説明

シロキサン化合物、これを含むフォトレジスト組成物、およびパターン形成方法

【課題】フォトレジスト組成物のパターンラフネスを低減させ、耐エッチング性を改良しうる手段を提供する。
【解決手段】


で示される化合物とステロイド骨格を有する化合物との反応で得られるシロキサン化合物、該化合物を含むフォトレジスト組成物、および該組成物を用いたパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン化合物、フォトレジスト組成物、およびパターン形成方法に関し、より詳細には、半導体製造工程において、微細パターンの形成時に用いることができるシロキサン化合物、前記シロキサン化合物を含むフォトレジスト組成物、および前記フォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報分野における技術の発達は、コンピュータや半導体素子を急速に成長させ、それにより高集積密度を有する半導体素子、すなわち、小さいサイズで、高速で動作し、大容量の保存容量を有する要求も高まっている。したがって、上記のような産業における最近の傾向に合うように、例えばフォトリソグラフィなどの様々な半導体加工技術は、半導体素子の集積度、信頼度、および応答速度を改良するために用いられている。
【0003】
従来のフォトリソグラフィ工程は、エッチングマスクとして用いられるフォトレジストパターンを形成する工程、およびエッチングを通じて半導体基板の表面上にフォトレジストパターンを転写する工程を含む。フォトレジストパターンを形成する工程は、化学増幅型フォトレジストからフォトレジスト組成物を調製する工程を含む。特に、前記フォトレジスト組成物は、光の照射によって酸化合物を発生させる光酸発生剤(PAG:photoacid generator)、酸化合物と化学的に反応する高分子、および溶媒を含む。例えば、フォトレジスト組成物は、半導体基板上にコートされてフォトレジスト膜を形成し、その後選択的に光が照射される。フォトレジスト膜の未露光部が半導体基板上にフォトレジストパターンを形成することに対し、フォトレジスト膜の露光部は、酸化合物発生し、溶解する。
【0004】
従来のフォトレジストパターンの形成では、高分子を含むフォトレジスト組成物が用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】大韓民国公開特許第2004−66720号明細書
【特許文献2】特開2003−177538号公報
【特許文献3】米国特許第5,702,620号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、半導体パターンが段々微細につれ、パターンの線幅が高分子の大きさにまで接近してきている。高分子中の各分子は多様な分子量、即ち、多様な大きさを有しており、分子が絡み合っている構造を有する。このような高分子を含むフォトレジスト組成物を適用する場合、前記高分子の膨潤現像が発生し、それにより、解像度が減少し、形成されるパターンの表面が粗いという問題が発生する。
【0006】
従来のフォトレジストパターンの形成では、約240nmの線幅を有する半導体素子の場合、フォトレジストパターンの左右それぞれの側において、約20nmのプロセスエラーが、すなわち40nmの線幅のトータルのプロセスエラーが許容されている。フォトレジストパターンの線幅のプロセスエラーは、粗い側表面を有する不均一な線幅、すなわち、パターンラフネスが発生する。例えば、20nmのプロセスエラーを有する240nm幅の半導体素子のフォトレジストパターンは、約8.3%(すなわち20/240)のパターンラフネスを有する。
【0007】
しかしながら、高集積の度合いが高くなるにつれ、半導体素子の線幅は細くなり、それによって、パターンラフネスが増えてきている。例えば、90nm幅の半導体素子における約20nmのプロセスエラーは、パターンラフネスが約22%に急増する。同様に、70nm幅の半導体素子における約20nmのプロセスエラーは、パターンラフネスが約29%に急増する。
【0008】
したがって、半導体素子のパターンラフネスを低減させうるフォトレジスト組成物を製造する試みがなされている。例えば、パターンラフネスを改良するために、従来のフォトレジスト組成物に用いられている高分子の分子量または保護基を変形する試みがなされている。しかし、このような高分子の変形は、サイズなどの高分子の物理的特性をも変化させてしまい、それによりフォトレジスト組成物の特性も変化してしまう。
【0009】
従来のフォトレジスト組成物のパターンラフネスを改良する別の試みとして、高分子の代わりに単分子化合物、すなわち、単一の分子構造および分子量を有する化合物が、フォトレジスト組成物の溶解性および従来のフォトレジスト組成物の均一性を増大させるために、提供されている。しかし、従来のフォトレジスト組成物における前記のような単一分子化合物の使用は、高分子を含むフォトレジスト組成物より耐エッチング性が低くなり、それにより、エッチング工程の間、耐エッチング性の低いエッチングマスクが提供されることになる。
【0010】
したがって、パターンラフネスが低減され、耐エッチング性が改良されたフォトレジスト組成物が要求されている。
【0011】
そこで、本発明は、フォトレジスト組成物のパターンラフネスを低減させ、耐エッチング性を改良しうる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記のような技術的課題に鑑み、鋭意検討を積み重ねた結果、特定のシロキサン化合物を含むフォトレジスト組成物を用いて形成させたフォトレジストパターンのパターンラフネスおよび耐エッチング性が改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記化学式(1)で表されるシロキサン化合物を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
前記化学式(1)中、R1はtert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。
【0016】
また、本発明は、フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、前記化学式(1)で表されるシロキサン化合物8〜14質量%と、光酸発生剤0.1〜0.5質量%と、残部の有機溶媒とを含むことを特徴とする、フォトレジスト組成物を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、エッチング対象膜上に、フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、前記化学式(1)で表されるシロキサン化合物8〜14質量%と光酸発生剤0.1〜0.5質量%と、残部の有機溶媒と、を含むフォトレジスト組成物をコーティングしてフォトレジスト膜を形成する段階と、露光工程を行って前記フォトレジスト膜を露光する段階と、露光された前記フォトレジスト膜に現像液を用いる現像工程を行ってフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて露出されたエッチング対象膜をエッチングして基板上にパターンを形成する段階と、を含むパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フォトレジストパターンのパターンラフネスおよび耐エッチング性が改良されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のシロキサン化合物、前記シロキサン化合物を含むフォトレジスト組成物、および前記フォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法をさらに詳細に説明する。
【0020】
(シロキサン化合物)
本発明によるシロキサン化合物は、tert−ブチル基や1−tert−ブトキシエチル基などの保護基、吸着部分に相当する親水性のヒドロキシ基、および耐エッチング性部分に相当するシリコン原子を含む。
【0021】
前記シロキサン化合物は、下記のような特性を有する。まず、第一に、分子量の分布がほぼ単一であるため、明確な分子構造を有する。第二に、形成しようとするフォトレジストパターンの解像度を分子レベルで改良することができる。第三に、フォトレジスト組成物に含まれるシロキサン化合物は、現像工程において、露光部と非露光部との溶解度の差を大きくし、フォトレジスト膜が均一に現像されるようにする。これは、前記シロキサン化合物の分子の大きさが小さいため回転半径が短く、また、立体的に混みあった構造を有しているため、分子同士が絡みあうような分子間の相互作用がほとんどないからである。第四に、分子間で絡みあう現象がほとんどないため、形成されるフォトレジストパターンの表面粗さが改良されうる。第五に、シリコン原子を含んでいるため、酸素プラズマを用いるエッチングの際に、優れた耐エッチング性を有する。これは、前記シリコン原子が、酸素と結合して、酸化シリコン(SiO)に変化するためである。
【0022】
このような特性を有する本発明のシロキサン化合物は、下記化学式(1)で表される。
【0023】
【化2】

