説明

センサのモニタリング装置

【課題】高温環境下でも正常に動作してセンサの測定値を正確に求めることができるようにする。
【解決手段】本発明のモニタリング装置1は、センサ2と、このセンサ2が接続され且つワイドバンドギャップ半導体を使用した発振器を備えたインタフェース3と、インターフェース3とは別に配置され且つインターフェース3から出力された発振信号を処理する演算装置4とを備えている。発振器は、基準となる発振信号を出力する第1発振器6aと、センサ2の出力に基づいて発振信号を出力する第2発振器6bとから構成されている。第演算装置4は、第1発振器6aからの発振信号と第2発振器6bからの発振信号とに基づいてセンサ2で測定した測定値を算出する演算部15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサのモニタリング装置に関するものであって、特に高温環境下であっても正常に動作するモニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センサのモニタリング装置では、センサからの出力を電圧に変換したり、発振回路にて周波数に変換し、これら電圧出力や周波数出力に基づいてセンサの測定値を求めている。
このようなモニタリング装置に設けられた電圧変換回路や発振回路は、シリコン半導体で構成されたIC(集積回路)などで構成されていることが多い。発振回路をシリコン半導体等で構成したものとして特許文献1や特許文献2に示すものがある。
【0003】
特許文献1の発振回路では、8個のトランジスタと定電圧源、低電流源とを組み合わせて接続している。
特許文献2の発振回路では、発振器内部に別にコルピッツ発振回路と水晶発振回路と回路切り替えスイッチを具備し、その基本発振周波数と高調波との周波数差がほぼ直線の温度係数を持つことを利用して発振器の環境温度を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−147812号公報
【特許文献2】特表平8−500220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、モニタリング装置は、非常に高温下に配置されることがあり、当該モニタリング装置内の発振回路を構成するICの温度が200℃超えてしまい、ICが正常に動作することができないことがある。
そのため、モニタリング装置を断熱材で覆うことによってモニタリング装置を配置した環境温度が200℃以上である高温環境下でも、ICの温度が上がらないようにし、ICを正常に動作するような工夫をする必要がある。
【0006】
しかしながら、モニタリング装置を断熱材で覆ったとしても、モニタリング装置を高温環境下で長時間使用した場合では、ICの温度が次第に高温環境下と同じ温度に近づき、ICが正常に動作し難くなる場合がある。
また、モニタリング装置を配置する環境温度がさらに高くなり、当該環境温度が400℃以上となった場合には、ICの温度を200℃未満にすることができず、短時間でもICを正常に動作させることができないことがある。
【0007】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、特に、高温環境下でも正常に動作してセンサの測定値を正確に求めることができるセンサのモニタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の技術的手段は、センサと、前記センサが接続され且つワイドバンドギャップ半導体を使用した発振器を備えたインタフェースと、前記インターフェースとは別に配置され且つインターフェースから出力された発振信号を処理する演算装置と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記発振器は、基準となる発振信号を出力する第1発振器と、前記センサの出力に基づいた発振信号を出力する第2発振器とから構成されており、前記第1発振器、第2発振器を構成する回路には、前記ワイドバンドギャップ半導体が使用されているとよい。
また、前記演算装置は、前記第1発振器からの発振信号と第2発振器からの発振信号とに基づいて、前記センサで測定した測定値を算出する演算部を備えているとよい。
【0010】
前記第1発振器及び第2発振器は、LC発振回路を含むものとされていることは好ましい。
より好ましくは、前記演算装置は、動作温度によって変化する第1発振器の周波数と、動作温度及び温度センサの出力によって変化する第2発振器の周波数と、センサの測定値とが関連付けられたデータベースを備えており、前記演算部は、第1発振器の周波数及び第2発振器の周波数と、前記データベースとに基づいて、センサの測定値を算出するとよい。
【0011】
また、前記第1発振器と第2発振器とは略同一の発振回路で構成され、前記第1発振器から出力される発振信号の周波数と、センサからの出力が無いときの第2発振信号の発振信号の周波数とは略同じに設定されているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高温環境下でも正常に動作してセンサの測定値を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】センサのモニタリング装置の全体を示す全体構成図である。
