説明

シールドデータケーブル用プラグ

シールドデータケーブル用のプラグ、とくにRJ45プラグが、第1のシェル(1)と第2のシェル(2)を組み合わせた導電性のハウジングを持つ。電気的絶縁性のあるプラグ本体(4)に、プラグ接点(302)が取り付けられている。ハウジングに差し込み可能なプリント配線基板(3)は、プラグ接点(302)と絶縁変位接点(303、304)とを備え、両者をたがいに導電性結合する。プリント配線基板(3)は、非導電性のフィルム(301)によって、ハウジング(1)に対して絶縁されている。接続されるデータケーブルの心線は装着部品(5)に差し込み可能であって、この場合、心線は2つのたがいに重なり合う平面で、この装着部品(5)に取り込まれる。データケーブルは、装着部品(5)と第2のシェル(2)の中に取り付けることができる。シェル(1、2)を組み合わせるとき、絶縁変位接点(303、304)は、装着部品(5)に収められたデータケーブルの心線に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載するシールドデータケーブル用プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
工業環境や事務所環境における構造化されたサービスニュートラルなケーブル敷設には、主にシールドデータケーブルが用いられ、このケーブルは、実装済みのプラグコネクタを介して接続される。このプラグコネクタによって、データケーブルの心線の間に導電性の結合を生じ、接点のシールドが得られる。その際プラグコネクタのシールドは、たがいに接続されるデータケーブルのシールドの結合にも同時に用いられる。このようなプラグコネクタは、とくにRJプラグコネクタとして用いられている。
【0003】
WO02/15340A1からは、冒頭に挙げた種類のシールドデータケーブル用プラグが公知である。導電性ハウジングの中にプリント配線基板が挿入されるが、このプリント配線基板は、接続されるデータケーブルの心線に接触するための絶縁変位接点(IDC接点)と、プラグコネクタのためのプラグ接点とを備え、たがいに結合されている。接続される心線は1つの装着部品に差し込まれ、この装着部品は、絶縁変位接点にかぶせられて心線に接触する。プラグ接点はプラグ本体の中に収められ、このプラグ本体はプラグコネクタのジャックに差し込まれる。ハウジングは2つのシェルからなり、これらのシェルはヒンジを介してたがいに結合され、畳んで閉じることができる。畳んだ後、シェルのヒンジと反対側の末端は、データケーブルを包む張力緩和部材を形成する。絶縁変位接点は、1列に並ぶものが4個あるだけなので、4心データケーブルを1本しか接続できない。データケーブルからジャックまでシールドするため、別付けの打ち抜き・曲げ加工鉄板部品が、プラグ内に取り付けられている。
【0004】
米国特許第5905637号からは、次のようなシールドデータケーブル用プラグが公知である。すなわち、接続されるデータケーブルの心線のための絶縁変位接点と、プラグ接点とが、それぞれ別個のブロックに配置されていて、これらのブロックは接点を結合するプリント配線基板の上に載せられている、このようなプラグである。たとえばRJ45プラグの8本の心線を接続できるようにするため、絶縁変位接点は、それぞれ位置を差し込み方向にたがい違いにずらしながら並んで、4個ずつ2列に配置されている。データケーブルは、上方からこの2列の間に導かれるので、それぞれ4本の心線が前方に、それと反対には4本の心線が後方に向かって、絶縁変位接点に挿入される。データケーブルをプラグの上面にそって導くため、プラグの構造高さが大きくなる。
【0005】
独国特許第10057833号からは、次のようなシールドデータケーブル用プラグコネクタが公知である。すなわち、1本のデータケーブルの8本の心線が、たとえばRJ45プラグコネクタのため、1つの装着部品の中で、2つの上下に配置されてたがいに位置をずらした平面に取り付けられ、この装着部品を用いて絶縁変位接点に挿入される。これらの絶縁変位接点は、位置を差し込み方向にたがい違いにずらしながら並んで、2列に配置されている、このようなプラグコネクタである。接点のシールドを生じる導電性ハウジングには、シールド鉄板がもう1つ設けられて、たがいに結合されるデータケーブルをシールドするのに用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、構造がコンパクトで取り付けが簡単な、シールドデータケーブル用プラグを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この課題を請求項1の諸特徴を持つプラグによって解決する。
