説明

ステアリングシステム

車輌用のラックアンドピニオン式ステアリングギアはハウジング(2)と、ハウジング内で第1軸線(14)の周りに回転可能なピニオン(1)と、ハウジングに対して横変位可能なラック(7)と、ピニオン(1)とラック(7)との間に介挿され、それぞれに噛合し、第2軸線(9)の周りに回転可能な中間ギア(8)とを具える。第2軸線(9)は、作動機構によって、少なくとも1つの車輌のパラメータに応じて、ハウジングに対して横移動可能であり、これにより、その車輌のパラメータに応じて、ピニオンの角変位と、ラックの横変位との間の関係が変化する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌用のラックアンドピニオン式ステアリングギアに関するものであり、また特に、ラックゲインを動的に変化させ、更に、ステアリングホイールのオンセンタ位置と、通路に接する車輪のオンセンタ位置との間のステアリングオフセット角をも動的に変化させる手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者からのステアリングホイール角入力、及び車輌速度を通常含む検出したパラメータからの入力を受け取る重ね合わせ装置によって、補助的なステアリング入力が前車輪のステアリング角にされる重ね合わせのステアリングシステムに関心が向けられてきた。その結果、ラックアンドピニオン式ステアリングギアのタイロッドにおいて、運転者からのステアリングホイール角と、重ね合わせ装置からの入力との実際上の和である出力が行なわれる。
【0003】
米国特許3,831,701号(Pilon等)に記載のように、これらの非常に多数のシステムが、付加的な角変位をピニオンに与えるために、遊星歯車装置を使用している。PCT国際出願公開WO02/36410号(Bishop)に記載の装置のような他のシステムでは、ラックの移動方向の横方向にピニオンを実質的に移動させることにより、補助的なステアリング入力を達成する。こうして、車輪における増大したステアリング角出力が生成される。これは、実質的に運転者によるステアリングホイール角入力が0の場合においても、生成される。この増大した出力は、横風や路面の中高によって引き起こされる車輌のヨー角、及び横位置への外乱の影響を打ち消すために使用することができる。通常これらのシステムは又、ラックアンドピニオン式ステアリングシステムの「ラックゲイン」を、車輌の速度のような検出した他のパラメータに応じて変化させることができる。
【0004】
自動車産業において、ラックアンドピニオン式ステアリングギアの「ラックゲイン」は、入力シャフトの単位角変位当たりのラックの瞬間直線変位として定義される。ラックゲインは、通常、「mm/rev」(1回転当りの変位)の単位で表されるが、瞬間的に測定される量であることを理解することが重要である。一定のラックゲインを持つラックは、「一定比ラック」として知られている。このような一定比ラックは、ラックの歯のピッチが一定である。しかし、自動車産業において使用されるラックのかなりの部分は、可変歯ピッチを有し、「可変比ラック」と呼ばれている。後者の場合の、これに対応するラックアンドピニオン装置は、オンセンタ位置からの入力シャフトの角度に応じて、測定される可変のラックゲインを有する。
【0005】
従って、上述の双方の重ね合わせのシステムは、入力シャフト角(及び、そのための運転者のステアリングホイール角入力)から独立して、タイロッドにおけるラックの変位出力(及び、そのためのステアリング可能な車輪のステアリング角)を変化させることができ、又当然、ラックアンドピニオン式システムのラックゲインを変化させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、米国特許3,831,701号に記載のような遊星歯車装置は、本来的に複雑な機構である。例えば、(BMW E60の任意選択機能である)ZFLS AFSシステムに組み込まれるような装置のほとんどが、6個から8個の追加の遊星歯車、及び1個の追加のリングギアをステアリングシステム「駆動ギア列」の中に使用している。このように多数の歯の噛合するギアを介するステアリングの回転の伝動によって、このようなステアリングギアシステムを高価にするだけでなく、摩擦を大きくし、ギアのバックラッシュを大きくしている。
【0007】
更に、PCT国際出願WO02/36410号に記載のような、ピニオンの実質的な横変位に基づく上述のその他の装置では、ラックアンドピニオン式ステアリングシステムにおけるバックラッシュを防ぐため、ピニオンを非常に正確に長手方向、又は回転方向に軸支する必要がある。従って、このような軸支のシステムは、複雑で高価になり易い。又、ピニオンの回転軸線が、通常のステアリング操作中に、ステアリングギアのハウジング内で横に移動するので、入力シャフトからのステアリングの回転入力を横に移動可能なピニオンに伝えて、更に、ハウジングと回転入力を与える入力シャフトとの間のシールを維持する手段を設ける必要がある。或る装置では、単に、入力シャフトを単に、横移動させ、効果的にピニオンに「従動」させる。しかし、これは、この並進運動の相互面をシールするだけでなく、パワーステアリング弁への液圧連結(液圧式パワーアシストステアリングギアの場合)又はトルクセンサへの電気的接続(液圧式パワーアシストステアリングギアの場合)の実装においても実質的に複雑になる。より好適な他の装置では、入力シャフトの軸線をステアリングギアのハウジング内に固定し、それによって、前述のシーリングと実装の問題を避け、そして、オルダムカップリング又は遊星歯車装置の部分によって、ステアリングの回転入力をピニオンに伝達する。しかし、これらの装置も又、上述の軸支装置が複雑になるだけでなく、潜在的に、ギア噛合の摩擦、又はバックラッシュ、もしくはこれらの両方を起こし易い。
