説明

タイヤ監視システム

本発明は、タイヤ内に取り付けられた遠隔タイヤ監視ユニットと、中央コントローラと、音声指示ユニットと、ブレーキ減速機構体とを含み、遠隔タイヤ監視ユニットは、タイヤ内の空気圧および温度を監視し、サンプリングして、中央コントローラに後に無線で送信されるタイヤ条件のサンプリング・データ信号を生成するのに使用され、中央コントローラは、タイヤ条件のサンプリング・データ信号を無線で受信し、受信されたデータ信号を計算して、音声指示命令および/またはブレーキ減速命令を生成するようにし、その後、その音声指示命令を音声指示ユニットに伝送する一方で、ブレーキ減速命令をブレーキ減速機構体に伝送し、音声指示ユニットは、前記音声指示命令を受信して、音声指示情報を出力するように提供され、ブレーキ減速機構体は、前記ブレーキ減速命令を受信し、ブレーキ減速の動作を実行して、急速な空気の抜けおよびタイヤ破裂が突然に生じた際に、効果的なセキュリティ保護を短い時間の内に提供するようにするタイヤ監視システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、車両運転安全に関する技術分野に関し、特に、タイヤ空気圧、温度監視、および運転制御にかかわる技術に関し、具体的には、タイヤ監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両運転安全に対するタイヤの影響は、車両分野および人々の焦点であった。タイヤ圧力監視システム(TPMSと略される)は、2003年に米国において車両の標準の構成として実施されることになったので、TPMSは、車両技術に関する技術用語となっており、TPMSの世界的な研究、開発、および製造は、急速に増える傾向にある。
【0003】
現在のTPMSの主流の技術的ソリューションは、以下のとおりである。すなわち、TPMSが、以下の2つの部分を含む。すなわち、車両のタイヤ内部に取り付けられた遠隔タイヤ空気圧監視モジュール(RTPMと略される)と、車両の運転ボックスの中に取り付けられた中央モニタ(LCDディスプレイ)とである。塩化チオニル・リチウム電池によって電源供給されて、各タイヤ内部に取り付けられたRTPMは、タイヤ空気圧、およびタイヤ内の温度を監視して、サンプリングし、高周波数のRF(電波)を介して、サンプリング・データを伝送し、4つ、または5つの(予備のタイヤを含め)RTPMモジュールが、1つのTPMSの中に含められる。中央モニタは、RTPMモジュールから伝送された信号を受信し、各タイヤ内部の空気圧および温度のデータを、運転者の参照のために、液晶ディスプレイ上で順に表示し、タイヤ空気圧またはタイヤ温度の異常が生じた場合、中央モニタは、様々な警報信号を発生させて、必要な措置をとるよう運転者に警告する。以上のことの通常の技術的な経路(technical route)ブロック図、つまり、原理ブロック図が、図1に示され、
RTPMモジュールは、以下の複数の複合部品を含む。すなわち、1)圧力検出、温度検出、加速度検出、電圧検出、およびポスト信号処理(post−signal processing)のASICチップ・アセンブリを有するインテリジェント・センサ、2)4〜8ビットのMCU(マイクロコンピュータ制御ユニット)、3)無線周波数伝送チップ、4)塩化チオニル・リチウム電池、および5)アンテナである。
【0004】
シリコンMEMS(微小電子機械システム)の技術によって作成されたシステム・オン・チップ・モジュールである、インテリジェント・センサは、圧力センサと、温度センサと、加速度計と、電池電圧検出と、内部クロックと、ADC(アナログ−デジタル変換器)、S/H(サンプル/ホールド)、SPIポート、較正、データ管理、およびIDコードを有するデジタル信号処理ASICユニットとを含む。前記モジュールは、マスクプログラミング性(mask programmability)を与えられており、このことは、顧客が、特別なソフトウェアを使用して、前記モジュールを構成できることを意味する。
【0005】
現在のTPMS技術は、RTPMのための電力を塩化チオニル・リチウム電池の範囲内で供給し、RTPMは、電池容量によって制限されるので、電池管理の最小電力設計は、サンプリング後休止およびタイミング起動というソリューションを採用して、電池の耐用寿命が、5〜10年間、続くことが可能であるという要件を満たす。TPMSの対応では、圧力データ、温度データなどが、長い間隔でサンプリングされ、一般に、圧力データのサンプリング周波数は、1/3Hz〜1/8Hzであり、データ伝送周波数は、RTPMマイクロプロセッサの電力管理プログラムによって正確に制御される、1/30Hz〜1/80Hzである。RTPMのRTPMタイミング起動の間隔は、3秒〜8秒の間の範囲で規則的に設定される。RTPMモジュールは、サンプリング間隔中、休止の状態にある。
