ゴム支承およびその製造方法
【課題】外観品質を悪化させることなく、上下端板の平行度を向上させることができるゴム支承およびその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板3と未加硫のゴム層4とを交互に積層した未加硫のゴム積層体2の上下端にそれぞれ上端板5、下端板6を配置した成形体1の少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴7に、その端板を貫通するベントホール8を設け、この成形体1を、その上下面および側面を囲む金型11の中に配置して加硫する際に、ベントホール8を通じて、成形体1からガスを成形体1の外部に排出させるとともに、流動する未加硫のゴム層4のゴムをオーバーフローさせる。
【解決手段】鋼板3と未加硫のゴム層4とを交互に積層した未加硫のゴム積層体2の上下端にそれぞれ上端板5、下端板6を配置した成形体1の少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴7に、その端板を貫通するベントホール8を設け、この成形体1を、その上下面および側面を囲む金型11の中に配置して加硫する際に、ベントホール8を通じて、成形体1からガスを成形体1の外部に排出させるとともに、流動する未加硫のゴム層4のゴムをオーバーフローさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム支承およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、外観品質を悪化させることなく、上下端板の平行度を向上させることができるゴム支承およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体を備えたゴム支承は、ビルや橋桁等を支持するために使用されている。ゴム支承は上下端にそれぞれ、金属製の端板を有している。上下端板をそれぞれ、上部工、下部工にボルト固定することによってゴム支承は所定位置に設置される。ゴム支承を製造する場合は、上下の端板の間に、鋼板と未加硫のゴム層とを交互に積層して成形体を成形し、この成形体の上下面および側面を金型(型枠)によって囲む。次いで、成形体を加熱しつつ金型の上面から加圧することによりゴム層を加硫して、上下端板、鋼板を加硫接着させて一体化したゴム支承が完成する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、金型の継目にすき間がある場合は、そのすき間から加硫中に流動する未加硫のゴムがオーバーフローする。したがって、すき間が偏在していたり、複数のすき間の大きさがばらついている場合には、オーバーフローする未加硫ゴムによって、加硫後の上下端板の平行度が低下する。この平行度が低下すると、ゴム支承として設定どおりの特性を得られなくなるため、平行度を向上させることは重要である。
【0004】
一方、ゴム積層体の側面部分に対向する金型の所定位置にベントホールを設けて、このベントホールを通じて加硫中にガスを金型外部に排出する方法がある。この方法では、未加硫ゴムがベントホールに入り込んでオーバーフローする。ベントホールを適切な位置に配置し、未加硫ゴムを均等にオーバーフローさせて、上下端板の平行度を確保することも可能である。しかしながら、オーバーフローしたゴムが、加硫したゴム積層体の側面部分から突出する。そのため、加硫後にオーバーフローしたゴムを除去する必要があり、その除去の跡が側面部分に残るので外観品質が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−64374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、外観品質を悪化させることなく、上下端板の平行度を向上させることができるゴム支承およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のゴム支承は、鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体と、このゴム積層体の上下端のそれぞれに固定された端板とを備えたゴム支承において、前記ゴム積層体の上下端に固定された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明のゴム支承の製造方法は、鋼板と未加硫のゴム層とを交互に積層した未加硫のゴム積層体の上下端にそれぞれ端板を配置した成形体を、この成形体の上下面および側面を囲む金型の中に配置し、この成形体を所定温度に加熱するとともに、所定圧力で加圧して加硫するゴム支承の製造方法において、前記未加硫のゴム積層体の上下端に配置された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設け、前記成形体を加硫する際に、前記ベントホールを通じて、成形体からガスを成形体の外部に排出させるとともに、流動する未加硫ゴムをオーバーフローさせるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体と、このゴム積層体の上下端のそれぞれに固定された端板とを備えたゴム支承を、その上下面および側面を囲む金型の中に配置して加硫する際に、前記ゴム積層体の上下端に固定された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設けているので、流動する未加硫ゴムを前記ベントホールを通じてオーバーフローさせることが可能になる。そのため、予め設定した位置から未加硫ゴムをオーバーフローさせることにより、不要な位置からのオーバーフローを抑制できる。これにより、上下端板の平行度を向上させることが可能になる。
