令S7に対応した変調波が送信された後は、監視用無線信号としての変調されていない搬送波が送信される。
【0084】
そして、排出停止スイッチ50を指で押し操作してオンすると、排出停止指令用の変調波が送信されることで、排出停止指令S8が指令され、排出停止スイッチ50から指を離してオフすると、排出停止指令用の変調波の送信が終了することになる。これによりオーガ9を排出停止状態にすることができる。そして、排出停止指令S8に対応した変調波が送信された後は、変調されていない搬送波が送信され、前述の通り、非操作状態が設定時間継続すると、搬送波の送信が中断される。
【0085】
したがって、無線式指令手段が、排出開始指令を指令してから排出停止指令を指令するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成されている。
【0086】
図10に示すように、電源スイッチ54がオン操作された後、自動旋回スイッチ47が押下操作されると、操作されている間、自動旋回開始指令S5に対応する指令コード(図7参照)が変調のかかった無線信号にて出力される。このとき、監視フラグFが「1」に変更され、監視フラグFが「0」に変更されるまで、つまり、コンバイン本体Vから送信される旋回完了情報を受信するか、旋回停止スイッチ48が押下操作されるまで、監視フラグFが「1」の状態が維持される。この間、いずれの操作指令が指令されない状態が3分間継続しても、搬送波の送信は継続する。
【0087】
図10には示さないが、旋回停止スイッチ48が押下操作されると、操作されている間、自動旋回停止指令S6に対応する指令コード(図7参照)が変調のかかった無線信号にて出力される。このとき、監視フラグFが「0」に変更され、次の操作指令が指令されるのを待つ。次の操作指令が指令されるまでに3分間経過すると、無線信号の送信が中断される。
【0088】
このように、自動旋回スイッチ47を指で押し操作してオンすると、自動旋回開始指令用の変調波が送信されることで自動旋回開始指令S5が指令され、自動スイッチ47から指を離してオフすると、自動旋回停止指令用の変調波の送信が終了することになる。そして、自動旋回開始指令S5に対応した変調波が送信された後は、監視用無線信号としての変調されていない搬送波が送信される。
【0089】
そして、旋回停止スイッチ48を指で押し操作してオンすると、旋回停止指令用の変調波が送信されることで自動旋回停止指令S6が指令され、旋回停止スイッチ48から指を離してオフすると、自動旋回停止指令用の変調波の送信が終了することになる。そして、自動旋回停止指令S6に対応した変調波が送信された後は、変調されていない搬送波が送信され、前述の通り、非操作状態が設定時間継続すると、搬送波の送信が中断される。
【0090】
図10に示すように、自動旋回停止指令S6が指令されることなく、オーガ9が目標位置への移動を完了した場合には、移動が完了したことを示す排出位置移動完了情報としての旋回完了情報が、コンバイン本体Vの制御装置Hから送信され、これに基づき、それまで送信していた監視用無線信号としての搬送波が送信されなくなる。したがって、自動旋回スイッチ47の押し操作が終了してから、旋回停止スイッチ48の押し操作が開始されるまで、又は、旋回完了情報を受信するまでは、監視用無線信号としての搬送波が継続して送信されることになる。
【0091】
したがって、無線式指令手段が、操作指令として、排出用オーガの排出位置を目標位置に自動的に移動させる排出位置移動指令を指令自在に構成され、且つ、排出位置移動指令を指令してからオーガ制御手段からの排出位置移動完了情報を受信するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成されている。
【0092】
図11に示すように、前進スイッチ51を指で押し操作してオンすると、前進指令S9に対応したコードが変調された無線信号が送信され、前進走行指令が指令される。前進スイッチ51から指を離してオフすると、前進走行指令用の変調波の送信が終了して、走行停止指令が指令されることになる。
【0093】
図12に示すように、後進スイッチ52を指で押し操作してオンすると、後進指令S10に対応したコードが変調された無線信号が送信され、後進走行指令が指令される。後進スイッチ43から指を離してオフすると、後進走行指令用の変調波の送信が終了して、走行停止指令が指令されることになる。
【0094】
したがって、無線式指令手段が、走行指令としての前進指令S9又は後進指令S10を指令してから走行停止指令を指令するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号として、前進走行指令用の変調波又は後進走行指令用の変調波を送信するように構成されている。
