説明

サージ防護素子の検査方法及びサージ防護素子の検査装置

【課題】サージ防護素子の信頼性を適切に検査することができ、かつ、サージ防護素子の検査を効率化し、それによってサージ防護素子の生産性の向上に寄与する。
【解決手段】所定の波頭長及び波尾長の電流波形を有する第1衝撃電流の電流波形よりも波頭長及び波尾長が短く、かつ、波高値が高い電流波形を有する第2衝撃電流(第2サージ電流)をすべてのサージ防護素子に与え、前記第2衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、破壊されなかったサージ防護素子を適合品として選別する第1検査工程と、該第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子のうちの所定数のサージ防護素子に前記第1衝撃電流(第1サージ電流)を与え、該第1衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、破壊されなかったサージ防護素子を適合品として選別する第2検査工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ防護素子の信頼性を検査するサージ防護素子の検査方法及びサージ防護素子の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器などの電子機器は、異常電圧などに敏感なICやLSIが多用されている。このため、雷などの衝撃電圧(サージ電圧という。)や衝撃電流(サージ電流という。)などに対して十分な対策が必要である。このようなサージ電圧やサージ電流から電子機器を防護する素子としてサージ防護素子が用いられる。
【0003】
サージ防護素子としては、近年、電流制御型のシリコンサージ防護素子が注目されている(例えば、非特許文献1参照。)。シリコンサージ防護素子は、サージ電圧などの異常電圧に対する高速応答が可能であり、また、シリコン固体内の電子、正孔の輸送動作原理であるため劣化が少なく、PN接合で動作メカニズムを生成するので、双方向、単方向、スイッチング動作などが高精度に設計可能となるなど種々の利点を有する。
【0004】
このようなシリコンサージ防護素子(以下、単にサージ防護素子という。)は、通信機器の雷撃防止用として好適に用いることが可能であるが、サージ防護素子の製造メーカ側においては、製造されたサージ防護素子が適切に動作するか否かを試験したのちに、サージ防護素子を通信機器などに搭載する製品メーカなど(納品先という。)に出荷する必要がある。
【0005】
すなわち、サージ防護素子は、雷撃において発生するサージ電圧やサージ電流に対し、当該サージ電圧やサージ電流を接地側に適切に通過させることができ、かつ、所定の大きさのサージ電圧やサージ電流においても破壊されないことが要求される。したがって、これらの要求を満たすか否かを出荷前に検査し、検査に適合した製品のみを納品先に出荷する必要がある。このような検査を行う際、納品先によって指定された検査を行う必要がある。
【0006】
図6は、サージ防護素子の検査に用いられるサージ電流について説明する図である。図6(a)に示すサージ電流は、例えば、サージ防護素子の納品先による規定に基づいて設定された破壊検査用のサージ電流であり、波頭長が10μs、波尾長が1000μs、波高値100Aのサージ電流である。図6(a)に示すように、サージ電流の立ち上がり直後の時刻t0から電流の波高値すなわちピーク値(ピーク値を100%としてそれを1.0として表している)に達する直前の時刻t1までを波頭長T1とし、時刻t0から時刻t2(サージ電流がピーク値に達したのちピーク値の50%(0.5)に落ちるまでの時刻)を波尾長T2としている。なお、このようなサージ電流を以下では、10/1000μsのサージ電流と呼ぶことにする。図6(b)は図6(a)に示すサージ電流の電流波形を模式的に示す図であり、波頭長及び波尾長を示す時間的な基点及び終点はこれらを近似的に示している。
【0007】
図6に示すようなサージ電流を製品(サージ防護素子)に与えたときに、破壊されなかった製品のみを適合とし、破壊された製品を不適合品として選別する。このような選別方法を採用することによって、雷撃などに耐え得るシリコンサージ防護素子を適切に選別することができる。
【0008】
【非特許文献1】シリコンサージ防護素子の製品カタログ(CAT.No.U019−9)、新電元工業株式会社、2001年9月発行、2003年12月印刷
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、サージ防護素子の検査を行う際、効率よく短時間でサージ防護素子の検査を行うことがサージ防護素子の生産性の向上という点から重要である。しかしながら、図6に示したサージ電流を用いた検査方法においては、検査対象となるすべてのサージ防護素子について、納品先によって規定された10/1000μsのサージ電流を与える必要がある。このように、納品先によって規定されたサージ電流は、波頭長及び波尾長が比較的長いサージ電流であり、これをすべてのサージ防護素子に与える必要がある。このため、検査対象となるサージ防護素子の数が、何万個あるいは何十万個ともなると、検査に多くの時間を要することとなり、サージ防護素子の生産性向上を阻害する大きな要因ともなっている。
【0010】
サージ防護素子の生産性の向上を図るため、サージ防護素子の検査に用いるサージ電流の波頭長及び波尾長をより短くすることも考えられるが、前述したように、検査に用いるサージ電流の定格が納品先によって規定されている場合、納品先によって規定されているサージ電流による検査は必須である。したがって、サージ防護素子の生産性の向上を図るためには、納品先によって規定されているサージ電流による検査を行い、かつ、検査の効率化を図ることが必要となる。
【0011】