【0006】
TPMSは、タイヤを正常な空気圧に保つこと、タイヤ破裂によって引き起こされる事故を防止し、減らすことにプラスの影響を有する。しかし、現在のTPMSシステムにおけるタイヤ空気圧データのサンプリング間隔は、3000〜8000ミリ秒もの大きさなので、このため、いくつかの限界または欠点が存在し、前記システムは、タイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報を示す機能だけしか有さず、前記機能が果たす役割は、警告すること、および防止することに限られるが、タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜け(deflation)に迅速な対応を行うことができず、有効な助けを提供することもできず、これらは、現在のTPMS技術の特徴である。厳密に言えば、現在のTPMSは、情報表示−警告システムと定義されなければならない。
【0007】
関係のある研究資料は、タイヤ破裂が、事前にいずれの明白な、または明確な兆候なしに、突然に起こり、したがって、タイヤ破裂は、きっぱりと回避されるということが可能でないことを示す。タイヤ破裂を引き起こすことに関する原因は、以下のことにある。すなわち、タイヤ内部の上昇する空気圧および温度、特に、低過ぎるタイヤ空気圧によって誘発されるタイヤの内側の摩擦(ゴムと鋼鋳プライ(steel casing ply)との間の)が、高温のタイヤのゴム層の部分をもたらし、次いで、ゴムと鋼鋳プライが、はがれて、脆化することをもたらし、最後に、タイヤ破裂を引き起こす。低過ぎる空気圧、および長時間の高速運転が、タイヤ破裂の大きな誘因である。
【0008】
米国の学者であるWesley D.Grimesによって公表された研究報告「3−Dimensional Simulation of Vehicle Response to Tire Blow−outs」が、タイヤ破裂が起きた場合、タイヤ内の空気圧が、100ミリ秒以内に失われて、その結果、破裂したタイヤの転がり半径が、小さくなり、転がり抵抗が、破裂前より30倍まで大きくなり、タイヤ破裂した車輪、および対角線における車輪によってもたらされる地面に対する正の圧力Fzが、減少し、横方向の摩擦が、その後、低下することを示す。このプロセスは、継続し、このため、リムは、タイヤが引き裂かれて、リムから分離されるまで、タイヤを転がすことを始め、したがって、横方向の摩擦は、急速に低下する。タイヤが、転がされ、引き裂かれている間、タイヤと地面の間の転がり抵抗の急速な増大が、車輪を、転がっている状態から、滑っている状態にし(タイヤ破裂した車輪が、駆動される車輪(driven wheel)である場合)、したがって、逸脱させられた駆動方向に動くように車両を押しやる横方向の力が、形成される。
【0009】
また、Wesley D.Grimesの研究報告は、単純なタイヤ破裂が、不可避的に事故を引き起こすことはないことも示す。運転者が、タイヤ破裂情報への適切な対応、およびその情報に基づく適切な操作を行うか否か、ならびにタイヤ破裂が起きた際に車両が存在した道路の特定の条件が、交通事故の発生に直接に結び付いている。特に、ハンドルの切り過ぎ(over−steer)、およびブレーキのかけ過ぎ(over−braking)(ブレーキ引きずり(brake dragging))が、事故を誘発する可能性が高い。一方、適切な操作および制御(駆動パスを調整し、維持して、適度にブレーキをかけること)は、事故が生じることを防止する可能性が高い。
【0010】
この研究報告の結論は、以下の極めて重要な事実を明らかにする。すなわち、タイヤ破裂が生じた後、2〜3秒が経過し、運転者が、対応を行うことができる時点から、車両に対する運転者からの適度な操作が、必要であり、不可欠であると考えられ、タイヤ破裂の危険を未然に防ぐことに重要な役割を果たすことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、タイヤ監視システムを提供することであり、現在のTPMS情報警告システムが、改良され、情報警告−自動化された運転制御システムに拡張されて、能動的運転安全セキュリティ・システムになるようにされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の技術的ソリューションは、以下のことにある。すなわち、タイヤ監視システムが、タイヤ内部に配置された遠隔タイヤ監視ユニットと、中央コントローラと、音声指示ユニットと、ブレーキ減速機構体とを含み、