【0095】
上昇スイッチ43を指で押し操作してオンすると、上昇指令S1に対応したコードが変調された無線信号が送信され、上昇指令が指令される。上昇スイッチ43から指を離してオフすると、上昇指令用の変調波の送信が終了して上昇指令が指令されなくなる。
【0096】
下降スイッチ44を指で押し操作してオンすると、下降指令S2に対応したコードが変調された無線信号が送信され、下降指令が指令される。下降スイッチ44から指を離してオフすると、下降指令用の変調波の送信が終了して下降指令が指令されなくなる。
【0097】
左旋回スイッチ45を指で押し操作してオンすると、左旋回指令S3に対応したコードが変調された無線信号が送信され、左旋回指令が指令される。左旋回スイッチ45から指を離してオフすると、左旋回指令用の変調波の送信が終了して左旋回指令が指令されなくなる。
【0098】
右旋回スイッチ46を指で押し操作してオンすると、右旋回指令S4に対応したコードが変調された無線信号が送信され、右旋回指令が指令される。右旋回スイッチ46から指を離してオフすると、右旋回指令用の変調波の送信が終了して右旋回指令が指令されなくなる。
【0099】
無線リモコン42から送信される無線信号は、コンバイン本体Vのオーガ9の先端部に備えられた送受信アンテナ25付きの送受信器26(図1及び図2参照)により受信される。送受信器26は、信号処理装置27を介して制御装置Hに接続されている。これにより、無線リモコン42が送信する無線信号による各種の指令を受信することができるとともに、オーガ9の自動旋回動作が完了した場合に、旋回完了情報を無線信号にて送信できるようになっている。以下に、コンバイン本体V側に備えた制御装置Hの構成とその制御作動について説明する。
【0100】
図2に示すように、制御装置Hは、無線リモコン42との間で無線信号を送受信する送受信機26と、信号処理装置27とを備えており、無線リモコン42からの操作指令が信号処理装置27を介して制御装置Hに入力される構成となっている。
信号処理装置27は、送受信機26が受信した信号を復調することにより、受信信号に含まれる指令コードを取得して制御装置Hに出力するとともに、制御装置Hから無線リモコン42に送信される排出位置移動完了情報としての旋回完了情報を示す信号を制御装置から取得し、これに対応する信号を送受信器26に出力する。
【0101】
以下、オーガ9の旋回操作、昇降操作、穀粒排出状態の切換え操作、及び自動旋回操作、並びに、コンバイン本体Vの前進走行及び後進走行が無線リモコン42により指令されたときの制御装置Hの動作について説明する。なお、以下の説明では、後述する制御装置Hにおいて実行されるオーガ操作制御プログラムのフローチャート(図13及び図14)に示された処理のうち対応するステップ番号を記載しておく。
【0102】
制御装置Hは、無線リモコン42が備える各指令スイッチ42〜53により指令されるオーガ9に対する操作指令並びに本体Vに対する走行指令及び走行停止指令(以下、操作指令等という場合がある。)に基づいて、各操作指令等に対応するオーガ操作や走行作動を実行するべく、夫々の指令に対応するアクチュエータの作動を制御する。
【0103】
上昇スイッチ43がオン操作されて上昇指令S1が指令されている間は(ステップ#6)、昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の上昇操作を実行し(ステップ#19)、上昇スイッチ43がオフ操作されて上昇指令S1が指令されなくなると昇降用油圧シリンダ15による上昇操作を停止させる(ステップ#26)。
【0104】
下降スイッチ44がオン操作されて下降指令S2が指令されている間は(ステップ#7)、昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の下降操作を実行し(ステップ#20)、下降スイッチ44がオフ操作されて下降指令S2が指令されなくなると昇降用油圧シリンダ15による下降操作を停止させる(ステップ#26)。
【0105】
左旋回スイッチ45がオン操作されて左旋回指令S3が指令されている間は(ステップ#8)、旋回モータM3によるオーガの左旋回操作を実行し(ステップ#21)、左旋回スイッチ45がオフ操作されて左旋回指令S3が指令されなくなると旋回モータM3による左旋回操作を停止させる(ステップ#26)。
【0106】
