ゴムクローラ製造方法およびその装置
【課題】 拡縮シリンダ等の耐久性を向上させるとともに、種々のサイズのゴムクローラを容易に製造できるゴムクローラ製造方法およびその装置を提供する。
【解決手段】 無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型8を、成形機1による成形工程、加硫機2による加硫工程、分解機3による中型離型工程に、製品14、15とともにハンドリングキャリッジ6等を用いて使い回しすることにより、簡素な構造の中型8のみを各工程に提供するだけで、均一で高品質のゴムクローラを、分割構成とした中型8を組み立てたり離型のための拡縮機構等を加硫部分と隔離して製造することができ、拡縮シリンダ等の耐久性を向上させるとともに、種々のサイズのゴムクローラ製造にも容易に対応できる。
【解決手段】 無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型8を、成形機1による成形工程、加硫機2による加硫工程、分解機3による中型離型工程に、製品14、15とともにハンドリングキャリッジ6等を用いて使い回しすることにより、簡素な構造の中型8のみを各工程に提供するだけで、均一で高品質のゴムクローラを、分割構成とした中型8を組み立てたり離型のための拡縮機構等を加硫部分と隔離して製造することができ、拡縮シリンダ等の耐久性を向上させるとともに、種々のサイズのゴムクローラ製造にも容易に対応できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ゴム製の無限軌道帯すなわちゴムクローラを加硫成形にて製造するには、平プレスにて長尺長方形の未加硫製品を一体に加硫成形した後にその両端部を接着加硫する接続加硫方法と、リング状の型を用いて型上に未加硫製品を設置した後に所定周長毎に加硫を行う送り加硫方法と、タイヤ等にて行われている精密なリング状の中型を用いて未加硫製品を一度に加硫する一体加硫成形方法とがある。
【0003】
前記接続加硫方法では、端部同士を接着加硫するために、所定の接着代を設けねばならず、周長のプラスアルファ分の確保のためにさらに長大な平プレス加硫機を必要として、設備面積や初期設備投資が増大する他、両端接着用の加硫機も必要とした。その上、補強芯体であるワイヤー等のコード類をゴム部材の接着により接続するために、製品の性能が充分ではなかった。また、前記送り加硫方法では、補強芯体であるワイヤー等のコード類を最初からリング状にセットできるので、耐久性が高く性能が確保できるものの、送り加硫による加硫の継ぎ目部分に均一性を欠く虞れが生じた。そのようなことから、リング状の中型を用いて未加硫製品を一度に加硫する一体加硫成形方法として下記特許文献1に開示されたものが提案された。
【特許文献1】特開2004−291299号公報(請求項1参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13を用いて前記特許文献1に開示されたゴムクローラの製造方法を説明する。周方向に複数個に分割され外周が連続面を形成するように配置されたモールドセグメント111、113を有し、同モールドセグメント111、113の各々は径方向に変位可能で同モールドセグメント111、113の径方向変位によって拡縮するように構成されたゴムクローラ成形ドラムであって、前記モールドセグメント111、113は、同セグメント111、113を径方向に拡縮させる径方向変位機構(径方向変位シリンダ106)を有するとともに、一部の前記モールドセグメント111、113は同セグメント111、113を幅方向に変位させる幅方向変位機構(幅方向変位シリンダ114)を有する。
【0005】
このような構成によって、モールドセグメントが径方向変位機構により径方向に拡縮できることに加え、一部のモールドセグメントは幅方向変位機構により幅方向に変位することができ、これを径方向に縮小させるとともに幅方向に変位させると、残りのモールドセグメントは、先行して縮小されて幅方向に変位されたモールドセグメントの干渉を受けずに縮小させることができる。かくして、拡縮自在で外周が連続面を形成する成形ドラム外周上にゴム層と芯線を巻いて芯線入りのゴムクローラを成形し、そのドラム上で加硫してゴムクローラを生産良く製造することができることとなった。
【0006】
しかしながら、前記分割型モールドセグメントを用いたゴムクローラの製造方法では、径方向変位機構および幅方向変位機構とともに、分割モールドセグメントを組み立てた成形ドラムをもって、成形工程も加硫工程も全て行うため、サイズを異にするゴムクローラを製造する場合には、径方向変位機構および幅方向変位機構ともども、全てのモールドセグメントを異なったサイズのものと交換しなければならず、加硫部に晒されるシリンダ等の径方向変位機構が短期間で劣化する虞れが生じた。しかも、ゴムクローラの内周面には駆動突起等の複数の突起が形成されるため、離型時の便宜を考慮して複雑な内型構造となりがちで、自動分解式内金型として製作費用が高価になるばかりでなく、故障発生率が高くなり実用的ではなかった。
【0007】
そこで本発明は、このような従来の分割型モールドセグメントを用いたゴムクローラの製造方法における諸課題を解決して、種々のサイズに容易に対応できる簡素な構造の中型のみを各処理工程間を移動させることで、分割された中型とその拡縮シリンダとを分離し、拡縮シリンダ等の耐久性を向上させるとともに、種々のサイズのゴムクローラを容易に製造できるゴムクローラ製造方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明は、無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型を、成形機による成形工程、加硫機による加硫工程、分解機による中型離型工程に、製品とともにハンドリングキャリッジを用いて使い回しすることを特徴とする。また本発明は、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型の周囲に未加硫製品を巻き付ける成形工程と、中型とともに移送された未加硫製品の外周に外型をセットして加硫する加硫工程と、中型とともに移送された加硫製品を中型セグメントを縮径することで離型する分解工程と、離型した中型セグメントを組み立てて成形工程に使い回す復帰工程とから構成されることを特徴とする。また本発明は、前記ゴムクローラ製造方法に使用される分割構成とした中型セグメントを備えたゴムクローラ製造装置において、前記中型セグメントの各側面に保形リングを係合させたことを特徴とする。また本発明は、前記中型セグメントを周長の異なるものを交互に配置するとともに、周長の大きな方の両側接合面を外周側に広がるテーパに形成したことを特徴とする。また本発明は、前記中型セグメントの各内周面に、分解機内爪に係脱自在な係合部を形成したことを特徴とする。また本発明は、前記中型の内周側にコア部材を配設するとともに、コア部材の中心ロッドの軸動によりテーパ機構を介して前記コア部材を中型の内周に押し付けるように構成したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型を、成形機による成形工程、加硫機による加硫工程、分解機による中型離型工程に、製品とともにハンドリングキャリッジを用いて使い回しすることにより、簡素な構造の中型のみを各工程に提供するだけで、均一で高品質のゴムクローラを、分割構成とした中型を組み立てたり離型のための拡縮機構等を加硫部分と隔離して製造することができ、拡縮シリンダ等の耐久性を向上させるとともに、種々のサイズのゴムクローラ製造にも容易に対応できる。
【0010】
また、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型の周囲に未加硫製品を巻き付ける成形工程と、中型とともに移送された未加硫製品の外周に外型をセットして加硫する加硫工程と、中型とともに移送された加硫製品を中型セグメントを縮径することで離型する分解工程と、離型した中型セグメントを組み立てて成形工程に使い回す復帰工程とから構成されることにより、中型とともに、ゴムクローラの未加硫あるいは加硫製品を順次各工程に移送してゴムクローラを製造するので、各工程装置に設置された組立てや離型のための拡縮機構等を有効に活用することができ、中型自体の構造を簡素化できる。