前記遠隔タイヤ監視ユニットは、タイヤ空気圧を監視して、5Hz〜20Hzのサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリング・データ・パケット信号を中央コントローラに無線で送信し、
前記中央コントローラは、タイヤ条件のサンプリング・データ・パケット信号を無線で受信し、受信されたデータ・パケット信号を、復号すること、および計算することによって処理して、音声指示命令および/またはブレーキ減速命令を生成するようにし、次いで、その音声指示信号を音声指示ユニットに送信する一方で、ブレーキ減速命令をブレーキ減速機構体に送信し、
前記音声指示ユニットは、前記音声指示命令を受信して、音声指示情報を出力するのに使用され、
前記ブレーキ減速機構体は、前記ブレーキ減速命令を受信して、ブレーキ減速動作を実行するのに使用される。
【0013】
前記システムは、前記遠隔タイヤ監視ユニットが、タイヤ条件を監視し、サンプリングして、サンプリングされたデータ信号を出力するのに使用されるセンサと、前記サンプリングされたデータ信号を受信して、処理し、タイヤ条件のデータ・パケット信号を出力するのに使用される信号処理ユニットと、前記タイヤ条件データ・パケット信号を送信するのに使用される無線周波数伝送ユニットと、センサ、処理ユニット、および無線周波数伝送ユニットを、サンプリング間隔中に休止状態に保って、遠隔タイヤ監視ユニットによって消費される電池エネルギーが、低減されることが可能であるようにするのに使用されるタイミング起動回路ユニットとを含むことを特徴とする。
【0014】
前記システムは、前記タイミング起動回路ユニットの起動間隔が、50〜200ミリ秒であることを特徴とする。
【0015】
前記システムは、採用される伝送周波数が、315MHzまたは433MHzまたは866MHz、あるいは民間使用のために許可された他のマイクロ波帯域であることを特徴とする。
【0016】
前記システムは、前記センサが、圧力センサおよび/または温度センサを含むことを特徴とする。
【0017】
前記システムは、前記中央コントローラが、以下を含むことを特徴とする。すなわち、
タイヤ条件のデータ・パケット信号を受信するのに使用される周波数受信ユニットと、
復号すること、および計算することによってタイヤ条件の受信されたデータ・パケット信号を処理して、タイヤ条件データを生成し、次いで、前記タイヤ条件データを、タイヤ条件の事前設定された閾値範囲と比較して、前記タイヤ条件データが、その事前設定された閾値範囲に入る場合、前記音声指示命令および/またはブレーキ減速命令が、出力されるようにするのに使用される信号処理制御ユニットとである。
【0018】
前記システムは、タイヤ条件データが、以下を含むことを特徴とする。すなわち、タイヤの破裂データもしくは急速な空気の抜けのデータ、深刻な空気不足のデータ、空気不足のデータ、正常な空気圧のデータ、および過剰空気圧のデータである。
【0019】
タイヤ条件の前記事前設定された閾値範囲は、以下を示す。すなわち、
タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けの範囲<タイヤの正常な空気圧値の30%、
タイヤの正常な空気圧値の30%<深刻な空気不足の範囲<タイヤの正常な空気圧値の60%、
タイヤの正常な空気圧値の60%<空気不足の範囲<タイヤの正常な空気圧値の80%、
タイヤの正常な空気圧値の80%<正常な空気圧の範囲<タイヤの正常な空気圧値の120%、
過剰空気圧の範囲>タイヤの正常な空気圧値の120%である。
【0020】
前記タイヤ条件サンプリング・データが、「>タイヤの正常な空気圧値の30%」の範囲に入る場合、音声指示命令だけが、出力される。音声指示命令を受信した後、前記音声指示ユニットは、対応する音声指示情報を、事前設定された指示周波数で出力する。
【0021】
前記タイヤ条件サンプリング・データが、「<タイヤの正常な空気圧値の30%」の範囲に入る場合、音声指示命令およびブレーキ減速命令が、出力される。
