説明

スタビライザ支持構造

【課題】 支持部材の製造に係るコストが低減可能なスタビライザ支持構造を提供する。
【解決手段】 車体側部材1に固定された二つの支持部材2を介して、スタビライザ4を車体側部材1に弾性支持するスタビライザ支持構造において、支持部材2が有する挿通孔12にスタビライザ4が挿通された状態で、スタビライザ4の外周面に、塗料によって構成された第一塗装膜18を形成し、第一塗装膜18の表面18aを挿通孔12の内周面12aと平行に形成し、第一塗装膜18の表面18aに複数の凹状溝22を設け、凹状溝22を、側壁22aと挿通孔12の内周面12aとのなす角度θが直角未満となるように形成し、挿通孔12の内周面12aに、第一塗装膜18を構成する塗料と、硬化後の硬度が同一の塗料で構成された第二塗装膜24を形成し、凹状溝22内及び第一塗装膜18と第二塗装膜24との間に潤滑剤26を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、支持部材の製造に係るコストが低減可能なスタビライザ支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に備えられ、車体側部材に固定された支持部材を介して車体側部材に弾性支持されているスタビライザは、車両の走行時にスタビライザに生じる捻り変位に対して復元力を発揮し、捻り変位の方向と反対方向に回転することにより、車両を水平に保っている。しかしながら、スタビライザと支持部材との間に生じる摩擦力が大きいと、スタビライザと支持部材との間に生じる相対変位によって車体が加振されるため、車両の乗り心地が悪化してしまうという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1に記載されているスタビライザ支持構造がある。このスタビライザ支持構造は支持部材として防振ゴム体を用いており、この防振ゴム体は、本体がシリコンゴムとエチレン・プロピレンゴムのブレンドゴム材で構成され、スタビライザと対向する面が摩擦抵抗の小さいシリコンゴム材で構成されている。このような防振ゴム体を用いたスタビライザ支持構造であれば、摩擦抵抗の小さいシリコンゴム材により、スタビライザと支持部材との間に生じる摩擦力が低減され、スタビライザと支持部材との間に生じる相対変位が低減される。その結果、車体が加振されることが防止され、車両の乗り心地の悪化が防止される。
【特許文献1】特開平6−129463号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のスタビライザ支持構造では、ブレンドゴム材で構成した防振ゴム体の本体に、シリコンゴム材で構成した部分を新たに設ける必要がある。このため、防振ゴム体、すなわち、支持部材の製造難易度が高くなって作業コストが増加してしまうとともに、支持部材の材料コストが増加してしまう。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、支持部材の製造に係るコストが低減可能となるとともに、乗り心地の悪化が防止可能なスタビライザ支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、車体側部材に固定された支持部材を介して前記車体側部材にスタビライザを弾性支持するスタビライザ支持構造であって、
前記支持部材及び前記スタビライザの互いに対向する面のうち少なくとも一方は、塗料によって構成される第一塗装膜が形成され、
前記第一塗装膜の表面には、少なくとも一つの潤滑剤溜り部が設けられ、
前記潤滑剤溜り部内に、潤滑剤が配置されていることを特徴とするスタビライザ支持構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支持部材及びスタビライザの互いに対向する面のうち少なくとも一方に、塗料によって構成された第一塗装膜を形成し、この第一塗装膜の表面に、内部に潤滑剤を配置した潤滑剤溜り部を設けることによって、スタビライザと支持部材との間に生じる摩擦力を低減可能となる。その結果、支持部材の製造に係るコストの低減が可能となるとともに、乗り心地の悪化を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、図1から図4を参照して、本発明の第一実施形態の構成を説明する。なお、本実施形態では、前輪側のスタビライザ支持構造を例にあげて説明するが、これに限定されるものではなく、本実施形態のスタビライザ支持構造は、後輪側のスタビライザ支持構造に関しても適用可能である。
【0008】
図1中に示すように、本実施形態のスタビライザ支持構造は、車体側部材1に固定された二つの支持部材2を介して、スタビライザ4を車体側部材1に弾性支持するものである。