【0024】
前記化学式(1)中、R1は、tert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0025】
R2およびR3で用いられるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、またはtert−ブチル基などが挙げられる。前記アルキル基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基、または炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のハロゲン化アルキル基で置換されうる。
【0026】
前記化学式(1)で表されるシロキサン化合物の形成方法は特に制限されないが、下記化学式(2)で表される第1化合物と、下記化学式(3)で表される第2化合物とを反応させて合成する方法が好ましい。
【0027】
【化3】

【0028】
前記化学式(2)中、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。
【0029】
【化4】

【0030】
前記化学式(3)中、R1はtert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基である。
【0031】
前記化学式(2)で表される第1化合物は、下記化学式(4)で表される第3化合物と、ジクロロアルキルシラン(ClSiH−R3:この際、R3は置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である)とを反応させて合成されることが好ましい。
【0032】
【化5】

【0033】
前記化学式(4)中、R2は置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。
【0034】
前記化学式(3)で表される第2化合物の代わりに、下記化学式(5)または(6)で表される化合物を用いることができる。
【0035】
【化6】

【0036】
【化7】

【0037】
前記化学式(5)および(6)中、R1は、tert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基である。
【0038】
前記化学式(1)で表されるシロキサン化合物は、保護基を含む。前記化学式(1)で表されるシロキサン化合物の保護基は、R1で表されるtert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基である。前記保護基は、光の照射によって、光酸発生剤から発生する酸と反応して、前記シロキサン化合物から脱離しうる基である。
【0039】
また、前記化学式(1)中の吸着部分は、親水性基であるヒドロキシ基(OH)であり、耐エッチング性部分はシリコン(Si)原子である。前記シロキサン化合物に含まれるシリコン原子は、酸素プラズマエッチングの工程の際、酸化シリコン(SiO)に変化するため、前記シロキサン化合物が含まれるフォトレジスト組成物から形成されたフォトレジストパターンは、耐エッチング性が改良されうる。
【0040】
また、本発明のシロキサン化合物は、柔軟な構造を有するため、シロキサン化合物が有しやすい結晶性を有さないだけでなく、非晶質性を有するので、スピンコートが可能なフォトレジスト組成物に適用することができる。
【0041】
したがって、このような構造を有する本発明のシロキサン化合物は、パターンラフネスが低減され、かつ、耐エッチング性が改良されたフォトレジストパターンを形成するためのフォトレジスト組成物に適用されうる。
【0042】
(フォトレジスト組成物)
本発明によるフォトレジスト組成物は、下記化学式(1)で表されるシロキサン化合物、酸を発生する光酸発生剤、および残部の有機溶媒を含む。
【0043】
【化8】

【0044】
前記化学式(1)中、R1は、tert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。
【0045】
本発明のフォトレジスト組成物において、前記シロキサン化合物は、フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、8〜14質量%含まれることが好ましい。特に、80nm以下の幅を有するフォトレジストパターンを得るために好適なフォトレジスト組成物の場合、前記シロキサン化合物は、フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、9〜12質量%含まれることが好ましい。
【0046】
前記フォトレジスト組成物に含まれるシロキサン化合物が、8質量%未満であると、エッチング対象膜をエッチングするためのフォトレジストパターンの形成が困難となる場合がある。一方、シロキサン化合物が14質量%を超えると、前記エッチング対象膜上に、実質的に均一な厚さを有するフォトレジスト膜を形成することが難しい場合がある。
【0047】
本発明のフォトレジスト組成物に含まれる光酸発生剤は、前記シロキサン化合物から保護基を脱離させるために用いられうる。具体的には、光酸発生剤に光が照射されると、光酸発生剤は酸を発生させる。発生した酸は、前記シロキサン化合物の保護基と相互作用し、前記シロキサン化合物の保護基を脱離させ、それにより、現像液中へのフォトレジスト組成物の露光部の溶解性を高める。したがって、酸の量は、本発明によるフォトレジスト組成物から形成されるフォトレジストパターンの形成に重要な因子となりうる。
【0048】
本発明のフォトレジスト組成物において、前記光酸発生剤は、フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、0.1〜0.5質量%含まれることが好ましく、0.3〜0.4質量%含まれることがより好ましい。