右旋回スイッチ46がオン操作されて右旋回指令S4が指令されている間は(ステップ#9)、旋回モータM3によるオーガの右旋回操作を実行し(ステップ#22)、右旋回スイッチ46がオフ操作されて右旋回指令S4が指令されなくなると旋回モータM3による右旋回操作を停止させる(ステップ#26)。
【0107】
したがって、オーガ制御手段は、旋回指令が指令されると、その指令がある間は穀粒排出用オーガを旋回させるべく旋回用アクチュエータを作動させ、かつ、昇降指令が指令されると、その指令がある間は穀粒排出用オーガを昇降させるべく昇降用アクチュエータを作動させるように構成されている。
【0108】
前進スイッチ51がオン操作されて前進指令S9が指令されている間は(ステップ#41)、調速モータM4(図2参照)の作動が制御され、エンジンEの回転速度を予め設定された低回転速度に変更される(ステップ#43)。そして、変速モータM1の作動が制御されて連係機構29(図2参照)が変速中立状態から前進側へ設定量だけ回転した状態で維持されることにより、無段変速装置Tの変速状態が前進設定変速状態となり、コンバイン本体Vが前進走行状態となる(ステップ#46)。
【0109】
なお、無段変速装置Tの前進設定変速状態は、コンバイン本体が前進走行状態となったときの走行速度が0.2[m/秒]となるような変速状態であり、無段変速装置Tを前進設定変速状態にするための変速モータM1の作動量が予め設定されている。
【0110】
前進スイッチ51がオフ操作されて前進指令S9が指令されなくなると、変速モータM1の作動が制御されて連係機構29が変速中立状態に戻し操作された状態で維持されることにより、無段変速装置Tの変速状態が変速中立状態となり、コンバイン本体Vが走行停止状態となる(ステップ#40)。
なお、制御装置Hは、前述の変速中立スイッチD1の検出情報に基づいて、連係機構29が変速中立状態に戻し操作されたことを検出できるようになっている。
【0111】
後進スイッチ52がオン操作されて後進指令S10が指令されている間は(ステップ#42)、調速モータM4の作動が制御され、エンジンEの回転速度を予め設定された低回転速度に変更される(ステップ#45)。そして、変速モータM1の作動が制御されて連係機構29が変速中立状態から後進側へ設定量だけ回転した状態で維持されることにより、無段変速装置Tの変速状態が後進設定変速状態となり、コンバイン本体Vが後進走行状態となる(ステップ#47)。
【0112】
なお、無段変速装置Tの後進設定変速状態は、コンバイン本体が後進走行状態となったときの走行速度が0.2[m/秒]となるような変速状態であり、無段変速装置Tを後進設定変速状態にするための変速モータM1の作動量が予め設定されている。
【0113】
後進スイッチ52がオフ操作されて後進指令S10が指令されなくなると、変速モータM1の作動が制御されて連係機構29が変速中立状態に戻し操作された状態で維持されることにより、無段変速装置Tの変速状態が変速中立状態となり、コンバイン本体Vが走行停止状態となる(ステップ#40)。
【0114】
したがって、走行制御手段は、無線式指令手段にて走行指令が指令されると、走行状態に切換え、且つ、走行停止指令が指令されると、走行停止状態に切換えるべく、走行状態と走行停止状態とに切換える走行状態切換手段を操作する走行用アクチュエータの作動を制御するように構成され、走行状態切換手段は、走行変速装置の変速中立状態を走行停止状態とし、走行変速装置の前進設定変速状態又は後進設定変速状態を走行状態とする形態で、走行変速装置にて構成されている。
【0115】
また、コンバイン本体に搭載のエンジンの回転速度を制御するエンジン制御手段が、無線式指令手段にて走行指令が指令されると、エンジンの回転速度を無線指令用の設定回転速度に制御するように構成され、走行制御手段が、無線式指令手段にて走行指令が指令されたときに、エンジン回転速度が無線指令用の設定回転速度にある状態において走行状態に切換えるべく、走行用アクチュエータを制御するように構成されている
【0116】
自動旋回スイッチ47、旋回停止スイッチ48、排出開始スイッチ49、排出停止スイッチ50により操作指令が指令される場合は、これらの各スイッチはトリガスイッチとして機能する。
【0117】
つまり、図10に示すように、自動スイッチ47がオン操作されて自動旋回開始指令S5が指令されると(ステップ#3)、旋回モータM3の正転或いは逆転駆動が開始され、オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)への旋回操作が開始される(ステップ#13)。オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)まの旋回が完了したことが検出されると(ステップ#29)、旋回モータM3の駆動が停止され(ステップ#37)、オーガ9の旋回操作が停止される。
