コンピュータ支援検出のシステムおよび方法
本発明は、コンピュータ支援検出(CAD)用のシステムおよび方法を提供する。本発明は医用画像中の異常のコンピュータ支援自動検出および医用画像の解析に関するものである。医用画像を分析し、診断に関連する画像中の一組の特徴を抽出および同定する。システムは、一組の同定された特徴及び診断モデルに基づき初期診断を算出し、この初期診断を、検討および修正のために使用者に供する。算出した診断は、一組の同定された特徴の使用者による変更の際に動的に再算出する。システムの推奨に基づく診断を使用者が選択する際に、診断報告書を、医用画像に存在する特徴を反映して、使用者が証明しかつ使用者が選択した診断として生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してコンピュータ支援検出(「CAD」)および異常分析の分野に関するものである。とくに、本発明は医用画像内における異常の自動検出および医用画像の分析、ならびにその自動評価に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌の早期検出が重要視され、より多くの人が早期スクリーニング計画、例えばマンモグラフィによる乳癌検診、および乳癌用の世界的な超音波スクリーニング計画の一部に参加している。いくつかの最近の研究は、診断用胸部超音波検査法が、悪性の充実性病変または充実性結節から多くの良性のものを上手く見分けることを支援し得ることを示唆している。例えば、スタブロス(Stavros, A. T.)氏らによる非特許文献1が示唆しているのは、超音波検査法を使用して、多少の充実性病変を良性として正確に分類することができ、生体検査法よりはむしろ画像化検査を可能にすることである。スタブロスは、病変を検査する一般法を提供し、それは一組の予め定義した特性セットおよびその描写(スタブロス特性)に対応する超音波画像の特性の検出および評価による。このような局所的な特性としては、局所的な突起形成、局所的な分岐傾向、局所的な導管の拡大、および局所的な微小分葉がある。
【0003】
一般に、功を奏する異常の早期検出および癌の診断は、放射線技師に上手くかつ正確に個々の医用画像に見られる組織塊の特性を同定および評価することが必要であり、それにより悪性充実性結節から良性のものを見分ける。医用画像としては、マンモグラフィまたは超音波スクリーニングから得られる画像、すなわちX線画像(もしくはデジタルX線画像)または超音波画像に限定されず、任意の内部画像取得技術を利用する任意の適当な医用スキャン装置から得られる医用画像もあり得る。このような医用画像のいくつかの例としては、超音波画像、ドップラー画像、スペクトルドップラー画像、X線画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、陽電子放出断層撮影(PET)画像、PET−CT画像、および磁気共鳴影像法(MRI)画像がある。
【0004】
X線検査技師の経験および専門知識は、特徴を正確に同定するのに重要な役割を果たし、十分な情報を得た診断を下し得るようにする。コンピュータ支援検出は、癌および他の疾病の検出および診断においてますます不可欠な課題解決手段となる。現代技術は、多様な方法で進歩しており、放射線技師を支援して医用画像中に見られる組織塊の一連の特性を自動的に同定および評価する。例えば、技術は進歩して放射線技師を補助し、超音波診断特性の自動的な同定および評価をして、悪性腫瘍の超音波診断所見から医用画像における良性の特徴を見分け、そして個別の良性所見と悪性所見とを組み合わせて小結節を良性または悪性に分類することで診断を行う。また、画像内における候補病変または潜在的異常を自動検出およびマーク付けし、そしてそれにより医用画像の解釈において放射線技師を支援することも知られている。デジタル化した医用画像の汎用性またはアクセス性は、コンピュータ化された画像処理およびコンピュータ支援検出を更に容易にする。
【0005】
しかし、コンピュータ化されたパターン認識がここ10年程前から著しい進歩を見せる一方で、時々、コンピュータ利用技術は大部分または全ての異常を同定することに未だに困難性を有する。望ましいのは、悪性病変を病変の初期段階において見逃さないことである。放射線技師が、非常に高い信頼を自動化された検出の結果に置けないため、生体検査を命ずることがあり、しかしこの生体検査は、不必要であると判明することがある。さらに、もし首尾よく医用画像内における全ての関連する特性の検出が可能だとしても、自動診断は常に正確な診断を提供しないかもしれず、それは例えば、診断エンジンに備わるモデルの精巧さの不足または欠如に起因する。
【非特許文献1】スタブロス氏ら(Stavros, A. T., et al)の論文、「充実性胸部結節:超音波検査法の良性および悪性病変間の区別への使用」(“Solid breast nodules: use of sonography to distinguish between benign and malignant lesions”)、放射線医学(Radiology)第196号;第123〜134頁、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のものは、全てのCADシステムに対して、抽出、すなわち医用画像および医用画像内における特性および医学的特徴を同定し、そして医用画像内における自動的に検出した特性に基づいて診断を示唆する上で、課題および制約を引き起こす。従って、従来技術に比べてよりよいCADシステムおよび方法に対する必要性が存在する。本発明の目的は、上述の欠点のうち少なくとも一つを軽減または取り除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンピュータ支援自動検出、並びに医用画像内における異常の同定および医用画像の分析に関する。検出した異常に対するコンピュータ支援評価も行う。疾病の診断に関する医用画像内における特徴を、同定し、そして検討のために使用者に提示する。有利には、医用画像は、まず区分けして1個以上の区分け候補を規定し、その後の画像処理を容易にする。区分け候補は、単一または複数の区分け候補から、使用者による手作業、またはシステムによる自動検出もしくは同定により、確認または選択される。区分した医用画像は、分析して画像内における診断に関連する特徴を抽出および同定し、それに基づいてシステムは、同定した特徴を診断モデルと重ね合わせることで初期診断を算出する。使用者には、注釈ツールを提供し、使用者に提示される同定した特徴のリストを確認または変更する。特徴のリストの変更に基づき、修正された診断を動的に再算出する。使用者が算出した診断を確認または変更して診断を選択する際に、、医用画像中に存在する特徴を反映して使用者によって認証されたものとして、また、使用者により確認または変更した診断として、診断報告書を作成がする。
【0008】
本発明の第1態様として、1個の医用画像または複数個の医用画像に存在している異常の、双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムを提供する。このシステムは、医用画像を処理し、異常の診断に関連する医用画像中の特徴を抽出するプロセッサであって、その抽出した特徴は、一組の予め定義した特徴セットの描写を満たすものとた該画像プロセッサと、抽出した特徴から算出した診断を生成する決定エンジンと、使用者が、抽出した特徴の下に医用画像中で一組の特徴セットを同定し、そして一組の同定した特徴セットおよび算出した診断に基づいて診断を下す、注釈および変更ツールと、を有する。
【0009】
本発明の態様の一つの特徴として、複数の規範を、診断済みの医用画像を蓄積したプールから較正する。本発明の態様の他の特徴として、システムは医用画像を分析し、また医用画像中の疑わしい病変を同定する、病変ロケータを有する構成とする。更に他の特徴として、画像プロセッサは、医用画像を区分けし、医用画像の複数の区分け候補を使用者による選択に応じて同定し、そして使用者からの指示を受けて区分け候補の一つを区分け画像として処理する。
【0010】
随意的に、使用者は表示された区分け候補のうち任意のものを却下でき、そして一組の中間区分け結果のセット全体を検討し、他の候補を選択する目的で表示される候補をもたらす。また使用者は、区分け結果を変更することにより選択される候補を絞り込むこともでき、例えば、既存の制御ポイントを編集し、または区分け輪郭上に追加の制御ポイントを規定して、それにより、変更した区分け輪郭を得る。
【0011】
本発明の第2態様として、医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムを提供する。このシステムは、医用画像を表示するディスプレイと、使用者による入力を受け取る入力装置と、医用画像から画像特性を同定し、また一組の同定した画像特性の初期セットを提示して前記使用者による検討に供する、分析エンジンと、使用者が同定した画像特性の初期セットを変更し、一組の同定した画像特性の変更セットを得るようにした、注釈および変更ツールと、を有する。このシステムは、初期セットおよび一組の予め定義した基準セットから初期診断を算出し、初期セットおよび初期診断を使用者に提示して検討に供し、変更セットを使用者から受け取り、そして変更セットおよび予め定義した基準セットから診断を再算出して使用者による認証に供する。
【0012】
本発明の他の態様として、複数の医用画像中の異常のコンピュータ支援診断を行うシステムを提供する。これら複数の医用画像は、患者の身体の一領域の異なるビューとする。システムは、複数の医用画像を取得する画像取得モジュールと、複数の医用画像のそれぞれを処理し、そして各医用画像内における異常の診断に関連する一組の特徴の初期セットを同定する画像プロセッサと、同定した特徴の複数の初期セットから初期診断を算出する決定エンジンと、使用者が同定した特徴の初期セットを変更して、同定した特徴の一組の変更セットを得る注釈および変更ツールとを有する。決定エンジンは、使用者による認証のために、同定した特徴の変更セットから算出した診断を再算出する。
【0013】
本発明の態様の一つの特徴として、システムは、複数のモダリティから取得した医用画像を処理するように構成する。これらの複数のモダリティは、超音波画像、ドップラー画像、スペクトルドップラー画像、X線画像、CT画像、PET画像、PET−CT画像、およびMRI画像の少なくとも2個のモダリティを含むものとする。
【0014】
本発明のさらに他の態様として、医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行う方法を提供する。この方法は、デジタル化した医用画像を取得するステップと、このデジタル化した医用画像を処理し、デジタル化した医用画像内における一組の画像特徴の初期セットを同定する初期セット同定ステップであって、同定した一組の画像特徴の初期セットは、一組の予め定義した特性セットの描写を満たすものとした該初期セット同定ステップと、同定した画像特徴の初期セットを提示して使用者による検討に供するステップと、使用者により、同定した画像特徴の初期セットから変更した、一組の画像特徴の変更セットを受け取るステップと、画像特徴の変更セットから診断を算出して使用者による認証に供するステップと、使用者から認証された診断を受信する際に診断報告書を作成するステップとを有する。
【0015】
本発明のさらに他の態様として、コンピュータ支援検出システムにより支援されて医用画像を取得する方法を提供し、そのコンピュータ支援検出システムは、医用画像を生成する医用撮像装置と、医用画像を処理する分析エンジンとを有し、この方法は、医用撮像装置を用いて患者から複数の医用画像を取得するステップと、複数の医用画像のそれぞれを、分析エンジンを用いて分析するステップと、画像取得条件を調整して複数の医用画像から最適画像を取得するステップと、を有する。
【0016】
他の態様において、本発明は上記の態様の様々な組み合わせおよび部分的な集合を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
説明の目的で、限定する目的でなく、前述および他の本発明の態様を添付の図面につきより詳細に説明する。
【0018】
以下の説明およびそこに記載されている実施例は、例示目的で記載したものであり、その実施例は本発明の原理に関する特定実施形態の例である。これらの実施例は、例示目的でなされたもので、本発明および原理を限定するものではない。以下の記載において、同種の部分は明細書および図面を通じて同一の符号を付けて示す。
【0019】
図1は、CADシステム100を示し、このCADシステム100はソフトウェアシステムにより制御されて自動的に医用画像を分析し、医用画像中の断片集合の、物理的、組織的、および形態学的な特性、または他の特徴を検出、同定、および分類し、使用者による選択のために疑わしい病変のコンピュータ支援検出および評価を行い、また使用者からの双方向フィードバックを可能にして検出した特徴のリストおよびこの特徴リストから算出した診断を動的に変更することができる。使用者は、専門技術者、放射線技師、または医師がなり得る。さらに、使用者は、CADシステム100のオペレータ、例えば遠隔地の放射線技師または医師から指示を受けるスタッフでも良い。このCADシステム100は、使用者が使用して医用画像を医療用スキャン装置から取得し、そして画像をリアルタイムで分析することができる。使用者は、以前に取得した医用画像をデータベースから読み込んで詳細な分析をすることもできる。代案として、使用者、例えば放射線技師や医師が、リアルタイムで取得したか、以前に取得しかにかかわらず、他の放射線技師または医師と画像を共有して、共同で医用画像を評価および分析し、そして診断を確立することもできる。
【0020】
図1に示すCADシステムは、画像取得サブシステム102を有する。その画像取得サブシステム102は、一つまたは複数の医療用画像スキャン装置に接続した場合に、リアルタイムで医用画像を取得できる。CADシステムは、概してマルチモダリティプラットフォームを備える。どのモダリティを選択するかは、画像タイプに基づく。例えば、システムは、超音波画像、X線画像、若しくはCT、PET、PET−CT、放射線、MRI画像、またはCADシステムに接続された他の画像化モダリティからの画像を支援するように実施または構成することができる。システム自体も、若干または全部の医用画像モダリティを検討できるよう制御装置またはワークステーションに組み込むことができる。
【0021】
一実施例において、画像取得サブシステムを医療用スキャン装置104に接続し、患者から医用画像をリアルタイムで取得する。上述したように、医療用スキャン装置104は、超音波源および一つまたは複数のトランスデューサを有する超音波装置とすることができる。医療用スキャン装置は、X線を用いて、X線源およびX線撮像装置により構成することができる。また医療用スキャン装置は、CT、PET、放射線、またはMRIスキャナとすることもできる。患者の組織、骨組織、または臓器の医用画像を取得する、任意の適当な撮像装置を使用することができる。
【0022】
画像取得サブシステム102は、さらに、以前に取得した画像を読み込んで、詳細検討用、または他の使用者、例えば放射線技師、専門技術者、または医師と共有することもできる。例えば、画像取得サブシステム102は、フィルムに記録された画像をデジタル化するデジタイザー106を有しても良い。代案として、画像取得サブシステム102は、CADシステムにアクセス可能な遠隔の画像サーバ108または画像データベース110から画像を読み出すことができる。
【0023】
CADシステム100は、ユーザーインタフェース112を有して、システムの使用者が画像を検討し、その表示を操作し、またシステムと双方向の情報授受をすることができるようにする。ユーザーインタフェース112は、ディスプレイ(表示部)114を有する。このディスプレイ114は、モニタ、プロジェクタ、または、医用画像を使用者に視覚的に表示する能力があり、かつグラフィカルなおよびテキスト形式のコンテンツを表示する能力がある他の任意の適当なディスプレイ装置とすることができる。ユーザーインタフェース112は、さらに、入力装置116を有して、使用者がシステムと双方向の情報授受をし、そして表示された医用画像中の特定の関心領域に関する同定をシステムに対して与えることができるようにする。入力装置116として、キーボードを設け、例えば使用者がテキストを入力できるようにする。また、音声認識モジュールを設け、音声からテキストに変換できるようにする。さらに、入力装置116として、マウスまたは他のポインティングデバイスを設け、使用者が医用画像の特定画素または部位の同定をシステムに与えることができるようにする。ディスプレイ装置114および入力装置116は、物理的に一体化されてハードウェアユニットの一体ピースとすることができ、例えばグラフィカルなおよびテキスト形式の出力を表示する能力と、使用者による入力を受信する能力との双方を有するタッチスクリーンとすることができる。
【0024】
また、システム100に、多数の出力周辺機器118も設ける。使用者は、出力周辺機器118を用いて、分析セッションの結果またはシステムの他の出力を複製または記録することができる。例えば、出力周辺機器としてプリンタ120を設けることができる。このプリンタは、例えばフィルムベースまたは紙ベースとすることができる。フィルムベースのプリンタは、医用画像を転写して使用でき、原画像または処理した画像をフィルムに転写して、フィルム化された画像を必要とする従来のディスプレイ装置に使用できるようにする。また、紙ベースのプリンタも、プリントアウトした報告書を作成して他の医師と共有し、またはファイル保管(アーカイブ)する目的のために使用することができる。出力周辺機器118として、ウェブブラウザ122を設け、他の放射線技師または医師と電気通信網124を介して結果を共有できるようにすることができる。電気通信網124は、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネットとすることができる。このことにより、医師は、オペレータにより患者から得られた画像を遠隔地で検討し、そしてリアルタイムで、システム100により自動的に作成された結果に対していかなる変更をも加えることができるようになる。更に、出力周辺機器118として、DICOM準拠の装置126を設け、処理した結果、すなわちシステムにより作成された合成画像を関連した報告書と共に転送または保存することができる。
【0025】
システム100は、データウェアハウス128を有する。データウェアハウス自体は、データの読み出し、および管理をするモジュールを有する、または単にデータを格納する記憶空間とすることができる。データウェアハウス128は、一般にシステム関連またはシステムが作成したデータを記憶するものであり、処理された医用画像を保管する。例えば、データウェアハウス128は、自動検出を行うシステムが用いる診断前画像、モデリングパラメータ、および他の患者データを格納するのに使用することができる。好ましくは、データウェアハウス128は、DICOM準拠画像のファイル保管(アーカイブ)を支援するが、他の形式の画像、例えばJPEG、BITMAP等も処理することができる。画像処理の注釈、コメント、結果を、全てDICOM準拠ファイルの一部としてアーカイブすることができる。検査情報、例えばユーザーID、処理画像の日付または時刻スタンプ、および検出した特徴に対する使用者による追加または変更は、全て、処理画像をアーカイブする時点毎に、同様に記録できる。
【0026】
図1に示すシステム100は、ソフトウェアシステム130により制御する。図2につき説明すると、ソフトウェアシステム130は、CADシステム100により実施されるデータのフローおよび処理を調整し、また制御する。ソフトウェアシステム130は、多数のコンポーネントを有する。これらソフトウェアコンポーネントは、単独のコンピュータハードウェアユニットに装備する必要はない。ソフトウェアシステムは、異なる場所に格納され、かつハードウェアユニットの異なるプロセッサで実行する専用ソフトウェアシステムとすることができ、または異なるコンピュータで実行する独立モジュールとすることすらできる。ソフトウェアコンポーネントは、さらに、異なる製造業者により供給されるものとすることもできる。例えば、医療用スキャン装置の製造業者自身が、画像処理または特徴抽出用のソフトウェアコンポーネントを提供することができる。これらソフトウェアコンポーネントは互いに組み合わせ、本明細書に記載するような、システム100の機能を得ることができる。これらソフトウェアコンポーネントは互いに組み合わせ、異なるサブシステムを形成して専用の副機能を実現することもできる。便宜上、分かり易くするために、以下ではこれらソフトウェアコンポーネントを概念的に、コンポーネントの全てを、一つのコンピュータ読み取り可能媒体、例えばハードディスクに格納し、1個のプロセッサで実行するソフトウェアシステム130の一部と見なして説明する。CADシステムは、概してマルチモダリティプラットフォームにできることは理解されるであろう。このことは、例えば必要に応じて支援されるモダリティを実施するモダリティ固有のコンポーネントをソフトウェアシステム130の各コンポーネントに設けることにより達成できる。
【0027】
ソフトウェアシステム130は、分析エンジン(分析機関)132を有し、医用画像を分析し、そして使用者による検討および認証のための診断を導き出す。例えば、一実施例において、分析エンジン132は画像取得サブシステム102により得られた画像を処理して関心領域を更なる特徴抽出のために同定し、画像中に存在する特徴、例えば物理的または形態学的な特性を抽出し、結果として得られた情報を表示および検討用に下処理し、そして使用者による検討および確認のために一組の検出された特徴を診断に導く。
【0028】
図2は、ソフトウェアシステム130の概略的なコンポーネントを示す。そのソフトウェアシステム130は、中央制御モジュール202を有して、ソフトウェアシステム130の様々なコンポーネントモジュール間におけるデータのフローおよびプロセスを制御および調整する。ソフトウェアシステム130は、個別のモジュールを有して、対応するハードウェアユニットまたはサブシステムにおける双方向の情報授受、指示、そしてモニタを行う。その画像ローダ204は、CADシステム100の画像取得サブシステム102のオペレーションに対して双方向に情報授受および指示を行う。概念的に、分析エンジン132の一部として、画像表示および操作モジュール206を設け、使用者が画像表示を調整および操作できるようにする。また、分析エンジン132の一部として、画像処理モジュール208、決定モジュール210、ならびに注釈および変更モジュール212を設ける。報告モジュール214を設け、報告書を生成し、かつ出力発生する。
【0029】
医用画像が処理または検討のために要求される場合、画像ローダ204が画像取得サブシステム102に指示して医用画像を読み込み、換言すれば、医用画像を検索または取得させる。医用画像が検索または取得されると、画像表示および操作モジュール206が画像をディスプレイ114へ送信して使用者に画像を表示する。使用者は入力装置116を用いて、ディスプレイ114上の画像を更に操作または調整できる。使用者は、画像の表示を操作することができ、例えば、画像のコントラスト、輝度レベル、または画像の特定部位のパニングもしくは拡縮を変化させることができる。使用者は、さらに、画像の部位を選択して他の処理を行うこともできる。
【0030】
画像処理モジュール208または画像プロセッサは、パターン認識および特徴抽出ができるようにし、そして様々なコンピュータによる画像処理およびパターン認識動作を実行する。画像処理モジュール208は、区分け処理において同定された異常部位、例えば病変または小結節の境界により画定された断片に関連する、物理的、組織的、形態学的な特性、ならびにモダリティ固有の特性を算出する、すなわち抽出および同定する。一般に、画像処理モジュールは、異なるモダリティから取得された画像に対して異なる処理をするように実装または構成する必要がある。例えば、超音波画像が読み込まれた場合、特徴は、概して超音波画像用に定義されたものである。これら特徴は、疑わしい病変の内側ならびに異常部位の外側ではあるが境界近傍の領域から同定される特徴、例えば超音波画像における背後陰影(Posterior shadowing)と関連するものである。抽出または同定すべき特徴は、通常、医療専門家により事前に定義および考慮され、疾病診断、例えば癌であると診断することに関連があるものである。これらの特徴の描写は、一般的にその定義と一緒に提供される。このような一組の事前定義特性および画像集のセットが、米国放射線医学会(ACR)により開発されて胸部画像報告およびデータシステム(BI−RADS、登録商標)で使用されている。異なる用途には、異なる事前定義セットおよび標準規格を使用することができる。例えば、標準規格の一部として、BI−RADS画像集が放射線医学で主として使用される一方、頸部細胞学診断報告用ベセズダシステム(Bethesda System for Reporting Cervical Cytologic Diagnoses)が細胞学で主として使用されている。癌の診断に関しての実施例を本明細書に記載したが、これら実施例は、単に説明するためだけのものであり、本明細書に記載したシステムおよび処理、ならびに方法は一般的な疾病診断に適用でき、癌診断に限定するものではないと、理解されたい。
