説明

スロットマシン

【課題】遊技者が落胆することを防止する。
【解決手段】当選フラグを設定する内部当選フラグ格納ワークに遊技者に有利な遊技状態への移行を持ち越しているか否かを示す持越フラグを設ける。持越フラグがセットされている持越状態における当選フラグが期待度の高いフラグである場合、期待度の低い表示結果を優先して導出させる一方で、持越フラグがセットされていない通常遊技状態における当選フラグが期待度の高いフラグである場合、期待度の高い表示結果を優先して導出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、詳しくは、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置で導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えている。遊技者は、まず、BET操作により賭数を決定し、規定の賭数が設定された状態でスタート操作(レバー操作)する。これにより、リールの回転が開始し、遊技者は各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより回転を停止させる。そして、全てのリールの回転が停止した際に、入賞ラインに予め定められた入賞図柄の組み合わせ(例えば、7−7−7、以下、図柄の組み合わせを役とも呼ぶ)が揃ったことにより入賞が発生する。すなわち、スロットマシンは、遊技者の操作によってゲームが進行するようになっている。
【0003】
入賞する役は、例えば、小役、ボーナス、リプレイといった種類がある。遊技者は、小役の入賞では、小役の種類毎に予め定められた数のメダル(或いは遊技球)が払い出されることで利益を得ることができ、ボーナスの入賞では、遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されることで利益を得ることができる。また、遊技者は、リプレイの入賞では、賭数の設定に新たなメダル(或いは遊技球)を消費することがなく次のゲームを行うことができるという利益を得ることができる。
【0004】
各役が入賞するためには、内部抽選にて当選している必要がある。内部抽選とは、遊技者がスタート操作をすると同時にスロットマシン内部で行われる抽選であり、抽選に当選すると、当選した役のフラグが設定され、当選した役が揃うようにリールが制御される。このような内部抽選において、小役とボーナスが同時に当選するスロットマシンが多く提案されている。
【0005】
このようなスロットマシンの一例として、ボーナス(レギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2))当選が持ち越されていないゲームでスイカとベルに同時当選した場合には、ボーナスと同時当選し得ないベルが優先して入賞させられる一方で、ボーナス当選が持ち越されているゲームでスイカとベルに同時当選した場合には、ボーナスと同時当選し得るスイカが優先して入賞させられるものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−165709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1が開示するスロットマシンでは、内部抽選においてスイカとボーナスとが同時当選し得るため、遊技者は通常の遊技状態でスイカが入賞するとボーナス当選への期待感を持つことができる。しかしながら、ボーナス当選が持ち越されているゲームにおいては、既にボーナスが当選しているため、ボーナスの抽選は行われない。このため、ボーナス当選が持ち越されているゲームでのスイカの入賞は、既にボーナスに当選していることから、遊技者にとってはボーナス当選への期待感を持つことができない無益な入賞であり、遊技者が損した気分になって落胆するおそれがあった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技者が落胆することを防止することができるスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するため、本発明に係るスロットマシンは、
遊技用価値(例えば、メダル)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置(例えば、リール2L、2C、2R)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置で導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(例えば、スロットマシン1)であって、
ゲーム毎に前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、複数種類(例えば、特別役や一般役)の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(例えば、メイン制御部41が実行するステップSa2の処理)と、
前記事前決定手段の決定結果(例えば、当選フラグ)に応じて、前記可変表示装置に表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段(例えば、メイン制御部41が実行するステップSa3の処理)と、
通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態(例えばボーナスやAT、RT)に制御する権利を付与する権利付与手段と、
前記権利付与手段によって前記権利が付与されているゲームにおいて、所定の条件が成立したことに基づいて、前記有利遊技状態に移行させる制御を行う移行制御手段と、
前記権利付与手段によって前記権利が付与されているゲームにおいて、前記所定の条件が成立しなかった場合、該権利を次ゲーム以降に持ち越す持越手段と、
を備え、
前記権利付与手段は、前記事前決定手段の決定結果が第1入賞の発生を許容する第1決定結果(例えば、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役に当選したことを示す当選フラグ)である場合、前記事前決定手段の決定結果が第2入賞の発生を許容する第2決定結果(例えば、「チェリー」を含む抽選対象役に当選したことを示す当選フラグ)である場合よりも高い割合で、前記有利遊技状態に制御する権利を付与し、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、第1特定表示結果(例えば、図10に示す左リール2Lの中段にチェリーが停止して入賞が発生する表示結果)と第2特定表示結果(例えば、図10に示す左リール2Lの角にチェリーが停止して入賞が発生する表示結果)とを含む複数種類の表示結果のうちのいずれかの表示結果を導出可能な制御を行う一方で、前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果である場合、前記第1特定表示結果は導出させずに前記第2特定表示結果を導出可能な制御を行い、
前記持越手段によって前記権利が持ち越されていないゲームにおいて、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、前記第1特定表示結果を前記第2特定表示結果よりも優先して導出させる制御を行う一方で、該持越手段によって該権利が持ち越されているゲームにおいて、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、前記第2特定表示結果を前記第1特定表示結果よりも優先して導出させる制御(例えば、図13に示す持越フラグを基にメイン制御部41が各処理を実行することで実現される図16に示すスロットマシン1の制御)を行う、
ことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、有利遊技状態に制御する権利が持ち越されているゲームにおいて、事前決定手段の決定結果が第1決定結果である場合でも、第1特定表示結果ではなく、第2特定表示結果を優先して導出させることができる。ここで、導出制御手段は、持越手段によって該権利が持ち越されていないゲームにおいて、事前決定手段の決定結果が第1決定結果である場合、第1特定表示結果を優先して導出させる制御を行い、事前決定手段の決定結果が第2決定結果である場合、第1特定表示結果は導出させずに第2特定表示結果を導出させる制御を行う。すなわち、該権利が持ち越されていないゲームにおいては、第1決定結果に応じて第1特定表示結果が導出されやすくなり、第2決定結果に応じて第2特定表示結果が導出されやすくなる。そして、権利付与手段は、事前決定手段の決定結果が第1決定結果である場合、事前決定手段の決定結果が第2決定結果である場合よりも高い割合で有利遊技状態に制御する権利を付与する。従って、遊技者にとっては、第1決定結果に応じて第1特定表示結果が導出された場合、有利遊技状態に制御する権利が付与されているという期待感が高くなり、第2決定結果に応じて第2特定表示結果が導出された場合、第1特定表示結果が導出された場合に比べると、有利遊技状態に制御する権利が付与されているという期待感は低くなる。持越手段によって権利が持ち越されているゲームにおいては、既に有利遊技状態に制御する権利が付与されているため、該権利が持ち越されているゲームにおいて期待感の高い第1特定表示結果が可変表示装置に導出されることは、遊技者を落胆させる原因となる。しかしながら、導出制御手段は、持越手段によって権利が持ち越されているゲームにおいては、事前決定手段の決定結果が第1決定結果である場合、期待感の高い第1特定表示結果よりも期待感の低い第2特定表示結果を優先して導出させる制御を行うため、遊技者が落胆することを防止することできる。
なお、有利遊技状態に制御する権利を付与する権利付与手段は、事前決定手段の決定結果に応じて該権利を付与しても良く、その他の決定手段の決定結果に応じて該権利を付与しても良い。また、導出制御手段が第2特定表示結果を第1特定表示結果よりも”優先して”導出させる制御を行うとは、例えば、必ず第2特定表示結果を導出させる制御を行うという意味や、所定の割合で第2特定表示結果を導出させる制御を行うという意味を含む。
【0011】
(2)上記(1)のスロットマシンにおいて、
前記事前決定手段の決定結果を示唆する示唆演出を実行する示唆手段(例えば、タイマ割込処理(サブ)を実行するサブ制御部91)をさらに備え、
前記示唆手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、該第1決定結果を示唆する第1示唆演出(例えば、図16(B)に示す多量のチェリーを表示する演出)を実行する一方で、前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果である場合、該第2決定結果を示唆する第2示唆演出(例えば、図16(A)に示す少量のチェリーを表示する演出)を実行し、
前記持越手段によって前記権利が持ち越されているゲームにおいて、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、前記第1示唆演出は実行せずに前記第2示唆演出を実行する特別示唆手段を備えていても良い。
【0012】
このような構成によれば、有利遊技状態に制御する権利が持ち越されているゲームにおいて、事前決定手段の決定結果が第1決定結果である場合、第2特定表示結果を第1特定表示結果よりも優先して導出させる制御が行われることに対応して、第2決定結果を示唆する第2示唆演出を実行することができる。これにより、示唆された決定結果に応じた表示結果と実際に導出された表示結果とに齟齬が生じて、遊技者に不信感を与えることを防止することができる。
【0013】
(3)また、上記(1)または(2)のスロットマシンにおいて、
前記可変表示装置で導出された表示結果に応じて、所定の価値(例えば、メダル)を遊技者に付与する価値付与手段(例えば、メイン制御部41が実行するステップSa5の処理)をさらに備え、
前記価値付与手段は、前記可変表示装置に前記第1特定表示結果が導出された場合、前記可変表示装置に前記第2特定表示結果が導出された場合と同一の価値を遊技者に付与しても良い。
【0014】
このような構成によれば、第1特定表示結果が導出された場合と第2特定表示結果が導出された場合とで同一の価値を付与するため、遊技者に不利益を与えることがない。
【0015】
(4)また、上記(1)から(3)のうちいずれかのスロットマシンにおいて、
前記事前決定手段の決定結果に応じて導出可能な表示結果を指定する表示結果データ(例えば、停止制御テーブル)を設定する表示結果データ設定手段をさらに備え、
前記導出制御手段は、前記表示結果データ設定手段によって設定された前記表示結果データに応じて前記可変表示装置に表示結果を導出させる制御を行い、
前記表示結果データ設定手段は、前記事前決定手段の決定結果によって発生が許容される入賞が同一であっても、前記持越手段によって前記権利が持ち越されているか否かに応じて、異なる前記表示結果データ(例えば、図13に示す持越フラグを基にメイン制御部41が設定する図16(B)に示す場合の停止制御テーブルと図16(C)に示す場合の停止制御テーブル)を設定しても良い。
【0016】
このような構成によれば、導出制御手段は、表示結果データ設定手段によって設定された表示結果データに応じて表示結果を導出させる制御を行えば良いため、事前決定手段の決定結果によって発生が許容される入賞が同一の場合でも、異なる表示結果データを設定することで、容易に異なる入賞が発生する表示結果を導出させるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】スロットマシンの内部構造図である。
【図3】リールの図柄配列を示す図である。
【図4】スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【図5】メイン制御部が実行するゲーム処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図6】役の入賞ラインを示す図である。
【図7】特別役の種類、特別役の図柄の組み合わせ、及び特別役に関連する事項について説明するための図である。
【図8】一般役の種類、一般役の図柄の組み合わせ、及び一般役に関連する事項について説明するための図である。
【図9】遊技状態毎に抽選対象役として読み出される抽選対象役の組み合わせについて説明するための図である。
【図10】中段チェリーと角チェリーについて説明するための図である。
【図11】メイン制御部が実行する内部抽選処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図12】期待度について説明するための図である。
【図13】内部当選フラグ格納ワーク内の各領域を説明するための図である。
【図14】持越フラグの更新状況を示すタイムチャートである。
【図15】サブ制御部が実行するタイマ割込処理(サブ)の制御内容を示すフローチャートである。
【図16】スロットマシンの具体的な制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
まず、本実施形態に係るスロットマシン1の概要について説明する。本実施形態に係るスロットマシン1は、前面扉1bと、筐体1aと、から構成されている。
【0020】
スロットマシン1は、図1に示すように、前面扉1bから透視窓3を介して円筒型の左リール2L、中リール2C、右リール2Rを視認することができるように構成されており、リールパネル1cの中央に配置される透視窓3の周囲に、メダルを投入するメダル投入部4と、最大の賭数を設定するMAXBETスイッチ6と、ゲームを開始させるスタートスイッチ7と、各リールを停止させる左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C、右ストップスイッチ8Rと、遊技に係る情報を表示する遊技用表示部13と、を備えている。
【0021】
また、スロットマシン1は、前面扉1bの上部に液晶表示器51を備え、下部にスピーカ53、54と、メダル払出口9と、スロットマシン1のタイトル(機種名)や配当表等が印刷された下部パネル1dと、を備えている。なお、配当表とは、後述する役の構成と役に応じたメダル払い出し枚数等を関連付けて示す表であり、リールパネル1c等に印刷されていても良く、待機状態において液晶表示器51によって表示されても良い。
【0022】
遊技者がスロットマシン1でゲームを開始する場合、一般的には、メダル投入部4に所定の枚数のメダル(通常は3枚以上)を投入し、またはMAXBETスイッチ6を操作して所定の賭数(通常は最大賭数である3枚)を設定する。賭数が設定されると、スタートスイッチ7が有効になり、スロットマシン1はゲーム開始可能な状態になる。ゲーム開始可能な状態で遊技者がスタートスイッチ7を操作すると、各リール(左リール2L、中リール2C、右リール2R)が回転を開始する。この状態で遊技者がいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作して各リールの回転を停止させることで、透視窓3を介して表示結果が導出表示される。
【0023】
各リールの回転が停止することでゲームが終了し、予め決められた図柄の組み合わせが表示結果(役)として導出されている(揃っている)場合、その役に対応した入賞が発生する。入賞に応じたメダルの払い出しが枚数を記憶すると、記憶できるメダル枚数の最大値(通常50枚)以上となる場合、メダル払出口9から最大値を超えた分のメダルが払い出される。遊技状態の移行を伴う役の入賞が発生した場合、その役に応じて遊技状態が移行する。いずれの役の入賞も発生しなかった場合、遊技者は再度MAXBETスイッチ6を操作し、又は再度メダル投入部4にメダルを投入し、次のゲームを開始する。