このとき、旋回完了情報が送受信機26及び信号処理装置27を介して無線リモコン42に対して無線信号にて送信される(ステップ#38)。
オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)までの旋回が完了するまでに旋回停止スイッチ48がオン操作されて自動旋回停止指令S6が指令されると(ステップ#5)、旋回モータM3の駆動が停止され(ステップ#17)、オーガ9の旋回操作が停止される。
【0118】
したがって、オーガ制御手段が、排出位置移動指令が指令されると、目標位置に移動させるべく排出位置変更用手段を作動させ、且つ、目標位置への移動が完了すると、排出位置変更用手段の作動を停止しかつ排出位置移動完了情報を無線式指令手段に送信するように構成されている。
【0119】
図9に示すように、排出開始スイッチ49がオン操作されて排出開始指令S7が指令されると(ステップ#2)、クラッチモータM2の正転駆動が開始され、排出クラッチ13の入り状態への切り換え操作が開始される。排出クラッチ13が入り状態へ切り換えられると、オーガ9が穀粒排出状態に切り換えられる(ステップ#11)。
【0120】
排出停止スイッチ50がオン操作されて排出停止指令S8が指令されると(ステップ#4)、クラッチモータM2の逆転駆動が開始され、排出クラッチ13の切り状態への切り換え操作が開始される。排出クラッチ13が切り状態へ切り換えられると、オーガ9が排出停止状態に切り換えられる(ステップ#15)。なお、制御装置Hは、排出クラッチ13が入り状態及び切り状態となるときの排出クラッチ13の変位を検出する切換え位置検出スイッチの検出信号に基づいて、排出クラッチの切換えが完了したことを検出して、クラッチモータM2の駆動を停止するようにしている。
【0121】
したがって、オーガ制御手段が、排出開始指令が指令されると、穀粒排出状態に切換えて、その状態を継続し、かつ、排出停止指令が指令されると、排出停止状態に切換えるべく、穀粒排出状態と排出停止状態とに切換える排出状態切換え用アクチュエータの作動を制御するように構成されている。
【0122】
さらに、制御装置Hは、自動旋回スイッチ47及び排出開始スイッチ49により操作指令が指令された場合、つまり、自動旋回開始指令S5及び排出開始指令S7が指令された場合には、無線リモコン42との通信状態を監視するよう構成されている。
【0123】
制御装置Hは、排出開始スイッチ49により排出開始指令S7が指令された場合には、排出停止スイッチ50により排出停止指令S8が指令されるまでの間、また、自動スイッチ47により自動旋回開始指令S5が指令された場合には旋回停止スイッチ48により自動旋回停止指令S6が指令されるかオーガ9が目標位置に移動するまでの間、無線リモコン42との通信状態を監視し、無線リモコン42から送信される監視用無線信号としての搬送波を受信できない状態が所定時間以上継続すると、通信不能状態と判断し、無線リモコン42からの排出停止指令或いは旋回停止指令が指令されなくても、排出停止操作や旋回停止操作を行う。
【0124】
以下に、制御装置Hにおいて実行されるオーガ操作制御プログラムのフローチャートに基づいて制御装置Hの動作について説明する。図13及び図14に示すように、制御装置Hは、ステップ#1において、操作指令等が指令されたと判別された場合、ステップ#2〜ステップ#9、ステップ#41及びステップ#42において、指令された操作指令等が判別される。
ステップ#2において指令された操作指令等が排出開始指令S7であると判別されると、クラッチモータM2を作動させて作動オーガ9を穀粒排出状態に切換えて(ステップ#11)、排出状態フラグをセットする(ステップ#12)。
ステップ#3において指令された操作指令等が自動旋回開始指令S5であると判別されると、旋回モータM3を作動させてオーガ9を自動旋回操作させ(ステップ#13)、自動旋回フラグをセットする(ステップ#14)。
ステップ4において指令された操作指令等が排出停止指令S8であると判別されると、クラッチモータM2を所定時間作動させてオーガ9を排出停止状態に切換えて(ステップ#15)、排出状態フラグをクリアする(ステップ#16)。
ステップ#5において指令された操作指令等が自動旋回停止指令S6であると判別されると、旋回モータM3を停止(ステップ#17)させてオーガ9の自動旋回操作を停止させ、自動旋回フラグをクリアする(ステップ#18)。
ステップ#6において指令された操作指令等が上昇指令S1であると判別されると、昇降用油圧シリンダ15を作動させてオーガ9を上昇操作する(ステップ#19)。
