説明

コンベヤ装置

【課題】メインラインのサイド部に人員移送用のスラット型コンベヤを設け、このスラット型コンベヤの移送速度をメインラインの移送速度に同期させる。
【解決手段】所定の幅を有するプラスチック製スラット111が複数個エンドレス状に連結されることによって形成されるスラット型履帯11と、スラット型履帯11を一定方向に駆動するスプロケット12、13と、スプロケット12、13を駆動する駆動モータ14等からなるスラット型コンベヤ1と、スラット型コンベヤ1の移送行程エンド部に設けられる挟まれ防止装置2と、メインライン8の起動及び停止並びにスラット型コンベヤ1の速度をメインライン8の速度に一致させるように駆動側インバータから上記駆動モータ14への供給電圧の制御等を行なう制御手段4と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、車両組立ラインのサイド部等にあって、当該車両組立に従事する作業者の移送等を目的としたコンベヤ装置に関するものであり、特に、上記コンベヤ装置を、剛性の高いプラスチック製のモジュールスラットにて形成させるようにしたスラット型履帯式のコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両組立ライン等においては、ワークとしての車両は、コンベヤに搭載されて一定速度で移動するが、当該組立ラインにて上記車両等の組立作業を行なう作業者は、上記車両の移動速度に合わせて横歩きをするようになっていた。このような作業者の作業環境を改善するために、作業環境の厳しい状態にある部分においては、それぞれベルトコンベヤ装置を設置するようにし、これによって、上記問題点を解決するようにしたものが、例えば特開平11−310378号公報等により公知となっている。
【特許文献1】特開平11−310378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来のものは、人員の載るコンベヤ部分が、柔軟性のあるベルト等にて形成されるようになっているものである。従って、所定の人員が載った場合、上記ベルトは下方に撓むこととなるため、この撓み変形に対処するため、ベルトの下側には所定の撓み防止装置等が設けられるようになっているものである。従って、この従来のものにおいては、撓み防止装置を必ず設けねばならず、コンベヤ装置全体としては、大掛りなものとならざるを得ないと言う問題点があった。このような問題点を解決するために、履帯を剛性の高いプラスチック製スラットにて形成させ、上記従来のものにおいて設けられていた撓み防止装置を省くことのできるようにしたコンベヤ装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、ワークを搬送するための履帯、及び当該履帯を駆動するための駆動モータ等からなるコンベヤ装置に関して、所定の幅を有するプラスチック製スラットが複数個エンドレス状に連結されることによって形成されるスラット型履帯と、当該スラット型履帯を形成する各スラットの両端部に形成された係合部のところに係合して上記各スラットを一定方向に駆動する歯を外周部に有するスプロケットと、当該スプロケットを駆動するための駆動モータと、からなるスラット型コンベヤを有し、当該スラット型コンベヤにおける移送行程のエンド部に挟まれ防止装置を有し、上記駆動モータに駆動用電力を供給するための可変周波数電源(以下駆動側インバータと言う)を有するとともに、更に、上記メインラインの起動及び停止を初めとしたその移送速度を検出するためのメインライン用速度センサを有し、更に、上記スラット型コンベヤの起動及び停止を初めとしたその移送速度を検出するためのサイドライン用速度センサを有し、これらの両センサからの信号に基づき、上記スラット型コンベヤの起動及び停止を上記メインラインの起動及び停止に同期させ、更には、上記スラット型コンベヤの速度を上記メインラインの速度に一致させるように上記駆動側インバータから上記駆動モータへの供給電力を制御するとともに、上記挟まれ防止装置に設けられたスイッチからの信号により上記挟まれ防止装置が作動したときには上記駆動モータを停止させるように制御作用をする制御手段を有する構成を採ることとした。
【0005】