【0022】
前記システムは、信号処理制御ユニットが、破裂したタイヤ空気圧のサンプリング・データ信号の後に続いてブレーキ減速命令が実行する、つまり、タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けのサンプリング・データの割り込みが、ブレーキ減速命令の割り込みをもたらすという追従機能(following function)を与えられることを特徴とする。
【0023】
前記システムは、前記音声指示ユニットが、中央コントローラから送信された音声指示命令を受信する音声合成回路を含み、事前記録され、格納された音声合成を使用して音声警報指示を生成することを特徴とする。
【0024】
本発明は、以下の態様において効果的である。すなわち、
1.LCDリアルタイム情報表示を音声指示警報で置き換えることが、運転者の情報負荷量を解放し、このことは、運転安全においてプラスの役割を果たす。
2.音声指示が、適切な周波数で実行されることが可能である。タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けを除き、タイヤ空気不足、過剰空気圧および過剰な高温度のような条件に関して、音声指示周波数は、1/60Hz〜1/600Hzの間に設定されて、運転者に対する警報情報からの邪魔(disturbance)を弱めるようにすることが可能である。
3.タイヤ空気圧を監視する機能に基づき、急速な空気の抜けおよびタイヤ破裂についての効果的なセキュリティ保護を短期間の内に提供することができる。特に、本発明は、ブレーキ反応時間の限界を構成することができ、このことは、タイヤ破裂のリスクを未然に防ぐことに極めて重要な役割を果たす。この機能には、現在のTPMSの機能と比べて、独創的な改良、および実質的な進歩がある。
【0025】
本発明の技術的ソリューションは、TPMSタイヤ空気圧を監視する機能を維持して、さらに改良し、タイヤ破裂の後に能動的な救助を実行することもできる。したがって、このソリューションは、防止すること、および救助することの組み合わせ機能を有する包括的システムであり、このため、能動的運転安全セキュリティ・システムに属する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の技術的ソリューションの詳細な実施形態が、図面を参照して、以下のとおり説明される。
【0027】
本発明の技術的ソリューションは、以下のとおりである。すなわち、タイヤ監視システムが、RTM(遠隔タイヤ監視ユニット)と、中央コントローラと、音声指示ユニットと、ブレーキ減速機構体とを含み、
前記遠隔タイヤ監視ユニットは、タイヤ空気圧を監視し、5Hz〜20Hzのサンプリング周波数でサンプリングして、サンプリングされたデータ・パケット信号を中央コントローラに無線で送信し、
前記中央コントローラは、タイヤ条件のサンプリングされたデータ・パケット信号を無線で受信し、次いで、復号すること、および計算することにより、前記データ・パケット信号を処理して、音声指示命令および/またはブレーキ減速命令を生成するようにし、その後、その音声指示命令を音声指示ユニットに送信する一方で、ブレーキ減速命令をブレーキ減速機構体に送信し、
前記音声指示ユニットは、前記音声指示命令を受信して、音声指示情報を出力するのに使用され、
前記ブレーキ減速機構体は、前記ブレーキ減速命令を受信して、ブレーキ減速動作を実行するのに使用される。
【0028】
本発明による遠隔タイヤ監視ユニットは、タイヤ条件を監視し、サンプリングして、サンプリングされたデータ信号を出力するのに使用されるセンサと、前記サンプリングされたデータ信号を受信して、処理し、タイヤ条件のデータ・パケット信号を出力するのに使用される信号処理ユニットと、タイヤ条件の前記データ・パケット信号を送信するのに使用される無線周波数伝送ユニットと、センサ、処理ユニット、および無線周波数伝送ユニットを、サンプリング間隔中に休止状態に保って、遠隔タイヤ監視ユニットによって消費される電池エネルギーが、低減されることが可能であるようにするのに使用されるタイミング起動回路ユニットとを含む。
【0029】
前記システムによれば、採用される無線周波数は、315MHzまたは433MHzまたは866MHzのマイクロ波、あるいは民間使用のために許可された他のマイクロ波帯域である。
【0030】
