説明

サスペンション用フレキシャー基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用フレキシャー基板の製造方法、ならびに検査方法

【課題】 本発明は、積層された第2導体が第1導体と重なる場合であっても、容易に前記第1配線と前記第2配線の相対位置を保証することができ、低コストで、低インピーダンス化を達成することが可能なサスペンション用フレキシャー基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用フレキシャー基板の製造方法、ならびに検査方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 積層型配線において、前記第1導体、および前記第2導体から形成される相対位置測定用の一対の構造体を、それぞれ第1配線および第2配線の一部を構成する第1導体パターンの形成工程、および第2配線を構成する第2導体パターンの形成工程で形成し、各形成工程で形成される構造体の重なり状態を、光学的に検出することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)に用いられるサスペンション用フレキシャー基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用フレキシャー基板の製造方法、ならびに検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。
【0003】
ハードディスクドライブは磁気記録媒体である磁気ディスク、それを高速回転させるスピンドルモータ、磁気ディスクに対して情報を読取または書込する磁気ヘッド、それを高精度に保持しつつ移動させるための各部品、これらの駆動制御回路および信号処理回路などによって構成されている。
【0004】
そして、このハードディスクドライブに用いられる磁気ヘッドを支持している磁気ヘッドサスペンションと呼ばれる部品も、従来の金ワイヤ等の信号線を接続するタイプから、ステンレスのばねに直接銅配線等の信号線が形成されている、いわゆるワイヤレスサスペンションと呼ばれる配線一体型(フレキシャー)に移行している。
【0005】
このようなサスペンション用フレキシャー基板における配線は、一般的には、図12に示すように、一対の読取配線104と一対の書込配線105とが、金属支持体の上に形成された絶縁層の表面上に、各々配設された構成をしている。
【0006】
上述のような一対の配線は、例えば、差動伝送により電気信号の伝送が行われ、一対の配線間には、分布定数回路としての差動伝送路の特性インピーダンスである差動インピーダンスが存在する。この差動インピーダンスは、磁気ヘッドやプリアンプの低インピーダンス化に伴い、インピーダンスマッチングの観点から、低インピーダンス化することが要求されている。
【0007】
従来、上述のような一対の配線は、図13(a)に示すように、同一表面上に、並走するような形態で形成されていたが、近年においては、低インピーダンス化や配線の高密度化に伴い、図13(b)に示すような積層型配線も用いられている(特許文献1、2)。
なお、図13は、図12における一対の読取配線104の構成を模式的に描いたものであり、図中、104a、104bは読取配線を、103a、103bは接続端子部を、111は磁気抵抗素子等の読取素子を、それぞれ示す。
【0008】
ここで、図14に示す例を用いて、従来の積層型配線の構成について説明する。図14は、従来の積層型配線の構成例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるG−G断面図である。
図14に示す例においては、金属支持体221の上に形成された第1絶縁層231の同一面上に、第1導体213からなる第1配線と、第1導体211、212からなる第2配線の一部が形成されており、第1導体213の上には、第2絶縁層232を介して、第2導体214からなる第2配線が形成されている。
さらに、第2導体214からなる第2配線は、第2絶縁層232に設けられた開口内に形成された接続部215を通じて、第1導体211、212に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−22570号公報
【特許文献2】特開平10−3632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、上述のような積層型配線において、低インピーダンス化を達成するためには、下層の第1配線と上層の第2配線とが、所定の相対位置範囲内に形成されていることが必要であり、その重なり状態を検出して前記相対位置を保証することが必要になる。
【0011】
しかしながら、図14に示すように、積層された第2導体が、第1導体と重なる場合、透過型または反射型の光学式寸法測定機や、紫外線またはX線等を用いた寸法測定機による自動測長で、第2導体の仕上がり寸法、およびその座標を測定することは困難であり、従来の構成では、前記相対位置精度を保証することが困難であった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、積層された第2導体が、第1導体と重なる場合であっても、容易に前記第1配線と前記第2配線の相対位置を保証することができ、低コストで、低インピーダンス化を達成することが可能なサスペンション用フレキシャー基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用フレキシャー基板の製造方法、ならびに検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、種々研究した結果、上述のような積層型配線において、前記第1導体、および前記第2導体から形成される相対位置測定用の一対の構造体を、それぞれ第1配線および第2配線の一部を構成する第1導体パターンの形成工程、および第2配線を構成する第2導体パターンの形成工程で形成し、前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体と、前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体の重なり状態を、光学的に検出することにより、上記課題を解決できることを見出して本発明を完成したものである。
