説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】構造を複雑化させることなく基板の反りの矯正を行うことができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板保持部24よりも上方の位置に水平に設置されたプレート部材33を備え、基板2を保持した基板保持部24をマスクプレート13に対して昇降させて基板2をマスクプレート13の下方から接触させる昇降部22が、基板保持部24に保持された基板2をマスクプレート13に接触させる前に、プレート部材33に下方から押し付けて基板2の反りの矯正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクプレートのパターン孔を介して半田ペーストなどのペーストを基板に転写させるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、基板搬送路により搬送されてきた基板を一対のクランプ部材や下受けユニット等から成る基板保持部によって保持した後、基板保持部を昇降させて基板をマスクプレートに接触させ、マスクプレート上にペーストを供給したうえでスキージを摺動させてマスクプレート上に供給されたペーストをマスクプレート上で掻き寄せることにより、マスクプレートのパターン孔を介してペーストを基板に転写させる。
【0003】
このようなスクリーン印刷機では、基板に反りが生じていると、基板とマスクプレートとの接触状態が悪くなって印刷精度が低下するおそれがあるため、スクリーン印刷を実行する前に、基板の反りを矯正する必要がある。基板の反りを矯正する反り矯正装置としては、例えば、プレート部材を基板保持部に保持された基板の上面に上から押し付けるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−305884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、プレート部材を基板保持部に保持された基板の上面に上から押し付ける構成のものでは、プレート部材を基板に押圧するシリンダ等のアクチュエータが必要であり、構造が複雑化するという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、構造を複雑化させることなく基板の反りの矯正を行うことができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板を保持する基板保持部と、基板の電極の配置に応じたパターン孔が形成されたマスクプレートと、基板を保持した基板保持部をマスクプレートに対して昇降させて基板をマスクプレートの下方から接触させる昇降部と、基板と接触されたマスクプレート上を摺動し、マスクプレート上に供給されたペーストをマスクプレート上で掻き寄せることにより、マスクプレートのパターン孔を介してペーストを基板に転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、基板保持部よりも上方の位置に水平に設置されたプレート部材を備え、昇降部は、基板保持部に保持された基板をマスクプレートに接触させる前に、プレート部材に下方から押し付けて基板の反りの矯正を行う。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷方法は、基板保持部により基板を保持する工程と、基板保持部により保持した基板を基板保持部よりも上方の位置に水平に設置されたプレート部材に下方から押し付けて基板の反りの矯正を行う工程と、反りの矯正がなされた基板の上面を基板の電極の配置に応じたパターン孔が形成されたマスクプレートに接触させる工程と、マスクプレートに対してスキージを摺動させてマスクプレート上に供給されたペーストをマスクプレート上で掻き寄せることにより、マスクプレートのパターン孔を介してペーストを基板に転写させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、基板を保持した基板保持部を昇降部によって昇降させ、基板をプレート部材に下方から押し付けて基板の反りの矯正を行うようになっており、基板をマスクプレートに接触させるために基板保持部を昇降させる昇降部を、基板の反りの矯正を行うために基板をプレート部材に下方から押し付ける押し付け手段として利用するようになっているので、構造を複雑化させることなく、基板の反りの矯正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図
【図2】本実施の形態におけるスクリーン印刷機の正面図
【図3】本実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図4】本実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスクプレートの平面図
【図5】(a)(b)本実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える反り矯正装置の正面図
【図6】(a)(b)本実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える反り矯正装置の一部の斜視図
【図7】本実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図
【図8】(a)(b)(c)(d)本実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える反り矯正装置の動作説明図