また、請求項2記載の発明である第二の発明においては、請求項1記載のコンベヤ装置に関して、上記駆動モータにて駆動されるスプロケットである駆動側スプロケットの設けられる側とは反対側のエンド部に、上記スラットの両端部に形成された係合部に係合するように形成された従動側スプロケットを設けるとともに、当該従動側スプロケットを駆動するための従動モータを設け、当該従動モータの回転速度を制御するものであって上記駆動側インバータに連動して作動するとともに上記駆動側インバータよりも周波数電圧が所定量低減化された状態で作動する従動側インバータを設けるようにした構成を採ることとした。
【0006】
また、請求項3記載の発明である第三の発明においては、請求項1または請求項2記載のコンベヤ装置に関して、上記制御手段に所定の操作部を設けるとともに、当該操作部の操作によって上記スラット型コンベヤの速度制御を行なうことのできるようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0007】
第一の発明によれば、組立ラインであるメインラインが稼働を開始すると、ワークである車両が移動する。この移動に伴って、メインライン用速度センサからの信号に基づき制御手段が作動し、駆動側インバータが作動する。この駆動側インバータの作動によって、上記駆動モータが作動を開始するとともに、これによって、駆動側スプロケットが駆動されることとなる。その結果、当該駆動側スプロケットと係合する各スラットが駆動され、当該スラット上に載っている人員(作業者)は、メインラインに搭載された車両の移動に伴って移動をすることとなる。なお、このときの上記作業者の移動速度(移送速度)は、上記メインライン用速度センサからの信号に基づく上記制御手段の制御作用によって上記駆動側インバータが作動し、これによって上記駆動モータへの周波数電圧が制御され、駆動モータの回転速度が調整されることによって制御される。その結果、本スラット型コンベヤの移送速度は上記メインラインの速度と同期するようになる。従って、作業者は、不自然な横歩き等を行なわないで済むようになり、肉体的な負担が少なくなり、作業効率の向上が図られることとなる。
【0008】
なお、このとき、本コンベヤ装置においては、人員の載るコンベヤの部分が剛性の高いプラスチック製スラットにて形成されるようになっているので、各スラットは撓み変形をすることなく、円滑に作動することとなる。また、上記作業者が、作業中において、本コンベヤ装置の移送行程のエンド部まで移送された場合には、当該エンド部に設けられた挟まれ防止装置が作動し、当該挟まれ防止装置に設けられたスイッチから上記制御手段に信号が送られ、これによって、上記駆動モータは停止することとなる。その結果、上記スラット型コンベヤは作動を停止する。従って、作業者の移送は当該エンド部で止められることとなるので、作業者は挟まれることが無く、安全性が確保されることとなる。
【0009】
また、第二の発明によれば、駆動側スプロケットの設けられる側とは反対の側のエンド部に従動側スプロケット及び当該従動側スプロケットを駆動する従動モータを設けるとともに、これら従動側スプロケット及び従動モータを別途設けられた従動側インバータを介して上記駆動モータ及び駆動側スプロケットよりも若干遅い回転速度にて回転駆動するようにしたので、人員の載るスラット型コンベヤには、その前後方向に、常に一定の張力が加わることとなる。従って、スラット上への人員の乗降等に起因してコンベヤ全体に掛る負荷に変動が生じたとしても、スラット型コンベヤ自体にはサージング現象等が生ぜず、常に円滑に作動をすることとなる。
【0010】
また、第三の発明によれば、上記制御手段に設けられたコントロールパネル等に上記メインラインの移送速度が表示されるようになっているので、この表示データ等を基に、あるいは操作者の目視等に基づき、上記制御手段に設けられたダイヤル等を操作することによって、上記駆動側インバータから駆動モータへの周波数電圧を調整し、これによって上記駆動モータの回転速度が制御されることとなる。その結果、上記メインラインの速度と同期させた状態でスラット型コンベヤの速度を調整することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図4を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、図1に示す如く、車両組立用メインライン8のサイド部に設けられるものであって、所定の幅を有するプラスチック製スラット111及び当該スラット111が複数個エンドレス状に連結されることによって形成されるスラット型履帯11と、当該スラット型履帯11を形成する各スラット111の両端部に形成された係合部115のところに係合して上記各スラット111を一定方向に駆動する歯121を外周部に有するスプロケット(駆動側スプロケット)12と、当該駆動側スプロケット12を駆動するための駆動モータ14と、等からなるスラット型コンベヤ1を有し、当該スラット型コンベヤ1における移送行程のエンド部に挟まれ防止装置2を有し、上記駆動モータ14に駆動用電力を供給するための可変周波数電源(以下駆動側インバータと言う)3を有するとともに、更に、上記メインライン8の起動及び停止を初めとしたその移送速度を検出するためのメインライン用速度センサ5を有し、更に、上記スラット型コンベヤ1の起動及び停止を初めとしたその移送速度を検出するためのサイドライン用速度センサ6を有し、これらの両センサ5、6からの信号に基づき、上記スラット型コンベヤ1の起動及び停止を上記メインライン8の起動及び停止に同期させ、更には、上記スラット型コンベヤ1の速度(Vs)を上記メインライン8の速度(Vm)に一致させるように上記駆動側インバータ3から上記駆動モータ14への供給電圧(Q)を制御するとともに、挟まれ防止装置2に設けられたスイッチ21からの信号により上記挟まれ防止装置2が作動したときには上記駆動モータ14を停止させるように制御作用をする制御手段4を有する構成からなることを基本とするものである。
【0012】
このような構成において、上記スラット型コンベヤ1は、図1及び図2に示す如く、一方の端部である駆動側の端部には、上記スラット111の裏面側に設けられた凹陥状の係合部115に係合するように形成された歯121を、その外周部に有する駆動側スプロケット12を有するとともに、もう一方の端部である従動側の端部には上記駆動側と同じように各スラット111の裏面側に設けられた係合部115に係合する歯を有する従動側スプロケット13を有するようになっているものである。そして、このような構成からなる各スプロケット12、13のうち駆動側スプロケット12の一端にはチェーン等からなる動力伝達装置15が設けられ、この動力伝達装置15には、当該動力伝達装置15を介して上記駆動側スプロケット12に駆動力を与えるための駆動モータ14が接続されるようになっているものである。また、上記従動側スプロケット13側には、上記駆動側スプロケット12と同様、従動側スプロケット13に所定の駆動力を付与するための従動モータ17が設けられるようになっている。なお、これら駆動側スプロケット12及び従動側スプロケット13に駆動力を与える各モータ14、17は、上記駆動側の場合のようにチェーン等からなる動力伝達装置15を介して上記駆動側スプロケット12に連結されるようにしても良いし、または従動側の場合のように、従動モータ17を直接従動側スプロケット13に連結して、これを直接駆動するようにしても良い。
【0013】
このような構成からなるものにおいて、上記駆動モータ14側には、上記駆動側インバータ3から所定の周波数電圧(Q)が供給されるようになっているものである。また、上記従動モータ17側には、従動側インバータ3’が設けられ、当該従動側インバータ3’からは上記従動モータ17に周波数電圧(Q’)が供給されるようになっているものである。なお、このような状態において、Q’<Qの関係式が成り立つようになっているものである。すなわち、従動モータ17へは駆動モータ14に供給される周波数電圧(Q)よりも低い値の電圧(Q’)が供給され、従動モータ17は駆動モータ14よりも所定の割合だけ遅い回転速度で回転するようになっているものである。その結果、これら両モータ14、17にて駆動される各スプロケット12、13間に設置されるスラット型履帯11には、常に所定の張力が付与されることとなり、当該スラット型履帯11は、常に安置した状態で一定方向に駆動されることとなる。従って、上記スラット型履帯11上への人員(作業者)の乗降等によって、当該スラット型履帯11への負荷に変動が生じたとしても、これらスラット型履帯11にて形成されるスラット型コンベヤ1にはサージング現象等は生じない。なお、上記Q’とQとの間においては、Qの値の約5%減程度の値にQ’の値を制御することによって、本スラット型コンベア1を最も安定した状態で作動させることができるようになる。
【0014】