車体側部材1は、車体(図示せず)に取り付けられており、サスペンションメンバ6、メンバーステー8、トランスバースリンク10等を備えている。
【0009】
各支持部材2は、スタビライザ4が挿通される挿通孔12を有している。また、各支持部材2は、ゴム等の弾性体で形成されており、挿通孔12にスタビライザ4が挿通された状態では、スタビライザ4の外周面をスタビライザ4の中心軸方向へ押圧して、スタビライザ4を保持する。
スタビライザ4は、車両幅方向に延在する略コ字形の棒状部材であり、その両端部は、両端部にそれぞれ連結されたコネクティングロッド14を介して、サスペンション16に連結されている。
【0010】
図2に示すように、スタビライザ4の外周面のうち、挿通孔12にスタビライザ4が挿通された状態で、挿通孔12の内周面12aと対向する部分には、塗料によって構成された第一塗装膜18が形成されている。スタビライザ4の外周面と第一塗装膜18との間には、防錆剤20が配置されている。第一塗装膜18の表面18aには複数の凹状溝22が設けられており、各凹状溝22は、後述するように、コネクティングロッド14に上下動が生じてスタビライザ4に捻り変位が生じた際に、この捻り変位に対してスタビライザ4が回転する方向に沿って延びている。また、第一塗装膜18の表面18aは、挿通孔12の内周面12aと平行に形成されている。なお、図2は図1のII−II線断面図であるが、図2中では、図1のII−II線断面のうち、スタビライザ4の周辺部を示している。
【0011】
各凹状溝22は、スタビライザ4の回転方向から見て略V字形に形成されており、凹状溝22の側壁22aと挿通孔12の内周面12aとのなす角度θが、直角未満となるように形成されている。なお、図2中では、凹状溝22の側壁22aと挿通孔12の内周面12aとのなす角度θを、凹状溝22の側壁22aと後述する第二塗装膜24とのなす角度として示している。また、各凹状溝22内には潤滑剤26が配置されている。すなわち、凹状溝22は、内部に潤滑剤が保持される潤滑剤溜り部を構成している。
【0012】
挿通孔12の内周面12aには、第一塗装膜18を構成する塗料と、硬化後の硬度が同一の塗料で構成された第二塗装膜24が形成されている。また、第一塗装膜18と第二塗装膜24との間には、凹状溝22内と同様に潤滑剤26が配置されている。
また、図3に示すように、第一塗装膜18と第二塗装膜24は、共にスタビライザ4の回転方向に連続している。また、防錆剤20も、第一塗装膜18及び第二塗装膜24と同様に、スタビライザ4の回転方向に連続している。なお、図3は図1のIII−III線断面図であるが、図3中では、図1のIII−III線断面のうち、スタビライザ4の周辺部を示している。
【0013】
次に、図4を参照して、第一塗装膜18及び各凹状溝22の形成方法について説明する。
まず、図4(a)に示すように、スタビライザ4の外周面に固形潤滑剤28を配置する。固形潤滑剤28は、例えばワックス等の、粘性を有するとともに形状を保持可能な潤滑剤によって形成されており、凹状溝22と同形状に形成されている。
【0014】
次に、図4(b)に示すように、スタビライザ4の外周面のうち、固形潤滑剤28が配置されていない部分に、例えば、スプレー等を用いて、防錆剤20を塗布する。
そして、図4(c)に示すように、スタビライザ4の外周面のうち防錆剤20を塗布した部分に、例えば、スプレー等を用いて、塗料を塗装する。塗料が硬化すると、第一塗装膜18が形成されるとともに、固形潤滑剤28は凹状溝22と同形状であるため、凹状溝22が形成される。
【0015】
次に、本実施形態の作用・効果について説明する。
車両の走行時にタイヤが上下に変位し、この変位によってコネクティングロッド14に上下動が生じると、この上下動に伴ってスタビライザ4に捻り変位が生じ、この捻り変位に対してスタビライザ4が復元力を発揮し、捻り変位の方向と反対方向に回転する。
このとき、スタビライザ4の外周面に形成された第一塗装膜18の表面には、内部に潤滑剤26が配置されている凹状溝22が設けられているため、スタビライザ4と支持部材2との間に生じる摩擦力が低減される。
【0016】
したがって、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、車両の走行時にスタビライザ4に捻り変位が生じても、支持部材2とスタビライザ4との間に生じる摩擦力が低減されるため、車両の乗り心地の悪化が防止される。
また、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、塗料によって構成された第一塗装膜18及び凹状溝22と、凹状溝22内に配置された潤滑剤26によって、支持部材2とスタビライザ4との間に生じる摩擦力を低減しているため、支持部材2の製造に係るコスト低減が可能となる。
【0017】
