説明

ストレス、不安及び攻撃性を緩和する鳥類宥和フェロモン

トリの尾腺の分泌物に由来する、脂肪酸又はその誘導体の混合物を含む組成物が開示される。この組成物は、鳥類宥和フェロモンと名付けられ、トリにおけるストレス、不安及び攻撃性を緩和するのに用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥の尾腺の分泌物に由来する脂肪酸、又はその誘導体の混合物を含む組成物に関するものである。この組成物は、鳥類宥和フェロモンと名付けられ、鳥におけるストレス、不安及び攻撃性を緩和するのに用いることができる。
【0002】
従来の技術
ストレスは、定義によって、有害な性質の力、感染、及びホメオスタシスを乱す傾向のある様々な異常な状態に対する動物の身体の反応である。
【0003】
ストレスにさらされた動物は、自律神経系及び神経分泌系の活性、並びに行動の変化によって応答する。これらの生物学的系の活性化は、動物がストレスに対峙するための必須要件であり、したがって、動物のホメオスタシスを攻撃する脅威に対する適切な生物学的防御を提供することになる、主要な資源である[Moberg, G.P., Animal Stress, pp.27-49;Vogel, W.H., Neuropsychobiology, 13 p. 1290 (1985)]。
【0004】
ストレスは、他覚的な攻撃に関連し、その結果が、体液系、代謝系、免疫系及び/又は行動系のような異なる系を変化させることにあらわれる。ホルモン性応答は、コルチゾールの放出、成長ホルモンの分泌の低下、並びに甲状腺ホルモン及び性ステロイドの増加によって、慣用的に決定される。ストレスは、動物飼育者における主要な問題である、消費の量を直接的又は間接的のいずれかで減少させる役割も有している。動物における消費量のこの減少は、ストレスによる、代謝の増大又は食料消費の減少のいずれかによっても生じ得る。
【0005】
より具体的には、ストレスは、血中のいくつかの臨床的要素を調べることによって、観察され得る。ストレスがかかった状態では、H/L(異好性球/リンパ球;異好性球とは、鳥類におけるリンパ球でないすべての白血球の意)の比率の上昇、および循環T4(チロキシン)、コルチゾール及びプロラクチンのようなホルモンレベルの上昇が知られている[Davis & Siopas, Poultry Sciences, 66, pp.34-43, (1987)]。
【0006】
鳥類におけるT4の上昇は、炭水化物異化レベルの上昇、体温調節の失調、心拍数の増加、並びに尿及び糞便カルシウムの増加のような、周知の異なる生理学的状態の変化を招く[Idelman, Col., Grenoble Science PUG (1990)]。
【0007】
生理学的ストレッサーは、異常に上昇したコルチコステロン分泌を招くこともある[Campo, J.L., S.G. Davila, Poult. Sci., 81: 1637-1639 (2002);Moberg, G.P., The Biology of Animal Stress中(Moberg & Mench, Eds), CABI, 1-23 (2000)]。
【0008】
生理学的試験に加え、行動試験も、鳥類におけるストレス及び/又は恐怖を評価するために実施することができる。最も利用される行動試験の一つは、Campo, J.L.及びS.G. Davilla[Poult. Sci., 81: 1637-1639 (2002)]が記載したような、強直性不動状態(TI)の試験である。
【0009】
鳥類におけるストレスによる生理学的状態の変化は、ある場合には、致死のような恐るべき効果を、また多くの場合に、体重損失を招きかねないことを認めることができる。その上、ストレスは、他の鳥をつつくこと、共食い、及び鳥の身繕いの際の皮膚への損傷の発生のような、攻撃性を招く行動上の変化を生じかねない。ストレスは、鳥類の生産の低下を招くことから、鳥類飼養家に対する真の不利益である。
【0010】
そのため、鳥類、特に鳥の飼育におけるストレスの緩和は、より少ない死亡率、より多くの体重増加、及びより高品質の生産へと導いて、より多大な財政的利得を鳥類飼養家にもたらであろう。
【0011】
鳥類におけるストレスの緩和から生じる利点は、閉じ込め収容物を用いる鳥類飼養家にとって極めて有益である。閉じ込め収容物では、非常に多くの鳥類が、鶏舎内でケージの中で飼養され、1ケージあたり非常に多くの鳥が存在する。鳥類は、少ない面積に他の鳥とともに閉じ込められるため、ストレスレベルは、放し飼いシステムで飼養されるような鳥類に比して高い。そのため、閉じ込め収容システムでの鳥類のストレスは、羽つつき行動[Kjaer, J.B. & P. Sorensen, Br. Poult. Sci., 38: 333-341 (1997)]、より高い飼料対利得比[Buitenhuis, A.J. et al., 7th WCGALP, Montpellier-France, communication No. 14-06]、より高い死亡率[Buitenhuis, A.J. et al., 7th WCGALP, Montpellier-France, communication No. 14-06]、及び/又は劣悪な肉(屠殺体)の品質[Tankston, J.D. et al., Poult. Sci., 80: 1384-1389 (2001)]による収量の多大な損失へと導きかねない[Craig, J.V. & W.M. Muir, Poult. Sci., 75:294-302 (1996)]。
【0012】
閉じ込め収容システムでは、鳥類は、屋内に留置され、1日24時間の光を与えられて、飼料消費が奨励される。リッター(寝わら)は、概して、鶏舎の床に広げられ、水分を吸収し、かつ厩肥を希釈するよう作用し、また鳥に対する緩衝及び隔離を与える。従来の業界では、リッターは、約5.1〜約10.2cm(2〜4インチ)の深さで広げられ、20〜30%の含水量に保たれる。鶏舎から固形物が一掃されるフロックの間には、一般に、約1週間の休止期間がある。
【0013】
定義によって、フェロモンは、身体が放出する物質であって、同じ種の別の個体による予測可能な反応を生起する。
【0014】
顎下腺、副甲状腺及び皮脂腺のような、異なる多くの腺が、雄の哺乳動物にフェロモンを産生することが知られている。
【0015】
雄の顎下腺および副甲状腺で分泌されるフェロモンは、求愛の際に雌にマーキングするのに用いられる。未去勢雄ブタでは、これらの腺の分泌は、敵対(agnostic)行動を招く。これらの分泌物は、アンドロステノールとアンドロステロンとの混合物を含むことが知られている。
【0016】
哺乳動物のフェロモンは、米国特許第6,077,87号、第6,054,481号及び第6,169,113号に立証されたとおり、ストレス、不安及び攻撃性を緩和するのに用い得ることが当該技術分野に公知である。これらのフェロモンは、哺乳動物の乳腺の分泌物に由来した。しかし、乳腺は、鳥類には存在しない。その上、専門家の間では、鳥においては、脳へのそれ自体の経路を有する感覚器官である、鋤鼻器官がないことから、フェロモンの存在について多少の疑惑がある。
【0017】
鳥の尾腺は、いくつかの機能を鳥に形成する分泌物を有する二葉からなる全分泌腺である。これらの機能は、羽毛の防水、ビタミンD前駆体の製造、くちばし、皮膚及び羽毛を柔軟に保つこと、並びに細菌感染の予防を包含する。尾腺の分泌物は、概して、くちばしでの整羽の動作の際に羽毛全体に拡がり、こうして羽毛を防水性にする。
【0018】
ボーネット(Bohnet)らは、Journal of Biochemistry, vol. 226, No. 15, pp. 9795-9804 (1991)に、雌のマガモにおける性フェロモン、すなわち3−ヒドロキシル脂肪酸ジエステルの、交尾期の間の、尾腺での産生を記載している。交尾期外では、尾腺は、通常のモノエステルの蝋を産生したのみであった。尾腺が、交尾期間にのみ性フェロモンを産生するよう、その生物学的過程を切り換える機序は知られていない。
【0019】