【図9】(a)(b)本実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える反り矯正装置の動作説明図
【図10】本実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作手順を示すフローチャート
【図11】(a)(b)本実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図12】(a)(b)(c)本実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図13】(a)(b)(c)本実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図14】(a)(b)(c)本実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図15】(a)(b)(c)本実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1、図2及び図3において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板2の表面に設けられた電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストをスクリーン印刷するものであり、基台11上に設けられて基板2の搬送及び所定の作業位置への位置決めを行う基板位置決めユニット12、基板位置決めユニット12の上方に設けられたマスクプレート13、一対のスキージ14、カメラユニット15及び反り矯正装置16を備えている。以下、説明の便宜上、このスクリーン印刷機1における基板2の搬送方向(図1の紙面左右方向)をX軸方向、X軸方向と直交する水平面内方向(図1の紙面上下方向)をY軸方向、上下方向(図2の紙面上下方向)をZ軸方向とする。また、このスクリーン印刷機1のオペレータOP(図1)がスクリーン印刷機1に対して作業を行う側(図1の紙面下方)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1の紙面上方)をスクリーン印刷機1の後方とする。
【0012】
図2及び図3において、基板位置決めユニット12は、水平移動部21、昇降部22、位置決めコンベア23及び基板保持部24から成る。
【0013】
水平移動部21は、基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Yテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c及びθテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21dから成る。
【0014】
昇降部22は、水平移動部21のベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の第1昇降テーブルガイド22a及びこれら複数の第1昇降テーブルガイド22aにガイドされて昇降する第1昇降テーブル22bから成る。
【0015】
位置決めコンベア23は第1昇降テーブル22bの上方に設けられた一対のベルトコンベア機構から成り、基板2のX軸方向への搬送及び所定の作業位置への位置決めを行う。
【0016】
図2及び図3において、基板保持部24は、昇降部22の第1昇降テーブル22bの上面から上方に延びて設けられた複数の第2昇降テーブルガイド24a、これら複数の第2昇降テーブルガイド24aの上部に設けられた一対のクランプ部材(クランパ)24b(図1も参照)、位置決めコンベア23の下方において、第2昇降テーブルガイド24aにガイドされて昇降する第2昇降テーブル24c及び第2昇降テーブル24cの上面に設けられた下受けユニット24dから成る。下受けユニット24dは位置決めコンベア23により位置決めされた基板2に対して第2昇降テーブル24cとともに上昇して基板2を下方から支持し、一対のクランプ部材24bは、位置決めコンベア23によって作業位置に位置決めされた基板2のY軸方向の両側部を基板2の外方からクランプする(挟む)。
【0017】
図1及び図2において、基板位置決めユニット12を構成する位置決めコンベア23のX軸方向の両側(基板2の搬送方向の上流側と下流側)の位置には、スクリーン印刷機1の外部(図1及び図2の紙面左側)から投入された基板2を搬送(搬入)して位置決めコンベア23に受け渡す搬入コンベア25と、位置決めコンベア23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機1の外部(図1及び図2の紙面右側)に搬送(搬出)する搬出コンベア26が設けられている。
【0018】
図1及び図4において、マスクプレート13は平面視において矩形形状を有する枠部材13wによって四辺が支持されており、枠部材13wによって囲まれた矩形の領域には、基板2上の複数の電極3に対応して設けられた(すなわち電極3の配置に応じた)多数のパターン孔phが形成されている。
【0019】
図1において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置合わせマークmkが設けられている。一方、図4において、マスクプレート13には、基板側位置合わせマークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置合わせマークMKが設けられている。
【0020】