【0031】
必要とされる画像処理操作としては、区分け(すなわち、詳細検討および処理のために画像領域の選択および線引き)、パターン認識(すなわち、画像におけるパターンの分析および分類)、および特徴抽出(すなわち、画像で表示された組織における異常または正常な状態の診断に関連し得る特徴または特性の分析および同定)がある。図2は、区分け、パターン認識、および特徴抽出のための3個のモジュールを示すが、他のモジュールを他の画像処理の必要に応じて設けることができると理解されたい。
【0032】
画像処理モジュール208は、区分けモジュール216を有するものとして示す。区分けモジュール216は、使用者により同定された関心領域(ROI)を分析し、そして異常領域、例えばROIにおける小結節の境界を線引きする。そのROIは、使用者により手動で、またはシステムにより自動で同定することができ、使用者に示唆される。一実施例において、使用者は最初に区分けの「シードポイント」(すなわち、関心のある領域内における点)を選択することによりシステムに対しROIを選択および同定を与える。図3Aは、ディスプレイ上での画面表示例を示し、この画面表示例から使用者はROIを選択することができる。代表的には、シードポイント302は、関心領域、例えば疑わしい充実性結節のほぼ中央近傍のポイントとして選択する。使用者は、区分けシードポイントを、例えばマウスを使用して結節の中央領域のポイントをクリックすることにより選択することができる(図3A参照)。ROIは、シードポイントを選択してカーソルをシードポイントから離れる方向にドラッグすることにより画定する。領域を囲む円が現れ、この操作には区分けアルゴリズムが動作する。使用者は、ROI304が十分に大きくなり結節全体を囲んだときにマウスのボタンを離す。
【0033】
代案として、使用者は、ROIを「シードポイント」の座標値および病変推定寸法のセットを指定することにより同定することができる。この手法は、病変が細長い断片として現れた場合において、軸線の向き、それは概して細長い断片に整列しているものであるが、および縦横(アスペクト)比を指定することにより、より正確になり得る。図3Bは、位置同定ウィンドウ306を示し、使用者は病変同定パラメータ308を入力し、そのパラメータ308としては、例えば病変同定番号310、病変寸法パラメータ312、病変座標314、病変特徴表示316、病変深度表示318、その他、およびそれらの組み合わせのうち何れか一つがある。ここで、病変同定番号310は、画像内で同定された数個の病変における同定参照番号であり、例えば第1病変、第2病変、第3病変などについて言及する。病変寸法パラメータ312は、病変寸法の推定値、例えば1cmを与える。病変の位置は、適当な座標システムを用いて病変座標314、例えば皮膚からの深さ、乳首からの距離、および垂直方向からのアジマス角により規定する。病変特徴インジケータ316は、特徴のタイプ、例えば質量、形状、配向性、疑わしい病変の硬化、その他に関連する特徴について言及する。病変深度インジケータ318は、皮膚からの病変深さの推定値を、相対値、例えば胸底の寸法に対する相対値として指示する。
【0034】
有利なことに、一旦疑わしい病変が同定されると、画像は区分けされて疑わしい病変の輪郭の境界または区分け輪郭を線引きする。このことはその後の画像処理を容易にすることができ、疑わしい病変の診断に関連する画像パターンおよび特徴がその内側または外側であるが区分け輪郭に近接した位置にある可能性がより高くなる。異なるアルゴリズムをROIの区分けに対して実施することができる。例えば、一実施例において、前面伝播タイプの領域拡張アルゴリズムを超音波画像内の病変を区分けするために実施する。疑わしい病変内における「シードポイント」を、まず選択する。適応的閾値を選択して、境界の輪郭を決定する。適応的閾値に基づくシードポイントからの領域拡張は、さらに、局部的情報を考慮することができ、また専門知識により制約される。初期領域輪郭は、局部的情報に基づいて画定される。平衡状態に達したとき、画定された領域輪郭は、専門的な制約の下で動作する変形可能モデルにより精緻化される。任意の適当なアルゴリズムをROIの区分けに用いることができることを理解されたい。異なる用途は、異なる適切なアルゴリズムを必要とする。例えば、乳癌診断用の画像区分けに最も適したアルゴリズムは、CTスキャンで得られた画像の区分けには最適ではなく、他の例としては、超音波画像用に開発された区分けアルゴリズムは、MRIデータを処理するために再調整および/または変更する必要がある。
【0035】
各アルゴリズムは、いくつかの区分け候補、すなわち正確に疑わしい病変を線引きし得る区分け輪郭の候補を発生することができる。所定の予め確立された基準に基づき、システムは一つを最良の候補として提示し、そして残りを次善の候補として提示する。区分けモジュール216は、最も適したアルゴリズムにより生じた最良の候補のみを提示することができる。好ましくは、区分けモジュール216は、最良の候補を次善の候補とともに使用者による選択のために提示する。数個のアルゴリズムが利用可能な場合、他のアルゴリズムにより同定された候補も、使用者による選択のために提示することができる。
【0036】
一実施例において、図4Aに示すように、区分けモジュール216は、使用者による選択用に6個の区分け候補を一時的(テンポラリ)ウィンドウに提示する。各候補画像402は、可能性がある病変境界404が原画像の上に重ね合わされた合成画像である。区分け処理の最良の候補406と考えられるものが、例えばハイライト表示により同定され、そしてその後の処理のためにアクティブになる。最良の候補406とともに、複数の次善の結果408が表示される。これらの6個の候補のみが、全ての区分け候補の代わりに使用者に提供されて選択される。使用者は、システムが決定した最良結果を選択し得る。また使用者は、区分けされた画像に他の候補画像408のうちから1個を選択することもできる。使用者は、システムに対して、例えば区分け候補をダブルクリックすることにより選択を同定することができる。随意的に、使用者は、ディスプレイ表示された候補のうちいくつかまたは全てを却下し、そして区分け結果全体セットを検討することができる。このことにより、使用者は、視覚的に全ての区分け結果を吟味し、使用者自身の経験および判断に基づいて、好適な候補の一つを選択することができる。代案として、システムは、使用者のいかなる介入もなしに、最適なアルゴリズムを用いて発生した最良の候補を選択し、その後の処理を行うよう構成することができる。
【0037】
使用者は、さらに、選択した候補を区分け輪郭404を編集することにより精緻化することもできる。これを行うために、使用者は既存の制御ポイントまたは画定用の追加制御ポイントを区分け輪郭に対して編集することができる。使用者は、ディスプレイ表示された区分け候補を、区分け輪郭404の1個または複数個の制御ポイント410を編集して手動でROIを区分けすることにより変更することができる(図4B参照)。使用者は、ディスプレイ表示された候補を新しい制御ポイントを設定することにより変更することもできる。使用者が既存の制御ポイントまたは新しい追加の制御ポイントを編集し終えた後に、システムは変更された区分け輪郭を使用者にディスプレイ表示して確認をとらせる。システムが使用者からの選択を受信するとすぐに、システムはそのコンピュータによるパターン認識および特徴抽出処理を開始する。
【0038】
図2に示す画像処理モジュール208は、パターン認識モジュール218を有する。パターン認識モジュール218は画像、特に区分けモジュール216により線引きされたROIを分析して画像内における形態学的および組織的パターン、または特徴の同定およびインデックス付けをする。区分け輪郭の内側および外側の双方の画素をスキャンして、疑わしい病変のパターンまたは局所的な特徴、およびモダリティ特有の特徴、例えば超音波診断の特徴を同定する。局所的な特徴、例えば局所的な突起形成、局所的な分岐傾向、局所的な導管の拡大、および局所的な微小分葉を同定することができる。また、区分け輪郭自体も分析されて診断に関連し得る疑わしい病変の特徴を同定することができる。他の特徴のうち、パターン、局所的な特徴、モダリティ特有の特徴、区分け輪郭から同定される特徴、その他の特徴が、予め定義された特徴のセット、例えばACR−BIRADS画像集により定義された超音波診断特性のセット、またはスタブロス(Stavros)特性のセットにおける描写と比較し、特徴のリストを一組の標準セットから同定されたものとして生成する。パターン認識モジュール218は画像を分析して、これらのパターンおよび局所的特徴を同定する。パターン認識モジュール218は、画像を分析して特徴、例えば区分けされたROI内における画素のクラスタリングおよびコントラストを同定し、または、画像を分析して周辺情報を含む専門知識のいくつかの概念を組み込み、より良い局所的特徴の同定ができるようにする。
【0039】
図2に示す画像処理モジュール208は、特徴抽出モジュール220を有して、これらの局所的な同定されたパターンから癌診断に関連し得る特別な特徴を抽出する。これら特徴としては、形状、配向性、角度差、病変境界、および硬化がある。これら特徴としては、さらに、特別な検出技術に固有な特徴もある。例えば、超音波画像に対しては、エコーパターンおよび残響的(posterior acoustic)特徴がある。
【0040】
一実施例において、特徴抽出モジュール220は、ACR−BIRADS画像集と組み合わせた一組の予め定義した超音波診断特性セットの描写と一致する特徴を検出する。すなわち、もし画像におけるオブジェクトの特性が、一組の予め定義した特性のセットに相当する特徴の描写を満たせば、特徴は同定および検出されていると考えることができる。特徴抽出モジュール220は、一組の予め定義した特性およびその特性の描写のセット、例えばACR−BIRADS画像集を用いて、自動化された特徴の同定および抽出を実行する。その特徴抽出モジュール220は、検出運用閾値を用いて、もし何れかの特徴が、パターン認識モジュール218により認識されるインデックス付けされた局所的特徴から同定できれば決定する。インデックス付けされた特性には、それぞれ、一致した特徴の描写に対して適合良好性インジケータに基づく確率を割り当て、画像における存在可能性の統計的尺度もたらす。特性は、確率が閾値を超えた場合に画像内に存在または検出されると考えられる。好都合には、全ての特性を同一の閾値で割り当てることができる。好ましくは、これらの閾値は一組の診断された画像セットの較正から得られるスタブロス(Stavros)運用閾値に基づくものとすることができる。その様な閾値は、各特性に依存し、そして一組の既に診断された画像セットの較正の結果から決定される。
【0041】
ソフトウェアシステム130は、決定モジュール210を有して、自動診断または評価の算出、および算出した診断の使用者への示唆を行う。決定モジュール210は、全ての同定した特徴の特性、例えば統計に基づいた各特徴が存在し得る可能性および特徴の範囲または寸法も含めて調査し、診断に関して各特徴の重要度を順位付けし、そして評価または診断を算出する。一般に、個々の範囲の評価が可能である。可能な評価の特定の集合は、使用された標準に依存する。例えば、評価は良性、悪性、もしくは確定不能のうち一つとすることができ、または、病変が属するBI−RADSカテゴリーのうちの一つとすることができる。換言すれば、決定モジュール210は、所見または抽出した一組の特徴セットを基礎モデルに基づいて病変の評価に位置付けする。異なるモデルが疑わしい病変の評価に採用することもあり得ることは、理解されるであろう。ソフトウェアシステム130のモダリティは、異なるモデルを同一の抽出した一組の特徴セットに適用して評価するのを可能にする。さらに、決定モジュール210の動作は特徴抽出モジュール220から独立していることは理解されるであろう。決定モジュール210は自動評価をもたらし、それは決定モジュール210に入力として与えられる一組の特徴セットが自動的に同定されるか、完全に使用者により手動で同定されるか、またはそれらの組み合わせによるかを問わない。換言すれば、決定モジュール210は、専用の副機能性をもたらすサブシステムと見なすことができ、すなわち、以前に述べたように評価を算出する。
【0042】
異なるモジュールを、異なる診断機能を行うために設けることができる。異なるモデルを適用することにより得られる評価は、必ずしも同一ではない。異なるモデルからの結果は、好ましくは適当な重み付けと組み合わせて算出した診断を下すようにする。図2の決定モジュール210は、AI規範(rule)モジュール222および評価モジュール224を有するものとして示すが、ソフトウェアシステム130のモジュール設計は、所要に応じて、診断モジュールの代替または追加が可能であると理解されたい。
【0043】
AI規範モジュール222は過去に取得した知識を活用し、この様な知識としては、例えば画像データを蓄積したプールからの診断、対応する生体検査結果、並びに、放射線技師および医師の集積的な知識がある。一実施例において、その知識は集約して一組の人工知能(AI)規範セットとする。この一組のAI規範セットから、パターン認識および特徴抽出によりなされた所見を、自動評価に位置付けすることができる。後に詳述するように、検出した特徴の全てが、同一の重要度であるとは限らない。検出および同定した特徴のそれぞれの重要度を、一組のAI規範セットに組み込む。AI規範モジュール222は、予備診断評価を一組の検出した特徴セットおよびそれらの個々の診断への相対的重要度に基づいて算出する。
【0044】
以下の実施例は一組のAI規範セットを作成する一方法のステップを概説し、この場合、統計モデルを構築する。診断済みの画像の蓄積プールを、その対応する生体検査結果と一緒に最初に選択する。これら画像ならびに既知の診断結果から同定した特性を、コンパイル(編集)する。これらのデータから、適したモデルが多変量適応的回帰スプライン(MARS)技術に基づいて構築することができ、そのモデルは次式(1)で表される一般的形式を有する。
【数1】
ここで、C0およびCiは係数であり、またBFiはi番目の基底関数である。各基底関数は、定義した一組の特性セットと、潜在的に定義した一組の基底関数セットとの定義した組み合わせを入力するものとして見なされる。例えば、基底関数はBF240=(ECHO=1 OR ECHO=3 OR ECHO=4 OR ECHO=5)*BF180の形式を有し、ここでECHOは複数の選択肢(1,3,4、または5)を有する一つの超音波カテゴリーである。基底関数ならびに係数の形式は、モデルを、統計データ、すなわち診断画像内で同定された特性ならびに診断画像に関連する既知の診断結果に適合させることにより得られる。
【0045】
一旦その様なモデルを構築すると、このモデルを、診断算出のためにAI規範モジュール222に組み込むことができ、この診断とは、すなわち診断画像内で同定した一組の特性セットに基づいて、病変が良性または悪性であるかの全体的な可能性である。評価の算定は、統計モデルを用いるものに限定するものではないと理解されたい。また、評価はスーパーベクトルマシン(SVM)法を用いて算出する、またはより複雑な手法、例えば神経回路網(ニューラルネットワーク)法を採用するAIエンジンを用いて生成することもできる。システムのモダリティによれば、所要に応じて、異なる評価エンジンのシステムへの組み込みおよび統合、ならびにこれら異なる評価エンジンの出力の組み合わせを行うことができる。
【0046】
評価は任意の方法で行うことができるが、一般に、評価モジュール224は、共通標準に合致する評価を使用者にもたらし、例えばBI−RADS評価のような診断を提供する。単独の評価を、自動的に算出された診断として使用者に提示することができる。好ましくは、一群の可能性のあるBI−RADS評価グループを使用者に提示する。一実施例において、使用者には、二つの評価グループ、すなわちBI−RADS1〜3に相当する「良性」である評価グループおよびBI−RADS4a〜5に相当する「悪性」である評価グループのうち一方を提示する。このとき使用者は、示唆された評価グループから特定の評価を選択、または示唆されたグループ以外から選択した評価を行う必要がある。これは、使用者による評価なしに自動診断を採用するするのを阻止しようとするものである。もちろん、グループ分けの他の精細度も可能である。例えば、可能な評価としては、「良性」、「中間またはほぼ良性」、および「悪性」に分けることができる。
【0047】
診断が算出された後、決定モジュール210が病変にタグ付けする、すなわち、病変をタイプに関連付けることもできる。いくつかの共通のタイプとしては、線維腺種(FA)、浸潤性腺管癌腫プラスDCIS進展巣(component)(II)、浸潤性腺管(ID)癌腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、および浸潤性小葉(IL)癌腫がある。一般に、疑わしい病変が特定のタイプであることの信頼性レベルの値を最初に算出する。もし、信頼性レベルの値が規定信頼性範囲内にあれば、病変はそのタイプに属するものとタグ付けする。図5は、疑わしい病変をDCISタイプ502としてタグ付けした様子を示す。
【0048】
図5につき説明すると、コントローラ504、例えばグラフィカルユーザーインタフェースにおけるノブ状のアクティブ化可能な領域により、使用者は上限閾値506および下限閾値508により規定される信頼性範囲を設定することができる。図5は、さらに、随意的に、異なるタイプ毎に算出される信頼性レベル値をスライドルーラー510上に表示し、病変タイプに関連する信頼性レベルを指示することができる。例えば、図5は、グラフィック表示として、タイプFA,II,ID、ILの信頼性レベルの値を、タグ付けしたタイプDCISと一緒に示す。これは、使用者に適当な疑わしい病変のありそうなタイプに関してフィードバックを与えるので有利である。図5は病変と関連する一つのタイプのみを示すが、数種類のタイプが病変に関する信頼性範囲にある信頼性レベル値を有することを示すようにすることもできる。このとき、システムは使用者にタイプの選択、すなわち信頼性レベル値が規定範囲に入るタイプであるか、または範囲外にあるタイプであるかを選択することを要求する。代案として、もしタイプが信頼性レベルの最大値である場合、システムは病変に対してそのタイプであると自動的にタグ付けすることができる。
【0049】
特性の自動検出を補完するため、注釈および変更モジュール212として実現した注釈ツールを設け、使用者が注釈を画像に加え、または既に入力された注釈を変更できるようにする。本明細書において、注釈とは、概して医用画像領域、領域の特徴もしくは特性、または領域内もしくは領域近傍のパターンに対して、例えばBI−RADSにより定義したような予め定義した一組の特徴セットから選択された特徴と関連付けることに言及するものである。注釈および変更モジュール212の支援により、使用者はソフトウェアシステム130により同定されない特徴を追加する、または偽陽性、すなわちシステムにより自動検出したが誤検出と考えられる特徴を除去することができる。使用者は、さらに、異なる確率を特徴に割り当てる、またはシステムにより割り当てた確率を変更することもできる。有利なことに、特徴のリストおよびその個別の確率が使用者により変更されると、システムは自動的に自動評価を再算出し、使用者に迅速なフィードバックを与えて使用者がより正確で改善された診断を下すことができるようにする。
【0050】
注釈および変更モジュール212は、検出した特性のリストを使用者に提供し、検討および注釈付けができるようにする。このようなリストは、図6に示すように、使用者に結果ウィンドウ600内で提示することができる。この結果ウィンドウ600には、一組の予め定義した特性セットの完全リストを、予め取り込んだ検出済みの特徴と共に設ける。一組の予め定義した特性の任意の適当なセットを用いることができる。これら予め定義した特性セットとしては、スタブロス(Stavros)特性およびBI−RADS画像集がある。一実施例において、予め定義したセットはBI−RADSのセットとする。結果ウィンドウ600は、使用者にディスプレイ114上で提示することができる。さらに、それはシステムに接続した遠隔のウェブブラウザ122でも利用可能にすることもできる。図6に示す結果ウィンドウ600は、画像ウィンドウ602および結果パネル604を有するものとする。合成画像を、画像ウィンドウ602に原画像と共に表示する。検出した特徴606を、可能であれば合成画像内に示す。特徴の若干に、注釈を付ける。アイコン、記号、または他のグラフィカル表示を使用して注釈608を指示する。結果ウィンドウ600の底部部分には診断パネル610を設け、算出した診断を表示し、かつ、使用者が認証された診断を選択できるようにする。また、結果ウィンドウ600の底部に示されているのはコメントウィンドウであり、コメントおよび注釈を入力する。
【0051】
画像ウィンドウ602に表示した合成画像と一緒に、システムにより自動検出した特徴を、好ましくは使用者にツリー構造の特徴リストで結果パネル604に提示する。図6につき説明すると、結果パネル604は一連のチェックボックス614をツリー構造と結び付けて表示し、その相互関係を示す。図6の各チェックボックスは、スタブロス(Stavros)特性の特性に対応する。これらのチェックボックスはアクティブ化しており、すなわちハイライト表示またはチェックマークを付ける。チェックされたチェックボックス616が示すのは、その特徴が左手側の画像ウィンドウ602に表示された画像内で検出したことである。チェックされていないチェックボックス618が示すのは、画像内で検出されなかった相当する特性または特徴である。
【0052】
使用者は、検出した特徴をリストから除去する、または特徴をリストに加えることにより自動検出を変更することができる。もし除去した特性が画像内の領域にトレースバックできるならば、表示した画像を自動的に更新して特性の除去を示し、例えば、対応するアイコンを除去することにより示す。反対に、使用者は自動検出処理でシステムにより同定されていない特性を加える、すなわち、医用画像内の位置を特性部位として同定することもできる。手動で画像に加えられた特性は、同定した特性のリストに自動的に追加できる。注釈および変更モジュール212によれば、使用者は、システムの所見を認証および確認し、そして必要な変更を彼または彼女の判断および専門知識に基づいて行うことができる。注釈は、各画像に対し複数回加えることができる。図6を参照すると、もし使用者が画像ウィンドウ602内の画像にトレースバックできる特性にチェックを付けないと、チェックを付けなかった特性620は自動的に画像から除去される。特性を追加するためには、使用者は単にその特性に対応するチェックボックスをチェックすればよい。また使用者は、注釈ツールを用いて、追加すべき特性に対応するチェックボックスを画像上の所望位置にドラッグし、そして離すことができる。選択した特性622を表わす記号またはアイコンが、選択した位置にドロップされる。このとき、使用者は、コメントウィンドウ612内で注釈毎にコメントを入力または編集できる。このステップは、所望のまたは要求されたと同数の注釈および特性に対して繰り返すことができる。特性が加えられ、または除去される度に、可能であれば画像を更新する。換言すれば、もし特徴を記号またはアイコンによって表現できるとすれば、その記号またはアイコンも追加または除去する。
【0053】
特徴(または特性)のリストを使用者が変更または更新するとき、システムはその算出した診断を同時に更新する。使用者が新しい特徴を加えるとき、その使用者は所見に確率を割り当てることもできる。一実施例において、使用者が加えた全ての特徴には100%の確率を割り当て、そして使用者が除去した全ての特徴には0%の確率を割り当てるが、他の確率の値も割り当てることができる。
【0054】
システムの一実施例において、9個の異なる診断カテゴリー、すなわち{保留、1、2、3、4a、4b、4c、5、および6}を設ける。このカテゴリーセットは、BI−RADSで使用されているカテゴリーに対応している。この手法によれば、1は陰性、2は良性所見、3は高確率で良性所見、4は疑わしい異常(さらに放射線技師により4a,4b,および4cに細分または精緻化され、4aは癌の疑いが低い所見、4bは癌の疑いが中間の所見、そして4cは癌の懸念が中程度であるが区分5と同じ高さではない所見)、5は悪性の高い示唆、そして6は明らかな癌である。
【0055】