そこで、本発明は、納品先によって規定されたサージ電流による検査を行い、かつ、検査の効率化を図ることが可能なサージ防護素子の検査方法及びサージ防護素子の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明のサージ防護素子の検査方法は、所定の波頭長及び波尾長並びに波高値を有する電流波形を有する第1衝撃電流に耐えるサージ防護素子を選別するための検査を行うサージ防護素子の検査方法であって、前記第1衝撃電流の電流波形よりも短い波頭長及び波尾長並びに高い波高値を有する電流波形を有する第2衝撃電流を検査対象となるすべてのサージ防護素子に与え、前記第2衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、破壊されなかったサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として選別する第1検査工程と、前記第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子から所定数のサージ防護素子を抜き取り、前記所定数のサージ防護素子に前記第1衝撃電流を与え、前記第1衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、当該所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が破壊されなかったときに、前記第1検査工程によって適合品とされたすべてのサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として認定する第2検査工程とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明によるサージ防護素子の検査方法によれば、まずは、第2衝撃電流による検査(全数検査)を第1検査工程として行い、該第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子の中から所定数を抜き取り、抜き取られたサージ防護素子に対して第1衝撃電流を用いた検査(抜き取り検査)を第2検査工程として行っている。
【0014】
第1検査工程に用いる第2衝撃電流は、第1衝撃電流に比べて、波頭長及び波尾長がより短く、波高値がより高い急峻な波形を有しているため、第1衝撃電流による検査(第2検査工程による検査)に比べて、サージ防護素子に与える負荷はより大きいものである。したがって、第2衝撃電流による検査(第1検査工程による検査)によって適合品として選別されたサージ防護素子は、当該検査だけでも十分な実用性を有するものであると考えられる。ただし、当該サージ防護素子に対して、第1サージ電流による検査に適合することが要求されている場合がある。
【0015】
このように、第1衝撃電流による検査に適合することが要求されている場合、第1衝撃電流による検査を行う必要があるが、本発明においては、当該第1衝撃電流による検査を第2検査工程として行っているので、その要求をも満たすこととなる。この第1衝撃電流による検査は、本発明においては、第1検査工程による検査によって適合品として選別されたサージ防護素子の中からの抜き取り検査であるが、第1検査工程により適合品として選別されたサージ防護素子は、すでに、第1衝撃電流よりも負荷の大きい第2衝撃電流による検査に適合したものであるので、たとえ抜き取り検査であっても品質を保証する上で十分な検査であるといえる。
【0016】
また、本発明によるサージ防護素子の検査方法においては、第1検査工程における全数検査を行う際に用いる第2衝撃電流は、第1衝撃電流に比べて波頭長及び波尾長が時間的に短い電流波形であるので、個々のサージ防護素子に対する検査に要する時間を短縮することができる。特に、検査対象となるサージ防護素子の数が、何万、何十万ともなると全体の検査時間で考えれば、検査に要する時間を大幅に短縮することができる。なお、第2衝撃電流による全数検査に加えて、第1衝撃電流による検査をも行う必要があるが、第1衝撃電流による検査は、抜き取り検査であるので、検査時間に大きな影響は与えることはない。
【0017】
(2)前記(1)に記載のサージ防護素子の検査方法においては、前記第2検査工程は、検査対象となる複数のロットの各ロットごとに行い、前記各ロットから所定数のサージ防護素子を抜き取り、前記所定数のサージ防護素子に前記第1衝撃電流を与え、前記第1衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、前記所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が破壊されなかったときに、当該ロットに属するすべてのサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として認定することが好ましい。
【0018】
このように第2検査工程は、各ロットごとに抜き取り検査によって当該検査に対する適/不適を判定する。そして、各ロットにおいて、抜き取り検査対象となったサージ防護素子のすべてのサージ防護素子が適合品として判定された場合のみに当該ロットに属するサージ防護素子をすべて適合品とする。言い換えれば、抜き取り検査対象となったサージ防護素子のうちの1つでも不適合と判定された場合は当該ロットに属するすべてのサージ防護素子を不適合品とする。このように、第2検査工程は、ロットごとの抜き取り検査であるが、抜き取り検査対象となったサージ防護素子のうちの1つでも不適合と判定された場合は当該ロットに属するすべてのサージ防護素子を不適合品とするので、適切な選別を行うことができる。
【0019】
(3)前記(1)又は(2)に記載のサージ防護素子の検査方法においては、前記サージ防護素子が、シリコンサージ防護サイリスタであることが好ましい。
【0020】
このように、サージ防護素子としてシリコンサージ防護サイリスタを用いることにより、雷撃などにより発生する衝撃電流などに対して高速かつ確実に応答することができるとともに、防護回路を簡素化することができる。また、長期間の使用においても劣化が小さく保守性にも優れたものとすることができる。
【0021】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のサージ防護素子の検査方法においては、前記第1衝撃電流は、波頭長が10μs、波尾長が1000μs、波高値が100アンペアの電流波形を有する衝撃電流であることが好ましい。