【図2】センサ及びインターフェースを高温環境下に設置した例を示した図である。
【図3】(a)第1発振器の回路図であり、(b)第2発振器の回路図である。
【図4】発振回路の動作温度と発振周波数との関係を示した図である。
【図5】定電圧器のバイアスの電圧と周波数との関係を示した図である。
【図6】(a)トランジスタを変更した場合の第1発振器の回路図であり、(b)トランジスタを変更した場合の第2発振器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図を基に説明する。
図1に示すように、本発明のセンサのモニタリング装置1は、高温環境下でも正常に動作する装置であり、センサ2と、センサ2が接続されるインターフェース3と、インターフェース3とは別に配置された演算装置4とを備えている。
なお、以下の説明において、環境温度とはインターフェースなどの部品が設置される周辺の温度のことであり、動作温度とは部品が動作しているときの部品自体の温度である。
【0015】
センサ2は、測定対象物の温度を測定する温度センサ、ガスの濃度等を測定するガスセンサ、流体の圧力を測定する等で構成されたものである。この実施形態では、温度センサ2を例にとり説明する。
図2に示すように、温度センサ2は、測定対象物である高炉や転炉の外壁面5の温度を測定したり、溶融金属が装入された容器(例えば、取鍋)の外壁面5の温度を測定するものであって、例えば、測定温度に応じて起電力を発生する熱電対で構成されている。
【0016】
インターフェース3は、温度センサ2の近くに配置されていて、200℃以上の高温状況下に配置されるものである。例えば、高炉の外壁面、転炉の外壁面、取鍋の外壁面の近くに配置されている。
インターフェース3は、発振器6を備えている。詳しくは、インターフェース3は、複数の発振器6,6(例えば、2個)を備えていて、一方の発振器6a(第1発振器)は、基準となる発振信号を出力するものであり、他方の発振器6b(第2発振器)は、センサ2の出力に基づいて発振信号を出力するものである。第1発振器6aの発振信号と第2発振器6bの発振信号とは、インターフェース3に設けられた無線等の送信器7により演算装置4に送信される。
【0017】
まず、第1発振器6a及び第2発振器6bについて説明する。
図3(a),(b)に示すように、第1発振器6a及び第2発振器6bは、コイル、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子等の電子部品、それらを配備する基板等から構成されている。インターフェース3は、高温状況下に配置されるため、第1発振器6a及び第2発振器6bの各部品(コイル、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、配線、基板等)には高温に耐えられるものを使用している。
【0018】
例えば、第1発振器6a及び第2発振器6bにおいて、コンデンサには、セラミックスコンデンサ、抵抗素子およびコイルにはセラミックス絶縁が施されたもの、ハンダには融点310℃の高温ハンダを用いた。全ての部品で耐熱性が250℃以上の金属、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等を用い、耐熱性が低い材料は使用していない。
【0019】
また、第1発振器6a及び第2発振器6bの電源8は、高温用リチウム電池を断熱ボックスに入れ、エナメル線等により発振回路に接続している。第1発振器6a、第2発振器6b、送信器7及び断熱ボックスは、1つのケース9(例えば、金属ケース)に納め、金属ケース9の外に送信アンテナ10を接続することによりインターフェース3全体を構成している。なお、送信器7も耐熱性ある部品を用いて構成している。
【0020】
なお、電源8として、高温壁の熱を利用した熱電素子やナトリウム硫黄(NaS)電池などを使用してもよい。
ここで、インターフェース3が配置される環境温度などが変化することによって、各電子部品の動作するときの温度(動作温度)が変わってしまうと、その特性が変化して発振信号の周波数が変化することが知見されている。
【0021】
そのため、後述するように、第1発振器6aの温度依存性による発振信号の周波数と第2発振器6bのセンサ2の出力に応じた発振信号の周波数とからセンサ2で測定した測定値を求めることとしており、第1発振器6a及び第2発振器6bの動作温度が変化しても正しい測定値が測定できるように、第1発振器6aの温度特性(温度依存性)と、第2発振器6bの温度特性(温度依存性)とが同じになるように構成している。
【0022】
具体的には、第1発振器6aと第2発振器6bとの共通する回路部分における各部品の種類、部品の配置(部品の向き)、部品の製造ロット、部品の点数等を同じにしている。さらには、断熱ボックス内における、基板の配備位置、配備向きなども同じとしている。