これらの可能な診断はグループまたはバケットに分けられる。異なる細分性、すなわち異なる数のバケットを、実施できる。一実施例において、2バケット手法を取る。診断パネル610において、第1バケット624は、診断1,2,および3を有するものとして示し、また第2バケット626は診断4a,4b,4c,および5を有するものとして示す。ディスプレイ表示される初期結果において、システムはすべての特定診断の代わりに2個のグループのうち一方のみをハイライト表示する。使用者は診断をグループから選択し、診断を下す。使用者は、さらに、もし使用者が、システムにより算出された自動診断に強い異論があるならば、システムの決定を覆し、そしてグループ外から診断を選択することもできる。後に詳述するように、システムが何らかの報告書を作成する前に、使用者が診断を選択することを必須なものとすることができる。
【0056】
一実施例において、使用者は、一つの診断を初期設定(デフォルト)グループから選択する、すなわち一つの診断を第1バケット624または第2バケット626から選択することにより診断を認証しなければならないようにする。診断の選択がなければ、初期設定グループにおける可能性のある診断全てがハイライト表示される。これは、不慮に、自動検出の結果の詳細な検討なしに診断を確認する危険性を低減しようとするものである。
【0057】
注釈および変更モジュール212を使用すると、使用者は、上述のように、良性および悪性超音波診断特性の双方に対して注釈付けをすることができる。注釈および変更モジュール212は、使用者にコメント、および注釈に関する注記(注釈コメント)、または画像に関する一般的注意事項(概評)を加えることも可能にする。概評コメントは、コメントウィンドウ612に入力することができる。これらコメントおよび注記は、テキストとして入力する、予め規定されたコメントのリストから選択する、または音声−テキスト変換モジュールにより転記することができる。
【0058】
好都合には、注釈および変更モジュール212は、所見および放射線技師の評価を報告する一般的注意事項の一部として、要約テキストまたは要約注記を作成するための組み込みテンプレートを有するものとすることができる。テンプレートは、要約テキストの基本構造を、注釈および変更モジュール21が所見および認証された評価に基づいて選択できる適切な記述とともに提供する。このテンプレートは、放射線技師の流儀に従って個々の放射線技師により変更することができるようにし、より大きな融通性をもたせる。テンプレートから作成される注記は、さらに編集できるようにし、より大きな融通性をもたせる。図7はディスプレイにおける画面表示例を示し、そのディスプレイ画面表示例は、放射線技師が一般的注意事項の一部として所見に対してシステム生成した要約テキストを保存するのに使用することができる。放射線技師の病変の所感を記述する要約テキストも、同様に作成および保存することができる。図7から見て取れるように、病変に関連する情報を要約テキストに挿入し、これは結果パネル604に示されるものに対応する。例えば、病変が楕円形状702を有するものとして、低エコーのエコーパターン706により特徴付けられる等の平行配向704を、結果パネル604および所見パネル708の双方に示されている。
【0059】
報告モジュール214は、システムの出力周辺機器118に対して双方向に情報の授受をし、また動作を指示し、ならびにデータウェアハウス128と通信する。また、報告モジュール214は、ユーザーインタフェース112とも双方向に情報の授受をし、処理した画像または何らかの報告をディスプレイ表示する。一旦評価が使用者により認証されると、報告モジュール214はカレントアクティブ画像に対して報告書を作成する。その報告書はプリンタ120で印刷する、またはデータウェアハウス128に共有またはアーカイブするのに適した電子報告書とすることもできる。一例としてPDF形式の報告書とすることができる。このPDF形式の報告書を、必要に応じて、表示し、印刷し、または保存することができる。他の例として、DICOM構造の報告書とすることができる。要求された場合、報告モジュール214は、システムのデータウェアハウス128に画像に関する全情報、注釈および記号、関連するコメント、病変境界、BI−RADS評価、並びに選択した特徴をDICOM構造報告書の一部として処理した画像のために保存する。同一の情報をDICOM準拠の装置126に送信し、保存または他の医師もしくは放射線技師と共有するようにすることができる。
【0060】
報告書の内容は、概して初期設定により、使用者により注釈を付されたような処理画像で利用可能なデータに基づき、また他の関連情報、例えば施設または患者の識別情報、および患者の人口統計学的情報も含む。換言すれば、結果ウィンドウ600で利用可能なデータは、概して報告書に反映される。報告書は検出した特徴、例えば超音波診断特性とともに何れの注釈およびコメント、並びに使用者による変更を含むことができる。原医用画像およびその処理した対応物も、同様に含むことができる。報告書は、他の情報、例えば施設情報、患者の人口統計学的情報、ソフトウェア用アプリケーションの概説、およびそのアルゴリズム設定を含むことができる。最後に、報告書は、放射線技師の画像所見および評価を、例えばACR−BIRADS超音波レキシコン(画像集)分類(Ultrasonic Lexicon Classification)形式に適合した形式で有することができる。
【0061】
報告書は、チェックされて所見および評価を示す適当なボックスを有するフォームとして提供することができる。好都合には、報告書は、要約リストを有して全ての同定した特徴を列挙することができる。報告書は、さらに要約テキストを有する、または要約テキストで補足されたものとすることもできる。要約テキストは、注釈および変更モジュール212により作成した所見および所感に基づく、また放射線技師によりさらに変更されるものとすることができる。要約テキストは、生体検査を行うべきか否かの勧告を含むものとすることができる。
【0062】
報告書は、識別情報を追跡可能性および監査目的のために含むことができる。識別情報は、患者の識別番号、調査識別番号、固有の報告書番号、連続番号、タイムスタンプすなわち調査または報告の時刻および日付、または他の適当な識別情報を含むことができる。好都合には、暗号モジュールを設け、報告書に電子署名ができるようにする。暗号モジュールにより作成される電子署名は、複数または全ての識別情報を有して改善された監査能力をもたらし、そして報告書の不慮の変更を阻止し得る。
【0063】
一つの画像からの複数の病変は1回のセッションで処理することができ、この場合には、全ての所見を含む単独の報告書を作成することができる。代案として、複数の画像を1回のセッションで処理し、全画像における全病変についての全ての所見を含む単独の報告書を作成することができる。報告書は、所見を病変、同定された特性、処理した画像、または他の何らかの種類毎に分類することもできる。全体的な評価、例えばBI−RAD評価が所見の説明に、医用画像における複数の病変、一つの病変に対する複数の画像で見られるその病変、または複数の関連する画像における複数の病変に関して取り入れられて提供することもできる。
【0064】
好ましくは、報告書はDICOMセカンダリキャプチャ(Secondary Capture)としてファイル保管(アーカイブ)する。注釈、コメント、例えば病変境界といった画像処理結果、および診断結果は、DICOM準拠のファイルの一部としてファイル保管する。使用者は、例えば、報告書のPDF版を患者用の例証化ディレクトリに局所的に保存することもできる。このことは将来における参照を容易にする。もし、その合成レンダリングに関するインスタンスがその患者のアーカイブに既に存在すれば、新しいインスタンスを生成する。監査情報、例えばユーザーID、日付または時刻スタンプ、および検出した特徴の使用者による追加または変更を、各アーカイブしたインスタンスに記録することができる。
【0065】
図8につき、作業の流れ(ワークフロー)800のステップを以下に詳細に説明する。これはシステムにより実行されるワークフローであり、放射線技師のワークフローと適合させるが、更なる柔軟性を持たせ、また使用者制御を処理に組み込む。画像は最初に画像取得システム102により取得および読み込み、それは画像取得ステップ810において画像ローダ204の制御下で行う。前述したように、画像ローダ204は画像を医用スキャン装置から読み込み、医用画像を画像データベース110から読み込み、またはとくに医用画像を遠隔の画像サーバ108から受信することができる。
【0066】
画像を読み込んだ後、ステップ812で画像表示および操作モジュール206が画像をディスプレイ114に表示する。使用者は画像の表示を様々な手段で操作して、全体または特定の部位に焦点を合わせて画像をよりよく検分できるようにする。例えば、使用者は画像を拡大・縮小、または回転できる。使用者は、画像の輝度およびコントラストレベルをディスプレイ114に表示したままで調整できる。従って、使用者は極めて詳細に画像を検査し、ならびにこの状況におけるあらゆる疑わしい部位をも見ることができる。一実施例において、画像取得サブシステム102は複数の画像の取得を支援する。画像表示および操作モジュール206は、選択用に所定個数(例えば4個)の画像をステップ812で設ける。例えば、画像スキャン装置は、患者の解剖学的部分、例えば胸部の数個の断面画像を、放射線技師による検査および選択のために用意する。画像表示及び操作モジュール206は、全ての断面画像をディスプレイ114に表示する、またはこれら断面画像のうち1個を表示するとともに残りをいくつかのサムネイル表示で表示することができる。使用者、例えば放射線技師は、断面画像表示のうち1個を選択して更なる評価および検討をすることができる。乳房用超音波画像の場合、同時に2個のビュー(一方はラジアル、他方はアンチラジアル)を用意し、これらビューは「RおよびARビュー」として知られている。
【0067】
次のステップ814で、使用者は注釈および変更モジュール212に関連して説明した注釈を選択した画像に付加することができる。使用者は、結果ウィンドウ600に自動検出した特徴を予め配備した後に注釈を付加することもできる。つぎに、ステップ816で、使用者はROIを同定および選択することによりCAD処理を開始する。ステップ816でROIを同定した後、区分けモジュール216が画像処理を開始し、そして可能性のある異常部位、例えば小結節の境界を同定することを試みる。
【0068】
区分けステップ818の間、一連の可能性のある境界または疑わしい小結節の輪郭を生成する。自動的に一つの境界を選択する代わりに、区分けモジュール216は画像表示および操作モジュール206に要求して可能性のある境界を個々の画像にオーバーレイして一連の候補画像を用意し、そしてこれらの候補画像を使用者による選択のために用意する。
【0069】
ステップ820で、使用者は候補のうち1個を選択して、その選択をシステムに例えば「OK」ボタンを押すことで通信する。システムがステップ818で使用者から選択を受信すると、システムはつぎの処理をステップ822で開始する。ステップ822では、パターン認識および特徴抽出を行う。推移的に、使用者は、図4Bに示されるように、制御ポイント410を候補の輪郭上で画定または変更し、および制御ポイント410の移動または編集によって、選択した輪郭を手動で変更することができる。
【0070】
ステップ822で検出した特徴は、つぎに決定モジュール210に供給し、算出診断を算出する。この自動診断ステップは、AI規範位置付けステップ824を有するものとすることができ、このステップ824中に、AI規範モジュール222がこれら特性を一組の予め定義したAI規範セットに基づく中間結果として位置付けする。評価モジュール224は、AI規範位置付けの結果を検出した特性の分析に組み合わせ、ステップ826における自動診断に達する。
【0071】
ステップ828で、結果ウィンドウ600において使用者は初期結果を自動検出処理から提示される。結果ウィンドウ600は、全ての検出した特徴ならびに示唆された診断グループを予め配備する。
【0072】
使用者は、結果パネル604に示されるチェックボックスを選択または選択しないことにより特徴を追加または削除することができる(ステップ830)。この動的に変更した特徴リストならびにその割り当てた確率に基づいて、自動評価モジュール224は算出した診断を動的に更新する。診断の異なるグループは動的に表示することができ、そのことはもし特徴リストの変更が自動診断を一つのグループから他のグループに変更する場合、例えば4a,4b,および5のうちの一つから、1,2,もしくは3のうちの一つに変更する場合、またはその逆の場合である。
【0073】
使用者が、画像中に見られる特徴が特徴パネルに全て選択され、また特徴チャネルのチェックボックスが誤検出していないことに納得した後、使用者は診断を確認または選択することができる(ステップ832)。診断が使用者により認証または選択された後、ステップ834で報告モジュール214が自動的に報告書を作成する。分析結果はデータウェアハウス128に保存する、または他の医師もしくは放射線技師と共有することができる。使用者による操作の履歴は、ROIの選択、区分け候補の選択、結果の注釈付けおよび変更、および診断の認証も含めて、全て保存することができる。これにより、画像処理ワークフロー800が完了する。
【0074】
本明細書に記載したワークフロー800は一度に1個の画像を処理するものであるが、変更を加えて、システムを、複数の病変または複数の関連する画像を単一のセッションで処理するのに使用できることは理解できるであろう。例えば、システムは使用者がステップ816に戻ることを可能にするように構成し、報告ステップ834に直接進む代わりに、ステップ832の終わりで別の病変またはROIを選択することができるようにする。使用者は、ステップ810に戻って他の画像を読み込み、同一のセッションで処理することもできる。システムは、さらに、異なる画像に示された同一の病変を相関させるよう構成することもできる。同一画像または全ての画像における全ての病変が処理された後、使用者はステップ834に進んで一つの報告書を作成することができ、この報告書には処理された全画像における全病変の結果を含むものとすることができる。さらに、全体的な評価が、(全ての画像における)全ての病変で同定された全ての特性に基づいて作成されて使用者に提示され、検討および認証される。
【0075】
一実施例において、システムは使用者を支援して一つの病変に対して複数の画像を処理するように構成する。図9につき説明すると、この図は一つの病変に対する複数の画像の処理がループ900で行われる処理を示す。ステップ910において、複数の画像のうち1個を最初に読み込む。この読み込んだ画像は、既に区分けした、またはまだ区分けしていないものとすることができる。一旦読み込んだ後、ROIをステップ920で同定し、それは例えばROIの「シードポイント」および寸法を、図3Aに示すようなグラフィカルポインティングデバイスを使用して、または図3Bに示すような同定パラメータをウィンドウ内で入力することにより行う。つぎに、画像をステップ930で検査し、同定されたROIが区分けされたか否かを決定する。もし既に区分けがされていれば、区分けステップ940をバイパスすることができる。また使用者は、たとえ画像が区分けされていなくても区分けステップをバイパスすることを選択することもできる。前述したように、使用者は注釈ツールを使用して特徴のリストを同定してシステムに与えることができ、これによりシステムは診断を算出できる。もし区分けステップをバイパスする場合、システムはステップ950を開始してその後の処理、例えばパターン認識、特徴抽出、および診断算出を行う。代案として、またはROIを区分けする場合には、画像は区分けステップ940を行う区分けモジュール216に転送され、そして更なる処理がされる。
【0076】
画像が処理された後、例えば図8につき説明したような残りのステップ818〜822の後に、処理はループ900の最初まで戻って第2画像を読み込む。同定ステップ920で、ROIは再び同定される。次のステップで、ROIを検査し、既に区分けされているか、または区分けが必要であるかを決定する。好都合には、もし第2画像が区分けされていれば、第2画像における区分けした病変は、第1画像中の病変と関連付けし、または、第1画像における区分けした病変の位置および境界は、有利に第1入力として第2画像における病変の区分けに使用できる。次に第2画像を処理し、そしてこの処理は、複数の画像のそれぞれが処理されるまでループ900の最初に戻る。
【0077】
他の実施例において、システムは使用者を支援するように構成し、複数の病変を画像毎に複数の病変、または複数の画像における複数の病変を処理する。図10は、使用者が追随する一連のステップを示し、2個の病変を画像毎に区分けし、これらの2個の病変に対して2個の画像を用意する。図11A〜図11Dは、いくつかの例示的なスクリーン画面であり、このスクリーン画面は、使用者が図10に示すステップを追随することでシステムにより作成される。
【0078】
ステップ1010で、2個の画像を読み込み、使用者に病変候補の選択のために示す。図11Aは、第1病変1104を有する第1画像1102およびやはり第1病変1104を有する第2画像1106を、使用者に表示されるとおりに示す。ステップ1020で、使用者は第1病変1104を画定するパラメータを入力する。病変を画定する一例は、図3Bにつき前述されている。ステップ1020では、第2病変1108も同様に画定される。
【0079】
このように同定した病変は、病変を囲む円形またはほぼ楕円形の曲線でマーク付けすることができ、画像およびマーク付け円または楕円の曲線を含む合成画像とする。図11Bは、第1画像1102および第2画像1106の双方における楕円曲線1110でマーク付けした第1病変1104を示す。
【0080】
図10に戻って説明すると、ステップ1020で同定した病変を区分けする。システムは画像を前述のようにして区分けし、複数の区分け候補を選択用に用意する。同定したROIを有する画像、および使用者により区分けおよび選択された画像を、並べて表示することができる。一例として、図11Cは、区分けパネル1114内における1個の区分け候補1112を右手側に示し、また第1画像1102における第1病変1104を囲む楕円曲線1110を左手側に示す。この実施例において、1個の区分け候補のみをシステムにより用意したが、複数の候補を用意するのが一般的であることを理解されたい。図11Dは、区分け候補1116を区分けパネル1114中に示し、また第2病変1108を左手側の第1画像1102に示す。
【0081】
他の実施例において、システムは1個の病変に対して複数の画像を読み込む能力を活用して、区分けを三次元空間で実行する。三次元領域は一連のスライス片により表現することができる。各スライス片は二次元画像でも良く、そして病変に関連する領域を含む。一連の画像またはスライス片が読み込まれると、各スライス片における病変の表示は相互に関連付けする。したがって、スライス片のスタックは三次元データセットをもたらす。二次元区分け処理のように、システムは三次元データセットを区分けして一連の区分け候補を三次元空間に使用者による選択用に用意することができ、各区分け候補は三次元の包絡線となって疑わしい病変を囲む。使用者は、候補から一つの包絡線を選択することができ、その包絡線は疑わしい病変の境界に最も適合するものである。
【0082】
変更を加えた他の実施例において、CADシステムはテンポラリウィンドウ、すなわち一時的に配置された表示領域に一連の画像を使用者による検討および選択用に表示する。有利には、テンポラリウィンドウに表示されたこれらの画像は、「サムネイル」画像とすることができる。例えば、ステップ910で、1個の画像を読み込む代わりに複数個のサムネイル画像をテンポラリウィンドウに読み込んで選択できるようにする。サムネイル画像は読み込まれた医用画像のバージョンであり、概して縮小サイズにし、例えばその解像度を低減している。その縮小サイズにより、サムネイル画像は概してより速い処理および操作を可能にする。これらのサムネイル画像に相当する画像は、三次元データセットの異なるスライス片とすることができ、ハイライト表示された異なる病変を有する医用画像の異なるバージョン、同一の病変を示す異なる医用画像、または異なる回に撮影された同一領域の画像、またはそれらの組み合わせとすることができる。これらの画像は、リアルタイムで取得された画像またはアーカイブから読み出された画像とすることができる。
【0083】
これらのサムネイル画像は、使用者による検討および選択のために疑わしい病変候補をハイライト表示した一連の画像とすることができる。好都合には、これらの病変候補はシステムにより自動的に同定されたものとすることができる。例えば、システムはこの目的のために病変ロケータを設けた画像プロセッサとすることができる。病変ロケータは、サムネイル画像に対応する画像のそれぞれについて最初に全ての画素をスキャンして、画像分析を実行する。明確な特徴を有すると思われる領域は、病変候補に関連する領域として使用者に示唆される。代案として、背景と異なる組織のような特性を有する領域を、病変候補として使用者に示唆することができる。したがって、システムは動的に多数の病変候補を使用者による選択用に提供することができ、それは使用者が最初にシステムへ関心領域を同定または画定することを要求しない。システムは、病変候補に対応する領域のそれぞれを更に区分けすることができ、また各病変候補とともに各病変候補に対する最良の区分け候補を使用者に提示することができる。このようにして、ステップ920〜940は自動化して使用者の介入を最低限にすることができる。このことは、一層の支援を医用画像における病変同定において使用者にもたらす。
【0084】
病変候補は任意の適当な方法を用いても同定されることができ、上述の実施例に限定するものではないと理解されたい。例えば、三次元データセットの場合において、スライス片の一つで同定した病変は隣接するスライス片における病変を指示することができる。他の例として、MRIデータセットは規則的な時間間隔で取得された一連のコントラスト増強MRI画像とすることができる。検査前または検査中に、コントラスト増強剤を患者の腕の静脈に注入する。一般的には、ガドリニウム系の造影剤(例えばGd−DTPA)を使用する。造影剤の使用は、正常組織と異常組織との間により大きなコントラストをもたらす傾向がある。増強の時間変動を分析することも、撮影した領域のサブセットもしくはサブボリューム、または複数のサブセットを、病変候補として線引きするのを容易にし、これら病変候補をシステムが使用者に示唆することができる。
【0085】
有利には、サムネイル画像を表示するテンポラリウィンドウは、使用者に興味を起こさせ得るサムネイル画像を表示するよう構成することができる。例えば、使用者は画像を選択し、この選択した画像をテンポラリウィンドウ内に後処理のために配置することができる。このテンポラリウィンドウに配置した画像は、処理しておく、部分的に処理しておく、または全く処理しないでおく。部分的に処理した画像は、使用者により同定した少数の病変を有する場合があるが、病変から特徴を抽出するよう処理しないでおく。好都合には、CADシステムは全ての新たに取得した画像を処理して上述のように病変候補を同定し、またテンポラリウィンドウに、少なくとも1個の疑わしい病変を含む画像を配置することができる。このように、テンポラリウィンドウは、その中に使用者が更に調べようとする画像に対応する一連のサムネイル画像を配置しておくことができる。好ましくは、サムネイル画像はランク付けし、放射線技師がその優先順位を決めるのを支援する。任意の適当なランク付け装置を使用することができる。例えば、サムネイル画像のリストは、画像が病変を有していそうな可能性によりランク付けすることができる。このとき、最も疑わしい病変を有する画像をリストのトップに配置する。または、色付けシステムを開発して可能性を指示するようにすることができる。例えば、赤色の輪郭を使用して、病変候補が最も疑わしいことを示し、黄色は大きな病変疑惑を示すのに使用し、また青色を未処理の画像を示すのに使用することができる。また、異なるランク付けシステムを組み合わせて、よりよく放射線技師を支援できるようにする。
【0086】
病変候補を同定した後、使用者またはシステムのどちらかにより選択された場合でも、使用者はCAD処理を続けることができる。例えば、CAD処理は病変候補に関する特徴抽出を続け、そして抽出した特徴から診断を算出することができ、この詳細は前述している。もちろん、使用者はパターン認識および特徴抽出をバイパスすることを選択し、また医用画像内における特徴を手動で選択するよう決定することができ、このことは前述した通りである。このとき、CADソフトウェア130を使用して、単数または複数の病変に関連して手動で同定した特徴から診断を算出する。
【0087】
操作において、使用者は最初にCAD処理を、1個または複数個の画像を取得することにより開始し、これによりシステム100は画像を読み込んで検討および詳細な分析ができるようになる。このような詳細な検討は、使用者が同定したROIまたは一般的評価に基づく。システムまたはソフトウェアシステムは、初期的に複数の、例えば6個の区分けした画像の候補または疑わしい病変の候補のギャラリーをディスプレイ114に表示する。使用者は任意の候補を選択し、そして双方向のかつ制御した画像分析をリアルタイムで実行して解剖学的組織および病変の詳細な分析に供することができる。