図2に示されるとおり、現在のTPMSの技術的ソリューションと比較されると、本発明の技術的ソリューションは、遠隔タイヤ監視ユニット1′の態様におけるTPMS技術的ソリューションの基礎を保持する。TPMSに基づき、本発明の技術的ソリューションは、空気圧情報警告−指示機能を保ち、運転妨害制限機能を追加し、その結果、中央モニタが、中央コントローラに拡張される。高くなるタイヤ空気圧サンプリング周波数が、タイヤ遠隔監視ユニットが、タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けのような緊急信号を適時にサンプリングし、送信することを可能にする。タイヤ破裂信号データを受信した後、中央コントローラは、ブレーキ減速、およびスロットルの開きを絞る動作を実行して、その結果、減速し、さらに、タイヤ破裂のリスクを未然に防ぐよう、運転干渉機構体を駆動する制御コマンドを迅速に送出する。
【0031】
本発明は、タイヤ空気圧サンプリング周波数およびタイミング起動回路の態様において独創的な改良を行う。タイヤ破裂のような緊急事態が生じると、タイヤ内の空気圧は、約100ミリ秒の内に完全に失われ、このことに、圧力センサの監視周波数およびサンプリング周波数は、約100ミリ秒の内に失われるタイヤ破裂信号の適時のサンプリングを保証するために、TPMSの1/3Hz〜1/8Hzという現在のサンプリング周波数を、10Hzにまで上げることにより、適応することが要求される。一般に、10Hzは、サンプリング周波数の結論(the bottom line)である。しかし、電池の耐用寿命を長くするために、反応時間を適切に短縮することが、依然として、合理的であり、適切である。例えば、本発明において、(図2に示されるとおりの)遠隔タイヤ監視ユニット1′のサンプリング周波数は、5〜20Hzの範囲内に設定される。低過ぎるサンプリング周波数は、破裂したタイヤの空気圧信号の適時のサンプリングを保証することができない一方で、高過ぎるサンプリング周波数は、より多くの電力を無用に消費し、このため、電池の耐用寿命を短くする。したがって、例えば、この例示的な実施形態において、サンプリング周波数は、10Hzとして設定されて、タイヤ破裂のような緊急事態におけるタイヤ空気圧データの適時のサンプリングを保証することが可能である。
【0032】
特に、遠隔タイヤ空気圧監視モジュールによって消費される電池エネルギーを低減するのに、TPMSの技術的ソリューションは、遠隔タイヤ監視ユニットが、サンプリング間隔中、休止状態に保たれ、タイミング起動の対応で起動される作業パターン(work pattern)を採用する。しかし、現在のTPMS遠隔モジュールが、3〜8秒という規則的時間の後に1回の起動を事前設定するという事実は、明らかに、高いサンプリング周波数における作業パターンに対応することができない。本発明の例示的な実施形態は、起動時間間隔を50〜200ミリ秒の範囲内にまで向上させる。例えば、起動時間の間隔は、100ミリ秒として設定されて、モジュールが、10Hzというサンプリング周波数で、サンプリング間隔において休止状態にあるという目標を達することができ、したがって、高いサンプリング周波数における電力節約の要件が、満たされることが可能である。
【0033】
また、遠隔タイヤ監視ユニット1′の他に、本発明のタイヤ監視システムは、中央コントローラ、音声指示ユニット、およびブレーキ減速機構体も含む。中央コントローラは、タイヤ条件データ・パケット信号を受信するように提供される無線周波数ユニットと、受信されたタイヤ条件データ・パケット信号を復号し、計算して、条件データを生成するようにし、そのデータが、次いで、タイヤ条件の事前設定された閾値範囲と比較されるように提供される信号処理制御ユニットとを含む。前記タイヤ条件データが、前記範囲内に入る場合、音声指示命令および/またはブレーキ減速命令が、出力される。前記タイヤ条件データは、タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けのデータ、深刻な空気不足のデータ、空気不足のデータ、正常空気圧のデータ、および過剰空気圧のデータを含む。
【0034】
タイヤ条件の前記事前設定された閾値範囲は、以下を含む。すなわち、
タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けの範囲<タイヤの正常な空気圧値の30%、タイヤの正常な空気圧値の30%<深刻な空気不足の範囲 タイヤの正常な空気圧値の60%、タイヤの正常な空気圧値の60%<空気不足の範囲<タイヤの正常な空気圧値の80%、タイヤの正常な空気圧値の80%<正常な空気圧の範囲<タイヤの正常な空気圧値の120%、過剰空気圧の範囲>タイヤの正常な空気圧値の120%である。