さらに、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、第一塗装膜18と第二塗装膜24が、硬化後の硬度が同一の塗料で構成されているため、第一塗装膜18の硬度と第二塗装膜24の硬度が等しくなる。その結果、第一塗装膜18と第二塗装膜24の間に生じる磨耗が低減されるため、第一塗装膜18と第二塗装膜24の耐久性が向上し、支持部材2とスタビライザ4との間に生じる摩擦力の低減効果を、長期間に亘って発揮することが可能となる。
【0018】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、潤滑剤溜り部を、スタビライザ4の回転方向に沿って延びる凹状溝22によって形成したため、潤滑剤26が支持部材2とスタビライザ4との間から漏出することが防止される。その結果、支持部材2とスタビライザ4との間に生じる摩擦力の低減効果を、長期間に亘って発揮することが可能となる。また、車両の走行時にスタビライザ4に捻り変位が生じても、スタビライザ4が支持部材2に対して、スタビライザ4の軸方向に沿って変位することが防止される。
【0019】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、第一塗装膜18の表面18aが、挿通孔12の内周面12aと平行に形成されているため、第一塗装膜18と第二塗装膜24との接触状態は、面接触となる。その結果、車両の走行時にスタビライザ4に捻り変位が生じても、第一塗装膜18に加わる圧力が軽減されるため、第一塗装膜18の耐久性が向上し、支持部材2とスタビライザ4との間に生じる摩擦力の低減効果を、長期間に亘って発揮することが可能となる。
【0020】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、凹状溝22の側壁22aと挿通孔12の内周面12aとのなす角度θが、直角未満となるように形成されているため、第一塗装膜18が第二塗装膜24に引っ掛かることが防止される。その結果、第一塗装膜18の耐久性が向上し、支持部材2とスタビライザ4との間に生じる摩擦力の低減効果を、長期間に亘って発揮することが可能となる。
【0021】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、スタビライザ4の外周面と第一塗装膜18との間に防錆剤20を配置したため、第一塗装膜18を構成する塗料が防錆性を有することとなる。その結果、第一塗装膜18を構成する塗料の材料の自由度及び膜厚の自由度が向上するため、第一塗装膜18及び凹状溝22の形成が容易となる。
また、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、第一塗装膜18を形成する際に、スタビライザ4の外周面に固形潤滑剤28を配置した後、防錆剤20及び塗料を塗装しているため、第一塗装膜18の形成後に、凹状溝22内に潤滑剤26を配置する工程が省略される。このため、第一塗装膜18及び凹状溝22の形成が容易となり、支持部材2の製造に係るコストが低減可能となる。
【0022】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造であれば、第一塗装膜18及び第二塗装膜24が、共にスタビライザ4の回転方向に連続して形成されている。このため、スタビライザ4の外周面の全体に亘って、支持部材2とスタビライザ4との間に生じる摩擦力の低減効果を、均等に発揮することが可能である。
なお、本実施形態のスタビライザ支持構造では、スタビライザ4の外周面に第一塗装膜18を形成し、挿通孔12の内周面12aに第二塗装膜24を形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、図5及び図6に示すように、挿通孔12の内周面12aに第一塗装膜18を形成し、スタビライザ4の外周面に第二塗装膜24を形成してもよい。また、スタビライザ4の外周面及び挿通孔12の内周面12aに、それぞれ第一塗装膜18を形成してもよい。
【0023】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、潤滑剤溜り部を凹状溝22としたが、これに限定されるものではなく、潤滑剤溜り部を、例えば、一つ以上の凹部によって形成してもよい。また、凹状溝22内に、潤滑剤を含浸可能な多孔質部材を配置してもよい。さらに、潤滑剤溜り部を、複数の凹状溝22によって格子状に形成してもよい。
さらに、本実施形態のスタビライザ支持構造では、第一塗装膜18と第二塗装膜24を同一の塗料で構成したが、これに限定されるものではなく、第一塗装膜18と第二塗装膜24を、硬化後の硬度が異なる塗料で構成してもよい。