【0088】
もし画像がリアルタイムで取得できれば、システムは、使用者にフィードバックを与え、また使用者をガイドして医用スキャン装置104を調整してより良い画像を取得するように構築できる。これは放射線技師が最適画像を1回の検査セッション中に取得することを可能にし、それは次善の画像しか取得できないことに起因して患者を再検査のために呼び戻す必要なしに行える。次善の画像は、例えば人工的な陰影(シャドウイング)により生じ、その陰影は超音波トランスデューサの不適切な向きまたは位置決めに起因する。リアルタイムのフィードバックにより、使用者は超音波トランスデューサの向きおよび位置を調整して何れの人工的な陰影を除去できる。または、使用者はトランスデューサを動かして疑わしい領域を掃引ことができる。画像取り込み(frame-grabbing)技術が備え、機器の最適な向きおよび位置の特定を支援することができる。不適切な圧力がトランスデューサ/ジェル/皮膚の界面に加わると、取得された超音波画像の質が低下した時に、システムはリアルタイムでフィードバックすることができ、例えば、もし過大な圧力が加えられた場合に警報を発することができる。
【0089】
CADシステムの支援により、使用者は1個または複数個の最適画像を取得して、組織内に存在し得るいかなる異常も明瞭に示すことができる。以下のステップが続くことができる。画像は最初に必要であれば区分けして区分け候補の番号を選択のために提示する。システムは選択した区分け候補を処理し、そして診断に関係すると考えられる特徴を同定または抽出する。自動診断を抽出および同定された特徴に基づいて行う。システムは検出した特性を重ね合わせた入力画像の合成レンダリングを表示する。初期設定による合成レンダリングは、全ての検出された特性を表示する。検出した特性を、結果ウィンドウ600に検出した特徴リストとして自動的に予め配備する。
【0090】
検出処理の使用者による更なる制御が、この時点で可能である。例えば、前述したように、使用者はシステムにより初期的に同定された特徴のいくつかまたは全てを追加または除去できる。AI規範モジュール222および評価モジュール224は、使用者による変更に基づき自動的に診断を算出または再算出し、その後BI−RADS評価を自動的に更新する。報告書は使用者により診断が認証された際に作成することができる。代案として、使用者は医用スキャン装置を移動または調整してより良い画像を取得することができ、この良質画像から特徴をより高い信頼レベルで同定または抽出できる。使用者は、最適画像が得られるまで、医用スキャン装置の調整、ならびに画像処理および分析の結果の検討をし続けることができる。
【0091】
上述したように、異なる医用撮像装置をCADシステムに統合することができる。図12に示す一実施例においては、医用スキャン装置104を超音波装置1202とし、この超音波装置1202は、画像のフレームを超音波トランスデューサの位置および向きでインデックス付けする専用のソフトウェア用アプリケーション1204を有するものとする。このソフトウェア用アプリケーション1204は、超音波装置1202およびCADソフトウェアシステム130の双方に動作可能に接続する。超音波装置1202により取得したいかなる医用画像もインデックスを有し、このインデックスは画像撮影時のトランスデューサの位置座標および配向角度に対応する。超音波装置1202のオペレータが、超音波装置1202のトランスデューサを患者の周りで動かすと、一連の画像1206を生じ、これら画像は、それぞれ位置および向きのインデックスを有する。オペレータは一連の画像を検討し、そして最高の質と思われるものを一連の画像から選択し、更なる処理に供する。例えば、選択されるとすぐ、最高の画像1208を区分けし、また6個の区分け候補のギャラリーをテンポラリウィンドウ1210に表示して使用者による選択に供され、そして更なる特徴抽出を選択した区分け候補に対して実行することができる。代案として、オペレータは、一連の画像をCADソフトウェアシステム130に供給してCAD処理を各取得画像に開始することができる。
【0092】
上述したように、CADソフトウェアシステム130を使用して、特徴のリストを各画像から同定および抽出し、また自動診断を抽出および同定した特徴に基づいて算出できる。オペレータは、全ての画像に対してCAD処理が完了する前に一連の画像が最適画像ではないとの決断を下すことがあり得る。例えば、それはトランスデューサの不適切な位置決めまたは向きのせいで複数の人工的な陰影が画像に付くときに起こり得る。人工的な陰影は、CADソフトウェアシステム130が画像中の本当の異常を正確に同定することを困難にする。超音波トランスデューサに加えられた不適切な圧力も、画質を低下する。画像の低品質の早期発見は、オペレータが検出パラメータ、例えばトランスデューサの位置、向き、もしくは圧力、または患者の位置さえ調整できるようにし、これにより最適画像が得られる。このことは、取得した画像の質に関する迅速なフィードバックをオペレータに与え、修正行為、例えばトランスデューサの再位置決めを行うことができる。
【0093】
オペレータが、最適画像を取得できたと納得した時点で、オペレータは1個の最良画像1208を選択することができ、CADソフトウェアシステム130がCAD処理を続行することができ、このことは前述した通りである。自動的に検出した特徴のリストならびに自動診断は、区分け候補が使用者により選択されたとき、特徴から算出する。結果は結果ウィンドウ600に表示される。使用者は、前述したように、次にシステムにより自動的に同定した特徴を確認または変更し、その後に使用者に提示された診断の示唆グループに基づいて診断を認証する。認証された診断は、医用画像および他の検出結果とともに、保存し、送信されて他の放射線技師と共有され、または報告書を作成するのに使用され、これらのことは出力装置1212を使用して行われる。
【0094】
有利には、CADソフトウェアシステム130をトランスデューサに接続し画像をリアルタイムで取得するとき、オペレータはトランスデューサまたはプローブの位置および向きをプローブ/トランスデューサ位置ウィンドウを介して入力して報告書に含めるようにする。図13Aは、グラフィカルユーザーインタフェースを示し、使用者が位置および向き情報を入力する。位置は、場所をワイヤフレーム図1302におけるポイントを選択することにより入力することができる。向き情報の入力を容易にするために、プローブまたはトランスデューサを示す長方形1304を、ワイヤフレーム図の上に重ね合わせて表示する。長方形1304を回転することにより、プローブまたはトランスデューサの向きが入力できる。図13Bは、報告書の1ページを示し、そのページには記録された位置および向き情報が記載される。
【0095】
図14は、上述した処理1400を要約したフローチャートを示し、最適画像を取得し、その後に診断がCADソフトウェアシステム130により作成された算出結果に基づいてなされる。手短に言えば、オペレータは処理をステップ1402で開始し、医用スキャン装置104を用いて画像を取得する。つぎに、ステップ1404でオペレータはCAD処理を開始して取得した1個または複数個の画像を分析し、そして診断に関連する特徴を抽出および同定する。CAD処理中、オペレータは取得した画像が最適かどうかを決定し、そして画像取得条件、例えばトランスデューサの位置および向き、または患者の体位取りを、ステップ1406で適宜調整して最適画像を取得する。この処理は、オペレータが最適画像を取得できたと納得するまで繰り返すことができる。つぎにオペレータはステップ1408に進み、診断を、最適画像から同定および抽出した特徴、ならびに抽出した特徴から算出した診断に基づいて行う。
【0096】
上述の処理1400の変更例も可能である。例えば、リアルタイムのフィードバックを処理中に行い、使用者が全ての取得画像に対してCAD処理を完了させる必要がないようにする。例えば、各スキャンは一連の画像を作成し、これら画像をテンポラリウィンドウに一連のサムネイル画像として表示することができる。上述したように、サムネイル画像は全て、システムにより自動的に同定された同一の病変の異なるビューを有するものとすることができ、または同一の初期画像で各サムネイル画像に同定された異なる病変を有するものとすることができる。ステップ1404〜1406へ更に進む前に、使用者はサムネイル画像から1個または複数の画像を選択して詳細検討し、そして残りの画像を廃棄することができる。このようにして、処理1400を用いて最適画像を取得する代わりに、使用者は処理1400から変更した処理を用いて動的に画像を選択して特定の疑わしい1個または複数個の病変を検討することができる。
【0097】
他の実施例として、図12に示す機器構成もオペレータに病変の弾性、すなわち弾性(elastography)画像を取得することを可能にする。処理を開始するために、オペレータは検査下の組織領域に多少の振動を導入することから始める。例えば、オペレータは何らかの圧力を病変の周辺の組織に加え、その後にその圧力を釈放する。異常領域、例えば病変または小結節は、その周囲の組織と比べて異なる弾性を有することは理解できるであろう。振動が組織に導入されると、異常領域の弾性が一連の映像または画像から調査される。異常領域は異なる弾性を有し、したがって振動に周囲の組織と比べて異なる応答をする。取得した一連の画像は、時系列でインデックス付けされると、病変または小結節を弾性変化に基づいて同定するのに用いることができる。一実施例において、区分けモジュールがこれらの弾性の差を一連の映像から同定されるものとして活用して、より良い区分け候補の選択をもたらす。
【0098】
別の実施例における追加的な例として、図12に示す医用スキャン装置104をドップラー撮像装置とする。ドップラー撮像装置は血管中の血流に敏感に反応することは理解できるであろう。もし、トランスデューサが過大な圧力を組織に加えると、それにより血管内で血流を妨げ、取得した画像の画質は粗悪なものとなる。図12に示す機器構成により提供されるシステムは、もしトランスデューサにより加えられる圧力が高すぎれば迅速なフィードバック、例えば警報をオペレータに与える。検出および取得条件の調整ステップの一部として、オペレータは患者の皮膚に加わるトランスデューサの圧力を調整でき、最適なドップラー画像が取得できる。
【0099】
本発明の種々の実施例を詳細に説明した。当業者は、多数の変更、適用、および改変を本発明の範囲から逸脱することなく実施例に対して加えることができるであろう。上述の最良の実施形態における変更および/または最良の実施形態への付加は、本発明の本質、精神、または範囲から逸脱することなく行えるので、本発明はこれらの詳細な説明には限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例を組み込んだCADシステムを示す線図的ブロック図である。
【図2】図1に示すCADシステムを制御するソフトウェアシステムの機能的コンポーネントおよびアーキテクチャを示す線図的ブロック図である。
【図3A】図1に示すシステムにより使用者に提示されるディスプレイ上の画面表示例であり、その画面表示から使用者が初期の区分候補を選択でき、そして詳細検討のために関心領域(ROI)を画定できるディスプレイ表示である。
【図3B】使用者用のディスプレイにおける他の画面表示例であり、使用者が同定パラメータを入力して詳細検討のために関心領域を画定するのに使用するディスプレイ表示である。
【図4A】図1に示すシステムにより使用者に提示されるディスプレイ上の画面表示例であり、その後の処理および検討のためにこの画面表示から使用者が複数の区分候補の一つを選択できるようにするディスプレイ表示である。
【図4B】図4Aの区分候補を概略的に示し、その区分境界の輪郭およびその制御ポイントのみを示す説明図である。
【図5】図1に示すシステムにより生成したディスプレイ上の画面表示例における、タイプDCISの病変としてタグ付けした疑わしい病変を示すディスプレイ表示である。
【図6】図1に示すシステムの使用者に提示されるディスプレイ上の画面表示例であり、初期の結果を使用者による詳細評価のために表示し、図6に示された区分候補の一つから使用者により選択された区分候補の処理の結果を示すディスプレイ表示である。
【図7】放射線技師が、組み込まれたテンプレートおよび図6に示す結果から生成した所見上の要約テキストを変更および保存するのに使用できる画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図8A】図2に示すソフトウェアシステムにより実施されるワークフローの前半のステップ群を示すフローチャートである。
【図8B】図2に示すソフトウェアシステムにより実施されるワークフローの後半のステップ群を示すフローチャートである。
【図9】図8Aおよび図8Bに示すプロセスから変更した、一つの病変に対して複数の画像をループ処理するプロセスを示すフローチャートである。
【図10】図8Aおよび図8Bに示すプロセスから変更した他のプロセスであって、画像毎に複数の病変に、または数個の病変を複数の画像上に区分けするステップ群を示すフローチャートである。
【図11A】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図11B】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図11C】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図11D】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図12】図1に示すシステムとは異なる組み込みを行ったCADシステムを概略的に示す説明図である。
【図13A】図12に示すシステムの使用者がプローブまたはトランスデューサの位置および方位情報を入力するのに使用できる画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図13B】入力されたプローブまたはトランスデューサの位置および方位情報を組み入れた報告書の画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図14】操作者が図12に示すCADシステムを使用して最適画像化結果を得て診断を行う処理を概略的に示す説明図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してコンピュータ支援検出(「CAD」)および異常分析の分野に関するものである。とくに、本発明は医用画像内における異常の自動検出および医用画像の分析、ならびにその自動評価に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌の早期検出が重要視され、より多くの人が早期スクリーニング計画、例えばマンモグラフィによる乳癌検診、および乳癌用の世界的な超音波スクリーニング計画の一部に参加している。いくつかの最近の研究は、診断用胸部超音波検査法が、悪性の充実性病変または充実性結節から多くの良性のものを上手く見分けることを支援し得ることを示唆している。例えば、スタブロス(Stavros, A. T.)氏らによる非特許文献1が示唆しているのは、超音波検査法を使用して、多少の充実性病変を良性として正確に分類することができ、生体検査法よりはむしろ画像化検査を可能にすることである。スタブロスは、病変を検査する一般法を提供し、それは一組の予め定義した特性セットおよびその描写(スタブロス特性)に対応する超音波画像の特性の検出および評価による。このような局所的な特性としては、局所的な突起形成、局所的な分岐傾向、局所的な導管の拡大、および局所的な微小分葉がある。
【0003】
一般に、功を奏する異常の早期検出および癌の診断は、放射線技師に上手くかつ正確に個々の医用画像に見られる組織塊の特性を同定および評価することが必要であり、それにより悪性充実性結節から良性のものを見分ける。医用画像としては、マンモグラフィまたは超音波スクリーニングから得られる画像、すなわちX線画像(もしくはデジタルX線画像)または超音波画像に限定されず、任意の内部画像取得技術を利用する任意の適当な医用スキャン装置から得られる医用画像もあり得る。このような医用画像のいくつかの例としては、超音波画像、ドップラー画像、スペクトルドップラー画像、X線画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、陽電子放出断層撮影(PET)画像、PET−CT画像、および磁気共鳴影像法(MRI)画像がある。
【0004】
X線検査技師の経験および専門知識は、特徴を正確に同定するのに重要な役割を果たし、十分な情報を得た診断を下し得るようにする。コンピュータ支援検出は、癌および他の疾病の検出および診断においてますます不可欠な課題解決手段となる。現代技術は、多様な方法で進歩しており、放射線技師を支援して医用画像中に見られる組織塊の一連の特性を自動的に同定および評価する。例えば、技術は進歩して放射線技師を補助し、超音波診断特性の自動的な同定および評価をして、悪性腫瘍の超音波診断所見から医用画像における良性の特徴を見分け、そして個別の良性所見と悪性所見とを組み合わせて小結節を良性または悪性に分類することで診断を行う。また、画像内における候補病変または潜在的異常を自動検出およびマーク付けし、そしてそれにより医用画像の解釈において放射線技師を支援することも知られている。デジタル化した医用画像の汎用性またはアクセス性は、コンピュータ化された画像処理およびコンピュータ支援検出を更に容易にする。
【0005】
しかし、コンピュータ化されたパターン認識がここ10年程前から著しい進歩を見せる一方で、時々、コンピュータ利用技術は大部分または全ての異常を同定することに未だに困難性を有する。望ましいのは、悪性病変を病変の初期段階において見逃さないことである。放射線技師が、非常に高い信頼を自動化された検出の結果に置けないため、生体検査を命ずることがあり、しかしこの生体検査は、不必要であると判明することがある。さらに、もし首尾よく医用画像内における全ての関連する特性の検出が可能だとしても、自動診断は常に正確な診断を提供しないかもしれず、それは例えば、診断エンジンに備わるモデルの精巧さの不足または欠如に起因する。
【非特許文献1】スタブロス氏ら(Stavros, A. T., et al)の論文、「充実性胸部結節:超音波検査法の良性および悪性病変間の区別への使用」(“Solid breast nodules: use of sonography to distinguish between benign and malignant lesions”)、放射線医学(Radiology)第196号;第123〜134頁、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のものは、全てのCADシステムに対して、抽出、すなわち医用画像および医用画像内における特性および医学的特徴を同定し、そして医用画像内における自動的に検出した特性に基づいて診断を示唆する上で、課題および制約を引き起こす。従って、従来技術に比べてよりよいCADシステムおよび方法に対する必要性が存在する。本発明の目的は、上述の欠点のうち少なくとも一つを軽減または取り除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンピュータ支援自動検出、並びに医用画像内における異常の同定および医用画像の分析に関する。検出した異常に対するコンピュータ支援評価も行う。疾病の診断に関する医用画像内における特徴を、同定し、そして検討のために使用者に提示する。有利には、医用画像は、まず区分けして1個以上の区分け候補を規定し、その後の画像処理を容易にする。区分け候補は、単一または複数の区分け候補から、使用者による手作業、またはシステムによる自動検出もしくは同定により、確認または選択される。区分した医用画像は、分析して画像内における診断に関連する特徴を抽出および同定し、それに基づいてシステムは、同定した特徴を診断モデルと重ね合わせることで初期診断を算出する。使用者には、注釈ツールを提供し、使用者に提示される同定した特徴のリストを確認または変更する。特徴のリストの変更に基づき、修正された診断を動的に再算出する。使用者が算出した診断を確認または変更して診断を選択する際に、、医用画像中に存在する特徴を反映して使用者によって認証されたものとして、また、使用者により確認または変更した診断として、診断報告書を作成がする。
【0008】
本発明の第1態様として、1個の医用画像または複数個の医用画像に存在している異常の、双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムを提供する。このシステムは、医用画像を処理し、異常の診断に関連する医用画像中の特徴を抽出するプロセッサであって、その抽出した特徴は、一組の予め定義した特徴セットの描写を満たすものとた該画像プロセッサと、抽出した特徴から算出した診断を生成する決定エンジンと、使用者が、抽出した特徴の下に医用画像中で一組の特徴セットを同定し、そして一組の同定した特徴セットおよび算出した診断に基づいて診断を下す、注釈および変更ツールと、を有する。
【0009】
本発明の態様の一つの特徴として、複数の規範を、診断済みの医用画像を蓄積したプールから較正する。本発明の態様の他の特徴として、システムは医用画像を分析し、また医用画像中の疑わしい病変を同定する、病変ロケータを有する構成とする。更に他の特徴として、画像プロセッサは、医用画像を区分けし、医用画像の複数の区分け候補を使用者による選択に応じて同定し、そして使用者からの指示を受けて区分け候補の一つを区分け画像として処理する。
【0010】
随意的に、使用者は表示された区分け候補のうち任意のものを却下でき、そして一組の中間区分け結果のセット全体を検討し、他の候補を選択する目的で表示される候補をもたらす。また使用者は、区分け結果を変更することにより選択される候補を絞り込むこともでき、例えば、既存の制御ポイントを編集し、または区分け輪郭上に追加の制御ポイントを規定して、それにより、変更した区分け輪郭を得る。
【0011】
本発明の第2態様として、医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムを提供する。このシステムは、医用画像を表示するディスプレイと、使用者による入力を受け取る入力装置と、医用画像から画像特性を同定し、また一組の同定した画像特性の初期セットを提示して前記使用者による検討に供する、分析エンジンと、使用者が同定した画像特性の初期セットを変更し、一組の同定した画像特性の変更セットを得るようにした、注釈および変更ツールと、を有する。このシステムは、初期セットおよび一組の予め定義した基準セットから初期診断を算出し、初期セットおよび初期診断を使用者に提示して検討に供し、変更セットを使用者から受け取り、そして変更セットおよび予め定義した基準セットから診断を再算出して使用者による認証に供する。
【0012】
本発明の他の態様として、複数の医用画像中の異常のコンピュータ支援診断を行うシステムを提供する。これら複数の医用画像は、患者の身体の一領域の異なるビューとする。システムは、複数の医用画像を取得する画像取得モジュールと、複数の医用画像のそれぞれを処理し、そして各医用画像内における異常の診断に関連する一組の特徴の初期セットを同定する画像プロセッサと、同定した特徴の複数の初期セットから初期診断を算出する決定エンジンと、使用者が同定した特徴の初期セットを変更して、同定した特徴の一組の変更セットを得る注釈および変更ツールとを有する。決定エンジンは、使用者による認証のために、同定した特徴の変更セットから算出した診断を再算出する。
【0013】
本発明の態様の一つの特徴として、システムは、複数のモダリティから取得した医用画像を処理するように構成する。これらの複数のモダリティは、超音波画像、ドップラー画像、スペクトルドップラー画像、X線画像、CT画像、PET画像、PET−CT画像、およびMRI画像の少なくとも2個のモダリティを含むものとする。
【0014】
本発明のさらに他の態様として、医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行う方法を提供する。この方法は、デジタル化した医用画像を取得するステップと、このデジタル化した医用画像を処理し、デジタル化した医用画像内における一組の画像特徴の初期セットを同定する初期セット同定ステップであって、同定した一組の画像特徴の初期セットは、一組の予め定義した特性セットの描写を満たすものとした該初期セット同定ステップと、同定した画像特徴の初期セットを提示して使用者による検討に供するステップと、使用者により、同定した画像特徴の初期セットから変更した、一組の画像特徴の変更セットを受け取るステップと、画像特徴の変更セットから診断を算出して使用者による認証に供するステップと、使用者から認証された診断を受信する際に診断報告書を作成するステップとを有する。
