説明

シートヒータ制御装置

【課題】小型で安価なシートヒータ制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】暖房・電力算出兼用ヒータの両端電圧を検出する電圧検出部3と、温度設定部4と、コントロール部5と、電源オン/オフ部7と、雰囲気温度検出部8とを備え、前記コントロール部は暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データ、両ヒータ電力と前記温度設定部の温度設定値、雰囲気温度、および通電時間の相関データを有し、供給電源電圧を検出して、暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データと電圧検出部で検出した電圧と供給電源電圧からヒータ電力を算出し、ヒータ電力と温度設定と雰囲気温度と通電時間との相関データからヒータ温度を通電時間制御するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房などの熱源として用いることのできるシートヒータの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシートヒータ制御装置はサーミスタによりヒータ温度を制御している。
【0003】
具体的には、図3に示すように、サーミスタ101からの温度信号を検出するヒータ温度検出部102と、温度設定部103と、温度設定値とヒータ温度を比較し、通電のオン/オフを制御するコントロール部104と、電源オン/オフ部105とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−214000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、ヒータ温度を制御するのにサーミスタが必要となり、小型で安価なシートヒータ制御装置を提供することができないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、小型で安価なシートヒータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のシートヒータ制御装置は、暖房用ヒータと、この暖房用ヒータに直列に接続された暖房・電力算出兼用ヒータと、前記暖房・電力算出兼用ヒータの両端電圧を検出する電圧検出部と、前記両ヒータの温度設定を行う温度設定部と、両ヒータの温度を制御するコントロール部と、前記両ヒータと直列に接続された電源オン/オフ部と、雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出部とを備え、前記コントロール部は、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データ、両ヒータの電力、前記温度設定部の温度設定値、前記雰囲気温度検出部で検出した雰囲気温度、および通電時間との相関データを有し、供給電源電圧を検出して、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データと前記電圧検出部で検出した電圧と供給電源電圧から両ヒータの電力を算出し、この電力と、温度設定と、雰囲気温度と、通電時間との相関データから両ヒータの温度を通電時間により制御するようにしたものである。
【0008】
これによって、サーミスタが必要なくなり、定格電力の大きいヒータ電力算出用ヒータも暖房用に兼用でき、小型で安価なシートヒータ制御装置を提供できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型で安価なシートヒータ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるシートヒータ制御装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1におけるシートヒータ制御装置のフローチャート
【図3】従来のシートヒータ制御装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、暖房用ヒータと、この暖房用ヒータに直列に接続された暖房・電力算出兼用ヒータと、前記暖房・電力算出兼用ヒータの両端電圧を検出する電圧検出部と、前記両ヒータの温度設定を行う温度設定部と、両ヒータの温度を制御するコントロール部と、前記両ヒータと直列に接続された電源オン/オフ部と、雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出部とを備え、前記コントロール部は、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データ、両ヒータの電力、前記温度設定部の温度設定値、前記雰囲気温度検出部で検出した雰囲気温度、および通電時間との相関データを有し、供給電源電圧を検出して、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データと前記電圧検出部で検出した電圧と供給電源電圧から両ヒータの電力を算出し、この電力と、温度設定と、雰囲気温度と、通電時間との相関データから両ヒータの温度を通電時間により制御するようにしたものである。
【0012】
これによって、サーミスタが必要なくなり、定格電力の大きいヒータ電力算出用ヒータも暖房用に兼用でき、小型で安価なシートヒータ制御装置を提供できる。
【0013】
第2の発明は、特に、前記第1の発明において、両ヒータの電圧を可変する電圧可変部を備え、コントロール部は両ヒータの電力が所定の値以下となるよう電圧を可変制御することにより、ヒータが劣化しても安全に使用できるようにした。
【0014】
