説明

サポート構造、リソグラフィ装置、および位置決め方法

【課題】リソグラフィ装置内の交換可能物体を位置決めするサポート構造を提供する。
【解決手段】サポート構造は、物体を支持およびクランプするチャックと作動構造とを有する。作動構造は、第1作動構造16(例えば、バネ)および第2作動構造18(例えば、リニアアクチュエータ)を有してよい。第1作動構造16は、チャックに対して移動可能であり、第2作動構造18を物体の側面と接触する第1位置と物体の側面と接触しない第2位置との間で移動させるように構成されている。第2作動構造18は、その少なくとも一部を第1作動構造16に対して物体の側面と接触する第1位置と物体の側面と接触しない第2位置との間で移動させ、かつ押力を物体の側面に加えるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、リソグラフィ装置およびデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するいわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] 例えば、1つ以上の真空パッドを有するクランプ上にパターニングデバイスを載置し、かつ真空を加えて引っ張りパターニングデバイスと真空パッドとの間に垂直力を生成することによってリソグラフィ装置内のパターニングデバイスを保持することは公知である。その後垂直力は、真空パッドとパターニングデバイスとの間に摩擦力を生成する。さらに、1つ以上のポジショナは、例えばスキャン露光の一部としてパターニングデバイスおよび真空パッドを移動させるために提供される。そのような状況下においては、通常、パターニングデバイスを位置決めするかまたはその上に力を加えるデバイスは他にない。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 上記のクランプシステムは、差圧、クランプ表面および摩擦係数といった3つの要素によって限定される。例えば、そのようなシステム内の差圧は、最大1バール(真空に対する大気圧)に限定され、よって摩擦を生成するための垂直力は限定される。さらに、クランプ力を加えるためにクランプが利用できる表面は、パターニングデバイスのサイズおよび/またはパターン自体を提供するために充てられるパターニングデバイスの面積の量に限定される。これは、システムによって生成することができる垂直力も制限する。さらに、クランプとパターニングデバイスとの摩擦係数は約0.25に限定されることがあり、現在においてはそれを増大させるための容易に利用できる実用的な材料はない。上記した例示的な限定の結果は、パターニングデバイスを移動させるためのポジショナシステムは、クランプシステム内でスリップが生じる前にパターニングデバイスに対してある一定の力までを加えることができることである。スリップは、露光精度の損失およびオーバーレイ問題という結果となり得る。パターニングデバイスの現行の加速および速度は、ポジショナシステムによって加えられる力がこの範囲に近いことを意味する。しかしながら、露光基板のスループットを増加させる加速および速度を高めることができることが望ましい。
【0005】
[0005] このタイプのクランプシステムのさらなる欠点は、適用できる力がパターニングデバイスとクランプとの間のインターフェースの洗浄度および(天気、高度などによる)大気圧などといったその全てがほぼ予測不可能な変数によるということである。
【0006】
[0006] したがって、本発明の一態様は、リソグラフィ装置内の交換可能物体を位置決めするサポート構造を提供する。サポート構造は、交換可能物体を支持し、かつクランプ力を交換可能物体に加えるチャックと、第1作動構造および第2作動構造とを含む。第1作動構造は、チャックに対して移動可能であり、かつ第2作動構造を交換可能物体の側面と接触する第1位置と交換可能物体の側面と接触しない第2位置との間で移動させるように構成されている。第2作動構造は、その少なくとも一部を第1作動構造に対して交換可能物体の側面と接触する第1位置と交換可能物体の側面と接触しない第2位置との間で移動させ、かつ押力を交換可能物体の側面に加えるように構成されている。
【0007】
[0007] 本発明の一態様によると、パターニングデバイスからのパターンを基板上に転写するように構成されたリソグラフィ装置が提供される。リソグラフィ装置は、交換可能物体を支持し、かつクランプ力を交換可能物体に加えるチャックと、第1作動構造および第2作動構造とを含む。第1作動構造は、チャックに対して移動可能であり、かつ第2作動構造を交換可能物体の側面と接触する第1位置と交換可能物体の側面と接触しない第2位置との間で移動させるように構成されている。第2作動構造は、その少なくとも一部を第1作動構造に対して交換可能物体の側面と接触する第1位置と交換可能物体の側面と接触しない第2位置との間で移動させ、かつ押力を交換可能物体の側面に加えるように構成されている。
【0008】
[0008] 本発明の別の態様によると、リソグラフィ装置内の交換可能物体を位置決めするサポート構造が提供される。サポート構造は、交換可能物体を支持し、かつクランプ力を交換可能物体に加えるチャックと、交換可能物体の側面に押力を加えるように構成された作動構造とを含む。作動構造はバネおよびリニアアクチュエータを含む。バネはリニアアクチュエータに力を加えてリニアアクチュエータをチャックに対して移動させるように構成されている。