【0014】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、金属支持体上に形成された第1絶縁層の上に、少なくとも部分的に、第1導体、第2絶縁層、第2導体が順次積層されており、前記第1導体からなる第1配線と、前記第1導体および前記第2導体からなり、前記第2絶縁層に設けられた開口内に形成された接続部を通じて前記第1導体と前記第2導体が接続された構成を有する第2配線を備えたサスペンション用フレキシャー基板において、前記第1配線と前記第2配線の相対位置測定用の一対の構造体が、前記第1導体、および前記第2導体から形成されていることを特徴とするサスペンション用フレキシャー基板である。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記相対位置測定用の一対の構造体が、前記第2絶縁層を介して積層された部位における前記第1配線、および前記第2配線に形成されており、平面視上、前記第1配線に形成された相対位置測定用の構造体が、前記第2配線に形成された相対位置測定用の構造体よりも大きな外形を有していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0016】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記相対位置測定用の一対の構造体が、前記第1導体と前記第2導体が接続された部位の前記第1導体、および前記第2導体に形成されており、平面視上、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体が、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体よりも大きな外形を有していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0017】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記相対位置測定用の一対の構造体が、前記第1導体と前記第2導体が接続された部位の前記第1導体、および前記第2導体に形成されており、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体は、第1貫通孔を有しており、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体は、第2貫通孔を有しており、平面視上、前記第2貫通孔の内径が、前記第1貫通孔の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0018】
また、本発明の請求項5に係る発明は、前記相対位置測定用の構造体が、前記第1配線または前記第2配線を構成しない前記第1導体、および前記第2配線を構成しない前記第2導体により形成されており、平面視上、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体と、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体が、互いに大きさの異なる点対称な形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0019】
また、本発明の請求項6に係る発明は、前記位置測定用の構造体が、略リング状、略枠状、略十字状、略円形状、もしくは略矩形状であることを特徴とする請求項5に記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0020】
また、本発明の請求項7に係る発明は、前記第2導体からなる第2配線の上に、カバー層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0021】
また、本発明の請求項8に係る発明は、前記第2導体から構成される前記位置測定用の構造体、および、前記第1導体から構成される前記位置測定用の構造体が形成されている領域の前記第2絶縁層が露出するように、前記カバー層の一部が除去されていることを特徴とする請求項7に記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0022】
また、本発明の請求項9に係る発明は、前記第1導体、および第2導体から構成される相対位置測定用の構造体が形成されている領域の前記第1絶縁層が露出するように、前記金属支持体に開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板である。
【0023】
また、本発明の請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板を含むことを特徴とするサスペンションである。
【0024】
また、本発明の請求項11に係る発明は、請求項10に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンションである。
【0025】
また、本発明の請求項12に係る発明は、請求項11に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブである。
【0026】
また、本発明の請求項13に係る発明は、請求項1〜9のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板の製造方法であって、前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体を、前記第1導体から前記第1配線を形成する工程と同一の工程で形成し、前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体を、前記第2導体から前記第2配線の一部を形成する工程と同一の工程で形成することを特徴とするサスペンション用フレキシャー基板の製造方法である。
【0027】
また、本発明の請求項14に係る発明は、請求項1〜9のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板の検査方法であって、前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体と、前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体の重なり状態を、光学的に検出することにより、前記第1配線と第2配線の相対位置を保証することを特徴とするサスペンション用フレキシャー基板の検査方法である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、相対位置測定用の一対の構造体を、第1導体および第2導体で形成することにより、前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体と、前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体の重なり状態を光学的に検出することで、積層型配線構成のサスペンション用フレキシャー基板における前記第1配線と前記第2配線の相対位置を保証することができる。
それゆえ、低コストで低インピーダンス化を達成したサスペンション用フレキシャー基板を提供することができる。
【0029】
また、本発明の製造方法によれば、前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体を、前記第1導体を加工して前記第1配線を形成する工程と同一の工程で形成し、前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体を、前記第2導体を加工して前記第2配線の一部を形成する工程と同一の工程で形成するため、複雑な工程を増やすことなく、積層型配線における前記第1配線と前記第2配線の相対位置測定用の構造体を有するサスペンション用フレキシャー基板を製造することができる。