【0035】
前記タイヤ条件サンプリング・データが、「>タイヤの正常な空気圧値の30%」の範囲に入る場合(前記範囲内のデータは、「警告データ」と呼ばれる)、音声指示命令だけが、出力される。前記音声指示命令を受信した後、音声指示ユニットは、対応する音声指示情報を、事前設定された音声指示周波数で出力する。
【0036】
前記タイヤ条件サンプリング・データが、「<タイヤの正常な空気圧値の30%」の範囲に入る場合(この範囲内のデータは、「制御データ」と呼ばれる)、音声指示命令およびブレーキ減速命令が、出力される。
【0037】
TPMSの現在の遠隔タイヤ空気圧監視モジュールは、いくつかの大きな専門企業によって製造されるので、実用プログラム(または特定の機能インデックス)は、第2の開発の対応で設計される。したがって、本発明において、実用プログラムにおける空気圧異常特徴点は、タイヤ条件の前述した事前設定された閾値範囲に従って設計され、ECU(中央コントローラユニット)が、受信された空気圧データを解析し、処理して、前記データを、前記閾値に従って分類する。さらに、圧力領域の分割が、様々な車両タイプ、および様々なタイヤ空気圧に応じて調整されることが可能である。圧力警告範囲が、より正確である必要がある場合、圧力範囲は、より多くのグループに、より具体的に分類されることが可能である。
【0038】
音声間隔指示駆動機能が、受信された空気圧サンプリング・データ情報を計算し、識別するECUによって直接に実現される。情報指示の条件が形成されると、ECUは、音声合成された(speech synthesized)回路への駆動信号を、規則的な時間間隔に従って生成し、音声合成された回路は、対応する音声合成をあらかじめ記録し、格納して、音声警報指示を、駆動命令の後に続いて生成する。
【0039】
本発明の技術的ソリューションは、LCDディスプレイに取って代わるように音声指示の対応を採用し、このことは、過度な情報からの運転安全に対する邪魔を回避するだけでなく、製品を取り付ける際の困難も減らす。中央コントローラは、車両内の適切な隠れ場所に、車内装飾に全く悪影響を生じさせることなしに、取り付けられる。
【0040】
中央コントローラの信号処理制御ユニットは、破裂したタイヤの空気圧サンプリング・データ信号の後に続いて、ブレーキ減速命令が実行するという追従機能を与えられる。つまり、タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けのサンプリング・データの割り込みが、ブレーキ減速命令の割り込みをもたらす。
【0041】
自動制御の状態におけるブレーキ減速機能の実現は、信号障害によって引き起こされる誤ったトリガを考慮に入れなければならず、このことは、無線信号伝送の技術的ソリューションが採用される場合、特別な注意を喚起しなければならない。実際には、車両は、あらゆる交通条件において運転されることが可能であるので、信号障害の直接の結果は、自動制御システム上の誤った操作によってもたらされる誤ったブレーキによって引き起こされる結果である。したがって、引き起こされる可能性が高い結果が生じるのを考慮し、または防止し、その結果の損害を阻止することは、絶対必要なことである。本発明において、特別な信号障害誤りトリガ阻止プログラムが、設計され、すなわち、ブレーキ減速命令は、破裂したタイヤの空気圧のサンプリング・データの後に続いて実行する。つまり、破裂したタイヤの空気圧のサンプリング・データの割り込みが、ECU(中央コントローラユニット)のブレーキ減速命令の割り込みをもたらす。したがって、1つまたは複数の外乱信号が、システムの誤ったブレーキを生じさせる場合でも、外乱信号の非継続性(incontinuity)または不規則性のため、ECUは、迅速な認識を行って、誤ったブレーキによって誘発される損害を阻止し、または未然に防ぎ、その結果、継続的な誤ったブレーキによって引き起こされる有害性を未然に防ぐようにすることができる。
【0042】
本発明の技術的ソリューションにおいて、自動化されたブレーキ減速機能のブレーキ実施機構体が、自動車後部衝突システムの自動化されたブレーキ減速機構体などの、自動化された減速機構体の現在の技術を採用することを介して実現されることが可能である。さらに、自動化された減速は、CN ZL00101579.6において開示されるブレーキ減速機構体などの、ブレーキ・パワー・ストレージを有する特別なブレーキ減速機構体によって実現されることが可能である。
