説明

スイッチ

【課題】防塵、防水スイッチの構造は一般的にゴム製のシールパッキンを使用したものが多く存在する。ゴム製の伸縮性のあるゴムブーツ等を使用することにより、密閉構造としてスイッチ内部の気密性を確保している。ただ悪環境の機械加工現場などで使用する場合、切粉等が発生してゴムブーツに穴を開けるなどのトラブルが発生する場合がある。
【解決手段】磁石とホールICを金属ケースで囲うことにより、密閉構造にして防塵、防水機能を強化したものである。悪環境の機械加工現場においても使用が可能となる。さらに無接点方式となっているため防爆型となる。このように優れた機能を持つことにより広範囲で使用が可能なスイッチである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無接点方式の防塵、防水スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にスイッチは金属部の接触を利用した接点方式と磁石、ホール素子あるいは磁界の変化や光等を利用した無接点方式がある。それぞれに一長一短があり、目的に応じて使用されている。スイッチの使用環境において、例えば一般家庭で使用する場合は防塵、防水機能はあまり必要としないのが通常である。ところが製造現場における機械装置で使用する場合は、防塵、防水機能を備えたスイッチが強く求められている。例えば、工作機械の近傍でスイッチを使用する場合は切削加工時の切粉、クーラント(切削溶剤)、研磨粉塵等が発生するために防塵、防水機能を高めることはたいへん重要である。さらに屋外で使用する場合は風雨、砂塵、気温の変化等にさらされるために防塵、防水機能が求められる。また海の深い場所で使用するスイッチは耐食性、耐薬品性に優れ、耐圧性にも対応できる構造としなければならない。さらに石油関連のプラント装置では発火による爆発を避けるため防爆型のスイッチが使用される。この際に接点方式では接点部で火花が発生するために無接点方式のスイッチが多く採用されている。また近年、工場内における爆発事故が発生しているが、その際にも発火性部品の使用を厳しく制限している。その意味でも防爆型で、防塵、防水のスイッチは有効である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
防塵、防水スイッチの構造は一般的にゴム製のシールパッキンを使用したものが多く存在する。シールパッキンはゴム製で伸縮性のあるゴムブーツ、特殊形状のシールパッキン、Oリング等が使用される。ゴム製のシールパッキンはスイッチ内部の気密性を保持する上で、取扱いが容易で伸縮性に富んだ優れた機能を有している。例えば、押ボタンスイッチの防塵、防水スイッチは軸受に対して、軸が上下にスライドして動作を繰り返す構造となっている。このスイッチの防塵、防水性を高めるために、通常、円筒形でジャバラ形状によるゴムブーツをスイッチの軸および軸受部に取り付けることにより、密閉構造を達成することができる。このジャバラ形状のゴムブーツを採用することにより、押ボタンスイッチのストローク量をカバーし、押圧、戻り圧に対して大きな負荷をかけることなく、スムーズなスイッチ動作が可能となる。またレバー型スイッチの場合は通常、円筒形のゴム製パイプを設置してレバーおよびスイッチ本体部に固定すれば密閉構造を達成することができる。このようにゴム製のシールパッキンを使用すれば各種のスイッチを防塵、防水構造にすることができる。
【0004】