第3の発明は、特に、前記第1または第2の発明において、コントロール部は、ヒータオフ時に電圧検出部で検出した電圧から、電源オン/オフ部、両ヒータの通電経路の天絡を検出、制御することにより、ヒータ通電経路の天絡異常状態での使用を防止できる。
【0015】
第4に発明は、特に、前記第1〜第3のいずれか一つの発明において、コントロール部は、ヒータオン時に記電圧検出部で検出した電圧から、電源オン/オフ部、両ヒータから構成されたヒータ通電経路の地絡、および前記暖房用ヒータの断線を検出するようにしたことにより、ヒータ通電経路の地絡および前記暖房用ヒータの断線異常状態での使用を防止できる。
【0016】
第5の発明は、特に、前記第1〜第4のいずれか一つの発明において、コントロール部は、ヒータオン時に電圧検出部で検出した電圧から、暖房用ヒータの短絡を検出するようにしたことにより、前記暖房用ヒータの短絡異常状態での使用を防止できる。
【0017】
第6の発明は、特に、前記第3〜第5のいずれか一つの発明において、コントロール部は、ヒータ通電経路の天絡、ヒータ通電経路の地絡、暖房用ヒータの断線、暖房用ヒータの短絡を検出した時に報知部に異常内容に応じた報知を行うようにしたことにより、故障部位を特定することができ、修理作業を容易に行うことができる。
【0018】
第7の発明は、特に、前記第3〜第6のいずれか一つの発明において、異常時に供給電源電圧を遮断する安全装置を備え、コントロール部は、ヒータ通電経路の天絡、ヒータ通電経路の地絡、暖房用ヒータの断線、前記暖房用ヒータの短絡が所定回数以上となると前記安全装置により供給電源電圧を遮断するようにしたことにより、安全な状態で使用を停止することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1において、1はミシンなどで表布などに配線された発熱線から構成された暖房用ヒータ、2はこの暖房用ヒータ1に直列に接続された暖房・電力算出兼用ヒータで、前記暖房用ヒータ1に流れる電流に影響がないように長さを短くし設定している。
【0021】
暖房・電力算出兼用ヒータ2の両端電圧は電圧検出部3で検出されるようにしてある。4は抵抗ボリューム、切換えスイッチなどからの信号により前記両ヒータ1,2の温度設定を行う温度設定部、5は両ヒータ1,2の温度制御、および異常時に報知部6を介してその異常内容に応じた報知を行うコントロール、7は前記暖房用ヒータ1、および暖房・電力算出兼用ヒータ2と直列に接続された電源オン/オフ部、8は雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出部、9はヒータに供給する電圧を可変する電圧可変部、10は異常時に供給電源電圧を遮断する安全装置である。
【0022】
以上のように構成されたシートヒータ制御装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0023】
図2において、シートヒータスイッチを入れると、コントロール部5は報知部6にスイッチ入表示を行い、電圧検出部3で検出した暖房・電力算出兼用ヒータ2の両端電圧VHがヒータ通電経路の天絡しきい値V1以上の場合は、天絡検出として報知部6に天絡報知を行い、異常回数を記憶し、VHがV1未満の場合は、電源オン/オフ部7をオンし、供給電源電圧を印加して両ヒータ1,2をオンする。
【0024】
そして、ヒータオン状態で再度検出したVHがヒータ通電経路の地絡および前記暖房用ヒータ1の断線しきい値V2未満の場合は、地絡および断線検出として報知部6で報知を行う。
【0025】
両ヒータ1,2をオフして異常回数を記憶し、VHがV2以上、かつ前記暖房用ヒータ1の短絡しきい値V3以上の場合は、報知部6で短絡報知を行い、両ヒータ1,2をオフして異常回数を記憶し、VHがV2以上かつV3未満の場合は、供給電源電圧VIを検出し、VIとコントロール部5が有している前記暖房・電力算出兼用ヒータ2の抵抗値データとヒータオン時のVHから暖房用ヒータ1の電力PHを算出する。
【0026】
PHが所定の値以下となるようヒータ電圧VOを可変制御し、その後、コントロール部5が有しているPHと温度設定と雰囲気温度と通電時間との相関データからヒータ温度を通電時間制御する。
【0027】
また、コントロール部5はスイッチ入表示後、異常回数がn回以上の場合は、安全装置10を作動させ、供給電源電圧を遮断する。
【0028】
以上のように、本実施の形態においては、暖房用ヒータ1と、この暖房用ヒータ1に直列に接続された暖房・電力算出兼用ヒータ2の両端電圧を検出する電圧検出部3と、前記両ヒータ1,2の温度設定を行う温度設定部4と、ヒータ温度を制御するコントロール部5と、前記暖房用ヒータ、および暖房・電力算出兼用ヒータと直列に接続された電源オン/オフ部7と、雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出部8とを備え、前記コントロール5部は前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データ、ヒータ電力と前記温度設定部4の温度設定と前記雰囲気温度検出部8で検出した雰囲気温度と通電時間との相関データを有し、供給電源電圧を検出して、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データと前記電圧検出部3で検出した電圧と供給電源電圧からヒータ電力を算出し、ヒータ電力と温度設定と雰囲気温度と通電時間との相関データからヒータ温度を通電時間制御することにより、サーミスタなどの温度センサが必要なくなり、定格電力の大きいヒータ電力算出用ヒータも暖房用に兼用でき、小型で安価なシートヒータ制御装置を提供できる。
【0029】
