説明

サイクリン依存性キナーゼインヒビターとしての新規ピラゾロピリミジン

【課題】CDKに関連する疾患および障害の処置または予防または軽減において有用な化合物を提供すること。
【解決手段】本発明は、その多くの実施形態において、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしての新規クラスのピラゾール[1,5−α]ピリミジン化合物、または、その化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、およびこのような化合物を調製する方法、このような化合物を一種以上含有する薬学的組成物を調製する方法、およびこのような化合物または薬学的組成物を使用してCDKと関連する一種以上の疾患を処置するか、予防するか、阻害するか、または回復する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用なピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、この化合物を含有する薬学的組成物、ならびにこの化合物および組成物を使用して疾患(例えば、癌、炎症、関節炎、ウイルス性疾患、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心臓血管病、ならびに真菌性疾患)を処置するための処置方法に関する。本願は、2002年9月4日に出願された、米国仮特許出願番号60/408,029からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これらは、細胞周期および細胞増殖の背後にある駆動力である。個々のCDK(例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK7、CDK8など)は、細胞周期の進行において異なる役割を果たし、そしてG1期、S期、またはG2M期の酵素のいずれかとして分類され得る。制御されない増殖は、癌細胞の特徴であり、そしてCDK機能の誤調節は、多くの重要な固形腫瘍において、高い頻度で起こる。CDK2およびCDK4は、特に興味深い。なぜなら、これらの活性は、広範な種々のヒト癌において頻繁に誤調節されるからである。CDK2活性は、細胞周期のG1期を介してS期への進行のために必要とされ、そしてCDK2は、G1チェックポイントの主要な構成要素の1つである。チェックポイントは、細胞周期の事象の適切な連続を維持するように働き、そして細胞が傷害または増殖シグナルに応答することを可能にし、一方で、癌細胞における適切なチェックポイント制御の喪失は、腫瘍原性に寄与する。CDK2経路は、腫瘍抑制機能(例えば、p52、RB、およびp27)および癌遺伝子活性化(サイクリンE)のレベルで腫瘍原性に影響を与える。多くの報告は、CDK2の共アクチベーター(サイクリンE)とインヒビター(p27)との両方が、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、胃癌、前立腺癌、膀胱癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、および他の癌において、それぞれ過剰発現または過少発現のいずれかをされることを実証した。これらの変更された発現は、増加したCDK2活性レベルおよび乏しい全体の生存に相関することが示された。この観察は、CDK2およびその調節経路に、開発年間の目標を強要させ、有機低分子およびペプチドに競合する多数のアデノシン5’−三リン酸(ATP)が、文献において、潜在的な癌処置のためのCDKインヒビターとして報告されている。特許文献1の第1カラム、第23行〜第15カラム、第10行は、種々のCDKおよびそれらの種々の型の癌に対する関係の、良好な記載を与える。
【0003】
CDKインヒビターは、公知である。例えば、フラボピリドール(式I)は、現在ヒト臨床治験を受けている、非選択的CDKインヒビターである。非特許文献1。
【0004】
【化18】

他の公知のCDKインヒビターとしては、例えば、オロモウシン(olomoucine)(非特許文献2)およびロスコビチン(roscovitine)(非特許文献3)が挙げられる。特許文献2は、CDKインヒビターとしての特定のピラゾロ[3,4−b]ピリジン化合物を記載する。特許文献2からの例示的な化合物は、式IIを有する:
【0005】
【化19】

非特許文献4および特許文献3は、CDKインヒビターとして、特定のアミノチアゾール化合物を開示する。
ピラゾロピリミジンは、公知である。例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9(特許文献10、特許文献11および特許文献12と等価)、特許文献13、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7および非特許文献8は、種々のピラゾロピリミジンを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,413,974号明細書
【特許文献2】米国特許第6,107,305号明細書
【特許文献3】国際公開第02/10162号パンフレット
【特許文献4】国際公開第92/18504号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/50079号パンフレット
【特許文献6】国際公開第95/35298号パンフレット
【特許文献7】国際公開第02/40485号パンフレット
【特許文献8】欧州特許第94304104.6号明細書
【特許文献9】欧州特許第0628559号明細書
【特許文献10】米国特許第5,602,136号明細書
【特許文献11】米国特許第5,602,137号明細書
【特許文献12】米国特許第5,571,813号明細書
【特許文献13】米国特許第6,383,790号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A.M.Sanderowiczら、「J.Clin.Oncol.」、1998年、第16巻、p.2986−2999
【非特許文献2】J.Veseryら、「Eur.J.Biochem.」、1994年、第224巻、p.771−786
【非特許文献3】I.Meijerら、「Eur.J.Biochem.」、1997年、第243巻、p.527−536
【非特許文献4】K.S.Kimら、「J.Med.Chem.」、2002年、第45巻、p.3905−3927
【非特許文献5】「Chem.Pharm.Bull.」、1999年、第47巻、p.928
【非特許文献6】「J.Med.Chem.」、1997年、第20巻、p.296
【非特許文献7】「J.Med.Chem.」、1976年、第19巻、p.517
【非特許文献8】「Chem.Pharm.Bull.」、1962年、第10巻、p.620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CDKに関連する疾患および障害を処置するための、新たな化合物、処方物、処置および治療に対する必要性が存在する。従って、本発明の目的は、このような疾患および障害の処置または予防または軽減において有用な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
その多くの実施形態において、本発明は、サイクリン依存性キナーゼのインヒビターとしての新規なクラスのピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、このような化合物を調製する方法、1つ以上のこのような化合物を含有する薬学的組成物、1つ以上のこのような化合物を含有する薬学的処方物を調製する方法、およびこのような化合物または薬学的組成物を使用する、CDKに関連する1つ以上の疾患の処置、予防、阻害または軽減の方法を提供する。
1つの局面において、本願は、化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、この化合物は、式IIIに示される一般構造を有する:
【0010】
【化20】

ここで:
Rは、アリールであり、ここで、このアリールは、非置換であっても、1つ以上の部分で置換されていてもよく、この部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、CN、−OR、SR、−CHOR、−C(O)R、−SOH、−S(O)R、−S(O)NR、−NR、−C(O)NR、−CF、−OCFおよびヘテロシクリルからなる群より選択され;
は、R、アルキル、アルキニル、、アルキニルアルキル、シクロアルキル、−CF、−C(O)R、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、1〜6個のR基で置換されたアルキルからなる群より選択され、このR基は、同じであっても異なっていてもよく、そして各Rは、独立して、1〜3個のアリールで置換されたアリール、またはフェニル、ピリジル、チオフェニル、フラニルおよびチアゾロ基、
【0011】
【化21】

から独立して選択される、同じであっても異なっていてもよいヘテロアリール基より独立に選択され;
は、H、ハロゲン、−R、−C(O)OR、−C(O)NR、アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、
【0012】
【化22】