【0030】
また、本発明の検査方法によれば、前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体と、前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体の重なり状態を、光学的に検出することにより、特殊な測定機を用いなくても、前記第1配線と前記第2配線の相対位置を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の一例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図である。
【図2】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の他の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるB−B断面図である。
【図3】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の他の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図4】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の他の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるD−D断面図である。
【図5】本発明に係る相対位置測定用構造体の例を示す説明図である。
【図6】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の他の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるE−E断面図である。
【図7】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の他の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるF−F断面図である。
【図8】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【図10】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法の他の例を示す模式的工程図である。
【図11】本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法の他の例を示す模式的工程図である。
【図12】従来のサスペンション用フレキシャー基板の概観を示す概略平面図である。
【図13】従来の配線構成の例を示す説明図であり、(a)は単層型配線、(b)は積層型配線を示す。
【図14】従来のサスペンション用フレキシャー基板の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるG−G断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明のサスペンション用フレキシャー基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用フレキシャー基板の製造方法、ならびに検査方法について詳細に説明する。
【0033】
[サスペンション用フレキシャー基板]
まず、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の第1の実施形態の一例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図である。
本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板は、金属支持体上に形成された第1絶縁層の上に、第1導体、第2絶縁層、第2導体が積層されており、前記第1導体からなる第1配線と、前記第2絶縁層に設けられた開口内に形成された接続部を通じて前記第1導体と前記第2導体が接続された構成の第2配線を有するサスペンション用フレキシャー基板において、前記第1導体と前記第2導体の相対位置測定用の構造体が、前記第1導体、および前記第2導体から形成されていることを特徴とする。
そして、本実施形態においては、前記相対位置測定用の構造体が、前記第2絶縁層を介して、前記第1配線と前記第2配線が積層された部位の前記第1導体、および前記第2導体に形成されており、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体の平面形状が、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体の平面形状よりも大きな外形を有していることを特徴とする。
【0034】
例えば、図1に示されるサスペンション用フレキシャー基板1においては、金属支持体21の上に形成された第1絶縁層31の上に、第1導体11、12、13が形成されており、第1導体11、12、13の上には第2絶縁層32が形成されており、第2絶縁層32の上には第2導体14が積層されており、さらに、第2導体14の上にはカバー層41が形成されている。
【0035】
そして、第1導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16aが、第1導体13からなる第1配線と、第2導体14からなる第2配線とが積層された部位の第1導体13に形成されており、第2導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16bが、第1導体13からなる第1配線と、第2導体14からなる第2配線とが積層された部位の第2導体14に形成されている。
【0036】
ここで、構造体16aの中心座標と、構造体16bの中心座標は、同一の座標となるように設計されており、構造体16aの平面形状は、構造体16bの平面形状よりも所定量大きな外形を有している。
それゆえ、例えば、構造体16aの平面形状の外形と、構造体16bの平面形状の外形との大きさの差を第1配線と第2配線の相対位置の許容範囲に設計しておけば、構造体16aと構造体16bの重なり状態を、光学的に検出することにより、第1導体13からなる第1配線と、第2導体14bからなる第2配線との相対位置を保証することができる。
【0037】
なお、図1においては、構造体16a、16bの平面形状が略円形状の例を示したが、本発明においては、重ね合わせて相対位置測定が可能な形状であればよく、例えば略矩形状であってもよい。また、構造体16a、16bの個数も1組に限らず、複数組形成されていてもよい。
【0038】
(第2の実施形態)