【0008】
米国特許3,908,479号(MacDuff)は、ピニオンとラックとの間に介挿され、それぞれと噛合する中間ギアを有するラックアンドピニオン式ステアリングギアを記載している。中間ギア内に固定された軸線は、リンク装置、又はピン、及びスロット装置によって横方向に拘束され、ピニオン及びそのための中間ギアの回転時に、この軸線の横変位(ラックが移動する方向の変位)が実質的に生じない。この軸線は中間ギアの中心軸線に対して偏心して設置され、それによって、中間ギアが回転すると、中間ギアの中心軸線は横に移動して、ラックの変位を有効に「加算」し、「減算」し、そのため、可変的なラックゲインを発生する。しかし、この関係は、リンク装置、又はピンとスロットの装置の形状及び中間ギアの直径によって完全に決定され、このため、この関係は入力シャフトにおいて加えられるステアリング角入力に応じて変動するラックゲインによって特徴付けられる「固定された関係」である。実際上、この固定された関係は、中間ギアが360度回転する度に繰り返され、この理由のために、ピッチ円の円周の長さが、ラックのロック・ツゥ・ロックの全移動距離(左右方向の限界可動距離)にほとんど等しくなるように、中間ギアを配置する。実際の問題として、これは、中間ギアのピッチ円直径が通常、ピニオンのピッチ円直径より3〜4倍大きいことを意味する。
【0009】
米国特許6,467,365号(Jorg等)は又、ピニオンとラックとの間に介挿され、それぞれと噛合する中間ギアを有するラックアンドピニオン式ステアリングギアを記載している。この事例では、中間ギアは、ステアリングギアのハウジング内で中心軸線に軸支され、このため、今回も、ハウジングに対して横移動できない。この従来技術の特許の場合においては、中間ギアには、第1に、ピニオンの回転軸線と、ラックの長手方向軸線との間の距離(以降は、ボックス‐センタ距離とする)を伸ばす効果と、第2に、ステアリングギアの入力シャフト(及びそのためにピニオン)に加わる所定のステアリング角入力に対するラックの変位の方向を有効に逆転する効果がある。特に、前部シャシ部へのラックアンドピニオン式ステアリングギアの実装に当って、この装置が有利であることは、この従来技術の特許において論じられている。中間ギアが、中心軸線でステアリングギアのハウジング内で軸支されているから、ピニオンの角変位とラックの横変位との関係を変化させることができない。このため、この装置は、ラックが一定比であれば、固定ラックゲインを発生する。
【0010】
ドイツ特許3327979号(Novak等)は又、ピニオンとラックとの間に介挿し、それぞれと噛合する中間ギアを有するラックアンドピニオン式ステアリングギアを記載している。この事例では、中間ギアは、ステアリングギアのハウジング内で、中心軸線から偏心して軸支され、このため、中間ギアが周りに回転するこの軸線は、ハウジングに対して横移動することができない。この従来技術の特許の場合においては、中間ギアは、同様に偏心して軸支されるピニオンと噛合する構成とし、これによってステアリングギアの可変ラックゲインを生成する。前述の米国特許3,908,479号のステアリングギアと同様に、この関係は、ギア形状によって完全に決まり、このため、この関係は入力シャフトにおいて加えられるステアリング角入力に応じて変動するラックゲインによって特徴付けられる「固定された関係」である。又、今回もこの固定された関係は、中間ギアが360度回転する度に繰り返され、そして、同様の理由から、中間ギアは、ピッチ円円周がピニオンのピッチ円円周の何倍も大きいような構成とする必要がある。
【0011】
本発明の目的は、従来技術の問題点の少なくとも若干を改善する車両用のステアリングギアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、車輌用のラックアンドピニオン式ステアリングギアから成り、このラックアンドピニオン式ステアリングギアは、ハウジングと、ハウジング内で第1軸線の周りに回転可能なピニオンと、ハウジングに対して横変位可能なラックと、ピニオンとラックとの間に配置され、それぞれと噛合し、第2軸線の周りに回転可能な中間ギアとを具え、第2軸線が、作動機構によって、少なくとも1つの車輌のパラメータに応じて、ハウジングに対して横移動可能であり、これによって、この車輌のパラメータに応じて、ピニオンの角変位と、ラックの横変位との間の関係を変化させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第2軸線が中間ギアの中心軸線に対して偏心しているのが好適である。代案として、第2軸線が中間ギアの中心軸線でもあるようにする。