【0010】
また、オーバーフローしたゴムは端板のボルト穴の中に突出するので、オーバーフローしたゴムを除去しても、その除去の跡は外観からは見えない位置となる。それ故、ゴム支承の外観品質を悪化させることがない。
【0011】
本発明では、例えば、前記ゴム積層体の上端に固定された端板に形成されたボルト穴に、前記ベントホールを設ける。ゴム支承の加硫工程では、ゴム積層体に内在するガスの多くは上方に移動するので、このガスをベントホールを通じてより効果的に外部に排出させることが可能になる。そのため、完成したゴム支承の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【0012】
前記ベントホールを設けた端板の裏面に、ベント溝を延設することもできる。これにより、ゴム支承の加硫工程において、このベント溝を通じてガスをベントホール等に向かって移動させることが可能になる。そのため、完成したゴム支承の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【0013】
前記鋼板に貫通穴を設けることもできる。これにより、ゴム支承の加硫工程において、この貫通穴を通じてガスを移動させることが可能になる。そのため、完成したゴム支承の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【0014】
本発明のゴム支承では、ベントホールに他の部分よりも内径が小さい縮径部を設けた仕様にすることもできる。この仕様によれば、ベントホールにオーバーフローしたゴムを縮径部で切断し易くなるので後処理が容易になる。
【0015】
本発明のゴム支承の製造方法では、ベントホールを設けたボルト穴にボルトを螺合させて、ボルト穴の空間部の体積を変えることにより、このボルト穴の中にオーバーフローさせる未加硫ゴムの量を調整することもできる。これにより、オーバーフローさせるゴム量を任意に設定できるので、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のゴム支承を例示する平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】上端板の裏面を例示する平面図である。
【図4】鋼板に貫通穴を設けたゴム支承を例示する縦断面図である。
【図5】ゴム支承の加硫工程を縦断面で例示する説明図である。
【図6】図5のベントホールを例示する縦断面図である。
【図7】ベントホールの変形例を示す縦断面図である。
【図8】ベントホールの別の変形例を示す縦断面図である。
【図9】ベントホールを形成したボルト穴にボルトを螺合させている状態を例示する縦断面図である。
【図10】ボルト穴にベントホールを有するボルトを螺合させている状態を例示する縦断面図である。
【図11】ベントホールを形成したボルト穴にスリーブを内嵌している状態を例示する縦断面である。
【図12】上部工と下部工との間に設置されたゴム支承を例示する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のゴム支承およびその製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。尚、同じ部材については、加硫前と加硫後とで同じ符号を用いる。
【0018】
図1、図2に例示するように本発明のゴム支承1は、鋼板3とゴム層4とを交互に積層したゴム積層体2と、ゴム積層体2の上下端のそれぞれに固定された上端板5、下端板6とを備えている。上端板5および下端板6は、鋼等の金属製であり、ゴム積層体2に埋設されている鋼板3よりも厚くなっている。鋼板3の厚さは、例えば2.3mm〜9.0mm程度であり、上端板5、下端板6の厚さは、例えば12mm〜70mm程度である。鋼板3、上端板5および下端板6は、介在するゴム層4と加硫接着されて一体化している。
【0019】
上端板5の上面には中央部にキー溝9aが形成されるとともに、ゴム支承1を上部工12に固定するために用いるボルトを螺合するボルト穴7が周縁に沿って形成されている。また、キー溝9aの近傍には上端板5を吊り上げる際に使用するボルト穴7が2つ形成されている。
【0020】
従来のゴム支承のボルト穴は、上端板を上下に貫通していないが、このボルト穴7は上端板5の上面に開口していて、その底部には、上端板5を上下に貫通するベントホール8が設けられている。ベントホール8の内径は、例えば、0.5mm〜3.0mm程度である。
【0021】
ボルト穴7の数や配置は、この実施形態に例示したものに限らず、適宜決定される。また、ベントホール8の数や配置も適宜決定され、加硫工程においてガスを排出させたい場所(ガスが溜まり易い場所)に設ける。
【0022】