ただ、スイッチの使用される環境を調べてみると、通常の場合は防塵、防水機能を持ったスイッチであればほとんどの場所に対応可能であるが、一部の悪環境下では、ゴム製のシールパッキンによる防塵、防水機能だけでは対応できない場所が存在する。例えば、工作機械の近傍でスイッチを使用する場合、切削加工時に発生する切粉、クーラント(切削溶剤)、研磨粉塵等が発生する。この際、シールパッキンに切粉が飛んでゴムブーツに穴をあけたり、クーラント(切削溶剤)がゴムブーツの一部を溶かしたりして穴をあけたりすることが発生する。このような悪環境下ではゴムブーツに変えて、金属ベローズ等を使用することも可能であるが、スイッチが高価になる欠点があった。また、スイッチのシールパッキンにゴムブーツ等を使用した場合、高圧のかかる場所では使用が厳しい状況であった。スイッチのゴムブーツに外圧がかかり、ゴムブーツがつぶれ、動作が不安定になるトラブルが発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題は本発明の防塵、防水スイッチによって問題を解決し、目的を達成することができる。従来の防塵、防水型スイッチはゴム製のシールパッキンを使用していたが、この方式を変更して、スイッチの構造を金属で囲った構造としたものである。実施例では4タイプのスイッチについて説明しているが、その中の1タイプ、レバー型防塵、防水スイッチ(A)にて説明する。レバー型防塵、防水スイッチ(A)は本体ケース(A)と接触子(A)で構成する。本体ケース(A)の内部はプリント基板上にホールICを配置する。ホールICは配線コード(1)に接続し、延長コードからの配線コード(2)と接続する。延長コードは外部からの電源供給および出力信号を取り出す構成となっている。この延長コードはコード保持金具で固定され、密閉構造となっている。本体ケース(A)の外部に接触子(A)を配置し、L金具、板ナットにて固定する。接触子(A)は板バネとなっており、その中間部下部に磁石を配置する。磁石は磁石ホルダーと磁石ケースによって固定されている。磁石ホルダーは接触子(A)に固定された構造となっている。ここで磁石は密閉構造となっている。このレバー型防塵、防水スイッチの動作原理は通常、信号出力がOFF状態であるが、接触子(A)の上部から検出体(A)を押しつけるとある一定の距離でホールICが磁石に反応して出力信号がON状態になる。そのまま限界まで押しつけてもON状態を保持した状態となる。また、検出体(A)を接触子(A)から離した状態にすると信号出力はONからOFF状態に戻り、定位置で次の動作を待機する状態となる。
【0006】
このレバー型防塵、防水スイッチ(A)はホールIC、プリント基板、配線コード、および磁石の部分がすべて密閉構造となっているために、防塵、防水機能が非常に高いスイッチ構造となっている。延長コード部を除き、表面に出ている部品は金属で構成している。この金属は防▲錆▼に強く、耐薬品性にも強い材料を使用する。これによって工作機械の加工現場の悪環境下で、切粉、クーラント(切削溶剤)、研磨粉塵等が発生する近傍でも使用が可能となる。このレバー型防塵、防水スイッチ(A)は水中での使用はもちろんのこと、海の深い場所でも使用が可能である。もう一つの特徴としては、このレバー型防塵、防水スイッチは無接点方式となっているために、防爆型である。近年、工場で爆発事故が発生しているが、この際に本発明によるレバー型防塵、防水スイッチ(A)を使用すれば、スイッチが原因による爆発事故は防止することができる。このようにレバー型防塵、防水スイッチ(A)の使用範囲は広範囲に渡っており、いままで制限があった分野にも適用できるものである。さらに本スイッチは構造がシンプルでローコストの製造ができる特徴を持っている。
【発明の効果】
【0007】
従来の防塵、防水型スイッチはゴム製のシールパッキンを使用して、目的の機能を達成したものが多かった。例えば、このスイッチを工場の機械加工現場で使用する場合、ゴム製のシールパッキンでは対応できない場所が多く存在するために設置場所が制限されることがあった。悪環境下の機械加工現場で使用するためには、スイッチの密閉構造を十分に吟味したものとし、防▲錆▼、耐薬品性、耐圧力性、耐久性等に優れた金属材料を選定することが重要である。本発明の防塵、防水スイッチはこのような悪環境下でも正常な動作を確保することができる。また、もう一つの特徴であるスイッチを無接点方式にすることにより、火花の発生しない防爆型にすることができる。近年、工場では石油、化学物質を使用した製品が多く存在するが、この際に引火性ガスが充満して爆発などのトラブルが発生するために、接点方式スイッチが制限されることがある。