マスクプレート13は、オペレータOPがこのマスクプレート13の両端部を両手で把持してスクリーン印刷機1の前方から基板位置決めユニット12の上方をY軸方向に延びて設けられた一対のマスク支持レール27(図1及び図4)の間に挿入し、枠部材13wの先頭部がマスク支持レール27上に設けられたストッパ27a(図1及び図4)に当接するまで後方に押し込むことによって、所定の位置に設置される。
【0021】
図1及び図2において、基台11上には搬入コンベア25及び搬出コンベア26をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム28が設けられており、これら一対の門型フレーム28にはX軸方向に延びたX軸ステージ29aの両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ29a上にはカメラ支持ステージ29bがX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ29bには前述のカメラユニット15が取り付けられている。カメラユニット15は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ15aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ15bを備えている(図3)。
【0022】
図1において、上記一対の門型フレーム28にはX軸方向に延びたスキージベース30の両端が支持されており、スキージベース30は門型フレーム28に沿ってY軸方向に往復移動自在となっている。このスキージベース30には前述の一対のスキージ14がY軸方向に対向して設けられている。各スキージ14はX軸方向に延びた「へら」状の部材から成り、それぞれスキージベース30に対して昇降自在に取り付けられている。
【0023】
図5において、反り矯正装置16は、X軸ステージ29aに取り付けられて基板保持部24よりも上方の位置に水平に設置されたプレート支持部31と、プレート支持部31の下方にばね部材32を介してプレート支持部31と平行に(したがって水平に)取り付けられたプレート部材33を備えて成る。このプレート部材33はプレート支持部31と同様、基板保持部24よりも上方の位置に設けられている。プレート部材33の上面には突起状部材34が上方に延びて設けられており、プレート支持部31を厚さ方向(上下方向)に貫通して設けられた貫通孔35を下方から貫通し、その上端部をプレート支持部31の上面から上方に突出させている。
【0024】
図5において、プレート支持部31の上面には光センサ取り付けブラケット36が設けられており、この光センサ取り付けブラケット36には、水平方向に検査光Lを投光する投光器37aと投光器37aが投光する検査光Lを受光する受光器37bから成る光センサ37が設けられている(図6(a),(b)も参照)。ここで、光センサ37の投光器37aと受光器37bは、プレート部材33がばね部材32を伸縮させてプレート支持部31に対して相対的に昇降したときに、突起状部材34が上下方向に移動するときの移動軸Rに対して検査光Lが直交して通過する位置に設けられている(図6(a)参照)。
【0025】
プレート部材33が下方から押圧されていない状態(「自然状態」と称する)では、突起状部材34の上端は検査光Lの下方に位置し(図5(a)及び図6(a))、プレート部材33が自然状態の位置から押し上げられて所定距離Δ(図5(a)及び図5(b)参照)だけ上昇したときに、突起状部材34の上端が検査光Lに達する(検査光Lを横切る)。すなわち、プレート部材33が自然状態にあるときのプレート部材33の下面の高さ(基台11を基準とした高さ)Hが高さH0であるとすると(図5(a))、プレート部材33に下方からの押圧力Fc(図5(b))が作用してプレート部材33が押し上げられ、プレート部材33の下面が自然状態の高さH0から所定距離Δだけ上昇したとき(プレート部材33の下面の高さHがH=H0+Δになったとき)に、突起状部材34の一部である上端が、プレート支持部31の上方の所定位置(検査光Lの高さの位置)に達するようになっている。なお、プレート部材33が自然状態の高さH0から所定距離Δを超えて上昇しているときには、検査光Lは突起状部材34によって遮断された状態となる(図6(b))。
【0026】
このスクリーン印刷機1において、基板2の搬送を行う基板搬送路としての搬入コンベア25、位置決めコンベア23及び搬出コンベア26の各動作は、制御装置40(図7)が図示しない基板搬送路作動機構41(図7)の作動制御を行うことによってなされ、クランプ部材24bによる基板2のクランプ動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るクランプ部材作動機構42(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0027】
基台11に対するYテーブル21aのY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動、Xテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転、ベーステーブル21dに対する第1昇降テーブル22bの昇降、第1昇降テーブル22bに対する第2昇降テーブル24cの(すなわち下受けユニット24dの)昇降の各動作は、制御装置40がYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMx(図2及び図3参照)を含むアクチュエータ等から成る基板位置決めユニット作動機構43(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0028】