図2は、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の第2の実施形態の一例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるB−B断面図である。
本実施形態においては、前記相対位置測定用の構造体が、前記第1導体と前記第2導体が接続された部位の前記第1導体、および前記第2導体に形成されており、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体の平面形状が、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体の平面形状よりも大きな外形を有していることを特徴とする。
【0039】
例えば、図2に示されるサスペンション用フレキシャー基板1においては、第1導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16aが、第1導体11と第2導体14が接続された部位の第1導体11、および第1導体12と第2導体14が接続された部位の第1導体12に形成されており、第2導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16bが、第1導体11と第2導体14が接続された部位の第2導体14、および第1導体12と第2導体14が接続された部位の第2導体14に形成されている。
【0040】
ここで、構造体16aの中心座標と、構造体16bの中心座標は、同一の座標となるように設計されており、構造体16aの平面形状は、構造体16bの平面形状よりも所定量大きな外形を有している。
それゆえ、例えば、構造体16aの平面形状の外形と、構造体16bの平面形状の外形との大きさの差を第1配線と第2配線の相対位置の許容範囲に設計しておけば、構造体16aと構造体16bの重なり状態を、光学的に検出することにより、第1導体13からなる第1配線と、第2導体14bからなる第2配線との相対位置を保証することができる。
【0041】
なお、図2においては、構造体16a、16bの平面形状が略円形状の例を示したが、本発明においては、重ね合わせて相対位置測定が可能な形状であればよく、例えば略矩形状であってもよい。また、構造体16a、16bは、第1導体11と第1導体12の双方の端部に設ける場合の他に、第1導体11、若しくは第1導体12の片方にのみ設けてもよい。
【0042】
(第3の実施形態)
図3は、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の第3の実施形態の一例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
本実施形態においては、前記相対位置測定用の構造体が、前記第1導体と前記第2導体が接続された部位の前記第1導体、および前記第2導体の接続部に形成されており、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体は、前記第2導体の接続部の中央部に形成された開口部を有しており、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体は、前記第2導体の接続部の中央部に形成された開口部から露出する前記第1導体に形成された開口部を有しており、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体の開口部が、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体の開口部よりも大きな内径を有していることを特徴とする。
【0043】
例えば、図3に示されるサスペンション用フレキシャー基板1においては、第1導体により構成される相対位置測定用の構造体16aが、第1導体11と第2導体14が接続された部位の第1導体11、および第1導体12と第2導体14が接続された部位の第1導体12に形成されており、第2導体により構成される相対位置測定用の構造体16bが、第1導体11と第2導体14が接続された部位の接続部15、および第1導体12と第2導体14が接続された部位の接続部15に形成されている。
【0044】
そして、構造体16bは、接続部15の中央部に形成された開口部を有した平面略リング状の形状をしており、構造体16aは、接続部15の中央部に形成された開口部から露出する第1導体11、若しくは第1導体12に形成された開口部を有している。
【0045】
ここで、構造体16aの有する開口部の中心座標と、構造体16bの有する開口部の中心座標は、同一の座標となるように設計されており、構造体16bの有する開口部の平面内径は、構造体16aの有する開口部の平面内径よりも所定量大きな径を有している。
それゆえ、例えば、構造体16aの開口部の平面内径と、構造体16bの開口部の平面内径との差を第1配線と第2配線の相対位置の許容範囲に設計しておけば、構造体16aと構造体16bの重なり状態を、光学的に検出することにより、第1導体13からなる第1配線と、第2導体14bからなる第2配線との相対位置を保証することができる。
【0046】
なお、図3においては、一組の構造体16a、16bを、第1導体11と第1導体12の双方の端部に設ける例を示しているが、この他に、一組の構造体16a、16bを、第1導体11、若しくは第1導体12の片方にのみ設けてもよい。
【0047】
(第4の実施形態)
図4は、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の第4の実施形態の一例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるD−D断面図である。
本実施形態においては、前記相対位置測定用の構造体が、前記第1配線または前記第2配線を構成しない前記第1導体、および前記第2配線を構成しない前記第2導体により形成されており、前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体の平面形状と、前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体の平面形状が、互いに大きさの異なる点対称な形状を有していることを特徴とする。
【0048】
例えば、図4に示されるサスペンション用フレキシャー基板1においては、第1導体により構成される平面略リング状の相対位置測定用の構造体16aが、第1配線または第2配線とは別に、第1絶縁層31上に形成されており、第2導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16bが、第2配線とは別に、第2絶縁層32上に形成されている。
【0049】
そして、構造体16aの中心座標と、構造体16bの中心座標は、同一の座標となるように設計されており、構造体16aの平面形状のリング内径は、構造体16bの平面形状の外径よりも所定量大きなサイズを有している。
