説明

センサ回路

【課題】 トリミング用の端子を設けることなくトリミング可能であって、且つ、ノイズの侵入等によるトリミングの誤動作を防止する。
【解決手段】 通常動作時の電源電圧VCCよりも高い電圧を出力端子5に印加すると、リセット信号SrがLとなりトリミング動作モードに入る。トリミングデータは、出力端子5の電圧をさらに高い電圧範囲で変化させ、データ信号SdをLまたはHとすることにより入力する。入力したトリミングデータは、一旦ラッチ9aに保持され、その後の書き込みモードにおいて電源端子3に書き込み電圧VPPを印加するとメモリ9bに書き込まれる。読み出しモードに設定すると、ラッチ9aまたはメモリ9bに記憶されたトリミングデータを出力端子5の吸い込み電流の変化として読み出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサや加速度センサなどの物理量センサのトリミング回路を備えたセンサ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
物理量センサの小型化およびコストダウンを図るため、物理量センサのトリミング調整に用いる端子数を削減したセンサ回路がある。例えば、特許文献1記載の調整機能付きセンサは、外部の信号源から信号出力端子にシリアル送信されてくる調整信号を受信した場合に調整モードを実行するようになっており、調整モード信号を入力するための専用端子が不要である。また、特許文献2記載のトリミング回路は、ロジック回路部に対して制御信号の入力を行うとともに、メモリに書き込みを行う際に書き込み用の高電圧を印加するトリミング調整用端子を設け、このトリミング調整用端子から入力されるTRIM信号のみによってトリミングに必要な信号を生成している。
【特許文献1】特開平11−30530号公報
【特許文献2】特開2002−350256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載のものは、マイコンが信号出力端子を介して外部から与えられる値を所定時間ごとにチェックし、スタートビットを検出すると1バイトのデータ受信を開始し、ストップビットが正しくない場合には不正データとみなす。しかし、この構成では、信号出力線への外来ノイズの侵入などによりマイコンが頻繁に受信動作を開始することが想定され、マイコンの処理負担が増大してしまう。また、特許文献2記載のものは、専用のトリミング調整用端子を備えているため、更なる小型化、コストダウンを図る上での障害となる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、トリミング用の端子を設けることなくトリミング可能であって、且つ、ノイズの侵入等によるトリミングの誤動作を防止したセンサ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した手段によれば、センサ出力動作を行う通常動作時において、トリミング値制御回路は、保持回路に保持されたトリミングデータまたは不揮発性のメモリに記憶されたトリミングデータを選択し、それに対応したトリミング値を生成してセンサ信号処理回路に出力する。センサ信号処理回路は、このトリミング値を用いてセンサ素子への供給電圧の調整およびセンサ素子の出力信号の調整の少なくとも一方を行い、センサ素子の出力信号に応じた検出信号を出力端子から出力する。
【0006】
これに対し、出力端子に通常動作時の電源電圧よりも高い電圧を印加すると、その入力電圧と所定の基準電圧との比較に基づいてトリミング動作状態に移行し、データ分離回路は、出力端子に入力される電圧信号からデータを分離する。そして、トリミング値制御回路は、この分離されたデータのうち上記調整のトリミング値に対応したトリミングデータを保持回路に保持し、さらに電源端子に与えられる書き込み電圧を用いて保持回路に保持されたトリミングデータをメモリに書き込む。
【0007】
このように、出力端子への印加電圧の大きさに基づいて通常動作状態とトリミング動作状態との切り替えを行うとともに、トリミングデータを出力端子から入力するので、トリミング調整用端子を設ける必要がなく、センサ回路の小型化、コストダウンを図ることができる。また、出力端子に通常の電源電圧よりも高い電圧を印加しなければトリミング動作状態に移行しないので、外来ノイズが侵入しても容易にトリミング動作状態に移行せず、トリミングの誤動作を防止することができる。
【0008】
請求項2に記載した手段によれば、出力端子に入力される電圧が第1の基準電圧以上になると通常動作状態からトリミング動作状態に移行する。そして、第1の基準電圧よりも高い第2の基準電圧とさらに高い第3の基準電圧とが設定され、出力端子に入力される電圧が第2の基準電圧以上になることを検出して同期クロック信号を生成し、出力端子に入力される電圧と第3の基準電圧との比較によりデータのLレベルとHレベルを識別することができる。
【0009】
請求項3に記載した手段によれば、電源端子ではなく出力端子に書き込み電圧を与えることにより、保持回路に保持されたトリミングデータがメモリに書き込まれる。ただし、通常動作状態では、出力端子の電圧はセンサ素子の出力信号に応じて電源電圧よりも低下する場合が生じるため、PチャネルMOSプロセスを用いた回路構成にすると、本来最高電位に固定すべき基板電位が低下する現象が生じる。そこで、本手段では電源端子に与えられる電圧から生成される定電圧と出力端子の電圧のうち何れか高い電圧を選択してメモリに対する書き込み電圧供給ラインに出力するように構成している。これにより、上記基板電位の逆転を防止することができる。