【0049】
前記フォトレジスト組成物中の光酸発生剤の含有量が0.1質量%未満であると、前記フォトレジスト組成物を露光する工程の際、十分な量の酸が発生せず、前記シロキサン化合物から保護基を脱離できない場合がある。一方、前記光酸発生剤の含有量が0.5質量%を超えると、露光工程時に酸が過剰に発生し、それにより、現像工程においてフォトレジスト組成物が現像されすぎて、形成されるフォトレジストパターンの上部の損傷が起こる場合がある。
【0050】
本発明によるフォトレジスト組成物に用いられうる前記光酸発生剤は、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホン酸塩、およびトリフルオロメタンスルホン酸N−ヒドロキシコハク酸イミドエステルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0051】
前記光酸発生剤のより具体的な例としては、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、アンチモン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、アンチモン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸メトキシジフェニルヨードニウム、ジ−t−ブチルトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、2,6−ジニトロベンジルスルホン酸塩、ピロガロールトリスアルキルスルホネート、トリフルオロメタンスルホン酸ノルボルネン−ジカルボキシイミドエステル、ノナフルオロオクタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ノナフルオロオクタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、ノナフルオロオクタンスルホン酸メトキシジフェニルヨードニウム、ノナフルオロオクタンスルホン酸ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウム、ノナフルオロオクタンスルホン酸N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、ノナフルオロオクタンスルホン酸ノルボルネン−ジカルボキシイミドエステル、ペルフルオロオクタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸メトキシフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペルフルオロオクタンスルホン酸ノルボルネン−ジカルボキシイミドエステル、またはトリフルオロメタンスルホン酸N−ヒドロキシコハク酸イミドエステルなどが好ましく挙げられる。
【0052】
本発明のフォトレジスト組成物で用いられうる前記有機溶媒の例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルラクテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、および4−ヘプタノンなどを挙げることができる。これらは単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
【0053】
前記フォトレジスト組成物は、その特性をより向上させるために添加剤を更に含むことができる。前記添加剤の例としては、有機塩基を挙げることができる。前記有機塩基は、大気中に含まれているアミンなどの塩基性化合物が、露光後に得られるパターンに及ぼす影響を最小化するとともに、パターンの形を調節する役割を果たす。
【0054】
前記有機塩基の具体的な例としては、トリエチルアミン、トリイソブチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソデシルアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンなどを挙げることができる。これらは単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
【0055】
(パターン形成方法)
次に、本発明によるパターン形成方法について説明する。
【0056】
図1〜図4は、本発明の一実施形態によるパターン形成方法を示す断面概略図である。
【0057】
図1を参照すると、まず、エッチング対象物を準備する。前記エッチング対象物は、例えば、基板100上に形成されるエッチング対象膜102であり得る。基板100に用いられる材料の例としては、シリコンウェハ、SOI(Silicon−On−Insulator)ウェハなどが挙げられる。以下、前記エッチング対象膜がマスク膜102である場合に限って説明する。前記マスク膜102は、ギャップ充てん特性、平坦化特性、均一性、反射防止特性、および耐エッチング性などの特性が優れているシリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などでありうる。
【0058】
次に、前記マスク膜102上に残留する汚染物などを除去するために、前記マスク膜102の表面を洗浄する。洗浄された前記マスク膜102の表面上に、下記化学式(1)で表される本発明のシロキサン化合物、光酸発生剤、および残部の有機溶媒を含む本発明のフォトレジスト組成物をコートすることによってフォトレジスト膜104が形成される。
【0059】
【化9】