ボーネット(Bohnet)らが記載し[上記]、交尾期間にのみ様々な鳥で産生されることが公知であるような性フェロモンは、誘引物質又は性的刺激剤として作用し、本発明におけるような、ストレスによる不安を鎮静、慰撫又は救済するよう作用する宥和フェロモンとしては用いることができない。その上、性フェロモンの化学的組成は、本発明の鳥類宥和フェロモンとは異なる。
【0020】
したがって、本発明の一見地は、鳥類の尾腺に由来する鳥類宥和フェロモンを提供することである。
【0021】
もう一つの見地では、本発明は、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を含む、鳥類宥和フェロモンを含む組成物を提供する。
【0022】
更に一つの見地では、本発明は、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を含む、鳥類宥和フェロモンを含む組成物を提供する。
【0023】
更に一つの見地では、本発明は、鳥類のストレスを処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモンを投与することを含む方法を提供する。
【0024】
更に一つの見地では、本発明は、鳥類の体重喪失を処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法に関する。
【0025】
更に又一つの見地では、本発明は、家禽を輸送の際にその不安を除去するよう処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0026】
もう一つの見地では、本発明は、鳥類における飼料転換を改良する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0027】
これら及びその他の目的は、発明の概要、好適な実施態様の説明及びクレームによって立証されるとおり、本発明によって達成される。
【0028】
発明の概要
本発明は、鳥類の尾腺の周囲に由来する、鳥類宥和フェロモンを含む組成物を提供する。
【0029】
本発明の一見地では、本発明は、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を含む、鳥類宥和フェロモンを含む組成物を開示する。
【0030】
もう一つの見地では、本発明は、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を含む、鳥類宥和フェロモンを含む組成物を提供する。
【0031】
本発明の誘導体は、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸の、メチルエステルのようなエステル、塩、アルコール、ケトン、エーテル、アルデヒド、ステロール及びアミドを包含する。
【0032】
上記の組成物を含有する溶液も、本発明によって企図される。
【0033】
もう一つの見地では、本発明は、鳥類のストレスを処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモンを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0034】
更に一つの見地では、本発明は、鳥類の体重喪失を処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法を開示する。
【0035】
更にもう一つの見地では、本発明は、家禽を輸送の際にその不安を除去するよう処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0036】
更に又一つの見地では、本発明は、鳥類における飼料転換を改良する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法を開示する。
【0037】
好適な実施態様の説明
ここに用いられる限りで、単語「トリ」及び「鳥類(又はその複数形)」は、相互可換的に用いられ、羽毛及び翼を有する、抱卵し、飛ぶことが通常は可能である、いかなる温血動物を包含する。トリの例は、ヒヨコ、ニワトリ、ホロホロチョウ(雌)、オウム、シチメンチョウ、メンドリ、アヒル、ガチョウなどを包含するが、これらに限定されない。
【0038】
ここに用いられる限りで、単語「ストレス」は、有害な性質の力、感染及びホメオスタシスを乱す傾向のある様々な異常な状態に対する動物身体の反応を意味する。この反応は、身体的反応、又は不安を包含する情動的反応であってよい。
【0039】
「不安」とは、落ち着かないこと、緊張などに伴われた怒り及び恐怖の懸念を意味して、驚愕の行動的及び情動的応答を与える高い可能性を特徴とする反応状態である。神経生理学的用語では、この不安状態は、ノルアドレナリン作動系及びセロトニン作動系の異常な活性化を伴う。
【0040】
「フェロモン」とは、特定の種の身体から放出される、同じ種のもう一つの個体による予測可能な反応を生起する物質を意味するものとし、該物質は、たとえば、特異的な誘引物質、社会的連絡物質、性的刺激剤などとして役立ち得る。
【0041】
「宥和フェロモン」とは、ストレス、不安及び攻撃性を沈静、慰撫又は救済するフェロモンを意味するものとする。宥和フェロモンは、性的刺激剤又は誘引物質のいずれかとして作用する、性フェロモンと区別されるべきである。
【0042】
「ストレス付随疾患」とは、その症状がストレスに起因して増大する、いかなる疾患をも意味するものとする。
【0043】
「改良された飼料転換」とは、飼料消費/得られた体重の比の減少を意味するものとする。
【0044】
用語「溶液」とは、それに溶解されるか、または懸濁液中に存在することのいずれかによって、液体を介して分散される固体を意味するものとする。
【0045】
「宥和効果」とは、恐怖、懸念、不安の緩和、さらに、ストレスに関係する行動的及び身体的結果の緩和を意味するものとする。ストレスに関係する行動的結果は、ふるえ、発声、飛行、攻撃、転移活動などを包含する。ストレスに関係する身体的結果は、心拍数の変化、エピネフリン、ノルエピネフリン、ACTH、コルチゾール、グルコースなどのレベルの変化を包含する。食料源として用いられる鳥類では、この定義は、成長重量、飼料変換効率、肉の品質、サルモネラ属の欠如のような、製品の細菌的品質、及び生産された卵の品質のような農業パラメーターを包含する。それは、トリが産生する羽毛の品質、及びガチョウ綿毛の品質も包含する。
【0046】
「エンハンサー組成物」とは、トリでは種−種特異的であり、特定の種における組成物の有効性を増大させるよう、基本的なフェロモン性組成物を強化するか、又はそれと相乗的に作用するために用いられ得る、活性フェロモン性組成物を意味するものとする。
【0047】
「異好球」とは、鳥類に見出される、リンパ球ではないすべての白血球を意味するものとする。
【0048】
ここに用いられる限りで、用語「異性体」は、構造的異性及び空間的異性を包含し、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸の脂肪酸の異性体、さらに、それらの誘導体の異性体にも言及する。
【0049】
本発明の脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を言及するときは、組成物が、単にたとえば、ラウリン酸、パルミチン酸の誘導体、リノール酸の異性体及びオレイン酸の誘導体の異性体を包含し得ることを意味する。本発明の組成物は、開示された脂肪酸とそれらの誘導体及び/又はそれらの異性体との混合物の順列(及び上に例示されたものに限らず)のすべてを包含することが認識されよう。更に、ここに言及される誘導体及び異性体は、それらの脂肪酸対と同じ重量百分率を有する。たとえば、ラウリン酸の、誘導体、異性体又は異性体の誘導体は、12.3〜13.7重量%の濃度を有すべきである。
【0050】
より具体的には、本発明は、トリの尾腺の周囲の分泌物に由来する鳥類宥和フェロモン性組成物の同定に関する。
【0051】