【0022】
これは、サージ防護素子に対して定められた規格の1つであって、サージ防護素子は、このような衝撃電流に耐えることが要求される。したがって、このような第1衝撃電流による検査によって適合品として選別されたサージ防護素子は、雷撃などに十分耐えられるものとして選別することができる。
【0023】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のサージ防護素子の検査方法においては、前記第2衝撃電流は、波頭長が2μs、波尾長が10μs、波高値が300Aの電流波形を有する衝撃電流であることが好ましい。
【0024】
第2衝撃電流の電流波形は、第1衝撃電流の電流波形に比べて、波頭長及び波尾長がより短く、波高値がより高い急峻な波形を有している。このような第2衝撃電流による検査(第1検査工程による検査)は、第1衝撃電流による検査(第2検査工程による検査)に比べて、サージ防護素子に与える負荷はより大きいものとなる。このため、第2衝撃電流による検査によって適合品として選別されたサージ防護素子は、当該検査だけでも十分な実用性を有するものとなる。なお、このような電流波形を有する第2衝撃電流を用いた第1検査工程のあとに行われる第2検査工程は、第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子の中からの抜き取り検査であるが、第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子は、第2検査工程において用いられる第1衝撃電流よりも負荷の大きい第2衝撃電流による検査に適合したものであるので、たとえ抜き取り検査であっても品質を保証することができる。
【0025】
(6)本発明のサージ防護素子の検査装置は、前記(1)に記載のサージ防護素子の検査方法を実施するためのサージ防護素子の検査装置であって、検査対象となるサージ防護素子を接続するための接続端子と、前記第1衝撃電流を発生する第1衝撃電流発生部と、前記第1衝撃電流よりも短い波頭長及び波尾長並びに高い波高値を有する第2衝撃電流を発生する第2衝撃電流発生部と、検査対象となるサージ防護素子が破壊されたか否かを判定するために検査対象となるサージ防護素子に所定の不動作電圧を与える不動作電圧発生部と、前記検査対象となるサージ防護素子にかかる電圧および前記検査対象となるサージ防護素子に流れる電流を監視する電圧・電流監視部とを有するサージ試験装置と、前記第1衝撃電流または第2衝撃電流を前記サージ防護素子に与えたのちの所定時間後における前記電圧・電流監視部によって監視された電圧及び/又は電流値に基づいて当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定する判定部を有する検査制御装置とを有するサージ防護素子の検査装置であって、前記検査制御装置は、前記第1検査工程を行う際には、検査対象の各サージ防護素子に対して、前記第2衝撃電流を与えるための指示を前記サージ試験装置に対して出力するとともに、前記判定部による判定結果に基づいて前記第2衝撃電流によって破壊されなかったサージ防護素子を当該試験に適合する適合品として選別し、前記第2検査工程を行う際には、前記第1検査工程によって適合品とされたサージ防護素子から抜き取った所定数のサージ防護素子に対して、前記第1衝撃電流を与えるための指示を前記サージ試験装置に対して出力するとともに、前記判定部による判定の結果、当該所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が前記第1衝撃電流によって破壊されなかったときに、前記第1検査工程によって適合品とされたサージ防護素子のすべてを当該検査に適合する適合品として認定する機能を有することを特徴とする。
【0026】
本発明のサージ防護素子の検査装置がこのような構成を有することによって、前記(1)に記載したサージ防護素子の検査方法を実施することができる。なお、(6)におけるサージ防護素子の検査装置においても、前記(2)〜(5)に記載したサージ防護素子の検査方法と同様の機能を有することが好ましい。
【0027】
(7)前記(6)に記載のサージ防護素子の検査装置においては、前記検査制御装置は、
前記第1検査工程を行う際には、検査対象となるすべてのサージ防護素子に対して、前記第2衝撃電流を与えるための指示を順次出力する機能を有し、前記第2検査工程を行う際には、前記第1検査工程によって適合品とされたサージ防護素子から抜き取った所定数のサージ防護素子に対して、前記第1衝撃電流を与えるための指示を順次出力する機能を有することが好ましい。
【0028】
これにより、第1検査工程を行う際は、検査制御装置に接続された複数個のすべてのサージ防護素子に対して、順次、第2衝撃電流を与えることができ、また、第2検査工程を行う際は、検査制御装置に接続された所定数のサージ防護素子に対して、順次、第1衝撃電流を与えることができるので、検査の効率化を図り、短時間で多数のサージ防護素子の検査を実施することができる。
【0029】
(8)前記(6)又は(7)に記載のサージ防護素子の検査装置においては、前記検査制御装置は、前記第2検査工程を行う際は、前記第2検査工程を検査対象となる複数のロットの各ロットごとに行い、前記各ロットから抜き取られた所定数のサージ防護素子に対して、前記第1衝撃電流を与え、前記第1衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、前記所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が破壊されなかったときに、当該ロットに属するすべてのサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として認定することが好ましい。
これは、サージ防護素子の検査方法の前記(2)と同様、ロットごとに第2検査工程を行うというものであり、(2)と同様の効果を得ることができる。
【0030】