例えば、ベントホール8をすべてのボルト穴7に設けることも、上端板5の周縁に沿って配置されたボルト穴7だけに設けることもできる。或いは、上端板5の周縁に沿って配置されたボルト穴7の1つおきにベントホール8を設けることもできる。バランスを重視すると、ベントホール8は、平面視で上端板5の中心に対して均等に配置することが好ましい。
【0023】
下端板6には、ゴム支承1を下部工13に固定するために用いられるボルトを螺合するボルト穴7が形成されている。このボルト穴7は下端板6の下面に開口していて、下端板6を上下に貫通していない。
【0024】
ベントホール8は、上端板5および下端板6のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴7に設ければよい。例えば、上端板5に形成されたボルト穴7にのみベントホール8を設けてもよく、上端板5および下端板6に形成されたボルト穴7にベントホール8を設けてもよい。
【0025】
この実施形態ではさらに、図3に例示するように、ベントホール8を設けた上端板5の裏面(下面)に、このベントホール8につながるベント溝5aが延設されている。ベント溝5aは、隣り合うベントホール8につながるように延設することに限定されず、必要な場所に延設することができる。例えば、ベントホール8を中心にして放射状にベント溝5aを延設することもできる。或いは、ベント溝5aはベントホール8につなげずに、例えば上端板5の辺縁まで延設することもできる。
【0026】
図4に例示するゴム支承1のように、鋼板3に貫通穴3aを設けることもできる。貫通穴3aの数や配置は適宜決定され、加硫工程においてガスを通過させたい場所(ガスが溜まり易い場所)に設ける。例えば、平面視で鋼板3の中央部近傍に設ける。また、貫通穴3aはすべての鋼板3に設けることも、上側の1枚または2枚の鋼板3のみに設けることもできる。貫通穴3aは一枚の鋼板3の有効面積に対して、その総開口面積が1%以内になるようにする。
【0027】
図4の左半分に例示するように、貫通穴3aを上下で連続するように配置することもできる。或いは、図4の右半分に例示するように、貫通穴3aを上下でチドリ状に配置することもできる。
【0028】
このゴム支承1を加硫する場合には、図5に例示するように、上端板5と下端板6との間に、鋼板3と未加硫のゴム層4とを交互に積層した未加硫のゴム積層体2を挟んだ状態にした成形体1を成形する。そして、この成形体1を金型11の中に配置して、成形体1の上下面および側面を金型11により囲む。上端板5の上面には上面型11aが当接し、下端板6の下面には下面型11bが当接し、ゴム積層体2の側面には側面型11cが当接して、それぞれの型11a、11b、11cがすき間がないように型締めされる。
【0029】
次いで、金型11の中で成形体1を所定温度に加熱するとともに、上面型11aを介して所定圧力で加圧することにより、ゴム支承1(未加硫のゴム層4)を加硫する。この加硫工程を経て、鋼板3、上端板5および下端板6が、介在するゴム層4と加硫接着されて一体物となったゴム支承1が得られる。
【0030】
加硫工程では、未加硫のゴム層4のゴムが流動し、成形体1に内在するガス(内部に抱き込まれた空気や加硫時に発生するガス)も移動する。本発明では、図6に例示するようにベントホール8を設けているので、ガスはベントホール8を通じて成形体1の外部に排出される。また、余分な量の未加硫ゴムもベントホール8を通じてオーバーフローする。オーバーフローしたゴムは、加硫工程後に除去する。
【0031】
このように、ベントホール8を設けた予め設定した位置から未加硫ゴムをオーバーフローさせるので、不要な位置からのオーバーフローを抑制できる。それ故、上端板5と下端板6が不規則に傾くことを防止できるので、両者の平行度を向上させることが可能になる。
【0032】
また、オーバーフローしたゴムは上端板5のボルト穴7の中に突出するので、オーバーフローしたゴムを除去しても、その除去の跡は外観からは見えない位置となる。それ故、ゴム支承1の外観品質を悪化させることもない。さらには、予め設置されるボルト穴7を利用してベントホール8を設けるので、加工工数を低減できる。
【0033】
加硫工程では、ガスの多くは上方に移動する。そのため、この実施形態のように、上端板5および下端板6のうち、少なくとも上端板5に形成されたボルト穴7にベントホール8を設けると、余分なガスをベントホール8を通じてより効果的に成形体1の外部に排出させることができるので、より好ましい。上端板5および下端板6に形成されたボルト穴7にベントホール8を設けることもより好ましい。これにより、完成したゴム支承1の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上端板5と下端板6の平行度を向上させるには有利になる。
【0034】
この実施形態では、さらに図5に例示するように、上端板5の裏面にベント溝5aを延設しているので、加硫工程において、ベント溝5aを通じてガスをベントホール8に向かって移動させることができる。そのため、完成したゴム支承1の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上端板5と下端板6の平行度を向上させるには益々有利になる。ベント溝5aを上端板5の辺縁まで延設した場合は、ベント溝5aを通じてガスを上端板5の辺端面に向かって移動させて排出できる。
【0035】