からなる群より選択され、ここで、Rについてのこれらのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキル、ならびに構造が上記Rについてすぐ上に示されているヘテロシクリルの部分の各々は、置換され得るか、または必要に応じて独立して、1つ以上の部分で置換され得、この部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−(CROR、−OR、−NR、−(CRNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より選択され;
は、H、ハロまたはアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、これらのアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルの各々は、非置換であっても、1つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、これらのアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルの各々は、非置換であっても、1つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各々の部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より選択されるか;
または必要に応じて、(i)部分−NR10におけるRおよびR10、または部分−NRにおけるRおよびRは、一緒に結合して、シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成し得、これらのシクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分の各々は、非置換であるか、または1つ以上のR基で必要に応じて独立して置換され得;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、これらのアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアリールアルキルの各々は、非置換であっても、必要に応じて1つ以上の部分で独立して置換されていてもよく、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
は、R、−C(O)NR10、−S(O)NR10、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群より選択され;
は、ハロゲン、−CN、−NR10、−C(O)R、−C(O)NR10、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
mは、0〜4であり、そして
nは、1〜4であり、
ただし、以下:(i)Rが非置換フェニルである場合、Rは、アルキル、−C(O)R、アリール、またはシクロアルキルではなく、そして(ii)Rがヒドロキシ基で置換されたフェニルである場合、Rは、ハロゲンであるのみである。
【0013】
式IIIの化合物は、プロテインキナーゼインヒビターとして有用であり得、そして増殖疾患(例えば、癌、炎症、および関節炎)の処置および予防において有用であり得る。これらはまた、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、心臓血管疾患、ウイルス性疾患および真菌性疾患の処置において有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、構造式IIIによって表されるピラゾロ[1,5−a]ピリミジン化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を開示し、ここで、種々の部分は、上に定義されたとおりである。
【0015】
別の実施形態において、Rは、非置換アリールまたは1つ以上の部分で置換されたアリールであり、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、ハロゲン、CN、−OR、−S(O)NR、−SOH、−CHOR、−S(O)R、−C(O)NR、−CF、−OCF、およびヘテロシクリルからなる群より選択される。
【0016】
別の実施形態において、Rは、ハロゲン、CF、CN、低級アルキル、シクロアルキルである。
【0017】
別の実施形態において、Rは、H、非置換アリール;非置換ヘテロアリール;ハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、低級アルキル、およびシクロアルキルからなる群より選択される1つ以上の部分で置換されたアリール;ハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、アルキル、およびシクロアルキルからなる群より選択される1つ以上の部分で置換されたヘテロアリール;ならびにヘテロシクリルである。
【0018】
別の実施形態において、Rは、Hまたは低級アルキルである。
【0019】
別の実施形態において、Rは、Hまたは低級アルキルである。
【0020】
別の実施形態において、nは、1または2である。
【0021】
さらなる実施形態において、Rは、非置換フェニルである。
【0022】
さらなる実施形態において、Rは、F、Cl、Br、CN、−SOH、−S(O)NR、−S(O)CH、−OH、CF、およびモルホリニルからなる群より選択される1つ以上の部分で置換されたフェニルである。
【0023】
さらなる実施形態において、Rは、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルである。
【0024】
さらなる実施形態において、Rは、H、アリール(このアリールは、非置換であり得るか、もしくは必要に応じて1つ以上の部分で置換され得、これらの部分は、同じであっても異なっていてもよく、各部分は、独立して、F、Cl、Br、CF、低級アルキル、メトキシ、およびCNからなる群より選択される)、アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、または少なくとも1つのヒドロキシアルキルで置換されたヘテロシクリルである。
【0025】
さらなる実施形態において、Rは、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、
【0026】
【化23】

または
【0027】
【化24】

である。
【0028】
さらなる実施形態において、Rは、
【0029】
【化25】

である。
【0030】
さらなる実施形態において、Rは、Hである。
【0031】
さらなる実施形態において、Rは、Hである。
【0032】
本発明の化合物の群は、表1に示される。
【0033】
(表1)
【0034】
【化26】

【0035】
【化27】

【0036】
【化28】

【0037】
【化29】

【0038】
【化30】

【0039】
【化31】

上記および本開示を通して使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
「患者」は、ヒトと動物との両方を包含する。
【0040】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0041】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であり得、そして約1〜約20個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、約1〜約12個の炭素原子を、鎖中に含む。より好ましいアルキル基は、約1〜約6個の炭素原子を鎖中に含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、約1〜約6個の炭素原子を鎖中に有する、直鎖であっても分枝鎖であってもよい基を意味する。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0042】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして約2〜約15個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、約2〜約12個の炭素原子を、鎖中に含む;そしてより好ましくは、約2〜約4個の炭素原子を、鎖中に含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0043】
「アリール」とは、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6〜約10個の炭素原子を含む、芳香族単環式環系または多環式環系を意味する。アリール基は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして本明細書中に定義されるとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0044】
「ヘテロアリール」とは、約5〜約14個の環原子、好ましくは、約5〜約10個の環原子を含み、ここで、これらの環原子のうちの1つ以上が、単独でかまたは組み合わせで、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である、芳香族単環式環系または多環式環系を意味する。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして本明細書中に定義されるとおりである。ヘテロアリールの根名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0045】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリールおよびアルキルが先に記載されたとおりである、アリール−アルキル基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。
【0046】
「アルキルアリール」とは、アルキルおよびアリールが先に記載されたとおりである、アルキル−アリール基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキルを含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介する。
【0047】
「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換され得、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上に定義されるとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0048】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましくは、フッ素、塩素および臭素であり、より好ましくは、フッ素および塩素である。
【0049】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族の環系に結合する置換基を意味し、これらは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、そして独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。
【0050】
「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、非芳香族の飽和単環式環系または飽和多環式環系を意味し、ここで、この環系中の1つ以上の原子が、単独でかまたは組み合わせて、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。この環系中には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの根名の前の接頭語である、アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環中のあらゆる−NHは、例えば、−N(Boc)基、−N(CBz)基、−N(Tos)基などのように保護されて存在し得;このような保護された部分はまた、本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよく、本明細書中で定義された通りの1つ以上の「環系置換基」で置換され得る。このヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドへと酸化され得る。適切な単環式へテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルなどが挙げられる。
【0051】
本発明のヘテロ原子含有環系において、N、OまたはSに隣接する炭素原子上にはヒドロキシル基は存在せず、ならびに、別のヘテロ原子に隣接する炭素原子上にはN基もS基も存在しないことに注意すべきである。従って、例えば、環
【0052】
【化32】