【0024】
なお、遊技者が遊技を終了する際に記憶されているメダル数が残っている場合、遊技者が精算スイッチ10を操作することで、記憶されているメダル数がメダル払出口9から払い出される。
【0025】
以上がスロットマシン1の概要である。
【0026】
次に、スロットマシン1の詳細な構成について説明する。
【0027】
遊技用表示部13には、クレジットが表示されるクレジット表示器11と、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12と、賭数が1つ設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14と、賭数が2つ設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15と、賭数が3つ設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16と、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17と、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18と、ウェイト状態中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19と、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20と、が設けられている。なお、ウェイト状態とは、前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態のことであり、本実施形態では約4.1秒である。
【0028】
また、「クレジット」とは、スロットマシン1に記憶された(投入された)メダル数のうち、賭数を差し引いたメダル数のことを意味している。本実施形態では、賭数が設定されていない状態においてメダルが投入されると、自動的に投入されたメダル数が賭数として設定される。
【0029】
例えば、メダルが投入されていない状態において、遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、賭数は1に設定され、1BETLED14が点灯する。次に、遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、賭数は2に設定され、2BETLED15が点灯する。さらに遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、賭数は最大である3に設定され、3BETLED16、スタート有効LED18が点灯する。この状態において、スロットマシン1に投入されたメダル数は3枚であるが、その3枚は全て賭数として設定されているため、クレジット表示器11には「0」が表示される。この状態でさらに遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、最大賭数は3であるため、クレジットとしてクレジット表示器11に「1」が表示される。なお、本実施形態では、クレジットの上限は50(枚)とする。
【0030】
スロットマシン1の前面扉1bは施錠部1eにより施錠することができ、ゲームを開始する際は施錠されていることが一般的である。スロットマシン1の前面扉1bは、施錠部1eに鍵を差し込み、時計周り方向に回転操作することで開放することができる。
【0031】
スロットマシン1は、図2に示すように、内部に可動表示装置2と、電源ボックス100と、ホッパーユニット34と、を備えている。
【0032】
可動表示装置2は、上述の各リール2L、2C、2Rと、各リール2L、2C、2Rに対応したリールモータ32L、32C、32Rと、から構成されている。これらのリールモータ32L、32C、32Rが各リール2L、2C、2Rを回転させることで、透視窓3を介して複数種類の図柄が連続的に表示されることとなる。
【0033】
また、可動表示装置2には、後述するリールLED55が設けられており、リールLED55によって各リール2L、2C、2Rの各図柄を独立して照射することができ、これによりリールの視認性を向上することができる。
【0034】
電源ボックス100には、設定を変更する設定キースイッチ37と、通常時にはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更する際には後述する内部抽選の当選確率の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38と、電源のオンオフをする電源スイッチ39と、が設けられている。
【0035】
なお、本実施形態では、スロットマシン1は、設定値に応じてメダル払出率(所謂、機械割)の期待値が異なる。ここで、メダル払出率とは、投入したメダル数に対する払い出されたメダル数の割合である。例えば、メダルを1000枚投入し、1000枚分のゲームが終了した際に1100枚のメダルが払い出されていた場合、メダル払出率は110%となる。当然、投入したメダル数よりも払い出されたメダル数が多い方(メダル払出率が100%以上)が遊技者にとって有利な状態であるということとなる。
【0036】
設定値は、1、2、3、4、5、6の値から設定することが可能であり、値が高い設定値ほどメダル払出率も高くなる。すなわち、設定値が高い値(例えば、4、5、6)に設定されているスロットマシン1は、遊技者にとって有利度が高く、設定値が低い値(例えば、1、2、3)に設定されているスロットマシン1は、有利度が低い。なお、設定値は1、3、6や、1、4、H(High)等の3段階や、1〜7の7段階で設定しても良く、6段階に限定する必要はない。
【0037】
上述の設定値を変更するには、設定キースイッチ37に専用のキーを差し込んでオン状態とした後に電源スイッチ39を操作して、スロットマシン1の電源を投入する必要がある。上述のようにしてスロットマシン1の電源を投入すると、前面扉1bに設けられている設定値表示器24に内部の記憶装置から読み出された設定値が表示される。次に、リセット/設定スイッチ38を操作すると、設定値表示器24に表示される設定値が1ずつ加算される(設定値6の次は1に戻る)。所望の設定値までリセット/設定スイッチ38を操作した後、スタートスイッチ7が操作されると、その設定値が内部の記憶装置に記憶され、遊技可能状態に移行する。
【0038】
設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37に専用のキーを差し込んでオン状態とすれば良い。設定キースイッチ37専用のキーを差し込んでオン状態にすることで、設定値表示器24に内部の記憶装置から取得された設定値が表示される。この状態においては、ゲームを開始することができず、設定キースイッチ37に専用のキーを差し込んでオフ状態とすることでゲームの開始が可能となる。
【0039】
ホッパーユニット34は、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34aと、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34bと、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cと、から構成されている。
【0040】
また、ホッパータンク34aから溢れたメダルを貯留するオーバーフロータンク35がホッパータンク34aと隣接して設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定の数のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられている。満タンセンサ35aは、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルに接触して導電することで、内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわち、オーバーフロータンク35が満杯状態となったことを検出することができる。
【0041】
また、スロットマシン1は、内部に外部出力基板1000を備えており、外部出力基板1000から外部装置に信号を出力する。
【0042】
各リール(左リール2L、中リール2C、右リール2R)には、複数種類の図柄が配列されており、遊技者は、透視窓3を介して、各リール上で縦に3つずつの図柄、すなわち、3×3の図柄を視認することができる。なお、視認することができる図柄数は、これに限られず、各リールで少なくとも一つ以上の図柄を視認することができれば良い。
【0043】
各リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、「黒7」、「網7」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「ベル」、「オレンジ」、「スイカ」、「チェリー」といった互いに識別可能な複数種類の図柄がそれぞれ所定の順序で合計21個ずつ描かれている。
【0044】
なお、上述の複数種類の図柄は図3では平面上で表しているが、上述の通り、実際には各リールは円筒型であるため、20番目の図柄の次には0番目の図柄が配置されていることとなる。また、上述の複数の図柄の配列及び種類は一例であり、任意に設定することができる。
【0045】
以下の説明において、N番の図柄からN+M番の図柄の部分について説明する場合、「Mコマ」と表現する。すなわち、例えば左リール2Lの10番の「黒7」から5コマ以内、と表現した場合、左リール2Lの10番の「黒7」から15番の「リプレイ」までの図柄を意味する。
【0046】
各リール2L、2C、2Rは、それぞれ対応して配置されたリールモータ32L、32C、32Rによって反時計回り(図1では図面上部から下部に向かう方向)に回転し、これにより透視窓3を介して複数種類の図柄が連続的に表示されることとなる。本実施形態では、各リール2L、2C、2Rは、対応して配置されたストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されてから最大190ms遅延して回転を停止する。リールが停止するまでの遅延時間はこれに限られず、ゲーム性を向上するために190ms以上遅延して回転を停止しても良い。
【0047】
なお、各リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄数)=1680コマ分の図柄を変動させる。このため、各リール2L、2C、2Rは、190msの間で最大で4コマの図柄を引き込むことができる。すなわち、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作された際に停止する図柄は、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作された際に表示されていた図柄から4コマ先にある図柄(合計5コマ分の図柄)のうちのいずれかである。
【0048】
例えば、左リール2Lの10番の「黒7」が透視窓3上に表示された際にストップスイッチ8Lが操作された場合、左リール2Lには、左リール2Lの10番の「黒7」から15番の「リプレイ」までのいずれかの図柄が停止することとなる。
【0049】
このため、例えば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作された際に、そのストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とすると、停止するリールは、基準の図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができる。よって、リール2L、2C、2Rは、それぞれストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかが操作された際、そのストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を入賞ラインに表示させることができる。
【0050】
スロットマシン1は、詳細には、図4に示すように、遊技状態を制御する遊技制御基板40と、遊技状態に応じた演出を制御する演出制御基板90と、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101と、から構成されている。
【0051】
電源基板101は、外部からAC100Vの電源が供給され、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する各種電気部品の駆動に必要な直流電圧を生成する。生成された直流電圧は、遊技制御基板40に供給され、遊技制御基板40を介して演出制御基板90にも供給される。
【0052】
また、メイン制御部41からサブ制御部91へコマンドを送信するコマンド伝送ラインと、遊技制御基板40から演出制御基板90に対して電源を供給する電源供給ラインとは、一系統のケーブル及びコネクタを介して接続されている。演出制御基板90側の各部は、上述のコマンド伝送ライン及び電源供給ラインと各基板とを接続するコネクタ同士が全て接続されている場合に動作可能となり、コマンド伝送ラインが演出制御基板90に接続されている状態でなければ、電源が供給されず動作できない。すなわち、演出制御基板90は、コマンド伝送と電源供給ラインが両方接続されて初めて動作可能となる。
【0053】
また、遊技制御基板40は遊技に係る処理を実行するため、セキュリティ上、外部からアクセスできない構成とすることが好ましい。このため、遊技制御基板40と演出制御基板90は、一方向通信であり、遊技制御基板40から演出制御基板90への通信は許容されるが、演出制御基板90から遊技制御基板40への通信は許容されない。
【0054】
電源基板101には、上述のホッパーモータ34bと、払出センサ34cと、設定キースイッチ37と、満タンセンサ35aと、リセット/設定スイッチ38と、電源スイッチ39と、が接続されている。
【0055】
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6と、スタートスイッチ7と、各ストップスイッチ8L、8C、8Rと、精算スイッチ10と、リセットスイッチ23と、ドア開放検出スイッチ25と、打止スイッチ36aと、自動精算スイッチ36bと、各リールセンサ33L、33C、33Rと、が接続され、これらの接続された各種スイッチの検出信号が入力される。また、遊技制御基板40には、電源基板101を介して、払出センサ34cと、満タンセンサ35aと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38と、が接続されており、これらの接続されたスイッチ等の検出信号も入力される。
【0056】
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11と、遊技補助表示器12と、1〜3BETLED14〜16と、投入要求LED17と、スタート有効LED18と、ウェイト中LED19と、リプレイ中LED20と、BETスイッチ有効LED21と、左、中、右停止有効LED22L、22C、22Rと、設定値表示器24と、流路切替ソレノイド30と、リールモータ32L、32C、32Rと、が接続され、これらの接続された電気部品は、後述するメイン制御部41の制御に基づいて駆動する。また、遊技制御基板40には、電源基板101を介して、ホッパーモータ34bが接続されており、この電気部品も、後述するメイン制御部41の制御に基づいて駆動する。
【0057】
なお、リセットスイッチ23は所定のキー操作によりエラー状態や打止状態を解除し、設定値表示器24は設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値を表示し、打止スイッチ36aは打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択し、自動精算スイッチ36bはビッグボーナス(通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態)終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択し、流路切替ソレノイド30はメダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替え、ドア開放検出スイッチ25は前面扉1bの開放状態を検出する。上述の各部は前面扉1bの内側に設けられている。
【0058】
遊技制御基板40は、メイン制御部41と、乱数発生回路42と、サンプリング回路43と、スイッチ検出回路44と、モータ駆動回路45と、ソレノイド駆動回路46と、LED駆動回路47と、電断検出回路48と、リセット回路49と、を備えている。
【0059】
メイン制御部41は、例えば、CPU41aと、RAM41bと、ROM41cと、I/O41dと、から構成されている。ROM41cには、制御プログラムが記憶されており、RAM41bがこの制御プログラムを読み込み、CPU41aは制御プログラムに従って遊技の進行に関する各種処理を実行し、遊技制御基板40に搭載された各回路を制御する。
【0060】