【0010】
請求項4に記載した手段によれば、トリミング動作状態においてモード設定データが読出動作モードである場合に、保持回路に保持されたトリミングデータまたはメモリに記憶されたトリミングデータを出力端子から出力することができるので、現在設定されているデータを読み出して確認することができる。
【0011】
請求項5に記載した手段によれば、電源端子に通常動作時の電源電圧よりも高い電圧を印加すると、その入力電圧と所定の基準電圧との比較に基づいてトリミング動作状態に移行し、データ分離回路は、電源端子に入力される電圧信号からデータを分離する。そして、トリミング値制御回路は、この分離されたデータのうち上記調整のトリミング値に対応したトリミングデータを保持回路に保持し、電源端子に与えられる書き込み電圧を用いて保持回路に保持されたトリミングデータをメモリに書き込む。
【0012】
通常動作時においては、トリミング値制御回路がトリミングデータに対応したトリミング値を生成してセンサ信号処理回路に出力し、センサ信号処理回路は、このトリミング値を用いてセンサ素子への供給電圧の調整およびセンサ素子の出力信号の調整の少なくとも一方を行う。本手段によれば、磁気センサなど出力端子のない2線式のセンサ回路のトリミングが可能となる。
【0013】
請求項6に記載した手段によれば、電源端子に入力される電圧が第1の基準電圧以上になると通常動作状態からトリミング動作状態に移行する。そして、第1の基準電圧よりも高い第2の基準電圧とさらに高い第3の基準電圧とが設定され、電源端子に入力される電圧が第2の基準電圧以上になることを検出して同期クロック信号を生成し、電源端子に入力される電圧と第3の基準電圧との比較によりデータのLレベルとHレベルを識別することができる。
【0014】
請求項7に記載した手段によれば、トリミング動作状態においてモード設定データが読出動作モードである場合に、保持回路に保持されたトリミングデータまたはメモリに記憶されたトリミングデータを電源端子から出力することができるので、現在設定されているデータを読み出して確認することができる。
【0015】
請求項8に記載した手段によれば、データ分離回路により分離されたデータ列に含まれるデータパターンが特定のパターンである場合、トリミング動作状態から通常動作状態に移行した時に、メモリではなく保持回路に保持されたトリミングデータに対応したトリミング値を生成可能となる。これにより、保持回路のトリミングデータを最終的にメモリに書き込む前に、保持回路のトリミングデータを用いて検出信号を得ることができるので、トリミングデータの入力と該トリミングデータを用いた検出信号の測定とを繰り返し行ってセンサ素子に係る調整を行うことができ、調整工程(トリミング工程)における調整時間を短縮することができる。
【0016】
請求項9に記載した手段によれば、トリミング動作状態においてモード設定データが書込動作モードである場合に、保持回路に保持されたトリミングデータをメモリに書き込むので、別途書き込み制御端子を設ける必要がない。
【0017】
請求項10に記載した手段によれば、保持回路に保持されたトリミングデータを一旦メモリに書き込むと、保持回路に保持されたトリミングデータの選択を禁止するので、製品出荷後の通常動作中において保持回路に保持されたトリミングデータを選択する誤動作を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図6を参照しながら説明する。
図1は、トリミング回路を内蔵したCMOSセンサ回路の電気的構成を示している。このセンサ回路1には、物理量センサ例えばピエゾ素子をブリッジ状に配置して構成されたセンサ素子2が接続されている。センサ回路1は、通常動作状態において、センサ素子2からの出力信号に応じた電圧(検出信号に相当)をセンサ出力として出力端子5から出力するようになっている。
【0019】
また、センサ回路1は、センサ素子2における感度調整、オフセット調整、オフセット温度特性調整等の電気トリミング(以下、単にトリミングと称す)を行うトリミング回路を備えている。出力端子5は、上記通常動作状態ではセンサ出力端子として機能する一方、上記トリミングを行うトリミング動作状態ではトリミングデータ等の入力端子として機能するようになっている。
【0020】
センサ回路1への電源供給は、電源端子3、4を介して行われる。これら電源端子3、4は、通常動作状態においてはセンサ回路1の駆動用電圧VCCの供給端子として機能し、トリミング動作状態においてはセンサ回路1の駆動用電圧VCCまたはメモリへの書き込み電圧VPPの供給端子として機能するようになっている。なお、センサ回路1は、これら3つの端子3、4、5のみを備え、トリミング用の専用端子は備えていない。
【0021】
センサ回路1は、アナログ回路部6、制御信号分離回路部7、ロジック回路部8およびトリミング電圧制御回路部9から構成されている。以下、各回路部の構成について順に説明する。
アナログ回路部6(センサ信号処理回路に相当)は、トリミング電圧制御回路部9から与えられるトリミング電圧(トリミング値に相当)を用いてセンサ素子2に印加する電圧を調整したりセンサ素子2からの出力信号を調整し、センサ素子2の出力信号に応じた検出信号を出力端子5から出力するようになっている。こうした調整により、感度調整、オフセット調整、オフセット温度特性調整等が行われた高精度のセンサ出力を得ることができる。