において、2および5の印のついた炭素に直接結合する−OHは存在しない。
【0053】
「アルキニルアルキル」は、アルキニルおよびアルキルが、先に定義された通りである、アルキニル−アルキル基を意味する。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含む。親部分への結合は、アルキルを介してである。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0054】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、上記の通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介してである。
【0055】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは、上記の通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0056】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0057】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0058】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0059】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介してである。
【0060】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル基が、先に定義された通りである、アラルキル−O−基を意味する。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0061】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0062】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0063】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0064】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0065】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0066】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0067】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0068】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0069】
用語「置換される」は、指定された元素上の1つ以上の水素が、指示された基から選択されたもので置き換えられていることを意味するが、既存の状況下での指定された原子の通常の原子価は超えず、置換により安定な化合物を生じる。置換基および/または可変基の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離、および、有効な治療剤への処方に耐える程度に十分頑強である化合物を意味する。
【0070】
用語「必要に応じて置換された」は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0071】
本明細書中の文、スキーム、実施例および表において、不飽和価を有するあらゆるヘテロ原子が、その原子価を満たすように水素原子を有するものとみなされることがまた、注意されるべきである。
【0072】
化合物中の官能基が「保護される」と称される場合、これは、この基が、修飾された形態にあって、化合物が反応に供される場合に、保護された部位において所望でない副反応を防止することを意味する。適切な保護基は、当業者によって、ならびに、例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkのような標準的な教科書を参照して認識される。
【0073】
任意の可変基(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の構成または式III中に1回以上生じる場合、各存在におけるその定義は、他の存在毎にその定義が独立している。
【0074】
本明細書中で使用する場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組成物から直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0075】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、被験体に投与される際に代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を経て、式IIIの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)Volume 14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは共に、参考として本明細書中で援用される。
【0076】
「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。特定の例において、この溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に取り込まれる場合に、単離され得る。「溶媒和物」は、固相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール和物(ethanolate)、メタノール和物(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0077】
「有効量」または「治療的有効量」は、CDKを阻害し、従って、所望の治療効果、緩和効果、阻害効果または予防効果を生じるのに有効な、本発明の化合物もしくは組成物の量を意味する。
【0078】
式IIIの化合物は、これもまた本発明の範囲内にある塩を形成し得る。本明細書中の式IIIの化合物に対する言及は、他に示さない限り、その塩に対する言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用する場合、無機酸および/または有機酸を用いて形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成された塩基性塩を示す。さらに、式IIIの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるが、これらに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「内部の塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する場合の用語「塩」の範囲に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式IIIの化合物の塩は、例えば、媒体中(例えば、塩が沈殿する媒体中、または後に凍結乾燥される水性媒体中)で、式IIIの化合物をある量(例えば、等量)の酸または塩基と反応させることによって形成され得る。
【0079】
例示的な酸付加塩としては、以下が挙げられる:アセテート、アスコルベート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ボレエート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファスルホネート、フマレート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、ナフタレンスルホネート、ニトレート、オキサレート、ホスフェート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)など。加えて、塩基性の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適切であると一般にみなされる酸は、例えば、以下によって考察される:S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(ウェブサイト上))。これらの開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0080】
例示的な塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、およびヨウ化ブチル)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、およびジブチルスルフェート)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、およびヨウ化ステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤を用いて四級化され得る。
【0081】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内である薬学的に受容可能な塩であることが意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0082】
式IIIの化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本発明の一部として本明細書中で企図される。
【0083】
本発明の化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るもの(エナンチオマー形態(これは、不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含む))は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)として、本発明の範囲内であると企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、または例えば、ラセミ化合物として混合され得るか、あるいは他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と、混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるような、S配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに対して等しく適用されることが意図される。
【0084】
本発明に従う化合物は、薬学的特質を有し;特に、式IIIの化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)(例えば、CDC2(CDK1)、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7およびCDK8)のような、プロテインキナーゼのインヒビターであり得る。式IIIの新規化合物は、癌のような増殖性疾患、自己免疫疾患、ウィルス性疾患、真菌性疾患、神経/神経変性の障害、関節炎、炎症、抗増殖性疾患(例えば、眼性網膜症)、ニューロン性疾患、脱毛症疾患ならびに心臓血管性疾患の治療において有効であることが予期される。これら疾患および障害の多くは、前出の米国特許第6,413,974号に列挙され、この開示は、本明細書中に援用される。
【0085】
より具体的には、式IIIの化合物は、以下:膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、小細胞肺癌を含む肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、すい臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、および扁平上皮細胞癌を含む皮膚癌、を含む癌腫:
白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽性白血病、B細胞性リンパ腫、T細胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系統の造血性腫瘍;
急性および慢性の骨髄性白血病、骨髄異型性症候群、ならびに前骨髄球性白血病を含む、骨髄系統の造血性腫瘍;
繊維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間充織起源の腫瘍;
星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫および神経鞘腫を含む中枢神経系ならびに末梢神経系の腫瘍;そして
黒色腫、精上皮腫、奇形腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞腺癌、およびカポジ肉腫を含む他の腫瘍を含む(しかし、これらにこれらに限定されない)、種々の癌の処置において有効なものであり得る。
【0086】
一般に細胞増殖の調節におけるCDKの重要な役割に起因して、インヒビターは、可逆的な細胞増殖抑制剤として作用し得、これは、異常な細胞増殖(例えば、良性前立腺増殖、家族性腫瘍症ポリポーシス)、神経繊維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成または血管手術直後の再狭窄、肥大性瘢痕形成、炎症性腸疾患、移植拒絶反応、内毒素性ショック、および真菌感染症を特徴とする任意の疾患経過の処置において有効であり得る。
【0087】
式IIIの化合物はまた、CDK5が、τタンパク質のリン酸化に関係しているという近年の発見により示されるように、アルツハイマー病の処置において有効であり得る(J.Biochem,(1995)117,741−749)。
【0088】
式IIIの化合物は、アポトーシスを誘導、または阻害し得る。アポトーシス反応は、種々のヒト疾患において、異常なものであり得る。アポトーシスの調節因子としての式IIIの化合物は、癌(本明細書中上述の型を含むが、これらに限定されない)、ウィルス感染(ヘルペスウィルス(herpevirus)、ポックスウィルス、Epstein−Barrウィルス、シンドビスウィルス、およびアデノウィルスを含むが、これらに限定されない)、HIV感染患者におけるAIDS発症の予防、自己免疫疾患(全身性の瘢痕、エリテマトーデス、自己免疫媒介性糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患および自己免疫性糖尿病メリティスを含むが、これらに限定されない)、神経変性障害(アルツハイマー病、AIDS関連性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症および小脳変性症を含むが、これらに限定されない)、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞に関連する虚血性障害、脳卒中損傷および再潅流損傷、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発性肝臓疾患またはアルコール関連性肝臓疾患、血液病(慢性的貧血および形成性貧血(aplastic anemia)を含むが、これらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗しょう症および関節炎を含むが、これらに限定されない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患ならびに,癌性疼痛、の処置に有効である。