本発明の組成物は、宥和性であり、起源がフェロモン性であり、揮発性分子からなっていて、これらの分子の基本的成分は、インドール性誘導体からの、アミン及び脂肪酸であり、その外これらのアミン及び脂肪酸のエステルでもある。
【0052】
本発明の組成物は、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸、及び/又はそれらの誘導体及び/又はそれらの異性体の混合物を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、それらの誘導体の1種類以上及び/又はそれらの異性体の1種類以上との混合物を含む。
【0053】
より具体的には、本発明の基本組成物は、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体の混合物を含み、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を含む。
【0054】
この組成物は、脂肪酸の生物活性構造が保存されるならば、化学的担体に加えることもできる。そのような担体分子は、樹脂、リポソーム、クラウン化合物、担体タンパク質、重合体などを包含するが、これらに限定されない。
【0055】
脂肪酸は、その純粋な形態で、すなわち遊離脂肪酸の形態、その外脂肪酸エステル又は脂肪酸の塩の形態、さらにその外脂肪酸アルコール、脂肪酸ケトン、脂肪酸エーテル及び脂肪酸アミドのようなその誘導体の形態で用いられ得る。これらの脂肪酸誘導体は、本発明の組成物中の脂肪酸の1種類以上又はすべてと置き換えることができ、同じ効果を有する。脂肪酸の誘導体は、組成物中に又は本発明の溶液中に見出し得る。
【0056】
この組成物は、鳥類における宥和効果を有し、ストレス、不安を救済し、攻撃的行動を緩和し、体重利得を高め、産卵を高めるために用い得る。
【0057】
もし望むなら、5〜35重量%を含有するエンハンサー組成物を鳥類宥和フェロモン組成物に加え得る。このエンハンサー組成物は、揮発性有機化合物及びその混合物を含む。このエンハンサー組成物は、事実、種特異的であってもよく、本発明に用いるために選ばれた鳥類の種に応じて変動し得る。
【0058】
エンハンサー組成物に用いられ得る化合物は、インドール性誘導体からの、アミン及び脂肪酸、これらのアミン及び脂肪酸のエステル、アセトンのようなケトン、アルコール、ステロールなどを包含するが、これらに限定されない。
【0059】
無害の充填剤も、この組成物に加えることができて、それらは、脂肪酸、アルコール、アミン、スクアレン及びグリセロールを包含する。
【0060】
もう一つの見地では、本発明は、溶液中の鳥類宥和フェロモン性組成物を含む。
【0061】
したがって、本発明は、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸、及び/又はそれらの誘導体及び/又はそれらの異性体の溶液、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、それらの誘導体の1種類以上、及び/又はそれらの異性体の1種類以上との混合物の溶液を提供する。
【0062】
したがって、もう一つの見地では、本発明は、溶液中の、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はそれらの誘導体及び/又はそれらの異性体を、その外それらの脂肪酸の1種類以上と、それらの誘導体の1種類以上、及び/又はそれらの異性体の1種類以上との混合物を提供する。
【0063】
この組成物は、溶液、エアゾルスプレー、ゲル、徐放性マトリックス、シャンプーなどの形態になし得る。組成物は、リポソーム中に、拡散装置内に、重合体中に入れることができ、電気的拡散装置内に存在し、マイクロカプセルに封入することもできる。
【0064】
上記脂肪酸の濃度は、使用の最終形態に応じて変動し得る。しかし、利用される特定の脂肪酸の濃度、およびその濃度は、本発明に説明する方法に従って確認かつ試験し得る。
【0065】
性質上、概して固体である脂肪酸は、非水性のいいかなる溶媒にも希釈して、本発明の溶液を形成することができる。プロピレングリコール、アルコール、エーテル、クロロホルム、エタノール、ベンゼン、二硫化炭素、ポリソルベート、プロピルアルコール、イソプロパノール、2−プロパノール、不揮発性油及び揮発性油などのような溶媒がある。これらの溶媒の組合せを用いることもできる。
【0066】
したがって、プロピレングリコール及び無水エタノールの組合せを、本発明における溶媒として用いることができる。90〜98%プロピレングリコール及び2〜10%無水エタノールは、例として説明される。5〜40%イソプロパノール及び60〜95%プロピレングリコールも用いることができる。
【0067】
脂肪酸は、固体の形態で様々な化学企業から商業的に入手可能である。しかし、脂肪酸を可溶化することは困難であるから、脂肪酸は、一般的には、定常的撹拌下、37〜約38℃の温度で溶媒に加えられる。37.5℃を用いることもできる。
【0068】
得られたならば、本発明の組成物は、鳥類のストレスを予防するその効能について試験することができる。充分に実証されたストレッサーは、たとえば、トリの親離れ、トリの輸送などである。ストレスに満ちた事象の周囲域における、本発明の組成物のスプレー、エアゾルなどの形態での適用は、体重利得、他のトリに関する社会的行動、身体上の傷、唾液コルチゾールなどのような様々な因子によって示されるとおり、ストレスの緩和を招く。
【0069】
したがって、本発明の組成物は、希釈し、トリが接触する、壁面、ケージ、空気中及び玩具のような様々な物体に適用することができる。その上、溶液形態の本発明の組成物を、トリに直接適用することもできる。
【0070】
上記の組成物は、その幼体から育てたトリの尾腺から得られた、分泌物の化学的組成の詳細な分析後に発見された。
【0071】
より詳しくは、この手順は、その幼体より育てたトリの尾腺の周囲部を無菌の圧(湿)布で拭き、ガスクロマトグラフィー/質量分析によって分泌物の化学的組成を分析することを含む。この手順は、以下の実施例中により詳しく記述される。
【0072】
本発明及びその利点を充分に例示するため、下記の具体的な例を示すが、それは、例示としてのみ意図されるにすぎず、少しも限定されないことが理解される。
【実施例】
【0073】
実施例1
鶏からのフェロモンを同定するための単離及び分析
その幼体より育てたか、又はその幼体より育てなかった、雌の鶏をこの実施例に用いた。孵化後4、8、12及び35日目にその幼体より育てた、雌の鶏のサンプルを得た。もう1セットのサンプルを、その幼体より育てなかった鶏から採取した。
【0074】
鶏尾腺又は尾部の腺の周囲を、滅菌した圧(湿)布で数回摩擦した。直ちに、圧(湿)布を、ジクロロメタン10mlを含有するフラスコに入れた。
【0075】
次いで、圧(湿)布を、フラスコを数回撹拌することによってジクロロメタン中で脱着した。サンプル5mlを採取し、空気を用いて、1mlまで蒸発に付した。
【0076】
次いで、サンプルを、Perkin-Elmer製のターボ質量分析計を用いて、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)に付した。検出は、180℃で70eVのエネルギーで(EI+)を用いる衝撃で実施した。30mの長さを有するJWカラム、タイプDB 5 MS(内径=0.25mm;薄膜=0.25μm)を、1/20のスプリット、および45秒のスプリット/無スプリットで用いた。
【0077】
各サンプルから2.0μlを注入した。GC/MSからのスペクトル記録の結果を、図1及び2に示す。
【0078】
次いで、GC/MS分析から得られた一定の分子の構造を確認するため、メタン中での化学的陽イオン化(CI+)を実施して、分子のピーク(分子量)を視覚化した。この方法は、当該技術分野で周知である。
【0079】
結果を、データベースを用いて分析して、最もあり得るスペクトルを得た。そのようなデータを含むデータベースは、当該技術分野で周知である。
【0080】
下表1は、本実施例から得られた結果を示す。
【0081】
【表1】