【0022】
また、アナログ回路部6は、ロジック回路部8からデータ出力信号Soを受け取ると、トリミング電圧制御回路部9のメモリ9b(後述)に記憶されているデータに応じて出力端子5の吸い込み電流を2値的に変化させることにより、メモリ9bに記憶されているデータを出力することができる。なお、アナログ回路部6は、電源端子3に与えられる電圧から一定の電源電圧VDDを生成する電源回路6aを備えている。
【0023】
制御信号分離回路部7(データ分離回路に相当)は、トリミング動作状態において出力端子5に入力される電圧Vinの分圧電圧Vdと基準電圧Va、Vb、Vc(第1、第2、第3の基準電圧に相当)との比較に基づいて、電圧Vinからリセット信号Sr(トリミング動作状態への移行信号、動作状態信号に相当)、クロック信号Scおよびデータ信号Sdを分離してロジック回路部8に出力するようになっている。基準電圧Va、Vb、Vcは、電源回路6aの出力電圧VDDを抵抗R1〜R4によって分圧することにより生成され、それぞれコンパレータ10の非反転入力端子、コンパレータ11の反転入力端子、コンパレータ12の反転入力端子に入力されている。
【0024】
一方、出力端子5とグランド線との間には抵抗R6とR5とが直列に接続されており、その分圧点はフィルタ13を介してコンパレータ10の反転入力端子、コンパレータ11の非反転入力端子およびコンパレータ12の非反転入力端子に共通に接続されている。なお、コンパレータ10、11、12は、電源回路6aから電源電圧VDDの供給を受けて動作するようになっている。
【0025】
ロジック回路部8は、制御信号分離回路部7とトリミング電圧制御回路部9との間のインターフェースを行うものである。すなわち、ロジック回路部8は、クロック信号Scを同期クロックとして用いることにより、データ信号Sdからモードデータ(モード設定データに相当)、トリミングデータ、付加データ等を得るようになっている。そして、モードデータ、付加データおよびリセット信号Srに基づいてモード制御信号を生成し、それをコントロールバス14を介してトリミング電圧制御回路部9に出力するようになっている。
【0026】
また、ロジック回路部8は、トリミングデータを得ると、トリミング電圧制御回路部9に対して、アドレスバス15を介してトリミングデータを格納するアドレスを出力するとともに、データバス16を介してトリミングデータを出力するようになっている。さらに、トリミング電圧制御回路部9との間でデータの収受を行い、トリミング電圧制御回路部9から受け取ったメモリ9b(後述)に記憶されているトリミングデータをデータ出力信号Soとしてアナログ回路部6に出力するようになっている。
【0027】
トリミング電圧制御回路部9(トリミング値制御回路に相当)は、ロジック回路部8から送られたトリミングデータを記憶し、その記憶したトリミングデータに基づいてトリミングするためのトリミング電圧(トリミング値)を発生するものである。具体的には、トリミング電圧制御回路部9は、アドレスデコーダ、入出力コントローラ、ラッチ9a(保持回路に相当)、EPROMからなるメモリ9b(不揮発性メモリ)およびD/Aコンバータから構成されている。その他、メモリ9bに記憶された内容に誤りがあるか否かを訂正する誤り訂正部を付加してもよい。
【0028】
トリミング動作状態において、ロジック回路部8から送られたトリミングデータはまずラッチ9aに保持され、書き込みモード(書込動作モードに相当)に設定されるとラッチ9aの保持データがメモリに書き込まれるようになっている。この場合の書き込み電圧VPPは、電源端子3からフィルタ17、書き込み電圧供給ラインLN1、ロジック回路部8を介してトリミング電圧制御回路部9に与えられるようになっている。
【0029】
また、トリミング電圧制御回路部9は、上記付加データに基づいてラッチ9aに保持されているトリミングデータまたはメモリ9bに記憶されているトリミングデータを選択し、そのトリミングデータに基づくトリミング電圧(トリミング値)をアナログ回路部6に出力するようになっている。さらに、読み出しモード(読出動作モードに相当)に設定されると、ロジック回路部8に対してラッチ9aに保持されているトリミングデータまたはメモリ9bに記憶されているトリミングデータを出力するようになっている。
【0030】
ところで、トリミング動作状態において外部から出力端子5に電圧が印加されるため、アナログ回路部6の出力段に電流リミッタを付加して流れ込み電流を制限している。図2は、この出力段の回路構成を示している。オペアンプ18の出力端子とセンサ回路1の出力端子5との間には電流リミッタ19が接続されており、抵抗R7を用いて反転増幅回路が構成されている。
【0031】
オペアンプ18は、トランジスタQ1〜Q5、定電流回路20、抵抗R8および位相補償用コンデンサC1からなる周知の回路構成である。また、電流リミッタ19は、トランジスタQ6〜Q9、フィルタ21、22および抵抗R9、R10から構成されている。抵抗R9は電流検出用抵抗である。出力端子5から抵抗R9を介してトランジスタQ5に流れ込む電流が増大すると、抵抗R9の両端電圧がトランジスタQ6のしきい値電圧Vtを超えるためトランジスタQ6がオンとなり、トランジスタQ7、Q8からなるカレントミラー回路を介して抵抗R10に電流が流れる。その結果、トランジスタQ9がオンし、トランジスタQ5のゲート電位が低下するため、抵抗R9の両端電圧がトランジスタQ6のしきい値電圧Vtと等しくなるように出力端子5に流れ込む電流が制限される。