【0009】
[0009] 本発明のさらなる態様によると、リソグラフィ装置内の物体を位置決めする方法が提供される。方法は、物体をリソグラフィ装置のチャック上にロードし、かつクランプ力を物体に加えて物体をチャックにクランプすることと、第1作動構造をチャックに対して物体に向かって移動させて第2作動構造を物体と接触するように移動させることと、第2作動構造の少なくとも一部を第1作動構造に対して物体の側面と接触する第1位置と物体の側面と接触しない第2位置との間で移動させることと、第2作動構造を用いて物体の側面に押力を加えることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[0010] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0011】
【図1】[0011] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】[0012] 図2は、本発明の一実施形態による図1の装置内の物体を支持するサポート構造の斜視図を示す。
【図3】[0013] 図3は、本発明の一実施形態による、図2のサポート構造の断面図およびサポート構造上の物体を取り扱う方法を示す。
【図4】[0013] 図4は、本発明の一実施形態による、図2のサポート構造の断面図およびサポート構造上の物体を取り扱う方法を示す。
【図5】[0013] 図5は、本発明の一実施形態による、図2のサポート構造の断面図およびサポート構造上の物体を取り扱う方法を示す。
【図6】[0014] 図6は、本発明の一実施形態による図2〜図5のサポート構造に用いる作動デバイスの詳細図を示す。
【図7】[0014] 図7は、本発明の一実施形態による図2〜図5のサポート構造に用いる作動デバイスの詳細図を示す。
【図8】[0015] 図8は、図2のサポート構造の代替の図を示す。
【図9】[0015] 図9は、図2のサポート構造の代替の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0016] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示している。この装置は、
[0017] 放射ビームB(例えば、UV放射またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0018] パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
[0019] 基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
[0020] パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0013】
[0021] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0014】
[0022] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造WTは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0015】
[0023] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0016】
[0024] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0017】
[0025] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0018】
[0026] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0019】
[0027] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のサポート構造)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル/サポート構造は並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル/サポート構造上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブル/サポート構造を露光用に使うこともできる。
【0020】
[0028] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0021】
[0029] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0022】
[0030] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、サポート構造MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0023】