(9)前記(6)〜(8)のいずれかに記載のサージ防護素子の検査装置において、前記検査制御装置は、前記各サージ防護素子が破壊されたか否かについての判定結果を各サージ防護素子ごとに記憶する記憶部を有することが好ましい。
【0031】
(10)前記(8)に記載のサージ防護素子の検査装置において、前記検査制御装置は、前記各サージ防護素子が破壊されたか否かについての判定結果を前記各ロットごとに記憶する記憶部を有することが好ましい。
【0032】
このように、判定結果を記憶する記憶部を有することにより、判定結果をデータとして残すことができる。例えば、前記(8)においては、各サージ防護素子ごとに、個々のサージ防護素子が適合品であるか否かを示すデータが記憶部に記憶され、前記(9)においては、各ロットに属する個々のサージ防護素子が適合品であるか否かを示すデータが各ロットに対応付けられて記憶部に記憶される。このように、判定結果が記憶部に記憶されることにより、検査対象のサージ防護素子が大量に存在する場合であっても、サージ防護素子の検査を効率よく、かつ、適切に行うことができ、また、検査後における製品管理もしやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す本発明の実施形態においては、検査対象となるサージ防護素子は、電流制御型のシリコンサージ防護サイリスタであるとする。
【0034】
図1は、検査対象となる電流制御型のシリコンサージ防護サイリスタの構造を示す図である。検査対象となるシリコンサージ防護サイリスタ300(以下、サージ防護素子と300いう)は、図1に示すように、n型基板を用いた電流制御型のシリコンサージ防護サイリスタであり、図1(a)にその構造を示し、図1(b)にその電気的等価回路を示している。また、その記号を図1(c)に示す。本発明の実施形態において用いられるサージ防護素子300は、図1(b)に示すように、2つのサイリスタを逆向きに並列接続した複合素子として考えることができる。
【0035】
図2は、本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査装置の構成を概略的に示す図である。本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査装置100は、図2に示すように、サージ試験装置200と、検査対象となるサージ防護素子300を接続するための接続端子400a,400bと、サージ防護素子300の検査を行うに必要な各種制御(詳細は後述する)を行う検査制御装置600とを有している。なお、検査制御装置600としては、パーソナルコンピュータなどを用いることができる。
【0036】
サージ試験装置200は、第1衝撃電流(第1サージ電流という)を発生して該第1サージ電流を接続端子400a,400bに接続されたサージ防護素子300に与える第1サージ電流発生部210、第1サージ電流よりも波頭長及び波尾長が短く、かつ、波高値が高い第2衝撃電流(第2サージ電流という)を発生して該第2サージ電流を接続端子400a,400bに接続されたサージ防護素子300に与える第2サージ電流発生部220と、接続端子400a,400bに接続されたサージ防護素子300にかかる電圧及びサージ防護素子300に流れる電流を監視する電圧・電流監視部230と、接続端子400a、400bに接続されたサージ防護素子300に不動作電圧(繰り返しピークオフ電圧)Vd及び短絡電流Icを継続的に与える不動作電圧発生部としての続流回路240とを有している。なお、続流回路240は、不動作電圧Vdを発生する電源241、短絡電流Icを流すための抵抗242及び整流素子243,244を有する。
【0037】
また、検査制御装置600は、第1サージ電流又は第2サージ電流をサージ防護素子300に与えたのちの所定時間後における電圧・電流監視部230により監視されたサージ防護素子300の電圧及び/又は電流に基づいて当該サージ防護素子300が破壊されたか否かを判定する判定部610と、判定結果を記憶する記憶部620とを有している。なお、記憶部620には、検査対象となる各サージ防護素子300が破壊されたか否かについての判定結果が各サージ防護素子ごとに記憶されるとともに、第2検査工程において検査対象となる各ロットに含まれるサージ防護素子が破壊されたか否かについての判定結果が前記各ロットごとに記憶される。
【0038】
ところで、第1サージ電流は、波頭長が10/1000μs、波高値100Aのサージ電流であり、その電流波形は図6に示されている。なお、本発明の実施形態においては、第1サージ電流は説明の簡単化のため、図6(b)に示す模式化した電流波形を用いて説明する。一方、第2サージ電流は、波頭長が2μs、波尾長が10μsであって、波高値300Aのサージ電流(以下では、2/10μsのサージ電流という)を用いる。この第2サージ電流もその電流波形は、第1サージ電流と同様、模式化した電流波形を用いて説明する。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査方法において用いる第2サージ電流の電流波形を模式的に示す図である。第2サージ電流は、上記したように、2/10μsのサージ電流であるので、第2サージ電流の電流波形は、第1サージ電流の電流波形に比べて、波頭長及び波尾長がより短く、波高値がより高いサージ電流である。なお、2/10μsのサージ電流も実際には、図6(a)に示す第1サージ電流と同様、サージ電流の立ち上がり直後の時刻t0から電流の波高値すなわちピーク値(ピーク値を100%としてそれを1.0として表している。)に達する直前の時刻t1までを波頭長T1、時刻t0から時刻t2(サージ電流がピーク値に達したのちピーク値の50%(0.5)に落ちるまでの時刻)を波尾長T2とするが、その図示は省略する。
【0040】
図4は、本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査方法における検査手順を説明する図である。図4に示すように、本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査方法は、まずは、第2サージ電流を検査対象となるすべてのサージ防護素子300に与え、第2サージ電流によって当該サージ防護素子300が破壊されたか否かを判定し、破壊されたサージ防護素子を当該検査における不適合品、破壊されなかったサージ防護素子を当該検査における適合品として選別する。