本発明の有利な実施形態を従属請求項に記載した。
【0008】
本発明のプラグは、2つのシェルからなる導電性のハウジングを持ち、このハウジングは、プラグ本体、プリント配線基板、装着部品を収める。プラグ本体は絶縁性材料からなっていて、プラグ接点を収める。プラグ接点は、プラグ本体をジャックに差し込むとき、プラグコネクタ接点を形成する。プリント配線基板は、プラグ接点と絶縁変位接点とを取り付けられて、これら接点を結合する。接続されるデータケーブルの心線は、装着部品に差し込まれて、装着部品を絶縁変位接点にかぶせるとき、絶縁変位接点に接触される。絶縁変位接点は、位置を差し込み方向にたがい違いにずらしながら並んで、絶縁変位接点4個ずつ2列配置されている。これらの心線は、装着部品内で2つの平面に配置され、その際、一方の平面は他方の平面を越えて張り出すが、これは両平面に配置された心線に、2列の絶縁変位接点を接触させるためである。これにより、4心の産業用ケーブルだけでなく、8心までの標準オフィス用ケーブルを接続することも可能となる。
【0009】
プラグの構造高さをとくに小さくできるよう、プリント配線基板をハウジングのシェルに対し、薄いフィルムで絶縁する。そしてまたそれぞれたがい違いに位置をずらして並ぶ絶縁変位接点の2列を、異なる高さに形成する。絶縁変位接点のうち、差し込み方向に見て前列にあるものは、後列にあるものよりも高くする。前列にある絶縁変位接点のプリント配線基板に近い領域は、プラグ本体に包まれるが、これは絶縁変位接点を機械的に安定させるためである。しかし絶縁変位接点のうち、差し込み方向に見て後列にあるものはプリント配線基板まで露出しているので、絶縁変位接点のこれら後列の領域において、装着部品をプリント配線基板の上までかぶせることができる。
【0010】
このプラグは、複雑なツールまたは補助手段を用いなくても、簡単に取り付けることができる。接続されるケーブルの心線は、装着部品に引き込まれ、そして装着部品の差し込み方向正面で外に出る。この正面で、心線を切断することができる。したがって心線の露出末端の長さの適合は、取り付け時には不要である。接続されるケーブルは、この場合すでに、装着部品を収めるハウジングのシェル中で、張力緩和部材で挟み込んで置き、その結果として、心線は装着部品の中に固定されて、その後の取り付けの際に位置を変えることはできないようにすることができる。装着部品を含むハウジングのシェルを、ハウジングの他方のシェルにかぶせればそれでよい。この他方のシェルは、絶縁変位接点を含むプリント配線基板を収めている。
【0011】
一方のシェル、好ましくはプリント配線基板を収めるシェルの中では、弾性のあるシールド接点が用いられ、このシールド接点はハウジングと導電性結合されている。シェルを組み合わせるとき、一方のシェル中に張力緩和部材によって固定されたデータケーブルはそのシールドとともに、他方のシェルに取り付けられたシールド接点に押し付けられる。そうするとデータケーブルのシールドは、シェルを組み合わせて取り付けるときに、必然的導電性ハウジングと接触する。そのほかの措置を行わなくてもこれをもって、シールドされたハウジングとケーブルのシールドとの信頼性ある結合、およびプラグを受けるジャックに対するシールド付与とが得られる。
【0012】
プラグ本体、装着部品、ハウジングのシェルは、取り付けのとき、スナップ結合によってたがいにラッチ固定される。したがってたとえばネジ止めなどのようなそのほかの補助手段は不要である。
【0013】
ハウジングが導電性であることと、接続されるデータケーブルのシールドにハウジングが接触することとによって、プラグ内部の露出心線の全方向シールドが得られる。プリント配線基板の上で、絶縁変位接点とプラグ接点間の導体路の寸法が小さいので、最適な導体配線が可能となり、その結果個々の心線間のクロストークが最小限に抑えられる。したがってこのシールドと組み合わせれば、少なくとも250MHzまでの信号伝送が可能である。外側寸法が小さいので、このプラグを、さまざまな規格の保護ハウジングに組み込むことができる。これらの保護ハウジングは、産業用途としてたとえばIP67の保護要求事項を満足するために用いられるものである。
【0014】
このプラグは寸法が小さいため、とくには、複数のジャックが2次元の網目状に配置されている、いわゆるマルチポートジャックに適する。
下記では、図面に示した実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