[0031] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0024】
[0032] 1.ステップモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0025】
[0033] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)伸縮率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0026】
[0034] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0027】
[0035] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0028】
[0036] 本明細書中の考察はパターニングデバイスに注目しているが、本明細書中で考察される構造、方法および概念は、1つ以上の他の物体に適切に適用されてもよい。パターニングデバイスはそのような物体の一実施形態である。
【0029】
[0037] 上述したように、パターニングデバイスは、通常、サポート構造MTによって保持される。第1ポジショナPMはパターニングデバイスを位置決めするようにサポート構造MTに連結される。一実施形態では、第1ポジショナPMは、6自由度までパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成され、かつパターニングデバイスの位置決めを可能にする複数のアクチュエータを含んでもよい。
【0030】
[0038] 一実施形態では、サポート構造MTはチャックを含む。使用中、チャックはパターニングデバイス(または他の物体)を保持する。チャックはサポート構造MT内で一体的であってよく(したがって、サポート構造MTは基本的にはチャックである)、またはそこに(取外し可能に)取り付けられてもよい。一般に、チャックを取り付けて移動するデバイスおよび方法(例えば、制御装置を用いて)は公知である。
【0031】
[0039] 一実施形態では、チャックは、リソグラフィ装置内の交換可能物体(例えば、パターニングデバイスMA)を支持するサポート構造である。図2は、図1の装置内の物体を支持するサポート構造の形態におけるチャックの斜視図を示す。一般に、チャックは、基板を露光するために使用される放射ビームがリソグラフィ装置内で投影されたときに物体を保持および位置決めするように構成される。特に、チャックは、チャックおよびその上のパターニングデバイスの両方を移動させるポジショナPMによって移動可能である。
【0032】
[0040] チャック10は物体面を有しており、この物体面は、その上にパターニングデバイスMAなどの物体を取り付け、かつクランプデバイスを用いてクランプすることができる。一実施形態によると、チャック10は、少なくとも第1クランプ機構12および第2クランプ機構14を含む。以下でさらに述べるように、本発明の一実施形態では、クランプ機構12および14は、物体をチャックにクランプし、かつさらなる押力をパターニングデバイスに加えることができる。
【0033】
[0041] クランプ機構12およびクランプ機構14の各々は、1つ以上の長距離動作部分および1つ以上の短距離動作部分を含んでよい。非限定的な図示例では、長距離動作部分は第1作動構造16の形態で示され、短距離動作部分は第2作動構造18の形態で示される。第1作動構造16および第2作動構造18は、物体の2つの側面(例えば、各々がX軸に沿って延在する物体の両側)で物体と接触するように構成される。
【0034】
[0042] 第1作動構造16は第2作動構造18を保持し、第2作動構造18をチャックに対して移動させるように構成される。第1作動構造は表面20を含んでおり、この表面20は一実施形態では物体の下に配置され(物体がチャック上で保持された場合)、それ自体が物体を受けてもまたは他の部分と連結して受けてもよい。上記したように、第2作動構造18は、チャックに対して移動するように構成されてよく、かつ第1作動構造に対しても全体的にまたは部分的に移動可能であってもよい。クランプ機構12および14の第1作動構造16もチャックに対して移動するように構成されてよい(例えば、表面上で物体を受けたとき)。例えば、そのような動きは、パターニングデバイスMAを受けるかまたは露光用にパターニングデバイスMAの正確な位置決めを容易にするために必要であり得る。一般に、各第1作動構造16は、直線的に数ミリメートル移動可能(例えば、XまたはY軸に沿って)である。一実施形態では、各第1作動構造16の移動動作範囲は、物体に対して最も遠い第1端と物体に対する第2端(例えば、より近い)との間であってよい。一実施形態では、各第1作動構造16は、約0.1ミリメートル(mm)から約0.5ミリメートル(mm)の間の移動動作範囲を有してよい。一実施形態では、移動範囲は約0.3ミリメートル(mm)である。第1作動構造16は、非常に正確な位置決めを要する必要はない。ある実施形態では、第1作動構造16は、その上に物体がロードされるときおよびアンロードされるときにだけ移動するように構成される。