【0014】
好適には、作動機構がリンク装置を具え、このリンク装置に作用する軸線方向荷重が所定の値より小さい時には、このリンク装置は、第2軸線と第3軸線との間に一定距離を維持する。
【0015】
好適には、第3軸線が、クランクに対して固定され、そしてこのクランクの回転軸線からオフセットしており、そのため、このクランクは、このクランクが回転すると第3軸線を円弧状に並進運動させ、作動機構を移動させる。
【0016】
クランクの回転軸線が、ハウジングに対して固定されているのが好適である。
【0017】
サーボモータによってクランクの回転を行うのが好適である。
【0018】
リンク装置は、このリンク装置に作用する軸線方向荷重が所定の値を超えた時、第2軸線と第3軸線との間の距離を短縮し、又は伸長させる過負荷機構を組み込んでいるのが好適である。
【0019】
リンク装置をクランクに連結するジャーナルベアリング、ニードルローラベアリング、又はボールベアリングの回転中心によって、第3軸線が画定されているのが好適である。
【0020】
中間ギアをリンク装置に連結するジャーナルベアリング、ニードルローラベアリング、又はボールベアリングの回転中心によって、第2軸線が画定されているのが好適である。
【0021】
好適には、前記関係が、ラックゲインを変動させ、前記パラメータが、ステアリングホイール角又は車輌速度である。
【0022】
前記関係が、ラックの更なる横変位を発生させると共に、前記パラメータが、横風又は路面の中高に起因して車輌に加わる側方荷重の値であるのが好適である。
【0023】
好適には、中間ギアが、中間ギアの中心軸線の周りに相対的に角変位可能な2個のサブギアを有し、この2個のサブギアは、中間ギアとピニオンとの間、及び中間ギアと、ラックとの間の噛合のバックラッシを最小にするために、ばねによる予荷重機構によって押圧される。
【実施例1】
【0024】
図1から6は、本発明の第1実施例によるラックアンドピニオン式ステアリングギアを示す。このステアリングギアは、上部ベアリング3、および下部ベアリング4によって軸支することにより、ハウジング2内に、軸線14の周りに回転可能なピニオン1を具える。入力シャフト5は、運転者から入力されたステアリングホイール角を与え、(動力の援助を受けない)手動ラックアンドピニオン式ステアリングギアにおいては、入力シャフト5はピニオン1に連結されているか、又はピニオン1と一体になっている。液圧動力の援助を受けるステアリング(HPAS)、又は電力の援助を受けるステアリング(EPAS)においては、通常、入力シャフト5は、トーションバーによってピニオン1に連結されており、運転者によって入力シャフト5に加えられた入力トルクに応じて、これら2個の構成部分(入力シャフト5、及びピニオン1)の間に、僅かな相対回転が生じる。この相対回転は、(HPASシステムにおいては)回転弁によって、(EPASシステムにおいては点線で示す)トルクセンサ6によって検出され、回転弁、又はトルクセンサ6は、ラックアンドピニオン式ステアリングギアに与えられる動力の援助を制御する。本特許明細書においては、動力の援助を行なう方法には関連しない。そのため、説明を明確にするために、ピニオン1と入力シャフト5とは、手動のラックアンドピニオン式ステアリングギアの場合のように、直接、連結されているように示す。
【0025】
このラックアンドピニオン式ステアリングギアは又、1個、又はそれ以上の軸線方向のジャーナルベアリング(図示しない)を介して、ラックの長手方向軸線15の方向に、ハウジング2内で横変位が可能なラック7を具える。中間ギア8が、ラック7とピニオン1との間に介挿され、これ等の両方に同時に噛合する。中間ギア8は、リンク装置11のシャフト10に軸支する結果として、軸線9の周りに回転可能である。この軸支は、本発明のこの実施例においては、プレーンベアリングとして示されている。しかしながら、特定の応用例においては、シャフト10と中間ギア8との間の回転相互面に、好適にはニードルローラベアリング、又はボールベアリングを採用することによって摩擦を低減することができる。
【0026】
(運転者から見て)入力シャフト5、従ってピニオン1の反時計回りの角変位12によって、中間ギア8を時計周りに回転させ、従って、ラック7の横変位13を行わせる。角変位12と横変位13との間のこの関係は、ピニオン1が直接ラック7と噛合する従来のラックアンドピニオン式ステアリングギアの場合の関係と反対である。また、ピニオン1の軸線14とラック7の長手方向軸線15との間のオフセット距離(業界の慣習によれば「ボックス‐センタ距離」と呼ばれている)は、介挿された中間ギア8の組み入れによって、従来のラックアンドピニオン式ステアリングギアでの距離より明らかに長い。しかし、リンク装置11のシャフト10がハウジング2に対して横方向に動かず、軸線9が中間ギア8の中心軸線でもあるとすれば、中間ギア8を組み入れることで、このステアリングギアと同一のピニオン1が、同一のラック7と噛合する対応する従来のラックアンドピニオン式ステアリングギアのラックゲインに比べて、このラックアンドピニオン式ステアリングギアのラックゲインは実際上、変わらない。ラック7の横変位13が発生する方向は全て反対である。中間ギア8の介挿によって得られるこの運動が逆であること、及び上述の長いボックス‐センタ距離は、従来技術に関して前述したように、現代の車の多くのステアリング、及びシャーシ配置にとって有利である。
