説明

ステージ制御装置及びその方法、ステージ装置並びに露光装置

【課題】ウエハ表面の凹凸やパターン段差が大きかった場合でもステージが十分に追従できるようなステージ制御を実現する。
【解決手段】基板を載置して移動可能なステージを制御するステージ制御装置は、基板の表面の凹凸形状に対応する基板面位置情報に基づいてステージの鉛直方向に関する目標値を生成し、生成された目標値とステージの計測位置との偏差信号に基づいて該ステージの駆動指令信号を生成する。ここで、基板の表面の凹凸形状が有する空間周波数に基づいて目標周波数が決定され、駆動指令信号の生成には、上記偏差信号の目標周波数の成分を増幅して得られた信号が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体露光装置等に使用されるステージ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、一般的なステージ制御装置を用いた半導体露光装置における、ウエハの位置合わせおよび露光過程のシーケンスを表したフローチャートである。図7を用いて、半導体露光装置の露光動作における一般的なステージ制御を説明する。
【0003】
まず、半導体露光装置にウエハが搬入される(ステップS601)。XYステージ上にウエハが供給されると、露光を行なう前にマスクに対する当該ウエハの位置合わせ(位置合わせ処理)が行なわれる(ステップS602)。この位置合わせ処理においては、まず最初にウエハの概略の位置合わせがなされ、次いで、ウエハ上の各ショットの座標位置の計測が行なわれる。
【0004】
次に、位置合わせ処理で求められた各ショットの座標位置を基にしてマスクとウエハの位置合わせを行ない、マスクパターンをウエハに露光する(ステップS603)。またこの露光時には、ウエハの鉛直方向の変位をリアルタイムに検出し、マスクパターンが適切にウエハに転写されるようにフォーカス制御が行なわれる。ウエハの露光が終了すると、ウエハはXYステージから搬出される(ステップS604)。このように、一般的な半導体露光装置では、1つのウエハステージによって図7のシーケンスを繰り返している。
【0005】
これに対して、ウエハを載せて移動可能なステージを2つ備えたツインステージと呼ばれる構成を具備した半導体露光装置が存在する(特許文献1)。ツインステージを採用することにより、上述したシーケンスの一部を並行して処理することによってスループットを向上させることができる。例えば、一方のステージ(以下、計測ステージと呼ぶ)で位置合わせ処理とフォーカス計測を行ない、もう一方のステージ(以下、露光ステージと呼ぶ)で露光処理を行なうようにすれば、装置全体のウエハ処理効率を向上させることができる。ツインステージの場合、ステージ間のウエハ移動時間の分だけウエハ1枚の処理に要する時間は伸びるが、位置合わせ処理とフォーカス計測に要する時間はウエハ移動時間よりも一般には長いためである。また、上記ツインステージによれば、計測ステージで予め計測したウエハ表面の凹凸に関する情報を露光ステージにおける露光処理時に使用できるので、すぐれたフォーカス追従性能を得ることができる。より具体的には、計測ステージにおける計測で得られたウエハ表面の凹凸に関する情報に基づいてフォーカス目標値を作成し、このフォーカス目標値に基づいて露光ステージの光軸方向の位置を制御することにより、ウエハの凹凸に応じたフォーカス追従を実現する。
【特許文献1】特開2002−280283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ツインステージを有する一般的な露光装置では、フィードバック系を有するステージ装置において、制御目標値の一つとしてフォーカス目標値を使用するのみである。このため、ウエハ表面の凹凸やパターン段差が大きかった場合には、ステージ制御系がこれに追従できず、所望のフォーカス性能を得られない可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、ウエハ表面の凹凸やパターン段差が大きかった場合でもステージが十分に追従できるようなステージ制御を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の一態様によるステージ制御装置は
基板を載置して移動可能な第1ステージを制御するステージ制御装置であって、
前記基板の表面の凹凸形状に対応する基板面位置情報に基づいて前記第1ステージの鉛直方向に関する目標値を生成する目標値生成手段と、
前記生成手段で生成された目標値と前記第1ステージの計測位置との偏差信号に基づいて該第1ステージの駆動指令信号を生成する信号生成手段とを備え、