【0035】
[0043] さらに、第1作動構造16は、第2作動構造18を、物体と接触する第1位置と物体と接触しない第2位置との間で移動させるように構成される。第1位置および第2位置は、第2作動構造に対するある移動動作範囲によって定義されてよい。本明細書中にさらに述べるように、クランプ機構12および14の第1作動構造16および第2作動構造18の動きは、物体(例えば、パターニングデバイスMA)を取り外す、および/または交換することを可能にする。第1作動構造16は、新しい物体がチャック上にロードされた後に第2作動構造18を物体と接触させてよい。第2作動構造18は、押力を物体に加えることができる。図示した実施形態では、第2作動構造18は複数の作動デバイスを含んでおり、1つの作動デバイスは第1作動構造16に隣接するチャック10の各角(4)に設けられる。
【0036】
[0044] 一実施形態によると、リソグラフィ装置は、低圧(例えば、真空)を1つ以上のチャネルに加えて少なくとも物体を適切な位置で保持するために(例えば、露光用)低圧源(真空源32など、図5に示す)を含んでよい。低圧供給デバイス30(図3〜図5に示す)を使用して低圧を物体に直接加えることができる。一実施形態では、クランプ板38が低圧供給デバイス30に接続される。クランプ板38はその中に1つ以上の穴または開口部を有しており、これらを使用して物体の下側(例えば、各々がX軸に沿って延在する物体の両側に対して実質的に垂直の側面)に低圧力を加えて誘導し、物体をクランプ板38に向かって引っ張る。一実施形態では、クランプ板38は、第1作動構造16の表面20(およびその部分)の上に配置されており、第1作動構造16は、クランプ板38に対して移動可能である。図3〜図5を参照してより詳細に説明するように、チャック10のチャネル34および36も介して低圧力を加えて第1作動構造16の各々を保持し、チャック10に対するその動きを防止することができる。
【0037】
[0045] 図3〜図5は、図2のサポート構造の断面図および一実施形態によるサポート構造上の物体を取り扱う方法を示す。図3〜図5は、チャック10、第1作動構造16および第2作動構造18の図2におけるライン3−3に沿ってとられた断面図、および一実施形態によるサポート構造上の物体を取り扱う方法を示す。図2に示すように、チャック10に物体が存在しない場合、第1作動構造16は、例えば物体に対してその移動範囲の最も外側端に配置され、かつ第2作動構造18(例えば、リニアアクチュエータ46)が休止しているときに物体を受けるように位置決めされる。その後物体は、例えば当該技術分野で公知であるロボットハンドラ(図示せず)を用いて、図3に示すように第1作動構造16およびチャック10上にロードされる。この位置では、第2作動構造18は、物体に向かって部分的に延在した位置に任意に移動されてよい(例えば、Y方向において)。例えば、一実施形態では、リニアアクチュエータ46およびその延在部分48は、その移動範囲の最も遠い端から中間地点(その動作範囲の中間)まで移動されてよい。第1作動構造16は、次いで、図4に示すように、第2作動構造18(例えば、延在部分48の端)が第1位置にあり、かつ物体と接触するまでチャック10に対して物体に向かって(矢印Aで示すように)移動されてよい。
【0038】
[0046] 次いで第1作動構造16は、図5に示すように、例えば低圧を用いてチャック10上の適切な位置で固定される。低圧源32は、1つ以上のチャネル34を介して1つ以上のチャネル36を通じて低圧力を加える。加えられた低圧力は、第1作動構造16の底部を下方方向(矢印Bで示すように)に引っ張り、そのインターフェース50でチャック10の上面と接触させる。加えられる低圧は、垂直力および摩擦係数が第1作動構造16とチャック10との間に摩擦力を生成することができるように加えられ、それによって実質的に滑るまたは移動することなく物体上に加えられる力を維持することができる。上述したように、低圧力を使用して物体をクランプ板38へと保持することもできる。
【0039】
[0047] 低圧が加えられて物体および第1作動構造16が固定されると、第2作動構造18は、物体と接触しないその第2位置へと第1作動構造16に対して移動される。これは、例えば露光の前に行われてよい。一実施形態では、リニアアクチュエータ46は、その移動範囲内の休止位置(例えば、中間地点)に引き戻される。第2作動構造18と物体との接触は失われる。これは、アクチュエータ46と物体との間に小さなギャップを提供し、例えば熱膨張を可能にする。
【0040】
[0048] 物体が固定された後、スキャンおよび露光プロセスを開始してリソグラフィ装置内の基板を露光してよい。例えばスリップを避けるために力をパターニングデバイスに加える必要があった場合(例えば、スキャン動作中)、リニアアクチュエータ46は、例えば延在部分48を介してパターニングデバイスと接触するように作動される。その後リニアアクチュエータ46は、力を物体に加えることができる。力を必要としない場合、リニアアクチュエータ46は、物体としないように作動されてよい。
【0041】