ステップ#7において指令された操作指令等が下降指令S2であると判別されると、昇降用油圧シリンダ15を作動させてオーガ9を下降操作する(ステップ#20)。
ステップ#8において指令された操作指令等が左旋回指令S3であると判別されると、旋回モータM3を作動させてオーガ9を左旋回操作する(ステップ#21)。
ステップ#9において指令された操作指令等が右旋回指令S4であると判別されると、旋回モータM3を作動させてオーガ9を右旋回操作する(ステップ#22)。
ステップ#41において指令された操作指令等が前進指令S9であると判別されると、調速モータM4を作動させてエンジンEの回転速度を予め設定された低速度に変更し(ステップ#43)、変速モータM1を所定量だけ作動させ、無段変速装置Tを前進設定変速状態にしてコンバイン本体Vを前進走行させる(ステップ#46)。
ステップ#42において指令された操作指令等が後進指令S10であると判別されると、調速モータM4を作動させてエンジンEの回転速度を予め設定された低速度に変更し(ステップ#45)、変速モータM1を所定量だけ作動させ、無段変速装置Tを前進設定変速状態にしてコンバイン本体Vを後進走行させる(ステップ#47)。
【0125】
そして、制御装置Hは、操作指令等が指令されない場合には、自動旋回中であるか否かを前述の自動旋回フラグにより判別し、自動旋回中でなければ、昇降用油圧シリンダ15及び旋回モータM3の作動を停止させ(ステップ#26)、オーガ9の昇降旋回作動を停止させる。
その後、穀粒排出状態であるか否かを前述の排出状態フラグにより判別し(ステップ#27)、穀粒排出状態でない場合は、変速中立スイッチD2の検出信号が検出されるまで、変速モータM1を戻し作動させ、無段変速装置Tを変速中立状態にしてコンバイン本体Vを停止させる(ステップ#40)。
【0126】
ステップ#25で自動旋回中であると判別されると、旋回モータM3の駆動を継続させ(ステップ#28)、オーガ9が目標位置(或いは格納位置HP)に移動するまでは搬送波の有無をチェックする(ステップ#29,ステップ#30)。また、ステップ#27で排出状態中であると判別されると、同様に、搬送波の有無をチェックする(ステップ#30)。
【0127】
ステップ#30でチェックする搬送波は、無線リモコン42から監視用無線信号として送信されるものであり、電波状態によっては、瞬間的に途切れる場合があるが、制御装置Hは、途切れた状態が設定時間(本実施例では500[ms])以上継続した場合に、オーガ9の操作についての強制操作を行うように構成してある。
【0128】
すなわち、搬送波を受信できない状態が設定時間継続したとステップ#31で判別されると、オーガ9が旋回中である場合(前述と同様に自動旋回フラグによりステップ#32で判別)は、オーガ9が目標位置(或いは格納位置HP)へ旋回を完了しときに実行される処理と同じ処理が実行される。
【0129】
つまり、旋回モータM3が停止され(ステップ#37)、旋回完了情報が無線リモコン42へ送信され(ステップ#38)、自動旋回フラグがクリアされる(ステップ#39)。また、穀粒排出状態である場合(前述と同様に穀粒排出フラグによりステップ#32で判別)には、排出停止状態に切換えられ(ステップ#33)、穀粒排出フラグがクリアされる(ステップ#34)。
【0130】
また、無線リモコン42による前進指令S9或いは後進指令S10に基づいて、コンバイン本体Vが前進走行状態或いは後進走行状態となっている場合に、無線リモコン42とコンバイン本体V側の制御装置Hとが通信不能になると、無線リモコン42からの前進指令S9或いは後進指令S10が途絶え、上述したステップ#1の判別処理が実行された後、ステップ#40の処理が実行されるので、コンバイン本体が停止状態となる。
【0131】
つまり、この場合、無線リモコン42は、監視用無線信号として、前進指令S9或いは後進指令S10が載せられた変調波を送信し、コンバイン本体Vの制御装置Hは、前進指令S9或いは後進指令S10が載せられた変調波を受信しなくなると、コンバイン本体Vを走行停止状態に切換えるようになっている。
【0132】
したがって、走行制御手段が、走行指令により走行状態に切換えているときに、監視用無線信号の非受信状態になると、走行停止状態に切換えるべく、走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている。
【0133】