【0011】
さらに、前記ゴムクローラ製造方法に使用される分割構成とした中型セグメントを備えたゴムクローラ製造装置において、前記中型セグメントの各側面に保形リングを係合させた場合は、分割構成とした中型セグメントを簡素な構造の保形リングを用いるだけで、確実かつ強固に設計形状を維持して、製品の成形形状および加硫形状等を確保することが可能となるとともに、保形リングの開放により、中型セグメントの拡縮も容易にできる。さらにまた、前記中型セグメントを周長の異なるものを交互に配置するとともに、周長の大きな方の両側接合面を外周側に広がるテーパに形成した場合は、周長の大きな方に対して周長の小さな方のセグメントの縮径側への移動すなわち互いの離型を容易にするので、周長の小さな方のセグメントを先に縮径することで、中型全体をより円滑かつコンパクトに縮径して折り畳むことが可能となる。
【0012】
また、前記中型セグメントの各内周面に、分解機内爪に係脱自在な係合部を形成した場合は、分離した各中型セグメントの内周面側から分解機内爪を簡便に係合させるだけで、簡素な構造の中型を用いても、分解機内に装備した拡縮機構を活用して、確実かつ容易に中型セグメントを拡縮することができる。さらに、前記中型の内周側にコア部材を配設するとともに、コア部材の中心ロッドの軸動によりテーパ機構を介して前記コア部材を中型の内周に押し付けるように構成した場合は、各工程における処理機に設置された中心ロッドを軸動可能に構成すれば、コア部材のテーパ機構を用いた加圧作用により、中型自体に格別の機構を用いずとも、各工程において中型に作用する径方向の力を確実に負担することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置の1つの実施例を示す全体斜視図、図2は中型の組立保形状態の断面および正面図、図3は分解機内爪と中型内周面との係合状態の説明図、図4は中型に未加硫製品が巻き付けられた成形機の正面および断面図、図5は成形機から中型と未加硫製品とをキャリッジにより取り外す状態の正面および断面図、図6は加硫機の断面および正面図、図7は分解機による中型の縮径開始時の正面図、図8は分解機による中型の縮径完了時の正面および断面図、図9は分解機でのリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外す初期状態の正面および断面図、図10は分解機のみの正面および断面図、図11は分解機からリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外した状態の断面図、図12は分解機内爪等を拡縮するための拡縮シリンダの油圧回路のブロック図である。
【0014】
本発明の基本的な構成は、図1に示すように、無端状のゴムクローラをリング状の中型8と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型8を、成形機1による成形工程、加硫機2による加硫工程、分解機3による中型離型工程に、製品14、15とともにハンドリングキャリッジ6等を用いて使い回しすることを特徴とする。
【0015】
図1に示すように、本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置では、図面左から順に、材料供給部24、成形機1、加硫機2、中型分解機(装置)3、仮置き台4および製品掛け台5が配設され、それらの前面には、レール7上を転動自在にハンドリングキャリッジ6が設置される。図面左端の材料供給部24からゴムベルトやワイヤコード等の芯材が材料供給ドラム等から供給され、成形機1の中心ロッド17にコア部材9を介して設置され、保形リングにより型形状が維持された分割中型8の外周面にエンドレス状に巻き付けられる。巻付け成形が完了すると、ハンドリングキャリッジ6が成形機1の前面に移動し、未加硫製品14と中型8とを把持して後退する。次いで、レール7上を移動して加硫機2の前面に移動して未加硫製品14と中型8とを加硫機2の中心ロッド17にセットする。加硫機2内には未加硫製品14の外周に圧接する外型(後述する16)が装備され、これら中型8と外型16との間で加熱加硫がなされる。
【0016】
加硫が完了すると、ハンドリングキャリッジ6により加硫機2から加硫製品15と中型8とを取り出し、中型分解機3にセットする。中型分解機3ではコア部材9および保形リング10を取り外すとともに、分解機内爪(3B)を中型のセグメント内周面に係合させた後に、分解機内爪3Bを縮径させることで中型セグメント8を縮径させ、ハンドリングキャリッジ6の外爪6Aにより把持して加硫製品15を一方の保形リング10Aとともに中型から離形させる。次いで、ハンドリングキャリッジ6により加硫製品15を製品掛け台5に掛止する。その間に、仮置き台4上にて他方の保形リング10Bを用いて中型8が組み立てられ、加硫製品15を製品掛け台5に掛止した後に外爪6A内に残っていた一方の保形リング10Aを中型8に組み付けるとともに、ハンドリングキャリッジ6により中型8を成形機1まで戻して1つの工程を終える。
【0017】
以下、前述した製造工程にて使用される製造装置についてそれらの動作とともに詳細に説明する。図2は中型の組立保形状態の断面および正面図である。図2(A)に示すように、中型8を構成して分割された各中型セグメント8A、8Bの各側面に保形リング10A、10Bが係合される。図示の例では、各中型セグメント8A、8Bの両側面の全周に刻設されたリング状の凹溝に、保形リング10A、10Bの対向する面に突設されたリング状の凸条が精度よく嵌合される。これにより、分割構成とした中型セグメント8A、8B・・・を簡素な構造の保形リング10A、10Bを用いるだけで、確実かつ強固に設計形状を維持し、製品(図2では未加硫製品14)の成形形状および加硫形状等を確保することが可能となるとともに、保形リング10A、10Bの開放により、中型セグメント8A、8Bの拡縮も容易にできる。
【0018】
図2(B)に示すように、前記中型セグメントは、周長の異なるものを交互に配置して構成される。周長の大きな方の中型セグメント8Aの両側の接合面は外周側に広がるテーパに形成される。したがって、周長の小さな方の中型セグメント8Bの両側の接合面はほぼ平行に形成されることが理解される。このように構成することによって、周長の大きな方の中型セグメント8Aに対して周長の小さな方の中型セグメント8Bの縮径側への移動すなわち互いの離型が容易になるとともに、後述する図8(A)に説明するように、周長の小さな方の中型セグメント8B群を先行して縮径した後、周長の大きな方の中型セグメント8Aを縮径できるので、分離した中型8全体をより円滑かつコンパクトに縮径して折り畳むことが可能となる。
【0019】
図3は分解機内爪と中型内周面との係合状態例の説明図である。本実施例では、各中型セグメント8A、8Bの各内周面(図面では上方)に、後述する分解機内爪3Bに係脱自在な係合部を構成する係合穴11が刻設されている。分解機内爪3Bは、分解機3側から軸方向に延び、円周上に中型セグメント8A、8Bの数に対応して設置され、油圧シリンダ等の拡縮シリンダにより径方向に移動可能に構成される。これらの各分解機内爪3Bからは中型セグメント8A、8Bの前記係合穴11に向けてL字形の係合爪13が突設される。したがって、分解機内爪3Bを中型セグメント8A、8Bの係合穴11の位置にて拡径した後に僅かに軸方向に移動させることで、分解機内爪3Bを中型セグメント8A、8Bに係合させることができる。かくして、内周面側から分解機内爪3Bを簡便に係合させるだけで、簡素な構造の中型8を用いても、分解機3内に装備した前記油圧シリンダ等の拡縮機構を活用して、確実かつ容易に中型セグメント8A、8Bを拡縮できる。
【0020】