さて、第1発振器6aから出力された発振信号や第2発振器6bから出力された発振信号は、無線等の送信器7にて送信することから回路全体を小型にし、消費電力を抑える必要があり、発振信号の周波数は高周波にすることが好ましい。本発明では、第1発振器6aの発振回路や第2発振器6bの発振回路は、LC発振回路を含むものとし、100MHz以上の高周波を出力することができるようにしている。
【0023】
図3に示すように、第1発振器6aや第2発振器6bの発振回路は、放熱性の高いセラミックス回路基板上にコルピッツ型の回路を設けることにより構成されている。
第1発振器6aの出力部からは、所定の周波数を有する発振信号が出力するようになっている。第2発振器6bは、第1発振器6aの発振回路に、ダイヤモンドの基板で構成された可変容量ダイオード11を取り付け、可変容量ダイオード11の静電容量が変化すると発振信号の周波数が変化する構成とされている。可変容量ダイオード11には、温度センサ2からの入力(起電力)によって静電容量が変化するように温度センサ2が接続されている。
【0024】
したがって、第1発振器6aの発振回路と第2発振器6bの発振回路とは、温度センサ2が接続された部分(可変容量ダイオード11)が設けられているか否かが異なるだけで、第1発振器6aの発振回路と第2発振器6bの発振回路とは略同じ構成である。
ゆえに、温度センサ2からの出力が無いときは、第1発振器6aから出力される発振信号の周波数と、第2発振信号の発振信号の周波数とは同じとなる。
【0025】
さらに詳しく説明すると、本発明では、上述したように、第1発振器6aの発振回路と第2発振器6bの発振回路の温度依存性が同じとなるように発振回路の構成を共通化していて、温度センサ2からの入力部分を無視して考えると、温度が同じ(動作温度が同じ)であれば、第1発振器6aからの発振周波数と第2発振器6bからの発振周波数とが等しくなるようにしている。
【0026】
なお、第1発振器6a及び第2発振器6bの発振回路をハートレイ型、クラップ型などにしてもよいし、水晶発振子やセラミック発振子等を用いても良いし、マルチバイブレータ型としてもよい。ただし、発振回路の周波数は、上述したように100MHzにすることが好ましい。
また、発振回路を構成するに際しては、温度変化による周波数変化、即ち、周波数の温度特性が線形に変化することが好ましく、部品点数は少なくすることが好ましい。例えば、複数のトランジスタを用いて発振回路を構成した場合、トランジスタの各素子は、それぞれ周波数特性や温度特性が異なっていて個体差があるため、温度特性は複雑になってしまう虞がある。この点から言うと、トランジスタ1個で発振回路が構成できるコルピッツ型又はハートレイ型が最も望ましい。
【0027】
ここで、第1発振器6a及び第2発振器6bに用いたトランジスタ12について説明する。
従来のSiトランジスタでは、動作温度が200℃以上では、リーク電流が多くなり、即ち、消費電力が大きくなる。動作温度が250℃以上になると、正常に動作することができなくなる。本発明では、高温状況下でも正常に動作させるために、少なくともインターフェース3内の回路を構成する半導体(例えば、トランジスタ12)には、バンドギャップが大きいもの、即ち、ワイドバンドギャップ半導体が用いられている。トランジスタ12は、2.5eV以上のバンドギャップを有するワイドバンド半導体で構成されていることが好ましい。
【0028】
具体的には、トランジスタ12は、ダイヤモンド基板にp-i-p構造を構築したMISFET型とされている(バンドギャップ≒5eV)。また、このトランジスタ12は、ゲート電圧をかけないときはチャネルが存在せずドレイン電流が流れないノーマリオフ型としていて消費電力を抑えている。なお、第1発振器6aや第2発振器6bに用いるトランジスタ12は、バンドギャップが大きく高温下で確実に動作するものであれば、型式は限定されない。MESFET型でもよく、より消費電力が小さいMOSFET型でもよい。
【0029】
上述した可変容量ダイオード11もダイヤモンド基板から構成していてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体である。
したがって、第1発振器6a及び第2発振器6bにワイドバンドギャップ半導体を使用しているため、例えば、環境温度(周囲の温度)が200℃以上となる高温環境下でも第1発振器6a及び第2発振器6bは正常に作動させることができる。
【0030】
斯かる第1発振器6a及び第2発振器6bで構成されたインターフェース3では、温度センサ2により温度を測定すると、温度センサ2の出力に応じて第2発振器6bの発振信号の発振周波数が変化することになる。そして、温度センサ2の出力に応じて周波数が変化した発振信号は送信器7を介して演算装置4に送信されると共に、第1発振器6aの発振信号も送信器7を介して演算装置4に送信される。演算装置4にて、温度センサ2の測定値が求められるようになっている。
【0031】