穀粒排出用オーガ9が、穀粒排出状態である場合及び自動旋回操作中である場合に、監視用無線信号である搬送波が受信されない状態が所定時間継続すると、穀粒排出状態である場合には、排出停止状態に切換えられ、自動旋回操作中である場合には、自動旋回操作が停止されることになる。
【0134】
したがって、オーガ制御手段が、排出開始指令の指令により穀粒排出状態に切換えて、その状態を継続しているときに、監視用無線信号の非受信状態になると、排出停止状態に切換えるべく、排出状態切換え用アクチュエータの作動を制御するように構成され、排出位置移動指令の指令により排出位置変更用手段を作動させているときに、監視用無線信号の非受信状態になると、排出位置変更用手段の作動を停止するように構成されている。
【0135】
以上に説明したように、本発明の無線式操作装置を備えることにより、無線式リモコン42によりコンバイン本体Vを任意の量だけ走行させることができるので、例えば、穀粒運搬トラックにコンバイン本体を横付けして、オーガ9によりトラックの荷台に穀粒を排出する作業を行う場合、荷台における穀粒の堆積状況に応じて、無線リモコン42を操作してコンバイン本体Vを荷台の前後方向に必要な距離だけ前進或いは後進させて、排出位置を変更させることにより、荷台に堆積する穀粒が均等な堆積状態となるような適切な排出位置になるように吐出口の位置を調節することができる。このように、簡単な操作により、排出位置を適切に調節できるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を得ることができる。
【0136】
また、無線リモコン42とコンバイン本体V側の制御装置Hとが通信不能になって、穀粒排出状態のオーガ9を排出停止状態に切り換えられないとか、自動旋回中のオーガ9を途中で停止することができないとか、走行状態であるコンバイン本体Vを走行停止状態に切換えられないという不都合を未然に防止することができる。
【0137】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、無線リモコン42が、前進スイッチ51或いは後進スイッチ52をオン操作さえると走行指令が指令され、前進スイッチ51或いは後進スイッチ52がオフ操作されると走行停止指令が指令されるように構成された例を示したが、無線リモコン42が、前進走行開始スイッチ、後進走行開始スイッチ、走行停止スイッチが夫々設けられ、前進走行開始スイッチ或いは後進走行開始スイッチがオン操作されると走行指令が指令され、走行停止スイッチがオン操作されると走行停止指令が指令されるように構成してもよい。この場合、無線式指令手段を、前進走行開始スイッチ或いは後進走行開始スイッチがオン操作されてから走行停止スイッチがオン操作されるまでの間は監視用無線信号として変調のかかっていない搬送波を無線信号にて送信するように構成してもよい。
【0138】
(2)上記実施形態では、穀粒排出用オーガ9の排出位置を目標位置に自動的に移動させる排出位置変更用手段を旋回用電動モータM3で構成し、排出位置移動指令が指令されると、旋回用電動モータM3を作動させて穀粒排出用オーガ9の排出位置を目標位置(或いは格納位置HP)まで移動させるように構成されたものを例示したが、これに限るものではなく、オーガ9を伸縮操作可能に構成し、伸縮用電動モータによりオーガ9を伸縮操作することで穀粒排出用オーガ9の排出位置を変更するようにして、排出位置移動指令が指令されると、伸縮用電動モータM1を作動させて穀粒排出用オーガ9の排出位置を目標位置まで移動させるように構成したり、昇降用油圧シリンダ15によりオーガ9を昇降操作することで穀粒排出用オーガ9の排出位置を変更するように構成して、排出位置移動指令が指令されると、昇降用油圧シリンダ15を作動させて穀粒排出用オーガ9の排出位置を目標位置まで移動させるように構成してもよい。
【0139】
(3)上記実施形態では、監視用無線信号として、変調されていない搬送波を送信するように構成されたものを例示したが、変調された無線信号を送信するように構成してもよい。例えば、穀粒排出指令を指令した場合に、穀粒排出指令に対応した変調波を送信した後に、監視用無線信号として、穀粒排出指令に対応した変調波を継続して送信するように構成してもよい。
【0140】
(4)上記実施形態では、走行用アクチュエータ、旋回用アクチュエータ、排出状態切換え用アクチュエータを夫々電動モータにて構成し、昇降用アクチュエータを油圧シリンダにて構成したが、これに限るものではなく、例えば、旋回用アクチュエータ、伸縮用アクチュエータ、及び、排出状態切換え用アクチュエータとして油圧モータを用いたり、昇降用アクチュエータとして電動モータや電動シリンダ等を用いる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】コンバイン本体の全体側面図