図4は中型に未加硫製品が巻き付けられた成形機の正面および断面図である。成形機1の中心ロッド17に対して、図2のようにして各中型セグメント8A、8B・・・が保形リング10A、10Bにより組み立てられて形状が保持された中型8が、図4(B)に示すように、コア部材9を介して前述したハンドリングキャリッジ6によりセットされる。コア部材9の中心ロッド17を軸動させることで、テーパ機構18により前記コア部材9の外周部材9Aが係着リング12を介して中型セグメント8A、8Bの内周に押し付けられ、この加圧作用により、中型8自体に格別の機構を用いずとも、成形機1において、供給された材料を中型8の外周面に未加硫製品14を巻き付ける際の大きな締付け力を受け持って負担することが可能になる。通常は5mm程度の僅かの隙間をもって係着リング12が拡縮可能に構成される。この中心ロッド17とテーパ機構18によるコア部材9の拡縮機構は、後述する各工程にても採用され、各工程において中型8に径方向の与圧を与えて径方向の力を確実に負担することができる。
【0021】
図5は成形機から中型と未加硫製品とをキャリッジにより取り外す状態の正面および断面図である。図4にて説明したように、成形機1にて未加硫製品14の巻付け成形が終了すると、図5(B)に示すように、ハンドリングキャリッジ6の外爪6Aによって、保形リング10A、10Bの側面が把持され、中型8と未加硫製品14とが成形機1から取り外される。中心ロッド17からコア部材9が取り外されてもよいし、コア部材9のテーパ機構18を介して径方向に出没するピン等により係脱可能なコア外周部材との間にて分離されるように構成してもよい。その場合には、後述する各工程における処理機にも、テーパ機構18を含むコア部材9が設置される。ハンドリングキャリッジ6の各外爪6Aは、図1に示すように、中型の保形リング10A、10Bの外周を把持すれば足りるので、円周上に例えば4か所設置され、それぞれが、ハンドリングキャリッジ6に放射方向(径方向)に設置された油圧シリンダ等から構成される外爪拡縮シリンダ20により径方向に拡縮される。
【0022】
図6は加硫機の断面および正面図である。図5に示した状態からハンドリングキャリッジ6により中型8と未加硫製品14とが加硫機2にセットされる。図6(B)に示すように、加硫機2内では、中型8と同様に分割構成された外型セグメント16が、それぞれを径方向に拡縮する各外型拡縮シリンダ25により未加硫製品14の外周面に押し付けられる。各外型セグメント16の内周面には、製品の外周面に形成される接地ラグ等の突起に対応した種々の型が形成されている。図示は省略されるが、コア部材9および外型セグメント16には電熱線や加熱蒸気管が配設され、加硫時の加熱が可能に構成される。このようにして加硫が終了すると、中型8および加硫製品15がハンドリングキャリッジ6により分解機(中型分解装置)3に搬送されてセットされる。
【0023】
図7は分解機による中型の縮径開始時の正面図である。分解機3では、セットされた中型8および加硫製品15が分解機3の外爪3Aによって把持される(図7(A)から図7(B)のように、各外爪3Aが縮径して加硫製品15の外周面に当接される)。図7(B)は、分解機3の外爪3Aによって加硫製品15の外周面が把持され、周長の小さな方の中型セグメント8B群が分解機3の内爪3Bと係合して、先行して縮径した状態を示している。
【0024】
図8は分解機による中型の縮径完了時の正面および断面図である。図8(A)に示すように、周長の小さな方の中型セグメント8B群が分解機3の内爪3Bと係合して先行して縮径した後に、周長の大きな方の中型セグメント8A群が分解機3の内爪3Bと係合して縮径される。このときの分解機3の内爪3Bと中型セグメント8A、8Bとの係合は、前記図3にて説明した簡便な係合動作が採用されるが、図示の例に限定されるとなく、適宜の係合形態が採用され得る。周長の小さな方のセグメント8Bを先に縮径することで、中型全体をより円滑かつコンパクトに縮径して折り畳むことが可能となる。
【0025】
図8(B)は全ての中型セグメント8A、8B群が縮径された状態の断面図で、各中型セグメント8A、8Bに対応して軸方向に延びる分解機内爪3Bを拡縮すべく、油圧シリンダ等から構成され分解機3の円周上に中型拡縮シリンダ19が設置される。前述した各中型セグメント8A、8Bの縮径に先立って、保形リング10A、10Bが中型セグメント8A、8Bの側面から開放されることは言うまでもない。他方の保形リング10Bが分解機3側に残され、一方の保形リング10Aが中心ロッド17の先端の保持部材上に載置されている。中型セグメント8A、8Bの縮径により残された加硫製品15が、分解機3の外爪3Aにより把持されている。
【0026】
図9は分解機でのリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外す初期状態の正面および断面図である。図9(A)に示すように、分解機3の外爪3Aにて外周面が把持された加硫製品15に対して、分解機3の外爪3Aの間にハンドリングキャリッジ6の外爪6Aが縮径されて当接される。図9(B)に示すように、加硫製品15の外周面を把持したハンドリングキャリッジ6の外爪6Aは、同時に一方の保形リング10Aを適宜の把持手段によって把持する。図10は分解機3のみの正面および断面図を示すもので、図10(A)は中型拡縮シリンダ19により分解機内爪3Bを介して各中型セグメント8A、8B群が縮径された状態の正面図で、図10(B)はその断面図である。
【0027】
図11は分解機からリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外した状態の断面図である。図11(A)は、ハンドリングキャリッジ6の外爪6Aが加硫製品15および保形リングホルダ6Bを介して一方の保形リング10Aを把持して取り出した状態であり、図11(B)は、中型セグメント8A、8Bが分解機内爪3Bにより縮径把持されるとともに、他方の保形リング10Bが分解機3に残された状態が示されている。その後に、図1にて説明したように、ハンドリングキャリッジ6により加硫製品15を製品掛け台5に掛止する。その間に、仮置き台4上にて他方の保形リング10Bを用いて中型8が組み立てられ、加硫製品15を製品掛け台5に掛止した後に外爪6A内に残っていた一方の保形リング10Aを中型8に組み付けるとともに、ハンドリングキャリッジ6により中型8を成形機1まで戻して1つの工程を終える。
【0028】
図12は分解機内爪等を拡縮するための拡縮シリンダの油圧回路のブロック図である。円周上に等分に配設される複数の拡縮シリンダのストロークを同期させるための油圧回路例である。本実施例の拡縮シリンダは、分解機3の内爪3Bを拡縮する中型拡縮シリンダ19群に適用されるが、加硫機2の外型拡縮シリンダ25群あるいはハンドリングキャリッジ6の外爪拡縮シリンダ20群にも適用が可能である。本実施例では、分解機3の内爪3Bを拡縮する4つの中型拡縮シリンダ19の例である。前述の図10(A)に示すように、周長の小さな方の中型セグメント8Bに対応する4つの分解機3の内爪3Bを縮径するための4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4を同期操作するものであるが、周長の大きな方の中型セグメント8A群に対応する分解機3の内爪3Bを縮径するために、さらに4つの中型拡縮シリンダ19が付設されていることは言うまでもない。
【0029】
4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4は、両ロッドシリンダから構成され、ピストン19Cによって分離された第1室19Aと第2室19Bを貫通して両ロッドがそれぞれ延びる。油圧ポンンプPと各中型拡縮シリンダ19の各第1室19Aとは切換弁21および分岐点S1、S2、S3を介して接続される。各分岐点S2、S3と各第1室19Aとの間には供給側の第2開閉弁23Aが介設される。各第2室19Bと次段の第1室19Aとが第1開閉弁22を介設して接続される。これら第1開閉弁22と各第2室19Bとの間からは排出側の第2開閉弁23Bを介設して、合流点S4、S5、S6により合流して切換弁21の排出側からタンクに排出される。切換弁21の21A側は、中型拡縮シリンダ19の第1室19Aを拡張する縮径動作を行い、21B側は、中型拡縮シリンダ19の第2室19Bを拡張する拡径動作を行う。
【0030】