【0015】
本発明のさらに他の態様として、コンピュータ支援検出システムにより支援されて医用画像を取得する方法を提供し、そのコンピュータ支援検出システムは、医用画像を生成する医用撮像装置と、医用画像を処理する分析エンジンとを有し、この方法は、医用撮像装置を用いて患者から複数の医用画像を取得するステップと、複数の医用画像のそれぞれを、分析エンジンを用いて分析するステップと、画像取得条件を調整して複数の医用画像から最適画像を取得するステップと、を有する。
【0016】
他の態様において、本発明は上記の態様の様々な組み合わせおよび部分的な集合を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
説明の目的で、限定する目的でなく、前述および他の本発明の態様を添付の図面につきより詳細に説明する。
【0018】
以下の説明およびそこに記載されている実施例は、例示目的で記載したものであり、その実施例は本発明の原理に関する特定実施形態の例である。これらの実施例は、例示目的でなされたもので、本発明および原理を限定するものではない。以下の記載において、同種の部分は明細書および図面を通じて同一の符号を付けて示す。
【0019】
図1は、CADシステム100を示し、このCADシステム100はソフトウェアシステムにより制御されて自動的に医用画像を分析し、医用画像中の断片集合の、物理的、組織的、および形態学的な特性、または他の特徴を検出、同定、および分類し、使用者による選択のために疑わしい病変のコンピュータ支援検出および評価を行い、また使用者からの双方向フィードバックを可能にして検出した特徴のリストおよびこの特徴リストから算出した診断を動的に変更することができる。使用者は、専門技術者、放射線技師、または医師がなり得る。さらに、使用者は、CADシステム100のオペレータ、例えば遠隔地の放射線技師または医師から指示を受けるスタッフでも良い。このCADシステム100は、使用者が使用して医用画像を医療用スキャン装置から取得し、そして画像をリアルタイムで分析することができる。使用者は、以前に取得した医用画像をデータベースから読み込んで詳細な分析をすることもできる。代案として、使用者、例えば放射線技師や医師が、リアルタイムで取得したか、以前に取得しかにかかわらず、他の放射線技師または医師と画像を共有して、共同で医用画像を評価および分析し、そして診断を確立することもできる。
【0020】
図1に示すCADシステムは、画像取得サブシステム102を有する。その画像取得サブシステム102は、一つまたは複数の医療用画像スキャン装置に接続した場合に、リアルタイムで医用画像を取得できる。CADシステムは、概してマルチモダリティプラットフォームを備える。どのモダリティを選択するかは、画像タイプに基づく。例えば、システムは、超音波画像、X線画像、若しくはCT、PET、PET−CT、放射線、MRI画像、またはCADシステムに接続された他の画像化モダリティからの画像を支援するように実施または構成することができる。システム自体も、若干または全部の医用画像モダリティを検討できるよう制御装置またはワークステーションに組み込むことができる。
【0021】
一実施例において、画像取得サブシステムを医療用スキャン装置104に接続し、患者から医用画像をリアルタイムで取得する。上述したように、医療用スキャン装置104は、超音波源および一つまたは複数のトランスデューサを有する超音波装置とすることができる。医療用スキャン装置は、X線を用いて、X線源およびX線撮像装置により構成することができる。また医療用スキャン装置は、CT、PET、放射線、またはMRIスキャナとすることもできる。患者の組織、骨組織、または臓器の医用画像を取得する、任意の適当な撮像装置を使用することができる。
【0022】
画像取得サブシステム102は、さらに、以前に取得した画像を読み込んで、詳細検討用、または他の使用者、例えば放射線技師、専門技術者、または医師と共有することもできる。例えば、画像取得サブシステム102は、フィルムに記録された画像をデジタル化するデジタイザー106を有しても良い。代案として、画像取得サブシステム102は、CADシステムにアクセス可能な遠隔の画像サーバ108または画像データベース110から画像を読み出すことができる。
【0023】
CADシステム100は、ユーザーインタフェース112を有して、システムの使用者が画像を検討し、その表示を操作し、またシステムと双方向の情報授受をすることができるようにする。ユーザーインタフェース112は、ディスプレイ(表示部)114を有する。このディスプレイ114は、モニタ、プロジェクタ、または、医用画像を使用者に視覚的に表示する能力があり、かつグラフィカルなおよびテキスト形式のコンテンツを表示する能力がある他の任意の適当なディスプレイ装置とすることができる。ユーザーインタフェース112は、さらに、入力装置116を有して、使用者がシステムと双方向の情報授受をし、そして表示された医用画像中の特定の関心領域に関する同定をシステムに対して与えることができるようにする。入力装置116として、キーボードを設け、例えば使用者がテキストを入力できるようにする。また、音声認識モジュールを設け、音声からテキストに変換できるようにする。さらに、入力装置116として、マウスまたは他のポインティングデバイスを設け、使用者が医用画像の特定画素または部位の同定をシステムに与えることができるようにする。ディスプレイ装置114および入力装置116は、物理的に一体化されてハードウェアユニットの一体ピースとすることができ、例えばグラフィカルなおよびテキスト形式の出力を表示する能力と、使用者による入力を受信する能力との双方を有するタッチスクリーンとすることができる。
【0024】
また、システム100に、多数の出力周辺機器118も設ける。使用者は、出力周辺機器118を用いて、分析セッションの結果またはシステムの他の出力を複製または記録することができる。例えば、出力周辺機器としてプリンタ120を設けることができる。このプリンタは、例えばフィルムベースまたは紙ベースとすることができる。フィルムベースのプリンタは、医用画像を転写して使用でき、原画像または処理した画像をフィルムに転写して、フィルム化された画像を必要とする従来のディスプレイ装置に使用できるようにする。また、紙ベースのプリンタも、プリントアウトした報告書を作成して他の医師と共有し、またはファイル保管(アーカイブ)する目的のために使用することができる。出力周辺機器118として、ウェブブラウザ122を設け、他の放射線技師または医師と電気通信網124を介して結果を共有できるようにすることができる。電気通信網124は、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネットとすることができる。このことにより、医師は、オペレータにより患者から得られた画像を遠隔地で検討し、そしてリアルタイムで、システム100により自動的に作成された結果に対していかなる変更をも加えることができるようになる。更に、出力周辺機器118として、DICOM準拠の装置126を設け、処理した結果、すなわちシステムにより作成された合成画像を関連した報告書と共に転送または保存することができる。
【0025】
システム100は、データウェアハウス128を有する。データウェアハウス自体は、データの読み出し、および管理をするモジュールを有する、または単にデータを格納する記憶空間とすることができる。データウェアハウス128は、一般にシステム関連またはシステムが作成したデータを記憶するものであり、処理された医用画像を保管する。例えば、データウェアハウス128は、自動検出を行うシステムが用いる診断前画像、モデリングパラメータ、および他の患者データを格納するのに使用することができる。好ましくは、データウェアハウス128は、DICOM準拠画像のファイル保管(アーカイブ)を支援するが、他の形式の画像、例えばJPEG、BITMAP等も処理することができる。画像処理の注釈、コメント、結果を、全てDICOM準拠ファイルの一部としてアーカイブすることができる。検査情報、例えばユーザーID、処理画像の日付または時刻スタンプ、および検出した特徴に対する使用者による追加または変更は、全て、処理画像をアーカイブする時点毎に、同様に記録できる。
【0026】
図1に示すシステム100は、ソフトウェアシステム130により制御する。図2につき説明すると、ソフトウェアシステム130は、CADシステム100により実施されるデータのフローおよび処理を調整し、また制御する。ソフトウェアシステム130は、多数のコンポーネントを有する。これらソフトウェアコンポーネントは、単独のコンピュータハードウェアユニットに装備する必要はない。ソフトウェアシステムは、異なる場所に格納され、かつハードウェアユニットの異なるプロセッサで実行する専用ソフトウェアシステムとすることができ、または異なるコンピュータで実行する独立モジュールとすることすらできる。ソフトウェアコンポーネントは、さらに、異なる製造業者により供給されるものとすることもできる。例えば、医療用スキャン装置の製造業者自身が、画像処理または特徴抽出用のソフトウェアコンポーネントを提供することができる。これらソフトウェアコンポーネントは互いに組み合わせ、本明細書に記載するような、システム100の機能を得ることができる。これらソフトウェアコンポーネントは互いに組み合わせ、異なるサブシステムを形成して専用の副機能を実現することもできる。便宜上、分かり易くするために、以下ではこれらソフトウェアコンポーネントを概念的に、コンポーネントの全てを、一つのコンピュータ読み取り可能媒体、例えばハードディスクに格納し、1個のプロセッサで実行するソフトウェアシステム130の一部と見なして説明する。CADシステムは、概してマルチモダリティプラットフォームにできることは理解されるであろう。このことは、例えば必要に応じて支援されるモダリティを実施するモダリティ固有のコンポーネントをソフトウェアシステム130の各コンポーネントに設けることにより達成できる。
【0027】
ソフトウェアシステム130は、分析エンジン(分析機関)132を有し、医用画像を分析し、そして使用者による検討および認証のための診断を導き出す。例えば、一実施例において、分析エンジン132は画像取得サブシステム102により得られた画像を処理して関心領域を更なる特徴抽出のために同定し、画像中に存在する特徴、例えば物理的または形態学的な特性を抽出し、結果として得られた情報を表示および検討用に下処理し、そして使用者による検討および確認のために一組の検出された特徴を診断に導く。
【0028】
図2は、ソフトウェアシステム130の概略的なコンポーネントを示す。そのソフトウェアシステム130は、中央制御モジュール202を有して、ソフトウェアシステム130の様々なコンポーネントモジュール間におけるデータのフローおよびプロセスを制御および調整する。ソフトウェアシステム130は、個別のモジュールを有して、対応するハードウェアユニットまたはサブシステムにおける双方向の情報授受、指示、そしてモニタを行う。その画像ローダ204は、CADシステム100の画像取得サブシステム102のオペレーションに対して双方向に情報授受および指示を行う。概念的に、分析エンジン132の一部として、画像表示および操作モジュール206を設け、使用者が画像表示を調整および操作できるようにする。また、分析エンジン132の一部として、画像処理モジュール208、決定モジュール210、ならびに注釈および変更モジュール212を設ける。報告モジュール214を設け、報告書を生成し、かつ出力発生する。
【0029】
医用画像が処理または検討のために要求される場合、画像ローダ204が画像取得サブシステム102に指示して医用画像を読み込み、換言すれば、医用画像を検索または取得させる。医用画像が検索または取得されると、画像表示および操作モジュール206が画像をディスプレイ114へ送信して使用者に画像を表示する。使用者は入力装置116を用いて、ディスプレイ114上の画像を更に操作または調整できる。使用者は、画像の表示を操作することができ、例えば、画像のコントラスト、輝度レベル、または画像の特定部位のパニングもしくは拡縮を変化させることができる。使用者は、さらに、画像の部位を選択して他の処理を行うこともできる。
【0030】
画像処理モジュール208または画像プロセッサは、パターン認識および特徴抽出ができるようにし、そして様々なコンピュータによる画像処理およびパターン認識動作を実行する。画像処理モジュール208は、区分け処理において同定された異常部位、例えば病変または小結節の境界により画定された断片に関連する、物理的、組織的、形態学的な特性、ならびにモダリティ固有の特性を算出する、すなわち抽出および同定する。一般に、画像処理モジュールは、異なるモダリティから取得された画像に対して異なる処理をするように実装または構成する必要がある。例えば、超音波画像が読み込まれた場合、特徴は、概して超音波画像用に定義されたものである。これら特徴は、疑わしい病変の内側ならびに異常部位の外側ではあるが境界近傍の領域から同定される特徴、例えば超音波画像における背後陰影(Posterior shadowing)と関連するものである。抽出または同定すべき特徴は、通常、医療専門家により事前に定義および考慮され、疾病診断、例えば癌であると診断することに関連があるものである。これらの特徴の描写は、一般的にその定義と一緒に提供される。このような一組の事前定義特性および画像集のセットが、米国放射線医学会(ACR)により開発されて胸部画像報告およびデータシステム(BI−RADS、登録商標)で使用されている。異なる用途には、異なる事前定義セットおよび標準規格を使用することができる。例えば、標準規格の一部として、BI−RADS画像集が放射線医学で主として使用される一方、頸部細胞学診断報告用ベセズダシステム(Bethesda System for Reporting Cervical Cytologic Diagnoses)が細胞学で主として使用されている。癌の診断に関しての実施例を本明細書に記載したが、これら実施例は、単に説明するためだけのものであり、本明細書に記載したシステムおよび処理、ならびに方法は一般的な疾病診断に適用でき、癌診断に限定するものではないと、理解されたい。
【0031】
必要とされる画像処理操作としては、区分け(すなわち、詳細検討および処理のために画像領域の選択および線引き)、パターン認識(すなわち、画像におけるパターンの分析および分類)、および特徴抽出(すなわち、画像で表示された組織における異常または正常な状態の診断に関連し得る特徴または特性の分析および同定)がある。図2は、区分け、パターン認識、および特徴抽出のための3個のモジュールを示すが、他のモジュールを他の画像処理の必要に応じて設けることができると理解されたい。
【0032】
画像処理モジュール208は、区分けモジュール216を有するものとして示す。区分けモジュール216は、使用者により同定された関心領域(ROI)を分析し、そして異常領域、例えばROIにおける小結節の境界を線引きする。そのROIは、使用者により手動で、またはシステムにより自動で同定することができ、使用者に示唆される。一実施例において、使用者は最初に区分けの「シードポイント」(すなわち、関心のある領域内における点)を選択することによりシステムに対しROIを選択および同定を与える。図3Aは、ディスプレイ上での画面表示例を示し、この画面表示例から使用者はROIを選択することができる。代表的には、シードポイント302は、関心領域、例えば疑わしい充実性結節のほぼ中央近傍のポイントとして選択する。使用者は、区分けシードポイントを、例えばマウスを使用して結節の中央領域のポイントをクリックすることにより選択することができる(図3A参照)。ROIは、シードポイントを選択してカーソルをシードポイントから離れる方向にドラッグすることにより画定する。領域を囲む円が現れ、この操作には区分けアルゴリズムが動作する。使用者は、ROI304が十分に大きくなり結節全体を囲んだときにマウスのボタンを離す。
【0033】
代案として、使用者は、ROIを「シードポイント」の座標値および病変推定寸法のセットを指定することにより同定することができる。この手法は、病変が細長い断片として現れた場合において、軸線の向き、それは概して細長い断片に整列しているものであるが、および縦横(アスペクト)比を指定することにより、より正確になり得る。図3Bは、位置同定ウィンドウ306を示し、使用者は病変同定パラメータ308を入力し、そのパラメータ308としては、例えば病変同定番号310、病変寸法パラメータ312、病変座標314、病変特徴表示316、病変深度表示318、その他、およびそれらの組み合わせのうち何れか一つがある。ここで、病変同定番号310は、画像内で同定された数個の病変における同定参照番号であり、例えば第1病変、第2病変、第3病変などについて言及する。病変寸法パラメータ312は、病変寸法の推定値、例えば1cmを与える。病変の位置は、適当な座標システムを用いて病変座標314、例えば皮膚からの深さ、乳首からの距離、および垂直方向からのアジマス角により規定する。病変特徴インジケータ316は、特徴のタイプ、例えば質量、形状、配向性、疑わしい病変の硬化、その他に関連する特徴について言及する。病変深度インジケータ318は、皮膚からの病変深さの推定値を、相対値、例えば胸底の寸法に対する相対値として指示する。
【0034】
有利なことに、一旦疑わしい病変が同定されると、画像は区分けされて疑わしい病変の輪郭の境界または区分け輪郭を線引きする。このことはその後の画像処理を容易にすることができ、疑わしい病変の診断に関連する画像パターンおよび特徴がその内側または外側であるが区分け輪郭に近接した位置にある可能性がより高くなる。異なるアルゴリズムをROIの区分けに対して実施することができる。例えば、一実施例において、前面伝播タイプの領域拡張アルゴリズムを超音波画像内の病変を区分けするために実施する。疑わしい病変内における「シードポイント」を、まず選択する。適応的閾値を選択して、境界の輪郭を決定する。適応的閾値に基づくシードポイントからの領域拡張は、さらに、局部的情報を考慮することができ、また専門知識により制約される。初期領域輪郭は、局部的情報に基づいて画定される。平衡状態に達したとき、画定された領域輪郭は、専門的な制約の下で動作する変形可能モデルにより精緻化される。任意の適当なアルゴリズムをROIの区分けに用いることができることを理解されたい。異なる用途は、異なる適切なアルゴリズムを必要とする。例えば、乳癌診断用の画像区分けに最も適したアルゴリズムは、CTスキャンで得られた画像の区分けには最適ではなく、他の例としては、超音波画像用に開発された区分けアルゴリズムは、MRIデータを処理するために再調整および/または変更する必要がある。
【0035】
各アルゴリズムは、いくつかの区分け候補、すなわち正確に疑わしい病変を線引きし得る区分け輪郭の候補を発生することができる。所定の予め確立された基準に基づき、システムは一つを最良の候補として提示し、そして残りを次善の候補として提示する。区分けモジュール216は、最も適したアルゴリズムにより生じた最良の候補のみを提示することができる。好ましくは、区分けモジュール216は、最良の候補を次善の候補とともに使用者による選択のために提示する。数個のアルゴリズムが利用可能な場合、他のアルゴリズムにより同定された候補も、使用者による選択のために提示することができる。
【0036】
一実施例において、図4Aに示すように、区分けモジュール216は、使用者による選択用に6個の区分け候補を一時的(テンポラリ)ウィンドウに提示する。各候補画像402は、可能性がある病変境界404が原画像の上に重ね合わされた合成画像である。区分け処理の最良の候補406と考えられるものが、例えばハイライト表示により同定され、そしてその後の処理のためにアクティブになる。最良の候補406とともに、複数の次善の結果408が表示される。これらの6個の候補のみが、全ての区分け候補の代わりに使用者に提供されて選択される。使用者は、システムが決定した最良結果を選択し得る。また使用者は、区分けされた画像に他の候補画像408のうちから1個を選択することもできる。使用者は、システムに対して、例えば区分け候補をダブルクリックすることにより選択を同定することができる。随意的に、使用者は、ディスプレイ表示された候補のうちいくつかまたは全てを却下し、そして区分け結果全体セットを検討することができる。このことにより、使用者は、視覚的に全ての区分け結果を吟味し、使用者自身の経験および判断に基づいて、好適な候補の一つを選択することができる。代案として、システムは、使用者のいかなる介入もなしに、最適なアルゴリズムを用いて発生した最良の候補を選択し、その後の処理を行うよう構成することができる。
【0037】
使用者は、さらに、選択した候補を区分け輪郭404を編集することにより精緻化することもできる。これを行うために、使用者は既存の制御ポイントまたは画定用の追加制御ポイントを区分け輪郭に対して編集することができる。使用者は、ディスプレイ表示された区分け候補を、区分け輪郭404の1個または複数個の制御ポイント410を編集して手動でROIを区分けすることにより変更することができる(図4B参照)。使用者は、ディスプレイ表示された候補を新しい制御ポイントを設定することにより変更することもできる。使用者が既存の制御ポイントまたは新しい追加の制御ポイントを編集し終えた後に、システムは変更された区分け輪郭を使用者にディスプレイ表示して確認をとらせる。システムが使用者からの選択を受信するとすぐに、システムはそのコンピュータによるパターン認識および特徴抽出処理を開始する。
【0038】
図2に示す画像処理モジュール208は、パターン認識モジュール218を有する。パターン認識モジュール218は画像、特に区分けモジュール216により線引きされたROIを分析して画像内における形態学的および組織的パターン、または特徴の同定およびインデックス付けをする。区分け輪郭の内側および外側の双方の画素をスキャンして、疑わしい病変のパターンまたは局所的な特徴、およびモダリティ特有の特徴、例えば超音波診断の特徴を同定する。局所的な特徴、例えば局所的な突起形成、局所的な分岐傾向、局所的な導管の拡大、および局所的な微小分葉を同定することができる。また、区分け輪郭自体も分析されて診断に関連し得る疑わしい病変の特徴を同定することができる。他の特徴のうち、パターン、局所的な特徴、モダリティ特有の特徴、区分け輪郭から同定される特徴、その他の特徴が、予め定義された特徴のセット、例えばACR−BIRADS画像集により定義された超音波診断特性のセット、またはスタブロス(Stavros)特性のセットにおける描写と比較し、特徴のリストを一組の標準セットから同定されたものとして生成する。パターン認識モジュール218は画像を分析して、これらのパターンおよび局所的特徴を同定する。パターン認識モジュール218は、画像を分析して特徴、例えば区分けされたROI内における画素のクラスタリングおよびコントラストを同定し、または、画像を分析して周辺情報を含む専門知識のいくつかの概念を組み込み、より良い局所的特徴の同定ができるようにする。
【0039】
図2に示す画像処理モジュール208は、特徴抽出モジュール220を有して、これらの局所的な同定されたパターンから癌診断に関連し得る特別な特徴を抽出する。これら特徴としては、形状、配向性、角度差、病変境界、および硬化がある。これら特徴としては、さらに、特別な検出技術に固有な特徴もある。例えば、超音波画像に対しては、エコーパターンおよび残響的(posterior acoustic)特徴がある。
【0040】
一実施例において、特徴抽出モジュール220は、ACR−BIRADS画像集と組み合わせた一組の予め定義した超音波診断特性セットの描写と一致する特徴を検出する。すなわち、もし画像におけるオブジェクトの特性が、一組の予め定義した特性のセットに相当する特徴の描写を満たせば、特徴は同定および検出されていると考えることができる。特徴抽出モジュール220は、一組の予め定義した特性およびその特性の描写のセット、例えばACR−BIRADS画像集を用いて、自動化された特徴の同定および抽出を実行する。その特徴抽出モジュール220は、検出運用閾値を用いて、もし何れかの特徴が、パターン認識モジュール218により認識されるインデックス付けされた局所的特徴から同定できれば決定する。インデックス付けされた特性には、それぞれ、一致した特徴の描写に対して適合良好性インジケータに基づく確率を割り当て、画像における存在可能性の統計的尺度もたらす。特性は、確率が閾値を超えた場合に画像内に存在または検出されると考えられる。好都合には、全ての特性を同一の閾値で割り当てることができる。好ましくは、これらの閾値は一組の診断された画像セットの較正から得られるスタブロス(Stavros)運用閾値に基づくものとすることができる。その様な閾値は、各特性に依存し、そして一組の既に診断された画像セットの較正の結果から決定される。
【0041】