【0043】
本発明の音声指示ユニットは、ECUから音声指示命令を受信し、あらかじめ記録され、格納された音声合成を使用して音声警報指示を生成する音声合成回路を含む。
【0044】
本発明の実施形態における空気圧サンプリング・データにおいて、警告データ(>30%P、Pは、タイヤの正常な空気圧値である)の送信周波数は、1/60Hzに設定されるのに対して、制御データ(<30%P)の送信周波数は、極めて小さい間隔であるように設定される、または10秒にわたって続く期間で連続的に送信される。
【0045】
本発明のシステム制御プロセスの流れ図が、図3に示される。活性化された後、システムは最初に、自己試験プログラムを実施して、システムが、正常な動作状態にあることを確実にし、次いで、受信されたデータを解析し、処理するプログラムに入る。データ伝送中に異常が生じた場合、システムは、遠隔監視モジュールを介して異常タイヤ位置の番号を識別し、音声指示を生成し、データ伝送が、正常である場合、以下のステップが、実施される。すなわち、
ECUによって受信された空気圧サンプリング・データが、「<30%P」の範囲内(タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けの範囲内)に入る場合、ECUは、ブレーキ減速、およびスロットの開きを絞ることを含む運転干渉制御措置を実行し、音声指示を生成することも行う。
ECUによって受信されたサンプリング・データが、「>30%P、かつ<60%P」の範囲内(深刻な空気圧不足の範囲内)に入る場合、ECUは、深刻な空気圧不足の音声指示を1/60Hzの周波数で生成する。
ECUによって受信されたサンプリング・データが、「>60%P、かつ<80%P」の範囲内(空気圧不足の範囲内)に入る場合、ECUは、空気圧不足の音声指示を1/600Hzの周波数で生成する。
ECUによって受信されたサンプリング・データが、「>80%P、かつ<120%P」の範囲内(正常な空気圧の範囲内)に入る場合、ECUは、正常な空気圧の音声指示を1/3600Hzの周波数で生成する。
ECUによって受信されたサンプリング・データが、「>120%P」の範囲内(過剰空気圧の範囲内)に入る場合、ECUは、過剰空気圧の音声指示を1/600Hzの周波数で生成する。
【0046】
以上の特定の実施形態は、本発明を限定するためにではなく、本発明を例示するためだけに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】現在のTPMS技術的ソリューションのブロック図である。
【図2】本発明の技術的ソリューションのブロック図である。
【図3】本発明の技術的ソリューションの制御プロセスの流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内部に備えられた遠隔タイヤ監視ユニットと、中央コントローラと、音声指示ユニットと、ブレーキ減速機構体とを含むタイヤ監視システムであって、
前記遠隔タイヤ監視ユニットは、タイヤ空気圧を監視して、5Hz〜20Hzのサンプリング周波数でサンプリングし、前記サンプリング・データ・パケット信号を中央コントローラに無線で送信し、
前記中央コントローラは、前記タイヤ条件のサンプリング・データ・パケット信号を無線で受信し、次いで、前記データ・パケット信号を、復号すること、および計算することによって処理して、音声指示命令および/またはブレーキ減速命令を生成するようにし、その後、前記音声指示命令を前記音声指示ユニットに送信する一方で、前記ブレーキ減速命令を前記ブレーキ減速機構体に送信し、
前記音声指示ユニットは、前記音声指示命令を受信して、音声指示情報を出力するのに使用され、
前記ブレーキ減速機構体は、前記ブレーキ減速命令を受信して、ブレーキ減速動作を実行するのに使用される
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記遠隔タイヤ監視ユニットは、
タイヤ条件を監視し、サンプリングして、サンプリング・データ信号を出力するのに使用されるセンサと、
前記サンプリング・データ信号を受信し、処理して、タイヤ条件のデータ・パケット信号を出力するのに使用される信号処理ユニットと、
タイヤ条件の前記データ・パケット信号を送信するのに使用される無線周波数送信ユニットと、