カメラユニット15の水平面内での移動動作、すなわち一対の門型フレーム28に対するX軸ステージ29aのY軸方向への移動動作及びX軸ステージ29aに対するカメラ支持ステージ29bのX軸方向への移動動作の各制御は、制御装置40が図示しないアクチュエータから成るカメラユニット移動機構44(図7)の作動制御を行うことによってなされる。また、反り矯正装置16のY軸方向への移動動作も、制御装置40がカメラユニット移動機構44の作動制御を行い、X軸ステージ29aをY軸方向へ移動させることによってなされる。
【0029】
一対のスキージ14をY軸方向に往復移動させるスキージベース30の動作制御は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るスキージ移動機構45(図7)の制御を行うことによってなされる。また、各スキージ14のスキージベース30に対する昇降動作は、制御装置40がスキージベース30の上部に取り付けられたスキージ昇降シリンダ46(図2、図3及び図7)の作動制御を行うことによってなされる。
【0030】
カメラユニット15を構成する第1カメラ15aは、制御装置40に制御されて、基板位置決めユニット12によって作業位置に位置決めされた基板2の基板側位置合わせマークmkの撮像を行い、第2カメラ15bは、制御装置40に制御されて、マスクプレート13に設けられたマスク側位置合わせマークMKの撮像を行う。第1カメラ15aの撮像によって得られた画像データと第2カメラ15bの撮像によって得られた画像データはともに制御装置40に入力される(図7)。
【0031】
光センサ37を構成する投光器37aは、制御装置40に制御されて検査光Lを投光し、受光器37bは投光器37aが投光する検査光Lを受光しているときに受光信号を制御装置40に出力する(図7)。ここで、前述のように、プレート部材33が自然状態の位置にあるときには、突起状部材34の上端は検査光Lの下方に位置し、プレート部材33が自然状態の高さH0から所定距離Δだけ上昇した(押し上げられた)とき、突起状部材34の一部である上端が、プレート支持部31の上方の所定位置(検査光Lの高さの位置)に達するようになっているので、制御装置40は、受光器37bから出力される受光信号を検知する状態から検知しない状態に切り替わったときに、反り矯正装置16のプレート部材33の下面の高さHが自然状態の高さH0から所定距離Δだけ上昇した(高さH0+Δに達した)と認識する。
【0032】
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、後述するように、基板位置決めユニット12の基板保持部24は、一対のクランプ部材24bによりクランプした基板2を下受けユニット24dによって押し上げて基板2の上面が両クランプ部材24bの上面とほぼ同じ高さになるようにし、水平移動部21及び昇降部22は、基板2を保持した基板保持部24全体を水平面内方向及び上下方向に移動させ、基板2の上面を自然状態の位置にあるプレート部材33の下面に接触させた後、反り矯正装置16のばね部材32を押し縮めながらプレート部材33を押し上げる(図8(a)→図8(b)→図8(c)→図8(d))。これにより基板2はプレート部材33と下受けユニット24dとによって挟まれ、基板2に反りがある場合には、その反りが矯正される(図8(a)→図8(b))。
【0033】
そして、制御装置40は基板位置決めユニット12の昇降部22を作動させて、基板2の反りが矯正された後も基板保持部24を(従って基板2を)上昇させ(図8(b)→図8(c)→図8(d))、その間、受光器37bが出力する受光信号を検知する状態から検知しない状態に切り替わったとき(すなわち、プレート部材33の下面の高さHがH=H0+Δに達したとき。図8(c))のクランプ部材24bの上面の高さを読み取る。
【0034】
ここで、図9(a)に示すように、基板2の上面に異物がない場合には、クランプ部材24bの上面の高さHがH=H0+Δに達したときに、突起状部材34の一部である上端がプレート支持部31の上方の所定位置(検査光Lの高さの位置)に達するが、図9(b)に示すように、基板2の上面に異物Pがある場合には、クランプ部材24bの上面の高さHがH=H0+Δに達する前に(異物Pの厚さ分だけ早く)、突起状部材34の上端がプレート支持部31の上方の所定位置(検査光Lの高さの位置)に達することになる。このため制御装置40の判定部40a(図7)は、受光器37bが出力する受光信号を検知する状態から検知しない状態になったときのクランプ部材24bの上面の高さHがH=H0+Δであったことを検知したときには、基板2の上面に異物Pはないと判定し、クランプ部材24bの上面の高さHがH=H0+Δ未満であったことを検知したときには、基板2の上面に異物Pがあると判定する。なお、このクランプ部材24bの上面の高さは、制御装置40が基板位置決めユニット作動機構43に出力する作動指令信号から読み取って得られる。
【0035】
次に、図10のフローチャート及び図11〜図15の動作説明図を用いてスクリーン印刷機1の動作について説明する。スクリーン印刷機1の制御装置40は、図示しない検出手段によってスクリーン印刷機1の上流側に設置された図示しない他の装置等から搬入コンベア25に基板2が投入されたことを検知したら、搬入コンベア25と位置決めコンベア23を連動作動させてスクリーン印刷機1内に基板2を搬入し(図11(a)中に示す矢印A)、図示しない検知手段により、位置決めコンベア23が搬送する基板2が所定の作業位置に到達したことを検知したら、位置決めコンベア23の作動を停止させて基板2の位置決めを行う(図11(b)。基板の搬入及び位置決め工程。図10のステップST1)。
