説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】安定した印刷状態を確保しつつ、印刷不良の発生を抑えることができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板2を搬入した後(ステップST1)、マスク13に基板2の上面を接触させ(ステップST4)、基板2に接触させたマスク13上でスキージ33bを摺動させるスキージング動作を一往復行ってマスク13上のペーストPtを基板2に転写させたら(ステップST7及びステップST8)、基板2をマスク13から離間させて版離れを行い(ステップST9)、基板2を搬出させるとともに(ステップST11)、マスク13の下面に付着したペーストPtを除去するマスククリーニングを行う(ステップST12)工程から成る1枚の基板2に対する印刷作業を繰り返し実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク上でスキージを摺動させてマスク上のペーストを基板に転写させるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の電極に半田等のペーストを印刷する装置としてスクリーン印刷機が知られている。スクリーン印刷機は、基板の上面に接触されるマスク、基板と接触したマスク上でスキージを摺動させるスキージング動作を行うことによってマスク上のペーストを基板に転写させるスキージヘッド及びスキージヘッドによる基板へのペーストの転写が行われた後、基板をマスクから離間させて版離れを行う版離れ機構を備えるほか、スキージヘッドによるスキージング動作によってマスクの開口部からマスクの下面に回り込んだペーストを拭き取って除去するマスククリーニングを行うクリーニング装置を備えている。
【0003】
このようなスクリーン印刷機において、スキージヘッドは通常2つのスキージを備えており、1枚の基板に対して2つのスキージのうちの一方による一方向へのスキージング動作を1回行った後、次の1枚の基板に対しては他方のスキージによる前回とは反対の方向へのスキージング動作を行うといった工程を繰り返すようになっている。また、1枚の基板に対して上記2つのスキージによるスキージング動作を1回ずつ行って(すなわち1枚の基板に対して2回のスキージング動作を行って)安定した印刷状態が得られるようにしたものも知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−89208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のように、1枚の基板に対して2回のスキージング動作を行うようにすると、基板の1枚当たりに要する印刷作業時間が増大するという問題点が生じる。一方、このような問題点を解決するためにスキージの移動速度を上げると、1回のスキージング動作でマスクの下面に回り込むペースト量が増大し、クリーニング装置によるマスククリーニングが行われる規定のスキージング動作回数(例えば10回)が到来するまえに基板の電極部の近傍に「にじみ」や「ブリッジ」などが発生し易くなるために印刷不良の発生率が高まってしまう。
【0006】
そこで本発明は、安定した印刷状態を確保しつつ、印刷不良の発生を抑えることができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面と接触したマスク上で2つのスキージのうちの一方を一の方向に摺動させる第1のスキージング動作及び2つのスキージのうちの他方を第1のスキージングのときとは反対の方向に摺動させる第2のスキージング動作を1回ずつ続けて行ってマスク上のペーストを基板に転写させるスキージヘッドと、スキージヘッドによる基板へのペーストの転写が行われた後、基板をマスクから離間させて版離れを行う版離れ機構と、版離れ機構による版離れが行われる毎にマスクの下面に付着したペーストを除去するマスククリーニングを行うクリーニング装置とを備えた。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷方法は、基板を搬入する工程と、搬入した基板の上面をマスクに接触させる工程と、基板に接触させたマスク上で2つのスキージのうちの一方を一の方向に摺動させる第1のスキージング動作及び2つのスキージのうちの他方を第1のスキージングのときとは反対の方向に摺動させる第2のスキージング動作を1回ずつ続けて行ってマスク上のペーストを基板に転写させる工程と、基板にペーストを転写させた後、基板をマスクから離間させて版離れを行う工程と、基板の版離れを行った後、基板を搬出する工程と、基板の版離れを行ったマスクの下面に付着したペーストを除去するマスククリーニングを行う工程から成る1枚の基板に対する印刷作業を繰り返し実行する。
【0009】