【0041】
その後、第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子のうちの所定数のサージ防護素子を抜き取って、抜き取られたサージ防護素子に第1サージ電流を与え、この第1サージ電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、破壊されたサージ防護素子を当該検査における不適合品、破壊されなかったサージ防護素子を当該検査における適合品として選別する第2検査工程を行う(図4(c),(d)参照)。
【0042】
なお、第2検査工程を行う際は、各ロットごとに所定数を抜き取って、抜き取られたサージ防護素子について第2サージ電流による抜き取り検査を行う。そして、第2検査工程により、1個でも破壊されたサージ防護素子があれば、当該ロットに属するすべてのサージ防護素子は不適合品とする。また、抜き取り検査の結果、当該ロットにおいて抜き取ったすべてのサージ防護素子が破壊されなかった場合は、当該ロットに属するすべてのサージ防護素子は適合品とする。
【0043】
このように、第1検査工程はすべてのサージ防護素子に対して行ういわゆる全数検査であり、第2検査工程は、第1検査工程により適合品として選別されたサージ防護素子の中から各ロットごとに所定数を抜き取って行ういわゆる抜き取り検査である。このような第1検査工程及び第2検査工程の各検査は、検査制御装置600の制御によって行うことができる。
【0044】
ここで、検査の具体例について説明する。まずは、検査制御装置600を第1検査工程の検査モードに設定しておく。第1検査工程の検査モードにおいて、検査対象となるサージ防護素子300が端子400a,400bに接続されたのち、検査制御装置600によって、サージ試験装置200の第2サージ電流発生部220に対し、サージ通電指示が出されると、第2サージ電流発生部220からは、図3に示す電流波形を有する第2サージ電流がサージ防護素子300に与えられる。そして、第2サージ電流によりサージ防護素子300が破壊されたか否かを検査する。
【0045】
なお、サージ防護素子300が破壊されたか否かの検査は、「サージ防護素子にサージ通電後、規定時間内に当該サージ防護素子がサージ通電前の状態に復帰するか否かを判定する検査」であり、規定時間内にサージ通電前の状態に復帰すれば、当該サージ防護素子300は破壊されなかったと判定、すなわち、適合品として判定し、規定時間内にサージ通電前の状態に復帰しなければ、当該サージ防護素子300は破壊されたと判定、すなわち、不適合品として判定する。この第1検査工程による検査はすべてのサージ防護素子300に対して行う。
【0046】
図5は、検査実施時におけるサージ防護素子の電圧と電流の時間的な変化を示す図である。なお、図5(a)及び図5(b)に示した波形は、横軸が時間tを表し、縦軸がサージ防護素子300に加わる電圧(製品電圧)Vと、サージ防護素子300に流れる電流(製品通電電流)Iとを表している。例えば、第2サージ電流発生部220がサージ通電開始前の時刻t1では、製品電圧Vは不動作電圧(繰り返しピークオフ電圧)Vdであり、時刻t1における製品通電電流Iはサージ防護素子300固有の微小な漏れ電流(繰り返しピークオフ電流)Idである。
【0047】
そして、時刻t2で第2サージ電流発生部220から第2サージ電流が与えられると、その後、製品電圧Vは、最大電圧Vmaxまで上昇したのち、数ボルト程度のオン電圧に移行する。また、サージ防護素子300に流れる電流(製品通電電流)Iは、サージ電流Isと続流回路240の短絡電流Icとをプラスした電流となる。
【0048】
そして、時刻t2から規定時間(Δt時間)後の時刻t3において製品電圧Vが復帰するか否かを確認する。すなわち、サージ防護素子300が適合品の場合は、第2サージ電流が徐々に小さくなり、サージ通電開始(時刻t2)からΔt時間後の時刻t3に製品電圧Vがサージ通電開始前の不動作電圧(繰り返しピークオフ電圧Vd)に復帰する(図3(a)参照。)。一方、図3(b)に示すように、時刻t3において不動作電圧Vdに復帰しない場合は、当該サージ防護素子300は不適合品であるとする。サージ防護素子300が不適合品である場合、製品電圧Vは時刻t3以降も数ボルト程度のままで推移するとともに、製品通電電流Iは続流回路240の短絡電流Icが流れたままとなる(図3(b)参照。)。
【0049】
なお、本発明の実施形態においては、規定時間以内にサージ防護素子300がサージ通電前の状態に復帰するかを判定するというものであるが、実際には「製品固有の保持電流Ih」と「続流回路240の短絡電流Ic」との大きさを判定するものであり、時刻t3以降において、「製品固有の保持電流Ih>続流回路240の短絡電流Ic」であれば適合品とする。なお、保持電流Ihは、サージ防護素子300がオン状態を保持できる限界の電流値である。
【0050】
このような判定は、検査制御装置600によって行うことができる。すなわち、第1検査工程による検査時に得られるサージ防護素子300の電圧・電流を示すデータをサージ試験装置200から入力して、サージ防護素子300が当該第1検査工程による検査に適合するか否かを判定する。具体的には、検査によって得られた続流回路240の短絡電流Ic(図5における時刻t3以降の短絡電流Ic)を検査制御装置600に入力し、検査制御装置600の判定部610によって、サージ防護素子300の固有の保持電流Ihと入力された短絡電流Icとを比較して、その比較結果によって当該サージ防護素子300が適合品であるか不適合品であるかを判定する。そして、各サージ防護素子300に対する判定結果、すなわち、各サージ防護素子300が破壊されたか否かについての判定結果が各サージ防護素子ごとに記憶部620に記憶される。
【0051】