【0036】
制御装置40は、基板2の作業位置への位置決めを行ったら、基板位置決めユニット12が備える基板保持部24の第2昇降テーブル24cを昇降部22の第1昇降テーブル22bに対して上昇させ(図12(a)中に示す矢印B1)、下受けユニット24dが基板2の下面に接触したら第2昇降テーブル24cの上昇を停止させる(図12(a))。そして、クランプ部材24bを作動させ、位置決めコンベア23上の基板2の両側部をクランプする(図12(b)。図中に示す矢印C1)。
【0037】
制御装置40は、クランプ部材24bにより基板2をクランプしたら、再び第2昇降テーブル24cを第1昇降テーブル22bに対して上昇させ(図12(c)中に示す矢印B2)、下受けユニット24dで基板2を押し上げる。これにより基板2は両端をクランプ部材24bに対して摺動させながら上昇し(基板2は位置決めコンベア23から上方に離間する)、基板2の上面が両クランプ部材24bの上面とほぼ同じ高さになったところで下受けユニット24dの押し上げを停止させる。これにより基板保持部24によって基板2が保持された状態となる(図12(c)。基板保持工程。図10のステップST2)。
【0038】
制御装置40は、上記のようにして基板保持部24により基板2を保持したら、カメラユニット移動機構44の作動制御を行ってX軸ステージ29aをY軸方向に移動させ、反り矯正装置16のプレート部材33が基板2の直上に位置するようにする。そして、基板位置決めユニット12の昇降部22を構成する第1昇降テーブル22bをベーステーブル21dに対して上昇させ(図13(a)中に示す矢印D1)、基板保持部24によって保持された(一対のクランプ部材24bによって両端が支持され、かつ下受けユニット24dによって下面が支持された)基板2をプレート部材33に下方から押し付けた後、更に第1昇降テーブル22bを(すなわち基板保持部24を)、反り矯正装置16のばね部材32を押し縮めながら、基板保持部24により保持した基板2に反りがある場合にその反りが矯正される所定の高さまで上昇させる(図13(a))。これにより基板2はプレート部材33と下受けユニット24dによって挟まれ、基板2に反りがある場合には、その反りが矯正される(反り矯正工程。図10のステップST3)。
【0039】
制御装置40は、昇降部22を作動させ、基板保持部24を基板2の反りが矯正される高さまで上昇させた後、基板保持部24を更に押し上げて(図13(b)中に示す矢印D2)、判定部40aにより、プレート部材33に設けられた突起状部材34の一部である上端がプレート支持部31の上方の所定位置(光センサ37の検査光Lの高さの位置)に達したことの検出を行う(突起状部材検出工程。図10のステップST4)。この突起状部材34の上端がプレート部材33の上方の所定位置に達したことの検出は、前述のように、受光器37bから出力される受光信号を検知する状態から検知しない状態に切り替わったことに基づいて行う。
【0040】
制御装置40は、突起状部材34の上端がプレート部材33の上方の所定位置に達したことが検出されたら、その検出時における基板保持部24の高さ(クランプ部材24bの上面の高さ)を読み取る(高さ読み取り工程。図10のステップST5)。そして、その読み取った基板保持部24の高さに基づいて、基板2の上面に異物Pがあるか否かの判定を行う(判定工程。図10のステップST6)。
【0041】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、基板保持部24により保持した基板2を、プレート支持部31の下面にばね部材32を介して水平に取り付けられたプレート部材33に下方から押し付け、基板2に反りがある場合にその反りが矯正される高さまでばね部材32を押し縮めながら基板保持部24を押し上げた後、プレート部材33から上方に突出して設けられた突起状部材34の一部(上端)がプレート支持部31の上方の所定位置(光センサ37の検査光Lの高さの位置)に達したことの検出を行い、その検出時における基板保持部24の高さに基づいて、基板2の上面に異物Pがあるか否かの判定を行うようになっている。
【0042】
ここで、基板2の上面に異物Pがないと判定した場合には、制御装置40は第1昇降テーブル22bをベーステーブル21dに対して下降させ(図13(c)中に示す矢印D3)、基板2をプレート部材33から下方に離間させる。
【0043】
制御装置40は、基板2をプレート部材33から離間させたら、カメラユニット移動機構44の作動制御を行ってX軸ステージ29aをY軸方向に移動させ、カメラユニット15を基板2とマスクプレート13の間の領域に移動させる。そして、第1カメラ15aにより基板2に設けられた基板側位置合わせマークmkの撮像を行わせる一方、第2カメラ15bによりマスクプレート13に設けられたマスク側位置合わせマークMKの撮像を行わせる。そして、制御装置40は、得られた基板側位置合わせマークmkの画像データから基板2の位置を把握するとともに、得られたマスク側位置合わせマークMKの画像データからマスクプレート13の位置を把握し、基板位置決めユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部24を(したがって基板2を)水平面内方向に移動させ、基板側位置合わせマークmkとマスク側位置合わせマークMKとが上下に対向するように、基板2とマスクプレート13の水平面内方向の位置合わせを行う(位置合わせ工程。図10のステップST7)。