また、メイン制御部41にはバックアップ電源が供給されており、RAM41bは、記憶しているデータをバックアップすることができる。すなわち、例えば停電時等、スロットマシン1への電力供給が停止した場合、RAM41bは、記憶しているデータを所定の期間保存することができる。また、RAM41bは、起動時に診断処理が行われて正常か否かの判別がなされ、ゲームの進行状況に従って各種領域が初期化される。なお、プログラム続行に必要な領域は初期化されることはない。このため、例えばゲームの進行中に不意に停電した場合でも、クレジットの残数や遊技状態を停電前の状態に復帰させることができる。
【0061】
なお、制御プログラムによって、CPU41aにROM読出防止機能とバス出力マスク機能を実行させることも可能である。ROM読出防止機能は、ROM41cの記憶データの読出動作を禁止または許可することができる機能であり、ROM41cの記憶データの読出動作が禁止されると、CPU41aはROM41cの記憶データを読み出すことができない。また、バス出力マスク機能は、外部装置等からROM41cの記憶データの読出要求があった場合、I/O41dの出力にマスクをかけることにより、外部装置等からのROM41cの記憶データの読み出しを禁止する機能である。これらの機能を実行させることで、セキュリティを向上させることができる。
【0062】
乱数発生回路42は、パルスを発生するたびにカウントアップして値を更新するカウンタによって構成されている。サンプリング回路43は、乱数発生回路42がカウントしている数値を取得し、取得した数値をメイン制御部41に出力する。乱数発生回路42は、遊技の進行に使用される乱数の種類毎に設定され、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められている。サンプリング回路43は、CPU41aの指示に従って、乱数発生回路42が示している数値を乱数として取得する。
【0063】
乱数を取得する構成は上述の構成に限られず任意である。例えば、CPU41aは、サンプリング回路43から取得した数値を基に異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェア処理によって各種数値を加工または更新しても良い。なお、本実施形態においては、上述の乱数値の範囲は、16ビットの範囲、すなわち、0〜65535の範囲の値とする。
【0064】
スイッチ検出回路44は、遊技制御基板40に接続されている各種スイッチから入力された検出信号を受信し、受信した検出信号をメイン制御部41に出力する。モータ駆動回路45は、メイン制御部41から出力されたモータ駆動信号を基にリールモータ32L、32C、32R等の各種モータを制御する。ソレノイド駆動回路46は、メイン制御部41から出力されたソレノイド駆動信号を基に流路切替ソレノイド30を制御する。LED駆動回路47は、メイン制御部41から出力されたLED駆動信号を基に遊技制御基板40に接続されている各種LEDや表示器を制御する。
【0065】
電断検出回路48は、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出した際に、電圧低下の検出を示す電圧低下信号をメイン制御部41に出力する。リセット回路49は、電源投入時または電源遮断時等、電源が不安定な状態において、メイン制御部41にシステムリセット信号を出力する。また、リセット回路49は、内部にウォッチドックタイマを備えており、ウォッチドックタイマがタイムアップした場合、すなわち、メイン制御部41の動作が一定時間停止した場合に、メイン制御部41にリセット信号を出力する。
【0066】
メイン制御部41は、遊技制御基板40に接続されている各種スイッチ等の検出信号を受信し、受信した検出信号に従って基本処理を実行する。また、メイン制御部41は、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行することもできる。本実施形態では、メイン制御部41は内部にタイマを備え、タイマが満了したこと、すなわち、一定時間(本実施形態では約0.56ms)経過したことに起因してタイマ割込処理(メイン)を実行する。
【0067】
メイン制御部41は、上述の割込処理の実行中に他の割込を禁止するように設定されており、複数の割込が発生した場合には予め設定された順序に従って割込処理を実行する。なお、割込処理の実行中に他の割込要因が発生し、実行中の割込処理が終了してもその割込要因が継続している状態である場合、実行中の割込処理が終了した時点で新たな割込が発生することとなる。
【0068】
なお、タイマ割込処理の実行間隔Tは、基本処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間が設定されている。すなわち、基本処理が一巡する時間T1とタイマ割込処理(メイン)の実行時間T2との関係は、T1+T2<Tである。このため、メイン制御部41は繰り返し基本処理を実行するが、タイマ割込処理(メイン)が実行される間、少なくとも一度は基本処理を実行できることとなる。
【0069】
演出制御基板90には、液晶表示器51と、演出効果LED52と、スピーカ53、54と、演出用スイッチ56と、リールLED55と、が接続され、これらの演出装置は、後述するサブ制御部91の制御によって駆動される。
【0070】
なお、本実施形態では、演出制御基板90が備えるサブ制御部91が、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、等の演出装置の出力の制御を行う構成とするが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載しても良い。この構成を採用する場合、サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを求め、出力制御部は、その出力パターンに基づいて演出装置の出力制御を行う。このようにすることで、サブ制御部91と出力制御部の両方で演出装置の出力制御を行うことができるようになる。
【0071】
また、本実施形態では、スロットマシン1は、演出装置として上述の液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、演出用スイッチ56を備える構成であるが、これに限られず、他の演出装置を採用することもでき、また、必ずしも上述の演出装置を備えている必要はない。すなわち、上述の各演出装置は、概ねゲーム性向上のために設けられる装置であり、スロットマシン1の動作に影響はない。このため、例えば、機械的に駆動する所謂役モノや、擬似的なリール、立体表示可能な液晶表示器等、様々な演出装置を採用することが可能である。ただし、ナビ演出が実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATとする)に演出状態を制御可能なスロットマシン1については、少なくとも上述のナビ演出を実行可能な演出装置を備えている必要がある。
【0072】
演出制御基板90は、サブ制御部91と、表示制御回路92と、LED駆動回路93と、音声出力回路94と、リセット回路95と、スイッチ検出回路96と、時計装置97と、電断検出回路98と、を備えている。
【0073】
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に、例えば、CPU91aと、RAM91bと、ROM91cと、I/O91dと、から構成されている。CPU91aは、メイン制御部41のCPU41aと同様に、制御プログラムに従って各種処理を実行する。サブ制御部91は、遊技制御基板40から出力されるコマンドを受信し、受信した信号を基に、各種回路の制御等、演出を行うための各種の制御を実行する。
【0074】
表示制御回路92は、サブ制御部91から出力された表示制御信号を基に液晶表示器51の表示制御を行う。LED駆動回路93は、サブ制御部91から出力されたLED駆動信号を基に演出効果LED52、リールLED55等の駆動制御を行う。音声出力回路94は、サブ制御部91から出力された音声出力信号を基にスピーカ53、54の音声出力制御を行う。
【0075】
リセット回路95は、電源投下時または初期化命令が一定時間入力されていない場合に、サブ制御部91にリセット信号を出力する。スイッチ検出回路96は、演出制御基板90に接続されている、例えば演出用スイッチ56のスイッチから入力された検出信号を受信し、受信した検出信号をサブ制御部91に出力する。時計装置97は、日付情報と時刻情報を含む時間情報をサブ制御部91に出力する。電断検出回路98は、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出した際に、電圧低下の検出を示す電圧低下信号をサブ制御部91に出力する。
【0076】
なお、リセット回路95は、遊技制御基板40が備えるリセット回路49よりもリセット信号を解除する電圧が低く定められている。このため、サブ制御部91は、電源投下時において、メイン制御部41よりも早く起動することができる。一方、電断検出回路98は、遊技制御基板40が備える電断検出回路48よりも電圧低下信号を出力する電圧が低く定められている。このため、サブ制御部91は、電断時において、メイン制御部41よりも遅い段階で停電を検知し、電断処理を実施することとなる。
【0077】
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に割込機能を備えており、メイン制御部41からコマンドを受信すると割込を発生させて、メイン制御部41が出力したコマンドを受信してバッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。
【0078】
また、サブ制御部91は、メイン制御部41とは異なり、割込処理の実行中でも他の割込を禁止するように設定されておらず、コマンド受信割込処理を最優先で実行するように設定されている。すなわち、サブ制御部91は、コマンドの受信に基づく割込が発生した場合、タイマ割込処理(サブ)の実行中であっても、タイマ割込処理(サブ)に割り込んでコマンド受信割込処理を実行し、タイマ割込処理(サブ)の契機となる割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を最優先で実行する。
【0079】
また、サブ制御部91にも、バックアップ電源が供給されており、RAM91bは、停電時においても記憶しているデータを所定の期間保持することができる。
【0080】
以上が、スロットマシン1の詳細な構成である。
【0081】
次に、メイン制御部41が実行するゲーム処理の制御内容について説明する。
【0082】
上述の通り、スロットマシン1は、一般的に、賭数の設定、スタートスイッチ7の操作、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作、各リール2L、2C、2Rの停止、メダルの払い出し、とゲームが進行する。このようなゲームの進行状況に合わせて、メイン制御部41は、図5に示すようにゲーム処理を実行する。
【0083】
メイン制御部41は、ゲーム処理を開始すると、BET処理(ステップSa1)、内部抽選処理(ステップSa2)、リール回転処理(ステップSa3)、入賞判定処理(ステップSa4)、払出処理(ステップSa5)、ゲーム終了時処理(ステップSa6)、を順次実行し、ゲーム終了時処理が終了すると、再度BET処理に戻る。
【0084】
メイン制御部41は、ステップSa1におけるBET処理では、賭数を設定可能な状態で待機し、遊技状態に応じた規定の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作されるとゲームを開始させる。
【0085】
メイン制御部41は、ステップSa2における内部抽選処理では、上述のスタートスイッチ7の検出時と同時に内部抽選用の乱数値に基づいて抽選を行い、いずれかの役の入賞を許容するか否かを判別し、当選した役の当選フラグをRAM41bに設定する。
【0086】
メイン制御部41は、ステップSa3におけるリール回転処理では、各リール2L、2C、2Rを回転させ、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された際に、対応するリールの回転を停止させる。
【0087】
メイン制御部41は、ステップSa4における入賞判定処理では、全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止した際に、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞を発生させるか否かを判別する。
【0088】
メイン制御部41は、ステップSa5における払出処理では、上述の入賞判定処理において入賞を発生させると判別された場合に、その入賞に応じてメダルを払い出す必要がある場合、クレジットの加算やメダルの払い出し等を行う。
【0089】
メイン制御部41は、ステップSa5におけるゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する。
【0090】
また、メイン制御部41は、ゲーム処理では、ゲームの進行に従って必要がある場合は、サブ制御部91に対するコマンドを生成し、コマンド伝送ラインを介して生成したコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、受信したコマンドに従って各演出装置の制御を行う。
【0091】
以上が、メイン制御部41が実行するゲーム処理の制御内容についての説明である。
【0092】
次に、役について説明する。
【0093】
本実施形態に係るスロットマシン1は、上述のようにゲームが進行し、各リール2L、2C、2Rが全て停止し、有効な入賞ラインに図柄の組み合わせ、すなわち役が揃うと入賞が発生する。ここで、入賞ラインとは、透視窓3を介して表示される3×3コマのうち、役が揃った際に入賞が発生するラインを意味する。本実施形態では、入賞ラインは、図6に示すように、透視窓3を介して表示される各リール2L、2C、2Rの各コマを、左リール上段2Lt、左リール中段2Lm、左リール下段2Lb、中リール上段2Ct、中リール中段2Cm、中リール下段2Cb、右リール上段2Rt、右リール中段2Rm、右リール下段2Rb、とすると、左リール上段2Lt、中リール中段2Cm、右リール下段2Rb、を通る斜めのラインである入賞ラインL1と、各リールの上段(2Lt、2Ct、2Rt)を結ぶ平行なラインである入賞ラインL2と、は各リールの中段(2Lm、2Cm、2Rm)を結ぶ平行なラインである入賞ラインL3と、各リールを斜め右上(2Lb、2Cm、2Rt)に結ぶ斜めのラインである入賞ラインL4と、からなる。
【0094】
本実施形態では、入賞ラインが4ライン有効である場合について説明するが、これに限られず、例えば、左リール上段2Lt、中リール中段2Cm、右リール上段2Rt、を変則的に結ぶラインを有効にしても良く、入賞ラインL3のみの1ライン構成にしても良い。
【0095】
入賞ラインに揃う役は、任意に設定することが可能であり、同一図柄の組み合わせであっても良く、異なる図柄の組み合わせであっても良い。入賞が発生する役は、大きく分けてメダルの払い出しを伴う役(以下、小役とする)、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始することができる役(以下、再遊技役とする)、遊技者にとって有利な遊技状態への移行を伴う役(以下、特別役とする)、に区分される。なお、以下の説明では、小役と再遊技役を総称して一般役とも称する。これらの一般役や特別役が入賞ラインで揃い入賞が発生するためには、メイン制御部41が実行する内部抽選処理で抽選に当選し、当選した役の当選フラグがRAM41bに設定されている必要がある。
【0096】
なお、一般役(小役や再遊技役)の当選フラグは、その当選フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効となり、次ゲームでは無効となる。一方で、特別役の当選フラグは、その当選フラグが設定されたゲームから特別役が揃うまで有効とされ、その特別役が入賞したゲームで無効となる。すなわち、一般役の場合、当選したゲームで揃えなければメダルの払い出しを伴う入賞が発生することはないが、特別役の場合は、当選したゲームで揃えることができなくても、当選フラグが無効となることはないため、特別役が当選したゲーム以降のゲームであっても入賞させることができる。
【0097】
なお、本実施形態では、メダルの払い出し有無に関わらず、入賞ラインに導出された表示結果に応じて遊技者に所定の価値を付与することを入賞とする。すなわち、遊技状態が移行したゲームにおける取りこぼし表示結果(小役の当選フラグが設定されたゲームでその小役が揃わなかった時の表示結果)が導出されることも入賞であり、メダルの払い出しを伴わない特別役、再遊技役が導出されることも入賞とする。
【0098】
本実施形態では、BB(ビッグボーナス)、RB(レギュラーボーナス)への移行を伴う特別役は、図7に示すように、「白7」、「白7」、「白7」が入賞ラインに揃うことで入賞が発生するBB、「黒7」、「黒7」、「網7」または「網7」、「網7」、「黒7」が入賞ラインに揃うことで入賞が発生するRBの2種類からなる。
【0099】
なお、特別役は、上述の組み合わせ、種類に限られず、任意に設定することが可能である。例えば、「黒7」、「白7」、「網7」が入賞ラインに揃うことで入賞が発生するBBのみであっても良く、複数種類のBB、複数種類のRBであっても良い。
【0100】