このプラグは、第1のシェル1と第2のシェル2とを組み合わせたハウジングを持つ。このハウジングには、プリント配線基板3、プラグ本体4、装着部品5が差し込まれている。ハウジングのシェル1および2は導電性であって、好ましくは金属圧力鋳造部品、とくに好ましくは亜鉛圧力鋳造部品として形成されている。プラグ本体4と装着部品5とは絶縁材料からなり、とくにはプラスチック射出成形部品である。
【0016】
第1のシェル1は、プラグ差し込み方向に長いバスタブ形で、底面101と側壁102からなるU字形の断面を持つ。第1のシェルのうち、プラグ差し込み方向―図1では下方―を指す部分では、底面101が受け具103を形成し、この受け具にプリント配線基板3が挿入される。差し込み方向における背後末端では、底面101にシールド接点104が取り付けられている。シールド接点104は鉄板打ち抜き部品であって、その下面105がシェル1の底面101に載っており、このシェルと導電性結合、たとえばリベット結合されている。下面105は、差し込み方向における前端エッジ106で直角に曲げられている。したがって前端エッジ106と底面101との間には空隙が形成され、この空隙でプリント配線基板3の後端エッジを保持して、プリント配線基板をシェル1の中で位置決めすることができる。下面105の左右の長手エッジで、接点スプリング107が上方に曲げられ、次に内側に向かって下面105と平行に曲げられているので、接点スプリング107はその自由な末端をたがいにオーバラップさせて、1つのスプリングとしての搭載物を形成する。
【0017】
シェル1の底面101の差し込み方向における前端エッジには、箱型の懸架装置108が設けられていて、この懸架装置は、底面101の下側で、差し込み方向と反対方向に開いている。懸架装置108には、ラッチレバー109を懸架することができる。ラッチレバー109はその前端に突起110を備え、この突起が懸架装置108で底面101の前端エッジを把握する。したがってラッチレバー109は、懸架装置108の中に、後付け可能かつ取り外し可能な状態で保持される。ラッチレバー109のレバーアーム111は、後方に向かって懸架装置108から突き出ている。レバーアーム111にはラッチショルダ112が設けられ、このラッチショルダは、ここには図示しないジャックにプラグを、取り外し可能な状態で取り付けるために用いられる。レバーアーム111を、弾力的に底面101に押し付けると、ラッチショルダ112を、ジャックのラッチ機構から解放することができる。
【0018】
プリント配線基板3上には、差し込み方向における前端にプラグ接点302が設けられている。これは、図示の実施例RJ45プラグの場合、隣り合って並ぶ8個のプラグ接点302である。これらのプラグ接点302は、ワイヤまたは打ち抜き部品によって、フレーム状に形成されている。差し込み方向に見てプリント配線基板3の後ろ側縁辺には、絶縁変位接点303、304が設けられている。絶縁変位接点303、304は、差し込み方向を横切る方向の2列に配置されるが、それぞれたがい違いに差し込み方向に位置をずらしながら間隔を取っている。プリント配線基板3の後端エッジに隣接する絶縁変位接点の後列303は、この場合、差し込み方向に見た絶縁変位接点の前列304よりも、高さが小さい。絶縁変位接点のいずれの列303、304も、4個の絶縁変位接点303、304からなり、これらの接点は間隔ごとに位置をずらして配置され、プリント配線基板3から垂直に、上方に向かって立つ。
【0019】
プラグ本体4はほぼ直方体の形状で、この直方体の断面は、第1のシェル1の内部断面に相当する。プラグ本体4は差し込み方向における前端に、隣り合って並びながら貫通するスロット401を備える。プラグ本体4は後端領域に、垂直に貫通する4個の横スロット402を備える。プラグ本体4をプリント配線基板3の上に配置する際は、差し込み方向で見たプラグ本体の前端エッジが、プリント配線基板3の前端と重なり合うように配置する。差し込み方向で見たプラグ本体4の後端は、この場合、絶縁変位接点の前列304を越えて延びる。
【0020】
プラグ接点302は、スロット401を通ってプリント配線基板3に差し込まれる。前列の絶縁変位接点304は、横スロット402でプリント配線基板に差し込まれる。後列の絶縁変位接点303もプリント配線基板3に差し込まれる。このようにして実装されたプリント配線基板3は、好ましくはTHR法(Through Hole Reflow)でハンダ付けされるものとする。これにより絶縁変位接点303、304は、プリント配線基板3の導体路を経由して、プラグ接点302と導電性結合される。絶縁変位接点303、304とプラグ接点302とを含むプリント配線基板3は、したがってプラグ本体4とともに1つの複雑なユニットを形成する。プラグ接点302は、前端エッジのスロット401に位置し、そしてプラグ本体の上側は露出している。そのためプラグ接点は、プラグをジャックに差し込むとき、ジャックの対応する接点に接触することができる。前列の絶縁変位接点304は、横スロット402を貫通し、プラグ本体4の上側を越えて上方に突出する。後列の絶縁変位接点303は、プラグ本体4の背後で、プリント配線基盤3の後ろ側縁辺の上に露出して立つ。
