説明

スクリューフィーダーの異常検出方法。

【課題】スクリューフィーダーのスクリュー翼とスクリューケースとの間隔を正確に把握し、スクリューフィーダーの異常を確実に検出する方法を提供することにある。
【解決手段】スクリューフィーダーの内部にスクリュー翼を有する部位のスクリューケースの外周部に渦電流センサを設け、スクリュー翼とスクリューケース内面との間隔を測定し、異常を検出することを特徴とする、すなわちスクリュー翼とスクリューケースとの間隔を直接、非接触で測定することによって、スクリュー翼等の異常によるスクリュー翼とスクリューケースの異常接近を確実に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューフィーダーの異常検出方法に関する。詳しくはスクリューフィーダーのスクリュー翼とスクリューケースとの間隔を正確に測定して異常を検出するスクリューフィーダーの異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を定量的に供給する際にスクリューフィーダーが使用されている。スクリューフィーダーには、その上部に設置されているホッパーやサイロから粉粒体が投入され、内部に有するスクリュー翼の回転によって粉粒体が定量的に排出される。
スクリューフィーダーとしては、横型、縦型等のものがある。
【0003】
定量精度を良くするためには、スクリュー翼とスクリューケース内面との間隔を小さくするのが好ましい。しかしながら、粉粒体が片寄って投入された時等にスクリュー翼がたわんだり、振動したりしてスクリュー翼とスクリューケースが接近する。スクリュー翼とスクリューケースが接近し過ぎて、ついには接触すると、スクリュー翼やスクリューケースを傷つけたり、接触によって削られてできた金属粉が粉粒体に混入して品質問題を引き起こしたりすることがある。
従って、スクリュー翼とスクリューケース内面との間隔を把握し、異常を検出することが望ましい。
【0004】
一般に回転機の異常検出方法として、回転軸のトルクの異常を検出して行う方法が知られているが、この方法では、スクリュー翼とスクリューケースとの極僅かな接触を把握することは困難である。回転体の異常を検出する方法として、粉体定量排出器の回転羽根と底板との間隔を渦電流センサで検出して行う方法が知られている(特許文献1参照。)が、回転速度が高いスクリューフィーダーについて精度良く異常を検出する方法は知られていない。
【特許文献1】特開2005−140769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、スクリューフィーダーのスクリュー翼とスクリューケースとの間隔を正確に把握し、スクリューフィーダーの異常を確実に検出する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはかかる課題を解決するために、スクリューフィーダーの異常を確実に検出する方法について鋭意検討した結果、スクリューフィーダーの内部にスクリュー翼を有する部位のスクリューケースの外周部に渦電流センサを設け、スクリュー翼とスクリューケースとの間隔を非接触で測定することによって、スクリュー翼とスクリューケースの異常接近を確実に検出できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、スクリューフィーダーの内部にスクリュー翼を有する部位のスクリューケースの外周部に渦電流センサを設け、スクリュー翼とスクリューケースとの間隔を測定し、異常を検出することを特徴とするスクリューフィーダーの異常検出方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法によって、スクリューフィーダーのスクリュー翼とスクリューケースとの間隔を精度良く把握することができ、スクリュー翼の異常を確実かつ迅速に検出することが可能である。その結果、スクリュー翼やスクリューケースを傷つけたり、接触によって削られてできた金属粉が粉粒体に混入して品質問題を引き起こしたりすることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、内部にスクリュー翼を有し、その回転軸が垂直方向に配置された縦型スクリューフィーダーを例に本発明を説明する。
図1は本発明における縦型スクリューフィーダーの一例の断面模式図である。円筒形のスクリューケース2の上部にホッパー1が設けられている。スクリューケースの中心にはスクリュー翼3が配置され、その回転軸はホッパーの中心を通り、軸受5で支持されている。回転軸のホッパーの部分にはレーキ4が設けられている。
図示していないモータの回転が減速機を介して回転軸に伝えられ、スクリュー翼3が約100〜500rpmで回転する。
粉粒体が投入口6から供給され、ホッパー周囲部分の粉粒体はレーキで中央部に集められ、スクリュー翼の回転によって、定量的に排出口7から排出される。
【0009】
スクリュー翼とスクリューケース内面との間隔は、通常、10mm程度である。
内部にスクリュー翼を有するスクリューケースの外周部には、渦電流センサ8が取り付けられている。渦電流センサからの信号を処理してスクリュー翼とスクリューケースとの間隔を測定する測定器9が設けられ、その結果を表示するオシロスコープ10が接続されている(図2)。測定器9としては通常の渦流探傷器が用いられる。
【0010】
スクリューフィーダーには種々の大きさのものがあるが、例えば、スクリュー翼の直径が約100mm、スクリュー翼の厚みが約3mm、ピッチが90mm、スクリュー翼とスクリューケースの間隔が約10mmのようなものもある。スクリュー翼が比較的短いものでは回転軸の一方の端部を軸受で保持した片持ち型のスクリューフィーダー、スクリュー翼が長くなると回転軸の両方の端部を軸受で保持した両持ち型のスクリューフィーダーもある。
【0011】
渦電流センサは、片持ち型のスクリューフィーダーの場合には、回転軸が保持されていない他端部分の位置に設け、また、両持ち型のスクリューフィーダーの場合には、スクリュー翼の中央部分の位置に設けることが多い。
【0012】
渦電流センサは、スクリューケースが非磁性体材料で作製されている場合には、そのままスクリューケースの表面に取り付ける。スクリューケースが磁性材料で作製されている場合には、スクリューケースに孔を空け、先端部に非磁性材料を取り付けた渦電流センサを差込み、先端部の表面がスクリューケースの内側の表面と同じ面を形成するように取り付けられる。渦電流センサの取り付け方法は特に制限されるものではなく、スクリューケースに直接ネジ留めする方法、曲面に取り付けるための治具を用いる方法等によって行われる。