【0082】
クロマトグラフの完全な分析の後、鳥類宥和フェロモンは、表2の下記の組成から構成されることが見出された。
【0083】
【表2】

【0084】
実施例2
若いヒヨコの体重に対する鳥類宥和フェロモンの効果
以下の例を、下記の飼育者の条件下で実施した:
飼育型式:半開放的収容物、
給餌:飼料及び水については、若いヒヨコを飼育するすべての飼育者が共通に用いる飼料で随意に。
【0085】
若いヒヨコの独立した2ロットを分割した。ロットAには、電子拡散装置に入れ、収容物中の若いヒヨコの頭上に置いた、13重量%のラウリン酸、40重量%のパルミチン酸、34重量%のリノール酸及び13重量%のオレイン酸を含む鳥類宥和フェロモンを2%の投与量で与えた。ロットBにはプラセボ(偽薬)による処置を与えた。
【0086】
鳥類宥和フェロモン又は偽薬を投与する前に、若いヒヨコを、その体重に従って、群別した、すなわち0日目である。
【0087】
結果を図3及び4に示すが、ここで、0日目の若いヒヨコの群別は、同じであった。これらの図から、処置されたロットAでは、偽薬のロットBに比して、重要な体重利得があったことが確認された。
【0088】
したがって、鳥類宥和フェロモンを投与したとき、体重利得は、より急速である。
【0089】
実施例3
メンドリ及びオンドリ(roosters)に誘発された慢性的ストレスにおける鳥類宥和フェロモンの効果
本実施例は、強い慢性的ストレスに付されたメンドリ及びオンドリにおける鳥類宥和フェロモンの影響を測定した。
【0090】
メンドリ及びニワトリが付されたストレスに満ちた条件は、輝く光、金属性雑音及び電気ショックを包含する。毎日、無秩序な方式で15分間、2ロットに対して同一であった、2種類のストレッサーを誘発した。
【0091】
ロットAには、13重量%のラウリン酸、40重量%のパルミチン酸、34重量%のリノール酸及び13重量%のオレイン酸を含む鳥類宥和フェロモン(AAP)で処置した。ロットBには偽薬を与えた。次いで、メンドリ又はオンドリが体重を獲得したか否か、コルチゾールレベルの変化及びT4レベルの変化のようないくつかの因子を、実験の終了後8日目に、コルチゾール及びT4についての標準的試験を用いて試験した。
【0092】
体重の差は、有意には観察されなかった。これは、ストレッサーがあまりにも激しく、フェロモンがこの種の激しいストレスを予防できなかったためである可能性がある。
【0093】
内分泌の結果は、鳥類宥和フェロモンを投与された個々の動物に対する宥和の傾向を立証する(コルチゾールについてのA、B−図5;p=0.14)。
【0094】
イーデルマン(Idelman:(1990)[上記]は、ストレスに対する抵抗の段階は、ストレスの際に最高に上昇するホルモンである、コルチゾールを刺激するACTHの分泌と結びついたホルモンを解放することを立証した。図5は、雌がストレスに対して雄より敏感であることを示す(雌についてp=0.12)。また、雌は、鳥類宥和フェロモンに対して、より敏感な動作を有する;ストレスの前後で、コルチゾールレベルの約50%の低下。
【0095】
これは、図6で説明した、雌におけるT4レベルによっても確認された。また、これらの結果は、非処置雌と処置雌との間に有意な差があることを証明しているが、雄については該当しない(図6;p=0.08)。
【0096】
実施例4
鳥類宥和フェロモン及びニワトリの収容物の効果
本実施例は、ニワトリの収容物が、二重盲検試験の結果に何らかの効果を有するか否かを決定するために実施した。計画の責任者も飼育者も、それぞれの収容物における処置の種類を知らなかった。
【0097】
ニワトリを、2x13,000羽という独立した2ロットとして、各ロットについて18羽/m2の密度で収容した。ロット1は、最初の試験を、ロット2は、第2の試験を表し、A及びBなる処置は、以下のとおりであった:
ロット1:A1(鳥類宥和フェロモンを投与)対ロットB1(偽薬)、
ロット2:A2(鳥類宥和フェロモンを投与)対ロットB2(偽薬)。
【0098】
投与された鳥類宥和フェロモンは、13重量%のラウリン酸、40重量%のパルミチン酸、34重量%のリノール酸及び13重量%のオレイン酸を含んだ。
【0099】
本実施例では、2%に滴定した鳥類宥和フェロモンの溶液が、用いた投与量であった。この投与量を、電子拡散装置により1/50m2の速度で拡散した。
【0100】
体重利得、コルチゾールレベル、体重利得、並びに消費レベルの指標及びT4レベルを、実験終了の約40日後に、コルチゾール及びT4レベルに対する標準的試験を用いて測定した。
【0101】
ニワトリの2種類の収容物のうち一方では、平均死亡率が他方より上昇したことが、更に注目された。この観察は、偽薬及び処置を一つの収容物内でのみ試験したとき、「交差」が存在し得ることを意味する。
【0102】
最初の試験の約40日後に、コルチゾールレベル、T4レベル及び体重を試験した。
【0103】
本実施例からの結果は、下記のとおりである。
【0104】
B1のコルチゾールレベルは、A1に比して有意に上昇した(図7;p=0.04)。これは、ストレスの平均的状態が、鳥類宥和フェロモンで処置しなかったロットのトリでは、より著しいことを示した。A2に比してロットB2に好ましい、有意差が注目される(図7;p=0.002)。
【0105】
T4レベルでは、ロットA1及びB1間に有意差はなかった。B2には、T4レベルに関してA2より有意に高いレベルがあった(図8;p=0.006)。
【0106】
ロット1については、生体重(PV)又は死体重(PC)の間に有意な重量差はなかった。ロットA2の動物は、B2のものより有意に重かった(図9;生体重及び死体重について、それぞれ、p=0.03及びp=0.06)。
【0107】
体重利得及び消費レベルの指標は、異なる4ロットについて等価であった(消費の指標について1.9)。
【0108】
試験したニワトリの異なる収容物の効果に関しても、結果を解釈した。より上昇したコルチゾールレベルを有する個体が、同じ収容物内に見出される(図10;p=0.003)。A及びB間に差はない。A及びBの間、又は1若しくは2の収容物に、有意差はなかった。
【0109】
生体重若しくは死体重のいずれにおいても、A及びBの間に有意差はなかった。
【0110】
したがって、引き出された結論は、本実施例では、ニワトリの収容物による偏りは存在しないものであった。
【0111】
実施例5
本プロトコルは、産卵するメンドリについての鳥類宥和フェロモンの影響を試験する。産卵メンドリのための飼育手法は、多くの場合、ストレスに満ちており、産出される鶏卵の損失及び個々のメンドリ間のいさかいも生起する。
【0112】
本実施例では、動物学的手法、生物学的マーカー、及び産卵ニワトリでのダニに対する感受性を包含する様々な試験を、鳥類宥和フェロモンの投与の有無で実施した。
【0113】
下記は、本実施例で実施された特定の事象の時系列である:
ヒヨコの誕生:第1年5月、
フロックの開始:生後4ヶ月(第1年)、
羽つつきの開始:生後8ヶ月(第2年)、
ダニ(デルマニサス:Dermanysuss又はオルニトニサス:Ornithonyssus)に対する処置:生後9ヶ月(第2年)、
ダニについてのサンプル採取:生後10ヶ月(第2年)、
血液のサンプル採取:生後10ヶ月(第2年)及び生後11ヶ月(第2年)、
鳥類宥和フェロモンを有する拡散装置の設置:生後10ヶ月(第2年)及び生後11ヶ月(第2年)、
メンドリへの眼鏡の取付け:生後10ヶ月(第2年)。
【0114】
動物学的手法には、上記の事象の時系列全体を通じて、下記の技術的基準を用いて注目した:巣外のメンドリの率;集団内のメンドリの率;死亡率;鳥類宥和フェロモンを投与したメンドリ、及び鳥類宥和フェロモンを投与しなかったメンドリ(対照)についての食餌消費。
【0115】
2群間に有意差はなかった。結果は、鳥類宥和フェロモンの有無で等価であった。眼鏡は、メンドリに対する効果を確かに有し;巣外のメンドリは、より少なく、等級外にされなかった鶏卵は、より少なかった。
【0116】
本実施例の途上で、ダニについても試験した。0日目に、鳥類宥和フェロモンの第一の拡散装置を配置し、ダニのサンプル採取を実施した。採取された12のサンプルについて、5例には、飼育の際のダニの種の同定ができ;3例は、ダニの飼育に用い、かつ入れ、内部実験の終点で回収し;4例は、用いたダニに対する寄生虫の感受性を試験するのに役立てた。
【0117】
実施した5例のサンプルで、寄生虫の117例を同定した。76%(n=86)が、デルマニサス・ガリナエ(Dermanysuss gallinae:トリダニ)と同定され、24%(n=28)が、オルニソニサス・シルビアルム(Ornithonyssus sylviarum:北方トリダニ)と同定された。
【0118】
メンドリに見出されたダニの量は、2例の内部サンプルで、8というレベルのうち5〜6の蔓延と評価されて、重要な蔓延を飼育者に裏付ける[翼の直下の皮膚におけるオルニソニサス(Ornithonyssus)の数の尺度を記載する、Devaney & Agutin (1987)を参照されたい]。用いた実験条件下では、二つの決定的に新たな蔓延を得ることはできなかった。
【0119】
採取されたサンプルは、ダニに対する処置の2日後にのみ実施されたことが注目される。飼育者は、ダニ、特にデルマニサス・ガリナエ(Dermanysuss gallinae:DG)の強力な蔓延が存在することも知った。採取されたサンプルは、5/8という最終的な全体的蔓延を示した。この率は、8という最高の蔓延率については30DG/cm2と見なされる、「職業的」規模(1)のサンプルに帰した。8/8という率は、ほぼ100%の死亡率を伴う失血期を表す。5/8は、ダニ蔓延の増大を予防するための処置が必須である中間期である、3〜5DG/cm2という蔓延レベルを表す。
【0120】
チリダニは、全く見出されなかったが、これは、実施されたダニ処理がチリダニに対して効果的であったことを意味する。しかし、ダニ処理の直後には、寄生性ダニの多大な存在があり、これは、寄生性ダニが、用いたダニ処理に対するその感受性を失った可能性が最も高いことを意味し、以下これを試験した。
【0121】
次に、ダニの感受性の試験を実施した。この試験は、用いられたダニ処理(カルバミン酸塩:Carbamate)の感受性を証明するインビトロ系によるダニの固体群で実施された。
【0122】
そのため、寄生虫を、様々な濃度の殺ダニ剤に接触させた。投与量を、製品に関する推奨投与量の注意書きの値によって決定した。この用量では、LD50(24時間接触させたダニの50%が殺される)も、LD100(24時間内に100%のダニが殺される)も得られなかった。LD50は、推奨されたそれより8倍も上回る用量でも得られなかった。LD100は、指示されたそれより32倍も上回る用量でも得られなかった。
【0123】
実験条件下で、2ロット(T1及びT2)を試験に付した。T1のロットは、イベルメクチンを用いることから飼育では公認されない、普遍的試験に相当した。ロット2は、アミトラーゼを用いてなされる試験に相当した。T1及びT2については、飼育の条件に相当する環境で、製品の注意書に指示(処方)された用量によってLD100が得られた。結果を下の表3に示す。
【0124】
【表3】