【0027】
リンク装置11は、シャフト10から離れた端部に、スリーブ16を具え、このスリーブ16は、軸線18の周りに、クランク17に対して軸支されている。軸線18は、クランク17の回転軸線19に対して、偏心して設置され、この回転軸線19は、ギアボックス21の出力シャフト20に固着されている。ギアボックス21は、取付けフランジ26を介して、このラックアンドピニオン式ステアリングギアのハウジング2に取り付けられており、ギアボックス21の入力シャフト(図示しない)は、サーボコントローラ23の制御下のサーボモータ22によって駆動される。出力シャフト20、及びクランク17の回転軸線19の周りの回転は、サーボモータ22の回転に対して、著しく減速されている。例えば、30:1のギア比が採用されると、サーボモータ22の30度の回転はクランク17の回転軸線19の周りの回転の1度に相当する。このギア装置は、リンク装置11により出力シャフト20に加わるトルクが、サーボモータ22を「逆駆動」するように作用することがないように配置されている。クランク17とスリーブ16との間の軸支は、本発明のこの実施例においては、プレーンベアリングとして示されていることに留意する必要がある。しかしながら、特定の応用例においては、これらの構成部材間の回転相互面において、好適にはニードルローラベアリング、又はボールベアリングを採用することによって摩擦を選択的に低減させることができる。
【0028】
リンク装置11は又、二重ばね組立体24の形の過負荷機構を組み込んでいる。この種類の過負荷機構に対する従来の工業的慣習によると、ばね組立体24は、所定の最大荷重L(通常は2.5kN)まで、内部で、予荷重を受ける。このようにして、リンク装置11は、所定の最大荷重Lより小さいリンク装置内の軸線方向荷重を提供する軸線方向の剛性を維持する。このため、このような状況下で、リンク装置11は、シャフト10の軸線9とスリーブ16の軸線18との間の距離を一定に維持する。サーボモータ22の作用を受けてクランク17の回転によって、スリーブ16の軸線18が円弧状に並進運動をし、従って、リンク装置11が実質的に横変位する。これにより次に、軸線9の周りに、中間ギア8の回転を軸支するシャフト10を横移動させる。
【0029】
サーボコントローラ23は、車輌に関する少なくとも1つのパラメータ25を入力として与えられ、この少なくとも1つのパラメータ25の値を処理し、サーボモータ22の角位置の決定、即ち閉ループ制御を行ない、そして、ハウジング2に対して、中間ギア8の軸線9を横移動させる。
【0030】
本明細書においては、軸線9のこの横移動を発生させるための作動機構は、サーボモータ22、ギアボックス21、スリーブ16、クランク17、及びリンク装置11(及び或るものは図示し、或るものは図示しないその他の種々のサブコンポーネント)を具える。しかし、特定の応用例によっては、多くの他の種類の作動機構が同じように使用され得ることを理解すべきである。例えば、サーボモータ22の回転を、実質的にリンク装置11の横変位に変換するためのギアボックス21とクランク17とを使用する代わりに、リニアリサーキュレーティングボールナット装置によって、サーボモータ22の回転をリンク装置11の横変位に、直接変換することができる。代わりに、電動液圧式サーボバルブ(例えばMoogにより製造されている)によって、流れを制御する液圧式シリンダ/ピストン装置によって、リンク装置11の横変位を発生させることができる。HPASシステムにおいては、メインHPAS液圧回路におけるこの電動液圧式サーボバルブを前述の回転弁の上流、又は下流に設置することによって、この液圧式サーボバルブを役立たせ、液圧式ステアリングポンプからの流れを使用することができる。
【0031】
車輌のステアリング用の車輪が歩道縁に当ったとき、又は道路のくぼみを横切った時に通常発生する「ステアリング衝撃状態」においては、(通常は25kNまでの)非常に高い横荷重が、ラック7に長手方向軸線15の方向に加わる。そしてこれは、作動機構のリンク装置11を通じて非常に高い軸線方向荷重を引き起こす可能性があり、この荷重は、この機構におけるある点で分散されないと、ギアボックス21内のギアの歯をはぎ取り、又は出力シャフト20を曲げたり、又はこれらの双方を引き起こす。例えば、軸線9が中間ギア8の中心軸線に対応する図1から6に示す実施例に関しては、ステアリングシステムのタイロッド(図示しない)を介して、ラック7に加わる25kNの横荷重は、リンク装置11での約50kNの軸線方向荷重(すなわちラックへの荷重の2倍)となる。この荷重が、前述の所定の最大荷重L(前述したように通常は2.5kN)より大きいので、ばね組立体24の予荷重を超え、シャフト10の軸線9とスリーブ16の軸線18との間の距離が短くなり、又は長くなり、リンク装置11は軸線方向に歪む。