【0044】
制御装置40は、上記基板2とマスクプレート13の位置合わせが終わったら、基板位置決めユニット12が備える昇降部22の第1昇降テーブル22bを水平移動部21のベーステーブル21dに対して上昇させ(図14(a)中に示す矢印D4)、基板2の被印刷面である上面をマスクプレート13に下方から接触させる(図14(a)。接触工程。図10のステップST8)。これによりマスクプレート13のパターン孔phと基板2上の電極3とが上下方向に合致した状態となる。
【0045】
制御装置40は、基板2をマスクプレート13に接触させたら、スクリーン印刷機1の動作を一時中断したうえで、図示しないディスプレイ装置による画像表示等を介して、オペレータOPにペーストPstの供給を促す。オペレータOPは、現在マスクプレート13上に残っているペーストPstの量に基づいて、ペーストPstの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行い、ペーストPstの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ50(図14(a))により、マスクプレート13上にペーストPstの供給を行う。そして、ペーストPstの供給が終わったら、図示しない動作再開ボタンの操作を行う。オペレータOPは、ペーストPstの供給が不要と判断した場合においても、動作再開ボタンの操作を行う。
【0046】
制御装置40はステップST8の後、動作再開ボタンの操作が行われたかどうかの判断を行い(第1の判断工程。図10のステップST9)、動作再開ボタンの操作が行われたと判断した場合には、スクリーン印刷機1の動作中断を解除し、スキージ14を(スキージベース30を)Y軸方向に往復移動させて、マスクプレート13のパターン孔ph内にペーストPstを充填させることによって、ペーストPstを基板2の電極3上に転写させる(転写工程。図10のステップST10)。
【0047】
スキージ14によるペーストPstの基板2への転写動作では、先ず、前方のスキージ14(図14及び図15における紙面左側のスキージ14)を下降させてその下縁をマスクプレート13の上面に当接させた後、スキージベース30をY軸方向の後方に移動させ、前方のスキージ14をマスクプレート13上で摺動させることによって、後方のクランプ部材24bの上面領域までペーストPstを掻き寄せる(図14(b)中に示す矢印F1)。ペーストPstを後方のクランプ部材24bの上面領域まで掻き寄せたら、スキージベース30の移動を停止させたうえで、前方のスキージ14を上昇させてマスクプレート13から離間させるとともに、後方のスキージ14(図14及び図15における紙面右側のスキージ14)を下降させてその下縁をマスクプレート13の上面に当接させる。そして、スキージベース30を矢印F1とは反対の方向に移動させ、後方のスキージ14をマスクプレート13上で摺動させることによって、前方のクランプ部材24bの上面領域までペーストPstを掻き寄せる(図14(c)中に示す矢印F2)。これによりマスクプレート13のパターン孔phを介して基板2の電極3上にペーストPstが転写される。
【0048】
制御装置40は、基板2の電極3上にペーストPstを転写させたら、第1昇降テーブル22bをベーステーブル21dに対して下降させ(図15(a)中に示す矢印D5)、マスクプレート13を基板2から離間させる(図15(a))。これにより版離れが行われ、ペーストPstが基板2の電極3上に印刷される(版離れ工程。図10のステップST11)。
【0049】
制御装置40は、基板2へのペーストPstの印刷が終了したら、クランプ部材24bを作動させて基板2のクランプを解除したうえで(図15(b)中に示す矢印C2)、第2昇降テーブル24cを第1昇降テーブル22bに対して下降させ(図15(c)中に示す矢印B3)、基板2を位置決めコンベア23上に降ろす(図15(c))。これにより基板保持部24による基板2の保持が解除される(基板保持解除工程。図10のステップST12)。
【0050】
制御装置40は、基板2の保持を解除したら、基板位置決めユニット12が備える水平移動部21を作動させ、搬出コンベア26に対する位置決めコンベア23の位置調整を行ったうえで、位置決めコンベア23と搬出コンベア26を作動させ、位置決めコンベア23上の基板2を搬出コンベア26に受け渡してそのままスクリーン印刷機1の外部に搬出する(基板搬出工程。図10のステップST13)。
【0051】
制御装置40は、基板2を搬出したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(第2の判断工程。図10のステップST14)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入及び位置決めを行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷工程を終了する。
【0052】
ここで、上述のステップST6の判定工程において、基板2の上面に異物Pがあると判定した場合には、制御装置40は前述の図示しないディスプレイ装置等によりオペレータOPにその旨の表示を行って警報を発するとともに、スクリーン印刷機1の動作を中断する(図10のステップST15)。オペレータOPは、ディスプレイ装置等から発せられた警報に基づいて基板2上の異物Pを除去したら、図示しない動作再開ボタンの操作を行う。
【0053】