【0089】
CDKのインヒビターとしての、式IIIの化合物は、細胞のRNA合成およびDNA合成のレベルを調節し得る。これらの因子は、そのため、ウィルス感染(HIV、ヒトパピローマウィルス、ヘルペスウィルス、ポックスウィルス、Epstein−Barrウィルス、シンドビスウィルス、およびアデノウィルスを含むが、これらに限定されない)の処置において、有用である。
【0090】
式IIIの化合物は、癌の予防的化学療法にまた、有用なものであり得る。予防的化学療法は、変異促進性事象の開始を阻止することによるか、または既に傷害を被ったか、前悪性細胞の進行を阻止するか、もしくは腫瘍再発を阻害するかのいずれかにより、侵襲性癌の発生を阻害するものとして定義される。
【0091】
式IIIの化合物はまた、腫瘍の血管新生および転移を阻害するのに有用なものであり得る。
【0092】
式IIIの化合物はまた、例えば、プロテインキナーゼC、her2、raf 1、MEK1、MAPキナーゼ、EGFレセプター、PDGFレセプター、IGFレセプター、PI3キナーゼ、wee1キナーゼ、Src、AbIのような、他のプロテインキナーゼのインヒビターとして作用し得、そのため、他のプロテインキナーゼに関連する疾患の処置に有効であり得る。
【0093】
本発明の別の局面は、哺乳動物に少なくとも一つの治療有効量の式IIIの化合物か、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、もしくは、溶媒和物を投与することにより、CDKに関連する疾患または、状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置する方法である。
【0094】
好ましい投薬量は、式IIIの化合物の約0.001〜500mg/体重kg/日である。特に好ましい投薬量は、式IIIの化合物またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、もしくは溶媒和物の約0.01〜25mg/体重kg/日である。
【0095】
本発明の化合物はまた、一以上の放射線療法のような抗癌処置との、および/または、細胞分裂抑制剤、細胞毒性剤(例えば、DNA相互作用剤(例えば、シスプラチンまたはドキソルビシン)であるが、これらに限定されない);タキサン(例えば、タキソテール、タキソール);トポイソメラーゼIIインヒビター(例えば、エトポシド);トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、イリノテカン(すなわち、CPT−11)、カンプトスター(camptostar)、もしくはトポテカン);チューブリン相互作用剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセルもしくはエポシロン);ホルモン剤(例えば、タモキシフェン);チミジル酸シンセターゼインヒビター(例えば、5−フルオロウラシル);代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート(methoxtrexate));アルキル化剤(例えば、テモゾロミド(Schering−Plough Corporation,Kenilworth,New Jersey製のTEMODARTM)、シクロフォスファミド);ファネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター(例えば、SARASARTM(4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、もしくはSchering−Plough Corporation,Kenilworth,New Jersey製のSCH66336)、チピファルニブ(tipifarnib)(Janssen Pharmaceuticals製のZarnestra(登録商標)もしくはR115777)、L778,123(Merck&Company,Whitehouse Station,New Jersey製のファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター)、BMS214662(Bristol−Myers Squibb Pharmaceuticals,Princeton,New Jersey製のファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター);シグナル伝達インヒビター(例えば、Iressa(Astra Zeneca Pharmaceuticals,England製)、Tarceva(EGFRキナーゼインヒビター)、EGFRに対する抗体(例えば、C225)、GLEEVECTM(Novartis Pharmaceuticals,East Hanover,New Jersey製のC−ablキナーゼインヒビター);例えば、イントロン(Schering−Plough Corporation製)、Peg−イントロン(Schering−Plough Corporation製)のようなインターフェロン;ホルモン療法の併用;アロマターゼの併用;ara−C、アドリアマイシン、シトキサン、およびゲムシタビンよりなる群から選択される、一以上の抗癌剤との併用(同時に投与されるか、または連続的に投与される)において、有用であり得る。
【0096】
他の抗癌(また抗新生物として知られる)剤は、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン(Triethylenethiophosphoramine)、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンリン酸塩、オキサリプラチン、ロイコビリン、オキサリプラチン(Sanofi−Synthelabo Pharmaeuticals,フランス製のELOXATINTM)、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ネイベルベン(Navelbene)、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン(Reloxafine)、ドロキサフィン(Droloxafine)、またはヘキサメチルメラミンを含むが、これらに限定されない。
【0097】
一定用量として処方された場合、このような併用製品は、本明細書中に記載される投薬量範囲内において、本発明の化合物を使用し、およびその投薬量範囲内において、他の薬学的活性因子または処置を使用する。例えば、CDC2インヒビターであるオロムチンは、アポトーシス誘導において公知の細胞毒性剤と共に相乗的に作用することが見出された(J.Cell Sci.(1995)108,2897)。式IIIの化合物はまた、併用処方物が、不適切である場合、公知の抗癌剤または細胞毒性剤と共に連続的に投与され得る。本発明は、投与の順序に制限されない;式IIIの化合物は、公知の抗癌剤または細胞毒性剤の投与前もしくは投与後のいずれかで、投与され得る。例えば、サイクリン依存性キナーゼインヒビターであるフラボピリドールの細胞毒性活性は、抗癌剤を用いた投与の順序により、影響される(Cancer Research,(1997)57,3375)。このような技術は、当業者および主治医の技術の範囲内のものである。
【0098】
従って、一つの局面において、本発明は、一定量の少なくとも一つの式IIIの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の、ならびに一定量の一以上の抗癌処置および上に列挙された抗癌剤を含む、併用を含み、ここで化合物/処置の量は、望ましい治療効果を生じる。
【0099】
本発明化合物の薬理学的特性は、多数の薬理学的アッセイにより確立され得る。後に記載される、例示された薬理学的アッセイは、本発明に従う化合物およびその塩を用いて実施された。
【0100】
本発明はまた、式IIIの少なくとも一つの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学組成物に関する。
【0101】
本発明により記載される化合物に由来する薬学組成物を調製するために、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固形調製物は、散剤、錠剤、拡散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤を含む。散剤および錠剤は、約5%〜約95%の活性成分から成り得る。適切な固形キャリアは、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、またはラクトースのように、当該分野において公知である。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適切な固形の投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および種々の組成物についての製造方法は、A.Gennaro(編集)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990)、Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvaniaに、見出され得る。
【0102】
液状調製物は、溶液、懸濁液、および乳濁液を含む。例としては、非経口的な注射もしくは、経口用溶液のための甘味料および乳白剤の添加のための記載した水溶液、または水−プロピレングリコール溶液、懸濁液、ならびに乳濁液であり得る。液状調製物はまた、経鼻投与のための溶液を含み得る。
【0103】
吸入に適切なエアロゾル調製物は、溶液および粉末形状の固体を含み得、これは、不活性の圧縮ガス(例えば、窒素)のような、薬学的に受容可能なキャリアとの併用におけるものであり得る。
【0104】
また含まれるものとしては、使用の直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのために、液状調製物へと変えられることが意図される固形調製物である。このような液体形状は、溶液、懸濁液、および乳濁液を含む。
【0105】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能なものであり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/または乳濁液の形状を取り得、そして、この目的のために当該分野において、従来のものであるような、マトリックス型または、レザバ型の経皮パッチに含められ得る。
【0106】
本発明化合物はまた、皮下に送達され得る。
【0107】
好ましくはこの化合物は、経口的投与される。
【0108】
好ましくは、この薬学的調製物は、単位投薬形態におけるものである。このような形態においては、調製物は、活性成分の適切な量、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含む、適切な大きさの単位用量へと細分化される。
【0109】
調製物の単位用量における活性化合物の量は、特定用途に従って、変化し得るか、または約1mg〜約100mg、好ましくは約1mg〜約50mg、より好ましくは約1mg〜約25mgであり得る。
【0110】
使用される実際の投薬量は、患者の必要、および処置される状態の重篤度に従って変化され得る。特定の状況のための適切な投薬量レジメンの決定は、当業者の技術の範囲内のものである。便宜のため、一日の全用量は、分割され得、そして必要に応じてその日の間に、分けて投与され得る。
【0111】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与量ならびに投与回数は、患者の年齢、状態、および大きさ、ならびに処置される症状の重篤度のような要因を考慮して主治医の判断に従って調節される。経口投与についての代表的な推奨される一日の投薬レジメンは、2回〜4回に分割された用量において、約1mg/日〜約500mg/日、好ましくは1mg/日〜200mg/日の範囲であり得る。
【0112】
本発明の別の局面は、治療有効量の少なくとも一つの式IIIの化合物または、この化合物の薬学的に受容可能な塩、もしくは溶媒和物の、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤を含むキットである。
【0113】
本発明のさらに別の局面は、一定量の少なくとも一つの式IIIの化合物または、この化合物の薬学的に受容可能な塩、もしくは溶媒和物の、ならびに一定量の抗癌治療および/または上記の抗癌剤の少なくとも一つを含むキットであり、ここで二以上の成分の量は、所望される治療効果を生じる。
【0114】
本明細書中に開示される発明は、以下の調製物および実施例(開示の範囲に限定されると解釈されるべきではない)により例証される。代替的な機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかなものである。
【0115】
NMRデータが示された場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz,H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかで得られ、プロトンの数を伴うMeSiに由来するppm下降フィールド(down field)、多重性、括弧内に示されたHertzにおける結合定数として、報告された。LC/MSデータが示された場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラム:Altech白金C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配フロー(gradient flow):0分−10%CHCN、5分−95%CHCN、7分−95%CHCN、7.5分−10%CHCN、9分−停止、を使用することにより実施された。保持時間および観測された親イオンを示す。
【0116】
以下の溶媒および試薬は、括弧内のその略語として、称され得る。
【0117】
薄層クロマトグラフィー:TLC
ジクロロメタン:CHCl
酢酸エチル:AcOEtまたはEtOAc
メタノ−ル:MeOH
トリフルオロ酢酸:TFA
トリエチルアミン:EtNまたはTEA
ブトキシカルボニル:n−BocまたはBoc
核磁気共鳴分光学:NMR
液体クロマトグラフィー質量分析:LCMS
高分解能質量分析:HRMS
ミリリットル:mL
ミリモル:mmol
マイクロリットル:μl
グラム:g
ミリグラム:mg
室温またはrt(周囲):約25℃
【実施例】
【0118】
(実施例)
一般的に、本発明に記載される化合物は、下記の一般経路により調製され得る。t−ブトキシドカリウムおよびギ酸エチルを用いた開始ニトリルの処理(スキーム1)は、中間体エノール2を生じ、これはヒドラジンを用いた処理において、望ましく置換された3−アミノピラゾールを生じる。適切に官能化された5型ケトエステルを用いた3型化合物の縮合は、スキーム3に示すようなピリドン6を生じる。この一般的な経路において使用されるケトエステルは、市販されたものであっても、スキーム2に例示されるように作製されたものであってもよい。
【0119】
(スキーム1)
【0120】
【化33】