前記センサ、前記信号処理ユニット、および前記無線周波数ユニットを、サンプリング間隔中に休止状態に保って、前記遠隔タイヤ監視ユニットによって消費される電池エネルギーを低減するようにするのに使用されるタイミング起動回路ユニットと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記タイミング起動回路ユニットの起動間隔は、50〜200ミリ秒であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
採用される無線周波数は、315MHzまたは433MHzまたは866MHz、あるいは民間使用のために許可された他のマイクロ波帯域であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記センサは、圧力センサおよび/または温度センサを含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記中央コントローラは、
タイヤ条件データ・パケット信号を受信するのに使用される無線周波数ユニットと、
受信されたタイヤ条件パケット信号を、復号すること、および計算することによって処理して、タイヤ条件データを生成するようにし、該データが、次いで、事前設定されたタイヤ条件閾値の範囲と比較されて、前記タイヤ条件データが、タイヤ条件の或る事前設定された閾値範囲に入る場合、前記音声指示命令および/または前記ブレーキ減速命令が、出力されるようにするのに使用される信号処理制御ユニットと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記タイヤ条件データは、
タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けのデータと、
深刻な空気不足のデータと、
正常な空気圧のデータと、
過剰空気圧のデータとを含み、
タイヤ条件の前記事前設定された閾値範囲は、
タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けの範囲<タイヤの前記正常な空気圧値の30%、タイヤの前記正常な空気圧値の30%<深刻な空気不足の範囲<タイヤの前記正常な空気圧値の60%、タイヤの前記正常な空気圧値の60%<空気不足の範囲<タイヤの前記正常な空気圧値の80%、タイヤの前記正常な空気圧値の80%<正常な空気圧の範囲<タイヤの前記正常な空気圧値の120%、過剰空気圧の範囲>タイヤの前記正常な空気圧値の120%を示し、
タイヤ条件サンプリング・データが、「>タイヤの正常な空気圧値の30%」の前記範囲に入る場合、前記音声指示命令だけが、出力され、前記音声指示命令を受信した後、前記音声指示ユニットは、対応する音声指示情報を、事前設定された指示周波数で出力し、
タイヤ条件サンプリング・データが、「<タイヤの正常な空気圧値の30%」の前記範囲に入る場合、音声指示命令およびブレーキ減速命令が、出力される
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記信号処理制御ユニットは、破裂したタイヤ空気圧の前記サンプリング・データ信号の後に続いてブレーキ減速命令が実行する、つまり、タイヤの破裂もしくは急速な空気の抜けのサンプリング・データの割り込みが、ブレーキ減速命令の割り込みをもたらすという追従機能を与えられる
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記音声指示ユニットは、前記中央コントローラから送信された前記音声指示命令を受信し、次いで、事前記録され、格納された音声合成を使用して音声警報指示を生成するように提供される音声合成回路を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−542112(P2008−542112A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515034(P2008−515034)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001259
【国際公開番号】WO2006/131078
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507362513)チォチィアン、ジーリー、ホールディング、グループ、カンパニー、リミテッド (3)
【Fターム(参考)】