請求項3に記載のスクリーン印刷方法は、請求項2に記載のスクリーン印刷方法であって、マスククリーニングを基板の搬出と並行して行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、1枚の基板に対して2回のスキージング動作を行うので安定した印刷状態を確保でき、1枚の基板の印刷が終わる毎に(すなわち次の基板の印刷を開始する前に)マスククリーニングを行うので印刷不良が発生しにくい。ここで、マスククリーニングは従来よりも少ない回数(2回)のスキージング動作が終了した時点で行うのでマスククリーニングに要する時間は短く、マスククリーニングを基板の搬出動作の実行中に済ませてしまうことも可能である。また、従来よりも少ない回数のスキージング動作が終了した時点でマスククリーニングを行うことから、1回のスキージング動作でマスクの下面に回り込むペーストの許容量が増大し、その分スキージの移動速度を速くすることができるので、基板の1枚当たりに要する印刷作業時間を短縮して基板の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の要部の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の要部の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の実行手順を示すフローチャート
【図4】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の実行手順の説明図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の実行手順の説明図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷作業の実行手順の説明図
【図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスククリーナによりマスククリーニングを行っている状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2において、スクリーン印刷機1は、基板2上に設けられた多数の電極3のそれぞれに半田等のペーストPtをスクリーン印刷するスクリーン印刷作業を実行するものであり、基台11、基台11の上方に設けられた一対のマスクホルダ12、マスクホルダ12によって水平姿勢に保持されて基板2の上面に接触されるマスク13、基台11上に設けられた基板保持ユニット移動機構14、マスク13の下方において、基板保持ユニット移動機構14によって移動される基板保持ユニット15、マスク13の上方に設けられたスキージヘッド16、基板保持ユニット15とマスク13の間の領域に設けられたカメラユニット17、マスク13の下面のクリーニング(マスククリーニング)を行うマスククリーナ18及びこれら各部の作動制御を行う制御装置19を備えている。
【0013】
図1において、マスクホルダ12は基台11の上方を水平かつ平行に延びて設けられた一対のレール状の部材から成り、マスク13は、基板2上の各電極3に対応した多数の開口部13hを有した矩形薄板の金属板から成る金属板部13aと、金属板部13aの四辺を支持するとともに金属板部13aの外方に広がって延びた樹脂(例えばポリエステル)製のシート状部13bから成る。シート状部13bの外周(四辺)は平面視において矩形状のマスク枠13Wによって支持されており、マスク枠13Wの四辺のうち対向する二辺がマスクホルダ12によって支持されている。
【0014】
図1において、基板2上の一の対角位置には2つの基板側マーク2mが設けられており、マスク13の金属板部13aにはこれら2つの基板側マーク2mに対応して2つのマスク側マーク13mが設けられている。2つの基板側マーク2mと2つのマスク側マーク13mを上下に一致させた状態でマスク13に基板2を接触させると、基板2の電極3とマスク13の開口部13hとが合致した状態となる。
【0015】
基板保持ユニット移動機構14はXYZロボットから成り、基板保持ユニット15は、図1及び図2に示すように、基板保持ユニット移動機構14によって水平面内(XY面内)の方向への移動(回転も含む)及び上下方向(Z軸方向)の移動がなされるユニットベース21、ユニットベース21に取り付けられて水平面内の一の方向(X軸方向)に基板2を搬送する一対のコンベア22、ユニットベース21に設けられた下受け部昇降シリンダ23、下受け部昇降シリンダ23によって昇降される下受け部24及び基板2の搬送方向(X軸方向)と直交する水平面内方向(Y軸方向)に開閉自在に設けられた一対のクランプ部材25から成る。
【0016】
一対のコンベア22は水平面内の一の方向(X軸方向)への基板2の搬送と所定の作業位置(図1に示す位置)への位置決めを行う。下受け部24は下受け部昇降シリンダ23によって昇降されて作業位置に位置決めされた基板2の両端がコンベア22から上方に離間するように基板2を下方から持ち上げ支持し、一対のクランプ部材25は下受け部24により持ち上げ支持された基板2の両側部をY軸方向から挟んで(クランプして)保持する。このように基板保持ユニット15はコンベア22により基板2を搬入して保持する基板保持部として機能する。