本来、防塵、防水スイッチを使用する場合は、使用する場所の環境に左右されず、設置できること望ましいが、全ての条件を満足するスイッチを作ることは技術的にたいへん難しいことである。今回、提供する防塵、防水スイッチはいままでのスイッチに比べ防塵、防水機能が優れている特徴を持っており、無接点方式にすることにより、工場の悪環境下でも使用できる構造となっている。いままで使用が制限されていた場所でも設置可能となるので、広範囲の分野にわたって設置されることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を適用した防塵、防水スイッチの実施形態を説明する。
【0009】
これから本発明のレバー型防塵、防水スイッチ(A)について詳しく説明する。まず図1はレバー型防塵、防水スイッチ(A)の外観図である。図1(A)は正面図、図1(B)は(A)の平面図、図1(C)は(A)の左側面図、図1(D)は(A)の右側面図である。図2は図1(B)のA−A断面図である。具体的な部品構成、動作については図2の図面に基づいて説明する。レバー型防塵、防水スイッチ(A)25は本体ケース(A)1の内部にプリント基板10に半田付けされたホールIC11を配置する。このプリント基板10は基板ホルダー9に固定し、さらに本体ケース(A)1に固定する。電源と信号出力を取り出すために、延長コード16とホールIC11が配線コード(1)12と配線コード(2)13によって接続される。この延長コード16はコード保持金具14に固定され、本体ケース(A)1にも固定され、内部は密閉構造となる。ここでワイヤーブレード15は金属製で機械加工時に発生する切粉等によって延長コード16が損傷しないように保護するためのものである。またさらに防塵、防水機能を高めたい場合は金属性のパイプを使用すればさらに強化される。配線コード(1)12と配線コード(2)13は3芯のコードで、途中で接続され、絶縁処理が施され、絶縁チューブ20で保護される。ここで本体ケース(A)1は固定穴21によって外部のブラケット等に固定される。ここで使用する金属材料は防▲錆▼、耐薬品性、耐圧力性、耐久性に優れ、非磁性体の材料を選定する。
【0010】
次に接触子(A)2は本体ケース(A)1にL金具3、板ナット5、ボルト4によって固定される。この接触子(A)2は板バネ材料を使用しており、Y軸方向の力に対してバネ性を有したものとなっている。この接触子(A)2の中間部、下部には磁石ホルダー6をロー付等で溶着し固定する。次に磁石8を磁石ケース7に挿入し、磁石ホルダー6に固定する。この際、磁石8は密閉構造となる。ここで磁石ホルダー6と磁石ケース7の金属材料は前項で述べた優れた要素を満足することはもちろんのこと非磁性体の金属材料を選定する。これは磁石8によって接触する金属が磁化されることを防ぐためである。次に接触子(A)2の先端がY軸方向に押された場合、ホールICと磁石の距離17からホールICがOFFの距離18を通過して、ホールICがONの距離19に到達する。このレバー型防塵、防水スイッチ(A)25は図2示す通り一定の範囲内で可動するが、検出体(A)22(図3、参照)が接触子(A)2から離れたところを図示しており、次の検出体(A)22が来るのを待ち受ける状態となっている。ホールIC11と磁石8を使用した今回の方式は磁石8の磁界にホールIC11内部のホール素子が反応して信号を出力するものである。このレバー型防塵、防水スイッチ(A)25で注意しなければならないことは磁石8を使用するために、接触子(A)2、磁石ホルダー6、磁石ケース7の表面に磁性材料の切粉、研磨粉等が若干、付着する場合が発生するが、この際はこれを除去する作業が発生する。このため磁性材料を機械加工する場合は定期的に切粉、研磨粉等を除去するメンテナンスが必要となる。前述で紹介した通りレバー型防塵、防水スイッチ(A)25の構造は密閉構造となっており、防塵、防水機能を強化したものである。
【0011】