ソフトウェアシステム130は、決定モジュール210を有して、自動診断または評価の算出、および算出した診断の使用者への示唆を行う。決定モジュール210は、全ての同定した特徴の特性、例えば統計に基づいた各特徴が存在し得る可能性および特徴の範囲または寸法も含めて調査し、診断に関して各特徴の重要度を順位付けし、そして評価または診断を算出する。一般に、個々の範囲の評価が可能である。可能な評価の特定の集合は、使用された標準に依存する。例えば、評価は良性、悪性、もしくは確定不能のうち一つとすることができ、または、病変が属するBI−RADSカテゴリーのうちの一つとすることができる。換言すれば、決定モジュール210は、所見または抽出した一組の特徴セットを基礎モデルに基づいて病変の評価に位置付けする。異なるモデルが疑わしい病変の評価に採用することもあり得ることは、理解されるであろう。ソフトウェアシステム130のモダリティは、異なるモデルを同一の抽出した一組の特徴セットに適用して評価するのを可能にする。さらに、決定モジュール210の動作は特徴抽出モジュール220から独立していることは理解されるであろう。決定モジュール210は自動評価をもたらし、それは決定モジュール210に入力として与えられる一組の特徴セットが自動的に同定されるか、完全に使用者により手動で同定されるか、またはそれらの組み合わせによるかを問わない。換言すれば、決定モジュール210は、専用の副機能性をもたらすサブシステムと見なすことができ、すなわち、以前に述べたように評価を算出する。
【0042】
異なるモジュールを、異なる診断機能を行うために設けることができる。異なるモデルを適用することにより得られる評価は、必ずしも同一ではない。異なるモデルからの結果は、好ましくは適当な重み付けと組み合わせて算出した診断を下すようにする。図2の決定モジュール210は、AI規範(rule)モジュール222および評価モジュール224を有するものとして示すが、ソフトウェアシステム130のモジュール設計は、所要に応じて、診断モジュールの代替または追加が可能であると理解されたい。
【0043】
AI規範モジュール222は過去に取得した知識を活用し、この様な知識としては、例えば画像データを蓄積したプールからの診断、対応する生体検査結果、並びに、放射線技師および医師の集積的な知識がある。一実施例において、その知識は集約して一組の人工知能(AI)規範セットとする。この一組のAI規範セットから、パターン認識および特徴抽出によりなされた所見を、自動評価に位置付けすることができる。後に詳述するように、検出した特徴の全てが、同一の重要度であるとは限らない。検出および同定した特徴のそれぞれの重要度を、一組のAI規範セットに組み込む。AI規範モジュール222は、予備診断評価を一組の検出した特徴セットおよびそれらの個々の診断への相対的重要度に基づいて算出する。
【0044】
以下の実施例は一組のAI規範セットを作成する一方法のステップを概説し、この場合、統計モデルを構築する。診断済みの画像の蓄積プールを、その対応する生体検査結果と一緒に最初に選択する。これら画像ならびに既知の診断結果から同定した特性を、コンパイル(編集)する。これらのデータから、適したモデルが多変量適応的回帰スプライン(MARS)技術に基づいて構築することができ、そのモデルは次式(1)で表される一般的形式を有する。
【数1】
ここで、C0およびCiは係数であり、またBFiはi番目の基底関数である。各基底関数は、定義した一組の特性セットと、潜在的に定義した一組の基底関数セットとの定義した組み合わせを入力するものとして見なされる。例えば、基底関数はBF240=(ECHO=1 OR ECHO=3 OR ECHO=4 OR ECHO=5)*BF180の形式を有し、ここでECHOは複数の選択肢(1,3,4、または5)を有する一つの超音波カテゴリーである。基底関数ならびに係数の形式は、モデルを、統計データ、すなわち診断画像内で同定された特性ならびに診断画像に関連する既知の診断結果に適合させることにより得られる。
【0045】
一旦その様なモデルを構築すると、このモデルを、診断算出のためにAI規範モジュール222に組み込むことができ、この診断とは、すなわち診断画像内で同定した一組の特性セットに基づいて、病変が良性または悪性であるかの全体的な可能性である。評価の算定は、統計モデルを用いるものに限定するものではないと理解されたい。また、評価はスーパーベクトルマシン(SVM)法を用いて算出する、またはより複雑な手法、例えば神経回路網(ニューラルネットワーク)法を採用するAIエンジンを用いて生成することもできる。システムのモダリティによれば、所要に応じて、異なる評価エンジンのシステムへの組み込みおよび統合、ならびにこれら異なる評価エンジンの出力の組み合わせを行うことができる。
【0046】
評価は任意の方法で行うことができるが、一般に、評価モジュール224は、共通標準に合致する評価を使用者にもたらし、例えばBI−RADS評価のような診断を提供する。単独の評価を、自動的に算出された診断として使用者に提示することができる。好ましくは、一群の可能性のあるBI−RADS評価グループを使用者に提示する。一実施例において、使用者には、二つの評価グループ、すなわちBI−RADS1〜3に相当する「良性」である評価グループおよびBI−RADS4a〜5に相当する「悪性」である評価グループのうち一方を提示する。このとき使用者は、示唆された評価グループから特定の評価を選択、または示唆されたグループ以外から選択した評価を行う必要がある。これは、使用者による評価なしに自動診断を採用するするのを阻止しようとするものである。もちろん、グループ分けの他の精細度も可能である。例えば、可能な評価としては、「良性」、「中間またはほぼ良性」、および「悪性」に分けることができる。
【0047】
診断が算出された後、決定モジュール210が病変にタグ付けする、すなわち、病変をタイプに関連付けることもできる。いくつかの共通のタイプとしては、線維腺種(FA)、浸潤性腺管癌腫プラスDCIS進展巣(component)(II)、浸潤性腺管(ID)癌腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、および浸潤性小葉(IL)癌腫がある。一般に、疑わしい病変が特定のタイプであることの信頼性レベルの値を最初に算出する。もし、信頼性レベルの値が規定信頼性範囲内にあれば、病変はそのタイプに属するものとタグ付けする。図5は、疑わしい病変をDCISタイプ502としてタグ付けした様子を示す。
【0048】
図5につき説明すると、コントローラ504、例えばグラフィカルユーザーインタフェースにおけるノブ状のアクティブ化可能な領域により、使用者は上限閾値506および下限閾値508により規定される信頼性範囲を設定することができる。図5は、さらに、随意的に、異なるタイプ毎に算出される信頼性レベル値をスライドルーラー510上に表示し、病変タイプに関連する信頼性レベルを指示することができる。例えば、図5は、グラフィック表示として、タイプFA,II,ID、ILの信頼性レベルの値を、タグ付けしたタイプDCISと一緒に示す。これは、使用者に適当な疑わしい病変のありそうなタイプに関してフィードバックを与えるので有利である。図5は病変と関連する一つのタイプのみを示すが、数種類のタイプが病変に関する信頼性範囲にある信頼性レベル値を有することを示すようにすることもできる。このとき、システムは使用者にタイプの選択、すなわち信頼性レベル値が規定範囲に入るタイプであるか、または範囲外にあるタイプであるかを選択することを要求する。代案として、もしタイプが信頼性レベルの最大値である場合、システムは病変に対してそのタイプであると自動的にタグ付けすることができる。
【0049】
特性の自動検出を補完するため、注釈および変更モジュール212として実現した注釈ツールを設け、使用者が注釈を画像に加え、または既に入力された注釈を変更できるようにする。本明細書において、注釈とは、概して医用画像領域、領域の特徴もしくは特性、または領域内もしくは領域近傍のパターンに対して、例えばBI−RADSにより定義したような予め定義した一組の特徴セットから選択された特徴と関連付けることに言及するものである。注釈および変更モジュール212の支援により、使用者はソフトウェアシステム130により同定されない特徴を追加する、または偽陽性、すなわちシステムにより自動検出したが誤検出と考えられる特徴を除去することができる。使用者は、さらに、異なる確率を特徴に割り当てる、またはシステムにより割り当てた確率を変更することもできる。有利なことに、特徴のリストおよびその個別の確率が使用者により変更されると、システムは自動的に自動評価を再算出し、使用者に迅速なフィードバックを与えて使用者がより正確で改善された診断を下すことができるようにする。
【0050】
注釈および変更モジュール212は、検出した特性のリストを使用者に提供し、検討および注釈付けができるようにする。このようなリストは、図6に示すように、使用者に結果ウィンドウ600内で提示することができる。この結果ウィンドウ600には、一組の予め定義した特性セットの完全リストを、予め取り込んだ検出済みの特徴と共に設ける。一組の予め定義した特性の任意の適当なセットを用いることができる。これら予め定義した特性セットとしては、スタブロス(Stavros)特性およびBI−RADS画像集がある。一実施例において、予め定義したセットはBI−RADSのセットとする。結果ウィンドウ600は、使用者にディスプレイ114上で提示することができる。さらに、それはシステムに接続した遠隔のウェブブラウザ122でも利用可能にすることもできる。図6に示す結果ウィンドウ600は、画像ウィンドウ602および結果パネル604を有するものとする。合成画像を、画像ウィンドウ602に原画像と共に表示する。検出した特徴606を、可能であれば合成画像内に示す。特徴の若干に、注釈を付ける。アイコン、記号、または他のグラフィカル表示を使用して注釈608を指示する。結果ウィンドウ600の底部部分には診断パネル610を設け、算出した診断を表示し、かつ、使用者が認証された診断を選択できるようにする。また、結果ウィンドウ600の底部に示されているのはコメントウィンドウであり、コメントおよび注釈を入力する。
【0051】
画像ウィンドウ602に表示した合成画像と一緒に、システムにより自動検出した特徴を、好ましくは使用者にツリー構造の特徴リストで結果パネル604に提示する。図6につき説明すると、結果パネル604は一連のチェックボックス614をツリー構造と結び付けて表示し、その相互関係を示す。図6の各チェックボックスは、スタブロス(Stavros)特性の特性に対応する。これらのチェックボックスはアクティブ化しており、すなわちハイライト表示またはチェックマークを付ける。チェックされたチェックボックス616が示すのは、その特徴が左手側の画像ウィンドウ602に表示された画像内で検出したことである。チェックされていないチェックボックス618が示すのは、画像内で検出されなかった相当する特性または特徴である。
【0052】
使用者は、検出した特徴をリストから除去する、または特徴をリストに加えることにより自動検出を変更することができる。もし除去した特性が画像内の領域にトレースバックできるならば、表示した画像を自動的に更新して特性の除去を示し、例えば、対応するアイコンを除去することにより示す。反対に、使用者は自動検出処理でシステムにより同定されていない特性を加える、すなわち、医用画像内の位置を特性部位として同定することもできる。手動で画像に加えられた特性は、同定した特性のリストに自動的に追加できる。注釈および変更モジュール212によれば、使用者は、システムの所見を認証および確認し、そして必要な変更を彼または彼女の判断および専門知識に基づいて行うことができる。注釈は、各画像に対し複数回加えることができる。図6を参照すると、もし使用者が画像ウィンドウ602内の画像にトレースバックできる特性にチェックを付けないと、チェックを付けなかった特性620は自動的に画像から除去される。特性を追加するためには、使用者は単にその特性に対応するチェックボックスをチェックすればよい。また使用者は、注釈ツールを用いて、追加すべき特性に対応するチェックボックスを画像上の所望位置にドラッグし、そして離すことができる。選択した特性622を表わす記号またはアイコンが、選択した位置にドロップされる。このとき、使用者は、コメントウィンドウ612内で注釈毎にコメントを入力または編集できる。このステップは、所望のまたは要求されたと同数の注釈および特性に対して繰り返すことができる。特性が加えられ、または除去される度に、可能であれば画像を更新する。換言すれば、もし特徴を記号またはアイコンによって表現できるとすれば、その記号またはアイコンも追加または除去する。
【0053】
特徴(または特性)のリストを使用者が変更または更新するとき、システムはその算出した診断を同時に更新する。使用者が新しい特徴を加えるとき、その使用者は所見に確率を割り当てることもできる。一実施例において、使用者が加えた全ての特徴には100%の確率を割り当て、そして使用者が除去した全ての特徴には0%の確率を割り当てるが、他の確率の値も割り当てることができる。
【0054】
システムの一実施例において、9個の異なる診断カテゴリー、すなわち{保留、1、2、3、4a、4b、4c、5、および6}を設ける。このカテゴリーセットは、BI−RADSで使用されているカテゴリーに対応している。この手法によれば、1は陰性、2は良性所見、3は高確率で良性所見、4は疑わしい異常(さらに放射線技師により4a,4b,および4cに細分または精緻化され、4aは癌の疑いが低い所見、4bは癌の疑いが中間の所見、そして4cは癌の懸念が中程度であるが区分5と同じ高さではない所見)、5は悪性の高い示唆、そして6は明らかな癌である。
【0055】
これらの可能な診断はグループまたはバケットに分けられる。異なる細分性、すなわち異なる数のバケットを、実施できる。一実施例において、2バケット手法を取る。診断パネル610において、第1バケット624は、診断1,2,および3を有するものとして示し、また第2バケット626は診断4a,4b,4c,および5を有するものとして示す。ディスプレイ表示される初期結果において、システムはすべての特定診断の代わりに2個のグループのうち一方のみをハイライト表示する。使用者は診断をグループから選択し、診断を下す。使用者は、さらに、もし使用者が、システムにより算出された自動診断に強い異論があるならば、システムの決定を覆し、そしてグループ外から診断を選択することもできる。後に詳述するように、システムが何らかの報告書を作成する前に、使用者が診断を選択することを必須なものとすることができる。
【0056】
一実施例において、使用者は、一つの診断を初期設定(デフォルト)グループから選択する、すなわち一つの診断を第1バケット624または第2バケット626から選択することにより診断を認証しなければならないようにする。診断の選択がなければ、初期設定グループにおける可能性のある診断全てがハイライト表示される。これは、不慮に、自動検出の結果の詳細な検討なしに診断を確認する危険性を低減しようとするものである。
【0057】
注釈および変更モジュール212を使用すると、使用者は、上述のように、良性および悪性超音波診断特性の双方に対して注釈付けをすることができる。注釈および変更モジュール212は、使用者にコメント、および注釈に関する注記(注釈コメント)、または画像に関する一般的注意事項(概評)を加えることも可能にする。概評コメントは、コメントウィンドウ612に入力することができる。これらコメントおよび注記は、テキストとして入力する、予め規定されたコメントのリストから選択する、または音声−テキスト変換モジュールにより転記することができる。
【0058】
好都合には、注釈および変更モジュール212は、所見および放射線技師の評価を報告する一般的注意事項の一部として、要約テキストまたは要約注記を作成するための組み込みテンプレートを有するものとすることができる。テンプレートは、要約テキストの基本構造を、注釈および変更モジュール21が所見および認証された評価に基づいて選択できる適切な記述とともに提供する。このテンプレートは、放射線技師の流儀に従って個々の放射線技師により変更することができるようにし、より大きな融通性をもたせる。テンプレートから作成される注記は、さらに編集できるようにし、より大きな融通性をもたせる。図7はディスプレイにおける画面表示例を示し、そのディスプレイ画面表示例は、放射線技師が一般的注意事項の一部として所見に対してシステム生成した要約テキストを保存するのに使用することができる。放射線技師の病変の所感を記述する要約テキストも、同様に作成および保存することができる。図7から見て取れるように、病変に関連する情報を要約テキストに挿入し、これは結果パネル604に示されるものに対応する。例えば、病変が楕円形状702を有するものとして、低エコーのエコーパターン706により特徴付けられる等の平行配向704を、結果パネル604および所見パネル708の双方に示されている。
【0059】
報告モジュール214は、システムの出力周辺機器118に対して双方向に情報の授受をし、また動作を指示し、ならびにデータウェアハウス128と通信する。また、報告モジュール214は、ユーザーインタフェース112とも双方向に情報の授受をし、処理した画像または何らかの報告をディスプレイ表示する。一旦評価が使用者により認証されると、報告モジュール214はカレントアクティブ画像に対して報告書を作成する。その報告書はプリンタ120で印刷する、またはデータウェアハウス128に共有またはアーカイブするのに適した電子報告書とすることもできる。一例としてPDF形式の報告書とすることができる。このPDF形式の報告書を、必要に応じて、表示し、印刷し、または保存することができる。他の例として、DICOM構造の報告書とすることができる。要求された場合、報告モジュール214は、システムのデータウェアハウス128に画像に関する全情報、注釈および記号、関連するコメント、病変境界、BI−RADS評価、並びに選択した特徴をDICOM構造報告書の一部として処理した画像のために保存する。同一の情報をDICOM準拠の装置126に送信し、保存または他の医師もしくは放射線技師と共有するようにすることができる。
【0060】
報告書の内容は、概して初期設定により、使用者により注釈を付されたような処理画像で利用可能なデータに基づき、また他の関連情報、例えば施設または患者の識別情報、および患者の人口統計学的情報も含む。換言すれば、結果ウィンドウ600で利用可能なデータは、概して報告書に反映される。報告書は検出した特徴、例えば超音波診断特性とともに何れの注釈およびコメント、並びに使用者による変更を含むことができる。原医用画像およびその処理した対応物も、同様に含むことができる。報告書は、他の情報、例えば施設情報、患者の人口統計学的情報、ソフトウェア用アプリケーションの概説、およびそのアルゴリズム設定を含むことができる。最後に、報告書は、放射線技師の画像所見および評価を、例えばACR−BIRADS超音波レキシコン(画像集)分類(Ultrasonic Lexicon Classification)形式に適合した形式で有することができる。
【0061】
報告書は、チェックされて所見および評価を示す適当なボックスを有するフォームとして提供することができる。好都合には、報告書は、要約リストを有して全ての同定した特徴を列挙することができる。報告書は、さらに要約テキストを有する、または要約テキストで補足されたものとすることもできる。要約テキストは、注釈および変更モジュール212により作成した所見および所感に基づく、また放射線技師によりさらに変更されるものとすることができる。要約テキストは、生体検査を行うべきか否かの勧告を含むものとすることができる。
【0062】
報告書は、識別情報を追跡可能性および監査目的のために含むことができる。識別情報は、患者の識別番号、調査識別番号、固有の報告書番号、連続番号、タイムスタンプすなわち調査または報告の時刻および日付、または他の適当な識別情報を含むことができる。好都合には、暗号モジュールを設け、報告書に電子署名ができるようにする。暗号モジュールにより作成される電子署名は、複数または全ての識別情報を有して改善された監査能力をもたらし、そして報告書の不慮の変更を阻止し得る。
【0063】
一つの画像からの複数の病変は1回のセッションで処理することができ、この場合には、全ての所見を含む単独の報告書を作成することができる。代案として、複数の画像を1回のセッションで処理し、全画像における全病変についての全ての所見を含む単独の報告書を作成することができる。報告書は、所見を病変、同定された特性、処理した画像、または他の何らかの種類毎に分類することもできる。全体的な評価、例えばBI−RAD評価が所見の説明に、医用画像における複数の病変、一つの病変に対する複数の画像で見られるその病変、または複数の関連する画像における複数の病変に関して取り入れられて提供することもできる。
【0064】
好ましくは、報告書はDICOMセカンダリキャプチャ(Secondary Capture)としてファイル保管(アーカイブ)する。注釈、コメント、例えば病変境界といった画像処理結果、および診断結果は、DICOM準拠のファイルの一部としてファイル保管する。使用者は、例えば、報告書のPDF版を患者用の例証化ディレクトリに局所的に保存することもできる。このことは将来における参照を容易にする。もし、その合成レンダリングに関するインスタンスがその患者のアーカイブに既に存在すれば、新しいインスタンスを生成する。監査情報、例えばユーザーID、日付または時刻スタンプ、および検出した特徴の使用者による追加または変更を、各アーカイブしたインスタンスに記録することができる。
【0065】
図8につき、作業の流れ(ワークフロー)800のステップを以下に詳細に説明する。これはシステムにより実行されるワークフローであり、放射線技師のワークフローと適合させるが、更なる柔軟性を持たせ、また使用者制御を処理に組み込む。画像は最初に画像取得システム102により取得および読み込み、それは画像取得ステップ810において画像ローダ204の制御下で行う。前述したように、画像ローダ204は画像を医用スキャン装置から読み込み、医用画像を画像データベース110から読み込み、またはとくに医用画像を遠隔の画像サーバ108から受信することができる。
【0066】
画像を読み込んだ後、ステップ812で画像表示および操作モジュール206が画像をディスプレイ114に表示する。使用者は画像の表示を様々な手段で操作して、全体または特定の部位に焦点を合わせて画像をよりよく検分できるようにする。例えば、使用者は画像を拡大・縮小、または回転できる。使用者は、画像の輝度およびコントラストレベルをディスプレイ114に表示したままで調整できる。従って、使用者は極めて詳細に画像を検査し、ならびにこの状況におけるあらゆる疑わしい部位をも見ることができる。一実施例において、画像取得サブシステム102は複数の画像の取得を支援する。画像表示および操作モジュール206は、選択用に所定個数(例えば4個)の画像をステップ812で設ける。例えば、画像スキャン装置は、患者の解剖学的部分、例えば胸部の数個の断面画像を、放射線技師による検査および選択のために用意する。画像表示及び操作モジュール206は、全ての断面画像をディスプレイ114に表示する、またはこれら断面画像のうち1個を表示するとともに残りをいくつかのサムネイル表示で表示することができる。使用者、例えば放射線技師は、断面画像表示のうち1個を選択して更なる評価および検討をすることができる。乳房用超音波画像の場合、同時に2個のビュー(一方はラジアル、他方はアンチラジアル)を用意し、これらビューは「RおよびARビュー」として知られている。
【0067】
次のステップ814で、使用者は注釈および変更モジュール212に関連して説明した注釈を選択した画像に付加することができる。使用者は、結果ウィンドウ600に自動検出した特徴を予め配備した後に注釈を付加することもできる。つぎに、ステップ816で、使用者はROIを同定および選択することによりCAD処理を開始する。ステップ816でROIを同定した後、区分けモジュール216が画像処理を開始し、そして可能性のある異常部位、例えば小結節の境界を同定することを試みる。
【0068】
区分けステップ818の間、一連の可能性のある境界または疑わしい小結節の輪郭を生成する。自動的に一つの境界を選択する代わりに、区分けモジュール216は画像表示および操作モジュール206に要求して可能性のある境界を個々の画像にオーバーレイして一連の候補画像を用意し、そしてこれらの候補画像を使用者による選択のために用意する。
【0069】
ステップ820で、使用者は候補のうち1個を選択して、その選択をシステムに例えば「OK」ボタンを押すことで通信する。システムがステップ818で使用者から選択を受信すると、システムはつぎの処理をステップ822で開始する。ステップ822では、パターン認識および特徴抽出を行う。推移的に、使用者は、図4Bに示されるように、制御ポイント410を候補の輪郭上で画定または変更し、および制御ポイント410の移動または編集によって、選択した輪郭を手動で変更することができる。
【0070】