【0017】
基板保持ユニット移動機構14は、基板2を保持した基板保持ユニット15を移動させて基板2をマスク13に対して接触させ、また離間させる。
【0018】
図1及び図2において、スキージヘッド16はプレート状のベース部31、ベース部31に取り付けられた2つのスキージ昇降シリンダ32及び2つのスキージ昇降シリンダ32の作動によってベース部31の下方を上下移動する2つのスキージユニット33を備えて成る。スキージヘッド16(ベース部31)は図示しないアクチュエータ等から成るスキージヘッド移動機構34によってマスク13に対して水平方向(Y軸方向)に往復移動される。
【0019】
図1及び図2において、各スキージユニット33はスキージ昇降シリンダ32のピストンロッド32aに取り付けられてX軸方向に延びるスキージホルダ33aとスキージホルダ33aに取り付けられた薄板部材から成るスキージ33bから成る。各スキージユニット33はスキージ昇降シリンダ32のピストンロッド32aが下方への突没動作によってベース部31の下方を昇降するが、マスク13とベース部31の上下方向の相対位置は変化しないので、各スキージユニット33をベース部31に対して下降させることで、スキージ33bをマスク13に上方から当接させることができる。
【0020】
スクリーン印刷機1の操作を行うオペレータ(図示せず)は通常、2つのスキージ33bが対向する方向(Y軸方向)の一方側に位置しており、以下の説明では、オペレータが位置する側をスクリーン印刷機1の前方、その反対側をスクリーン印刷機1の後方とする。
【0021】
図1及び図2において、カメラユニット17は撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ17aと撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ17bを備えて成る。カメラユニット17は、図示しないアクチュエータ等から成るカメラ移動機構17M(図2)によって基板保持ユニット15とマスク13との間の領域を水平面内方向に移動される。
【0022】
マスククリーナ18は、マスク13と平行な方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に移動自在に設けられた平面視断面が矩形状の筒状部材から成るノズル部41の上端部にペーパー部材42が掛け渡されて成る。ペーパー部材42のノズル部41の上端部に掛け渡された部分はマスク13の下面と接触してマスク13の下面に付着したペーストPtの残り滓を拭き取る拭き取り領域Rである。
【0023】
マスククリーナ18は平面内方向への移動と上下方向への移動が可能であり、ノズル部41の上端部によってペーパー部材42をマスク13の下面に押し付けた状態でY軸方向に移動することにより、マスク13の下面に付着したペーストPtを拭き取る。ペーパー部材42の拭き取り領域Rは、一対のローラ部材43によってペーパー部材42を巻き取ることで更新することができる。
【0024】
図2において、ノズル部41内には図示しない空気吸引管路が設けられており、ペーパー部材42の拭き取り領域Rを介して空気吸引管路内に空気を吸引することによりペーパー部材42によるペーストPtの拭き取り効果を向上させることができる。
【0025】
基板保持ユニット15のコンベア22による基板2の搬送及び作業位置への位置決め動作、作業位置に位置した基板2に対する下受け部24による下受け動作及び一対のクランプ部材25によるクランプ動作は、制御装置19が前述の下受け部昇降シリンダ23を含むアクチュエータ等から成る基板保持機構15M(図2)の作動制御を行うことによってなされ、基板2を保持した基板保持ユニット15の水平面内方向及び上下方向の移動動作は制御装置19が前述の基板保持ユニット移動機構14の作動制御を行うことによってなされる。
【0026】
スキージヘッド16(ベース部31)のY軸方向への往復移動動作は制御装置19が前述のスキージヘッド移動機構34の作動制御を行うことによってなされ、各スキージユニット33の(したがってスキージ33bの)ベース部31に対する昇降動作は、制御装置19が2つのスキージ昇降シリンダ32の作動制御を行うことによってなされる。
【0027】
カメラユニット17の水平面内での移動動作は、制御装置19が前述のカメラ移動機構17Mの作動制御を行うことによってなされる。下方撮像カメラ17aによる撮像動作の制御と上方撮像カメラ17bによる撮像動作の制御はそれぞれ制御装置19によってなされ、下方撮像カメラ17aの撮像動作によって得られた画像データと上方撮像カメラ17bの撮像動作によって得られた画像データはそれぞれ制御装置19に送信されて制御装置19の画像認識部19a(図2)において画像認識処理される。
【0028】