切換弁21を21A側とした図12の縮径動作例について説明する。全ての第2開閉弁23A、23Bを閉じるとともに、全ての第1開閉弁22を開いておき、油圧ポンプPから出た圧力油は先ず、第1中型拡縮シリンダ19−1の第1室19Aを拡張する。これにより、ピストン19Cは図面左方に移動して第2室19Bを縮小させ、それにより押し出された油を第1開閉弁22を介して次段の第2中型拡縮シリンダ19−2の第1室19Aを拡張させる。これを順次繰り返して、第3、第4中型拡縮シリンダ19−3、19−4の第1室19Aを拡張させる。これらの各4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4のシリンダ断面積等の諸元は全て同じに構成される。以上の油圧回路内での動作は、理論的に4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4のロッドの速度は同期する。
【0031】
理論的には同期する以上の油圧回路構成にあって、各シリンダ内あるいは配管の一部からの油漏れ、各シリンダ間を接続する油圧ホースの径年膨張、温度による作動油の膨張収縮等により、各シリンダ間にストローク同期に乱れが生じる虞れが生じる。また、この方式では、独立の油圧シリンダ回路に比較して、一定量の油量で全シリンダが動作するので、図示の場合で、4倍速の動作速度が得られることになるが、発生する操作力は1/4になる。前記縮径動作における各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4に同期のずれが生じた場合に、縮径動作の最終段階、例えば、シリンダの型締めの最終ポイント近くの1mm程度まで第2室19Bの油が押し出された位置において、同期ずれを解消する手段が講じられる。
【0032】
ピストン19Cがシリンダ19の第2室19Bの底部に近づき、型締めの最終ポイント近くの1mm程度の縮径動作の最終段階に達したところで、第1開閉弁22を全て閉じ、第2開閉弁23を全て開ける。これにより、油圧ポンプPからの油圧は各分岐点S1、S2、S3を介して供給側第2開閉弁23Aを介して、直接に各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4の第1室19Aに供給される。それらの場合、第2室19Bから押し出された油は、排出側第2開閉弁23Bならびに合流点S4、S5、S6を介してタンクに排出される。かくして、動作途中は4倍速での同期動作を可能とし、最終ポイント近傍では、作動油漏洩等に起因するストローク同期ずれがキャンセルされる。すなわち、各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4が各別に縮径動作を行うので、同期ずれが生じて縮径動作途中にて停止してしまうシリンダを生じさせることが防止される。
【0033】
次に、中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4を組み立てる拡径動作を行うには、切換弁21を21B側に切り換えることで、合流点S4、S5、S6が分岐点となり、分岐点S1、S2、S3が合流点となる。第4中型拡縮シリンダ19−4の第2室19Bに圧力油が供給されてピストン19Cを右側に移動させ、第1室19Aから押し出された油は、第1開閉弁22を介して第3中型拡縮シリンダ19−3の第2室19Bに圧力油が供給される。以下順次繰り返される。そして、拡径動作の最終ポイント近傍に達すると、第1開閉弁22が全て閉じられ、第2開閉弁23が全て開けられて、各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4が各別に拡径動作を行うので、同期ずれが生じて拡径動作途中にて停止してしまうシリンダを生じさせることが防止される。すなわち、作動油漏洩等に起因するストローク同期ずれがキャンセルされる。
【0034】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、無端状のゴムクローラの形状(駆動突起や接地ラグの配設形態等)、形式(補強コード等の配列形態等)、中型の形状(周長を異にするもの同士の接合面のテーパ角度等は適宜選定できる。また、製品の駆動ラグの形成のための凹部等も適宜形成される。)、形式および分解機内爪との係合形態(図3の係合穴と係合爪による係合の他、例えば電磁石の励解磁による係脱等も採用され得る)ならびに保形リングとの係合形態(連続的なリング状の凹凸係合の他、多数のピンとピン穴との係合等も採用され得る。)、外型の形状(製品の駆動ラグの形成のための凹部等も適宜形成される。)、形式(加硫のための熱源の配設形態も適宜選定できる)、成形機、加硫機、分解機、仮置き台、製品掛け台およびハンドリングキャリッジの形状、形式(レール上を横行する台車等に対して各処理機に対する出入りは、台車等にさらに配設したレール等により行ってもよい。)、分割構成とした中型および外型ならびにハンドリングキャリッジの外爪の拡縮形態(拡縮シリンダの採用等、拡縮シリンダによる同期のために採用される切換弁や開閉開閉弁の形状、形式、両ロッドシリンダの形状、形式等)、コア部材の形状、形式およびその中型セグメントとの係着形態、コア部材におけるテーパ機構の形式等については適宜選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置の1実施例を示す全体斜視図である。
【図2】同、中型の組立保形状態の断面および正面図である。
【図3】同、分解機内爪と中型内周面との係合状態の説明図である。
【図4】同、中型に未加硫製品が巻き付けられた成形機の正面および断面図である。
【図5】同、成形機から中型と未加硫製品とをキャリッジにより取り外す状態の正面および断面図である。
【図6】同、加硫機の断面および正面図である。
【図7】同、分解機による中型の縮径開始時の正面図である。
【図8】同、分解機による中型の縮径完了時の正面および断面図である。
【図9】同、分解機でのリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外す初期状態の正面および断面図である。
【図10】同、分解機のみの正面および断面図である。
【図11】同、分解機からリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外した状態の断面図である。
【図12】同、分解機内爪等を拡縮するための拡縮シリンダの油圧回路のブロック図である。
【図13】従来のゴムクローラ製造装置の全体断面および要部正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 成形機
2 加硫機
3 中型分解機
4 仮置き台
5 製品掛け台
6 ハンドリングキャリッジ
6A キャリッジ外爪
7 レール
8 中型
9 コア部材
14 未加硫製品
15 加硫製品
17 中心ロッド
24 材料供給部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ゴム製の無限軌道帯すなわちゴムクローラを加硫成形にて製造するには、平プレスにて長尺長方形の未加硫製品を一体に加硫成形した後にその両端部を接着加硫する接続加硫方法と、リング状の型を用いて型上に未加硫製品を設置した後に所定周長毎に加硫を行う送り加硫方法と、タイヤ等にて行われている精密なリング状の中型を用いて未加硫製品を一度に加硫する一体加硫成形方法とがある。
【0003】
前記接続加硫方法では、端部同士を接着加硫するために、所定の接着代を設けねばならず、周長のプラスアルファ分の確保のためにさらに長大な平プレス加硫機を必要として、設備面積や初期設備投資が増大する他、両端接着用の加硫機も必要とした。その上、補強芯体であるワイヤー等のコード類をゴム部材の接着により接続するために、製品の性能が充分ではなかった。また、前記送り加硫方法では、補強芯体であるワイヤー等のコード類を最初からリング状にセットできるので、耐久性が高く性能が確保できるものの、送り加硫による加硫の継ぎ目部分に均一性を欠く虞れが生じた。そのようなことから、リング状の中型を用いて未加硫製品を一度に加硫する一体加硫成形方法として下記特許文献1に開示されたものが提案された。