また、図4に例示したように、鋼板3に貫通穴3aを設けると、加硫工程において、貫通穴3aを通じてガスを移動させることができる。この貫通穴3aによっても、完成したゴム支承1の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上端板5と下端板6の平行度を向上させるには有利になる。
【0036】
ベントホール8の形状は、図6に例示したような内径が一定である形状の他に、例えば、図7に示すように中途をくびれた形状にすることもできる。或いは、図8に例示するように、ボルト穴7から上端板5の裏面に向かって内径を徐々に大きくした形状にすることもできる。図7および図8に例示したように、ベントホール8の長手方向において他の部分よりも内径が小さい縮径部8aを設けた仕様にすると、オーバーフローしたゴムを縮径部8aで切断し易くなるので後処理が容易になる。
【0037】
成形体1を加硫する際には、図9に例示するように、ベントホール8を設けたボルト穴7にボルト7aを螺合させて、ボルト穴7の空間部の体積を変えることもできる。空間部の体積を大きくする場合は、ボルト7aを浅く螺合させ、空間部の体積を小さくする場合は、ボルト7aを深く螺合させて、ボルト穴7の中にオーバーフローさせることができる未加硫ゴムの量を調整する。これにより、ボルト穴7の中にオーバーフローさせるゴム量を任意に設定できるので、上端板5および下端板6の平行度を向上させるには有利になる。
【0038】
図10に例示するボルト穴7は、上端板5を上下に貫通している。このボルト穴7に、上下に貫通するベントホール8を有するボルト7aを螺合させることもできる。これにより、加硫時にベントホール8を通じてガスを排出させるとともに、余分な量の未加硫ゴムをオーバーフローさせることができる。その他の形態として、ボルト穴7の側壁に、ネジ溝を縦断するようにベントホール8を上下に延設することもできる。
【0039】
図11に例示するように、成形体1を加硫する際に、ベントホール8が形成されたボルト穴7に筒状のスリーブ10を挿入することもできる。スリーブ10は、その外周面をボルト穴7の側壁に当接させてボルト穴7に内嵌される。この状態で加硫すると、ベントホール8を通じてオーバーフローしたゴムは、ボルト穴7のネジ溝に入り込むことがなくなる。そのため、加硫工程後にオーバーフローしたゴムを除去し易くなる。スリーブ10は、加硫工程後にボルト穴7から抜き取る。
【0040】
尚、キー溝9aの内部に上端板5を上下に貫通するベントホール8を設けることや、ボルト穴7とは無関係に上端板5、下端板6に、これら端板を上下に貫通するベントホール8を設けることも可能である。
【0041】
ゴム支承1は、図12に例示するように、橋桁などの上部工12と橋脚などの下部工13の間に設置される。上端板5は、上部工12の下面に取り付けられたソールプレート12aにボルト7aにより固定される。キー溝9aにはせん断キー9bが嵌合される。下端板6は、下部工13の上面に取り付けられたベースプレート13aにボルト7aにより固定される。
【符号の説明】
【0042】
1 ゴム支承(成形体)
2 ゴム積層体
3 鋼板
3a 貫通孔
4 ゴム層(未加硫のゴム層)
5 上端板
5a ベント溝
6 下端板
7 ボルト穴
7a ボルト
8 ベントホール
8a 縮径部
9a キー溝
9b せん断キー
10 スリーブ
11 金型
11a 上面型
11b 下面型
11c 側面型
12 上部工
12a ソールプレート
13 下部工
13a ベースプレート
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム支承およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、外観品質を悪化させることなく、上下端板の平行度を向上させることができるゴム支承およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体を備えたゴム支承は、ビルや橋桁等を支持するために使用されている。ゴム支承は上下端にそれぞれ、金属製の端板を有している。上下端板をそれぞれ、上部工、下部工にボルト固定することによってゴム支承は所定位置に設置される。ゴム支承を製造する場合は、上下の端板の間に、鋼板と未加硫のゴム層とを交互に積層して成形体を成形し、この成形体の上下面および側面を金型(型枠)によって囲む。次いで、成形体を加熱しつつ金型の上面から加圧することによりゴム層を加硫して、上下端板、鋼板を加硫接着させて一体化したゴム支承が完成する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、金型の継目にすき間がある場合は、そのすき間から加硫中に流動する未加硫のゴムがオーバーフローする。したがって、すき間が偏在していたり、複数のすき間の大きさがばらついている場合には、オーバーフローする未加硫ゴムによって、加硫後の上下端板の平行度が低下する。この平行度が低下すると、ゴム支承として設定どおりの特性を得られなくなるため、平行度を向上させることは重要である。
【0004】