前記信号生成手段は、前記基板の表面の凹凸形状が有する空間周波数に基づいて決定された目標周波数を得て、前記偏差信号の該目標周波数の成分を増幅して得られた信号を用いて前記駆動指令信号を生成する。
【0009】
また、上記の目的を達成するための本発明の他の態様によるステージ制御方法は、
基板を載置して移動可能な第1ステージを制御するステージ制御方法であって、
前記基板の表面の凹凸形状に対応する基板面位置情報に基づいて前記第1ステージの鉛直方向に関する目標値を生成する目標値生成工程と、
前記生成工程で生成された目標値と前記第1ステージの計測位置との偏差信号に基づいて該第1ステージの駆動指令信号を生成する信号生成工程とを備え、
前記信号生成工程は、前記基板の表面の凹凸形状が有する空間周波数に基づいて決定された目標周波数を得て、前記偏差信号の該目標周波数の成分を増幅して得られた信号を用いて前記駆動指令信号を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウエハ表面の凹凸やパターン段差が大きかった場合でもステージが十分に追従できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る半導体露光装置の概略の構成を示す図である。図1に示されるように、本実施形態の露光装置はツインステージを有しており、1は計測ステージ系、2は露光ステージ系を示している。計測ステージ系1、露光ステージ系2を制御する参照番号101〜104、及び201〜203は、ステージ制御部の少なくとも一部を構成するものである。
【0013】
露光ステージ系2側には、ウエハを載置して移動するウエハステージ8(以下、露光ステージ8)とウエハを露光するための構成が設けられている。この構成において、光源3から出射された露光光はレチクルステージ5に搭載されたレチクル4に照射される。投影光学系6は、レチクル4を通過した露光光(レチクルパターン光)を所定の倍率で縮小し、露光ステージ8上に載置されたウエハ7に投影する。こうして、ウエハ7の感光面にはレチクルパターン像が投影されることになる。投光器9及び受光器10はフォーカスセンサを形成し、ウエハ7の感光面の位置を検出する。フォーカス計測部202はフォーカスセンサ9,10による検出信号からフォーカス計測値(ウエハ表面の鉛直座標値)を生成し、出力する。位置センサ11は露光ステージ8の位置(例えばX,Y,Z方向の位置)を計測する。位置計測部201は位置センサ11による検出信号から計測位置を生成し、出力する。なお、露光ステージ系2側にはレチクルとウエハの位置合わせをするためのアライメント機構が設けられるが、周知の構成であるので図示及び説明は省略する。
【0014】
計測ステージ系1側には、ウエハを載置して移動可能なウエハステージ(以下、計測ステージ)13と、投光器14と受光器15で構成され、ウエハ12の感光面の位置を検出するフォーカスセンサと、計測ステージ13の位置(例えばX,Y,Z方向の位置)を計測する位置センサ16とが設けられている。フォーカス計測部102はフォーカスセンサ14,15による検出信号からフォーカス計測値(ウエハ表面の鉛直座標値)を生成し、出力する。位置計測部101は位置センサ16による検出信号から計測位置を生成し、出力する。なお、計測ステージ系1には位置合わせやショットの座標位置の計測を行うためのアライメント機構も設けられているが、周知の構成なので説明及び図示を省略する。なお、露光ステージ8,計測ステージ13はステージ定盤17上に設置されており、移載機(不図示)により、ステージ8上の露光処理済のウエハが当該露光装置よりアンロードされ、計測ステージ13から露光ステージ8へ次に露光処理すべきウエハが移載される。
【0015】
次に、本実施形態の露光装置における制御構成の概要を説明する。計測ステージ1系では、計測ステージ制御ユニット103が、不図示のアライメント機構を用いてウエハ12の位置合わせや各ショットの座標位置の計測を行う。フォーカス分析器104は位置計測部101から出力される計測ステージ13のZ方向位置、フォーカス計測部102から出力されるウエハ12の感光面位置に基づいてウエハ12の感光面の凹凸に関する情報を取得し、フォーカス目標値を生成する(詳細は後述の説明から明らかとなる)。生成されたフォーカス目標値は、当該計測対象のウエハが露光ステージ8へ移載され、露光処理対象となった際に、露光ステージ制御ユニット203へ提供される。
【0016】
露光ステージ制御ユニット203は、フォーカス分析器104から取得したフォーカス目標値を利用してフォーカス方向の制御を行いながら、露光ステージ8に載置されているウエハに対して露光処理を実行する。
【0017】