このように、個々のサージ防護素子300が適合品であるか不適合品であるの判定を、検査制御装置600によって行わせることにより、効率よく適切に個々のサージ防護素子300の適合/不適合を判定することができる。また、各サージ防護素子300に対する判定結果が各サージ防護素子ごとに記憶部620に記憶されることにより、判定結果をデータとして残すことができる。このように、判定結果が記憶部620に記憶されることにより、検査対象のサージ防護素子が大量に存在する場合であっても、サージ防護素子の検査を効率よく、かつ、適切に行うことができ、また、検査後における製品管理もしやすくなる。
【0052】
次に、第2検査工程を行う。この第2検査工程は、第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子300に対する抜き取り検査である。すなわち、第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子300の中から所定数を抜き取って、抜き取られたサージ防護素子300について第1サージ電流(10/1000μsのサージ電流)による抜き取り検査を行う。
【0053】
この抜き取り検査は、検査対象となる複数のロットの各ロットごとに所定数のサージ防護素子を抜き取って、抜き取られたサージ防護素子について第1サージ電流(10/1000μsのサージ電流)による抜き取り検査を行う。具体的には、1つのロットに例えば10000個のサージ防護素子が存在するとすれば、10000個のサージ防護素子の中から例えば数十個程度のサージ防護素子を抜き取って、抜き取られたサージ防護素子について第1サージ電流による検査(抜き取り検査)を行う。
【0054】
このような抜き取り検査を行う際、各ロットごとにどのサージ防護素子を検査対象とするかは、検査制御装置600によって決めることも可能である。例えば、個々のロットに属するサージ防護素子(10000個とする)に固有の番号(0〜9999の番号)を与えておき、検査制御装置600によって0〜9999のうちの抜き取り数(30個とする。)に相当する番号を乱数によって発生させ、その乱数に対応する番号のサージ防護素子を検査対象のサージ防護素子として抜き取るというようするといった方法が考えられる。
【0055】
第2検査工程を行う際は、検査制御装置600を第2検査工程の検査モードに設定する。そして、第2検査工程の検査モードにおいて、検査対象となるサージ防護素子300が端子400a,400bに接続されたのち、検査制御装置600によって、サージ試験装置200の第1サージ電流発生部210に対し、サージ通電指示が出されると、第1サージ電流発生部210からは、図6に示す電流波形を有する第1サージ電流(10/1000μsのサージ電流)がサージ防護素子300に与えられる。そして、当該サージ防護素子300が破壊されたか否かを検査する。
【0056】
なお、第2検査工程において行われる検査は、第1検査工程と同様に「サージ防護素子にサージ通電後、規定時間内に当該サージ防護素子がサージ通電前の状態に復帰するか否かを判定する検査」である。ただし、第2検査工程においては、サージ電流としては、第1サージ電流(10/1000μsのサージ電流)を用いる。
【0057】
なお、第2検査工程においても、前述の第1検査工程と同様、適合品か不適合品かの判定は、第2検査工程による検査時に得られるサージ防護素子300の電圧・電流を示すデータを検査制御装置600がサージ試験装置200から入力して、当該第2検査工程による検査に適合するか否かを判定することができる。具体的には、検査によって得られた続流回路240の短絡電流Ic(図5における時刻t3以降の短絡電流Ic)を検査制御装置600に入力し、検査制御装置600の判定部610によって、サージ防護素子300の固有の保持電流Ihと検査後における続流回路240の短絡電流Icとを比較して、その比較結果によって当該サージ防護素子300が適合品であるか不適合品であるかを判定する。
【0058】
そして、第2検査工程における各サージ防護素子300に対する判定結果、すなわち、検査対象となる各ロットに属するサージ防護素子が破壊されたか否かについての判定結果が、各ロットごとに記憶部620に記憶される。このように、各ロットに属する個々のサージ防護素子が適合品であるか否かを示すデータが各ロットに対応付けられて記憶部620に記憶されることにより、第2検査工程において適合品とされたサージ防護素子の製品管理などを容易かつ適切に行うことができる。
【0059】
ところで、これまで説明したサージ防護素子の検査において、図2に示すサージ防護素子の検査装置では、接続端子に1つのサージ防護素子を接続して、接続された当該サージ防護素子について検査を行うかのような構成として示されているが、これは、図面を簡略化して示すためであり、実際には、多数のサージ防護素子を同時に接続可能となるように、多数の接続端子を有し、該多数の接続端子それぞれにサージ防護素子を接続して、順次、検査を行うことが好ましい。
【0060】
すなわち、第1検査工程を行う際には、多数の接続端子それぞれにサージ防護素子を接続して、検査制御装置600から、接続端子に接続されたすべてのサージ防護素子に対して、順次第2サージ電流を与える。検査制御装置600では、電圧・電流監視部230から順次得られる監視結果に基づいて、個々のサージ防護素子について適合品であるか否かの判定を順次行う。そして、各サージ防護素子300に対する判定結果、すなわち、各サージ防護素子300が破壊されたか否かについての判定結果が各サージ防護素子ごとに記憶部620に記憶される。
【0061】
また、第2検査工程を行う際には、抜き取られた所定数のサージ防護素子を接続端子にそれぞれ接続して、検査制御装置600から、接続端子に接続された所定数のサージ防護素子に対して、順次第1サージ電流を与える。検査制御装置600では、電圧・電流監視部230から順次得られる監視結果に基づいて、個々のサージ防護素子について適合品であるか否かの判定を順次行う。そして、第2検査工程における各サージ防護素子300に対する判定結果、すなわち、検査対象となる各ロットに含まれるサージ防護素子が破壊されたか否かについての判定結果が、各ロットごとに記憶部620に記憶される。