一方、ゴム積層体の側面部分に対向する金型の所定位置にベントホールを設けて、このベントホールを通じて加硫中にガスを金型外部に排出する方法がある。この方法では、未加硫ゴムがベントホールに入り込んでオーバーフローする。ベントホールを適切な位置に配置し、未加硫ゴムを均等にオーバーフローさせて、上下端板の平行度を確保することも可能である。しかしながら、オーバーフローしたゴムが、加硫したゴム積層体の側面部分から突出する。そのため、加硫後にオーバーフローしたゴムを除去する必要があり、その除去の跡が側面部分に残るので外観品質が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−64374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、外観品質を悪化させることなく、上下端板の平行度を向上させることができるゴム支承およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のゴム支承は、鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体と、このゴム積層体の上下端のそれぞれに固定された端板とを備えたゴム支承において、前記ゴム積層体の上下端に固定された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明のゴム支承の製造方法は、鋼板と未加硫のゴム層とを交互に積層した未加硫のゴム積層体の上下端にそれぞれ端板を配置した成形体を、この成形体の上下面および側面を囲む金型の中に配置し、この成形体を所定温度に加熱するとともに、所定圧力で加圧して加硫するゴム支承の製造方法において、前記未加硫のゴム積層体の上下端に配置された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設け、前記成形体を加硫する際に、前記ベントホールを通じて、成形体からガスを成形体の外部に排出させるとともに、流動する未加硫ゴムをオーバーフローさせるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体と、このゴム積層体の上下端のそれぞれに固定された端板とを備えたゴム支承を、その上下面および側面を囲む金型の中に配置して加硫する際に、前記ゴム積層体の上下端に固定された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設けているので、流動する未加硫ゴムを前記ベントホールを通じてオーバーフローさせることが可能になる。そのため、予め設定した位置から未加硫ゴムをオーバーフローさせることにより、不要な位置からのオーバーフローを抑制できる。これにより、上下端板の平行度を向上させることが可能になる。
【0010】
また、オーバーフローしたゴムは端板のボルト穴の中に突出するので、オーバーフローしたゴムを除去しても、その除去の跡は外観からは見えない位置となる。それ故、ゴム支承の外観品質を悪化させることがない。
【0011】
本発明では、例えば、前記ゴム積層体の上端に固定された端板に形成されたボルト穴に、前記ベントホールを設ける。ゴム支承の加硫工程では、ゴム積層体に内在するガスの多くは上方に移動するので、このガスをベントホールを通じてより効果的に外部に排出させることが可能になる。そのため、完成したゴム支承の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【0012】
前記ベントホールを設けた端板の裏面に、ベント溝を延設することもできる。これにより、ゴム支承の加硫工程において、このベント溝を通じてガスをベントホール等に向かって移動させることが可能になる。そのため、完成したゴム支承の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【0013】
前記鋼板に貫通穴を設けることもできる。これにより、ゴム支承の加硫工程において、この貫通穴を通じてガスを移動させることが可能になる。そのため、完成したゴム支承の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【0014】
本発明のゴム支承では、ベントホールに他の部分よりも内径が小さい縮径部を設けた仕様にすることもできる。この仕様によれば、ベントホールにオーバーフローしたゴムを縮径部で切断し易くなるので後処理が容易になる。
【0015】
本発明のゴム支承の製造方法では、ベントホールを設けたボルト穴にボルトを螺合させて、ボルト穴の空間部の体積を変えることにより、このボルト穴の中にオーバーフローさせる未加硫ゴムの量を調整することもできる。これにより、オーバーフローさせるゴム量を任意に設定できるので、上下端板の平行度を向上させるには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のゴム支承を例示する平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】上端板の裏面を例示する平面図である。
【図4】鋼板に貫通穴を設けたゴム支承を例示する縦断面図である。
【図5】ゴム支承の加硫工程を縦断面で例示する説明図である。
【図6】図5のベントホールを例示する縦断面図である。
【図7】ベントホールの変形例を示す縦断面図である。
【図8】ベントホールの別の変形例を示す縦断面図である。
【図9】ベントホールを形成したボルト穴にボルトを螺合させている状態を例示する縦断面図である。
【図10】ボルト穴にベントホールを有するボルトを螺合させている状態を例示する縦断面図である。