【0125】
したがって、ダニ処理のための活性物質は、上に立証されたような感受性のために、変更することが推奨された。
【0126】
次いで、上の事象の時系列に示されたとおり、血液試験を実施した。ストレスの異なるマーカーを、血液サンプルで実施した分析によって観察した。異好球/リンパ球(5)に関する上昇、並びに循環T4、コルチゾール及びプロラクチン(4)のような一定のホルモンにおける変動も観察される。
【0127】
下記の方法論を用いた。動物から血液を、下表4に示した日付に、一方は防腐剤なしの(赤い頂部)、他方はEDTAの防腐剤を有する(青い頂部)、異なる2種類の管内に吸引した。
【0128】
下記の生理学的試験:ヘマトクリット、血球数及び異好球/リンパ球を実施した。採集後の血清は、すべての標本が採集されるまで、−20℃で保存した。最後のものを、ストレスホルモンの率について分析するために、臨床研究室に送付した。
【0129】
【表4】

【0130】
ヘマトクリットは、防腐剤のEDTAを含有する管内に吸引し、得られた結果を、表5に記載する。
【0131】
【表5】

【0132】
ヘマトクリットについての正常な生理学的平均は、55%である。上の結果から理解できるとおり、動物に赤血球の減少が存在することを意味する、ヘマトクリットの低下が存在する。この減少は、動物が何らかの方式で損傷したことを示す。この血液の損失は、おそらく、その尾部での羽つつきによるものであって、ひどい瘢痕形成を生じ、鶏卵上の血液斑へと導き得る。
【0133】
白血球分析は、寄生虫の蔓延と相関する、顆粒球の強力な存在を示した。
【0134】
白血球計数を、採集された血液標本に対して実施し、結果を、異好球/リンパ球の比を用いて表した。結果を、下表4に示す。
【0135】
【表6】