ステップ822で検出した特徴は、つぎに決定モジュール210に供給し、算出診断を算出する。この自動診断ステップは、AI規範位置付けステップ824を有するものとすることができ、このステップ824中に、AI規範モジュール222がこれら特性を一組の予め定義したAI規範セットに基づく中間結果として位置付けする。評価モジュール224は、AI規範位置付けの結果を検出した特性の分析に組み合わせ、ステップ826における自動診断に達する。
【0071】
ステップ828で、結果ウィンドウ600において使用者は初期結果を自動検出処理から提示される。結果ウィンドウ600は、全ての検出した特徴ならびに示唆された診断グループを予め配備する。
【0072】
使用者は、結果パネル604に示されるチェックボックスを選択または選択しないことにより特徴を追加または削除することができる(ステップ830)。この動的に変更した特徴リストならびにその割り当てた確率に基づいて、自動評価モジュール224は算出した診断を動的に更新する。診断の異なるグループは動的に表示することができ、そのことはもし特徴リストの変更が自動診断を一つのグループから他のグループに変更する場合、例えば4a,4b,および5のうちの一つから、1,2,もしくは3のうちの一つに変更する場合、またはその逆の場合である。
【0073】
使用者が、画像中に見られる特徴が特徴パネルに全て選択され、また特徴チャネルのチェックボックスが誤検出していないことに納得した後、使用者は診断を確認または選択することができる(ステップ832)。診断が使用者により認証または選択された後、ステップ834で報告モジュール214が自動的に報告書を作成する。分析結果はデータウェアハウス128に保存する、または他の医師もしくは放射線技師と共有することができる。使用者による操作の履歴は、ROIの選択、区分け候補の選択、結果の注釈付けおよび変更、および診断の認証も含めて、全て保存することができる。これにより、画像処理ワークフロー800が完了する。
【0074】
本明細書に記載したワークフロー800は一度に1個の画像を処理するものであるが、変更を加えて、システムを、複数の病変または複数の関連する画像を単一のセッションで処理するのに使用できることは理解できるであろう。例えば、システムは使用者がステップ816に戻ることを可能にするように構成し、報告ステップ834に直接進む代わりに、ステップ832の終わりで別の病変またはROIを選択することができるようにする。使用者は、ステップ810に戻って他の画像を読み込み、同一のセッションで処理することもできる。システムは、さらに、異なる画像に示された同一の病変を相関させるよう構成することもできる。同一画像または全ての画像における全ての病変が処理された後、使用者はステップ834に進んで一つの報告書を作成することができ、この報告書には処理された全画像における全病変の結果を含むものとすることができる。さらに、全体的な評価が、(全ての画像における)全ての病変で同定された全ての特性に基づいて作成されて使用者に提示され、検討および認証される。
【0075】
一実施例において、システムは使用者を支援して一つの病変に対して複数の画像を処理するように構成する。図9につき説明すると、この図は一つの病変に対する複数の画像の処理がループ900で行われる処理を示す。ステップ910において、複数の画像のうち1個を最初に読み込む。この読み込んだ画像は、既に区分けした、またはまだ区分けしていないものとすることができる。一旦読み込んだ後、ROIをステップ920で同定し、それは例えばROIの「シードポイント」および寸法を、図3Aに示すようなグラフィカルポインティングデバイスを使用して、または図3Bに示すような同定パラメータをウィンドウ内で入力することにより行う。つぎに、画像をステップ930で検査し、同定されたROIが区分けされたか否かを決定する。もし既に区分けがされていれば、区分けステップ940をバイパスすることができる。また使用者は、たとえ画像が区分けされていなくても区分けステップをバイパスすることを選択することもできる。前述したように、使用者は注釈ツールを使用して特徴のリストを同定してシステムに与えることができ、これによりシステムは診断を算出できる。もし区分けステップをバイパスする場合、システムはステップ950を開始してその後の処理、例えばパターン認識、特徴抽出、および診断算出を行う。代案として、またはROIを区分けする場合には、画像は区分けステップ940を行う区分けモジュール216に転送され、そして更なる処理がされる。
【0076】
画像が処理された後、例えば図8につき説明したような残りのステップ818〜822の後に、処理はループ900の最初まで戻って第2画像を読み込む。同定ステップ920で、ROIは再び同定される。次のステップで、ROIを検査し、既に区分けされているか、または区分けが必要であるかを決定する。好都合には、もし第2画像が区分けされていれば、第2画像における区分けした病変は、第1画像中の病変と関連付けし、または、第1画像における区分けした病変の位置および境界は、有利に第1入力として第2画像における病変の区分けに使用できる。次に第2画像を処理し、そしてこの処理は、複数の画像のそれぞれが処理されるまでループ900の最初に戻る。
【0077】
他の実施例において、システムは使用者を支援するように構成し、複数の病変を画像毎に複数の病変、または複数の画像における複数の病変を処理する。図10は、使用者が追随する一連のステップを示し、2個の病変を画像毎に区分けし、これらの2個の病変に対して2個の画像を用意する。図11A〜図11Dは、いくつかの例示的なスクリーン画面であり、このスクリーン画面は、使用者が図10に示すステップを追随することでシステムにより作成される。
【0078】
ステップ1010で、2個の画像を読み込み、使用者に病変候補の選択のために示す。図11Aは、第1病変1104を有する第1画像1102およびやはり第1病変1104を有する第2画像1106を、使用者に表示されるとおりに示す。ステップ1020で、使用者は第1病変1104を画定するパラメータを入力する。病変を画定する一例は、図3Bにつき前述されている。ステップ1020では、第2病変1108も同様に画定される。
【0079】
このように同定した病変は、病変を囲む円形またはほぼ楕円形の曲線でマーク付けすることができ、画像およびマーク付け円または楕円の曲線を含む合成画像とする。図11Bは、第1画像1102および第2画像1106の双方における楕円曲線1110でマーク付けした第1病変1104を示す。
【0080】
図10に戻って説明すると、ステップ1020で同定した病変を区分けする。システムは画像を前述のようにして区分けし、複数の区分け候補を選択用に用意する。同定したROIを有する画像、および使用者により区分けおよび選択された画像を、並べて表示することができる。一例として、図11Cは、区分けパネル1114内における1個の区分け候補1112を右手側に示し、また第1画像1102における第1病変1104を囲む楕円曲線1110を左手側に示す。この実施例において、1個の区分け候補のみをシステムにより用意したが、複数の候補を用意するのが一般的であることを理解されたい。図11Dは、区分け候補1116を区分けパネル1114中に示し、また第2病変1108を左手側の第1画像1102に示す。
【0081】
他の実施例において、システムは1個の病変に対して複数の画像を読み込む能力を活用して、区分けを三次元空間で実行する。三次元領域は一連のスライス片により表現することができる。各スライス片は二次元画像でも良く、そして病変に関連する領域を含む。一連の画像またはスライス片が読み込まれると、各スライス片における病変の表示は相互に関連付けする。したがって、スライス片のスタックは三次元データセットをもたらす。二次元区分け処理のように、システムは三次元データセットを区分けして一連の区分け候補を三次元空間に使用者による選択用に用意することができ、各区分け候補は三次元の包絡線となって疑わしい病変を囲む。使用者は、候補から一つの包絡線を選択することができ、その包絡線は疑わしい病変の境界に最も適合するものである。
【0082】
変更を加えた他の実施例において、CADシステムはテンポラリウィンドウ、すなわち一時的に配置された表示領域に一連の画像を使用者による検討および選択用に表示する。有利には、テンポラリウィンドウに表示されたこれらの画像は、「サムネイル」画像とすることができる。例えば、ステップ910で、1個の画像を読み込む代わりに複数個のサムネイル画像をテンポラリウィンドウに読み込んで選択できるようにする。サムネイル画像は読み込まれた医用画像のバージョンであり、概して縮小サイズにし、例えばその解像度を低減している。その縮小サイズにより、サムネイル画像は概してより速い処理および操作を可能にする。これらのサムネイル画像に相当する画像は、三次元データセットの異なるスライス片とすることができ、ハイライト表示された異なる病変を有する医用画像の異なるバージョン、同一の病変を示す異なる医用画像、または異なる回に撮影された同一領域の画像、またはそれらの組み合わせとすることができる。これらの画像は、リアルタイムで取得された画像またはアーカイブから読み出された画像とすることができる。
【0083】
これらのサムネイル画像は、使用者による検討および選択のために疑わしい病変候補をハイライト表示した一連の画像とすることができる。好都合には、これらの病変候補はシステムにより自動的に同定されたものとすることができる。例えば、システムはこの目的のために病変ロケータを設けた画像プロセッサとすることができる。病変ロケータは、サムネイル画像に対応する画像のそれぞれについて最初に全ての画素をスキャンして、画像分析を実行する。明確な特徴を有すると思われる領域は、病変候補に関連する領域として使用者に示唆される。代案として、背景と異なる組織のような特性を有する領域を、病変候補として使用者に示唆することができる。したがって、システムは動的に多数の病変候補を使用者による選択用に提供することができ、それは使用者が最初にシステムへ関心領域を同定または画定することを要求しない。システムは、病変候補に対応する領域のそれぞれを更に区分けすることができ、また各病変候補とともに各病変候補に対する最良の区分け候補を使用者に提示することができる。このようにして、ステップ920〜940は自動化して使用者の介入を最低限にすることができる。このことは、一層の支援を医用画像における病変同定において使用者にもたらす。
【0084】
病変候補は任意の適当な方法を用いても同定されることができ、上述の実施例に限定するものではないと理解されたい。例えば、三次元データセットの場合において、スライス片の一つで同定した病変は隣接するスライス片における病変を指示することができる。他の例として、MRIデータセットは規則的な時間間隔で取得された一連のコントラスト増強MRI画像とすることができる。検査前または検査中に、コントラスト増強剤を患者の腕の静脈に注入する。一般的には、ガドリニウム系の造影剤(例えばGd−DTPA)を使用する。造影剤の使用は、正常組織と異常組織との間により大きなコントラストをもたらす傾向がある。増強の時間変動を分析することも、撮影した領域のサブセットもしくはサブボリューム、または複数のサブセットを、病変候補として線引きするのを容易にし、これら病変候補をシステムが使用者に示唆することができる。
【0085】
有利には、サムネイル画像を表示するテンポラリウィンドウは、使用者に興味を起こさせ得るサムネイル画像を表示するよう構成することができる。例えば、使用者は画像を選択し、この選択した画像をテンポラリウィンドウ内に後処理のために配置することができる。このテンポラリウィンドウに配置した画像は、処理しておく、部分的に処理しておく、または全く処理しないでおく。部分的に処理した画像は、使用者により同定した少数の病変を有する場合があるが、病変から特徴を抽出するよう処理しないでおく。好都合には、CADシステムは全ての新たに取得した画像を処理して上述のように病変候補を同定し、またテンポラリウィンドウに、少なくとも1個の疑わしい病変を含む画像を配置することができる。このように、テンポラリウィンドウは、その中に使用者が更に調べようとする画像に対応する一連のサムネイル画像を配置しておくことができる。好ましくは、サムネイル画像はランク付けし、放射線技師がその優先順位を決めるのを支援する。任意の適当なランク付け装置を使用することができる。例えば、サムネイル画像のリストは、画像が病変を有していそうな可能性によりランク付けすることができる。このとき、最も疑わしい病変を有する画像をリストのトップに配置する。または、色付けシステムを開発して可能性を指示するようにすることができる。例えば、赤色の輪郭を使用して、病変候補が最も疑わしいことを示し、黄色は大きな病変疑惑を示すのに使用し、また青色を未処理の画像を示すのに使用することができる。また、異なるランク付けシステムを組み合わせて、よりよく放射線技師を支援できるようにする。
【0086】
病変候補を同定した後、使用者またはシステムのどちらかにより選択された場合でも、使用者はCAD処理を続けることができる。例えば、CAD処理は病変候補に関する特徴抽出を続け、そして抽出した特徴から診断を算出することができ、この詳細は前述している。もちろん、使用者はパターン認識および特徴抽出をバイパスすることを選択し、また医用画像内における特徴を手動で選択するよう決定することができ、このことは前述した通りである。このとき、CADソフトウェア130を使用して、単数または複数の病変に関連して手動で同定した特徴から診断を算出する。
【0087】
操作において、使用者は最初にCAD処理を、1個または複数個の画像を取得することにより開始し、これによりシステム100は画像を読み込んで検討および詳細な分析ができるようになる。このような詳細な検討は、使用者が同定したROIまたは一般的評価に基づく。システムまたはソフトウェアシステムは、初期的に複数の、例えば6個の区分けした画像の候補または疑わしい病変の候補のギャラリーをディスプレイ114に表示する。使用者は任意の候補を選択し、そして双方向のかつ制御した画像分析をリアルタイムで実行して解剖学的組織および病変の詳細な分析に供することができる。
【0088】
もし画像がリアルタイムで取得できれば、システムは、使用者にフィードバックを与え、また使用者をガイドして医用スキャン装置104を調整してより良い画像を取得するように構築できる。これは放射線技師が最適画像を1回の検査セッション中に取得することを可能にし、それは次善の画像しか取得できないことに起因して患者を再検査のために呼び戻す必要なしに行える。次善の画像は、例えば人工的な陰影(シャドウイング)により生じ、その陰影は超音波トランスデューサの不適切な向きまたは位置決めに起因する。リアルタイムのフィードバックにより、使用者は超音波トランスデューサの向きおよび位置を調整して何れの人工的な陰影を除去できる。または、使用者はトランスデューサを動かして疑わしい領域を掃引ことができる。画像取り込み(frame-grabbing)技術が備え、機器の最適な向きおよび位置の特定を支援することができる。不適切な圧力がトランスデューサ/ジェル/皮膚の界面に加わると、取得された超音波画像の質が低下した時に、システムはリアルタイムでフィードバックすることができ、例えば、もし過大な圧力が加えられた場合に警報を発することができる。
【0089】
CADシステムの支援により、使用者は1個または複数個の最適画像を取得して、組織内に存在し得るいかなる異常も明瞭に示すことができる。以下のステップが続くことができる。画像は最初に必要であれば区分けして区分け候補の番号を選択のために提示する。システムは選択した区分け候補を処理し、そして診断に関係すると考えられる特徴を同定または抽出する。自動診断を抽出および同定された特徴に基づいて行う。システムは検出した特性を重ね合わせた入力画像の合成レンダリングを表示する。初期設定による合成レンダリングは、全ての検出された特性を表示する。検出した特性を、結果ウィンドウ600に検出した特徴リストとして自動的に予め配備する。
【0090】
検出処理の使用者による更なる制御が、この時点で可能である。例えば、前述したように、使用者はシステムにより初期的に同定された特徴のいくつかまたは全てを追加または除去できる。AI規範モジュール222および評価モジュール224は、使用者による変更に基づき自動的に診断を算出または再算出し、その後BI−RADS評価を自動的に更新する。報告書は使用者により診断が認証された際に作成することができる。代案として、使用者は医用スキャン装置を移動または調整してより良い画像を取得することができ、この良質画像から特徴をより高い信頼レベルで同定または抽出できる。使用者は、最適画像が得られるまで、医用スキャン装置の調整、ならびに画像処理および分析の結果の検討をし続けることができる。
【0091】
上述したように、異なる医用撮像装置をCADシステムに統合することができる。図12に示す一実施例においては、医用スキャン装置104を超音波装置1202とし、この超音波装置1202は、画像のフレームを超音波トランスデューサの位置および向きでインデックス付けする専用のソフトウェア用アプリケーション1204を有するものとする。このソフトウェア用アプリケーション1204は、超音波装置1202およびCADソフトウェアシステム130の双方に動作可能に接続する。超音波装置1202により取得したいかなる医用画像もインデックスを有し、このインデックスは画像撮影時のトランスデューサの位置座標および配向角度に対応する。超音波装置1202のオペレータが、超音波装置1202のトランスデューサを患者の周りで動かすと、一連の画像1206を生じ、これら画像は、それぞれ位置および向きのインデックスを有する。オペレータは一連の画像を検討し、そして最高の質と思われるものを一連の画像から選択し、更なる処理に供する。例えば、選択されるとすぐ、最高の画像1208を区分けし、また6個の区分け候補のギャラリーをテンポラリウィンドウ1210に表示して使用者による選択に供され、そして更なる特徴抽出を選択した区分け候補に対して実行することができる。代案として、オペレータは、一連の画像をCADソフトウェアシステム130に供給してCAD処理を各取得画像に開始することができる。
【0092】
上述したように、CADソフトウェアシステム130を使用して、特徴のリストを各画像から同定および抽出し、また自動診断を抽出および同定した特徴に基づいて算出できる。オペレータは、全ての画像に対してCAD処理が完了する前に一連の画像が最適画像ではないとの決断を下すことがあり得る。例えば、それはトランスデューサの不適切な位置決めまたは向きのせいで複数の人工的な陰影が画像に付くときに起こり得る。人工的な陰影は、CADソフトウェアシステム130が画像中の本当の異常を正確に同定することを困難にする。超音波トランスデューサに加えられた不適切な圧力も、画質を低下する。画像の低品質の早期発見は、オペレータが検出パラメータ、例えばトランスデューサの位置、向き、もしくは圧力、または患者の位置さえ調整できるようにし、これにより最適画像が得られる。このことは、取得した画像の質に関する迅速なフィードバックをオペレータに与え、修正行為、例えばトランスデューサの再位置決めを行うことができる。
【0093】
オペレータが、最適画像を取得できたと納得した時点で、オペレータは1個の最良画像1208を選択することができ、CADソフトウェアシステム130がCAD処理を続行することができ、このことは前述した通りである。自動的に検出した特徴のリストならびに自動診断は、区分け候補が使用者により選択されたとき、特徴から算出する。結果は結果ウィンドウ600に表示される。使用者は、前述したように、次にシステムにより自動的に同定した特徴を確認または変更し、その後に使用者に提示された診断の示唆グループに基づいて診断を認証する。認証された診断は、医用画像および他の検出結果とともに、保存し、送信されて他の放射線技師と共有され、または報告書を作成するのに使用され、これらのことは出力装置1212を使用して行われる。
【0094】
有利には、CADソフトウェアシステム130をトランスデューサに接続し画像をリアルタイムで取得するとき、オペレータはトランスデューサまたはプローブの位置および向きをプローブ/トランスデューサ位置ウィンドウを介して入力して報告書に含めるようにする。図13Aは、グラフィカルユーザーインタフェースを示し、使用者が位置および向き情報を入力する。位置は、場所をワイヤフレーム図1302におけるポイントを選択することにより入力することができる。向き情報の入力を容易にするために、プローブまたはトランスデューサを示す長方形1304を、ワイヤフレーム図の上に重ね合わせて表示する。長方形1304を回転することにより、プローブまたはトランスデューサの向きが入力できる。図13Bは、報告書の1ページを示し、そのページには記録された位置および向き情報が記載される。
【0095】
図14は、上述した処理1400を要約したフローチャートを示し、最適画像を取得し、その後に診断がCADソフトウェアシステム130により作成された算出結果に基づいてなされる。手短に言えば、オペレータは処理をステップ1402で開始し、医用スキャン装置104を用いて画像を取得する。つぎに、ステップ1404でオペレータはCAD処理を開始して取得した1個または複数個の画像を分析し、そして診断に関連する特徴を抽出および同定する。CAD処理中、オペレータは取得した画像が最適かどうかを決定し、そして画像取得条件、例えばトランスデューサの位置および向き、または患者の体位取りを、ステップ1406で適宜調整して最適画像を取得する。この処理は、オペレータが最適画像を取得できたと納得するまで繰り返すことができる。つぎにオペレータはステップ1408に進み、診断を、最適画像から同定および抽出した特徴、ならびに抽出した特徴から算出した診断に基づいて行う。
【0096】
上述の処理1400の変更例も可能である。例えば、リアルタイムのフィードバックを処理中に行い、使用者が全ての取得画像に対してCAD処理を完了させる必要がないようにする。例えば、各スキャンは一連の画像を作成し、これら画像をテンポラリウィンドウに一連のサムネイル画像として表示することができる。上述したように、サムネイル画像は全て、システムにより自動的に同定された同一の病変の異なるビューを有するものとすることができ、または同一の初期画像で各サムネイル画像に同定された異なる病変を有するものとすることができる。ステップ1404〜1406へ更に進む前に、使用者はサムネイル画像から1個または複数の画像を選択して詳細検討し、そして残りの画像を廃棄することができる。このようにして、処理1400を用いて最適画像を取得する代わりに、使用者は処理1400から変更した処理を用いて動的に画像を選択して特定の疑わしい1個または複数個の病変を検討することができる。
【0097】
他の実施例として、図12に示す機器構成もオペレータに病変の弾性、すなわち弾性(elastography)画像を取得することを可能にする。処理を開始するために、オペレータは検査下の組織領域に多少の振動を導入することから始める。例えば、オペレータは何らかの圧力を病変の周辺の組織に加え、その後にその圧力を釈放する。異常領域、例えば病変または小結節は、その周囲の組織と比べて異なる弾性を有することは理解できるであろう。振動が組織に導入されると、異常領域の弾性が一連の映像または画像から調査される。異常領域は異なる弾性を有し、したがって振動に周囲の組織と比べて異なる応答をする。取得した一連の画像は、時系列でインデックス付けされると、病変または小結節を弾性変化に基づいて同定するのに用いることができる。一実施例において、区分けモジュールがこれらの弾性の差を一連の映像から同定されるものとして活用して、より良い区分け候補の選択をもたらす。
【0098】
別の実施例における追加的な例として、図12に示す医用スキャン装置104をドップラー撮像装置とする。ドップラー撮像装置は血管中の血流に敏感に反応することは理解できるであろう。もし、トランスデューサが過大な圧力を組織に加えると、それにより血管内で血流を妨げ、取得した画像の画質は粗悪なものとなる。図12に示す機器構成により提供されるシステムは、もしトランスデューサにより加えられる圧力が高すぎれば迅速なフィードバック、例えば警報をオペレータに与える。検出および取得条件の調整ステップの一部として、オペレータは患者の皮膚に加わるトランスデューサの圧力を調整でき、最適なドップラー画像が取得できる。
【0099】
本発明の種々の実施例を詳細に説明した。当業者は、多数の変更、適用、および改変を本発明の範囲から逸脱することなく実施例に対して加えることができるであろう。上述の最良の実施形態における変更および/または最良の実施形態への付加は、本発明の本質、精神、または範囲から逸脱することなく行えるので、本発明はこれらの詳細な説明には限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例を組み込んだCADシステムを示す線図的ブロック図である。
【図2】図1に示すCADシステムを制御するソフトウェアシステムの機能的コンポーネントおよびアーキテクチャを示す線図的ブロック図である。
【図3A】図1に示すシステムにより使用者に提示されるディスプレイ上の画面表示例であり、その画面表示から使用者が初期の区分候補を選択でき、そして詳細検討のために関心領域(ROI)を画定できるディスプレイ表示である。