これにより、上述のステアリング衝撃状況において、ラック7に加わる横荷重に関係なく、リンク装置11の軸線方向荷重が+Lから−Lの範囲(即ち、圧縮範囲の荷重Lから、引っ張り範囲の荷重L)までに制限される。+Lから−Lの範囲を超えた過剰荷重は、中間ギア8の軸線9が「フルスケール位置」まで横方向にシフトすることにより分散される。「フルスケール位置」とは、中間ギア8の歯先円直径の横周縁26がハウジング2の内部シュー部27に接触する位置である。これは、ラック7に対する前述の非常に高い横方向の衝撃荷重を中間ギア8を介してハウジング2に直接、分散させる効果がある。中間ギア8の比較的大きいピッチ円直径(通常は40mm)によって、中間ギア8の噛合する歯28とラック7の歯29との間の高い噛み合い率が保証され、そのため、ステアリング衝撃状況において、これらのいずれの歯も可塑的に変形したり、破損したりしないことが保証される。また同様に中間ギア8の比較的大きい歯先円直径によって、この歯先円直径の横周縁26と、ハウジング2の内部シュー部27との間の大きい接触面が保証される。
【0032】
ピニオン1の軸線14と、ラック7の長手方向軸線15との間のボックス‐センタ距離は、このラックアンドピニオン式ステアリングギアの組立時に微調整される。これは、ピニオン1の軸線14と、中間ギア8の軸線9とを結ぶ直線がラック7の長手方向軸線15と垂直になるオンセンタ位置に、ラック7と中間ギア8とを位置させることによって達成される。このラックアンドピニオン式ステアリングギアの種々の構成部品のこのオンセンタ位置を図7に示す。このオンセンタ位置において、ラック7とピニオン1との間に、中間ギア8を「挟む」ために、ヨークナット50を「締める」ことにより、ラックヨーク30を(図7において)上方に調整する。次に、ヨークナット50が所定の角度だけ「緩められ」、ピニオン1と、ラック7との間に少量のボックス‐センタクリアランスが(通常は100‐150μm)確保される。このような調整方法は、従来のラックアンドピニオン式ステアリングギアに対して、今日、行なわれているものと同様である。従来の構成では、ヨーク30は又、通常、ピニオン1の軸線14に向け、ラック7の長手方向軸線15に予荷重(通常は250〜500Nの予荷重)を加えるためのヨークばねを具える。ラックヨークばねを使用するこのラックヨークの予荷重装置が、本発明のこの実施例によるラックアンドピニオン式ステアリングギアにおいて使用される場合、この装置は、中間ギア8の歯28がラック7の歯29に噛合するように、また中間ギア8の歯28がピニオン1の歯31に噛合するように予荷重をかける効果がある。
【0033】
従来のラックヨークばねを採用したこのような装置は、本発明により用いることができるが、このことは好ましくはない。この理由は、作動機構の作用によって、中間ギア8の軸線9がオンセンタ位置から横移動することにより、ピニオン1の軸線14を中間ギア8の軸線9に結ぶ直線が、ラック7の長手方向軸線15に対して、も早垂直でなくなるからである。これによって、図8に示すように、「作動」ボックスセンタクリアランスを、このラックアンドピニオン式ステアリングギアの組立時のオンセンタ位置において、予め設定したクリアランス(通常は100〜150μm)より、かなり大きな値にまで増大する。
【0034】
この理由のため、本発明によれば、好適には中間ギア8が2個のサブギア8a,8bを具え、サブギア8aの歯28aと、サブギア8bの歯28bとが、角度的には別個であり、中間ギア8の歯28と、ピニオン1の歯31との間、及び中間ギア8の歯28と、ラック7の歯29との間のバックラッシを最小にするように、サブギア8aと、サブギア8bとは、中心軸線の周りに(本発明の第1実施態様の場合は軸線9の周りに)相対的に角変位可能で、ばね32と33とによって回転するように、押圧されている。このばねの予荷重機構は、中間ギア8の軸線9が横方向に移動した位置に関係なく、リンク装置11が耐えることができる少なくとも前述した所定の最大荷重L(通常は2.5kN)まではバックラッシの無い噛合を達成するのに十分な予め設定したばね荷重を有するように配置する。
【0035】
多くの応用例において、本発明により、中間ギア8内にこのようなばねの予荷重機構を使用することによって、ラックヨークばねの必要を除去している。しかし、本発明の特定のあまり好ましくない実施例においては、中間ギア8のばねの予荷重機構と、ヨーク30におけるラックヨークばねの両方が組み込まれている(図示しない)。
【0036】
本実施例においては、2個のばね32および33が、ばねの予荷重機構に関して示されているが、特定のステアリングギアへの応用の実装要件によって、任意の個数のばねが組み込まれ得ることに留意する必要がある。また、本実施例においては、中間ギア8およびピニオン1はヘリカルギアとして示している。しかし、特定の応用例においては、コスト削減の理由から、これらのギアの1方(又は極端な例においては両方)を、スパーギアとして設計することができる。ピニオン1の歯31が中間ギア8の歯26に噛合する領域と中間ギア8の歯26がラック7の歯29に噛合する領域とにおいては、十分な噛み合い率、及びそれによる噛合の平滑度と、上述の衝撃荷重の存在する場合の歯の強度とが基本的なトレードオフ、即ち妥協点となる。