図3はレバー型防塵、防水スイッチ(A)の動作行程図を示している。図3(A)は検出体(A)が接触子(A)に接触する前の行程を示している。図3(B)は(A)の平面図である。図3(C)は検出体(A)が接触子(A)に接触した状態の行程を示している。図3(D)は(C)の平面図である。図3(E)は検出体(A)が接触子(A)を押し付けた状態の行程を示している。図3(F)は(E)の平面図である。ここではレバー型防塵、防水スイッチ(A)25における、検出体(A)22と接触子(A)2の動作行程図を示している。具体的に図3(A)、(B)では検出体(A)22にFの力が加わって接触子(A)2に近づこうとしている状態で、信号出力はOFF状態である。図3(C)、(D)では検出体(A)22にFの力が加わって接触子(A)2に接触した状態で、信号出力はOFF状態である。図3(E)、(F)では検出体(A)22にFの力が加わって接触子(A)2を押し付けた状態である。検出体(A)22および接触子(A)2共、Y軸方向に移動する。ホールIC11の信号出力は途中の動作点でON状態となり、そのままON状態を維持することになる。ホールIC11の信号出力がONなる距離は図2で示した通りである。また検出体(A)22が接触子(A)2から離れる場合は逆の行程をたどり、途中の位置で信号出力はOFF状態になる。この磁石8とホールIC11の動作および信号出力については次項の図12にて詳しく説明する。このレバー型防塵、防水スイッチ(A)25は無接点方式の防爆型となっている。
【0012】
図4はレバー型防塵、防水スイッチの(B)の外観図である。図4(A)は正面図、図4(B)は(A)の平面図、図4(C)は(A)の左側面図、図4(D)は(A)の右側面図である。図5は図4(B)のA−A断面図である。具体的な部品構成、動作については図5の図面に基づいて説明する。レバー型防塵、防水スイッチ(B)26の部品構成、動作については図1および図2で示すものと、接触子(B)23を除いて同一なものなのでここでは詳しい説明を省くことにする。接触子(B)23は本体ケース(A)1にL金具3、板ナット5、ボルト4によって固定される。この接触子(B)23は板バネ材料を使用し、先端部が図で示すように山形の形状になっている。検出体(B)24(図6、参照)がX軸方向で移動してくると、接触子(B)23がY軸方向に押され、一定の範囲内で可動する。これによってホールICと磁石の距離17からホールICがOFFの距離18を通過して、ホールICがONの距離(動作点)19に到達する。検出体(B)24が接触子(B)23から離れると図示した状態で、次の検出体(B)24を待ち受ける状態となる。
【0013】
図6はレバー型防塵、防水スイッチ(B)の動作行程図を示している。図6(A)は検出体(B)が接触子(B)に接触する前の行程を示している。図6(B)は(A)の平面図である。図6(C)は検出体(B)が接触子(B)を押し付けた状態の行程を示している。図6(D)は(C)の平面図である。ここではレバー型防塵、防水スイッチ(B)26における、検出体(B)24と接触子(B)23の動作行程図を示している。具体的に図6(A)、(B)では検出体(B)24にFの力が加わって接触子(B)23近づこうとしている状態で、信号出力はOFF状態である。図(C)、(D)では検出体(B)24にFの力が加わって接触子(B)23を押し付けた状態である。検出体(B)24はX軸方向に移動し、接触子(B)23はY軸方向に移動する。ホールIC11の信号出力は途中の動作点でON状態となり、そのままON状態を維持することになる。ホールIC11の信号出力がONになる距離は図5で示した通りである。また検出体(B)24が接触子(B)23から離れる場合は逆の行程をたどり、途中の位置で信号出力はOFF状態になる。このレバー型防塵、防水スイッチ(B)26も無接点方式の防爆型となっている。
【実施例2】
【0014】