【0024】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、凹状溝22を、スタビライザ4の回転方向に沿って延びる形状に形成したが、これに限定されるものではなく、凹状溝22の延びる方向が、スタビライザ4の回転方向に対して傾斜する形状に形成してもよい。
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、第一塗装膜18の表面18aに、複数の凹状溝22を形成したが、これに限定されるものではなく、第一塗装膜18の表面18aに、凹状溝22を一つのみ形成してもよい。
【0025】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、第一塗装膜18の表面18aを挿通孔12の内周面12aと平行に形成したが、これに限定されるものではなく、第一塗装膜18の表面18aが挿通孔12の内周面12aに対して傾斜していてもよい。
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、凹状溝22の側壁22aと挿通孔12の内周面12aとのなす角度θを、直角未満となるように形成したが、これに限定されるものではなく、角度θを直角以上となるように形成してもよい。
【0026】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、スタビライザ4の外周面と第一塗装膜18との間に防錆剤20を配置したが、これに限定されるものではなく、挿通孔12の内周面12aと第二塗装膜24との間に防錆剤20を配置してもよい。また、スタビライザ4の外周面と第一塗装膜18との間や、挿通孔12の内周面12aと第二塗装膜24との間に、防錆剤20を配置しない構成としてもよい。
【0027】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、スタビライザ4の外周面に固形潤滑剤28を配置した後、防錆剤20及び塗料を塗装して、第一塗装膜18を形成したが、第一塗装膜18の形成方法は、これに限定されるものではなく、例えば、以下に示すような三通りの方法を用いてもよい。
第一の方法は、スタビライザ4の外周面に、凹状溝22と同形状に形成された型枠部材を配置した後、スタビライザ4の外周面に防錆剤20及び塗料を塗装し、スタビライザ4の外周面から型枠部材を撤去して、スタビライザ4の外周面に第一塗装膜18を形成する方法である。この場合、型枠部材を繰り返し使用することが可能となるため、第一塗装膜18及び凹状溝22の形成に係るコストを低減可能となる。また、型枠部材の形状が凹状溝22の形状となるため、型枠部材を任意の形状に加工することによって、凹状溝22の形状を任意の形状とすることが可能となる。
【0028】
第二の方法は、まず、スタビライザ4の外周面に防錆剤20及び塗料を塗装した後、塗料の硬化前にスタビライザ4の外周面に、凹状溝22と同形状に形成され、表面に潤滑剤が塗装された型枠部材を押し付ける。そして、塗料の硬化後に型枠部材を撤去して、スタビライザ4の外周面に第一塗装膜18を形成する方法である。この場合、塗料が硬化して第一塗装膜18が形成されると、型枠部材の表面に塗装した潤滑剤が形成された凹状溝22の内部に配置されるため、凹状溝22内に潤滑剤26を配置する工程が省略される。また、上述した第一の方法と同様に、型枠部材を任意の形状に加工することによって、凹状溝22の形状を任意の形状とすることが可能となる。
【0029】
第三の方法は、スタビライザ4の外周面に防錆剤20及び塗料を塗装した後、塗料の硬化前に、スタビライザ4を周方向に回転させるとともに、スタビライザ4の外周面に、凹状溝22と同形状に形成され、表面に潤滑剤が塗装された型枠部材を押し付けて、スタビライザ4の外周面に第一塗装膜18を形成する方法である。この場合、上述した第二の方法と同様に、凹状溝22内に潤滑剤26を配置する工程が省略されるとともに、型枠部材を任意の形状に加工することによって、凹状溝22の形状を任意の形状とすることが可能となる。また、スタビライザ4の外周面に第一塗装膜18を形成する際に、防錆剤20及び塗料を塗装したスタビライザ4を周方向に回転させるため、型枠部材の形状がスタビライザ4の外周面の全体に亘る形状である必要が無く、型枠部材の形状を簡略化することが可能となる。
【0030】
また、本実施形態のスタビライザ支持構造では、第一塗装膜18及び第二塗装膜24を、共にスタビライザ4の回転方向に連続して形成したが、これに限定されるものではない。すなわち例えば、第一塗装膜18をスタビライザ4の外周面のうち任意の位置にのみ形成してもよく、第二塗装膜24を挿通孔12の内周面12aのうち任意の位置にのみ形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のスタビライザ支持構造を示す図である。
【図2】図1のII−II線断面図を示す図である。
【図3】図2のIII−III線断面図を示す図である。