また、ボーナスの種類にCB(チャレンジボーナス)を加えても良い。この場合、CB図柄が入賞ラインに揃うことで入賞が発生すると、CT(チャレンジタイム)状態に移行する。CT状態においては、通常の内部抽選処理において小役が当選していなくても、リール制御の制限によって小役に入賞することが許容される。具体的には、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作してから所定の時間(75ms(通常は190ms)内にリール2L、2C、2Rが停止する制御が行われる。CB状態は、このようなCT状態に終了条件が成立するまで(メダルの払い出しが254枚以上となるまで)繰り返し移行されることで実現される。
【0101】
図7に示す特別役は、メイン制御部41が実行する内部抽選処理において当選し、いずれかの入賞ラインに揃うことで入賞が発生し、ボーナス状態(ビッグボーナス、レギュラーボーナス)へと移行する。
【0102】
ボーナス状態は、所定の条件で終了する。本実施形態では、BBは、メダルの払い出しが361枚以上になった時点で終了するものとし、RBは、いずれかの小役の入賞が4回発生するか、またはボーナス状態で12ゲーム消化した時点で終了するものとする。終了条件は上述の条件に限らず、メダル払出率等の設計に従って任意に変更しても良いが、BBは最高でも466枚以上の払い出しを終了条件とすることが好ましい。
【0103】
また、実質的には、ボーナス状態は、ビッグボーナス状態とレギュラーボーナス状態に区分される。RBの入賞に起因して開始されるレギュラーボーナス状態は、上述の通りいずれかの小役の入賞が4回発生するか、または12ゲーム消化した時点で終了するが、BBの入賞に起因して開始されるビッグボーナス状態は、メダルの払い出し枚数の条件を満たすまでレギュラーボーナス状態の移行を繰り返す。すなわち、ビッグボーナス状態は、「1セットのレギュラーボーナス状態の終了後、ビッグボーナス状態の終了条件を満たしていない場合、図柄を介すことなく再度レギュラーボーナス状態に移行する制御がなされる状態」であるとも言える。
【0104】
また、ビッグボーナス状態において、レギュラーボーナス状態へ移行する場合、図柄を介してレギュラーボーナス状態へ移行するようにしても良い。この場合、JACIN図柄(レギュラーボーナス状態への移行を伴う図柄)の入賞後にレギュラーボーナス状態へ移行することとなる。なお、以下の説明においては、レギュラーボーナス状態、ビッグボーナス状態を総称してボーナス状態とする。
【0105】
ボーナス状態に移行するには、特別役が入賞する必要がある。しかしながら、本実施形態では、図3に示すように、特別役は各リール2L、2C、2R上に5コマの範囲内で配置されているわけではないため、遊技者が適正なタイミングでストップスイッチ8L、8C、8Rを操作しなければ入賞させることができない。特別役が当選してから特別役を入賞させるまでのゲームにおいては、特別役の当選フラグは設定されたままになっている。このため、このゲーム間における内部抽選処理では、特別役の抽選は行われず、専用の抽選テーブルを基に抽選処理が行われる。本実施形態では、特別役が当選してから入賞するまでのゲームを内部中状態とする。
【0106】
次に一般役について説明する。本実施形態では、一般役は、図8に示すように、再遊技役としてリプレイ、メダルの払い出しを伴う小役としてベル、スイカ、チェリー、1枚役、を含む。
【0107】
リプレイは、いずれかの入賞ラインに「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。リプレイが入賞すると、自動的にリプレイが入賞したゲームにおける賭数と同値の賭数が設定され、新たに賭数を設定することなく次のゲームを開始することができる状態となる。
【0108】
ベルは、いずれかの入賞ラインに「ベル・ベル・ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。ベルが入賞すると、12枚のメダルが払い出される。スイカは、いずれかの入賞ラインに「スイカ・スイカ・スイカ」が揃ったときに入賞が発生する。スイカが入賞すると、4枚のメダルが払い出される。
【0109】
チェリーは、いずれかの入賞ラインに「チェリー・白7・リプレイ」、「チェリー・黒7・リプレイ」、「チェリー・網7・リプレイ」、「チェリー・スイカ・リプレイ」のいずれかの組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。チェリーが入賞すると、4枚のメダルが払い出される。
【0110】
1枚役は、いずれかの入賞ラインに「オレンジ・BAR・黒7」が揃ったときに入賞が発生する。1枚役が入賞すると、1枚のメダルが払い出される。
【0111】
図3に示すように、リプレイ及びベルについては、全てのリールにおいて5コマ以内に配置されている。すなわち、リプレイ、ベルが当選した場合、遊技者は、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらず、リプレイ、ベルを入賞させることができる。一方で、スイカ、1枚役については、それぞれの図柄が全てのリールにおいて5コマ以内に配置されているわけではない。従って、スイカ、1枚役、が当選した場合、遊技者は、ストップスイッチ8L、8C、8Rを適正に操作しなければ、これらの小役を入賞させることができない。
【0112】
チェリーについても、図3に示すように、左リール2L上のチェリーは1箇所にしか配置されていないため、遊技者はストップスイッチ8Lを適正なタイミングで操作しなければ左リール2L上にチェリーを停止させることができない。一方で、中リール2C上の白7、黒7、網7、スイカと、右リール2R上のリプレイはそれぞれ5コマ以内に配置されている。従って、遊技者は左リール2L上にチェリーを停止させれば、ストップスイッチ8Cの操作タイミングに依らず、チェリーを入賞させることができる。
【0113】
なお、一般役は、上述のような図柄の組み合わせ、払い出し枚数に限られず、任意に設定することが可能である。例えば、スイカを2種類に区分し、平行スイカ、斜めスイカとしても良く、チェリーを2種類に区分し、チェリーA、チェリーBとしても良い。
【0114】
また、入賞ラインを中段のL3のみの1ライン構成にする場合、無効ラインで上述の図柄の組み合わせが揃うような一般役の構成にしても良い。このような構成において、例えば、左リール2Lの8番のベル、中リール2Cの7番のベル、右リール2Rの8番のベル、が無効ラインL2で揃った場合、実際に入賞ラインL3で揃う図柄は、左リール2Lの7番のリプレイ、中リール2Cの6番のチェリー、右リール2Rの7番のスイカ、であるため、入賞ラインL3に「リプレイ・チェリー・スイカ」の図柄が揃った場合にはベルと同等の払い出し(12枚)を付与することで、無効ラインでベルが揃った場合でも、入賞が発生することとなる。
【0115】
一般役は、内部抽選処理において当選する際、複数の一般役を含む複合役として当選する場合がある。このような複合役は、複数の一般役から構成されているものの、内部抽選処理において当選すると、1つの当選フラグとして設定される。本実施形態では、抽選の対象となる役は複合役を含み、図9に示すように、例えば「BB+スイカ」等、特別役と少なくとも一つ以上の一般役が同時に当選する役(以下、同時当選役とする)と、例えば「チェリー+1枚役」等、複数の一般役が同時に当選する複合役と、例えば「RB」や「チェリー」等、特別役または一般役が単独で当選する役(以下、単独役とする)と、を含むものとする。抽選対象役のうち一般役は、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」、である。
【0116】
「リプレイ」は、リプレイが単独で当選する場合の再遊技役であり、「ベル」は、ベルが単独で当選する場合の小役である。「スイカ」は、スイカが単独で当選する場合の小役であり、「スイカ+1枚役」は、スイカと1枚役が複合して当選する複合役である。「スイカ」が当選すると、斜めの入賞ライン(L1、L4)でスイカが揃う表示結果(以下、斜めスイカとする)の導出が許容され、「スイカ+1枚役」が当選すると、平行な入賞ライン(L2、L3)でスイカが揃う表示結果(以下、平行スイカとする)の導出が許容される。
【0117】
「チェリー」は、チェリーが単独で当選する場合の小役であり、「チェリー+1枚役」は、チェリーと1枚役が複合して当選する複合役である。「チェリー」が当選すると、図10に示すように、優先して左リール2Lの上段または下段にチェリーが停止して揃う表示結果(以下、角チェリーとする)の導出が許容され、「チェリー+1枚役」が当選すると、優先して左リール2Lの中段にチェリーが停止して揃う表示結果(以下、中段チェリーとする)の導出が許容される。また、1枚役は、1枚役が単独で当選する場合の小役である。
【0118】
すなわち、遊技者は、平行スイカが導出されると当選フラグが「スイカ+1枚役」を含むものであったこと、斜めスイカが導出されると当選フラグが「スイカ」を含むものであったこと、角チェリーが導出されると当選フラグが「チェリー」を含むものであったこと、中段チェリーが導出されると当選フラグが「チェリー+1枚役」を含むものであったこと、を判断することができる。
【0119】
なお、抽選対象役は上述に限られず、任意に設定することが可能であり、例えば、抽選対象役をそれぞれの特別役、一般役そのものとしても良い。
【0120】
以上が、役についての説明である。
【0121】
次に、内部抽選処理について説明する。
【0122】
上述で説明した特別役及び一般役は、内部抽選処理において当選し、RAM41bに当選フラグが設定されていなければ入賞させることができない。本実施形態では、内部抽選処理における各抽選対象役の当選確率は、設定値及び遊技状態によって異なる。すなわち、設定値が1〜6のいずれかの値かに加え、遊技状態が後述する通常遊技状態であるか、リプレイタイム(以下、RTとする)状態であるか、内部中状態であるか、ボーナス状態であるか、によって異なる抽選テーブルを基に抽選を行う。
【0123】
本実施形態では、スロットマシン1は、通常遊技状態、RT状態、内部中状態、ボーナス状態、を含む複数種類の遊技状態に制御される。通常遊技状態は、通常の遊技状態であり、特別役が当選しておらず比較的メダル払出率の低い遊技状態である。RT状態は、通常遊技状態と比較して再遊技役の当選確率が異なる遊技状態である。本実施形態では、RT状態は、再遊技役の当選確率が大幅に上がる遊技状態であり、特別役には当選していないが再遊技役の当選確率が高いためにメダル払出率が比較的高い遊技状態である。内部中状態は、特別役に当選してから特別役が入賞するまでのゲームにおける遊技状態であり、ここでは既に特別役が当選しているために特別役が当選し得る役は抽選対象から除外される。ボーナス状態は、特別役の入賞の発生に伴い移行する特別遊技状態であり、メダルの払い出しを伴うベルの確率が大幅に上がることで、メダル払出率が非常に高くなる遊技状態である。なお、本実施形態では、通常遊技状態で規定ゲーム数消化後にRT状態に移行するものとするが、これに限られず、ボーナス状態の終了後や、特定条件が成立した後に移行しても良い。
【0124】
遊技状態は、RAM41bに遊技状態フラグとして設定されている。このため、メイン制御部41は、RAM41bの遊技状態フラグを参照することで、現在の遊技状態を判別することができる。なお、通常遊技状態及びRT状態は、同一の遊技状態フラグとして設定されている。このため、通常遊技状態及びRT状態を判別するには、RAM41bのRTフラグの値を参照する必要がある。RTフラグには、例えば、通常遊技状態の場合は0、RT状態の場合は1、等と値が設定されている。
【0125】
抽選対象役は、図9に示すように、各遊技状態に応じた抽選テーブルに従って設定されている。すなわち、抽選対象役や判定値数は、通常遊技状態、RT状態、内部中状態、ボーナス状態に応じて異なる。
【0126】
通常遊技状態またはRT状態では、「BB」、「BB+スイカ」、「BB+スイカ+1枚役」、「BB+チェリー」、「BB+チェリー+1枚役」、「BB+1枚役」、「RB」、「RB+スイカ」、「RB+スイカ+1枚役」、「RB+チェリー」、「RB+チェリー+1枚役」、「RB+1枚役」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」、が抽選対象役として設定されている抽選テーブルを基に内部抽選処理を行う。
【0127】
内部中状態では、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」、が抽選対象役として設定されている抽選テーブルを基に内部抽選処理を行う。
【0128】
ボーナス状態では、「ベル」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」、が抽選対象役として設定されている抽選テーブルを基に内部抽選処理を行う。
【0129】
なお、図9に示している数値は抽選対象役が当選する判定値であり、この判定値を基に内部抽選処理が行われる。判定値の分母は、65536(2の16乗)に設定されている。すなわち、抽選対象役の当選確率は、判定値数/65536となる。また、図9に示している判定値は、設定値が1である場合の判定値とするが、これに限られない。上述のように設定値に従ってメダル払出率が変動するように設計するには、例えば、設定値が大きくなるにつれて同時当選役の判定値を増加させるようにすれば良い。
【0130】
なお、本実施形態では、特別役と一般役が同時に当選している場合、一般役が優先して入賞するように制御される。すなわち、例えば「BB+スイカ+1枚役」が当選した場合、そのゲームにおいては、「スイカ+1枚役」に対応して平行スイカが揃う制御となる。このため、遊技者は、平行スイカが導出されると、BB当選への一定の期待度を持つことができる。
【0131】
メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される前(実際には、スタートスイッチ7の検出時)に、各役(一般役や特別役)の入賞を許容するか否かを上述の抽選テーブルを基に決定する。すなわち、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選処理が行われ、いずれかの役が当選すれば、その役の入賞が許容されるため、その役を各リール2L、2C、2R上に導出表示することができる。
【0132】
まず、メイン制御部41は、スタートスイッチ7の操作検出時に内部抽選用の乱数値(0〜65535の整数)を取得する。メイン制御部41は、取得した乱数値をRAM41bの専用の領域(乱数値格納ワーク)に記憶し、図5のステップSa1におけるBET処理にて、乱数値格納ワークに記憶されている乱数値をさらに抽選用の領域(抽選用ワーク)に記憶する。
【0133】
メイン制御部41は、図5のステップSa2において内部抽選処理を実行すると、図11に示すように、RAM41bに設定されている遊技状態フラグを参照し、現在の遊技状態がボーナス状態であるか否かを判別する(ステップSb1)。
【0134】
現在の遊技状態がボーナス状態である場合(ステップSb1;Yes)、メイン制御部41は、ボーナス状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSb2)。
【0135】
現在の遊技状態がボーナス状態ではない場合(ステップSb1;No)、メイン制御部41は、現在の遊技状態が特別役を持ち越している状態か否か、すなわち、内部中状態であるか否かを判別する(ステップSb3)。
【0136】
現在の遊技状態が内部中状態である場合(ステップSb3;Yes)、メイン制御部41は、内部中状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSb4)。
【0137】
現在の遊技状態が内部中状態ではない場合(ステップSb3;No)、メイン制御部41は、RAM41bに設定されているRTフラグの値を参照し、遊技状態がRT状態であるか否かを判別する(ステップSb5)。
【0138】
現在の遊技状態がRT状態である場合(ステップSb5;Yes)、メイン制御部41は、RT状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSb6)。
【0139】
現在の遊技状態がRT状態ではない場合(ステップSb5;No)、メイン制御部41は、通常遊技状態であると判別し、通常遊技状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSb7)。
【0140】
メイン制御部41は、それぞれの遊技状態に応じて抽選テーブルを設定すると、賭数及び設定値に応じた判定値数を設定された抽選テーブルから取得し、取得した判定値数と抽選用ワークに格納された乱数値とに基づいて、役の当選有無を判別する抽選処理を実行する(ステップSb8)。抽選処理では、抽選テーブルから取得した判定値数を、抽選用ワークに記憶された数値データ(乱数値)に順次加算し、加算の結果がオーバーフローした際に、その役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値/65536)で役が当選することとなる。
【0141】
メイン制御部41は、いずれかの役が当選したと判別すると、当選したと判別した役に対応する当選フラグをRAM41bの内部当選フラグ格納ワークに設定し(ステップSb9)、内部抽選処理を終了してゲーム処理に復帰する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの領域で構成されており、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークと、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとで区分されている。特別役格納ワークに設定される当選フラグは、特別役が当選した場合に設定され、特別役が入賞するまでクリアされることはない。一般役格納ワークに設定される当選フラグは、一般役が当選した場合に設定され、いずれの役にも当選しなかった場合にクリアされる。