次に、このような構成からなる各インバータ3、3’における供給周波数電圧(Q,Q’)の制御、メインライン8の起動及び停止制御、更にはメインライン用速度センサ5からのメインライン8の移送速度(Vm)並びにサイドライン用速度センサ6からのスラット型コンベヤ1の移送速度(Vs)を演算処理してスラット型コンベヤ1の速度(Vs)を上記メインライン8の移送速度(Vm)に同期させるように制御作用をする制御手段4は、マイクロプロセッサユニット(MPU)を基礎に形成されるコンピュータからなるものである。なお、本実施の形態のものにおいては、上記スラット型コンベヤ1の速度(Vs)のメインライン8の移送速度(Vm)への同期制御等は、制御手段4による自動制御方式のものの他に、制御手段4に別途設けられたダイヤル等からなる操作部44等を作業者等が手動にて操作することによって行わせるようにすることもできるようになっている。
【0015】
次に、上記スラット型コンベヤ1の移送エンド部に設けられた挟まれ防止装置2の構成について説明する。本装置の構成は、図3に示す如く、上記スラット型履帯11の上面とほぼ同一の面を有するように設置されたプレート22と、当該プレート22の下側にブラケット等を介して設けられたシャフト24と、当該シャフト24をスライド移動可能なように支持するベアリング26と、上記シャフト24の一端に設けられたスイッチングプレート23と、当該スイッチングプレート23と常時接触するように設けられたリミットスイッチ21と、通常は、上記プレート22を、上記スラット型履帯11側に押付けるように作動するスプリング25と、からなるものである。なお、これら構成において、更に、上記リミットスイッチ21、メインライン用速度センサ5、サイドライン用速度センサ6は、上記制御手段4と電気的に接続された構成となっており、これら各センサ類から上記制御手段4に各種信号が送信されるようになっているものである。
【0016】
上記構成を採ることにより、メインライン8が稼働を開始すると、この稼働に伴ってメインライン用速度センサ5からの信号(Vm)に基づき制御手段4が作動し、駆動側インバータ3を制御して、駆動モータ14を作動させる。この駆動モータ14の作動によって動力伝達装置15を介して駆動側スプロケット12が駆動される。その結果、スラット型履帯11が移動し、スラット型コンベヤ1からなるサイドラインが作動をすることによって、人員(作業者P)が移送されることとなる。なお、このときの上記サイドライン(スラット型コンベヤ)1の移送速度は、次のような操作等によってメインライン8の移送速度に同期させられることとなる。すなわち、上記メインライン用速度センサ5からの信号(Vm)に基づいて上記制御手段4のコントロールパネル(図示せず)等には上記メインライン8の移送速度が表示されるので、このデータに基づき、あるいは操作者の目視等に基づき、上記制御手段4に設けられたダイヤル等の操作部44を操作することによって上記駆動側インバータ3を作動させる。これと同時に、当該駆動側インバータ3からは上記駆動モータ14へ所定の周波数電圧(Q)が供給されることとなるので、これによって、当該駆動モータ14は所定の回転速度にて回転運動をするようになる。これら一連の作動によって上記サイドライン1の移送速度は、上記メインライン8の移送速度に同期するようになる。
【0017】
次に、サイドライン用速度センサ6を設ける構成とした場合の作動態様について、図4のフローチャート図を基に説明する。まず、A0 ステップにおいて電源をONすること等により、次のA1 ステップにおいてマイクロプロセッサユニット(MPU)等からなる制御手段4、駆動モータ14等が起動する。次に、A2 ステップにおいて、制御手段4はメインライン用速度センサ5からの信号(Vm)を入力し、この値が所定値を超えているか否かを判定する(A3 ステップ)。これによってメインライン8の速度が所定値以上になった時に、初めてサイドライン(スラット型コンベヤ)1をスタートさせるようにし、メインライン8とサイドライン1とを同期させるようにする。次に、A4 ステップにおいて、上記サイドライン1が、何らかの理由によりオーバロードとなっていることはないか否かをチェックする。もし、オーバロードとなっている場合には、B1 ステップにて警報を発するとともに、B3 ステップにて駆動モータ14の作動を停止させる。
【0018】
次に、上記A4 ステップにおいて、サイドライン1がオーバロードとなっていない場合には、当該サイドライン1を駆動することとなるが、この状態において、A5 ステップにてサイドライン1のエンド部に設けられた挟まれ防止装置2のリミットスイッチ21が作動しているか否かを判断する。当該リミットスイッチ21が作動(ON)しているとすると制御手段4へはSの信号が発信されるので、この場合には、B2 ステップにて挟まれ警報を発するとともに、B3 ステップにて駆動モータ14の作動を停止させる。上記挟まれ防止装置2のリミットスイッチ21が作動していない(OFF)場合には、A6 、A7 ステップにおいて、メインライン用速度センサ5からの信号(Vm)、サイドライン用速度センサ6からの信号(Vs)を入力し、次のA8 ステップにおいてVm−Vsを計算する。この計算結果に基づき、次のA9 ステップにおいて、サイドライン1の速度(Vs)をどれだけ修正すれば良いかを判断する。この目標修正値(計算結果)を受けて、A10ステップにおいて、制御手段4から駆動側インバータ3に信号Eを発信し、この信号Eを受けて、当該駆動側インバータ3から駆動モータ14へ目標制御周波数電圧(Q)を出力する。