【0037】
本発明によるラックアンドピニオン式ステアリングシステムによって、運転者により与えられるステアリングホイールの入力と、作動機構により与えられる入力との重ね合わせが可能になり、この作動機構は本実施例の場合はリンク装置11を具える。サーボコントローラ23によって、少なくとも1つの車輌のパラメータ25に応じて、サーボモータ22を制御する構成にすることにより、ピニオン1の角変位12(及び、そのための入力シャフト5に加えられる運転者のステアリングホイール角の入力)から独立して、ラック7の横変位13(及び、そのためのステアリング可能な車輪のステアリング角)を変化させることができる。そして、これにより、ラックゲインの変化及び、ステアリングホイールのオンセンタ位置と車輪のオンセンタ位置との間のステアリングオフセット角の変化を独立に行なうことができる。
【0038】
本発明の本実施例によって、ステアリングに関するこれらの2つのパラメータが変わりうる様子を図9を参照してグラフで説明する。軸Aは、ピニオンの角変位を、軸Xはラックの横変位を表す。図9におけるプロット線は、軸線9が中間ギア8の中心軸線である図7、及び8に示す本発明の実施例に対応する。また、モータコントローラ23は、車輌速度25a、及びステアリングホイール角25bを具える少なくとも2つの車輌のパラメータ25によって制御される。以降の記述においては、ラック7は、一定比ラックと仮定する。
【0039】
ライン34は、このライン34の勾配35に対応する通常の一定ラックゲインの関係を示し、この関係は、軸線9が(図7に示すような)オンセンタ位置にあり、ハウジング2に対して、横に移動していない場合に達成される。比較的高いラックゲイン(ライン34の大きな勾配)がステアリングギアのオンセンタ領域において利用されるこのような関係は、通常、低い車輌速度において、操作性を上げ、ステアリングホイールの回転を減らすために使用される。
【0040】
次に、車輌速度25aが上昇すると、サーボモータコントローラ23は、サーボモータ22がステアリングホイール角25bに応じて、軸線9を動かすようにサーボモータに指令する。オンセンタ領域における入力シャフト5(及びそのためのピニオン1)の反時計周りの角変位12に対しては、ギアボックス21の出力シャフト20が、軸線9に右方向の横変位37を与える時計周りの角変位36を行なう(図7参照)。軸線9のこの横移動は、通常の場合(即ち軸線9が横に移動しない場合)の、入力シャフト5の反時計回りの角変位12に対するラック7の左方向の横変位13から減算される。そのため、結果的なラック7の横変位13は、オンセンタ領域における入力シャフト5の所定の角変位12に対して減少しており、これにより、オンセンタ領域における低い値のラックゲイン(勾配38)を発生するようにステアリングギアを調整し、それによって、入力シャフト5の(従って、ピニオン1の)角変位12と、ラック7の横変位13との間の新たな非線形の関係(ライン39)を発生させる。ライン39によって示すこの新たな関係は、オンセンタ付近で高速自動車道を走る車輌のヨーレート応答を減少させ、それによって「ビクツキ」を減少させるために、早い車輌速度において用いられる。
【0041】
しかしながら、サーボモータコントローラ23は、サーボモータ22が、入力シャフト5(及び、そのためのピニオン1)の角変位12に関係なく軸線9を横に動かすようにサーボモータ22に指令することも可能である。考えられる3番目の車輌のパラメータである、横風、又は道路の中高のため車輌に加わる側方荷重25cの値をこの場合のサーボコントローラ23への更なる入力として用いることができる。この状況においては、ステアリングホイールのオンセンタ位置と、車輪のオンセンタ位置との間のステアリングオフセット角40は、車輌に加わる側方向荷重25cに応じて、変化し得る。この側方向荷重25cは、運転者によるステアリング角入力によるものではない任意の瞬間のヨーレートの増分値を計算することによって、測定する(又その他の演算方法も可能である)。
【0042】
結果として、ライン34、及び39は、所要のステアリングオフセット角40だけ右(又は左)にずれて、それぞれライン41、及び42に対応する新たな関係になる。この関係において、ステアリングオフセット角40を算入した効果は、ラック7の横変位(及び、そのための車輌のステアリング可能な車輪の角変位)が、ピニオン1の角変位に関係なく(及びそのための入力シャフト5での運転者によるステアリングホイールの入力に関係なく)発生することである。サーボコントローラ23における適切なソフトウェアの選択により、車輌が上述の側方向荷重の外乱の影響下にある時に、車輌のヨー角、及び横位置への外乱を打ち消す(又は少なくとも弱める)ように、この装置を設計することができる。これは、運転者に関する限り、積極的にそして、実質的にユーザが気付くことなく達成することができる。
【0043】