次に、図1に示す露光装置によるフォーカス制御系の動作について説明する。図2は、図1に示した露光装置におけるステージ制御装置よりフォーカス制御系に関わる構成を抽出して示したブロック図である。図2に示されるように、計測ステージ制御ユニット103は、計測ステージの駆動信号を生成する計測ステージ制御器112、計測ステージ1の鉛直方向での目標位置を決める計測ステージ目標値生成器111を有する。また、露光ステージ制御ユニット203は、露光ステージの駆動信号を生成する露光ステージ制御器212、露光ステージの鉛直方向での目標位置を生成する露光ステージ目標値生成器211を有する。
【0018】
なお、本実施形態において、鉛直方向とは運動の6自由度のうちのZ軸、θx軸、θy軸の3自由度を指す。本実施形態ではこの3自由度すべてに本発明に係るステージ制御を適用しているが、θx軸、θy軸の精度があまり要求されない場合はシステムの簡略化のためにZ軸のみに適用する構成も取り得る。また、6自由度の残りの水平方向3軸であるX軸、Y軸、θz軸の制御系はよく知られたPID制御器で実現しているが、簡略化のために図示を省略する。以下、図2に示すフォーカス制御系の動作を説明する。
【0019】
計測ステージ13の鉛直方向位置は位置センサ16によって計測され、計測ステージ目標値生成器111が生成した目標位置に追従するような駆動指令値を計測ステージ制御器112が生成する。ウエハ13の表面の鉛直座標値はフォーカス計測部102よりフォーカス計測値として出力される。位置計測部101からの計測ステージ13の鉛直方向位置と、フォーカス計測部102からのフォーカス計測値の差分がウエハの凹凸を表す情報であり、本実施形態ではこれをウエハの平坦度と称する。
【0020】
フォーカス分析器104は、フォーカス計測部102と位置計測部101からの計測値に基づいて上述したウエハの平坦度を算出する。更に、フォーカス分析器104は、平坦度に基づいて「目標位置の周波数値」の算出を行なう。「目標位置の周波数値」は露光ステージ8が追従すべき目標値位置の周波数を表す。フォーカス分析器104は、ウエハの平坦度からウエハの凹凸の空間周波数のピークを求め、このピーク位置の空間周波数値に露光時の露光ステージ8の速度を乗じて、「目標位置の周波数値」を求める。こうして得られた「目標位置の周波数値」に基づいて、露光ステージ制御器212の係数が設定される。
【0021】
露光ステージ目標値生成器211は、フォーカス分析器104によって求められたウエハの平坦度と露光ステージ8のフォーカス計測値(フォーカス計測部202からの出力値)とから露光ステージの目標位置(鉛直方向位置)を生成する。露光ステージ8の鉛直方向位置は位置センサ11によって計測され、位置計測部201より出力される。露光ステージ制御器212は、位置計測部201から得られる露光ステージ8の鉛直方向位置に基づいて、露光ステージ目標値生成器211が生成した目標位置に追従するような駆動指令値を生成する。
【0022】
図3に露光ステージ制御器212の内部構成を示す。図3において214はPID制御器、213は補償器、215、216は演算器である。演算器215により、露光ステージ目標値生成器211によって生成された目標値(露光ステージの鉛直方向位置の目標値)と位置計測部201によって計測された露光ステージ8の鉛直方向計測位置との偏差信号が生成される。偏差信号はPID制御器214と補償器213に供給される。PID制御器214と補償器213からの信号は演算器216で加算され、露光ステージ駆動指令値となる。PID制御器214では周知のPID制御により偏差信号が処理される。また、補償器213の特性は(式1)の伝達関数で表される。
【0023】
【数1】

【0024】
ただし、Kcは予め定めたゲイン、ωはフォーカス分析器104によって求めた「目標位置の周波数値」に2πを乗じた角周波数値である。
【0025】
以上のように、補償器213では、「目標位置の周波数値」(角周波数値)と等しい周波数を有する正弦波内部モデル(式1)を有している。このような補償器213により、偏差信号の「目標位置の周波数値」の成分が増幅されて、PID処理された偏差信号に加算されることになる。
【0026】
次に、図4のフローチャートを参照して、フォーカス分析器104における「目標位置の周波数値」の算出手順を説明する。この手順は露光装置(ステージ制御部)における図示しないCPUのソフトウェアとして実現されるものとする。但し、この処理の一部或いは全てが専用のハードウエアによって実現されてもよい。
【0027】