【図2】コンバイン本体に備えられた制御装置の制御ブロック図
【図3】オーガの旋回及び昇降の操作構成を示す要部拡大側面図
【図4】オーガの昇降旋回操作による穀粒排出口の移動軌跡の平面図
【図5】無線リモコンの外観斜視図
【図6】無線リモコンの信号処理回路の構成ブロック図
【図7】無線リモコンが備える複数の指令スイッチ、これらの各指令スイッチにより指令される各指令及びこれらの各指令に対応する指令コードを示す一覧表
【図8】無線リモコンの制御部が実行する制御プログラムのフローチャート
【図9】排出開始指令及び排出停止指令が指令される場合の各部の動作タイミングを示す図
【図10】自動旋回開始指令が指令される場合の各部の動作タイミングを示す図
【図11】前進指令が指令される場合の各部の動作タイミングを示す図
【図12】後進指令が指令される場合の各部の動作タイミングを示す図
【図13】コンバイン本体の制御装置が実行する制御プログラムのフローチャート
【図14】コンバイン本体の制御装置が実行する制御プログラムのフローチャート
【符号の説明】
【0142】
V コンバイン本体
T 走行変速装置,走行状態切換手段
H オーガ制御手段,走行制御手段
M1 走行用アクチュエータ
M2 排出状態切換え用アクチュエータ
M3 旋回用アクチュエータ,排出位置変更用手段
S1,S2 昇降指令
S3,S4 旋回指令
S5 排出位置移動指令
S7 排出開始指令
S8 排出停止指令
S9,S10 走行指令
9 穀粒排出用オーガ
15 昇降用アクチュエータ,排出位置変更用手段
42 無線式指令手段
51,52 走行指令手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバイン本体に、穀粒排出用オーガと、その穀粒排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段とが備えられ、
前記穀粒排出用オーガに対する操作指令を前記オーガ制御手段に無線信号にて指令する無線式指令手段が設けられたコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置であって、
前記コンバイン本体に、走行状態と走行停止状態とに切換える走行状態切換手段、その走行状態切換手段を操作する走行用アクチュエータ、及び、その走行用アクチュエータの作動を制御する走行制御手段が備えられ、
前記無線式指令手段が、
走行指令及び走行停止指令を指令する走行指令手段を備えて、この走行指令手段による前記走行指令及び前記走行停止指令を無線信号にて指令するように構成され、
前記走行制御手段が、
前記無線式指令手段が指令する前記走行指令及び前記走行停止指令に基づいて、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されているコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項2】
前記走行指令手段が、
前記走行指令を指令する走行指令用操作状態と前記走行停止指令を指令する走行停止指令用操作状態とに切換え自在で且つ前記走行停止指令用操作状態に復帰付勢されるように構成され、
前記走行制御手段が、
前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されると、前記走行状態に切換え、且つ、前記走行停止指令が指令されると、前記走行停止状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている請求項1記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項3】
前記無線式指令手段が、
前記走行指令を指令してから前記走行停止指令を指令するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成され、
前記走行制御手段が、
前記走行指令により前記走行状態に切換えているときに、前記監視用無線信号の非受信状態になると、前記走行停止状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている請求項1又は2記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項4】
前記走行状態切換手段が、
走行変速装置の変速中立状態を前記走行停止状態とし、前記走行変速装置の前進設定変速状態又は後進設定変速状態を前記走行状態とする形態で、前記走行変速装置にて構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項5】