入力シャフト5(及び、そのためのピニオン1)の角変位と、ラック7の横変位13との間の線形、及び非線形の関係の任意の組み合わせ、従って、ラックゲインの変化、及びステアリングオフセット角の任意の組み合わせが、本発明の本実施例によるステアリングホイール角、車輌速度、及び車輌への側方荷重の3つの車輌のパラメータに応じて生成される。本実施例の場合においては、別々のライン34,39,41,及び42で表した関係によって、これらの関係を例示する。しかし、ラックゲイン、及びステアリングオフセット角は、ライン34,39,41,及び42によって示される一定のグラフの関係によって表されていると言うよりはむしろ、実際には、単に「瞬間的な現象」であることを理解することが重要である。実際上、入力シャフト5(及び、従ってピニオン1)の角変位12と、ラック7の横変位13との間の関係の有効な範囲は、軸線9の可能な横変位の最大値によって限定される。
【0044】
軸線9の横変位が作動機構によって、積極的に、すなわち(リアルタイムに動的に)加えられることをも理解することが重要である。プログラミングされた車輌動力学アルゴリズムによって、この横変位に対する指令信号の値がサーボコントローラ23に出力され、実際には本発明明細書で述べた3つのパラメータよりも多くの車輌パラメータが入力として使用することができる。例えば、ESP(Electronic Stability Programs)を採用する最新の車輌においては、車輌の横加速度、ヨーレート、ロール角、長手方向の加速度、及び横滑り等が又、シャーシの種々の部分のセンサによって測定される。
【実施例2】
【0045】
図10は、シャフト10及び中間ギア8が軸支される軸線に相当する軸線9を、中間ギア8の中心軸線43に対して、距離44だけ偏心させる本発明の第2の実施例を示す。この効果は、軸線9が横移動しない場合でも、図11のライン45に示される、ピニオン1の角変位に応ずる非一定ゲインの関係に、図9のライン34に示される標準の一定ゲインの関係を変換することである。本発明の第1の実施例における場合と他のすべてのパラメータが同様で、軸線9が同様の車輌のパラメータに応じて同様に横移動をすると、ライン34がライン45に、ライン39がライン46に、ライン41がライン47に、ライン42がライン48になる。ピニオンの角変位に応じて、ラックゲインが「固定された」変動(即ちライン45として示す関係)を達成する概念は、すでに米国特許3,908,479号において述べられており、本明細書においては更には述べない。概ね、低い車輌速度において採用されるゲインの関係であって、サーボコントローラ23の制御下にあるサーボモータ22によって駆動される軸線9の横移動がこの低い速度の頂点の一層速い車輌速度において行われる(例えばライン45のような)非一定ゲインの関係を生成するために使用することができる。
【0046】
ピニオンの角変位に応じたラックゲインのこのような「固定された」変動を達成するもう1つの方法は、可変比ラック(即ち、一定でない歯ピッチのラック)を使用することである。このラックは、最近の20年以上にわたりステアリングギアの技術分野において周知の概念によるものである。この可変比ラックは、ヘリカル、又はスパーギアの中間ギア8と噛合するように設計することができる。しかし、この概念によってラックゲインの大きな変動を達成する範囲は、中間ギア8の比較的大きなピッチ円直径によって制限される。しかしながら、少なくとも原則的には、本発明によるステアリングギアにおける可変比ラックは、図11に示すのと同様の曲線の組み合わせを生成するのに使用される可能性がある。
【0047】
本発明は、本明細書中の種々の実施例において説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく実施例が改変され得ることに留意する必要がある。
【0048】
本発明明細書において用いられる「具える」という語は、「含む」、又は「有する」の包括的な意味で使用したものであり、「のみから成る」のように、そのもののみを有し、その他のものを排除する意味で使用したものでない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】作動機構の正面を示すためにハウジングカバーが取り外された状態の、本発明の第1実施例によるステアリングギアの斜視図を示す。
【図2】作動機構を更に示すためにハウジングの一部が取り外された状態の、図1に示すステアリングギアの同様の斜視図である。
【図3】図1のステアリングギアの横断面図である。
【図4】ハウジングが取り外された状態の図1に示すステアリングギアの斜視図である。
【図5】ハウジングが取り外された状態の図1のステアリングギアの平面図である。
【図6】ハウジングが取り外された状態の図1のステアリングギアの端面図である。
【図7】ハウジングが取り外され、中間ギア「オンセンタ」位置に示されている状態の、ラックの長手方向軸線に沿う図1のステアリングギアの横断面図である。
【図8】ハウジングが取り外され、中間ギアが「オンセンタ」位置から移動して示されている状態の、ラックの長手方向軸線に沿う図1のステアリングギアの横断面図である。
【図9】図1に示すステアリングギアに対する、ピニオンの角変位とラックの横変位との間に起こり得る関係を示す。