[0049] 物体が取り外されるかまたは交換された場合、第2作動構造18のリニアアクチュエータ46は、第1位置から第2位置へとハウジングの中に引き戻される。低圧源32からの低圧力が放出され、第1作動構造16は物体から離される。その後物体は持ち上げられるかまたは取り外される。
【0042】
[0050] 一実施形態では、チャック10に対する第1作動構造16(およびその部分)の動きを補助するために1つ以上のベアリングが提供されてよい。一実施形態では、ベアリングは、移動および相対動作を容易にし得る、チャック10と第1作動構造16との間(例えば、図3に示すように第1作動構造16の下側)のガス(例えば、エア)ベアリングであってよい。
【0043】
[0051] 図8および図9に示すように、第1作動構造16はバネ22(それ自体に制振を有するか、または図8および図9に示すようにダンパ(damper)がさらに設けられている)を含んでよい。バネ22は以下に説明するバネ44と同じように機能する。つまり、第1作動構造のバネ22は、物体を受けるために表面20およびその関連部分の位置決め、および/または物体を固定するために使用できるように第2作動構造18の位置決めを可能にするために提供されてよい。
【0044】
[0052] 一実施形態によると、各第1作動構造16は、第1スライダ部分および第2スライダ部分などといった多数の部分を含んでよい。例えば、第1スライダ部分および第2スライダ部分のうちの少なくとも1つが、チャック10に対しておよび/またはお互いに対して直線的にY方向(例えば、Y軸に沿って)に移動するように構成されてよい。第1スライダ部分および/または第2スライダ部分は、チャックが物体を受けたときに移動してよい。一実施形態では、第1スライダ部分および第2スライダ部分は、そのスライダ部分が対応して組み合わされて物体を受けるための表面の少なくとも一部を形成するように対応表面を有してよい。第1スライダ部分と第2スライダ部分との間の相対動作は、第1および/または第2スライダ部分を移動するように設計された専用の動作デバイスによって生じ得る。さらに、例えば、第1作動構造16は、その中に1つ以上の開口部を含んでよい。開口部は、例えば、低圧源(例えば、真空)から物体の一部に低圧力を誘導および加えるように構成される。これらの開口部は、チャック10の1つ以上の開口部に隣接し、よって低圧力(例えば、真空)を物体に連絡するように構成されるように位置決めされてよい。
【0045】
[0053] 一実施形態では、第1作動構造16は、第2作動構造18を支持するように構成される。一実施形態では、第1作動構造16および第2作動構造18は、お互いに取り付けられる/接続されるように構成される。例えば、図2を参照すると、第2作動構造18は第1作動構造16のいずれの端にも取り付けられてよい。一実施形態では、第2作動構造18の少なくとも一部(例えば、その構成要素のためのハウジング)は、第1作動構造16の一部(例えば、スライダ部分)と一体的に形成されてよい。
【0046】
[0054] 上述したように、例示的実施形態では、第2作動構造18は各角に設けられている。本明細書中に説明するように各々の角に第2作動構造18を用いることは、例えば低圧クランプによる第1作動構造16に対する応力を制限するために、物体の動作中に物体の端への押力の加力を可能にする。例えば、第2作動構造18の各々は作動デバイス40を含んでよい。図6〜図7は、作動デバイスのより詳細な図を示す(例えば、第1作動構造16が取り付けられたものおよび単独のもののそれぞれ)。各作動デバイス40は、所望の力を物体に加えることができる。各作動デバイス40の動きは、ある移動動作範囲(物体と接触する第1位置と物体と接触しない第2位置との間およびそれらを含み、かつその間のあらゆる追加の位置を含む)によって定義されてよい。
【0047】
[0055] 各作動デバイス40は、ハウジング42、バネ44(それ自体に制振を有するか、または図8および図9に示すようにダンパがさらに設けられる)およびリニアアクチュエータ46(図8および図9も参照)を含んでよい。ハウジング42は、バネ44およびリニアアクチュエータ46を少なくとも部分的に囲う。スプリング44は、リニアアクチュエータ46をハウジング42に対して押し、かつその一部がハウジングから出るように構成され、それによってリニアアクチュエータ46の少なくとも延在部分48は第1位置(物体と接触する)と第2位置(物体と接触しない)との間で移動することができる。リニアアクチュエータ46を作動させて(例えば、拡張または収縮)その一部、例えば延在部分48を第1位置で物体と接触させてそれに力を加えるか、または物体としないようにする(例えば、図5の矢印Cを参照)。一実施形態では、リニアアクチュエータ46は、圧電デバイスまたは材料を含んでよい。リニアアクチュエータ46は、物体と接触しているときに一定力を加えるように構成される。物体に対する力を必要としない場合、延在部分48の端は物体と接触しないように第2位置に引き戻される。
【0048】
[0056] バネ44は、物体に加えられてリニアアクチュエータ46をハウジング42に押すことができる最大力までプリロードすることができるような剛性を有してよい。ある実施形態では、このプリロードは、構成要素の十分な設計を介して調整可能とすることができる。バネ44は、リニアアクチュエータ46の変位範囲全体にわたってほぼ一定の力を提供するような弾性定数を有する。