次に、本発明のアーム型防塵、防水スイッチについて説明する。図7はアーム型防塵、防水スイッチの外観図である。図7(A)は正面図、図7(B)は(A)の平面図、図7(C)は(A)の左側面図、図7(D)は(A)の右側面図である。図8は図7(B)のA−A断面図である。具体的な部品構成、動作については図8の図面に基づいて説明する。アーム型防塵、防水スイッチ51は本体ケース(C)31の内部にプリント基板38に半田付けされたホールIC39を配置する。このプリント基板38は基盤ホルダー37に固定し、さらに本体ケース(C)31に固定する。電源と信号出力を取り出すために延長コード44とホールIC39が配線コード(1)40と配線コード(2)41によって接続される。この延長コード44はコード保持金具42に固定され、本体ケース(C)31にも固定され、内部は密閉構造となる。ここでワイヤーブレード43は金属製で機械加工時に発生する切粉等によって延長コード44が損傷しないように保護するためのものである。またさらに防塵、防水機能を高めたい場合は金属製のパイプを使用すればさらに強化される。配線コード(1)40と配線コード(2)41は3芯のコードで、途中で接続され、絶縁処理が施され、絶縁チューブ48で保護される。ここで本体ケース(C)31は固定穴49によって外部のブラケット等に固定される。ここで使用する金属材料は防▲錆▼、耐薬品性、耐圧力性、耐圧力性、耐久性に優れ、非磁性体の材料を選定する。
【0015】
次に接触子(C)32は本体ケース(C)31に止めネジ36によって固定される。この接触子(C)32は先端棒状コイルバネを使用しており、Y軸方向の力に対してバネ性を有したものとなっている。この接触子(C)32の左側部、下部には磁石ホルダー33がロー付等で溶着し固定する。次に磁石35を磁石ケース34に挿入し、磁石ホルダー33に固定する。この際、磁石35は密閉構造となる。ここで磁石ホルダー33と磁石ケース34の金属材料は前項で述べた優れた要素を満足することはもちろんのこと非磁性体の金属材料を選定する。これは磁石35によって接触する金属が磁化されることを防ぐためである。次に接触子(C)32の先端がY軸方向に押された場合、ホールICと磁石の距離45からホールICがOFFの距離46を通過して、ホールICがONの距離(動作点)47に到達する。このアーム型防塵、防水スイッチ51は図8で示す通り一定の範囲内で可動するが、検出体(C)50(図9、参照)が接触子(C)32から離れているところを図示しており、次の検出体(C)50を待ち受ける状態となる。ホールIC39と磁石35を使用した今回の方式は磁石35の磁界にホールIC39内部のホール素子が反応して信号を出力するものである。このアーム型防塵、防水スイッチ51で注意しなければならないことは磁石35を使用するために、接触子(C)32、磁石ホルダー33、磁石ケース34の表面に磁性材料の切粉、研磨粉等が若干、付着する場合が発生するが、この際はこれを除去する作業が発生する。このため磁性材料を機械加工する場合は定期的に切粉、研磨粉等を除去するメンテナンスが必要となる。前述で紹介した通りアーム型防塵、防水スイッチ51の構造は密閉構造となっており、防塵、防水機能を強化したものである。
【0016】
図9はアーム型防塵、防水スイッチの動作行程図を示している。図9(A)は検出体(C)が接触子(C)に接触した状態の行程を示している。図9(B)は(A)の平面図である。図9(C)は検出体(C)が接触子(C)を押し付けた状態の行程を示している。図9(D)は(C)の平面図である。ここではアーム型防塵、防水スイッチ51における、検出体(C)50と接触子(C)32の動作行程図を示している。具体的には図9(A)、(B)では検出体(C)50にFの力が加わって接触子(C)32に接触した状態で、信号出力はOFF状態である。図9(C)、(D)では検出体(C)50にFの力が加わって接触子(C)32を押し付けた状態である。検出体(C)50および接触子(C)32共、Y軸方向に移動する。ホールIC39の信号出力は途中の動作点でON状態となり、そのままON状態を維持することになる。ホールIC39の信号出力がONになる距離は図8で示した通りである。また検出体(C)50が接触子(C)32から離れる場合は逆の行程をたどり、途中の位置で信号出力はOFF状態になる。この磁石35とホールIC39の動作および信号出力については次項の図12にて詳しく説明する。このアーム型防塵、防水スイッチ51は無接点方式で防爆型となっている。