【0136】
上の結果から理解できるとおり、この研究は、吸引された血液サンプルの第一の1セットについて、2.49という平均値、及び吸引された第2及び第3の血液サンプルについて60%の減少を示す。上表6に示された統計的解析は、吸引された第1のサンプルと、吸引された第2のサンプルとの間、及び吸引された第1のサンプルと、吸引された第3のサンプルとの間に差を示すが、吸引された第2のサンプルと第3のサンプル間の統計的差を示さない。飼育者の平均は、0.42±0.13である(3)。
【0137】
結果を図11に、グラフによって示す。
【0138】
結論
鳥類宥和フェロモンは、鳥類のストレスを緩和する。しかし、それが効果的に働くような、一定の条件を維持しなければならない。鳥類宥和フェロモンは、若いヒヨコに、孵化した直後に用いなければならない。
【0139】
ここに示された観察は、トリダニによる激しい寄生のような、重要なストレスでさえ、このフェロモンは、誘導されるストレスを緩和できることを示す。したがって、本発明のフェロモン組成物は、ストレスの原因が持続しているときでさえ、効果的である。
【0140】
実施例6
動物及び飼育条件
本実施例のために、それぞれ1,200m2の同一の2棟の建物を利用した。各建物内で、2/3の雄−1/3の雌に区分される、24,000羽の「ROSS308」なるニワトリを飼育した。実際的な理由から、雄及び雌のニワトリを分離した。雄は、屠殺前の生産の最後の10日間に、より多くの体重を得ること、そのため雄のニワトリを雌のニワトリより長い期間収容することが、鳥類飼養家にとって、より経済的に有益であることから、雄のニワトリを、雌のニワトリより長く収容した。雌のニワトリの出発の当日に、雄のニワトリは、100%の面積を占拠することになり、そのため、鶏舎内を自由に徘徊する。雄は、一般的には、その全身として販売される雌とは異なって、切り分けて販売される。建物のそれぞれ一つの中では、飼育条件は、類似の方式に厳格に維持した。すなわち、鶏舎内の土壌は、双方の建物の床を覆って分布させた、木材の削りくず(リッターとして知られる)で構成し、ニワトリは、随意に給餌し(飼料及び水)、双方の建物内で、照明時間割は同じであった。昼間は、自然な日光を用い、夜間は人工的な光を用いた。屠殺場に出発する6時間前に、ニワトリの固形給餌を停止した。
【0141】
処置
P010、すなわち、13重量%のラウリン酸メチルエステル、40重量%のパルミチン酸メチルエステル、34.0重量%のリノール酸メチルエステル及び13.0重量%のオレイン酸メチルエステルの混合物を含む鳥類宥和フェロモンを、当該技術分野に公知の方法によって、孔を貫通させたプラスチックの外被によって保護される徐放性ブロックとして作り上げた。この処置は、局所雰囲気中へのP010の受動拡散のみからなった。
【0142】
各ブロックを150gに秤量し、2%の濃度の上記鳥類宥和フェロモンを含有する18ブロックを、処置(P010又は偽薬のいずれか)される建物内に設置した。処置は、ニワトリの到着の前日(D0又は0日目として記録)に開始した。29日目(D29)に、P010を含有するブロックを、新たなものに置き換えた。この試験では、建物01を偽薬で、建物02をP010で処置した。以後、処置した建物は、「P010」と、他のものは、「対照」(偽薬)と呼ぶことになる。
【0143】
屠殺場への輸送
屠殺場へのニワトリの輸送は、トラックによってなされ、ニワトリは、深夜に、それぞれ、50kgの生体重の動物を収めた抽斗を有するコンテナ内で輸送した。
【0144】
屠殺場へのニワトリの出発は、各建物について同じ日、すなわち雄のニワトリについては52日目、雌のニワトリについては40日目の深夜に実施した。これらのデータは、雌のニワトリについての39日目に対比される、雄のニワトリについての49日目である、ITAVI (2001)に報告された全国的結果(N.r.1)「Les syntheses economiques - performances techniques et couts de production「経済的な合成−実施技術及び生産コスト」に匹敵した。
【0145】
採集されたデータ
屠殺場へのニワトリの輸送の前に採集されたデータ
屠殺場への出発の日に、ニワトリから採取した血液サンプルについて、生理学的試験を実施した。合計200のこれらの試験を実施した(各建物について、50羽の雄及び50羽の雌を試験した)。
【0146】
EDTAを含む管と、いかなる化学的防腐剤も含まない通常の管との双方にニワトリから血液を吸引した(drawn)。血液は、ニワトリの翼静脈で採集した。ヘマトクリット/リンパ球(H/L)比、ヘマトクリット、グルコースレベル及びコルチコステロンレベルを測定した。H/Lは、2x500μlを50個の正方形(1cm3)の上に展開した、Mallacezセルを用いて算出した。算出は、クロスアップ手法を用いて演算した。次いで、総リンパ球集団を計数し、比率を演算した。ヘマトクリットは、9000m/s-2(2分間に3,500rpm)での遠心分離後に測定し、(総血液)/(細胞相)の比として表した。グルコースレベルは、Glucotrend(登録商標)を用いて測定した。
【0147】
行動試験(BT)も、血液サンプルを採取した日に実施した。用いた行動試験(BT)は、緊張性不動(TI)試験の派生物であり、捕食性攻撃を刺激する状況に付されたときの、ニワトリの恐怖反応を示す。行動試験(BT)を以下のように実施した。
【0148】
それぞれのニワトリを捕獲し、小さいハンモックに最長60秒間、仰向けに置いた。ニワトリを仰向けにさせたならば、一方の手を10秒間その胸部に載せることによって、穏やかに拘束し、次いで解放するが、その間に、もう1人の人物の1mに位置した目によって、目と目で凝視した。
【0149】
生理学的結果及び行動の結果のそれぞれを、同じニワトリを用いて得た。それぞれのニワトリを捕獲し、行動試験を実施し、次いで、上記の血液試験のために血液を吸引した(drawn)。行動試験の直後に、グルコースレベルを演算した。
【0150】
屠殺場で採集したデータ
屠殺場では、ニワトリの収量に関するいくつかの試験を実施した。初めに、生体重(LW)、死体重(DW)、飼料対利得比(FGR)及び成果指数(PI)を測定した。
【0151】
生体重(LW)は、飼育者によって引き渡されたニワトリの総数で除した、ニワトリの全体重を加えることによって得た。測定は、雄のニワトリ及び雌のニワトリについて、別個に記録した。
【0152】
死体重(DW)は、個々のニワトリの体重について個別になされた測定であった。次いで、体重を100gの分類群に分類した。
【0153】
飼料対利得比(FDG)は、雄雌双方のニワトリのための各建物のニワトリが消費した飼料の総量についてなされた測定であった。
【0154】
成果指数(PI)は、ニワトリ飼育者が、成果を評価するために考慮する主要な指数である。PIは、下記のとおりに算出した:(日次体重利得)/飼料対利得比(FGR)。
【0155】
窒息死したか、又は脚に擦過傷及び/若しくは損傷(汚点)があった、降格されたニワトリからの結果も、分析に含めた。この基準は、屠殺場に引き渡されたニワトリの総数の百分率として、降格された総数についての死体重(DW)の百分率を除外して算出した。
【0156】
「テーブル収量」(TY)と呼ばれる手順も、標準的なニワトリについて実施した(性別あたりn=10、死体重(DW)の同一のクラスから:雄について1.9kg、及び雌について1.2kgから)。テーブル収量の手順は、動物の収量:すなわち、脂肪、ヒレ肉、脚(肉)、皮膚/生体重の比、及び包括的収量:(皮膚+脚)/生体重を評価する。
【0157】
最後に、利益率に関するデータを纏め、P010の経済的効率(粗利益又はGM)を試験した。
【0158】
統計的解析
統計的解析は、Statview F-4.5(登録商標)ソフトウエアを用いて実施した。データは、t検定、及び適切なときはマン−ホイトニーのU検定を用いて、平均及び分散の比較によって解析した。いくつかのデータは、データの欠如のために統計的に解析することができず、そのため、統計的有意差を算出しなかった。にもかかわらず、統計的に解析されなかった結果のいくつかは、他のデータとの関係のために示した。
【0159】
実施例6の結果
【0160】
【表7】