【0142】
なお、メイン制御部41は、スタートスイッチ7の操作検出時に内部抽選用の乱数値を取得するが、例えば静電気等のノイズによりスタートスイッチ7の操作を誤検出してしまった場合や、ゲームが開始できない状態でスタートスイッチ7の操作を検出した場合でも乱数値を取得してしまうと、正常に内部抽選処理が行われなくなる可能性がある。しかしながら本実施形態では、メイン制御部41がBET処理においてゲームの開始が可能な場合に乱数値格納ワークに格納されている乱数値を抽選用ワークに格納し、内部抽選処理では抽選用ワークに格納された乱数値を基に抽選を行う。このため、静電気等のノイズやゲームが開始できない状態においてスタートスイッチ7の操作が誤検出された場合でも、内部抽選処理で使用される抽選用格納ワークには影響を与えないため、正常に内部抽選処理を行うことができる。
【0143】
以上が、内部抽選処理についての説明である。
【0144】
次に、本実施形態に係る持越状態について説明する。
【0145】
図9に示すように、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」は、同時当選役として当選し得る役である。このため、遊技者は、上述の小役が入賞すると、特別役に当選している期待度(ボーナス期待度)を持つことができる。
【0146】
「チェリー」と「チェリー+1枚役」を例に取ると、図12に示すように、「チェリー」が単独役として当選する判定値は、図9からわかるように444であり、同時当選役として当選する判定値は31である。従って、「チェリー」を含む抽選対象役に当選した際のボーナス期待度は、31/(31+444)=0.0698、すなわち、約7%程度である。一方、「チェリー+1枚役」が単独役として当選する判定値は156であり、同時当選役として当選する判定値は39である。従って、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役に当選した際のボーナス期待度は、39/(39+156)=0.25、すなわち、25%である。
【0147】
通常遊技状態またはRT状態では、「チェリー」が当選したことに対応して角チェリーが導出可能となり、「チェリー+1枚役」が当選したことに対応して中段チェリーが導出可能となる。よって、遊技者は、通常遊技状態またはRT状態時に「チェリー」を含む当選フラグに対応する角チェリーが導出されると、ボーナス期待度を約7%程度持つことができ、「チェリー+1枚役」を含む当選フラグに対応する中段チェリーが導出されると、約25%のボーナス期待度を持つことができる。換言すれば、角チェリー導出時は約7%(約14回に1回)で特別役と同時当選していることとなり、中段チェリー導出時は約25%(約4回に1回)で特別役と同時当選していることとなる。
【0148】
ここで、特別役を持ち越しているゲームにおいて、内部抽選処理によって「チェリー+1枚役」が当選する場合を考える。遊技状態はスロットマシン1の内部で決定されているものであるが、一般的に、特別役が当選すると、サブ制御部91による演出制御によって特別役の入賞が可能であることを報知する演出(ボーナス確定演出)が実行される。この場合、遊技者は、現在の遊技状態が、特別役が当選している状態である、または特別役を持ち越している状態である、ということを判断することができる。
【0149】
「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役の当選確率は全遊技状態共通で低く、ボーナス期待度は高い。しかしながら、特別役を持ち越しているゲームでは「チェリー+1枚役」が当選しても、特別役と同時に当選することは無い(ボーナス期待度が0)。このため、特別役を持ち越しているゲームにおける「チェリー+1枚役」の当選は、遊技者にとっては無駄な当選となる。すなわち、ボーナス確定演出が実行されているゲームにおいて、「チェリー+1枚役」に対応する中段チェリーが導出されることは、遊技者が落胆する原因となる。
【0150】
また、遊技者は、ボーナス確定演出が実行されなくても、サブ制御部91による演出制御や、各リール2L、2C、2Rの停止位置等によって、ある程度遊技状態を把握し、特別役が当選している状態であると判断している場合がある。この場合においても、上述のような無駄な当選は遊技者が落胆する原因となる。
【0151】
さらに、ボーナス確定演出が実行されるまで特別役に当選しているか否かを判断できない遊技者であっても、例えば中段チェリーが複数回のゲームで導出された後に、ボーナス確定演出が実行された場合や特別役が入賞した場合、遊技者は最初に中段チェリーが導出されたゲームにおいて特別役に当選していた可能性を想定することができ、2回目以降の中段チェリーの導出が特別役を持ち越しているゲームにおける「チェリー+1枚役」の当選であった、すなわち無駄な当選であったと判断し、落胆する可能性がある。
【0152】
つまり、遊技者の知識や技量、演出制御の状態、遊技者が特別役に当選していると知ったタイミングに関わらず、特別役を持ち越している遊技状態においてボーナス期待度の高い当選フラグに対応した表示結果が導出されることは、遊技者を落胆させる恐れがある。
【0153】
本実施形態では、上述のような問題を回避するため、特別役を持ち越している遊技状態における当選フラグがボーナス期待度の高いフラグである場合、ボーナス期待度の低い表示結果を優先して導出させるように制御する。すなわち、特別役を持ち越しているゲームにおいて内部抽選処理で「チェリー+1枚役」が当選した場合、ボーナス期待度の低い角チェリーを中段チェリーよりも優先して導出させるように制御する。上述の通り、遊技者は、角チェリーが導出されると「チェリー」を含む抽選対象役が当選していたと判断するため、中段チェリーが導出された場合と比較すると遊技者が落胆する可能性は低くなる。
【0154】
本実施形態では、内部当選フラグ格納ワークを基に特別役を持ち越している遊技状態か否かを判別する。例えば、図13に示すように、内部当選フラグ格納ワークの上位1ビットを持越フラグとして使用し、上位1ビットを除いた7ビットを特別役格納ワークとして使用し、下位1バイト(8ビット)を一般役格納ワークとして使用する。本実施形態では、特別役が当選したゲームにおいて特別役が入賞しなかった場合に持越フラグをセット(1)し、特別役の入賞と同時に持越フラグをクリア(0)する。このように持越フラグを設定することで、遊技状態フラグを参照しなくても特別役を持ち越している遊技状態か否かを判別することができる。
【0155】
なお、以下の説明においては、内部当選フラグ格納ワークの持越フラグがセットされている遊技状態を「持越状態」として説明する。
【0156】
持越フラグは、具体的には、図14に示すように、ゲーム終了後(払出処理後)、すなわち、ゲーム終了時処理でセットされる。例えば、スタートスイッチ7が操作され、ゲームが開始されると、内部抽選処理が実行される。ここで、「BB+チェリー+1枚役」が当選すると、遊技状態フラグは内部中状態に設定され、特別役格納ワークにはBBが設定される。すなわち、ゲーム開始と同時に、遊技状態フラグが設定されることとなる。一方で、持越フラグは、ゲーム開始時にはセットされず、ゲーム終了後にBBが入賞していない場合に、セットされる。このため、以下の説明では、持越状態と内部中状態とは区別して使用する。なお、持越フラグは、特別役が入賞した際、すなわち、入賞判定処理にてクリアされることとなる。
【0157】
なお、本実施形態に係るスロットマシン1を、サブ制御部91により内部抽選結果を報知する演出を実行する遊技状態であるAT(アシストタイム)状態に制御可能とし、AT状態への移行を持ち越している遊技状態についても、持越フラグをセットし、持越状態として制御しても良い。また、RT状態への移行を持ち越している遊技状態についても、同様に持越状態として制御しても良い。
【0158】
スロットマシン1をAT状態に制御可能とする場合、一般役の構成にストップスイッチ8L、8C、8Rの操作の順番によって図柄の組み合わせやメダル払い出し枚数が異なる押し順リプレイ、押し順ベルや、左リール2Lの数種類の図柄のうちいずれかを選択することで役が揃う選択ベル等を含めるほうが好ましい。押し順リプレイとは、例えば、ストップスイッチ8L、8C、8Rを右(8R)、中(8C)、左(8L)の順番で操作すると特殊リプレイが入賞し、それ以外の順番で操作するとリプレイが入賞する役のことである。押し順ベルとは、例えば、図柄の組み合わせが「any・ベル・any」であり、メダル払い出し枚数が4枚であり、ストップスイッチ8L、8C、8Rを右(8R)、左(8L)、中(8C)の順番で操作すると中リール2Cの中段2Cmにベル図柄が停止し、3つの入賞ラインで入賞が発生しているため、合計12枚(4×3)のメダルが払い出され、それ以外の順番で操作すると中リール2Cの上段2Ctにベル図柄が停止し、1つの入賞ラインで入賞が発生しているため、4枚のメダルが払い出される役のことである。選択ベルとは、例えば図柄の組み合わせが「白7・ベル・ベル」である白7ベル、「黒7・ベル・ベル」である黒7ベル、「網7・ベル・ベル」である網7ベルであり、それぞれのベルが独立して当選し、左リール2L上に白7、黒7、網7のいずれかを停止させ、当選した選択ベルの組み合わせと一致していれば入賞が発生する役のことである。
【0159】
このような押し順リプレイ、押し順ベルや選択ベルは、内部抽選処理にて当選しているが、遊技者にとってはどの順番で、どの図柄を意識してストップスイッチ8L、8C、8Rを操作することが最も有利なのかの判断が付かない。このため、AT状態に移行し、押し順リプレイ、押し順ベルまたは選択ベルが当選した場合にストップスイッチ8L、8C、8Rの操作順や照準を合わせる図柄を演出として示唆することで、ゲーム性を向上することができ、遊技者は有利な状況になることができる。なお、サブ制御部91がAT状態に制御している状態において、メイン制御部41がRT状態に制御すれば、リプレイの当選確率が高くなり、かつ最も有利な押し順が報知される遊技状態(ART、アシストリプレイタイム)となり、より遊技者に有利な遊技状態に制御することができる。
【0160】
AT状態への移行の判別は、通常、サブ制御部91によって行われる。例えば、サブ制御部91は、メイン制御部41から受信した内部抽選処理の当選フラグを示す内部当選コマンドを基にAT状態に移行するか否かを決定する抽選を実行する。抽選によってAT状態への移行が決定され、所定の条件が成立したことに伴いAT状態に移行した場合、サブ制御部91は、終了条件が成立するまで演出状態をAT状態に制御する。なお、終了条件は任意であり、所定のゲーム数消化や、予め決められた小役の入賞、上述の押し順役の押し順不正解等である。
【0161】
AT、RT状態についても、ボーナス状態と同様に、遊技者にとって有利な遊技状態である。このため、AT、RT状態への移行を持ち越している遊技状態において、AT、RT状態への移行の期待度が高い表示結果が導出されると、遊技者が落胆する可能性がある。よって、AT、RT状態への移行を持ち越している遊技状態を持越状態とし、持越状態における当選フラグがAT、RT状態への移行の期待度の高いフラグである場合、AT、RT状態への移行の期待度の低い表示結果を優先して導出させるように制御することで、遊技者が落胆することを防ぐことができる。
【0162】
なお、サブ制御部91がAT状態への抽選を行う場合、メイン制御部41はAT状態への抽選に当選したか否かを判別することができない。これは、上述の通りメイン制御部41とサブ制御部91との通信は一方向通信(メイン制御部41からサブ制御部91)であり(図4参照)、サブ制御部91が実行する処理結果をメイン制御部41に通知する手段が無いためである。
【0163】
メイン制御部41とサブ制御部91との通信を双方向通信にすると、サブ制御部91がメイン制御部41に処理結果を特定するコマンドを送信することでメイン制御部41がサブ制御部91の処理結果を判別することができるが、外部からメイン制御部41にアクセスできることとなりセキュリティ上好ましくない。このため、メイン制御部41がAT状態を持ち越しているか否かを判別することができる構成にする場合、メイン制御部41にてAT状態の抽選を行い、AT状態の当選を示すコマンドをサブ制御部91に送信することで、サブ制御部91にAT状態を制御させれば良い。このような構成の場合、メイン制御部41はAT状態か否かの判別も可能となるため、AT状態における内部抽選処理ではAT状態に対応する抽選テーブルを基に抽選を実施しても良い。
【0164】
ここで、AT、RT状態へ移行するまでのゲームにおいても、持越状態として制御する場合、遊技状態としては、通常遊技状態から移行条件を満たすことで持越状態に移行し、持越状態から移行条件を満たすことでAT、RT状態へと移行することとなる。また、AT、RT状態から移行条件を満たすことで通常遊技状態へと移行する。
【0165】
このように、移行条件には、通常遊技状態から持越状態に移行する条件、持越状態からAT、RT状態に移行する条件、AT、RT状態から通常遊技状態に移行する条件、と複数種類ある。これらの条件はそれぞれ異なる条件であり、任意に設定することが可能である。
【0166】
通常遊技状態から持越状態に移行する条件は、例えば、内部抽選処理において役の抽選とともにAT、RT抽選を実行し、AT、RT抽選に当選したことを条件にしても良い。内部抽選処理とともにAT、RT抽選も実行する場合、通常遊技状態における内部抽選処理での当選フラグに基づいてAT、RT抽選を実行し、AT、RT抽選にも当選し、当選したゲームではAT、RT状態に移行しなかった場合、持越フラグをセットし、遊技状態が通常遊技状態から持越状態へと移行する。
【0167】
持越状態からAT、RT状態への移行の条件は任意であり、例えば、所定のゲーム数の消化や、一般役の当選を移行条件にして良い。所定のゲーム数の消化を移行条件とする場合、例えば、通常遊技状態でAT、RT抽選に当選してから30ゲーム後にAT、RT状態へと移行し、移行したゲーム開始時または移行する直前のゲーム終了時に、持越フラグをクリアする。この所定のゲーム数は、予め決められたテーブルを参照して決定しても良い。一般役の当選を移行条件とする場合、例えば、持越状態に移行してからベル当選時にAT、RT状態へと移行し、移行したゲーム開始時または移行する直前のゲーム終了時に持越フラグをクリアする。当然、条件とする一般役はベルに限らず任意である。
【0168】
AT、RT状態から通常遊技状態への移行の条件は任意であり、例えば、所定のゲーム数の消化や、継続抽選での非当選、一般役の当選等を移行条件にして良い。所定のゲーム数の消化を移行条件とする場合、例えば、AT、RT状態に移行してから50ゲーム後に通常遊技状態へと移行する。継続抽選での非当選を移行条件とする場合、1ゲーム毎、もしくは所定のゲーム(例えば30ゲーム)毎にAT、RT継続テーブルを参照して継続抽選処理を実行し、継続抽選に当選した場合はAT、RT状態を維持し、継続抽選に当選しなかった場合は通常遊技状態に移行、またはサブ制御部91による役の報知を停止する。一般役の当選を移行条件にする場合、例えば、「チェリー」当選時に通常遊技状態へと移行する。当然、条件とする一般役は「チェリー」に限らず任意である。
【0169】
なお、AT状態からの移行(転落)条件を一般役の当選や、押し順不正解とすることで、メイン制御部41はAT状態からの移行を判別することができるが、サブ制御部91によって継続抽選が行われる構成にした場合であっても、その後の押し順不正解等を契機にAT状態が終了していることを判別すれば良い。
【0170】
また、通常遊技状態から直接AT、RT状態に移行する構成にしても良い。この場合、例えば、役の構成に特殊リプレイを含め、通常遊技状態における特殊リプレイの入賞を移行条件にすれば良い。なお、通常遊技状態から直接AT、RT状態に移行する場合、実際にはAT、RT状態が持ち越されているゲームは存在しないため、持越フラグはセットされない。
【0171】
なお、以下の説明において「期待度」と称する場合、ボーナス状態へ移行することへの期待度、すなわちボーナス期待度、またはRT状態、AT状態へ移行することへの期待度、すなわちAT、RT当選への期待度、を含むものとする。また、「チェリー+1枚役」や「スイカ+1枚役」といった役はボーナス期待度だけではなく、AT、RT当選への期待度も高いものとする。すなわち、「チェリー+1枚役」、「スイカ+1枚役」等の役は、期待度の高い役である。
【0172】
以上が、本実施形態に係る持越状態についての説明である。
【0173】
次に、リール回転処理について説明する。
【0174】
メイン制御部41は、内部抽選処理でいずれかの役が当選すると、各リール2L、2C、2Rで当選した役の導出表示を許容する制御を行う(図5、ステップSa3)。ここでは、各リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
【0175】
メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rが回転を開始したとき、またはいずれかのリールが停止し、未停止のリールが残っているとき、ROM41cに格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリールそれぞれの停止制御テーブルを作成する。そして、メイン制御部41は、回転中のリールに対応するストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかの操作が検出されると、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