【実施例3】
【0017】
次に、本発明の接触型防塵、防水スイッチについて説明する。図10は接触型防塵、防水スイッチの外観図および動作行程図である。図10(A)は正面図、図10(B)は(A)の左側面図、図10(C)は(A)の右側面図である。図10(D)は検出体(D)が先端子に接触し、動作点まで押し込んだ図、図10(E)は検出体(D)が先端子を押し、限界まで到達した図である。図11は図10の断面図および動作行程図である。図11(A)は図10(A)のA−A断面図、図11(B)は(A)の左側面図、図11(C)は(A)の右側面図である。図11(D)は図10(D)のD−D断面図、図11(E)は図10(E)のE−E断面図である。具体的な部品構成、動作については図11の図面に基づいて説明する。接触型防塵、防水スイッチ77の本体ケース(D)61の内部にプリント基板68に半田付けされたホールIC69を配置する。このプリント基板68は基板ホルダー67に固定し、固定金具66固定し、さらに本体ケース(D)61に固定する。電源と信号出力を取り出すために、延長コード75とホールIC69が配線コード(1)70と配線コード(2)71によって接続される。この延長コード75はコード保持金具73に固定され、本体ケース(D)61にも固定され、内部は密閉構造となる。ここでワイヤーブレード74は金属製で機械加工時に発生する切粉等によって延長コード75が損傷しないように保護するためのものである。またさらに防塵、防水機能を高めたい場合は金属製のパイプを使用すればさらに強化される。ここで本体ケース(D)61にネジが切ってあるが、これは接触型防塵、防水スイッチ77をブラケット等に固定する際、2枚のナットを使用して固定するものである。配線コード(1)70と配線コード(2)71は3芯のコードで、途中で接続され、絶縁処理が施され、絶縁チューブ72で保護される。ここで使用する金属材料は防▲錆▼、耐薬品性、耐圧力性、耐久性に優れ、非磁性体の材料を選定する。
【0018】
ここで先端子63は磁石ケース64の中に磁石65を挿入して密閉構造とする。ここで先端子63と磁石ケース64とコイルバネ62の金属材料は前項で述べたように優れた要素を満足することはもちろんのこと、非磁性体の金属材料を選定する。これは磁石65によって接触する金属が磁化されるのを防ぐためである。また磁石ケース64にはコイルバネ62の端をロー付け等で溶着し固定する。コイルバネ62のもう一方の端も固定金具66にロー付け等で溶着し固定する。これによって先端子63はX軸方向に可動できることになる。この接触型防塵、防水スイッチ77で注意しなければならないことは磁石65を使用するために、先端子63、磁石ケース64、コイルバネ62の表面に磁性材料の切粉、研磨粉等が若干、付着する場合が発生したり、また切粉の一部がコイルバネ62に絡まったりすることがあるので、これを除去するために作業が発生する。このため磁性材料を機械加工した場合は定期的に切粉、研磨粉等を除去するメンテナンスが必要となる。前述で紹介した通り接触型防塵、防水スイッチ77の構造は密閉構造となっており、防塵、防水機能を強化したものである。
【0019】
次に、接触型防塵、防水スイッチ77の動作について説明する。図11(A)では検出体(D)76にFの力が加わっているが先端子63に接触する前の行程を示している。信号出力はOFF状態である。図11(D)では検出体(D)76にFの力が加わってX軸方向に移動し、先端子63に接触して、押し付けた状態を示している。ここではホールICがONの距離(動作点)78を示し、この距離がホールIC69の動作点の位置となる。また図11(E)では検出体(D)76にFの力が加わって先端子63が最も押し付けられた状態を示している。信号出力は動作点からON状態のままである。ここで接触型防塵、防水スイッチ77のストローク79は図で示した通りである。また検出体(D)76が先端子63から離れる場合は逆の行程をたどり、途中の動作点位置で信号出力はOFF状態になる。ホールIC69と磁石65を使用した今回の方式は磁石65の磁界にホールIC69内部のホール素子が反応して信号を出力するものである。この磁石65とホールIC69の動作および信号出力については次項の図12にて詳しく説明する。この接触型防塵、防水スイッチ77は無接点方式の防爆型となっている。