【0161】
【表8】

【0162】
【表9】

【0163】
【表10】

【0164】
【表11】

【0165】
結果の分析
対照とP010との間の差は、雄雌双方のニワトリの死体重(DW)について有意であった。対照ニワトリは、P010処置したニワトリに比して軽かった(p<0.0001)(上表7を参照されたい)。最終生体重(LW)は、雄雌双方のニワトリについてP010に比して、対照群で低かった(それぞれ、3.08kg(処置)に対して2.84kg(対照)の平均、及び1.69kg(処置)に対して1.60kg(対照))。P010の雄のニワトリは、全国的結果(N.r.1)(2.85kg)に見出されたそれに比して重かった。飼料対利得比(FGR)は、P010の建物の方が僅かに高かく(それぞれ、1.90(対照)に対して1.96(処置)、それは、Le Douarin, P.: Enquete technico economique, Reussir Aviculture 83: 24-24 (2003)に記載されたとおりの全国平均を表す。しかし、成果指数(PI)は、対照ニワトリに比して、P010処置ニワトリの方が高く(2.40(対照)に対して2.49(処置))、それは、日次体重利得(DWG)が、P010ニワトリの方が高かったことを意味する。
【0166】
このデータのいくつかは、統計的に比較できなかったとはいえ、それらは、死体重(DW)の差を理解するのに役立つ。生体重(LW)についての全国的結果の値(N.r.2)は、Le Douarin, P (2003)[上記]に記載されたとおり、2.35kgである。ニワトリの生体重についてここで得られた結果は、P010について2.38kg、及び対照ニワトリについて2.20kgであった。対照は、全国的結果2値をやや下回るが、P010には該当しないことが注目される。この観察は、死体重(DW)と生体重(LW)との間に、相関関係が存在すると考えられることから、死体重(DW)で示された差を説明することができる[Feddes, J.J.R., E.J. Emmanuel, M.J. Zuidhof, Poult. Sci., 81: 774-779 (2002)]。
【0167】
その上、より高い一日毎の生体重利得(DWG)が、飼料対利得比(FGR)に関わりなく、最終的な体重の増加へと導くことは論理的である。これは、成果指数(PI)に与えられる極度の重要性に正当化を与える。
【0168】
P010の降格された雄のニワトリ全体(上表8を参照されたい)は、対照の降格されたニワトリ全体についての0.57%に比して、死体重(DW)の0.78%を占めた(p<0.01)。これは、P010処置ニワトリの方が、損傷(汚点)がある脚が高レベルであることによる(12%に対して47%、p<0.001)。しかし、窒息死したニワトリと擦過傷があるニワトリとの双方の百分率は、窒息死についての1.36%(処置された雄)対1.11%(対照雄)及び擦過傷があるニワトリについての8%(処置された雄)対22%(対照雄)(p<0.001)という値によって立証されるとおり、P010処置ニワトリの方が低い。
【0169】
雌のニワトリに関する結果は、雄のニワトリのそれに匹敵する(上表9を参照されたい)。結果は、P010で処置された雌のニワトリについて有意に多い損傷(汚点)がある脚の数を示し(8%(処置)対4%(対照)、p<0.001)、しかしより少ない窒息死したP010処置雌ニワトリの数(3.25%(処置)対6.36%(対照)、p<0.001)及びより少ない擦過傷のあるP010群(10%(処置)対19%(対照)、p<0.001)を示した。
【0170】
にもかかわらず、この試験では、ニワトリについての降格された総死体重(DW)に関して、有意差は全く見出されなかった。降格された総P010処置ニワトリは、Le Douarin, P (2003)[上記]に記載されたような0.96%の全国的結果2値を下回った。
【0171】
試験は、清潔な建物で実施されたものの、いくつかの屠殺場は、鶏舎の床上のあまりにも湿ったリッターと相関する、マークされた脚に格付けする系を利用している[LEJAS, I., La France Agricole., (Fev.(Feb.) 2003)。たとえば、40%のマークされたニワトリの脚という閾値は、フロックが影響されていることの指標であり、80%は、フロックが「過剰影響されて」いることの指標である。この試験では、P010の雄ニワトリは、影響されていると考えることができる。これは、リッターサンプルが、一つの建物で、対照に比してより高いレベルの水分を示したという事実と相関する。
【0172】
建物のそれぞれについて、ニワトリが利用した水の総量は、取り上げられなかったものの、処置されたP010ニワトリは、処置されなかった対照ニワトリに比してより多くの水を消費したと想定することができて、それは、飼料対利得比(FGR)の差と一致する。雄のニワトリは、屠殺前に、より長く鶏舎に留まったため、より多くリッターの質に影響されていることが論理的である。最後に、その他の基準(マークされた脚を除く)が、すべて良好であってさえ、結果がより低いように見えるのは、降格されたニワトリの総数が、これらの基準のすべての算出の際に表されるためである。
【0173】
テーブル収量(TY)に関しては、観察された結果は、いずれも、雄雌双方のニワトリについて統計的に異なった。しかし、P010ニワトリは、対照ニワトリに比して、より多くの肉を有していたように見えることが観察された。
【0174】
観察された2群は、生理学的結果について性別間の差を示した(上表4及び5を参照されたい)。実際、H/L比は、P010ニワトリの方が有意に低く(p<0.01)、群間での雌ニワトリについて差を示した、独自のパラメーターである。雄のニワトリに関しては、コルチコステロンレベルが、対照の方が高かったが(p<0.05)、グルコースレベルは、この同じ対照群の方が低かった(p<0.01)。これらの結果が雄のニワトリが群間で異なるストレスレベルを有することを示す傾向があることを観察することは、興味深い。これは、社会的ストレスを表す傾向がある、H/L比を除いて、雌のニワトリに対して該当することが少ない[Campo, J.L., Davila, S.G., Poult. Sci., 81: 1637-1639 (2002)]。もう一度、雄の出発が雌の12日後に実施されるという事実が、説明となり得る。
【0175】
ヘマトクリットに関しては、群は同等であり、データは文献に従う[Fisher, T.M., Blood Cells, 4: 453-461 (1978)]。生理学的結果からのデータは、テーブル収量(TY)のそれと平行して観察することができた。実際、ストレッサーにさらされた家禽類は、脂肪を蓄える傾向があり、そのため、より痩身である。すなわち、肉がより少ない[Leclerc, B., Guy, G., Rideaux, F., Reprod. Nutr. Dev., 28: 931-937 (1988)]。コルチコステロンレベルの上昇は、タンパク質代謝の容量を減少させるように思われる[Grizard, J., et al., Nutr. Research Rev., 8: 67-91 (1995)]。雄の家禽のグルコース評点は、文献中のものに類似していてさえ、不明瞭であるように見える[Padilha, J.F.C., Influence of heat on energy metabolism and its regulation on broilers、フランス国博士論文、Tours Univ. pp.205 (1995)]。実際、P010ニワトリは、「非常に反応性に富む」ことが論議できるが、それは、筋によるグルコースのより低い捕捉率が存在し、より高い脂質貯蔵率へと導く傾向があることから、肥満における差を説明することもできるであろう[Bray, G.A., York, D.A., Physiol. Reviews, 59: 719-809 (1979)]。したがって、ストレスは、低pHの肉を形成する乳酸産生の上昇のために[Alvarado, C.Z., Sams, A.R., Poult. Sci., 81: 1365-1370 (2002)]、劣悪な屠殺体の品質へと導くと結論することができる。
【0176】
行動試験(BT)を用いては、群又は性別間の差を示すことができなかった。この試験は、雄の家禽については、39.6秒、雌の家禽については41.2秒の平均を与えた。参照された試験[Riedstra, B., Groothuis, N., Appl. Anim. Behav. Sci., 77: 127-138 (2002)]に比して、この試験は、家禽間に真の差を観察するのに充分なだけ長く実施されなかったと論議することができるであろう。行動試験(BT)は、この試験では、フロックのストレスレベルを把握するために、飼育者が迅速な結果を得ることができるように実施された。
【0177】
最後に、粗利益(GM)を、各建物について演算し、P010の建物では、ニワトリ/飼料の利益が4.8%高いことが見出された。
【0178】
結論として、P010製品は、上記の結果によって立証されたとおり、ニワトリにおけるストレスを緩和し、鳥類飼養家にとって経済的に有益である。
【0179】
本発明は、様々な好適な実施態様の形で説明されたが、当業者は、その対象範囲から逸脱することなく、様々な修飾、置換、省略及び変更がなされ得ることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、その均等物も含めて、以下のクレームの範囲によって限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】そのヒヨコから育てられなかったメンドリ、及びヒヨコから育てられた8日目のメンドリのガスクロマトグラフィー/質量分析スペクトルのグラフである。
【図2】そのヒヨコから育てられた、4、8及び12日目のメンドリのガスクロマトグラフィー/質量分析スペクトルのグラフである。
【図3】若いヒヨコの体重の利得を示す棒グラフである。
【化1】