マスククリーナ18の水平面内の移動機構はカメラ移動機構17Mと兼用されており、マスククリーナ18の水平面内方向への移動動作は制御装置19がカメラ移動機構17Mの作動制御を行うことによってなされる。マスククリーナ18の上下方向への移動動作とペーパー部材42の巻き取り動作及びペーパー部材42を介したペーストPtの吸引動作は、制御装置19が図示しないアクチュエータ等から成るクリーナ作動機構18M(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0029】
次に、図3のフローチャート及び図4〜図7の説明図を加えてスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷作業(スクリーン印刷方法)の実行手順について説明する。スクリーン印刷機1の制御装置19は、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置等(図示せず)から基板2が送られてきたことを検知したら、基板保持ユニット15のコンベア22を作動させて、スクリーン印刷機1内に基板2を搬入し(図3に示すステップST1)、基板保持機構15Mの作動制御を行って基板2を保持する(図4(a)。図3に示すステップST2)。
【0030】
ここで、基板2の保持は、具体的には、下受け部昇降シリンダ23で下受け部24を押し上げて基板2をコンベア22から浮いた状態に持ち上げるとともに(図4(a)中に示す矢印A1)、一対のクランプ部材25を閉じる方向に駆動して基板2の両端を挟み込む(図4(a)中に示す矢印B1)ことによって行う。
【0031】
制御装置19は、基板2を保持したら、カメラ移動機構17Mの作動制御を行い、下方撮像カメラ17aを基板2に設けられた基板側マーク2mの直上に位置させたうえで下方撮像カメラ17aに基板側マーク2mの撮像を行わせてその画像データから基板2の位置を把握するとともに、上方撮像カメラ17bをマスク13に設けられたマスク側マーク13mの直下に位置させたうえで上方撮像カメラ17bにマスク側マーク13mの撮像を行わせてその画像データからマスク13の位置を把握する。そして、基板保持ユニット15を水平面内方向に移動させ、基板側マーク2mとマスク側マーク13mとが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置合わせを行う(図3に示すステップST3)。
【0032】
制御装置19は、マスク13に対する基板2の位置合わせが終わったら、基板保持ユニット移動機構14の作動制御を行って基板保持ユニット15を基台11に対して上昇させ(図4(b)中に示す矢印C1)、基板2の上面(及び一対のクランプ部材25の上面)をマスク13の金属板部13aの下面に下方から接触させる(図4(b)。図3に示すステップST4)。これにより基板2上の電極3とマスク13の開口部13hとが合致した状態となる。
【0033】
制御装置19は、基板2をマスク13に接触させたら、制御装置19に繋がるディスプレイ装置DP(図2)に、オペレータにペーストPtの供給を促すメッセージを表示する(図3に示すステップST5)。これに対してオペレータは、現在、マスク13上に残っているペーストPtを目視し、そのペーストPtの量に基づいてペーストPtの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行う。そして、ペーストPtの供給を行うべきと判断したときには、別途用意した図示しないペースト供給シリンジにより、マスク13上にペーストPtを供給する。そして、ペーストPtの供給が終わったら、制御装置19に繋がる動作再開ボタンBT(図2)の操作を行う。オペレータは、ペーストPtの供給が不要と判断した場合においても、動作再開ボタンBTの操作を行う。
【0034】
制御装置19は、ステップST5において、ディスプレイ装置DPにペーストPtの供給を促すメッセージを表示した後、動作再開ボタンBTの操作がなされたか否かの判断を一定時間おきに行い(図3に示すステップST6)、動作再開ボタンBTからの信号出力に基づいて、オペレータによって動作再開ボタンBTの操作がなされたことを検知したときには、制御装置19は2つのスキージ33bのうちの前方に位置する側のスキージ33b(以下、前方のスキージ33bと称する)によるスキージング動作(図3に示すステップST7)と、2つのスキージ33bのうちの後方に位置する側のスキージ33b(以下、後方のスキージ33bと称する)によるスキージング動作(図3に示すステップST8)を続けて行う。
【0035】
ここで、制御装置19は、前方のスキージ33bによるスキージング動作では、スキージヘッド16を前方のクランプ部材25の上方に位置させたうえで前方のスキージ33bを下降させ、前方のスキージ33bの下端をクランプ部材25と接触しているマスク13の上面に当接させたうえで、スキージヘッド16を後方に移動させる(図5(a)。図中に示す矢印D1)。そして、前方のスキージ33bが後方のクランプ部材25上に達したら、前方のスキージ33bを元の位置まで上昇させる。一方、後方のスキージ33bによるスキージング動作では、制御装置19は、スキージヘッド16を後方のクランプ部材25の上方に位置させたうえで後方のスキージ33bを下降させ、後方のスキージ33bの下端をクランプ部材25と接触しているマスク13の上面に当接させたうえで、スキージヘッド16を前方に移動させる(図5(b)。図中に示す矢印D2。)そして、後方のスキージ33bが前方のクランプ部材25上に達したら、後方のスキージ33bを元の位置まで上昇させる。