【図11】ベントホールを形成したボルト穴にスリーブを内嵌している状態を例示する縦断面である。
【図12】上部工と下部工との間に設置されたゴム支承を例示する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のゴム支承およびその製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。尚、同じ部材については、加硫前と加硫後とで同じ符号を用いる。
【0018】
図1、図2に例示するように本発明のゴム支承1は、鋼板3とゴム層4とを交互に積層したゴム積層体2と、ゴム積層体2の上下端のそれぞれに固定された上端板5、下端板6とを備えている。上端板5および下端板6は、鋼等の金属製であり、ゴム積層体2に埋設されている鋼板3よりも厚くなっている。鋼板3の厚さは、例えば2.3mm〜9.0mm程度であり、上端板5、下端板6の厚さは、例えば12mm〜70mm程度である。鋼板3、上端板5および下端板6は、介在するゴム層4と加硫接着されて一体化している。
【0019】
上端板5の上面には中央部にキー溝9aが形成されるとともに、ゴム支承1を上部工12に固定するために用いるボルトを螺合するボルト穴7が周縁に沿って形成されている。また、キー溝9aの近傍には上端板5を吊り上げる際に使用するボルト穴7が2つ形成されている。
【0020】
従来のゴム支承のボルト穴は、上端板を上下に貫通していないが、このボルト穴7は上端板5の上面に開口していて、その底部には、上端板5を上下に貫通するベントホール8が設けられている。ベントホール8の内径は、例えば、0.5mm〜3.0mm程度である。
【0021】
ボルト穴7の数や配置は、この実施形態に例示したものに限らず、適宜決定される。また、ベントホール8の数や配置も適宜決定され、加硫工程においてガスを排出させたい場所(ガスが溜まり易い場所)に設ける。
【0022】
例えば、ベントホール8をすべてのボルト穴7に設けることも、上端板5の周縁に沿って配置されたボルト穴7だけに設けることもできる。或いは、上端板5の周縁に沿って配置されたボルト穴7の1つおきにベントホール8を設けることもできる。バランスを重視すると、ベントホール8は、平面視で上端板5の中心に対して均等に配置することが好ましい。
【0023】
下端板6には、ゴム支承1を下部工13に固定するために用いられるボルトを螺合するボルト穴7が形成されている。このボルト穴7は下端板6の下面に開口していて、下端板6を上下に貫通していない。
【0024】
ベントホール8は、上端板5および下端板6のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴7に設ければよい。例えば、上端板5に形成されたボルト穴7にのみベントホール8を設けてもよく、上端板5および下端板6に形成されたボルト穴7にベントホール8を設けてもよい。
【0025】
この実施形態ではさらに、図3に例示するように、ベントホール8を設けた上端板5の裏面(下面)に、このベントホール8につながるベント溝5aが延設されている。ベント溝5aは、隣り合うベントホール8につながるように延設することに限定されず、必要な場所に延設することができる。例えば、ベントホール8を中心にして放射状にベント溝5aを延設することもできる。或いは、ベント溝5aはベントホール8につなげずに、例えば上端板5の辺縁まで延設することもできる。
【0026】
図4に例示するゴム支承1のように、鋼板3に貫通穴3aを設けることもできる。貫通穴3aの数や配置は適宜決定され、加硫工程においてガスを通過させたい場所(ガスが溜まり易い場所)に設ける。例えば、平面視で鋼板3の中央部近傍に設ける。また、貫通穴3aはすべての鋼板3に設けることも、上側の1枚または2枚の鋼板3のみに設けることもできる。貫通穴3aは一枚の鋼板3の有効面積に対して、その総開口面積が1%以内になるようにする。
【0027】
図4の左半分に例示するように、貫通穴3aを上下で連続するように配置することもできる。或いは、図4の右半分に例示するように、貫通穴3aを上下でチドリ状に配置することもできる。
【0028】
このゴム支承1を加硫する場合には、図5に例示するように、上端板5と下端板6との間に、鋼板3と未加硫のゴム層4とを交互に積層した未加硫のゴム積層体2を挟んだ状態にした成形体1を成形する。そして、この成形体1を金型11の中に配置して、成形体1の上下面および側面を金型11により囲む。上端板5の上面には上面型11aが当接し、下端板6の下面には下面型11bが当接し、ゴム積層体2の側面には側面型11cが当接して、それぞれの型11a、11b、11cがすき間がないように型締めされる。
【0029】
次いで、金型11の中で成形体1を所定温度に加熱するとともに、上面型11aを介して所定圧力で加圧することにより、ゴム支承1(未加硫のゴム層4)を加硫する。この加硫工程を経て、鋼板3、上端板5および下端板6が、介在するゴム層4と加硫接着されて一体物となったゴム支承1が得られる。
【0030】
加硫工程では、未加硫のゴム層4のゴムが流動し、成形体1に内在するガス(内部に抱き込まれた空気や加硫時に発生するガス)も移動する。本発明では、図6に例示するようにベントホール8を設けているので、ガスはベントホール8を通じて成形体1の外部に排出される。また、余分な量の未加硫ゴムもベントホール8を通じてオーバーフローする。オーバーフローしたゴムは、加硫工程後に除去する。