それゆえ、例えば、構造体16aの平面形状のリング内径と、構造体16bの平面形状の外径との大きさの差を第1配線と第2配線の相対位置の許容範囲に設計しておけば、構造体16aと構造体16bの重なり状態を、光学的に検出することにより、第1導体13からなる第1配線と、第2導体14bからなる第2配線との相対位置を保証することができる。
【0050】
なお、図4においては、構造体16aの平面形状が略リング状であり、構造体16bの平面形状が略円形状の例を示したが、本発明においては、構造体16a、16bの形状は、重ね合わせて相対位置測定が可能な形状であればよく、例えば、図5(a)〜(j)に示すように、略リング状、略枠状、略十字状、略円形状、もしくは略矩形状等、互いに大きさの異なる点対称な形状であってもよい。また、構造体16a、16bの個数も1組に限らず、複数組形成されていてもよい。
【0051】
また、図4においては、第1導体により構成される平面略リング状の相対位置測定用の構造体16aと、第2導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16bとが、異なる高さ位置に形成されている例を示したが、本実施形態においては、構造体16aと構造体16bは同一面上に形成されていても良い。
【0052】
図6は、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の第4の実施形態の他の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるE−E断面図である。
例えば、図6に示されるサスペンション用フレキシャー基板1においては、第1導体により構成される平面略リング状の相対位置測定用の構造体16aと、第2導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16bが、同一の第1絶縁層31上に形成されている。
【0053】
このような構成であれば、構造体16aと構造体16bは、第2絶縁層32を介さずに同一面上に存在するため、構造体16aと構造体16bの重なり状態を前記第2導体の上から反射光で検出する際に、第2絶縁層32による反射光の吸収や反射、または散乱の影響を受けることがなく、構造体16aと構造体16bの重なり状態の検出をより精度良く行うことができる。
【0054】
なお、上述のような構成は、図5(a)に示す構造体16a、16bのみならず、図5(b)〜(h)に示す構造体16a、16bにおいても、同様に形成することができる。
【0055】
また、図5(i)、(j)に示すように、構造体16aの中心座標と、構造体16bの中心座標が同一の座標となるように設計されており、構造体16aの平面形状が、構造体16bの平面形状よりも所定量大きな外形を有しているような場合には、構造体16aの上に、第2絶縁層32を介さずに、構造体16bを形成した構成とすることもできる。
【0056】
図7は、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の第4の実施形態の他の例を示す説明図であり、(a)は要部の概略平面図であり、(b)は(a)におけるF−F断面図である。
例えば、図7に示されるサスペンション用フレキシャー基板1においては、第1導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16aの上に、第2導体により構成される平面略円形状の相対位置測定用の構造体16bが、第2絶縁層32を介さずに形成されている。
【0057】
このような構成であれば、構造体16aと構造体16bは、第2絶縁層32を介さずに重なっているため、構造体16aと構造体16bの重なり状態を前記第2導体の上から反射光で検出する際に、第2絶縁層32による反射光の吸収や反射、または散乱の影響を受けることがなく、構造体16aと構造体16bの重なり状態の検出をより精度良く行うことができる。
【0058】
また、上述の第1〜第4の実施形態においては、例えば、図8(a)に示すように、構造体16a、16bが形成されている領域のカバー層41は除去されていてもよい。
【0059】
このような構成であれば、例えば、第1導体から構成される相対位置測定用の構造体16aと、第2導体から構成される相対位置測定用の構造体16bの重なり状態を、前記第2導体の上から反射光で検出する際に、カバー層41による反射光の吸収や反射、または散乱を解消することができるため、反射光による構造体16a、16bの重なり状態の検出がより容易になるからである。
【0060】
なお、図8(a)は、図4における構成例において、構造体16a、16bが形成されている領域のカバー層41が除去されて、構造体16a、および構造体16bが形成されている領域の第2絶縁層32が露出している形態を示すものである。
【0061】
また、上述の第1〜第4の実施形態においては、例えば、図8(b)に示すように、構造体16a、16bが形成されている領域の金属支持体21は除去されていてもよい。
このような構成であれば、反射光のみならず、透過光による構造体16a、16bの重なり状態の検出が可能になるからである。
【0062】
なお、図8(b)は、図4における構成例において、構造体16a、16bが形成されている領域の金属支持体21には開口51が形成されており、構造体16a、16bが形成されている領域の第1絶縁層31が露出している形態を示すものである。
【0063】
次に、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板を構成する他の各要素について説明する。
【0064】
[金属支持体]
金属支持体21の材料としては、所望の導電性およびばね性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばステンレススティール等を挙げることができる。金属支持体21の厚さは、例えば10μm〜30μmの範囲内、中でも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0065】
[第1絶縁層]
第1絶縁層31は、金属支持体21の表面上に形成される絶縁層である。第1絶縁層31の材料としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、第1絶縁層31の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。第1絶縁層31の厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内、中でも5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
【0066】
[第1導体]
第1導体11、12、13は、第1絶縁層31上に形成される導体である。第1導体11、12、13の材料としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。
第1導体11、12、13の厚さとしては、例えば、4μm〜18μmの範囲内であることが好ましい。第1導体11、12、13の厚さが小さすぎると、所望の導電性を得ることができない可能性があり、第1導体11、12、13の厚さが大きすぎると、配線回路基板の剛性が高くなる可能性があるからである。