【0176】
なお、滑りコマ数とは、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作してから実際にリール2L、2C、2Rが停止するまでにリール上を通過するコマ数のことである。例えば、図3に示す左リール2Lの18番の「白7」が下段を通過時にストップスイッチ8Lを操作し、実際に左リール下段2Lbには20番の「ベル」が停止していた場合、滑りコマ数は2コマであったことがわかる。
【0177】
テーブルインデックスには、内部抽選処理による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態とする)毎にアドレスが格納されており、メイン制御部41は、内部当選状態に応じたアドレスを取得することで、テーブル作成用データを取得することができる。なお、内部当選状態が異なる場合でも、同一のリール制御が適用される場合は、テーブルインデックスには同一のアドレスが格納されている。このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
【0178】
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、から構成される。なお、停止操作位置とは、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を検出した際の図柄の位置を意味する。
【0179】
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、各リール2L、2C、2Rの停止状況によって異なる場合がある。すなわち、全てのリール2L、2C、2Rが回転しているか、いずれか一つのリールのみ停止しているか、いずれか二つのリールが停止しているか、によって異なる場合がある。更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合がある。このため、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、メイン制御部41は、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスを特定することができる。そして、メイン制御部41は、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定することができる。
【0180】
なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照される。
【0181】
停止制御テーブルは、停止操作(ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作)が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定できるテーブルである。本実施形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータを採用している。すなわち、リールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることで、リール2L、2C、2Rが1周する。そして、リールモータ32L、32C、32Rには、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0〜20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄にリール基準位置から0〜20番の図柄番号が割り当てられている。すなわち、各リール2L、2C、2Rそれぞれの0番から20番の図柄番号に対して、リールモータ32L、32C、32Rそれぞれの0〜20の領域番号が割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、メイン制御部41は、停止制御テーブルを展開することで領域番号別の滑りコマ数を取得できる。
【0182】
本実施形態では、上述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルには、停止基準位置(本実施形態では下段の図柄)からの滑りコマ数が領域番号毎に設定されているが、これに限られず、停止基準位置を上段としても中段としても良い。
【0183】
メイン制御部41は、停止制御テーブルを作成する際、まず、テーブルインデックスを基に、リール回転開始時にそのゲームの内部当選状態に応じたアドレスを取得し、テーブル作成用データを取得する。そして、メイン制御部41は、テーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得する。さらに、メイン制御部41は、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0184】
メイン制御部41は、いずれかの一つのリールが停止したとき、またはいずれか二つのリールが停止したとき、リール回転開始時に取得したテーブル作成用データから停止済みリール及びそのリールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止リールの停止制御テーブルを作成する。
【0185】
次に、メイン制御部41が回転中のリールに対応するいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を検出した場合、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。メイン制御部41は、回転中のリールに対応するいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置(例えば、0番の領域)からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、メイン制御部41は、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。
【0186】
具体的には、メイン制御部41は、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数を基に取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を求め、求めたステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施形態では、下段の領域)に停止することとなる。
【0187】
本実施形態のテーブルインデックスには、一つの遊技状態における一つの内部当選状態に対応する一つのアドレスのみが格納されている。さらに、一つのテーブル作成用データには、一つのリールの停止状況(及び停止済みリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして、一つのアドレスのみが格納されている。すなわち、遊技状態、内部当選状態に対応するテーブル作成用データと、リールの停止状況(及び停止済みリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとは一意に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも一意に定められる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みリールの停止位置)の全てが同一条件である場合、メイン制御部41は、同一の停止制御テーブルに基づき制御を行う。
【0188】
また、本実施形態では、滑りコマ数は0〜4の値が設定されており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち、停止操作位置の図柄を含めて最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できる。
【0189】
本実施形態では、いずれかの役に当選した場合、その役を入賞ラインに4コマの範囲内で最大限に引き込む制御を行うような停止制御テーブルを生成する。また、いずれの役にも当選していない場合、いずれの役も入賞ラインに揃わない制御を行うような停止制御テーブルを生成する。すなわち、いずれかの役に当選した場合、当選役の4コマの範囲内で停止操作をすると、その当選役が揃う制御がなされ、例えば滑りコマ数が2コマで停止することはない。また、いずれの役にも当選していない場合、いずれかの役を0コマの範囲で停止操作をしても、滑りコマ数が設定されているため、いずれの役も揃わない制御がなされる。
【0190】
また、本実施形態では、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で一般役が当選した場合、当選した一般役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むような制御が行われる。すなわち、特別役よりも一般役の方が優先して揃う制御となる。ただし、4コマの範囲で当選した一般役が引き込めず、4コマの範囲で特別役が引き込める場合、特別役が優先して揃う制御がなされる。
【0191】
具体的には、メイン制御部41は、まず、当選した一般役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数を設定した停止制御テーブルを作成し、停止操作位置が当選した一般役を引き込めない場合、当選していた特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数を設定した停止制御テーブルを作成する。このように制御することで、入賞ラインの4コマの範囲で当選した一般役を引き込めれば、当選した一般役が揃う制御となり、当選した一般役が引き込めず、当選していた特別役が引き込めれば、当選していた特別役が揃う制御となる。
【0192】
例えば、BB(白7・白7・白7)が当選している状態において、「ベル」が当選した場合、左リール2Lの入賞ラインの停止操作位置が18番の「白7」であっても、4コマの範囲内に20番の「ベル」が配置されているため、左リール2L上に20番の「ベル」が停止し、中、右リール2C、2Rにおいても同様に、「ベル」が停止し、「ベル」の入賞が発生する。
【0193】
また、例えば、BB(白7・白7・白7)が当選している状態において、「チェリー」が当選した場合、左リール2Lの入賞ラインの停止操作位置が、例えば18番の「白7」であるとすると、4コマの範囲内に「チェリー」が存在しないが「白7」は存在するため、左リール2L上に18番の「白7」が停止し、中、右リール2C、2Rにおいても同様に、4コマの範囲内で停止操作すれば「白7」を揃えることができる。しかし、例えば左リール2Lの下段の入賞ラインにおける停止操作位置が1番の「網7」であった場合、4コマの範囲内に5番の「チェリー」が存在するため、「チェリー」が停止する制御がなされる。
【0194】
本実施形態では、「リプレイ」または「ベル」は、各リールで5コマ以内に配置されている。すなわち、特別役が当選している状態で「リプレイ」または「ベル」が当選した場合は、必ず「リプレイ」または「ベル」が揃うこととなる。本実施形態では、このような場合において、「リプレイ」または「ベル」と同時に特別役が入賞ラインで揃うことがないように図柄が配置されているが、これに限られず、ゲーム性を高めるために「リプレイ」または「ベル」と同時に特別役が無効ラインに揃うような図柄の配置にしても良い。この構成を採用する場合、例えば、下段の平行な無効ラインで特別役が揃う制御にすれば良い。ただし、無効ラインで役が揃った場合は、入賞は発生しない。
【0195】
なお、本実施形態では、上述のように、特別役よりも一般役を優先して入賞ラインに揃え、一般役が引き込めないときに特別役を入賞ラインに揃える制御を行うが、これに限られず、特別役を一般役よりも優先して入賞ラインに揃え、特別役が引き込めないときに一般役を入賞ラインに揃える制御にしても良い。
【0196】
メイン制御部41は、上述のように制御することで、「スイカ+1枚役」を含む抽選対象役が当選した場合は平行スイカに対応する停止制御テーブルを作成し、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選した場合は中段チェリーに対応する停止制御テーブルを作成する。すなわち、メイン制御部41は、当選フラグに応じた停止制御テーブルを作成することができる。
【0197】
ここで、本実施形態では、上述で説明したように、持越状態における内部抽選処理での当選フラグが期待度の高いフラグであった場合、メイン制御部41は、期待度の高い表示結果よりも期待度の低い表示結果を優先して導出させるように制御する。
【0198】
停止制御テーブルは、内部当選状態、すなわち内部当選フラグ格納ワークに設定される値に従って作成され、持越状態においては内部当選フラグ格納ワークに持越フラグが設定されている。このため、持越状態における内部抽選処理での当選フラグが期待度の高いフラグであった場合、期待度の高い表示結果よりも期待度の低い表示結果を優先して導出させるように制御するためには、持越フラグが設定されている場合の停止制御テーブルと、持越フラグが設定されていない場合の停止制御テーブルとをそれぞれ設定すれば良い。
【0199】
例えば、通常遊技状態において「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選した場合、メイン制御部41は、持越フラグが設定されていないことに応じて、中段チェリーに対応する停止制御テーブルを作成する。一方で、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合、メイン制御部41は、持越フラグが設定されていることに応じて、角チェリーに対応する停止制御テーブルを作成する。
【0200】
また、リール回転処理は、ゲーム開始時、すなわち、スタートスイッチ7の操作検出時に行われる。つまり、停止制御テーブルはスタートスイッチ7の操作検出時、内部抽選処理後に作成されることとなる。遊技状態は、遊技状態フラグを基に判別することもできるが、図14に示すように、遊技状態フラグはスタートスイッチ7の操作検出時に行われるため、メイン制御部41が遊技状態フラグを基に遊技状態を判別して期待度の高い表示結果の導出制御を行うと、例えば「BB+チェリー+1枚役」の当選時、スタートスイッチ7の操作検出時に期待度の低い役、すなわち角チェリーの停止制御テーブルが作成されることとなる。このとき、各リール2L、2C、2Rは回転中であるため、ストップスイッチ8L、8C、8Rを適正に操作すれば角チェリーが揃うこととなる。
【0201】
このような状態になると、遊技者に誤認させる恐れがある上、見かけ上の中段チェリーの出現確率が低くなる。このため、本実施形態では、ゲーム終了時に持越フラグをオンにする構成とすることで、上述のような問題を回避することができる。
【0202】
また、通常遊技状態において「BB+チェリー+1枚役」が当選した場合と、BBの入賞を持ち越している持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合とでは、内部当選フラグ格納ワークの特別役格納ワークに設定される当選フラグはBBであり、一般役格納ワークに設定される当選フラグは「チェリー+1枚役」である、という点では当選フラグは同一である。しかしながら、持越状態においては、持越フラグが設定されているため、内部当選フラグ格納ワークに設定される値は異なることとなり、メイン制御部41は、上述の二つの場合においても異なる停止制御テーブルを作成することができる。
【0203】
なお、本実施形態では、メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rが回転を開始してから、対応するストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまでリールを回転し続け、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された際に、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するように制御する。なお、リール回転エラーの発生により一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リールの回転が再開した後は同様にストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまでリールを回転し続ける。
【0204】
また、メイン制御部41は、所定時間の経過を条件に自動的にリールを停止させても良い。この場合、メイン制御部41は、いずれかの役に当選していた場合でも、いずれの役も入賞ラインに停止させないようにリールの停止を制御する。ただし、いずれかのリールを停止した際に、既に役の入賞が確定している場合は、そのまま入賞が発生することとなる。例えば、一部のリール(例えば左リール2L)に所定の図柄(例えばチェリー図柄)が停止するのみで入賞が確定するような役がある場合において、その一部のリール(例えば左リール2L)に所定の図柄(例えばチェリー図柄)が停止して役の入賞が確定したときには、その他のリール(例えば中リール2C及び右リール2R)を自動的に停止させればよい。