【0049】
[0057] 例えば、物体に力を加える必要があるとき、すなわち、物体がロードされて位置決めの準備ができているとき、リニアアクチュエータ46は膨張または延在して物体に到達し(例えば、延在部分48を介して)、物体に対して力を押すかまたは力を及ぼす。物体に及ぼされた力がプリロードを超えた場合、バネ44は変形し始め、それによって物体に及ぼされた力はリニアアクチュエータ46のさらなる膨張とは無関係にほぼ一定のままであることができる。
【0050】
[0058] 第2作動構造18の作動デバイス40の移動動作範囲は、各作動デバイス40のハウジング42、バネ44およびリニアアクチュエータ46の特徴によって決定されてよい。例えば、一実施形態では、範囲は、バネ44およびリニアアクチュエータ46が移動することができるハウジング42内の空間の量によって限定されてよい。別の実施形態では、範囲は、リニアアクチュエータ46の膨張および収縮を可能とするバネ定数および/または剛性によって定められてもよい。さらに、使用されるアクチュエータ46の種類が作動デバイス40の移動動作範囲を決定してもよいが、そのような特徴は限定的であるべきではない。例えば、一実施形態では、各作動デバイス40の動作範囲は相対的に短くてよい(例えば、10〜30ミクロン)。
【0051】
[0059] 各作動デバイス40は、ある一定の固有周波数が使用されるように構成されてよい。例えば、一実施形態では、作動デバイス40は約2.5KHzの固有周波数を含む。各デバイス40およびその構成要素は、物体の正確なアライメントを得るための公知の条件に従って製造または調整されてもよい。例えば、一実施形態では、ハウジング42は1.5×10N/mよりおよそ大きい剛性を含んでよい。バネ44は、約20N〜約25Nの間およびそれらを含む力にプリロードされてよい。バネ44の剛性は望まれるように設定されてもよい。一実施形態では、バネ44の剛性は1.5×10N/mよりおよそ大きい。ハウジング42に対して移動しているときのバネ44の移動距離および/または長さの変化は、約10マイクロメートル(μm)を含むそれまでであってよい。さらに、アクチュエータ46は、30Nよりおよそ大きい力を加え、さらに約10ミクロンから約30ミクロンの間およびそれらを含む移動範囲、約15gから約20gの質量、および1.5×10N/mよりおよそ大きい剛性を有してよい。しかしながら、これらのパラメータは限定ではなく単なる例示を意味するものである。各構成要素に関連する特徴は限定的であるべきではない。例えば、延在部分48および/またはリニアアクチュエータ46が延在および/または収縮する範囲は限定を意味するものではない。一部の場合、アクチュエータ46は、その全延在範囲の約三分の一(例えば、約10ミクロン)まで部分的に延在されてよい。別の実施形態では、アクチュエータ46は、その全延在範囲の約半分(例えば、約15ミクロン)まで部分的に延在されてよい。
【0052】
[0060] 作動構造は、スリップおよびラチェッティング(ratcheting)(例えば、低圧源32を介するクランプ板38に対する過度の応力による)を防ぐために決定された量の力を物体に加えることができる。そのような問題を防ぐことは、パターニングデバイスの位置決めに関連するオーバーレイ仕様を合わせることができる。
【0053】
[0061] 一般に、全体的なサポート構造/チャック設計に対する影響は、特に他の代替物と比べて比較的小さいであろう。説明した作動構造の追加はチャックにさらなる質量を追加し得るが、作動構造の設計にもより得る。潜在的に、追加される質量は物体(例えば、パターニングデバイスMA)と同様またはチャック10の全質量の約5パーセント(5%)であり得る。本明細書中に記載した作動構造は、より良い結果(すなわち、正確な位置決め)を可能とする一方、実施するために比較的簡単でもある。圧電アクチュエータが第2作動構造18で使用される一実施形態では、熱的問題を実質的に減少および/または除去することができる。
【0054】
[0062] バネ44(その剛性を用いて)の使用は、必要に応じて物体に対する力を維持することに役立つ。つまり、バネ44は、リニアアクチュエータ46によって物体に加えられる力を実質的に一定のまま保つことに役立つ。バネおよびリニアアクチュエータの組み合わせは、全移動動作範囲内の各作動デバイス40の移動を可能にするためにも役立つ。これは、あらゆる物体膨張(例えば、位置決め中)を補償し、かつ各作動デバイス40を純粋な力アクチュエータと類似させることに役立つことができる。さらに、作動デバイス40が第2位置に移動して物体と接触していないとき、物体の周りの領域またはギャップは応力緩和および熱膨張(例えば、物体の変形、放射ビームの投影/露光中の変化、位置決め中の変化等に関連する)を可能にする。さらに、第1作動構造16(例えば、バネ22)と使用する構造は、物体を受けるように表面20およびその関連部分を位置決めすること、および/または物体を固定するために使用できるように第2作動構造18を位置決めすることに役立つ。
【0055】
[0063] さらに、説明した作動構造は、差圧、クランプに対する表面利用度および摩擦係数によって限定されない。第1作動構造16とチャック10とのインターフェースに摩擦を生成するための垂直力は限定されない。