【特許文献1】特開2004−291299号公報(請求項1参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13を用いて前記特許文献1に開示されたゴムクローラの製造方法を説明する。周方向に複数個に分割され外周が連続面を形成するように配置されたモールドセグメント111、113を有し、同モールドセグメント111、113の各々は径方向に変位可能で同モールドセグメント111、113の径方向変位によって拡縮するように構成されたゴムクローラ成形ドラムであって、前記モールドセグメント111、113は、同セグメント111、113を径方向に拡縮させる径方向変位機構(径方向変位シリンダ106)を有するとともに、一部の前記モールドセグメント111、113は同セグメント111、113を幅方向に変位させる幅方向変位機構(幅方向変位シリンダ114)を有する。
【0005】
このような構成によって、モールドセグメントが径方向変位機構により径方向に拡縮できることに加え、一部のモールドセグメントは幅方向変位機構により幅方向に変位することができ、これを径方向に縮小させるとともに幅方向に変位させると、残りのモールドセグメントは、先行して縮小されて幅方向に変位されたモールドセグメントの干渉を受けずに縮小させることができる。かくして、拡縮自在で外周が連続面を形成する成形ドラム外周上にゴム層と芯線を巻いて芯線入りのゴムクローラを成形し、そのドラム上で加硫してゴムクローラを生産良く製造することができることとなった。
【0006】
しかしながら、前記分割型モールドセグメントを用いたゴムクローラの製造方法では、径方向変位機構および幅方向変位機構とともに、分割モールドセグメントを組み立てた成形ドラムをもって、成形工程も加硫工程も全て行うため、サイズを異にするゴムクローラを製造する場合には、径方向変位機構および幅方向変位機構ともども、全てのモールドセグメントを異なったサイズのものと交換しなければならず、加硫部に晒されるシリンダ等の径方向変位機構が短期間で劣化する虞れが生じた。しかも、ゴムクローラの内周面には駆動突起等の複数の突起が形成されるため、離型時の便宜を考慮して複雑な内型構造となりがちで、自動分解式内金型として製作費用が高価になるばかりでなく、故障発生率が高くなり実用的ではなかった。
【0007】
そこで本発明は、このような従来の分割型モールドセグメントを用いたゴムクローラの製造方法における諸課題を解決して、種々のサイズに容易に対応できる簡素な構造の中型のみを各処理工程間を移動させることで、分割された中型とその拡縮シリンダとを分離し、拡縮シリンダ等の耐久性を向上させるとともに、種々のサイズのゴムクローラを容易に製造できるゴムクローラ製造方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明は、無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型を、成形機による成形工程、加硫機による加硫工程、分解機による中型離型工程に、製品とともにハンドリングキャリッジを用いて使い回しすることを特徴とする。また本発明は、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型の周囲に未加硫製品を巻き付ける成形工程と、中型とともに移送された未加硫製品の外周に外型をセットして加硫する加硫工程と、中型とともに移送された加硫製品を中型セグメントを縮径することで離型する分解工程と、離型した中型セグメントを組み立てて成形工程に使い回す復帰工程とから構成されることを特徴とする。また本発明は、前記ゴムクローラ製造方法に使用される分割構成とした中型セグメントを備えたゴムクローラ製造装置において、前記中型セグメントの各側面に保形リングを係合させたことを特徴とする。また本発明は、前記中型セグメントを周長の異なるものを交互に配置するとともに、周長の大きな方の両側接合面を外周側に広がるテーパに形成したことを特徴とする。また本発明は、前記中型セグメントの各内周面に、分解機内爪に係脱自在な係合部を形成したことを特徴とする。また本発明は、前記中型の内周側にコア部材を配設するとともに、コア部材の中心ロッドの軸動によりテーパ機構を介して前記コア部材を中型の内周に押し付けるように構成したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型を、成形機による成形工程、加硫機による加硫工程、分解機による中型離型工程に、製品とともにハンドリングキャリッジを用いて使い回しすることにより、簡素な構造の中型のみを各工程に提供するだけで、均一で高品質のゴムクローラを、分割構成とした中型を組み立てたり離型のための拡縮機構等を加硫部分と隔離して製造することができ、拡縮シリンダ等の耐久性を向上させるとともに、種々のサイズのゴムクローラ製造にも容易に対応できる。
【0010】
また、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型の周囲に未加硫製品を巻き付ける成形工程と、中型とともに移送された未加硫製品の外周に外型をセットして加硫する加硫工程と、中型とともに移送された加硫製品を中型セグメントを縮径することで離型する分解工程と、離型した中型セグメントを組み立てて成形工程に使い回す復帰工程とから構成されることにより、中型とともに、ゴムクローラの未加硫あるいは加硫製品を順次各工程に移送してゴムクローラを製造するので、各工程装置に設置された組立てや離型のための拡縮機構等を有効に活用することができ、中型自体の構造を簡素化できる。
【0011】
さらに、前記ゴムクローラ製造方法に使用される分割構成とした中型セグメントを備えたゴムクローラ製造装置において、前記中型セグメントの各側面に保形リングを係合させた場合は、分割構成とした中型セグメントを簡素な構造の保形リングを用いるだけで、確実かつ強固に設計形状を維持して、製品の成形形状および加硫形状等を確保することが可能となるとともに、保形リングの開放により、中型セグメントの拡縮も容易にできる。さらにまた、前記中型セグメントを周長の異なるものを交互に配置するとともに、周長の大きな方の両側接合面を外周側に広がるテーパに形成した場合は、周長の大きな方に対して周長の小さな方のセグメントの縮径側への移動すなわち互いの離型を容易にするので、周長の小さな方のセグメントを先に縮径することで、中型全体をより円滑かつコンパクトに縮径して折り畳むことが可能となる。
【0012】
また、前記中型セグメントの各内周面に、分解機内爪に係脱自在な係合部を形成した場合は、分離した各中型セグメントの内周面側から分解機内爪を簡便に係合させるだけで、簡素な構造の中型を用いても、分解機内に装備した拡縮機構を活用して、確実かつ容易に中型セグメントを拡縮することができる。さらに、前記中型の内周側にコア部材を配設するとともに、コア部材の中心ロッドの軸動によりテーパ機構を介して前記コア部材を中型の内周に押し付けるように構成した場合は、各工程における処理機に設置された中心ロッドを軸動可能に構成すれば、コア部材のテーパ機構を用いた加圧作用により、中型自体に格別の機構を用いずとも、各工程において中型に作用する径方向の力を確実に負担することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置の1つの実施例を示す全体斜視図、図2は中型の組立保形状態の断面および正面図、図3は分解機内爪と中型内周面との係合状態の説明図、図4は中型に未加硫製品が巻き付けられた成形機の正面および断面図、図5は成形機から中型と未加硫製品とをキャリッジにより取り外す状態の正面および断面図、図6は加硫機の断面および正面図、図7は分解機による中型の縮径開始時の正面図、図8は分解機による中型の縮径完了時の正面および断面図、図9は分解機でのリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外す初期状態の正面および断面図、図10は分解機のみの正面および断面図、図11は分解機からリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外した状態の断面図、図12は分解機内爪等を拡縮するための拡縮シリンダの油圧回路のブロック図である。