さて、第2発振器6bの発振信号における周波数は、温度センサ2の出力に応じて変化するものであるが、温度センサ2の出力が同じであっても、第2発振器6bの動作温度により発振周波数が異なってしまうことがある。このような場合、第2発振器6bの発振周波数をそのまま測定値に置き換えると、正確に温度センサ2による求めることができないことから、本発明では、第2発振器6bと同じ温度特性を有する第1発振器6aの発振周波数を用いることによって、温度変化による修正(較正)を行い、正確な測定値を求めることとしている。
【0032】
次に、温度センサ2の温度を求める演算方法を、演算装置4の構成説明に合わせて述べることにする。
演算装置4は、例えば、コンピュータから構成されている。この演算装置4は、インターフェース3の設置場所とは異なっていて別の場所に配置されていて、インターフェース3のように環境温度が200℃以上というような高温環境下では無い場所に配置されている。例えば、演算装置4は、雰囲気温度が常温となる場所に配置されている。
【0033】
この演算装置4は、温度センサ2で測定した温度を求めるためのデータが保存されているデータベース14と、温度センサ2で測定した温度を求める演算部15とを備えている。なお、演算装置4にスペクトラムアナライザ13を接続して、第1発振器6aの発振信号の周波数や第2発振器6bの発振信号の周波数を表示するとよい。
データベース14は、第1発振器6aから送られてきた発信信号の周波数と、第2発振器6bから送られてきた発信信号の周波数と、温度センサ2の測定値とが関連付けられて保存されている。
【0034】
詳しく説明すると、図1に示すように、第1発振器6aの動作温度が変化すると、第1発振器6aにおける発振周波数(周波数1)も変化する。また、第2発振器6bの動作温度が変化すると第2発振器6bにおける発振周波数(周波数2)も変化する。
ここで、第1発振器6aと第2発振器6bとの温度特性は同じであって、インターフェース3内で第1発振器6aと第2発振器6bとは等温となるように配慮されているため、第1発振器6aの発振周波数と、第2発振器6bの発振周波数とが分かれば、第2発振器6bにおける温度センサ2のみの出力に対応した周波数を取り出すことができる。
【0035】
このように、動作温度によって変化する第1発振器6aの発振周波数と、動作温度及び温度センサ2の出力によって変化する第2発振器6bの発振周波数と、温度センサ2の実測値による実測温度(温度センサ値)との関係を整理したデータ群がデータベース14内に保存されている。即ち、データベース14には、第1発振器6aの発振周波数と、第2発振器6bの発振周波数と、温度センサ2の温度とが関連付けられたデータが保存されている。
【0036】
よって、データベース14によれば、例えば、第1発振器6aの発振周波数が319.1MHzであり、第2発振器6bの発振周波数が317.9MHzであると、温度センサ2の測定値は1398℃であることが分かるようになっている。
ところで、以上述べたデータベース14の作成方法には様々な手法があるが、本実施形態では以下の方法で、データベース14を作成した。
【0037】
まず、データベース14を作成するためには、第2発振器6bの可変容量ダイオード11の入力端子は短絡しておき、第2発振器6bの発振周波数を送信器7を介して演算装置4側で受信した後、当該第2発振器6bの発振周波数をスペクトラムアナライザ13を用いて計測した。そして、第2発振器6bの発振周波数と、第1発振器6aの発振周波数とが同じとなるように、各発振器6a,6b内の回路をチューニングした。例えば、第2発振器6bの発振周波数と第1発振器6aの発振周波数とが、317MHzとなるように、発振回路を調整した。なお、第2発振器6bの発振周波数(第1発振器6aの発振周波数)の発振周波数は、317MHzに限定されるものではない。
【0038】
次に、インターフェース3(金属ケース9)を高温環境下に晒したことを模しするために加熱装置(例えば、ホットプレート)上に置き、図4に示すように、第2発振器6bの発振周波数の温度特性を測定した。そして、温度センサ2からの入力を模擬するために可変容量ダイオード11に可変可能な定電圧源を接続すると共に、金属ケース9の温度を250℃で安定させた。
【0039】
その後、図5に示すように、温度センサ2から起電力を発生させることができる範囲にて、定電圧原の電圧を変化させ、この電圧と第2発振器2bからの発振周波数との相関を記録した。
そして、図4に示した発振周波数の温度特性と、図5に示した発振周波数及びバイアス電圧(定電圧源の電圧)とを用いて、データベース14を作成した。
【0040】
一方、演算装置4内に備えられた演算部15は、上記の如く作成されたデータベース14を基に、温度センサ2で測定した測定値を算出するものである。
詳しくは、演算部15は、まず、インターフェース3から送信された第1発振器6aの発振信号を受信して、当該第1発振器6aの発振周波数を抽出する。また、インターフェース3から送信された第2発振器6bの発振信号を受信して、温度センサ2からの出力に対応した第2発振器6bの発振周波数を抽出する。
【0041】