【0020】
本発明の図12はホールICの動作原理図について説明する。まず、図12(A)で、ホールIC、HICはホール素子HEとアンプ回路AMPとシュミットトリガーSTで構成されている。それぞれの回路には安定化電源REGによって安定した電源が供給される。ホール素子HEが磁石MAGの磁界を感知した場合は電圧を出力し、アンプ回路AMPに信号を入力する。アンプ回路AMPからの出力信号はシュミットトリガーSTによって波形が整形され、トランジスタTRIおよび抵抗R1の回路に信号を伝達する。信号はトランジスタTR1のコレクタ部から信号出力OUTPUTされる。ここでホールIC、HICには電源電圧VccおよびグランドGNDから電源が供給される。この図では磁石MAG(本図ではS極がホール素子HEに向かっている)はホール素子HEが磁界を感知する位置より離れているので、ホールICがOFFの距離81となっている。当然、信号出力OUTPUTはOFF状態にある。図12(B)では磁石MAGはホール素子HEが磁界を感知する位置に到達したので、ホールICがONになる距離(動作点)82となっている。当然、信号出力OUTPUTは動作点に達し、ON状態にある。図12(C)では磁石MAGはホール素子HEが磁界を感知し続けているので、ホールICがONの距離83となっている。当然、信号出力OUTPUTはON状態にある。この磁石MAGとホール素子HEによるスイッチは無接点方式で接点方式と異なり火花等を発生しないために防爆型の防塵、防水スイッチとなる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
防塵、防水スイッチにおいてゴム製のシールパッキンによる密閉構造のスイッチは従来から使用されてきたが、前述したようにいくつかの問題が存在した。そのために使用範囲に制限があったことが現状であった。本発明の防塵、防水スイッチは主要部分を金属で囲い密閉構造としたことにより、機械加工現場における悪環境下、切粉、クーラント(切削溶剤)、研磨粉塵等に対しても十分対応できる構造となっている。また、このスイッチは無接点方式(防爆仕様)となっているために、近年工場で発生している爆発事故などに対しても有効なスイッチとなっている。また水中での使用が可能となり、さらに海水の深海で高圧力の場所においても使用が可能となっている。このように従来では使用が制限されていた所でも、使用が可能となるので、スイッチの利用範囲が今後、拡大していくものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】レバー型防塵、防水スイッチ(A)の外観図。
【図2】図1(B)のA−A断面図。
【図3】レバー型防塵、防水スイッチ(A)の動作行程図。
【図4】レバー型防塵、防水スイッチ(B)の外観図。
【図5】図4(B)のA−A断面図。
【図6】レバー型防塵、防水スイッチ(B)の動作行程図。
【図7】アーム型防塵、防水スイッチの外観図。
【図8】図7(B)のA−A断面図。
【図9】アーム型防塵、防水スイッチの動作行程図。
【図10】接触型防塵、防水スイッチの外観図および動作行程図。
【図11】図10の断面図および動作行程図。
【図12】ホールICの動作原理図。
【符号の説明】
【0023】
1 本体ケース(A)
2 接触子(A)
6 磁石ホルダー
8 磁石
11 ホールIC
16 延長コード
17 ホールICと磁石の距離
22 検出体(A)
23 接触子(B)
24 検出体(B)
25 レバー型防塵、防水スイッチ(A)
26 レバー型防塵、防水スイッチ(B)