【0205】
以上が、リール回転処理についての説明である。
【0206】
次に、演出制御について説明する。
【0207】
上述で説明したように、サブ制御部91はメイン制御部41から受信した各種コマンドに従って演出制御を行う。サブ制御部91は、メイン制御部41から各種コマンドを受信すると、コマンド受信割込処理を実行し、コマンド伝送ラインからコマンドを受信し、受信したコマンドをRAM91bに格納する。RAM91bには、最大で16個のコマンドを格納することができる領域が設けられており、サブ制御部91は、複数のコマンドをRAM91bに蓄積することができる。なお、RAM91bに格納することができるコマンド数は16個に限られず、可能な範囲内で拡張しても良い。
【0208】
まず、サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)にて、RAM91bに未処理のコマンドが格納されているか否かを判別し、未処理のコマンドが格納されていない場合、処理を終了するが、未処理のコマンドが格納されている場合、最も古いコマンドに基づいて各演出装置を制御する。すなわち、サブ制御部91は、受信したコマンド順に各演出装置を制御する。
【0209】
サブ制御部91は、図15に示すように、コマンドが内部当選コマンドであるか否かを判別し(ステップSc1)、コマンドが内部当選コマンドである場合(ステップSc1;Yes)、ROM91cに記憶されている演出パターンを選択する(ステップSc2)。演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部抽選の結果に応じた選択率で選択され、RAM91bに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91cに格納された演出テーブルに登録されており、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信した際に、内部抽選の結果に応じて演出テーブルから選択率を参照し、その選択率に応じて演出パターンを選択し、選択した演出パターンをRAM91bに設定する。なお、サブ制御部91は、連続演出中等、既に演出パターンがRAM91bに設定されている場合は、新たに演出パターンを選択することなく、その演出パターンに従って処理を進める。
【0210】
次にサブ制御部91は、ROM91cに記憶されている制御パターンテーブルを参照して制御パターンを取得し、取得した制御パターンをRAM91bに設定する(ステップSc3)。制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターン毎に、コマンドの種類に対応する各種パターンが登録されている。演出パターンは、例えば、液晶表示器51の表示パターンや演出効果LED52の点灯態様等である。この制御パターンテーブルに従って、サブ制御部91は遊技の進行状況に応じた演出の制御を実行する。
【0211】
なお、サブ制御部91は、コマンドの受信を契機とした演出の制御を実行中に、新たなコマンドを受信した場合、実行中の演出の制御を中止し、新たに受信したコマンドに対応する演出の制御を実行する。すなわち、演出の制御が完了していなくても、その演出をキャンセルして新たなコマンドに基づく演出の制御を実行することができる。例えば、液晶表示器51にコマンドに基づく演出が表示されている場合でも、演出が完了する前に遊技者がゲームを開始すれば、その演出はキャンセルされることとなる。
【0212】
MAXBETスイッチ6の操作時に受信するBETコマンドや、スタートスイッチ7の操作時に受信する内部当選コマンド等、遊技者がゲームを開始する際に必須となる操作に伴うコマンドに応じて実行中の演出の制御を中止するようにしても良い。このような構成にすることで、遊技者が次のゲームを迅速に開始したいとき等、煩わしい思いをさせることがなくなる。また、特定の演出に限り、いずれのコマンドを受信した場合でも演出の制御を継続する構成を採用しても良い。この場合、上述の特定の演出が発生すると遊技者に期待感を持たせることができる。
【0213】
そして、サブ制御部91は、演出パターンに従って演出の制御を実行し(ステップSc4)、処理を終了する。上述のように、演出パターンは選択率に従って選択されるため、同じ内部抽選の結果である同じ内部当選コマンドを受信したとしても、演出パターンが同一になるとは限らない。
【0214】
また、サブ制御部91は、ステップSc1においてコマンドが内部当選コマンドではないと判別した場合(ステップSc1;No)、そのコマンドに対応する処理を実行し(ステップSc5)、処理を終了する。
【0215】
また、サブ制御部91は、操作スイッチ(MAXBETスイッチ6やスタートスイッチ7等)の検出状態を示すコマンドを受信し、操作スイッチの状態に応じた演出を実行しても良い。このように制御することで、操作スイッチの状態に応じた演出の制御が可能となり、多彩な演出の制御を実行することができる。
【0216】
上述のように、サブ制御部91は、メイン制御部41が内部抽選処理で決定した当選フラグを示す内部当選コマンドに従って演出制御を実行する。すなわち、例えば通常遊技状態で「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選した場合は、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出よりも高い割合で行われる。これに対して、通常遊技状態で「チェリー」が当選した場合は、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が行われ、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が行われることはない。すなわち、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が行われたときには、「チェリー」を含む抽選対象役のみならず、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役に当選している可能性もある。これに対して、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が行われたときには、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役に当選している可能性があるのみで、「チェリー」を含む抽選対象役に当選している可能性はない。つまり、少なくとも通常遊技状態では、実際に当選している役が、演出によって示唆される役よりも、有利であることはあるが不利であることはない。
また、持越状態では、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選した場合、「チェリー」が当選した場合のいずれにおいても、通常遊技状態で「チェリー」が当選した場合と同様に、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が行われ、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が行われることはない。これは、本実施形態において、持越状態における内部抽選処理での当選フラグが期待度の高いフラグであった場合、期待度の高い表示結果よりも期待度の低い表示結果を優先して導出させるため、サブ制御部91もメイン制御部41と同様に、持越状態における演出制御を通常遊技状態等とは異ならせる必要があるからである。
【0217】
例えば、サブ制御部91は、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出として、少量のチェリー500(図16)を表示する演出を実行し、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出として、多量のチェリー501(図16)を表示する演出を実行するとする。持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合、上述したように、メイン制御部41によって角チェリーが導出されるように制御されるため、入賞ラインには角チェリーが導出される。この時、サブ制御部91によって「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出として多量のチェリー501(図16)を表示する演出が実行されていると、遊技者は、実際に当選している役が、演出によって示唆される役よりも不利であるとの印象を持ってしまうため、上述のように、実際に当選している役が演出によって示唆される役よりも有利であることはあるが不利であることはない通常遊技状態との間に齟齬が生じ、不信感を抱くこととなる。
【0218】
このような問題を回避するため、サブ制御部91もメイン制御部41と同様に、持越フラグの有無に従って演出制御を実行すれば良い。例えば、サブ制御部91は、「チェリー+1枚役」を示す内部当選コマンドを受信し、持越フラグがオンになっていた場合、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出テーブルを選択し、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出として少量のチェリー500(図16)を表示する演出を実行する。このように制御することで、演出によって示唆される役と入賞ラインに導出される表示結果に齟齬が生じることを防止することができる。
【0219】
なお、上述の構成に限られず、メイン制御部41が内部当選コマンドを送信する際に、持越フラグに従って送信するコマンドを置き換える構成にしても良い。例えば、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合、「チェリー」が当選したことを示す内部当選コマンドをサブ制御部91に送信する。このような構成にすることで、サブ制御部91は持越フラグに影響されず、演出制御を実行することができ、サブ制御部91の負荷を軽減することができる。
【0220】
また、持越状態における演出パターンの選択率を変更するようにしても良い。例えば、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合、サブ制御部91は、持越フラグがセットされていることに応じて「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出パターンを「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出パターンよりも高い割合で選択する。
【0221】
以上が、演出制御についての説明である。
【0222】
次に、本実施形態に係るスロットマシン1の制御について具体的に説明する。
【0223】
まず、通常遊技状態におけるスロットマシン1の制御について具体的に説明する。例えば、図16(A)に示すように、通常遊技状態において「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことに従って、サブ制御部91により「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が実行されたとする。なお、ここでは、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出は、少量のチェリー500を表示する演出とする。
【0224】
「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出を実行すると、遊技者は、その演出に従ってチェリー図柄を左リール2Lに停止させる。このとき、メイン制御部41は、角チェリーに対応する停止制御制御テーブルを作成している。よって、ストップスイッチ8Lが適正に操作されると、左リール2Lの下段にチェリー図柄が停止する。
【0225】
中リール2Cにおける白7、黒7、網7、スイカ、右リールにおけるリプレイは、いずれも5コマ以内に配置されているため、ここではストップスイッチ8Cの操作のタイミングによらず、左リール2Lの下段を含む入賞ラインでチェリーが揃い、角チェリーが導出されることとなる。
【0226】
このように、通常遊技状態においては、「チェリー」を含む抽選対象役が当選したことに対応して角チェリーの停止制御テーブルがメイン制御部41によって作成され、遊技者は角チェリーを導出させることができる。なお、この当選フラグ「チェリー」が、例えば「BB+チェリー」等の同時当選役であった場合でも、角チェリーが導出されることとなる。
【0227】
次に、図16(B)に示すように、通常遊技状態において「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことに従って、サブ制御部91により「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出が実行されたとする。なお、ここでは、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出は多量のチェリー501を表示する演出とする。
【0228】
「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことを示唆する演出を実行すると、遊技者は、その演出に従ってチェリー図柄を左リール2Lに停止させる。このとき、メイン制御部41は、持越フラグがセットされていないため、中段チェリーに対応する停止制御制御テーブルを作成している。よって、ストップスイッチ8Lが適正に操作されると、左リール2Lの中段にはチェリー図柄が停止する。
【0229】
中リール2Cにおける白7、黒7、網7、スイカ、右リールにおけるリプレイは、いずれも5コマ以内に配置されているため、ここではストップスイッチ8Cの操作のタイミングによらず、中段の入賞ラインでチェリーが揃い、中段チェリーが導出されることとなる。
【0230】
このように、通常遊技状態においては、「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選したことに対応して中段チェリーの停止制御テーブルがメイン制御部41によって作成され、遊技者は中段チェリーを導出させることができる。なお、この「チェリー+1枚役」が、例えば「BB+チェリー+1枚役」等の同時当選役であった場合でも、この時点では持越フラグはセットされていないため、中段チェリーが導出されることとなる。
【0231】
次に、持越状態におけるスロットマシン1の制御について説明する。例えば、図16(C)に示すように、ボーナス確定演出が実行されたとする。なお、ここでは、ボーナス確定演出が実行される数ゲーム前にBB(白7・白7・白7)に当選していたこととする。すなわち、このときのスロットマシン1の状態は、内部当選フラグ格納ワークの持越フラグがセットされている持越状態である。このボーナス確定演出では、いずれの種類のボーナスに当選しているかを報知する演出画像(図16(C)に示す例では「白7・白7・白7」を示す画像502)が表示される。
【0232】
ボーナス確定演出が実行された後のゲームにおいて、内部抽選処理での当選フラグが「チェリー+1枚役」であった場合、当選フラグを示唆する演出が実行される。サブ制御部91は、「チェリー+1枚役」が当選したことを示す内部当選コマンドを受信し、そのコマンドに従って演出制御を実行するが、このとき、「チェリー+1枚役」が当選したことを示唆する演出ではなく、持越フラグがセットされていることに応じて「チェリー」が当選したことを示唆にする演出を実行する。なお、「チェリー」が当選したことを示唆する演出は、少量のチェリー500を表示する演出とする。
【0233】
「チェリー」が当選したことを示唆する演出を実行すると、遊技者は、その演出に従ってチェリー図柄を左リール2Lに停止させる。このとき、メイン制御部41は、持越フラグがセットされていることに応じて、角チェリーに対応する停止制御テーブルを作成している。よって、ストップスイッチ8Lが適正に操作されると、左リール2Lの下段にはチェリー図柄が停止する。
【0234】
中リール2Cについては、白7、黒7、網7、スイカ、右リールにおけるリプレイは、いずれも5コマ以内に配置されているため、ここではストップスイッチ8Cの操作のタイミングによらず、斜めの入賞ラインL4でチェリーが揃い、角チェリーが導出されることとなる。
【0235】
このように、持越フラグがセットされている持越状態においては、「チェリー+1枚役」が当選していたとしても、角チェリーの停止制御テーブルがメイン制御部41に作成され、角チェリーが導出されることとなる。このように制御することで、遊技者が落胆することを防ぐことができる。
【0236】
以上が、本実施形態に係るスロットマシン1の制御についての具体的な説明である。
【0237】
以上説明したように、本実施形態に係るスロットマシン1によれば、ボーナスやAT、RTといった遊技者にとって有利な遊技状態に制御するまでの持越状態において、内部抽選処理での当選フラグが上述の遊技状態に対する期待度の高いフラグ(例えば「チェリー+1枚役」)である場合でも、期待度の高い表示結果(例えば中段チェリー)ではなく、期待度の低い表示結果(例えば角チェリー)を優先して導出させることができる。
【0238】