そして、第1発振器6aの発振周波数と、第2発振器6bの発振周波数とをデータベース14に参照し、これら2つの両周波数に対応するデータベース14内の値を、温度センサ2による実測値(推定値)とする。
以上述べたように、本発明のセンサのモニタリング装置1では、センサ2とインターフェース3を温度の高い場所に設置しても正常に動作させることができる。加えて、インターフェース3とは別に配置された演算装置4において、温度較正がなされたデータベース14を用いて、温度センサ2の計測値を推定するようにしている。それ故、センサのモニタリング装置1は、高温環境下であって温度変化があったとしてもセンサの測定値を正確に求めることができる。
【0042】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材2の形状、構造、組み合わせなどを適宜変更可能である。
例えば、発振回路のためのトランジスタ12をディプリーションモードで作動するもの(SiCで作られたnチャネル・ディプリーションモードFETなど)とした場合、第1発振器6a、第2発振器6bの回路を、図6(a)、(b)に示すようなものとするとよい。
【0043】
また、インターフェース3が高温環境下に配置されるため、上述したように発振器や送信器に用いる半導体だけでなく、インターフェース3に用いる半導体は全てバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体を用いることが好ましい。
また、演算装置4において、第1発振器6aの周波数と第2発振器6bの周波数との差を求め、求めた差の周波数と温度センサ2の電圧(実測値)との関係をデータベース化又は関数化しておくことによって、温度センサ2による実測値を求めることもできる。
【0044】
なお、この実施形態では、発振器6等にワイドバンドギャップ半導体を使用することによって、インターフェース3を高温環境下でも使用できることを説明したが、放射線強度が強い強放射線環境下でも使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 モニタリング装置
2 センサ
3 インターフェース
4 演算装置
5 外壁面
6 発振器
6a 第1発振器
6b 第2発振器
7 送信器
8 電源
9 金属ケース
10 送信アンテナ
11 可変容量ダイオード
12 トランジスタ
13 スペクトラムアナライザ
14 データベース
15 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、前記センサが接続され且つワイドバンドギャップ半導体を使用した発振器を備えたインタフェースと、前記インターフェースとは別に配置され且つインターフェースから出力された発振信号を処理する演算装置と、を備えていることを特徴とするセンサのモニタリング装置。
【請求項2】
前記発振器は、基準となる発振信号を出力する第1発振器と、前記センサの出力に基づいた発振信号を出力する第2発振器とから構成されており、前記第1発振器、第2発振器を構成する回路には、前記ワイドバンドギャップ半導体が使用されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサのモニタリング装置。
【請求項3】
前記演算装置は、前記第1発振器からの発振信号と第2発振器からの発振信号とに基づいて、前記センサで測定した測定値を算出する演算部を備えていることを特徴とする請求項2に記載のセンサのモニタリング装置。
【請求項4】
前記第1発振器及び第2発振器は、LC発振回路を含むものとされていることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサのモニタリング装置。
【請求項5】
前記演算装置は、動作温度によって変化する第1発振器の周波数と、動作温度及び温度センサの出力によって変化する第2発振器の周波数と、センサの測定値とが関連付けられたデータベースを備えており、
前記演算部は、第1発振器の周波数及び第2発振器の周波数と、前記データベースとに基づいて、センサの測定値を算出することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のセンサのモニタリング装置。
【請求項6】
前記第1発振器と第2発振器とは略同一の発振回路で構成され、前記第1発振器から出力される発振信号の周波数と、センサからの出力が無いときの第2発振信号の発振信号の周波数とは略同じに設定されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のセンサのモニタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−37238(P2012−37238A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174386(P2010−174386)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】