【図3B】使用者用のディスプレイにおける他の画面表示例であり、使用者が同定パラメータを入力して詳細検討のために関心領域を画定するのに使用するディスプレイ表示である。
【図4A】図1に示すシステムにより使用者に提示されるディスプレイ上の画面表示例であり、その後の処理および検討のためにこの画面表示から使用者が複数の区分候補の一つを選択できるようにするディスプレイ表示である。
【図4B】図4Aの区分候補を概略的に示し、その区分境界の輪郭およびその制御ポイントのみを示す説明図である。
【図5】図1に示すシステムにより生成したディスプレイ上の画面表示例における、タイプDCISの病変としてタグ付けした疑わしい病変を示すディスプレイ表示である。
【図6】図1に示すシステムの使用者に提示されるディスプレイ上の画面表示例であり、初期の結果を使用者による詳細評価のために表示し、図6に示された区分候補の一つから使用者により選択された区分候補の処理の結果を示すディスプレイ表示である。
【図7】放射線技師が、組み込まれたテンプレートおよび図6に示す結果から生成した所見上の要約テキストを変更および保存するのに使用できる画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図8A】図2に示すソフトウェアシステムにより実施されるワークフローの前半のステップ群を示すフローチャートである。
【図8B】図2に示すソフトウェアシステムにより実施されるワークフローの後半のステップ群を示すフローチャートである。
【図9】図8Aおよび図8Bに示すプロセスから変更した、一つの病変に対して複数の画像をループ処理するプロセスを示すフローチャートである。
【図10】図8Aおよび図8Bに示すプロセスから変更した他のプロセスであって、画像毎に複数の病変に、または数個の病変を複数の画像上に区分けするステップ群を示すフローチャートである。
【図11A】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図11B】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図11C】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図11D】使用者が図10に示すステップに従うとき、システムにより作成される画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図12】図1に示すシステムとは異なる組み込みを行ったCADシステムを概略的に示す説明図である。
【図13A】図12に示すシステムの使用者がプローブまたはトランスデューサの位置および方位情報を入力するのに使用できる画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図13B】入力されたプローブまたはトランスデューサの位置および方位情報を組み入れた報告書の画面表示例を示すディスプレイ表示である。
【図14】操作者が図12に示すCADシステムを使用して最適画像化結果を得て診断を行う処理を概略的に示す説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムにおいて、
医用画像を処理し、この医用画像内における異常の診断に関連する特徴を抽出する画像プロセッサであって、前記抽出した特徴は、一組の予め定義した特徴セットの描写を満たすものとした、該画像プロセッサと、
前記抽出した特徴から算出した診断を生成する決定エンジンと、
使用者が前記医用画像中で一組の特徴セットを、前記抽出した特徴の下に同定し、そして前記一組の同定した特徴セットおよび前記算出した診断に基づいて診断を下す、注釈および変更ツールと
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、さらに、
前記決定エンジン用に、前記一組の予め定義した特徴セットをあり得る診断の範囲に関連付け、前記算出した診断を前記抽出した特徴から算出するようにした、複数の規範を備えたシステム。
【請求項3】
請求項2のシステムにおいて、
前記複数の規範を、診断済みの医用画像を蓄積したプールから較正するようにしたシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、さらに、
前記医用画像を分析し、また該医用画像中の疑わしい病変に対応する領域を同定する、病変ロケータを備えたシステム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、
前記画像プロセッサは、疑わしい病変に対応する医用画像中の領域を囲む境界輪郭を線引きする、区分けモジュールを有する構成としたシステム。
【請求項6】
請求項5のシステムにおいて、さらに、
疑わしい病変に対応する領域の複数の候補境界輪郭を提示して使用者による選択に供し、また前記使用者から指示を受けて候補境界輪郭のうち1個を処理する、ユーザーインタフェースを備えたシステム。
【請求項7】
請求項6のシステムにおいて、
前記区分けモジュールは、前記使用者が候補境界輪郭における一組の制御ポイントを変更した際に、前記候補境界輪郭を再算出するよう構成したシステム。
【請求項8】
請求項1のシステムにおいて、
前記決定エンジンは、前記一組の同定した特徴セットから算出した診断を動的に再算出するように構成したシステム。
【請求項9】
請求項1のシステムにおいて、さらに
一組の同定した特徴セットおよび下した診断に基づいて所見の報告書を生成する、報告モジュールを備えたシステム。
【請求項10】
医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムにおいて、
前記医用画像を表示するディスプレイと、
使用者による入力を受ける入力装置と、
前記医用画像から画像特性を同定し、また一組の同定した画像特性の初期セットを提示して前記使用者による検討に供する、分析エンジンと、
前記使用者が同定した画像特性の前記初期セットを変更し、一組の前記同定した画像特性の変更セットを得るようにした、注釈および変更ツールと
を備え、
前記システムは、初期診断を同定した画像特性の前記初期セットおよび一組の予め定義した基準セットから算出し、同定した画像特性の前記初期セットおよび前記初期診断を前記使用者に提示して検討に供し、前記使用者から前記変更セットを受け取り、そして前記変更セットおよび前記予め定義した基準セットから診断を再算出して前記使用者による認証に供する構成としたことを特徴とする、システム。
【請求項11】
請求項10のシステムにおいて、
前記診断を、診断済み画像を蓄積したプールから較正した一組の規範セットから算出する構成としたシステム。
【請求項12】
請求項10のシステムにおいて、さらに、
疑わしい病変に対応する医用画像中の領域を囲む境界輪郭を線引きする、区分けモジュールを備え、
前記ディスプレイは、使用者が検討および前記入力装置を用いて変更できるよう、前記境界輪郭を表示するものとしたシステム。
【請求項13】
請求項10のシステムにおいて、さらに、
前記医用画像を分析し、また前記医用画像中の疑わしい病変に対応する候補領域を同定する病変ロケータを備え、
前記ディスプレイは、前記候補領域を提示して使用者による選択に供するシステム。
【請求項14】
複数の医用画像中の異常のコンピュータ支援診断を行うシステムであって、前記複数の医用画像は、患者の身体の解剖学的領域の異なるビューとした、該システムにおいて、
前記複数の医用画像を取得する画像取得モジュールと、
前記複数の医用画像のそれぞれを処理し、そして前記各医用画像内における前記異常の診断に関連する一組の特徴の初期セットを同定する、画像プロセッサと、
同定した特徴の複数の前記初期セットから初期診断を算出する決定エンジンと、
使用者が同定した特徴の前記初期セットを変更して、同定した特徴の一組の変更セットを得る、注釈および変更ツールと
を備え、前記決定エンジンは、同定した特徴の前記変更セットから算出した診断を再算出して使用者による認証に供する構成としたシステム。
【請求項15】
請求項14のシステムにおいて、さらに、
前記医用画像を分析し、また前記医用画像中の疑わしい病変に対応する領域を同定し、使用者による選択に供する、病変ロケータを備えたシステム。
【請求項16】
請求項15のシステムにおいて、
前記病変ロケータは、前記医用画像中の複数の領域を同定し、前記複数の領域は、それぞれ使用者が選択する病変に対応するものとしたシステム。
【請求項17】
請求項16のシステムにおいて、
前記同定した特徴の初期セットは、前記複数の領域の各領域に関連する特徴を含むものとしたシステム。
【請求項18】
請求項14のシステムにおいて、さらに、
使用者が前記算出した診断を認証する際に診断報告書を生成する、報告モジュールを備えたシステム。
【請求項19】
請求項18のシステムにおいて、
前記診断報告書は、監査目的で識別情報を含むものとしたシステム。
【請求項20】
請求項19のシステムにおいて、
前記識別情報は、患者識別情報、ソフトウェア識別情報、検査識別表示、報告書整理番号、前記診断報告書に関する日時情報、および使用者識別表示のうち少なくとも一つを含むものとしたシステム。
【請求項21】
請求項20のシステムにおいて、さらに、
前記診断報告書にデジタル署名する、暗号モジュールを備えたシステム。
【請求項22】
請求項14のシステムにおいて、さらに、
同定した特徴の前記変更セットおよび前記算出した診断に基づいて要約書を生成する、テンプレートを備えたシステム。
【請求項23】
請求項22のシステムにおいて、さらに、
同定した特徴の前記変更セットおよび前記算出した診断を推奨治療法に関連付ける予め定義した規範を備え、前記推奨治療法は、前記使用者により変更可能としたシステム。
【請求項24】
請求項14のシステムにおいて、
前記システムは、複数のモダリティから取得した前記複数の医用画像を処理するよう構成したシステム。
【請求項25】
請求項24のシステムにおいて、
同定した特徴の前記初期セットは、前記各医用画像内に複数の領域に関する特徴を含むものとしたシステム。
【請求項26】
請求項25のシステムにおいて、
前記算出した診断は、前記各医用画像内における前記複数の領域に関連する同定した特徴の前記変更セットから算出するものとしたシステム。
【請求項27】
請求項24のシステムにおいて、
前記複数のモダリティは、超音波画像、ドップラー画像、スペクトルドップラー画像、X線画像、CT画像、PET画像、PET−CT画像、およびMRI画像のうち少なくとも2個のモダリティを含むものとしたシステム。
【請求項28】
医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行う方法において、
デジタル化した医用画像を取得するステップと、
前記デジタル化した医用画像を処理し、このデジタル化した医用画像内における一組の画像特徴の初期セットを同定する初期セット同定ステップであって、同定した画像特徴の前記初期セットは、予め定義した特性セットの描写を満たすものとした、該初期セット同定ステップと、
同定した画像特徴の前記初期セットを提示して使用者の検討に供するステップと、
前記使用者により、同定した画像特徴の前記初期セットから変更した、一組の画像特徴の変更セットを受け取るステップと、
画像特徴の前記変更セットから診断を算出して使用者による認証に供するステップと、および
前記使用者から認証された診断を受け取る際に診断報告書を作成するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28の方法において、さらに、
前記デジタル化した医用画像を処理する前に、該デジタル化した医用画像内における関心領域の同定を前記使用者から受けるステップと、
前記関心領域に対応する複数の区分け候補を生成するステップと、
前記複数の区分け候補を提示して使用者による選択に供するステップと
を備え、前記処理ステップは、前記画像特徴のセットを同定するとき、選択した区分け候補を利用するものとした方法。
【請求項30】
請求項28の方法において、さらに
前記一組の予め定義した特性セットを、あり得る診断に関連付ける複数の規範を取得するステップを備え、
前記診断は、前記複数の規範および一組の画像特徴の前記変更セットから算出するものとした方法。
【請求項31】
請求項30の方法において、
前記複数の規範は、診断済みの医用画像を蓄積したプールから較正するものとした方法。
【請求項32】
医用画像をコンピュータ支援検出システムによる支援を受けて取得する方法であって、前記コンピュータ支援検出システムは、前記医用画像を生成する医用撮像装置と、該医用画像を処理する分析エンジンとを有する構成とした、該方法において、
複数の医用画像を患者から前記医用撮像装置を用いて取得するステップと、
前記複数の医用画像のそれぞれを、前記分析エンジンを用いて分析するステップと、
画像取得条件を調整して最適画像を前記複数の医用画像から取得するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32の方法において、
前記複数の医用画像のそれぞれを分析するステップは、前記各医用画像内における疾病の診断に関連する特徴を抽出し、そして算出した診断を前記抽出した特徴から生成するステップを含むものとした方法。
【請求項34】
請求項32の方法において、
複数の医用画像を取得する前記ステップおよび前記複数の医用画像を分析する前記ステップを、同一の検査セッションで行う方法。
【請求項1】
医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムにおいて、
医用画像を処理し、この医用画像内における異常の診断に関連する特徴を抽出する画像プロセッサであって、前記抽出した特徴は、一組の予め定義した特徴セットの描写を満たすものとした、該画像プロセッサと、
前記抽出した特徴から算出した診断を生成する決定エンジンと、
使用者が前記医用画像中で一組の特徴セットを、前記抽出した特徴の下に同定し、そして前記一組の同定した特徴セットおよび前記算出した診断に基づいて診断を下す、注釈および変更ツールと
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、さらに、
前記決定エンジン用に、前記一組の予め定義した特徴セットをあり得る診断の範囲に関連付け、前記算出した診断を前記抽出した特徴から算出するようにした、複数の規範を備えたシステム。
【請求項3】
請求項2のシステムにおいて、
前記複数の規範を、診断済みの医用画像を蓄積したプールから較正するようにしたシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、さらに、
前記医用画像を分析し、また該医用画像中の疑わしい病変に対応する領域を同定する、病変ロケータを備えたシステム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、
前記画像プロセッサは、疑わしい病変に対応する医用画像中の領域を囲む境界輪郭を線引きする、区分けモジュールを有する構成としたシステム。
【請求項6】
請求項5のシステムにおいて、さらに、
疑わしい病変に対応する領域の複数の候補境界輪郭を提示して使用者による選択に供し、また前記使用者から指示を受けて候補境界輪郭のうち1個を処理する、ユーザーインタフェースを備えたシステム。
【請求項7】
請求項6のシステムにおいて、
前記区分けモジュールは、前記使用者が候補境界輪郭における一組の制御ポイントを変更した際に、前記候補境界輪郭を再算出するよう構成したシステム。
【請求項8】
請求項1のシステムにおいて、
前記決定エンジンは、前記一組の同定した特徴セットから算出した診断を動的に再算出するように構成したシステム。
【請求項9】
請求項1のシステムにおいて、さらに
一組の同定した特徴セットおよび下した診断に基づいて所見の報告書を生成する、報告モジュールを備えたシステム。
【請求項10】
医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行うシステムにおいて、
前記医用画像を表示するディスプレイと、
使用者による入力を受ける入力装置と、
前記医用画像から画像特性を同定し、また一組の同定した画像特性の初期セットを提示して前記使用者による検討に供する、分析エンジンと、
前記使用者が同定した画像特性の前記初期セットを変更し、一組の前記同定した画像特性の変更セットを得るようにした、注釈および変更ツールと
を備え、
前記システムは、初期診断を同定した画像特性の前記初期セットおよび一組の予め定義した基準セットから算出し、同定した画像特性の前記初期セットおよび前記初期診断を前記使用者に提示して検討に供し、前記使用者から前記変更セットを受け取り、そして前記変更セットおよび前記予め定義した基準セットから診断を再算出して前記使用者による認証に供する構成としたことを特徴とする、システム。
【請求項11】
請求項10のシステムにおいて、
前記診断を、診断済み画像を蓄積したプールから較正した一組の規範セットから算出する構成としたシステム。
【請求項12】
請求項10のシステムにおいて、さらに、
疑わしい病変に対応する医用画像中の領域を囲む境界輪郭を線引きする、区分けモジュールを備え、
前記ディスプレイは、使用者が検討および前記入力装置を用いて変更できるよう、前記境界輪郭を表示するものとしたシステム。
【請求項13】
請求項10のシステムにおいて、さらに、
前記医用画像を分析し、また前記医用画像中の疑わしい病変に対応する候補領域を同定する病変ロケータを備え、
前記ディスプレイは、前記候補領域を提示して使用者による選択に供するシステム。
【請求項14】
複数の医用画像中の異常のコンピュータ支援診断を行うシステムであって、前記複数の医用画像は、患者の身体の解剖学的領域の異なるビューとした、該システムにおいて、
前記複数の医用画像を取得する画像取得モジュールと、
前記複数の医用画像のそれぞれを処理し、そして前記各医用画像内における前記異常の診断に関連する一組の特徴の初期セットを同定する、画像プロセッサと、
同定した特徴の複数の前記初期セットから初期診断を算出する決定エンジンと、
使用者が同定した特徴の前記初期セットを変更して、同定した特徴の一組の変更セットを得る、注釈および変更ツールと
を備え、前記決定エンジンは、同定した特徴の前記変更セットから算出した診断を再算出して使用者による認証に供する構成としたシステム。
【請求項15】
請求項14のシステムにおいて、さらに、
前記医用画像を分析し、また前記医用画像中の疑わしい病変に対応する領域を同定し、使用者による選択に供する、病変ロケータを備えたシステム。
【請求項16】
請求項15のシステムにおいて、
前記病変ロケータは、前記医用画像中の複数の領域を同定し、前記複数の領域は、それぞれ使用者が選択する病変に対応するものとしたシステム。
【請求項17】
請求項16のシステムにおいて、
前記同定した特徴の初期セットは、前記複数の領域の各領域に関連する特徴を含むものとしたシステム。
【請求項18】
請求項14のシステムにおいて、さらに、
使用者が前記算出した診断を認証する際に診断報告書を生成する、報告モジュールを備えたシステム。
【請求項19】
請求項18のシステムにおいて、
前記診断報告書は、監査目的で識別情報を含むものとしたシステム。
【請求項20】
請求項19のシステムにおいて、
前記識別情報は、患者識別情報、ソフトウェア識別情報、検査識別表示、報告書整理番号、前記診断報告書に関する日時情報、および使用者識別表示のうち少なくとも一つを含むものとしたシステム。
【請求項21】
請求項20のシステムにおいて、さらに、
前記診断報告書にデジタル署名する、暗号モジュールを備えたシステム。
【請求項22】
請求項14のシステムにおいて、さらに、
同定した特徴の前記変更セットおよび前記算出した診断に基づいて要約書を生成する、テンプレートを備えたシステム。
【請求項23】
請求項22のシステムにおいて、さらに、
同定した特徴の前記変更セットおよび前記算出した診断を推奨治療法に関連付ける予め定義した規範を備え、前記推奨治療法は、前記使用者により変更可能としたシステム。
【請求項24】
請求項14のシステムにおいて、
前記システムは、複数のモダリティから取得した前記複数の医用画像を処理するよう構成したシステム。
【請求項25】
請求項24のシステムにおいて、
同定した特徴の前記初期セットは、前記各医用画像内に複数の領域に関する特徴を含むものとしたシステム。
【請求項26】
請求項25のシステムにおいて、
前記算出した診断は、前記各医用画像内における前記複数の領域に関連する同定した特徴の前記変更セットから算出するものとしたシステム。
【請求項27】
請求項24のシステムにおいて、
前記複数のモダリティは、超音波画像、ドップラー画像、スペクトルドップラー画像、X線画像、CT画像、PET画像、PET−CT画像、およびMRI画像のうち少なくとも2個のモダリティを含むものとしたシステム。
【請求項28】
医用画像中に捕捉された異常の双方向型コンピュータ支援検出を行う方法において、
デジタル化した医用画像を取得するステップと、
前記デジタル化した医用画像を処理し、このデジタル化した医用画像内における一組の画像特徴の初期セットを同定する初期セット同定ステップであって、同定した画像特徴の前記初期セットは、予め定義した特性セットの描写を満たすものとした、該初期セット同定ステップと、
同定した画像特徴の前記初期セットを提示して使用者の検討に供するステップと、
前記使用者により、同定した画像特徴の前記初期セットから変更した、一組の画像特徴の変更セットを受け取るステップと、
画像特徴の前記変更セットから診断を算出して使用者による認証に供するステップと、および
前記使用者から認証された診断を受け取る際に診断報告書を作成するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28の方法において、さらに、
前記デジタル化した医用画像を処理する前に、該デジタル化した医用画像内における関心領域の同定を前記使用者から受けるステップと、
前記関心領域に対応する複数の区分け候補を生成するステップと、
前記複数の区分け候補を提示して使用者による選択に供するステップと
を備え、前記処理ステップは、前記画像特徴のセットを同定するとき、選択した区分け候補を利用するものとした方法。
【請求項30】
請求項28の方法において、さらに
前記一組の予め定義した特性セットを、あり得る診断に関連付ける複数の規範を取得するステップを備え、
前記診断は、前記複数の規範および一組の画像特徴の前記変更セットから算出するものとした方法。
【請求項31】
請求項30の方法において、
前記複数の規範は、診断済みの医用画像を蓄積したプールから較正するものとした方法。
【請求項32】
医用画像をコンピュータ支援検出システムによる支援を受けて取得する方法であって、前記コンピュータ支援検出システムは、前記医用画像を生成する医用撮像装置と、該医用画像を処理する分析エンジンとを有する構成とした、該方法において、
複数の医用画像を患者から前記医用撮像装置を用いて取得するステップと、
前記複数の医用画像のそれぞれを、前記分析エンジンを用いて分析するステップと、
画像取得条件を調整して最適画像を前記複数の医用画像から取得するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32の方法において、
前記複数の医用画像のそれぞれを分析するステップは、前記各医用画像内における疾病の診断に関連する特徴を抽出し、そして算出した診断を前記抽出した特徴から生成するステップを含むものとした方法。
【請求項34】
請求項32の方法において、
複数の医用画像を取得する前記ステップおよび前記複数の医用画像を分析する前記ステップを、同一の検査セッションで行う方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【公表番号】特表2008−541889(P2008−541889A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513884(P2008−513884)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000906
【国際公開番号】WO2006/128302
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507395360)ザ メディパターン コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000906
【国際公開番号】WO2006/128302
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507395360)ザ メディパターン コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】
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