【0021】
第1のシェル1における受け具103には、薄い絶縁フィルム301が挿入される。フィルム301の寸法は、プリント配線基板3に相当する。フィルム301を挿入した後、プリント配線基板3とプラグ本体4から形成されるユニットが、第1のシェル1に挿入される。プラグ本体4はその両方の長手側面に、ラッチ403を少なくとも1つずつ持つ。このユニットがシェル1に押し込まれるとき、これらのラッチ403は、第1のシェル1の側壁102にあるノッチ113に、スナップ方式で噛み込む。これによりプラグ本体4とプリント配線基板3とは、第1のシェル1の中に固定される。フィルム301は、プリント配線基板3、その導体路、ハンダ付け箇所を、シェル1に対して電気的に完全に絶縁する。
【0022】
プリント配線基板3をプラグ本体4とともに差し込んでラッチ固定した後、シールド接点104を、プリント配線基板の背後でシェル1に差し込み、たとえばリベットによってこのシェルと結合する。このとき、シールド接点104の前端エッジ106が、プリント配線基盤3の後端エッジを把握するので、プリント配線基板はさらにシェル1にも保持される。
【0023】
第2のシェル2も、上面201と側壁202とによるほぼ四角形のU字形断面が、差し込み方向に延びる形状である。差し込み方向で見た第2のシェル2の前端には、装着部品5が差し込まれる。このため装着部品5は、その左右の後部外側エッジに、切り欠き501を持つ。この切り欠きには、装着部品5を第2のシェル2に挿入するとき、側壁202の内側突起203が噛み込む。突起203と切り欠き501とを噛みあい状態に保つため、装着部品5は、その上側に設けられたラッチ502が、シェル2の上面201に設けられたノッチ204に噛み込む。
【0024】
装着部品5は段付きの形状である。装着部品5は、シェル2の上面201に隣接する上側平面に、差し込み方向に平行に貫通する4個の穴503を持つ。これらの穴503には、下側からそれぞれの横スロット504が下面からつながる。これら横スロットは、間隔ごとにたがい違いに位置をずらして、その配置は前列の絶縁変位接点304に対応する。これら横スロット504の背後では、装着部品5の下面に4個の取り付けフォーク505が並んで配置され、これらのフォークは下面に向かって開いている。
【0025】
装着部品5を収めるシェル2の領域につながって、シェル2のシールド接点領域205が形成されている。このシールド接点領域205は、上面201の内側に接点リブ206を備え、これらの接点リブは、内側に向かう突起となって、差し込み方向を横切る方向に伸びる。このシールド接点領域205につながって、シェル2の張力緩和領域207が接合されている。この張力緩和領域207では、上面201の内側が、バスタブ状に形成されている。張力緩和領域207に、張力緩和固定金具208をかぶせることができる。張力緩和固定金具208は、押さえエッジ209を持つU字形金具の形状であり、このエッジは、中央のヨークに形成されていて、内側を向いている。張力緩和固定金具208の両脚の内側には、歯部210が1つずつ形成されている。歯部210はラッチエッジ211と協働し、このラッチエッジは、シェル2の側壁202の外面、かつ張力緩和領域207に設けられている。張力緩和固定金具208は、ストラップ212によって紛失防止されて、シェル2に結合されている。
【0026】
データケーブル、とくに8心ケーブルを接続するためには、ケーブル末端の心線を露出させる。心線の露出につづいて、外側ケーブル絶縁の一部分にわたり、ケーブルのシールドを露出させる。次にこれらの心線を装着部品5に差し込む。その際、4本の心線を上側平面の穴503に差し込み、残りの4本の心線を取り付けフォーク505に押し込んでフォークの中に挟み込む。ケーブルの露出されたシールドは、ここでシェル2のシールド接点領域205に位置することになる。次に張力緩和固定金具208をかぶせ、シェル2に押し付ける。張力緩和固定金具208の押さえエッジ209はこのとき、ケーブルをその絶縁性ある被覆とともに、シェル2のバスタブ状部分の中に押し込み、ケーブルを張力緩和状態で固定する。このとき歯部210によって、張力緩和固定金具208を、任意のいずれの箇所にも噛み込ませることができる。このようにして、さまざまな断面を持つケーブルを挟み込み、張力緩和状態で保持することができる。この張力緩和部材によって、ケーブルは第2のシェル2の中に固定され、ケーブルの心線は装着部品5の中に保持される。心線の突出する末端は、この場合、穴503または取り付けフォーク505の差し込み方向の正面で切断することができる。