【0036】
このようにスキージヘッド16は、基板2の上面と接触したマスク13上で2つのスキージ33bのうちの一方(前方のスキージ33b)を水平面内の一の方向(後方)に摺動させる第1のスキージング動作及び2つのスキージ33bのうちの他方(後方のスキージ33b)を第1のスキージングのときとは反対の方向(前方)に摺動させる第2のスキージング動作を1回ずつ続けて行ってマスク13上のペーストPtを基板2に転写させるものとなっている。
【0037】
制御装置19は、ステップST7の前方のスキージ33bによるスキージング動作とステップST8の後方のスキージ33bによるスキージング動作が終了したら、基板保持ユニット移動機構14を作動させて基板保持ユニット15を下降させ(図6(a)中に示す矢印C2)、基板2の版離れを行う(図6(a)。図3に示すステップST9)。
【0038】
このように本実施の形態において、基板保持ユニット移動機構14は、スキージヘッド16による基板2へのペーストPtの転写が行われた後、基板2をマスク13から離間させて版離れを行う版離れ機構として機能する。
【0039】
制御装置19は基板2の版離れを行ったら、基板保持機構15Mを作動させて一対のクランプ部材25を開かせたうえで(図6(b)中に示す矢印B2)、下受け部24を下降させて(図6(b)中に示す矢印A2)、基板2の両端を一対のコンベア22上に降ろす。これにより基板保持ユニット15による基板2の保持が解除される(図6(b)。図3に示すステップST10)。
【0040】
制御装置19は、基板2の保持を解除したら、基板保持ユニット移動機構14を作動させて基板保持ユニット15を水平面内で移動させ、コンベア22の向きを整えたうえで、コンベア22を作動させて基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図3に示すステップST11)。
【0041】
ここで制御装置19は、ステップST9の版離れを行った後、ステップST10の基板2の保持の解除動作及びステップST11の基板2の搬出動作と並行して、マスククリーナ18によりマスク13の下面に付着したペーストPtの残り滓を拭き取らせてマスク13の下面をクリーニングするマスククリーニングを実行する(図3に示すステップST12)。
【0042】
このマスククリーニング動作では、制御装置19は、カメラ移動機構17Mとクリーナ作動機構18Mの作動制御を行ってマスククリーナ18が備えるペーパー部材42の拭き取り領域Rをマスク13の下面に押し付けた後、ノズル部41を水平面内方向(Y軸方向)に移動させて(図7中に示す矢印E)、ペーパー部材42によりマスク13の下面に付着しているペーストPtの残り滓を拭き取る。ここで、制御装置19は、上記のマスククリーニングを行う際には、ノズル部41内の空気吸引管路を介した空気の吸引動作を行うようにする。制御装置19は、ペーパー部材42の拭き取り領域RにくっついたペーストPtが多くなってきた頃に、ペーパー部材42の巻き取りを行ってペーパー部材42の拭き取り領域Rの更新を行う。
【0043】
このように本実施の形態において、マスククリーナ18は、版離れ機構としての基板保持ユニット移動機構14による版離れが行われる毎にマスク13の下面に付着したペーストPtを除去するマスククリーニングを行うクリーニング装置となっている。
【0044】
制御装置19は、基板2を搬出したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図3に示すステップST13)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
【0045】
このように本実施の形態におけるスクリーン印刷機1において、制御装置19は、コンベア22が基板2を搬入した後、その基板2を基板保持ユニット15及び基板保持ユニット移動機構14がその搬入した基板2を保持してマスク13に接触させ、スキージヘッド16が基板2に接触させたマスク13上で2つのスキージ33bのうちの一方(前方のスキージ33b)を一の方向に摺動させる第1のスキージング動作及び2つのスキージ33bのうちの他方(後方のスキージ33b)を第1のスキージングのときとは反対の方向に摺動させる第2のスキージング動作を1回ずつ続けて行ってマスク13上のペーストPtを基板2に転写させた後、基板保持ユニット15が基板2をマスク13から離間させて版離れを行い、コンベア22が基板2を搬出させつつ、マスククリーナ18がマスク13の下面に付着したペーストPtを除去するマスククリーニングを行う一連の動作から成る1枚の基板2に対する印刷作業(ステップST1〜ステップST12)を繰り返し実行させるものとなっている。