【0032】
なお、図1、図2に示すフィルタ13、17、21、22は、RCフィルタ、ツェナーダイオードなどから構成されており、外来ノイズによる誤動作、故障を防止するのに寄与している。これらのフィルタ13、17、21、22は、必要に応じて設ければよい。
【0033】
次に、本実施形態におけるトリミングについて図3ないし図6も参照しながら説明する。
センサ装置の調整工程(トリミング工程)においては、上述したようにセンサ素子2に印加する電圧を調整したりセンサ素子2からの出力信号を調整することによりセンサ素子2の感度調整等を行う。このトリミング工程では、センサ回路1の電源端子3、4および出力端子5に、図3(b)、(c)に示す外部回路23を接続する。
【0034】
この外部回路23は、電源端子3、4間に接続される電圧源24、出力端子5と電源端子4との間に接続される電圧計25、および出力端子5と電源端子4との間に直列接続されるスイッチ26と電流計27とトリミング信号源28から構成されている。ここで、電圧源24は、センサ回路1の駆動用電圧VCCまたはメモリ9bの書き込み電圧VPPを供給する能力を有している。また、電流計27は、センサ回路1を読み出しモードに設定した時に、出力端子5への流れ込み電流を検出して電流に応じたデータを出力するものである。さらに、トリミング信号源28は、トリミング動作状態において、データに応じた電圧(トリミング信号)を出力端子5に印加するものである。アナログ回路部6の出力段には電流リミッタが設けられているので、トリミング信号源28の出力電流はその電流出力能力(一例として数mA)以下に抑えられている。
【0035】
図3(a)は、トリミング動作状態においてトリミング信号源28が出力端子5に印加する電圧波形の一部を示している。この電圧は、電源端子3に印加される駆動用電圧VCCよりも高い電圧であって、3つの電圧レベルVCC+Vα、VCC+Vβ、VCC+Vγを有している(Vα<Vβ<Vγ)。これらの各電圧が印加されたときの分圧電圧Vd(VCC+Vα)、Vd(VCC+Vβ)、Vd(VCC+Vγ)と基準電圧Va、Vb、Vcとは、以下の関係を有している。
Vd(VCC)<Va<Vd(VCC+Vα)
Vd(VCC+Vα)<Vb<Vd(VCC+Vβ)
Vd(VCC+Vβ)<Vc<Vd(VCC+Vγ)
【0036】
すなわち、外部回路23のスイッチ26を閉じて出力端子5にVCC+Vαの電圧を印加すると、リセット信号SrがLレベル(0V)となり、センサ回路1は通常動作状態からトリミング動作状態に移行する。出力端子5にVCC+Vβが印加された状態がL(0)レベルデータに対応し、出力端子5にVCC+Vγが印加された状態がH(1)レベルデータに対応する。これらLレベルデータに対応する電圧VCC+VβとHレベルデータに対応する電圧VCC+Vγは何れもVCC+Vαよりも高いため、センサ回路1のロジック回路部8は、クロック信号Scに同期してデータ信号Sdを読み込むことができる。
【0037】
トリミング工程では、まずスイッチ26を閉じてセンサ回路1にトリミング信号源28を接続することによりセンサ回路1をトリミング動作状態に移行させるとともに、トリミング信号源28から出力端子5に対しデータ入力モードを表すモードデータとトリミングデータとを与える。図4は、この場合の出力端子5に印加される電圧波形を示している。この図4において、データ入力モードのモードデータ「100」を与えた後、メモリ9bへのトリミングデータの格納アドレス1、2、…、Nに従って順次トリミングデータを与え、最後に付加ビットを与える。センサ回路1に入力されたトリミングデータは、トリミング電圧制御回路部9内のラッチ9aに保持される。
【0038】
付加ビットは、スイッチ26を開いてセンサ回路1からトリミング信号源28を切り離した後の動作モードを設定するために必要となる。すなわち、図4(a)に示すように、付加ビットを「1」にすると、スイッチ26を開いてトリミング動作状態から通常動作状態に移行した時に、トリミング電圧制御回路部9は、ラッチ9aに保持されているトリミングデータを選択し、そのトリミングデータに基づくトリミング電圧をアナログ回路部6に出力する(以下、ラッチモードと称す)。アナログ回路部6は、このトリミング電圧を用いてセンサ出力を行う。
【0039】
一方、図4(b)に示すように、付加ビットを「0」にすると、スイッチ26を開いてトリミング動作状態から通常動作状態に移行した時に、トリミング電圧制御回路部9は、メモリ9bに保持されているトリミングデータを選択し、そのトリミングデータに基づくトリミング電圧をアナログ回路部6に出力する(以下、メモリモードと称す)。アナログ回路部6は、このトリミング電圧を用いてセンサ出力を行う。
【0040】
トリミング工程は、通常、図4(a)に示す手順に従う。すなわち、トリミング動作状態のデータ入力モードでトリミングデータを与え、その後、通常動作モードのラッチモードでラッチ9aのトリミングデータを用いたセンサ出力を外部回路23の電圧計25を用いて測定する。この測定結果が、所定の調整範囲内に収まっていない場合には、再びスイッチ26を閉じてセンサ回路1をトリミング動作状態に移行させ、データ入力モードにより修正した新たなトリミングデータを与える。なお、スイッチ26を閉じて一旦トリミング動作状態にした後、そのままスイッチ26を開いて通常動作状態に戻すと、自動的にメモリモードに戻る。