【0019】
また、上記駆動側インバータ3と連動するように従動側インバータ3’が設けられるようになっており、この従動側インバータ3’からは、上記駆動側インバータ3から駆動モータ14へ供給される周波数電圧(Q)に対して所定の割合だけ低減化されたQ’(Qの値の5%減)の値の周波数電圧が上記従動モータ17へ供給されるようになっている。従って、従動モータ17は駆動モータ14よりも所定の割合だけ回転速度が低減化された状態で回転駆動されることとなる。すなわち、従動側スプロケット13は駆動側スプロケット12よりも一定割合だけ低い回転速度で駆動されることとなり、本スラット型コンベヤ1を形成するスラット型履帯11には、常に一定の張力が加わるようになる。その結果、本スラット型履帯11にて形成される本スラット型コンベヤ1は常に安定した状態で駆動されることとなり、負荷の変動等に起因するサージング現象等は生じないようになる。このように上記駆動モータ14は所定の回転速度(回転数)に制御されて、上記サイドライン1の移送速度(Vs)が上記メインライン8の搬送速度(Vm)と同期するようになる。なお、同じようなステップを踏んで、メインライン8が停止した場合には、上記サイドライン(スラット型コンベヤ)1も停止することとなる。
【0020】
このような構成を採ることにより、本実施の形態のものにおいては、組立ラインであるメインライン8が稼働を開始すると、ワークである車両81が移動するとともに、メインライン用速度センサ5からの信号に基づき制御手段4が作動し、駆動側インバータ3が作動する。この駆動側インバータ3の作動によって、上記駆動モータ14が作動を開始するとともに、これによって駆動側スプロケット12が駆動されることとなる。その結果、当該駆動側スプロケット12と係合する各スラット111が駆動され、当該スラット111にて形成されるスラット型コンベヤ1上に載っている人員(作業者P)は、メインライン8に搭載された車両81の移動に伴って移動をすることとなる。なお、このときの上記作業者(P)の移動速度(移送速度Vs)は、上記メインライン用速度センサ5からの信号に基づく上記制御手段4の制御作用に基づき上記駆動側インバータ3が作動することによって、上記駆動モータ14への周波数電圧が制御され、駆動モータ14の回転速度が調整されることによって制御されることとなる。その結果、本スラット型コンベヤ1の移送速度(Vs)は上記メインライン8の速度(Vm)と同期するようになり、作業者(P)は、不自然な横歩き等を行なわないで済むようになり、作業効率の向上が図られることとなる。
【0021】
このとき、本コンベヤ装置においては、人員の載るコンベヤの部分が、剛性の高いプラスチック製スラット111の集合体によって形成されるスラット型履帯11にて形成されるようになっているので、各スラット111は撓み変形をすることなく、円滑に作動することとなる。また、上記作業者(P)が、作業中において、本スラット型コンベヤ1の移送行程のエンド部まで移送された場合には、当該エンド部に設けられた挟まれ防止装置2が作動し、当該挟まれ防止装置2に設けられたスイッチ21からの上記制御手段4への指令(信号)によって、上記駆動モータ14は停止するようになる。その結果、作業者(P)は挟まれることが無く、安全性が確保されることとなる。
【0022】
また、上記駆動側スプロケット12の設けられる側とは反対の側のエンド部には従動側スプロケット13及び当該従動側スプロケット13を駆動する従動モータ17が設けられるとともに、当該従動モータ17側には従動側インバータ3’が設けられるようになっている。そして、この従動側インバータ3’の作動により上記従動モータ17は上記駆動モータ14よりも若干遅い回転速度にて回転駆動されるようになっているので、人員の載るスラット型コンベヤ1には、その前後方向に、常に一定の張力が加わることとなる。従って、スラット111上への人員の乗降等に起因してコンベヤ全体に掛る負荷に変動が生じたとしても、スラット型コンベヤ1自体にはサージング現象等が生ぜず、常に安定した状態で作動をすることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる人員移送用コンベヤ装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明にかかるスラット型履帯とスプロケットとの関係を示す側面図である。