【0067】
一方、第1導体11、12、13の線幅としては、例えば10μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。第1導体11、12、13の線幅が小さすぎると、充分な低インピーダンス化を図ることができない可能性があり、第1導体11、12、13の線幅が大きすぎると、配線回路基板の充分な高密度化を図ることができない可能性があるからである。
また、第1導体11、12、13は、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)による配線めっき層が形成されていても良い。
【0068】
[第2絶縁層]
第2絶縁層32は、第1導体11、12、13上に形成される絶縁層である。第2絶縁層32の材料については、上述した第1絶縁層31と同様である。また、第1導体11、12、13の上に形成された第2絶縁層32の厚さは、例えば4μm〜18μmの範囲内であることが好ましい。上記厚さが小さすぎると、伝送特性の悪化およびピンホールによるショートの可能性があり、上記厚さが大きすぎると、サスペンション用フレキシャー基板全体の厚さが大きくなる可能性があるからである。
【0069】
[第2導体]
第2導体14は、第2絶縁層32上に形成される導体である。第2導体14の材料は、上述した第1導体11、12、13と同様である。また、第2導体14は、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)による配線めっき層が形成されていても良い。第2導体層の厚さは、例えば4μm〜15μmの範囲内であることが好ましい。
第2導体14の線幅は、上述した第1導体11、12、13と同様である。
【0070】
[カバー層]
カバー層41の材料としては、例えば、ポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、カバー層41の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。なお、カバー層41の材料は、上述した第1絶縁層12および第2絶縁層15と同じであっても良く、異なっていても良い。カバー層41の厚さは、例えば3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
【0071】
[サスペンション用フレキシャー基板の製造方法]
次に、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法について説明する。
本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法は、第1導体により構成される相対位置測定用の構造体16aを、第1導体13を加工して第1配線を形成する工程と同一の工程で形成し、第2導体により構成される相対位置測定用の構造体16bを、第2導体14を加工して第2配線の一部を形成する工程と同一の工程で形成することを特徴とするものである。
【0072】
以下、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法について、図面を用いて、より具体的に説明する。ただし、本発明のサスペンション用フレキシャー基板の製造方法においては、上述の相対位置測定用の構造体以外の構成要素、例えば、第1配線や第2配線、第1絶縁層や第2絶縁層、およびカバー層等の形成方法は、従前公知の方法を用いることができるため、ここでの詳述は省略する。
【0073】
図9は、図4に示す本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【0074】
まず、図9(a)に示すように、金属支持体21の上に第1絶縁層31を形成し、第1絶縁層31の上に第1導体層13Aを形成する。
【0075】
次に、フォトリソグラフィー等の製版技術を用いて、相対位置測定用の構造体16aの形成と、第1配線を構成する第1導体13の形成を、同一の工程で行う(図9(b))。
なお、上述の構造体16aおよび第1配線を構成する第1導体13の形成の他に、第2配線の一部を構成する第1導体11、12も、この工程で同時に形成される(図示せず)。
ここで、構造体16aと第1導体13は同一工程で形成されるため、両者は設計通りの位置関係になる。それゆえ、構造体16aの位置を検出することにより、第1導体13からなる第1配線の位置を保証することができる。
【0076】
次に、構造体16a、第1導体13、および第1導体11、12(図示せず)の上に、第2絶縁層32を形成し(図9(c))、さらに、第2絶縁層32の上に、電解めっき用のレジストパターン61を形成する(図9(d))。
【0077】
次に、電解めっき法により、相対位置測定用の構造体16bの形成と、第2配線の一部を構成する第2導体14の形成を、同一の工程で行う(図9(e))。構造体16bと第2導体14は同一工程で形成されるため、両者は設計通りの位置関係になる。それゆえ、構造体16bの位置を検出することにより、第2導体14からなる第2配線の位置を保証することができる。
【0078】
次に、レジストパターン61を除去し(図9(f))、その後は、適宜、カバー層41の形成や(図9(g))、金属支持体21の開口加工等を施し、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板を得る。
【0079】
次に、図6に示す本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法の一例について、図10を用いて説明する。
【0080】
まず、図10(a)に示すように、金属支持体21の上に第1絶縁層31を形成し、第1絶縁層31の上に第1導体層13Aを形成する。
【0081】
次に、フォトリソグラフィー等の製版技術を用いて、相対位置測定用の構造体16aの形成と、第1配線を構成する第1導体13の形成を、同一の工程で行う(図10(b))。
なお、上述の構造体16aおよび第1配線を構成する第1導体13の形成の他に、第2配線の一部を構成する第1導体11、12も、この工程で同時に形成される(図示せず)。
ここで、構造体16aと第1導体13は同一工程で形成されるため、両者は設計通りの位置関係になる。それゆえ、構造体16aの位置を検出することにより、第1導体13からなる第1配線の位置を保証することができる。
【0082】
次に、第1導体13、および第1導体11、12(図示せず)の上に、第2絶縁層32を形成する(図10(c))。ここで、構造体16aは、第2絶縁層32で被覆しないようにして露出しておく。
【0083】
次に、第1絶縁層31、構造体16a、および第2絶縁層32の上に、電解めっき用のレジストパターン61を形成し(図10(d))、電解めっき法により、相対位置測定用の構造体16bの形成と、第2配線の一部を構成する第2導体14の形成を、同一の工程で行う(図10(e))。構造体16bと第2導体14は同一工程で形成されるため、両者は設計通りの位置関係になる。それゆえ、構造体16bの位置を検出することにより、第2導体14からなる第2配線の位置を保証することができる。