【0041】
上記測定結果が、所定の調整範囲内に収まった場合には、ラッチ9aに保持されているトリミングデータをメモリ9bに書き込む。図5は、書き込み時における出力端子5に印加される電圧波形および電源端子3に印加される電圧波形を示している。この図5において、トリミング信号源28から出力端子5に対し書き込みモードのモードデータ「111」を与えた後、電圧源24から電源端子3に対し書き込み電圧VPPを与え、メモリ9bへの書き込みを行う。
【0042】
書き込み電圧VPPを与えている期間(実際にはその前後のマージンを含めた期間)、出力端子5には「1」相当電圧を与え続ける必要がある。この場合、VCC+Vγよりも高い電圧を与えている。これは、電源端子3に書き込み電圧VPP(>VCC)を与えると、電源回路6aの出力電圧VDDが上昇して基準電圧Va、Vb、Vcが上昇する虞があるため、上記「1」の状態を確実に維持するために出力端子5への印加電圧を高めている。メモリ9bへの書き込みが終了した後(製品出荷後)においては、通常動作モードのメモリモードで使用される。
【0043】
ところで、トリミング工程において、ラッチ9aに保持されているトリミングデータまたはメモリ9bに記憶されているトリミングデータを読み出すことができる。図6は、その読み出しモードにおける出力端子5に印加される電圧波形および出力端子5への吸い込み電流波形を示している。この図6において、トリミング信号源28から出力端子5に対し読み出しモードのモードデータ「101」を与えた後に同期用データ「000…」を与えると、所定のアドレスに記憶されているデータの値(「0」または「1」)に応じて、出力端子5への吸い込み電流が変化する。外部回路23の電流計27を用いてこの電流を測定することにより、上記データの読み出しが可能となる。なお、メモリ9bに記憶されているデータではなくラッチ9aに保持されているデータを読み出す場合には、モードデータを所定のデータに変更すればよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のセンサ回路1は、トリミング値を用いたトリミング回路を内蔵しているため、センサ出力の製品ばらつきを低減でき、高精度のセンサ出力信号(検出信号)を得ることができる。そして、センサ回路1は、出力端子5からトリミングデータを入力し、電源端子3から書き込み電圧VPPを入力するように構成されているため、トリミング用の専用端子が不要となり、センサ回路1の小型化、コストダウンを図ることができる。
【0045】
通常動作モードからトリミング動作状態に移行するためには、出力端子5に通常動作状態における電源電圧VCCよりも高い電圧を印加することが条件とされるので、製品出荷後の実使用状態においてトリミング動作状態への移行を阻止することができる。また、トリミング動作状態に移行する際の基準電圧Vaを電源電圧VCCに対し所定のマージン電圧だけ高く設定することにより、出力端子5に外来ノイズが印加された場合でもトリミング動作状態に移行することを防止することができる。
【0046】
出力端子5から入力したトリミングデータは、一旦ラッチ9aに保持される。このため、アナログ回路部6は、メモリ9bに記憶されているトリミングデータに基づいてトリミングされたセンサ検出信号を出力することができる(メモリモード)他、ラッチ9aに記憶されているトリミングデータに基づいてトリミングされたセンサ検出信号も出力することができる(ラッチモード)。従って、トリミング工程では、最終的にトリミングデータをメモリ9bに書き込む前に、「トリミングデータの入力→センサ出力の測定・確認→トリミングデータの再入力」の処理により、メモリ9bへの書き込みが介在しないトリミングを行うことができ、トリミング処理時間を短縮することができる。
【0047】
ただし、ラッチモードの通常動作状態となるのは、通常動作状態で電源端子3に供給される電源電圧VCCよりも高い電圧を出力端子5に印加し、且つ、出力端子5に与えるモードデータおよびトリミングデータに続く付加ビットに1を設定した場合に限られる。従って、製品出荷後の実際の使用状態において、センサ回路1がメモリモードからラッチモードに移行する誤動作は生じない。
【0048】
さらに、トリミング動作状態において読み出しモードに設定すると、ラッチ9aに保持されたトリミングデータまたはメモリ9bに記憶されたトリミングデータを出力端子5の吸い込み電流として読み出すことができるので、現在設定されているトリミングデータを容易に確認することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図7を参照しながら説明する。
図7は、トリミング回路を内蔵したCMOSセンサ回路の電気的構成を示しており、図1と同一構成部分には同一符号を付している。このセンサ回路29は、トリミング動作状態において、出力端子5からトリミングデータとメモリ9bへの書き込み電圧VPPとを与えるようになっている。その他のトリミング手順は、第1の実施形態で説明したセンサ回路1と同様である。
【0050】
制御信号分離回路部30(データ分離回路に相当)において、出力端子5は、フィルタ17を介して抵抗R6とR5の直列回路に接続されており、さらに切替回路31(書き込み電圧切替回路に相当)を介して電源回路6aの出力線(電圧VDDの供給線)に接続されている。切替回路31は、図示極性のダイオードD1と抵抗R11との直列回路により構成されている。ダイオードD1と抵抗R11との共通接続点は、書き込み電圧供給ラインLN1に接続されている。