(スキーム2)
【0121】
【化34】

9型塩化物は、POClを用いたピリドン8の処理により調製され得る。RがHと同じである場合、この位置における置換は、求電性のハロゲン化、アシル化、および種々の他の求電性の芳香族置換により、9型化合物上で可能である。
【0122】
N7−アミノ官能性の取り込みは、スキーム3に示すように適切なアミンを用いた反応による、9型化合物の塩化物の置換により達成され得る。
【0123】
(スキーム3)
【0124】
【化35】

6型複合体においてRがOEtである場合、12型二塩化物は、スキーム4に概説されるように、容易に調製され得る。7塩化物の選択的な置換は、13型の化合物を生じ、これは、14型生成物へと容易に変換され得る。
【0125】
(スキーム4)
【0126】
【化36】

スキーム5に示すような15型化合物においては、スルホン酸の塩素化により16を生じ、続いて直接的なアミン置換により、17型化合物を生じる。
【0127】
(スキーム5)
【0128】
【化37】

(調製実施例1)
【0129】
【化38】

独国特許DE19834047A1,p19の手順に、従った。無水THF(40mL)中のKOtBu(6.17g、0.055mol)溶液に、無水THF(4mL)中のシクロプロピルアセトニトリル(2.0g、0.025mol)および、ギ酸エチル(4.07g、0.055mol)の溶液を、添加(液滴(dropwise))した。沈殿物がすぐに形成した。この混合物を12時間撹拌する。減圧下で濃縮し、EtO(50mL)を用いて、残渣を撹拌する。得られた残留EtO(2×50mL)をデカントし、および洗浄し、そして減圧下で、残渣からEtOを除去する。冷水(20mL)に残渣を溶解し、12N HClを用いてpH4〜5に調節する。この混合物をCHCl(2×50mL)を用いて抽出する。有機層を混合し、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で濃縮して黄褐色の液体としてアルデヒドを生じる。
【0130】
(工程B:)
【0131】
【化39】

調製実施例1、工程A由来の生成物(2.12g、0.0195mol)、NHNH・HO(1.95g、0.039mol)および氷CHCOH(1.8g、0.029mol)の1.8g(0.029mol)を、EtOH(10mL)に溶解させた。これを6時間還流させ、そして真空下で、濃縮させた。この残渣を、CHCl(150mL)にスラリーし、そしてpHを、1N NaOHを用いて9に調整した。有機層を、ブラインを用いて洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして、減圧下で濃縮して、ろう状の橙色固体としての生成物を生じる。
【0132】
(調製実施例2〜3)
表2のカラム2に示すニトリルを置き換える以外は、調製実施例1に示したものと本質的に同一の手順により、表2のカラム3の化合物を、調製した。
【0133】
(表2)
【0134】
【化40−1】

【0135】
【化40−2】

(調製実施例4)
【0136】
【化41】

反応は、(K.O.Olsen,J.Org.Chem.,(1987)52,4531−4536)に概説されるように行った。そのため、−65℃〜−70℃でTHF中のリチウムジイソプロピルアミドの撹拌溶液に、新たに蒸留した酢酸エチルを加えた(液滴)。得られた溶液を、30分間撹拌し、そして酸塩化物を、THF溶液として加えられた。反応混合物を、30分間、−65℃〜−70℃にて撹拌し、次いで1N HCl溶液の添加により、処理を終了させた。得られた二相の混合物は、周囲温度まで温めさせた。得られた混合物を、EtOAc(100mL)を用いて希釈し、有機層を、回収した。水層を、EtOAc(100mL)を用いて抽出した。有機層を、混合し、ブラインを用いて洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして減圧下で濃縮して粗製β−ケトエステルを生じた。これは、続く濃縮において、使用した。
【0137】
(調製実施例5〜10)
表3のカラム2に示す酸塩化物を置き換える以外は、調製実施例4に示したものと本質的に同一の手順により、表3のカラム3に示すβ−ケトエステル調製した:
(表3)
【0138】
【化42−1】

【0139】
【化42−2】

(調製実施例11)
【0140】
【化43】

THF中の酸溶液に、EtNを加え、続いて−20℃〜−30℃で、イソブチルクロロホルメートを加えた。混合物を、−20〜−30℃にて、30分間撹拌した後、トリエチルアミンヒドロクロリドを、アルゴン下で濾過し、そして、濾液を、−65℃〜−70℃にてLDA−EtOAc反応混合物(方法Aに概説されるように調製した)に加えた。1N HClの添加後、続く反応混合物の慣用的な精密検査、および溶媒の蒸発後、粗製β−ケトエステルを、単離した。この粗製物質を、続く濃縮において、使用した。
【0141】
(調製実施例12〜13.12)
表4のカラム2に示す酸塩化物を置き換える以外は、調製実施例11に示したものと本質的に同一の手順により、表4のカラム3に示す化合物を調製した:
(表4)
【0142】
【化44】

(調製実施例14)
【0143】
【化45】

3−アミノピラゾール(2.0g、24.07mmol)およびエチルベンゾイルアセテート(4.58mL、1.1当量)の酢酸溶液(15mL)を、3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷やして、減圧下で濃縮した。得られる固体をEtOAcで希釈して濾過して、白色固体(2.04g、40%収率)を得た。
【0144】
(調製実施例15〜32.15)
表5のカラム2に示されるアミノピラゾールおよび表5のカラム3に示されるエステルを置換するだけで、本質的には、調製実施例14に記載した同一の手順によって、表5のカラム4に示される化合物を調製した。
【0145】
(表5)
【0146】
【化46】

【0147】
【化47】

【0148】
【化48】

【0149】
【化49】

(調製実施例33)
【0150】
【化50】

酢酸(5.0mL)および水(10mL)中のエチルベンゾイルアセテート(1.76mL、1.1当量)および3−アミノ−4−シアノピラゾール(1.0g、9.25mmol)を、72時間加熱還流した。得られる溶液を室温まで冷やして、減圧下で濃縮して、酢酸エチルで希釈した。得られる沈殿物を濾過して、酢酸エチルで洗浄して減圧下で乾燥した(0.47g、21%収率)。
【0151】
(調製実施例33.10):
【0152】
【化51】