前記コンバイン本体に搭載のエンジンの回転速度を制御するエンジン制御手段が、
前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されると、前記エンジンの回転速度を無線指令用の設定回転速度に制御するように構成され、
前記走行制御手段が、
前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されたときに、前記エンジン回転速度が前記無線指令用の設定回転速度にある状態において前記走行状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータを制御するように構成されている請求項4に記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項6】
前記無線式指令手段が、
前記操作指令として、前記穀粒排出用オーガを穀粒排出状態に切換える排出開始指令と排出停止状態に切換える排出停止指令とを指令自在に構成され、
前記オーガ制御手段が、
前記排出開始指令が指令されると、前記穀粒排出状態に切換えて、その状態を継続し、かつ、前記排出停止指令が指令されると、前記排出停止状態に切換えるべく、前記穀粒排出状態と前記排出停止状態とに切換える排出状態切換え用アクチュエータの作動を制御するように構成され、
前記走行制御手段が、
前記無線式指令手段にて前記走行指令が指令されたときに、前記穀粒排出用オーガが前記穀粒排出状態である場合において前記走行状態に切換えるべく、前記走行用アクチュエータの作動を制御するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項7】
前記無線式指令手段が、
前記排出開始指令を指令してから前記排出停止指令を指令するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成され、
前記オーガ制御手段が、
前記排出開始指令の指令により前記穀粒排出状態に切換えて、その状態を継続しているときに、前記監視用無線信号の非受信状態になると、前記排出停止状態に切換えるべく、前記排出状態切換え用アクチュエータの作動を制御するように構成されている請求項6に記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項8】
前記無線式指令手段が、
前記操作指令として、前記排出用オーガの排出位置を目標位置に自動的に移動させる排出位置移動指令を指令自在に構成され、且つ、前記排出位置移動指令を指令してから前記オーガ制御手段からの排出位置移動完了情報を受信するまでの間は、通信可能状態であることを示す監視用無線信号を送信するように構成され、
前記オーガ制御手段が、
前記排出位置移動指令が指令されると、前記目標位置に移動させるべく排出位置変更用手段を作動させ、且つ、前記目標位置への移動が完了すると、前記排出位置変更用手段の作動を停止しかつ前記排出位置移動完了情報を前記無線式指令手段に送信するように構成され、並びに、
前記排出位置移動指令の指令により前記排出位置変更用手段を作動させているときに、前記監視用無線信号の非受信状態になると、前記排出位置変更用手段の作動を停止するように構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。
【請求項9】
前記穀粒排出用オーガが、
旋回用アクチュエータによりコンバイン本体に対して旋回操作自在に、及び昇降用アクチュエータによりコンバイン本体に対して昇降操作自在に構成され、
前記無線式指令手段が、
前記操作指令として、前記穀粒排出用オーガを旋回させる旋回指令、及び、前記穀粒排出用オーガを昇降させる昇降指令を指令自在に構成され、
前記オーガ制御手段が、
前記旋回指令が指令されると、その指令がある間は前記穀粒排出用オーガを旋回させるべく前記旋回用アクチュエータを作動させ、かつ、
前記昇降指令が指令されると、その指令がある間は前記穀粒排出用オーガを昇降させるべく前記昇降用アクチュエータを作動させるように構成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−271269(P2006−271269A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95927(P2005−95927)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】