【0046】
そして、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法は、基板2を搬入する工程(ステップST1)、搬入した基板2をマスク13に接触させる工程(ステップST4)、基板2に接触させたマスク13上で2つのスキージ33bのうちの一方を一の方向に摺動させる第1のスキージング動作及び2つのスキージ33bのうちの他方を第1のスキージングのときとは反対の方向に摺動させる第2のスキージング動作を1回ずつ続けて行ってマスク13上のペーストPtを基板2に転写させる工程(ステップST7及びステップST8)、基板2にペーストPtを転写させた後、基板2をマスク13から離間させて版離れを行う工程(ステップST9)、基板2の版離れを行った後、基板2を搬出する工程(ステップST11)及び基板2の版離れを行ったマスク13の下面に付着したペーストPtを除去するマスククリーニングを行う工程(ステップST12)から成る1枚の基板2に対する印刷作業を繰り返し実行するものとなっている。
【0047】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法)では、1枚の基板2に対して2回のスキージング動作を行うので安定した印刷状態を確保でき、1枚の基板2の印刷が終わる毎に(すなわち次の基板2の印刷を開始する前に)マスククリーニングを行うので印刷不良が発生しにくい。
【0048】
ここで、本実施の形態では、ステップST12のマスククリーニングをステップST11の基板2の搬出と並行して行うようになっているが、マスククリーニングは従来よりも少ない回数(2回)のスキージング動作が終了した時点で行うのでマスククリーニングに要する時間は短く、マスククリーニングを基板2の搬出動作の実行中に済ませてしまうことも可能である。
【0049】
また、従来よりも少ない回数のスキージング動作が終了した時点でマスククリーニングを行うことから、1回のスキージング動作でマスク13の下面に回り込むペーストPtの許容量が増大し、その分スキージ33bの移動速度を速くすることができるので、基板2の1枚当たりに要する印刷作業時間を短縮して基板2の生産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
安定した印刷状態を確保しつつ、印刷不良の発生を抑えることができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供する。
【符号の説明】
【0051】
1 スクリーン印刷機
2 基板
13 マスク
14 基板保持ユニット移動機構(版離れ機構)
16 スキージヘッド
18 マスククリーナ(クリーニング装置)
33b スキージ
Pt ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に接触されるマスクと、
基板の上面と接触したマスク上で2つのスキージのうちの一方を一の方向に摺動させる第1のスキージング動作及び2つのスキージのうちの他方を第1のスキージングのときとは反対の方向に摺動させる第2のスキージング動作を1回ずつ続けて行ってマスク上のペーストを基板に転写させるスキージヘッドと、
スキージヘッドによる基板へのペーストの転写が行われた後、基板をマスクから離間させて版離れを行う版離れ機構と、
版離れ機構による版離れが行われる毎にマスクの下面に付着したペーストを除去するマスククリーニングを行うクリーニング装置とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
基板を搬入する工程と、
搬入した基板の上面をマスクに接触させる工程と、
基板に接触させたマスク上で2つのスキージのうちの一方を一の方向に摺動させる第1のスキージング動作及び2つのスキージのうちの他方を第1のスキージングのときとは反対の方向に摺動させる第2のスキージング動作を1回ずつ続けて行ってマスク上のペーストを基板に転写させる工程と、
基板にペーストを転写させた後、基板をマスクから離間させて版離れを行う工程と、
基板の版離れを行った後、基板を搬出する工程と、
基板の版離れを行ったマスクの下面に付着したペーストを除去するマスククリーニングを行う工程から成る1枚の基板に対する印刷作業を繰り返し実行することを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項3】
マスククリーニングを基板の搬出と並行して行うことを特徴とする請求項2に記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−43418(P2013−43418A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184412(P2011−184412)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】