【0051】
切替回路31は、電源回路6aから供給される電源電圧VDDと出力端子5の電圧のうち何れか高い電圧を選択して書き込み電圧供給ラインLN1に出力する。通常動作状態において、出力端子5の電圧は0VからVCCまでの範囲内でセンサ出力により変化する。電圧VCCとVDDとが等しい場合、ダイオードD1の順方向電圧Vfを考慮すればダイオードD1は常に非導通状態となり、書き込み電圧供給ラインLN1には電源電圧VDDが与えられる。
【0052】
一方、トリミング動作状態においては、出力端子5の電圧はVCCを超える電圧となっており(図3(a)参照)、ダイオードD1は導通状態となる。このため、書き込み電圧供給ラインLN1には出力端子5の電圧が与えられ、メモリ9bへの書き込み時には出力端子5からの書き込み電圧VPPが与えられる。ここで、抵抗R11によって電源電圧VDDと出力端子5の電圧との干渉を防止している。
【0053】
このように切替回路31を設けると、通常動作状態において、書き込み電圧供給ラインLN1を介して、PチャネルMOS構造を持つロジック回路部8の基板電位に、出力端子5から出力される低い電圧が印加されることがない。従って、本実施形態によれば、第1の実施形態で説明した作用、効果に加え、CMOSセンサ回路であっても出力端子5からトリミングデータと書き込み電圧VPPとを与えることが可能となる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図8および図9を参照しながら説明する。
図8は、トリミング回路を内蔵したCMOSセンサ回路の電気的構成を示しており、図1と同一構成部分には同一符号を付している。このセンサ回路32も、第2の実施形態で説明したセンサ回路29と同様に、トリミング動作状態において、出力端子5からトリミングデータと書き込み電圧VPPとを与えるようになっている。本実施形態では、上述したロジック回路部8の基板電位の逆転を防止するため、電源回路6aから供給される電源電圧VDDとフィルタ17を介した後の出力端子5の電圧のうち何れか高い電圧を選択して書き込み電圧供給ラインLN1に出力する切替回路33(書き込み電圧切替回路に相当)を備えている。
【0055】
図9は、切替回路33の具体的な回路構成を示している。ここでは、切替回路33の入力電圧のうち出力端子5からの電圧をVPPinとし、切替回路33の出力電圧(書き込み電圧供給ラインLN1の電圧)をVPPoutとしている。切替回路33において、電圧VPPinの入力端子と電圧VPPoutの出力端子(書き込み電圧供給ラインLN1)との間には、スイッチ回路35が介在しており、ロジック回路部8からの制御信号Saは、レベル変換回路34を介してスイッチ回路35を制御するようになっている。電圧VDDの入力端子と電圧VPPoutの出力端子との間には、抵抗R12が接続されている。
【0056】
レベル変換回路34は、トランジスタQ10〜Q15から構成されており、スイッチ回路35は、トランジスタQ16、Q17からなるスイッチ36と、トランジスタQ18、Q19からなるスイッチ37との直列回路から構成されている。より具体的には、レベル変換回路34において、電圧VDDの入力端子とグランド線との間には、ゲートが共通に接続されたトランジスタQ10とQ11とが直列に接続されており、電圧VPPinの入力端子とグランド線との間には、ゲートが共通に接続されたトランジスタQ12とQ13とが直列に接続されている。
【0057】
トランジスタQ10、Q11、Q18、Q19の各ゲートには制御信号Saが与えられ、トランジスタQ12、Q13のドレインはトランジスタQ16とQ17のゲートに共通に接続されている。トランジスタQ10、Q11のドレインとトランジスタQ12、Q13のゲートとの間にはトランジスタQ14が接続されており、電圧VPPinの入力端子とトランジスタQ12、Q13のゲートとの間にはトランジスタQ15が接続されている。トランジスタQ14のゲートは電圧VDDの入力端子に接続され、トランジスタQ15のゲートはトランジスタQ12、Q13のドレインに接続されている。
【0058】
通常動作状態およびトリミング動作状態の非書き込み時において、ロジック回路部8は電圧VDDを持つ制御信号Saを出力する。このとき、トランジスタQ11、Q12、Q14がオン、トランジスタQ10、Q13、Q15がオフとなり、トランジスタQ12、Q13のドレインは電圧VPPinとなる。その結果、VPPin>VDDの時にはスイッチ36がオフ、VPPin<VDDの時にはスイッチ37がオフとなり、結局スイッチ回路35はオフとなって、切替回路33は電圧VDDを出力する。
【0059】
一方、トリミング動作状態のメモリ書き込み時において、ロジック回路部8は0Vの制御信号Saを出力する。このとき、トランジスタQ11、Q12がオフ、トランジスタQ10、Q13、Q14、Q15がオンとなり、トランジスタQ12、Q13のドレインは0Vとなる。その結果、スイッチ36、37がオンとなり、結局スイッチ回路35はオンとなって、切替回路33は書き込み電圧VPPin(=VPP)を出力する。
【0060】