【0084】
次に、レジストパターン61を除去し(図10(f))、その後は、適宜、カバー層41の形成や(図10(g))、金属支持体21の開口加工等を施し、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板を得る。
【0085】
次に、図7に示す本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の製造方法の一例について、図11を用いて説明する。
【0086】
まず、図11(a)に示すように、金属支持体21の上に第1絶縁層31を形成し、第1絶縁層31の上に第1導体層13Aを形成する。
【0087】
次に、フォトリソグラフィー等の製版技術を用いて、相対位置測定用の構造体16aの形成と、第1配線を構成する第1導体13の形成を、同一の工程で行う(図11(b))。
なお、上述の構造体16aおよび第1配線を構成する第1導体13の形成の他に、第2配線の一部を構成する第1導体11、12も、この工程で同時に形成される(図示せず)。
ここで、構造体16aと第1導体13は同一工程で形成されるため、両者は設計通りの位置関係になる。それゆえ、構造体16aの位置を検出することにより、第1導体13からなる第1配線の位置を保証することができる。
【0088】
次に、第1導体13、および第1導体11、12(図示せず)の上に、第2絶縁層32を形成する(図11(c))。ここで、構造体16aは、第2絶縁層32で被覆しないようにして露出しておく。
【0089】
次に、第1絶縁層31、構造体16a、および第2絶縁層32の上に、電解めっき用のレジストパターン61を形成し(図11(d))、電解めっき法により、相対位置測定用の構造体16bの形成と、第2配線の一部を構成する第2導体14の形成を、同一の工程で行う(図11(e))。構造体16bと第2導体14は同一工程で形成されるため、両者は設計通りの位置関係になる。それゆえ、構造体16bの位置を検出することにより、第2導体14からなる第2配線の位置を保証することができる。
【0090】
次に、レジストパターン61を除去し(図11(f))、その後は、適宜、カバー層41の形成や(図11(g))、金属支持体21の開口加工等を施し、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板を得る。
【0091】
上述のような製造方法を用いることにより、本発明においては、複雑な工程を増やすことなく、積層型配線における前記第1配線と前記第2配線の相対位置測定用の構造体を有するサスペンション用フレキシャー基板を製造することができる。
【0092】
[サスペンション用フレキシャー基板の検査方法]
次に、本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の検査方法について説明する。
本発明に係るサスペンション用フレキシャー基板の検査方法は、第1導体により構成される相対位置測定用の構造体16aと、第2導体により構成される相対位置測定用の構造体16bの重なり状態を光学的に検出することにより、第1導体13からなる第1配線と第2導体14からなる第2配線の相対位置を保証することを特徴とするものである。
【0093】
このような検査方法を用いることにより、本発明においては、特殊な測定機を用いなくても、前記第1配線と前記第2配線の相対位置を保証することができる。
【0094】
また、本発明においては、位置測定用の構造体16a、16bが形成されている領域の上にはカバー層41を形成せず、位置測定用の構造体16bが形成されている部位以外の第2導体の上にはカバー層41を形成して、第1導体により構成される相対位置測定用の構造体16aと、第2導体により構成される相対位置測定用の構造体16bの重なり状態を、前記第2導体の上から反射光で検出することにより、第1導体13からなる第1配線と第2導体14からなる第2配線の相対位置を保証するようにしてもよい。
【0095】
このような検査方法を用いることにより、カバー層41による反射光の吸収や反射、または散乱を解消することができるため、反射光による構造体16a、16bの重なり状態の検出がより容易になるからである。
【0096】
また、本発明においては、位置測定用の構造体16a、16bが形成されている領域の第1絶縁層31が露出するように、金属支持体21に開口を形成して、第1導体により構成される相対位置測定用の構造体16aと、第2導体により構成される相対位置測定用の構造体16bの重なり状態を、透過光で検出することにより、第1導体13からなる第1配線と第2導体14からなる第2配線の相対位置を保証するようにしてもよい。
【0097】
このような検査方法を用いることにより、反射光のみならず、透過光による構造体16a、16bの重なり状態の検出が可能になるからである。
【0098】
[サスペンション]
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0099】
本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用フレキシャー基板1と、ジンバル部が形成されている表面とは反対側のサスペンション用フレキシャー基板1の表面に備え付けられたロードビームとを有するものである。ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
【0100】
本発明によれば、上述したサスペンション用フレキシャー基板を用いることで、より低インピーダンス化を達成したサスペンションとすることができる。
【0101】
[ヘッド付サスペンション]
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上述したサスペンションと、該サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有するものである。
サスペンションについては、上述した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、磁気ヘッドスライダは、一般的なヘッド付サスペンションに用いられる磁気ヘッドスライダと同様のものを用いることができる。
【0102】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、より低インピーダンス化を達成したヘッド付サスペンションとすることができる。
【0103】
[ハードディスクドライブ]
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0104】
本発明のハードディスクドライブは、少なくともヘッド付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。ヘッド付サスペンションについては、上述した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0105】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0106】