【0014】
本発明の基本的な構成は、図1に示すように、無端状のゴムクローラをリング状の中型8と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型8を、成形機1による成形工程、加硫機2による加硫工程、分解機3による中型離型工程に、製品14、15とともにハンドリングキャリッジ6等を用いて使い回しすることを特徴とする。
【0015】
図1に示すように、本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置では、図面左から順に、材料供給部24、成形機1、加硫機2、中型分解機(装置)3、仮置き台4および製品掛け台5が配設され、それらの前面には、レール7上を転動自在にハンドリングキャリッジ6が設置される。図面左端の材料供給部24からゴムベルトやワイヤコード等の芯材が材料供給ドラム等から供給され、成形機1の中心ロッド17にコア部材9を介して設置され、保形リングにより型形状が維持された分割中型8の外周面にエンドレス状に巻き付けられる。巻付け成形が完了すると、ハンドリングキャリッジ6が成形機1の前面に移動し、未加硫製品14と中型8とを把持して後退する。次いで、レール7上を移動して加硫機2の前面に移動して未加硫製品14と中型8とを加硫機2の中心ロッド17にセットする。加硫機2内には未加硫製品14の外周に圧接する外型(後述する16)が装備され、これら中型8と外型16との間で加熱加硫がなされる。
【0016】
加硫が完了すると、ハンドリングキャリッジ6により加硫機2から加硫製品15と中型8とを取り出し、中型分解機3にセットする。中型分解機3ではコア部材9および保形リング10を取り外すとともに、分解機内爪(3B)を中型のセグメント内周面に係合させた後に、分解機内爪3Bを縮径させることで中型セグメント8を縮径させ、ハンドリングキャリッジ6の外爪6Aにより把持して加硫製品15を一方の保形リング10Aとともに中型から離形させる。次いで、ハンドリングキャリッジ6により加硫製品15を製品掛け台5に掛止する。その間に、仮置き台4上にて他方の保形リング10Bを用いて中型8が組み立てられ、加硫製品15を製品掛け台5に掛止した後に外爪6A内に残っていた一方の保形リング10Aを中型8に組み付けるとともに、ハンドリングキャリッジ6により中型8を成形機1まで戻して1つの工程を終える。
【0017】
以下、前述した製造工程にて使用される製造装置についてそれらの動作とともに詳細に説明する。図2は中型の組立保形状態の断面および正面図である。図2(A)に示すように、中型8を構成して分割された各中型セグメント8A、8Bの各側面に保形リング10A、10Bが係合される。図示の例では、各中型セグメント8A、8Bの両側面の全周に刻設されたリング状の凹溝に、保形リング10A、10Bの対向する面に突設されたリング状の凸条が精度よく嵌合される。これにより、分割構成とした中型セグメント8A、8B・・・を簡素な構造の保形リング10A、10Bを用いるだけで、確実かつ強固に設計形状を維持し、製品(図2では未加硫製品14)の成形形状および加硫形状等を確保することが可能となるとともに、保形リング10A、10Bの開放により、中型セグメント8A、8Bの拡縮も容易にできる。
【0018】
図2(B)に示すように、前記中型セグメントは、周長の異なるものを交互に配置して構成される。周長の大きな方の中型セグメント8Aの両側の接合面は外周側に広がるテーパに形成される。したがって、周長の小さな方の中型セグメント8Bの両側の接合面はほぼ平行に形成されることが理解される。このように構成することによって、周長の大きな方の中型セグメント8Aに対して周長の小さな方の中型セグメント8Bの縮径側への移動すなわち互いの離型が容易になるとともに、後述する図8(A)に説明するように、周長の小さな方の中型セグメント8B群を先行して縮径した後、周長の大きな方の中型セグメント8Aを縮径できるので、分離した中型8全体をより円滑かつコンパクトに縮径して折り畳むことが可能となる。
【0019】
図3は分解機内爪と中型内周面との係合状態例の説明図である。本実施例では、各中型セグメント8A、8Bの各内周面(図面では上方)に、後述する分解機内爪3Bに係脱自在な係合部を構成する係合穴11が刻設されている。分解機内爪3Bは、分解機3側から軸方向に延び、円周上に中型セグメント8A、8Bの数に対応して設置され、油圧シリンダ等の拡縮シリンダにより径方向に移動可能に構成される。これらの各分解機内爪3Bからは中型セグメント8A、8Bの前記係合穴11に向けてL字形の係合爪13が突設される。したがって、分解機内爪3Bを中型セグメント8A、8Bの係合穴11の位置にて拡径した後に僅かに軸方向に移動させることで、分解機内爪3Bを中型セグメント8A、8Bに係合させることができる。かくして、内周面側から分解機内爪3Bを簡便に係合させるだけで、簡素な構造の中型8を用いても、分解機3内に装備した前記油圧シリンダ等の拡縮機構を活用して、確実かつ容易に中型セグメント8A、8Bを拡縮できる。
【0020】
図4は中型に未加硫製品が巻き付けられた成形機の正面および断面図である。成形機1の中心ロッド17に対して、図2のようにして各中型セグメント8A、8B・・・が保形リング10A、10Bにより組み立てられて形状が保持された中型8が、図4(B)に示すように、コア部材9を介して前述したハンドリングキャリッジ6によりセットされる。コア部材9の中心ロッド17を軸動させることで、テーパ機構18により前記コア部材9の外周部材9Aが係着リング12を介して中型セグメント8A、8Bの内周に押し付けられ、この加圧作用により、中型8自体に格別の機構を用いずとも、成形機1において、供給された材料を中型8の外周面に未加硫製品14を巻き付ける際の大きな締付け力を受け持って負担することが可能になる。通常は5mm程度の僅かの隙間をもって係着リング12が拡縮可能に構成される。この中心ロッド17とテーパ機構18によるコア部材9の拡縮機構は、後述する各工程にても採用され、各工程において中型8に径方向の与圧を与えて径方向の力を確実に負担することができる。
【0021】
図5は成形機から中型と未加硫製品とをキャリッジにより取り外す状態の正面および断面図である。図4にて説明したように、成形機1にて未加硫製品14の巻付け成形が終了すると、図5(B)に示すように、ハンドリングキャリッジ6の外爪6Aによって、保形リング10A、10Bの側面が把持され、中型8と未加硫製品14とが成形機1から取り外される。中心ロッド17からコア部材9が取り外されてもよいし、コア部材9のテーパ機構18を介して径方向に出没するピン等により係脱可能なコア外周部材との間にて分離されるように構成してもよい。その場合には、後述する各工程における処理機にも、テーパ機構18を含むコア部材9が設置される。ハンドリングキャリッジ6の各外爪6Aは、図1に示すように、中型の保形リング10A、10Bの外周を把持すれば足りるので、円周上に例えば4か所設置され、それぞれが、ハンドリングキャリッジ6に放射方向(径方向)に設置された油圧シリンダ等から構成される外爪拡縮シリンダ20により径方向に拡縮される。
【0022】
図6は加硫機の断面および正面図である。図5に示した状態からハンドリングキャリッジ6により中型8と未加硫製品14とが加硫機2にセットされる。図6(B)に示すように、加硫機2内では、中型8と同様に分割構成された外型セグメント16が、それぞれを径方向に拡縮する各外型拡縮シリンダ25により未加硫製品14の外周面に押し付けられる。各外型セグメント16の内周面には、製品の外周面に形成される接地ラグ等の突起に対応した種々の型が形成されている。図示は省略されるが、コア部材9および外型セグメント16には電熱線や加熱蒸気管が配設され、加硫時の加熱が可能に構成される。このようにして加硫が終了すると、中型8および加硫製品15がハンドリングキャリッジ6により分解機(中型分解装置)3に搬送されてセットされる。
【0023】