【0056】
[0064] 示される実施形態のほかに、多数の様々な実施形態も可能であることが理解されるであろう。例えば、実施形態では、チャック10、第1作動構造16および第2作動構造18は、パターニングデバイスMAをサポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上で、または基板を基板テーブルWTで保持するように構成されてよい。チャックを使用してリソグラフィ装置内のミラーなどの他の物体を保持および位置決めしてもよい。本明細書中に説明したチャック、第1および第2作動構造は、インプリントリソグラフィツール、マスクレスリソグラフィツールなどといった投影光学系を含まないリソグラフィツール、ならびにこの例とは実質的に異なる投影光学設計を有するリソグラフィツールで使用されてもよい。
【0057】
[0065] 図8および図9は、図2〜図5に示すサポート構造のバネ−マス−ダンパ(spring-mass-damper)モデル/システムを示す。上記した様々な部分およびその位置関係は、図8および図9から明らかに分かる。さらに、図8および図9は、相対動作、アクチュエータおよびバネ/ダンパも示す。
【0058】
[0066] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0059】
[0067] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0060】
[0068] また、リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を満たすように、基板の表面が比較的高屈折率を有する液体(例えば水)内に沈められるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、パターニングデバイスと投影システムの第1要素との間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。
【0061】
[0069] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0062】
[0070] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0063】
[0071] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法の動作をもたらすように構成された1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0064】
[0072] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置内の交換可能物体を位置決めするサポート構造であって、前記サポート構造は、
前記交換可能物体を支持し、かつクランプ力を前記交換可能物体に加えるチャックと、
第1作動構造および第2作動構造とを含み、
前記第1作動構造は、前記チャックに対して移動可能であり、かつ前記第2作動構造を前記交換可能物体の側面と接触する第1位置と前記交換可能物体の前記側面と接触しない第2位置との間で移動させるように構成され、
前記第2作動構造は、その少なくとも一部を前記第1作動構造に対して前記交換可能物体の前記側面と接触する第1位置と前記交換可能物体の前記側面と接触しない第2位置との間で移動させ、かつ押力を前記交換可能物体の前記側面に加えるように構成されている、サポート構造。
【請求項2】
前記交換可能物体はパターニングデバイスであり、前記チャックは移動可能である、請求項1に記載のサポート構造。
【請求項3】
前記チャックに対する動きを防ぐ位置で前記第1作動構造を保持するために低圧を伝達するチャネルをさらに含む、請求項1または2に記載のサポート構造。
【請求項4】
前記第1作動構造は第1スライダ部分および第2スライダ部分を含み、前記第1スライダ部分および/または前記第2スライダ部分は、前記チャックに対して直線的におよび前記チャックが前記交換可能物体を受けたときに移動するように構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のサポート構造。
【請求項5】
前記第1スライダ部分および前記第2スライダ部分は、前記第1および第2スライダ部分が対応して組み合わされて前記交換可能物体の下に表面を形成するように対応表面を有する、請求項4に記載のサポート構造。
【請求項6】
前記第2作動構造はバネおよびリニアアクチュエータを含んでおり、前記バネは、前記リニアアクチュエータに力を加えて前記リニアアクチュエータを前記第1作動構造に対して移動させるように構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載のサポート構造。
【請求項7】
前記バネおよび前記リニアアクチュエータは、前記交換可能物体の動作中に実質的に一定の力を加えるように構成されている、請求項6に記載のサポート構造。
【請求項8】
前記リニアアクチュエータは、その一部を移動させて前記交換可能物体と接触するかまたは接触しないように構成されている、請求項6または7に記載のサポート構造。