米国特許第3,907,799号の手順に従った。ナトリウム(2.3g、2当量)を、エタノール(150mL)に少しずつ加えた。ナトリウムが完全に溶解したとき、3−アミノピラゾール(4.2g、0.05mol)およびジエチルマロネート(8.7g、1.1当量)を加えて、得られる溶液を3時間加熱還流した。得られる懸濁液を室温まで冷やして、濾過した。このフィルタケーキをエタノール(100mL)で洗浄して、水(250mL)に溶解した。得られる溶液を、氷浴中で冷まして、濃HClを用いてpH1〜2に調整した。得られる懸濁液を濾過して、水(100mL)で洗浄して、減圧下で乾燥して、白色固体(4.75g、63%収率)を得た。
【0153】
(調製実施例33.11〜33.12):
表5.1のカラム2に示される化合物を置き換える以外は、調製実施例33.10に示したものと本質的に同一の手順により、表5.1のカラム3に示される化合物を調製する。
【0154】
(表5.1)
【0155】
【化52】

(調製実施例34)
【0156】
【化53】

調製実施例14で調製される化合物(1.0g、4.73mmol)のPOCl(5mL)およびピリジン(0.25mL)溶液を室温にて3日間攪拌した。得られるスラリーをEtOで希釈して、濾過して、そしてこの固体残渣をEtOで洗浄した。合わせたEtO洗浄物を0℃まで冷却し、氷で処理した。活発な反応が停止すると、生じた混合物をHOで希釈し、分離し、水相をEtOで抽出した。合わせた有機物を水および飽和NaClで洗浄して、NaSOで乾燥して、濾過して、濃縮して、淡黄色固体(0.86g、79%収率)を得た。LCMS:MH=230。
【0157】
(調製実施例35〜53.14)
表6のカラム2に示される化合物を置き換える以外は、調製実施例34に示したものと本質的に同一の手順により、表6のカラム3に示される化合物を調製した。
【0158】
(表6)
【0159】
【化54】

【0160】
【化55】

【0161】
【化56】

(調製実施例53.15)
【0162】
【化57】

POCl(62mL)を、窒素下5℃まで冷まして、ジメチルアニリン(11.4g、2.8当量)および調製実施例33.10で調製される化合物(4.75g、0.032mol)を加えた。この反応混合物を60℃まで温めて、一晩攪拌した。反応混合物を30℃まで冷まして、POClを減圧下で最後まで蒸留した。この残渣をCHCl(300mL)に希釈して氷に注いだ。15分攪拌した後、混合物のpHを、固体NaHCOを用いて7〜8に調整した。相を分離して、有機相を水(3×200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥して、濾過して濃縮した。ジメチルアニリンを溶出するための溶出剤として50:50 CHCl:ヘキサン溶液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製した。次いで、溶出剤を75:25 CHCl:ヘキサンに変えて、所望の生成物(4.58g、77%収率)を溶出した。MS:MH=188。
【0163】
(調製実施例53.16〜53.17)
表6.10のカラム2に示される化合物を置き換える以外は、調製実施例53.15に示したものと本質的に同一の手順により、表6.10のカラム3に示される化合物を調製する。
【0164】
(表6.10)
【0165】
【化58】

(調製実施例54)
【0166】
【化59】

調製実施例34(0.10g、g、0.435mmol)で調製される化合物のCHCN(3mL)溶液を、NBS(0.085g、1.1当量)で処理した。この反応混合物を室温で1時間攪拌して、減圧下で濃縮した。この粗生成物を、20%EtOAcのヘキサン溶液を溶出液として使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(0.13g、100%収率)。LCMS:MH=308。
【0167】
(調製実施例55〜67.15)
表7のカラム2に示される化合物を置き換える以外は、調製実施例54に示したものと本質的に同一の手順により、表7のカラム3に示される化合物を調製した。
【0168】
(表7)
【0169】
【化60】

【0170】
【化61】

【0171】
【化62】

(調製実施例68):
【0172】
【化63】

調製実施例35(0.3g、1.2mmol)で調製した化合物のCHCN(15mL)溶液を、NCS(0.18g、1.1当量)で処理して、得られる溶液を4時間加熱還流した。さらにNCS(0.032g、0.2当量)を添加して生じる溶液を一晩還流にて攪拌した。この反応混合物を室温まで冷まして、減圧下で濃縮して、この残渣を、20%EtOAcのヘキサン溶液を溶出液として使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(0.28g、83%収率)。LCMS:MH=282。
【0173】
(調製実施例69):
表8のカラム2に示される化合物を置き換える以外は、調製実施例68に示したものと本質的に同一の手順により、表7のカラム3に示される化合物を調製した。
【0174】
(表8)
【0175】
【化64】

(実施例1):
【0176】
【化65】

調製実施例56由来の生成物(0.12g、0.35mmol)および4−メチルスルホニルアニリン塩酸塩(0.065g、0.9当量)およびiPrNEt(1.0mL)を48時間100℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷まして、5%(メタノール中10%のNHOH)のCHCl溶液を溶出液として使用する分取薄層クロマトグラフィーによって精製した(0.033g、23%収率)。LCMS:MH=477。mp=180〜182℃。
【0177】
(実施例2〜21.15)
表9のカラム2に示される化合物および表9のカラム3に示されるアミンを置き換える以外は、実施例1に示したものと本質的に同一の手順により、表9のカラム4に示される化合物を調製した:
(表9)
【0178】
【化66】

【0179】
【化67】

【0180】
【化68】

【0181】
【化69】

【0182】
【化70】

【0183】
【化71】

選択実施例について、さらなるデータを以下に示す:
【0184】
【化72】

(実施例22)
【0185】
【化73】

スルファニル酸(3.10g、17.9mmol)およびNaH(60%の鉱物油、1.43g、35.8mmol)の混合物に、窒素下無水DMF(80mL)を加え、この混合物を25℃にて2時間攪拌して、次いで、調製実施例54由来の生成物(5.00g、16.2mmol)を加えた。この混合物を25℃にて24時間攪拌して、次いで、溶媒をエバポレートして、この残渣を、EtOAc:メタノール(4:1)を溶出液として使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色固体(2.32g、32%収率)を得た。LCMS:MH=447。mp>250℃。
【0186】
(実施例23〜26)
表10のカラム2に示される化合物および表10のカラム3に示されるアミンを置き換える以外は、実施例22に示したものと本質的に同一の手順により、表10のカラム4に示される化合物を調製した:
(表10)
【0187】
【化74】

【0188】
【化75】

(実施例27)
【0189】
【化76】

無水1,2−ジクロロエタン中の実施例22由来の生成物(44mg、0.10mmol)およびPCl(21mg、0.10mmol)を、窒素下2.5時間攪拌還流した。この混合物を25℃まで冷まして、プロピルアミン(0.20mL、2.4mmol)を加えて、この混合物を25℃にて2時間攪拌した。次いで、溶媒をエバポレートして、この残渣を、CHCL:EtOAc(20:1)を溶出液として使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色固体(26mg、54%収率)を得た。LCMS:MH=486。mp=201〜203℃。
【0190】
(実施例28〜67)
表11のカラム2に示される化合物および表11のカラム3に示されるアミンを置き換える以外は、実施例27に示したものと本質的に同一の手順によって、表11のカラム4に示される化合物を調製した:
(表11)
【0191】
【化77】