ここで、メイン制御部41は、持越状態以外の遊技状態において、内部抽選処理での当選フラグが期待度の高いフラグである場合、期待度の高い表示結果を優先して導出させる制御を行い、内部抽選処理での当選フラグが期待度の低いフラグである場合、期待度の高い表示結果は導出させずに期待度の低い表示結果を導出させる制御を行う。すなわち、持越状態以外の遊技状態においては、期待度の高いフラグに応じて期待度の高い表示結果が導出されやすくなり、期待度の低いフラグに応じて期待度の低い表示結果が導出されやすくなる。そして、内部抽選処理での当選フラグが期待度の高いフラグである場合、内部抽選処理での当選フラグが期待度の低いフラグである場合よりも高い割合で、ボーナスやAT、RTといった有利遊技状態に制御されることが許容される。従って、遊技者にとっては、期待度の高い表示結果が導出された場合、有利遊技状態へ移行できるという期待感が高くなり、期待度の低い表示結果が導出された場合、期待度の高い表示結果が導出された場合に比べると、有利遊技状態へ移行できるという期待感は低くなる。持越状態においては、既に有利遊技状態への移行が確定しているため、持越状態において期待感の高い表示結果がリール2L、2C、2R上に導出されることは、遊技者を落胆させる原因となる。しかしながら、メイン制御部41は、持越状態においては、内部抽選処理での当選フラグが期待度の高いフラグである場合、期待度の高い表示結果よりも期待度の低い表示結果を優先して導出させる制御を行うため、遊技者が落胆することを防止することできる。
【0239】
また、持越状態において、内部抽選処理での当選フラグが期待度の高いフラグである場合、期待度の低い表示結果を期待度の高い表示結果よりも優先して導出させる制御が行われることに対応して、期待度の低いフラグの当選を示唆することができる。これにより、示唆された表示結果と実際に導出された表示結果とに齟齬が生じて、遊技者に不信感を与えることを防止することができる。
【0240】
また、期待度の高い表示結果が導出された場合と期待度の低い表示結果が導出された場合とでメダル払い出し枚数が同数であるため、遊技者に不利益を与えることがない。
【0241】
さらに、リール回転処理では、内部当選フラグ格納ワークに応じて作成された停止制御テーブルに従って表示結果を導出させる制御を行えば良いため、内部抽選処理での当選フラグによって発生が許容される入賞が同一の場合でも、持越フラグの状態に従って異なる停止制御テーブルを設定することで、容易に異なる入賞が発生する表示結果を導出させるように制御することができる。
【0242】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記実施形態の変形例について説明する。
【0243】
上記実施形態では、具体例として、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合について説明したが、これに限られず、「スイカ+1枚役」等の期待度の高い当選フラグについても同様の制御を実施することができる。すなわち、メダル払い出し枚数が同数であり、かつ期待度の低い表示結果を導出させる制御を行う。この場合、持越状態における内部抽選処理において「スイカ+1枚役」が当選した場合は、「スイカ」の当選フラグに対応する斜めスイカが導出されるように制御する。
【0244】
また、上記実施形態では、特別役が当選してから特別役が入賞するまでの持越状態における当選フラグが期待度の高いフラグであった場合、その当選フラグに対応する期待度の低い表示結果を優先的に導出させる構成について説明したが、これに限られず、期待度の高い遊技状態で同様の制御を実行しても良い。以下、このような構成について説明する。
【0245】
一般的に、スロットマシン1は、通常遊技状態における当選フラグが期待度の高いフラグであった場合、所定のゲーム数各演出装置にて演出が発生し、遊技者に対して期待感を示唆する構成を有している。すなわち、期待度の高い表示結果の導出後、遊技者は所定のゲーム数間有利な遊技状態への期待感を持つことができる。
【0246】
このような構成において、期待度の高い表示結果が導出された後の演出の実行中に、さらに期待度の高い表示結果が導出された場合、仮にその演出終了時にボーナス確定演出が実行された場合、遊技者は、演出の起因となった一般役が同時当選役であったのか、演出中に導出された表示結果に対応する一般役が同時当選役であったのかの判断が付かない。また、演出終了時に通常遊技状態に戻った場合、遊技者は、演出の起因となった一般役と演出中に導出された表示結果に対応する一般役の両方が同時当選役ではなかったことを察知し、これは遊技者が落胆する原因となる。
【0247】
ここで、通常遊技状態のゲームにおける当選フラグが期待度の高いフラグであった場合の遊技状態を、例えば演出遊技状態と定義し、演出遊技状態において期待度の高い表示結果の導出を制限する構成を採用する。この場合、例えば、期待度の高い「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役の当選後、5ゲーム間は演出遊技状態に移行し、演出遊技状態における内部抽選処理にて「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選した場合、上述で説明したものと同様の制御を実行し、角チェリーを優先して導出させる。このように制御することで、遊技者が落胆することを防止することができる。この場合においても、持越フラグと同様に、例えば演出フラグを内部当選フラグ格納ワークに設け、演出フラグを基に制御すれば良い。
【0248】
さらに詳細に、上述の演出遊技状態における内部抽選処理にて同時当選役が当選した場合に限り、通常遊技状態と同様に、期待度の高い表示結果を導出させ、同時当選役でなかった場合には、期待度の低い表示結果を優先して導出させるようにしても良い。このように制御することで、遊技者に有利な遊技状態への期待感を持たせることができる。
【0249】
また、演出遊技状態における表示結果の導出を制限した後にボーナス確定演出を実行する場合、遊技者にどの一般役と同時に特別役が同時当選したかを示唆する専用の演出を実行しても良い。このような演出を実行することで、遊技者はどの一般役とボーナスが同時当選したかを判別することができる。
【0250】
なお、この構成を採用し、内部抽選処理において役の抽選と同時にRT状態への抽選や、AT状態への抽選を行う場合、遊技者に不利を与えないように制御する。例えば、演出遊技状態において「チェリー+1枚役」を含む抽選対象役が当選した場合、上述の通り、角チェリーを優先して導出させる制御を行う。このとき、RT状態への抽選やAT状態への抽選は、当然「チェリー+1枚役」を含む当選フラグを基に実行する。
【0251】
上述の実施形態では、当選フラグとして「チェリー+1枚役」、「チェリー」を含むフラグを設定し、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合、「チェリー+1枚役」に対応する中段チェリーではなく、「チェリー」に対応する角チェリーを優先して導出させるように制御する構成について説明したが、これに限られず、当選フラグとして「チェリー+スイカ+1枚役」、「チェリー+1枚役」、「チェリー」を設定し、持越状態において「チェリー+スイカ+1枚役」が当選した場合、「チェリー」に対応する角チェリーを優先して導出させるように制御しても良い。
【0252】
例えば、「チェリー+スイカ+1枚役」の当選フラグの期待度が100%である場合、通常遊技状態で「チェリー+スイカ+1枚役」を含む抽選対象役が当選した際は、左リール2Lの中段にチェリーが停止し、斜めの入賞ラインL4でスイカが揃うものとする。このような場合においても、通常遊技状態では上述のように制御する一方で、持越状態においては角チェリーが優先して導出されるように制御することで、遊技者が落胆することを防止することができる。
【0253】
上記実施形態では、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合は角チェリーを導出させる構成について説明した。一般役当選時と同時にAT、RT状態の抽選を行う構成を有するスロットマシンにおいてAT、RT状態への移行を持ち越している遊技状態についても持越状態として制御する場合は、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合、角チェリーを導出させるが、「チェリー+1枚役」の当選フラグを基にAT、RT状態の抽選を実施するものとする。このように制御することで、遊技者に不利益を与えることがない。
【0254】
このような構成を採用した場合、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選し、同時にAT、RT状態にも当選すると、遊技者は「チェリー」と同時にATまたはRT状態に当選したものと錯覚する可能性がある。このような状況を回避するため、AT、RT状態開始時等、持越状態中にATまたはRT状態に当選したことを示唆する専用の演出を設けても良い。
【0255】
なお、「チェリー+1枚役」に対応して下段チェリーが導出され、「チェリー」に対応して上段チェリーが導出されるように設定した場合であっても、本発明を適用することができる。しかしながら、上述の通り、本実施形態では、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作してから最大で4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である制御を行っているため、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作によっては、見かけ上の入賞が異なる場合がある。
【0256】
例えば、持越状態において「チェリー+1枚役」が当選した場合、上述の通り「チェリー」に対応する上段チェリーが優先して導出されるように制御される。しかしながら、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを適正に操作することでチェリーを左リール2Lの中段に停止させた場合、チェリーを上段に引き込むことができないため、下段の入賞ラインにチェリーを導出させる。このように、持越状態においても期待度の高い表示結果が導出される可能性がある図柄の配列や、役の構成は避けた方がよい。
【0257】
上記実施形態では、内部当選フラグ格納テーブルに持越フラグを設定し、持越フラグを基に持越状態を判別する構成について説明したが、これに限られず、持越状態を判別できれば任意である。例えば、遊技状態フラグを基に持越状態を判別し、ボーナスが当選した際は、前回のゲームにおける特別役格納ワークの値を参照し、前回のゲームにおいても特別役格納ワークに同値が設定されていれば持越状態と判別するようにしても良い。
【0258】
また、RAM41bに持越状態か否かを示す専用の領域を設け、その専用の領域に持越状態か否かを示す値を設定しても良い。この場合、内部当選フラグ格納ワークとは異なる領域となるため、拡張が容易になる。さらに、特別役を含む抽選対象役が当選したゲームのみセットする当選ゲームフラグを設定する構成を採用しても良い。この場合、特別役が当選したゲームにおいて当選ゲームフラグをセットし、そのゲームにおいて特別役が入賞しなかった場合に当選ゲームフラグをリセットすることで持越状態か否かを判別することができる。
【0259】
上記実施形態では、特別役を規定し、遊技者が有利な遊技状態に制御できるスロットマシンについて説明したが、これに限られず、特別役を規定せず、ボーナス状態に移行しないスロットマシンであっても良い。この場合、AT状態に制御可能なスロットマシンであれば良い。つまり、ボーナスを搭載せず、AT、RTのみ搭載するスロットマシンであっても、本発明を適用することができる。
【0260】
また、上記実施形態では、遊技制御基盤40がメイン制御部41を備え、演出制御基盤90がサブ制御部91を備える構成について説明したが、これに限られず、同一基盤がメイン制御部41とサブ制御部91とを備えていても良い。この構成を採用することで、メイン制御部41とサブ制御部91との通信が容易になり、また、筐体1aの体積を軽減することができる。
【0261】
また、スロットマシン1は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における課題を解決できるように、上記実施形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。例えば、液晶表示器51や演出用スイッチ53等はゲーム性を向上するために備える要素であり、必ずしも備えている必要はない。
【0262】
また、上記実施形態におけるスロットマシン1では、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるものとして説明したが、本願請求項1に係る発明のスロットマシンはこれに限定されるものではなく、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記実施形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0263】
さらに、本発明のスロットマシンは、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のうちのいずれか一種類のみを用いるものに限定されるものではなく、例えばメダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値を併用できるものであってもよい。すなわち、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るスロットマシンも、本発明のスロットマシンに含まれるものである。
【0264】
本発明を実現するためのプログラム及びデータは、スロットマシン1に含まれるコンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採用して良い。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採用しても良い。
【0265】
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
【符号の説明】
【0266】
1 スロットマシン
2 可動表示装置
2L、2C、2R リール
3 透視窓
32L、32C、32R リールモータ
4 メダル投入部
51 液晶表示器
52 演出効果LED
53、54 スピーカ
55 リールLED
56 演出用スイッチ
6 MAXBETスイッチ
7 スタートスイッチ
8L、8C、8R ストップスイッチ
9 メダル払出口
10 精算スイッチ
13 遊技用表示部
34 ホッパーユニット
35 オーバーフロータンク
37 設定キースイッチ
38 リセット/設定スイッチ
39 電源スイッチ
40 遊技制御基盤
41 メイン制御部
90 演出制御基盤
91 サブ制御部
100 電源ボックス
101 電源基板
1000 外部出力基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置で導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
ゲーム毎に前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて、前記可変表示装置に表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段と、
通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態に制御する権利を付与する権利付与手段と、
前記権利付与手段によって前記権利が付与されているゲームにおいて、所定の条件が成立したことに基づいて、前記有利遊技状態に移行させる制御を行う移行制御手段と、
前記権利付与手段によって前記権利が付与されているゲームにおいて、前記所定の条件が成立しなかった場合、該権利を次ゲーム以降に持ち越す持越手段と、
を備え、
前記権利付与手段は、前記事前決定手段の決定結果が第1入賞の発生を許容する第1決定結果である場合、前記事前決定手段の決定結果が第2入賞の発生を許容する第2決定結果である場合よりも高い割合で、前記有利遊技状態に制御する権利を付与し、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、第1特定表示結果と第2特定表示結果とを含む複数種類の表示結果のうちのいずれかの表示結果を導出可能な制御を行う一方で、前記事前決定手段の決定結果が前記第2決定結果である場合、前記第1特定表示結果は導出させずに前記第2特定表示結果を導出可能な制御を行い、
前記持越手段によって前記権利が持ち越されていないゲームにおいて、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、前記第1特定表示結果を前記第2特定表示結果よりも優先して導出させる制御を行う一方で、該持越手段によって該権利が持ち越されているゲームにおいて、前記事前決定手段の決定結果が前記第1決定結果である場合、前記第2特定表示結果を前記第1特定表示結果よりも優先して導出させる制御を行う、
ことを特徴とするスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−239691(P2012−239691A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113404(P2011−113404)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】