【図4】塗装膜の形成工程を示す図である。
【図5】本発明のスタビライザ支持構造の変形例を示す図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 車体側部材
2 支持部材
4 スタビライザ
6 サスペンションメンバ
8 メンバーステー
10 トランスバースリンク
12 挿通孔
14 コネクティングロッド
16 サスペンション
18 第一塗装膜
20 防錆剤
22 凹状溝
24 第二塗装膜
26 潤滑剤
28 固形潤滑剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部材に固定された支持部材を介して前記車体側部材にスタビライザを弾性支持するスタビライザ支持構造であって、
前記支持部材及び前記スタビライザの互いに対向する面のうち少なくとも一方は、塗料によって構成される第一塗装膜が形成され、
前記第一塗装膜の表面には、少なくとも一つの潤滑剤溜り部が設けられ、
前記潤滑剤溜り部内に、潤滑剤が配置されていることを特徴とするスタビライザ支持構造。
【請求項2】
車体側部材に固定された支持部材を介して前記車体側部材にスタビライザを弾性支持するスタビライザ支持構造であって、
前記支持部材及び前記スタビライザの互いに対向する面のうち一方は、塗料によって構成される第一塗装膜が形成され、
前記第一塗装膜の表面には、少なくとも一つの潤滑剤溜り部が設けられ、
前記潤滑剤溜り部内に、潤滑剤が配置され、
前記支持部材及び前記スタビライザの互いに対向する面のうち他方は、前記第一塗装膜を構成する塗料と硬化後の硬度が同一の塗料で構成された第二塗装膜が形成されることを特徴とするスタビライザ支持構造。
【請求項3】
前記潤滑剤溜り部は、前記スタビライザに捻り変位が生じたときにスタビライザが回転する方向に沿って延びる凹状溝であることを特徴とする請求項1または2に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項4】
前記潤滑剤溜り部は、複数の凹状溝によって格子状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項5】
前記第一塗装膜の表面は、当該第一塗装膜の表面と対向する面と平行に形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項6】
前記潤滑剤溜り部は、凹状溝であり、
前記凹状溝の壁面と前記第一塗装膜と対向する面とのなす角度が直角未満であることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項7】
前記潤滑剤溜り部は、前記第一塗装膜が形成される面に前記潤滑剤溜り部と同形状に形成された固形材料から構成される固形潤滑剤を配置した後、前記塗装膜が形成される面に前記塗料を塗装して形成されることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項8】
前記潤滑剤溜り部は、前記第一塗装膜が形成される面に前記潤滑剤溜り部と同形状に形成された型枠部材を配置した後、前記塗装膜が形成される面に前記塗料を塗装し、前記型枠部材を撤去して形成されることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項9】
前記潤滑剤溜り部は、前記第一塗装膜が形成される面に前記塗料を塗装した後、前記塗料の硬化前に前記潤滑剤を塗装した前記型枠部材を前記第一塗装膜が形成される面に押し付け、前記塗料の硬化後に前記型枠部材を撤去して形成されることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項10】
前記潤滑剤溜り部は、前記第一塗装膜が形成される面に前記塗料を塗装した後、前記塗料の硬化前に前記第一塗装膜が形成される面を前記スタビライザの周方向に回転させるとともに前記潤滑剤を塗装した前記型枠部材を第一塗装膜が形成される面に押し付けて形成されることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載したスタビライザ支持構造。
【請求項11】
前記第一塗装膜が形成される面と前記第一塗装膜との間に、防錆剤を配置したことを特徴とする請求項7から10のうちいずれか1項に記載したスタビライザ支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−335119(P2006−335119A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159291(P2005−159291)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】