【図10】本発明の第2実施例による、ハウジングが取り外され、中間ギアが「オンセンタ」位置に示されている状態の、ラックの長手方向軸線に沿うステアリングギアの横断面図である。
【図11】図10に示すステアリングギアに対する、ピニオンの角変位とラックの横変位との間の起こり得る関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、このハウジング内で第1軸線の周りに回転可能なピニオンと、前記ハウジングに対して横変位可能なラックと、前記ピニオンとラックとの間に介挿され、これ等ピニオンとラックとに噛合し、第2軸線の周りに回転可能な中間ギアとを具える車輌用のラックアンドピニオン式ステアリングギアにおいて、前記第2軸線は、作動機構によって、少なくとも1つの車輌のパラメータに応じて、前記ハウジングに対して横移動可能であり、これにより、前記車輌のパラメータに応じて、前記ピニオンの角変位と、前記ラックの横変位との間の関係を変化させることを特徴とする車輌用ラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項2】
前記第2軸線が、前記中間ギアの中心軸線に対して、偏心している請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項3】
前記第2軸線が、前記中間ギアの中心軸線でもある請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項4】
前記作動機構がリンク装置を具え、このリンク装置に作用する軸線方向荷重が所定の値より小さい時、前記リンク装置は、前記第2軸線と第3軸線との間に一定距離を維持する請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項5】
前記第3軸線が、クランクに対して固定され、前記クランクの回転軸線からオフセットしており、これにより、前記クランクは、このクランクが回転すると、前記第3軸線を円弧状に並進運動させ、作動機構を移動させる請求項4に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項6】
前記クランクの前記回転軸線が、前記ハウジングに対して固定されている請求項5に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項7】
サーボモータによって、前記クランクの回転を行う請求項5に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項8】
前記リンク装置に作用する軸線方向荷重が所定の値を超えた時、前記第2軸線と前記第3軸線との間の距離を短縮し、又は伸長させる過負荷機構を前記リンク装置が組み込んでいる請求項4に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項9】
前記リンク装置を前記クランクに連結するジャーナルベアリング、ニードルローラベアリング、又はボールベアリングの回転中心によって、前記第3軸線が画定されている請求項4に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項10】
前記中間ギアを前記リンク装置に連結するジャーナルベアリング、ニードルローラベアリング、又はボールベアリングの回転中心によって、前記第2軸線が画定されている請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項11】
前記関係が、ラックゲインを変化させ、前記パラメータが、ステアリングホイール角、又は車輌速度である請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項12】
前記関係が、ラックの付加的な横変位を発生させ、前記パラメータが、横風又は路面の中高により車輌に加わる側方荷重の値である請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。
【請求項13】
前記中間ギアはこの中間ギアの中心軸線の周りに相対的に角変位可能な2個のサブギアを具え、これ等2個のサブギアは前記中間ギアと前記ピニオンとの間、及び前記中間ギアと前記ラックとの間の噛合のバックラッシを最小化するよう、ばねによる予荷重機構によって、押圧される請求項1に記載のラックアンドピニオン式ステアリングギア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−513001(P2007−513001A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541749(P2006−541749)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001681
【国際公開番号】WO2005/054033
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500054732)ビショップ イノヴェーション リミテッド (14)
【Fターム(参考)】