【請求項9】
前記リニアアクチュエータは圧電性である、請求項6〜8のいずれかに記載のサポート構造。
【請求項10】
パターニングデバイスからのパターンを基板上に転写するリソグラフィ装置であって、前記装置は、
交換可能物体を支持し、かつクランプ力を前記交換可能物体に加えるチャックと、
第1作動構造および第2作動構造とを含み、
前記第1作動構造は、前記チャックに対して移動可能であり、かつ前記第2作動構造を前記交換可能物体の側面と接触する第1位置と前記交換可能物体の前記側面と接触しない第2位置との間で移動させるように構成され、
前記第2作動構造は、その少なくとも一部を前記第1作動構造に対して前記交換可能物体の前記側面と接触する第1位置と前記交換可能物体の前記側面と接触しない第2位置との間で移動させ、かつ押力を前記交換可能物体の前記側面に加えるように構成されている、リソグラフィ装置。
【請求項11】
パターン付き放射ビームを提供する前記パターニングデバイスを支持するサポート構造と、
前記基板を保持する基板テーブルと、
前記パターン付きビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムと
をさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記交換可能物体はパターニングデバイスであり、前記チャックは移動可能である、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1作動構造は第1スライダ部分および第2スライダ部分を含み、前記第1スライダ部分および/または前記第2スライダ部分は、前記チャックに対して直線的におよび前記チャックが前記交換可能物体を受けたときに移動するように構成されている、請求項10〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記第2作動構造はバネおよびリニアアクチュエータを含んでおり、前記バネは、前記リニアアクチュエータに力を加えて前記リニアアクチュエータを前記第1作動構造に対して移動させるように構成されている、請求項10〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記バネおよび前記リニアアクチュエータは、前記交換可能物体の動作中に実質的に一定の力を加えるように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記リニアアクチュエータは、その一部を移動させて前記交換可能物体と接触するかまたは接触しないように構成されている、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記リニアアクチュエータは圧電性である、請求項14〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
リソグラフィ装置内の交換可能物体を位置決めするサポート構造であって、前記サポート構造は、
前記交換可能物体を支持し、かつクランプ力を前記交換可能物体に加えるチャックと、
前記交換可能物体の側面に押力を加える作動構造であって、前記作動構造はバネおよびリニアアクチュエータを含んでおり、前記バネは前記リニアアクチュエータに力を加えて前記リニアアクチュエータを前記チャックに対して移動させるように構成されている、サポート構造。
【請求項19】
前記バネおよび前記リニアアクチュエータは、前記交換可能物体の動作中に実質的に一定の力を加えるように構成されている、請求項18に記載のサポート構造。
【請求項20】
前記リニアアクチュエータは、その一部を移動させて前記交換可能物体と接触するかまたは接触しないように構成されている、請求項18または19に記載のサポート構造。
【請求項21】
前記リニアアクチュエータは圧電性である、請求項18〜20のいずれかに記載のサポート構造。
【請求項22】
リソグラフィ装置内の物体を位置決めする方法であって、前記方法は、
前記物体を前記リソグラフィ装置のチャック上にロードし、かつクランプ力を前記物体に加えて前記物体を前記チャックにクランプすることと、
第1作動構造を前記チャックに対して前記物体に向かって移動させて第2作動構造を前記物体と接触するように移動させることと、
前記第2作動構造の少なくとも一部を前記第1作動構造に対して前記物体の側面と接触する第1位置と前記物体の前記側面と接触しない第2位置との間で移動させることと、
前記第2作動構造を用いて前記物体の前記側面に押力を加えることと
を含む、方法。

【図5】
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【公開番号】特開2011−166137(P2011−166137A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−20881(P2011−20881)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(503195263)エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. (232)
【Fターム(参考)】