ステップS301において、計測ステージの鉛直方向位置(位置計測部101より得られる)とフォーカス計測値(フォーカス計測部102より得られる)の差分からウエハの平坦度を求め、メモリ104aに格納する。ステップS302において、求めた平坦度から高周波ノイズ成分を除去する。なお、高周波ノイズ成分の除去にはローパスフィルタを利用できる。また、ノッチフィルタ(帯域除去フィルタ)により平坦度から計測ステージの機械的な共振周波数を含む周波数成分を除去してもよい。これにより、平坦度によって表される凹凸形状の空間周波数から機械的な共振周波数を含む周波数成分が除去される。ステップS303においてFFT演算を施し、演算結果が最大値となる空間周波数の値を求める。ステップS304において露光ステージ8の移動速度と、ステップS303で求めた空間周波数値とから、露光ステージ8が追従すべき周波数の値、すなわち「目標位置の周波数値」を求め、メモリ104aに格納する。当該計測対象のウエハが露光ステージ8に移載され、露光処理が行なわれる際には、メモリ104aに格納された「平坦度」と「目標位置の周波数値」を露光ステージ制御ユニット203(露光ステージ目標値生成器211)が読み出して、上記した制御が行われる。
【0028】
以上のような制御系を構成することにより、特に正弦波内部モデルの利用により、ウエハの凹凸の中で最も支配的な空間周波数の凹凸に追従可能なフォーカス制御系を実現することができる。
【0029】
なお、本実施形態の計測ステージ13と露光ステージ8は1つの定盤17上に構成したが、異なる定盤上に構成された別々のステージ構成としてもよい。また、ステージ制御器112,212や目標値生成器111,211はCPUがソフトウェアを実行することにより実現されてもよい。
【0030】
以上のように、第1実施形態によれば、露光ステージ制御器212はPID制御器214に補償器213を加えた構成であるため、PID制御系が予め存在する既存の装置においてそのフォーカス制御性能を簡単に向上させることができる。
【0031】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態による露光ステージ制御器212の構成を示す図である。第2実施形態では、露光ステージ制御器212の内部構成を図3に示す構成から図5に示す構成へ変更したものである。それ以外の構成は第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0032】
図5において、222は積分器、223は状態補償器、221は補償器である。すなわち状態フィードバックサーボ系としてよく知られた制御系に補償器221を付加した構成となっている。すなわち、露光ステージ目標値生成器211からの目標値と位置計測部201からのステージの鉛直方向位置との偏差信号が演算器215より状態フィードバックサーボ系の積分器222と補償器221に供給される。積分器222と状態補償器223はフィードバックサーボ系を構成し、積分器222と状態補償器223の出力は演算器224で合成される。一方、補償器221からの出力も演算器224で合成され、露光ステージの駆動指令値が生成される。ここで、補償器221の特性は(式2)の伝達関数で表される。
【0033】
【数2】

【0034】
ただし、Kc1とKc2は予め定めたゲイン、ω1とω2はフォーカス分析器104によって求めた周波数f1とf2に2πを乗じた値である。第2実施形態のフォーカス分析器104では、FFT演算の演算結果における2つのピークの空間周波数に対応することができる。なお、本実施形態では、ピーク値の大きいほうの周波数(より支配的な周波数)をf1とする。
【0035】
なお、上記では(式2)に示すように2つの項の和で補償器16を構成したが、(式3)に示すようにN個の項の和で構成してもよい。
【0036】
【数3】

【0037】
上記によれば、ウエハの凹凸の中で支配的な空間周波数が複数個(N個)存在する場合でも凹凸に追従可能なフォーカス制御系を実現することができる。なお、用いられるN個の周波数としては、例えば、ピーク値の大きい順にN個の周波数を取り出せばよい。或いは、所定値より大きいピーク値に対応する周波数を大きい順にx個取り出す(x≦N)という構成としてもよい。また、上述のような、空間周波数の複数個のピークに対応した周波数値から得られる複数の「目標位置の周波数値」を利用した補償器221を第1実施形態の補償器213として利用できることは言うまでもない。同様に、1個の「目標位置の周波数」に対応した第1実施形態の補償器213を第2実施形態の補償器221として用いてもよい。