【0060】
前記化学式(1)中、R1は、tert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。
【0061】
前記フォトレジスト組成物は、フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、前記化学式(1)で表されるシロキサン化合物8〜14質量%と、光酸発生剤0.1〜0.5質量%と、残部の有機溶媒とを含む。前記フォトレジスト組成物の具体的な説明は、上述の通りであるため、ここでは省略する。
【0062】
その後、前記フォトレジスト膜104が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行ってもよい。前記第1ベーキング工程は、好ましくは90〜120℃の温度にて行われる。前記第1ベーキング工程を行うことによって、前記マスク膜102と前記フォトレジスト膜104との接着性が向上する。
【0063】
次に、図2を参照すると、前記フォトレジスト膜104を選択的に露光する。
【0064】
具体的には、露光装置のマスクステージ上に回路パターンが形成されたマスク110を位置させ、前記フォトレジスト膜104上に前記マスク110を配置する。その後、前記マスク110に光を所定時間照射させ、前記マスク110を透過した光が、基板100上に形成されたフォトレジスト膜104に部分的に到達する。言い換えれば、マスク110のパターンが、フォトレジスト膜104の所定部位を選択的に覆い、フォトレジスト膜104の覆われていない部分に光が照射される。フォトレジスト膜104の露光部104bは、照射された光によって活性化され、光酸発生剤から酸が発生し、シロキサン化合物と相互作用を有するようになる。
【0065】
前記露光工程で用いられうる光源の例としては、遠紫外線、ArFレーザー、フッ素(F)レーザー、X線、水銀キセノンランプ、またはイオンビームなどが挙げられる。
【0066】
フォトレジスト膜104の露光部104bは、フォトレジスト膜の未露光部104aに比べて、相対的に高い親水性を有するようになる。したがって、フォトレジスト膜104の露光部104bと、フォトレジスト膜104の未露光部104aとは、現像液に対して、互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0067】
その後、前記基板100に対して第2ベーキング工程を行う。前記第2ベーキング工程は、好ましくは90〜150℃の温度にて行われうる。前記第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜104の露光部104bの現像液に対する溶解性は、さらに増す。
【0068】
図3を参照すると、フォトレジスト膜104の露光部104bは、現像液に溶解することによって、基板から剥離され、フォトレジスト膜104の露光部104aが基板100上に残存する。具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を現像液として用いて現像して、フォトレジスト膜104の露光部104bを溶解させて除去する。すなわち、フォトレジスト膜104の未露光部104aとフォトレジスト膜104の露光部104bとの間の、現像液に対する溶解性が互いに異なるため、フォトレジスト膜104の露光部104bは現像液に溶解し、除去することができる。その後、洗浄および乾燥の工程を行うことで、フォトレジストパターン106が完成する。
【0069】
図4を参照すると、フォトレジストパターン106をエッチングマスクとして用いて、マスク膜102が、好ましくは酸素プラズマエッチングによりエッチングされて、マスクパターン110に対応するパターンが基板100上に形成される。
【0070】
この際、フォトレジストパターン106に含まれるシリコン原子は、酸素と反応して酸化シリコン(SiO)に変化する。フォトレジストパターン106中のSiOは、フォトレジストパターン106の耐エッチング性を向上させうる。換言すれば、フォトレジストパターン106は、エッチング工程の間、すなわち、基板100上のマスクパターン110が完成するまで基板上に残存し、エッチング工程中のフォトレジストパターンの早期の剥離および/または溶解による、半導体パターンの欠陥を防止または低減させることができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0072】
<実施例1>
(シロキサン化合物の合成)
250mlの三つ口フラスコに、無水CaClを入れたドライチューブを装着し、窒素をフラスコ内に添加した。その後、3.72g(0.008mol)のコール酸tert−ブチル(TBC)と、0.81g(1.12ml、0.008mol)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)とを、フラスコ内で20mlの無水THFに溶解させ、第1混合物を調製した。次に、前記第1混合物を攪拌しながら0℃まで反応温度を下げ、10mlの無水THFに溶解させた0.46g(0.001mol)の2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラ((ジクロロメチルシリル)エチル)シクロテトラシロキサンを、滴下ロートを用いて徐々に添加し、第2混合物を調製した。その後、前記第2混合物の温度を室温まで徐々に上昇させた後、6時間反応させた。
【0073】
次に、テトラメチルアンモニウム塩(TEA salt)をフィルターとして用いて、反応結果物をろ過した後、ろ過した溶液から溶媒を蒸発させ、残留物を得た。その後、得られた残留物を、300mlのジエチルエーテルとNaHCO飽和水溶液200mlで洗浄した。その後、有機層を集めて200mlの純水で洗浄した後、無水MgSOを用いて脱水した。MgSOを除去した後、溶媒を蒸発させた。その後、カラムクロマトグラフィによって、最終生成物であるシロキサン化合物を、残留物から分離した。
【0074】
最終生成物の構造を確認するために、H−NMRを測定した。H−NMRは、最終生成物をCDClに溶解させて測定した。H−NMRスペクトルは下記表1の通りであった。
【0075】
【表1】