このように切替回路33を設けると、第2の実施形態と同様に、通常動作状態において、ロジック回路部8の基板電位に書き込み電圧供給ラインLN1を介して出力端子5から出力される低い電圧が印加されることがなくなり、CMOSセンサ回路であっても出力端子5からトリミングデータと書き込み電圧VPPとを与えることが可能となる。
【0061】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図10を参照しながら説明する。
図10は、トリミング回路を内蔵したCMOSセンサ回路の電気的構成を示しており、図1と同一構成部分には同一符号を付している。このセンサ回路38は、トリミング動作状態において、電源端子3からトリミングデータとメモリ9bへの書き込み電圧VPPとを与えるようになっている。その他のトリミング手順は、第1の実施形態で説明したセンサ回路1と同様である。
【0062】
制御信号分離回路部39(データ分離回路に相当)において、電源端子3は、フィルタ17を介して抵抗R6とR5の直列回路に接続されており、さらに書き込み電圧供給ラインLN1にも接続されている。また、電源電圧VDDに基づいて一定の基準電圧を生成する基準電圧生成回路40を備えており、その基準電圧は抵抗R1〜R4の直列回路に与えられている。
【0063】
本実施形態によれば、電源端子3、4のみを用いてトリミング可能となるため、例えば磁気センサなど出力端子のない電流出力方式の2線式のセンサ回路についてもトリミングが可能となる。また、基準電圧生成回路40を備えているので、電源端子3に書き込み電圧VPPを印加した場合でも基準電圧Va、Vb、Vcが変動せず、より安定した誤動作のないトリミングが可能となる。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
トリミング電圧制御回路部9は、ラッチ9aに保持されたトリミングデータをメモリ9bに書き込むことにより、それ以降通常動作状態においてラッチモードへの移行を禁止するように構成してもよい。第1の実施形態では、付加ビットをメモリ9bの特定アドレスN+1に書き込むことにより、ラッチモードへの移行を禁止すればよい。これにより、製品出荷後の通常動作中に電源電圧の変動やノイズの侵入があっても、ラッチ9aに保持されたトリミングデータを選択するラッチモードに移行することを確実に防止でき、EMC、ESD等のノイズ耐性の向上が図られる。
【0065】
センサ素子2には、圧力センサ、加速度センサ、磁気センサなど各種の物理量センサを用いることができる。
メモリは、EPROMに限らず、少なくとも電気的に書き込み可能な不揮発性メモリであればよい。
読み出しモードにおいて、ラッチ9aに保持されたトリミングデータまたはメモリ9bに記憶されたトリミングデータを、出力端子5から出力される電圧信号として読み出すように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すセンサ回路の電気的構成図
【図2】アナログ回路部の出力段の回路構成図
【図3】(a)はトリミング動作状態における出力端子の電圧波形図、(b)と(c)は外部回路との接続態様を示す図
【図4】トリミング動作状態のデータ入力モードにおける出力端子の電圧波形を示す図
【図5】トリミング動作状態の書き込みモードにおける出力端子の電圧波形および電源端子の電圧波形を示す図
【図6】トリミング動作状態の読み出しモードにおける出力端子の電圧波形および出力端子の吸い込み電流波形を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図9】切替回路の回路構成図
【図10】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【符号の説明】
【0067】
1、29、32、38はセンサ回路、2はセンサ素子、3、4は電源端子、5は出力端子、6はアナログ回路部(センサ信号処理回路)、6aは電源回路、7、30、39は制御信号分離回路部(データ分離回路)、9はトリミング電圧制御回路部(トリミング値制御回路)、9aはラッチ(保持回路)、9bはメモリ、31、33は切替回路(書き込み電圧切替回路)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子と出力端子とを備え、トリミング値を用いてセンサ素子への供給電圧の調整および前記センサ素子の出力信号の調整の少なくとも一方を行い、前記センサ素子の出力信号に応じた検出信号を前記出力端子から出力するセンサ信号処理回路と、
前記出力端子に入力される電圧と通常動作時に前記電源端子に印加される電源電圧よりも高い電圧範囲内において設定された所定の基準電圧との比較に基づいて、トリミング動作状態への移行信号を生成するとともに前記出力端子に入力される電圧信号からデータを分離するデータ分離回路と、
前記データ分離回路で分離されたデータのうち前記センサ信号処理回路によって行われる調整の調整量を決定するトリミング値に対応したトリミングデータを一時的に保持する保持回路および当該保持回路に保持されたトリミングデータを記憶可能なメモリを有し、前記電源端子に与えられる書き込み電圧を用いて前記保持回路に保持されたトリミングデータを前記メモリに書き込むとともに、前記通常動作時において、前記保持回路に保持されたトリミングデータと前記メモリに記憶されたトリミングデータの何れかを選択しそれに対応したトリミング値を生成して前記センサ信号処理回路に出力するトリミング値制御回路とを備えていることを特徴とするセンサ回路。
【請求項2】