図7は分解機による中型の縮径開始時の正面図である。分解機3では、セットされた中型8および加硫製品15が分解機3の外爪3Aによって把持される(図7(A)から図7(B)のように、各外爪3Aが縮径して加硫製品15の外周面に当接される)。図7(B)は、分解機3の外爪3Aによって加硫製品15の外周面が把持され、周長の小さな方の中型セグメント8B群が分解機3の内爪3Bと係合して、先行して縮径した状態を示している。
【0024】
図8は分解機による中型の縮径完了時の正面および断面図である。図8(A)に示すように、周長の小さな方の中型セグメント8B群が分解機3の内爪3Bと係合して先行して縮径した後に、周長の大きな方の中型セグメント8A群が分解機3の内爪3Bと係合して縮径される。このときの分解機3の内爪3Bと中型セグメント8A、8Bとの係合は、前記図3にて説明した簡便な係合動作が採用されるが、図示の例に限定されるとなく、適宜の係合形態が採用され得る。周長の小さな方のセグメント8Bを先に縮径することで、中型全体をより円滑かつコンパクトに縮径して折り畳むことが可能となる。
【0025】
図8(B)は全ての中型セグメント8A、8B群が縮径された状態の断面図で、各中型セグメント8A、8Bに対応して軸方向に延びる分解機内爪3Bを拡縮すべく、油圧シリンダ等から構成され分解機3の円周上に中型拡縮シリンダ19が設置される。前述した各中型セグメント8A、8Bの縮径に先立って、保形リング10A、10Bが中型セグメント8A、8Bの側面から開放されることは言うまでもない。他方の保形リング10Bが分解機3側に残され、一方の保形リング10Aが中心ロッド17の先端の保持部材上に載置されている。中型セグメント8A、8Bの縮径により残された加硫製品15が、分解機3の外爪3Aにより把持されている。
【0026】
図9は分解機でのリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外す初期状態の正面および断面図である。図9(A)に示すように、分解機3の外爪3Aにて外周面が把持された加硫製品15に対して、分解機3の外爪3Aの間にハンドリングキャリッジ6の外爪6Aが縮径されて当接される。図9(B)に示すように、加硫製品15の外周面を把持したハンドリングキャリッジ6の外爪6Aは、同時に一方の保形リング10Aを適宜の把持手段によって把持する。図10は分解機3のみの正面および断面図を示すもので、図10(A)は中型拡縮シリンダ19により分解機内爪3Bを介して各中型セグメント8A、8B群が縮径された状態の正面図で、図10(B)はその断面図である。
【0027】
図11は分解機からリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外した状態の断面図である。図11(A)は、ハンドリングキャリッジ6の外爪6Aが加硫製品15および保形リングホルダ6Bを介して一方の保形リング10Aを把持して取り出した状態であり、図11(B)は、中型セグメント8A、8Bが分解機内爪3Bにより縮径把持されるとともに、他方の保形リング10Bが分解機3に残された状態が示されている。その後に、図1にて説明したように、ハンドリングキャリッジ6により加硫製品15を製品掛け台5に掛止する。その間に、仮置き台4上にて他方の保形リング10Bを用いて中型8が組み立てられ、加硫製品15を製品掛け台5に掛止した後に外爪6A内に残っていた一方の保形リング10Aを中型8に組み付けるとともに、ハンドリングキャリッジ6により中型8を成形機1まで戻して1つの工程を終える。
【0028】
図12は分解機内爪等を拡縮するための拡縮シリンダの油圧回路のブロック図である。円周上に等分に配設される複数の拡縮シリンダのストロークを同期させるための油圧回路例である。本実施例の拡縮シリンダは、分解機3の内爪3Bを拡縮する中型拡縮シリンダ19群に適用されるが、加硫機2の外型拡縮シリンダ25群あるいはハンドリングキャリッジ6の外爪拡縮シリンダ20群にも適用が可能である。本実施例では、分解機3の内爪3Bを拡縮する4つの中型拡縮シリンダ19の例である。前述の図10(A)に示すように、周長の小さな方の中型セグメント8Bに対応する4つの分解機3の内爪3Bを縮径するための4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4を同期操作するものであるが、周長の大きな方の中型セグメント8A群に対応する分解機3の内爪3Bを縮径するために、さらに4つの中型拡縮シリンダ19が付設されていることは言うまでもない。
【0029】
4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4は、両ロッドシリンダから構成され、ピストン19Cによって分離された第1室19Aと第2室19Bを貫通して両ロッドがそれぞれ延びる。油圧ポンンプPと各中型拡縮シリンダ19の各第1室19Aとは切換弁21および分岐点S1、S2、S3を介して接続される。各分岐点S2、S3と各第1室19Aとの間には供給側の第2開閉弁23Aが介設される。各第2室19Bと次段の第1室19Aとが第1開閉弁22を介設して接続される。これら第1開閉弁22と各第2室19Bとの間からは排出側の第2開閉弁23Bを介設して、合流点S4、S5、S6により合流して切換弁21の排出側からタンクに排出される。切換弁21の21A側は、中型拡縮シリンダ19の第1室19Aを拡張する縮径動作を行い、21B側は、中型拡縮シリンダ19の第2室19Bを拡張する拡径動作を行う。
【0030】
切換弁21を21A側とした図12の縮径動作例について説明する。全ての第2開閉弁23A、23Bを閉じるとともに、全ての第1開閉弁22を開いておき、油圧ポンプPから出た圧力油は先ず、第1中型拡縮シリンダ19−1の第1室19Aを拡張する。これにより、ピストン19Cは図面左方に移動して第2室19Bを縮小させ、それにより押し出された油を第1開閉弁22を介して次段の第2中型拡縮シリンダ19−2の第1室19Aを拡張させる。これを順次繰り返して、第3、第4中型拡縮シリンダ19−3、19−4の第1室19Aを拡張させる。これらの各4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4のシリンダ断面積等の諸元は全て同じに構成される。以上の油圧回路内での動作は、理論的に4つの中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4のロッドの速度は同期する。
【0031】
理論的には同期する以上の油圧回路構成にあって、各シリンダ内あるいは配管の一部からの油漏れ、各シリンダ間を接続する油圧ホースの径年膨張、温度による作動油の膨張収縮等により、各シリンダ間にストローク同期に乱れが生じる虞れが生じる。また、この方式では、独立の油圧シリンダ回路に比較して、一定量の油量で全シリンダが動作するので、図示の場合で、4倍速の動作速度が得られることになるが、発生する操作力は1/4になる。前記縮径動作における各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4に同期のずれが生じた場合に、縮径動作の最終段階、例えば、シリンダの型締めの最終ポイント近くの1mm程度まで第2室19Bの油が押し出された位置において、同期ずれを解消する手段が講じられる。
【0032】
ピストン19Cがシリンダ19の第2室19Bの底部に近づき、型締めの最終ポイント近くの1mm程度の縮径動作の最終段階に達したところで、第1開閉弁22を全て閉じ、第2開閉弁23を全て開ける。これにより、油圧ポンプPからの油圧は各分岐点S1、S2、S3を介して供給側第2開閉弁23Aを介して、直接に各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4の第1室19Aに供給される。それらの場合、第2室19Bから押し出された油は、排出側第2開閉弁23Bならびに合流点S4、S5、S6を介してタンクに排出される。かくして、動作途中は4倍速での同期動作を可能とし、最終ポイント近傍では、作動油漏洩等に起因するストローク同期ずれがキャンセルされる。すなわち、各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4が各別に縮径動作を行うので、同期ずれが生じて縮径動作途中にて停止してしまうシリンダを生じさせることが防止される。