このように、多数の接続端子にサージ防護素子を接続して、順次、検査を行うことにより、多数のサージ防護素子に対し迅速にかつ適切に検査することができる。
【0062】
以上説明したように、本発明の実施形態においては、まずは、第2サージ電流による全数検査を第1検査工程として行うが、この全数検査に用いる第2サージ電流は、2/10μs、波高値300Aのサージ電流である(図3参照。)。このように、第2サージ電流は、第1サージ電流に比べて、波頭長及び波尾長がより短く、波高値がより高い急峻な波形を有している。このため、第2サージ電流による検査は、第1サージ電流による検査に比べて、サージ防護素子300に与える負荷は、より大きいものとなる。したがって、第2サージ電流による検査によって適合品として選別されたサージ防護素子は、当該検査だけでも十分な実用性を有するものと考えられる。
【0063】
ただし、当該サージ防護素子300の納品先により、第1サージ電流による検査に適合することが要求されているとすれば、第1サージ電流による検査をも行う必要があるが、本発明においては、当該第1サージ電流による検査を第2検査工程として行っているので、その要求を満たすこととなる。この第1サージ電流による検査は、本発明の実施形態においては、ロットごとの抜き取り検査であるが、各ロットに属するサージ防護素子は、すでに、第1サージ電流よりも負荷の大きい第2サージ電流による検査に適合したサージ防護素子のみに対して行うので、抜き取り検査でも品質を保証する上で十分な検査であるといえる。
【0064】
また、本発明の実施形態においては、全数検査を行う際に用いる第2サージ電流は、波頭長が2μs、波尾長が10μsであり、第1サージ電流の波頭長(10μs)と波尾長(1000μs)とに比べて大幅に短い時間である。このため、個々のサージ防護素子に対する検査に要する時間を短縮することができる。特に、検査対象となるサージ防護素子の数が、何万、何十万ともなると全体の検査時間で考えれば大幅に短縮することができる。なお、本発明の実施形態においては、第2サージ電流による検査に加えて、第1サージ電流による検査をも行っているが、第1サージ電流による検査は、各ロットごとに少数を抜き取って行う抜き取り検査であるので、検査時間に大きな影響は与えることはない。
【0065】
なお、本発明は前述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。例えば、前述の実施形態に係るサージ防護素子の検査装置においては、第1検査工程と第2検査工程とを1台の検査装置で行うようにしたが、第1検査工程を行う検査装置と第2検査工程を行う検査装置とをそれぞれ別個に用意して行うようにしてもよいことは勿論である。
【0066】
また、前述の実施形態では、サージ防護素子としてシリコンサージ防護素子(シリコンサージ防護サイリスタ)を例に取って説明したが、他のサージ防護素子についても前述の実施形態と同様の手順で検査可能である。
【0067】
また、前述の実施形態では、第1検査工程及び第2検査工程における検査方法としては、続流回路を用いた検査方法について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、サージ防護素子300の不動作電圧(繰り返しピークオフ電圧)Vdにおける漏れ電流(繰り返しピークオフ電流)Idを測定するといった検査方法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査方法において検査対象となるサージ防護素子の構造を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査方法において用いる第2サージ電流波形を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るサージ防護素子の検査方法における検査手順を説明する図である。
【図5】検査実施時におけるサージ防護素子の電圧と電流の時間的な変化を示す図である。
【図6】サージ防護素子の検査に用いられるサージ電流について説明する図である。
【符号の説明】
【0069】
100・・・サージ防護素子の検査装置、200・・・サージ試験装置、210・・・第1サージ電流発生部、220・・・第2サージ電流発生部、230・・・電圧・電流監視部、240・・・続流回路、300・・・サージ防護素子(シリコンサージ防護サイリスタ)、400a,400b・・・接続端子、600・・・検査制御装置、610・・・判定部、620・・・記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波頭長及び波尾長並びに波高値を有する電流波形を有する第1衝撃電流に耐えるサージ防護素子を選別するための検査を行うサージ防護素子の検査方法であって、
前記第1衝撃電流の電流波形よりも短い波頭長及び波尾長並びに高い波高値を有する電流波形を有する第2衝撃電流を検査対象となるすべてのサージ防護素子に与え、前記第2衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、破壊されなかったサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として選別する第1検査工程と、
前記第1検査工程によって適合品として選別されたサージ防護素子から所定数のサージ防護素子を抜き取り、前記所定数のサージ防護素子に前記第1衝撃電流を与え、前記第1衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、当該所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が破壊されなかったときに、前記第1検査工程によって適合品とされたすべてのサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として認定する第2検査工程と、
を有することを特徴とするサージ防護素子の検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサージ防護素子の検査方法において、