【0027】
装着部品5およびシェル2におけるケーブル取り付けは簡単であり、プラグのそのほかの部分に依存することなく行うことができる。つづいて第2のシェル2を、このシェルにラッチ固定された装着部品5および取り付けられたケーブルとともに、プリント配線基板3およびプラグ本体4を装着された第1のシェル1にかぶせる。ここで装着部品5をかぶせる際、プラグ本体4から上方に突出する前列の絶縁変位接点304が、横スロット504を通って穴503に差し込まれるが、後列の絶縁変位接点303は取り付けフォーク505に差し込まれるようにする。前列の絶縁変位接点304はこれによって、穴503の上側平面の心線に接触するが、後列の絶縁変位接点303は、取り付けフォーク505に押し込まれた心線に接触する。第1のシェル1と第2のシェル2とを組み立て状態で一体保持するために、第2のシェル2のラッチ213が、第1のシェル1の側壁102における対応する領域のノッチ114に噛み込む。このラッチは、シールド接点領域205における側壁202の外側に設けられている。シェル1および2をこのように接合するとき、第1のシェル1においてシールド接点104の接点スプリング107は、ケーブルの露出したシールドに接触する。そして弾性的にスプリング作用しながら、このシールドを第2のシェル2の接点リブ206に押し付ける。それによりケーブルのシールドと、プラグハウジングの2つの導電性シェル1、2との間に、信頼性ある接触が得られる。
【0028】
図1は、張力緩和部材を備えないプラグを示す。すなわち、張力緩和領域207と張力緩和固定金具208が設けられていない。このバージョンは、すでに張力緩和機能を備えている保護ハウジングに組み込むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】上から見たプラグの分解図である。
【図2】下から見たプラグの分解図である。
【図3】ハウジングを組み立てる前のプラグの図である。
【図4】もう1つの視点から見た組み立て前のプラグの図である。
【図5】プラグの縦断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 第1のシェル
101 底面
102 側壁
103 受け具
104 シールド接点
105 下面
106 前端エッジ
107 接点スプリング
108 懸架装置
109 ラッチレバー
110 突起
111 レバーアーム
112 ラッチショルダ
113 ノッチ
114 ノッチ
2 第2のシェル
201 上面
202 側壁
203 突起
204 ノッチ
205 シールド接点領域
206 接点リブ
207 張力緩和領域
208 張力緩和固定金具
209 押さえエッジ
210 歯部
211 ラッチエッジ
212 ストラップ
213 ラッチ
3 プリント配線基板
301 フィルム
302 プラグ接点
303 後列の絶縁変位接点
304 前列の絶縁変位接点
4 プラグ本体
401 スロット
402 横スロット
403 ラッチ
5 装着部品
501 切り欠き
502 ラッチ
503 穴
504 横スロット
505 取り付けフォーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドデータケーブル用プラグであって、すなわちこのプラグは、第1のシェル(1)と第2のシェル(2)とを組み合わせた導電性のハウジングと、プラグ接点(302)を収める電気的絶縁性あるプラグ本体(4)と、プリント配線基板(3)と、装着部品(5)とを持ち、前記プリント配線基板は、ハウジング(1、2)に差し込み可能であって、かつプラグ接点(302)と絶縁変位接点(303、304)とを支持して相互に導電性結合し、また前記装着部品にはデータケーブルの心線を差し込み可能であり、そしてこの装着部品は、心線に絶縁変位接点(303、304)で接触するため、プリント配線基板(3)に差し込み可能であるプラグであって、
前記プリント配線基板(3)は第1のシェル(1)に差し込み可能であって、かつフィルム(301)によって第1のシェルの底面(101)に対して電気的に絶縁されていることと、前記絶縁変位接点(303、304)は、たがい違いに位置をずらして並びながら、2列に配置されていることと、差し込み方向に見て後列の絶縁変位接点(303)の高さは、前列の絶縁変位接点(304)より低いことと、装着部品(5)は心線を、心線末端がステップ状に位置をずらして置かれている2つの平面で受けることと、突き出している方の平面の心線が、前列の絶縁変位接点(304)に接触することとを特徴とする、前記のプラグ。