【0192】
【化78】

【0193】
【化79】

【0194】
【化80】

【0195】
【化81】

【0196】
【化82】

【0197】
【化83】

【0198】
【化84】

(実施例68)
【0199】
【化85】

調製実施例33由来の生成物(200mg、0.34mmol)の無水CHCl溶液に、0℃にてトリフルオロ酢酸(2.0mL)を加えた。この混合物を0℃にて5分攪拌して、次いで25℃にて90分間攪拌して、次いでこれを、固体NaCO(10.0g)に注いだ。水(150mL)を加えて、この混合物を、CHCl(3×25mL)で抽出した。抽出物を、NaSOで乾燥して、濾過して、溶媒をエバポレートした。この残渣をCHCl:メタノール:濃NHOH(10:1:0.1)を溶出液として使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色固体(100mg、60%収率)を得た。LCMS:M=487。mp=110〜112℃。
【0200】
(実施例69)
【0201】
【化86】

実施例21.14で調製される化合物(0.10g、0.25mmol)およびピロリノール(0.12mL、5当量)およびiPrNEt(0.22mL、5当量)の溶液を24時間加熱還流した(収率:0.09g、80%)。MS:MH=466。mp=177〜180℃。
【0202】
(実施例70〜78)
表12のカラム2に示されるアミンを置き換える以外は、実施例69に示したものと本質的に同一の手順により、表12のカラム3に示される化合物を調製する。
【0203】
(表12)
【0204】
【化87】

【0205】
【化88】

(実施例79):
【0206】
【化89】

実施例21.12で調製される化合物の無水アセトニトリル溶液に、TMSI(4当量)を室温で滴下した。10分後、アセトニトリルを減圧下で除去した。得られる黄色泡状物を、2N HCl溶液(7ml)で処理して、次いで、すぐにEtO(×5)で洗浄した。水相のpHを、50%NaOH水溶液を用いて10に調整して、NaClにより溶液を飽和させた後、CHCl(5×)で抽出して単離して、所望の生成物を得る。
【0207】
(実施例80):
表13のカラム2に示される化合物を置き換える以外は、実施例79に示したものと本質的に同一の手順により、表13のカラム3に示される化合物を調製する。
【0208】
(表13)
【0209】
【化90】

(アッセイ)
(バキュロウイルス構築物):Cyclin Eを、アミノ末端部に5ヒスチジン残基を加えて、PCRによりpVL1393(Pharmingen,La Jolla,California)にクローン化して、ニッケル樹脂上で精製した。発現するタンパク質は、約45kDaであった。CDK2を、カルボキシ末端部に赤血球凝集素エピトープタグ(YDVPDYAS)を加えて、PCRによりpVL1393にクローン化した。発現するタンパク質は、約34kDaの大きさであった。
【0210】
(酵素生成):組換えバキュロウイルス発現Cyclin EおよびCDK2を、感染の同一多重度(MOI=5)で48時間、SF9細胞に共に感染させた。細胞を、1000RPMで10分間の遠心沈殿により集めて、次いで、このペレットを、30分間、ペレット容積の5倍量の、50mM Tris pH8.0,150mM NaCl,1% NP 40,1mM DTTおよびプロテアーゼインヒビター(Roche Diagnostics GmbH,Mannhein,Germany)を含む溶解緩衝液に、氷上で溶解した。溶解物を15000PRMで10分間遠沈させて、この上清を保持した。5mLのニッケルビーズ(1リットルのSF9細胞)を、溶解緩衝液(Qiagen GmbH,Germany)中で3回洗浄した。バキュロウイルス上清に、イミダゾールを加えて、20mMの最終濃度にして、次いで、ニッケルビーズを用いて45分間4℃にてインキュベートした。タンパク質を、250mMイミダゾールを含む溶解緩衝液で溶出した。溶出物を、50mM Tris pH8.0,1mM DTT,10mM MgCl,100μMオルトバナジン酸ナトリウムおよび20%グリセロールを含む2Lのキナーゼ緩衝液に、一晩透析した。酵素を、−70℃のアリコート中で保存した。
【0211】
(インビトロでのキナーゼアッセイ):Cyclin E/CDK2キナーゼアッセイを、低タンパク質結合96−ウェルプレートにおいて行なった(Corning Inc,Corning,New York)。酵素を希釈して、50mM Tris pH8.0,1mM DTT,10mM MgClおよび0.1mMオルトバナジン酸ナトリウムを含むキナーゼ緩衝液中50μg/mlの最終濃度にした。これらの反応で使用される基質は、ヒストンH1から誘導されるビオチン化ペプチド(Amersham,UKより)であった。この基質を、氷上で冷凍して、キナーゼ緩衝液中で2μMに希釈した。化合物を、10%DMSOに希釈して、所望の濃度にした。各キナーゼ反応について、20μlの50μg/ml酵素溶液(1μgの酵素)および20μlの2μM基質溶液を混合して、次いで、試験するために、各ウェルにおいて、10μlの希釈された化合物と混ぜ合わせた。このキナーゼ反応を、50μlの2μM ATPおよび0.1μCiの33P−ATP(Amersham,UKより)の添加によって開始した。この反応を、1時間室温にて行なった。反応を、0.1%Triton X−100,1mM ATP,5mM EDTAおよび5mg/mlストレプトアビジンコーティングされたSPAビーズ(Amersham,UKより)を含む200μlの停止緩衝液を、15分間にわたって加えることにより停止させた。次いで、このSPAビーズを、Filtermate universal harvester(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)を使用して、96ウェルGF/Bフィルタプレート(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)上に捕獲した。このビーズを2M NaClを用いて2回、次いで、1%リン酸を含む2M NaClで2回洗浄することによって、非特異的シグナルを除去した。次いで、放射性活性シグナルを、トップカウント96ウェル液体シンチレーション計数器(Packard/Perkin Elmer Life Sciences)を用いて測定した。
【0212】
(IC50決定):用量−応答曲線を、各2連で、阻害化合物の8ポイント段階希釈から作成される阻害データからプロットした。化合物の濃度を、%キナーゼ活性に対してプロットして、未処理サンプルのCPMにより分割される処理されたサンプルCPMによって計算した。次いで、IC50値を作成するために、用量−応答曲線を、標準S字形曲線に当てはめて、IC50値を非線形回帰分析によって誘導した。このように得られた本発明の化合物のいくつかに対するIC50値を表14に示す。
【0213】
(表14)
【0214】
【化91】

【0215】
【化92】

【0216】
【化93】

アッセイ値により上に実証されるように、本発明の化合物は、優れたCDK阻害特性を示す。
【0217】
本発明を、上記の特定の実施形態と組み合わせて記載しているが、多くの代替物、改変体、それらの他のバリエーションは、当業者に明らかである。全てのそのような代替物、改変体、およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内に含まれることを意図される。
【0218】
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
構造式:
【化1】

によって表される化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで、
Rは、非置換のアリール、または一つ以上の部分で置換されたアリールであって、該部分は、同じであっても、もしくは異なっていてもよく、該各部分は、ハロゲン、CN、−OR、SR、−CHOR、−C(O)R、−SOH、−S(O)R、−S(O)NR、−NR、−C(O)NR、−CF、−OCFおよびヘテロシクリルからなる群より独立に選択され;
は、R、アルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、−CF、−C(O)R、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、各R基が独立に選択された、同じであっても異なっていてもよい1〜6個のR基で置換されたアルキル、フェニル、ピリジル、チオフェニル、フラニルおよびチアゾロ基より独立に選択された、同じであっても異なっていてもよい1〜3個のアリール基、もしくはヘテロアリール基で置換されたアリール、
【化2】

からなる群より選択され;
は、H、ハロゲン、−NR、−C(O)NR、、アルキル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキル
【化3】