【0031】
このように、ベントホール8を設けた予め設定した位置から未加硫ゴムをオーバーフローさせるので、不要な位置からのオーバーフローを抑制できる。それ故、上端板5と下端板6が不規則に傾くことを防止できるので、両者の平行度を向上させることが可能になる。
【0032】
また、オーバーフローしたゴムは上端板5のボルト穴7の中に突出するので、オーバーフローしたゴムを除去しても、その除去の跡は外観からは見えない位置となる。それ故、ゴム支承1の外観品質を悪化させることもない。さらには、予め設置されるボルト穴7を利用してベントホール8を設けるので、加工工数を低減できる。
【0033】
加硫工程では、ガスの多くは上方に移動する。そのため、この実施形態のように、上端板5および下端板6のうち、少なくとも上端板5に形成されたボルト穴7にベントホール8を設けると、余分なガスをベントホール8を通じてより効果的に成形体1の外部に排出させることができるので、より好ましい。上端板5および下端板6に形成されたボルト穴7にベントホール8を設けることもより好ましい。これにより、完成したゴム支承1の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上端板5と下端板6の平行度を向上させるには有利になる。
【0034】
この実施形態では、さらに図5に例示するように、上端板5の裏面にベント溝5aを延設しているので、加硫工程において、ベント溝5aを通じてガスをベントホール8に向かって移動させることができる。そのため、完成したゴム支承1の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上端板5と下端板6の平行度を向上させるには益々有利になる。ベント溝5aを上端板5の辺縁まで延設した場合は、ベント溝5aを通じてガスを上端板5の辺端面に向かって移動させて排出できる。
【0035】
また、図4に例示したように、鋼板3に貫通穴3aを設けると、加硫工程において、貫通穴3aを通じてガスを移動させることができる。この貫通穴3aによっても、完成したゴム支承1の内部に不要な空隙が生じ難くなるとともに、上端板5と下端板6の平行度を向上させるには有利になる。
【0036】
ベントホール8の形状は、図6に例示したような内径が一定である形状の他に、例えば、図7に示すように中途をくびれた形状にすることもできる。或いは、図8に例示するように、ボルト穴7から上端板5の裏面に向かって内径を徐々に大きくした形状にすることもできる。図7および図8に例示したように、ベントホール8の長手方向において他の部分よりも内径が小さい縮径部8aを設けた仕様にすると、オーバーフローしたゴムを縮径部8aで切断し易くなるので後処理が容易になる。
【0037】
成形体1を加硫する際には、図9に例示するように、ベントホール8を設けたボルト穴7にボルト7aを螺合させて、ボルト穴7の空間部の体積を変えることもできる。空間部の体積を大きくする場合は、ボルト7aを浅く螺合させ、空間部の体積を小さくする場合は、ボルト7aを深く螺合させて、ボルト穴7の中にオーバーフローさせることができる未加硫ゴムの量を調整する。これにより、ボルト穴7の中にオーバーフローさせるゴム量を任意に設定できるので、上端板5および下端板6の平行度を向上させるには有利になる。
【0038】
図10に例示するボルト穴7は、上端板5を上下に貫通している。このボルト穴7に、上下に貫通するベントホール8を有するボルト7aを螺合させることもできる。これにより、加硫時にベントホール8を通じてガスを排出させるとともに、余分な量の未加硫ゴムをオーバーフローさせることができる。その他の形態として、ボルト穴7の側壁に、ネジ溝を縦断するようにベントホール8を上下に延設することもできる。
【0039】
図11に例示するように、成形体1を加硫する際に、ベントホール8が形成されたボルト穴7に筒状のスリーブ10を挿入することもできる。スリーブ10は、その外周面をボルト穴7の側壁に当接させてボルト穴7に内嵌される。この状態で加硫すると、ベントホール8を通じてオーバーフローしたゴムは、ボルト穴7のネジ溝に入り込むことがなくなる。そのため、加硫工程後にオーバーフローしたゴムを除去し易くなる。スリーブ10は、加硫工程後にボルト穴7から抜き取る。
【0040】
尚、キー溝9aの内部に上端板5を上下に貫通するベントホール8を設けることや、ボルト穴7とは無関係に上端板5、下端板6に、これら端板を上下に貫通するベントホール8を設けることも可能である。
【0041】
ゴム支承1は、図12に例示するように、橋桁などの上部工12と橋脚などの下部工13の間に設置される。上端板5は、上部工12の下面に取り付けられたソールプレート12aにボルト7aにより固定される。キー溝9aにはせん断キー9bが嵌合される。下端板6は、下部工13の上面に取り付けられたベースプレート13aにボルト7aにより固定される。
【符号の説明】
【0042】
1 ゴム支承(成形体)
2 ゴム積層体
3 鋼板
3a 貫通孔
4 ゴム層(未加硫のゴム層)
5 上端板
5a ベント溝
6 下端板
7 ボルト穴
7a ボルト
8 ベントホール
8a 縮径部
9a キー溝
9b せん断キー
10 スリーブ
11 金型
11a 上面型
11b 下面型
11c 側面型
12 上部工