【0038】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る半導体露光装置におけるステージ制御装置のフォーカス制御系の構成を示す図である。第1及び第2実施形態では、計測ステージ系1を設けてウエハ毎に平坦度を計測し、「目標位置の空間周波数値」を求めた。第3実施形態では、ウエハデータベースにウエハ毎の「目標位置の空間周波数値」を保持して露光ステージ系2で利用可能にし、計測ステージ系1を省略可能とする。
【0039】
図6において、図1と共通する要素に関しては同じ番号を付記し、説明を省略する。図6において、202はステージに載せられたウエハ表面の鉛直座標値を計測するフォーカス計測部、61はウエハステージ8上に載置されたウエハを判別するウエハ判別器、62はウエハ情報を格納するウエハデータベース、63は露光ステージ制御器212の係数(目標位置の空間周波数値)を設定する周波数設定器である。ここで、露光ステージ制御器212の内部構成は第1実施形態(図3)に示したとおりである。また、ウエハデータベース62にはウエハの個別情報(ID)と「目標位置の空間周波数」の対応テーブル62aが登録されている。
【0040】
露光ステージ目標値生成器211は、フォーカス計測部202から得られるフォーカス計測値に基づいて露光ステージ8の鉛直方向の目標置を決定し、これを露光ステージ制御器212に供給する。露光ステージ目標値生成器212は、露光ステージ目標値生成器211よりの目標値に追従し、露光ビームがウエハ表面上で焦点を結ぶように露光ステージ8の目標位置を生成する。
【0041】
ウエハ判別器61は、露光ステージ8に載っているウエハに記録された個別情報を読み取り、ウエハデータベース62に照会する。ウエハデータベース62は、テーブル62aを参照し、照会されたウエハの情報(目標位置の空間周波数値)が存在する場合には、その露光プロセスに応じた凹凸の周波数値をウエハ判別器に返す。ウエハ判別器61はその周波数値を周波数設定器63に送る。周波数設定器63は周波数値から露光ステージ制御器212の係数(本実施形態の場合は(式1)のω)を変更する。
【0042】
以上のような制御系を構成することにより、計測ステージ系1を設けなくとも、個々のウエハの露光プロセスに応じたウエハの凹凸に良好に追従することができる。
【0043】
以上のように上記各実施形態によれば、ウエハの凹凸に追従可能なフォーカス制御系を実現することができる。特に多重露光時にはパターン段差のために凹凸が周期的に分布することが多いため良好なフォーカス追従性能を実現できる。すなわち、ステージが追従すべき目標周波数に追従できる制御系を構成することによってフォーカス追従誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1実施形態に係る半導体露光装置の概略の構成を示す図である。
【図2】第1及び第2実施形態によるステージ制御装置のフォーカス制御系の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る露光ステージ制御器の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るフォーカス分析器の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る露光ステージ制御器の構成を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態に係るステージ制御装置のフォーカス制御系の構成を示す図である。
【図7】一般的な半導体露光装置におけるウエハの位置合わせおよび露光過程のシーケンスを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置して移動可能な第1ステージを制御するステージ制御装置であって、
前記基板の表面の凹凸形状に対応する基板面位置情報に基づいて前記第1ステージの鉛直方向に関する目標値を生成する目標値生成手段と、
前記生成手段で生成された目標値と前記第1ステージの計測位置との偏差信号に基づいて該第1ステージの駆動指令信号を生成する信号生成手段とを備え、
前記信号生成手段は、前記基板の表面の凹凸形状が有する空間周波数に基づいて決定された目標周波数を得て、前記偏差信号の該目標周波数の成分を増幅して得られた信号を用いて前記駆動指令信号を生成することを特徴とするステージ制御装置。
【請求項2】
前記信号生成手段は、前記偏差信号をPID制御器で処理して得られた信号と、前記目標周波数の成分を増幅して得られた信号を加算することにより前記駆動指令信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のステージ制御装置。
【請求項3】