前記第2検査工程は、検査対象となる複数のロットの各ロットごとに行い、前記各ロットから所定数のサージ防護素子を抜き取り、前記所定数のサージ防護素子に前記第1衝撃電流を与え、前記第1衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、前記所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が破壊されなかったときに、当該ロットに属するすべてのサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として認定することを特徴とするサージ防護素子の検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサージ防護素子の検査方法において、
前記サージ防護素子が、シリコンサージ防護サイリスタであることを特徴とするサージ防護素子の検査方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のサージ防護素子の検査方法において、
前記第1衝撃電流は、波頭長が10マイクロ秒、波尾長が1000マイクロ秒、波高値が100アンペアの電流波形を有する衝撃電流であることを特徴とするサージ防護素子の検査方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のサージ防護素子の検査方法において、
前記第2衝撃電流は、波頭長が2マイクロ秒、波尾長が10マイクロ秒、波高値が300アンペアの電流波形を有する衝撃電流であることを特徴とするサージ防護素子の検査方法。
【請求項6】
請求項1に記載のサージ防護素子の検査方法を実施するためのサージ防護素子の検査装置であって、
検査対象となるサージ防護素子を接続するための接続端子と、
前記第1衝撃電流を発生する第1衝撃電流発生部と、前記第1衝撃電流よりも短い波頭長及び波尾長並びに高い波高値を有する第2衝撃電流を発生する第2衝撃電流発生部と、検査対象となるサージ防護素子が破壊されたか否かを判定するために検査対象となるサージ防護素子に所定の不動作電圧を与える不動作電圧発生部と、前記検査対象となるサージ防護素子にかかる電圧及び前記検査対象となるサージ防護素子に流れる電流を監視する電圧・電流監視部とを有するサージ試験装置と、
前記第1衝撃電流又は第2衝撃電流を前記サージ防護素子に与えたのちの所定時間後における前記電圧・電流監視部によって監視された電圧及び/又は電流値に基づいて当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定する判定部を有する検査制御装置と、
を有するサージ防護素子の検査装置であって、
前記検査制御装置は、
前記第1検査工程を行う際には、検査対象の各サージ防護素子に対して、前記第2衝撃電流を与えるための指示を前記サージ試験装置に対して出力するとともに、前記判定部による判定結果に基づいて前記第2衝撃電流によって破壊されなかったサージ防護素子を当該試験に適合する適合品として選別し、
前記第2検査工程を行う際には、前記第1検査工程によって適合品とされたサージ防護素子から抜き取った所定数のサージ防護素子に対して、前記第1衝撃電流を与えるための指示を前記サージ試験装置に対して出力するとともに、前記判定部による判定の結果、当該所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が前記第1衝撃電流によって破壊されなかったときに、前記第1検査工程によって適合品とされたサージ防護素子のすべてを当該検査に適合する適合品として認定する機能を有することを特徴とするサージ防護素子の検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載のサージ防護素子の検査装置において、
前記検査制御装置は、
前記第1検査工程を行う際には、検査対象となるすべてのサージ防護素子に対して、前記第2衝撃電流を与えるための指示を順次出力する機能を有し、
前記第2検査工程を行う際には、前記第1検査工程によって適合品とされたサージ防護素子から抜き取った所定数のサージ防護素子に対して、前記第1衝撃電流を与えるための指示を順次出力する機能を有することを特徴とするサージ防護素子の検査装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のサージ防護素子の検査装置において、
前記検査制御装置は、前記第2検査工程を行う際は、前記第2検査工程を検査対象となる複数のロットの各ロットごとに行い、前記各ロットから抜き取られた所定数のサージ防護素子に対して、前記第1衝撃電流を与え、前記第1衝撃電流によって当該サージ防護素子が破壊されたか否かを判定し、前記所定数のサージ防護素子のうちすべてのサージ防護素子が破壊されなかったときに、当該ロットに属するすべてのサージ防護素子を当該検査に適合する適合品として認定することを特徴とするサージ防護素子の検査装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のサージ防護素子の検査装置において、
前記検査制御装置は、前記各サージ防護素子が破壊されたか否かについての判定結果を各サージ防護素子ごとに記憶する記憶部を有することを特徴とするサージ防護素子の検査装置。
【請求項10】
請求項8に記載のサージ防護素子の検査装置において、
前記検査制御装置は、前記各サージ防護素子が破壊されたか否かについての判定結果を前記各ロットごとに記憶する記憶部を有することを特徴とするサージ防護素子の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−281949(P2009−281949A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136120(P2008−136120)
【出願日】平成20年5月24日(2008.5.24)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【出願人】(591132955)株式会社秋田新電元 (29)
【Fターム(参考)】