【0013】
渦電流センサは、ボビン、その表面部に上下2本のコイルから構成されている。検出感度を高めるために、コイルの内側にコア材を有する構成のものもある。具体的には、コイルの内側に磁石、フェライトまたは高透磁率金属等のコア材のないセンサ(以下、空芯センサと呼ぶことがある。)、コア材として磁石、フェライトまたは高透磁率金属を使用し、コイルの内側に磁石を有するセンサ(以下、磁芯センサと呼ぶことがある。)、コイルの内側にフェライトを有するセンサ(以下、フェライト芯センサと呼ぶことがある。)、またはコイルの内側に高透磁率金属を有するセンサ(以下、高透磁率金属芯センサと呼ぶことがある。)が使用される。
コイルの内側に磁石を有するセンサ、コイルの内側にフェライトを有するセンサ、コイルの内側に高透磁率金属を有するセンサは、コイルの内側にコア材のないセンサを使用した場合に比べて、検出感度が高い(渦電流が大きい)ことから、好ましく用いられる。高透磁率金属としては、4−79Moパーマロイ、86Ni電着パーマロイ、49Co−2V−Feパーメンダー等が挙げられる。
【0014】
コア材の形状は円筒状でも円柱状でもよく、円板上のものを重ねたものでも良い。コア材の長さは、上側のコイルの高さと略同じにすることにより、検出感度が向上する。コア材として磁石を使用した場合、その高さが上側のコイルの高さに満たない時には、フェライトまたは高透磁率金属を配置して同じ高さにするのが好ましい。また、上下に磁石を配し、その間にフェライトまたは高透磁率金属を配置しても良い。
【0015】
空芯センサ、磁芯センサ、フェライト芯センサまたは高透磁率金属芯センサとしては、スクリュー翼の形状、大きさを考慮して、コイル外径が10〜40mmφ、好ましくは15〜30mmφ、コイル幅が1〜10mm、好ましくは2〜5mm、コイル間隔10〜50mm、好ましくは5〜40mmのものが用いられる。
これらのセンサにおいて、コイルは直径が0.05〜0.5mmの素線を200〜350巻/コイルして作製される。なお、渦電流センサは、通常、そのコイルの外径でその大きさが表されることが多い。
【0016】
これらコイルに流す交流の試験周波数は0.5〜50KHz、好ましくは1〜8KHzであり、この範囲より小さくても、また大きくても検出感度が低下し、好ましくない。
【0017】
渦電流センサのコイルからの磁場を横切るスクリュー翼の幅によって渦電流センサのコイルインピーダンスが変化し、スクリュー翼の幅が大きいほど渦電流センサのコイルインピーダンスの変化量は大きくなる。したがって、渦電流センサの設置位置上のスクリュー翼の幅について、スクリュー翼とスクリューケースとの間隔と発生する渦電流との関係、通常、渦電流センサからは最終的に電圧の変化として信号が取出されるので、電圧と間隔の関係を予め把握しておく。
【0018】
渦電流センサからの電圧信号を間隔測定器で把握し、予め求めておいた電圧と間隔の関係から、間隔が求められる。表示としては、電圧を表示しても良いし、間隔測定器に間隔と電圧の関係を入力しておき、渦電流センサからの電圧信号からその時の間隔を求め、これを表示しても良い。所定の間隔に対応する電圧信号に閾値を設けておき、これを超える場合に警報を出したり、更にはスクリューフィーダーの運転を停止させたりすることも可能である。間隔またはそれに対応する電圧の変化を監視することによって、スクリューフィーダーの変化を把握することができ、異常に対して早期に対応することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例で更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】
実験例1
下記のスクリューフィーダーに渦電流センサをスクリューケースの中央外周部に取り付けて測定した。得られた電圧の時間変化を図3に示す。
スクリュー翼が307ms毎に通過している(約200rpm)。約1.2Vの電圧が出力されており、精度良くスクリュー翼とスクリューケースとの間隔を把握することができる。
【0021】
(a)スクリューフィーダー:
スクリューケース:外径114mm×長さ900mm×厚さ4mm、SUS304製
ホッパー:上部直径750mmφ×高さ560mm、SUS304製
スクリュー翼:外径100mm×羽根幅3mm×ピッチ90mm、SUS304製
回転数:200rpm、
(b)渦電流センサ:
コイルの内側にコア材を有する渦電流センサである。
コア材:フェライト
ボビン材質:フェノール樹脂
コイル:0.1mmφ被覆銅線(2種エナメル線)を170巻き×2
コイル外径20mmφ、コイル巻幅3mm、コイル間隔40mm、
(c)間隔測定器:
ホッキング社(株)製 渦流探傷器 ミニフェゼック
(d)試験周波数:
5KHz
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明におけるスクリューフィーダーの一例の断面模式図である。
【図2】渦電流センサと間隔測定器の配置を示す図である。
【図3】スクリューフィーダーにおける電圧の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ホッパー
2 スクリューケース
3 スクリュー翼
4 レーキ
5 軸受
6 投入口
7 排出口
8 渦電流センサ
9 間隔測定器
10 オシロスコープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューフィーダーの内部にスクリュー翼を有するスクリューケースの外周部に渦電流センサを設け、スクリュー翼とスクリューケース内面との間隔を測定し、異常を検出することを特徴とするスクリューフィーダーの異常検出方法。
【請求項2】
スクリュー軸が一端で保持されている片持ち型のスクリューフィーダーであり、スクリューが保持されていない他端部位のスクリューケースの外周部に渦電流センサが設けられていることを特徴とする請求項1記載のスクリューフィーダーの異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−12917(P2009−12917A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175943(P2007−175943)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】