【0076】
また、最終生成物のシリコンNMR(29Si−NMR)を測定した。29Si−NMRは、最終生成物をCDClに溶解させて測定した。29Si−NMRスペクトルは、化学シフトが−18.1ppm(s)の位置と、−32.6ppm(s)の位置とにピークが検出された。さらに、最終生成物のFT−IRを測定した。FT−IRスペクトルは、2940cm−1(aliphatic and alicyclic CH)の位置と、1729cm−1(C=O of ester)の位置とにピークが検出された。前記H−NMRスペクトル、29Si−NMRスペクトル、およびFT−IRスペクトルの結果から、最終生成物は、下記化学式(7)で表される2,4,6,8−テトラキス((ビス(コール酸tert−ブチル)メチルシリル)エチル)−2,4,6,8−テトラメチルシクロシロキサンであることがわかった。
【0077】
【化10】

【0078】
(実施例2)
(フォトレジスト組成物の製造)
実施例1で製造した化合物1g、光酸発生剤であるトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、0.02g、および有機溶媒であるプロピレングリコールメチルエーテル8.98gを混合してフォトレジスト組成物を製造した。
【0079】
<比較例>
1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸と、コール酸tert−ブチルとを反応させて製造されたシリコン原子を含まない化合物11.1質量%、光酸発生剤であるトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム0.2質量%、および有機溶媒であるプロピレングリコールメチルエーテル88.7質量%を混合してフォトレジスト組成物を製造した。
【0080】
(フォトレジストパターンの評価)
マスク膜である有機膜が形成された基板上に、実施例2で製造したフォトレジスト組成物をコートした後、ベーク処理して300nm(3000Å)の厚さを有するフォトレジスト膜を形成した。その後、光源として水銀キセノンランプを用いて前記フォトレジスト膜を選択的に露光した後、約110℃で90秒間熱処理した。その後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)現像液を用いてフォトレジスト膜の露光部を除去した。その後、有機マスク膜を有する基板とフォトレジスト膜の残留部分に対して、洗浄および乾燥行ってフォトレジストパターンを完成させた。
【0081】
次に、エッチングマスクとして前記フォトレジストパターンを用いて、酸素プラズマによるエッチングを行い、有機マスク膜を部分的にエッチングした。その結果、基板上にマスクパターンが形成された。同様に、比較例で製造したフォトレジスト組成物を用いてフォトレジストパターンを完成させ、エッチングマスクとして前記フォトレジストパターンを用いて、酸素プラズマによるエッチングを行った。
【0082】
その後、実施例2および比較例のフォトレジストパターンの損失の程度を評価した。その結果を下記の表2に示す。酸素プラズマエッチング工程における酸素の流速は0.0507Pa・m/s(30sccm)であり、RFパワーは100Wであり、圧力は26.66Pa(200mTorr)であった。
【0083】
【表2】