【図3】本発明の主要部をなすスラット型コンベヤと挟まれ防止装置との関係を示す図である。
【図4】本発明にかかる一実施形態の作動態様を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0024】
1 スラット型コンベヤ
11 スラット型履帯
111 スラット
115 係合部
12 駆動側スプロケット
121 歯
13 従動側スプロケット
14 駆動モータ
15 動力伝達装置
17 従動モータ
2 挟まれ防止装置
21 スイッチ(リミットスイッチ)
22 プレート
23 スイッチングプレート
24 シャフト
25 スプリング
26 ベアリング
3 可変周波数電源(駆動側インバータ)
3’ 従動側インバータ
4 制御手段
44 操作部
5 メインライン用速度センサ
6 サイドライン用速度センサ
8 メインライン
81 ワーク(車両)










【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するための履帯、及び当該履帯を駆動するための駆動モータ等からなるコンベヤ装置において、所定の幅を有するプラスチック製スラットが複数個エンドレス状に連結されることによって形成されるスラット型履帯と、当該スラット型履帯を形成する各スラットの両端部に形成された係合部のところに係合して上記各スラットを一定方向に駆動するスプロケットと、当該スプロケットを駆動するための駆動モータと、からなるスラット型コンベヤを有し、当該スラット型コンベヤにおける移送行程のエンド部に挟まれ防止装置を有し、上記駆動モータに駆動用電力を供給するための可変周波数電源(以下駆動側インバータと言う)を有するとともに、更に、上記メインラインの起動及び停止を初めとしたその移送速度を検出するためのメインライン用速度センサを有し、更に、上記スラット型コンベヤの起動及び停止を初めとしたその移送速度を検出するためのサイドライン用速度センサを有し、これらの両センサからの信号に基づき、上記スラット型コンベヤの起動及び停止を上記メインラインの起動及び停止に同期させ、更には、上記スラット型コンベヤの速度を上記メインラインの速度に一致させるように上記駆動側インバータから上記駆動モータへの供給電力を制御するとともに、上記挟まれ防止装置に設けられたスイッチからの信号により上記挟まれ防止装置が作動したときには上記駆動モータを停止させるように制御作用をする制御手段を有する構成からなることを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
請求項1記載のコンベヤ装置において、上記駆動モータにて駆動されるスプロケットである駆動側スプロケットの設けられる側とは反対側のエンド部に、上記各スラットの両端部に形成された係合部に係合するように形成された従動側スプロケットを設けるとともに、当該従動側スプロケットを駆動するための従動モータを設け、当該従動モータの回転速度を制御するものであって上記駆動側インバータに連動して作動するとともに上記駆動側インバータよりも周波数電圧が所定量低減化された状態で作動する従動側インバータを設けるようにしたことを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のコンベヤ装置において、上記制御手段に所定の操作部を設けるとともに、当該操作部の操作によって上記スラット型コンベヤの速度制御を行なうことのできるようにした構成からなることを特徴とするコンベヤ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−22663(P2007−22663A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202421(P2005−202421)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(592101183)松栄工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】