前記データ分離回路は、
前記出力端子に入力される電圧と第1の基準電圧との比較に基づいて、動作状態が通常動作状態とトリミング動作状態の何れであるかを示す動作状態信号を生成し、
前記出力端子に入力される電圧と前記第1の基準電圧よりも高く設定された第2の基準電圧との比較に基づいてクロック信号を生成し、
前記出力端子に入力される電圧と前記第2の基準電圧よりも高く設定された第3の基準電圧との比較に基づいてデータ信号を分離することを特徴とする請求項1記載のセンサ回路。
【請求項3】
前記電源端子に与えられる電圧から定電圧を生成する電源回路と、
この定電圧と前記出力端子の電圧のうち何れか高い電圧を選択して前記メモリに対する書き込み電圧供給ラインに出力する書き込み電圧切替回路とを備え、
前記トリミング値制御回路は、前記電源端子に与えられる電圧に替えて前記出力端子に与えられる書き込み電圧を用いて前記保持回路に保持されたトリミングデータを前記メモリに書き込むことを特徴とする請求項1または2記載のセンサ回路。
【請求項4】
前記データ分離回路が分離するデータはモード設定データを含み、
前記センサ信号処理回路は、前記トリミング動作状態において前記モード設定データが読出動作モードである場合に、前記保持回路に保持されたトリミングデータまたは前記メモリに記憶されたトリミングデータを前記出力端子から出力することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のセンサ回路。
【請求項5】
電源端子を備え、トリミング値を用いてセンサ素子への供給電圧の調整および前記センサ素子の出力信号の調整の少なくとも一方を行い、前記センサ素子の出力信号に応じた検出信号を前記電源端子から出力するセンサ信号処理回路と、
前記電源端子に入力される電圧と通常動作時に前記電源端子に印加される電源電圧よりも高い電圧範囲内において設定された所定の基準電圧との比較に基づいて、トリミング動作状態への移行信号を生成するとともに前記電源端子に入力される電圧信号からデータを分離するデータ分離回路と、
前記データ分離回路で分離されたデータのうち前記センサ信号処理回路によって行われる調整の調整量を決定するトリミング値に対応したトリミングデータを一時的に保持する保持回路および当該保持回路に保持されたトリミングデータを記憶可能なメモリを有し、前記電源端子に与えられる書き込み電圧を用いて前記保持回路に保持されたトリミングデータを前記メモリに書き込むとともに、前記通常動作時において、前記保持回路に保持されたトリミングデータと前記メモリに記憶されたトリミングデータの何れかを選択しそれに対応したトリミング値を生成して前記センサ信号処理回路に出力するトリミング値制御回路とを備えていることを特徴とするセンサ回路。
【請求項6】
前記データ分離回路は、
前記電源端子に入力される電圧と第1の基準電圧との比較に基づいて、動作状態が通常動作状態とトリミング動作状態の何れであるかを示す動作状態信号を生成し、
前記電源端子に入力される電圧と前記第1の基準電圧よりも高く設定された第2の基準電圧との比較に基づいてクロック信号を生成し、
前記電源端子に入力される電圧と前記第2の基準電圧よりも高く設定された第3の基準電圧との比較に基づいてデータ信号を分離することを特徴とする請求項5記載のセンサ回路。
【請求項7】
前記データ分離回路が分離するデータはモード設定データを含み、
前記センサ信号処理回路は、前記トリミング動作状態において前記モード設定データが読出動作モードである場合に、前記保持回路に保持されたトリミングデータまたは前記メモリに記憶されたトリミングデータを前記電源端子から出力することを特徴とする請求項5または6記載のセンサ回路。
【請求項8】
前記トリミング値制御回路は、前記トリミング動作状態から前記通常動作状態に移行したときに、前記データ分離回路により分離されたデータ列に含まれるデータパターンに基づいて前記保持回路に保持されたトリミングデータと前記メモリに記憶されたトリミングデータの何れかを選択し、それに対応したトリミング値を生成して前記センサ信号処理回路に出力することを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載のセンサ回路。
【請求項9】
前記データ分離回路が分離するデータはモード設定データを含み、
前記トリミング値制御回路は、前記トリミング動作状態において前記モード設定データが書込動作モードである場合に、前記保持回路に保持されたトリミングデータを前記メモリに書き込むことを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載のセンサ回路。
【請求項10】
前記トリミング値制御回路は、前記保持回路に保持されたトリミングデータを前記メモリに書き込むと、前記保持回路に保持されたトリミングデータに基づくトリミング値の生成を禁止することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載のセンサ回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−71336(P2006−71336A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252282(P2004−252282)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】