【0084】
表2からわかるように、比較例のフォトレジスト組成物から形成されたフォトレジストパターンの多くが損失したことに比べて、実施例2の本発明のフォトレジスト組成物から形成されたフォトレジストパターンは、ごく一部が損失するのみであり、耐エッチング性に優れていることが確認できた。
【0085】
前述したように、本発明のフォトレジスト組成物は、シリコン原子を含むシロキサン化合物を含んでいるため、一般的に用いられるフォトレジスト組成物の長所を有するとともに、酸素プラズマを用いるエッチング工程において、優れた耐エッチング性を有する。このため、シロキサン化合物を含むフォトレジスト組成物から形成されるフォトレジストパターンは、改良されたフォトリソグラフィマスクとして用いることができ、半導体製造における全体収量および効率を高めることができる。
【0086】
以上、本発明を、実施例によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、本発明の形態および詳細において多様な修正または変更が可能であることが、容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態によるパターンの形成方法を示す断面概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるパターンの形成方法を示す断面概略図である。
【図3】本発明の一実施形態によるパターンの形成方法を示す断面概略図である。
【図4】本発明の一実施形態によるパターンの形成方法を示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0088】
100 基板、
102 エッチング対象膜(マスク膜)、
104 フォトレジスト膜、
104a フォトレジスト膜の未露光部、
104b フォトレジスト膜の露光部、
106 フォトレジストパターン、
110 マスクパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表されるシロキサン化合物:
【化1】

前記化学式(1)中、R1はtert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。
【請求項2】
前記シロキサン化合物は、下記化学式(2)で表される第1化合物と、下記化学式(3)で表される第2化合物とを反応させて合成されることを特徴とする、請求項1に記載のシロキサン化合物:
【化2】

前記化学式(2)中、R2およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基であり:
【化3】

前記化学式(3)中、R1はtert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基である。
【請求項3】
フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、
下記化学式(1)で表されるシロキサン化合物8〜14質量%と、
光酸発生剤0.1〜0.5質量%と、
残部の有機溶媒と、
を含むことを特徴とする、フォトレジスト組成物。
【化4】

前記化学式(1)中、R1はtert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。
【請求項4】
前記光酸発生剤は、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホン酸塩、およびトリフルオロメタンスルホン酸N−ヒドロキシコハク酸イミドエステルからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルラクテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、および4−ヘプタノンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の分子フォトレジスト組成物。
【請求項6】
エッチング対象膜上に、フォトレジスト組成物の総質量100質量%に対して、下記化学式(1)で表されるシロキサン化合物8〜14質量%と光酸発生剤0.1〜0.5質量%と残部の有機溶媒と、を含むフォトレジスト組成物をコートしてフォトレジスト膜を形成する段階と、
露光工程を行って前記フォトレジスト膜を露光する段階と、
露光された前記フォトレジスト膜に現像液を用いる現像工程を行ってフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて露出されたエッチング対象膜をエッチングして基板上にパターンを形成する段階と、
を含むパターン形成方法:
【化5】

前記化学式(1)中、R1はtert−ブチル基または1−tert−ブトキシエチル基であり、R2およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。
【請求項7】
前記現像工程を行う前に、前記フォトレジスト膜を90〜120℃にて加熱する段階を更に行うことを特徴とする、請求項6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記露光工程は、光源として、遠紫外線、ArFレーザー、フッ素(F)レーザー、X線、水銀キセノンランプ、またはイオンビームを用いて行われることを特徴とする、請求項6または7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記現像工程において前記フォトレジスト膜の露光部が現像液に溶解されることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
酸素プラズマエッチングを行って前記エッチング対象膜をエッチングすることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−210996(P2007−210996A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341802(P2006−341802)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】