31 本体ケース(C)
32 接触子(C)
39 ホールIC
45 ホールICと磁石の距離
50 検出体(C)
51 アーム型防塵、防水スイッチ
61 本体ケース(D)
62 コイルバネ
63 先端子
64 磁石ケース
69 ホールIC
76 検出体(D)
77 接触型防塵、防水スイッチ
78 ホールICがONの距離(動作点)
79 ストローク
82 ホールICがONになる距離(動作点)
HIC ホールIC
Vcc 電源電圧
GND グランド
OUTPUT 信号出力
HE ホール素子
MAG 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース(A)の内部にホールICを配置し、プリント基板および基板ホルダーに固定し、これを該本体ケース(A)に固定し、密閉構造として、一方で板バネ構造の接触子(A)の中間位置下部に磁石を配置して、金属のケースで囲い密閉構造にして、該接触子(A)の一端は該本体ケース(A)に固定して、検出体(A)がY軸方向に移動した場合、該ホールICが該磁石の磁界を感知して、動作点においてON状態になり、動作点の手前ではOFF状態となっており、該ホールICの信号が配線コード、延長コードによって外部に出力するもので、接点構造が無接点方式となっていることを特徴とするスイッチ装置の防塵、防水構造。
【請求項2】
本体ケース(A)の内部にホールICを配置し、プリント基板および基板ホルダーに固定し、これを該本体ケース(A)に固定し、密閉構造として、一方で板バネ構造の接触子を山形の形状を持つ接触子(B)として、中間位置下部に磁石を配置して、金属のケースで囲い密閉構造にして、該接触子(B)の一端は該本体ケース(A)に固定して、検出体(B)がX軸方向に移動した場合、該磁石がY軸方向に移動して、該ホールICが該磁石の磁界を感知して、動作点においてON状態になり、動作点の手前ではOFF状態となっており、該ホールICの信号が配線コード、延長コードによって外部に出力するもので、接点構造が無接点方式となっていることを特徴とするスイッチ装置の防塵、防水構造。
【請求項3】
本体ケース(C)の内部にホールICを配置し、プリント基板および基板ホルダーに固定し、これを該本体ケース(C)に固定し、密閉構造として、一方で先端棒状コイルバネ構造の接触子(C)の左側位置下部に磁石を配置して、金属のケースで囲い密閉構造にして、該接触子(C)の一端は該本体ケース(C)に固定して、検出体(C)がY軸方向に移動した場合、該ホールICが該磁石の磁界を感知して、動作点においてON状態となり、動作点の手前ではOFF状態となっており、該ホールICの信号が配線コード、延長コードによって外部に出力するもので、接点構造が無接点方式となっていることを特徴とするスイッチ装置の防塵、防水構造。
【請求項4】
本体ケース(D)の内部にホールICを配置し、プリント基板および基板ホルダーに固定し、これを固定金具に固定し、さらに該本体ケース(D)に固定し、密閉構造として、またコイルバネを固定金具に固定し、一方で該コイルバネを磁石ケースに固定し、該磁石は磁石ケース、先端子に固定し、密閉構造を構成し、検出体(D)がX軸方向に移動した場合、該ホールICが該磁石の磁界を感知して、動作点においてON状態となり、動作点の手前ではOFF状態となっており、該ホールICの信号が配線コード、延長コードによって外部に出力されるもので、接点構造が無接点方式となっていることを特徴とするスイッチ装置の防塵、防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−252732(P2009−252732A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120002(P2008−120002)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(504223787)有限会社日新エレックス (7)
【出願人】(399022146)
【Fターム(参考)】