なお、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データ、ヒータ電力と前記温度設定部の温度設定と前記雰囲気温度検出部で検出した雰囲気温度と通電時間との相関データ、異常回数データはコントロール部以外(例えば、別設のROM)に記憶したり、雰囲気温度検出部は本シートヒータ制御装置以外(例えば、シートヒータスイッチ部)に設けて接続してもよいものとする。
【0030】
また、本実施の形態では、ヒータ電圧を可変する電圧可変部を備え、コントロール部はヒータ電力が所定の値以下となるようヒータ電圧を可変制御することにより、ヒータが劣化しても安全に使用できる。
【0031】
また、本実施の形態では、コントロール部はヒータオフ時に前記電圧検出部で検出した電圧から、前記電源オン/オフ部、前記暖房用ヒータ、前記暖房・電力算出兼用ヒータから構成されたヒータ通電経路の天絡を検出、制御することにより、ヒータ通電経路の天絡異常状態での使用を防止できる。
【0032】
また、本実施の形態では、コントロール部はヒータオン時に前記電圧検出部で検出した電圧から、前記電源オン/オフ部、前記暖房用ヒータ、前記暖房・電力算出兼用ヒータから構成されたヒータ通電経路の地絡および前記暖房用ヒータの断線を検出、制御することにより、ヒータ通電経路の地絡および前記暖房用ヒータの断線異常状態での使用を防止できる。
【0033】
また、本実施の形態では、コントロール部はヒータオン時に前記電圧検出部で検出した電圧から、前記暖房用ヒータの短絡を検出、制御することにより、前記暖房用ヒータの短絡異常状態での使用を防止できる。
【0034】
また、本実施の形態では、コントロール部はヒータ通電経路の天絡、ヒータ通電経路の地絡、前記暖房用ヒータの断線、前記暖房用ヒータの短絡を検出した時に報知部に異常内容に応じた報知を行うことにより、故障部位を特定することができ、修理作業を容易に行うことができる。
【0035】
また、本実施の形態では、異常時に供給電源電圧を遮断する安全装置を備え、コントロール部はヒータ通電経路の天絡、ヒータ通電経路の地絡、前記暖房用ヒータの断線、前記暖房用ヒータの短絡が所定回数以上となると前記安全装置により供給電源電圧を遮断することにより、安全な状態で使用を停止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明のシートヒータ制御装置は、小型で安価なシートヒータ制御装置を提供できるので、主に車両に用いられるカーシートヒータなどの車両用や暖房器具などの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 暖房用ヒータ
2 暖房・電力算出兼用ヒータ
3 電圧検出部
4 温度設定部
5 コントロール部
6 報知部
7 電源オン/オフ部
8 雰囲気温度検出部
9 電圧検出部
10 安全装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房用ヒータと、この暖房用ヒータに直列に接続された暖房・電力算出兼用ヒータと、前記暖房・電力算出兼用ヒータの両端電圧を検出する電圧検出部と、前記両ヒータの温度設定を行う温度設定部と、両ヒータの温度を制御するコントロール部と、前記両ヒータと直列に接続された電源オン/オフ部と、雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出部とを備え、前記コントロール部は、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データ、両ヒータの電力、前記温度設定部の温度設定値、前記雰囲気温度検出部で検出した雰囲気温度、および通電時間との相関データを有し、供給電源電圧を検出して、前記暖房・電力算出兼用ヒータの抵抗値データと前記電圧検出部で検出した電圧と供給電源電圧から両ヒータの電力を算出し、この電力と、温度設定と、雰囲気温度と、通電時間との相関データから両ヒータの温度を通電時間により制御するようにしたシートヒータ制御装置。
【請求項2】
両ヒータの電圧を可変する電圧可変部を備え、コントロール部は両ヒータの電力が所定の値以下となるよう電圧を可変制御するようにした請求項1記載のシートヒータ制御装置。
【請求項3】
コントロール部は、ヒータオフ時に電圧検出部で検出した電圧から、電源オン/オフ部、暖房用ヒータ、暖房・電力算出兼用ヒータから構成されたヒータ通電経路の天絡を検出、制御するようにした請求項1または2記載のシートヒータ制御装置。
【請求項4】
コントロール部は、ヒータオン時に記電圧検出部で検出した電圧から、電源オン/オフ部、両ヒータの通電経路の地絡、および暖房用ヒータの断線を検出するようにした請求項1〜3のいずれか1項記載のシートヒータ制御装置。
【請求項5】
コントロール部は、ヒータオン時に電圧検出部で検出した電圧から、暖房用ヒータの短絡を検出するようにした請求項1〜4のいずれか1項記載のシートヒータ制御装置。
【請求項6】
コントロール部は、ヒータ通電経路の天絡、ヒータ通電経路の地絡、暖房用ヒータの断線、暖房用ヒータの短絡を検出した時に報知部に異常内容に応じた報知を行うようにした請求項3〜5のいずれか1項記載のシートヒータ制御装置。
【請求項7】
異常時に供給電源電圧を遮断する安全装置を備え、コントロール部は、ヒータ通電経路の天絡、ヒータ通電経路の地絡、暖房用ヒータの断線、前記暖房用ヒータの短絡が所定回数以上となると前記安全装置により供給電源電圧を遮断するようにした請求項3〜6のいずれか1項記載のシートヒータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−18494(P2011−18494A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161337(P2009−161337)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】