【請求項2】
前記前列の絶縁変位接点(304)は、プリント配線基板に近い領域でプラグ本体(4)に包まれることを特徴とする、請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
前記絶縁変位接点(303、304)および/またはプラグ接点(302)が、プリント配線基板にハンダ付けされ、あるいは嵌め込まれていることと、向かい合う側の前記プリント配線基板(3)の下面がフィルム(301)で覆われていることとを特徴とする、請求項1または2に記載のプラグ。
【請求項4】
前記絶縁変位接点(303、304)および/またはプラグ接点(302)が、THR(スルーホールリフロー)法によって、プリント配線基板(3)と結合されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項5】
前記絶縁変位接点(303、304)および/またはプラグ接点(302)のピンが、プリント配線基板(3)の下側エッジを越えて突出することはないことを特徴とする、請求項3または4に記載のプラグ。
【請求項6】
前記装着部品(5)が、第1のシェル(1)と分離されている第2のシェル(2)に差し込み可能であることと、前記装着部品(5)と第2のシェル(2)に、データケーブルを取り付け可能であることとを特徴とする、前記各請求項のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項7】
張力緩和部材(207、208)がケーブルを前記第2のシェル(2)に固定することを特徴とする、請求項6に記載のプラグ。
【請求項8】
前記張力緩和部材が、第2のシェル(2)の張力緩和領域(207)に調節可能な状態で噛み込む張力緩和固定金具(208)を持つことを特徴とする、請求項7に記載のプラグ。
【請求項9】
前記装着部品(5)は、上側のステップ状に突出する平面に、心線のための貫通する穴(503)を持ち、下側の引っ込んだ平面に、心線を挟み込むための取り付けフォーク(505)を持つことを特徴とする、前記各請求項のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項10】
前記シェル(1、2)の一方には、そのシェルと導電性結合されたシールド接点(104)が取り付けられ、このシールド接点は、シェル(1、2)を組み合わせるとき、取り付けられるデータケーブルの露出されたシールドに弾性的に接触し、このシールドをそのときどきの他方のシェル(2、1)に押し付けることを特徴とする、前記各請求項のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項11】
前記シールド接点(104)が、シェル(1、2)中にリベット留めされたバネ鋼打ち抜き部品であることを特徴とする、請求項10に記載のプラグ。
【請求項12】
プラグ本体(4)を収める前記シェル(1)に、ラッチレバー(109)を懸架できることを特徴とする、前記各請求項のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項13】
前記プラグがRJ45プラグとして形成されていて、このRJ45プラグでは、4個の絶縁変位接点(303)からなる後列を1つと、4個の絶縁変位接点(304)からなる前列を1つとを、それぞれ設けられ、また装着部品(5)が、4個の穴(503)を持つ上側の突出する平面を1つと、4個の取り付けフォーク(505)を持つ下側の引っ込んだ平面を1つとを持つことを特徴とする、前記各請求項のいずれか一項に記載のプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−528654(P2009−528654A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556662(P2008−556662)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008475
【国際公開番号】WO2007/098791
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(507026475)エムツェー テクノロジー ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】