12a ソールプレート
13 下部工
13a ベースプレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体と、このゴム積層体の上下端のそれぞれに固定された端板とを備えたゴム支承において、前記ゴム積層体の上下端に固定された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設けたことを特徴とするゴム支承。
【請求項2】
前記ゴム積層体の上端に固定された端板に形成されたボルト穴に、前記ベントホールを設けた請求項1に記載のゴム支承。
【請求項3】
前記ベントホールを設けた端板の裏面に、ベント溝を延設した請求項1または2に記載のゴム支承。
【請求項4】
前記鋼板に貫通穴を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のゴム支承。
【請求項5】
前記ベントホールに他の部分よりも内径が小さい縮径部を設けた請求項1〜4のいずれかに記載のゴム支承。
【請求項6】
鋼板と未加硫のゴム層とを交互に積層した未加硫のゴム積層体の上下端にそれぞれ端板を配置した成形体を、この成形体の上下面および側面を囲む金型の中に配置し、この成形体を所定温度に加熱するとともに、所定圧力で加圧して加硫するゴム支承の製造方法において、前記未加硫のゴム積層体の上下端に配置された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設け、前記成形体を加硫する際に、前記ベントホールを通じて、成形体からガスを成形体の外部に排出させるとともに、流動する未加硫ゴムをオーバーフローさせるようにしたことを特徴とするゴム支承の製造方法。
【請求項7】
前記未加硫のゴム積層体の上端に配置された端板に形成されたボルト穴に、前記ベントホールを設けた請求項6に記載のゴム支承の製造方法。
【請求項8】
前記ベントホールを設けた端板の裏面に、ベント溝を延設しておき、前記成形体を加硫する際に、このベント溝を通じてガスを移動させる請求項6または7に記載のゴム支承の製造方法。
【請求項9】
前記鋼板に貫通穴を設けておき、前記成形体を加硫する際に、この貫通穴を通じてガスを移動させる請求項6〜8のいずれかに記載のゴム支承の製造方法。
【請求項10】
前記ベントホールを設けたボルト穴にボルトを螺合させて、ボルト穴の空間部の体積を変えることにより、このボルト穴の中にオーバーフローさせる未加硫ゴムの量を調整する請求項6〜9のいずれかに記載のゴム支承の製造方法。
【請求項1】
鋼板とゴム層とを交互に積層したゴム積層体と、このゴム積層体の上下端のそれぞれに固定された端板とを備えたゴム支承において、前記ゴム積層体の上下端に固定された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設けたことを特徴とするゴム支承。
【請求項2】
前記ゴム積層体の上端に固定された端板に形成されたボルト穴に、前記ベントホールを設けた請求項1に記載のゴム支承。
【請求項3】
前記ベントホールを設けた端板の裏面に、ベント溝を延設した請求項1または2に記載のゴム支承。
【請求項4】
前記鋼板に貫通穴を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のゴム支承。
【請求項5】
前記ベントホールに他の部分よりも内径が小さい縮径部を設けた請求項1〜4のいずれかに記載のゴム支承。
【請求項6】
鋼板と未加硫のゴム層とを交互に積層した未加硫のゴム積層体の上下端にそれぞれ端板を配置した成形体を、この成形体の上下面および側面を囲む金型の中に配置し、この成形体を所定温度に加熱するとともに、所定圧力で加圧して加硫するゴム支承の製造方法において、前記未加硫のゴム積層体の上下端に配置された端板のうち、少なくとも一方の端板に形成されたボルト穴に、その端板を貫通するベントホールを設け、前記成形体を加硫する際に、前記ベントホールを通じて、成形体からガスを成形体の外部に排出させるとともに、流動する未加硫ゴムをオーバーフローさせるようにしたことを特徴とするゴム支承の製造方法。
【請求項7】
前記未加硫のゴム積層体の上端に配置された端板に形成されたボルト穴に、前記ベントホールを設けた請求項6に記載のゴム支承の製造方法。
【請求項8】
前記ベントホールを設けた端板の裏面に、ベント溝を延設しておき、前記成形体を加硫する際に、このベント溝を通じてガスを移動させる請求項6または7に記載のゴム支承の製造方法。
【請求項9】
前記鋼板に貫通穴を設けておき、前記成形体を加硫する際に、この貫通穴を通じてガスを移動させる請求項6〜8のいずれかに記載のゴム支承の製造方法。
【請求項10】
前記ベントホールを設けたボルト穴にボルトを螺合させて、ボルト穴の空間部の体積を変えることにより、このボルト穴の中にオーバーフローさせる未加硫ゴムの量を調整する請求項6〜9のいずれかに記載のゴム支承の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−237385(P2012−237385A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106976(P2011−106976)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]