からなる群から選択され、
ここで、Rに対する該アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルならびに、構造が上記Rに対して直前に示されるヘテロシクリル部分の各々は、置換されていてもよく、または、同じであっても、もしくは異なっていてもよい一つ以上の部分で必要に応じて独立に置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、CN、−OCF、−(CROR、−OR、−NR、−(CRNR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立に選択され;
は、H、ハロまたはアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくてもよく、または、同じであっても、もしくは異なっていてもよい一つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)R、−C(O)NR10、−SOH、−SR10、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より独立に選択され;
10は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、該アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくてもよく、または、同じであっても、もしくは異なっていてもよい一つ以上の部分で必要に応じて置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR、−N(R)Boc、−(CROR、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−SOH、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群より独立に選択されるか;
または、必要に応じて、(i)該部分−NR10中のRおよびR10、もしくは、(ii)該部分−NR中のRおよびRは、一緒に結合して、シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成し得、該シクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分のそれぞれは、置換されていないか、または、必要に応じて、独立に、一つ以上のR基で置換されており;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキルのそれぞれは、置換されていなくてもよく、または、同じであっても、もしくは異なっていてもよい一つ以上の部分で必要に応じて独立に置換されていてもよく、各部分は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NR10、−CHOR、−C(O)R、−C(O)NR10、−C(O)R、−SR10、−S(O)R10、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R10、−N(R)C(O)R10および−N(R)C(O)NR10からなる群より独立に選択され;
は、R、−C(O)NR10、−S(O)NR10、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群より選択され;
は、ハロゲン、CN、−NR10、−C(O)R、−C(O)NR10、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR10、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NR10からなる群より選択され;
mは0〜4であって;そして、
nは1〜4であって、
但し、(i)Rが非置換のフェニルである場合、Rは、アルキル、−C(O)R、アリールもしくはシクロアルキルではなくて、そして(ii)Rがヒドロキシル基で置換したフェニルである場合、Rは、ハロゲンのみである、
化合物。
(項目2)
項目1に記載の化合物であって、ここで、Rは、非置換のアリールもしくは一つ以上の部分で置換されたアリールであって、該部分は、同じであっても、もしくは異なっていてもよく、各部分がハロゲン、CN、−OR、−S(O)NR、−SOH、CHOR、−S(O)R、−C(O)NR、−CF、−OCFおよびヘテロシクリルからなる群より独立に選択され、
は、ハロゲン、CF、CN、低級アルキル、およびシクロアルキルであり;
は、H、非置換のアリール、非置換のヘテロアリール、またはハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、低級アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される一つ以上の部分で置換されたアリール、ヘテロシクリル、または、ハロゲン、CN、−OR、CF、−OCF、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択される一つ以上の部分で置換されたヘテロアリール、
【化4】

であり;
は、Hまたは低級アルキルであり;
は、Hまたは低級アルキルであり;
mは、0〜2であり;そして、
nは、1または2である、
化合物。
(項目3)
Rが、非置換フェニルである、項目2に記載の化合物。
(項目4)
RがF、Cl、Br、CN、−SOH、−S(O)NR、−S(O)CH、−NR10、−OH、ヒドロキシメチル、CFおよびモルホリニルからなる群より選択される一つ以上の部分で置換されたフェニルである、項目2に記載の化合物。
(項目5)
がF、Cl、Br、CF、低級アルキルおよびシクロアルキルである、項目2に記載の化合物。
(項目6)
項目2に記載の化合物であって、Rは、H、低級アルキル、非置換アリール、または、各部分がF、Cl、Br、CF、低級アルキル、メトキシおよびCNからなる群より独立に選択される、同じであっても、もしくは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換されたアリール、または、
【化5】

である、
化合物。
(項目7)
前記低級アルキルがメチル、エチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである、項目6に記載の化合物。
(項目8)
がHである、項目2に記載の化合物。
(項目9)
がHである、項目2に記載の化合物。
(項目10)
mが0である、項目2に記載の化合物。
(項目11)
Rが4−(メチルスルホニル)フェニルである、項目2に記載の化合物。
(項目12)
がCl、Br、イソプロピル、エチル、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルである、項目2に記載の化合物。
(項目13)
が非置換のフェニルまたは−S(O)NRで置換されたフェニルある、項目6に記載の化合物。
(項目14)
がtert−ブチルまたはイソプロピルである、項目6に記載の化合物。
(項目15)
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、
【化6】

または
【化7】

である、項目6に記載の化合物。
(項目16)
が3−(トリフルオロメチル)フェニルである、項目6に記載の化合物。
(項目17)

【化8】

である、項目15に記載の化合物。
(項目18)
が(CHOHまたは(CHOCHであって、nが1または2である、項目17に記載の化合物。
(項目19)
以下、
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

からなる群から選択される化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩、または溶媒和物。
(項目20)
構造式
【化16】

【化17】

の化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩、または溶媒和物。
(項目21)
一つ以上のサイクリン依存性キナーゼを阻害する方法であって、このような阻害の必要な患者に少なくとも一つの項目1の化合物の治療的に有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目22)
サイクリン依存性キナーゼと関連する一つ以上の疾患を処置する方法であって、このような処置の必要な患者に少なくとも一つの項目1の化合物の治療的に有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目23)
前記サイクリン依存性キナーゼがCDK2である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記疾患が、以下:膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、および皮膚癌、扁平上皮癌、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、バーケットリンパ腫;急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、前骨髄球性白血病;線維肉腫、横紋筋肉腫;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン腫;黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺小胞癌およびカポジ肉腫からなる群から選択される、項目22に記載の方法。
(項目25)
サイクリン依存性キナーゼと関連する一つ以上の疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置の必要な哺乳動物に、
一定量の項目1に記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩もしくはこれらの溶媒和物である第一の化合物、;および
一定量の少なくとも一つの第二の化合物であって、該第二化合物が抗癌剤である、化合物;
を投与する工程を包含し、
該第一化合物の量および該第二化合物の量は、治療効果を生じる量である、方法。
(項目26)
さらに、放射線療法を包含する、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記抗癌剤が、細胞成長抑止剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン(またはCPT−11)、カムプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、シクロホスファミド、4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、チピファルニブ、L778,123(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、BMS 214662(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、イレッサ、タルセバ、EGFRに対する抗体、グリーベク、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、オキサリプラチン、ロイコボリン(leucovirin)、オキサリプラチン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド、17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトーテン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、または、ヘキサメチルメラミンからなる群より選択される、項目25に記載の方法。
(項目28)
治療的に有効量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物を、少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含有する、薬学的組成物。
(項目29)
項目28に記載の薬学的組成物であって、さらに、細胞成長抑止剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、CPT−11、イリノテカン、カムプトスター、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、シクロホスファミド、4−[2−[4−[(11R)−3,10−ジブロモ−8−クロロ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イル−]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキサミド、ザルネストラ(Zarnestra(登録商標))(チピファルニブ)、L778,123(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、BMS 214662(ファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター)、イレッサ、タルセバ、EGFRに対する抗体、グリーベク、イントロン、ara−C、アドリアマイシン、サイトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、テニポシド、17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトーテン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルベン、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、ドロロキサフィン、または、ヘキサメチルメラミンからなる群より選択される抗癌剤をさらに一種以上含有する、薬学的組成物。
(項目30)
単離され、そして精製された形態である、項目1に記載の化合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−180235(P2010−180235A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88212(P2010−88212)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【分割の表示】特願2004−537708(P2004−537708)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【出願人】(501249331)ファーマコピア, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】