前記信号生成手段は、前記偏差信号を状態フィードバックサーボ系により処理するフィードバック系で得られる信号に、前記目標周波数の成分を増幅して得られた信号を加算することにより前記駆動指令信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のステージ制御装置。
【請求項4】
前記第1ステージとは別体の、前記基板を載置して移動可能な第2ステージを用いて前記第2ステージ上で前記基板の面位置を計測することにより前記基板面位置情報を取得してこれをメモリに保持する第1取得手段と、
前記第1取得手段で取得された基板面位置情報に基づいて前記目標周波数を取得し、これを前記メモリに保持する第2取得手段とを更に備え、
前記目標値生成手段は前記メモリより前記基板面位置情報を取得し、前記信号生成手段は前記メモリより前記目標周波数を取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のステージ制御装置。
【請求項5】
前記第2取得手段は、前記基板面位置情報によって表される前記凹凸形状の空間周波数より、前記第2ステージの機械的な共振周波数を含む周波数成分を除去し、除去後の空間周波数に基づいて前記目標周波数を決定することを特徴とする請求項4のステージ制御装置。
【請求項6】
前記信号生成手段は、前記目標周波数と等しい正弦波内部モデルを用いて前記偏差信号の前記目標周波数の成分を増幅することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のステージ制御装置。
【請求項7】
前記目標周波数が複数存在し、前記信号生成手段は、前記偏差信号のうちの前記複数の目標周波数の成分を増幅して得られた信号を用いて前記駆動指令信号を生成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のステージ制御装置。
【請求項8】
各基板の目標周波数を各基板の識別情報に対応付けて格納する格納手段と、
前記第1ステージに載置された基板の表面の鉛直方向位置を計測する計測手段とを更に備え、
前記目標値生成手段は、前記計測手段で計測された位置を前記基板面位置情報として用い、
前記信号生成手段は、前記基板の識別情報を当該基板より読み取り、前記格納手段から該読み取った識別情報に対応する目標周波数を取得することを特徴とする請求項1に記載のステージ制御装置。
【請求項9】
基板を載置して移動可能な第1ステージを制御するステージ制御方法であって、
前記基板の表面の凹凸形状に対応する基板面位置情報に基づいて前記第1ステージの鉛直方向に関する目標値を生成する目標値生成工程と、
前記生成工程で生成された目標値と前記第1ステージの計測位置との偏差信号に基づいて該第1ステージの駆動指令信号を生成する信号生成工程とを備え、
前記信号生成工程は、前記基板の表面の凹凸形状が有する空間周波数に基づいて決定された目標周波数を得て、前記偏差信号の該目標周波数の成分を増幅して得られた信号を用いて前記駆動指令信号を生成することを特徴とするステージ制御方法。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載のステージ制御装置と、
前記ステージ制御装置によって制御される前記第1ステージとを備えることを特徴とするステージ装置。
【請求項11】
請求項4に記載のステージ制御装置と、
前記ステージ制御装置によって制御される前記第1及び第2ステージとを備えることを特徴とするステージ装置。
【請求項12】
前記第1及び第2ステージは同一定盤上にあることを特徴とする請求項11に記載のステージ装置。
【請求項13】
感光基板を載置して移動可能な基板ステージを有する露光装置であって、
前記感光基板を露光処理するために前記基板ステージを駆動するにおいて、前記感光基板の表面の凹凸形状に対応する基板面位置情報に基づいて前記基板ステージの鉛直方向に関する目標値を生成する目標値生成手段と、
前記生成手段で生成された目標値と前記基板ステージの計測位置との偏差信号に基づいて該基板ステージの駆動指令信号を生成する信号生成手段とを備え、
前記信号生成手段は、前記基板の表面の凹凸形状が有する空間周波数に基づいて決定された目標周波数を得て、前記偏差信号の該目標周波数の成分を増幅して得られた信号を用いて前記駆動指令信号を生成することを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−222312(P2006−222312A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35210(P2005−35210)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】