制御装置40はステップST15の後、動作再開ボタンの操作が行われたかどうかの判断を行い(第3の判断工程。図10のステップST16)、動作再開ボタンの操作が行われたと判断した場合には、ステップST3に戻って、改めて基板2のプレート部材33への押し付けを行う。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板2を保持する基板保持部24と、基板2の電極3の配置に応じたパターン孔phが形成されたマスクプレート13と、基板2を保持した基板保持部24をマスクプレート13に対して昇降させて基板2をマスクプレート13の下方から接触させる昇降部22と、基板2と接触されたマスクプレート13上を摺動し、マスクプレート13上に供給されたペーストPstをマスクプレート13上で掻き寄せることにより、マスクプレート13のパターン孔phを介してペーストPstを基板2に転写させるスキージ14を備えたものであり、基板保持部24よりも上方の位置に水平に設置されたプレート部材33を備え、昇降部22は、基板保持部24に保持された基板2をマスクプレート13に接触させる前に、プレート部材33に下方から押し付けて基板2の反りの矯正を行うようになっている。
【0055】
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法は、基板保持部24により基板2を保持する工程(基板保持工程)と、基板保持部24により保持した基板2を基板保持部24よりも上方に位置に水平に設置されたプレート部材33に下方から押し付けて基板2の反りの矯正を行う工程(反り矯正工程)と、反りの矯正がなされた基板2の上面を基板2の電極3に応じたパターン孔phが形成されたマスクプレート13に接触させる工程(接触工程)と、マスクプレート13に対してスキージ14を摺動させてマスクプレート13上に供給されたペーストPstをマスクプレート13上で掻き寄せることにより、マスクプレート13のパターン孔phを介してペーストPstを基板2に転写させる工程(転写工程)を含むものとなっている。
【0056】
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷方法)では、基板2を保持した基板保持部24を昇降部22によって昇降させ、基板2をプレート部材33に下方から押し付けて基板22の反りの矯正を行うようになっており、基板2をマスクプレート13に接触させるために基板保持部24を昇降させる昇降部22を、基板2の反りの矯正を行うために基板2をプレート部材33に下方から押し付ける押し付け手段として利用するようになっているので、構造を複雑化させることなく、基板2の反りの矯正を行うことができる。
【0057】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、基板2の反りを矯正するために基板保持部24よりも上方の位置に水平に設置されたプレート部材33は、プレート支持部31にばね部材32を介して取り付けられたものとなっていたが、プレート部材33は必ずしもばね部材32を介して取り付けられたものとなっていなくても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
構造を複雑化させることなく基板の反りの矯正を行うことができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供する。
【符号の説明】
【0059】
1 スクリーン印刷機
2 基板
3 電極
13 マスクプレート
14 スキージ
22 昇降部
24 基板保持部
33 プレート部材
ph パターン孔
Pst ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、基板の電極の配置に応じたパターン孔が形成されたマスクプレートと、基板を保持した基板保持部をマスクプレートに対して昇降させて基板をマスクプレートの下方から接触させる昇降部と、基板と接触されたマスクプレート上を摺動し、マスクプレート上に供給されたペーストをマスクプレート上で掻き寄せることにより、マスクプレートのパターン孔を介してペーストを基板に転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、
基板保持部よりも上方の位置に水平に設置されたプレート部材を備え、
昇降部は、基板保持部に保持された基板をマスクプレートに接触させる前に、プレート部材に下方から押し付けて基板の反りの矯正を行うことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
基板保持部により基板を保持する工程と、
基板保持部により保持した基板を基板保持部よりも上方の位置に水平に設置されたプレート部材に下方から押し付けて基板の反りの矯正を行う工程と、
反りの矯正がなされた基板の上面を基板の電極の配置に応じたパターン孔が形成されたマスクプレートに接触させる工程と、
マスクプレートに対してスキージを摺動させてマスクプレート上に供給されたペーストをマスクプレート上で掻き寄せることにより、マスクプレートのパターン孔を介してペーストを基板に転写させる工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−143548(P2011−143548A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3737(P2010−3737)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】