(左斜線)は、ヒヨコを鳥類宥和フェロモンで処置したことを示すのに対して、
【化2】


(右斜線)は、ニワトリをプラセボ(偽薬)で処置したことを示す。
【図4】鳥類宥和フェロモン(上の線)を投与されたときの若いヒヨコの体重利得の増加を、偽薬(下の線)と比較して示すグラフである。
【図5】メンドリ(雌)、オンドリ(雄)及び雄+雌の組合せ(M+F)におけるコルチゾールのレベルを示す棒グラフである。
【図6】メンドリ(雌)、オンドリ(雄)及び雄+雌の組合せ(M+F)におけるT4レベルを示す棒グラフである。
【図7】異なる収容条件下でのニワトリにおけるコルチゾールレベルを示す棒グラフである。
【化3】


(左斜線)は、ニワトリを鳥類宥和フェロモンで処置したことを示すのに対して、
【化4】


(右斜線)は、ニワトリを偽薬で処置したことを示す。
【図8】異なる収容条件下でのニワトリにおけるT4レベルを示す棒グラフである。
【化5】


(左斜線)は、ニワトリを鳥類宥和フェロモンで処置したことを示すのに対して、
【化6】


(右斜線)は、ニワトリを偽薬で処置したことを示す。
【図9】異なる収容条件下でのニワトリにおける体重利得を示す棒グラフである。
【化7】


(左斜線)は、ニワトリを鳥類宥和フェロモンで処置したことを示すのに対して、
【化8】


(右斜線)は、ニワトリを偽薬で処置したことを示す。
【図10】異なる収容条件下でのニワトリにおけるコルチゾールレベルを示す棒グラフである。
【図11】同じ2002年の異なる日付けにおけるメンドリでのH/L比を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥類の尾腺の周囲に由来する鳥類宥和フェロモンを含む組成物。
【請求項2】
該組成物が、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を含む鳥類宥和フェロモンを含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上及び/又はその異性体の1種類以上との混合物を含む鳥類宥和フェロモンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該誘導体が、ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸の、エステル、塩、アルコール、ケトン、エーテル、アルデヒド、ステロール及びアミドである、請求項2又は3記載の組成物。
【請求項5】
無害な充填剤又は固体賦形剤を更に含む、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
該無害な充填剤が、脂肪酸、アルコール、アミン、スクアレン及びグリセリンの群から選ばれる、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
ラウリン酸、パルミチン酸、リノール酸及びオレイン酸、並びにその誘導体を含む鳥類宥和フェロモンと、溶媒とを含む溶液。
【請求項8】
該溶液が、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸、及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物も含む鳥類宥和フェロモンを含む、請求項7記載の溶液。
【請求項9】
該溶媒が、アルコール及びプロピレングリコールである、請求項7又は8記載の溶液。
【請求項10】
該溶液が、スプレー、シャンプー、エアゾルの形態をなすか、或いはマイクロカプセルに封入されているか、又は徐放性基質、重合体、若しくは拡散装置内に存在する、請求項9記載の溶液。
【請求項11】
該拡散装置が、電気的拡散装置である、請求項10記載の溶液。
【請求項12】
鳥類のストレスを処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモンを含む組成物を投与することを含む方法。
【請求項13】
該分泌物が、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸、及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物も含む鳥類宥和フェロモンを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
該組成物が、溶液中に存在し、該溶液を、壁面にか、又は鳥類の羽毛若しくは皮膚にか、又は空気中若しくは小さな容器に適用することによってそれを投与する、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
鳥類の体重喪失を処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法。
【請求項16】
該分泌物が、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物も含む鳥類宥和フェロモンを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
該組成物が、溶液中に存在し、該溶液を、壁面にか、又は鳥類の羽毛若しくは皮膚にか、又は空気中若しくは小さな容器に適用することによってそれを投与する、請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
家禽を輸送の際にその不安を除去するよう処置する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法。
【請求項19】
該分泌物が、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸、及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物も含む鳥類宥和フェロモンを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
該組成物が、溶液中に存在し、該溶液を、壁面にか、又は鳥類の羽毛若しくは皮膚にか、又は空気中若しくは小さな容器に適用することによってそれを投与する、請求項18又は19記載の方法。
【請求項21】
鳥類における飼料変換を改良する方法であって、そのような処置を必要とする鳥類に、鳥類の尾腺の周囲の分泌物に由来する、鳥類宥和フェロモン性組成物を投与することを含む方法。
【請求項22】
該分泌物が、約12.3〜13.7重量%のラウリン酸、約38.0〜42.0重量%のパルミチン酸、約32.3〜35.7重量%のリノール酸及び約12.0〜14.0重量%のオレイン酸、及び/又はその誘導体及び/又はその異性体を含む、その外これらの脂肪酸の1種類以上と、その誘導体の1種類以上、及び/又はその異性体の1種類以上との混合物も含む鳥類宥和フェロモンを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
該組成物が、溶液中に存在し、該溶液を、壁面にか、又は鳥類の羽毛若しくは皮膚にか、又は空気中若しくは小さな容器に適用することによってそれを投与する、請求項21又は22記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2006−508038(P2006−508038A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−514864(P2004−514864)
【出願日】平成15年6月19日(2003.6.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007144
【国際公開番号】WO2004/000336
【国際公開日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【出願人】(504467370)
【氏名又は名称原語表記】FIDELINE
【Fターム(参考)】