【0033】
次に、中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4を組み立てる拡径動作を行うには、切換弁21を21B側に切り換えることで、合流点S4、S5、S6が分岐点となり、分岐点S1、S2、S3が合流点となる。第4中型拡縮シリンダ19−4の第2室19Bに圧力油が供給されてピストン19Cを右側に移動させ、第1室19Aから押し出された油は、第1開閉弁22を介して第3中型拡縮シリンダ19−3の第2室19Bに圧力油が供給される。以下順次繰り返される。そして、拡径動作の最終ポイント近傍に達すると、第1開閉弁22が全て閉じられ、第2開閉弁23が全て開けられて、各中型拡縮シリンダ19−1、19−2、19−3、19−4が各別に拡径動作を行うので、同期ずれが生じて拡径動作途中にて停止してしまうシリンダを生じさせることが防止される。すなわち、作動油漏洩等に起因するストローク同期ずれがキャンセルされる。
【0034】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、無端状のゴムクローラの形状(駆動突起や接地ラグの配設形態等)、形式(補強コード等の配列形態等)、中型の形状(周長を異にするもの同士の接合面のテーパ角度等は適宜選定できる。また、製品の駆動ラグの形成のための凹部等も適宜形成される。)、形式および分解機内爪との係合形態(図3の係合穴と係合爪による係合の他、例えば電磁石の励解磁による係脱等も採用され得る)ならびに保形リングとの係合形態(連続的なリング状の凹凸係合の他、多数のピンとピン穴との係合等も採用され得る。)、外型の形状(製品の駆動ラグの形成のための凹部等も適宜形成される。)、形式(加硫のための熱源の配設形態も適宜選定できる)、成形機、加硫機、分解機、仮置き台、製品掛け台およびハンドリングキャリッジの形状、形式(レール上を横行する台車等に対して各処理機に対する出入りは、台車等にさらに配設したレール等により行ってもよい。)、分割構成とした中型および外型ならびにハンドリングキャリッジの外爪の拡縮形態(拡縮シリンダの採用等、拡縮シリンダによる同期のために採用される切換弁や開閉開閉弁の形状、形式、両ロッドシリンダの形状、形式等)、コア部材の形状、形式およびその中型セグメントとの係着形態、コア部材におけるテーパ機構の形式等については適宜選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のゴムクローラ製造方法およびその装置の1実施例を示す全体斜視図である。
【図2】同、中型の組立保形状態の断面および正面図である。
【図3】同、分解機内爪と中型内周面との係合状態の説明図である。
【図4】同、中型に未加硫製品が巻き付けられた成形機の正面および断面図である。
【図5】同、成形機から中型と未加硫製品とをキャリッジにより取り外す状態の正面および断面図である。
【図6】同、加硫機の断面および正面図である。
【図7】同、分解機による中型の縮径開始時の正面図である。
【図8】同、分解機による中型の縮径完了時の正面および断面図である。
【図9】同、分解機でのリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外す初期状態の正面および断面図である。
【図10】同、分解機のみの正面および断面図である。
【図11】同、分解機からリング部材の一方と加硫製品とをキャリッジにより取り外した状態の断面図である。
【図12】同、分解機内爪等を拡縮するための拡縮シリンダの油圧回路のブロック図である。
【図13】従来のゴムクローラ製造装置の全体断面および要部正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 成形機
2 加硫機
3 中型分解機
4 仮置き台
5 製品掛け台
6 ハンドリングキャリッジ
6A キャリッジ外爪
7 レール
8 中型
9 コア部材
14 未加硫製品
15 加硫製品
17 中心ロッド
24 材料供給部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型を、成形機による成形工程、加硫機による加硫工程、分解機による中型離型工程に、製品とともにハンドリングキャリッジを用いて使い回しすることを特徴とするゴムクローラ製造方法。
【請求項2】
分割構成として径を拡縮自在に構成した中型の周囲に未加硫製品を巻き付ける成形工程と、中型とともに移送された未加硫製品の外周に外型をセットして加硫する加硫工程と、中型とともに移送された加硫製品を中型セグメントを縮径することで離型する分解工程と、離型した中型セグメントを組み立てて成形工程に使い回す復帰工程とから構成されることを特徴とするゴムクローラ製造方法。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載のゴムクローラ製造方法に使用される分割構成とした中型セグメントを備えたゴムクローラ製造装置において、前記中型セグメントの各側面に保形リングを係合させたことを特徴とするゴムクローラ製造装置。
【請求項4】
前記中型セグメントを周長の異なるものを交互に配置するとともに、周長の大きな方の両側接合面を外周側に広がるテーパに形成したことを特徴とする請求項3に記載のゴムクローラ製造装置。
【請求項5】
前記中型セグメントの各内周面に、分解機内爪に係脱自在な係合部を形成したことを特徴とする請求項3または4に記載のゴムクローラ製造装置。
【請求項6】
前記中型の内周側にコア部材を配設するとともに、コア部材の中心ロッドの軸動によりテーパ機構を介して前記コア部材を中型の内周に押し付けるように構成したことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のゴムクローラ製造装置。
【請求項1】
無端状のゴムクローラをリング状の中型と外型との間にて一体成形するゴムクローラ製造方法において、分割構成として径を拡縮自在に構成した中型を、成形機による成形工程、加硫機による加硫工程、分解機による中型離型工程に、製品とともにハンドリングキャリッジを用いて使い回しすることを特徴とするゴムクローラ製造方法。
【請求項2】
分割構成として径を拡縮自在に構成した中型の周囲に未加硫製品を巻き付ける成形工程と、中型とともに移送された未加硫製品の外周に外型をセットして加硫する加硫工程と、中型とともに移送された加硫製品を中型セグメントを縮径することで離型する分解工程と、離型した中型セグメントを組み立てて成形工程に使い回す復帰工程とから構成されることを特徴とするゴムクローラ製造方法。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載のゴムクローラ製造方法に使用される分割構成とした中型セグメントを備えたゴムクローラ製造装置において、前記中型セグメントの各側面に保形リングを係合させたことを特徴とするゴムクローラ製造装置。
【請求項4】
前記中型セグメントを周長の異なるものを交互に配置するとともに、周長の大きな方の両側接合面を外周側に広がるテーパに形成したことを特徴とする請求項3に記載のゴムクローラ製造装置。
【請求項5】
前記中型セグメントの各内周面に、分解機内爪に係脱自在な係合部を形成したことを特徴とする請求項3または4に記載のゴムクローラ製造装置。
【請求項6】
前記中型の内周側にコア部材を配設するとともに、コア部材の中心ロッドの軸動によりテーパ機構を介して前記コア部材を中型の内周に押し付けるように構成したことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のゴムクローラ製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−76079(P2007−76079A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264849(P2005−264849)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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