以上、本発明のサスペンション用フレキシャー基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用フレキシャー基板の製造方法、ならびに検査方法について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0107】
1・・・サスペンション用フレキシャー基板
13A・・・第1導体層
11、12、13・・・第1導体
14A・・・第2導体層
14・・・第2導体
15・・・接続部
16a、16b・・・相対位置測定用構造体
21・・・金属支持体
31・・・第1絶縁層
32・・・第2絶縁層
41・・・カバー層
51・・・開口
61・・・レジストパターン
100、200・・・サスペンション用フレキシャー基板
102・・・ジンバル部
103、103a、103b・・・接続端子部
104、104a、104b・・・読取配線
105・・・書込配線
111・・・読取素子
211、212、213・・・第1導体
214・・・第2導体
215・・・接続部
221・・・金属支持体
231・・・第1絶縁層
232・・・第2絶縁層
241・・・カバー層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持体上に形成された第1絶縁層の上に、少なくとも部分的に、第1導体、第2絶縁層、第2導体が順次積層されており、
前記第1導体からなる第1配線と、
前記第1導体および前記第2導体からなり、前記第2絶縁層に設けられた開口内に形成された接続部を通じて前記第1導体と前記第2導体が接続された構成を有する第2配線を備えたサスペンション用フレキシャー基板において、
前記第1配線と前記第2配線の相対位置測定用の一対の構造体が、
前記第1導体、および前記第2導体から形成されていることを特徴とするサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項2】
前記相対位置測定用の一対の構造体が、
前記第2絶縁層を介して積層された部位における前記第1配線、および前記第2配線に形成されており、
平面視上、
前記第1配線に形成された相対位置測定用の構造体が、
前記第2配線に形成された相対位置測定用の構造体よりも大きな外形を有していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項3】
前記相対位置測定用の一対の構造体が、
前記第1導体と前記第2導体が接続された部位の前記第1導体、および前記第2導体に形成されており、
平面視上、
前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体が、
前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体よりも大きな外形を有していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項4】
前記相対位置測定用の一対の構造体が、
前記第1導体と前記第2導体が接続された部位の前記第1導体、および前記第2導体に形成されており、
前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体は、第1貫通孔を有しており、
前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体は、第2貫通孔を有しており、
平面視上、
前記第2貫通孔の内径が、前記第1貫通孔の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項5】
前記相対位置測定用の構造体が、
前記第1配線または前記第2配線を構成しない前記第1導体、および前記第2配線を構成しない前記第2導体により形成されており、
平面視上、
前記第1導体に形成された相対位置測定用の構造体と、
前記第2導体に形成された相対位置測定用の構造体が、
互いに大きさの異なる点対称な形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項6】
前記位置測定用の構造体が、略リング状、略枠状、略十字状、略円形状、もしくは略矩形状であることを特徴とする請求項5に記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項7】
前記第2導体からなる第2配線の上に、カバー層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項8】
前記第2導体から構成される前記位置測定用の構造体、および、前記第1導体から構成される前記位置測定用の構造体が形成されている領域の前記第2絶縁層が露出するように、前記カバー層の一部が除去されていることを特徴とする請求項7に記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項9】
前記第1導体、および第2導体から構成される相対位置測定用の構造体が形成されている領域の前記第1絶縁層が露出するように、前記金属支持体に開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項11】
請求項10に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項12】
請求項11に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板の製造方法であって、
前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体を、
前記第1導体から前記第1配線を形成する工程と同一の工程で形成し、
前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体を、
前記第2導体から前記第2配線の一部を形成する工程と同一の工程で形成することを特徴とするサスペンション用フレキシャー基板の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載のサスペンション用フレキシャー基板の検査方法であって、
前記第1導体から形成される相対位置測定用の構造体と、前記第2導体から形成される相対位置測定用の構造体の重なり状態を、光学的に検出することにより、
前記第1配線と第2配線の相対位置を保証することを特徴とするサスペンション用フレキシャー基板の検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−243376(P2012−243376A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116093(P2011−116093)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】